説明

Zn、Zn合金、Al、又はAl合金からなる金属表面を不動態化するための、本質的にクロムを使用しない方法

本発明は、(少なくとも50質量%の(メタ)アクリル酸単位を含む、少なくとも1種の、実質的に架橋していない、水溶性ポリマー又はコポリマーを含み、及び、水、又は少なくとも50質量%の水を含む水性溶媒混合物を含む、)酸性水性調製物で表面を処理することにより、及び更に表面を、アジラン、オキシラン、及びチイラン基からなる群から選ばれる少なくとも2個の架橋基を含む少なくとも1種の水溶性架橋剤で処理することにより、Zn、Zn合金、Al、又はAl合金の金属表面を不動態化するための、実質的にクロムを使用しない方法に関する。本発明は、更にこの方法によって得られる不動態化層に関し、そしてこの方法に適当である調製物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも50質量%の(メタ)アクリル酸単位を含む、少なくとも1種の、実質的に架橋していない、水溶性ポリマー又はコポリマーを含み、及び水又は少なくとも50質量%の水を含む水性溶媒混合物を含む、酸性水性調製物で表面を処理することにより、及び、更に、アジラン、オキシラン、及びチイラン基からなる群から選ばれる少なくとも2個の架橋基を含む少なくとも1種の水溶性架橋剤で処理することにより、Zn、Zn合金、Al、又はAl合金の金属表面を不動態化するための、実質的にクロムを使用しない方法に関する。本発明は更に、本方法により得ることができる不動態化した層に関し、及びこの方法に適当な調製物に関する。
【背景技術】
【0002】
現代における金属材料の腐食防止処理は、通常、多段階の操作で行なわれ、そして、処理された金属の表面は、通常、多種の層を有している。
【0003】
腐食に対する金属成分の保護は、経済上、非常に重要である。同時に、腐食防止に課せられた必要条件は、かつてのものより厳しくなってきている。例えば、自動車の新しいモデルは、今日、錆(錆あな)の防止に対して12年までの保証を設けている。
【0004】
アルミ表面及びメッキ金属(galvanized metal)表面、特に電気化学的なメッキ又は溶融メッキした鉄及び鋼表面の腐食防止処理が技術上及び経済上、特に重要である。亜鉛によって与えられた腐食保護は、亜鉛が、金属材料自身よりも劣位(baser)であり、従って、最初に亜鉛自身の腐食が開始されるという事実に基づいている。金属材料自体は、亜鉛の連続層に覆われている限りは、損なわれずに保持される。
【0005】
大気中酸素の存在下では、Zn、Zn合金、Al、又はAl合金の表面上に、最初に薄い酸化物層が形成され、そして、下部の金属への腐食アタックが減速されるが、その程度は外部条件に依存する。
【0006】
このような酸化物層の保護効果を強めるために、通常、Al及びZnの表面は、追加的な不動態化処理に付される。このような処理の過程において、保護されるべき金属の一部が溶解し、そして直ちに金属表面上の酸化物フィルムに再び組み込まれる。このフィルムは、どこにでも在るような酸化物フィルムに類似するものではあるが、酸化物フィルムよりも強い保護が得られる。これは、通常、不動態化層と称される。不動態化層は、多くの場合、金属層に施される塗装層の粘着を改良する。従って「不動態化層(passivating layer)」という用語の代わりに、「転化被覆(conversion coat)」という用語が、しばしば同義的に使用され、そして、時には「予備処理層(pretreatment layer)」という用語も使用される。不動態化層は、比較的薄く、そして通常、3μm以下の厚さである。
【0007】
腐食保護を強化するために、通常、別の(塗装)層を不動態化層に施す。このような系は、通常、2層以上の塗装層の組み合わせを含み、各層は異なる目的に作用する。これらは、例えば、不動態化層と金属を、腐食ガス及び/又は液体、及び例えばストーンチッピング等の機械的損傷からも保護するために作用し、そして当然、美学的な目的にも作用する。塗装層は、通常、不動態化と比較して非常に薄い。一般的には厚さは、5μm〜400μmの範囲である。アジラン、オキシラン、及びチイラン基を含む架橋剤の、被覆材料、塗装またはこれらの類似物中への使用は、例えば特許文献1(WO01/30513)、特許文献2(JP−A2002/327096)、特許文献3(JP−A2003/027254)及び特許文献4(JP−A2002/326310)によって公知である。しかしながら、上述のように、塗装系又は被覆は、不動態化とは明確に異なるものである。
【0008】
不動態化は永続的な腐食保護、又は一時的な腐食保護のためにのみ使用することができる。一時的な保護は、例えば、金属シート又は他の金属半加工品(metallic workpiece)の保管や輸送のためにのみ使用され、そして最終的な加工の前に再度除去される。
【0009】
今日まで、亜鉛又はアルミニウム層上の不動態化層は、通常、保護が必要とされる半加工品を、CrO3の水性酸性溶液で処理することによって得ていた。このような不動態化のメカニズムは複雑である。このメカニズムは、金属Zn又はAlの表面からの溶解、及びそれぞれ、アモルファスの亜鉛−クロム酸化物又はアルミニウム−クロム酸化物の状態での再沈殿を含む。そして、不動態化層は、処理溶液からの他のイオン及び/又は別の成分も含むこともある。特に、クロム酸で処理する場合、所定割合のCr(VI)が不動態化層に組み込まれることを除去することができない。
【0010】
発癌性のCr(VI)溶液での処理を避けるために、酸性Cr(III)溶液で処理を行うことが提案されてきた。例えば、特許文献5(US4384902)又は特許文献6(WO97/40208)を挙げることができる。しかしながら、市場において、不動態化するためにクロムを完全に使用しない方法を要求する顧客が増加している。Cr(VI)及びCr(III)の使用を避けるために、ポリマーを使用することが重要になってきている。
【0011】
不動態化のための、有機ポリマーを使用した、クロム不使用の方法は、原則として公知である。
【0012】
特許文献7(DE−A19516765)には、Zn又はAlの金属表面上に転化被覆を製造するためのクロム不使用、及びフッ化物不使用の方法が開示されている。不動態化に使用される酸性溶液は、水溶性ポリマー、燐酸、及びAlキレート錯体を含む。不動態化のために架橋剤を使用することは開示されていない。
【0013】
特許文献8(DE−A19754108)には、Ti(IV)及び/又はZr(IV)のヘキサフルオロアニオン、バナジウムイオン、コバルトイオン、及び燐酸を含む、クロム不使用の水性腐食保護組成物が開示されている。選択的に、種々のフィルム形成ポリマーを追加することも可能である。架橋剤の使用は開示されていない。
【0014】
特許文献9(DE−A19923084)には、Ti(IV)、Si(VI)及び/又はZr(IV)のヘキサフルオロアニオン、有機ホスホン酸、及び水溶性又は水分散性、フィルム形成有機ポリマー又はコポリマーを含む、クロム不使用の水性腐食保護組成物が開示されている。
【0015】
