説明

X線検査装置

【課題】X線検査を効率的に実施することができるX線検査装置を提供することを目的とする。
【解決手段】開始位置である第1開始ポイントおよびその後の観察ポイントの相対位置が、第2〜第10開始ポイントおよびその後の観察ポイントの相対位置と同じである場合において、第1開始ポイント、その後の観察ポイント(ここでは縦・横の送り量)および第2〜第10開始ポイントをそれぞれ設定して登録する。このように、第2〜第10開始ポイントの後の残りの観察ポイントを登録せずとも、登録された第1開始ポイント、その後の観察ポイントおよび第2〜第10開始ポイントに基づいて、当該残りの観察ポイントを演算することが可能であり、必要である第1開始ポイント、その後の観察ポイントおよび第2〜第10開始ポイントのみを登録すれば、X線検査を効率的に実施することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、対象物に対するX線検査を行うX線検査装置に係り、特に、対象物に対してX線透視撮影を行うことでX線検査を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のX線検査装置は、X線検査の前に観察ポイント(すなわち検査位置)を予め設定して登録する「ティーチング」と呼ばれる機能を搭載している(例えば、特許文献1参照)。このティーチングを予め行うことで、ティーチングで登録された観察ポイントにしたがってX線検査を行うことが可能となる。このティーチングでは、対象物の縦横に対して一定間隔の送り量で観察ポイントを登録するステップ送り方式、または観察ポイントを任意に登録するランダム送り方式の2種類がある。ここで、本明細書では、一定間隔の送り量で観察ポイントを登録する前者のステップ送り方式と区別して、後者では観察ポイントを任意に登録することを「観察ポイントをランダムに登録する」と定義づける。
【0003】
なお、X線検査の対象物としては、特許文献1のような実装基板、多層基板のスルーホール、パレット上に配置された集積回路(IC: Integrated Circuit)のような実装前の回路、金属などの鋳物、ビデオデッキのような成型品などがある。
【0004】
例えば、パレット上に配置されたICに対してX線検査を行う場合には、図2(b)に示すように、パレットPを一定間隔の送り量で送り出し、パレットP上に配置された各々のICに対して前者のステップ送り方式によりX線検査を行う。図2(b)では、縦8(A〜Hを参照)×横20((1)〜(20)を参照)の合計160ステップ送りとなる。斜線のハッチングで示す領域は、ICに関する観察視野サイズである、
【0005】
また、例えば、特許文献1のような実装基板に対してX線検査を行う場合には、図6(b)に示すように、複数の同一実装基板Subを送り出し、各々の実装基板Subに搭載された部品に対して後者のランダム送り方式によりX線検査を行う。図6(b)では、3枚の実装基板Subに搭載された部品のうち6つの観察ポイントを登録し、合計18個の観察ポイントを登録することになる((1)〜(6)、(7)〜(12)、(13)〜(18)を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−114058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のティーチング機能では、図2(b)に示すように(4)列や(8)列やD行のような不要な観察ポイントが発生する、あるいは図6(b)に示すように合計18個の観察ポイント(1)〜(18)を全て登録するなどのように、X線検査を効率的に実施することができないという問題がある。
【0008】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、X線検査を効率的に実施することができるX線検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、この発明に係るX線検査装置は、対象物に対してX線透視撮影を行うことで前記対象物に対するX線検査を行うX線検査装置であって、検査位置を設定して登録することで、その登録された検査位置にしたがって前記X線検査を行う検査位置登録手段と、検査位置において検査の開始の基点となる開始位置、およびその開始位置の後でX線検査を行う第1位置の相対位置が、前記開始位置の後でX線検査を行う第2位置、およびその第2位置の後でX線検査を行う第3位置の相対位置と同じである場合において、前記検査位置登録手段で登録された前記開始位置、前記第1位置および前記第2位置に基づいて、前記第3位置を演算する検査位置演算手段とを備え、その検査位置演算手段および前記検査位置登録手段に基づいて、前記開始位置、前記第1位置、前記第2位置および前記第3位置にしたがって前記X線検査を行うことを特徴とするものである。
【0010】
[作用・効果]この発明に係るX線検査装置によれば、同一パターンで各対象物に対してX線検査を連続的に行うことを利用する。すなわち、検査位置において検査の開始の基点となる位置を開始位置とし、その開始位置の後でX線検査を行う位置を第1位置あるいは第2位置とし、その第2位置の後でX線検査を行う位置を第3位置とする。同一パターンで、開始位置および第1位置の相対位置が、第2位置および第3位置の相対位置と同じである場合において、検査位置登録手段は、開始位置、第1位置および第2位置をそれぞれ設定して登録する。このように、開始位置および第1位置の相対位置が、第2位置および第3位置の相対位置と同じであることを利用して、検査位置登録手段で第3位置を登録せずとも、検査位置登録手段で登録された開始位置、第1位置および第2位置に基づいて、検査位置演算手段は第3位置を演算することが可能である。したがって、必要である開始位置、第1位置および第2位置のみを登録すれば、不要な検査位置を登録することなく、必要な検査位置を全て登録することなく、X線検査を効率的に実施することができる。
【0011】
上述したX線検査装置の一例は、検査位置登録手段は、開始位置および一定間隔の送り量を設定して登録することで、開始位置からの一定間隔の送り量に該当する位置、当該位置からの一定間隔の送り量に該当する位置を逐次に設定して登録して、これらの位置を上述の第1位置として複数に設定して登録することである。この一例の場合には、上述したステップ送り方式に該当し、一定間隔の送り量を設定したステップ送り方式により開始位置および複数の第1位置をそれぞれ登録することができ、登録する検査位置の数を減らすことができる。
【0012】
上述したステップ送り方式において、第2位置についても、第1位置と同様に開始位置からの一定間隔の送り量に基づいて登録してもよい。すなわち、検査位置登録手段は、開始位置および一定間隔の送り量を設定して登録することで、開始位置からの一定間隔の送り量に該当する位置、当該位置からの一定間隔の送り量に該当する位置を逐次に設定して登録して、これらの位置を第2位置として複数に設定して登録する。この場合には、一定間隔の送り量を設定したステップ送り方式により開始位置および複数の第1位置のみならず、複数の第2位置をもそれぞれ登録することができ、登録する検査位置の数をより一層減らすことができる。
【0013】
上述したこれらのステップ送り方式の具体的な一例は、開始位置、各々の第1位置、第2位置および各々の第3位置の順にしたがってX線検査を行うことである。すなわち、検査位置登録手段は、開始位置および一定間隔の送り量を設定して登録しており、その送り量による開始位置、各々の第1位置の順にしたがってX線検査が行われる。その後、同様に、その送り量による第2位置、各々の第3位置の順にしたがってX線検査が行われる。もちろん、検査位置の順(走査の順)は具体的な一例に限定されず、開始位置、第2位置、各々の第1位置および各々の第3位置の順にしたがってX線検査を行ってもよい。
【0014】
上述したX線検査装置の他の一例は、上述したステップ送り方式とは相違し、検査位置登録手段は、第1位置を任意に設定して登録するように構成されていることである。この一例の場合には、上述したランダム送り方式に該当する。
【0015】
