説明

USB多機能電話機、多機能電話制御装置、および、USB多機能電話システム

【課題】IPネットワーク上のコンピュータに接続してIP電話通信を行うUSB多機能電話機と、これを制御する多機能電話制御装置と、USB多機能電話システムを提供する。
【解決手段】USB多機能電話機3は、ダイヤルキー311、機能キー(ラインキー310、ファンクションキー312)の操作を示す操作情報を、USBポート361を介して多機能電話制御装置4に送信し、多機能電話制御装置4は、USB多機能電話機3から送信された操作情報の内容に応じた機能を実現するための処理を実行する。また、多機能電話制御装置4は、生成した制御情報をUSBポートを介してUSB電話機3に送信し、USB多機能電話機3は、受信した制御情報に応じて、ディスプレイ320やランプ321の表示を変えたり、スピーカ331やスピーカ340から音声を出力したりする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP電話、および、多機能電話に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IPネットワークを介して通話を行うことができるIP電話(インターネット電話を含む)サービスが普及している。IP電話に用いられる電話装置の一態様として、ネットワークプロトコル処理、呼制御処理や音声信号処理などを自身で行い、IPネットワーク(例えば、LAN)に直接接続して通話可能な電話機が知られている。このような電話機は、IP電話機と呼ばれている。
【0003】
また、IP電話に用いられる電話装置の他の態様として、PC(Personal Computer)などのコンピュータ上で動作するソフトウェアにより呼制御処理や音声信号処理などの電話機能を実現したものが知られている。このような電話装置は、ソフトフォンと呼ばれている。ユーザは、例えば、コンピュータに接続されたキーボードやマウスを使って、ソフトフォンを実現するアプリケーションプログラムを動作させるとともに、コンピュータに接続されたヘッドセットやハンドセットを用いて通話をすることができる。ヘッドセットやハンドセットは、例えば、USB(Universal Serial Bus)によりコンピュータと接続される。
【0004】
例えば、特許文献1には、インターネット網を通じて通話をするためのインターネット電話ソフトを有するPCと、インターネット電話ソフトとUSB経由で音声をやりとりし、音声デバイスとして機能するするUSB電話機とを備えるインターネット電話装置が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−128789号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電話網内で構内電話交換機(PBX)と多機能電話機を接続して、内線電話などの機能を実現した電話システムがある。このような電話システムでは、多機能電話機に備えられた各種機能ボタンを操作することにより、例えば、局線(電話番号)を選択して発着信を行ったり、内線通話を行ったりする様々な機能が提供される。ここで、多機能電話機とは、例えば、局線(電話番号)ごとの発着信などを行うためのラインキーを備えているものをいう。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されたUSB電話機やハンドセットは、多機能電話機と同等の各種機能ボタンを備えていない。また、ソフトフォンと同時に使用するための、スピーカとマイクロフォンなどの最低限の装置を備えたハンドセットやヘッドセットが知られているが、これらのものも各種機能ボタンを備えていない。そのため、IP電話システムにおいても従来と同様の使用方法、使い勝手で、多機能電話を使いたいというユーザの要望に応えることができない。
【0008】
本発明は、上記の要望に応えるべくなされたものであり、IPネットワーク上のコンピュータに接続してIP電話通信を行うUSB多機能電話機と、USB多機能電話機を制御する多機能電話制御装置と、これらの組み合わせから成るUSB多機能電話システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の要望に応えるUSB多機能電話機に係る発明は、VoIPシグナリング制御を行うコンピュータとUSBポートを介して接続され、IP電話通信を行うUSB多機能電話機であって、ダイヤルキーと、前記ダイヤルキーの操作内容を示すダイヤル情報を、前記コンピュータに前記USBポートを介して送信するダイヤル情報送信手段と、機能キーと、前記機能キーの操作内容を示す機能情報を、前記コンピュータに前記USBポートを介して送信する機能情報送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
ここで、上記のUSB多機能電話機は、出力インタフェースと、前記出力インタフェースの動作内容を示す制御情報を、前記コンピュータから前記USBポートを介して受信する制御情報受信手段と、前記制御情報受信手段により受信された前記制御情報の内容に応じて、前記出力インタフェースの制御を行う出力インタフェース制御手段と、を備えることを特徴とするものであってもよい。
【0011】
また、上記のUSB多機能電話機は、前記出力インタフェースとして表示装置を備え、前記出力インタフェース制御手段は、前記制御情報の内容に応じて前記表示装置の表示を変化させること、を特徴とするものであってもよい。
【0012】
上記の要望に応えるプログラムに係る発明は、USBポートを備えるコンピュータに、前記USBポートを介して接続されたUSB多機能電話機にIP電話通信を行わせる多機能電話制御装置としての機能を実行させるためのプログラムであって、前記USB多機能電話機のダイヤルキーの操作内容を示すダイヤル情報を、前記USBポートを介して前記コンピュータのUSB通信手段により受信するダイヤル情報受信ステップと、前記USB多機能電話機の機能キーの操作内容を示す機能情報を、前記USBポートを介して前記USB通信手段により受信する機能情報受信ステップと、前記ダイヤル情報受信ステップで受信したダイヤル情報を用いて、前記コンピュータが有する通信手段を介してVoIPシグナリング制御を行うシグナリング制御ステップと、前記機能情報受信ステップで受信した機能情報を用いて、当該機能情報の内容に応じた機能を実現するための処理を行う機能実現ステップと、を前記コンピュータに実行させることを特徴とする。
【0013】
また、上記のプログラムは、前記機能実現ステップでは、前記機能情報が発信電話番号を指定している場合、前記シグナリング制御ステップに、前記ダイヤル情報と前記発信電話番号とを用いて前記VoIPシグナリング制御を行うように指示すること、を特徴とするものであってもよい。
