説明

X線ナビゲーション装置

【課題】 術具の位置をボリューム画像にリアルタイムに表示することできるX線ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 画像診断装置200から出力されるボリューム画像を記憶するデータベース201と、X線を発生させるX線発生部111と、X線を検出するX線検出部112と、X線検出部112から出力されるX線信号からX線透視画像を作成するX線透視画像作成部203と、ボリューム画像とX線発生部111のX線照射方向の位置関係を定義し、ボリューム画像の座標とX線透視画像の座標の統合を行なうレジストレーション部202と、X線透視画像から術具の2次元位置を抽出する術具2次元位置抽出部204と、術具2次元位置抽出部204で抽出された術具の2次元位置情報を用いて、ボリューム画像における術具の3次元位置を抽出する術具3次元位置抽出部205と、術具の位置をボリューム画像に表示する表示部113、114を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線診断装置から得られるX線透視画像をCT、MR装置等の画像診断装置から得られるボリューム画像に重ね合わせるとともに、術具(カテーテル等)を表示するX線ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
X線を被検体に照射し、被検体を透過したX線を検出し、検出されたX線に基づいてX線透視画像を得て表示するX線診断装置がある。X線透視画像は2次元画像であることから、X線透視画像から奥行き情報を判断するのは難しかった。そこで、術具の選択位置に対する相対位置を検出して画像表示し、術具を管腔内の選択位置に搬送するための方法及びシステムが提案された(例えば、特許文献1)。
【0003】
このように、X線透視画像から3次元位置を特定し、術具を視覚的に誘導する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-83038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記システム(特許文献1)は複数枚のX線透視画像から3次元情報を抽出しており、術具の位置を人による指示(マニュアル操作)していることから、術具の位置をリアルタイムに表示することは難しい。また、術具の位置情報をX線診断装置にて取得していることから、被検体に対する被曝の影響も大きい。
【0006】
本発明の目的は、術具の位置をボリューム画像にリアルタイムに表示することできるX線ナビゲーション装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のX線ナビゲーション装置は、画像診断装置から出力されるボリューム画像を記憶するデータベースと、X線を発生させるX線発生部と、X線を検出するX線検出部と、前記X線検出部から出力されるX線信号からX線透視画像を作成するX線透視画像作成部と、前記ボリューム画像と前記X線発生部のX線照射方向の位置関係を定義し、前記ボリューム画像の座標と前記X線透視画像の座標の統合を行なうレジストレーション部と、前記X線透視画像から術具の2次元位置を抽出する術具2次元位置抽出部と、前記術具2次元位置抽出部で抽出された前記術具の2次元位置情報を用いて、前記ボリューム画像における前記術具の3次元位置を抽出する術具3次元位置抽出部と、前記術具の位置を前記ボリューム画像に表示する表示部を有している。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、術具の位置をボリューム画像にリアルタイムに表示することできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のX線ナビゲーション装置の全体構成を示す図。
【図2】本発明のX線ナビゲーション装置の内部構成を示す図。
【図3】本発明のレジストレーション部202について説明する図。
【図4】本発明の主に術具2次元位置抽出部204と術具3次元位置抽出部205について説明する図。
【図5】本発明の表示部113、114の表示形態を示す図。
【図6】本発明の実施例2を説明する図。
【図7】本発明の実施例2を説明する図。
【図8】本発明のGUI(術前)表示例を示す図。
【図9】本発明のGUI(手術適用時)表示例を示す図。
【図10】本発明の実施例1と実施例2の動作手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施例について図を用いて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明のX線ナビゲーション装置の全体構成を示す図である。寝台100上には、被検体101が臥位で仰向けになっている。術者102は、術具103(例えば、カテーテル)を被検体101の体内に挿入している。