上述したこれらのX線検査装置において、第1位置、第2位置あるいは第3位置を調整する検査位置調整手段を備え、その検査位置調整手段で調整された第1位置、第2位置あるいは第3位置に基づいて、検査位置演算手段は、当該調整された位置の後でX線検査が行われる各検査位置を再度演算して調整するのが好ましい。すなわち、アライメントズレなどの位置ズレが途中で生じたとしても、第1位置、第2位置あるいは第3位置を調整する検査位置調整手段を備えることで、第1位置、第2位置あるいは第3位置を調整することにより位置ズレをなくすことができ、事前の厳密な位置調整の省略が可能となる。さらに、検査位置演算手段は、当該調整された位置の後でX線検査が行われる各検査位置を再度演算して調整するので、調整結果が後の検査位置に反映されて、位置ズレをなくして各検査位置でのX線検査を行うことができる。
【0016】
このような検査位置調整手段を備えた場合において、対象物を撮像する撮像手段と、その撮像手段での撮像結果を表示する表示手段とを備え、その表示手段での表示結果に基づいて検査位置調整手段は第1位置、第2位置あるいは第3位置を調整するのが好ましい。対象物を撮像する撮像手段での撮像結果を表示手段に表示することで、対象物の位置ズレの状況を撮像手段および表示手段を介してモニタリングすることができ、その表示手段での表示結果に基づいて検査位置調整手段は第1位置、第2位置あるいは第3位置を調整しやすくなる。
【0017】
上述の撮像手段の一例は、対象物に対してX線透視撮影を行うことで対象物に対するX線検査を行うことを兼用する。このように兼用することで、X線検査を行いながら、対象物の位置ズレの状況を撮像手段および表示手段を介してモニタリングすることができ、検査位置調整手段は第1位置、第2位置あるいは第3位置を調整することができる。なお、撮像手段は、上述の兼用に限定されず、例えば固体撮像素子(CCD: Charge Coupled Device)を用いたCCDカメラであってもよい。
【0018】
また、上述の兼用の場合には、上述の表示手段は、検査位置調整手段を兼用し、撮像手段での対象物のX線透視像を表示手段上で調整するのがより好ましい。表示手段が検査位置調整手段を兼用することで、撮像手段での対象物のX線透視像を表示手段上で調整することが容易となり、X線検査を行いながらモニタリングしつつ調整することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明に係るX線検査装置によれば、開始位置および第1位置の相対位置が、第2位置および第3位置の相対位置と同じである場合において、検査位置登録手段は、開始位置、第1位置および第2位置をそれぞれ設定して登録する。このように、検査位置登録手段で第3位置を登録せずとも、検査位置登録手段で登録された開始位置、第1位置および第2位置に基づいて、検査位置演算手段は第3位置を演算することが可能であり、必要である開始位置、第1位置および第2位置のみを登録すれば、X線検査を効率的に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】各実施例に係るX線検査装置の概略構成図およびブロック図である。
【図2】(a)は実施例1に係る対象物の概略平面図、(b)は(a)との比較のための従来の対象物の概略平面図である。
【図3】実施例1に係るティーチングも含めた一連のX線検査の流れを示すフローチャートである。
【図4】(a)〜(c)は、実施例1に係る対象物の走査順序の各態様を示す概略平面図である。
【図5】X線透視像の調整の説明に供するモニタの模式図である。
【図6】(a)は実施例2に係る対象物の概略平面図、(b)は(a)との比較のための従来の対象物の概略平面図である。
【図7】実施例2に係るティーチングも含めた一連のX線検査の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0021】
以下、図面を参照してこの発明の実施例1を説明する。
図1は、各実施例に係るX線検査装置の概略構成図およびブロック図であり、図2(a)は、実施例1に係る対象物の概略平面図である。本実施例1では、対象物としてパレット上に配置された集積回路(IC)を例に採って説明する。
【0022】
図1に示すように、本実施例1に係るX線検査装置1は、対象物Oを撮像する撮像部2と、対象物Oを載置するステージ3と、そのステージ3を駆動させるステージ駆動部4と、撮像部2を駆動させる撮像駆動部5と、撮像部2のX線管21に管電流や管電圧を与えるために高電圧を発生させる高電圧発生部6と、撮像部2のX線検出器22によって得られたX線検出信号に対して各種の画像処理を行ってX線透視像を出力する画像処理部7とを備えている。撮像部2は、この発明における撮像手段に相当する。
【0023】
撮像部2は、対象物OにX線を照射するX線管21と、X線管21から照射され対象物Oを透過したX線を検出するX線検出器22とを備えている。X線検出器22については、イメージインテンシファイア(I.I)やフラットパネル型X線検出器(FPD: Flat Panel Detector)などに例示されるように、特に限定されない。後述する実施例2も含めて、本実施例1では、X線検出器22としてフラットパネル型X線検出器(FPD)を例に採って説明する。
【0024】
FPDは、画素に対応して縦横に並べられた複数の検出素子からなり、X線を検出素子が検出して、検出されたX線のデータ(電荷信号)をX線検出信号として出力する。このようにして、X線管21からX線を対象物Oに向けて照射し、FPDからなるX線検出器22がX線を検出してX線検出信号を出力することで、X線管21およびX線検出器22からなる撮像部22は対象物Oを撮像する。
【0025】
ステージ駆動部4は、図示を省略するモータや駆動軸などから構成され、ステージ3を図中のX,Y方向に水平移動、Z方向に昇降移動、あるいはZ軸心周りに水平面内で回転させる。ステージ3の移動によって対象物Oも移動して、対象物Oを撮像位置にまで移動させて撮像部22により撮像を行ってX線検査を行う。後述する実施例2も含めて、本実施例1では、ティーチングで登録された観察ポイントにしたがってX線検査を行う場合には、撮像部2を固定させた状態で、その観察ポイントから撮像位置にまで位置するようにステージ3とともに対象物Oを移動させる。
【0026】
撮像駆動部5は、ステージ駆動部4と同様に、図示を省略するモータや駆動軸などから構成され、撮像部2を図中のX,Y方向に水平移動、Z方向に昇降移動、あるいはZ軸心周りに水平面内で回転させる。X線検出器22にX線管21が対向するようにそれぞれを移動させてからX線検査を行う。また、X線管21またはX線検出器22を鉛直方向(Z方向)に昇降移動させて、X線検査における拡大率・縮小率を変更することも可能である。また、X線管21またはX線検出器22を傾斜させて、斜め方向から撮像することも可能である(図中の二点鎖線を参照)。後述する実施例2も含めて、本実施例1では、ティーチングで登録された観察ポイントにしたがってX線検査を行う場合には、撮像部2を固定させた状態でステージ3とともに対象物Oを移動させる。もちろん、ステージ3とともに対象物を固定させた状態でX線管21およびX線検出器22を移動させてよく、その場合には観察ポイントにX線管21およびX線検出器22が移動してX線検査を行うことになる。
【0027】
高電圧発生部6は、高電圧を発生させて管電流や管電圧をX線管21に与えることで、X線管21からX線が発生して、X線を照射する。画像処理部7は、ゲイン補正やラグ補正や階調補正等の画像処理をX線検出信号に施すことで、対象物Oに関するX線透視像を出力する。このようにして、撮像部2で撮像されたX線検出信号(すなわちX線検出器22から出力されたX線検出信号)に対して画像処理部7が画像処理を行ってX線透視像を出力することで、対象物Oに対してX線透視撮影を行う。そして、対象物Oに対するX線検査を行う。
【0028】
その他に、X線検査装置1は、メモリ部8と入力部9と出力部10とコントローラ11とを備えている。入力部9は、この発明における検査位置調整手段に相当し、出力部10は、この発明における表示手段に相当し、コントローラ11は、この発明における検査位置登録手段および検査位置演算手段に相当する。
【0029】