【0014】
また、上記のプログラムは、前記USB多機能電話機の出力インタフェースの動作内容を示す制御情報を作成する制御情報作成ステップと、前記制御情報作成ステップで作成した制御情報を、前記USBポートを介して前記USB通信手段により送信する制御情報送信ステップと、を前記コンピュータに実行させること、を特徴とするものであってもよい。
【0015】
また、上記のプログラムは、前記制御情報作成ステップでは、前記VoIPシグナリング制御の段階を示す制御情報を作成すること、を特徴とするものであってもよい。
【0016】
上記の要望に応える多機能電話制御装置に係る発明は、上記のプログラムをコンピュータにインストールしたものである。
【0017】
上記の要望に応えるUSB多機能電話システムに係る発明は、上記のUSB多機能電話機と、上記の多機能電話制御装置とを備えるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
【0019】
図1は、本発明が適用された一実施形態のシステム構成の概略を示す図である。
【0020】
本図に示すように、本システムでは、イントラネット・IP電話システム1と他のシステム12が、IP電話網10やインターネット網11などのIPネットワークを介して接続されている。イントラネット・IP電話システム1は、例えば、企業や工場など構内に構築されたネットワークシステムであり、LAN2上に、コンピュータネットワークとIP電話ネットワークが統合されたものである。他のシステム12は、例えば、住宅内のLANや、企業などのイントラネットである。他のシステム12上には、例えば、IP電話13、ソフトフォンがインストールされたPC14、ヘッドセット15、PC16などが設けられており、それらの装置は、IP電話網10やインターネット網11を介して、通話や通信を行うことができる。
【0021】
イントラネット・IP電話システム1は、USB多機能電話機3と、多機能電話制御装置4と、呼制御サーバ5と、PC6と、ヘッドセット7と、PC8と、IP電話機9とを備える。USB多機能電話機3とヘッドセット7は、それぞれ多機能電話制御装置4とPC6を介してLAN2に接続される。多機能電話制御装置4と、呼制御サーバ5と、PC6と、PC8と、IP電話機9は、それぞれ直接LAN2に接続される。
【0022】
USB多機能電話機3は、本発明が適用された多機能電話機であり、USBを介して多機能電話制御装置4と接続され、各種ボタンの操作内容を示す制御データ、例えば、ダイヤルキーの操作内容をしめすデータや、ラインキーなどの機能ボタンの操作内容を示すデータを多機能電話制御装置4に送信したり、多機能電話制御装置4から受信した制御データ、例えば、ディスプレイに表示させる内容を示すデータに従ってディスプレイの表示を変更したりする。また、ハンドセットのマイクロフォンなどから入力された音声データを多機能電話制御装置4に送信したり、多機能電話制御装置4から受信した音声データをスピーカから出力したりする。
【0023】
USB多機能電話機3は、例えば、図2に示すように構成される。本図に示すように、USB多機能電話機3は、ラインキー310と、ダイヤルキー311と、ファンクションキー312の各種ボタンと、ディスプレイ320と、ランプ321と、ハンドセット330と、スピーカ340と、マイクロフォン350と、USBポート361とを備え、一般的な多機能電話機と同様に構成されている。なお、ここでは、ラインキー310と、ファンクションキー312をまとめて機能キーと呼ぶものとする。また、後述するように、USB多機能電話機3は、上記の各装置を制御するために、CPU、RAM、ROMと、これらと上記の各装置を接続するインタフェース(I/F)や駆動部などを備える。
【0024】
ラインキー310は、それぞれ予め電話番号(発信番号)を割り当てることができ、電話番号ごとに発着信を実行するためのボタンである。内部にLED(Light Emitting Diode)などを備え、発着信などの状態に応じて点灯や点滅をすることできてもよい。ダイヤルキー311は、発信の際に電話番号や短縮ダイヤル番号などを入力するためのボタンである。ファンクションキー312は、発着信履歴表示、オンフック、発信、保留、転送などの各種機能を実行するためのボタンである。なお、ラインキー310の代わりに、フリーファンクションキーを備え、ラインキーのとしての機能や、転送等の様々な機能をユーザが設定できるようにしてもよい。
【0025】
ディスプレイ320は、日付、時刻、通話時間、通話状態などを表示するための表示装置であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などにより構成される。ランプ321は、着信、外線通話中、内線通話中などの通話状態を表示するための表示装置であり、例えば、LEDなどにより構成される。ハンドセット330は、スピーカおよびマイクロフォンを備え、通話時に音声の入出力するための装置である。スピーカ340は、着信音を出力したり、ハンズフリー通話などにおいて音声を出力したりする。マイクロフォン350は、ハンズフリー通話などにおいて音声を集音する。USBポート361は、多機能電話制御装置4などのUSBポートを有する装置と接続するためのポートである。
【0026】
図1に戻って、多機能電話制御装置4は、本発明が適用されたコンピュータであり、USB多機能電話機3の動作の制御や、呼制御処理、音声信号処理などを実行する。多機能電話制御装置4は、USBを介してUSB多機能電話機3と接続される。
【0027】
多機能電話制御装置4は、一般的なコンピュータであり、例えば、図3に示すように、各種演算を行うCPU400と、プログラムやデータを記憶する主記憶装置410と、ハードディスク等の補助記憶装置420と、LAN2などのネットワーク上の外部装置と通信を行うためネットワークアダプタなどの通信装置430と、LAN2などのネットワークと接続するためのLANポート431と、キーボードやマウス等の入力装置440と、ディスプレイ等の出力装置450と、CD−ROM等の可搬性を有する可搬型記憶媒体の情報を読み出す読み取り装置460と、USBによるデータ伝送を制御してUSB多機能電話機3などのUSB機器と通信を行うUSBコントローラ470と、USB機器と接続するためのUSBポート471とを備える。
【0028】
