説明

STTD機能試験システム

【課題】基地局のSTTDエンコーダの機能を評価する。
【解決手段】基地局1aの第1、第2アンテナ2a、2bから出力される第1、第2のW−CDMA信号14a、14bに組込まれた第1、第2送信データ9a、9bを、測定してそれぞれ第1コードデータ、第2コードデータとして表示器43に表示する。第2コードデータをSTTDデコーダ40で復号し、第2コード復号データとし表示器に表示し、第2コード復号データの第1コードデータとの一致、不一致の判定結果も表示器に表示する。
したがって、操作者(試験実施者)は、基地局に組込まれたSTTDエンコーダの機能の良否を一瞥して確認できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局と移動局(携帯端末)との間の通信信号にW−CDMA信号を採用した移動通信システムにおける基地局に組込まれたSTTDエンコーダの機能を試験するSTTD機能試験システムに関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代の移動体通信システムにおける無線通信方式の一つとして、W―CDMA(Wideband Code Division Multiple Access 広帯域符号分割多元接続)が提唱されている。この通信方式を用いる場合、基地局と移動局(携帯端末)との間で送受される信号内には、W―CDMAの通信規格(3GPP)に従って送受信される多数のデータが多重化されて組込まれている。
【0003】
さらに、この移動通信システムにおいては、図10に示すように、移動局1のアンテナとしてダイバーシチアンテナ2を採用して、移動局1は、このダイバーシチアンテナ2を構成する第1アンテナ(アンテナ1)2a及び第2アンテナ(アンテナ2)2bから、同一の送信データから符号化された互いに異なるデータ配列を有する送信データが組込まれた第1のW−CDMA信号3aと第2のW−CDMA信号3bを送信し、移動局(携帯端末)4は、一つのアンテナ5で二つのW−CDMA信号3a、3bを同時に受信するようにしている。
【0004】
図11は、上述した送信ダイバーシチを採用した基地局1における概略動作を説明するための模式図である。送信データ9は、STTD(Space Time block coding Transmit antenna Diversity 時間空間ブロック送信アンテナダイバーシチ)エンコーダ6へ入力される。
【0005】
このSTTDエンコーダ6は、図12に示すように、入力した任意の4ビットのデータ配列[b0、b1、b2、b3]を有する1シンボル分の送信データ9毎に、この1シンボル分の送信データ9を、元の送信データ9に等しいデータ配列[b0、b1、b2、b3]を有する第1送信データ9aと、元の送信データ9と異なるデータ配列[b2、b3、b0、b1]を有する第2送信データ9bとに符号化する。但し、図中、b2、b1はb2、b1の反転符号である。
【0006】
なお、図12に示すSTTDエンコーダ6は、第1、第2送信データ9a、9bがQPSKの変調方式で変調される条件を示している。第1、第2送信データ9a、9bが16QAMの変調方式で変調される場合は、1シンボル分の送信データ9は8ビットで構成される。
【0007】
図11において、STTDエンコーダ6から出力された第1送信データ9aは、図示しない変調部で位相変調され、拡散部7aでコード拡散され、高周波回路8aで高周波信号に周波数変換されて、第1アンテナ2aから第1のW−CDMA信号3aとして出力される。一方、STTDエンコーダ6から出力された第2送信データ9bは、図示しない変調部で位相変調され、拡散部7bでコード拡散され、高周波回路8bで高周波信号に周波数変換されて、第2アンテナ2bから第2のW−CDMA信号3bとして出力される。
【0008】
このように、基地局1から、同一の送信データ9から符号化された互いに異なるデータ配列を有する第1、第2送信データ9a、9bが組込まれた第1のW−CDMA信号3aと第2のW−CDMA信号3bを移動局(携帯端末)4へ同時に送信することにより、移動局(携帯端末)4側において、合成された状態で受信された第1、第2送信データ9a、9bにおける誤り(ビット誤り)を分散(ランダム)化でき、誤り訂正効果を高めることができる。
【0009】
そして、この誤り訂正後に、第1、第2送信データ9a、9bを分離して、分離した第1、第2送信データ9a、9bを、STTDデコーダを用いて元の送信データ9へ復号する。
【0010】
