説明

UV又はEUVリソグラフィ用の光学素子

【課題】UV又はEUVリソグラフィ用の光学素子における変形を低減するための光学素子を提供する。
【解決手段】基板41の第1の表面42上に機能性コーティング46を備える光学素子であって、基板41は、第1の表面42と共通の縁部45を有する第2の表面43を備え、第2の表面43は、コーティング47も有し、第2の表面43上のコーティング47の厚さt及び応力σを、第1の表面42上の機能性コーティング46の厚さt及び応力σと組み合わせて条件t・σ/t・σ=Xを満足し、式中、Xが0.8〜5.0の値を有するよう選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の第1の表面上に機能性コーティングを備えるUV又はEUVリソグラフィ用の光学素子であって、基板は第1の表面と共通の縁部を有する第2の表面を備える、光学素子に関する。さらに、本発明は、UV又はEUVリソグラフィ装置用の照明システム、又は上記光学素子を有する紫外又は極紫外波長範囲用のリソグラフィ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体コンポーネントの生産においてリソグラフィ法でのさらに微細な構造の生産を可能にするために、使用する光の短波長化が進んでいる。極紫外(EUV)波長範囲、例えば、約5nm〜20nmの波長で作動する場合、透過モードのレンズ状素子での作動は不可能となり、各作動波長に適合させた反射性コーティングを有するミラー素子の照明及び投影対物レンズが構成される。紫外(UV)波長範囲、例えば248nm、193nm、又は157nmの作動波長を使用する場合、反射光学素子を使用することもできる。UV波長では、透過モードで作動する光学素子が主に使用される。光学素子は、通常、光学素子における所望の作動波長の反射率又は透過率を最適化する役割を果たす機能性コーティングを第1の表面上に備える基板を備える。
【0003】
1つの問題は、一方でコーティングの材料及び他方で基板の材料が、物理的特性、例えば熱膨張係数、弾性率(elasticity module)等に関して互いに異なるため、光学素子に応力が生じて、これが光学素子の機械的変形につながり、さらに結像誤差につながり得ることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、機械的変形を最小限に抑えるUV又はEUVリソグラフィ用の光学素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、基板の第1の表面上に機能性コーティングを備え、基板は第1の表面と共通の縁部を有し且つコーティングを備える第2の表面を備える、UV又はEUVリソグラフィ用の光学素子であって、第2の表面上のコーティングの厚さt及び応力σを、第1の表面上の機能性コーティングの厚さt及び応力σと組み合わせて条件t・σ/t・σ=Xを満足し、式中、Xが0.8〜5.0の値を有するよう選択した、光学素子により達成される。
【0006】
特に機能性コーティングを有する表面と共通の縁部を有する表面に、付加的なコーティングを設けることで、機能性コーティング及び基板の複合体から生じる変形作用に影響を及ぼすことができることが分かった。この目的で、第2の表面上のコーティングの厚さt及び応力σは、第1の表面上の機能性コーティングの厚さt及び応力σと組み合わせて条件t・σ/t・σ=Xを満足し、式中、Xが0.8〜5.0、好適には1.2〜3.0、特に好適には1.4〜1.8の値を有するよう選択する。有利には、厚さ及び応力の値は、関心の反射光学素子を使用する際の動作温度でよく見られるものを想定する。特に、縁部に隣接する表面上の適切に選択したコーティングにより、縁部領域で生じる変形に影響を及ぼすことができ、その大部分を補償することさえできる。これは、特に縁部領域でも照明され光学的に使用される光学素子で有利である。
【0007】
好適な実施形態では、光学素子の機能性コーティングは、光学有効コーティング及び/又は研磨可能コーティングとして形成する。UVリソグラフィ用の光学素子では、特に、光学有効コーティング、例えば反射防止コーティング、又は1つ又は複数の層の高反射性コーティングのみを設けること、及び例えば付加的な反射性コーティングとして働く研磨可能コーティングのみを設けることで十分であり得る。EUVリソグラフィ装置用の光学素子では、好適には、高周波局部周波数領域、すなわち約10nm−1〜1000nm−1の局部周波数で、最大0.5nm、好適には最大0.2nmの平均表面粗さ(rms粗さ、すなわち二乗平均粗さ)に有利に研磨した研磨可能コーティングと、光学有効コーティング、好適には複数の層の高反射率コーティングとの両方を組み合わせる。しかしながら、例えば斜入射のための反射と共に使用するEUVリソグラフィ用の光学素子は、好適には金属製の研磨可能コーティングを機能性コーティングとして備えることができる。
【0008】
有利には、第1の表面の機能性コーティング及び第2の表面上のコーティングは、共通の縁部まで延びる。したがって、縁部領域の変形に特によく影響を及ぼすことができる。
【0009】