呼制御サーバ5は、IP電話網10やインターネット網11などのIPネットワークを介してVoIP(Voice Over Internet Protocol)シグナリングの制御(呼制御)を行う。また、内線通話の制御や、多機能電話の各種機能の制御を行う。呼制御サーバ5は、例えば、SIP(Session Initiation Protocol)サーバやIP−PBXであり、これらの機能を、専用ハードウェアやソフトウェアにより実現した装置である。もちろん、VoIPの方式は、SIPに限られず、H.323を用いてもよい。また、ここでは、呼制御サーバ5は、IPルータの機能を内蔵している。もちろん、IPルータを別の装置としてLAN2を構成してもよい。
【0029】
PC6は、ソフトフォンがインストールされた一般的なコンピュータであり、ヘッドセット7が接続されている。PC8は、一般的なコンピュータである。IP電話機9は、LAN2に直接接続されている。
【0030】
次に、USB多機能電話機3と、多機能電話制御装置4の機能構成について説明する。
【0031】
図4は、USB多機能電話機3の機能構成を示すブロック図である。本図に示すように、USB多機能電話機3は、主制御部30と、ボタンキー監視制御部31と、表示制御部32と、ハンドセット制御部33と、スピーカ制御部34と、マイク制御部35と、USB制御部36とを備える。これらの機能部は、例えば、CPU300がROM302に予め記憶されている所定のプログラムをRAM301上にロードして実行することにより構築される。また、これらの機能部は、CPUが各装置(図2参照)を制御するために設けられたI/Fや駆動部(図示しない)を介して、各装置を制御する。
【0032】
主制御部30は、USB制御部36を介して多機能電話制御装置4から送信された制御データを受け付け、その制御データの制御内容に対応する処理が実行されるように他の機能部を制御する。例えば、呼の状態(発信中、呼出中、通話中、保留中など)を含む制御データを受け付けて、表示制御部32に、ディスプレイ320の表示やランプ321の点灯の色などを変更するように要求する。また、主制御部30は、USB制御部36を介して多機能電話制御装置4から送られた状態音データ(発信中、呼出中などを示す音声データ)や音声データを受け付け、ハンドセット制御部33やスピーカ制御部34に出力する。
【0033】
また、主制御部30は、ボタン監視制御部31を介して入力されたユーザの操作(ラインキー310、ダイヤルキー311、ファンクションキー312の押下)を受け付け、その操作内容を、ダイヤル情報や機能情報として制御データに変換し、USB制御部36を介して多機能電話制御装置4に送信する。また、ハンドセット制御部33やマイク制御部35を介して入力されたユーザの音声データを受け付け、USB制御部36を介して多機能電話制御装置4に送信する。
【0034】
ボタンキー監視制御部31は、ラインキー310、ファンクションキー311、ダイヤルキー312の操作を駆動部(図示しない)を介して検出し、主制御部30に出力する。
【0035】
表示制御部32は、主制御部30を介して受け付けた制御データの内容、例えば、呼の状態などに従って、ディスプレイ320の表示や、ランプ321の点灯、点滅などを駆動部(図示しない)を介して制御する。
【0036】
ハンドセット制御部33は、主制御部30を介して受け付けた状態音データや音声データを、駆動部(図示しない)を介してD/A変換し、ハンドセット330のスピーカ331から音声として出力する。また、ハンドセット330のマイクロフォン332から入力された音声を、駆動部を介してA/D変換し、音声データとして主制御部30に出力する。
【0037】
スピーカ制御部34は、主制御部30を介して受け付けた音声データ、例えば、着信音の音声データを、駆動部(図示しない)を介してD/A変換し、スピーカ340から音声として出力する。
【0038】
マイク制御部35は、例えば、ハンズフリーモードなどにおいて、マイクロフォンを介して入力された音声を、駆動部(図示しない)を介してA/D変換し、音声データとして主制御部30に出力する。
【0039】
USB制御部36は、USBコントローラ360による通信を制御し、USBポート361を介して多機能電話制御装置4との間で制御データや音声データの送受信を行う。
【0040】
図5は、多機能電話制御装置4の機能構成を示すブロック図である。本図に示すように、多機能電話制御装置4は、呼制御部40と、RTP/RTCP制御部41と、符号化/復号化処理部42と、USB制御部43と、ネットワーク処理部44と、ネットワークインタフェース(I/F)制御部45と、電話アプリケーション部46を備える。
【0041】
これらの機能部は、例えば、CPU400が補助記憶装置420に予め記憶されている所定のプログラム421を主記憶装置410上にロードして実行することにより達成される。プログラムは、読み取り装置460を介して可搬型記憶媒体から、あるいは、通信装置430を介してネットワークから、補助記憶装置420にダウンロードされ、それから、主記憶装置410上にロードされてCPU400により実行されるようにしてもよい。また、読み取り装置460やUSBコントローラ470を介して可搬型記憶媒体から、あるいは、通信装置430を介してネットワークから、主記憶装置410上に直接ロードされ、CPU400により実行されるようにしてもよい。
【0042】
ここで、呼制御部40と、RTP/RTCP制御部41と、符号化/復号化処理部42と、電話アプリケーション部46は、USB多機能電話機3を使用したIP電話サービスを提供するために必要な機能部であり、例えば、CD−ROM等の可搬型記憶媒体にプログラムとして記憶された状態でユーザに頒布される。ユーザは、CD−ROM等に格納されたプログラムをコンピュータにインストールし、USB多機能電話機3を接続することで、IP電話通信を行うことができる。
【0043】
呼制御部40は、発呼や着呼などのVoIPシグナリングの制御を、例えばSIPに従って行う。もちろん、VoIPの方式は、SIPに限られず、H.323を用いてもよい。また、USB制御部43を介してUSB多機能電話機3から制御データを受信して、当該制御データに応じた処理を行ったり、USB多機能電話機3を制御する制御データを生成する処理を行ったりする。例えば、呼制御部40は、USB多機能電話機3からUSB制御部43を介して、ダイヤル情報と、発信操作を示す機能情報を含む制御データを受け付けて、もしくは、電話アプリケーション部46から発信を示す指示を受け付けて、セッションを確立するためのシグナリング制御を開始する。また、ラインキーや保留キーなどの機能キーの操作を示す機能情報を含む制御データを受け付けて、当該操作に応じた処理を行う。また、呼制御部40は、シグナリング制御の各段階(例えば、発信中、呼出中、保留中など)に対応する状態音データ(ダイヤルトーン、リングバックトーン、ビジートーン、保留音など)を、USB多機能電話機3に送信する。状態音データ422は、例えば、符号化(圧縮)されて補助記憶装置420に予め格納されている。