【0012】
本発明のX線ナビゲーション装置は、予め得られたCT、MR装置等の画像診断装置のボリューム画像を記憶するデータベースや各種演算部を有している本体110と、X線を発生するX線発生部111と、被検体101を透過したX線を検出するX線検出部112と、X線画像、X線透視画像やCT、MR画像を表示する表示部113、114と、各構成要素を操作する操作部115を有している。ボリューム画像は、ボリュームレンダリング等の手法を用いて作成されたものである。
【0013】
X線発生部111は、電力供給を受けてX線を発生させるX線管球を有している。また、X線発生部111には、特定のエネルギーのX線を選択的に透過させるX線フィルタや、発生したX線を遮蔽するX線遮蔽用鉛板を複数有し、複数のX線遮蔽用鉛板をそれぞれ移動することにより、被検体101に対するX線照射領域を決定する絞り装置などを有していてもよい。
【0014】
X線検出部112は、例えば、X線を検出する複数の検出素子が2次元アレイ状に配置されて構成されており、X線発生部111から照射され、被検体101を透過したX線の入射量に応じたX線信号を検出する機器である。
【0015】
また、X線発生部111とアーム122には、X線発生部11の位置を特定するためのポインタ(3次元位置が定義された複数の反射球)120と、ポインタ120に赤外線を発生させ、ポインタ120から反射された赤外線を受信し、ポインタ120の位置を検出する位置検出部121が備えられている。よって、位置検出部121により、X線発生部111の位置を検出することができる。なお、X線発生部111の位置を検出する媒体として赤外線を用いたが、磁気を用いてもよい。
【0016】
図2は、本発明のX線ナビゲーション装置の内部構成を示す図である。
本体110は、CT、MR装置等の画像診断装置200から出力されるボリューム画像を記憶するデータベース201と、X線検出部112から出力されるX線信号からX線透視画像を作成するX線透視画像作成部203と、ボリューム画像とX線発生部111のX線照射方向の位置関係を定義し、ボリューム画像の座標とX線透視画像の座標の統合を行なうレジストレーション部202と、X線透視画像から術具の2次元位置を抽出する術具2次元位置抽出部204と、術具2次元位置抽出部204で抽出されたX線透視画像の術具の2次元位置情報を用いて、ボリューム画像における術具の3次元位置を抽出する術具3次元位置抽出部205とを有している。
【0017】
図3は、レジストレーション部202について説明するための図である。
図3(a)は、画像診断装置200のボリューム画像を示すものである。このボリューム画像は、マーカ(1)〜(3)が被検体101の表面(例えば、腹部の3点)に付与されて撮影されたものである。図3(b)は、X線透視画像作成部203で作成されたX線透視画像を示すものである。このX線透視画像は、ボリューム画像を得た時のマーカ(1)〜(3)と同じ位置にマーカ(1)〜(3)が被検体101の表面に付与されて撮影されたものである。
【0018】
マーカ(1)〜(3)は、CT、MR装置、X線診断装置等のマルチモダリティで撮影可能なマーカである。マーカ(1)〜(3)が付与されて撮影されたボリューム画像及びX線透視画像のマーカ(1)〜(3)の表示部位は、例えば、被検体101の部位よりも輝度が高く、それぞれの番号が認識できるように表示される。
【0019】
レジストレーション部202は、マーカ(1)〜(3)の位置情報を用いて、データベース201から出力されるボリューム画像とX線透視画像作成部203から出力されるX線透視画像の位置合わせを行ない、ボリューム画像とX線発生部111のX線照射方向の位置関係を定義する。具体的には、レジストレーション部202は、X線透視画像からマーカ(1)〜(3)の2次元位置を特定する。また、レジストレーション部202は、ボリューム画像の上面(被検体101の上側)からマーカ(1)〜(3)の3次元位置を特定し、ボリューム画像の上面におけるマーカ(1)〜(3)の2次元位置を特定する。よって、レジストレーション部202は、それぞれのマーカ(1)〜(3)の2次元位置からボリューム画像に対して、X線透視画像の平面を特定することができる。
【0020】
そして、位置検出部121は、X線透視画像が撮影された際、X線発生部111に付与されたポインタ120の位置を検出することにより、レジストレーション部202は、マーカ(1)〜(3)に基づいて、ボリューム画像に対して、X線透視画像の平面を特定したため、ボリューム画像とX線発生部111のX線照射方向の位置関係を定義することができる。
