説明

TAFIaの阻害剤として有用な化合物の製造方法

本発明は、式I:
【化1】


の化合物の製造方法であって、式IV:
【化2】


の化合物をシュウ酸ジエステルと反応させる工程を含む、上記方法、並びにそこで新規な中間体化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素TAFIa(活性型トロンビン−活性化可能線溶阻害因子)を阻害する式Iの化合物の製造方法、およびそこで用いられる新規な中間体化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
酵素TAFIaは、例えば、トロンビン活性化を通してトロンビン活性化線溶阻害因子チモーゲン(TAFI)から生産される。酵素TAFIはまた、血漿プロカルボキシペプチダーゼB、プロカルボキシペプチダーゼUまたはプロカルボキシペプチダーゼRとも呼ばれ、そしてカルボキシペプチダーゼBに類似するプロ酵素である(非特許文献1)
凝血塊の形成の間、トロンビンは、凝固カスケードの最終産物として生成され、そして可溶性の血漿フィブリノゲンの不溶性のフィブリン基質への変換を誘導する。同時に、トロンビンは、内因性線溶阻害因子TAFIを活性化する。従って、活性化TAFI(TAFIa)は、塞栓形成および溶解の間に、トロンビンの作用を通してチモーゲンTAFIから生産される;トロンビンとの複合体中のトロンボモジュリンは、この作用を約1250倍増大させる。TAFIaは、線維素のカルボキシ末端で塩基性アミノ酸を切断する。従って、プラスミノーゲンの結合部位としてのカルボキシ末端側のリシンの消失は、線維素溶解の阻害をもたらす。TAFIaの有効な阻害剤は、プラスミノーゲンのこれらの高親和性リシン結合部位の消失を妨ぎ、このようにして、プラスミンによる内因性線維素溶解を支援する:TAFIa阻害剤は、線維素溶解促進作用(profibrinolytic effect)を有する。
【0003】
血中の止血を維持するために、血液凝固および凝血塊の溶解をもたらす機構が発達している;これらは、平衡状態にある。平衡の障害(disturbed equilibrium)が凝固に有利に働く場合、より大量のフィブリンが生産され、その結果、塞栓形成の病的過程は、ヒトに重篤な病的状態をもたらし得る。過度の凝固が血栓症によって引き起こされる重篤な病的状態をもたらし得るのと同様に、抗血栓治療は、必要な止血血栓の形成の妨害による不必要な出血の危険性を伴う。TAFIaの阻害は、凝固および血小板凝集に影響すること無く、内因性線維素溶解を増進する、すなわち、平衡の障害を線維素溶解に有利に働くようにシフトする。従って、臨床的に関連する血栓の増加に対抗すること、および既存の凝血塊の溶解を増大させることの両方が可能である。他方では、止血血栓の増加は損なわれず、その結果、出血性素因は恐らく見込まれない(非特許文献2)。
【0004】
TAFIaの阻害剤は、既に特許文献1および特許文献2に記載されている。α−アミノ酸からの、N−置換されたイミダゾールの領域特異的な合成は、非特許文献3に記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO 03/13526
【特許文献2】WO 2005/105781
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】L.Bajzar,Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.2000,pages 2511−2518
【非特許文献2】Bouma et al.,J.Thrombosis and Haemostasis,1,2003,pages 1566−1574
【非特許文献3】Ning Xi et al;Tetrahedron Letters、Vol.46、No.43,2005,pages 7315−7319
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
先行技術において式Iの化合物を製造するために用いられる合成経路は、R1基を最後に導入する合成ストラテジーを有する。これは、スキーム1に示されており、このストラテジーは、構造活性相関の解明について非常に有利であり、合成の終了において高い多様性を可能とする。記載されているこの合成経路は長く(7〜8工程)、高価な酢酸イミダゾール1から開始して化合物6または7に向かう。このストラテジーは、保護シーケンスおよび脱保護シーケンスの使用を必要とし、従って合成効率は非常に制限される。
【0008】
【化1】

【課題を解決するための手段】
【0009】
ここで、述べた不利な点は、カラムクロマトフラフィーのような費用がかかり不便な精製工程をも省く短く効率のよい合成経路によって回避できるということが見出された。
【0010】
この目的は、N1−置換された酢酸イミダゾール誘導体を合成経路の出発化合物として用いることによって達成され、良好な収率および高い純度で、わずかな化学反応工程で式Iの化合物の製造を可能にする。
【0011】
従って、本発明は、式I:
【化2】

〔式中、
A2は、アミノピリジル(ここで、該アミノピリジルは、非置換であるか、または互いに独立してハロゲンまたはメチルで1、2または3回置換されている)であり、
Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または式III:
−A3−A5 (III)
[式中、A3は、−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2もしくは3回置換されている、ピロリジン、ベンゾチオフェンまたはピペリジンである)であり、
A5は、a)1) −C(O)−R3、
a)2) −C(O)−N(R4)−R5、
a)3) −(SO2)−R6、または
a)4) −C(O)−O−R7であり、
rは、0、1、2または3の整数であり、
ここで、R1は、
a) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立して−(C1−C4)−アルキルで1、2または3回置換されている)、
b) ハロゲン、
c) −(C1−C4)−アルキル、
d) −(C3−C6)−シクロアルキル、
e) −CF3
f) −O−CF3
g) トリアゾリル、または
h) ピリジニルであり、
R3、R6およびR7は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキル(ここで、該アルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)であり、
R4およびR5は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキルまたは−(C2−C6)−アルケニル(ここで、該アルキルまたは該アルケニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)]の基であり、そして
Zは、1) −(C1−C6)−アルキル、
2) −(C1−C6)−アルキル−OH、
3) −(C1−C4)−アルキレン−(C3−C6)−シクロアルキル、
4) −CH2−フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、またはNO2またはメトキシで1回または2回置換されている)、
5) −CH2−CH=CH2、または
6) −(C1−C10)−アルキレン−O−C(O)−O−(C3−C6)−シクロアルキルである〕
の化合物、および/または式Iの化合物の全ての立体異性体、および/または任意の比率のこれらの形態の混合物を得るための方法であって、
【0012】
以下:
A)式IV
【化3】

の化合物を式V
【化4】

(式中、R14は、−(C1−C6)−アルキルである)
のシュウ酸ジエステルと反応させて式VI
【化5】

の化合物を得る工程;
【0013】
B)式VIの化合物を式VII
W−CH2−A2−R15 (VII)
(式中、Wはハロゲンまたはスルホニルエステルであり、R15はアミノ保護基である)の化合物と反応させて式VIII
【化6】