【0044】
RTP/RTCP制御部41は、呼制御部40によりセッションが確立された後、RTPにより音声データの送受信などを制御する。また、RTCPにより伝送レートの制御など行う。例えば、RTP/RTCP制御部41は、USB多機能電話機3から符号化/復号化処理部42を介して受け付けた音声データを、RTPパケット化してネットワーク処理部44に出力する。また、ネットワーク処理部44から受け付けたRTPパケットから音声データを抽出して、符号化/復号化処理部42に出力する。また、RTP/RTCP制御部41は、ネットワーク上のパケットの遅延(ゆらぎ)により発生する音声品質の劣化を防止するジッタ吸収制御を行う。
【0045】
符号化/復号化処理部42は、コーデックにより音声データの符号化(圧縮)、復号化(伸長)などを行う。例えば、符号化/復号化処理部42は、USB多機能電話機3からUSB制御部43を介してユーザの音声データを受け付け、圧縮を行って、RTP/RTCP制御部に出力する。また、RTP/RTCP制御部41から圧縮された音声データを受け付け、伸長を行って、USB制御部43を介してUSB多機能電話機3に送信する。また、符号化/復号化処理部42は、呼制御部40から指定された状態音データを復号化(伸長)して、USB制御部43を介してUSB多機能電話機3に送信する。
【0046】
USB制御部43は、USBコントローラ470による通信を制御し、USBポート471を介してUSB多機能電話機3との間で制御データや音声データの送受信を行う。
【0047】
ネットワーク処理部44は、TCP、UDP、IPなどのプロトコル処理を行う。例えば、RTP/RTCP処理部41からRTPパケットを受け付けて、UDPヘッダおよびIPヘッダを付加してネットワークI/F処理部45に出力する。また、ネットワークI/F処理部45からIPパケットを受け付けて、RTPパケットを抽出し、RTP/RTCP制御部41に出力する。
【0048】
ネットワークインタフェース(I/F)制御部45は、通信装置430による通信を制御し、LANポート431を介して、呼制御サーバ5などのLAN2に接続された他の装置との間で通信を行う。
【0049】
電話アプリケーション部46は、ユーザに、電話の発信、電話帳の管理、プレゼンス管理などの、ソフトフォンとしての機能を提供する。例えば、電話アプリケーション部46は、ユーザの操作を受け付けるための画面を出力装置450に表示し、入力装置440を介してユーザの操作を受け付けて、電話帳から選択された電話番号とのセッションを確立する要求を呼制御部40に出したり、指定された電話番号の相手先の状態をプレゼンスサーバから取得して出力装置450に表示させたりする。
【0050】
次に、上述の構成を有するUSB多機能電話機3と多機能電話制御装置4により実現される特徴的な動作について、図6〜8を参照して説明する。
【0051】
図6は、USB多機能電話機のラインキーの操作により通話セッションを確立する流れを示すシーケンス図である。ここでは、USB多機能電話機3が、IP電話網10を通じて相手側のIP電話機12と通話するものとして説明する。また、SIPによるシグナリングを例に説明する。
【0052】
まず、USB多機能電話機3は、ラインキー310の押下を受け付けて、多機能電話制御装置4に通知する(S1000)。具体的には、ボタンキー監視制御部31がユーザの操作によるラインキー310の押下を検出すると、主制御部30は、当該キー操作の内容を示す機能情報を含む制御データ(例えば、キーを識別するためのコードなど)を生成し、USB制御部36を介して多機能電話制御装置4に送信する。
【0053】
USB多機能電話機3からラインキー310の押下の通知を受け付けて、多機能電話制御装置4は、発信番号を決定する(S1010)。具体的には、USB制御部43を介してラインキー310の押下を示す制御データを受け付けると、呼制御部40は、当該制御データが示すラインキー310に予め割り当てられた電話番号を発信番号として決定する。ラインキー310と電話番号の対応は、例えば、電話アプリケーション部46が提供するGUI画面を介して、ユーザにラインキー310ごとの電話番号を設定させ、その対応を示すデータを呼制御部40が保持することで管理される。
【0054】
また、USB多機能電話機3からラインキー310の押下の通知を受け付けて、多機能電話制御装置4は、ダイヤルトーン(DT)を鳴動するように、USB多機能電話機3に要求する(S1020)。具体的には、USB制御部43を介してラインキー310の押下を示す制御データを受け付けると、呼制御部40は、補助記憶装置420などに予め格納されたダイヤルトーンの状態音データを読み出し、復号化してUSB多機能電話機3に送信するように符号化/復号化処理部42に指示する。符号化/復号化処理部42は、当該状態音データを復号化して、USB制御部43を介してUSB多機能電話機3に送信する。もちろん、ダイヤルトーンの状態音データを予めUSB多機能電話機3上に格納しておき、呼制御部40からの要求に従って、USB多機能電話機3が当該状態音データを復号化して鳴動するようにしてもよい。
【0055】
多機能電話制御装置4からダイヤルトーンの鳴動の要求を受け付けて、USB多機能電話機3は、ダイヤルトーンを再生する(S1030)。具体的には、USB制御部36を介してダイヤルトーンの状態音データを受け付けると、主制御部30は、当該状態音データをハンドセット制御部33に送信し、ハンドセット330のスピーカ331から出力させる。
【0056】
続いて、USB多機能電話機3は、ダイヤルキー311の押下を受け付けて、多機能電話制御装置4に通知する(S1040)。具体的には、ボタンキー監視制御部31がユーザの操作によるダイヤルキー311の押下を検出すると、主制御部30は、当該キー操作の内容を示すダイヤル情報を含む制御データ(例えば、キーを識別するためのコードなど)を生成し、USB制御部36を介して多機能電話制御装置4に送信する。
【0057】
そして、多機能電話制御装置4は、USB多機能電話機3からダイヤルキー311の押下の通知を受け付ける(S1050)。具体的には、USB制御部43を介してダイヤルキー311の押下を示す制御データを受け付けると、呼制御部40は、当該制御データが示すダイヤルキー311に対応する番号を順次記憶する。もちろん、入力されたダイヤル情報を順次USB多機能電話機3上に記憶するようにし、発信キーが押下されたときに、ダイヤル情報がまとめて多機能電話制御装置4に送られるようにしてもよい。