【0021】
図4は、主に術具2次元位置抽出部204と術具3次元位置抽出部205について説明する図である。
図4(a)は、画像診断装置200で撮影されたボリューム画像400である。ボリューム画像400は、予め画像診断装置200で術具の手術経路となる血管401が抽出されている。具体的には、画像診断装置200は、ボリューム画像400の輝度情報(主に血管の輝度情報)を用いて、例えば、リージョングローイング法の画像抽出法により、複数の血管を抽出し、術者は術具の手術経路を確定する。リージョングローイング法とは、抽出すべき領域の基準点を設定し、その基準点の輝度との輝度差が設定範囲内に属する画素の領域を抽出する画像抽出法である。
【0022】
そして、画像診断装置200は、抽出された複数の血管の内、術具の手術経路が確定された血管401を抽出し、ボリューム画像400に重畳する。データベース201は、画像診断装置200から出力されるボリューム画像400を術具の手術経路が確定された血管401とともに記憶する。
【0023】
図4(b)は、X線透視画像作成部203で作成されたX線透視画像410である。X線透視画像410には、被検体101の血管411と、術具412と、術具412の先端部413が表示されている。
【0024】
術具2次元位置抽出部204は、X線透視画像作成部203で作成されたX線透視画像410の輝度情報(主に術具412の輝度情報)を用いて、直前に撮影されたX線透視画像の術具103と、現在撮影されたX線透視画像の術具103の差分をとることで現在の術具103の先端部413及び経路を確定する。また、術具2次元位置抽出部204は、例えば、リージョングローイング法の画像抽出法により、術具412を抽出し、術具412の先端部413及び経路を確定してもよい。このように、術具2次元位置抽出部204は、X線透視画像410から術具412の2次元位置を抽出することができる。
【0025】
ここで、図4(c)に示すように、レジストレーション部202は、ボリューム画像400の座標とX線透視画像410の座標は異なっているため、これらの座標の統合を行なう。具体的には、レジストレーション部202は、位置検出部121の座標におけるX線発生部111の位置情報に対して、座標変換を行なって、ボリューム画像400の座標におけるX線発生部111の位置情報を算出する。レジストレーション部202は、ボリューム画像400とX線発生部111のX線照射方向の位置関係を定義しているため、位置検出部121の座標からボリューム画像400の座標への変換行列を求めることができる。よって、レジストレーション部202は、ボリューム画像400の座標とX線透視画像410の座標の統合を行なうことができる。ボリューム画像400とX線透視画像410の座標の統合によって、X線発生部111の位置が動いたとしても、X線透視画像作成部から出力されるX線透視画像410が、ボリューム画像400のどの方向から撮影されたかを算出することができる。
【0026】
そして、術具3次元位置抽出部205は、ボリューム画像400における、X線発生部111のX線照射方向、すなわち術者102の視点420における視線方向421からのX線透視画像410を算出する。視線方向421において、X線透視画像410から抽出した術具412とボリューム画像400から抽出された手術経路となる血管401が重なった部分が、術具412の先端部413及び経路ということになる。
【0027】
そこで、術具3次元位置抽出部205は、X線透視画像410から抽出した術具412の抽出位置をボリューム画像400において視線方向421上において矢印422のように移動させ、術具412の抽出位置とボリューム画像400から血管401の抽出位置とが最も一致した位置を抽出する。表示部113、114は、ボリューム画像400から血管401の抽出位置に一致した術具412の位置をボリューム画像400上に術具412として表示する。
【0028】
図4(d)には、ボリューム画像400を基準として表示されている表示形態が示されている。よって、術者102は、術具412の位置をボリューム画像400から確認することができる。
【0029】
また、術具3次元位置抽出部205は、X線透視画像410から抽出した術具412の抽出位置とボリューム画像400から血管401の抽出位置とが最も一致した位置を抽出しているため、表示部113、114は、その抽出位置に基づいて、X線透視画像410においてボリューム画像400の血管や臓器等を表示することができる。図4(e)には、X線透視画像410を基準として表示されている表示形態が示されている。
【0030】