好適には、第2の表面上のコーティングの材料及び/又は厚さは、引張応力又は圧縮応力が第1の表面上の機能性コーティング及び第2の表面上のコーティングの両方にそれぞれ存在するようなものである。機能性コーティング及び機械的変形に影響を及ぼすためのコーティングの両方において、同様の応力、すなわち引張応力又は圧縮応力が存在する場合、機能性コーティングにおける応力により生じる変形作用が第2の表面上のコーティングにより特に有利に補償されることが分かった。
【0010】
好適な実施形態では、第2の表面上のコーティングの応力σを、第1の表面上の機能性コーティングの応力σと等しくなるよう選択するため、条件t/t=Xを満足し、式中、Xは0.8〜5.0、好適には1.2〜3.0、特に好適には1.4〜1.8の値を有する。例えば、タイプ及び材料に関して機能性コーティングと一致するコーティングを第2の表面上のコーティングとして選択することにより、応力σ及びσは両コーティングで同じになるため、t/t=Xを厚さ比として選択するだけで補正効果を達成することができる。
【0011】
基板が第1の表面の反対側に第3の表面を有するさらに別の好適な実施形態では、第3の表面もコーティングを有する。これは、機能性コーティングの表面領域、又は基板の第1の表面に及ぶ変形に影響を及ぼすのに特に適している。
【0012】
この場合、第3の表面上のコーティングの厚さt及び応力σは、第3の表面上のコーティングの厚さt及び応力σの積が第1の表面上の機能性コーティングの厚さt及び応力σの積と等しいようなものであることが好ましい。したがって、反射光学素子全体にわたる機能性コーティング及び基板の複合体における応力が誘発する変形は、大部分を補償することができる。
【0013】
好適には、機能性コーティング及び第2の表面上のコーティング両方の熱膨張係数は、基板の熱膨張係数よりも大きいか又は小さい。これは、熱誘起応力に大部分が起因した縁部変形に特に有利である。第2の表面上のコーティングの熱膨張係数と基板の熱膨張係数との差が大きいほど、第2の表面上のコーティングの厚さが薄くても縁部変形を補償することができる。
【0014】
他の変形形態では、第2の表面上のコーティングの熱膨張係数は、基板の熱膨張係数とほぼ等しい。これは、特に、各機能性コーティングに使用するコーティング法に起因した真性応力により主に引き起こされる縁部変形に有利である。大部分が熱誘起される縁部変形の場合でも、第2の表面上のコーティングの熱膨張係数と基板の熱膨張係数との差は、比較的小さくなるよう選択することができる。これには、それゆえ第2の表面上のコーティングを厚くすることができ、結果としてより大きな製造公差を許すことができるという利点がある。
【0015】
さらに他の変形形態では、縁部変形は、機能性コーティングにおける成長誘起層応力(growth induced layer stresses)により大部分が引き起こされるが、第2の表面上のコーティングの熱膨張係数は、基板の熱膨張係数と同符号を有して、生じ得る付加的な熱誘起層応力の影響を低減するとともに縁部変形を可能な限り補償することが有利である。好適には、付加的に、第2の表面上のコーティングの熱膨張係数は、基板の熱膨張係数とほぼ同じであることでこの効果を高める。
【0016】
有利には、第2の表面上のコーティングは、シリコン、ニッケル−リン合金、ダイヤモンド状炭素、モリブデン、二酸化ケイ素からなる群からの1つ又は複数の材料を含む。一方で、これらの材料は、高周波局部周波数範囲で特に低い粗さに良好に研磨することができる材料、例えば、アモルファスシリコン、二酸化ケイ素、又はニッケル−リン合金である。他方で、これらは、機能性コーティングに使用することもできる材料、例えば、モリブデン及びシリコンであり、こうした材料からEUV範囲の反射光学素子用に多層系を作る。
【0017】
好適には、基板は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、アルミニウム−ケイ素合金、鋼、ガラス、石英ガラス、ドープ石英ガラス、チタンドープ石英ガラス、ガラスセラミック、フッ化カルシウム、炭化ケイ素、シリコン−炭化ケイ素、シリコンからなる群からの材料で本質的にできており、他の材料を少量含むことができる。上述の材料は全て、EUV範囲の反射光学素子用の基板として適している。ガラス、特に石英ガラス、及びフッ化カルシウムは、UV範囲の透過光学素子で使用することもできる。
【0018】
特に好適な実施形態では、光学素子は、ファセットミラーのファセットとして形成する。ファセットミラーは、小型ファセットからなり、小型ファセットは、通常は表面領域全体を、したがって縁部領域まで照明され、表面領域全体にわたる反射に寄与するものである。したがって、個別ファセットの縁部領域の変形は、ファセットミラーで特に有害である。したがって、機能性コーティングを備える第1の表面と共通の縁部を有する第2の表面上にコーティングを設けて、縁部領域の変形に対抗することは、ファセットミラーの場合に特に効果的である。
【0019】