メモリ部8は、コントローラ11を介して、画像処理部7で得られたX線透視像などのデータを書き込んで記憶し、適宜必要に応じて読み出して、コントローラ11を介して、X線透視像を出力部10に送り込んで出力する。メモリ部8は、ROM(Read-only Memory)やRAM(Random-Access Memory)などに代表される記憶媒体で構成されている。後述する実施例2も含めて、本実施例1では、メモリ部8は、ティーチングファイル8aを有しており、開始ポイントを含めた複数の観察ポイントをティーチングファイル8aに記憶して、X線検査時に読み出して、コントローラ11を介して、ステージ駆動部4を制御することにより、観察ポイントから撮像位置にまで位置するようにステージ3とともに対象物Oを移動させる。
【0030】
入力部9は、オペレータが入力したデータや命令をコントローラ11に送り込む。入力部9は、マウスやキーボードやジョイスティックやトラックボールやタッチパネルなどに代表されるポインティングデバイスで構成されている。後述する実施例2も含めて、本実施例1では、出力部10のモニタに入力部9の機能を搭載し、モニタが入力部9を兼用するように構成されている。また、開始ポイントを含めて観察ポイントを調整する検査位置調整手段の機能などを入力部9が有している。これらの機能については後述する。
【0031】
出力部10は、モニタなどに代表される表示部やプリンタなどで構成されている。後述する実施例2も含めて、本実施例1では、撮像部2での撮像結果を出力部10のモニタに表示する。モニタの具体的な構成についても後述する。
【0032】
コントローラ11は、X線検査装置1を構成する各部分を統括制御する。上述の画像処理部7やコントローラ11は、中央演算処理装置(CPU)などで構成されている。画像処理部7で得られたX線透視像などのデータを、コントローラ11を介して、メモリ部8に書き込んで記憶、あるいは出力部10に送り込んで出力する。出力部10が表示部の場合には出力表示し、出力部10がプリンタの場合には出力印刷する。
【0033】
後述する実施例2も含めて、本実施例1では、開始ポイントを含めた観察ポイントを設定して登録することで、その登録された検査位置にしたがってX線検査を行う検査位置登録手段の機能、検査位置登録手段の機能で登録された開始ポイントを含めた観察ポイントに基づいて、この発明における第3位置に相当する観察ポイントを演算する検査位置演算手段の機能などをコントローラ11が有している。これらの機能についても後述する。
【0034】
図2(a)に示すように、本実施例1では、対象物はパレットP上に配置されたIC(IC〜IC10)である。図2(a)では、図中の左上に該当する検査位置を、検査位置において検査の開始の基点となる開始位置(開始ポイント)とする。また、図中の左上のICから、右方向(X方向の正方向)へ順にX線検査を行い、最終的に右下のIC10でX線検査を終了するものとして以下を説明する。したがって、図中の左上のICの左上に該当する検査位置を第1開始ポイントSとするとともに、それに右方向に隣接した2番目のICの左上に該当する検査位置を第2開始ポイントS10とし、最終的に右下のIC10の左上に該当する検査位置を第10開始ポイント82とする。第1開始ポイントSは、この発明における開始位置に相当し、第2開始ポイントS10,第3開始ポイントS19,第4開始ポイントS28,第5開始ポイント37,第6開始ポイントS46,第7開始ポイントS55,第8開始ポイントS64,第9開始ポイントS73,第10開始ポイントS82は、この発明における第2位置に相当する。
【0035】
また、第1開始ポイントSの後でX線検査を行う観察ポイント、すなわち図中の左上のICでの観察ポイントをO〜Oとし、それ以外の第2開始ポイントS10,第3開始ポイントS19,第4開始ポイントS28,第5開始ポイント37,第6開始ポイントS46,第7開始ポイントS55,第8開始ポイントS64,第9開始ポイントS73,第10開始ポイントS82の後でX線検査を行う観察ポイント、すなわちIC〜IC10での観察ポイントをO11〜O18,O20〜O27,O29〜O36,O38〜O45,O47〜O54,O56〜O63,O65〜O72,O74〜O81,O83〜O90とする。第1開始ポイントSの後でX線検査を行う観察ポイントO〜Oは、この発明における第1位置に相当し、第2開始ポイントS10,第3開始ポイントS19,第4開始ポイントS28,第5開始ポイント37,第6開始ポイントS46,第7開始ポイントS55,第8開始ポイントS64,第9開始ポイントS73,第10開始ポイントS82の後でX線検査を行う観察ポイントO11〜O18,O20〜O27,O29〜O36,O38〜O45,O47〜O54,O56〜O63,O65〜O72,O74〜O81,O83〜O90は、この発明における第3位置に相当する。
【0036】
次に、本実施例1に係る入力部9や出力部10やコントローラ11の具体的な構成について、上述の図2も含めて、図3〜図5を参照して説明する。図2(b)は、図2(a)との比較のための従来の対象物の概略平面図であり、図3は、実施例1に係るティーチングも含めた一連のX線検査の流れを示すフローチャートであり、図4(a)〜図4(c)は、実施例1に係る対象物の走査順序の各態様を示す概略平面図であり、図5は、X線透視像の調整の説明に供するモニタの模式図である。
【0037】
(ステップS1)第1開始ポイントの設定
先ず、検査位置において検査の開始の基点となる第1開始ポイントS(図2(a)を参照)を設定して登録する。具体的には、第1開始ポイントSの座標をメモリ部8(図1を参照)のティーチングファイル8a(図1を参照)に書き込んで記憶することで、第1開始ポイントSの設定を行う。
【0038】
(ステップS2)縦・横の送り量の設定
次に、一定間隔の送り量として、縦(Y方向)の送り量を設定するとともに、横(X方向)の送り量を設定して登録する。具体的には、縦・横の送り量をメモリ部8(図1を参照)のティーチングファイル8a(図1を参照)に書き込んで記憶することで、縦・横の送り量の設定を行う。図2(a)では、縦・横の送り量は等しく図示されているが、縦・横の送り量は必ずしも互いに等しくなる必要はない。
【0039】
このように、ステップS1でこの発明における開始位置(図2(a)の第1開始ポイントS)、ステップS2でこの発明における一定間隔の送り量を設定して登録することで、第1開始ポイントSからの一定間隔の送り量に該当する位置、当該位置からの一定間隔の送り量に該当する位置を逐次に設定して登録して、これらの位置をこの発明における第1位置(図2(a)の観察ポイントO〜O)として複数(図2(a)では8つ)に設定して登録する。具体的には、第1開始ポイントSからの横(X方向)の送り量に該当する位置は観察ポイントOとなり、当該観察ポイントOからの横(X方向)の送り量に該当する位置は観察ポイントOとなる。一方、第1開始ポイントSからの縦(Y方向)の送り量に該当する位置は観察ポイントOとなり、当該観察ポイントOからの縦(Y方向)の送り量に該当する位置は観察ポイントOとなる。以下、同様にして、それぞれの送り量を座標に加算することで、残りの観察ポイントO,O,O,Oも自ずと決定される。
【0040】
(ステップS3)第2〜第10開始ポイントの設定
一方、やはり一定間隔の送り量として、縦(Y方向)の送り量を設定するとともに、横(X方向)の送り量を設定して登録する。
【0041】
ステップS2と同様に、第1開始ポイントSからの一定間隔の送り量に該当する位置、当該位置からの一定間隔の送り量に該当する位置を逐次に設定して登録して、これらの位置をこの発明における第2位置(図2(a)の第2開始ポイントS10,第3開始ポイントS19,第4開始ポイントS28,第5開始ポイント37,第6開始ポイントS46,第7開始ポイントS55,第8開始ポイントS64,第9開始ポイントS73,第10開始ポイントS82)として複数(図2(a)では9つ)に設定して登録する。具体的には、第1開始ポイントSからの横(X方向)の送り量に該当する位置は第2開始ポイントS10となり、当該第2開始ポイントS10からの横(X方向)の送り量に該当する位置は第3開始ポイントS19となり、当該第3開始ポイントS19からの横(X方向)の送り量に該当する位置は第4開始ポイントS28となり、当該第4開始ポイントS28からの横(X方向)の送り量に該当する位置は第5開始ポイント37となる。一方、第1開始ポイントSからの縦(Y方向)の送り量に該当する位置は第6開始ポイントS46となる。以下、同様にして、それぞれの送り量を座標に加算することで、残りの第7開始ポイントS55,第8開始ポイントS64,第9開始ポイントS73,第10開始ポイントS82も自ずと決定される。