したがって、移動局(携帯端末)4側において、基地局1かららのW−CDMA信号を誤りなく高い精度で受信するためには、基地局1における送信ダイバーシチの機能が正常に動作していることが大前提となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、W―CDMAの規格を採用した第3世代の移動通信システムやHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)の規格を採用した第3.5世代の移動通信システムにおける基地局1に組込まれたSTTDエンコーダ6が正常に動作していることを、この基地局1のダイバーシチアンテナ2を構成する第1、第2アンテナ2a、2bから出力される第1、第2のW−CDMA信号3a、3bを受信して解析することによって、簡単に検証できるSTTD機能試験システムの開発が望まれている。
【0012】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、基地局のダイバーシチアンテナを構成する第1、第2アンテナから出力される第1、第2のW−CDMA信号を受信して解析することによって、基地局に組込まれたSTTDエンコーダが送信データを正しく第1、第2送信データに符号化していることを、精度よくかつ簡単に検証できるSTTD機能試験システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、送信データをSTTDエンコーダで前記送信データに等しいデータ配列を有する第1送信データと前記送信データと異なるデータ配列を有する第2送信データとに符号化し、この第1、第2送信データを、変調、拡散して、第1、第2のW−CDMA信号としてダイバーシチアンテナを構成する第1、第2アンテナからそれぞれ出力する基地局におけるSTTDエンコーダの機能を試験するSTTD機能試験システムである。
【0014】
そして、上記課題を解消するために、本発明のSTTD機能試験システムにおいては、基地局の第1アンテナから出力される第1のW−CDMA信号を受信して、逆拡散、復調して第1送信データを抽出して第1コードデータとして出力する第1の送信データ抽出手段と、基地局の第2アンテナから出力される第2のW−CDMA信号を受信して、逆拡散、復調して第2送信データを抽出して第2コードデータとして出力する第2の送信データ抽出手段と、第2コードデータをSTTD復号化して第2コード復号データとし出力するSTTDデコーダと、第2コード復号データが第1コードデータに一致するか否かを判定して判定結果を出力する比較部と、出力された第1コードデータ、第2コードデータ、第2コード復号データ、及び判定結果を表示器に一覧表示する表示制御手段とを備えている。
【0015】
このように構成されたSTTD機能試験システムにおいては、基地局の第1、第2アンテナから出力される第1、第2のW−CDMA信号に組込まれた第1、第2送信データは、それぞれ第1コードデータ、第2コードデータとして表示器に表示される。さらに、第2コードデータはSTTDデコーダで復号され、第2コード復号データとし表示器に表示される。
【0016】
本発明のSTTD試験システムに組込まれたSTTDデコーダは、基地局に組込まれたSTTDエンコーダに対して逆の復号化処理を行う。さらに、このSTTDデコーダは正常に復号化動作を実施すると見なすと、復号された第2コード復号データは、第1コードデータに一致するはずである。そして、復号された第2コード復号データが第1コードデータに不一致の場合は、基地局に組込まれたSTTDエンコーダが送信データを正常に第1、第2送信データに符号化できなかったと判断できる。比較部で一致するか否かが判定される。
【0017】
第1コードデータ、第2コードデータ、第2コード復号データ、及び判定結果が表示器に一覧表示されるので、操作者(試験実施者)は、基地局に組込まれたSTTDエンコーダの機能の良否を一瞥して確認できる。
【0018】
また、別の発明は、上述した機能を有するSTTD機能試験システムにおいて、STTDエンコーダに入力する送信データとして周期データを採用し、W−CDMA信号を受信して、逆拡散、復調してこのW−CDMA信号に含まれる送信データを抽出して出力する測定器と、この測定器に対する測定制御を行う測定制御装置とを備えている。
【0019】
そして、測定器は、測定制御装置の第1アンテナを指定した測定指示に応じて、基地局の第1アンテナから出力される第1のW−CDMA信号を受信して、逆拡散、復調して第1送信データを抽出して第1コードデータとして出力する第1の受信手段と、測定制御装置の第2アンテナを指定した測定指示に応じて、基地局の第2アンテナから出力される第2のW−CDMA信号を受信して、逆拡散、復調して第2送信データを抽出して第2コードデータとして出力する第2の受信手段とを有している。
【0020】
