説明

Sn合金めっき装置及びそのSn成分補給方法

【課題】めっき液の管理が容易であって、かつSn合金のめっき液へのSn成分の補給を簡便な方法により低コストで行う。
【解決手段】めっき槽1内に貯留したSn合金のめっき液に被処理基板Sを接触させた状態とし、被処理基板Sと電極14との間に通電して被処理基板SにSn合金のめっき膜を形成するめっき装置において、めっき槽1との間で循環されるめっき液を貯留するタンク23と、タンク23内のめっき液をポンプ25で圧送しながらめっき槽1に供給するめっき液供給手段4とを有するとともに、めっき液供給手段4のポンプ25よりも下流位置に、流通するめっき液内に酸化第一錫の粉末を供給する補給手段6を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理基板にSn合金のめっき膜を形成するめっき装置及びそのSn成分補給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
めっき装置において、めっき液中の金属成分の濃度を一定に維持するために、金属成分を補給することが必要となる。特許文献1〜3に開示の発明では、めっき液の成分の補給液(要素液)を補給タンクに溜めておき、めっき液の成分濃度の分析結果に基づいて、補給タンクから補給液をめっき液中に補給するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−183898号公報
【特許文献2】特開2001−73200号公報
【特許文献3】特開平6−264251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、はんだ付けが必要な電子部品へのめっきや、半導体ウェハ等へのはんだ突起電極(バンプ)の形成に広く用いられてきたPb−Sn合金めっき液の代替として、Sn−Agめっき液が用いられるようになってきている。
このSn−Agめっき液において、その必須成分を溶解させた錫塩溶液等の要素液を投入してSn2+を補給する方法では、大量の要素液が必要になるため、液量の管理が煩雑であり、多大なコストが掛かる。
【0005】
本発明の目的は、めっき液の管理が容易であって、かつSn合金のめっき液へのSn成分の補給を簡便な方法により低コストで行うことができるめっき装置及びそのSn成分補給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のSn合金めっき装置は、めっき槽内に貯留したSn合金のめっき液に被処理基板を接触させた状態とし、該被処理基板と電極との間に通電して被処理基板にSn合金のめっき膜を形成するめっき装置において、前記めっき槽との間で循環されるめっき液を貯留するタンクと、該タンク内のめっき液をポンプで圧送しながらめっき液供給管を通して前記めっき槽に供給するめっき液供給手段とを有するとともに、前記めっき液供給管における前記ポンプよりも下流位置に、流通するめっき液内に酸化第一錫の粉末を供給する補給手段を設けたことを特徴とする。
【0007】
すなわち、酸化第一錫の粉末をめっき液に供給することによりSn合金成分の補給を行うのであり、従来のような大量の要素液の調製が不要で、その管理も容易になる。この場合、めっき液供給管におけるポンプの下流位置に酸化第一錫の粉末を供給するようにしており、そのポンプによって圧送されるめっき液の流れの中に酸化第一錫粉末が直接供給されることになる。したがって、酸化第一錫がめっき液に速やかに溶解するとともに、攪拌のための特別な装置を付加することなくめっき液の流れに乗ってめっき槽内に短時間で分散され、均一に補給することができる。
【0008】
本発明のめっき装置において、前記補給手段は、前記めっき液供給管に並列に設けたバイパス管と、該バイパス管を経由するめっき液の流通を制御する制御手段と、前記バイパス管の途中に前記酸化第一錫の粉末を所定量供給する定量供給機構と、前記バイパス管内の流体を排出可能なドレン機構とを備える構成とするとよい。
通常時はめっき液供給管を経由してめっき液を流通させ、バイパス管を空の状態にしておき、酸化第一錫の粉末を補給する際には、バイパス管内に定量供給機構から粉末を所定量供給した後、制御手段によってめっき液をバイパス管内に流通可能な状態とすると、ポンプで送られるめっき液がバイパス管内の粉末を押し流しながら流通し、そのときに酸化第一錫の粉末は速やかにめっき液に溶解してめっき槽に供給される。
【0009】
そして、めっき液にSn合金成分を補給する方法は、前記めっき槽と前記タンクとの間でめっき液を循環させながら、前記ポンプの下流位置に前記酸化第一錫の粉末を供給することを特徴とする。