【0042】
つまり、第2開始ポイントS10,第3開始ポイントS19,第4開始ポイントS28,第5開始ポイント37,第6開始ポイントS46,第7開始ポイントS55,第8開始ポイントS64,第9開始ポイントS73,第10開始ポイントS82(いずれも図2(a)を参照)も、一定間隔送りに設定することが可能である。
【0043】
(ステップS4)残りの観察ポイントの演算
ステップS1〜S3で登録された開始位置(図2(a)の第1開始ポイントS)、第1位置(図2(a)の観察ポイントO〜O)および第2位置(図2(a)の第2開始ポイントS10,第3開始ポイントS19,第4開始ポイントS28,第5開始ポイント37,第6開始ポイントS46,第7開始ポイントS55,第8開始ポイントS64,第9開始ポイントS73,第10開始ポイントS82)に基づいて、この発明における第3位置(残りの図2(a)の観察ポイントO11〜O18,O20〜O27,O29〜O36,O38〜O45,O47〜O54,O56〜O63,O65〜O72,O74〜O81,O83〜O90)をコントローラ11(図1を参照)が演算する。
【0044】
図2(a)からも明らかなように、開始位置(第1開始ポイントS)および第1位置(観察ポイントO〜O)の相対位置は、第2位置(第2開始ポイントS10,第3開始ポイントS19,第4開始ポイントS28,第5開始ポイント37,第6開始ポイントS46,第7開始ポイントS55,第8開始ポイントS64,第9開始ポイントS73,第10開始ポイントS82)および第3位置(観察ポイントO11〜O18,O20〜O27,O29〜O36,O38〜O45,O47〜O54,O56〜O63,O65〜O72,O74〜O81,O83〜O90)の相対位置と同じである。
【0045】
第2開始ポイントS10,観察ポイントO11〜O18を代表して説明すると、開始位置(第1開始ポイントS)および第1位置(観察ポイントO〜O)の相対位置は、第2位置(第2開始ポイントS10)および第3位置(観察ポイントO11〜O18)の相対位置と同じである。したがって、コントローラ11(図1を参照)により第3位置(観察ポイントO11〜O18)を演算することが可能である。第2開始ポイントS10,観察ポイントO11〜O18を代表して説明したが、残りの第3開始ポイントS19,第4開始ポイントS28,第5開始ポイント37,第6開始ポイントS46,第7開始ポイントS55,第8開始ポイントS64,第9開始ポイントS73,第10開始ポイントS82,および残りの観察ポイントO20〜O27,O29〜O36,O38〜O45,O47〜O54,O56〜O63,O65〜O72,O74〜O81,O83〜O90についても同様である。
【0046】
以上のように、ステップS1〜S3で開始ポイントを含めた複数の観察ポイントをメモリ部8(図1を参照)のティーチングファイル8a(図1を参照)に記憶し、これらのポイントを設定して登録する。一方、ステップS1〜S3で登録されたこれらのポイントの相関関係に基づいて、ステップS4では、コントローラ11(図1を参照)は残りの観察ポイントを演算する。
【0047】
ステップS1〜S3で設定されて記憶されたメモリ部8(図1を参照)のティーチングファイル8a(図1を参照)を読み出して、コントローラ11(図1を参照)を介して、ステージ駆動部4(図1を参照)を制御することにより、観察ポイントから撮像位置にまで位置するようにステージ3(図1を参照)とともに対象物Oを移動させて、ステップS5以降のX線検査を行う。なお、X線検査前には、コントローラ11は、撮像駆動部5(図1を参照)を制御することにより、X線検出器22(図1を参照)にX線管21(図1を参照)が対向するようにそれぞれを移動させる。
【0048】
ステップS5以降のX線検査の走査順序としては、例えば、図4(a)〜図4(c)の態様が挙げられる。具体的には、図4(a)の矢印に示すように、開始位置(図2(a)の第1開始ポイントS)、各々の第1位置(図2(a)の観察ポイントO〜O)、第2位置(図2(a)の第2開始ポイントS10,第3開始ポイントS19,第4開始ポイントS28,第5開始ポイント37,第6開始ポイントS46,第7開始ポイントS55,第8開始ポイントS64,第9開始ポイントS73,第10開始ポイントS82)および各々の第3位置(図2(a)の観察ポイントO11〜O18,O20〜O27,O29〜O36,O38〜O45,O47〜O54,O56〜O63,O65〜O72,O74〜O81,O83〜O90)の順にしたがってX線検査を行う。あるいは図4(b)の矢印に示すように、縦(Y方向)に先に走査しながら横(X方向)に走査してX線検査を行ってもよい。あるいは図4(c)の括弧付きの数字に示すように、先に第1開始ポイントS(図4(c)の(1)を参照),第2開始ポイントS10(図4(c)の(2)を参照),第3開始ポイントS19(図4(c)の(3)を参照),第4開始ポイントS28(図4(c)の(4)を参照),第5開始ポイント37(図4(c)の(5)を参照),第6開始ポイントS46(図4(c)の(6)を参照),第7開始ポイントS55(図4(c)の(7)を参照),第8開始ポイントS64(図4(c)の(8)を参照),第9開始ポイントS73(図4(c)の(9)を参照),第10開始ポイントS82(図4(c)の(10)を参照)を走査した後に、残りの観察ポイントを走査してX線検査を行ってもよい。つまり、開始位置、第2位置、各々の第1位置および各々の第3位置の順にしたがってX線検査を行ってもよい。
【0049】
なお、X線検査の走査順序としては、図4(a)〜図4(c)に限定されない。特に、図4(a)や図4(b)の場合には、走査方向が統一されていたが、端部まで走査したら折り返して逆方向に走査するようにしてもよい。ステップS5以降のX線検査では、図4(a)の態様を例に採って、以下を説明する。
【0050】
(ステップS5)第1開始ポイントでのX線検査
先ず、第1開始ポイントS(図2(a)を参照)においてX線検査を行う。具体的には、X線管21(図1を参照)からX線を対象物O(図1を参照)のIC(図2(a)を参照)の第1開始ポイントSに向けて照射し、X線検出器22(図1を参照)がX線を検出してX線検出信号を出力し、さらに画像処理部7(図1を参照)が各種の画像処理をX線検出信号に施してX線透視像を出力部10(図1を参照)のモニタに出力することで、対象物OのICの第1開始ポイントSにおいてX線検査を行う。
【0051】
なお、出力部10は、図5に示すようにモニタ10Mで構成されている。このモニタ10Mはタッチパネルとして入力することも可能で、入力部9(図1を参照)の機能をも搭載している。特に、後述する実施例2も含めて、本実施例1では、開始ポイントを含めて観察ポイントを調整する検査位置調整手段の機能などを入力部9が有しており、モニタ10Mがその検査位置調整手段の機能を兼用している。
【0052】
(ステップS6)各観察ポイントでのX線検査
第2開始ポイントS10,第3開始ポイントS19,第4開始ポイントS28,第5開始ポイント37,第6開始ポイントS46,第7開始ポイントS55,第8開始ポイントS64,第9開始ポイントS73,第10開始ポイントS82(いずれも図2(a)を参照)を含めて、各観察ポイントにおいて、それぞれX線検査を行う。具体的には、X線管21(図1を参照)からX線を対象物O(図1を参照)のIC(IC〜IC10)(図2(a)を参照)の各観察ポイントに向けて照射し、X線検出器22(図1を参照)がX線を検出してX線検出信号を出力し、さらに画像処理部7(図1を参照)が各種の画像処理をX線検出信号に施してX線透視像を出力部10(図1を参照)のモニタに出力することで、対象物OのIC(IC〜IC10)の観察ポイントにおいてX線検査を行う。
【0053】
(ステップS7)位置ズレ発生?