さらに別の特の好適な実施形態では、光学素子は、ミラーセグメントアレイのミラーセグメントとして形成する。EUVリソグラフィ用の反射光学素子の場合、特に、ミラー表面領域は、像側開口数が大きくなるにつれて、莫大な技術的製造及び費用のオーバーヘッドを伴うものになる場合がある。ミラーの寸法を大きくするほど、大きな加工機が作製に必要となり、使用する加工用具及び測定用具に課される要件が厳しくなる。さらに、製造する反射光学素子が大きいほど、それに対応して重い基板が必要となり、こうした基板は、特定のサイズ限度からはほとんど取り付けることができないか、又は重力に起因して許容可能な程度以上に曲がってしまう。この問題を制御する1つの方法は、複数のミラーセグメントからなる大きなミラーをミラーセグメントアレイとして形成することである。ファセットミラーのファセットと同様に、ミラーセグメントは、ミラーセグメントの縁部領域も含む表面領域まで照明されるため、個別ミラーセグメントの縁部領域の変形は、特に妨害的な作用を及ぼす。したがって、機能性コーティングを有する第1の表面と共通の縁部を有する第2の表面上にコーティングを設けることにより、縁部領域の変形に対抗するようにすることは、ミラーセグメントの場合にも特に効果的である。
【0020】
さらに、上記目的は、上述のような光学素子を備えるUV又はEUVリソグラフィ装置用の照明システムにより、又は上述の光学素子を備える紫外又は極紫外波長範囲のリソグラフィ装置により達成される。
【0021】
上記の特徴及びさらに他の特徴を、特許請求の範囲並びに明細書及び図面から得ることができ、個々の特徴は、単独で又は組み合わせて、本発明の実施形態の副次的組み合わせの形態で、また他の分野でも実現することができ、それ自体が保護可能でもある有利な実施形態を表すことができる。
【0022】
本発明を、好適な例示的な実施形態を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】EUVリソグラフィ装置の実施形態を概略的に示す。
【図2】照明システムの実施形態を概略的に示す。
【図3a】従来の光学素子を概略的に示す。
【図3b】従来の光学素子を概略的に示す。
【図3c】従来の光学素子を概略的に示す。
【図4a】コーティングを追加した光学素子の実施形態を概略的に示す。
【図4b】コーティングを追加した光学素子の実施形態を概略的に示す。
【図5】付加的なコーティングを備える光学素子の実施形態の変形と、同等の従来の光学素子の変形とを示す。
【図6】ミラーセグメントとして形成した4つの光学素子からなるミラーセグメントアレイを概略的に示す。
【図7a】機能性コーティングのみを設けた本質的に三角形のミラーセグメントの変形の分布を示す。
【図7b】側面のみにコーティングを有する本質的に三角形のミラーセグメントの変形の分布を示す。
【図7c】本質的に三角形であり、上面に機能性コーティング、側面にコーティングを有する、ミラーセグメントの表面にわたる変形の分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、例えば超小型電子コンポーネントの生産用のEUVリソグラフィ装置100の原理図であり、この装置は、図示の例では、EUV範囲の作動波長で走査方向126に沿って走査モードで動作し、コーティングを追加した1つ又は複数の光学素子を備え得る。図1に示すEUVリソグラフィ装置100は、点状プラズマ放射源を備える。レーザ放射源102を、コンデンサレンズ104を介して、入口108から導入してプラズマ106に励起した適当な材料に指向させる。プラズマ106が放出した放射線は、コレクタミラー110により中間焦点Zに結像する。中間焦点Zにおける適当な絞り111は、望ましくない散乱放射線がEUVリソグラフィ装置100の照明システムの後続のミラー112、114、116、118、120に衝突しないことを確実にする。平面ミラー122は、レチクル124用の支持体を配置する物体平面に機械コンポーネント及び電子コンポーネント用の空間を設けるために、システムを折り畳む役割を果たす。視野ファセットミラー114及び瞳ファセットミラー116が、照明システムにおいて本例ではミラー112の後にある。視野ファセットミラー114は、EUVリソグラフィ装置の放射源の複数の像を瞳平面に投影する役割を果たし、瞳平面には、瞳ファセットミラー116の機能を有する第2のファセットミラーを配置し、第2のファセットミラーは、物体平面において視野ファセットミラー114のファセットの像を重ね合わせて、可能な限り均一な照明を達成する。ファセットミラー114及び116の後に続いて配置したミラー118及び120は、本質的に物体平面内の視野を整形する役割を果たす。縁部変形を最小限に抑えるために、特に、ファセットミラー114、116は、EUV放射線で照明される表面上の高反射性コーティングに加えて、照明される表面と共通の縁部を有する側面上にコーティングを有し、これはさらに以下でより詳細に説明する。構造化したレチクル124は、物体平面内に配置し、その構造は、露光対象の物体130、例えばウェーハに、本例では6つのミラーを有する投影対物レンズ128により結像する。この場合は走査システムとして構成したEUVリソグラフィ装置100におけるレチクル124は、指示した方向126に変位可能であり、レチクル124の任意の構造を投影対物レンズにより例えばウェーハ130に投影するよう連続的且つ部分的に照明する。
【0025】
図2は、例えば図1に示すようなEUVリソグラフィ用の投影照明装置の一部である照明システム11と組み合わせた放射源を示す。コレクタ1を、赤外線レーザ3が励起するプラズマ液滴2により形成される光源の周りに配置する。EUV波長範囲において例えば約13.5nmの範囲の波長を得るために、10.6μmの波長で作動する炭酸ガスレーザにより、スズをプラズマに励起することができる。例えば、固体レーザを炭酸ガスレーザの代わりに使用することもできる。コレクタ1に続いて、中間焦点4における絞り5の下流には、個別ファセット18を有する視野ファセットミラー16及び個別ファセット19を有する瞳ファセットミラー17があり、ファセット18、19は、特に、ファセット18、19の機能性コーティングに起因した変形を補償する付加的なコーティングを備える。放射線は、y方向に走査されてウェーハに投影すべき構造を有するレチクル13に衝突する前に、まず折り返しミラー12により指向し直される。折り返しミラー12は、光学機能を有するというよりも、照明システム11の空間要件を最適化する役割を果たす。
