説明

X線画像診断装置

【課題】造影剤や振動装置等を使用することなく、カテーテル及びガイドワイヤの視認性の向上を図る。
【解決手段】被検者を透過したX線を検出したX線画像データに、画像処理装置で所望の画像を生成し、表示装置に表示するX線画像診断装置であって、前記画像処理装置は、前記画像データから前記被検者の体動を検出する体動検出手段(ラインメモリ20、エッジ抽出部21、フレームメモリ22、パターンマッチング部23及び移動方向算出部24)と、この体動検出手段で検出した体動から頻度の低い移動方向の領域を検出する非体動検出手段(移動方向メモリ25、移動方向統計部26及び非体動検出部27)と、この非体動検出手段で検出した領域を遅延部28により現在のX線透視画像を遅延して得られる前記X線透視画像中に強調表示処理する非体動強調処理部29と、この非体動強調処理部で処理した画像を前記表示装置に表示制御する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線画像診断装置に係り、特にカテーテルやガイドワイヤ等の低コントラスト物の視認性の向上に好適なX線画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線透視撮影台や循環器X線検査装置等の医用X線透視撮影装置は、診断の分野においては欠かせないものとなっているが、最近は診断のみならず治療にも使われるようになってきた。この治療は、X線透視下において先端にさまざまな器具を取り付けたカテーテルを被検者の血管や臓器に挿入して行なうものであって、従来、開腹手術をせざるを得なかった治療に対して、被検者に与える苦痛を少なくでき、かつ安価に治療ができるという大きなメリットを持つため、急速に普及している。このような治療方法は、IVR(Interventional Radiology)施術と呼ばれている。
このIVR施術は、上記のようにX線透視画像を見ながらカテーテルを目的部に挿入し、例えば、微小のカッターやレーザーで病変部を切除したり、薬剤を投与して病変部の治療を行うものである。
【0003】
このようなIVR施術において、カテーテル先端の認識性が重要となり、該カテーテルを操作する術者は、常にカテーテルの先端が被検者の体内のどこに存在するかを把握する必要がある。
特に、脳血管に対する施術が必要な場合にはマイクロカテーテルと呼ばれる直径1mm以下の極細のカテーテルが使用されるため、カテーテルの先端位置を把握することは困難であった。
また、脳血管や心臓血管に対する処置を行う場合、大腿動静脈、肘部動静脈、橈骨動脈(手首)等からカテーテルを挿入し、胸部を経由するため、X線を透過させない背骨や、X線を透過しやすい肺野部があり、明暗の差が激しく、低コントラストのカテーテルを認識することは非常に困難である。
このようなIVR施術におけるカテーテル先端の認識率を高める技術として、特許文献1,2に開示されているものがある。
【0004】
特許文献1は、X線透視撮影装置により、施術対象器官に造影剤を注入した造影画像を撮影し、この造影画像のうちの造影部分領域の辺縁部を辺縁画像として計算する辺縁部計算手段を有して、透視画像と前記辺縁画像とを合成して表示するものである。
【0005】
特許文献2は、ガイドワイヤーに所定の機械的な微振動を与え、この微振動量に基づいてガイドワイヤーを臓器から弁別し、前記ガイドワイヤーの振動周波数を臓器の生理的な動きによる振動と異なったものとすることで、ガイドワイヤーの位置検出を行う。
【特許文献1】特開平08−336519号公報
【特許文献2】特開2002−045429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、カテーテル先端の位置を把握する手段として、上記特許文献1に記載されている造影剤を用いる方法や、特許文献2に記載されているカテーテル先端を振動させて周囲と区別する手段がある。
【0007】
しかし、特許文献1は、造影剤を用いることが必須であるために、該造影剤は被検者に副作用を起こす場合や、被検者によってはアレルギー反応が起こる場合があるので、被検者に与える苦痛は少なくない。
また、特記文献2のカテーテル先端を振動させる方法では、カテーテルの振動装置が必要となり、経済性の面で難点がある。
【0008】
そこで本発明の目的は、造影剤や振動装置等の外部装置を使用することなく、カテーテル先端を周囲と区別してこれを強調表示し、前記カテーテル及びガイドワイヤの視認を容易にすることができるX線画像診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一般に、カテーテルやガイドワイヤなど体外から挿入されるオブジェクトは、心臓や呼吸等に伴う体動方向とは異なる動きをするため、各画素の動き方向を算出することにより分別が可能となる。
