α−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法
α−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法であって、(1)脂肪酸エステルを三酸化硫黄でスルホン化することによりスルホン酸を得るステップと、(2)過酸化水素水を漂白剤としてステップ(1)で得たスルホン酸を漂白するステップと、(3)アルコールをエステル化剤としてステップ(2)の生成物を二次エステル化するステップと、(4)ステップ(3)の生成物を塩基溶液で中和するステップと、(5)ステップ(4)の生成物を乾燥して粉末状製品を得るステップとを備えることを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は界面活性剤分野に属し、α−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法に係る。
【背景技術】
【0002】
α−スルホ脂肪酸エステル塩は優良な界面活性剤であり、耐硬水性が強く、よい生物分解性等の特徴を持ち、日用化学工業及び選鉱等の産業に用いることができる。
【0003】
脂肪酸エステルのスルホン化には、一般に流下薄膜式スルホン化装置を用い、脂肪酸エステルを三酸化硫黄と反応させ、スルホン酸を得る。このような方法により得たスルホン酸は、一般に色が比較的濃く、最終製品の外観に直接影響し、人々に受け入れられない。通常は漂白処理を経ることが必要であり、製品の色あいをできるだけ薄くさせる。中和後のスルホン酸製品は一般的に、活性物の含有量が30%〜50%のペースト物である。ペースト物は大量運送に適応しておらず、また粉末状の洗浄製品の製造にも適応しておらず、それを乾燥させて粉末状にする、又は直接的に粉末状製品の配合に用いられるのが最も理想的である。また、このスルホン化反応の特殊性により、人々が望まないジナトリウム(カリウム)塩の生成を防ぐことができず、ジナトリウム(カリウム)塩の含有量をできるかぎり低減させるのに、二次エステル化が不可欠となる。理想的なα−スルホ脂肪酸エステル塩製品の生産には以上の問題がある。
【0004】
既に開示されている脂肪酸エステルのスルホン化方法にはかなりの努力がなされているが、遊離油の含有量と色あいとの矛盾に対する解決があまり理想ではなく、往々にしてあちらを立てればこちらが立たずといった状態になってしまう。遊離油の含有量を低減しようとすると、製品の色あいが濃くなり、製品の色あいを保証しようとすると、遊離油の含有量が増加する。漂白工程では、多くは漂白と二次エステル化のワン・ステップ法を採用し、アルコール系、90℃以上の高温で、過酸化水素を用いて漂白する。例えば、中国特許第94115317.7号、第00133161.2号、米国特許第5587500号である。これらの方法は、アルコールの沸点より遥かに高い温度で実施されるものであり、過酸化水素のこの温度での迅速な分解も加わって、循環システムは不可避的に高圧下で行われる。例えば、エーテル及び硫酸エステルの生成など、反応過程に伴う一連の副反応もある。エーテル類は危険性が高く、燃えやすく爆発しやすく、処理が不適当であれば安全上の事故をすごく引き起こしやすい。硫酸エステルは毒性が比較的高く、除去しにくく、製品に残留すると、使用の安全上よくない。また、大量のアルコールの存在も製品の漂白速度及び漂白効果に影響する。ステンレス鋼設備内にバッチ式で過酸化水素を通過させてスルホン酸を漂白する人もいるが、生成物の高い粘度及び漂白反応の高い発熱量により、漂白反応がコントロールしにくく、漂白効果及び製品品質の安定性に直接影響する。
【0005】
α−スルホ脂肪酸エステル塩の温度に対する高いセンシティビティー及び高い粘度により、その色あい、ジナトリウム(カリウム)塩の含有量を保証するという前提下で、固体状に乾燥させることにさえ一定の困難がある。
【特許文献1】中国特許第94115317.7号
【特許文献2】中国特許第00133161.2号
【特許文献3】中国特許第5587500号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、安全性が高く、製品の色あいがよく、反応過程のコントロールがしやすい、新しいα−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のステップを含む、α−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法を提供する。即ち、(1)脂肪酸エステルを三酸化硫黄でスルホン化することによりスルホン酸を得るステップと、(2)過酸化水素水を漂白剤としてステップ(1)で得たスルホン酸を漂白するステップと、(3)アルコールをエステル化剤としてステップ(2)の生成物を二次エステル化するステップと、(4)ステップ(3)の生成物を塩基で中和するステップと、(5)ステップ(4)の生成物を乾燥して粉末状製品を得るステップとを含む。
【0008】
このような方法は、以下の一つ又は複数の手段により実現される。手段1、低温条件下で連続漂白ステップを実現する。手段2、一定量のアルコールを加え、二次エステル化ステップを行う。手段3、塩基のアルコール溶液(ナトリウム(カリウム)アルコキシド溶液若しくはナトリウム(カリウム)の塩基のアルコール溶液を含む)、又は液体塩基を用いて中和ステップを行う。手段4、回転薄膜蒸発器中で乾燥ステップを実現する。
【0009】
好ましくは、ステップ(1)の脂肪酸エステルと三酸化硫黄のモル比が1:1.15〜1:1.35(好ましくは、1:1.25)であり、75℃〜85℃(好ましくは、80℃)でスルホン化し、生成したスルホン酸をツーステップでエージングし、第一のステップでは80℃〜90℃で40〜60分保持してエージングし、第二のステップでは70℃〜80℃で30〜60分保持してエージングする。
【0010】
得られたスルホン酸を直接、含有量25%〜50%(好ましくは、35%)の過酸化水素水で漂白する。過酸化水素水の用量はスルホン酸の重量の3%〜20%であり、好ましくは5%〜10%であり、より好ましくは5%〜8%である。
【0011】
ステップ(2)は、スプレーにより材料を供給することが好ましい。
【0012】
また、ステップ(2)は、回転子削膜剪断混合器により均一に混合することがより好ましい。
【0013】
また、ステップ(2)は、冷風又は常温の風により漂白プロセスで生じた熱を除くことがより好ましい。
【0014】
また、より好ましくは、漂白ではスプレー混合、回転子削膜剪断混合器により均一に混合し、強風で温度を下げる連続漂白方法を採用し、50℃〜150℃、好ましくは75℃〜90℃で行う。
【0015】
スルホン酸の漂白の後、二次エステル化が行われる(ステップ(3))。エステル化剤としてアルコールが用いられる。アルコールはC1〜C3のアルコールであってもよく、メタノールがより好ましい。加えるアルコールの量は、スルホン酸(漂白後の総重量)の75%〜200%であり、好ましくは75%〜100%であり、より好ましくは100%である。二次エステル化は還流温度で行われる。還流時間は1〜6時間である。
【0016】
ステップ(4)のスルホン酸は、水酸化ナトリウム(カリウム)水溶液、水酸化ナトリウム(カリウム)のアルコール溶液またはナトリウム(カリウム)アルコキシドで中和し、中和装置及び操作は漂白のステップと同じである。好ましくは、ステップ(4)の塩基溶液は、水酸化ナトリウムの水溶液又はアルコール溶液である。また、塩基濃度は5%〜50%であり、好ましくは10%〜30%である。中和温度は40℃〜80℃であり、好ましくは50℃〜60℃である。
【0017】
ステップ(4)は、スプレーにより材料を供給することが好ましい。
【0018】
また、ステップ(4)は、回転子削膜剪断混合器により均一に混合することが好ましい。
【0019】
また、ステップ(4)は、冷風又は常温の風により中和プロセスで生じた熱を除くことが好ましい。
【0020】
中和後に得られたペースト製品を回転薄膜蒸発器により真空下で乾燥する。乾燥条件は真空圧力50〜200mmHgで、温度50℃〜90℃である。
【発明の効果】
【0021】
本発明が採用する製造工程は、操作しやすく、コントロールしやすく、製品の品質が安定し、その製品の色あい、ジナトリウム(カリウム)塩の含有量等の指標が使用の要求を満たすものである。また、当該製造プロセスは安全性が高く、且つ製品に有害物質が残留することもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1に示されるように、本発明の工程ステップは、(1)スルホン化、(2)漂白、(3)二次エステル化、(4)中和(5)乾燥の5つの部分からなる。
【0023】
スルホン化ステップは、流下薄膜式スルホン化装置11、気液分離器12及びエージング反応器13,14からなる。空気―三酸化硫黄混合気体及び脂肪酸エステルが、それぞれパイプ15及び16を経てスルホン化装置11に送り込まれ、反応混合物が流下薄膜式スルホン化装置から流れ出て、パイプ17を経て気液分離器12に送り込まれ、排出ガスは10より排出された後、吸収処理が行われる。液体のスルホン酸がパイプ18を経てエージング反応器13に送り込まれ、一定時間後パイプ19を経てエージング反応器14に送り込まれる。
【0024】
漂白部分は、送風機20、冷凍機21,25、一次混合槽22、二次混合槽23、気体材料分離器24からなる。エージング反応器14の中のスルホン酸は、パイプ25を経て熱交換器30の中で温度が下げられる。風が送風機20を経てパイプ31を通って冷凍機に入り温度が下げられ、且つそれぞれパイプ32,35を通ってスプレーノズル28及び多段回転子削膜剪断混合器33に入る。パイプ27からの過酸化水素、パイプ26からのスルホン酸及びパイプ32からの風が一緒に一次混合槽のスプレーノズルに送り込まれ、スプレー混合が行われ、混合後、多段オリフィス板29及び下端パイプアレイ38(冷却媒体がパイプ36,39を経て循環する)を経て引き続き温度が下げられ、その後、パイプ34を通って二次混合槽23に移され、多段回転子削膜剪断混合器33で十分に混合されて均一になり、パイプ37より気体材料分離器24に入り、空気が40より排出され、ペースト製品が得られる。
【0025】
