説明

UV超高速レーザパルスを用いた高精度レーザナノ加工方法

200nm未満の寸法を有する少なくとも1つの要素を有するマイクロ構造を、ワークピース上に製造する方法。約fps未満の期間および約380nm未満のピーク波長を有するUVレーザ光のパルスを生成する。これらのUVレーザ光のパルスを、ワークピース(124)の目標エリア内の実質的に回折限界のビームスポット(306)に集束する。ワークピース(124)の目標エリアにおけるこの実質的に回折限界のビームスポット(306)のフルエンスを、目標エリア(304)のうちUVレーザ光のパルスの1つによって加工された部分の直径が200nm未満であるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UV超高速レーザパルスを用いてマイクロ構造上の200nmより小さい要素をマイクロおよびナノ加工する方法に関する。本方法はまた、200nmより小さい要素のレーザ加工を可能にし得る。
【背景技術】
【0002】
製品の小型化につれ、マイクロ電気機械システム(MEMS)、マイクロ光学デバイスおよびフォトニック結晶への需要が高まっている。この需要に対応して、マイクロおよびナノ加工への関心が高まっている。MEMSには無数のアプリケーションの可能性がある。生物学とマイクロエレクトロニクスのように、以前には無関係だった分野間に比類なき相乗効果を可能にする画期的な技術として、多くの新しいMEMSアプリケーションが出現しており、また近い将来においてさらに多くが出現する可能性があり、現在認識されているあるいは公知のものを越えて広がろうとしている。また量子電気デバイス、マイクロ光学デバイスおよびフォトニック結晶においてさらなるアプリケーションが出現しつつある。現在関心を持たれているアプリケーションをいくつか列挙する。
【0003】
量子電気デバイス
量子計算などのアイデアへの関心から、セルラーオートマトンや結合量子ドット技術などの、より小さな寸法を要求するデバイスの開発がなされている。透過電子の量子効果を利用してマイクロ波回路の効率を増大し得る、共鳴トンネルダイオードなどの共鳴トンネルデバイスは、特に微細な要素を必要とする。
【0004】
マイクロ光学
マイクロ加工技術の光学系への応用は、階調技術などの光学製造において数々の進歩をもたらしてきた。階調技術は、達成し得る最高の光学性能を可能にする、様々な形状の作製を可能にする。伝統的なバイナリオプティクスは、理想的な表面形状を「階段状」にした近似に依拠する。階調は、その理想形状を実際に作製することができる。曲線、傾斜面(ramps)、トロイド(torroids)、またはその他の任意の形状が可能である。多機能光学系、マイクロレンズアレイ、ディフューザ、ビームスプリッタ、およびレーザダイオード補正器はすべて、階調技術を用いることにより恩恵を受ける。これらおよび他の光学デバイス(より短波長光用の微細ピッチ格子を含む)は、マイクロ加工を用いて得られるより高い精度の恩恵を受ける。また、マイクロ加工技術の進歩により、ビームシェーパー、連続膜変形ミラー、チューナブルレーザ用移動ミラー、および走査2軸傾動ミラーを含む光学的MEMSデバイスが登場している。
【0005】
フォトニック結晶
フォトニック結晶は、ユニークな性質を有する光学デバイスを作製するために用い得る、人工形態の光学材料を代表するものである。フォトニック結晶は、半導体結晶の電気的性質に類似する多くの光学性質を有するため、現在の電気的半導体回路と同様な光学回路の開発を可能にし得る。フォトニック結晶を形成するために用いられる要素サイズおよび、これらの要素の高精度位置揃え要求が、これらの材料の製造を複雑にする。位置揃え技術の改善ならびに、マイクロ加工システムにおけるより小さな最小要素サイズ能力によって、この領域におけるさらなる発展が得られる可能性がある。
【0006】
バイオテクノロジー
MEMS技術は、科学および工学において以下のような新しい発見を可能にしている。すなわち、DNA増幅および同定のためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)マイクロシステム、マイクロ加工された走査トンネル顕微鏡(STM)プローブチップ、有害な化学および生物物質の検出のためのバイオチップ、および、高スループットドラッグスクリーニングおよび選択のためのマイクロシステムである。
【0007】
通信
共鳴トンネルデバイスの使用により得られ得る進歩に加えて、高周波回路もまた、RF−MEMS技術の出現により大きく恩恵を受け得る。MEMS技術を用いて作製したインダクタおよびチューナブルキャパシタなどの電気部品は、現在の対応する集積回路に比較して、有意により良く性能し得る。そのような部品を集積することにより、通信回路の性能が改善され得る一方、総回路面積、消費電力およびコストが減少し得る。さらに、いくつかの研究グループによって開発されているように、MEMS機械的スイッチは、様々なマイクロ波回路において多大な潜在能力を秘めたキー部品となり得る。デモンストレーションされたMEMS機械的スイッチのサンプルは、以前に利用可能であったいかなるものよりもずっと高いQファクターを有している。RF−MEMS部品の信頼性、高精度チューニング、そしてパッケージングは、RF−MEMS部品が市場においてより幅広く受け入れられるために解決されなければならない重要な問題点である。
【0008】
マイクロ光学の進歩ならびにフォトニック結晶を用いた新しい光学デバイスの導入によりまた、通信技術は恩恵を受け得る。
【0009】
加速度計
MEMS加速度計は、自動車両の衝突エアバッグ作動システムにおいて、従来の加速度計に急速にとって代わりつつある。従来のアプローチは、車の前部に実装された別個の部品からなるいくつかのかさ高い加速度計と、エアバッグ近傍の別の電子系とを用いるものである。MEMS技術は、従来のアプローチのコストの1/5から1/10で、加速度計と電子系とを単一のシリコンチップ上に集積することを可能にした。従来のマクロスケールの加速度計素子に比較して、これらのMEMS加速度計はずっと小さく、より機能的であり、より軽く、また信頼性が高い。
【0010】
マイクロ回路
電子回路のサイズの縮小もまた、MEMS技術が多くの分野に影響し得る領域である。これらのマイクロ回路において部品や接続の密度が高まるにつれ、加工公差は減少する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
フォトニック結晶やファイバーBragg格子などのいくつかのアプリケーションにおいて、製造されたデバイスを機能させるためには、要素サイズ(場合によっては<1000nm)のみならず、これらのナノ要素の位置決め精度(例えば〜10nm)にも、厳しい要求が存在する。伝統的に、これらの要素サイズと位置決め精度要求との両方とも、従来のレーザマイクロ加工方法では満足することが困難であった。したがって、サブミクロン要素のマイクロ加工は、電子ビーム、紫外線ビーム、およびX線リソグラフィ機、ならびに集束イオンビーム機によって支配される領域であった。これらの高コスト技術は通常、高度な真空またはクリーンルーム条件などの、厳しい環境条件を要求する。標準的なリソグラフィ方法では、複数のマスクを生成するためには別個の動作が必要となる。
【0012】
ビーム処理法を用いた場合、適正な処理のためには、高いレベルの精度でビームが正確に所望の位置に導かれることを、この処理は要求する。現在4つの利用可能な技術(レーザ直接描画、集束イオンビーム描画、マイクロ放電機、および光化学エッチング)だけが、この潜在能力を有する。その他の技術(例えばイオンビームミリング)は、平坦なウェハ処理においてのみ望ましい。ただし、レーザ直接描画は、(1)光照明下にある周囲大気中での動作、(2)透明材料中で構造を形成する能力、そして(3)低い材料依存性を含む、さらなる利点を有する。レーザ直接描画はまた、リソグラフィ技術の一環として、マスクセットを予め作製する必要なくフォトレジストを露光するためにも用い得る。
【0013】
典型的には、可視(色素レーザ)またはIR域(Ti:サファイアまたはNd:YLFの基本波長)の超高速レーザが、レーザ加工アプリケーションに用いられてきた。集束されたレーザビームの最小スポットサイズは、対物レンズのf#の約2.44掛けるレーザのピーク波長であること、すなわちスポットサイズはピーク波長に比例することが知られている。したがって、可視またはIRレーザがナノ加工に用いられるシステムにおいて、高開口数(低f#)の光学系が用いられたとしても、スポットサイズはサブミクロン要素を形成するためには望ましくないほど大きい。例えば、800nmのピーク波長を有するTi:サファイアレーザおよび800nmにおいて1のf#を有する光学系を用いたとしても、最小サイズビームスポットは直径1952nmである。
【0014】