開示されたポリマー性バインダーは、多数の別のポリマーに加え、アクリル酸及びメタクリル酸を含んでいる。更に、尿素誘導体、エポキシ樹脂、(ブロック状の)イソシアン酸塩、又はこれらのオリゴマー誘導体の架橋剤としての使用が開示されている。ビスフェノールA 又はF単位及びエピクロロヒドリンに基づいたエポキシ樹脂は、しかしながら、水溶性ではない。特許文献10(DE−A19923084)の好ましい実施の形態の場合、任意に(メタ)アクリレート分散剤が、エポキシ樹脂と組み合わせて使用されている。しかし、均一な溶液を用いることに比較して、分散液の使用は好ましいとは言えない。これは、分散液中に存在する分散助剤と界面活性剤が障害(disruptive)となり得るためである。更に、粘度が低いとフィルムの厚さの調整が非常に困難となる。均一系は、粘度が単に溶媒の含有量によって調整できるので、取り扱いがより容易である。特許文献11(DE−A19923084)には、50質量%以上の(メタ)アクリル酸単位を含む水溶性ポリマーと水溶性架橋剤との組み合わせは開示されていない。
【0016】
特許文献12(EP−A787830)は、OH−含有有機樹脂、燐酸、及び少なくとも1種の金属イオン、例えば、Co、Cu、Fe、Mn、Sn又はVを含む、金属表面を処理するための、クロム不使用の組成物を開示している。その開示には、アクリル酸及び/又はメタクリル酸単位を含むコポリマーが、実施例中に含まれている。しかしながら、コポリマー中の(メタ)アクリル酸単位の量は、全てのケースにおいて、明らかに50質量%未満である。更に、特にアクリレートがコモノマーとして使用されている。開示されたコモノマーは、水に均一に溶解するポリマーではない。この刊行物は、また、任意のものとして、エポキシ架橋剤の使用を開示している。しかしながら、50質量%以上の(メタ)アクリル酸単位を含む水溶性ポリマーと水溶性架橋剤との組み合わせは開示されていない。
【0017】
特許文献13(JP−A56−000279)には、表面処理のためのCr不使用の方法が開示されているが、同文献では、Zn又は亜鉛メッキされた鋼の表面がポリアミンの水溶液、及びフィチン酸の金属塩の水溶液でも処理されている。架橋剤の使用は開示されていない。
【0018】
現時点で未公開の本出願人の出願DE10307973.4には、金属の不動態化のために、カルボキシレート−リッチなポリマーを使用することが記載されている。架橋剤の使用は開示されていない。
【0019】
非常に良好な腐食保護を達成することに加え、不動態化するためにクロムを使用しない方法も、一連の技術の要求に合致するために必要とされている。
【0020】
工業的には、不動態化が必要とされる半加工品(部品)を不動態化溶液に浸すことにより、不動態化を行う。この目的のために、個々の半加工品(例えば、ネジ)を、ドラム中に配置し、ドラムを浸すことが可能である。大きな半加工品は、適当な起重機(クレーン)に積んで、フレームを浸すことも可能である。浸漬方法に関し、当業者は、不動態化溶液と半加工品との接触時間を比較的自由に決定することができ、従って、相当に厚い不動態化層を得ることも可能である。接触時間は分のオーダーで良い。この技術が使用される場合、通常、より複雑な半加工品が最初に組み立てられ−例えば、鋼部品に溶接し−そしてメッキし、そして全体として不動態化される。
【0021】
自動車部品、車体部品、器具のケーシング、ファサードクラデッィング、天井パネル、又は窓枠等の、シート状の金属半加工品を製造するために、金属シートは、パンチング、ドリリング、フォールディング、プロファイリング、及び/又は深絞り等の適当な技術によって形成される。例えば、車体等の大きな部分は、適当であれば溶接により、数個の各部品が組み付けられる。この目的に関し、原料物質は、通常、長い金属ストリップを含むが、金属ストリップは金属をロールがけすることにより製造され、そして保管と輸送のために、いわゆるコイルの状態に捲かれるものである。
【0022】
【特許文献1】WO01/30513
【特許文献2】JP−A2002/327096
【特許文献3】JP−A2003/027254
【特許文献4】JP−A2002/326310
【特許文献5】US4384902
【特許文献6】WO97/40208
【特許文献7】DE−A19516765
【特許文献8】DE−A19754108
【特許文献9】DE−A19923084
【特許文献10】DE−A19923084
【特許文献11】DE−A19923084
【特許文献12】EP−A787830
【特許文献13】JP−A56−000279
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
このような金属ストリップのメッキと不動態化は、連続設備で工業的に行なわれる。亜鉛メッキのために、最初に金属ストリップが、例えば、溶融亜鉛のメッキ槽等の、メッキ装置に通され、そして次に別の不動態化装置、例えば槽に、又はすすぎ装置に直接的に通される。通常、更なる工程段階が連続的に行われる:例えば、洗浄又はすすぎ工程、又は、他に不動態化層に最初の塗装層を施すことである。金属ストリップが連続設備を通る通常速度は、50〜100m/minである。これは、金属表面と不動態化に使用した調製物との接触時間が短いことを意味する。通常、処理に適用されるのは数秒間でしかない。工業的に適当な方法は、従って、接触時間が短い場合であっても適切な結果を与えるものでなければならない。
【0024】
従って、本発明の目的は、(従来の技術と比較して、改良された腐食保護を提供し、そして、金属表面と不動態化に使用される調製物との必要な接触時間が、十分な結果を得るために、短時間のみで良い、)Zn、Zn合金、Al、又はAl合金の金属表面を不動態化するための、実質的にCr不使用の改良された方法を提供することにある。特に、本発明の目的とする方法は、連続的に行なうことが可能であるべきでもある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
従って、本発明は、複数の−COOH基及び/又はその塩を含むポリマーの酸性の水性調製物で、金属の表面を処理することによる、Zn、Zn合金、Al、又はAl合金の金属表面を不動態化するための実質的にクロム不使用の方法を提供するものであり、ここで、処理に使用する調製物(Z)は、少なくとも、
(a)少なくとも50質量%の(メタ)アクリル酸単位を含む、少なくとも1種の、実質的に架橋していない、水溶性ポリマー又はコポリマー(A)、及び、
(b)水、又は少なくとも50質量%の水を含む、水性溶媒混合物(B)、
を含み、及び、前記表面が、更に少なくとも1種の水溶性架橋剤で処理され、前記架橋剤が、アジラン、オキシラン、及びチイラン基からなる群から選ばれる少なくとも2種の架橋基を含み、及び少なくとも2個の炭素原子を含む結合基(X)によって互いに連結され、架橋剤の数平均分子量Mnが、112〜5000g/モルであり、及び架橋剤を使用した処理が、調製物(Z)を使用した処理の前、後、又は同時に行なわれるものである。
【0026】
本発明の好ましい一実施形態では、金属表面は、ストリップ金属の表面であり、そして、更に好ましくは、不動態化が連続法で行なわれる。
【0027】
本発明は、更に、Zn、Zn合金、Al、又はAl合金の金属表面上に、本方法によって得ることが可能な不動態化層、このような不動態化層を含む金属表面、及び不動態化調製物を提供する。
【0028】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0029】