の化合物を得る工程;および
C)式VIIIの化合物を反応させて式Iの化合物を得る工程;または
D)場合により、方法工程A)、B)およびC)で製造され、その化学構造のため鏡像異性体形態で生じる式Iの化合物を、エナンチオ純粋な酸または塩基との塩形成、キラル固定相でのクロマトグラフィーまたはキラルなエナンチオ純粋化合物(例えばアミノ酸)を用いる誘導体化、この方法で得られたジアステレオマーの分離、および純粋なエナンチオマーへのキラル補助基の脱離、により分別する工程;
を含む、方法に関する。
【0014】
2)本発明はまた、
A2は、アミノピリジル(ここで、該アミノピリジルは、非置換であるか、または互いに独立してハロゲンもしくはメチルで1、2もしくは3回置換されている)であり、
Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または式III:
−A3−A5 (III)
[式中、A3は、−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている、ピロリジン、ベンゾチオフェン、またはピペリジンである)であり、
A5は、a)1) −C(O)−R3、
a)2) −C(O)−N(R4)−R5、
a)3) −(SO2)−R6、または
a)4) −C(O)−O−R7であり、
rは、0、1、2または3の整数であり、
R1は、
a) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立して−(C1−C4)−アルキルで1、2または3回置換されている)、
b) ハロゲン、
c) −(C1−C4)−アルキル、
d) −(C3−C6)−シクロアルキル、
e) −CF3
f) −O−CF3
g) トリアゾリル、または
h) ピリジニルであり、
R3、R6およびR7は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子
b) −(C1−C6)−アルキル(ここで、該アルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)であり、
R4およびR5は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキルまたは−(C2−C6)−アルケニル(ここで、該アルキルまたは該アルケニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)]の基であり、そして
Zは、1) −(C1−C6)−アルキル、
2) −(C1−C6)−アルキル−OH、
3) −(C0−C4)−アルキレン−(C3−C6)−シクロアルキル、または
4) −(C1−C10)−アルキレン−O−C(O)−O−(C3−C6)−シクロアルキルである、
式Iの化合物を得る方法にも関する。
【0015】
3)本発明はまた、
A2は、非置換であるか、または互いに独立してF、Cl、Br、Iまたはメチルで1、2または3回置換されている2−アミノピリジルであり、
Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または式III[式中、A3は、−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている、ピロリジンまたはピペリジンである)であり、
A5は、a)1) −C(O)−R3、
a)2) −C(O)−N(R4)−R5、
a)3) −(SO2)−R6、または
a)4) −C(O)−O−R7であり、
rは、0、1、2または3の整数であり、
ここで、A5はA3の窒素原子に結合されており、
R1は、
a) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立して−(C1−C4)−アルキルで1、2または3回置換されている)、
b) フッ素、
c) −(C1−C4)−アルキル、
d) −(C3−C6)−シクロアルキル、
e) −CF3
f) −O−CF3
g) 塩素、
h) トリアゾリル、または
i)ピリジニルであり、
R3、R6およびR7は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) −(C1−C6)−アルキル(ここで、該アルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
b) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
c) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)であり、
R4およびR5は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキルまたは−(C2−C6)−アルケニル(ここで、該アルキルまたは該アルケニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)]の基であり、そして
Zは、−(C1−C6)−アルキルまたはベンジルである、
式Iの化合物を得る方法にも関する。
【0016】
4)本発明はさらに、
A2は、2−アミノピリジル、
Yは、Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル[ここで、該シクロアルキルは、非置換であるかまたは1つまたは2つのメチルまたは−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、ピロリジンまたはピペリジンである)で置換されており、Hetは、−C(O)−(CH2)m−フェニルまたは−C(O)−CH−(フェニル)2で置換されており、mは、0、1または2の整数である]、であり、
Zは、−(C1−C4)−アルキルである、
式Iの化合物を得る方法にも関する。
【0017】
5)本発明はさらに、
A2は、2−アミノピリジルであり、
Yは、非置換または1つまたは2つのメチルで置換されている−(C3−C8)−シクロアルキルであり、かつ
Zは、−(C1−C4)−アルキルである、
式Iの化合物を得るための方法に関する。
【0018】
用語「(C1−C6)−アルキル」または「(C1−C10)−アルキル」は、炭素鎖が直鎖または分枝鎖であり、1〜6個の炭素原子、または1〜10個の炭素原子を含む炭化水素基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三級ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2,3−ジメチルブタン、ネオヘキシル、ヘプチル、オクタニル、ノナニルまたはデカニルである。
【0019】
用語「−(C0−C4)−アルキレン」とは、炭素鎖が直鎖または分枝鎖であり、そして1〜4個の炭素原子を含む炭化水素基を意味し、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、イソブチレン、ブチレンまたは第三級ブチレンが挙げられる。「−C0−アルキレン」は、共有結合である。
【0020】
用語「−(C2−C10)−アルケニレン」は、炭素鎖が直鎖または分枝鎖であり、2〜10個の炭素原子を含み、鎖長により1、2または3個の二重結合を有する炭化水素基を意味し、例えばエテニレン、プロペニレン、イソプロペニレン、イソブテニレンまたはブテニレンであり;原理的に可能性がある場合、二重結合上の置換基は、EまたはZ配置に配置され得る。
【0021】
用語「(C3−C8)−シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクタニルのような3員〜8員の単環から誘導される化合物のような基を意味する。
【0022】
用語「式中rは0、1、2または3の整数である−(CH2r−」は、メチレン、エチレンまたはプロピレンのような基を意味する、rが整数0である場合、この基は共有結合を意味する。用語「mが0、1または2の整数である−(CH2m−」は、メチレンまたはエチレンのような基を意味する。mが整数0である場合、この基は、共有結合を意味する。
【0023】
一部の式IIIにおいて、1H−イミダゾールへの連結は、A5を介してではなく、A3を介して起こることに注目すべきである。
【0024】
用語「(C1−C6)−アルキル−OH」は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、ペンタノールまたはヘキサノールのようなアルコールを意味する。
【0025】
用語「−CH2−フェニル」は、ベンジルを意味する。用語「−CH2−CH=CH2」は、アリルを意味する、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0026】
6)本発明のさらなる局面は、
式VI:
【化7】

〔式中、
R14は、−(C1−C6)−アルキルであり、
Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されているか、または式III:
−A3−A5 (III)
[式中、A3は、−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2もしくは3回置換されている、ピロリジン、ベンゾチオフェンまたはピペリジンである)であり、
A5は、a)1) −C(O)−R3、
a)2) −C(O)−N(R4)−R5、
a)3) −(SO2)−R6、または
a)4) −C(O)−O−R7であり、
rは、0、1、2または3の整数であり、
ここで、R1は、
a) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立して−(C1−C4)−アルキルで1、2または3回置換されている)、
b) ハロゲン、
c) −(C1−C4)−アルキル、
d) −(C3−C6)−シクロアルキル、
e) −CF3
f) −O−CF3
g) トリアゾリル、または
h) ピリジニルであり、
R3、R6およびR7は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキル(ここで、該アルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)であり、
R4およびR5は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキルまたは−(C2−C6)−アルケニル(ここで、該アルキルまたは該アルケニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)]の基であり、そして
R14は、−(C1−C6)−アルキルであって、かつ
Zは、1) −(C1−C6)−アルキル、
2) −(C1−C6)−アルキル−OH、
3) −(C1−C4)−アルキレン−(C3−C6)−シクロアルキル、
4) −CH2−フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、またはNO2またはメトキシで1回または2回置換されている)、
5) −CH2−CH=CH2、または
6) −(C1−C10)−アルキレン−O−C(O)−O−(C3−C6)−シクロアルキルである〕
化合物に関する。
【0027】
7)本発明はさらに、式VIの化合物であって、
〔式中、
R14は、−(C1−C6)−アルキルであり、
Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または式III:
−A3−A5 (III)
[式中、A3は、−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2もしくは3回置換されている、ピロリジン、ベンゾチオフェンまたはピペリジンである)であり、
A5は、a)1) −C(O)−R3、
a)2) −C(O)−N(R4)−R5、
a)3) −(SO2)−R6、または
a)4) −C(O)−O−R7であり、
rは、0、1、2または3の整数である)
ここで、R1は、
a) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立して−(C1−C4)−アルキルで1、2または3回置換されている)、
b) ハロゲン、
c) −(C1−C4)−アルキル、
d) −(C3−C6)−シクロアルキル、
e) −CF3
f) −O−CF3
g) トリアゾリル、または
h) ピリジニルであり、
R3、R6およびR7は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキル(ここで、該アルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)であり、
R4およびR5は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキルまたは−(C2−C6)−アルケニル(ここで、該アルキルまたは該アルケニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)]の基であり、そして
R14は、−(C1−C6)−アルキルであり、
Zは、1) −(C1−C6)−アルキル、
2) −(C1−C6)−アルキル−OH、
3) −(C0−C4)−アルキレン−(C3−C6)−シクロアルキル、または
4) −(C1−C10)−アルキレン−O−C(O)−O−(C3−C6)−シクロアルキルである〕
化合物に関する、
【0028】
8)本発明はさらに、
R14は、−(C1−C6)−アルキルであり、
Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル[ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または1つまたは2つのメチルまたは−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、ピロリジンまたはピペリジンである)で置換されており、Hetは、−C(O)−(CH2)m−フェニルまたは−C(O)−CH−(フェニル)2で置換されており、mは、0、1または2の整数である]であり、
Zは、−(C1−C4)−アルキルまたはベンジルである、
式VIの化合物に関する。
【0029】
9)本発明はさらに、
R14は、−(C1−C6)−アルキルであり、
Yは、非置換であるかまたは1つまたは2つのメチルで置換されている−(C3−C8)−シクロアルキルであり、かつ
Zは、−(C1−C4)−アルキルである、
式VIの化合物に関する。
【0030】
10)本発明はさらに、式VIの化合物を得るための方法であって、
式IV:
【化8】