二次エステル化部分は、混合器41、反応器42,43,44、凝縮器45,46,47により構成されていてもよい。漂白されたスルホン酸がパイプ48を経てパイプ49からのメタノールと一緒に混合器41に送り込まれ、昇温された後、パイプ50,51,52を経て順次、反応器42,43,44に送り込まれて二次エステル化され、蒸発したメタノールが凝縮器45,46,47を経て還流される。二次エステル化は連続式であって、反応器上部から連続に材料が供給されて底部から連続に取り出され、最後にパイプ53より凝縮器56に入れられて温度が下げられる。
【0026】
中和部分は、送風機60、冷凍機61,78、一次混合槽62、二次混合槽63、気体材料分離器64からなる。二次エステル化後のスルホン酸は熱交換器56の中で温度が下げられる。風が送風機60を経てパイプ65を通って冷凍機に入り温度が下げられる。そして、風がパイプ76を経て、パイプ67からの塩基溶液、パイプ57からのスルホン酸と一緒に一次混合槽のスプレーノズル70に送り込まれスプレー混合が行われ、混合後、多段オリフィス板68及び下端のパイプアレイ69(冷却媒体がパイプ66,71を経て循環する)を経て引き続き温度が下げられ、その後、パイプ72を通って二次混合槽63に移され、多段回転子削膜剪断混合器73で十分に混合されて均一になり、且つパイプ77より送られてきた冷風で材料の温度が下げられる。最後に材料がパイプ74より気体材料分離器64に入り、空気が75より排出され、ペースト製品が得られる。
【0027】
本発明では回転薄膜蒸発器を選択して用い、乾燥する。当該部分は回転薄膜蒸発器81、輸送ポンプ82、貯蔵タンク83、螺旋材料供給装置84、真空ポンプ85及び凝縮器88からなる。漂白されたペースト物がパイプ86を経て貯蔵タンク83に送られ、パイプ87を経て乾燥器に送られ、乾燥された製品が螺旋材料排出装置84より排出される。
【0028】
本発明に係る方法の第一ステップは、化学式が以下のような脂肪酸エステルのスルホン化を含む。
RCH2COOR1
ここで、RはC4〜C20(好ましくは、C12〜C18のアルキル基)であり、R1はC1〜C3(好ましくは、C1〜C2)である。
【0029】
まずは、脂肪酸エステル中に三酸化硫黄を加え、中間体(II)を形成する。中間体(
II)は一種の混合酸無水物又は付加生成物であるかもしれないが、スルホン酸塩ではな
い。
【0030】
【化1】
【0031】
中間体(II)の形成は、カルボニル基に対してα位の炭素原子を活性化し、遊離した
SO3が反応し、以下に示した他の中間体(III)を生成する。中間体(III)はスルホン
酸塩でもあり、SO3の付加生成物又は混合酸無水物でもある。
【0032】
【化2】
【0033】
中間体(III)はゆるやかにSO3を放出し、α−スルホメチルエステル(4)及び
離したSO3を形成する。放出されたSO3は後に、最後のステップにおける脂肪酸メチルエステル(I)または中間体(II)との反応に用いることができる。
【0034】
【化3】
【0035】
大部分の(I)を(IV)に転化するために、十分に過度な量のSO3を加えて大量の
中間体(III)を形成させなければならず、その中間体(III)が、必要とされる遊離SO3をゆるやかに形成し、スルホン化反応を完全に行わせる。従って、スルホン化反応で投入される材料のモル比は、およそ1:1.15〜1.35が適切である。
【0036】
また、スルホン化反応のプロセスでは、他のいくつかの副反応も付随しており、これには、例えば、不飽和結合のアルケンが三酸化硫黄とスルトンを形成することや、ジスルホ生成物及び他のいくつかの有色物質が含まれる。
【0037】
スルホン酸の一定時間のエージング後も、依然として相当量の中間体(III)が存在しており、塩基での中和または過酸化水素水での漂白は、エステル基の加水分解を引き起こす。
【0038】
過酸化水素水の存在時
【化4】
【0039】
水酸化ナトリウムの存在時
【化5】
【0040】
生成物(IV)はα−スルホ脂肪酸エステル塩製品であり、その中に一定のジナトリウ
ム(カリウム)塩(V)が含まれる。このような物質の生成を低減するために、二次エ
ステル化を行うことは不可欠であり、アルコールの作用で、再びエステル化反応が生じる。
【0041】
【化6】
【0042】
漂白した後にエステル化するのには長所があり、硫酸エステル及びエーテルの生成が避けられる。前者は毒性が高く、日用化学原料に用いられない。後者は燃えやすく且つ爆発しやすく、空気中で一定の濃度に達した際、非常に危険である。
【0043】
中和反応の系においては、局部の塩基濃度が高すぎ、またはPHが9より大きいと、加水分解の速度が大幅に速くなる。従って、加水分解を引き起こす局部的の高いPH値及び高温の発生を避けるために、中和する際、スルホン酸と塩基溶液の混合は速く且つ均一に行わなければならない。
【0044】
(スルホン化)
図1に示されるように、本発明に係る方法のスルホン化ステップは、好ましくは、流下薄膜式スルホン化装置11、気液分離器12及びエージング反応器13、14を用いて構成される。
【0045】
空気―三酸化硫黄混合気体及び脂肪酸エステルが、それぞれパイプ15及び16を経てスルホン化装置11に送り込まれ、反応混合物がスルホン化装置から流れ出て、パイプ17を経て気液分離器12に送り込まれ、液体のスルホン酸がパイプ18を経てエージング反応器13に送り込まれ、一定時間後パイプ19を経てエージング反応器14に送り込まれる。
【0046】
スルホン化ステップはα−スルホ脂肪酸エステル塩の製造のポイントである。主な指標には、遊離油、副生成物及び色あいがある。三者は互いに関連し、スルホン化の程度が低ければ、製品の色あいがよく、副生成物も少ないが、遊離油の含有量がより高い。スルホン化の程度が高ければ、遊離油の含有量は低いが、副生成物が多く、製品の色あいが濃い。綜合的に考慮して、遊離油の指標を主として、他の二つの指標を補助的なものとし、適当に両方とも配慮しなければならない。スルホン化の条件の中で、主要なのは原料の投入比(エステル:三酸化硫黄及び空気:三酸化硫黄)、スルホン化温度、エージングの時間及び温度である。
【0047】
本発明の好ましいスルホン化の条件は、脂肪酸エステルと三酸化硫黄のモル比が1:1.15〜1:1.35であり、スルホン化温度が75℃〜85℃(好ましくは80℃)であり、第一のステップでは、80℃〜90℃で40〜60分エージングし、第二のステップでは、70℃〜80℃で30〜60分エージングすることが含まれる。
【0048】
(漂白)
本発明に係る方法の漂白ステップには、図1で示した反応システムを用いることができる。当該システムは連続式且つ低温下での漂白であり、比較的短い時間で漂白ステップを完成させる。漂白の効果は主に温度、漂白剤の使用量、作用時間等の要素に影響され、これらのなかで温度が最も重要である。当該漂白反応は発熱反応であり、反応が迅速で、且つ発熱量が大きく、コントロールしにくい。初期温度のコントロールも重要で、温度が低ければ、反応の進行が遅く、漂白の効果もよくない。一方、温度が高すぎれば、反応のスタートは速いが、短時間で大量の熱量を取り除くのが難しく、漂白の効果にも影響がある。従って、温度のコントロール、反応熱の速やかな除去が、漂白反応の効果を決定するポイントである。
【0049】
理論上、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、オゾン等、様々なの酸化剤を漂白剤に用いることができる。次亜塩素酸ナトリウム溶液は、有効含有量が低く、水の占めるパーセンテージが大きく、水が多いほど反応の熱量が多くなり、反応に不利である。オゾンは酸化能力が強く、成分が単一であるが、製造量が比較的少なく、生産の要求を満たすのが困難である。過酸化水素を漂白剤とするのは比較的理想的である。過酸化水素は酸化能力が強いだけでなく、分解後も水のみが生成し、且つ原料のコストも比較的低い。本発明では、好ましくは、過酸化水素を漂白剤とする。
【0050】
試験からすると、どのような漂白方式を採用するかがより重要である。スルホン酸は水に触れると、半固体状を呈し、比較的高温度でも粘度が非常に大きく、大量のアルコールの存在下でも、材料の移動が非常に難しい。本発明で設計した装置は、低温、瞬時、連続的な条件で、漂白を行う。反応の発熱量が大きいという特徴に基づき、強風で温度を下げる方法を採用し、低温媒体を利用して混合器キャビティに対して強力に降温を行う。
【0051】
図1に示されるように、漂白部分は送風機20、冷凍機21,25、一次混合槽22、二次混合槽23、気体材料分離器24からなる。
【0052】
エージング反応器14の中のスルホン酸がパイプ25を経て熱交換器30の中で温度が下げられる。風が送風機20を経てパイプ31を通って冷凍機に入り温度が下げられ、且つそれぞれパイプ32、35を通ってスプレーノズル28及び多級回転子削膜剪断混合器に入る。パイプ27からの過酸化水素、パイプ26からのスルホン酸及びパイプ32からの風が一緒に一次混合槽のスプレーノズルに送り込まれスプレー混合が行われ、混合後、多段オリフィス板29及び下端のパイプアレイ38を経て引き続き温度が下げられ、その後、パイプ34を通って二次混合槽23に移され、多級回転子削膜剪断混合器33で十分に混合されて均一になり、パイプ37より気体材料分離器24に入り、ペースト製品が得られる。この漂白ステップの温度は50℃〜150℃であり、好ましくは75℃〜90℃である。
【0053】
図6乃至図10に示されるように、工業用過酸化水素水には、25%、33%、50%、70%等の様々な種類がある。試験によると、過酸化水素水の含有量が低ければ、漂白の効果はよくない。一方、含有量が高ければ、色が濃くなる。本発明の過酸化水素水の含有量は25%〜50%であり、好ましくは35%である。
【0054】
漂白剤の用量は漂白効果に比較的大きな影響を与える。試験結果は、漂白剤の用量が多すぎても少なすぎても漂白によくないことを示している。これも法則に符合し、漂白剤の用量が少なすぎると、濃度が低く、酸化能力が不足して、漂白の効果が自然と悪くなる。一方、漂白剤の用量が多すぎると、濃度が高く、酸化が進みすぎる虞があり、より多くの副生成物を生成し、成分が複雑化し、漂白の効果が自然と悪くなる。従って、合理的に漂白剤の用量を選択することが非常に重要である。本発明の過酸化水素水の用量は、スルホン酸の重量の3%〜20%であり、好ましくは5%〜10%であり、より好ましくは5%〜8%である。
【0055】
本発明は直接、過酸化水素水でスルホン酸を漂白し、副生成物が少なく、システムの圧力及び温度も比較的低く、比較的高い安全性を備える。過酸化水素が若干過量であり、漂白後、依然として一部残存していれば、後のステップで除くことができる。
【0056】
(二次エステル化)