さらに、測定制御装置は、測定器が第1アンテナからの信号受信可能状態時に測定器に第1アンテナを指定した測定指示を出力するともに、測定器が第2アンテナからの信号受信可能状態時に測定器に第2アンテナを指定した測定指示を出力する測定指示手段と、第2の受信手段から出力される第2コードデータをSTTD復号化して第2コード復号データとし出力するSTTDデコーダと、第2コード復号データが第1の受信手段から出力される第1コードデータに一致するか否かを判定して判定結果を出力する比較部と、出力された第1コードデータ、第2コードデータ、第2コード復号データ、及び判定結果を表示器に一覧表示する表示制御手段とを有する。
【0021】
このように構成されたSTTD機能試験システムは、1台の測定器で、基地局の第1、第2アンテナから出力される第1、第2のW−CDMA信号を異なる時間帯で受信して、第1、第2コードデータを出力する。そして、測定制御装置は、この1台の測定器で測定された第1、第2コードデータを用いて、基地局のSTTDエンコーダの機能を評価する。
【0022】
この場合、異なる時間帯で受信される第1、第2のW−CDMA信号に同一の送信データから符号化された第1、第2送信データが組込まれる必要があるので、基地局のSTTDエンコーダに入力する送信データとして周期データを採用している。
【0023】
また、別の発明は、上述した機能を有するSTTD機能試験システムにおいて、入力されたトリガ信号に応動して、基地局の第1アンテナから出力される第1のW−CDMA信号を受信して、逆拡散、復調して第1送信データを抽出して第1コードデータとして出力する第1の測定器と、入力されたトリガ信号に応動して、基地局の第2アンテナから出力される第2のW−CDMA信号を受信して、逆拡散、復調して第2送信データを抽出して第2コードデータとして出力する第2の測定器と、第1、第2の測定器に対する測定制御を行う測定制御装置とを備えている。
【0024】
そして、測定制御装置は、第1、第2の測定器に対して同時にトリガ信号を印加するトリガ信号印加手段と、第2の測定器から出力される第2コードデータをSTTD復号化して第2コード復号データとし出力するSTTDデコーダと、第2コード復号データが第1の測定器から出力される第1コードデータに一致するか否かを判定して判定結果を出力する比較部と、出力された第1コードデータ、第2コードデータ、第2コード復号データ、及び前記判定結果を表示器に一覧表示する表示制御手段とを有する。
【0025】
このように構成されたSTTD機能試験システムは、2台の測定器で、基地局の第1、第2アンテナから出力される第1、第2のW−CDMA信号を同一時間で受信して、第1、第2コードデータを出力する。そして、測定制御装置は、この2台の測定器で測定された第1、第2コードデータを用いて、基地局のSTTDエンコーダの機能を評価する。
【0026】
この場合、第1、第2のW−CDMA信号に同一の送信データから符号化された第1、第2送信データが組込まれる必要があるので、測定制御装置は、各測定器に対して同時にトリガ信号を印加する。
【発明の効果】
【0027】
本発明においては、基地局の第1、第2アンテナから出力される第1、第2のW−CDMA信号に組込まれた第1、第2送信データは、それぞれ第1コードデータ、第2コードデータとして表示器に表示される。第2コードデータはSTTDデコーダで復号され、第2コード復号データとし表示器に表示され、第2コード復号データの第1コードデータとの一致、不一致の判定結果も表示器に表示される。したがって、操作者(試験実施者)は、基地局に組込まれたSTTDエンコーダの機能の良否を一瞥して確認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の各実施形態を図面を用いて説明する。
【0029】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係わるSTTD機能試験システムの全体構成を示す模式図である。図10、図11、図12と同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明は省略する。
【0030】
この第1実施形態のSTTD機能試験システムは、1台の測定器10とコンピュータからなる1台の測定制御装置11とで構成されている。測定器10の入力端子12には、基地局1aのダイバーシチアンテナ2を構成する第1アンテナ2a、第2アンテナ2bに接続された信号線13a、13bのいずれか一方の信号線13a、13bが選択的に接続される。第1アンテナ2a及び信号線13aを介して第1のW−CDMA信号14aが出力され、第2アンテナ2b及び信号線13bを介して第2のW−CDMA信号14bが出力される。測定器10と測定制御装置11とは信号ケーブル15で接続されている。