〔式中、
Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または式III:
−A3−A5 (III)
[式中、A3は、−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2もしくは3回置換されている、ピロリジン、ベンゾチオフェンまたはピペリジンである)であり、
A5は、a)1) −C(O)−R3、
a)2) −C(O)−N(R4)−R5、
a)3) −(SO2)−R6、または
a)4) −C(O)−O−R7であり、
rは、0、1、2または3の整数であり、
ここで、R1は、
a) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立して−(C1−C4)−アルキルで1、2または3回置換されている)、
b) ハロゲン、
c) −(C1−C4)−アルキル、
d) −(C3−C6)−シクロアルキル、
e) −CF3
f) −O−CF3
g) トリアゾリル、または
h) ピリジニルであり、
R3、R6およびR7は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキル(ここで、該アルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)であり、
R4およびR5は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキルまたは−(C2−C6)−アルケニル(ここで、該アルキルまたは該アルケニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)]の基であって、そして
Zは、1) −(C1−C6)−アルキル、
2) −(C1−C6)−アルキル−OH、
3) −(C1−C4)−アルキレン−(C3−C6)−シクロアルキル、
4) −CH2−フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるかまたはNO2またはメトキシで1回または2回置換されている)、
5) −CH2−CH=CH2、または
6) −(C1−C10)−アルキレン−O−C(O)−O−(C3−C6)−シクロアルキルである〕
の化合物を、式V
【化9】

(式中、R14は−(C1−C6)−アルキルである)
のシュウ酸ジエステルと反応させて式VIの化合物を得る、方法に関する。
【0031】
式VIの化合物は、以下のような2つの互変異性型で生じ得る:
【化10】

【0032】
11)本発明のさらなる局面は、
式VIII:
【化11】

〔式中、
R15は、tert−ブチルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルカルボニル、N−ホルミル、N−アセチル、N−ベンジル、N−1−(ジフェニル)メチル、N−トリチル、(4−メトキシフェニル)ジフェニルメチル、N−ジアルキルホスホルアミダートおよびN−p−トルエンスルホニルから選択されるアミノ保護基であり、
A2は、アミノピリジル(ここで、該アミノピリジルは、非置換であるか、または互いに独立してハロゲンまたはメチルで1、2または3回置換されている)であり、
Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または式IIIの基:
−A3−A5 (III)
[式中、A3は、−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2もしくは3回置換されている、ピロリジン、ベンゾチオフェンまたはピペリジンである)であり、
A5は、a)1) −C(O)−R3、
a)2) −C(O)−N(R4)−R5、
a)3) −(SO2)−R6、または
a)4) −C(O)−O−R7であり、
rは、0、1、2または3の整数であり、
ここで、R1は、
a) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立して−(C1−C4)−アルキルで1、2または3回置換されている)、
b) ハロゲン、
c) −(C1−C4)−アルキル、
d) −(C3−C6)−シクロアルキル、
e) −CF3
f) −O−CF3
g) トリアゾリル、または
h) ピリジニルであり、
R3、R6およびR7は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキル(ここで、該アルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)であり、
R4およびR5は、同一であるかまたは異なって互いに独立しており、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキルまたは−(C2−C6)−アルケニル(ここで、該アルキルまたは該アルケニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)]の基であって、そして
Zは、1) −(C1−C6)−アルキル、
2) −(C1−C6)−アルキル−OH、
3) −(C1−C4)−アルキレン−(C3−C6)−シクロアルキル、
4) −CH2−フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、またはNO2またはメトキシで1回または2回置換されている)、
5) −CH2−CH=CH2、または
6) −(C1−C10)−アルキレン−O−C(O)−O−(C3−C6)−シクロアルキルである〕
の化合物に関する。
【0033】
12)本発明のさらなる局面は、
R15は、tert−ブチルオキシカルボニルであり、
A2は、2−アミノピリジルであり、
Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル[ここで、該シクロアルキルは、非置換であるかまたは1つまたは2つのメチルまたは−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、ピロリジンまたはピペリジンである)で置換されており、Hetは、−C(O)−(CH2)m−フェニルまたは−C(O)−CH−(フェニル)2で置換されており、mは、0、1または2の整数である]であり、
Zは、−(C1−C4)−アルキルまたはベンジルである、
式VIIIの化合物に関する。
【0034】
13)本発明はさらに、
式VIIIの化合物を得るための方法であって、式VIの化合物を式VII:
W−CH2−A2−R15 (VII)
(式中、Wはハロゲンまたはスルホニルエステルであり、R15はアミノ保護基である)の化合物と反応させて式VIIIの化合物を得る、方法に関する:
【化12】

【0035】
式VIの化合物の製造工程である方法工程A)についての反応は、クライゼン縮合(Claisen condensation)の条件下で実施され得る(W.Wislicenus、Chem.Ber.1886、19、3225)。式IVの酢酸イミダゾイルエステルを、塩基性条件下で式Vのシュウ酸ジエステルと反応させ、式VIのβ−ケトエステル(エノール型で示される)が得られる。この式IVの酢酸イミダゾイル誘導体は、スキーム2に示されるような古典的なマクワルド合成(Marckwald synthesis)によって製造され得る(W.Marckwald、Chem.Ber.1892、25、2354、N.Xi et al.、Tetrahedron Lett.2005、46、7315−7319)。このγ−アミノβ−ケトエステル(式II)は、文献に従って合成され得る(N.Xi et al.、Tetrahedron Lett.2005、46、7315−7319)。
【0036】
【化13】