よって、術者102は、ボリューム画像400とX線透視画像410の両方を見ながら、手術を実施することができる。
【0031】
図5は、表示部113、114の他の表示形態を示す図である。
表示部113、114は、ボリューム画像400から術具412の先端部413の位置情報を抽出し、術具412の先端部413における直交3断面画像、アキシャル(Axial)断面画像 501、サジタル(Sagittal)断面画像 502、コロナル(Coronal)断面画像503をボリューム画像400から抽出して表示することができる。
【0032】
表示部113、114は、それぞれの断面画像501〜503上に術具412の先端部413および予め求めた手術経路となる血管401を表示し、術具412の先端部413を波線の交点で表示することができる。
また、表示部113、114は、過去に行なった手術の手術経路510と先端部511も表示することもできる。そして、過去に行なった手術の手術経路510と異なる手術経路を今回とった場合には、表示部113、114は、術者に警告を発する機能も有している。
【0033】
以上、本発明の実施例1によれば、術具の位置をボリューム画像にリアルタイムに表示することできる。
【実施例2】
【0034】
本発明の実施例2を図6、図7を用いて説明する。実施例1では、術具3次元位置抽出部205において、X線透視画像410から抽出した術具412の抽出位置とボリューム画像400から血管401の抽出位置とが最も一致した位置を抽出したが、ボリューム画像400中の血管は複数存在するため、一概に血管401が決まらない場合がある。実施例2では、上記を補正する形態を説明する。
【0035】
図6(a)に示すように、ボリューム画像400に手術経路として抽出された血管401が表示されている。ここで、術具412の先端部が、血管401と、血管401より奥側にある血管600の交点601に差し掛かった場合、術具412がどちらの血管に存在するか判別できない。この解決方法として、術具3次元位置抽出部205は、下記2通りの方法により解決することができる。
【0036】
(1)術具412が辿ってきた過去の領域(血管401)に付随する領域を抽出し、術具412の位置と推定する。具体的には、術具3次元位置抽出部205は、術具412の手術経路が確定した血管401について、術具412が辿ってきた領域をリージョングローイング法の画像抽出法で抽出する。
【0037】
(2)X線発生部111及びX線検出部112(X線Cアーム)に2以上の角度をつけて、2つのX線透視画像を作成し、2つのX線透視画像410をそれぞれの方向からボリューム画像400に投影し、術具3次元位置抽出部205は、それぞれのX線透視画像に重なる領域を術具412の位置と推定する。
【0038】
具体的には、図6(b)に示すように、X線発生部111及びX線検出部112(X線Cアーム)の基本位置におけるX線透視画像410および術具412に対し、X線Cアームを任意の角度に回転して再撮影したX線透視画像よび術具412の両者を用いて、図7に示すように、画像処理をそれぞれ行う。
【0039】
ボリューム画像400にX線発生部111のX線照射方向と同じ方向421つまり術者102の視点420に対する視線方向421から投影処理を行う。X線透視画像410で描出した術具412とボリューム画像400の抽出画像が重なった部分が術具412の先端部413及び経路ということになる。
【0040】
術具3次元位置抽出部205は、X線透視画像410で描出した術具412とボリューム画像400の抽出画像が重なった部分を抽出する。X線透視画像410を基準として周辺組織や手術経路が表示されることとなる。
【0041】
ここで、図7に示すように、CASE1のX線透視画像410上では手術経路が重なって術具412の先端部413がどちらに属するのか判断できない。しかしながら、CASE2のように、X線Cアームの角度を変えて再撮影および画像処理を行うことで、手術経路の区別と術具412がどちらに属するかを判別することができるようになる。
【0042】
以上、本発明の実施例2によれば、X線透視画像410から抽出した術具412の抽出位置に対応する血管が前後方向に2ヶ所以上検出しても対応することできる。
【0043】
次に、本発明の表示部113、114のGUIについて、図8、9を用いて説明する。
図8は、GUI(術前)表示例を示す。3D Scanボタン801を押下することでボリューム撮像が行われ、それぞれのスライス画像811〜814が表示される。それらの画像を用いて領域抽出、手術経路および治療領域の描出を行い、必要に応じてレジストレーションを実施して座標を統合してから手術が開始される。別画面820、821には、患者全体像におけるスライス情報や装置情報・患者情報・各種機能情報・術具情報等の手術支援詳細情報を表示する画面もある。