この不利にもかかわらず、1999年後半および2000年前半にかけて、387nmのピーク波長を有する周波数2逓倍Ti:サファイアフェムト秒レーザにより、平坦なSi−On−SiO2基板に〜200nmのエアホールを加工する能力が示された。このサブミクロン要素は、ビームスポットのフルエンスを、レーザビームスポットの強度ピーク近傍でのみアブレーションが起こるように制御することにより、達成された。しかし、この技術は高精度ナノ加工に対してはいくつもの欠点を有する。なぜなら、実際に加工されるエリアの中心が、強度曲線の中心からややずれ得るからである。この加工中心の不確定性は、処理される材料の欠陥や不完全性によって引き起こされたり、あるいはビーム曲線の若干のパルス単位での変動に起因し得る。さらに、加工されたエリアのビームスポットに対する比が減少するにつれ、パルス間のフルエンス変動を減少させることがだんだん重要になってくる。
【0015】
ピーク波長<400nm(主にエキシマレーザおよび周波数変換されたYAGおよびYLFレーザ)を有するUVレーザは、可視またはIR域のレーザに比べて、優れた表面仕上げ性を提供することが示されている。また、最小スポットサイズは波長に比例するため、UVレーザは、より小さなスポットサイズに集束され得る。これらのレーザのほとんどはパルス期間>1nsであるため、加工中において、周囲の材料中に望ましくない熱影響ゾーンを発生させ得る。したがって、これらのレーザは、多くのナノ加工アプリケーションにおいて望ましくない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施形態例は、ワークピース上の200nmより小さい要素を加工するための超高速レーザマイクロ加工システムである。超高速レーザマイクロ加工システムは、UVレーザ光のパルスを生成するための超高速レーザ源と、ワークピースを保持するためのワークピースホルダと、保持されたワークピースの目標エリアを撮像する撮像システムと、UVレーザ光のパルスを、ビーム経路に沿って、超高速レーザ源から保持されたワークピースの目標エリアへと導くための導光光学系と、UVレーザ光のパルスを、目標エリア内の実質的に回折限界のビームスポットに集束するフォーカシング機構と、目標エリア内の実質的に回折限界のビームスポットの微妙な位置揃え制御を提供する位置揃え機構と、保持されたワークピースの目標エリアにおける超高速レーザマイクロ加工システムの実質的に回折限界のビームスポットのフルエンスを制御するフルエンス制御手段と、を備える。超高速レーザ源によって生成されたUVレーザ光のパルスは、約1ps未満の期間および約380nm未満のピーク波長を有する。フルエンス制御手段は、目標エリアのうちUVレーザ光のパルスの1つによって加工された部分の直径が200nm未満であるように、実質的に回折限界のビームスポットのフルエンスを制御する。
【0017】
本発明の別の実施形態例は、200nm未満の寸法を有する少なくとも1つの要素を有するマイクロ構造を、ワークピース上に製造する方法である。約1ps未満の期間および約380nm未満のピーク波長を有するUVレーザ光のパルスを生成する。これらのUVレーザ光のパルスを、ワークピースの目標エリア内の実質的に回折限界のビームスポットに集束する。ワークピースの目標エリアにおけるこの実質的に回折限界のビームスポットのフルエンスを、目標エリアのうちUVレーザ光のパルスの1つによって加工された部分の直径が200nm未満であるように制御する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、以下の詳細な説明を添付の図面とともに読んだときもっともよく理解される。一般に行われるように、図面の様々な要素は縮尺通りではないことを強調しておく。逆に、明瞭さのために様々な要素の寸法を任意に拡大または縮小している。図面には以下の図が含まれる。
【0019】
図1は、本発明によるレーザマイクロ加工システム例の単純化したブロック図を示す。このシステム例は、超高速レーザ発振器100と、シャッタ102と、可変アッテネータ104と、高調波生成結晶106と、二色性ミラー108および118と、偏光制御手段110と、レンズ112、116、および120と、マスク114と、ワークピースホルダ122と、ワークピース照明源126と、ビームスプリッタ128と、デジタルカメラ130とを備えている。本システム例における光ビームは、点線として示している。
【0020】
本システム例において、超高速レーザ発振器100は望ましくは、超高速レーザ加工アプリケーションにおいて典型的に用いられる任意のタイプの固相利得媒体を含み得る。例えば、Cr:YAG(ピーク基本波長、λf=1520nm)、Cr:苦土カンラン石(λf=1230−1270nm)、Nd:YAGおよびNd:YVO4(λf=1064nm)、Nd:GdVO4(λf=1063nm)、Nd:YLF(λf=1047nmおよび1053nm)、Nd:ガラス(λf=1047−1087nm)、Yb:YAG(λf=1030nm)、Cr:LiSAF(λf=826−876nm)、Ti:サファイア(λf=760−820nm)、およびPr:YLF(λf=612nm)である。これらの固相利得媒体は、エルビウムドーピングされたファイバレーザおよびダイオードレーザなどの標準的な光ポンピングシステムを用いて励起され得る。これらの標準的な光ポンピングシステムの出力パルスは、固相利得媒体に直接結合されてよく、あるいは固相利得媒体を励起するために用いられる前に、高調波生成を経てもよい。固相利得媒体(単数または複数)は、レーザ発振器、シングルパス増幅器(single pass amplifier)、および/またはマルチプルパス増幅器(multiple pass amplifier)のうち1つ以上として動作するように構成され得る。この素子はまた、レーザ光を実質的に平行光化するための光学系を有する。超高速レーザ発振器100は望ましくは、約1ps未満、典型的には200fs未満の期間を有する、ほぼフーリエ変換限界のパルスを生成する。超高速レーザ発振器100の出力パワーを増大するために、XeCl、KrF、ArFまたはF2エキシマ増幅器(図示せず)などの、追加的な非固相のシングルまたはマルチプルパス増幅器を含めてもよい。または、超高速レーザ発振器100は、超高速エキシマレーザシステム(例えばXeCl、λf=308nm、KrF、λf=248nm、ArF、λf=193nm、またはF2、λf=157nm)、あるいは超高速色素レーザシステム(例えば7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、λf=435−500nm、安息香酸、2−[6−(エチルアミノ)−3−(エチルイミノ)−2,7−ジメチル−3H−キサンテン−9−イル]−エチルエステル、一塩酸塩、λf=555−625nm;4−ジシアンメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン、λf=598−710nm;または2−(6−(4−ジメチルアミノフェニル)−2,4−ネオペンチレン−1,3,5−ヘキサトリエニル)−3−メチルベンゾチアゾリウム過塩素酸塩、λf=785−900nm)を含み得る。
【0021】
シャッタ102はレーザ出力を制御するために用いられる(すなわち加工中には開き、加工しないときには閉じてビームをブロックする)。これによりマイクロ加工システム例内の他の部品の寿命を延ばし得る。
【0022】
可変アッテネータ104は望ましくはパルスエネルギー、ひいてはビームフルエンスの微妙な制御を可能にする。可変アッテネータ104は、超高速レーザにともなう高いピークパワーに耐え得る、任意のタイプの制御可能な可変アッテネータであり得、例えばPockelsセル、Kerrセル、または液晶などの、制御可能な偏光回転素子の両側に設けられた一対の直線偏光子である。または、固定の直線偏光子および回転可能偏光子を、可変アッテネータ104として用い得る。得られるパルスエネルギーの制御は、特定の波長の光について達成し得る最小スポットサイズよりも小さな要素の加工のために、特に重要である。上記のように、レーザマイクロ加工システムによって使用される光の波長は、そのシステムによって加工され得る最小要素サイズに影響する。超高速マイクロ加工レーザの場合、ビームスポットの回折限界のサイズよりも小さな微細要素をマイクロ加工することが可能である。
【0023】
図3は、そのような要素をレーザ加工する方法例を示す。加工ビームスポット内におけるフルエンスの正確な制御は、本方法において非常に望ましい。図3の図示例において、レーザビームは、レーザマイクロ加工システム例のレンズ120によって集束されて、ワークピース124の上面上の回折限界のビームスポット306となる。ガウス曲線300は、表面上のレーザビームの径方向フルエンスを表す。直線302は、デバイス材料の加工スレッショルドの一例である。レーザビームのピークフルエンスに依存して、直線302は、ガウス曲線300の半波高全幅値(FWHM)の上側、下側、あるいは真上に位置する。ガウス曲線300と直線302との交差点から延びる水平線は、ワークピース124の表面上にエリア304を規定する。したがって、エリア304が、表面のうちの、レーザによって直接加工される唯一の部分である。デバイス材料内における熱エネルギーの伝導によって、さらなる材料が加工され得るが、超高速レーザを用いたレーザ加工において、材料中のそのような熱影響ゾーンの形成は最小限になる。したがって、ピークフルエンスを可変アッテネータ104によって正確に制御することにより、エリア304のサイズを注意深く制御し得、超高速レーザの回折限界のスポットサイズより小さい微細要素の加工が可能になる。