【0031】
図2はこの第1実施形態のSTTD機能試験システムの試験対象としての基地局1aの概略構成を示すブロック図である。通常運転時においては、各チャネルの送信データ9は、切換スイッチ16を介して、STTDエンコーダ6へ入力される。そして、STTDエンコーダ6に対する試験期間においては、切換スイッチ16を切り換えて、STTDエンコーダ6へ入力される信号データとして、一定周期で同一データ列が繰り返される試験データ17が採用される。
【0032】
STTDエンコーダ6は、図12に示すように、入力された送信データ9(試験データ17)を、送信データ9に等しいデータ配列を有する第1送信データ9aと送信データ9と異なるデータ配列を有する第2送信データ9bとに符号化し、第1送信データ9aを一方の変調部18aへ送出し、第2送信データ9bを他方の変調部18bへ送出する。
【0033】
STTDエンコーダ6から出力された第1送信データ9aは、変調部18aで例えばQPSKの変調方式で位相変調され、拡散部19aでコード拡散され、加算部20aで他のチャネルの信号と加算され、スクランブル回路21aでスクランブル化され、高周波回路22aで高周波信号に周波数変換されて、第1アンテナ2aから第1のW−CDMA信号14aとして出力される。
【0034】
一方、STTDエンコーダ6から出力された第2送信データ9bは、変調部18bで例えばQPSKの変調方式で位相変調され、拡散部19bでコード拡散され、加算部20bで他のチャネルの信号と加算され、スクランブル回路21bでスクランブル化され、高周波回路22bで高周波信号に周波数変換されて、第2アンテナ2bから第2のW−CDMA信号14bとして出力される。
【0035】
図4は各W−CDMA信号14a、14bの伝送フォーマットを示す図である。10ms時間長を有する1フレームは15個のスロット24で構成されている。
図3は測定器10と測定制御装置11の概略構成を示すブロック図である。
【0036】
測定器10の入力端子12に入力された第1のW−CDMA信号14a又は第2のW−CDMA信号14bからなる被測定信号aは、周波数変換部25で中間周波数に周波数変換された後、A/D変換部26でA/D変換される。A/D変換されたデジタルの被測定信号aはデータメモリ28へ書込まれる。
【0037】
このデータメモリ28は、図4に示す伝送フォーマットを有する被測定信号aの数フレーム分のデータを記憶することが可能である。スロット位置検出部29は、このデータメモリ28に記憶された被測定信号aにおける各スロット24の開始位置を検出して、被測定信号aにおける1スロット分のデータをデータメモリ28から読出して、1スロットメモリ30に書込む。より具体的には、被測定信号aの1フレームを構成する0番のスロット24から14番のスロット24を順番に読出して1スロットメモリ30に順番に書込む。
【0038】
1スロットメモリ30に書込まれた1スロット分の被測定信号aはスクランブル解除部31で、スクランブル解除されたのち、逆拡散部32で元の複数のチャネルの信号に戻される。チャネル選択部33は、測定制御装置11の操作部34からの選択指令に基づいて1つのチャネルの信号を選択して復調部35へ送出する。
【0039】
復調部35は、入力された例えばQPSKの変調方式で変調された指定チャネルの信号を復調して、この第1のW−CDMA信号14a又は第2のW−CDMA信号14bからなる被測定信号aに含まれる第1送信データ9a又は第2送信データ9bを得て、アンテナ指定部36へ送出する。さらに、復調部35は、入力された第1のW−CDMA信号14a又は第2のW−CDMA信号14bからなる被測定信号aの変調方式を測定制御装置11内の表示制御部39へ送出する。
【0040】
アンテナ指定部36は、測定制御装置11の操作部34から第1アンテナ2aの選択指令が入力されると、この測定器10の入力端子12には、信号線13aを介して、第1アンテナ2aから第1のW−CDMA信号14aが入力されていると判断して、第1送信データ9aを、第1コードデータとして、測定制御装置11内の第1アンテナデータメモリ37へ書込む。
【0041】
また、アンテナ指定部36は、測定制御装置11の操作部34から第2アンテナ2bの選択指令が入力されると、この測定器10の入力端子12には、信号線13bを介して、第2アンテナ2bから第2のW−CDMA信号14bが入力されていると判断して、第2送信データ9bを、第2コードデータとして、測定制御装置11内の第2アンテナデータメモリ38へ書込む。
【0042】