【0044】
図9にGUI(手術適用時)表示例を示す。X線透視ボタン805を押下することで、X線透視画像の表示が開始され、手術経路、術具の先端部、生体内部情報および周辺臓器情報が表示される。ここで、3Dナビゲーションボタン806を押下することで、Axial (アキシャル)画像900、Sagittal(サジタル)画像901、 Coronal(コロナル)画像902、ボリューム画像903を表示することができる。さらに、ボリューム画像903には、術具の先端部および予め求めた手術経路が表示され、術具の先端部は常に波線の交点で表示される。その他、過去の手術経路も描写される。
【0045】
そして、X線透視ボタン805および3Dナビゲーションボタン806の両方が押下されるとボリューム画像を基準とした重畳画像911と、X線透視画像を基準とした重畳画像910が表示される。
【0046】
X線透視画像で描出した術具とボリューム画像の抽出画像が重なった部分が術具の先端部およびその軌跡ということになり、X線透視画像にはX線透視画像を基準として周辺組織や手術経路が表示されることなる。術者はX線透視画像とボリューム画像の両方の術具の先端部を視認して安全を確保しながら、手術を実施することができる。また、X線装置の位置情報(回転情報含む)を示した画面912、913もあり、患者位置とポインタ位置の相対関係が一目で分かるようになっている。仮に抽出領域と術具先端位置が重なり、X線Cアームが回転した時には画面内のX線Cアームの位置も回転量に連動して位置が変更される。
【0047】
図10は、本発明の実施例1と実施例2の動作手順を示すフローチャートである。
【0048】
(s101)画像診断装置200によって、被検体101を撮像し、ボリューム画像を取得する。
(s102)画像診断装置200は、ボリューム画像400の輝度情報(主に血管の輝度情報)を用いて、リージョングローイング法の画像抽出法により、複数の血管を抽出する。
(s103)画像診断装置200は、抽出した血管の座標上の3次元位置情報を算出する。
【0049】
(s104)抽出した血管の3次元位置情報を用いて、術者は、画像診断装置200に対して、手術経路および治療領域の登録を行なう。
【0050】
(s105)レジストレーション部202は、マーカ(1)〜(3)の位置情報を用いて、ボリューム画像400とX線装置(主にX線発生部111)の位置関係を定義づけを行なう。
【0051】
(s106)手術に必要な各種パラメータ(X線の撮影条件(管電圧、管電流)、画像表示の形態)を設定する。
【0052】
(s107)手術が開始される。
(s108)手術に連動して、X線ナビゲーション装置は、位置検出部121の動作、および各種ナビゲーション機能を開始する。
(s109)X線装置(X線発生部111、X線検出部112等)は、透視撮影を開始する。X線透視画像作成部203は、X線検出部112から出力されるX線信号からX線透視画像を作成する。
【0053】
(s110)術者102は、カテーテル等の術具103を被検体101に挿入する。
(s111)X線透視画像410はリアルタイム撮像可能なことから、術具2次元位置抽出部204は、X線透視画像410の輝度情報を用いて、直前に撮影されたX線透視画像の術具103と、現在撮影されたX線透視画像の術具103の差分や、リージョングローイング法の画像抽出法により、現在の術具103の先端部及び経路を確定する。
【0054】
(s112)レジストレーション部202は、ボリューム画像400の座標とX線透視画像410の座標の統合を行なう。
(s113)術具3次元位置抽出部205は、ボリューム画像400における、X線発生部111のX線照射方向、すなわち術者の視点420における視線方向421からのX線透視画像410を算出し、ボリューム画像400上にX線透視画像410を投影する。
【0055】
(s114)術具3次元位置抽出部205は、X線透視画像410による術具412の位置と、画像診断装置200に対して、手術経路および治療領域の登録を行なった血管の領域の交点(重なる場所)を描出して、術具103の3次元位置を抽出する。
【0056】
(s115)術具3次元位置抽出部205は、交点(重なる場所)が前後方向に2ヶ所以上検出したかどうかを判定する。
(s116)X線Cアームを任意の角度に回転して再度撮影し、術具3次元位置抽出部205は、角度に応じた投影処理を行い、術具103の位置を特定する。
【0057】
(s117)表示部113、114は、描出した交点(術具103の位置)を3次元ナビゲーション(ボリューム画像400)上に表示する。
【0058】