【0026】
レーザ励起(LPP源)又はガス放電(DPP源)、シンクロトロン放射源、又は自由電子レーザ(FEL)に基づくことができる種々の放射源、例えばプラズマ源を、UV又はEUVリソグラフィで使用することができることに留意すべきである。さらに、コレクタは、任意の所望の構成、例えば、好適には使用する各放射源に適合したウォルターコレクタ(Wolter collectors)又は楕円コレクタとすることができる。投影照明装置の照明システムも、任意の特定の構成を有することができ、ファセットミラーに加えて、又はファセットミラーの代わりに、ハニカムコンデンサ、鏡面反射体、可動光学コンポーネント等を備えることができる。
【0027】
ここで示すリソグラフィ装置又は照明システムの例は、自由に変更することができることにも留意すべきである。特に、UV波長範囲の作動波長での使用に関して、光学素子のいくつか又は全部をレンズとして形成することができる。
【0028】
図3aは、従来の光学素子30の原理図であり、光学素子30は、基板31と基板31の第1の表面32上の機能性コーティング36との複合体である。光学素子30は、例えば、図1及び図2を参照して説明したようなファセットミラー、又は異なるタイプのミラー、UV範囲用のマスク若しくはレンズ素子等であり得る。
【0029】
ここで示す例では、機能性コーティング36は、第1の表面32の表面領域全体にわたって縁部まで、特に第1の表面32が基板31の第2の表面33と共通で有する縁部35まで延びる。第3の表面34は、第1の表面32の反対側にある。機能性コーティング36は、例えば、良好に研磨可能な材料の層37、例えば、ニッケル−リン合金、アモルファスシリコン若しくは二酸化ケイ素、又はダイヤモンド状炭素であってもよく、又は光学有効コーティング38、例えば反射防止又は高反射性層系であってもよく(図3cを参照)、又は良好に研磨可能なコーティング上の光学有効コーティングであってもよい。極紫外波長範囲での使用には、特に、多層系の形態での高反射性層系が好ましい。必要であれば、接着促進層を基板31と機能性コーティング36との間に設けることができる。
【0030】
多層系は、作動波長での屈折率実部が大きい方の材料(スペーサとも称する)及び作動波長での屈折率実部が小さい方の材料(アブソーバとも称する)の交互塗布層であり、アブソーバ−スペーサ対がスタックを形成する。これは、本質的に結晶を模倣したものであり、格子面がアブソーバ層に対応し、ここでブラッグ反射が起こる。12.5nm〜15nmの波長範囲での使用には、例えば、モリブデンをアブソーバ材料として使用することが有利であり、シリコンをスペーサ材料として使用することが有利である。紫外波長範囲では、多層系を、例えば酸化物及び/又はフッ化物ベースの高反射性コーティングとして用いることもできる。透過モードで使用する光学素子の場合、光学有効コーティングを、反射を回避するための層又は層系とすることができる。機能性コーティング36は、研磨層37と光学有効コーティング38との組み合わせ、特に高反射性多層系であり得る。研磨層は、特にEUVリソグラフィでの使用では、最大0.5nm、特に好適には最大0.2nmの平均表面粗さに研磨する。
【0031】
基板34は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、アルミニウム−ケイ素合金、石英ガラス、ドープ石英ガラス、チタンドープ石英ガラス、ガラスセラミック、フッ化カルシウム、炭化ケイ素、シリコン−炭化ケイ素、シリコンからなる群からの材料でできていてもよい。
【0032】
ここで示す例では、引張応力σが厚さtの機能性コーティング36に存在することで、光学素子30の変形が生じ、ここではこれを非常に誇張して示す。一方で、光学素子30全体が、その全表面にわたって曲がる。このような変形は、通常は比較的均一であり、さらに他の光学素子と組み合わせて相補的に変形させることにより光学的効果を部分的に補償することができる。他方で、光学素子30は、図3bに拡大して示すが、機能性コーティング36で生じる引張応力σにより縁部35の領域において内方だけでなく上方にも引張られる。この作用は、コーティングの縁部が基板の縁部、すなわち縁部35に近いほど顕著になる。光学素子をその縁部まで光学的に使用する場合、この付加的な変形は、結像特性に特に有害である。
【0033】
図4aは、機能性コーティングが誘発する変形を最小限に抑える光学素子40の例を概略的に示す。光学素子40は、第1の表面42上に機能性コーティング46を有する基板41を備える。例えば図3a、図3bに示すような従来の光学素子とは異なり、光学素子40は、第1の表面42と共通の縁部45を有する基板41の第2の表面43上に、コーティング47をさらに備える。さらに、光学素子40は、図4aに示す例では、第1の表面42の反対側にありコーティング48も備える第3の表面44を有する。図4aに示す例では、第2の表面43は、基板41の全周に延びるため、基板41は全面をコーティングされる。