本発明は上記考えに基づいて成されたもので、カテーテル先端などの小頻出度方向に動くオブジェクトを検出し、これを強調表示することにより前記カテーテル等の視認性の向上を図るもので、上記目的は以下の手段によって達成される。
【0010】
(1)被検者にX線を照射するX線照射手段と、前記被検者を挟んで前記X線照射手段と対向して配置され前記被検者を透過したX線を検出するX線検出手段と、該X線検出手段で検出したX線画像データを収集し、この収集した画像データに各種の画像処理を施して所望の画像を生成する画像処理手段と、該画像処理手段で生成したX線画像を表示する表示手段とを備えたX線画像診断装置であって、前記画像処理手段は、前記収集した画像データから前記被検者の体動を検出する体動検出手段と、この体動検出手段で検出した体動から頻度の低い移動方向の領域を検出する非体動検出手段と、この非体動検出手段で検出した領域を現在のX線透視画像中に強調表示処理する非体動強調処理手段と、この非体動強調処理手段で処理した画像を前記表示手段に表示制御する手段とを備えた構成である。
【0011】
(2)前記体動検出手段は、X線透視画像のフレーム間の移動方向を算出する移動方向算出手段により成され、前記非体動検出手段は、前記移動方向算出手段で算出した移動方向を記憶する移動方向メモリと、この移動方向メモリに記憶された1フレーム分の全てのデータに対して動いている画素の移動方向を算出して統計処理を行ない、この統計処理にて得た移動頻度の低い非体動オブジェクトを求める手段とから成る。
【0012】
(3)前記移動方向算出手段は、前記X線検出手段からのX線透視画像データを所要のライン分記憶するラインメモリと、このラインメモリのデータから濃度差の変化領域を抽出するエッジ抽出手段と、この抽出したエッジ画像を記憶するフレームメモリと、このフレームメモリのデータから所定形状と等しい領域を求めるパターンマッチング手段と、このパターンマッチング手段によるパターンマッチングの結果から移動物の移動方向を算出する。
【0013】
(4)前記非体動強調処理手段は、遅延手段により現在のX線透視画像を遅延をさせ、この遅延されたX線透視画像と前記非体動検出手段の出力とを入力してこれらを合成し、前記非体動検出手段で求めた頻度の低い移動を持つ領域を強調表示処理し、この強調表示処理された領域を前記X線透視画像に強調表示制御して、これを前記表示手段に表示する。
【0014】
(5)前記非体動強調処理手段にカラー化処理する手段を備えて、前記強調表示領域をカラー表示したり、あるいは前記非体動強調処理手段に実線や破線によるコントラスト強調表示処理手段を備えて、前記強調表示領域をコントラスト強調表示して、カテーテル先端などの小頻出度方向に動くオブジェクトを強調表示する。
【0015】
このように構成することにより、造影剤を使用すること無しに、あるいはガイドワイヤを振動させること無しに、体動と外部から挿入され人為的に操作されるカテーテルやガイドワイヤを分別することができ、更に分別したオブジェクトに対してカラー化処理等の強調表示を行うことにより、カテーテルやガイドワイヤの先端部の視認性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、造影剤や振動装置等の外部装置を使用することなく、カテーテル先端を周囲と区別してこれを強調表示し、前記カテーテル及びガイドワイヤの視認が容易となり、これによってIVR施術の効率化に寄与するものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係るX線画像診断装置の好ましい実施の形態について、以下の添付図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明によるX線画像診断装置の全体構成を示すブロック図である。
【0018】
この図1のX線画像診断装置は、被検者1を透視撮影位置に載置する検診台2と、前記被検者1にX線を照射するX線照射装置3と、前記被検者1を挟んで前記X線照射装置3と対峙する位置に配置された前記被検者1を透過したX線を検出するX線平面検出器4と、システム全体を制御する制御パラメータを設定し操作するための操作器及び表示器を備えた制御操作卓5と、この制御操作卓5で設定した前記制御パラメータに基づいてシステム全体を制御するシステム制御装置6と、このシステム制御装置6から出力される撮影条件に対応した高電圧を発生し、これを前記X線照射装置3のX線管 3aに印加するX線高電圧装置7と、このX線高電圧装置7を制御するX線制御装置8と、前記X線平面検出器4で検出したX線検出信号を読み出し制御するX線平面検出器制御装置9と、このX線平面検出器制御装置9により読み出されたX線画像データを収集し、この収集した画像データに各種の画像処理を施して所望の画像データを生成し、この生成した画像データを表示制御する画像処理装置10と、前記表示制御されたX線画像を表示する表示装置11と、前記X線管3aから曝射されたX線の照射野を制限するX線可動絞り装置3bと、前記X線の強度分布を制御するためのX線補償フィルタ3cと、前記X線可動絞り装置3b及びX線補償フィルタ3cを制御する制御装置12と、前記被検者1を挟んで前記X線照射装置3と前記X線平面検出器6を対向する位置に支持するC字型支持器13と、この支持器13及び前記検診台2により被検者1を透視、撮影部位に位置決めするための機械機構部制御装置14とで構成される。