【0024】
図3からわかるように、エリア304の所望の直径が回折限界のビームスポット306の直径に対して小さくなるにつれ、加工スレッショルドにおけるビームフルエンス曲線の傾きはより浅くなる。より浅い傾きは、パルス間におけるビームスポットのピークフルエンスの小さな変動が、加工されたエリア304の望ましくないほど大きな不確定性につながることを意味する。また、ビームスポットのうちガウス曲線300が浅い傾きを有する部分における加工は、加工されたエリア304の周囲の熱影響ゾーンを増大させ得る。理想的には、加工されたエリア304のエッジは、ガウス曲線300の傾きの最も急峻な部分近くに位置し得る(加工されたエリア304の直径がガウス曲線300のFWHMの約.72であるとき)。したがって、より小さな要素の加工のためには、より短い波長の超高速レーザの使用に移行することが望ましい。
【0025】
減衰されたビームは次に高調波生成結晶106に入射する。この結晶は、超高速レーザ発振器100によって生成されたレーザパルスの基本周波数を2逓倍、3逓倍、または4逓倍することにより、超高速UVパルスを生成するように設計され得る。この超高速UVパルスは、望ましくは約380nmより短いピーク波長を有し、1ns未満、好ましくは100ps未満の期間を有する。高調波生成結晶106における高調波生成の効率は、結晶の厚さととも変動し得る。また、高調波生成結晶106の効率は、結晶に入射する基本光の強度とともに変動し得るので、可変アッテネータ104の所望の減衰の選択は、望ましくはこの変数をも考慮したものである。なお、高調波生成結晶は望ましくは、特定の入力基本波長および調波数について望ましい位相整合を提供するように、最適化され得ることに留意されたい。したがって、有意な範囲にわたって超高速レーザ発振器100のピーク波長をチューニングすることも可能ではあり得るが、そのようなチューニングは高調波生成にとっては望ましくない。
【0026】
また、本発明において望まれるような1ns未満の超高速レーザパルスにおいて、これらのパルスのフーリエ変換限界の帯域は比較的広くてよいことに留意されたい。そのような広帯域を用いた高調波生成は、高調波生成結晶106の出力側における基本波および高調波間の所望の位相整合条件によって、複雑となる。これらの比較的広帯域パルスについて所望の位相整合条件を達成するための1つの方法は、高調波生成結晶106の厚さを減らすことであるが、これは高調波生成の効率を低下させ得る。
【0027】
望ましくは、ミラー108およびミラー118の両方とも、UVパルスの帯域全体を通じて高反射率(>95%)を有し、より短い波長については高透過率(>99%)を有し、また超高速レーザ発振器100の基本波長ならびに高調波生成結晶106において生成され得るそのすべての高調波において望ましくは最小の吸収を有するように設計された、二色性ミラーである。これらの二色性ミラーは望ましくは、高調波発生器106において発生されるUVパルスのピーク波長程度の厚さを有する、多数の誘電体層から形成される。これらの二色性ミラーの所望の高反射率帯域が広くなるにつれ、この層状誘電体構造はより複雑になる。したがって、これらのパルスの帯域を、そのフーリエ変換限界近傍に実質的に保つことが望ましい。
【0028】
この二色性ミラー対108および118は、UVレーザビームの操縦を可能にし、また、基本波長あるいはUVパルスの所望の高調波よりも低い高調波で高調波生成結晶106から放射される不要光が、ワークピース124上の目標エリアに達することを防止するたすけとなる。また二色性ミラー118は望ましくは、ワークピース照明源126からの可視光が、ワークピースを照明および撮像するために効率よく透過されることを可能にする。
【0029】
偏光制御手段110は望ましくは、UVレーザパルスの偏光を円偏光に変換する。円偏光および円形の断面を有するビームスポットを使用することにより、最小サイズの加工エリアが得られることがわかっており、これはワークピース表面上またはワークピース本体内において、一貫して円形であり得る。したがって、レーザ加工によって最も小さくまた最も再現性の高い要素を形成するためには、円偏光が望ましくあり得る。偏光制御手段110に入射するUVパルスは直線偏光でもよく、この場合望ましくは、偏光制御手段110はUVパルスのピーク波長に対して最適化された1/4波長板である。これは、可変アッテネータ104が偏光型のアッテネータである場合は特にそうである。偏光制御手段110に入射するUVパルスがまだ偏光されていない場合は、偏光制御手段110は望ましくは、直線偏光子に引き続いて1/4波長板を有する。UVパルスの帯域は、波長のすべてが1/4波長板によってほぼ円偏光にされるわけではないことを意味し得るが、ほぼフーリエ変換限界のパルスにおいて、この効果を無視するためには、パルス中のエネルギーの大部分はピーク波長に十分近い波長でなければならない。
【0030】
ほぼ円偏光のUVパルスは、マスク114のピンホールまたはその他の形状を通じて、レンズ112により集束され、その後レンズ116によって再平行光化され得る。このようにレーザビームをマスク104を通すことは、レーザマイクロ加工ビームのビーム形状に影響し得る。レンズ112および116は望ましくは、UVパルスの帯域内において、低い吸収率および低い色収差を有する。
【0031】
次にレーザビームを、二色性ミラー116によって高f#レンズ120に導く。高f#レンズ120は、ワークピースホルダ122によって定位置に保持されているワークピース124表面上の目標エリアに、ビームを集束させる。なお、高f#レンズ120の代わりに、UV顕微鏡の対物レンズまたはいくつかの別個の光学素子を用い得るが、この最後の選択肢を取った場合にはシステムの位置揃えが複雑になることに留意されたい。いずれの選択肢を用いた場合でも、この素子もまた望ましくはUVパルスの帯域内において低い吸収率および低い色収差を有する。望ましくは、ほぼ円偏光のUVパルスは、ワークピースの表面において回折限界のまたはほぼ回折限界のスポットに集束されることにより、最小要素サイズの加工を可能にする。
【0032】
ワークピースホルダ122は望ましくは、マイクロメートル分解能を持つコンピュータ制御XYZ移送台(例えばBurleigh製のミクロン分解能)を有する。またナノメートル分解能を持つコンピュータ制御の圧電XY移送台(例えばQueensgate製の圧電XY移送台)を有してもよい。XYZ移送台を用いて、ワークピース124を高f#レンズ120に近づけたり遠ざけたりすることにより、UVレーザパルスの集光が達成され得る。ワークピースホルダ122のこれらの1つまたは2つのコンピュータ制御移送台、レーザマイクロ加工システムのビームスポットをワークピース114の表面上に位置揃えするために用い得、マイクロメートル分解能XYZ移送台が粗い位置決めを提供し、圧電移送台が微妙な位置決めを提供する。
【0033】
あるいは、ナノメートル分解能を持つ、マスク114に結合されたコンピュータ制御の圧電XY移送台(図示せず)を、レーザマイクロ加工システムのビームスポットのワークピース124上における微妙な位置揃えに用い得る。前述のように、ワークピース124表面上における加工ビームスポットサイズは、望ましくは回折限界である。マスク114のピンホールは、望ましくはこの加工ビームスポットサイズより大きい。マスク114におけるビームサイズがピンホールより大きい場合ことが望ましい場合、集束されたレーザビーム内においてピンホールを動かすことにより、ワークピース124表面に形成されたビームスポットを、スケール化した量だけ移動させることが可能になり、このことによりビームスポット位置揃えの最終精度が上がる。このスケール化は、ピンホールサイズの加工スポットサイズに対する比に基づき、この比は望ましくは10:1以上であり得る。10:1比および、ナノメートル分解能を持つコンピュータ制御圧電XY移送台を用いてマスクを移動させた場合、加工ビームスポットの位置決めは、よりよい精度で制御され得る。
【0034】