本発明の目的において、「実質的にクロムを使用しない」という用語は、不動態化の実際の効果が、架橋剤、及び任意に調製物の別の成分と組み合わせて使用されるポリマーによってもたらされることを意味する。しかしながら、このことは、不動態化層の特性を微細に調整するために、少量のクロムを加える可能性を除外すると解釈されるものではない。しかしながら、クロムの量は、使用するポリマーと架橋剤を合わせた量に対して、10質量%を超えるべきではなく、好ましくは5質量%、及びより好ましくは2質量%を超えるべきではなく、そして更に、クロムの量は、組成物の全成分に対して、2質量%、好ましくは1質量%、及びより好ましくは0.5質量%のレベルを超えるべきではない。クロム化合物を使用する場合、クロム化合物は、Cr(III)化合物であるべきである。しかしながら、Cr(VI)含有量は、何れの場合においても低く維持し、不動態化した金属上においてCr(VI)が、1mg/m2を超えないようにするべきである。
【0030】
不動態化のために使用する調製物は、Cr(VI)を含まないことが好ましく、そして、クロム化合物を全く含まないことがより好ましく、そして、他の工程段階においても、同様に、その酸化状態に関わらず、意図的にはクロム化合物を使用しないことが好ましい。しかしながら、この場合においてでも、少量のクロムが間接的に、及び偶発的に工程中に入ることは可能である。例えば、合金成分としてクロムを含む亜鉛合金又はアルミニウム合金が、本発明の方法に使用される場合、又は、鉄がクロムと合金を形成しているメッキ鋼が本発明の方法に使用される場合、処理されるべき金属中のクロムの少量が、本方法に使用される調製物によって溶解し、従って、偶発的に調製物中に移行することは、可能とされる範囲内である。このような金属が使用される場合であっても、帰着される結果により、この方法は、なお「実質的にクロム不使用」と認められるべきである。
【0031】
本発明の方法の手段により不動態化された金属表面は、Zn、Zn合金、Al、又はAl合金の表面である。この表面は、上述した金属及び/又は合金で完全に構成された構造物又は半加工品の表面であって良い。択一的に、不動態化された金属表面は、Zn、Zn合金、Al、又はAl合金で被覆された構造物の表面であって良く、この構造物は、他の材料:例えば、他の金属、合金、ポリマー又は合成物で構成されることも可能である。特に、不動態化される表面は、メッキした鉄又は鋼の表面であって良い。本方法の一実施形態では、不動態化される表面は、ストリップ金属の表面であり、特に電気メッキされた又は溶融メッキされた鋼である。
【0032】
Zn合金、又はAl合金は、当業者にとって公知である。当業者は、合金成分の種類と量を所望の使用の目的に従って選択する。亜鉛合金の一般的な成分は、特に、Al、Pb、Si、Mg、Sn、Cu又はCdを含む。アルミニウム合金の一般的な成分は、特に、Mg、Mn、Si、Zn、Cr、Zr、Cu、又は Tiを含む。この合金は、AlとZnが、およそ等しい量で存在するAl/Zn合金であることが可能である。このような合金で被覆された鋼は、市販されている。
【0033】
不動態化に使用される調製物(Z)は、少なくとも50質量%の(メタ)アクリル酸単位(a1)を含む、少なくとも1種の水溶性の架橋していないポリマー、又はコポリマー(A)を含む。COOH基は、全部が、又は一部が塩:例えば、アンモニウム、又はNa塩の状態であっても良い。
【0034】
本発明の目的において、「水溶性」という用語は、使用するポリマー又はコポリマー(A)(それぞれ複数の場合を含む)が水に均一に溶解し得るものであることを意味する。本質的に水溶性であるポリマーの架橋した粒子の水性分散剤は本発明の範囲に含まれていない。
【0035】
使用する(コ)ポリマーは、水と無限に混和可能であることが好ましいが、これが、全ての場合に絶対的に必要なものではない。しかしながら、使用する(コ)ポリマーは、少なくとも、本発明の方法を使用した不動態化可能な範囲において水溶性であるべきである。通常、使用する(コ)ポリマーは、少なくとも50g/l、好ましくは100g/l、及びより好ましくは、少なくとも200g/lの溶解性を有しているべきである。
【0036】
水溶性ポリマーの分野の当業者は、COOHを含む水中ポリマーの溶解度は、pHに依存する場合があることを認識している。従って、基準点(reference point)として、各最終使用目的に応じた所望のpH値が選択されるべきである。あるpHにおいて、意図された使用の目的に不適当な溶解度を有する(コ)ポリマーが、異なるpHで適当な溶解度を有することがある。
【0037】
ポリマー又はコポリマー(A)が、ポリアクリル酸又はポリメタクリル酸を単独で含んで良い。
【0038】
しかしながら、(A)は、50〜99質量%のメトアクリル酸単位(Aa)及び1〜50質量%の少なくとも1種の別のエチレン不飽和のコモノマー(メトアクリル酸以外のもの)を含むコポリマーであることが好ましい。
【0039】
コポリマーは、好ましくは60〜95質量%、より好ましくは65〜90質量%、及び非常に好ましくは70〜85質量%の(メタ)アクリル酸単位(Aa)を含む。
【0040】
コモノマーは、いくつかの必要条件を満たさなければならず:コモノマーは、(メタ)アクリル酸、任意に別のコモノマーと共重合可能でなければならない。更に、コポリマー(A)は、水溶性でもなければならない。
【0041】
少なくとも1種のコモノマーは、特に、(メタ)アクリル酸とは異なり、そして、エチレン不飽和基及び酸基(acidic group)を有する、少なくとも1種のコモノマー(Ab)である。この基は、同様に、カルボキシレート基であって良いが、しかし、例えば、燐酸、ホスホン酸、又はスルホン酸基等の他の酸基であっても良い。コモノマーは、各場合において、同一の酸基を有して良く、又、他の場合には、異なる種類の酸基を有して良い。酸基を含む、2種以上の異なるコモノマー(Ab)を使用することも当然可能である。
【0042】
コモノマー(Ab)の例は、例えば、ビニル酢酸、クロトン酸、又はイソクロトン酸等の、一般式、RHC=CH−(CH2n−COOH(n=1〜8、及びR=H又はC1〜C3)のCOOH−含有酸、マレイン酸、又はフマル酸等の2個のCOOH基を含む不飽和酸、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、又は3−ブテニルホスホン酸等のホスホン酸基を含む酸、モノビニルホスフェイト、モノアリルホスフェイト、モノ−3−ブテニルホスフェイト、又はホスホンオキシエチル(メタ)アクリレート等の燐酸基を含む酸、又はスチレンスルホン酸等のスルホン酸基を含む酸を含む。
【0043】
特に適当なコモノマー(Ab)の例は、マレイン酸、又はフマル酸、及びビニルホスホン酸を含む。
【0044】
好ましくは、2〜50質量%、及びより好ましくは、5〜40質量%の別のコモノマー(Ab)が存在して良い。
【0045】
コポリマー(A)は、更に、エチレン不飽和基を含むが酸基を含まない、1種以上のコモノマー(Ac)を含む。このようなモノマーの例は、エチレン、プロピレン、又はスチレン等のオレフィン、ビニルアルコールのエステル及び、特にビニルアセテート又はビニルプロピナート等のモノカルボン酸、及び、又、特に、非常に広い範囲で種々のアルコール残留物を有する、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、又は2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の、(メタ)アクリレートを含む。対象となるモノマーは、例えば、p−ビニルフェノール等のOH基を含むモノマー、又は、特に、エトキシレート化した又はプロポキシレート化した(メタ)アクリル酸であっても良い。