【0058】
USB多機能電話機3は、発信キーの押下を受け付けて、多機能電話制御装置4に通知する(S1060)。具体的には、ボタンキー監視制御部31がユーザの操作による発信キーの押下を検出すると、主制御部30は、当該キー操作の内容を示す制御データを、USB制御部36を介して多機能電話制御装置4に送信する。
【0059】
多機能電話制御装置4は、USB多機能電話機3から発信キーの押下の通知を受け付けて、発信の処理を行う(S1070)。具体的には、USB制御部43を介して発信キーの押下を示す制御データを受け付けると、呼制御部40は、S1050で記憶した番号列を着信先の電話番号として決定し、ネットワーク処理部44を介して呼を確立するために必要な情報を送信する処理を行う。まず、呼制御部40は、例えば、ISP(Internet Service Provider)や電話通信事業者が提供する、電話番号とURI(Uniform Resource Identifier)の対応を管理するENUM(tElephone Number Mapping)などのサーバに問い合わせることにより、着信先を特定するURI(Uniform Resource Identifier)を取得する。そして、当該URIを含むINVITEメッセージを呼制御サーバ5に送信する。ここで、当該INVITEメッセージの発信元は、多機能電話制御装置4に割り当てられたURIやIPアドレスとなる。
【0060】
INVITEメッセージを受信すると、呼制御サーバ5は、当該INVITEメッセージを着信先のIP電話機12に送信する(S1080)。INVITEメッセージは、IP電話網10を介して、着信先のIP電話機12に到達する(S1090)。そして、IP電話12は、INVITEメッセージを受信すると着信音を鳴動する(S1100)とともに、呼出中を示す180Ringingメッセージを多機能電話制御装置4に送信する(S1110)。180Ringingメッセージは、IP電話網10を介して、呼制御サーバ5に到達する(S1120)。180Ringingメッセージを受信すると、呼制御サーバ5は、当該180Ringingメッセージを発信元の多機能電話制御措置4に送信する(S1130)。
【0061】
180Ringingメッセージを受信して、多機能電話制御装置4は、ディスプレイ320、ランプ321の表示を更新するように、USB多機能電話機3に要求する(S1140)。具体的には、ネットワークI/F制御部45およびネットワーク処理部44を介して180Ringingメッセージを受信すると、呼制御部40は、呼出中の状態であることを示す制御データを、USB制御部43を介してUSB多機能電話機3に送信する。
【0062】
多機能電話制御装置4からディスプレイ320、ランプ321の表示を更新する要求を受け付けて、USB多機能電話機3は、表示の更新を行う(S1150)。具体的には、USB制御部36を介して制御データを受け付けると、主制御部30は、表示制御部32に、例えば、「呼出中」などの文字をディスプレイ320に表示させたり、ランプ321を点滅させたりさせる。
【0063】
また、ディスプレイ320、ランプ321の表示更新の要求とともに、多機能電話制御装置4は、リングバックトーン(RBT)を鳴動するように、USB多機能電話機3に要求する(S1160)。具体的には、呼制御部40は、補助記憶装置420などに予め格納されたリングバックトーンの状態音データを読み出し、復号化してUSB多機能電話機3に送信するように符号化/復号化処理部42に指示する。符号化/復号化処理部42は、当該状態音データを復号化して、USB制御部43を介してUSB多機能電話機3に送信する。もちろん、リングバックトーンの状態音データを予めUSB多機能電話機3上に格納しておき、呼制御部40からの要求に従って、USB多機能電話機3が当該状態音データを復号化して鳴動するようにしてもよい。
【0064】
多機能電話制御装置4からリングバックトーンの鳴動の要求を受け付けて、USB多機能電話機3は、リングバックトーンを再生する(S1170)。具体的には、USB制御部36を介してリングバックトーンの状態音データを受け付けると、主制御部30は、当該状態音データをハンドセット制御部33に送信し、ハンドセット330のスピーカ331から出力させる。
【0065】
S1110において180Ringingメッセージを多機能電話制御装置4に送信した後、受話器が上げられたことを検出すると、IP電話機12は、応答を示す200OKメッセージを多機能電話制御装置4に送信する(S1180)。200OKメッセージは、IP電話網10を介して、呼制御サーバ5に到達する(S1190)。呼制御サーバ5は、当該200OKメッセージを多機能電話制御装置4に送信する(S1200)。
【0066】
200OKメッセージを受信して、多機能電話制御装置4は、ディスプレイ320、ランプ321の表示を更新するように、USB多機能電話機3に要求する(S1210)。具体的には、ネットワークI/F制御部45およびネットワーク処理部44を介して200OKメッセージを受信すると、呼制御部40は、通話中の状態であることを示す制御データを、USB制御部43を介してUSB多機能電話機3に送信する。
【0067】
多機能電話制御装置4からディスプレイ320、ランプ321の表示を更新する要求を受け付けて、USB多機能電話機3は、表示の更新を行う(S1220)。具体的には、USB制御部36を介して制御データを受け付けると、主制御部30は、表示制御部32に、例えば、「通話中」などの文字をディスプレイ320に表示させたり、ランプ321を点灯させたりする。
【0068】
上述のようにして呼が確立すると、USB多機能電話機3とIP電話機12の間で通話が行われる(S1230)。具体的には、S1210において、呼制御部40は、ACKメッセージをIP電話12に送信して呼を確立し、RTP/RTCP制御部41を介した音声データの通話制御に切り替える。すなわち、USB制御部43を介してUSB多機能電話機3から送られた音声データは、符号化/復号化処理部42において符号化され、RTP/RTCP制御部41でRTPパケット化されて、IP電話機12へ送信される。また、ネットワークI/F制御部45を介してIP電話機12から送られたパケットに含まれる音声データは、RTP/RTCP制御部41において抽出され、符号化/復号化処理部42において復号化され、USB多機能電話機3へ送信される。
【0069】
以上のようにして、USB多機能電話機と多機能電話制御装置が連携して処理を行うことにより、USB多機能電話からのユーザ操作をトリガとして通話を行うことができる。また、ユーザは、USB多機能電話の操作のみで通話を行うことができる。