【0037】
シュウ酸ジエステルは、当該分野で周知であり、複数の業者より市販されている(例えば、Sigma−Aldrich Chemie GmbH、Eschenstraβe 5、82024 Taufkirchen、Germany)。シュウ酸ジエステルのうちの1つは、シュウ酸ジエチルエステルである。
【0038】
式VIの化合物の製造において、手順は、以下に示すようなものである:はじめに、式IVの酢酸イミダゾイルエステルを溶媒内に置き、式Vのシュウ酸ジエステルと塩基を連続的に加える。得られた溶液または懸濁液をゆっくりと冷却する。適切な反応時間の後、緩衝液または酸を用いて、式VIの化合物を沈殿させる。式VIの化合物を、例えば結晶化または抽出(例えば、テトラヒドロフランまたはtert−ブチルメチルエーテルを用いて)によって単離する。結晶化は、懸濁液を冷却すること、または溶媒のさらなるエバポレーションにより促進される。
【0039】
反応工程A)に用いることのできる溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールまたはブタノールのようなアルコールである。エタノールが好ましい。
【0040】
反応工程A)において用いられる塩基は、アルカリ金属アルコキシド(例えば、ナトリウムエチラートまたはカリウムエチラート)である。ナトリウムエチラートが好ましい。アルカリ金属アルコキシドは、市販されている(Sigma−Aldrich)。このアルカリ金属アルコキシドはまた、アルコール中のナトリウムまたは水素化ナトリウムまたは第3級アルコキシド(例えばカリウムtert−ブトキシドまたはナトリウムもしくはカリウムアミラート)より、インサイチュで生成され得る。
【0041】
用いられる温度は、溶媒の沸点に依存して0℃〜100℃の範囲である。
【0042】
本発明の反応工程A)において、式IVの化合物100molあたり、100mol〜200mol(好ましくは157mol)の式Vの化合物、および100mol〜200molの塩基(好ましくは133mol)が用いられる。用いられる溶媒の量は、一般的には式IVの化合物1kgあたり5リットル〜15リットル(好ましくは10リットル)である。
【0043】
式VIIIの化合物の製造工程である方法工程B)についての反応は、レトロクライゼン縮合(retro Claisen condensation)の条件下で実施され得る(W.Wislicenus、Chem.Ber.1891、24、1257;J.M.Cook et al.、J.Am.Chem.Soc.1982、104、318)。式VIのβ−ケトエステルを、塩基性条件下で式VIIのアルキル化剤と反応させ、式VIIIの化合物が得られる。
【0044】
方法工程B)で用いられる式VIIのアルキル化剤は先行技術において公知であり、国際特許出願WO03/013526およびWO2005/105781に記載されているとおりに製造され得る。
【0045】
R15はアミノ保護基であり、例えば、これに限定されるわけではないが、T.W.Greene and P.G.M.Wuts:Protective Groups in Organic Synthesis、Third Edition、John Wiley and Sons、New York、1999、518−525、531−540に述べられている種々の基より選択することができる。選択されたアミノ保護基は、方法工程B)中の塩基性条件下で安定であり、例えば、カルバメート(tert−ブチルオキシカルボニルおよびベンジルオキシカルボニルまたはp−メトキシベンジルカルボニルなど)、アミド(N−ホルミルまたはN−アセチルなど)、N−アルキルアリール(N−ベンジル、N−1−(ジフェニル)メチル、N−トリチルまたは(4−メトキシフェニル)ジフェニルメチルなど)、またはN−PおよびN−スルホニル保護基(N−ジアルキルホスホルアミダートおよびN−p−トルエンスルホニルなど)より選択され得る。特定の保護基は、tert−ブチルオキシカルボニルである。
【0046】
式VIIのアルキル化剤中の残基Wは、ハロゲン(クロロ、ブロモ、ヨードなど)またはスルホニルエステル(メシラート、トシラート、ノシラート、ブロシラート、トリフラートまたはノナフラート)より選択され得る。特定の残基Wは、ブロモおよびクロロである。
【0047】
式VIIIの化合物の製造において、手順は以下の方法に従う:まず、式VIの化合物を溶媒中に配置し、塩基を連続的に加える。得られた溶液または懸濁液をしばらく攪拌する。その後式VIIの化合物を連続的に加える。場合により触媒量のテトラ−(n)−ブチルアンモニウムヨージド(nBu4NI)もまた、連続的に加える。
【0048】
適切な反応時間の後、水を加え、その反応混合物のpHをpH=9.0を超えるように(好ましくは10.5)調節する。式VIIIの化合物を、例えば、テトラヒドロフランまたはtert−ブチルメチルエーテルを用いて、例えば結晶化または抽出によって単離する。結晶化はその懸濁液を冷却することにより、または溶媒のさらなるエバポレートにより促進される。
【0049】
反応工程B)のための適切な塩基は、式VIの化合物からエノラートアニオンを形成するのに十分な強さの塩基全てである。このような塩基の例は、アルカリ金属アミド、金属水素化物、アルコキシド、アミン塩基またはホスファゼンである。有用な塩基は、例えば、アルカリ金属ヘキサメチルジシルアジド(MHMDS)、別の塩基は、リチウム塩基(LiHMDS)であり、商業的に得ることができる(Sigma−Aldrich)。他の塩基は、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)またはアルカリアルコキシド(例えばリチウム−、ナトリウム−もしくはカリウム−tert−ブトキシド、またはリチウム−、ナトリウム−もしくはカリウムエトキシド)またはアミン塩基(例えば、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN);1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU))またはホスファゼン塩基(例えば、2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリン(BEMP))である。
【0050】
反応工程B)で用いることのできる溶媒は、塩基性反応条件と適合する溶媒、例えばエーテルまたはアルコールである。エーテルの例としては、テトラヒドロフラン(THF)、メチル−tert−ブチルエーテル(MTBE)、ジオキサン、ジメトキシメタン(DME)または2−メチルテトラヒドロフランが挙げられるがこれらに限定されるわけではない。テトラヒドロフランが好ましい。アルコールの例としては、メチルアルコール(MeOH)、エチルアルコール(エタノール)、プロピルアルコール(PrOH)、イソプロピルアルコール(iPrOH)、ブチルアルコール(BuOH)、tert
−ブチルアルコール(tBuOH)が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。エタノールが好ましい。
【0051】
用いられる温度は、溶媒の凝固点および沸点に依存して、−78℃〜100℃の範囲である。
【0052】
本発明の反応工程B)において、式VIの化合物100molあたり、100mol〜300molの式VIIの化合物、および100mol〜250molの塩基が用いられる。用いられる溶媒の量は、一般的には式VIの化合物1kgあたり5リットル〜15リットルである。
【0053】
式VIIIのモノアルキル化生成物を導くレトロクライゼン縮合は、pH>9.0、好ましくは10.5の水性塩基性条件下で実施され得る。有用な塩基は、水性のアルカリ金属炭酸塩(例えば炭酸カリウム)またはアルカリ金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウム)である。この塩基は、前出のアルキル化反応が終了したときに加えられ得るか、または水の添加によってアルキル化工程のために用いられる塩基より発生し得る。
【0054】
そのように得られた式VIIIの粗化合物は、標準的な水性ワークアップ手順により単離し、精製することができる(例えばクロマトグラフィーによって)。より有用なのは結晶化または消化(digestion)による精製である。この操作に適切な溶媒は他にもあるが、テトラヒドロフラン(THF)のようなエーテル、好ましくはtert−ブチルメチルエーテル(MTBE)である。
【0055】
方法工程C)についての反応は、アミノ保護基R15の脱保護による式Iの化合物の製造である。脱保護は、利用される保護基R15の型に依存してT.W.Greene and P.G.M.Wuts:Protective Groups in Organic Synthesis、Third Edition、John Wiley and Sons、New York、1999、518−525、531−540に記載されるような標準的な条件下で実施され得る。
【0056】
R15がtert−ブトキシカルボニルである場合、脱保護は酸性条件下で実施され得る。可能な方法としては、プロトン性溶媒に酸を溶解することである。有用な酸は、HBr、HCl、HI、H2SO4、H3PO4のような鉱物酸、酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸またはトリフルオロ酢酸のような有機酸も用いることができ、好ましいのは酢酸である。この工程において用いられる溶媒は、THF、ジオキサンもしくはMTBEのようなエーテル型の溶媒、または水もしくはアルコールのようなプロトン性溶媒である。方法工程C)において用いられ得る特定のエステルZはエチルであり、水が特定溶媒である。
【0057】
用いられる温度は、溶媒の沸点に依存して0℃から100℃の範囲である。
【0058】
本発明の反応工程C)において、式VIIIの化合物100molあたり、1400mol〜3000molの酸が用いられる。用いられる溶媒の量は、一般的には式VIIIの化合物1kgあたり5リットル〜15リットルである。
【0059】
方法工程D)において、式Iの化合物は、ジアステレオマーもしくはエナンチオマーの混合物またはそれらの混合物としての合成物として生じる場合、場合によりキラル支持物質でのクロマトグラフィーによるか、または式Iのラセミ化合物が塩を形成し得る場合、場合により助けとして活性塩基もしくは酸と共に形成されるジアステレオマーの塩の分別結晶によるかのいずれかにより純粋な立体異性体に分離される。エナンチオマーを分離すための薄層またはカラムクロマトグラフィーに適切なキラル固定相は、例えば修飾シリカゲル支持体(Pirkle相とよばれる)およびトリセチルセルロースのような高分子量の炭水化物がある。分析目的で、当業者に公知の適切な誘導体化後にキラル固定相でのガスクロマトグラフィー法を用いることも可能である。ラセミカルボン酸のエナンチオマーを分離するために、溶解度の異なるジアステレオマー塩が光学的に活性な、通常市販されている塩基(例えば、(−)−ニコチン、(+)−および(−)−フェニルエチルアミン、キニーネ塩基、L−リジンまたはL−およびD−アルギニン)を用いて形成され、溶解度の乏しい成分が固体として単離され、より溶解度の高いジアステレオマーが母液より沈殿し、純粋なエナンチオマーがこの方法で得られたジアステレオマー塩より得られる。ラセミ混合物を、純粋なエナンチオマーに分解するのに、エステラーゼのような酵素を用いることも可能である。原理的には、同じように、アミノ基のような塩基性基を含む式Iのラセミ化合物を、光学的に活性な酸(例えば、(+)−カンファー−10−スルホン酸、D−およびL−酒石酸、D−およびL−乳酸ならびに(+)および(−)−マンデル酸を用いて純粋なエナンチオマーに変換することもさらに可能である。アルコールまたはアミン官能基を含むキラル化合物はまた、適切に活性化されるかまたは然るべき場合にはN−保護されたエナンチオピュアなアミノ酸を用いて対応するエステルまたはアミド中に変換され得るか、または逆に、キラルなカルボン酸は、カルボキシル保護されたエナンチオ純粋なアミノ酸によってアミドへ、またはエナンチオ純粋なヒドロキシカルボン酸(乳酸など)を用いて対応するキラルエステルへ変換され得る。エナンチオ純粋な形態中に導入されたアミノ酸またはアルコール残基のキラリティーは、結晶化または適切な固定相でのクロマトグラフィー、その後の適切な方法による含まれているキラル部分の排除によって、ここに存在しているジアステレオマーの分離を実行することによって異性体を分離するために利用することができる。
【0060】
本発明のいくつかの化合物に伴うさらなる可能性は、フレームワーク構造を作製するために、ジアステレオマーに、またはエナンチオマーに純粋な出発材料を用いることである。従って、最終生成物の精製のために他の工程または簡素化された適切な工程を用いることも可能である。反応工程のシーケンスが多様となることも可能である。
【0061】
14)本発明のさらなる局面は式IV:
【化14】

