説明

Web閲覧システムおよびWeb閲覧方法

【課題】PC向けWebページを中継サーバで画像化して携帯端末で画像表示および操作を行う構成において、Webページにベクターグラフィックスのリッチコンテンツが含まれている場合でも、そのインタラクティブ性を確保すること。
【解決手段】Webページに対応する画像を表示した携帯端末10にて、ポインティング操作を受け付け(S201)、携帯端末10から中継サーバ20に対し、ポインティング位置情報を含む操作情報を送信し(S202)、中継サーバ20にて、ポインティング位置情報とダミーテキストとをWebブラウザに投入し(S204)、Webブラウザから出力される画面情報にダミーテキストが現れたことを検出して(S205)、Webブラウザにバックスペースを投入することで画面情報からダミーテキストを消去し(S206)、リッチコンテンツ領域に対するテキスト入力を可能にするテキスト入力指示を携帯端末10に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Web閲覧システムおよびWeb閲覧方法に関し、特に、PC向けのWebページを画面サイズ等が制限されるクライアント端末で閲覧するためのWeb閲覧システムおよびWeb閲覧方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末でWebサイトのコンテンツ(Webページ)を閲覧する機会が多く見受けられる。サイト制作者は、PC向けWebサイトに加え携帯端末向けWebサイトも作るのは大きな手間でありコストがかかることから、携帯端末向けWebサイトの制作を避ける傾向にある。
【0003】
また、画面サイズやダウンロード可能なファイルサイズ等、携帯端末の性能がPCと比べて劣ることから、PC向けコンテンツを携帯端末で閲覧するための様々な方法が発表されている。例えば、PC向けの1つのコンテンツを携帯端末の性能に合う複数のファイルに変換する方法があるが、携帯端末で閲覧した場合に1つのコンテンツが複数のページにわたって表示されてしまう。また、携帯端末向けのマークアップ言語に変換する方法があるが、デザイン崩れの問題が起こりやすい。即ち、携帯端末で閲覧した場合と、PCで閲覧した場合とで、見た目の差異が生じてしまう。
【0004】
このような課題に対し、特許文献1には、PC向けWebページ情報を画像化して携帯電話に表示させる技術が開示されている。例えば、画像配信サーバは、Webサーバから取得したHTML文書等のPC向けWebページをビットマップの画像に変換し、その画像を携帯端末に対し送信する。携帯端末は、受信した画像を表示し、ユーザがポインティングデバイスを用いて画像中の文字列等をクリックすると、そのクリック位置座標と表示されているWebページのURLとを画像配信サーバに送信する。画像配信サーバは、そのWebページの構成要素から、送られてきたクリック位置座標に対応するリンクポインタが存在しているか否かを検査し、リンクポインタが存在している場合、そのリンクポインタが示すURLを用いてWebサーバにアクセスする。このような技術によれば、Webブラウザを実装していない携帯端末であっても、Webページを画像として閲覧することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−220260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術では、Webページの構成要素のうちリンクタグ以外のユーザインタフェース(UI)には対応していないという問題があった。そこで、中継サーバからクライアント端末に対しユーザインタフェース情報およびユーザインタフェースの位置情報を画像のメタデータとして送信することが考えられる。クライアント端末側で、メタデータに基づいて、ユーザの入力操作に応じた処理を行うことで、高速且つ操作性の良いWeb閲覧を実現できる。
【0007】
しかし、Flash(登録商標)コンテンツ等のリッチコンテンツがWebページに含まれている場合には、HTML等で記述されたWebページを解析しても、リッチコンテンツ領域内のユーザインタフェース(例えばテキスト入力ボックスやボタン等)については、UI情報を取得できないという課題があった。即ち、Webページにリッチコンテンツが含まれている場合、そのインタラクティブ性が阻害されるという問題があった。