なお、前記X線照射装置3は、前記X線管3aと、X線可動絞り装置3bと、X線補償フィルタ3cとで構成されている。
また、上記図1の実施形態では、前記支持器13にC字型アームを用いた例をあげたが、X線透視撮影台等のX線透視ができるものであればどのような構成の支持器でも良い。
【0019】
前記X線平面検出器4は、X線画像を直接デジタル画像として透視、撮影するために、デジタル画像がリアルタイムで得られる半導体式デジタルX線検出器で、被検者1を透過したX線を光に変換するシンチレータと、このシンチレータから出力される光を電荷に変換するフォトダイオード(例えば、アモルファスシリコン型)とから構成され、フォトダイオードの電荷をスイッチング素子(例えば、TFT(Thin Film Transistor))を経由して読み出すことによってX線画像データを得るものであり、一般には平面検出器(Flat Panel Detector)と呼ばれている。
【0020】
このX線平面検出器4は、被検者を透過したX線量に応じた電気信号に変換する検出部が多数平面マトリックス状に並んでおり、前記X線量は前記検出部それぞれで電気信号に変換された電気的画像信号になる。
この電気的画像信号は、前記X線平面検出器制御装置9で読出し制御され、さらにアナログ/デジタル変換器でデジタル画像信号に変換されて画像処理装置10に入力され、各種画像処理を行なってX線画像として表示装置11に表示し、診断に供される。
【0021】
このような構成のX線平面検出器4は、上記のリアルタイムでX線画像が得られる特徴の他に、従来のスクリーン・フィルム検出系、輝尽性蛍光体検出器やイメージインテンスファイアを用いた検出器よりも薄型、軽量であり、システムの小型化にも有利なことからX線画像診断装置に幅広く採用されるようになった。
【0022】
なお、本発明においては、X線透視画像(動画像)を出力するものであれば、どのようなX線検出器でも良く、該X線検出器の種別に限定するものではない。
【0023】
図2に、本発明の要部である画像処理装置10の構成ブロック図を示す。
本発明による体動検出と非体動強調表示は、この画像処理装置10を用いてX線平面検出器4で検出したX線透視画像データを処理して行なうものである。
【0024】
本発明に適用される画像処理装置10は、X線平面検出器4で検出したX線透視画像データが入力される、後述のエッジ検出に必要な水平方向の数ライン分保存可能なラインメモリ20(後述のエッジ検出のカーネルにもよるが、2〜14ライン程度必要で、本実施例では6ライン分保存可能。本実施例のX線平面検出器では、行と列から成るマトリックス状に配列された画素の6行のデータ)と、このラインメモリ20から画像データを読み出して、濃度差が急激に変化している領域、例えば骨の輪郭やカテーテルの輪郭を抽出するためのエッジ抽出処理を行うエッジ抽出部21と、該抽出したエッジ画像を2フレーム分格納するフレームメモリ22a及び22bとを備えた二つのメモリ(2フレーム分とは2画面分のことで、例えば1000行×1000列の画素のあるX線検出器の場合は、1000行×1000列画素分のエッジ抽出データを保存する必要がある)と、前記フレームメモリ22aと22bの出力を入力してある形状のものと等しい領域があるかを探す出す処理、すなわち、連続するフレーム間のうち、前フレームの一部が後フレームのどこに含まれるかを算出する処理を行うパターンマッチング部23と、このパターンマッチング部23のパターンマッチングの結果からカテーテル、骨や血管などの全ての移動物の移動方向を算出する移動方向算出部24(移動物体の移動距離を知るためにパターンマッチングを用いており、画像内のある領域が、一定時間後の画像のどこにあるかを算出することで、移動距離を算出する)と、該算出した移動方向を格納する移動方向メモリ25と、この移動方向メモリ25に格納された1フレーム分の全てのデータに対してどの方向に動いている画素が多いか、逆に、希少な方向へ動いている画素を求めて統計処理を行なう移動方向統計部26と、この移動方向統計部26で求めた頻度の低い移動方向を持つ領域にフラグをセットする非体動検出部27と、現在のX線透視画像に上記処理分の遅延をかける遅延部28と、前記非体動検出部27の出力と前記遅延されたX線透視画像とを入力して前記フラグがセットされた領域の画素に対して強調表示処理を行う非体動強調処理部29とから構成される。