レーザマイクロ加工システムの位置揃えおよび処理の進行を監視するために、ワークピース124表面をワークピース照明源126によって照明し、デジタルカメラ130によって撮像してもよい(例えばRoper Scientificのデジタルカメラ;1300×1030画素マトリックスを有し、画素長および幅が〜6.7μmである)。ワークピース照明源からの撮像光は、内蔵されているレンズ系(別個には示していない)によって実質的に平行光化され、ビームスプリッタ128(半鍍銀ミラーであってもよい)および二色性ミラー118を通過し、ここでレーザ加工ビームの経路を通って、レンズ120によりワークピース124上に集束される。次に撮像光はこのレンズを通って反射し戻される。二色性ミラー118を戻って通り、ビームスプリッタ128からデジタルカメラ130へ反射されることにより、ワークピース表面の像を生成する。この像の潜在的な色収差を減少するために、撮像光は望ましくは狭いスペクトルを有する。したがって、ワークピース照明源126は発光ダイオードまたはダイオードレーザであることが望ましいが、フィルタリングされた広スペクトル光源を用いてもよい。加工ビームと撮像ビームとを組み合わせるために二色性ミラー118を用いることは、これらの光ビームが異なる波長を有することを要求するが、レンズ120が両ビームを同様に集束できるように2つの光源が同様な波長を有することが望ましい。照明波長およびマイクロ加工レーザのUV波長における顕微鏡の対物レンズの焦点距離の差は、デジタルカメラ130の光学系および/またはビームスプリッタ128とデジタルカメラ130との間のさらなる光学系(図示せず)によって補償され得る。
【0035】
公開済み米国特許出願US−2003−0201578−A1、M.LiらのMETHOD OF DRILLING HOLES WITH PRECISION LASER MICROMACHININGに記載されるように、超高速レーザマイクロ加工システムはその回折限界のスポットサイズよりも小さい要素を加工することができ、より小さな要素の加工が可能になる。この特許明細書に記載されたレーザマイクロ加工方法例もまた、加工されるエリアをビームスポット内においてセンタリングすることにより、レーザ加工された要素の位置決め精度の改善を可能にする利点を有する。上述のように、マイクロ構造上により微細な要素を製造するためには、マイクロ加工レーザのビームスポットもより高い精度で位置揃えできることが望ましい。また、サブミクロン寸法を有し得る要素を、マイクロ構造上において識別して加工することが望ましい。このような動作は、図1のこの撮像システム例の回折限界の分解能よりも大きな精度を要求し得る。また、コンピュータ制御圧電移送台は、図1に示す可視光撮像システムの回折限界を越える位置決め精度を可能にする。加工レーザの回折限界のスポットサイズよりも小さな要素を加工し、可視光撮像システムの回折限界を越える位置決め精度を達成するための方法の例が、2004年3月1日付けの出願に係る米国特許出願であるM.LiらのULTRAFAST LASER DIRECT WRITING METHOD FOR MODIFYING EXISTING MICROSTRUCTURES ON A SUBMICRON SCALEに記載されている。
【0036】
あるいは、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて、既存のマイクロ構造上のサブミクロン要素のレーザ加工のためのビームスポットの位置揃えを監視してもよいが、これはずっと高価な解決策であり、真空システムを必要とする。また、SEMは導電材料か導電層でコーティングされた材料のみを撮像可能である。また、原子間力顕微鏡(AFM)もレーザマイクロ加工システムの位置揃えを監視するために用いることができる。AFMは非常に正確であるが、位置揃えのための表面要素のマッピングに多大な走査時間を必要とし得る。光学撮像システムに対してそれぞれ不利な点はあるものの、SEMおよびAFM位置揃え法は、より小さな要素のマイクロ加工にとって望ましくあり得る。
【0037】
図1のレーザマイクロ加工システム例における素子のうちいくつかの順番は、システムの機能を変更することなく並べ替えることが可能であることが当業者には理解される。例えば、高調波生成結晶106は、可変アッテネータ104およびまたはシャッタ102の前に配置されてもよく、可変アッテネータ104はシャッタ102の前に配置されてもよく、偏光制御手段110は二色性ミラー108の前に配置されてもよく、シャッタ102は、加工レーザビームのビーム経路上の任意の場所(現在の位置から高f#レンズ120の直前まで)に配置され得る。
【0038】
図1のレーザマイクロ加工システム例は、予め存在するマイクロ構造上のサブミクロン要素のレーザ加工を可能にするようにも、新たなマイクロ構造の製造を可能にするようにも動作され得る。マイクロ構造の大量カスタマイゼーションおよび、欠陥を有するマイクロ構造の修理も、このシステム例を用いて達成し得る。図2は、本発明による、超高速UVレーザパルスを用いて約200nmより小さな要素をレーザ加工する方法例を示すフローチャートである。この方法例は、図1のシステム例と同様なレーザマイクロ加工システムを用いて実行し得る。
【0039】
図2の方法例は、約200nmより小さな要素が望まれる様々な異なるマイクロ構造を形成するために用い得る。例えば、マイクロ構造の鋳型、量子セルラーオートマトン、結合量子ドットデバイス、共鳴トンネルデバイス、多機能光学アレイ、回折光学素子、ビームシェーパー、マイクロレンズアレイ、光学ディフューザ、ビームスプリッタ、レーザダイオード補正器、微細ピッチ格子、フォトニック結晶、マイクロ電気機械システム、マイクロ回路、マイクロ表面弾性波デバイス、マイクロメカニカルオシレータ、ポリメラーゼ連鎖反応マイクロシステム、有害な化学および生物物質の検出のためのバイオチップ、および高スループットドラッグスクリーニングおよび選択マイクロシステムである。
【0040】
約1ps未満の期間および約380nm未満のピーク波長を有する、UVレーザ光の超高速パルスが生成される(ステップ200)。これらのパルスは、複数の超高速レーザシステムの基本波長の高調波として生成され得る。例えば、Ti:サファイア超高速レーザが760−820nmの範囲のピーク波長を有するレーザ光の初期パルスを生成するのに用いられ得る。この範囲の下端においてTi:サファイア超高速レーザからのパルスを周波数2逓倍することにより、約380nmのピークを有する第2次高調波UVレーザ光のパルスを生成し得る。Ti:サファイアパルスはまた、周波数3逓倍されることによって第3次高調波UVレーザ光のパルス(λf=253nm−274nm)を生成し得、そして周波数4逓倍されることによって第4次高調波UVレーザ光のパルス(λf=190nm〜205nm)を生成し得る。
【0041】
またPr:YLF超高速レーザ(λf=612nm)を用いてレーザ光の初期パルスを生成し、周波数2逓倍して約306nmのピーク波長とし、周波数3逓倍して約204nmのピーク波長とし、あるいは周波数4逓倍して約153nmのピーク波長とすることができる。
【0042】
Nd:YAGおよびNd:YVO4超高速レーザ(λf=1064nm)を周波数3逓倍または4逓倍して、約355nmまたは266nmのピーク波長をそれぞれ有する超高速UVパルスを生成し得る。また、Nd:GdVO4超高速レーザ(λf=1063nm)を周波数3逓倍または4逓倍して、約354nmまたは266nmのピーク波長をそれぞれ有する超高速UVパルスを生成し得る。Nd:YLFは、1047nmおよび1053nmとして用いられ得る2つのピーク基本波長を有する。1047nmのピーク基本波長を周波数3逓倍または4逓倍し、約349nmまたは262nmのピーク波長をそれぞれ有する超高速UVパルスを生成し、また1053nmのピーク基本波長を周波数3逓倍または4逓倍し、約351nmまたは263nmのピーク波長をそれぞれ有する超高速UVパルスを生成し得る。Nd:ガラス超高速レーザは、約40nm域にわたってチューニング可能であり、他の超高速Ndレーザシステム(λf=1047−1087nm)の基本波長を網羅する。したがって、Nd:ガラス超高速レーザを周波数3逓倍し、349nmから362nmの範囲のピーク波長を有する超高速UVパルスを生成し、あるいは周波数4逓倍して262nmから272nmの範囲のピーク波長を有する超高速UVパルスを生成し得る。
【0043】
Yb:YAG超高速レーザ(λf=1030nm)を周波数3逓倍または4逓倍して、約343nmまたは258nmのピーク波長をそれぞれ有する超高速UVパルスを生成し得る。
【0044】
Cr:LiSAF超高速レーザは、約50nm域にわたってチューニング可能である(λf=826−876nm)。したがって、Cr:LiSAF超高速レーザを周波数3逓倍して、275nmから292nmの範囲のピーク波長を有する超高速UVパルスを生成し、あるいは周波数4逓倍して206nmから219nmの範囲のピーク波長を有する超高速UVパルスを生成し得る。Cr:YAG超高速レーザ(λf=1520nm)を周波数4逓倍して、約380nmのピーク波長を有するUVレーザ光のパルスを生成し、Cr:苦土カンラン石超高速レーザ(λf=1230−1270nm)を周波数4逓倍して307nmから318nmの範囲のピーク波長を有するUVレーザ光のパルスを生成し得る。
【0045】
XeCl超高速エキシマレーザを用いて、約308nmのピーク波長を有する超高速UVパルスを生成し得る。この基本波長を周波数2逓倍または3逓倍して、約154nmまたは103nmのピーク波長をそれぞれ有する超高速UVパルスを生成し得る。KrF超高速エキシマレーザを用いて、約248nmのピーク波長を有する超高速UVパルスを生成し得る。この基本波長を周波数2逓倍して、約124nmのピーク波長を有する超高速UVパルスを生成し得る。ArF超高速エキシマレーザを用いて、約193nmのピーク波長を有する超高速UVパルスを生成し得る。F2超高速エキシマレーザを用いて、約157nmのピーク波長を有する超高速UVパルスを生成し得る。