当該脂肪酸エステルのスルホン化反応メカニズムの特殊性により、ジナトリウム(カリウム)塩の一部生成を防ぐことができず、また、漂白ステップでも一定量のジナトリウム(カリウム)塩が生成する。大量のアルコールの作用の下で二次エステル化することにより、この問題を比較的うまく解決することができる。試験の結果からみて、二次エステル化の効果は、主にメタノールの占める割合及び反応時間によって影響される。反応系自体が強酸性なので、余計な酸性触媒を要さない。当該系においては、漂白ステップを行った際に、一定量の水が生成するので、当該ステップの二次エステル化に一定の影響がある。従って、漂白の際、加える過酸化水素水の量をできるだけ低減することも本ステップの要求である。エステル化のプロセスが、遊離油の量及び製品の色あいに与える影響は明らかではなく、これはエステル化のプロセスでスルホン酸が安定であることを説明している。
【0057】
図1に示されるように、二次エステル化部分は、混合器41、反応器42,43,44、凝縮器45,46,47で構成できる。
【0058】
漂白されたスルホン酸が、パイプ48を経てパイプ49からのメタノールと一緒に混合器41に送り込まれ、昇温された後、パイプ50,51,52を経て順次、反応器42,43,44に送り込まれて二次エステル化され、蒸発したメタノールが凝縮器45,46,47を経て還流される。二次エステル化は連続式であって、反応器上部から連続に材料が供給されて底部から連続に取り出され、最後にパイプ53より凝縮器56に入れられて温度が下げられる。
【0059】
エステル化反応で、アルコールの割合を増やすことは反応に有利であるが、過度のアルコールは後の乾燥によくないので、適切な量にしなければならない。本発明では、好ましくはメタノールを選択し、その加える量はスルホン酸の量の75%〜200%(最も好ましくは100%である)を占める。エステル化反応の時間が長いほどジナトリウム(カリウム)塩の含有量が低くくなり、その時間は製品の品質に対する要求によって決まり、一般的に1〜6時間で、ジナトリウム(カリウム)塩の含有量を約5%に低減できる。
【0060】
(中和)
本発明では、スルホン化後の中和は、液体の水酸化物を用いてスルホン酸と反応させるものである。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムで中和する。溶媒は水でもよく、アルコールであってもよい。二次エステル化後の材料混合物には大量のアルコールが含まれるので、後の乾燥及びアルコールの純化を考慮して、中和する際、アルコール系を保持するのが最も合理的である。中和の際、水酸化物のアルコール溶液を用いてもよく、ナトリウム(カリウム)アルコキシド溶液を用いてもよい。本発明では、好ましくは、5%〜50%の水酸化ナトリウム(カリウム)のアルコール溶液が用いられる。中和反応の温度は40℃〜80℃であり、好ましくは40℃〜50℃である。中和後のスルホン酸塩のPH値は7〜8に制御される。
【0061】
図1に示される本発明の中和ステップでは、塩基のアルコール溶液(ナトリウムアルコキシド溶液若しくはナトリウムの塩基ののアルコール溶液を含む)、又は液体塩基を用いて、パイプ57を経た熱交換器56からの流出物が中和される。
【0062】
中和部分は、送風機60、冷凍機61,78、一次混合槽62、二次混合槽63、気体材料分離器64からなる。
【0063】
二次エステル化後のスルホン酸は、熱交換器56の中で温度が下げられる。風が送風機60を経てパイプ65を通って冷凍機に入り温度が下げられる。そして、風がパイプ76を経て、パイプ67からの塩基溶液、パイプ57からのスルホン酸と一緒に一次混合槽のスプレーノズル70に送り込まれスプレー混合が行われ、混合後、多段オリフィス板68及び下端のパイプアレイ69を経て引き続き温度が下げられ、その後、パイプ72を通って二次混合槽63に移され、多段回転子削膜剪断混合器73で十分に混合されて均一になり、且つパイプ77より送られてきた冷風で材料の温度が下げられる。最後に材料がパイプ74より気体材料分離器64に入り、ペースト製品が得られる。
【0064】
中和反応は40℃〜80℃で行われる。
【0065】
(乾燥)
α−スルホ脂肪酸エステル塩は熱された状態で半固体状を呈し、粘度が非常に大きくて流動し難く、比較的高い温度で乾燥すると、ジナトリウム(カリウム)塩の生成量が増え、同時に製品の色あいが濃くなる。
【0066】
本発明では、好ましくは回転薄膜蒸発器により乾燥する。当該部分は回転薄膜蒸発器81、輸送ポンプ82、貯蔵タンク83、螺旋材料供給装置84、真空ポンプ85及び凝縮器88からなる。
【0067】
漂白されたペースト物がパイプ86を経て貯蔵タンク83に送られ、パイプ87を経て乾燥器に送られ、乾燥された製品が螺旋材料排出装置84より排出される。
【0068】
本発明の乾燥の条件は、真空圧力50〜200mmHgであり、温度50℃〜80℃である。
【0069】
以下の詳細な実施例により本発明を更に説明するが、これらは本発明を制限するものではない。
【実施例1】
【0070】
(a−スルホン酸メチルナトリウム塩の製造)
原料
1.脂肪酸メチルエステル 自社製
主な技術的指標
(1) 炭素鎖の分布
C14 2%
C16 81%
C18 17%
(2) 平均分子量 377
(3) ヨウ素数 <0.3
(4) 酸価 <1.0
(5) 鹸化できない成分 <1.0
(6) 鹸化価 198
2.三酸化硫黄 硫黄の燃焼より製造
3.過酸化水素水 工業級33%
4.メタノール 工業級
5.水酸化ナトリウム 工業級98%
【0071】
(方法)
図1に示される流下薄膜式スルホン化装置12は、14枚の内径30mm、長さ6000mmのスルホン化パイプからなる。パイプ16からの液体の脂肪酸メチルエステルが、均一に各スルホン化パイプの内壁に分布し、三酸化硫黄―空気の混合気体が各パイプに送られ、気体と液体が一緒にスルホン化パイプに沿って下へと流動し、流動過程で、脂肪酸エステルが三酸化硫黄とスルホン化反応を起こし、スルホン酸混合物が反応器の底部からパイプ17を経て気液分離器12に流入し、余分な気体が高圧静電除霧器および塩基溶液で吸収される。スルホン酸の液体はパイプ18を経てエージング反応器13に流入し、スルホン酸はここで80℃〜90℃で40分間エージングされ、その後、パイプ19を経てもう一方のエージング反応器14に流入し、70℃〜80℃で30〜40分間エージングされる。
【0072】
エージングされたスルホン酸は次の漂白ステップに入る。スルホン酸はパイプ26を経て、パイプ27からの過酸化水素水及びパイプ35からの冷風と一緒にスプレー混合器4に送られる。ここでスルホン酸総量の約8%の過酸化水素(含有量33%)を用い低温漂白が行われる。過酸化水素水及びスルホン酸はそれぞれ二台の計量ポンプによって導入される。
【0073】
漂白されたスルホン酸に二次エステル化を行い、パイプ48,49によりスルホン酸及びメタノールを混合器41にそれぞれ送り込む。ここで溶解し且つ温度を60℃まで昇温し、その後、順次、パイプを経て反応器42,43,44に送られ、約80℃で還流反応を行う。上端が材料の供給口、下端が材料の排出口であり、供給口から排出口までの時間の間隔が反応時間である。この反応は連続運転方式である。
【0074】
中和については、スルホン酸メタノール混合溶液及び15%の水酸化ナトリウムメタノール溶液をそれぞれ計量ポンプで一次混合槽及び二次混合槽に導入して中和し、PH7〜8まで中和する。
【0075】
乾燥については、ペースト物をスクリューポンプで回転薄膜蒸発器の上端の貯蔵桶に導入し、真空の吸引力で、材料が自動的に蒸発器に流入する。乾燥した材料は蒸発器の底部に溜まり、螺旋材料排出装置で排出され、更なる冷却の後、粉砕器で粉末に粉砕される。
【0076】
試験プロセスにおける工程パラメーターは表1に示される。
【表1】
【実施例2】
【0077】
(漂白試験)
本実施例で使用したスルホン酸、試作設備及び工程は実施例1と同じである。過酸化水素水を漂白剤として液体混合ポンプで連続的に漂白し、反応温度の漂白効果に対する影響について試験した。
【0078】
加えた過酸化水素水の量は、スルホン酸の8%で濃度が35%である。試験温度は50℃、60℃、75℃、90℃、120℃、150℃で、漂白時間は約1〜5分間である。
【0079】
色あい測定は、ヨウ化カリウム−ヨウ素標準溶液目視比色法(以下、同じ)を採用した。サンプルを活性物5%のアルコール溶液にし、100mlのヨウ化カリウム−ヨウ素標準溶液が含む遊離ヨウ素のmg数をヨウ素の色度として、サンプルの色あいを表示する。試験の結果を図6に示す。
【0080】
試験の結果からみて、温度が低ければ、漂白反応の進行はゆっくりで、漂白後の製品の色はやや濃い。温度が75℃より高ければ、漂白反応は比較的速く進むことができ、漂白の効果もよい。75℃〜150℃では、製品の色あいから見て、大きな差異はない。
【実施例3】
【0081】
(漂白試験)
本実施例で使用したスルホン酸、試作設備及び工程は実施例1と同じである。過酸化水素水を漂白剤として液体混合ポンプで連続的に漂白し、過酸化水素水の濃度が漂白の効果に与える影響について試験した。
【0082】
加えた過酸化水素水の量は、スルホン酸の2%(純粋な過酸化水素の量)で、試験濃度は25%、30%、35%、40%、50%、70%であり、漂白温度は85℃で、漂白時間は約1〜5分間である。試験の結果を図7に示す。
【0083】
試験の結果からみて、過酸化水素水の濃度が25%及び70%のとき、漂白の効果が少し弱い。過酸化水素の濃度が高ければ、反応が非常に激しいで、副反応が発生しやすく、漂白の効果に影響する。
【実施例4】
【0084】
(漂白試験)
本実施例で使用したスルホン酸、試作設備及び工程は実施例1と同じである。過酸化水素水を漂白剤として液体混合ポンプで連続的に漂白し、過酸化水素水の用量が漂白の効果に与える影響について試験した。
【0085】
過酸化水素水の試験濃度は35%で、加えた量はスルホン酸の3%、5%、8%、10%、20%であり、漂白温度は85℃で、漂白時間は約1〜5分間である。試験の結果を図8に示す。
【0086】
試験の結果からみて、加える過酸化水素水の量は、スルホン酸の5%〜10%が適当である。
【実施例5】
【0087】
(漂白試験)
本実施例で使用したスルホン酸、試作設備及び工程は実施例1と同じである。過酸化水素水を漂白剤として液体混合ポンプで連続的に漂白し、反応温度がジナトリウム塩の含有量に与える影響について試験した。
【0088】