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、PC向けWebページをサーバで画像化してクライアント端末で画像表示および操作を行う構成において、Webページにベクターグラフィックスのリッチコンテンツが含まれている場合でも、そのインタラクティブ性を確保することができるWeb閲覧システムおよびWeb閲覧方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は、画像を表示可能なクライアント端末、および、前記クライアント端末と通信するサーバを備えたWeb閲覧システムであって、前記サーバは、ベクターグラフィックスのリッチコンテンツを含むWebページを解析して、リッチコンテンツ領域を含む画面情報を出力するWebブラウザ部と、前記リッチコンテンツ領域を含む画面情報を、前記クライアント端末で表示可能な画像に変換する手段と、前記画像を前記クライアント端末に送信する手段と、前記画像を表示してポインティング操作を受け付けた前記クライアント端末から、ポインティング位置情報を受信する手段と、前記ポインティング位置情報とダミーテキストとを前記Webブラウザ部に投入して、前記Webブラウザ部から出力される画面情報に前記ダミーテキストが現れたことを検出するとともに、前記Webブラウザ部にバックスペースを投入することで前記画面情報から前記ダミーテキストを消去する手段と、前記画面情報に前記ダミーテキストが現れた場合、前記リッチコンテンツ領域に対するテキスト入力を可能にするテキスト入力指示を、前記クライアント端末に送信する手段と、を備えたことを特徴とするWeb閲覧システムを提供する。
【0010】
この構成によれば、PC向けWebページをサーバで画像化してクライアント端末で画像表示および操作を行う構成において、サーバのWebブラウザ部から出力される画面情報のリッチコンテンツ領域内にテキスト入力可能な部分が存在する場合、クライアント端末でテキスト入力が可能になる。即ち、Web閲覧システムのシンクライアント性を確保するとともに、リッチコンテンツのインタラクティブ性を確保することができる。
【0011】
また、本発明は、画像を表示可能なクライアント端末、および、前記クライアント端末と通信するサーバを備えたWeb閲覧システムであって、前記サーバは、ベクターグラフィックスのリッチコンテンツを含むWebページを解析して、リッチコンテンツ領域を含む画面情報を出力するWebブラウザ部と、前記リッチコンテンツ領域を含む画面情報を、前記クライアント端末で表示可能な画像に変換する手段と、前記画像を前記クライアント端末に送信する手段と、前記画像を表示してポインティング操作を受け付けた前記クライアント端末から、ポインティング位置情報を受信する手段と、前記ポインティング位置情報を前記Webブラウザ部に投入して、前記Webブラウザ部から出力される画面情報の変化を検出する手段と、前記画面情報の変化後に前記Webブラウザ部から出力された画面情報を前記クライアント端末で表示可能な画像に変換する手段と、前記画面情報の変化後に変換された前記画像を、前記クライアント端末に対し送信する手段と、を備えることを特徴とするWeb閲覧システムを提供する。
【0012】
この構成によれば、PC向けWebページを中継サーバで画像化してクライアント端末で画像表示および操作を行う構成において、サーバのWebブラウザ部から出力される画面情報のリッチコンテンツ領域内に、ポインティング位置に依存して画像変化する部分が存在する場合、クライアント端末で表示される画像が必要に応じて更新される。即ち、Web閲覧システムのシンクライアント性を確保するとともに、リッチコンテンツのインタラクティブ性を確保することができる。
【0013】
本発明の一態様では、前記クライアント端末は、クリック操作を受け付けたとき、クリック位置を示す前記ポインティング位置情報を前記サーバに送信し、前記サーバは、前記ポインティング位置情報と共にクリックを前記Webブラウザ部に投入することを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様では、前記クライアント端末は、ポインティング操作を受け付けるごとに前記ポインティング位置情報を前記サーバに送信することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、ベクターグラフィックスのリッチコンテンツを含むWebページを解析してリッチコンテンツ領域を含む画面情報を出力するWebブラウザを備えたサーバを用いるWeb閲覧方法であって、前記リッチコンテンツ領域を含む画面情報をクライアント端末で表示可能な画像に変換するステップと、前記画像を前記クライアント端末に送信するステップと、前記画像を表示した前記クライアント端末にて、ポインティング操作を受け付けるステップと、前記クライアント端末から前記サーバに対し、ポインティング位置情報を送信するステップと、前記サーバにて、前記ポインティング位置情報とダミーテキストとを前記Webブラウザに投入するステップと、前記サーバにて、前記Webブラウザから出力される画面情報に前記ダミーテキストが現れたことを検出するとともに、前記Webブラウザにバックスペースを投入することで前記画面情報から前記ダミーテキストを消去するステップと、前記画面情報に前記ダミーテキストが現れた場合、前記リッチコンテンツ領域に対するテキスト入力を可能にするテキスト入力指示を、前記クライアント端末に送信するステップと、を備えたことを特徴とするWeb閲覧方法を提供する。