【0046】
コモノマー(Ac)は、特性を微調整するために使用される。存在する場合には、コモノマー(Ac)の量は、従って、ポリマーの所望の特性:例えば、その溶解度に従って決定される。しかしながら、通常、その量は、30質量%を超えるべきではなく、好ましくは20質量%、より好ましくは10質量%を超えるべきではなく、及び極めて好ましくは、5質量%を超えるべきではない。
【0047】
コポリマー(A)は、当業者にとって公知の手順に従って製造することが可能である。上述したコポリマー(Aa)及び任意に、(Ab)及び/又は(Ac)を遊離基共重合することによって、ポリマー及び/又はコポリマーを製造することが好ましい。特殊な場合では、その特性を微調整するために、1種以上のエチレン不飽和基を有し、従って架橋作用を有するモノマーが使用される。しかしながら、場合によっては、これらは極めて少量で使用され、ポリマーが実質的に架橋されずに維持されるべきである。架橋するモノマーの量は、通常1質量%を超えるべきではなく、好ましくは0.5質量%を超えるべきではなく、そして架橋するモノマーが全く使用されないことが好ましい。
【0048】
酸性モノマーの場合には、ポリマーは、自由な状態の酸(free acid)を使用せず、その代わりにその塩、エステル、無水物又は他の加水分解可能な誘導体の状態の酸を重合のために使用して、ポリマーを製造することも可能である。従って自由な酸の基は、分離工程で、任意に適当な塩基を使用して加水分解により、その誘導体から得ることができる。特にマレイン酸は、通常、マレイン無水物の状態で重合され、そして、重合の後に初めて加水分解するか、又は必要な場合には、処方中(調製中)に最初の加水分解を行なう。
【0049】
使用する(コ)ポリマーの平均分子量は、(コ)ポリマーが、十分な範囲で水に均一に溶解し得る限りは、原則として制限がない。平均分子量は、当業者により、所望の使用目的に従って決定される。当業者は、特定の分子量を選択し、例えば、調製物の粘度に影響を及ぼし、そして粘度を所望の目的に合うように調整することが可能である。通常、ポリマーの平均質量MWは、500〜2000000g/mol、好ましくは、1000〜1000000、より好ましくは2000〜500000g/mol、及び特に好ましくは3000〜300000g/molである。
【0050】
特に好ましくは、コポリマー(A)は、(メタ)アクリル酸、及び無水マレイン酸、特に、70〜80質量%の(メタ)アクリル酸、及び20〜30質量%の無水マレイン酸から合成されたコポリマーである。
【0051】
更に、(メタ)アクリル酸、及び無水マレイン酸の他に、別のコモノマーとして、ビニルホスフィン酸を、1〜30質量%、好ましくは1〜20質量%、及び、より好ましくは1〜10質量%の量で使用することが可能であり、又、好ましい。好ましいコポリマーは、例えば、70〜80質量%の(メタ)アクリル酸、15〜25質量%の無水マレイン酸、及び1〜10質量%のビニルホスホン酸から合成されて良いものである。
【0052】
無水マレイン酸単位は、重合と並行して、又は重合に続いて開始時に直ちに加水分解され、好ましくは、例えば、トリエタノールアミン等の塩基を使用して、マレイン酸単位を形成する。
【0053】
成分(b)として、本発明の方法に使用する調製物(Z)は、水のみ、又は少なくとも50質量%の水を含む水性溶媒混合物を含むことが好ましい。水性混合物が使用される場合、この混合物は、少なくとも65質量%、より好ましくは少なくとも80質量%、及び非常に好ましくは少なくとも95質量%の水を含むことが好ましい。この量は、各場合において、全溶媒の合計量に対するものである。混合物の更なる成分は、水混和性溶媒である。例は、メタノール、エタノール、又はプロパノール等のモノアルコール、又はエチレングリコール又はポリエーテルポリオール等の高級アルコール、及びブチルグリコール、又はメトキシプロパノール等のエーテルアルコールを含む。
【0054】
溶媒として、水のみを使用することが好ましい。
【0055】
調製物中のポリマー又はコポリマー(A)は、所望の使用目的に従って、当業者によって決定される。不動態化層の厚さは、例えば、選択した方法技術に依存するが、しかし、例えば、不動態化に使用する合成物の粘度にも依存している。通常、0.01g/l〜500g/lが適当であることがわかったが、0.1g/l〜200g/lが好ましく、0.5g/l〜5g/lがより好ましい。記載された濃度は、直ちに使用可能な調製物に関してのものである。通常、最初に濃縮物を製造し、次に、その場(in situ)で、水又は任意に他の溶媒混合物で所望の濃度に希釈することが可能である。
【0056】
本発明において使用される調製物(Z)は、酸性である。調製物(Z)のpHは、通常、1〜6であるが、基体(substrate)、適用の種類、及び表面を調製物(Z)にさらす期間に依存して、より狭い範囲のpHを選択することが可能である。例えば、アルミニウム表面の処理のために、pHは、2〜4の範囲に調整されることが好ましく、亜鉛又は(亜鉛)メッキした鋼の場合、pHは、2〜5の範囲が好ましい。
【0057】
調製物のpHは、ある場合では、COOH−含有ポリマー又はコポリマーの性質と濃度によって制御され、従って、ほぼ自動的に与えられる。
【0058】
択一的に、調製物は、任意に更に少なくとも1種の有機又は無機の酸又はこれらの混合物を含んで良い。適当な酸の例は、燐酸、ホスホン酸、硫酸等の燐、硫黄又は窒素の酸、
メタンスルホン酸、アミドスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、m−ニトロベンゼンスルホン酸等のスルホン酸、及びこれらの誘導体、硝酸、フッ化水素酸、塩化水素酸、ホウ酸、蟻酸、蓚酸、又は酢酸である。酸は、HNO3、H2SO4、H3PO4、蟻酸、及び酢酸からなる群から選ばれることが好ましい。H3PO4及び/又はHNO3が特に好ましい。異なる酸の混合物を使用することも当然可能である。
【0059】
調製物(Z)の中の酸の性質(nature)と濃度は、所望の使用目的と、pHに従い、当業者によって決定される。通常、0.01g/l〜30g/lの濃度、好ましくは、0.05g/l〜3g/l、及びより好ましくは0.1g/l〜5g/lの濃度が適当であることがわかった。
【0060】
本発明に従い、少なくとも1種の水溶性架橋剤が、この方法のために追加的に使用され、架橋剤は、アジラン、オキシラン、及びチイラン基からなる群から選ばれる少なくとも2個の架橋基を含む。通常、使用する架橋剤は、各場合において、架橋基を1種類のみ含むが、特別な場合にはこのルールから外れることが可能である。2種以上の異なる架橋剤が使用された場合、同様に、架橋基を1種類のみ含むことが好ましい。
【0061】
使用した架橋基は、水と無限に混和可能であることが好ましいが、このことは全ての場合に絶対的に必要であるものではない。しかしながら、これらは、少なくとも、本発明に従う方法を使用しての不動態化が可能な範囲で水溶性でなければならない。通常、使用する架橋剤は、水への溶解度が、少なくとも10g/l、好ましくは30g/l、及びより好ましくは少なくとも60g/lである。