〔式中、
Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または式III:
−A3−A5 (III)
[式中、A3は、−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2もしくは3回置換されているピロリジン、ベンゾチオフェンまたはピペリジンである)であり、
A5は、a)1) −C(O)−R3、
a)2) −C(O)−N(R4)−R5、
a)3) −(SO2)−R6、または
a)4) −C(O)−O−R7であり、
rは、0、1、2または3の整数であり、
ここで、R1は、
a) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立して−(C1−C4)−アルキルで1、2または3回置換されている)、
b) ハロゲン、
c) −(C1−C4)−アルキル、
d) −(C3−C6)−シクロアルキル、
e) −CF3
f) −O−CF3
g) トリアゾリル、または
h) ピリジニルであり、
R3、R6およびR7は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキル(ここで、該アルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)であり、
R4およびR5は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキルまたは−(C2−C6)−アルケニル(ここで、該アルキルまたは該アルケニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)]の基であって、そして
Zは、1) −(C1−C6)−アルキル、
2) −(C1−C6)−アルキル−OH、
3) −(C1−C4)−アルキレン−(C3−C6)−シクロアルキル、
4) −CH2−フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、またはNO2またはメトキシで1回または2回置換されている)、
5) −CH2−CH=CH2、または
6) −(C1−C10)−アルキレン−O−C(O)−O−(C3−C6)−シクロアルキルである〕
の化合物に関する。
【0062】
15)本発明はさらに、
式中、
Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル[ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または1つまたは2つのメチルまたは−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、ピロリジンまたはピペリジンである)で置換されており、Hetは、−C(O)−(CH2)m−フェニルまたは−C(O)−CH−(フェニル)2で置換されており、mは、0、1または2の整数である]であり、
Zは、−(C1−C4)−アルキルである、
式IVの化合物に関する。
【0063】
16)本発明はさらに、
Yは、非置換であるかまたは1つまたは2つのメチルで置換されている−(C3−C8)−シクロアルキルであり、
かつZは、−(C1−C4)−アルキルである、
式IVの化合物に関する。
【0064】
17)さらなる実施態様において、本発明に従う方法は、
式IV:
【化15】

〔式中、
Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または式III:
−A3−A5 (III)
[式中、A3は、−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2もしくは3回置換されている、ピロリジン、ベンゾチオフェンまたはピペリジンである)であり、
A5は、a)1) −C(O)−R3、
a)2) −C(O)−N(R4)−R5、
a)3) −(SO2)−R6、または
a)4) −C(O)−O−R7であり、
rは、0、1、2または3の整数であり、
ここで、R1は、
a) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立して−(C1−C4)−アルキルで1、2または3回置換されている)、
b) ハロゲン、
c) −(C1−C4)−アルキル、
d) −(C3−C6)−シクロアルキル、
e) −CF3
f) −O−CF3
g) トリアゾリル、または
h) ピリジニルであり、
R3、R6およびR7は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキル(ここで、該アルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)であり、
R4およびR5は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキルまたは−(C2−C6)−アルケニル(ここで、該アルキルまたは該アルケニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)]の基であって、そして
Zは、1) −(C1−C6)−アルキル、
2) −(C1−C6)−アルキル−OH、
3) −(C1−C4)−アルキレン−(C3−C6)−シクロアルキル、
4) −CH2−フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるかまたはNO2またはメトキシで1回または2回置換されている)、
5) −CH2−CH=CH2、または
6) −(C1−C10)−アルキレン−O−C(O)−O−(C3−C6)−シクロアルキルである〕
の化合物の製造に適用可能であり、
【0065】
以下
a)式II:
【化16】

の化合物を、チオシアン酸塩と反応させて式IX:
【化17】

の化合物を得る工程、および
b)該式IXの化合物を脱硫して、式IVの化合物を得る工程、
を包含する方法。
【0066】
18)本発明のさらなる局面は、式IX:
【化18】

〔式中、
Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または式III:
−A3−A5 (III)
[式中、A3は、−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2もしくは3回置換されている、ピロリジン、ベンゾチオフェンまたはピペリジンである)であり、
A5は、a)1) −C(O)−R3、
a)2) −C(O)−N(R4)−R5、
a)3) −(SO2)−R6、または
a)4) −C(O)−O−R7であり、
rは、0、1、2または3の整数であり、
ここで、R1は、
a) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立して−(C1−C4)−アルキルで1、2または3回置換されている)、
b) ハロゲン、
c) −(C1−C4)−アルキル、
d) −(C3−C6)−シクロアルキル、
e) −CF3
f) −O−CF3
g) トリアゾリル、または
h) ピリジニルであり、
R3、R6およびR7は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキル(ここで、該アルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)であり、
R4およびR5は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキルまたは−(C2−C6)−アルケニル(ここで、該アルキルまたは該アルケニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)]の基であって、そして
Zは、1) −(C1−C6)−アルキル、
2) −(C1−C6)−アルキル−OH、
3) −(C1−C4)−アルキレン−(C3−C6)−シクロアルキル、
4) −CH2−フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、またはNO2またはメトキシで1回または2回置換されている)、
5) −CH2−CH=CH2、または
6) −(C1−C10)−アルキレン−O−C(O)−O−(C3−C6)−シクロアルキルである〕
の化合物に関する。
【0067】
19)本発明はさらに、
式中、
Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル[ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または1つまたは2つのメチルまたは−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、ピロリジンまたはピペリジンである)で置換されており、Hetは、−C(O)−(CH2)m−フェニルまたは−C(O)−CH−(フェニル)2で置換されており、mは、0、1または2の整数である]であり、
Zは、−(C1−C4)−アルキルである、
式IXの化合物に関する。
【0068】
20)本発明はさらに、
Yは、非置換または1つまたは2つのメチルで置換されている−(C3−C8)−シクロアルキルであり、かつ
Zは、−(C1−C4)−アルキルである、
式IXの化合物に関する。
【0069】
21)さらなる実施態様において、本発明に従う方法は、
式IX:
【化19】

〔式中、
Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または式III:
−A3−A5 (III)
[式中、A3は、−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている、ピロリジン、ベンゾチオフェンまたはピペリジンである)であり、
A5は、a)1) −C(O)−R3、
a)2) −C(O)−N(R4)−R5、
a)3) −(SO2)−R6、または
a)4) −C(O)−O−R7であり、
rは、0、1、2または3の整数であり、
ここで、R1は、
a) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立して−(C1−C4)−アルキルで1、2または3回置換されている)、
b) ハロゲン、
c) −(C1−C4)−アルキル、
d) −(C3−C6)−シクロアルキル、
e) −CF3
f) −O−CF3
g) トリアゾリル、または
h) ピリジニルであり、
R3、R6およびR7は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキル(ここで、該アルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)であり、
R4およびR5は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキルまたは−(C2−C6)−アルケニル(ここで、該アルキルまたは該アルケニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)]の基であって、そして
Zは、1) −(C1−C6)−アルキル、
2) −(C1−C6)−アルキル−OH、
3) −(C1−C4)−アルキレン−(C3−C6)−シクロアルキル、
4) −CH2−フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、またはNO2またはメトキシで1回または2回置換されている)、
5) −CH2−CH=CH2、または
6) −(C1−C10)−アルキレン−O−C(O)−O−(C3−C6)−シクロアルキルである〕
の化合物の製造に適用可能であり、
【0070】
式II:
【化20】