【0016】
また、本発明は、ベクターグラフィックスのリッチコンテンツを含むWebページを解析して、リッチコンテンツ領域を含む画面情報を出力するWebブラウザを備えたサーバを用いるWeb閲覧方法であって、前記リッチコンテンツ領域を含む画面情報をクライアント端末で表示可能な画像に変換するステップと、前記画像を前記クライアント端末に送信するステップと、前記画像を表示した前記クライアント端末にて、ポインティング操作を受け付けるステップと、前記クライアント端末から前記サーバに対し、ポインティング位置情報を送信するステップと、前記サーバにて、前記ポインティング位置情報を前記Webブラウザに投入するステップと、前記サーバにて、前記Webブラウザから出力される画面情報の変化を検出するステップと、前記サーバにて、前記画面情報の変化後に前記Webブラウザから出力された前記画面情報を、前記クライアント端末で表示可能な画像に変換するステップと、前記サーバから前記クライアント端末に対し、前記画面情報の変化後に変換された前記画像を送信するステップと、を備えたことを特徴とするWeb閲覧方法を提供する。
【0017】
本発明の一態様では、前記クライアント端末にてクリック操作を受け付けたとき、クリック位置を示す前記ポインティング位置情報を前記クライアント端末から前記サーバに送信し、前記サーバにて、前記ポインティング位置情報と共にクリックを前記Webブラウザに投入することを特徴とする。
【0018】
本発明の一態様では、前記クライアント端末にてポインティング操作を受け付けるごとに、前記ポインティング位置情報を前記クライアント端末から前記サーバに送信することを特徴とする。
【0019】
前記リッチコンテンツは、例えば、Flash(登録商標)またはSilverlight(登録商標)で記述されている。もっとも、他の言語で記述されていてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、PC向けWebページをサーバで画像化してクライアント端末で画像表示および操作を行う構成において、Webページにベクターグラフィックスのリッチコンテンツが含まれている場合でも、そのインタラクティブ性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】PC向けWebページをPCと携帯端末とで閲覧している様子を示す模式図
【図2】Web閲覧システムの全体構成例を示す図
【図3】携帯端末でWebページの閲覧を要求してからそのWebページに対応する画像を携帯端末で表示するまでの処理の一例を示すシーケンスチャート
【図4】携帯端末でテキスト入力ボックスに対するクリック操作を受け付けてから携帯端末でテキスト入力を受け付け可能になるまでの処理の一例を示すシーケンスチャート
【図5】(A)は携帯端末でのテキスト入力ボックスに対するクリック操作、(B)は中継サーバ内でのダミーテキスト投入によりダミーテキストが現れた画面情報、(C)は中継サーバ内でのBS投入によりダミーテキストが消去された画面情報をそれぞれ示す説明図
【図6】中継サーバの制御部によるテキスト入力ボックスに関する処理の一例の流れを示すフローチャート
【図7】携帯端末でボタンに対するクリック操作を受け付けてから携帯端末で更新画像を表示するまでの処理の一例を示すシーケンスチャート
【図8】中継サーバの制御部によるボタンに関する処理の一例の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面に従って、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0023】
図1は、PC1(パーソナルコンピュータ)の表示部2を用いてWebページを閲覧した場合と同様に、携帯端末10の表示部14を用いてPC用のWebページを閲覧している様子を示す模式図である。同図に示すように、本発明によれば、携帯端末10により、PC1と同様なWebページの閲覧が可能である。