過酸化水素水の濃度は35%で、用量はスルホン酸の量の8%であり、試験温度はそれぞれ50℃、60℃、75℃、90℃、120℃、150℃で、漂白時間は約1〜5分間である。試験の結果を図9に示す。
【0089】
試験の結果からみて、温度が高いほど、生成したジナトリウム塩も多くなっている。従って、漂白プロセスでは、できるだけ漂白温度を下げなければならない。
【実施例6】
【0090】
(二次エステル化試験)
本実施例で使用したスルホン酸、試作設備及び工程は実施例1と同じである。二次エステル化するときのアルコールの用量がジナトリウム塩の含有量に与える影響について試験した。
【0091】
メタノールをエステル化剤とし、加えた量はスルホン酸(漂白)の30%、50%、75%、100%、150%、200%であり、エステル化温度は還流温度で、エステル化時間は2時間である。試験の結果を図10に示す。
【0092】
試験の結果からみて、加えたアルコールの量が多いほどエステル化反応に有利的だが、加えた量が80%以上であるとき、ジナトリウム塩の含有量の変化が小さくなる。アルコールの用量が多すぎると、後の乾燥処理の作業量が増加する。総合に考えると、加えるアルコールの量は、スルホン酸の量の75%〜150%が適当である。
【実施例7】
【0093】
(二次エステル化試験)
本実施例で使用したスルホン酸、試作設備及び工程は実施例1と同じである。二次エステル化するときのエステル化時間がジナトリウム塩の含有量に与える影響について試験した。
【0094】
メタノールをエステル化剤とし、加えた量はスルホン酸(漂白)の100%であり、エステル化温度は還流温度で、エステル化時間は1、2、3、4、5、6、7時間である。試験の結果を図11に示す。
【0095】
試験の結果からみて、エステル化の時間が長いほどジナトリウム塩の含有量は低くなるが、ジナトリウム塩の含有量が5%に減少したとき、エステル化反応はいっそう困難になる。
【実施例8】
【0096】
(中和試験)
本実施例で使用したスルホン酸、試作設備及び工程は実施例1と同じである。塩基で中和するときの反応温度がジナトリウム塩の含有量に与える影響について試験した。
【0097】
中和に用いた塩基は15%の水酸化ナトリウムメタノール溶液であり、スルホン酸塩のPH値は8で、中和反応の温度はそれぞれ40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃である。試験の結果を図12に示す。
【0098】
試験の結果からみて、反応温度が低いほど、スルホン酸塩の含有量が低くなる。50℃より低いのは工程上、実現しがたく、一般的には中和反応温度を50℃〜60℃にコントロールするのが適当である。
【実施例9】
【0099】
(中和試験)
本実施例で使用したスルホン酸、試作設備及び工程は実施例1と同じである。塩基で中和するときの塩基濃度がジナトリウム塩の含有量に与える影響について試験した。
【0100】
塩基中和温度が60℃、水酸化ナトリウム溶液の濃度がそれぞれ5%、8%、10%、15%、20%、30%、40%、50%で、中和後のジナトリウム塩の含有量の変化状況について試験した。試験の結果を図13に示す。
【0101】
数値からみると、薄い溶液が製品の品質に対して有利であり、塩基で中和するときの温度溶液の濃度が高すぎると、ジナトリウム塩の含有量は中和により増加する。溶液が薄すぎるのも乾燥によくない。一般的には濃度10%〜30%が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明に係るα−スルホ脂肪酸エステル塩の製造プロセスのフロー図。該工程のフローは、スルホン化、漂白、二次エステル化、中和及び乾燥の五つの部分を分けられる。
【図2】本発明のスプレーノズルの概略図。
【図3】本発明のオリフィス板の概略図。
【図4】本発明の固定子風板の概略図。
【図5】本発明の回転子削膜板の概略図。図4及び図5を組み合わせて、一段の回転子削膜剪断混合器が構成される。回転子削膜剪断混合器の段数は、反応の状況に応じて決められ、一般的には3〜50の間である。
【図6】実施例2における、過酸化水素水がそれぞれ50℃、60℃、75℃、90℃、120℃、150℃のときの、スルホン酸の漂白後の色の変化状況。図中、T(℃)は漂白温度を示し、K(mgI2/100ml)は色あいを示す。
【図7】実施例3における、過酸化水素水が85℃で、濃度がそれぞれ25%、30%、35%、40%、50%、70%のときの、スルホン酸の漂白後の色の変化状況。図中、C(%)は濃度を示し、K(mgI2/100ml)は色あいを示す。
【図8】実施例4における、過酸化水素水が85℃であり、濃度35%で、用量がそれぞれスルホン酸の3%、5%、8%、10%、20%のときの、スルホン酸の漂白後の色の変化状況。図中、X(%)は過酸化水素水の重量パーセントを示し、K(mgI2/100ml)は色あいを示す。
【図9】実施例5における、過酸化水素水がそれぞれ60℃、75℃、85℃、120℃、150℃のときの、スルホン酸の漂白後のジナトリウム塩の変化状況。図中、T(℃)は温度を示し、X(%)はジナトリウム塩の含有量を示す。
【図10】実施例6における、エステル化剤の用量がそれぞれスルホン酸の30%、50%、75%、100%、150%、200%のときの、製品中のジナトリウム塩の含有量に与える影響。V(%)はエステル化剤のスルホン酸の量に対して占めるパーセンテージを示し、X(%)はジナトリウム塩の含有量を示している。
【図11】実施例7における、エステル化時間がそれぞれ1、2、3、4、5、6、7時間のときの、製品中のジナトリウム塩の含有量に与える影響。図中、t(hr)はエステル化時間を示し、X(%)はジナトリウム塩の含有量を示している。
【図12】実施例8における、塩基中和温度がそれぞれ50℃、60℃、70℃、80℃、90℃のときの、中和後のジナトリウム塩の変化状況。図中、T(℃)は温度を示し、X(%)はジナトリウム塩の含有量を示している。
【図13】実施例9における、塩基中和温度が60℃で、水酸化ナトリウム溶液の濃度がそれぞれ5%、8%、10%、15%、20%、30%、40%、50%のときの、中和後のジナトリウム塩の変化状況。図中、C(%)は水酸化ナトリウム溶液の濃度を示し、X(%)はジナトリウム塩の含有量を示している。
【技術分野】
【0001】
本発明は界面活性剤分野に属し、α−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法に係る。
【背景技術】
【0002】
α−スルホ脂肪酸エステル塩は優良な界面活性剤であり、耐硬水性が強く、よい生物分解性等の特徴を持ち、日用化学工業及び選鉱等の産業に用いることができる。
【0003】
脂肪酸エステルのスルホン化には、一般に流下薄膜式スルホン化装置を用い、脂肪酸エステルを三酸化硫黄と反応させ、スルホン酸を得る。このような方法により得たスルホン酸は、一般に色が比較的濃く、最終製品の外観に直接影響し、人々に受け入れられない。通常は漂白処理を経ることが必要であり、製品の色あいをできるだけ薄くさせる。中和後のスルホン酸製品は一般的に、活性物の含有量が30%〜50%のペースト物である。ペースト物は大量運送に適応しておらず、また粉末状の洗浄製品の製造にも適応しておらず、それを乾燥させて粉末状にする、又は直接的に粉末状製品の配合に用いられるのが最も理想的である。また、このスルホン化反応の特殊性により、人々が望まないジナトリウム(カリウム)塩の生成を防ぐことができず、ジナトリウム(カリウム)塩の含有量をできるかぎり低減させるのに、二次エステル化が不可欠となる。理想的なα−スルホ脂肪酸エステル塩製品の生産には以上の問題がある。
【0004】
既に開示されている脂肪酸エステルのスルホン化方法にはかなりの努力がなされているが、遊離油の含有量と色あいとの矛盾に対する解決があまり理想ではなく、往々にしてあちらを立てればこちらが立たずといった状態になってしまう。遊離油の含有量を低減しようとすると、製品の色あいが濃くなり、製品の色あいを保証しようとすると、遊離油の含有量が増加する。漂白工程では、多くは漂白と二次エステル化のワン・ステップ法を採用し、アルコール系、90℃以上の高温で、過酸化水素を用いて漂白する。例えば、中国特許第94115317.7号、第00133161.2号、米国特許第5587500号である。これらの方法は、アルコールの沸点より遥かに高い温度で実施されるものであり、過酸化水素のこの温度での迅速な分解も加わって、循環システムは不可避的に高圧下で行われる。例えば、エーテル及び硫酸エステルの生成など、反応過程に伴う一連の副反応もある。エーテル類は危険性が高く、燃えやすく爆発しやすく、処理が不適当であれば安全上の事故をすごく引き起こしやすい。硫酸エステルは毒性が比較的高く、除去しにくく、製品に残留すると、使用の安全上よくない。また、大量のアルコールの存在も製品の漂白速度及び漂白効果に影響する。ステンレス鋼設備内にバッチ式で過酸化水素を通過させてスルホン酸を漂白する人もいるが、生成物の高い粘度及び漂白反応の高い発熱量により、漂白反応がコントロールしにくく、漂白効果及び製品品質の安定性に直接影響する。
【0005】
α−スルホ脂肪酸エステル塩の温度に対する高いセンシティビティー及び高い粘度により、その色あい、ジナトリウム(カリウム)塩の含有量を保証するという前提下で、固体状に乾燥させることにさえ一定の困難がある。
【特許文献1】中国特許第94115317.7号
【特許文献2】中国特許第00133161.2号
【特許文献3】中国特許第5587500号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、安全性が高く、製品の色あいがよく、反応過程のコントロールがしやすい、新しいα−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のステップを含む、α−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法を提供する。即ち、(1)脂肪酸エステルを三酸化硫黄でスルホン化することによりスルホン酸を得るステップと、(2)過酸化水素水を漂白剤としてステップ(1)で得たスルホン酸を漂白するステップと、(3)アルコールをエステル化剤としてステップ(2)の生成物を二次エステル化するステップと、(4)ステップ(3)の生成物を塩基で中和するステップと、(5)ステップ(4)の生成物を乾燥して粉末状製品を得るステップとを含む。
【0008】