【0070】
図7は、多機能電話制御装置の操作により通話セッションを確立する流れを示すシーケンス図である。図6と同様に、USB多機能電話機3が、IP電話網10を通じて相手側のIP電話機12と通話するものとして説明する。また、SIPによるシグナリングを例に説明する。なお、図6と同様の処理については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0071】
多機能電話制御装置4の電話アプリケーション部46は、例えば、出力装置450に表示させた、GUI画面(例えば、ラインキー、ダイヤルキー、電話帳ボタンなどを配置した画面)上のユーザの操作を、入力装置440を介して受け付けて、操作に対応した処理を呼制御部40に要求する(S2000)。ここでは、発信をするための操作として、ラインキーの押下(発信番号の指定)と、ダイヤルキーの押下と、発信キーの押下とを受け付けたものとする。これらの操作を受け付けて、電話アプリケーション部46は、指定された着信先の電話番号を有する相手端末と呼を確立するように、呼制御部40に要求する。
【0072】
電話アプリケーション部46から要求を受け付けると、呼制御部40は、オフフック状態に移行するように、USB多機能電話機3に要求する(S2010)。具体的には、オフフック状態を示す制御データを、USB制御部43を介してUSB多機能電話機3に送信する。
【0073】
USB多機能電話機3は、オフフックの要求を受け付けて、オフフック状態に移行する(S2020)。具体的には、USB制御部36を介してオフフック状態を示す制御データを受け付けると、主制御部30は、ハンドセット制御部33に指示してオフフック状態に移行させる。
【0074】
また、呼制御部40は、スピーカをON状態に移行するように、USB多機能電話機3に要求する(S2030)。具体的には、スピーカON状態を示す制御データを、USB制御部43を介してUSB多機能電話機3に送信する。
【0075】
USB多機能電話機3は、スピーカONの要求を受け付けて、スピーカをON状態に移行する(S2040)。具体的には、USB制御部36を介してスピーカON状態を示す制御データを受け付けると、主制御部30は、スピーカ制御部34に指示してスピーカ340をON状態に移行させる。
【0076】
また、呼制御部40は、ディスプレイ320、ランプ321の表示を更新するように、USB多機能電話機3に要求する(S2050)。具体的には、発信中の状態であることを示す制御データを、USB制御部43を介してUSB多機能電話機3に送信する。
【0077】
多機能電話制御装置4からディスプレイ320、ランプ321の表示を更新する要求を受け付けて、USB多機能電話機3は、表示の更新を行う(S2060)。具体的には、USB制御部36を介して制御データを受け付けると、主制御部30は、表示制御部32に、例えば、「発信中」などの文字をディスプレイ320に表示させたり、ランプ321を点滅させたりする。
【0078】
その後、呼制御部40は、S2000において指定された着信先の電話番号を用いて、ネットワーク処理部44を介して呼を確立するために必要な情報を送信する処理を行う(S2070)。具体的な処理内容は、S1060(図6)と同様である。
【0079】
以上のようにして、USB多機能電話機と多機能電話制御装置が連携して処理を行うことにより、多機能電話制御装置からのユーザ操作をトリガとして通話を行うことができる。また、ユーザは、多機能電話制御装置上のアプリケーションプログラムにより提供される多様な便利な機能を用いてUSB多機能電話を使用することができる。ここでは、多機能電話制御装置からダイヤルにより発信を行う場合を説明したが、もちろん、電話帳に記憶された電話番号を指定することにより、あるいは、ブラウザの画面上に表示された電話番号を指定することにより発信を行うようにしてもよい。
【0080】
図8は、USB多機能電話機の保留キーの操作により通話の保留を行う流れを示すシーケンス図である。なお、通話の保留は、図7、8で説明したように通話が開始された(S1230)後に行われる。
【0081】
USB多機能電話機3は、保留キーの押下を受け付けて、多機能電話制御装置4に通知する(S3000)。具体的には、ボタンキー監視制御部31がユーザの操作による保留キーの押下を検出すると、主制御部30は、当該キー操作の内容を示す制御データを、USB制御部36を介して多機能電話制御装置4に送信する。
【0082】
多機能電話制御装置4は、USB多機能電話機3から保留キーの押下の通知を受け付けて、保留のための処理を行う(S3010)。具体的には、USB制御部43を介して保留キーの押下を示す制御データを受け付けると、まず、呼制御部40は、通話の相手先であるIP電話機12に、保留を通知する情報を送信する処理を行う。例えば、IP電話機12のURIを宛先とする、re−INVITEメッセージを呼制御サーバ5に送信する。re−INVITEメッセージを受信すると、呼制御サーバ5は、当該re−INVITEメッセージをIP電話機12に送信する(S3020)。re−INVITEメッセージは、IP電話網10を介して、IP電話機12に到達する(S3030)。そして、IP電話機12は、re−INVITEメッセージを受信すると(S3040)、例えば、応答を示す200OKメッセージを多機能電話制御装置4に送信する(図示しない)。当該200OKメッセージを受信すると、呼制御部40は、ACKメッセージをIP電話12に送信する(図示しない)。
【0083】
また、USB制御部43を介して保留キーの押下を示す制御データを受け付けると(S3010)、呼制御部40は、以下のS3050、S3070、S3090の処理を行う。
【0084】
まず、呼制御部40は、補助記憶装置420などに予め格納された保留音の状態音データを読み出し、復号化してUSB多機能電話機3に送信するように符号化/復号化処理部42に指示する。そして、符号化/復号化処理部42は、当該状態音データを復号化して、USB制御部43を介してUSB多機能電話機3に送信する(S3050)。もちろん、保留音の状態音データを予めUSB多機能電話機3上に格納しておき、呼制御部40からの要求に従って、USB多機能電話機3が当該状態音データを復号化して鳴動するようにしてもよい。
【0085】
多機能電話制御装置4から保留音の鳴動の要求を受け付けて、USB多機能電話機3は、保留音を再生する(S3060)。具体的には、USB制御部36を介して保留音の状態音データを受け付けると、主制御部30は、当該状態音データをハンドセット制御部33に送信し、ハンドセット330のスピーカ331から出力させる。
【0086】