【0024】
図2は、本実施形態におけるWeb閲覧システム100の全体構成の一例を示すシステム構成図である。同図に示すように、Web閲覧システム100は、ユーザが操作する携帯端末10、Webページを配信するWebサーバ30、および、携帯端末10とWebサーバ30とを中継する中継サーバ20を含んで構成されている。
【0025】
携帯端末10は、通信部11、処理部12、入力装置13、表示部14、および、データベース(DB)15を含んで構成されている。
【0026】
通信部11は、所定のプロトコルにより中継サーバ20との通信を制御する。携帯端末10と中継サーバ20とは、いわゆるインターネットを介して接続されており、携帯端末10の通信部11と後述する中継サーバ20の通信部21とは、TCP/IP等の標準的な通信プロトコルに従って通信を行う。なお、専用通信回線やVPNを介して接続されてもよい。
【0027】
処理部12は、通信部11を介して中継サーバ20から取得した画像を表示部14に表示させ、入力装置13によるユーザの入力操作に基づいた処理を行う。
【0028】
入力装置13は、図示しない電源ボタン、番号キー、十字キー、決定キー等を含み、ユーザは、入力装置13を操作することにより、携帯端末10に対して指示入力することができる。表示部14の前面にタッチパネルを配置し、入力装置13としてもよい。
【0029】
表示部14は、画像を表示可能な液晶表示デバイスであり、処理部12から入力された画像信号に基づいて、表示を行う。なお、液晶表示デバイスに代えて、有機EL表示デバイスなどの他の表示デバイスを用いてもよい。
【0030】
中継サーバ20は、携帯端末10およびWebサーバ30と通信を行う通信部21と、解析部22(パーザ)および画面情報生成部23(レンダラー)を含むWebブラウザ部24と、通信部21およびWebブラウザ部24を制御する制御部25と、データベース(DB)26を備える。
【0031】
中継サーバ20とWebサーバ30とは、インターネットを介して接続され、中継サーバ20の通信部21とWebサーバ30の通信部31とは、標準的な通信プロトコルに従って通信を行う。
【0032】
Webブラウザ部24は、例えば、Webブラウザ・プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)によって構成される。
【0033】
制御部25は、アプリケーションプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)によって構成されており、Webサーバ30から取得したWebページを携帯端末10で表示可能な画像に変換する画像変換機能と、Webページからユーザインタフェース情報(以下「UI情報」という)を抽出して、そのUI情報の画像上の位置情報(以下「UI位置情報」という)を算出するUI情報解析機能を有している。即ち、Webページを取得した中継サーバ20は、携帯端末10に対し、携帯端末10で表示可能な画像と共に、UI情報およびUI位置情報を含むメタデータを送信する。したがって、携帯端末10は、Webブラウザを搭載していなくても、Webサーバ30から配信されたWebページを画像として表示することができるとともに、メタデータを用いてユーザの入力操作に応じた処理を行うことができる。
【0034】
次に、Webページにベクターグラフィックスのリッチコンテンツが含まれている場合の制御部25の機能について、説明する。
【0035】
上記リッチコンテンツとして、例えば、Flash(登録商標)コンテンツ、Silverlight(登録商標)などが挙げられる。このようなリッチコンテンツには、テキスト入力ボックス、ボタン等のインタラクティブな構成要素が含まれている場合がある。そこで、制御部25は、ユーザがリッチコンテンツのインタラクティブな構成要素に対する操作を行ったか否かの判定を行う。
【0036】
制御部25による2つの操作判定態様を以下に示す。
【0037】
第1に、携帯端末10から送信されたポインティング位置情報と共にダミーテキストをWebブラウザ部24に与え、Webブラウザ部24から出力される画面情報内のうちリッチコンテンツ領域内に現れるダミーテキストを検出する態様がある。即ち、リッチコンテンツ領域内に存在するテキスト入力可能なフィールドを検出する。
【0038】
第2に、携帯端末10から送信されたポインティング位置情報をWebブラウザ部24に与え、Webブラウザ部24から出力される画面情報のうちリッチコンテンツ領域内の画像変化を検出する態様がある。例えば、ポインティング位置情報を投入後、リッチコンテンツ領域内で絵柄(色や模様)が変化するか否かを判定する。クリック操作されたときにクリック位置を示すポインティング位置情報を投入する方法や、ポインティング操作ごとにポインティング位置情報を投入する方法がある。