このような方法は、以下の一つ又は複数の手段により実現される。手段1、低温条件下で連続漂白ステップを実現する。手段2、一定量のアルコールを加え、二次エステル化ステップを行う。手段3、塩基のアルコール溶液(ナトリウム(カリウム)アルコキシド溶液若しくはナトリウム(カリウム)の塩基のアルコール溶液を含む)、又は液体塩基を用いて中和ステップを行う。手段4、回転薄膜蒸発器中で乾燥ステップを実現する。
【0009】
好ましくは、ステップ(1)の脂肪酸エステルと三酸化硫黄のモル比が1:1.15〜1:1.35(好ましくは、1:1.25)であり、75℃〜85℃(好ましくは、80℃)でスルホン化し、生成したスルホン酸をツーステップでエージングし、第一のステップでは80℃〜90℃で40〜60分保持してエージングし、第二のステップでは70℃〜80℃で30〜60分保持してエージングする。
【0010】
得られたスルホン酸を直接、含有量25%〜50%(好ましくは、35%)の過酸化水素水で漂白する。過酸化水素水の用量はスルホン酸の重量の3%〜20%であり、好ましくは5%〜10%であり、より好ましくは5%〜8%である。
【0011】
ステップ(2)は、スプレーにより材料を供給することが好ましい。
【0012】
また、ステップ(2)は、回転子削膜剪断混合器により均一に混合することがより好ましい。
【0013】
また、ステップ(2)は、冷風又は常温の風により漂白プロセスで生じた熱を除くことがより好ましい。
【0014】
また、より好ましくは、漂白ではスプレー混合、回転子削膜剪断混合器により均一に混合し、強風で温度を下げる連続漂白方法を採用し、50℃〜150℃、好ましくは75℃〜90℃で行う。
【0015】
スルホン酸の漂白の後、二次エステル化が行われる(ステップ(3))。エステル化剤としてアルコールが用いられる。アルコールはC1〜C3のアルコールであってもよく、メタノールがより好ましい。加えるアルコールの量は、スルホン酸(漂白後の総重量)の75%〜200%であり、好ましくは75%〜100%であり、より好ましくは100%である。二次エステル化は還流温度で行われる。還流時間は1〜6時間である。
【0016】
ステップ(4)のスルホン酸は、水酸化ナトリウム(カリウム)水溶液、水酸化ナトリウム(カリウム)のアルコール溶液またはナトリウム(カリウム)アルコキシドで中和し、中和装置及び操作は漂白のステップと同じである。好ましくは、ステップ(4)の塩基溶液は、水酸化ナトリウムの水溶液又はアルコール溶液である。また、塩基濃度は5%〜50%であり、好ましくは10%〜30%である。中和温度は40℃〜80℃であり、好ましくは50℃〜60℃である。
【0017】
ステップ(4)は、スプレーにより材料を供給することが好ましい。
【0018】
また、ステップ(4)は、回転子削膜剪断混合器により均一に混合することが好ましい。
【0019】
また、ステップ(4)は、冷風又は常温の風により中和プロセスで生じた熱を除くことが好ましい。
【0020】
中和後に得られたペースト製品を回転薄膜蒸発器により真空下で乾燥する。乾燥条件は真空圧力50〜200mmHgで、温度50℃〜90℃である。
【発明の効果】
【0021】
本発明が採用する製造工程は、操作しやすく、コントロールしやすく、製品の品質が安定し、その製品の色あい、ジナトリウム(カリウム)塩の含有量等の指標が使用の要求を満たすものである。また、当該製造プロセスは安全性が高く、且つ製品に有害物質が残留することもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1に示されるように、本発明の工程ステップは、(1)スルホン化、(2)漂白、(3)二次エステル化、(4)中和(5)乾燥の5つの部分からなる。
【0023】
スルホン化ステップは、流下薄膜式スルホン化装置11、気液分離器12及びエージング反応器13,14からなる。空気―三酸化硫黄混合気体及び脂肪酸エステルが、それぞれパイプ15及び16を経てスルホン化装置11に送り込まれ、反応混合物が流下薄膜式スルホン化装置から流れ出て、パイプ17を経て気液分離器12に送り込まれ、排出ガスは10より排出された後、吸収処理が行われる。液体のスルホン酸がパイプ18を経てエージング反応器13に送り込まれ、一定時間後パイプ19を経てエージング反応器14に送り込まれる。
【0024】
漂白部分は、送風機20、冷凍機21,25、一次混合槽22、二次混合槽23、気体材料分離器24からなる。エージング反応器14の中のスルホン酸は、パイプ25を経て熱交換器30の中で温度が下げられる。風が送風機20を経てパイプ31を通って冷凍機に入り温度が下げられ、且つそれぞれパイプ32,35を通ってスプレーノズル28及び多段回転子削膜剪断混合器33に入る。パイプ27からの過酸化水素、パイプ26からのスルホン酸及びパイプ32からの風が一緒に一次混合槽のスプレーノズルに送り込まれ、スプレー混合が行われ、混合後、多段オリフィス板29及び下端パイプアレイ38(冷却媒体がパイプ36,39を経て循環する)を経て引き続き温度が下げられ、その後、パイプ34を通って二次混合槽23に移され、多段回転子削膜剪断混合器33で十分に混合されて均一になり、パイプ37より気体材料分離器24に入り、空気が40より排出され、ペースト製品が得られる。
【0025】
二次エステル化部分は、混合器41、反応器42,43,44、凝縮器45,46,47により構成されていてもよい。漂白されたスルホン酸がパイプ48を経てパイプ49からのメタノールと一緒に混合器41に送り込まれ、昇温された後、パイプ50,51,52を経て順次、反応器42,43,44に送り込まれて二次エステル化され、蒸発したメタノールが凝縮器45,46,47を経て還流される。二次エステル化は連続式であって、反応器上部から連続に材料が供給されて底部から連続に取り出され、最後にパイプ53より凝縮器56に入れられて温度が下げられる。
【0026】
中和部分は、送風機60、冷凍機61,78、一次混合槽62、二次混合槽63、気体材料分離器64からなる。二次エステル化後のスルホン酸は熱交換器56の中で温度が下げられる。風が送風機60を経てパイプ65を通って冷凍機に入り温度が下げられる。そして、風がパイプ76を経て、パイプ67からの塩基溶液、パイプ57からのスルホン酸と一緒に一次混合槽のスプレーノズル70に送り込まれスプレー混合が行われ、混合後、多段オリフィス板68及び下端のパイプアレイ69(冷却媒体がパイプ66,71を経て循環する)を経て引き続き温度が下げられ、その後、パイプ72を通って二次混合槽63に移され、多段回転子削膜剪断混合器73で十分に混合されて均一になり、且つパイプ77より送られてきた冷風で材料の温度が下げられる。最後に材料がパイプ74より気体材料分離器64に入り、空気が75より排出され、ペースト製品が得られる。
【0027】
本発明では回転薄膜蒸発器を選択して用い、乾燥する。当該部分は回転薄膜蒸発器81、輸送ポンプ82、貯蔵タンク83、螺旋材料供給装置84、真空ポンプ85及び凝縮器88からなる。漂白されたペースト物がパイプ86を経て貯蔵タンク83に送られ、パイプ87を経て乾燥器に送られ、乾燥された製品が螺旋材料排出装置84より排出される。
【0028】
本発明に係る方法の第一ステップは、化学式が以下のような脂肪酸エステルのスルホン化を含む。
RCH2COOR1
ここで、RはC4〜C20(好ましくは、C12〜C18のアルキル基)であり、R1はC1〜C3(好ましくは、C1〜C2)である。
【0029】
まずは、脂肪酸エステル中に三酸化硫黄を加え、中間体(II)を形成する。中間体(
II)は一種の混合酸無水物又は付加生成物であるかもしれないが、スルホン酸塩ではな
い。
【0030】
【化1】
【0031】
中間体(II)の形成は、カルボニル基に対してα位の炭素原子を活性化し、遊離した
SO3が反応し、以下に示した他の中間体(III)を生成する。中間体(III)はスルホン
酸塩でもあり、SO3の付加生成物又は混合酸無水物でもある。
【0032】
【化2】
【0033】
中間体(III)はゆるやかにSO3を放出し、α−スルホメチルエステル(4)及び
離したSO3を形成する。放出されたSO3は後に、最後のステップにおける脂肪酸メチルエステル(I)または中間体(II)との反応に用いることができる。
【0034】
【化3】
【0035】
大部分の(I)を(IV)に転化するために、十分に過度な量のSO3を加えて大量の
中間体(III)を形成させなければならず、その中間体(III)が、必要とされる遊離SO3をゆるやかに形成し、スルホン化反応を完全に行わせる。従って、スルホン化反応で投入される材料のモル比は、およそ1:1.15〜1.35が適切である。
【0036】
また、スルホン化反応のプロセスでは、他のいくつかの副反応も付随しており、これには、例えば、不飽和結合のアルケンが三酸化硫黄とスルトンを形成することや、ジスルホ生成物及び他のいくつかの有色物質が含まれる。
【0037】
スルホン酸の一定時間のエージング後も、依然として相当量の中間体(III)が存在しており、塩基での中和または過酸化水素水での漂白は、エステル基の加水分解を引き起こす。
【0038】
過酸化水素水の存在時
【化4】
【0039】
水酸化ナトリウムの存在時
【化5】
【0040】
生成物(IV)はα−スルホ脂肪酸エステル塩製品であり、その中に一定のジナトリウ
ム(カリウム)塩(V)が含まれる。このような物質の生成を低減するために、二次エ
ステル化を行うことは不可欠であり、アルコールの作用で、再びエステル化反応が生じる。
【0041】
【化6】
【0042】
漂白した後にエステル化するのには長所があり、硫酸エステル及びエーテルの生成が避けられる。前者は毒性が高く、日用化学原料に用いられない。後者は燃えやすく且つ爆発しやすく、空気中で一定の濃度に達した際、非常に危険である。
【0043】
中和反応の系においては、局部の塩基濃度が高すぎ、またはPHが9より大きいと、加水分解の速度が大幅に速くなる。従って、加水分解を引き起こす局部的の高いPH値及び高温の発生を避けるために、中和する際、スルホン酸と塩基溶液の混合は速く且つ均一に行わなければならない。
【0044】
(スルホン化)
図1に示されるように、本発明に係る方法のスルホン化ステップは、好ましくは、流下薄膜式スルホン化装置11、気液分離器12及びエージング反応器13、14を用いて構成される。
【0045】
空気―三酸化硫黄混合気体及び脂肪酸エステルが、それぞれパイプ15及び16を経てスルホン化装置11に送り込まれ、反応混合物がスルホン化装置から流れ出て、パイプ17を経て気液分離器12に送り込まれ、液体のスルホン酸がパイプ18を経てエージング反応器13に送り込まれ、一定時間後パイプ19を経てエージング反応器14に送り込まれる。