また、呼制御部40は、ディスプレイ320、ランプ321の表示を更新させるため、保留中の状態であることを示す制御データを、USB制御部43を介してUSB多機能電話機3に送信する(S3070)。
【0087】
多機能電話制御装置4からディスプレイ320、ランプ321の表示を更新する要求を受け付けて、USB多機能電話機3は、表示の更新を行う(S3080)。具体的には、USB制御部36を介して保留中の状態であることを示す制御データを受け付けると、主制御部30は、表示制御部32に、例えば、「保留中」などの文字をディスプレイ320に表示させたり、ランプ321を点滅させたりさせる。
【0088】
また、呼制御部40は、保留中を示すメッセージと、補助記憶装置420などに予め格納された保留音の状態音データを、通話先のIP電話機12に送信するようにRTP/RTCP制御部41に指示する。そして、RTP/RTCP制御部41は、保留中を示すメッセージと保留音の音声データを、RTPパケット化して、ネットワークI/F制御部45を介してIP電話機12送信する(S3090)。保留中を示すメッセージと保留音の状態音データを含むパケットは、呼制御サーバ5およびIP電話網10を介して、IP電話機12に到達する(S3100、S3110)。
【0089】
保留中を示すメッセージと保留音の状態音データを含むパケットを受信すると、IP電話機12は、例えば、保留中を示す色でランプ321を点灯させたり、「保留中」とディスプレイ320に表示させたりする(S3120)。もちろん、保留音の状態音データを予めIP電話機12上に格納しておき、多機能電話制御装置4からの通知を受けた際に、IP電話機12が当該状態音データを復号化して鳴動するようにしてもよい。
【0090】
以上のようにして、USB多機能電話機と多機能電話制御装置が連携して処理を行うことにより、USB多機能電話からのユーザ操作をトリガとして保留を行うことができる。また、ユーザは、USB多機能電話の操作のみで保留を行うことができる。もちろん、多機能電話制御装置からのユーザ操作をトリガとして保留を行うようにしてもよい。
【0091】
以上、本発明の一実施形態について説明した。
【0092】
本実施形態によれば、IPネットワーク上のコンピュータに接続してIP電話通信を行うUSB多機能電話機と、USB多機能電話機を制御する多機能電話制御装置と、これらの組み合わせから成るUSB多機能電話システムを提供できる。これにより、ユーザは、従来の多機能電話機と同様の操作で、多機能電話機を用いたIP電話サービスを受けることができるとともに、多機能電話の機能を使用することができる。すなわち、従来から多機能電話機を使用していたユーザは、従来と同じように、USB多機能電話機を違和感なく使うことができる。また、ユーザは、コンピュータのGUI等による新たなサービス(電話帳発信、発着信履歴管理、プレゼンス管理、アプリケーション連動発信機能等)を受けることができるとともに、従来の多機能電話機と同様の操作で、多機能電話の機能を使用することができる。
【0093】
さらに、本実施形態によれば、多機能電話機をUSBによりコンピュータと接続される。これにより、USBバス給電を利用することができ、新たに電源ケーブルを配線する必要がなくなる。また、新たにLANケーブルを配線する必要もなくなる。そのため、従来のIP電話機と異なり、システム導入時の際のケーブル工事が不要となり、導入コストが低減される。また、本実施形態によれば、多機能電話機が通話を行う際には、USB接続したコンピュータのIPアドレスが使用される。これにより、IPアドレスの消費を抑えることができ、ネットワーク設計が容易になる。
【0094】
以上、本発明について、例示的な実施形態と関連させて記載した。多くの代替物、修正および変形例が当業者にとって明らかであることは明白である。したがって、上に記載の本発明の実施形態は、本発明の要旨と範囲を例示することを意図し、限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明が適用された一実施形態のシステム構成の概略を示す図。
【図2】USB多機能電話機の外観の例を示す図。
【図3】多機能電話制御装置のハードウェア構成を示すブロック図。
【図4】USB多機能電話機の機能構成を示すブロック図。
【図5】多機能電話制御装置の機能構成を示すブロック図。
【図6】USB多機能電話機のラインキーの操作により通話セッションを確立する流れを示すシーケンス図。
【図7】多機能電話制御装置の操作により通話セッションを確立する流れを示すシーケンス図。
【図8】USB多機能電話機の保留キーの操作により通話の保留を行う流れを示すシーケンス図。
【符号の説明】
【0096】
1・・・イントラネット・IP電話システム、2・・・LAN、3・・・USB多機能電話機、4・・・多機能電話制御装置、5・・・呼制御サーバ、6・・・PC、7・・・ヘッドセット、8・・・PC、9・・・IP電話機、10・・・IP電話網、11・・・インターネット網、12・・・他のシステム、13・・・IP電話、14・・・PC、15・・・ヘッドセット、16・・・PC、
310・・・ラインキー、311・・・ダイヤルキー、312・・・ファンクションキー、320・・・ディスプレイ、321・・・ランプ、330・・・ハンドセット、340・・・スピーカ、350・・・マイクロフォン、360・・・、USBコントローラ、361・・・USBポート、
400・・・CPU、410・・・主記憶装置、420・・・補助記憶装置、421・・・プログラム、422・・・状態音データ、430・・・通信装置、431・・・LANポート、440・・・入力装置、450・・・出力装置、460・・・読み取り装置、470・・・USBコントローラ、471・・・USBポート、
30・・・主制御部、31・・・ボタンキー監視制御部、32・・・表示制御部、33・・・ハンドセット制御部、34・・・スピーカ制御部、35・・・マイク制御部、36・・・USB制御部、
40・・・呼制御部、41・・・RTP/RTCP制御部、42・・・符号化/復号化処理部、43・・・USB制御部、44・・・ネットワーク処理部、45・・・ネットワークインタフェース制御部、46・・・電話アプリケーション部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
VoIPシグナリング制御を行うコンピュータとUSBポートを介して接続され、IP電話通信を行うUSB多機能電話機であって、
ダイヤルキーと、
前記ダイヤルキーの操作内容を示すダイヤル情報を、前記コンピュータに前記USBポートを介して送信するダイヤル情報送信手段と、
機能キーと、