【0039】
なお、Webブラウザ部24から出力される画面情報と携帯端末10に対し送信される携帯端末用画像とでは、通常、座標が同じではないため、制御部25は、携帯端末10から受信したポインティグ位置情報を、Webブラウザ部24の画面情報上の位置情報に変換した後、Webブラウザ部24に対し投入する。
【0040】
図3は、図2に示したWeb閲覧システム100にて、携帯端末10でWebページの閲覧を要求してから、そのWebページに対応する画像を携帯端末10で表示するまでの処理の一例を示す。
【0041】
ユーザは、携帯端末10の入力装置13を用いて、閲覧したいWebページのURL(Uniform Resource Locator)を入力する。文字列を直接入力するのではなく、携帯端末10のDB15に登録されているブックマーク等からURLを選択してもよい。URLを入力後に入力装置13の送信指示ボタンによりURLの送信を指示すると、通信部11は、入力されたURLを中継サーバ20に対し送信する(ステップS101)。
【0042】
中継サーバ20は、携帯端末10から送信されたURLを通信部21により受信し(ステップS102)、そのURLをWebサーバ30に対し送信する(ステップS103)。
【0043】
Webサーバ30は、中継サーバ20から送信されたURLを通信部31により受信し(ステップS104)、そのURLに対応するWebページを、通信部31により中継サーバ20に対し送信する。Webページの記述言語は特に限定されないが、例えば、HTML(Hyper Text Markup Language)等のマークアップ言語が挙げられる。
【0044】
以下では、Webページにインタラクティブなベクターグラフィックスのリッチコンテンツが含まれている場合を説明する。このようなリッチコンテンツとしては、例えば、Flash(登録商標)、Silverlight(登録商標)等が挙げられる。ベクターグラフィックスでは、画像が、点の座標とそれを結ぶ線や面の方程式のパラメータ、塗りつぶしや特殊効果などの描画情報の集合などにより、表現される。
【0045】
中継サーバ20は、Webサーバ30から送信されたWebページを受信する(ステップS106)。中継サーバ20のWebブラウザ部24は、所定のパージング(Webページ解析)およびレンダリング(画面情報生成)を行う。
【0046】
中継サーバ20の制御部25は、受信したWebページからUI(ユーザインタフェース)情報を抽出して(ステップS108)、メタデータを生成するとともに(ステップS109)、携帯端末10の表示部14に表示可能な画像(携帯端末用画像)を生成する(ステップS110)。
【0047】
UI情報は、携帯端末10でのユーザインタフェース要素(例えば、テキスト入力ボックス、ボタンなど)を示す情報である。メタデータは、UI情報と、携帯端末10の表示部14におけるユーザインタフェースの位置座標を示すUI位置情報と、WebページのURLを含む。携帯端末用画像は、携帯端末10の表示部14のサイズ等に応じて生成される。
【0048】
そして、中継サーバ20の通信部21は、携帯端末用画像とメタデータを携帯端末10に対し送信する。
【0049】
携帯端末10の通信部11は、中継サーバ20から送信された携帯端末用画像およびメタデータを受信し(ステップS114)、表示を行う(ステップS115)。また、携帯端末10では、メタデータに基づいて、操作(ユーザインタフェース)の受付が可能になる。
【0050】
図4は、携帯端末10でリッチコンテンツのテキスト入力ボックスに対するクリック操作を受け付けてから、携帯端末10でテキスト入力操作を受け付け可能になるまでの処理の一例を示す。
【0051】
なお、本例では、Webサーバ30から送信されたWebページにインタラクティブなリッチコンテンツが含まれているので、携帯端末10の表示部14には、図5(A)に示すように、リッチコンテンツ領域14Rを含む携帯端末用画像が表示される。図5(A)に示す例では、リッチコンテンツ領域14R内に、一つのテキスト入力ボックス14Tと、二つのボタン14B(ボタンA、ボタンB)が存在する。ただし、本例では携帯端末10に対しリッチコンテンツ自体は送信されず、携帯端末10側ではテキスト入力ボックス14Tやボタン14Bを単なる画像の一部として扱っている。
【0052】