第1アンテナデータメモリ37に書込まれた第1コードデータ、及び第2アンテナデータメモリ38に書込まれた第2コードデータは、表示制御部29へ入力されるとともに、STTDデコーダ40へ入力される。STTDデコーダ40は、基地局1aに組込まれたSTTDエンコーダ6に対して逆の復号化処理を行う。STTDデコーダ40は、入力した第2コードデータを、第1コードデータを用いて、STTD復号化して第2コード復号データとし出力して、第2アンテナ復号データメモリ41に書込む。
【0043】
第2アンテナ復号データメモリ41に書込まれた第2コード復号データは、表示制御部39へ入力されるとともに、比較部42へ入力される。前述したように、STTDデコーダ40は正常に復号化動作を実施すると見なすと、試験対象の基地局1aのSTTDエンコーダ6が正常な場合、復号された第2コード復号データは、第1コードデータに一致するはずである。
【0044】
そこで、比較部42は、第2コード復号データが第1コードデータに一致するか否かを判定して、一致の場合、基地局1aのSTTDエンコーダ6に対する「良(OK)」、不一致の場合、基地局1aのSTTDエンコーダ6に対する「不良(NG)」の判定結果を表示制御部39へ送出する。
【0045】
表示制御部39は、第1コードデータ、第2コードデータ、第2コード復号データ、判定結果、及び変調方式を、各スロット24毎に、表示器43に一覧表示する。
【0046】
図5に表示器43の表示内容を示す。各スロット24毎に、変調方式、判定結果、第1アンテナ2aの第1コードデータ44、第2アンテナ2bの第2コード復号データ45、第2アンテナ2bの第2コードデータ46が一覧表形式で表示される。
【0047】
なお、「不良(NG)」の判定結果が存在する場合、「不良(NG)」のスロット24のデータ部分をマウスでクリックすると、図6に示すように、判定結果の画面が開かれ、誤りビットが赤色表示される。
【0048】
このように構成された第1実施形態のSTTD機能試験システムにおいては、操作者(試験実施者)は、最初に、第1アンテナ2aの信号線13aを測定器10の入力端子12に接続して、第1のW−CDMA信号14aを測定器10に取込む。そして、測定制御装置11の操作部34から、第1アンテナ2aの選択指示を測定器10に与える。この結果、測定器10において第1のW−CDMA信号14a(第1アンテナ2a)の第1コードデータ44が抽出されて表示器43に表示される。
【0049】
次に、操作者(試験実施者)は、第2アンテナ2bの信号線13bを測定器10の入力端子12に接続して、第2のW−CDMA信号14bを測定器10に取込む。そして、測定制御装置11の操作部34から、第2アンテナ2bの選択指示を測定器10に与える。この結果、測定器10において第2のW−CDMA信号14b(第2アンテナ2b)の第2コードデータ46が抽出されて表示器43に表示される。同時に、第2アンテナ2bの第2コード復号データ45、及び基地局1aのSTTDエンコーダ6に対する良否の判定結果が表示される。
【0050】
なお、異なる時間帯で受信される第1、第2のW−CDMA信号14a、14bに同一の送信データから符号化された第1、第2送信データ9a,9bが組込まれる必要があるので、基地局1aのSTTDエンコーダ6に入力する送信データとして、一定周期で同一データ列が繰り返される試験データ17が採用されている。
【0051】
このように第1実施形態のSTTD機能試験システムにおいては、1台の測定器10及び1台の測定性制御装置11で、基地局1aのSTTDエンコーダ6の機能試験が簡単に実施可能となる。
【0052】
なお、本発明はこの第1実施形態に係わるSTTD機能試験システムに限定されるものではない。測定制御装置11が有する機能を測定器10に組込むことが可能である。このようにすることにより、STTD機能試験システムを1台の測定器10で構成することが可能となる。
【0053】
(第2実施形態)
図7は本発明の第2実施形態に係わるSTTD機能試験システムの全体構成を示す模式図である。図1に示す第1実施形態に係わるSTTD機能試験システムと同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明は省略する。
【0054】
この第2実施形態のSTTD機能試験システムは、同一構成の2台の測定器10a、10bとコンピュータからなる1台の測定制御装置11aとで構成されている。第1の測定器10aの入力端子12には、基地局1bのダイバーシチアンテナ2を構成する第1アンテナ2aに接続された信号線13aが接続される。第1アンテナ2a及び信号線13aを介して第1のW−CDMA信号14aが出力され、第1の測定器10aへ入力される。
【0055】