【0046】
2−(6−(4−ジメチルアミノフェニル)−2,4−ネオペンチレン−l,3,5−ヘキサトリエニル)−3−メチルベンゾチアゾリウム過塩素酸塩超高速色素レーザは、約115nm域にわたってチューニング可能である(λf=785−900nm)。したがって、2−(6−(4−ジメチルアミノフェニル)−2,4−ネオペンチレン−l,3,5−ヘキサトリエニル)−3−メチルベンゾチアゾリウム過塩素酸塩超高速色素レーザを周波数3逓倍して262nmから300nmの範囲のピーク波長を有する超高速UVパルスを生成し、あるいは周波数4逓倍して198nmから225nmの範囲のピーク波長を有する超高速UVパルスを生成し得る。4−ジシアンメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン超高速色素レーザは、約112nm域にわたってチューニング可能である(λf=598−710nm)。したがって、4−ジシアンメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン超高速色素レーザを周波数2逓倍して299nmから355nmの範囲のピーク波長を有する超高速UVパルスを生成し、周波数3逓倍して199nmから237nmの範囲のピーク波長を有する超高速UVパルスを生成し、あるいは周波数4逓倍して149nmから178nmの範囲のピーク波長を有する超高速UVパルスを生成し得る。安息香酸、2−[6−(エチルアミノ)−3−(エチルイミノ)−2,7−ジメチル−3H−キサンテン−9−yl]−エチルエステル、一塩酸塩超高速色素レーザは、約70nm域にわたってチューニング可能である(λf=555−625nm)。したがって、安息香酸、2−[6−(エチルアミノ)−3−(エチルイミノ)−2,7−ジメチル−3H−キサンテン−9−イル]−エチルエステル、一塩酸塩超高速色素レーザを周波数2逓倍して、277nmから313nmの範囲のピーク波長を有する超高速UVパルスを生成し、周波数3逓倍して185nmから208nmの範囲のピーク波長を有する超高速UVパルスを生成し、あるいは周波数4逓倍して139nmから156nmの範囲のピーク波長を有する超高速UVパルスを生成し得る。7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン超高速色素レーザは、約65nm域にわたってチューニング可能である(λf=435−500nm)。したがって、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン超高速色素レーザを周波数2逓倍して217nmから250nmの範囲のピーク波長を有する超高速UVパルスを生成し、周波数3逓倍して145nmから167nmの範囲のピーク波長を有する超高速UVパルスを生成し、あるいは周波数4逓倍して109nmから125nmの範囲のピーク波長を有する超高速UVパルスを生成し得る。
【0047】
ステップ200のシステムのうちの1つによって生成されたUVレーザ光のパルスが、ワークピースの目標エリア内の、実質的に回折限界のビームスポットに集束される(ステップ202)。これは望ましくは、図1を参照して上述したように、高f#レンズまたは顕微鏡の対物レンズを用いて達成し得る。ワークピースの目標エリアに入力した集束されたUVレーザ光のパルスの偏光を制御して(ステップ204)、パルスからパルスにわたって実質的に一定であるようにする。望ましくは、集束されたUVレーザ光のパルスのピーク波長近傍の波長(望ましくはパルスのエネルギーの実質的な部分を含む)が円偏光であるように、偏光は制御される。
【0048】
ワークピースの目標エリアにおける実質的に回折限界のビームスポットのフルエンスは、目標エリアのうち各UVレーザ光のパルスによって加工される部分の直径が200nm未満であるように、制御される(ステップ206)。なお、ステップ206におけるワークピースの材料の加工は、材料をアブレーションすること(すなわちサブミクロン要素の形状および/またはサイズを変更すること)、あるいは加工された部分の材料の構造を永久的に変更することを含み得ることに留意されたい。この材料の構造を永久的に変更することの例としては、材料の屈折率を変化させること、結晶性材料の格子構造を変更すること(場合によっては結晶構造中に非晶質領域を形成することを)、および材料の化学構造を変化させることが挙げられる。なお、ワークピース材料のアブレーションは望ましくはワークピースの表面で起こるが、表面における材料構造の変更とともに、内部材料構造の永久的な変更が比較的透明なワークピース材料内で行われ得ることに留意されたい。
【0049】
また、望ましくはより短い波長のUV光および高f#焦点光学系を用いることにより、図3を参照して上述したように、目標エリアの加工された部分のエッジが、実質的に回折限界のビームスポットのうちの、ビーム強度曲線比較的急峻な傾きを有する部分にあるようになることに留意されたい。
【0050】
図1のシステム例を参照して上述したように、目標エリア内における実質的に回折限界のビームスポットの位置は、単一の加工されたスポットよりもより複雑な要素を形成されるように、望ましくは制御される(ステップ208)。この位置決めは望ましくは、用いられる監視および位置揃えシステムに依存して、約100nm未満の精度で達成され得る。所望のマイクロ構造のすべてがレーザ光の超高速UVパルスを用いて加工されれば、レーザ加工されたマイクロ構造が完成する(ステップ210)。
【0051】
図2の方法例のデモンストレーションにおいて、Ti:サファイア超高速レーザ発振器を用いて、長さ150fsの、周波数3逓倍258nmピーク波長UVレーザパルスを生成した。これらのUVレーザパルスを用い、幅約571nmの導波路において、1次元(1D)フォトニック結晶例を形成した。この1Dフォトニック結晶例は、エアホール中心間の最小ピッチが約410nmであり、エアホール直径は約200nmであり、これらは約8nmの精度で導波路上に位置していた。
【0052】
本発明の実施形態例は、超高速レーザ処理およびUVレーザ処理の特徴を、高精度ナノ加工のために組み合わせることを包含する。これらの実施形態例を用いることにより、最小要素サイズの減少ならびに、加工分解能の改善が達成され得る。例えば、258nmピーク波長(例えばTi:サファイア第3次高調波)の超高速レーザマイクロ加工システムを用いて形成されたマイクロ構造の最小要素サイズが100nmであれば、同様な387nmピーク波長(例えばTi:サファイア第2次高調波)の超高速レーザマイクロ加工システムを用いた最小要素サイズは160nmであり、同様な775nmピーク波長(例えばTi:サファイア基本波)超高速レーザマイクロ加工システムを用いた最小要素サイズは300nmである。
【0053】
本発明は、レーザマイクロ加工システムを用いて約200nmよりも小さな要素を加工するための、いくつかのシステム例および方法例を包含する。このような技術は、レーザマイクロ加工の使用領域を拡張する助けになり得る。本発明を特定の実施形態について図示および説明したが、本発明は示された詳細に限定されるものではない。むしろ、請求項の均等物の範疇・範囲内において、本発明から逸脱することなく、詳細について様々な改変をなし得る。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明によるレーザマイクロ加工システム例のブロック図である。
【図2】図1のレーザマイクロ加工システム例を用いて、200nmより小さい要素を加工する方法例を示す、フローチャートである。
【図3】図1のレーザマイクロ加工システム例のレーザビームの一例の概略図であり、ビームスポットサイズより小さい要素をレーザ加工する方法を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース上の200nmより小さい要素を加工するための超高速レーザマイクロ加工システムであって、
約1ps未満の期間および約380nm未満のピーク波長を有するUVレーザ光のパルスを生成するための超高速レーザ源と、
前記ワークピースを保持するためのワークピースホルダと、
前記保持されたワークピースの目標エリアを撮像する撮像システムと、
前記UVレーザ光のパルスを、ビーム経路に沿って、前記超高速レーザ源から前記保持されたワークピースの前記目標エリアへと導くための導光光学系と、
前記UVレーザ光のパルスを、前記目標エリア内の実質的に回折限界のビームスポットに集束する、フォーカシング機構と、
前記目標エリア内の前記実質的に回折限界のビームスポットの微妙な位置揃え制御を提供する、位置揃え機構と、
前記保持されたワークピースの前記目標エリアにおける前記超高速レーザマイクロ加工システムの前記実質的に回折限界のビームスポットのフルエンスを、前記目標エリアのうち前記UVレーザ光のパルスの1つによって加工された部分の直径が200nm未満であるように制御する、フルエンス制御手段と、