携帯端末10の入力装置13により、ユーザのポインティング操作およびクリック操作を受け付ける(ステップS201)。例えば、図5(A)に示すように、テキスト入力ボックス14Tがクリックされた場合、そのクリック位置を示すポインティング位置情報P(x,y)が携帯端末10にて取得される。携帯端末10の通信部11は、中継サーバ20に対し、ポインティング位置情報PおよびURLを含むクリック操作情報を送信する(ステップS202)。
【0053】
中継サーバ20の通信部21は、携帯端末10からクリック操作情報を受信する(ステップS203)。
【0054】
クリック操作情報を受信した中継サーバ20の制御部25は、Webブラウザ部24に対し、クリック位置を示すポインティング位置情報Pとダミーテキスト(例えば“A”)を投入する(ステップS204)。つまり、リッチコンテンツ領域内のクリック位置にダミーテキストが投入される。
【0055】
次に、中継サーバ20の制御部25は、Webブラウザ部24から出力される画面情報50の変化を監視する(ステップS205)。図5(B)に示すように、Webブラウザ部24から出力された画面情報50内のリッチコンテンツ領域50Rに、ダミーテキスト(例えば“A”)が現れるので、これを検出する。なお、本例では、テキスト入力ボックス50Tにダミーテキストが現れた場合を示しているが、テキスト入力ボックス50Tの外側にもダミーテキストが現れる場合がある。
【0056】
ダミーテキストを検出した中継サーバ20の制御部25は、Webブラウザ部24に対し、バックスペース(以下「BS」と称する)を投入する(ステップS206)。
【0057】
図5(C)に示すように、バックスペースの投入により画面情報50のリッチコンテンツ領域50Rからダミーテキスト(例えば“A”)が消去されると、中継サーバ20の制御部25は、そのバックスペース投入後にWebブラウザ部24から出力される画面情報を、携帯端末10で表示可能な画像に変換し(ステップS207)、その画像とテキスト入力指示とを通信部21により携帯端末10に対し送信する(ステップS208)。テキスト入力指示は、携帯端末10にてリッチコンテンツ領域に対するテキスト入力を可能にする指示である。
【0058】
携帯端末10の通信部11は、中継サーバ20から送信された携帯端末用画像およびテキスト入力指示を受信する(ステップS209)。次に、携帯端末10の処理部12は、中継サーバ20から受信した携帯端末用画像を表示部14に表示させて(ステップS210)、リッチコンテンツ領域に対するテキスト入力を受け付ける(ステップS211)。
【0059】
図6のフローチャートは、中継サーバ20の制御部25によりプログラムに従って実行される処理の流れを示す。本処理は、携帯端末10からポインティング位置情報を受信すると開始する(ステップS10)。中継サーバ20の制御部25は、ポインティング位置情報とダミーテキストとをWebブラウザに投入し(ステップS11)、画面情報50のうちリッチコンテンツ領域50R内にダミーテキスト(例えば“A”)が現れたか否かを判定し(ステップS12)、ダミーテキストが現れたとき、バックスペース(BS)をWebブラウザに投入することで画面情報50のリッチコンテンツ領域50Rからダミーテキストを消去し(ステップS13)、BS投入後にWebブラウザから出力された画面情報を携帯端末用画像に変換し(ステップS14)、その携帯端末用画像とテキスト入力指示を通信部21により携帯端末10に対し送信する(ステップS15)。
【0060】
図6に示した例では、コンテンツ領域内にテキスト入力ボックスが存在する場合、そのテキストボックスにポインティングされると、携帯端末用画像が更新され、且つ、携帯端末10でテキスト入力ボックス対するテキスト入力が可能になる。
【0061】
図7は、携帯端末10でリッチコンテンツのボタン(図5(A)の14B)に対するクリック操作を受け付けてから、携帯端末10で更新画像を表示するまでの処理の一例を示す。
【0062】
図7にて、ステップS301〜S303は、図4のステップS201〜S203と同様であり、説明を省略する。
【0063】
ステップS304にて、中継サーバ20の制御部25は、Webブラウザ部24に対し、クリック位置を示すポインティング位置情報Pとクリックを投入する。
【0064】
次に、中継サーバ20の制御部25は、Webブラウザ部24から出力される画面情報50の変化を監視する(ステップS305)。つまり、画面情報50のリッチコンテンツ領域50R内の画像変化を検出する。
【0065】
リッチコンテンツ領域50R内の画像変化を検出した中継サーバ20の制御部25は、その画像変化後にWebブラウザ部24から出力される画面情報を、携帯端末10で表示可能な画像に変換し(ステップS306)、その画像を通信部21により携帯端末10に対し送信する(ステップS307)。