タンクとめっき槽との間のめっき液の循環によってめっき液を攪拌しながら粉末を補給することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のめっき装置によれば、酸化第一錫の粉末をめっき液に供給することによりSn合金成分を補給するようにしており、従来のような大量の要素液の調製が不要で、その管理も容易になる。また、その場合、タンクからめっき槽に送られるめっき液の流れに直接粉末を供給しており、めっき液への攪拌のための特別な装置が不要で、低コストでの実施が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るめっき装置の第1実施形態を示す一部を縦断面にした概略構成図である。
【図2】図1のめっき装置における補給機構の概略構成図である。
【図3】本発明に係るめっき装置の第2実施形態を示す一部を縦断面にした概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るめっき装置及びその補給方法の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1及び図2は本発明を噴流式のめっき装置に適用した第1実施形態を示しており、この実施形態のめっき装置100は、めっき液が貯留されるめっき槽1と、めっき槽1の外側に設けられた架台2の上端部に設けられてめっき槽1の上部開口に被処理基板Sとなるウェハを配置する基板支持部3と、めっき槽1の底部からめっき槽1上部の被処理基板Sに向けてめっき液を供給するめっき液供給手段4と、めっき槽1からめっき液をオーバーフローさせながら外部に排出するめっき液排出手段5と、めっき液に酸化第一錫の粉末を供給する補給手段6とを有している。
【0013】
基板支持部3は、被処理基板Sに接触するカソード電極11が設けられ、被処理基板Sが外部の電源12に接続されるようになっているとともに、めっき槽1の上部開口からわずかに上昇した位置で被処理基板Sが支持されることにより、この上部開口からオーバーフローするめっき液の液面上に被処理基板Sの被めっき面を接触させた状態に保持できるようになっている。図1における符号13は被処理基板Sの上面に当接する錘である。
一方、めっき槽1の内部には、被処理基板Sの下方に間隔をおいてアノード電極14が設けられている。このアノード電極14は、例えばメッシュ状に形成された導電体であって、めっき槽1内部の電極支持部15に水平に取付けられている。この電極支持部15は、例えばめっき槽1の内周面に周方向に間隔をおいて複数個設けられている。
【0014】
めっき液供給手段4は、めっき槽1の底部の中心位置から垂直上方に向かってめっき液を噴出する噴出ノズル21と、該噴出ノズル21に対してめっき液を供給するめっき液供給部22とから構成されている。このめっき液供給部22は、めっき液を貯留するタンク23と、タンク23内のめっき液を噴出ノズル21に供給するためのめっき液供給管24と、該めっき液供給管24の途中に設けられたポンプ25とを備えている。そして、めっき液供給管24におけるポンプ25の下流位置に補給手段6が設けられている。
【0015】
すなわち、ポンプ25に接続されているめっき液供給管24に、図2に示すように、その途中から分岐して再びめっき液供給管24に至るバイパス管31が設けられ、そのバイパス管31の両端の分岐接続部に、流路をめっき液供給管24又はバイパス管31のいずれかに択一的に切り替え可能な切り替え弁(制御手段)32,33が配設されている。この場合、めっき液供給管24は、鉛直方向に沿って設けられており、バイパス管31もめっき液供給管24と平行な鉛直方向に沿って設けられる。そして、バイパス管31の途中に、バイパス管31内を上下に二分割するように開閉可能なシャッタ34が設けられており、そのシャッタ34よりも上方位置に区画される空間が粉末供給チャンバ35とされ、この粉末供給チャンバ35に酸化第一錫の粉末を所定量供給する定量供給機構36が接続されている。
【0016】
定量供給機構36は、粉末を収納して下部のフィーダー37から少量ずつ排出するホッパー38と、このホッパー38から排出された粉末を受け取り、計量して搬送する計量搬送機39と、計量搬送機39から搬送された粉末をバイパス管31の粉末供給チャンバ35内に移送する移送機40とから構成されている。
計量搬送機39は、コンベア41に計量器42を設けたものであり、ホッパー38から受け取った粉末を計量器42で計量した後、コンベア42によって搬送するようになっている。