【0062】
架橋剤の数平均分子量Mnは、112〜約5000g/mol、好ましくは150〜2500g/mol、及びより好ましくは200〜2000g/molである。
【0063】
この少なくとも2個の架橋基が、少なくとも2個の炭素原子を含む結合基Xによって、互いに結合される。オキシラン及びチイラン基の場合、当然、3員環の2位又は3位においてのみ結合が可能である。アジラン基の場合、1位に結合しても良い。1位も好ましい位置である。オキシラン又はアジラン架橋が好ましい。
【0064】
架橋基Xは、追加的なヘテロ原子又は置換基を含んで良い、直鎖(straight-chain)、分岐、又は環式の脂肪族、芳香族又は芳香族−脂肪族基が可能である。結合基は、好ましくは、互いに隣り合わない炭素原子が酸素に代えられても良い直鎖又は分岐脂肪族基である。
【0065】
架橋剤は、少なくとも2個の架橋基を含む。原則として、架橋基の数に上限はない。しかしながら、2〜20個、好ましくは2〜10個、及びより好ましくは3〜6個の架橋基が適当であることがわかった。
【0066】
本発明を行なうために特に適当であるとわかった架橋剤は、一般式(I)、
【0067】
【化1】

【0068】
(但し、少なくとも2個のアジラン基を含み及びmが≧2の自然数である。)の架橋剤である。好ましくは、mは、2〜6の自然数である。R2は、H及び/又はメチル基である。架橋剤の分子は、同一の基R2のみを架橋基上に含むことが好ましく、及びR2が水素原子であることが特に好ましい。
【0069】
基R1m-は、m価の脂肪族アルコキシ基である。この基は、少なくともm子の酸素原子を有し、一般式(Ia)
【0070】
【化2】

で表されるm個の基が結合している。換言すれば、アジラン基はそれぞれが、結合基を介して基R1m-に結合している。
【0071】
脂肪族アルコキシ基R1m-は、別の酸素原子又は例えばN等の他のヘテロ原子を基R1に有しても良い。これらは、対応する脂肪族アルコールR1(OH)m'(但しm’は≧mである。)から誘導される。
【0072】
適当なアルコールの例は、グリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ブテンジオール、ブチンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ジグリコール、トリグリコール、オリゴエチレン、又はポリエチレングリコール、グリセロール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリグリセロール、トリエチロールメタン、トリエチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、トリス(ヒドロキシエチル)アミン、トリス(ヒドロキシプロピル)アミン、ペンタエリトリトール、ビス(トリメチロールプロパン)又は例えば、グルコース又はソルビトール等の糖(sugar)である。アルコールは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はブチレンオキシドと反応させ、2価以上の官能価(functionality)を有するポリエーテロール(polyetherol)を形成しても良い。専らエトキシル化した製造物を使用することが好ましい。アルコールの場合、この化合物は、例えば、ポリビニルアルコール又はポリビニルアルコールコポリマー等のビニルアルコール単位を含む、適当な分子量を有するオリゴマー又はポリマーであっても良い。
【0073】
本発明を行なうのに適当なものは、グリコール、ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリトリトール、及びエチレン酸化物に基づいたこれらのポリエテロールが好ましく、トリメチロールプロパンが特に好ましい。
【0074】
一般式(I)の架橋剤を製造するために、最初に、一般式R1(OH)m'のm’価のアルコールを(メタ)アクリル酸、又は適当な(メタ)アクリル酸誘導体と反応させ、(メタ)アクリルエステルを形成しても良い。少なくとも2個のOH基が反応すれば、アルコールの全てのOH基が反応する必要はない。この反応を行なうのに特に適当なものは、(メタ)アクリルヒドリドである。得られたエステルは、第2段階で、アジラン又は2−メチルアジランと反応されるが、アジランは、ミカエル付加により(メタ)アクリル酸単位の二重結合に付加する。アジラン基を含む式(I)の架橋剤は、例えば、Corial(登録商標)硬化剤(BASF AG)として市販されている。
【0075】
本発明による他の実施の形態に適当とわかった架橋剤は、一般式(II)、
【0076】
【化3】

の架橋剤であるが、この架橋剤は、2個のオキシラン基を含み、そしてmが、自然数≧2のものである。mが、2〜6の自然数であることが好ましい。
【0077】
上記式中の省略形R1m−は、上述した定義を有している。架橋剤(II)中の好ましい基は、グリセロール、オリゴグリセロール、特にジグリセロール又はトリグリセロール、グリコール又は一般式HO−(CH2−CH2−O)n−H(但し、nが好ましくは2〜25である。)のポリエチレングリコールから誘導される。
【0078】
式(II)の架橋剤を製造するために、一般式R1(OH)m'のポリアルコールをグリシジイルクロリドと反応させることが可能である。少なくとも2個のOH基が反応すれば、アルコールの全てのOH基が反応する必要はない。オキシラン基を含む式(II)の種々の架橋剤が、例えば、銘柄名Denacol(登録商標)(Nagase Chemicls Ltd.)で市販されている。
【0079】
当業者は、所望の不動態化条件と不動態化層の所望の特性に従い、原則として可能な架橋材の中から適当な選択を行なう。
【0080】
架橋剤での金属表面の処理及び調製物での処理が同時に行なわれるように、本発明に従い使用される水溶性架橋剤は、調製物(Z)中に溶解して存在して良い。
【0081】
この代わりに、調製物での処理の前及び/又は後に、別工程で表面を架橋剤で処理することも可能である。このことは、架橋剤が、選択した調製物中、及び選択した不動態化の条件下において完全に不活性ではなく、調製物の成分と反応する場合に特に望ましい。架橋剤を、使用の直前まで調製物中に混合しないことによって、望ましくない反応を避けることが有利である。
【0082】
架橋剤のポリマーに対する割合は、所望の特性に従って当業者によって決定される。ポリマーの架橋剤に対する質量割合は、通常0.05:1〜50:1、好ましくは0.1〜20:1及びより好ましくは0.5:1〜10:1が適当であるとわかった。
【0083】
上述した成分に加え、この調製物は、更に任意に別の成分を含んでも良い。
【0084】