【0066】
携帯端末10の通信部11は、中継サーバ20から送信された携帯端末用画像を受信する(ステップS308)。次に、携帯端末10の処理部12は、中継サーバ20から受信した携帯端末用画像を表示部14に表示させて(ステップS309)、次の操作を受け付ける(ステップS310)。
【0067】
図8のフローチャートは、中継サーバ20の制御部25によりプログラムに従って実行される処理の流れを示す。本処理は、携帯端末10からポインティング位置情報を受信すると開始する(ステップS20)。中継サーバ20の制御部25は、ポインティング位置情報をWebブラウザに投入し(ステップS21)、画面情報50のうちリッチコンテンツ領域50R内の画像変化を検出し(ステップS22)、リッチコンテンツ領域50R内の画像変化を検出したとき、変化後にWebブラウザから出力された画面情報を携帯端末用画像に変換し(ステップS23)、その携帯端末用画像を通信部21により携帯端末10に対し送信する(ステップS24)。
【0068】
図8に示した例では、リッチコンテンツ領域内にボタンが存在し、そのボタンにポインティングされると、携帯端末用画像が更新される。
【0069】
以上、中継サーバ20にPC用のWebブラウザを搭載した場合を例に説明したが、本発明はこのような場合に限定されない。例えば、特定の携帯端末(例えば最大の表示画面サイズを有する多機能携帯端末)用のWebブラウザを中継サーバ20に搭載してもよいし、専用のブラウザを搭載してもよい。
【0070】
本発明は、本明細書において説明した例や図面に図示された例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の設計変更や改良を行ってよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0071】
10…携帯端末、11…携帯端末の通信部、12…携帯端末の処理部、13…携帯端末の入力装置、14…携帯端末の表示部、20…中継サーバ、21…中継サーバの通信部、24…中継サーバのWebブラウザ部、25…中継サーバの制御部、30…Webサーバ、50…Webブラウザから出力された画面情報、50R…Webブラウザから出力された画面情報におけるリッチコンテンツ領域、50T…Webブラウザから出力された画面情報におけるテキスト入力ボックス、50B…Webブラウザから出力された画面情報におけるボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示可能なクライアント端末、および、前記クライアント端末と通信するサーバを備えたWeb閲覧システムであって、
前記サーバは、
ベクターグラフィックスのリッチコンテンツを含むWebページを解析して、リッチコンテンツ領域を含む画面情報を出力するWebブラウザ部と、
前記リッチコンテンツ領域を含む画面情報を、前記クライアント端末で表示可能な画像に変換する手段と、
前記画像を前記クライアント端末に送信する手段と、
前記画像を表示してポインティング操作を受け付けた前記クライアント端末から、ポインティング位置情報を受信する手段と、
前記ポインティング位置情報とダミーテキストとを前記Webブラウザ部に投入して、前記Webブラウザ部から出力される画面情報に前記ダミーテキストが現れたことを検出するとともに、前記Webブラウザ部にバックスペースを投入することで前記画面情報から前記ダミーテキストを消去する手段と、
前記画面情報に前記ダミーテキストが現れた場合、前記リッチコンテンツ領域に対するテキスト入力を可能にするテキスト入力指示を、前記クライアント端末に送信する手段と、
を備えたことを特徴とするWeb閲覧システム。
【請求項2】
画像を表示可能なクライアント端末、および、前記クライアント端末と通信するサーバを備えたWeb閲覧システムであって、
前記サーバは、
ベクターグラフィックスのリッチコンテンツを含むWebページを解析して、リッチコンテンツ領域を含む画面情報を出力するWebブラウザ部と、
前記リッチコンテンツ領域を含む画面情報を、前記クライアント端末で表示可能な画像に変換する手段と、
前記画像を前記クライアント端末に送信する手段と、
前記画像を表示してポインティング操作を受け付けた前記クライアント端末から、ポインティング位置情報を受信する手段と、
前記ポインティング位置情報を前記Webブラウザ部に投入して、前記Webブラウザ部から出力される画面情報の変化を検出する手段と、
前記画面情報の変化後に前記Webブラウザ部から出力された画面情報を前記クライアント端末で表示可能な画像に変換する手段と、