図5に示すように、出力部10(図1を参照)のモニタ10MでX線透視像を出力表示したときに、例えば図5(a)に示すようにZ軸(図1、図2を参照)心周りの水平面内の回転によるアライメントズレや、図5(b)に示すようにX,Y方向(図1、図2を参照)の水平移動によるズレなどの位置ズレが発生するときがある。オペレータは、図5(a)や図5(b)に示すモニタ10Mでの表示結果を確認することで、位置ズレが発生したか否かを判断する。なお、モニタ10Mの基準位置(例えば中心)に枠10aを設け、その枠10aから外れていたら、位置ズレが発生したとオペレータが確認するように構成してもよい。
【0054】
(ステップS8)観察ポイントの調整
ステップS7で、図5(a)や図5(b)に示すようにモニタ10Mの表示結果をオペレータが確認して、位置ズレが発生したと判断した場合には、そのモニタ10Mでの表示結果に基づいて観察ポイント(この発明における第1位置、第2位置あるいは第3位置)を調整する。
【0055】
例えば、図5(c)に示すようにX線透視像をモニタ10M上で調整する。モニタ10M上で調整するには、例えば、「↑」ボタン10bに触れることでY方向(図1、図2を参照)の正方向に移動するコマンドを入力したり、「→」ボタン10cに触れることでX方向(図1、図2を参照)の正方向に移動するコマンドを入力したり、「↓」ボタン10dに触れることでY方向の負方向に移動するコマンドを入力したり、「←」ボタン10eに触れることでX方向の負方向に移動するコマンドを入力する。その他に、正回転ボタン10fに触れることでZ軸(図1、図2を参照)心周りの水平面内の正回転に回転するコマンドを入力したり、逆回転ボタン10gに触れることでZ軸心周りの水平面内の逆回転に回転するコマンドを入力する。
【0056】
モニタ10Mについては、必ずしもタッチパネル等などの入力部9(図1を参照)の機能を搭載する必要はない。入力部9の例えばマウスによってポインタを各ボタン10b〜10gに合わせてクリックすることでコマンドを入力してもよい。その他に、入力部9の例えばキーボードから調整したい座標位置あるいは移動量を直接に入力することによりコマンドを入力してもよい。また、タッチパネル等の機能をモニタ10Mに搭載する場合においても、これらのボタン10b〜10gに限定されず、調整前のX線透視像を指で触れて調整後の枠10aにドラッグすることによりコマンドを入力してもよい。また、上述の各ボタン10b〜10g以外にも、X線検査における拡大率・縮小率を変更する調整を行うボタン等を設けて、当該拡大率・縮小率を変更するコマンドを入力してもよい。
【0057】
これらのコマンドを入力したら、コントローラ11(図1を参照)に送り込み、コントローラ11はステージ駆動部4(図1を参照)を制御して、入力されたコマンドにしたがってステージ3(図1を参照)を移動あるいは回転させることで、観察ポイントを調整する。なお、観察ポイントの調整については必ずしもステージ3を移動させるのに限定されず、撮像部2(図1を参照)による位置ズレが原因の場合には、コントローラ11は撮像駆動部5(図1を参照)を制御して、撮像部2のX線管21あるいはX線検出器22(いずれも図1を参照)を移動あるいは回転させてもよい。特に、X線検査における拡大率・縮小率を変更する調整を行う場合には、コントローラ11は撮像駆動部5を制御して、X線管21またはX線検出器22を鉛直方向(Z方向)に昇降移動させる、あるいはステージ駆動部4を制御して、ステージ3を鉛直方向(Z方向)に昇降移動させる。
【0058】
好ましくは、ステップS8で観察ポイントを調整してから、当該調整された観察ポイントの後でX線検査が行われる各観察ポイントを、コントローラ11(図1を参照)が有する検査位置演算手段の機能は再度演算して調整する。
【0059】
ステップS7で位置ズレが発生していないとオペレータが判断した場合には、ステップS8での観察ポイントを調整せずに、ステップS8をスキップして、ステップS9に移行する。
【0060】
(ステップS9)観察ポイントあり?
X線検査すべき観察ポイントがあるか否かを判断する。X線検査すべき観察ポイントがある場合には、X線検査はまだ終了していないとして、ステップS6での各観察ポイントでのX線検査に戻って、X線検査すべき観察ポイントがなくなるまでステップS6〜S9を繰り返し行う。一方、X線検査すべき観察ポイントがない場合には、X線検査が全て終了したとして、一連のステップS1〜S9を終了する。
【0061】
ここで、本実施例1の図2(a)との比較のために、「背景技術」の欄でも述べた従来の図2(b)をも参照して、対象物O(図1を参照)としてパレットP上に配置されたICを採用した場合の作用・効果について述べる。「背景技術」の欄でも述べたように、従来の図2(b)では、縦8(A〜Hを参照)×横20((1)〜(20)を参照)の合計160ステップ送りとなる。また、ICに関する観察視野サイズ(斜線のハッチングで示す領域を参照)を、一定間隔の送り量に一致させるのは困難となる。特に、E行およびH行は、観察視野サイズ内外にまたがっている。さらに、「背景技術」の欄でも述べたように、(4)列や(8)列やD行のような不要な観察ポイントが発生する。
【0062】
これに対して、本実施例1の図2(a)では、1つのIC毎に縦3×横3で10個のICで合計90ステップ送りとなって、従来よりもステップ数を大幅に減らすことができる。また、ICに関する観察視野サイズ(斜線のハッチングで示す領域を参照)を、一定間隔の送り量に一致させることができる。不要な観察ポイントも発生しない。
【0063】
上述の構成を備えた本実施例1に係るX線検査装置によれば、同一パターンで各対象物Oに対してX線検査を連続的に行うことを利用する。すなわち、検査位置において検査の開始の基点となる位置を開始位置(本実施例1では第1開始ポイントS)とし、その開始位置(第1開始ポイントS)の後でX線検査を行う位置を第1位置(本実施例1では観察ポイントO〜O)あるいは第2位置(本実施例1では第2開始ポイントS10,第3開始ポイントS19,第4開始ポイントS28,第5開始ポイント37,第6開始ポイントS46,第7開始ポイントS55,第8開始ポイントS64,第9開始ポイントS73,第10開始ポイントS82)とし、その第2位置(第2開始ポイントS10,第3開始ポイントS19,第4開始ポイントS28,第5開始ポイント37,第6開始ポイントS46,第7開始ポイントS55,第8開始ポイントS64,第9開始ポイントS73,第10開始ポイントS82)の後でX線検査を行う位置を第3位置(本実施例1では観察ポイントO11〜O18,O20〜O27,O29〜O36,O38〜O45,O47〜O54,O56〜O63,O65〜O72,O74〜O81,O83〜O90)とする。
【0064】
同一パターンで、開始位置(第1開始ポイントS)および第1位置(観察ポイントO〜O)の相対位置が、第2位置(第2開始ポイントS10,第3開始ポイントS19,第4開始ポイントS28,第5開始ポイント37,第6開始ポイントS46,第7開始ポイントS55,第8開始ポイントS64,第9開始ポイントS73,第10開始ポイントS82)および第3位置(観察ポイントO11〜O18,O20〜O27,O29〜O36,O38〜O45,O47〜O54,O56〜O63,O65〜O72,O74〜O81,O83〜O90)の相対位置と同じである場合において、コントローラ11が有する検査位置登録手段の機能は、開始位置(第1開始ポイントS)、第1位置(観察ポイントO〜O)および第2位置(第2開始ポイントS10,第3開始ポイントS19,第4開始ポイントS28,第5開始ポイント37,第6開始ポイントS46,第7開始ポイントS55,第8開始ポイントS64,第9開始ポイントS73,第10開始ポイントS82)をそれぞれ設定して登録する。
【0065】