【0034】
機能性コーティング46は、例えば、単一材料の層であってもよく、又は図3a、図3bを参照してすでに説明したように、複数層の層系であってもよい。EUV波長範囲での使用のために、特に、機能性コーティング46は、複数の少なくとも2つの交互に配置した材料層を備えることで、個々の材料境界で反射した部分ビームの強め合う干渉により高反射率を得る。基板の粗さを補償するために、付加的な研磨可能コーティングを、有利には基板と光学有効コーティングとの間に設ける。ニッケル−リン合金、アモルファスシリコン、又は二酸化ケイ素の層が例えば一般的であり、これらは、0.2nm rms以下の粗さに研磨することができる。これらは、多くの場合、10μm〜30μmの厚さを有し、この厚さから、ニッケル−リン合金の研磨層で約50N/mm〜300N/mmの範囲の層応力を得ることができる。約13nmのEUV波長での使用のためには、例えばモリブデン及びシリコンの交互層に基づく機能性コーティング46は、数百ナノメートル程度の厚さを有することができ、その場合、約200N/mm〜400N/mm以上の層応力が生じ得る。各場合に引張応力又は圧縮応力が生じるか否かは、使用する各コーティング法に応じても変わり得る。
【0035】
光学素子の生産におけるコーティングプロセスを簡略化するために、特に、材料を、また層系の場合は場合によっては第2の表面43上のコーティング47又は第3の表面44上のコーティング48の構造を、第1の表面42上の機能性コーティング46と一致するよう選択することが有利であり得る。このとき、コーティング47及び48の対応する厚さを選択することにより、いかなる変形も補正することができる。好適には、第3の表面44上のコーティング48の厚さは、光学素子40全体の変形を補償するように第1の表面42上の機能性コーティング46と同じ厚さを有するのが最善であり、第2の表面上のコーティング47の厚さは、縁部領域の変形を補正するように第1の表面42上の機能性コーティング46よりもわずかに薄くするべきである。
【0036】
機能性コーティング46が、特に多層系の形態で光学有効コーティングを含む場合、また機能性コーティング46の縁部領域における応力を補償するためのコーティング47も対応の多層系として設計する場合、光学有効コーティングを塗布する第1の表面42の表面領域の粗さと第2の表面43の表面領域の粗さとが、特に高周波局部周波数領域で本質的に同等の値を有することで、表面粗さがコーティング46、47内の層応力又はそれらの補償に及ぼし得る影響を最小化すれば、有利であることが分かった。
【0037】
縁部変形は、光学素子の基板上に機能性コーティングがあることにより生じることに留意すべきである。この縁部変形作用は、光学有効コーティングと研磨可能コーティングとの間の応力によりさらに生じ得るものであり、これらのコーティングは、隣接表面のコーティングにより補償することもできる機能性コーティングの互いに重なり合った部分コーティングである。縁部変形への寄与は、主に、研磨可能コーティングとその上に配置した光学有効コーティングとの間の応力により生じ得る。この場合、研磨可能層は、縁部変形の補正に関する限り、基板の延長とみなすこともでき、変形した縁部に隣接する面の研磨層の材料により形成される領域には、縁部領域における応力補償のために、好適には光学有効コーティングの材料でできた補償コーティングを設けることができる。逆の場合、つまり光学有効コーティング及び研磨可能コーティングの存在下での縁部変形が、主に研磨可能コーティングの応力に起因したものである場合、光学有効コーティングは、応力補償及び縁部変形の補正に関して機能性コーティングの一部として無視することができる。
【0038】
図4aに示す例では、基板41の第3の表面44上のコーティング48は、コーティング48の厚さ及び応力が第1の表面42上の機能性コーティング46の厚さ及び応力と本質的に同一であるように設計する。機能性コーティング46と基板41との間に特殊な応力緩和層を設ける従来の方法とは異なり、機能性コーティング46が引き起こす光学素子40の全体的な湾曲は、反対側の表面44上のコーティング48により補償する。しかしながら、隣接表面をコーティングすることによる縁部領域における変形の補償を、基板と光学有効コーティングとの間の、好適には研磨コーティングと光学有効コーティングとの間の1つ又は複数の応力補償層による光学素子全体の全体的な応力補償と組み合わせることも可能である。
【0039】
図4bに拡大して示す縁部45の領域の変形は、第2の表面43上のコーティング47により大部分を補償する。この目的で、表面43上のコーティング47の厚さt及び応力σを、第1の表面42上の機能性コーティング46の厚さt及び応力σと組み合わせて条件t・σ/t・σ=Xを満足し、式中、Xが0.8〜5.0、好適には1.2〜3.0、特に好適には1.4〜1.8の値を有するよう選択した。補正効果を達成するために、両層に同等の応力が生じる場合、コーティング47は機能性コーティング46よりも薄い厚さを有するべきである。特に、両層における応力が同じであれば、つまり、例えば両層に引張応力が存在するか又は両層に圧縮応力が存在すすれば有利である。図4bに示す例では、引張応力が両層に存在する。特に好適なXの値を適用可能な光学素子は、特に、第1の表面42及び第2の表面43が互いに対して概ね直角であるか、又は第1の表面42の表面領域の湾曲が強すぎないか、又は第1の表面42の表面領域にわたる機能性コーティング46が過度の厚さ変動を有さないものである。断面が矩形形態から逸れすぎている光学素子では、Xの値をわずかに上下に補正して、変形の最適な補償を達成しなければならないことが起こり得る。
