説明

USBストレージデバイスの複製方法

【課題】
プログラムやデータが記憶されたUSBストレージデバイスを複製する際、複製先のUSBストレージデバイスの個別情報を使って複製元のUSBストレージデバイスに保存されているプログラムやデータに著作権保護をかけながら複製できる、新規なUSBストレージデバイスの複製方法の提供。
【解決手段】
プログラムやデータが記憶されたUSBストレージデバイスの複製を行う前に、複製先のUSBストレージデバイスの個別情報を読み取る、あるいはあらかじめ設定された個別情報を複製先のUSBストレージデバイスに書き込むことで、複製先のUSBストレージデバイスに複製するプログラムやデータに著作権保護をかけながら、USBストレージデバイスの複製を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスト装置(PCやホスト装置など外部記憶装置と接続可能で、操作に必要な表示装置を備えたものをいう)との間でデータのコピーを可能にする着脱可能なUSBストレージデバイスの複製方法に関する。
【0002】
USBストレージデバイスは、ホスト装置に接続しホスト装置のOSの機能を使用することにより、ホスト装置との間でデータのコピーを行うことができる着脱可能な外部記憶装置である。
このようなUSBストレージデバイスを使用することにより、異なる場所へデータを配布することが容易になった。またネットワークを活用できない環境でも使用可能であり、データ交換・データ配布用記憶装置として一般的になってきている。
【背景技術】
【0003】
従来これらのUSBストレージデバイスに、ホスト装置で使うアプリケーションソフトウェア、アプリケーションソフトで作った文書ファイル、また、ネットワークからダウンロードした音楽データ、デジタルカメラで撮影した画像データなどを保存し、異なる場所にあるホスト装置で、USBストレージデバイスに保存したデータを簡単に使うことができる。
【0004】
しかし、これらのUSBストレージデバイスは、持ち運びが簡単なため、紛失する懸念も多い。実際に、USBストレージデバイスを紛失し、個人情報が流失した事件は後を立たない。この問題を解決するために、USBストレージデバイスに保存したデータを見るには、使用者の指紋認証を行ったり、データを保存する際にパスワードの入力をしたりという手段を講じている。
【0005】
このように、個々人がUSBストレージデバイスにデータを保存する上では、多少面倒だが、使用者を識別する方法で個人情報を保護することができるが、著作権のある音楽ファイルや映像ファイルなどをUSBストレージデバイスに入れて販売するには、USBストレージデバイスが持つ個別の情報を使ったり、USBストレージデバイスに通常見ることができない隠し領域を持たせて、隠し領域にパスワードなどの情報を入れたりして著作権を保護する方法が取られている。
【0006】
また、USBストレージデバイスに上述した著作権を持つデータを入れた場合でも、使用者の操作ミスにより、内部のデータを簡単に消されてしまうため、USBストレージデバイスに書込みできない領域(ROM領域)を作り、消されたくないデータは、USBストレージデバイスのROM領域に保存するという方法が取られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Flexmedia Electronics Corp. 「製品カタログ」
【非特許文献2】U-Reach Inc. 「製品カタログ」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述したUSBストレージデバイスが持つ個別の情報を読み取る方法、隠し領域を作る方法、ROM領域を作る方法を使って、著作権の保護を行っているUSBストレージデバイスを複製するには、USBストレージデバイスを一つ一つ手作業で、かつ煩雑な作業を行う必要がある。
ここにおいて、本発明が解決すべき課題は次のとおりである。
【0009】
本発明方法の第1の課題は、プログラムやデータが記憶されたUSBストレージデバイスを複製する際、複製先のUSBストレージデバイスが持つ個別情報を読み取り、読み取った個別情報とプログラムやデータを一定の制限で変換し、その変換したデータを複製先のUSBストレージデバイスに複製する方法。
【0010】
第2の課題は、プログラムやデータが記憶されたUSBストレージデバイスを複製する際、複製先のUSBストレージデバイスが持つ個別情報を複製するプログラムやデータに合わせて書き換えながら複製する方法。
【0011】