を備える超高速レーザマイクロ加工システム。
【請求項2】
前記フォーカシング機構および前記偏光制御光学系は、前記実質的に回折限界のビームスポットが実質的にガウス強度曲線を有し、200nm以上の半波高全幅値(FWHM)を有するように、前記実質的に回折限界のビームスポットを制御する、請求項1に記載の超高速レーザマイクロ加工システム。
【請求項3】
前記ビーム経路において、前記保持されたワークピースの前記目標エリアに入射する前記集束されたUVレーザ光のパルスの偏光を制御する、偏光制御光学系をさらに備える、請求項1に記載の超高速レーザマイクロ加工システム。
【請求項4】
前記超高速レーザ源は、
前記ピーク波長が約380nmである、周波数4逓倍Cr:YAG超高速レーザまたは周波数2逓倍Ti:サファイア超高速レーザ、
前記ピーク波長が約355nmである、周波数3逓倍Nd:YAGまたはNd:YVO4超高速レーザ、
前記ピーク波長が約354nmである、周波数3逓倍Nd:GdVO4超高速レーザ、
前記ピーク波長が約349nmまたは約351nmである、周波数3逓倍Nd:YLF超高速レーザ、
前記ピーク波長が349nmから362nmの範囲である、周波数3逓倍Nd:ガラス超高速レーザ、
前記ピーク波長が約308nmである、XeCl超高速エキシマレーザ、
前記ピーク波長が307nmから318nmの範囲である、周波数4逓倍Cr:苦土カンラン石超高速レーザ、
前記ピーク波長が約306nmである、周波数2逓倍Pr:YLF超高速レーザ、
前記ピーク波長が299nmから355nmの範囲である、周波数2逓倍4−ジシアンメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン超高速色素レーザ、
前記ピーク波長が277nmから313nmの範囲である、周波数2逓倍安息香酸、2−[6−(エチルアミノ)−3−(エチルイミノ)−2,7−ジメチル−3H−キサンテン−9−イル]−エチルエステル、一塩酸塩超高速色素レーザ、
前記ピーク波長が275nmから292nmの範囲である、周波数3逓倍Cr:LiSAF超高速レーザ、
前記ピーク波長が約266nmである、周波数4逓倍Nd:YAG、Nd:YVO4またはNd:GdVO4超高速レーザ、
前記ピーク波長が約262nmまたは約263nmである、周波数4逓倍Nd:YLF超高速レーザ、
前記ピーク波長が262nmから300nmの範囲である、周波数3逓倍2−(6−(4−ジメチルアミノフェニル)−2,4−ネオペンチレン−l,3,5−ヘキサトリエニル)−3−メチルベンゾチアゾリウム過塩素酸塩超高速色素レーザ、
前記ピーク波長が262nmから272nmの範囲である、周波数4逓倍Nd:ガラス超高速レーザ、
前記ピーク波長が約258nmである、周波数4逓倍Yb:YAG超高速レーザ、
前記ピーク波長が253nmから274nmの範囲である、周波数3逓倍Ti:サファイア超高速レーザ、
前記ピーク波長が約248nmである、KrF超高速エキシマレーザ、
前記ピーク波長が217nmから250nmの範囲である、周波数2逓倍7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン超高速色素レーザ、
前記ピーク波長が206nmから219nmの範囲である、周波数4逓倍Cr:LiSAF超高速レーザ、
前記ピーク波長が約204nmである、周波数3逓倍Pr:YLF超高速レーザ、
前記ピーク波長が199nmから237nmの範囲である、周波数3逓倍4−ジシアンメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン超高速色素レーザ、
前記ピーク波長が196nmから225nmの範囲である、周波数4逓倍2−(6−(4−ジメチルアミノフェニル)−2,4−ネオペンチレン−l,3,5−ヘキサトリエニル)−3−メチルベンゾチアゾリウム過塩素酸塩超高速色素レーザ、
前記ピーク波長が約193nmである、ArF超高速エキシマレーザ、
前記ピーク波長が190nmから205nmの範囲である、周波数4逓倍Ti:サファイア超高速レーザ、
前記ピーク波長が185nmから208nmの範囲である、周波数3逓倍安息香酸、2−[6−(エチルアミノ)−3−(エチルイミノ)−2,7−ジメチル−3H−キサンテン−9−イル]−エチルエステル、一塩酸塩超高速色素レーザ、
前記ピーク波長が約157nmである、F2超高速エキシマレーザ、
前記ピーク波長が約154nmである、周波数2逓倍XeCl超高速エキシマレーザ、
前記ピーク波長が約153nmである、周波数4逓倍Pr:YLF超高速レーザ、
前記ピーク波長が149nmから178nmの範囲である、周波数4逓倍4−ジシアンメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン超高速色素レーザ、
前記ピーク波長が145nmから167nmの範囲である、周波数3逓倍7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン超高速色素レーザ、
前記ピーク波長が139nmから156nmの範囲である、周波数4逓倍安息香酸、2−[6−(エチルアミノ)−3−(エチルイミノ)−2,7−ジメチル−3H−キサンテン−9−イル]−エチルエステル、一塩酸塩超高速色素レーザ、
前記ピーク波長が約124nmである、周波数2逓倍KrF超高速エキシマレーザ、
前記ピーク波長が109nmから125nmの範囲である、周波数4逓倍7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン超高速色素レーザ、または
前記ピーク波長が約103nmである、周波数3逓倍XeCl超高速エキシマレーザ、
のうち1つを含む、請求項1に記載の超高速レーザマイクロ加工システム。
【請求項5】
前記撮像システムは、
照明光を生成するための照明源および前記ワークピースの前記目標エリアを撮像するデジタルカメラを含む、光学撮像システム、
走査電子顕微鏡、または
原子間力顕微鏡、
のうち1つを含む、請求項1に記載の超高速レーザマイクロ加工システム。
【請求項6】
前記フォーカシング機構は、前記ワークピースホルダに結合されたマイクロメートル分解能XYZ移送台を含む、請求項1に記載の超高速レーザマイクロ加工システム。
【請求項7】
前記位置揃え機構は、
前記ビーム経路に配置されたピンホールを有する横方向に移動可能なピンホールマスクと、
前記横方向に移動可能なピンホールマスクに結合された、ナノメートル分解能の圧電XY移送台と、
を有する、請求項1に記載の超高速レーザマイクロ加工システム。
【請求項8】
前記位置揃え機構は、前記ワークピースホルダに結合されたナノメートル分解能の圧電XY移送台を有する、請求項1に記載の超高速レーザマイクロ加工システム。
【請求項9】
前記フルエンス制御手段は、前記ビーム経路において可変アッテネータを有している、請求項1に記載の超高速レーザマイクロ加工システム。
【請求項10】
200nm未満の寸法を有する少なくとも1つの要素を有するマイクロ構造を、ワークピース上に製造する方法であって、
a)約1ps未満の期間および約380nm未満のピーク波長を有するUVレーザ光のパルスを生成するステップと、
b)前記UVレーザ光のパルスを、前記ワークピースの目標エリア内の実質的に回折限界のビームスポットに集束するステップと、
c)前記ワークピースの前記目標エリアにおける前記実質的に回折限界のビームスポットのフルエンスを、前記目標エリアのうち前記UVレーザ光のパルスの1つによって加工された部分の直径が200nm未満であるように制御するステップと、
を包含する方法。
【請求項11】
ステップ(b)は、前記ワークピースの前記目標エリア内の前記実質的に回折限界のビームスポット半波高全幅値が、前記目標エリアのうち前記UVレーザ光のパルスの1つによって加工された前記部分の直径より大きくなるように、前記UVレーザ光のパルスを集束することを包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
d)前記目標エリア内の前記実質的に回折限界のビームスポットの位置を、約100nm未満の精度で制御するステップ
をさらに包含する請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記UVレーザ光のパルスは、ピンホールを有し横方向に移動可能な、ビーム経路に配置されたピンホールマスクを含むビーム経路に沿って伝播し、
ステップ(b)は、前記ワークピースの前記目標エリア内の前記実質的に回折限界のビームスポットのビームスポット直径が前記ピンホールのピンホール直径よりも小さくなるように、前記UVレーザ光のパルスを集束することを包含し、