このように、開始位置(第1開始ポイントS)および第1位置(観察ポイントO〜O)の相対位置が、第2位置(第2開始ポイントS10,第3開始ポイントS19,第4開始ポイントS28,第5開始ポイント37,第6開始ポイントS46,第7開始ポイントS55,第8開始ポイントS64,第9開始ポイントS73,第10開始ポイントS82)および第3位置(観察ポイントO11〜O18,O20〜O27,O29〜O36,O38〜O45,O47〜O54,O56〜O63,O65〜O72,O74〜O81,O83〜O90)の相対位置と同じであることを利用して、検査位置登録手段の機能で第3位置(観察ポイントO11〜O18,O20〜O27,O29〜O36,O38〜O45,O47〜O54,O56〜O63,O65〜O72,O74〜O81,O83〜O90)を登録せずとも、検査位置登録手段の機能で登録された開始位置(第1開始ポイントS)、第1位置(観察ポイントO〜O)および第2位置(第2開始ポイントS10,第3開始ポイントS19,第4開始ポイントS28,第5開始ポイント37,第6開始ポイントS46,第7開始ポイントS55,第8開始ポイントS64,第9開始ポイントS73,第10開始ポイントS82)に基づいて、コントローラ11が有する検査位置演算手段の機能は第3位置(観察ポイントO11〜O18,O20〜O27,O29〜O36,O38〜O45,O47〜O54,O56〜O63,O65〜O72,O74〜O81,O83〜O90)を演算することが可能である。
【0066】
したがって、必要である開始位置(第1開始ポイントS)、第1位置(観察ポイントO〜O)および第2位置(第2開始ポイントS10,第3開始ポイントS19,第4開始ポイントS28,第5開始ポイント37,第6開始ポイントS46,第7開始ポイントS55,第8開始ポイントS64,第9開始ポイントS73,第10開始ポイントS82)のみを登録すれば、不要な検査位置を登録することなく、必要な検査位置を全て登録することなく、X線検査を効率的に実施することができる。
【0067】
本実施例1では、検査位置登録手段の機能は、開始位置(第1開始ポイントS)および一定間隔の送り量を設定して登録することで、開始位置(第1開始ポイントS)からの一定間隔の送り量に該当する位置、当該位置からの一定間隔の送り量に該当する位置を逐次に設定して登録して、これらの位置を上述の第1位置(観察ポイントO〜O)として複数(本実施例1では8つ)に設定して登録している。本実施例1の場合には、上述したステップ送り方式に該当し、一定間隔の送り量を設定したステップ送り方式により開始位置(第1開始ポイントS)および複数の第1位置(観察ポイントO〜O)をそれぞれ登録することができ、登録する検査位置の数を減らすことができる。
【0068】
本実施例1のステップ送り方式において、第2位置(第2開始ポイントS10,第3開始ポイントS19,第4開始ポイントS28,第5開始ポイント37,第6開始ポイントS46,第7開始ポイントS55,第8開始ポイントS64,第9開始ポイントS73,第10開始ポイントS82)についても、第1位置(観察ポイントO〜O)と同様に開始位置(第1開始ポイントS)からの一定間隔の送り量に基づいて登録している。すなわち、検査位置登録手段の機能は、開始位置(第1開始ポイントS)および一定間隔の送り量を設定して登録することで、開始位置(第1開始ポイントS)からの一定間隔の送り量に該当する位置、当該位置からの一定間隔の送り量に該当する位置を逐次に設定して登録して、これらの位置を第2位置(第2開始ポイントS10,第3開始ポイントS19,第4開始ポイントS28,第5開始ポイント37,第6開始ポイントS46,第7開始ポイントS55,第8開始ポイントS64,第9開始ポイントS73,第10開始ポイントS82)として複数(本実施例では9つ)に設定して登録している。本実施例1の場合には、一定間隔の送り量を設定したステップ送り方式により開始位置(第1開始ポイントS)および複数の第1位置(観察ポイントO〜O)のみならず、複数の第2位置(第2開始ポイントS10,第3開始ポイントS19,第4開始ポイントS28,第5開始ポイント37,第6開始ポイントS46,第7開始ポイントS55,第8開始ポイントS64,第9開始ポイントS73,第10開始ポイントS82)をもそれぞれ登録することができ、登録する検査位置の数をより一層減らすことができる。
【0069】
図4(a)では、開始位置(第1開始ポイントS)、各々の第1位置(観察ポイントO〜O)、第2位置(第2開始ポイントS10,第3開始ポイントS19,第4開始ポイントS28,第5開始ポイント37,第6開始ポイントS46,第7開始ポイントS55,第8開始ポイントS64,第9開始ポイントS73,第10開始ポイントS82)および各々の第3位置(観察ポイントO11〜O18,O20〜O27,O29〜O36,O38〜O45,O47〜O54,O56〜O63,O65〜O72,O74〜O81,O83〜O90)の順にしたがってX線検査を行っている。すなわち、検査位置登録手段の機能は、開始位置(第1開始ポイントS)および一定間隔の送り量を設定して登録しており、その送り量による開始位置(第1開始ポイントS)、各々の第1位置(観察ポイントO〜O)の順にしたがってX線検査が行われる。その後、同様に、その送り量による第2位置(第2開始ポイントS10,第3開始ポイントS19,第4開始ポイントS28,第5開始ポイント37,第6開始ポイントS46,第7開始ポイントS55,第8開始ポイントS64,第9開始ポイントS73,第10開始ポイントS82)、各々の第3位置(観察ポイントO11〜O18,O20〜O27,O29〜O36,O38〜O45,O47〜O54,O56〜O63,O65〜O72,O74〜O81,O83〜O90)の順にしたがってX線検査が行われる。
【0070】
本実施例1では、第1位置、第2位置あるいは第3位置(観察ポイント)を調整する検査位置調整手段の機能を入力部9に備え、その検査位置調整手段の機能で調整された第1位置、第2位置あるいは第3位置(観察ポイント)に基づいて、検査位置演算手段の機能は、当該調整された位置の後でX線検査が行われる各検査位置を再度演算して調整している。すなわち、アライメントズレなどの位置ズレが途中で生じたとしても、第1位置、第2位置あるいは第3位置(観察ポイント)を調整する検査位置調整手段の機能を入力部9に備えることで、第1位置、第2位置あるいは第3位置(観察ポイント)を調整することにより位置ズレをなくすことができ、事前の厳密な位置調整の省略が可能となる。さらに、検査位置演算手段の機能は、当該調整された位置の後でX線検査が行われる各検査位置を再度演算して調整するので、調整結果が後の検査位置に反映されて、位置ズレをなくして各検査位置でのX線検査を行うことができる。
【0071】
このような検査位置調整手段の機能を入力部9に備えた場合において、対象物Oを撮像する撮像部2と、その撮像部2での撮像結果を表示するモニタ10Mとを備え、そのモニタ10Mでの表示結果に基づいて検査位置調整手段の機能は第1位置、第2位置あるいは第3位置(観察ポイント)を調整している。対象物Oを撮像する撮像部2での撮像結果をモニタ10Mに表示することで、対象物Oの位置ズレの状況を撮像部2およびモニタ10Mを介してモニタリングすることができ、そのモニタ10Mでの表示結果に基づいて検査位置調整手段の機能は第1位置、第2位置あるいは第3位置を調整しやすくなる。
【0072】
本実施例1では、(検査位置を調整するのに用いられる)撮像部2は、対象物Oに対してX線透視撮影を行うことで対象物Oに対するX線検査を行うことを兼用している。このように兼用することで、X線検査を行いながら、対象物の位置ズレの状況を撮像部2およびモニタ10Mを介してモニタリングすることができ、検査位置調整手段の機能は第1位置、第2位置あるいは第3位置を調整することができる。
【0073】