【0040】
特に、コーティング47及び/又は48に機能性コーティング46以外の材料を選択した場合、各層厚のパラメータの選択時に各光学素子を使用する際の動作温度を考慮に入れるべきである。これは、付加的な応力が、したがって変形も、異なる熱膨張係数に起因して誘発され得るからである。好適には、コーティングの熱膨張係数は、基板材料の熱膨張係数にも一致させるべきであり、光学素子を使用する際の温度を考慮に入れるべきである。例えば、EUVリソグラフィ装置において、停止温度と動作温度との間で最大約80Kの温度差を予想することができる。
【0041】
熱誘起応力に大部分が起因した縁部変形の場合、機能性コーティング及び第2の表面上のコーティングの両方の熱膨張係数が基板の熱膨張係数よりも大きいか又は小さいことが好ましい。第2の表面上のコーティングの熱膨張係数と基板の熱膨張係数との差が大きいほど、第2の表面上のコーティングの厚さが薄くても縁部変形をより良好に補償することができる。
【0042】
各機能性コーティングのコーティング法により生じる真性応力に大部分が起因した縁部変形の場合、第2の表面上のコーティングの熱膨張係数が基板の熱膨張係数とほぼ等しいことが好ましい。大部分が熱誘起される縁部変形の場合でも、第2の表面上のコーティングの熱膨張係数と基板の熱膨張係数との差は、比較的小さくなるよう選択することができる。これには、それゆえ第2の表面上のコーティングを厚くすることができ、結果としてより大きな製造公差が許されるという利点がある。
【0043】
さらに他の変形形態では、縁部変形は、機能性コーティングにおける成長誘起層応力により大部分が引き起こされるが、第2の表面上のコーティングの熱膨張係数は、基板の熱膨張係数と同符号を有して、生じ得る付加的な熱誘起層応力の影響を低減するとともに縁部変形を可能な限り補償することを可能にすることが有利である。好適には、付加的に、第2の表面上のコーティングの熱膨張係数は、基板の熱膨張係数とほぼ同じであることでこの効果を高める。
【0044】
通常の熱膨張係数は、例えば、モリブデン−シリコン多層系で約8・10−6−1の範囲、石英ガラスで約0.5・10−6−1の範囲、シリコンで約2.6・10−6−1の範囲、アルミニウムで約23・10−6−1の範囲であり、特にシリコンとのアルミニウム合金の値は実質的により小さくすることができ、銅で約17・10−6−1の範囲、種々のタイプの鋼で約11・10−6−1〜約25・10−6−1である。
【0045】
図5は、2つの異なる光学素子の縁部領域における機能性コーティングの表面プロファイルを示す。図示の例の光学素子はいずれも、3.25mm×3.25mmのアルミニウム基板であり、厚さ約30μmのニッケル−リン合金の機能性コーティングを研磨層として有し、例えば付加的な高反射性コーティングとともに、UV又はEUVリソグラフィ用のファセットミラーのファセットとして用いることができる。2つの光学素子の一方は、機能性コーティングを有する第1の表面に隣接する基板の第2の表面上にコーティングをさらに有する。このコーティングも、ニッケル−リン合金であり、約17μmの厚さを有する。両方の光学素子において、コーティングは共通の縁部まで延びる。
【0046】
図5は、機能性コーティングを有する第1の表面に対して垂直な光学素子の変形を示す。光学素子の縁部から中心までの領域を示す。曲線Aは、機能性コーティングを有する表面と共通の縁部を有する表面がコーティングを有する光学素子に相当する。曲線Bは、隣接表面にコーティングを追加していない従来の光学素子に相当する。従来の光学素子では、中間縁部領域の変形が数十ナノメートル程度である。しかしながら、機能性コーティングを有する表面に隣接する表面に付加的な層を有する光学素子では、変形が数ナノメートル程度でしかない。したがって、隣接表面の付加的なコーティングによる中間縁部領域の変形の低減はかなり大きい。基板上の機能性コーティングが引き起こす変形は、ほぼ完全に補償され、これが結像特性の改善につながる。
【0047】
図6は、ミラーセグメント61からなるミラーセグメントアレイ60を概略的に示す。ここで示す例は、EUV波長範囲用のミラーセグメントアレイである。しかしながら、他の波長範囲用のミラーも対応のミラーセグメントアレイとして形成することができる。ミラーセグメント61は、取り付け用の、一部の実施形態では個別ミラーセグメント61の作動用でもある、タブ62を有する。特に、ミラーセグメント61が互いに隣接する縁部領域63では、図6に示すミラーセグメント61の例は、概ね三角形とみなすことができる。各ミラーセグメント61の上面と共通の縁部領域63を有する面は、ここで示す例では、ミラーセグメント61の上面上の機能性コーティングが引き起こす縁部領域63の変形を補償するためのコーティングを有する。ミラーセグメント61は、リソグラフィ動作時に、その縁部領域63を超えて、特にミラーセグメントアレイ60の中心に向かってEUV放射線で照明するため、この領域の変形は、ミラーセグメントアレイ60の結像特性に特に妨害的な作用を及ぼすことになる。