【0046】
スルホン化ステップはα−スルホ脂肪酸エステル塩の製造のポイントである。主な指標には、遊離油、副生成物及び色あいがある。三者は互いに関連し、スルホン化の程度が低ければ、製品の色あいがよく、副生成物も少ないが、遊離油の含有量がより高い。スルホン化の程度が高ければ、遊離油の含有量は低いが、副生成物が多く、製品の色あいが濃い。綜合的に考慮して、遊離油の指標を主として、他の二つの指標を補助的なものとし、適当に両方とも配慮しなければならない。スルホン化の条件の中で、主要なのは原料の投入比(エステル:三酸化硫黄及び空気:三酸化硫黄)、スルホン化温度、エージングの時間及び温度である。
【0047】
本発明の好ましいスルホン化の条件は、脂肪酸エステルと三酸化硫黄のモル比が1:1.15〜1:1.35であり、スルホン化温度が75℃〜85℃(好ましくは80℃)であり、第一のステップでは、80℃〜90℃で40〜60分エージングし、第二のステップでは、70℃〜80℃で30〜60分エージングすることが含まれる。
【0048】
(漂白)
本発明に係る方法の漂白ステップには、図1で示した反応システムを用いることができる。当該システムは連続式且つ低温下での漂白であり、比較的短い時間で漂白ステップを完成させる。漂白の効果は主に温度、漂白剤の使用量、作用時間等の要素に影響され、これらのなかで温度が最も重要である。当該漂白反応は発熱反応であり、反応が迅速で、且つ発熱量が大きく、コントロールしにくい。初期温度のコントロールも重要で、温度が低ければ、反応の進行が遅く、漂白の効果もよくない。一方、温度が高すぎれば、反応のスタートは速いが、短時間で大量の熱量を取り除くのが難しく、漂白の効果にも影響がある。従って、温度のコントロール、反応熱の速やかな除去が、漂白反応の効果を決定するポイントである。
【0049】
理論上、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、オゾン等、様々なの酸化剤を漂白剤に用いることができる。次亜塩素酸ナトリウム溶液は、有効含有量が低く、水の占めるパーセンテージが大きく、水が多いほど反応の熱量が多くなり、反応に不利である。オゾンは酸化能力が強く、成分が単一であるが、製造量が比較的少なく、生産の要求を満たすのが困難である。過酸化水素を漂白剤とするのは比較的理想的である。過酸化水素は酸化能力が強いだけでなく、分解後も水のみが生成し、且つ原料のコストも比較的低い。本発明では、好ましくは、過酸化水素を漂白剤とする。
【0050】
試験からすると、どのような漂白方式を採用するかがより重要である。スルホン酸は水に触れると、半固体状を呈し、比較的高温度でも粘度が非常に大きく、大量のアルコールの存在下でも、材料の移動が非常に難しい。本発明で設計した装置は、低温、瞬時、連続的な条件で、漂白を行う。反応の発熱量が大きいという特徴に基づき、強風で温度を下げる方法を採用し、低温媒体を利用して混合器キャビティに対して強力に降温を行う。
【0051】
図1に示されるように、漂白部分は送風機20、冷凍機21,25、一次混合槽22、二次混合槽23、気体材料分離器24からなる。
【0052】
エージング反応器14の中のスルホン酸がパイプ25を経て熱交換器30の中で温度が下げられる。風が送風機20を経てパイプ31を通って冷凍機に入り温度が下げられ、且つそれぞれパイプ32、35を通ってスプレーノズル28及び多級回転子削膜剪断混合器に入る。パイプ27からの過酸化水素、パイプ26からのスルホン酸及びパイプ32からの風が一緒に一次混合槽のスプレーノズルに送り込まれスプレー混合が行われ、混合後、多段オリフィス板29及び下端のパイプアレイ38を経て引き続き温度が下げられ、その後、パイプ34を通って二次混合槽23に移され、多級回転子削膜剪断混合器33で十分に混合されて均一になり、パイプ37より気体材料分離器24に入り、ペースト製品が得られる。この漂白ステップの温度は50℃〜150℃であり、好ましくは75℃〜90℃である。
【0053】
図6乃至図10に示されるように、工業用過酸化水素水には、25%、33%、50%、70%等の様々な種類がある。試験によると、過酸化水素水の含有量が低ければ、漂白の効果はよくない。一方、含有量が高ければ、色が濃くなる。本発明の過酸化水素水の含有量は25%〜50%であり、好ましくは35%である。
【0054】
漂白剤の用量は漂白効果に比較的大きな影響を与える。試験結果は、漂白剤の用量が多すぎても少なすぎても漂白によくないことを示している。これも法則に符合し、漂白剤の用量が少なすぎると、濃度が低く、酸化能力が不足して、漂白の効果が自然と悪くなる。一方、漂白剤の用量が多すぎると、濃度が高く、酸化が進みすぎる虞があり、より多くの副生成物を生成し、成分が複雑化し、漂白の効果が自然と悪くなる。従って、合理的に漂白剤の用量を選択することが非常に重要である。本発明の過酸化水素水の用量は、スルホン酸の重量の3%〜20%であり、好ましくは5%〜10%であり、より好ましくは5%〜8%である。
【0055】
本発明は直接、過酸化水素水でスルホン酸を漂白し、副生成物が少なく、システムの圧力及び温度も比較的低く、比較的高い安全性を備える。過酸化水素が若干過量であり、漂白後、依然として一部残存していれば、後のステップで除くことができる。
【0056】
(二次エステル化)
当該脂肪酸エステルのスルホン化反応メカニズムの特殊性により、ジナトリウム(カリウム)塩の一部生成を防ぐことができず、また、漂白ステップでも一定量のジナトリウム(カリウム)塩が生成する。大量のアルコールの作用の下で二次エステル化することにより、この問題を比較的うまく解決することができる。試験の結果からみて、二次エステル化の効果は、主にメタノールの占める割合及び反応時間によって影響される。反応系自体が強酸性なので、余計な酸性触媒を要さない。当該系においては、漂白ステップを行った際に、一定量の水が生成するので、当該ステップの二次エステル化に一定の影響がある。従って、漂白の際、加える過酸化水素水の量をできるだけ低減することも本ステップの要求である。エステル化のプロセスが、遊離油の量及び製品の色あいに与える影響は明らかではなく、これはエステル化のプロセスでスルホン酸が安定であることを説明している。
【0057】
図1に示されるように、二次エステル化部分は、混合器41、反応器42,43,44、凝縮器45,46,47で構成できる。
【0058】
漂白されたスルホン酸が、パイプ48を経てパイプ49からのメタノールと一緒に混合器41に送り込まれ、昇温された後、パイプ50,51,52を経て順次、反応器42,43,44に送り込まれて二次エステル化され、蒸発したメタノールが凝縮器45,46,47を経て還流される。二次エステル化は連続式であって、反応器上部から連続に材料が供給されて底部から連続に取り出され、最後にパイプ53より凝縮器56に入れられて温度が下げられる。
【0059】
エステル化反応で、アルコールの割合を増やすことは反応に有利であるが、過度のアルコールは後の乾燥によくないので、適切な量にしなければならない。本発明では、好ましくはメタノールを選択し、その加える量はスルホン酸の量の75%〜200%(最も好ましくは100%である)を占める。エステル化反応の時間が長いほどジナトリウム(カリウム)塩の含有量が低くくなり、その時間は製品の品質に対する要求によって決まり、一般的に1〜6時間で、ジナトリウム(カリウム)塩の含有量を約5%に低減できる。
【0060】
(中和)
本発明では、スルホン化後の中和は、液体の水酸化物を用いてスルホン酸と反応させるものである。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムで中和する。溶媒は水でもよく、アルコールであってもよい。二次エステル化後の材料混合物には大量のアルコールが含まれるので、後の乾燥及びアルコールの純化を考慮して、中和する際、アルコール系を保持するのが最も合理的である。中和の際、水酸化物のアルコール溶液を用いてもよく、ナトリウム(カリウム)アルコキシド溶液を用いてもよい。本発明では、好ましくは、5%〜50%の水酸化ナトリウム(カリウム)のアルコール溶液が用いられる。中和反応の温度は40℃〜80℃であり、好ましくは40℃〜50℃である。中和後のスルホン酸塩のPH値は7〜8に制御される。
【0061】
図1に示される本発明の中和ステップでは、塩基のアルコール溶液(ナトリウムアルコキシド溶液若しくはナトリウムの塩基ののアルコール溶液を含む)、又は液体塩基を用いて、パイプ57を経た熱交換器56からの流出物が中和される。
【0062】
中和部分は、送風機60、冷凍機61,78、一次混合槽62、二次混合槽63、気体材料分離器64からなる。
【0063】
二次エステル化後のスルホン酸は、熱交換器56の中で温度が下げられる。風が送風機60を経てパイプ65を通って冷凍機に入り温度が下げられる。そして、風がパイプ76を経て、パイプ67からの塩基溶液、パイプ57からのスルホン酸と一緒に一次混合槽のスプレーノズル70に送り込まれスプレー混合が行われ、混合後、多段オリフィス板68及び下端のパイプアレイ69を経て引き続き温度が下げられ、その後、パイプ72を通って二次混合槽63に移され、多段回転子削膜剪断混合器73で十分に混合されて均一になり、且つパイプ77より送られてきた冷風で材料の温度が下げられる。最後に材料がパイプ74より気体材料分離器64に入り、ペースト製品が得られる。
【0064】
中和反応は40℃〜80℃で行われる。
【0065】
(乾燥)
α−スルホ脂肪酸エステル塩は熱された状態で半固体状を呈し、粘度が非常に大きくて流動し難く、比較的高い温度で乾燥すると、ジナトリウム(カリウム)塩の生成量が増え、同時に製品の色あいが濃くなる。
【0066】
本発明では、好ましくは回転薄膜蒸発器により乾燥する。当該部分は回転薄膜蒸発器81、輸送ポンプ82、貯蔵タンク83、螺旋材料供給装置84、真空ポンプ85及び凝縮器88からなる。
【0067】
漂白されたペースト物がパイプ86を経て貯蔵タンク83に送られ、パイプ87を経て乾燥器に送られ、乾燥された製品が螺旋材料排出装置84より排出される。
【0068】
本発明の乾燥の条件は、真空圧力50〜200mmHgであり、温度50℃〜80℃である。
【0069】
以下の詳細な実施例により本発明を更に説明するが、これらは本発明を制限するものではない。
【実施例1】
【0070】
(a−スルホン酸メチルナトリウム塩の製造)
原料
1.脂肪酸メチルエステル 自社製
主な技術的指標
(1) 炭素鎖の分布