また、上述の兼用の場合には、上述のモニタ10Mは、検査位置調整手段の機能を兼用し、撮像部2での対象物OのX線透視像をモニタ10M上で調整している。モニタ10Mが検査位置調整手段の機能を兼用することで、撮像部2での対象物OのX線透視像をモニタ10M上で調整することが容易となり、X線検査を行いながらモニタリングしつつ調整することができる。
【実施例2】
【0074】
次に、図面を参照してこの発明の実施例2を説明する。
図6(a)は、実施例2に係る対象物の概略平面図である。本実施例2では、対象物として実装基板を例に採って説明する。上述した実施例1と共通する箇所については、同じ符号を付してその説明を省略する。また、図1に示すように、本実施例2に係るX線検査装置1は、実施例1に係るX線検査装置1と同じ構成である。
【0075】
図6(a)に示すように、本実施例2では、対象物は実装基板Subである。図6(a)では、1枚目の実装基板Subにおいて、(1)が付された検査位置を、検査位置において検査の開始の基点となる開始位置(第1開始ポイントS)とする。また、1枚目の実装基板Subに搭載された部品のうち観察ポイントを任意に設定して登録、すなわち観察ポイントをランダムに登録する。登録順としては、O((2)を参照),O(図6(a)では符号省略)(図6(a)では(3)を参照),O(図6(a)では符号省略)(図6(a)では(4)を参照),O(図6(a)では符号省略)(図6(a)では(5)を参照),O((6)を参照)の順である。
【0076】
次にX線検査が行われる2枚目の実装基板Subにおいても、1枚目の実装基板Subと同様に、(1)が付された検査位置を開始位置(第2開始ポイントS)とする。1枚目の実装基板Subと同様に、2枚目の実装基板Subの登録順としては、O((2)を参照),O(図6(a)では符号省略)(図6(a)では(3)を参照),O10(図6(a)では符号省略)(図6(a)では(4)を参照),O11(図6(a)では符号省略)(図6(a)では(5)を参照),O12((6)を参照)の順である。
【0077】
さらに次にX線検査が行われる3枚目の実装基板Subにおいても、1枚目,2枚目の実装基板Subと同様に、(1)が付された検査位置を開始位置(第3開始ポイントS13)とする。1枚目,2枚目の実装基板Subと同様に、3枚目の実装基板Subの登録順としては、O14((2)を参照),O15(図6(a)では符号省略)(図6(a)では(3)を参照),O16(図6(a)では符号省略)(図6(a)では(4)を参照),O17(図6(a)では符号省略)(図6(a)では(5)を参照),O18((6)を参照)の順である。本実施例2では、第1開始ポイントSは、この発明における開始位置に相当し、第1開始ポイントSの後でX線検査を行う観察ポイントO〜Oは、この発明における第1位置に相当し、第2開始ポイントS,第3開始ポイントS13は、この発明における第2位置に相当し、第2開始ポイントS,第3開始ポイントS13の後でX線検査を行う観察ポイントO〜O12,O14〜O18は、この発明における第3位置に相当する。
【0078】
次に、本実施例2に係る入力部9や出力部10やコントローラ11の具体的な構成について、上述の図6も含めて、図7を参照して説明する。図6(b)は、図6(a)との比較のための従来の対象物の概略平面図であり、図7は、実施例2に係るティーチングも含めた一連のX線検査の流れを示すフローチャートである。
【0079】
(ステップT1)第1開始ポイントの設定
先ず、1枚目の実装基板Subにおいて、検査位置において検査の開始の基点となる第1開始ポイントS(図6(a)を参照)を設定して登録する。
【0080】
(ステップT2)観察ポイントの設定
次に、第1開始ポイントSの後でX線検査を行う観察ポイントO〜O(図6(a)を参照)をランダムに登録する。
【0081】
(ステップT3)第2,第3開始ポイントの設定
2枚目の実装基板Subにおいて、第2開始ポイントS(図6(a)を参照)を設定して登録し、3枚目の実装基板Subにおいて、第3開始ポイントS13(図6(a)を参照)を設定して登録する。
【0082】
(ステップT4)残りの観察ポイントの演算
ステップT1〜T3で登録された開始位置(図6(a)の第1開始ポイントS)、第1位置(図6(a)の観察ポイントO〜O)および第2位置(図6(a)の第2開始ポイントS,第3開始ポイントS13)に基づいて、この発明における第3位置(残りの図6(a)の観察ポイントO〜O12,O14〜O18)をコントローラ11(図1を参照)が演算する。
【0083】
図6(a)からも明らかなように、開始位置(第1開始ポイントS)および第1位置(観察ポイントO〜O)の相対位置は、第2位置(第2開始ポイントS,第3開始ポイントS13)および第3位置(観察ポイントO〜O12,O14〜O18)の相対位置と同じである。
【0084】
第2開始ポイントS,観察ポイントO〜O12を代表して説明すると、開始位置(第1開始ポイントS)および第1位置(観察ポイントO〜O)の相対位置は、第2位置(第2開始ポイントS)および第3位置(観察ポイントO〜O12)の相対位置と同じである。したがって、コントローラ11(図1を参照)により第3位置(観察ポイントO〜O12)を演算することが可能である。第2開始ポイントS,観察ポイントO〜O12を代表して説明したが、残りの第3開始ポイントS13,および残りの観察ポイントO14〜O18についても同様である。
【0085】
以上のように、ステップT1〜T3で開始ポイントを含めた複数の観察ポイントをメモリ部8(図1を参照)のティーチングファイル8a(図1を参照)に記憶し、これらのポイントを設定して登録する。一方、ステップT1〜T3で登録されたこれらのポイントの相関関係に基づいて、ステップT4では、コントローラ11(図1を参照)は残りの観察ポイントを演算する。
【0086】
(ステップT5)第1開始ポイントでのX線検査
先ず、第1開始ポイントS(図6(a)を参照)においてX線検査を行う。ただし、本実施例2では、X線管21(図1を参照)からX線を対象物O(図1を参照)の1枚目の実装基板Sub(図6(a)を参照)の第1開始ポイントSに向けて照射し、X線検出器22(図1を参照)がX線を検出してX線検出信号を出力し、さらに画像処理部7(図1を参照)が各種の画像処理をX線検出信号に施してX線透視像を出力部10(図1を参照)のモニタに出力することで、対象物Oの1枚目の実装基板Subの第1開始ポイントSにおいてX線検査を行う。
【0087】
(ステップT6)各観察ポイントでのX線検査
第2開始ポイントS,第3開始ポイントS13(いずれも図6(a)を参照)を含めて、各観察ポイントにおいて、それぞれX線検査を行う。本実施例2では、1枚目の実装基板Sub,2枚目の実装基板Sub,3枚目の実装基板Sub(いずれも図6(a)を参照)が順に載置されたステージ3(図1を参照)を移動させることにより、1枚目の実装基板Sub,2枚目の実装基板Sub,3枚目の実装基板Subの順に送り出す。
【0088】
先ず、X線管21(図1を参照)からX線を対象物O(図1を参照)の1枚目の実装基板Subの観察ポイントに向けて照射し、X線検出器22(図1を参照)がX線を検出してX線検出信号を出力し、さらに画像処理部7(図1を参照)が各種の画像処理をX線検出信号に施してX線透視像を出力部10(図1を参照)のモニタに出力することで、対象物Oの1枚目の実装基板Subの観察ポイントにおいてX線検査を行う。1枚目の実装基板Subにおいて観察ポイントO〜Oの順にX線検査を行ったら、2枚目の実装基板Subを送り出して、第2開始ポイントS,観察ポイントO〜O12の順にX線検査を行い、それが終了したら3枚目の実装基板Subを送り出して、第3開始ポイントS13,観察ポイントO14〜O18の順にX線検査を行う。
【0089】
(ステップT7)位置ズレ発生?