第3の課題は、プログラムやデータが記憶されたUSBストレージデバイスを複製する際、複製元のUSBストレージデバイスの領域を読み取り、その領域に合わせて複製先のUSBストレージデバイスを複製する方法。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本題においては、上記課題解決のため、本発明が以下に列挙する上位概念から下位概念に亙るそれぞれ新規な特徴的構成を採用することにより、上記課題を解決する。
【0013】
本発明方法の第1の特徴は、(1)複製元のUSBストレージデバイスに保存されているプログラムやデータを読み取り、記憶しておくステップ(2)複製先のUSBストレージデバイスの個別情報を取得し、記憶しておくステップ(3)前記プログラムやデータに前記個別情報に基づいて、一定の制限を加えたプログラムやデータを作成するステップ(4)前記一定の制限を加えて作成したプログラムやデータを前記個別情報を読み取った複製先のUSBストレージデバイスに保存するステップを順で踏んでなる、USBストレージデバイスに記憶されたデータの複製方法の構成採用にある。
【0014】
本発明方法の第2の特徴は、(1)複製先のUSBストレージデバイスに書き込む個別情報を設定するステップ(2)複製元のUSBストレージデバイスに保存されているプログラムやデータを読み取り、記憶しておくステップ(3)複製先のUSBストレージデバイスに前記設定された個別情報を書き込むステップ(4)複製先のUSBストレージデバイスに前記保存したプログラムやデータを書き込むステップを順で踏んでなる、USBストレージデバイスに記憶されたデータの複製方法の構成採用にある。
【0015】
本発明装置の第3の特徴は、前記複製方法で、一定の制限を加えてプログラムやデータを作る際に、前記プログラムやデータを暗号化し、複製先のUSBストレージデバイスに保存する方法の構成採用にある。
【0016】
本発明方法の第4の特徴は、複製元のUSBストレージデバイスの領域情報に合わせて複製先のUSBストレージデバイスの領域を設定する方複製方法の構成採用にある。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、USBストレージデバイスが持つ個別の情報を読み取る方法、隠し領域を作る方法、ROM領域を作る方法を使って、著作権の保護を行っているUSBストレージデバイスを複製する作業が簡単に早く行えることである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施例であるUSBストレージデバイスの複製機のブロック図である。
【図2】USBストレージデバイスの領域の種類の例を示す図である。
【図3】USBストレージデバイスの個別情報の例を示す図である。
【図4】従来のUSBストレージデバイスの複製機と本発明の複製機で、複製できるUSBストレージデバイスのタイプとデータの比較を示す図である。
【図5】本発明の複製機を使ってUSBストレージデバイスに保存するデータに著作権保護をかけるフローチャートである。
【図6】本発明の複製機を使ってUSBストレージデバイスの領域を設定するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0019】
まず、USBストレージデバイスがどのような機能をもっているかについて、図2と図3を使って説明する。
図2は、USBストレージデバイスのタイプの一例である。一般に販売されているUSBストレージデバイスは、ホスト装置と接続し、プログラムやデータの書込み、読み込みが自由に行えるようになっている。これは、USBストレージデバイスのすべてをデータの読み書き可能なRAM領域に設定しているからである。
このようなRAM領域にプログラムやデータを保存した場合、使用者の不注意で消されてしまう恐れがある。この問題を解決する手段として、USBストレージデバイスを書込みできないROM領域やCD-ROM領域にすることができる。ROM領域やCD-ROM領域に書かれたプログラムやデータは、ホスト装置と接続したとき、読み込みはできるが、書込みができないため、使用者の不注意によって消される心配がない。しかしながら、書込みできないため、このようなUSBストレージデバイスの使用者は、自分のデータを保存して持ち運ぶという使い方はできない。
この問題を解決する手段で、一つのUSBストレージデバイスをROM領域(あるいはCD-ROM領域)とRAM領域の2つに分けることが考えられる。この方法だと、前述した問題は解決される。
つまり、ROM領域に消されては困るデータを保存し、RAM領域に、USBストレージデバイスの使用者が自分のデータを保存すれば良い。