一方、第2の測定器10bの入力端子12には、基地局1bのダイバーシチアンテナ2を構成する第2アンテナ2bに接続された信号線13bが接続される。第2アンテナ2b及び信号線13bを介して第2のW−CDMA信号14bが出力され、第2の測定器10bへ入力される。第1、第2の測定器10a、10bと測定制御装置11aとは信号ケーブル15及び信号線50で接続されている。
【0056】
図8はこの第2実施形態のSTTD機能試験システムの試験対象としての基地局1bの概略構成を示すブロック図である。図2に示す基地局1aと同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明は省略する。
【0057】
この第2実施形態のSTTD機能試験システムの試験対象としての基地局1bにおいては、各チャネルのSTTDエンコーダ6には、送信データ9のみが入力されている。すなわち、通常運転時、及びSTTDエンコーダ6に対する試験期間においても、各チャネルのSTTDエンコーダ6には、送信データ9のみが入力されている。
【0058】
したがって、第1アンテナ2a及び信号線13aを介して第1送信データ9aが組込まれた第1のW−CDMA信号14aが出力され、第2アンテナ2b及び信号線13bを介して第2送信データ9bが組込まれた第2のW−CDMA信号14bが出力される。
【0059】
図9は第1の測定器10aと第2の測定器10bと測定制御装置11aの概略構成を示すブロック図である。図3に示す第1実施形態のSTTD機能試験システムにおける測定器10と測定制御装置11と同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明は省略する。
【0060】
第1の測定器10aの入力端子12に入力された第1のW−CDMA信号14aからなる被測定信号a1は、周波数変換部25で中間周波数に周波数変換された後、A/D変換部26でA/D変換される。A/D変換されたデジタルの被測定信号aは取込タイミング制御部27へ印加される。この取込タイミング制御部27は測定制御装置11aのトリガ発生回路51から信号線50を介してトリガ信号が入力されると、このトリガ信号入力に同期して、印加されている被測定信号a1を取込んでデータメモリ28へ書込む。トリガ発生回路51は操作部34にて起動されるので、被測定信号a1の取込開始タイミングは、操作部34からの指示にて定まる。
【0061】
スロット位置検出部29は、このデータメモリ28に記憶された被測定信号a1における各スロット24の開始位置を検出して、被測定信号a1における1スロット分のデータをデータメモリ28から読出して、1スロットメモリ30に書込む。
【0062】
1スロットメモリ30に書込まれた1スロット分の被測定信号a1はスクランブル解除部31で、スクランブル解除されたのち、逆拡散部32で元の複数のチャネルの信号に戻される。チャネル選択部33は、測定制御装置11aの操作部34からの選択指令に基づいて1つのチャネルの信号を選択して復調部35へ送出する。
【0063】
復調部35は、入力された指定チャネルの信号を復調して、この第1のW−CDMA信号14aからなる被測定信号a1に含まれる第1送信データ9aを得て、この第1送信データ9aを第1コードデータとして、測定制御装置11a内の第1アンテナデータメモリ37へ書込む。
【0064】
同様に、第2の測定器10bは、入力端子12に入力された第2のW−CDMA信号14bからなる被測定信号a2を、測定制御装置11aからのトリガ信号入力に同期して取込んで、データメモリ28へ書込む。そして、この第2のW−CDMA信号14bからなる被測定信号a2に含まれる第2送信データ9bを得て、この第2送信データ9bを第2コードデータとして、測定制御装置11a内の第2アンテナデータメモリ38へ書込む。
【0065】
第1の測定器10aにおける第1のW−CDMA信号14aの取込タイミングと、第2の測定器10bにおける第2のW−CDMA信号14bの取込タイミングとは測定制御装置11aからのトリガ信号にて等しく設定されているので、第1、第2のW−CDMA信号14a、14bに同一の送信データ9から符号化された第1、第2送信データ9a、9bが組込まれている。
【0066】
STTDデコーダ40は、入力した第2コードデータを、第1コードデータを用いて、STTD復号化して第2コード復号データとし出力して、第2アンテナ復号データメモリ41に書込む。比較部42は、第2コード復号データが第1コードデータに一致するか否かを判定して、一致の場合、基地局1bのSTTDエンコーダ6に対する「良(OK)」、不一致の場合、基地局1bのSTTDエンコーダ6に対する「不良(NG)」の判定結果を表示制御部39へ送出する。
【0067】