C14 2%
C16 81%
C18 17%
(2) 平均分子量 377
(3) ヨウ素数 <0.3
(4) 酸価 <1.0
(5) 鹸化できない成分 <1.0
(6) 鹸化価 198
2.三酸化硫黄 硫黄の燃焼より製造
3.過酸化水素水 工業級33%
4.メタノール 工業級
5.水酸化ナトリウム 工業級98%
【0071】
(方法)
図1に示される流下薄膜式スルホン化装置12は、14枚の内径30mm、長さ6000mmのスルホン化パイプからなる。パイプ16からの液体の脂肪酸メチルエステルが、均一に各スルホン化パイプの内壁に分布し、三酸化硫黄―空気の混合気体が各パイプに送られ、気体と液体が一緒にスルホン化パイプに沿って下へと流動し、流動過程で、脂肪酸エステルが三酸化硫黄とスルホン化反応を起こし、スルホン酸混合物が反応器の底部からパイプ17を経て気液分離器12に流入し、余分な気体が高圧静電除霧器および塩基溶液で吸収される。スルホン酸の液体はパイプ18を経てエージング反応器13に流入し、スルホン酸はここで80℃〜90℃で40分間エージングされ、その後、パイプ19を経てもう一方のエージング反応器14に流入し、70℃〜80℃で30〜40分間エージングされる。
【0072】
エージングされたスルホン酸は次の漂白ステップに入る。スルホン酸はパイプ26を経て、パイプ27からの過酸化水素水及びパイプ35からの冷風と一緒にスプレー混合器4に送られる。ここでスルホン酸総量の約8%の過酸化水素(含有量33%)を用い低温漂白が行われる。過酸化水素水及びスルホン酸はそれぞれ二台の計量ポンプによって導入される。
【0073】
漂白されたスルホン酸に二次エステル化を行い、パイプ48,49によりスルホン酸及びメタノールを混合器41にそれぞれ送り込む。ここで溶解し且つ温度を60℃まで昇温し、その後、順次、パイプを経て反応器42,43,44に送られ、約80℃で還流反応を行う。上端が材料の供給口、下端が材料の排出口であり、供給口から排出口までの時間の間隔が反応時間である。この反応は連続運転方式である。
【0074】
中和については、スルホン酸メタノール混合溶液及び15%の水酸化ナトリウムメタノール溶液をそれぞれ計量ポンプで一次混合槽及び二次混合槽に導入して中和し、PH7〜8まで中和する。
【0075】
乾燥については、ペースト物をスクリューポンプで回転薄膜蒸発器の上端の貯蔵桶に導入し、真空の吸引力で、材料が自動的に蒸発器に流入する。乾燥した材料は蒸発器の底部に溜まり、螺旋材料排出装置で排出され、更なる冷却の後、粉砕器で粉末に粉砕される。
【0076】
試験プロセスにおける工程パラメーターは表1に示される。
【表1】
【実施例2】
【0077】
(漂白試験)
本実施例で使用したスルホン酸、試作設備及び工程は実施例1と同じである。過酸化水素水を漂白剤として液体混合ポンプで連続的に漂白し、反応温度の漂白効果に対する影響について試験した。
【0078】
加えた過酸化水素水の量は、スルホン酸の8%で濃度が35%である。試験温度は50℃、60℃、75℃、90℃、120℃、150℃で、漂白時間は約1〜5分間である。
【0079】
色あい測定は、ヨウ化カリウム−ヨウ素標準溶液目視比色法(以下、同じ)を採用した。サンプルを活性物5%のアルコール溶液にし、100mlのヨウ化カリウム−ヨウ素標準溶液が含む遊離ヨウ素のmg数をヨウ素の色度として、サンプルの色あいを表示する。試験の結果を図6に示す。
【0080】
試験の結果からみて、温度が低ければ、漂白反応の進行はゆっくりで、漂白後の製品の色はやや濃い。温度が75℃より高ければ、漂白反応は比較的速く進むことができ、漂白の効果もよい。75℃〜150℃では、製品の色あいから見て、大きな差異はない。
【実施例3】
【0081】
(漂白試験)
本実施例で使用したスルホン酸、試作設備及び工程は実施例1と同じである。過酸化水素水を漂白剤として液体混合ポンプで連続的に漂白し、過酸化水素水の濃度が漂白の効果に与える影響について試験した。
【0082】
加えた過酸化水素水の量は、スルホン酸の2%(純粋な過酸化水素の量)で、試験濃度は25%、30%、35%、40%、50%、70%であり、漂白温度は85℃で、漂白時間は約1〜5分間である。試験の結果を図7に示す。
【0083】
試験の結果からみて、過酸化水素水の濃度が25%及び70%のとき、漂白の効果が少し弱い。過酸化水素の濃度が高ければ、反応が非常に激しいで、副反応が発生しやすく、漂白の効果に影響する。
【実施例4】
【0084】
(漂白試験)
本実施例で使用したスルホン酸、試作設備及び工程は実施例1と同じである。過酸化水素水を漂白剤として液体混合ポンプで連続的に漂白し、過酸化水素水の用量が漂白の効果に与える影響について試験した。
【0085】
過酸化水素水の試験濃度は35%で、加えた量はスルホン酸の3%、5%、8%、10%、20%であり、漂白温度は85℃で、漂白時間は約1〜5分間である。試験の結果を図8に示す。
【0086】
試験の結果からみて、加える過酸化水素水の量は、スルホン酸の5%〜10%が適当である。
【実施例5】
【0087】
(漂白試験)
本実施例で使用したスルホン酸、試作設備及び工程は実施例1と同じである。過酸化水素水を漂白剤として液体混合ポンプで連続的に漂白し、反応温度がジナトリウム塩の含有量に与える影響について試験した。
【0088】
過酸化水素水の濃度は35%で、用量はスルホン酸の量の8%であり、試験温度はそれぞれ50℃、60℃、75℃、90℃、120℃、150℃で、漂白時間は約1〜5分間である。試験の結果を図9に示す。
【0089】
試験の結果からみて、温度が高いほど、生成したジナトリウム塩も多くなっている。従って、漂白プロセスでは、できるだけ漂白温度を下げなければならない。
【実施例6】
【0090】
(二次エステル化試験)
本実施例で使用したスルホン酸、試作設備及び工程は実施例1と同じである。二次エステル化するときのアルコールの用量がジナトリウム塩の含有量に与える影響について試験した。
【0091】
メタノールをエステル化剤とし、加えた量はスルホン酸(漂白)の30%、50%、75%、100%、150%、200%であり、エステル化温度は還流温度で、エステル化時間は2時間である。試験の結果を図10に示す。
【0092】
試験の結果からみて、加えたアルコールの量が多いほどエステル化反応に有利的だが、加えた量が80%以上であるとき、ジナトリウム塩の含有量の変化が小さくなる。アルコールの用量が多すぎると、後の乾燥処理の作業量が増加する。総合に考えると、加えるアルコールの量は、スルホン酸の量の75%〜150%が適当である。
【実施例7】
【0093】
(二次エステル化試験)
本実施例で使用したスルホン酸、試作設備及び工程は実施例1と同じである。二次エステル化するときのエステル化時間がジナトリウム塩の含有量に与える影響について試験した。
【0094】
メタノールをエステル化剤とし、加えた量はスルホン酸(漂白)の100%であり、エステル化温度は還流温度で、エステル化時間は1、2、3、4、5、6、7時間である。試験の結果を図11に示す。
【0095】
試験の結果からみて、エステル化の時間が長いほどジナトリウム塩の含有量は低くなるが、ジナトリウム塩の含有量が5%に減少したとき、エステル化反応はいっそう困難になる。
【実施例8】
【0096】
(中和試験)
本実施例で使用したスルホン酸、試作設備及び工程は実施例1と同じである。塩基で中和するときの反応温度がジナトリウム塩の含有量に与える影響について試験した。
【0097】
中和に用いた塩基は15%の水酸化ナトリウムメタノール溶液であり、スルホン酸塩のPH値は8で、中和反応の温度はそれぞれ40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃である。試験の結果を図12に示す。
【0098】
試験の結果からみて、反応温度が低いほど、スルホン酸塩の含有量が低くなる。50℃より低いのは工程上、実現しがたく、一般的には中和反応温度を50℃〜60℃にコントロールするのが適当である。
【実施例9】
【0099】
(中和試験)
本実施例で使用したスルホン酸、試作設備及び工程は実施例1と同じである。塩基で中和するときの塩基濃度がジナトリウム塩の含有量に与える影響について試験した。
【0100】
塩基中和温度が60℃、水酸化ナトリウム溶液の濃度がそれぞれ5%、8%、10%、15%、20%、30%、40%、50%で、中和後のジナトリウム塩の含有量の変化状況について試験した。試験の結果を図13に示す。
【0101】
数値からみると、薄い溶液が製品の品質に対して有利であり、塩基で中和するときの温度溶液の濃度が高すぎると、ジナトリウム塩の含有量は中和により増加する。溶液が薄すぎるのも乾燥によくない。一般的には濃度10%〜30%が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明に係るα−スルホ脂肪酸エステル塩の製造プロセスのフロー図。該工程のフローは、スルホン化、漂白、二次エステル化、中和及び乾燥の五つの部分を分けられる。
【図2】本発明のスプレーノズルの概略図。
【図3】本発明のオリフィス板の概略図。
【図4】本発明の固定子風板の概略図。
【図5】本発明の回転子削膜板の概略図。図4及び図5を組み合わせて、一段の回転子削膜剪断混合器が構成される。回転子削膜剪断混合器の段数は、反応の状況に応じて決められ、一般的には3〜50の間である。
【図6】実施例2における、過酸化水素水がそれぞれ50℃、60℃、75℃、90℃、120℃、150℃のときの、スルホン酸の漂白後の色の変化状況。図中、T(℃)は漂白温度を示し、K(mgI2/100ml)は色あいを示す。
【図7】実施例3における、過酸化水素水が85℃で、濃度がそれぞれ25%、30%、35%、40%、50%、70%のときの、スルホン酸の漂白後の色の変化状況。図中、C(%)は濃度を示し、K(mgI2/100ml)は色あいを示す。
【図8】実施例4における、過酸化水素水が85℃であり、濃度35%で、用量がそれぞれスルホン酸の3%、5%、8%、10%、20%のときの、スルホン酸の漂白後の色の変化状況。図中、X(%)は過酸化水素水の重量パーセントを示し、K(mgI2/100ml)は色あいを示す。
【図9】実施例5における、過酸化水素水がそれぞれ60℃、75℃、85℃、120℃、150℃のときの、スルホン酸の漂白後のジナトリウム塩の変化状況。図中、T(℃)は温度を示し、X(%)はジナトリウム塩の含有量を示す。