移送機40は、図2の例では押し出し機によって構成されており、計量搬送機39から搬送される粉末をシリンダ43内で受け取り、ピストン44によって前方に押し出す構成である。この場合、シリンダ43の先端に傾斜したシュータ45が接続され、そのシュータ45がバイパス管31の粉末供給チャンバ35に接続されている。また、シリンダ43とシュータ45との間、及びシュータ45とチャンバ35との間には、それらの間を開閉するシャッタ46,47がそれぞれ設けられている。
【0017】
また、この定量供給機構36には、タンク23内のめっき液をポンプ51によりサンプリングしてSn成分濃度を測定する分析器52と、分析器52の分析結果及び計量器42の計測結果に基づき算出される必要補充量の粉末をホッパー38から落下させるべくフィーダー37を制御する制御部53とが接続されている。
なお、バイパス管31の粉末供給チャンバ35にはドレン機構54が設けられている。このドレン機構54は、チャンバ35に接続されたドレン管55と、その流路を開閉する弁56とから構成される。
【0018】
一方、めっき液排出手段5は、基板支持部3によって支持された被処理基板Sとめっき槽1の上部開口との間に形成される液流出路61と、めっき槽1の回りを囲むように設けられた外槽62と、この外槽62の内部を液供給手段4のタンク23に接続する液回収管63とによって構成されており、めっき槽1内部のめっき液を液流出路61からオーバーフローさせて外槽62内に受け入れ、この外槽62に受け入れためっき液を液回収管63を経由して液供給手段4のタンク23に回収することができるようになっている。
【0019】
このように構成しためっき装置100において、カソード電極11及びアノード電極14に対して電源12から電流を供給しつつ、めっき液供給手段4から供給されためっき液を被処理基板Sの被めっき面に向けて噴射して接触させることによって、被処理基板Sの被めっき面に対してめっき処理を行う。基板支持部3に支持される被処理基板Sとなるウェハとしては、予めレジストパターンが形成されたシリコンウェハが使用され、該レジストパターン開口部のシリコンウェハ上にめっきが施される。
【0020】
また、めっき液としてはSn−Ag合金めっき液等が使用され、噴出ノズル21から噴出されためっき液は、図1の矢印で示すようにめっき槽1の中央部で上昇流となって上昇し、被処理基板Sの被めっき面の中央部に当たった後、被めっき面に沿って半径方向外方に広がり、めっき槽1内で対流しながら、一部ずつめっき槽1の上部開口の液排出路61からオーバーフローする。このめっき槽1からオーバーフローしためっき液は、外槽62から液回収管63を経由してタンク23に回収される。また、このタンク23内に貯留されているめっき液は、ポンプ25によりめっき液供給管24を介して噴出ノズル21からめっき槽1内に噴出させられる。
【0021】
このようにして、めっき槽1内のめっき液とタンク23内のめっき液とが循環されながら、めっき槽1内でのめっき処理に供される。また、タンク23内のめっき液は分析器52によりサンプリングされて成分濃度が分析され、そのSn成分濃度が低下した場合には、補給手段6から酸化第一錫の粉末が補給される。
【0022】
この酸化第一錫の補給方法について説明する。
めっき液供給管24と並列に設けられているバイパス管31は、通常は上下の切り替え弁32,33がめっき液をめっき液供給管24にのみ流通させるようにしており、バイパス管31のチャンバ35内部は空の状態となっている。また、粉末の補給に先立って、めっき槽1の基板支持部3にはガラス板等のダミー基板を支持しておく。
そして、分析器52の分析結果に基づいて制御部53において必要な粉末の補給量が算出され、その分の粉末がホッパー38からフィーダー37によって計量搬送機39に排出される。計量搬送機39では受け取った粉末が計量され、その計量結果と必要補給量とを制御部53で比較し、計量結果が必要補給量に一致するまでフィーダー37を駆動する。
計量搬送機39に受け取った粉末が必要補給量に達したら、コンベア41により粉末を移送機構40のシリンダ43内に投入し、そのシリンダ43の前方のシャッタ46を開放して粉末をシュータ45に移送する。
【0023】
次いで、シュータ45とシリンダ43との間のシャッタ46を閉じた後、シュータ45の前方のシャッタ47を開放すると、シュータ45内の粉末がバイパス管31のチャンバ35内に落下する。そして、シュータ45の出口のシャッタ47を閉じた状態とし、チャンバ35下端、つまりチャンバ35の上流位置のシャッタ34を開放するとともに、両切り替え弁32,33を切り替えて、めっき液供給管24へのめっき液の流通を停止して、めっき液をバイパス管31に流通させる。この切り替え操作により、バイパス管31内に供給されていた粉末がめっき液に溶解されながら押し流され、噴出ノズル21からめっき槽1内に噴出される。