また、USBストレージデバイスは、ホスト装置と接続した場合に使用者が見ることができない隠し領域を作ることができる。隠し領域は、特定のプログラムしかアクセスできない領域になっており、この領域にパスワードなどを保存しておくことで、USBストレージデバイスに保存したプログラムやデータに著作権保護を行うことができる。
図2では、5つのタイプについて記載したが、USBストレージデバイスは、RAM領域、ROM領域、CD-ROM領域、隠し領域を自由に複数の組み合わせで使うことができるようになっている。
【0020】
一方、USBストレージデバイスは、個々を識別するための個別情報を持っている。図3が個別情報の一例である。図3の中で、個別情報と呼ばれている主な情報は、次の5種である。
idVender、iDproduct、iManufacturer、iProduct、iSerialNumberの情報を使って、USBストレージデバイスを特定することができる。
これらの情報を、USBストレージデバイスに保存されているプログラムやデータに組み込むことで、特定のUSBストレージデバイスからしか動作しないプログラムやデータを作ることができ著作権の保護が可能になる。
例えば、AというUSBストレージデバイスに保存されているプログラムやデータをBというUSBストレージデバイスに複製しても、複製したプログラムやデータを実行する際にUSBストレージデバイスの個別情報を読み取ることで、Aでないということを判別し、BのUSBストレージデバイスからは動作しない。これは、ホスト装置内の記憶装置デバイスに複製した場合も同じことが言える。
【0021】
図1の装置は、複製元USB端子21に接続される複製元USBストレージデバイス31を、複数の複製先USB端子22に接続される複製先USBストレージデバイス32に複製する機能を持っている。
本装置の操作は、使用者が操作パネル7を使って、表示回路6を通じて表示される表示装置12の表示内容を見ながら行う。
【0022】
以下、図1と図5のフローチャートに基づいて説明する。
CPU1は、複製元USB端子21に複製元USBストレージデバイス31が挿入されるかを複製元USB I/F 3通じて確認する
【0023】
一方、CPU1は、複製元USB端子21に接続された複製元USBストレージデバイス31に保存されているプログラムあるいはデータを読み込み、内部記憶装置5に保存する。ここで保存したデータを「複製データ」呼ぶ。
【0024】
操作パネル7から作業者が複製開始を行うと、CPU1は、バス2に接続される、複製先USB I/F 4からUSBハブ11に接続される複製先USB端子22に複製先USBストレージデバイス32が接続されていることを確認する。ここで、複製先USBストレージデバイスが一つも接続されていない場合は、「複製先USBストレージデバイスがなく複製できない」というメッセージを表示回路6を通じで表示装置12に表示させ、複製開始を中止する。
また、CPU1は、接続されている複製先USBストレージデバイスの数量を確認する。
【0025】
複製先USBストレージデバイスの最初の一つの複製を始める。
最初に、作業者があらかじめ、操作パネル7を使って、USB情報を設定しているかどうかの確認を行う。作業者が、あらかじめUSB情報を設定してある場合(この情報を「設定USB情報」と呼ぶ)、複製先USBストレージデバイスのUSB情報を「設定USB情報」に基づき書換えを行う。
「設定USB情報」が設定されていない場合は、複製先USBストレージデバイスからUSB情報を取得する。(ここで取得したデータを「USB情報」と呼ぶ)
【0026】
CPU 1は、内蔵記憶装置5に保存されている「複製データ」と「設定USB情報」あるいは「USB情報」を一つのファイルにし、暗号化して複製先USBストレージデバイスに保存する。
【0027】
また、複製先USBストレージデバイスのUSB情報と前述した暗号化して保存した「設定USB情報」あるいは「USB情報」と比較し、その二つの情報が一致した時だけ、復号化できるソフトを複製先USBストレージデバイスに保存する。
このことにより、復号化のソフトは、この複製先USBストレージデバイスからしか動作せず、復号化ソフトが動作しないと、先に暗号化して保存したデータが復号化できないため、複製元USBストレージデバイスに保存されていたデータの保護が行えることになる。
ここまでの一連の作業は、複製先USBストレージデバイス32-1、32-2から32-Y、32-Zと順番に一つずつ行っていく。
【0028】
次に図1と図6のフローチャートに基づいて説明する。