【図10】実施例6における、エステル化剤の用量がそれぞれスルホン酸の30%、50%、75%、100%、150%、200%のときの、製品中のジナトリウム塩の含有量に与える影響。V(%)はエステル化剤のスルホン酸の量に対して占めるパーセンテージを示し、X(%)はジナトリウム塩の含有量を示している。
【図11】実施例7における、エステル化時間がそれぞれ1、2、3、4、5、6、7時間のときの、製品中のジナトリウム塩の含有量に与える影響。図中、t(hr)はエステル化時間を示し、X(%)はジナトリウム塩の含有量を示している。
【図12】実施例8における、塩基中和温度がそれぞれ50℃、60℃、70℃、80℃、90℃のときの、中和後のジナトリウム塩の変化状況。図中、T(℃)は温度を示し、X(%)はジナトリウム塩の含有量を示している。
【図13】実施例9における、塩基中和温度が60℃で、水酸化ナトリウム溶液の濃度がそれぞれ5%、8%、10%、15%、20%、30%、40%、50%のときの、中和後のジナトリウム塩の変化状況。図中、C(%)は水酸化ナトリウム溶液の濃度を示し、X(%)はジナトリウム塩の含有量を示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
α−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法であって、
(1)脂肪酸エステルを三酸化硫黄でスルホン化することによりスルホン酸を得るステップと、
(2)過酸化水素水を漂白剤としてステップ(1)で得たスルホン酸を漂白するステップと、
(3)アルコールをエステル化剤としてステップ(2)の生成物を二次エステル化するステップと、
(4)ステップ(3)の生成物を塩基溶液で中和するステップと、
(5)ステップ(4)の生成物を乾燥して粉末状製品を得るステップとを備えることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のα−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法において、
前記脂肪酸エステルと前記三酸化硫黄のモル比が1:1.15〜1:1.35であることを特徴とする製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載のα−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法において、
前記脂肪酸エステルが脂肪酸メチルエステルであり、且つ75℃〜85℃でスルホン化することを特徴とする製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載のα−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法において、
前記スルホン酸を濃度25%〜50wt%の過酸化酸素水で漂白し、且つ過酸化酸素水の用量がスルホン酸の重量の3%〜20%であることを特徴とする製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のα−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法において、
前記漂白作業が50℃〜150℃で行われることを特徴とする製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のα−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法において、
前記二次エステル化で使用するアルコールがC1〜C3のアルコールであり、且つ加えたアルコールの量が、漂白後のスルホン酸の総重量の75%〜200%であることを特徴とする製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のα−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法において、
前記塩基溶液が、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムの水溶液、又はアルコール溶液であり、且つ塩基濃度が5%〜50wt%であることを特徴とする製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のα−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法において、
回転子削膜混合器により反応物を混合することを特徴とする製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のα−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法において、
空冷により反応温度をコントロールすることを特徴とする製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のα−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法において、
回転薄膜蒸発器で乾燥し、且つ乾燥条件が、真空圧力50〜200mmHg、温度50℃〜90℃であることを特徴とする製造方法。
【請求項1】
α−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法であって、
(1)脂肪酸エステルを三酸化硫黄でスルホン化することによりスルホン酸を得るステップと、
(2)過酸化水素水を漂白剤としてステップ(1)で得たスルホン酸を漂白するステップと、
(3)アルコールをエステル化剤としてステップ(2)の生成物を二次エステル化するステップと、
(4)ステップ(3)の生成物を塩基溶液で中和するステップと、
(5)ステップ(4)の生成物を乾燥して粉末状製品を得るステップとを備えることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のα−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法において、
前記脂肪酸エステルと前記三酸化硫黄のモル比が1:1.15〜1:1.35であることを特徴とする製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載のα−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法において、
前記脂肪酸エステルが脂肪酸メチルエステルであり、且つ75℃〜85℃でスルホン化することを特徴とする製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載のα−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法において、
前記スルホン酸を濃度25%〜50wt%の過酸化酸素水で漂白し、且つ過酸化酸素水の用量がスルホン酸の重量の3%〜20%であることを特徴とする製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のα−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法において、
前記漂白作業が50℃〜150℃で行われることを特徴とする製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のα−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法において、
前記二次エステル化で使用するアルコールがC1〜C3のアルコールであり、且つ加えたアルコールの量が、漂白後のスルホン酸の総重量の75%〜200%であることを特徴とする製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のα−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法において、
前記塩基溶液が、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムの水溶液、又はアルコール溶液であり、且つ塩基濃度が5%〜50wt%であることを特徴とする製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のα−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法において、
回転子削膜混合器により反応物を混合することを特徴とする製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のα−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法において、
空冷により反応温度をコントロールすることを特徴とする製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のα−スルホ脂肪酸エステル塩界面活性剤の製造方法において、
回転薄膜蒸発器で乾燥し、且つ乾燥条件が、真空圧力50〜200mmHg、温度50℃〜90℃であることを特徴とする製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−534431(P2009−534431A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506899(P2009−506899)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【国際出願番号】PCT/CN2007/001370
【国際公開番号】WO2007/124686
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(508321476)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【国際出願番号】PCT/CN2007/001370
【国際公開番号】WO2007/124686
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(508321476)
【Fターム(参考)】
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