【0048】
本質的に三角形のミラーセグメント上のコーティングに起因した変形を、より詳細に研究した。その結果を図7a〜図7cに示す。厚さ50mmのチタンドープ石英ガラスの基板を調査した。図7aに示す光学素子の表面70に、EUV波長範囲用の機能性コーティング、すなわちモリブデン及びシリコンベースの多層系を設けた。機能性コーティングの厚さが500nmで層応力が100MPaであるとき、有効量σ・dが50MPa・μmとなる。ゼロ値としてのその中心におけるミラー表面70の高さに基づき、縁部に向かって最大−9.69nmの変形が生じる。
【0049】
図7bに変形を示すミラーセグメントは、その側面71及び72、又はその隠れた第3の側面73にのみコーティングを有する。側面71、72、73上のコーティングは、その有効量が機能性コーティングの層応力の有効量の半分だけ、すなわち25Mpa・μmであるよう選択した。最大7.83nmの非コーティングミラー表面70の変形が、特に側面71、72、73と共通の縁部の領域で生じる。
【0050】
ここで、表面70上の機能性コーティングを側面71、72、73上の付加的なコーティングと組み合わせた場合(図7cを参照)、縁部領域の変形を、表面70の中心におけるゼロ値に対して実質的に低減する、すなわち最大でわずか−1.89nmに低減することができる。これは、機能性コーティングしか有さず側面にコーティングを有さないミラーセグメント(図7aを参照)と比較して、5倍よりも大きな縁部領域における表面70の変形の低減に相当する。これらの本質的に三角形の素子に特に好ましい、側面上のコーティンに対する機能性コーティングの有効量比は、約1.3〜2.0である。側面上のコーティングの材料(単数又は複数)は、所与の有効量について自由に選択することができるため、材料は、安価に利用できるか否か、及び最小限のオーバーヘッドで通常のコーティング法により施すことができるか否かに関して主に選択することができる。
【0051】
ミラーセグメントに限らない特定の利点は、側面上のコーティングを機能性コーティングの塗布後に実行することができるため、縁部領域で実際に生じる変形の具体的な測定を第1のコーティングステップ後に実行することができ、側面上のコーティングを測定結果の知識に照らして、特に有効量に関してより最適化することができることである。
【0052】
図7a〜図7cに示す例のそれぞれで、表面70全体に機能性コーティングを設けた。図7b及び図7cに示す例では、側面71、72、73にも付加的なコーティングを完全に設けた。早くも側面をコーティングするときに、機能性コーティングが引き起こす縁部領域の変形を選択的に補償することができることに留意すべきである。
【0053】
透過又は反射モードで使用するように設計することができる光学素子の付加的なコーティング案は、基板上の機能性コーティングが引き起こす変形を単純且つ効果的に補償することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 コレクタ
2 プラズマ
3 レーザ
4 中間焦点
5 絞り
6 赤外放射線
7 UV放射線
8 EUV放射線
11 照明システム
12 折り返しミラー
13 レチクル
16 視野ファセットミラー
17 瞳ファセットミラー
18、19 ファセット
30 光学素子
31 基板
32 第1の表面
33 第2の表面
34 第3の表面
35 縁部
36 機能性コーティング
37 研磨可能コーティング
38 光学有効コーティング
40 光学素子
41 基板
42 第1の表面
43 第2の表面
44 第3の表面
45 縁部
46 機能性コーティング
47 第2のコーティング
48 第3のコーティング
60 ミラーセグメントアレイ
61 ミラーセグメント
62 取り付けタブ
63 側面コーティング
70 上面
71、72 側面
100 リソグラフィ装置
102 レーザ源
104 コンデンサレンズ
106 プラズマ
108 入口
110 コレクタミラー
111 絞り
112 ミラー
114 視野ファセットミラー
116 瞳ファセットミラー
118 ミラー
120 ミラー
122 平面ミラー
124 レチクル
126 走査方向
128 投影対物レンズ
130 ウェーハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の第1の表面上に機能性コーティングを備え、前記基板は前記第1の表面と共通の縁部を有し且つコーティングを備える第2の表面を備える、UV又はEUVリソグラフィ用の光学素子であって、前記第2の表面(33、43)上の前記コーティング(47)の厚さt及び応力σを、前記第1の表面(32、42)上の前記機能性コーティング(36、46)の厚さt及び応力σと組み合わせて条件t・σ/t・σ=Xを満足し、式中、Xが0.8〜5.0の値を有するよう選択したことを特徴とする、光学素子。
【請求項2】