【0025】
次に、上記構成の画像処理装置10の動作について図3に示すフローチャートを用いて説明する。
【0026】
(1)最初に、X線平面検出器4から出力されるX線透視画像をラインメモリ20に格納する(S100)。
これは、通常、エッジ検出には、ある大きさのカーネル(参照領域)が必要で、例えば、図4に示す斜線で示した注目点に対して左右上下の3画素の情報を使用するために7行×7列のカーネルが必要である。
【0027】
(2)7行×7列のカーネルを使用する場合は、ラインメモリ20には最低でも6ライン分を格納する必要がある(S101)。
これは、図4に示したように、1ラインは現入力ラインで、残りの6ラインはメモリに保存しておくためである。
【0028】
(3)必要なライン数(本実施例では6ライン)が格納されたことを確認後、次に入力されたライン画像と同期してエッジ抽出部21へ前記メモリ内容(1ライン前から6ライン前までの透視画像)を転送する。
【0029】
(4)エッジ抽出部21では、一般的にエッジ抽出に用いられるPrewittフィルタやSobelフィルタ(コロナ社:デジタル画像処理入門、酒井幸市著、1997年12月10日初版発行、30頁〜35頁に記載)を用いてエッジ抽出を行う(S102)。
このエッジ抽出部21でエッジ抽出した結果の一例を図5に示す。
【0030】
(5)エッジ抽出した画像はフレームメモリ22a,22bに格納される(S103)。
これらのフレームメモリには前フレームのエッジ検出画像も格納されている。
すなわち、前記フレームメモリ22a,22bのうちの1つには、前フレームのエッジ抽出画像が、他の1つには今回のエッジ抽出画像が格納される。
【0031】
(6)次に、今回と前回のエッジ画像が格納されているフレームメモリ22a,22bの一部の領域(例えば、20行×20列の領域)を対象として、今回のエッジ画像に前回のエッジ画像とマッチする領域があるかどうかを周知のパターンマッチング手法(昭光堂:C言語による画像処理入門、安居院猛、長尾智晴共著、2000年11月20日初版発行、159頁に記載)を用いて確認する(S104)。
【0032】
(7)今、前フレームの内容が図6のようになっており、現フレームの内容が図7のようになっている場合、図6における(C1,R1)の領域Oと一致するパターンを図7の(C0,R0)から順に確認していくと、(C2,R0)で適合が確認される(S105)。
【0033】
(8)この場合には、領域Oに含まれるオブジェクトは(C1,R1)から(C2,R0)に移動したことになる。
移動方向は、移動方向算出部24により、逆正接tan-1(y/x)を使用することで算出が可能である(S107)。
このように、(C1,R1)から(C2,R0)に移動した場合には、移動距離は(1,1)となるため、tan-1(1/1)=45度となる。
【0034】
(9)同様な確認をフレーム内全ての領域に対して行い、各領域の移動方向を移動方向メモリ25に格納していく(S108)。
【0035】
(10)フレーム内の全ての領域に対してパターンマッチングを行った後に、移動方向メモリ25に格納されている各領域の移動方向を移動方向統計部26にて統計処理する(S109)。
【0036】
(11)また、心臓や呼吸等による体動は視野全ての移動方向が同一ではないため、フレーム内全ての領域に対してパターンマッチングを行うと移動方向が多数出現し、非体動オブジェクトの検出ができない可能性がある。
このため、パターンマッチングを行う範囲を制限することも有効である(S106)。例えば、全視野が1000×1000画素(横1000画素、縦1000画素)の場合、この内の300×300画素の範囲内を検索する。
この検索範囲は部位に応じて変更することも有効である。
【0037】
(12)前記移動方向統計部26の統計処理手段としては、一般的なヒストグラムを使用し、各移動方向に適合する領域がいくつあるのかを計算する。
ヒストグラムの小さい領域が存在する場合には、その領域は特異な領域となり、人体の動きとは異なるもの、すなわち体外から挿入されて、人為的に操作されているカテーテルやガイドワイヤが存在することになる(S110)。
【0038】
(13)前記頻度の低い方向を持つヒストグラムの小さい領域内の現在のX線透視画像の画素に対してフラグ“1”をセットする(S111)。
なお、非体動オブジェクトを検出するためにヒストグラムを使用せず、分散がある閾値以上の領域を非体動としてもなんら問題はない。
【0039】
(14)最後に、非体動強調処理部29には、前記非体動検出部27で検出したカテーテル等の非体動オブジェクトであることを示す“1”フラグを有する画素と、遅延部28で現在のX線透視画像より前記処理時間に相当する時間だけ遅延されたX線透視画像とを入力して、前記“1”フラグの付いている画素に対して、該画素が強調表示されるようにその画素値を変化させ、前記遅延されたX線透視画像との同期をとって前記変化された画素値を有する画素と前記X線透視画像とを非体動強調処理部で合成して、この合成されたX線透視画像を表示装置11に表示する。