任意に存在する成分は、例えば、Ce、Ni、Co、V、Fe、Zn、Zr、Ca、Mn、Mo、W、Ti、Zr、Hf、Bi、Cr及び/又はランタチノイドの遷移金属イオン及び遷移金属化合物を含んで良い。Crが存在する場合、上述のように定義した量を超えるべきではない。Cr(VI)を使用しまいことが好ましく、そして、クロム化合物を全く使用しないことが特に好ましい。この化合物は、例えばSi及び/又はAl等の主族元素(main group element)の化合物であっても良い。この化合物は、例えば、個々の水性錯体の状態で使用可能である。しかしながら、例えば、Ti(IV)、Zr(IV)、又はSi(IV)等のフッ化物の錯体、又は例えば、MoO42-又はWO42-等のオキソメタレート等の他のリガンドを有する錯体も可能である。更に、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸(HEDTA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、又はメチルグリシンジ酢酸(MGDA)等の一般的なキレート形成リガンドを有する錯体を使用することも可能である。
【0085】
更なる任意の成分は、界面活性成分、腐食抑制剤、又は一般的な電気メッキ助剤を含む。
【0086】
当業者は、所望の使用に従い、原則として可能な任意の成分とそれらの量を適切に選択する。
【0087】
金属表面を不動態化させるための本発明の方法において、金属の表面が、調製物(Z)及び架橋剤で、例えば、スプレイ、浸漬又はローリングによって処理される。浸漬操作の後、浸漬乾燥(drip dry)することにより、余分の処理溶液を半加工品から除去でき、;金属シート、金属箔又はこれらと同様のものの場合、余分の処理溶液は、この代わりに、例えば、絞り(squeezing)、ぬぐい取り(squeegeeing)によって除去できる。処理の過程において、使用した少なくともポリマーの一部、及び調製物の別の成分が、金属表面に化学吸着され、表面と成分との間に固い結合が生じる。調製物での処理は、通常、室温で行なわれるが、原則として、より高い温度の可能性を除外するものではない。
【0088】
架橋剤が、調製物中に存在しない場合、架橋剤を同様に水中に溶解し、そして、架橋剤を有していない調製物での処理の前及び/又は後に、例えば、スプレー、ローリング、又は浸漬によって金属表面に施すことが好ましい。架橋剤の一部が調製物中に存在し、架橋剤の第2の部分を別工程で施すことも当然可能である。
【0089】
この処理はいわゆるノーリンス操作(すすぎのない操作)であって良く、ノーリンス操作において、処理溶液を施した後、この処理溶液が、すすぎすることなく直ちに乾燥オーブン中で直接的に乾燥される。
【0090】
しかしながら、本発明に従い使用した調製物の残留物を表面から除去するために、処理の後、洗浄液、特に水で表面をすすぎすることも可能である。
【0091】
架橋剤によるポリマーの架橋は、室温で行なうこともできる。しかしながら、調製物及び架橋剤での金属の処理に続いて、金属表面を加熱することが好ましい。ここでは、30℃〜120℃、好ましくは40℃〜100℃、及びより好ましくは50℃〜80℃の温度が適当であるとわかった。
【0092】
調製物及び架橋剤での金属表面の処理は、不連続的に、又は好ましくは連続的に行なうことが可能である。連続工程は、ストリップ金属を処理するために特に好ましい。金属ストリップは、調製物の槽装置又はスプレー装置に通され、そして任意に、架橋剤のための槽(trough)装置又はスプレー装置にも通され、及び、任意に、別の予備処理又は後処理ステーションに通もされる。
【0093】
処理時間は、層の所望の特性、処理に使用した成分、及び技術的な境界条件に従い当業者によって設定される。処理時間は、1秒より有意に短い時間で良く、また2分以上であっても良い。連続法の場合、調製物を表面に、1〜60秒間接触させることが特に好ましいことがわかった。
【0094】
架橋剤が調製物に加えられるか、又は別工程で金属表面を処理するために使用されるかは、所望の結果と環境に依存して当業者が決定する事項である。既に架橋剤を含んでいる調製物の使用は、分離された第2工程を必要としないので、より容易に及びより安価に行なうことができる。
【0095】
他方、調製物と架橋剤での処理を分離された2(又は3)工程で行なうことは、工程において、非常に多くの技術的自由度を提供し、特別な効果を利用できるという有利な点を有している。
【0096】
架橋剤含有調製物は、通常、比較的高い温度にまでは加熱することができず、又は少なくとも比較的長い時間加熱することができないが、そうでなければ、少なくとも架橋剤の一部が、ポリマーと、調製物の他の成分と、又はそれら自身と早期にそして不本意に反応するからである。この種の望ましくない副反応は、不動態化層の特性の劣化を引き起こし得るものであり、そして最悪の場合には、全く使用できない結果さえ得られる。この場合、従って、処理は通常、本質的に室温で行なわなければならない。
【0097】
架橋剤での処理が別工程で行われる場合、調製物での処理は、例えば50〜80℃のより高い温度で、架橋剤の望ましくない反応を懸念することなく行なうことができる。この手段により、不動態化層の形成を促進することができ、及び/又は例えば、厚さ等の、不動態化層の他の性質に影響を及ぼすことができる。この場合、架橋剤での処理は、別工程で行われ、例えば、架橋剤の溶液で、室温において行なわれる。この別工程は、調製物での処理の前か、又は後に行なうことができる。
【0098】
本発明の方法は、任意に1工程以上の予備処理工程を含んでも良い。例えば、グリース又はオイルを除去するために、不動態化の前に、本発明に従う調製物で金属表面を洗浄することができる。酸化物の沈殿物、スケール、一時な腐食防止剤、及びこれらと同等のものを除去するために、不動態化の前に金属表面を酸洗いすることも可能である。すすぎ溶液又は酸洗い溶液の残留物を除去するために、このような予備処理工程の後及びその間に、適当であれば水で、表面をすすぎすることが追加的に必要である。
【0099】
本発明の方法を使用して、Zn、Zn合金、Al、又はAl合金でできた金属表面上に不動態化層を得ることができる。不動態化層の正確な構造と組成は不明である。しかしながら、アルミニウム又は亜鉛及び、所望により他の金属の通常のアモルファス酸化物に加え、上述した構造と組成は、ポリマー及び架橋剤の反応生成物、そして所望により層の別の成分も含む。不動態化層の組成は、均一ではなく、むしろ、組成は濃度勾配(concentration gradient)を示すものである。
【0100】
不動態化層の厚さは、層の所望の特性に従い、当業者によって調整される。通常、厚さは0.01〜3μm、好ましくは0.1〜2.5μm、及びより好ましくは1〜2μmである。厚さは、例えば、適用される成分の性質と量、及び露出処理時間(exposure time)によって影響を受ける。これに加え、厚さに影響を与えるために、この方法の技術的要素を使用することができるが、技術的要素の使用は、例えば、過剰に施された処理溶液を除去するために、ローラ、又はぬぐい取りを使用することによるものである。
【0101】
層の厚さは、層が1kg/lという密度(specific density)を有していると仮定して、本発明に従って使用した組成物への金属表面の露出処理の前と後の計量差によって決定される。以降、「層厚さ」は、常にこの方法で決定された変数を意味し、層の実際の密度とは無関係である。これらの薄い層は、顕著な腐食保護を得ることができれば十分である。この種の薄層により、不動態化した半加工品の寸法が確保される。
【0102】
本明細書は、更に本発明の不動態化層を含む金属表面を提供する。不動態化層は、実際の金属表面上に直接的に施される。好ましい一実施形態において、この金属表面は、Zn又はZn合金の被覆を含む鋼のストリップ金属であり、そしてZn又はZn合金の被覆の上に本発明の不動態化層が施されるものである。