表示制御部39は、第1コードデータ、第2コードデータ、第2コード復号データ、判定結果、及び変調方式を、各スロット24毎に、図5に示すように、表示器43に一覧表示する。
【0068】
このように構成された第2実施形態のSTTD機能試験システムにおいては、操作者(試験実施者)は、第1アンテナ2aの信号線13aを第1の測定器10aの入力端子12に接続し、第2アンテナ2aの信号線13bを第2の測定器10bの入力端子12に接続する。そして、測定制御装置11aの操作部34からトリガ発生回路51を介して、第1、第2の測定器10a、10bへトリガ信号を同時に印加する。
【0069】
その結果、第1の測定器10aにおいて第1のW−CDMA信号14a(第1アンテナ2a)の第1コードデータ44が抽出されて表示器43に表示される。同時に、第2の測定器10bにおいて第2のW−CDMA信号14b(第2アンテナ2b)の第2コードデータ46が抽出されて表示器43に表示される。さらに、第2アンテナ2bの第2コード復号データ45、及び基地局1bのSTTDエンコーダ6に対する良否の判定結果が表示される。
【0070】
したがって、第1実施形態のSTTD機能試験システムと、ほぼ同様の作用効果を奏することが可能となる。
【0071】
さらに、この第2実施形態のSTTD機能試験システムにおいては、第1アンテナ2aから出力される第1のW−CDMA信号14aと第2アンテナ2bから出力される第2のW−CDMA信号14bとを第1、第2の測定器10a、10bで同時刻で受信して、基地局1bのSTTDエンコーダ6に対する評価を実施している。したがって、STTDエンコーダ6に対する評価精度をより一層向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1実施形態に係わるSTTD機能試験システムの全体構成を示す模式図
【図2】同第1実施形態のSTTD機能試験システムの試験対象としての基地局の概略構成を示すブロック図
【図3】同第1実施形態のSTTD機能試験システムに組込まれた測定器及び測定制御装置の概略構成を示すブロック図
【図4】W−CDMA信号の伝送フォーマット図
【図5】同第1実施形態のSTTD機能試験システムに組込まれた測定制御装置の表示器の表示内容を示す図
【図6】同じく同第1実施形態のSTTD機能試験システムに組込まれた測定制御装置の表示器の表示内容を示す図
【図7】本発明の第2実施形態に係わるSTTD機能試験システムの全体構成を示す模式図
【図8】同第2実施形態のSTTD機能試験システムの試験対象としての基地局の概略構成を示すブロック図
【図9】同第2実施形態のSTTD機能試験システムに組込まれた測定器及び測定制御装置の概略構成を示すブロック図
【図10】一般的な移動通信システムの模式図
【図11】一般的な移動通信システムに組込まれた基地局の模式図
【図12】STTDエンコーダの符号化動作を示す模式図
【符号の説明】
【0073】
1,1a,1b…基地局、2…ダイバーシチアンテナ、2a…第1アンテナ、2b…第1アンテナ、6…STTDエンコーダ、9…送信データ、9a…第1送信データ、9b…第2送信データ、10…測定器、10a…第1の測定器、10b…第2送信データ、11,11a…測定制御装置、12…入力端子、14a…第1のW−CDMA信号、14b…第2のW−CDMA信号、17…試験データ、27…取込タイミング制御部、28…データメモリ、31…スクランブル解除部、32…逆拡散部、34…操作部、35…復調部、36…アンテナ指定部、37…第1アンテナデータメモリ、38…第2アンテナデータメモリ、39…表示制御部、40…STTDデコーダ、41…第2アンテナ復号データメモリ、42…比較部、43…表示器、51…トリガ発生回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信データをSTTDエンコーダで前記送信データに等しいデータ配列を有する第1送信データと前記送信データと異なるデータ配列を有する第2送信データとに符号化し、この第1、第2送信データを、変調、拡散して、第1、第2のW−CDMA信号としてダイバーシチアンテナを構成する第1、第2アンテナからそれぞれ出力する基地局における前記STTDエンコーダの機能を試験するSTTD機能試験システムであって、
前記基地局の第1アンテナから出力される第1のW−CDMA信号を受信して、逆拡散、復調して前記第1送信データを抽出して第1コードデータとして出力する第1の送信データ抽出手段と、
前記基地局の第2アンテナから出力される第2のW−CDMA信号を受信して、逆拡散、復調して前記第2送信データを抽出して第2コードデータとして出力する第2の送信データ抽出手段と、