前記機能キーの操作内容を示す機能情報を、前記コンピュータに前記USBポートを介して送信する機能情報送信手段と、を備えること、
を特徴とするUSB多機能電話機。
【請求項2】
請求項1に記載のUSB多機能電話機であって、
出力インタフェースと、
前記出力インタフェースの動作内容を示す制御情報を、前記コンピュータから前記USBポートを介して受信する制御情報受信手段と、
前記制御情報受信手段により受信された前記制御情報の内容に応じて、前記出力インタフェースの制御を行う出力インタフェース制御手段と、を備えること、
を特徴とするUSB多機能電話機。
【請求項3】
請求項2に記載のUSB多機能電話機であって、
前記出力インタフェースとして表示装置を備え、
前記出力インタフェース制御手段は、
前記制御情報の内容に応じて前記表示装置の表示を変化させること、
を特徴とするUSB多機能電話機。
【請求項4】
請求項3に記載のUSB多機能電話機であって、
前記出力インタフェースとしてスピーカを備え、
前記出力インタフェース制御手段は、
前記制御情報に音声情報が含まれると判断した場合に、当該音声情報を音声として前記スピーカから出力すること、
を特徴とするUSB多機能電話機。
【請求項5】
USBポートを備えるコンピュータに、前記USBポートを介して接続されたUSB多機能電話機にIP電話通信を行わせる多機能電話制御装置としての機能を実行させるためのプログラムであって、
前記USB多機能電話機のダイヤルキーの操作内容を示すダイヤル情報を、前記USBポートを介して前記コンピュータのUSB通信手段により受信するダイヤル情報受信ステップと、
前記USB多機能電話機の機能キーの操作内容を示す機能情報を、前記USBポートを介して前記USB通信手段により受信する機能情報受信ステップと、
前記ダイヤル情報受信ステップで受信したダイヤル情報を用いて、前記コンピュータが有する通信手段を介してVoIPシグナリング制御を行うシグナリング制御ステップと、
前記機能情報受信ステップで受信した機能情報を用いて、当該機能情報の内容に応じた機能を実現するための処理を行う機能実現ステップと、を前記コンピュータに実行させること、
を特徴とするプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムであって、
前記機能実現ステップでは、
前記機能情報が発信電話番号を指定している場合、前記シグナリング制御ステップに、前記ダイヤル情報と前記発信電話番号とを用いて前記VoIPシグナリング制御を行うように指示すること、
を特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項5に記載のプログラムであって、
前記コンピュータの出力手段によりユーザの操作を受け付けるための画面を表示し、前記コンピュータの入力手段によりユーザの操作を受け付けるユーザ操作受付ステップを、前記コンピュータに実行させ、
前記ユーザ操作受付ステップでは、
前記画面にダイヤルキーと機能キーとを表示し、前記ダイヤルキーの操作内容を示すダイヤル情報と、前記機能キーの操作内容を示す機能情報を受け付け、
前記シグナリング制御ステップでは、前記ダイヤル情報を用い、
前記機能実現ステップでは、前記機能情報を用いること、
を特徴とするプログラム。
【請求項8】
請求項5に記載のプログラムであって、
前記USB多機能電話機の出力インタフェースの動作内容を示す制御情報を作成する制御情報作成ステップと、
前記制御情報作成ステップで作成した制御情報を、前記USBポートを介して前記USB通信手段により送信する制御情報送信ステップと、を前記コンピュータに実行させること、
を特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムであって、
前記制御情報作成ステップでは、
前記VoIPシグナリング制御の段階を示す制御情報を作成すること、
を特徴とするプログラム。
【請求項10】
請求項8に記載のプログラムであって、
前記制御情報作成ステップでは、
前記コンピュータの記憶装置に予め格納された複数の状態音情報の中から、前記VoIPシグナリング制御の段階に対応する状態音情報を、前記制御情報として選択すること、
を特徴とするプログラム。
【請求項11】
USBポートを備え、前記USBポートを介して接続されたUSB多機能電話機にIP電話通信を行わせる多機能電話制御装置であって、
前記USB多機能電話機のダイヤルキーの操作内容を示すダイヤル情報を、前記USBポートを介して受信するダイヤル情報受信手段と、
前記USB多機能電話機の機能キーの操作内容を示す機能情報を、前記USBポートを介して受信する機能情報受信手段と、
前記ダイヤル情報受信手段により受信されたダイヤル情報を用いて、VoIPシグナリング制御を行うシグナリング制御手段と、
前記機能情報受信手段により受信された機能情報を用いて、当該機能情報の内容に応じた機能を実現するための処理を行う機能実現手段と、を備えること、
特徴とする多機能電話制御装置。
【請求項12】
USB多機能電話機と、VoIPシグナリング制御を行って前記USB多機能電話機にIP電話通信を行わせる多機能電話制御装置とがUSBポートを介して接続されたUSB多機能電話システムであって、
前記USB多機能電話機は、
ダイヤルキーと、
前記ダイヤルキーの操作内容を示すダイヤル情報を、前記コンピュータに前記USBポートを介して送信するダイヤル情報送信手段と、
機能キーと、
前記機能キーの操作内容を示す機能情報を、前記コンピュータに前記USBポートを介して送信する機能情報送信手段と、を備え、
前記多機能電話制御装置は、
前記USB多機能電話機から送信されたダイヤル情報を、前記USBポートを介して受信するダイヤル情報受信手段と、
前記USB多機能電話機から送信された機能情報を、前記USBポートを介して受信する機能情報受信手段と、
前記ダイヤル情報受信手段により受信されたダイヤル情報を用いて、VoIPシグナリング制御を行うシグナリング制御手段と、
前記機能情報受信手段により受信された機能情報を用いて、当該機能情報の内容に応じた機能を実現するための処理を行う機能実現手段と、を備えること、
特徴とするUSB多機能電話システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−141713(P2009−141713A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316452(P2007−316452)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(000153465)株式会社日立コミュニケーションテクノロジー (770)
【Fターム(参考)】