【0103】
不動態化層を含む金属表面は、原則として公知の方法で、1種以上の着色塗装、又は有効塗装層で被覆されて良い。一般的な塗装、塗装の組成及び2種以上の塗装層の場合の層の一般的な順序は、原則として当業者にとって公知である。
【0104】
水溶性架橋剤の本発明に従う使用により、架橋剤を有していない層と比較して、不動態化層の効果を相当に増加させることが可能である。
【0105】
以下に実施例の形態で本発明を詳細に説明する。
【0106】
実験の概要
本発明の実施例と比較例のために、亜鉛メッキした鋼のパネル(片側に20μmの亜鉛をメッキしている)を使用した。
【0107】
実施例において、以下の予備処理を選択した:
不動態化していない鋼パネルを、0.5%のHCl及び0.1%の10エチレンオキシド単位を有するアルキルフェノールエトキシレートを含む洗浄溶液中に10秒浸し、直ちに水ですすぎし、そして窒素で乾燥させた。
【0108】
不動態化のための組成物の製造
使用する各ポリマーの5%濃度の水溶液を均質化し、そして浸漬槽に満たした。この溶液は、0.1質量%のHNO3又はH3PO4を追加的に含んだ。予備洗浄された金属パネルを10秒浸漬しそして室温で乾燥した。最後に、エッジ効果(edge effect)を除外するために不動態化したパネルの縁をマスクした。
【0109】
パネルを以下に記載するように不動態化した
不動態化層の厚さは、本発明に従って使用した組成物への金属表面の露出処理の前と後の計量差によって決定されるが、ここで、層が1kg/lという密度(specific density)を有していると仮定している。以降、「層厚さ」は、常にこの方法で決定された変数を意味し、層の実際の密度とは無関係である。
【0110】
腐食抑制効果を、DIN50021に準ずるソルトスプレー試験によって測定した。腐食試験における抵抗時間(withstand time)を、観察された腐食ダメージの種類に従って定義した:
【0111】
−通常、直径1mmが以上である白いスポット(Znオキシド、Alオキシド、白錆として知られている)が形成された場合は、抵抗時間は、DIN EN ISO10289 of April 2001,annex B,19頁における評価レベル8に相当するダメージが現れるまでの時間とする。
【0112】
−通常、直径1mm未満の黒いスポットが、白錆スポットの前に形成される場合は、上述した抵抗時間は、DIN EN ISO10289 of April2001,annex A,9頁における評価レベル8に相当するダメージが現れるまでの時間である。)
【0113】
本発明の実施例1:
アジリジン架橋剤(I)及びアクリル酸コポリマーでの不動態化層
5質量%濃度の、トリメチロールプロパントリス(ベタ−アジリジノ)プロピネートのエタノール性溶液(架橋剤の水への溶解度:60g/l)に10秒、1回浸漬した。層厚さは0.6μmである。
【0114】
次に、上記層をポリ(アクリル酸−コ−マレイン酸)を5%濃度で含む0.1%のHNO3水溶液に室温(RT)10秒、再度浸漬した。同水溶液は、トリエタノールアミンを使用してpH3.5に設定され、モノマーの質量ベースの組成が80:20のものである。室温で5分間の乾燥/硬化(cure)の後、パネルは、色又は金属光沢が、最初のパネルから変化しなかった。層の厚さは1.8μm(ポリマー+架橋剤を一緒にして)であった。
【0115】
35℃で、5%のソルトスプレーミスト雰囲気において、評価8までのソルトスプレー試験を行なった。評価8までの残留時間/抵抗時間は、50hであった。結果を表1にまとめた。
【0116】
本発明の実施例2:
アジリジン架橋剤[I]及びアクリル酸コポリマーを使用した不動態化層
溶液1(85質量%のトリメチロールプロパントリス(ベタ−アジリジノ)プロピネート、7.5%のジアセトンアルコール及び2.5%のトリエチレンジアミン)を含む5%濃度の水性調製物にRTで10秒、1回浸漬、及び室温でパネルを乾燥した。
【0117】
次に、溶液2(実施例1の5%濃度のポリ(アクリル酸−コ−マレイン酸)水溶液)に浸漬を繰り返す。室温で5分間の乾燥/硬化(cure)の後、パネルは、色又は金属光沢が、最初のパネルから変化しなかった。層の厚さは合計で1.65μmであった。
【0118】
ソルトスプレー試験を上述のように行なった。残留時間は50hであった。結果を表1にまとめた。
【0119】
本発明の実施例3:
オキシラン架橋剤[II]及びアクリル酸コポリマーを使用した不動態化層
トリエタノールアミンを使用してpH3.5に設定された、モノマーの質量ベースの組成が80:20である、ポリ(アクリル酸−コ−マレイン酸)を5%濃度でかつ架橋剤グリセロールジグリシジルエーテル(Denacol(登録商標)313、架橋剤の水への溶解度;100g/l)を含む0.1%のHNO3水溶液に室温(RT)で10秒、1回浸漬した。ポリマーの架橋剤に対する質量割合は32:68である。
【0120】
80℃で5分間、乾燥/硬化した後、パネルは、色又は金属光沢が、最初のパネルから変化しなかった。層の厚さは1.4μmであった。
【0121】
ソルトスプレー試験を上述のように行なった。残留時間は29hであった。結果を表1にまとめた。
【0122】
比較例1:
アクリル酸コリポリマーを使用した不動態化層
ポリ(アクリル酸−コ−マレイン酸)の5%濃度の水溶液に、40℃で10秒、1回浸漬したが、5%濃度の水溶液は、モノマーの質量ベースの組成が80:20で、トリエタノールアミンを使用してpH3.5に設定されている。70℃で5分間、乾燥/硬化(cure)した後、パネルは、色又は金属光沢が、最初のパネルから変化しなかった。層の厚さは1.1μmであった。
【0123】
5%ソルトスプレーミスト雰囲気における30℃での評価8が得られるまでの残留時間は、21hであった。
【0124】
比較例2及び2a
HNO3(ex.2)又はH3PO4(ex.2)のみで金属を処理
0.1%濃度の燐酸又は硝酸溶液中にRTで10秒、1回浸漬した。
【0125】
5%のソルトスプレーミスト雰囲気における、30℃での評価8までの残留時間は、各場合において<2hであった。
【0126】
比較例3
アクリル酸コポリマー及びビスフェノールAジグリシジルエーテルを使用しての不動態化層
5質量%濃度の、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのエタノール性溶液にRTで、10秒、1回浸漬。層厚さは1.6μmである。
【0127】
上記層をポリ(アクリル酸−コ−マレイン酸)を5%濃度で含む0.1%のHNO3水溶液に40℃で10秒、1回浸漬した。同溶液は、トリエタノールアミンを使用してpH3.5に設定され、モノマーの質量ベースの組成が80:20のものである。70℃で5分間、乾燥/硬化(cure)した後、パネルは、斑点を有し、最初のパネルと比較して色と金属光沢は暗く変化していた。
【0128】
層の合計厚さ(架橋剤+ポリマー一緒にして)は2.2μmであった。
【0129】
5%ソルトスプレーミスト雰囲気における30℃での評価8までの残留時間は、19hであった。
【0130】
比較例4
アジラン架橋剤[I]の不動態化層
5質量%濃度のトリメチロールプロパントリス(ベータ−アジリジノ)プロピネートのエタノール性溶液に10秒、1回浸漬した。層厚は1.0μmである。
【0131】