の化合物をチオシアン酸塩と反応させて式IXの化合物を得る工程を包含する、方法。
【0071】
式IVの化合物の製造において、手順は以下に示すようなものである:初めに、式IIのα−アミノカルボニル化合物またはその塩を水とアルコールの混合溶媒中に配置し、そしてKSCNまたはNaSCNのようなチオシアナート塩を連続的に加える。得られた溶液または懸濁液を加熱する。適切な反応時間の後、その混合物を室温まで冷却し、式IXの化合物を水相から抽出または結晶化させる。抽出は酢酸エチルによって実施することができる、結晶化はその懸濁液の冷却または溶媒のさらなるエバポレーションによって促進される。
【0072】
この反応に用いることのできる溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノールまたはブタノールのようなアルコールであり、tert−ブタノールが好ましい。
【0073】
用いられる温度は、溶媒の沸点に依存して0℃から100℃の範囲である。
【0074】
式IXの化合物の製造のための、本発明の反応工程において、式IIの化合物100molあたり、100mol〜300molのチオシアナート塩が用いられる。用いられるアルコールの量は、一般的には式IIの化合物1kgあたり0.2リットル〜5リットルである。水:アルコールの比率は、一般的には5:1〜1:3である。
【0075】
式IIの化合物は、K.Satoh et al.、Chem.Pharm.Bull.1998、46、587に記載されるような文献から公知の方法によって製造され得る。
【0076】
式IXの環状チオ尿素から対応するイミダゾールへの変換は、硫黄を除去するための酸化条件下で達成され得る。はじめに、式IXの化合物を適切な溶媒に溶解し、同じ溶媒に溶かしたH22にゆっくりと加えた。得られた溶液または懸濁液を、例えば0℃から10℃の範囲の温度まで冷却する。添加後、冷却装置(cooling)を取り除き、混合物を1時間攪拌した。得られた混合物をNa2SO3水溶液および氷の中に注いだ。このスラリーを濃縮し、酸性の残留物を飽和K2CO3水溶液および飽和NaHCO3水溶液(pH8)で処理した。この混合物を酢酸エチルで抽出した。
【0077】
この酸化脱硫反応に用いられ得る溶媒は、酢酸、氷酢酸のような有機酸(場合によりメタノールまたはエタノールのようなアルコールと組み合わせて)、酢酸メチル、酢酸エチル、イソプロピルアセテート、tert−ブチルアセテートのようなエステル(場合によりピリジン、2−メチルピリジン、2,6−ジメチルピリジンのような塩基の存在下で)、またはメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールのようなアルコール(場合によりタングステン酸もしくはタングステン酸ナトリウムのような触媒量のタングステン誘導体の存在下で)が用いられ得る。H22溶液の濃度は、用いられる溶媒中10%〜100%の範囲であり得、好ましくは約30%である。
【0078】
式IVの化合物の製造のための本発明の反応工程において、式IXの化合物100molあたり、300mol〜500molのH22が用いられる。酸の量は、一般的には式IXの化合物1kgあたり、1リットル〜8リットルである。酸:アルコールの比は、一般的には5:1〜1:1の範囲である。
【0079】
式IXの環状チオ尿素の、対応するイミダゾールへの変換はまた、硫黄を除去するための反応条件下でも可能である。
【実施例】
【0080】
本発明は、実施例を参照し、以下に詳細に例示される。最終生成物は、一般的には1
NMR(400MHz、CDCl3 またはDMSO−d6にて)によって測定される。温度データはセ氏で表記し、RTは室温(22℃〜26℃)を意味し、minは分、tRは保持時間を意味する。TFAはトリフルオロ酢酸を意味する。MeCNはアセトニトリルを意味する。用いられる略語は、説明されるかまたは慣例に従うかのいずれかである。
【0081】
(実施例1)
(E)−2−(1−シクロヘキシル−1H−イミダゾール−4−イル)−3−ヒドロキシ−ブタ−2−エン二酸ジエチルエステル:
54g(0.23mol)の(1−シクロヘキシル−1H−イミダゾール−4−イル)−酢酸エチルエステルを300mlの無水エタノールに溶解した。シュウ酸ジエチル(77ml、0.57mmol)、その後ナトリウムエチラート(23g、0.34mol)を連続的に加え、それにより温度は30℃まで上昇した。この混合物を1時間以内にゆっくりと25℃まで冷却した。この溶液を濃縮し、1リットルのリン酸緩衝液(pH=6.2、c=0.8M)中に注いだ。この黄褐色固体を濾過し、300mlの水で洗浄した。その後この固体を減圧下、60℃にて乾燥させた。乾燥残留物を300mlの好ましくはtert−ブチルメチルエーテル(MTBE)により40℃で2時間かけて消化させ、RTまで冷却し、濾過し、空気で乾燥させて53g(0.16mol、69%)の(E)−2−(1−シクロヘキシル−1H−イミダゾール−4−イル)−3−ヒドロキシ−ブタ−2−エン二酸ジエチルエステルをオフホワイトの固体として得た。
1H−NMR(400MHz、d6−DMSO):δ=1.17(t、J=7.1Hz、3H)、1.23(t、J=7.2Hz、3H)、1.20−1.29(m、1H)、1.30−1.44(m、2H)、1.61−1.77(m、3H)、1.78−1.88(m、2H)、1.98−2.07(m、2H)、4.03(q、J=7.1Hz、2H)、4.10(q、J=7.1Hz、2H)、4.22−4.31(m、1H)、7.49(d、J=1.8Hz、1H)、8.57(d、J=1.7Hz、1H)、13.4−14.1(bs、1H);
HPLC:tR=1.10min(YMC J’sphere ODS H 80 20x2.1mm、4μm、A:H2O+0.05% TFA、B:MeCN、4%→95%
B in 2min、1ml/min、30℃);
Mass(ES+)(C172425):算出値、実測値337[M+H]+
融点(Mp):>150℃ 分解(tert−ブチルメチルエーテル;MTBE)。
【0082】
(実施例2)
3−(6−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ピリジン−3−イル)−2−(1−シクロヘキシル−1H−イミダゾール−4−イル)−プロピオン酸エチルエステル:
実施例1に従って製造した化合物(5.0g、14.9mmol)を80mlのテトラヒドロフラン(THF)およびヘキサメチルジシラゼンリチウム(LiHMDS)(16.4ml、16.4mmol、1.0M(THF中))を室温で加えた。この混合物を20分間攪拌し、テトラ−(n)−ブチルアンモニウムヨージド(触媒)を加え、その後(5−ブロモメチル−ピリジン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(4.48g、15.6mmol)を加えた。1時間後、水(20ml)、酢酸エチル(AcOEt;50ml)を加え、飽和K2CO3でpHを10.5に調節した。この混合物を90分間攪拌した。この相を分離し、水相をAcOEt(2x20ml)で抽出した。合わせた有機相をブライン(20ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濃縮して赤橙職の粗生成物を得た。残留物を50mlのMTBEで処理し、60℃で30分間攪拌した。RTまで冷却した後、固体を濾過し、冷MTBEで洗浄して表題化合物(3.1g、7.0mmol、47%)を黄みがかった固体として得た。
1H−NMR(500MHz、d6−DMSO):δ=1.05(t、J=7.1Hz、3H)、1.13−1.24(m、1H)、1.29−1.40(m、2H)、1.46(s、9H)、1.53−1.67(m、3H)、1.74−1.82(m、2H)、1.88−1.96(m、2H)、3.76−3.81(m、1H)、3.91−4.05(m、3H)、7.05(s、1H)、7.48(dd、J=8.6、1.9Hz、1H)、7.58(s、1H)、7.64(d、J=8.6Hz、1H)、7.99(d、J=1.9Hz、1H)、9.62(s、1H);
HPLC:tR=1.00min(YMC J’sphere ODS H 80 20x2.1mm、4μm、A:H2O+0.05% TFA、B:MeCN、4%→95%
B in 2min、1ml/min、30℃);
Mass(ES+)(C243444):算出値442、実測値443[M+H]+、Mp:161−163℃(MTBE).
【0083】
(実施例3)
3−(6−アミノ−ピリジン−3−イル)−2−(1−シクロヘキシル−1H−イミダゾール−4−イル)−プロピオン酸エチルエステル:
実施例2で製造した39.0g(88.1mmol)の3−(6−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ピリジン−3−イル)−2−(1−シクロヘキシル−1H−イミダゾール−4−イル)−プロピオン酸エチルエステルを200mlのエタノール(EtOH)に室温で懸濁させた。この混合物をHClで飽和させ、その後2時間還流した。混合物を濃縮し、残留物を飽和K2CO3水溶液(pH 9.0)で処理した。水相をAcOEt(3x200ml)で抽出した。合わせた有機相をブライン(100ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ濃縮して表題化合物(30g、87.6mmol、99%)を褐色オイルとして得た。
HPLC:tR=0.69min(YMC J’sphere ODS H 80 20x2.1mm、4μm、A:H2O+0.05% TFA、B:MeCN、4%→95%
B in 2min、1ml/min、30℃);
Mass(ES+)(C192642):算出値342、実測値343[M+H]+
【0084】
(実施例4)
(1−シクロヘキシル−1H−イミダゾール−4−イル)−酢酸エチルエステル
200g(0.758mol)の4−シクロヘキシルアミノ−3−オキソ−ブチル酸エチルエステル塩酸塩を360mlの水に溶解し、120mlのtert−ブタノールを90℃まで加熱した。その後88.4g(0.91mol)のKSCNを加え、混合物を20秒間加熱し、それにより相分離が生じた。室温まで冷却後、この相を分離し、水相をAcOEtで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濃縮した。この固体をMTBE中で消化させ、濾過して192g(0.715mol、94%)の(1−シクロヘキシル−2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾール−4−イル)−酢酸エチルエステルをベージュの固体として得た。 HPLC:tR=1.16min(YMC J’sphere ODS H 80 20x2.1mm、4μm、A:H2O+0.05% TFA、B:MeCN、4%→95% B in 2min、1ml/min、30℃);Mass(ES+)(C132022S):算出値268、実測値269[M+H]+
【0085】
200mlの酢酸に溶解させた80.0g(0.298mol)の(1−シクロヘキシル−2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾール−4−イル)−酢酸エチルエステルを、0℃で400mlの酢酸に溶かしたH22に90分以内に10℃でゆっくりと加えた。添加後、冷却機を取り除き、その混合物を1時間攪拌した。溶液を300mlの水および氷に溶かした80g Na2SO3中に注意深く注いだ。このスラリーを濃縮し、酸性の残留物を飽和K2CO3水溶液および飽和NaHCO3水溶液(pH8)で処理した。この混合物をAcOEt(1x400ml、2x150ml)で抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濃縮して減圧下で乾燥させて70.0g(0,296mmol、99%)の(1−シクロヘキシル−1H−イミダゾール−4−イル)−酢酸エチルエステルを得、これは実施例1の工程Aにおいてさらなる精製なしに用いることができる。
HPLC:tR=0.77min(YMC J’sphere ODS H 80 20x2.1 mm、4μm、A:H2O+0.05% TFA、B:MeCN、4%→95% B in 2min、1ml/min、30℃);
Mass(ES+)(C132022):算出値236、実測値237[M+H]+