前記第2コードデータをSTTD復号化して第2コード復号データとし出力するSTTDデコーダと、
前記第2コード復号データが前記第1コードデータに一致するか否かを判定して判定結果を出力する比較部と、
前記出力された前記第1コードデータ、前記第2コードデータ、前記第2コード復号データ、及び前記判定結果を表示器に一覧表示する表示制御手段と
を備えたことを特徴とするSTTD機能試験システム。
【請求項2】
送信データをSTTDエンコーダ(6)で前記送信データに等しいデータ配列を有する第1送信データと前記送信データと異なるデータ配列を有する第2送信データとに符号化し、この第1、第2送信データを、変調、拡散して、第1、第2のW−CDMA信号としてダイバーシチアンテナを構成する第1、第2アンテナ(2a、2b)からそれぞれ出力する基地局(1a)における前記STTDエンコーダの機能を試験するSTTD機能試験システムであって、
前記STTDエンコーダに入力する送信データとして周期データ(17)を採用し、
W−CDMA信号を受信して、逆拡散、復調してこのW−CDMA信号に含まれる送信データを抽出して出力する測定器(10)と、
この測定器に対する測定制御を行う測定制御装置(11)とを備え、
前記測定器は、
前記測定制御装置の第1アンテナを指定した測定指示に応じて、前記基地局の第1アンテナから出力される第1のW−CDMA信号を受信して、逆拡散、復調して前記第1送信データを抽出して第1コードデータとして出力する第1の受信手段と、
前記測定制御装置の第2アンテナを指定した測定指示に応じて、前記基地局の第2アンテナから出力される第2のW−CDMA信号を受信して、逆拡散、復調して前記第2送信データを抽出して第2コードデータとして出力する第2の受信手段とを有し、
前記測定制御装置は、
前記測定器が第1アンテナからの信号受信可能状態時に前記測定器に第1アンテナを指定した測定指示を出力するともに、前記測定器が第2アンテナからの信号受信可能状態時に前記測定器に第2アンテナを指定した測定指示を出力する測定指示手段(34)と、
前記第2の受信手段から出力される第2コードデータをSTTD復号化して第2コード復号データとし出力するSTTDデコーダ(40)と、
前記第2コード復号データが前記第1の受信手段から出力される第1コードデータに一致するか否かを判定して判定結果を出力する比較部(42)と、
前記出力された第1コードデータ、前記第2コードデータ、前記第2コード復号データ、及び前記判定結果を表示器(43)に一覧表示する表示制御手段(39)とを有する
ことを特徴とするSTTD機能試験システム。
【請求項3】
送信データをSTTDエンコーダ(6)で前記送信データに等しいデータ配列を有する第1送信データと前記送信データと異なるデータ配列を有する第2送信データとに符号化し、この第1、第2送信データを、変調、拡散して、第1、第2のW−CDMA信号としてダイバーシチアンテナを構成する第1、第2アンテナからそれぞれ出力する基地局(1b)における前記STTDエンコーダの機能を試験するSTTD機能試験システムであって、
入力されたトリガ信号に応動して、前記基地局の第1アンテナから出力される第1のW−CDMA信号を受信して、逆拡散、復調して前記第1送信データを抽出して第1コードデータとして出力する第1の測定器(10a)と、
入力されたトリガ信号に応動して、前記基地局の第2アンテナから出力される第2のW−CDMA信号を受信して、逆拡散、復調して前記第2送信データを抽出して第2コードデータとして出力する第2の測定器(10b)と、
前記第1、第2の測定器に対する測定制御を行う測定制御装置(11a)とを備え、
前記測定制御装置は、
前記第1、第2の測定器に対して同時にトリガ信号を印加するトリガ信号印加手段(34、51)と、
前記第2の測定器から出力される第2コードデータをSTTD復号化して第2コード復号データとし出力するSTTDデコーダ(40)と、
前記第2コード復号データが前記第1の測定器から出力される第1コードデータに一致するか否かを判定して判定結果を出力する比較部(42)と、
前記出力された第1コードデータ、前記第2コードデータ、前記第2コード復号データ、及び前記判定結果を表示器(43)に一覧表示する表示制御手段(39)とを有する
ことを特徴とするSTTD機能試験システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−60559(P2006−60559A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−240834(P2004−240834)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】