【0040】
前記表示装置11がカラー表示可能な場合には、前記強調表示する画素についてカラー化処理を行い、これと前記X線透視画像とを合成して前記強調表示画素をカラー表示する(S112)。
前記カラー化処理は、“1”フラグを持つ画素に対して、例えば最も目立つ色である赤色で表示したり、表示装置11がモノクロ表示のみである場合には、“1”フラグを持つ画素にたいして実線や破線を付加することや、“1”フラグの画素領域のみコントラストを向上させる方法、あるいは“1”フラグの領域に対するリカーシブフィルタ処理を行わないで動きボケを起こさなくする方法等により強調表示する。
【0041】
以上の画像処理により、造影剤を使用すること無しに、あるいはガイドワイヤを振動させること無しに、体動と外部から挿入され人為的に操作されるカテーテルやガイドワイヤを分別することができ、更に分別したオブジェクトに対してカラー化処理等の強調表示を行うことで、カテーテルやガイドワイヤの先端部の視認性は向上する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】X線画像診断装置全体構成を示すブロック図。
【図2】本発明の要部である画像処理装置の構成を示すブロック図。
【図3】本発明の動作のフローチャート図。
【図4】カーネル(参照領域)の例を示す図。
【図5】エッジ抽出結果の画像。
【図6】前フレームにおける動き方向検出を示す図。
【図7】現フレームにおける動き方向検出を示す図。
【符号の説明】
【0043】
1 被検者、2 被検者1を載置する検診台、3 X線照射装置、3a X線管、4 X線平面検出器、5 制御操作卓、6 システム制御装置、7 X線高電圧装置、8 X線制御装置、9 平面検出器制御装置、10 画像処理装置、11 表示装置、13 支持器、14 機械機構部制御装置、20 ラインメモリ、21 エッジ抽出部、22 フレームメモリ、23 パターンマッチング部、24 移動方向算出部、25 移動方向メモリ部、26 移 動方向統計部、27 非体動検出部、28 遅延部、29 非体動強調処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者にX線を照射するX線照射手段と、前記被検者を挟んで前記X線照射手段と対向して配置され前記被検者を透過したX線を検出するX線検出手段と、
該X線検出手段で検出したX線画像データを収集し、この収集した画像データに各種の画像処理を施して所望の画像を生成する画像処理手段と、
該画像処理手段で生成したX線画像を表示する表示手段とを備えたX線画像診断装置であって、前記画像処理手段は、前記収集した画像データから前記被検者の体動を検出する体動検出手段と、
この体動検出手段で検出した体動から頻度の低い移動方向の領域を検出する非体動検出手段と、
この非体動検出手段で検出した領域を現在のX線透視画像中に強調表示処理する非体動強調処理手段と、
この非体動強調処理手段で処理した画像を前記表示手段に表示制御する手段とを備えたことを特徴とするX線画像診断装置。
【請求項2】
請求項1において、前記体動検出手段は、X線透視画像のフレーム間の移動方向を算出する移動方向算出手段により成され、前記非体動検出手段は、前記移動方向算出手段で算出した移動方向を記憶する移動方向メモリと、この移動方向メモリに記憶された1フレーム分の全てのデータに対して動いている画素の移動方向を算出して統計処理を行ない、この統計処理にて得た移動頻度の低い非体動オブジェクトを求める手段とを備えたことを特徴とするX線画像診断装置。
【請求項3】
請求項1,2において、前記非体動強調処理手段は、遅延手段により現在のX線透視画像を遅延をさせ、この遅延されたX線透視画像と前記非体動検出手段の出力とを入力してこれらを合成し、前記非体動検出手段で求めた頻度の低い移動を持つ領域を強調表示処理し、この強調表示処理された領域を前記X線透視画像に強調表示制御することを特徴とするX線画像診断装置。
【請求項4】
請求項1,2,3又は4において、前記非体動強調処理手段にカラー化処理する手段又は前記非体動強調処理手段に実線や破線によるコントラスト強調表示処理手段を備え、前記強調表示領域をカラー表示又はコントラスト強調表示することを特徴とするX線画像診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−255217(P2006−255217A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−78362(P2005−78362)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】