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

〔式中、
A2は、アミノピリジル(ここで、該アミノピリジルは、非置換であるか、または互いに独立してハロゲンまたはメチルで1、2または3回置換されている)であり、
Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または式III:
−A3−A5 (III)
[式中、A3は、−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている、ピロリジン、ベンゾチオフェンまたはピペリジンである)であり、
A5は、a)1) −C(O)−R3、
a)2) −C(O)−N(R4)−R5、
a)3) −(SO2)−R6、または
a)4) −C(O)−O−R7であり、
rは、0、1、2または3の整数であり、
ここで、R1は、
a) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立して−(C1−C4)−アルキルで1、2または3回置換されている)、
b) ハロゲン、
c) −(C1−C4)−アルキル、
d) −(C3−C6)−シクロアルキル、
e) −CF3
f) −O−CF3
g) トリアゾリル、または
h) ピリジニルであり、
R3、R6およびR7は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキル(ここで、該アルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)であり、
R4およびR5は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキルまたは−(C2−C6)−アルケニル(ここで、該アルキルまたは該アルケニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)]の基であり、そして
Zは、1) −(C1−C6)−アルキル、
2) −(C1−C6)−アルキル−OH、
3) −(C1−C4)−アルキレン−(C3−C6)−シクロアルキル、
4) −CH2−フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、またはNO2またはメトキシで1回または2回置換されている)、
5) −CH2−CH=CH2、または
6) −(C1−C10)−アルキレン−O−C(O)−O−(C3−C6)−シクロアルキルである〕
の化合物、および/または式Iの化合物の立体異性体、および/または任意の比率のこれらの形態の混合物を得るための方法であって、
以下:
A)式IV
【化2】

の化合物を式V
【化3】

(式中、R14は、−(C1−C6)−アルキルである)
のシュウ酸ジエステルと反応させて式VI
【化4】

の化合物を得る工程;
B)式VIの化合物を式VII
W−CH2−A2−R15 (VII)
(式中、Wはハロゲンまたはスルホニルエステルであり、R15はアミノ保護基である)の化合物と反応させて式VIII
【化5】

の化合物を得る工程;および
C)式VIIIの化合物を反応させて式Iの化合物を得る工程;または
D)場合により、工程A)、B)およびC)で製造され、その化学構造のため鏡像異性体形態で生じる式Iの化合物を、エナンチオ純粋な酸または塩基との塩形成、キラル固定相でのクロマトグラフィーまたはキラルなエナンチオ純粋化合物(例えばアミノ酸)を用いる誘導体化、この方法で得られたジアステレオマーの分離、および純粋なエナンチオマーへのキラル補助基の脱離、により分別する工程;
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記式Iにおいて、
A2は、非置換であるか、または互いに独立してF、Cl、Br、Iまたはメチルで1、2または3回置換されている2−アミノピリジルであり、
Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または式III[式中、A3は、−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている、ピロリジンまたはピペリジンである)であり、
A5は、a)1) −C(O)−R3、
a)2) −C(O)−N(R4)−R5、
a)3) −(SO2)−R6、または
a)4) −C(O)−O−R7であり、
rは、0、1、2または3の整数であり、
ここで、A5はA3の窒素原子に結合されており、
R1は、
a) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立して−(C1−C4)−アルキルで1、2または3回置換されている)、
b) フッ素、
c) −(C1−C4)−アルキル、
d) −(C3−C6)−シクロアルキル、
e) −CF3
f) −O−CF3
g) 塩素、
h) トリアゾリル、または
i)ピリジニルであり、
R3、R6およびR7は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) −(C1−C6)−アルキル(ここで、該アルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
b) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
c) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)であり、
R4およびR5は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキルまたは−(C2−C6)−アルケニル(ここで、該アルキルまたは該アルケニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)]の基であり、そして
Zは、−(C1−C6)−アルキルまたはベンジルである、
上記方法。
【請求項3】
式VI:
【化6】

〔式中、
R14は、−(C1−C6)−アルキルであり、
Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または式III:
−A3−A5 (III)
[式中、A3は、−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている、ピロリジン、ベンゾチオフェンまたはピペリジンである)であり、
A5は、a)1) −C(O)−R3、
a)2) −C(O)−N(R4)−R5、
a)3) −(SO2)−R6、または
a)4) −C(O)−O−R7であり、
rは、0、1、2または3の整数であり、
ここで、R1は、
a) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立して−(C1−C4)−アルキルで1、2または3回置換されている)、
b) ハロゲン、
c) −(C1−C4)−アルキル、
d) −(C3−C6)−シクロアルキル、
e) −CF3
f) −O−CF3
g) トリアゾリル、または
h) ピリジニルであり、
R3、R6およびR7は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキル(ここで、該アルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)であり、
R4およびR5は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキルまたは−(C2−C6)−アルケニル(ここで、該アルキルまたは該アルケニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)]の基であり、そして
Zは、1) −(C1−C6)−アルキル、
2) −(C1−C6)−アルキル−OH、
3) −(C1−C4)−アルキレン−(C3−C6)−シクロアルキル、
4) −CH2−フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、またはNO2またはメトキシで1回または2回置換されている)、
5) −CH2−CH=CH2、または
6) −(C1−C10)−アルキレン−O−C(O)−O−(C3−C6)−シクロアルキルである〕
の化合物。
【請求項4】
請求項3に記載の式VIの化合物であって、
式中、
R14は、−(C1−C6)−アルキルであり、
Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル[ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または1つまたは2つのメチルまたは−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、ピロリジンまたはピペリジンである)で置換されており、Hetは、−C(O)−(CH2)m−フェニルまたは−C(O)−CH−(フェニル)2で置換されており、mは、0、1または2の整数である]であり、
Zは、−(C1−C4)−アルキルまたはベンジルである、
上記化合物。
【請求項5】
請求項3または4に記載の式VIの化合物を得るための方法であって、
式IV:
【化7】

〔式中、
Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または式III:
−A3−A5 (III)
[式中、A3は、−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている、ピロリジン、ベンゾチオフェンまたはピペリジンである)であり、
A5は、a)1) −C(O)−R3、
a)2) −C(O)−N(R4)−R5、
a)3) −(SO2)−R6、または
a)4) −C(O)−O−R7であり、
rは、0、1、2または3の整数であり、
ここで、R1は、
a) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立して−(C1−C4)−アルキルで1、2または3回置換されている)、
b) ハロゲン、
c) −(C1−C4)−アルキル、
d) −(C3−C6)−シクロアルキル、
e) −CF3
f) −O−CF3
g) トリアゾリル、または
h) ピリジニルであり、
R3、R6およびR7は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキル(ここで、該アルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)であり、
R4およびR5は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキルまたは−(C2−C6)−アルケニル(ここで、該アルキルまたは該アルケニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)]の基であり、そして
Zは、1) −(C1−C6)−アルキル、
2) −(C1−C6)−アルキル−OH、
3) −(C1−C4)−アルキレン−(C3−C6)−シクロアルキル、
4) −CH2−フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、またはNO2またはメトキシで1回または2回置換されている)、
5) −CH2−CH=CH2、または
6) −(C1−C10)−アルキレン−O−C(O)−O−(C3−C6)−シクロアルキルである〕
の化合物を、式V
【化8】