CPU1は、複製元USB端子21に複製元USBストレージデバイス31が挿入されたことを、複製元USB
I/F 3通じて確認し、複製元USBストレージデバイス31の領域情報を取得する。領域情報は、RAM領域、ROM領域、CD-ROM領域、隠し領域の4つに分かれるが、それぞれの記憶容量も同時に取得し、内蔵記憶装置5に保存する。ここで保存したデータを「領域データ」と呼ぶ。
また、複製元USBストレージデバイスに保存されているデータを読み取り、内部記憶装置5に保存する。ここで保存したデータを「複製データ」と呼ぶ。
【0029】
操作パネル7から作業者が複製開始を行うと、CPU1は、バス2に接続される、複製先USB I/F 4からUSBハブ11に接続される複製先USB端子22に複製先USBストレージデバイス32が接続されていることを確認する。ここで、複製先USBストレージデバイスが一つも接続されていない場合は、「複製先USBストレージデバイスがなく複製できない」というメッセージを表示回路6を通じで表示装置12に表示させ、複製開始を中止する。
また、CPU1は、接続されている複製先USBストレージデバイスの数量を確認する。
【0030】
複製先USBストレージデバイスの最初の一つの複製を始める。
前述した内部記憶装置5に保存されている「領域データ」を元に複製先USBストレージデバイス32の領域の設定を行う。
また、あらかじめ内部記憶装置5に保存した「複製データ」を複製先USBストレージデバイス32に複製する。
【0031】
ここまでの一連の作業は、複製先USBストレージデバイス32-1、32-2から32-Y、32-Zと順番に一つずつ行っていく。
【産業上の利用可能性】
【0032】
この実施例では、USBストレージデバイスを例として説明したが、ホスト装置と接続可能な外部記憶装置であるSDカードやHDDなどのデュプリケータにも応用可能である。

【符号の説明】
【0033】
1 CPU
2 バス
3 複製元USB I/F
4 複製先USB I/F
5 内蔵記憶装置
6 表示回路
7 操作パネル
11 USBハブ
12 表示装置
21 複製元USB端子
22 複製先USB端子
31 複製元USBストレージデバイス
32 複製先USBストレージデバイス (32-1〜32-Z)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラとメモリ領域とを有するUSBストレージデバイスに記憶された情報を複製元の前記USBストレージデバイスから複製先の前記USBストレージデバイス複製する方法は、下記のステップからなる;
前記複製元のUSBストレージデバイスのコントローラおよびメモリ領域に記憶されている情報を読み出して記憶する;
前記複製先のUSBストレージデバイスのコントローラに記憶されている個別情報を記憶する:
前記記憶した個別情報に基づいて、前記複製元のコントローラおよびメモリ領域に記憶されている情報に所定の制限を加える;
前記所定の制限が加えられた情報を前記複製先のUSBストレージデバイスのコントローラおよびメモリ領域に保存する。
【請求項2】
コントローラとメモリ領域とを有するUSBストレージデバイスに記憶された情報を複製元の前記USBストレージデバイスから複製先の前記USBストレージデバイス複製する方法は、下記のステップからなる;
前記複製元のUSBストレージデバイスのコントローラに記憶されている個別情報を読み出して記憶する;
前記複製元の個別情報に基づいて設定した個別情報を作成する;
前記複製元のUSBストレージデバイスのメモリ領域に記憶されている情報を読み出す;
前記複製先のUSBストレージデバイスに前記設定した個別情報と前記読み出した情報とを書き込む。
【請求項3】
請求項2の複製する方法において、前記複製先USBストレージデバイスに書き込む情報を暗号化して、複製先のUSBストレージデバイスに複製する方法。
【請求項4】
請求項2の複製する方法において、複製元のUSBストレージデバイスの領域情報に合わせて複製先のUSBストレージデバイスの領域を設定することを特徴とするUSBストレージデバイスに複製する方法。


【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−145887(P2011−145887A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6057(P2010−6057)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(709000930)株式会社クイーリー (3)
【Fターム(参考)】