ステップ(d)は、前記ピンホール直径の前記ビームスポット直径に対する比に基づき、スケール化した量だけ前記横方向に移動可能なピンホールマスクを移動することにより、前記目標エリア内の前記実質的に回折限界のビームスポットの位置を制御することを包含する、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(d)は、前記ワークピースを移動させることにより、前記ワークピースの前記目標エリア内の前記実質的に回折限界のビームスポットの位置を制御する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
d)前記ワークピースの前記目標エリアに入射する前記集束されたUVレーザ光のパルスの偏光を制御するステップ
をさらに包含する請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記マイクロ構造は、マイクロ構造の鋳型、量子セルラーオートマトン、結合量子ドットデバイス、共鳴トンネルデバイス、多機能光学アレイ、回折光学素子、ビームシェーパー、マイクロレンズアレイ、光学ディフューザ、ビームスプリッタ、レーザダイオード補正器、微細ピッチ格子、フォトニック結晶、マイクロ電気機械システム、マイクロ回路、マイクロ表面弾性波デバイス、マイクロメカニカルオシレータ、ポリメラーゼ連鎖反応マイクロシステム、有害な化学および生物物質の検出のためのバイオチップ、または高スループットドラッグスクリーニングおよび選択マイクロシステムのうち少なくとも1つである、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(a)は、
a1)XeCl超高速エキシマレーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有し前記ピーク波長が約308nmである前記UVレーザ光のパルスを生成するステップ
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
ステップ(a)は、
a1)KrF超高速エキシマレーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有し前記ピーク波長が約248nmである前記UVレーザ光のパルスを生成するステップ
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(a)は、
a1)ArF超高速エキシマレーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有し前記ピーク波長が約193nmである前記UVレーザ光のパルスを生成するステップ
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
ステップ(a)は、
a1)F2超高速エキシマレーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有し前記ピーク波長が約157nmである前記UVレーザ光のパルスを生成するステップ
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項21】
ステップ(a)は、
a1)Ti:サファイア超高速レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を2逓倍することにより、前記ピーク波長が約380nmである前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項22】
ステップ(a)は、
a1)Pr:YLF超高速レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を2逓倍することにより、前記ピーク波長が約306nmである前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項23】
ステップ(a)は、
a1)4−ジシアンメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン超高速色素レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を2逓倍することにより、前記ピーク波長が299nmから355nmの範囲である前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項24】
ステップ(a)は、
a1)安息香酸、2−[6−(エチルアミノ)−3−(エチルイミノ)−2,7−ジメチル−3H−キサンテン−9−イル]−エチルエステル、一塩酸塩超高速色素レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を2逓倍することにより、前記ピーク波長が277nmから313nmの範囲である前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項25】
ステップ(a)は、
a1)7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン超高速色素レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を2逓倍することにより、前記ピーク波長が217nmから250nmの範囲である前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項26】
ステップ(a)は、
a1)XeCl超高速エキシマレーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を2逓倍することにより、前記ピーク波長が約154nmである前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項27】
ステップ(a)は、
a1)KrF超高速エキシマレーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を2逓倍することにより、前記ピーク波長が約124nmである前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項28】
ステップ(a)は、
a1)Nd:YAGまたはNd:YVO4超高速レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を3逓倍することにより、前記ピーク波長が約355nmである前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項29】
ステップ(a)は、
a1)Nd:GdVO4超高速レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を3逓倍することにより、前記ピーク波長が約354nmである前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項30】
ステップ(a)は、
a1)Nd:ガラス超高速レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を3逓倍することにより、前記ピーク波長が349nmから362nmの範囲である前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項31】
ステップ(a)は、
a1)Nd:YLF超高速レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を3逓倍することにより、前記ピーク波長が約349nmまたは約351nmである前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項32】
ステップ(a)は、
a1)Yb:YAG超高速レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を3逓倍することにより、前記ピーク波長が約343nmである前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項33】
ステップ(a)は、
a1)Cr:LiSAF超高速レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を3逓倍することにより、前記ピーク波長が275nmから292nmの範囲である前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項34】
ステップ(a)は、
a1)2−(6−(4−ジメチルアミノフェニル)−2,4−ネオペンチレン−l,3,5−ヘキサトリエニル)−3−メチルベンゾチアゾリウム過塩素酸塩超高速色素レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を3逓倍することにより、前記ピーク波長が262nmから300nmの範囲である前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項35】
ステップ(a)は、