(式中、R14は−(C1−C6)−アルキルである)
のシュウ酸ジエステルと反応させて式VIの化合物を得る工程を含む、上記方法。
【請求項6】
式VIII:
【化9】

〔式中、
R15は、tert−ブチルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルカルボニル、N−ホルミル、N−アセチル、N−ベンジル、N−1−(ジフェニル)メチル、N−トリチル、(4−メトキシフェニル)ジフェニルメチル、N−ジアルキルホスホルアミダートおよびN−p−トルエンスルホニルから選択されるアミノ保護基であり、
A2は、アミノピリジル(ここで、該アミノピリジルは、非置換であるか、または互いに独立してハロゲンまたはメチルで1、2または3回置換されている)であり、
Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または式III:
−A3−A5 (III)
[式中、A3は、−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている、ピロリジン、ベンゾチオフェンまたはピペリジンである)であり、
A5は、a)1) −C(O)−R3、
a)2) −C(O)−N(R4)−R5、
a)3) −(SO2)−R6、または
a)4) −C(O)−O−R7であり、
rは、0、1、2または3の整数であり、
ここで、R1は、
a) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立して−(C1−C4)−アルキルで1、2または3回置換されている)、
b) ハロゲン、
c) −(C1−C4)−アルキル、
d) −(C3−C6)−シクロアルキル、
e) −CF3
f) −O−CF3
g) トリアゾリル、または
h) ピリジニルであり、
R3、R6およびR7は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキル(ここで、該アルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)であり、
R4およびR5は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキルまたは−(C2−C6)−アルケニル(ここで、該アルキルまたは該アルケニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)]の基であり、そして
Zは、1) −(C1−C6)−アルキル、
2) −(C1−C6)−アルキル−OH、
3) −(C1−C4)−アルキレン−(C3−C6)−シクロアルキル、
4) −CH2−フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、またはNO2またはメトキシで1回または2回置換されている)、
5) −CH2−CH=CH2、または
6) −(C1−C10)−アルキレン−O−C(O)−O−(C3−C6)−シクロアルキルである〕
の化合物。
【請求項7】
請求項6に記載の式VIIIの化合物であって、
式中、
R15は、tert−ブチルオキシカルボニルであり、
A2は、2−アミノピリジルであり、
Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル[ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または1つまたは2つのメチルまたは−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、ピロリジンまたはピペリジンである)で置換されており、Hetは、−C(O)−(CH2)m−フェニルまたは−C(O)−CH−(フェニル)2で置換されており、mは、0、1または2の整数である]であり、
Zは、−(C1−C4)−アルキルまたはベンジルである、
上記化合物。
【請求項8】
請求項6または7に記載の式VIIIの化合物を得るための方法であって、式VIの化合物を式VII:
W−CH2−A2−R15 (VII)
(式中、Wはハロゲンまたはスルホニルエステルであり、A2およびR15は請求項6または7に定義されるとおりである)
の化合物と反応させて式VIIIの化合物を得る工程を含む、上記方法。
【請求項9】
式IV:
【化10】

〔式中、
Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または式III:
−A3−A5 (III)
[式中、A3は、−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている、ピロリジン、ベンゾチオフェンまたはピペリジンである)であり、
A5は、a)1) −C(O)−R3、
a)2) −C(O)−N(R4)−R5、
a)3) −(SO2)−R6、または
a)4) −C(O)−O−R7であり、
rは、0、1、2または3の整数であるり、
ここで、R1は、
a) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立して−(C1−C4)−アルキルで1、2または3回置換されている)、
b) ハロゲン、
c) −(C1−C4)−アルキル、
d) −(C3−C6)−シクロアルキル、
e) −CF3
f) −O−CF3
g) トリアゾリル、または
h) ピリジニルであり、
R3、R6およびR7は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキル(ここで、該アルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)であり、
R4およびR5は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキルまたは−(C2−C6)−アルケニル(ここで、該アルキルまたは該アルケニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)]の基であり、そして
Zは、1) −(C1−C6)−アルキル、
2) −(C1−C6)−アルキル−OH、
3) −(C1−C4)−アルキレン−(C3−C6)−シクロアルキル、
4) −CH2−フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、またはNO2またはメトキシで1回または2回置換されている)、
5) −CH2−CH=CH2、または
6) −(C1−C10)−アルキレン−O−C(O)−O−(C3−C6)−シクロアルキルである〕
の化合物。
【請求項10】
請求項9に記載の式IVの化合物であって、
式中、
Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル[ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または1つまたは2つのメチルまたは−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、ピロリジンまたはピペリジン)で置換されており、Hetは、−C(O)−(CH2)m−フェニルまたは−C(O)−CH−(フェニル)2で置換されており、mは、0、1または2の整数である]であり、
Zは、−(C1−C4)−アルキルまたはベンジルである、
上記化合物。
【請求項11】
請求項9または10に記載の式IVの化合物を得るための方法であって、以下
a)式II:
【化11】

(式中、ZおよびYは、請求項9または10に定義されているとおりである)
の化合物を、チオシアン酸塩と反応させて式IX:
【化12】

の化合物を得る工程、および
b)式IXの化合物を脱硫して、式IVの化合物を得る工程、
を含む、上記方法。
【請求項12】
式IX:
【化13】

〔式中、
Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または式III:
−A3−A5 (III)
[式中、A3は、−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている、ピロリジン、ベンゾチオフェンまたはピペリジンである)であり、
A5は、a)1) −C(O)−R3、
a)2) −C(O)−N(R4)−R5、
a)3) −(SO2)−R6、または
a)4) −C(O)−O−R7であり、
rは、0、1、2または3の整数であり、
ここで、R1は、
a) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立して−(C1−C4)−アルキルで1、2または3回置換されている)、
b) ハロゲン、
c) −(C1−C4)−アルキル、
d) −(C3−C6)−シクロアルキル、
e) −CF3
f) −O−CF3
g) トリアゾリル、または
h) ピリジニルであり、
R3、R6およびR7は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキル(ここで、該アルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)であり、
R4およびR5は、同一であるかまたは異なって互いに独立して、
a) 水素原子、
b) −(C1−C6)−アルキルまたは−(C2−C6)−アルケニル(ここで、該アルキルまたは該アルケニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、
c) フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)、または
d) −(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立してR1で1、2または3回置換されている)]の基であり、そして
Zは、1) −(C1−C6)−アルキル、
2) −(C1−C6)−アルキル−OH、
3) −(C1−C4)−アルキレン−(C3−C6)−シクロアルキル、
4) −CH2−フェニル(ここで、該フェニルは、非置換であるか、またはNO2またはメトキシで1回または2回置換されている)、
5) −CH2−CH=CH2、または
6) −(C1−C10)−アルキレン−O−C(O)−O−(C3−C6)−シクロアルキルである〕
の化合物。
【請求項13】
請求項12に記載の式IXの化合物であって、
式中、
Yは、−(C3−C8)−シクロアルキル[ここで、該シクロアルキルは、非置換であるか、または1つまたは2つのメチルまたは−(CH2)r−Het(ここで、該Hetは、ピロリジンまたはピペリジン)で置換されており、Hetは、−C(O)−(CH2)m−フェニルまたは−C(O)−CH−(フェニル)2で置換されており、mは、0、1または2の整数である]であり、
Zは、−(C1−C4)−アルキルまたはベンジルである、
上記化合物。
【請求項14】
請求項12または13に記載の式IXの化合物を得るための方法であって、
式II:
【化14】

(式中、ZおよびYは、請求項12および13に記載されているとおりである)
の化合物をチオシアン酸塩と反応させて式IXの化合物を得る工程を含む、上記方法。

【公表番号】特表2012−526763(P2012−526763A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510266(P2012−510266)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056426
【国際公開番号】WO2010/130718
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(504456798)サノフイ (433)
【Fターム(参考)】