5%ソルトスプレーミスト雰囲気における30℃での評価8が得られるまでの残留時間は、<2hであった。
【0132】
【表1】

【0133】
本実施例は、反応性の架橋剤を使用した不動態化するポリアクリレート層を化学的に安定化させることにより、架橋剤の使用を通じて亜鉛表面の腐食反応性を大きく改善できることを示している。高反応性の多官能性(polyfunctional)のアジラン又はオキシラン架橋剤がこの目的に適当である。アジラン架橋剤は、その反応性のため、室温においてでも使用可能であり、そしてオキシラン架橋剤よりも強い活性を有している。
【0134】
架橋剤単独では何の効果もなく、そしてポリマー単独では、架橋剤とポリマーの組合せよりも効果が相当に弱い。
【0135】
ビスフェノールAタイプの水不溶性オキシラン架橋剤では、不均一な層しか得られない。相当な厚さを有しているにもかかわらず、この層は、架橋剤を使用しない実施例と比較して実質的に悪化を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の−COOH基、及び/又はそれらの塩を含むポリマーの酸性水性調製物で金属表面を処理することにより、Zn、Zn合金、Al、又はAl合金の金属表面を不動態化するための、実質的にクロムを使用しない方法において、
処理のために使用される調製物(Z)が、少なくとも、
(a)少なくとも50質量%の(メタ)アクリル酸単位を含む、少なくとも1種の、実質的に架橋していない、水溶性ポリマー又はコポリマー(A)、及び、
(b)水、又は少なくとも50質量%の水を含む、水性溶媒混合物(B)、
を含み、
及び、前記表面が、更に少なくとも1種の水溶性架橋剤で処理され、前記架橋剤が、アジラン、オキシラン、及びチイラン基からなる群から選ばれる少なくとも2個の架橋基を含み、及び少なくとも2個の炭素原子を含む結合基(X)によって互いに連結され、架橋剤の数平均分子量Mnが、112〜5000g/モルであり、及び架橋剤を使用した処理が、調製物(Z)を使用した処理の前、後、又は同時に行なわれることを特徴とする方法。
【請求項2】
架橋剤を使用した処理、及び調製物(Z)を使用した処理が同時に行なわれ、及び架橋剤が調製物(Z)に存在することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
調製物(Z)が、更に有機酸又は無機酸を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
酸がH3PO4及び/又はHNO3である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
架橋剤が一般式(I)
【化1】

で表され、少なくとも2個のアジラン基を含み、及びmが、≧2の自然数であり、R1m−が、m価の脂肪族アルコキシラジカルであり、及びR2が、H又はメチルである架橋剤であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
架橋剤が、一般式(II)
【化2】

で表され、少なくとも2種のオキシラン基を含み、及びmが≧2の自然数であり、及びR1m−がm価の脂肪族アルコキシラジカルである架橋剤であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
mが、2〜6の自然数であることを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
水溶性ポリマー(P)が、(メタ)アクリル酸を含むことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
水溶性ポリマー(P)が、(メタ)アクリル酸単位に加え、更に、(メタ)アクリル酸以外の他の酸基を含む少なくとも1種のコモノマーを含む、コポリマーであることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
ポリマーの架橋剤に対する質量比が、0.5:1〜50:1であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
溶媒が水であることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記処理の後、続いて金属表面が加熱されることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記処理が、ロール、スプレー、又は浸漬の手段によって行なわれることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
金属表面がストリップ金属の表面であることを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記ストリップ金属が、電気メッキ処理又は溶融メッキ処理された鋼であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記処理が連続法によって行われることを特徴とする請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記表面に1〜60秒の間、調製物を接触させることを特徴とする請求項14〜16の何れか1項に記載の方法。
【請求項18】
請求項1〜17の何れか1項に記載方法によって得られる、Zn、Zn合金、Al、又はAl合金の金属表面上の不動態化した層。
【請求項19】
厚さが、0.01〜3μmである請求項18に記載の不動態化した層。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の不動態化した層を含む金属表面。
【請求項21】
不動態化した層の上に、1種以上の塗装層が存在することを特徴とする請求項20に記載の金属表面。
【請求項22】
請求項20又は21に記載の表面を有するZn又はZn合金の被覆を含む鋼のストリップ金属。
【請求項23】
Zn、Zn合金、Al、又はAl合金の金属表面の不動態化のための、実質的にクロムを含まない、酸性の調製物であって、少なくとも、
(a)少なくとも50質量%の(メタ)アクリル酸単位を含む、少なくとも1種の、実質的に架橋していない、水溶性ポリマー又はコポリマー(A)、及び、
(b)水、又は少なくとも50質量%の水を含む、水性溶媒混合物(B)、及び、
(c)一般式
【化3】

又は、
【化4】

の少なくとも1種の水溶性架橋剤(但し、mが2〜6の自然数であり、R1m−が、m価のアルコキシラジカルであり、及びR2が、H又はメチルであり、及び架橋剤の数平均分子量Mnが、112〜5000g/モルである)、
を含む酸性の調製物。
【請求項24】
更に、H3PO4及び/又はHNO3を含むことを特徴とする請求項23に記載の調製物。

【公表番号】特表2007−510058(P2007−510058A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536013(P2006−536013)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/011641
【国際公開番号】WO2005/042801
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】