請求項1に記載の光学素子において、前記機能性コーティング(36、46)は、光学有効コーティング及び/又は研磨可能コーティングとして構成したことを特徴とする、光学素子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光学素子において、前記第1の表面(32、42)上の前記機能性コーティング(36、46)及び/又は前記第2の表面(33、43)上の前記コーティング(47)は、前記共通の縁部(35、45)まで延びる、光学素子。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学素子において、前記第2の表面(33、43)上の前記コーティング(47)の材料及び/又は厚さは、引張応力又は圧縮応力がそれぞれ前記第1の表面(32、42)上の前記機能性コーティング(36、46)及び前記第2の表面(33、43)上の前記コーティング(47)の両方に存在するようなものである、光学素子。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学素子において、Xは、1.2〜3.0、好適には1.4〜1.8の値を有する、光学素子。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学素子において、前記第2の表面(33、43)上の前記コーティング(47)の応力σは、前記第1の表面(32、42)上の前記機能性コーティング(36、46)の応力σと等しくすることにより、条件t/t=Xを満足し、式中、Xが0.8〜5.0、好適には1.2〜3.0、特に好適には1.4〜1.8の値を有するよう選択した、光学素子。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学素子において、前記基板(31、41)は、前記第1の表面(32、42)の反対側に第3の表面(34、44)を有し、該第3の表面(33、44)は、コーティング(48)を備える、光学素子。
【請求項8】
請求項7に記載の光学素子において、前記第3の表面上の前記コーティングの厚さt及び応力σは、前記第3の表面(33、44)上の前記コーティング(48)の厚さt及び応力σの積が前記第1の表面(32、42)上の前記機能性コーティング(36、46)の厚さt及び応力σの積と等しいようなものである、光学素子。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学素子において、前記機能性コーティング(36、46)及び前記第2の表面(33、43)上の前記コーティング(47)の両方の熱膨張係数は、前記基板(31、41)の熱膨張係数よりも大きい、光学素子。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学素子において、前記機能性コーティング及び前記第2の表面(33、43)上の前記コーティング(47)の両方の熱膨張係数は、前記基板(31、41)の熱膨張係数よりも小さい、光学素子。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学素子において、前記第2の表面(33、43)上の前記コーティング(47)の熱膨張係数は、前記基板(31、41)の熱膨張係数とほぼ等しい、光学素子。
【請求項12】
請求項1〜8及び11のいずれか1項に記載の光学素子において、前記第2の表面(33、43)上の前記コーティング(47)の熱膨張係数は、前記基板(31、41)の熱膨張係数と同符号を有する、光学素子。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の光学素子において、前記第2の表面(33、43)上の前記コーティング(47)は、アモルファスシリコン、ニッケル−リン合金、ダイヤモンド状炭素、モリブデン、二酸化ケイ素からなる群からの1つ又は複数の材料を含む、光学素子。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の光学素子において、前記基板(31、41)は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、アルミニウム−ケイ素合金、石英ガラス、ドープ石英ガラス、チタンドープ石英ガラス、ガラスセラミック、フッ化カルシウム、炭化ケイ素、シリコン−炭化ケイ素、シリコンからなる群からの材料でできている、光学素子。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の光学素子において、該光学素子は、ファセットミラー(16、17、114、116)のファセット(18、19)として又はミラーセグメントアレイ(60)のミラーセグメント(61)として形成した、光学素子。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の光学素子を有するUV又はEUVリソグラフィ装置用の照明システム。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の光学素子を備える、紫外又は極紫外波長範囲用のリソグラフィ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【公開番号】特開2012−69925(P2012−69925A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−179057(P2011−179057)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(503263355)カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー (435)
【Fターム(参考)】