(s118)表示部113、114は、現在の被検体101の位置情報・方向ベクトル・軌跡(ログ)・時間経過・それに伴う患者情報をリアルタイムに表示する。
【0059】
(s119)表示部113、114は、ボリューム画像400だけでなく、X線透視画像410にも2次元処理した手術経路を画像上に表示する。
【0060】
(s120)術具3次元位置抽出部205は、術具103が被検体101の目的部位に到達したかどうかを判定する。
(s121)術具103による治療を開始する。
【符号の説明】
【0061】
100 寝台、101 被検体、102 術者、103 術具、110 本体、111 X線発生部、112 X線検出部、113、114 表示部、115 操作部、200 画像診断装置、201 データベース、202 レジストレーション部、203 X線透視画像作成部、204 術具2次元位置抽出部、205 術具3次元位置抽出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像診断装置から出力されるボリューム画像を記憶するデータベースと、X線を発生させるX線発生部と、X線を検出するX線検出部と、前記X線検出部から出力されるX線信号からX線透視画像を作成するX線透視画像作成部と、前記ボリューム画像と前記X線発生部のX線照射方向の位置関係を定義し、前記ボリューム画像の座標と前記X線透視画像の座標の統合を行なうレジストレーション部と、前記X線透視画像から術具の2次元位置を抽出する術具2次元位置抽出部と、前記術具2次元位置抽出部で抽出された前記術具の2次元位置情報を用いて、前記ボリューム画像における前記術具の3次元位置を抽出する術具3次元位置抽出部と、前記術具の位置を前記ボリューム画像に表示する表示部を有していることを特徴とするX線ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記レジストレーション部は、被検体に装着されるマーカの位置情報を用いて、前記ボリューム画像と前記X線透視画像の位置合わせを行ない、前記ボリューム画像と前記X線発生部のX線照射方向の位置関係を定義することを特徴とする請求項1記載のX線ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記レジストレーション部は、前記X線発生部の位置を検出する位置検出部の座標における前記X線発生部の位置情報に対して、座標変換を行なって、前記ボリューム画像の座標におけるX線発生部の位置情報を算出することを特徴とする請求項1記載のX線ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記術具2次元位置抽出部は、前記X線透視画像の輝度情報を用いて、直前に撮影されたX線透視画像の術具と、現在撮影されたX線透視画像の術具の差分をとることで現在の術具の先端部及び経路を確定することを特徴とする請求項1記載のX線ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記術具2次元位置抽出部は、リージョングローイング法の画像抽出法により、前記術具を抽出し、前記術具の先端部及び経路を確定することを特徴とする請求項1記載のX線ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記表示部は、前記ボリューム画像から前記術具の先端部の位置情報を抽出し、前記術具の先端部における直交3断面画像を前記ボリューム画像から抽出して表示することを特徴とする請求項1記載のX線ナビゲーション装置。
【請求項7】
前記表示部は、前記術具の位置に基づいて、前記X線透視画像において前記ボリューム画像の血管や臓器を表示することを特徴とする請求項1記載のX線ナビゲーション装置。
【請求項8】
前記X線発生部及び前記X線検出部に2以上の角度をつけて撮影し、前記2つのX線透視画像をそれぞれの方向から前記ボリューム画像に投影し、前記術具3次元位置抽出部は、2つのX線透視画像に重なる領域を前記術具の位置と推定することを特徴とする請求項1記載のX線ナビゲーション装置。
【請求項9】
前記術具3次元位置抽出部は、前記術具が辿ってきた過去の領域に付随する領域を抽出し、前記術具の位置を推定することを特徴とする請求項1記載のX線ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−50621(P2011−50621A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203356(P2009−203356)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】