前記画面情報の変化後に変換された前記画像を、前記クライアント端末に対し送信する手段と、
を備えることを特徴とするWeb閲覧システム。
【請求項3】
前記クライアント端末は、クリック操作を受け付けたとき、クリック位置を示す前記ポインティング位置情報を前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記ポインティング位置情報と共にクリックを前記Webブラウザ部に投入することを特徴とする請求項1または2に記載のWeb閲覧システム。
【請求項4】
前記クライアント端末は、ポインティング操作を受け付けるごとに前記ポインティング位置情報を前記サーバに送信することを特徴とする請求項1または2に記載のWeb閲覧システム。
【請求項5】
前記リッチコンテンツは、Flash(登録商標)またはSilverlight(登録商標)で記述されていることを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載のWeb閲覧システム。
【請求項6】
ベクターグラフィックスのリッチコンテンツを含むWebページを解析してリッチコンテンツ領域を含む画面情報を出力するWebブラウザを備えたサーバを用いるWeb閲覧方法であって、
前記リッチコンテンツ領域を含む画面情報をクライアント端末で表示可能な画像に変換するステップと、
前記画像を前記クライアント端末に送信するステップと、
前記画像を表示した前記クライアント端末にて、ポインティング操作を受け付けるステップと、
前記クライアント端末から前記サーバに対し、ポインティング位置情報を送信するステップと、
前記サーバにて、前記ポインティング位置情報とダミーテキストとを前記Webブラウザに投入するステップと、
前記サーバにて、前記Webブラウザから出力される画面情報に前記ダミーテキストが現れたことを検出するとともに、前記Webブラウザにバックスペースを投入することで前記画面情報から前記ダミーテキストを消去するステップと、
前記画面情報に前記ダミーテキストが現れた場合、前記リッチコンテンツ領域に対するテキスト入力を可能にするテキスト入力指示を、前記クライアント端末に送信するステップと、
を備えたことを特徴とするWeb閲覧方法。
【請求項7】
ベクターグラフィックスのリッチコンテンツを含むWebページを解析して、リッチコンテンツ領域を含む画面情報を出力するWebブラウザを備えたサーバを用いるWeb閲覧方法であって、
前記リッチコンテンツ領域を含む画面情報をクライアント端末で表示可能な画像に変換するステップと、
前記画像を前記クライアント端末に送信するステップと、
前記画像を表示した前記クライアント端末にて、ポインティング操作を受け付けるステップと、
前記クライアント端末から前記サーバに対し、ポインティング位置情報を送信するステップと、
前記サーバにて、前記ポインティング位置情報を前記Webブラウザに投入するステップと、
前記サーバにて、前記Webブラウザから出力される画面情報の変化を検出するステップと、
前記サーバにて、前記画面情報の変化後に前記Webブラウザから出力された前記画面情報を、前記クライアント端末で表示可能な画像に変換するステップと、
前記サーバから前記クライアント端末に対し、前記画面情報の変化後に変換された前記画像を送信するステップと、
を備えたことを特徴とするWeb閲覧方法。
【請求項8】
前記クライアント端末にてクリック操作を受け付けたとき、クリック位置を示す前記ポインティング位置情報を前記クライアント端末から前記サーバに送信し、
前記サーバにて、前記ポインティング位置情報と共にクリックを前記Webブラウザに投入することを特徴とする請求項6または7に記載のWeb閲覧方法。
【請求項9】
前記クライアント端末にてポインティング操作を受け付けるごとに、前記ポインティング位置情報を前記クライアント端末から前記サーバに送信することを特徴とする請求項6または7に記載のWeb閲覧方法。
【請求項10】
前記リッチコンテンツは、Flash(登録商標)またはSilverlight(登録商標)で記述されていることを特徴とする請求項6ないし9のうちいずれか1項に記載のWeb閲覧方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−257988(P2011−257988A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131953(P2010−131953)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】