ステップT7は、実施例1のステップS7と同じであるので、その説明を省略する。
【0090】
(ステップT8)観察ポイントの調整
ステップT8は、実施例1のステップS8と同じであるので、その説明を省略する。
【0091】
(ステップT9)観察ポイントあり?
ステップT9は、実施例1のステップS9と同じであるので、その説明を省略する。
【0092】
ここで、本実施例2の図6(a)との比較のために、「背景技術」の欄でも述べた従来の図6(b)をも参照して、対象物O(図1を参照)として実装基板Subを採用した場合の作用・効果について述べる。「背景技術」の欄でも述べたように、従来の図6(b)では、3枚の実装基板Subに搭載された部品のうち6つの観察ポイントを登録し、合計18個の観察ポイントを全て登録する。
【0093】
これに対して、本実施例2の図6(a)では、1枚目の実装基板Subの第1開始ポイントSおよびランダムに登録された各観察ポイントO〜O、2枚目の実装基板Subの第2開始ポイントS、さらには3枚目の実装基板Subの第3開始ポイントS13の登録のみで済み、演算される残りの10個の観察ポイントO〜O12,O14〜O18については登録する必要はない。したがって、合計8個の観察ポイントのみで済む。さらに、X線検査の対象となる実装基板の枚数が増減したとしても、対応しやすくなる。
【0094】
本実施例2の作用・効果については、実施例1のステップ送り方式での作用・効果を除けば、実施例1の作用・効果と同じであるので、その説明を省略する。本実施例2では、実施例1のステップ送り方式とは相違し、コントローラ11が有する検査位置登録手段の機能は、第1位置(観察ポイントO〜O)を任意に設定して登録するように構成されている。本実施例2の場合には、上述したランダム送り方式に該当する。
【0095】
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0096】
(1)上述した実施例1では、対象物としてパレット上に配置された集積回路(IC)を例に採って説明し、上述した実施例2では、対象物として実装基板を例に採って説明したが、これらに限定されない。多層基板のスルーホール、金属などの鋳物、ビデオデッキのような成型品などに例示されるように、対象物に対してX線透視撮影を行うことで対象物に対するX線検査を行うのであればよい。
【0097】
(2)上述した実施例1の対象物であるパレット上に配置された集積回路(IC)を、上述した実施例2のランダム送り方式に適用することができる。逆に、実施例2の対象物である実装基板を、実施例1のステップ送り方式に適用することもできる。
【0098】
(3)上述した実施例1では、ステップ送り方式において、第2位置(実施例1では、第2開始ポイントS10,第3開始ポイントS19,第4開始ポイントS28,第5開始ポイント37,第6開始ポイントS46,第7開始ポイントS55,第8開始ポイントS64,第9開始ポイントS73,第10開始ポイントS82)についても、第1位置と同様に開始位置からの一定間隔の送り量に基づいて登録したが、第2位置については必ずしも一定間隔送り量でなくてもよい。
【0099】
(4)上述した各実施例では、検査位置調整を行ったが、位置ズレが発生しないのであれば、必ずしも検査位置調整を行う必要はない。
【0100】
(5)上述した各実施例では、検査位置調整手段の機能は、入力部9が兼用し、検査位置調整を手動で行っていたが、CPUなどのコントローラ11が、検査位置調整手段の機能を兼用し、検査位置調整を自動で行うように構成してもよい。また、手動と自動とを組み合わせてもよい。
【0101】
(6)上述した各実施例では、対象物を撮像する撮像手段(各実施例では撮像部2)での撮像結果を表示手段(各実施例では出力部10のモニタ10M)に表示することで、対象物の位置ズレの状況を撮像手段および表示手段を介してモニタリングして、検査位置調整を行うものであったが、必ずしもモニタリングする必要はなく、上述したように検査位置調整を自動で行うように構成してもよい。
【0102】
(7)上述した各実施例では、(検査位置を調整するのに用いられる)撮像手段(各実施例では撮像部2)は、対象物に対してX線透視撮影を行うことで対象物に対するX線検査を行うことを兼用したが、兼用に限定されない。例えば固体撮像素子(CCD: Charge Coupled Device)を用いたCCDカメラを用いて検査位置調整を行ってもよい。
【0103】
(8)上述した各実施例では、表示手段(各実施例ではモニタ10M)は、検査位置調整手段の機能を兼用し、撮像手段(各実施例では撮像部2)での対象物のX線透視像を表示手段上で調整したが、上述したように、必ずしもタッチパネル等などの入力部9の機能を搭載する必要はない。
【符号の説明】
【0104】
1 … X線検査装置
2 … 撮像部
9 … 入力部
10 … 出力部
10M … モニタ
11 … コントローラ
… 第1開始ポイント
O … 対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に対してX線透視撮影を行うことで前記対象物に対するX線検査を行うX線検査装置であって、
検査位置を設定して登録することで、その登録された検査位置にしたがって前記X線検査を行う検査位置登録手段と、
検査位置において検査の開始の基点となる開始位置、およびその開始位置の後でX線検査を行う第1位置の相対位置が、前記開始位置の後でX線検査を行う第2位置、およびその第2位置の後でX線検査を行う第3位置の相対位置と同じである場合において、前記検査位置登録手段で登録された前記開始位置、前記第1位置および前記第2位置に基づいて、前記第3位置を演算する検査位置演算手段と
を備え、
その検査位置演算手段および前記検査位置登録手段に基づいて、前記開始位置、前記第1位置、前記第2位置および前記第3位置にしたがって前記X線検査を行うことを特徴とするX線検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載のX線検査装置において、
前記検査位置登録手段は、前記開始位置および一定間隔の送り量を設定して登録することで、前記開始位置からの前記一定間隔の送り量に該当する位置、当該位置からの前記一定間隔の送り量に該当する位置を逐次に設定して登録して、これらの位置を前記第1位置として複数に設定して登録することを特徴とするX線検査装置。
【請求項3】
請求項2に記載のX線検査装置において、
前記検査位置登録手段は、前記開始位置および一定間隔の送り量を設定して登録することで、前記開始位置からの前記一定間隔の送り量に該当する位置、当該位置からの前記一定間隔の送り量に該当する位置を逐次に設定して登録して、これらの位置を前記第2位置として複数に設定して登録することを特徴とするX線検査装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のX線検査装置において、
前記開始位置、各々の前記第1位置、前記第2位置および各々の前記第3位置の順にしたがって前記X線検査を行うことを特徴とするX線検査装置。
【請求項5】
請求項1に記載のX線検査装置において、
前記検査位置登録手段は、前記第1位置を任意に設定して登録するように構成されていることを特徴とするX線検査装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のX線検査装置において、
前記第1位置、前記第2位置あるいは前記第3位置を調整する検査位置調整手段を備え、
その検査位置調整手段で調整された前記第1位置、前記第2位置あるいは前記第3位置に基づいて、前記検査位置演算手段は、当該調整された位置の後でX線検査が行われる各検査位置を再度演算して調整することを特徴とするX線検査装置。
【請求項7】
請求項6に記載のX線検査装置において、
前記対象物を撮像する撮像手段と、
その撮像手段での撮像結果を表示する表示手段と
を備え、
その表示手段での表示結果に基づいて前記検査位置調整手段は前記第1位置、前記第2位置あるいは前記第3位置を調整することを特徴とするX線検査装置。
【請求項8】
請求項7に記載のX線検査装置において、
前記撮像手段は、前記対象物に対してX線透視撮影を行うことで前記対象物に対するX線検査を行うことを兼用することを特徴とするX線検査装置。
【請求項9】
請求項8に記載のX線検査装置において、
前記表示手段は、前記検査位置調整手段を兼用し、
前記撮像手段での前記対象物のX線透視像を表示手段上で調整することを特徴とするX線検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−68147(P2012−68147A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213805(P2010−213805)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】