バイパス管31は、内部の粉末が押し流される短時間だけ開放状態としておけばよく、所定時間めっき液を流通させた後、切り替え弁32,33を切り替えて、めっき液供給管24にめっき液を流通させ、めっき槽1とタンク23との間で循環させる。
めっき液の流通をめっき液供給管24に切り替えた後は、バイパス管31内に残っためっき液はドレン機構54により排出され、次回の補給時のためにチャンバ35内を空の状態にしておく。
【0024】
このようにして、ポンプ25によって圧送されてくるめっき液に粉末を供給して、そのめっき液をタンク23とめっき槽1との間で循環させることにより、粉末が速やかにめっき液に溶解され、かつ全体的に均等に分散させられる。したがって、その補給作業を短時間で実施することができる。また、配管(バイパス管31)内に粉末を供給するという簡便な方法であり、粉末として管理も容易である。また、攪拌のための手段としては、通常のめっき処理に使用される噴出ノズル21からの噴流及びタンク23とめっき槽1との間の循環を利用しており、特別の攪拌装置を設ける必要はなく、低コストで実施することができる。
なお、Sn−Agめっき液は、Sn2+が97〜99wt%、Ag+が1〜3wt%で、大部分がSnであるから、この粉末による補給方法は極めて効果的である。この酸化第一錫の粉末は酸性めっき液1リットルに対して例えば2〜3g使用され、200リットルの酸性めっき液では400〜600gとなる。そのめっき液で被処理基板を100〜200枚めっき処理することができる。
【0025】
供給する酸化第一錫粉末について説明を補足しておくと、平均粒径がD50値で10〜20μmの範囲であり、かつタップ密度が0.6〜1.2g/cmである酸化第一錫粉末を使用することが好ましい。また比表面積は7〜10m/gの範囲であることが好ましい。平均粒径及びタップ密度が上記範囲内の酸化第一錫粉末は、酸又は酸性めっき液への溶解性が極めて高い、即ち酸又は酸性めっき液に対して易溶性があるからである。具体的には、この酸化第一錫粉末は温度25℃のアルカンスルホン酸水溶液300mlに、酸化第一錫粉末20gを添加して攪拌したとき、5秒以内で溶解する溶解速度を有する。
【0026】
なお、D50値で規定される平均粒径とは、粒子分布を測定したときに全粒子体積に対する累積粒子体積が50%となるときの粒径をいう。溶解性に優れる酸としては、酸性めっき液の成分であるメタンスルホン酸、エタンスルホン酸又は1−プロパンスルホン酸等のアルカンスルホン酸が挙げられる。また酸性めっき液としては、SnとSnより貴なる元素からなるSn合金のめっき液である、前述のSn−Ag合金めっき液の他、Sn−Cu合金めっき液、Sn−Ag−Cu合金めっき液又はAu−Sn合金めっき液等が挙げられる。
【0027】
この酸化第一錫の粉末を製造する場合、まず、金属Sn粉末を酸に溶解することにより酸性水溶液を調製する。酸としては塩酸が好ましく、使用する金属Sn粉末はα線放出量が0.05cph/cm以下であることが好ましい。次に、この調製した酸性水溶液にアルカリ水溶液を添加し、攪拌して中和させ、水酸化第一錫のスラリーを調製する。このアルカリ水溶液として、アンモニア水、重炭酸アンモニウム溶液またはこれらの混合液が例示される。この水酸化第一錫のスラリーを調製する中和工程は、窒素ガス雰囲気中で行う。この中和反応は、反応液の液温が30〜50℃で行われ、pHが6〜8の範囲で行うことが好ましい。
【0028】
次いで、調製したスラリーを加熱保持して、水酸化第一錫を熟成し脱水させ、酸化第一錫のスラリーを得る。この脱水工程は、窒素ガス雰囲気中で行う。加熱保持温度は80〜100℃が好ましい。更に、上記酸化第一錫のスラリーをろ過し、得られた酸化第一錫沈澱を水洗した後、真空乾燥により乾燥する。真空乾燥の際の温度は40〜100℃が好ましい。
以上の工程を経ることにより、平均粒径がD50値で10〜20μm、比表面積が7〜10m/g、タップ密度が0.6〜1.2g/cmである、酸又は酸性めっき液への溶解性が極めて高い酸化第一錫粉末が製造される。
【0029】
なお、前記第1実施形態では、本発明を噴流式めっき装置に適用したが、図3に示すように浸漬式めっき装置に適用してもよい。この第2実施形態のめっき装置200は、めっき槽71内のめっき液中に被処理基板Sとアノード電極72とが浸漬状態に設けられ、外部の電源12に接続されている。そして、めっき槽71底部の噴出ノズル21から噴出されるめっき液をめっき槽71の上部からオーバーフローさせながら被処理基板Sとアノード電極72との間に通電してめっき処理を行うものである。また、めっき槽71との間で循環されるめっき液を溜めるタンク23が設けられ、このタンク23から噴出ノズル21にめっき液を供給するめっき液供給手段4のポンプ25よりも下流位置に、第1実施形態の場合と同様に補給機構6が設けられている。その他、第1実施形態と同様の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