a1)Ti:サファイア超高速レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を3逓倍することにより、前記ピーク波長が253nmから274nmの範囲である前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項36】
ステップ(a)は、
a1)Pr:YLF超高速レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を3逓倍することにより、前記ピーク波長が約204nmである前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項37】
ステップ(a)は、
a1)4−ジシアンメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン超高速色素レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を3逓倍することにより、前記ピーク波長が199nmから237nmの範囲である前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項38】
ステップ(a)は、
a1)安息香酸、2−[6−(エチルアミノ)−3−(エチルイミノ)−2,7−ジメチル−3H−キサンテン−9−イル]−エチルエステル、一塩酸塩超高速色素レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を3逓倍することにより、前記ピーク波長が185nmから208nmの範囲である前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項39】
ステップ(a)は、
a1)7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン超高速色素レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を3逓倍することにより、前記ピーク波長が145nmから167nmの範囲である前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項40】
ステップ(a)は、
a1)XeCl超高速エキシマレーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を3逓倍することにより、前記ピーク波長が約103nmである前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項41】
ステップ(a)は、
a1)Cr:YAG超高速レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を4逓倍することにより、前記ピーク波長が約380nmである前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項42】
ステップ(a)は、
a1)Cr:苦土カンラン石超高速レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を4逓倍することにより、前記ピーク波長が307nmから318nmの範囲である前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項43】
ステップ(a)は、
a1)Nd:YAG、Nd:YVO4またはNd:GdVO4超高速レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を4逓倍することにより、前記ピーク波長が約266nmである前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項44】
ステップ(a)は、
a1)Nd:ガラス超高速レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を4逓倍することにより、前記ピーク波長が262nmから272nmの範囲である前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項45】
ステップ(a)は、
a1)Nd:YLF超高速レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を4逓倍することにより、前記ピーク波長が約262nmまたは約263nmである前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項46】
ステップ(a)は、
a1)Yb:YAG超高速レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を4逓倍することにより、前記ピーク波長が約258nmである前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項47】
ステップ(a)は、
a1)Cr:LiSAF超高速レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を4逓倍することにより、前記ピーク波長が206nmから219nmの範囲である前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項48】
ステップ(a)は、
a1)2−(6−(4−ジメチルアミノフェニル)−2,4−ネオペンチレン−l,3,5−ヘキサトリエニル)−3−メチルベンゾチアゾリウム過塩素酸塩超高速色素レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を4逓倍することにより、前記ピーク波長が196nmから225nmの範囲である前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項49】
ステップ(a)は、
a1)Ti:サファイア超高速レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を4逓倍することにより、前記ピーク波長が190nmから205nmの範囲である前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項50】
ステップ(a)は、
a1)Pr:YLF超高速レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を4逓倍することにより、前記ピーク波長が約153nmである前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項51】
ステップ(a)は、
a1)4−ジシアンメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン超高速色素レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を4逓倍することにより、前記ピーク波長が149nmから178nmの範囲である前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項52】
ステップ(a)は、
a1)安息香酸、2−[6−(エチルアミノ)−3−(エチルイミノ)−2,7−ジメチル−3H−キサンテン−9−イル]−エチルエステル、一塩酸塩超高速色素レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を4逓倍することにより、前記ピーク波長が139nmから156nmの範囲である前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。
【請求項53】
ステップ(a)は、
a1)7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン超高速色素レーザを用いて、前記約1ps未満の期間を有するレーザ光の初期パルスを生成するステップと、
a2)前記初期パルスにおける前記レーザ光の周波数を4逓倍することにより、前記ピーク波長が109nmから125nmの範囲である前記UVレーザ光のパルスを生成するステップと、
を包含する、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−526129(P2007−526129A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501868(P2007−501868)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/006256
【国際公開番号】WO2005/092559
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成15年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「フェムト秒テクノロジーの研究開発(超高速光デバイス技術)」に関する委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】