このめっき装置200においても、めっき液としてSn−Ag合金めっき液等が使用され、そのめっき液をめっき槽71とタンク23との間で循環させながら酸化第一錫の粉末をめっき液供給手段4のポンプ25よりも下流位置に供給することにより、Sn成分の補給を行うことができる。
【0030】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、実施形態では、めっき液供給管とバイパス管との分岐接続部に切り替え弁を設けて、粉末を補給する際に、めっき液供給管へのめっき液の流通を停止して、バイパス管にのみ流通させる構成としたが、制御弁を分岐接続部から離れたバイパス管の両端部のみに設けて、めっき液供給管にめっき液を流通させながら、バイパス管の制御弁を開閉することにより、めっき液の一部をバイパス管にも流通させ粉末を供給する構成としてもよい。本発明の制御手段は、実施形態のように、流路をいずれかに択一的に切り替える切り替え弁の他に、めっき液供給管を常時流通状態とし、バイパス管に必要に応じて流通させる構成のものも含むものとする。
また、粉末の補給量として粉末の重量を計量したが、その重量に相当する体積を計量することとしてもよい。
この粉末を補給した後にバイパス管内に残るめっき液は前述したようにドレン機構により排出されるが、このドレン機構により排出しためっき液をタンク23に回収してもよい。
さらに、めっき液をオーバーフローさせる液流出路をめっき槽の上部開口と被処理基板との間に形成するようにしたが、めっき槽の上端部に貫通孔や切欠きを設けて、これを液流出路とするようにしてもよい。また、第1実施形態においてアノード電極を支持する電極支持部もアノード電極と同様のメッシュ状に形成し、めっき槽の内周面全周に形成してもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 めっき槽
3 基板支持部
4 めっき液供給手段
5 めっき液排出手段
6 補給手段
11 カソード電極
12 電源
14 アノード電極
15 電極支持部
21 噴出ノズル
22 液供給部
23 タンク
24 めっき液供給管
25 ポンプ
31 バイパス管
32,33 切り替え弁(制御手段)
34 シャッタ
35 粉末供給チャンバ
36 定量供給機構
37 フィーダー
38 ホッパー
39 計量搬送機
40 移送機
41 コンベア
42 計量器
43 シリンダ
44 ピストン
45 シュータ
46,47 シャッタ
51 ポンプ
52 分析器
53 制御部
54 ドレン機構
61 液流出路
62 外槽
63 液回収管
71 めっき槽
72 アノード電極
100 めっき装置
200 めっき装置
S 被処理基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
めっき槽内に貯留したSn合金のめっき液に被処理基板を接触させた状態とし、該被処理基板と電極との間に通電して被処理基板にSn合金のめっき膜を形成するめっき装置において、前記めっき槽との間で循環されるめっき液を貯留するタンクと、該タンク内のめっき液をポンプで圧送しながら前記めっき槽に供給するめっき液供給手段とを有するとともに、前記めっき液供給手段の前記ポンプよりも下流位置に、流通するめっき液内に酸化第一錫の粉末を供給する補給手段を設けたことを特徴とするSn合金めっき装置。
【請求項2】
前記補給手段は、前記めっき液供給手段におけるめっき液供給管に並列に設けたバイパス管と、該バイパス管を経由するめっき液の流通を制御する制御手段と、前記バイパス管の途中に前記酸化第一錫の粉末を所定量供給する定量供給機構と、前記バイパス管内の流体を排出可能なドレン機構とを備えることを特徴とする請求項1記載のSn合金めっき装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のSn合金めっき装置にSn合金成分を補給する方法であって、
前記めっき槽と前記タンクとの間でめっき液を循環させながら、前記ポンプの下流位置に前記酸化第一錫の粉末を供給することを特徴とするSn合金めっき装置のSn成分補給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−202941(P2010−202941A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51195(P2009−51195)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】