説明

γ−セクレターゼ阻害剤としてのシクロヘキシルスルホン類

式(I)の化合物:γ−セクレターゼを阻害し、したがってアルツハイマー病の治療および予防に使用される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なクラスの化合物、それらの塩類、それらを含む製薬組成物、それらを製造する方法、および人体の療法におけるそれらの使用に関する。特に本発明は、SOを含有するさらなる縮合環を含む新規なシクロヘキシルスルホン類に関する。前記化合物は、β−アミロイドの分泌を抑制するか、または減衰させるためにγ−セクレターゼによるAPPの処理を阻害するので、アルツハイマー病の治療または予防に有用である。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)は、認知症の中で最も広く認められている形態である。65才以上の集団の10%までに影響を及ぼしている、主として高齢者の疾病であるが、ADはまた、遺伝的素因を有するかなりの数の若年患者に影響を与えている。ADは、臨床的には記憶機能および認知機能の進行的喪失を特徴とし、また、病理学的には罹患者の皮質および連合脳領域における細胞外蛋白質斑の沈着を特徴とする神経変性障害である。これらの斑は主として、β−アミロイドペプチド(Aβ)の原線維凝集物を含む。アミロイド前駆体蛋白質(APP)が処理されて、Aβを形成する過程において推定上のγ−セクレターゼを含むセクレターゼの役割は、文献に十分文書化されており、例えば、WO01/70677にレビューされている。細胞ベースのアッセイにおいて測定されるγ−セクレターゼに対する阻害活性を有する化合物の文献における報告数が増え続けている(例えば、WO01/70677およびその中の引用文献を参照)。関連化合物の多くは、ペプチド類またはペプチド誘導体である。
【0003】
WO00/50391は、β−アミロイド産生のモジュレーターとして広範囲なクラスのスルホンアミド類を開示しているが、本発明の化合物は開示されてもいないし、また、示唆されてもいない。WO01/70677、WO02/36555およびWO02/081435は、それぞれ、γ−セクレターゼを阻害するスルホンアミド類、スルファミド類およびシクロヘキシルスルホン類のクラスを開示しているが、本発明の化合物は開示も示唆もされていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、SO基を含有するさらなる縮合環を含む新規なクラスのシクロヘキシルスルホン類を提供する。これらの化合物は、Aβの産生を抑制、または減衰させるために推定上のγ−セクレターゼによるAPPの処理を阻害するので、ADの治療または予防に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、式Iの化合物:
【0006】
【化6】

[式中、波線によって示された結合は、シクロヘキサン環に関して相互にシスであり;
Xは、O、NRまたはCHRを表し;
Yは、CHR−CHR、CR=CR、CHR−NRまたはCHR−Oを表し;
は、HまたはC1〜4アルキルを表し;
、RおよびRは独立して、Hまたは(CF、CHF、ハロゲン、CN、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(RもしくはNRCORにより場合によっては置換されている)10個までの炭素原子の炭化水素基を表すか;またはRとRは一緒になって、オキソ、CF、CHFハロゲン、CN、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(RもしくはNRCORにより場合によっては置換されている5員環または6員環を完成し:
は、HまたはC1〜4アルキルを表し;
は、C1〜4アルキルを表し;
ArおよびArは独立して、フェニルまたはヘテロアリールを表し、これらのいずれかはハロゲン、CN、NO、CF、CHF、OH、OCF、CHO、CH=NOH、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルコキシカルボニル、C2〜6アシル、C2〜6アルケニルおよびハロゲン、CN、NO、CF、OHおよびC1〜4アルコキシから選択される置換基を場合によっては有するC1〜4アルキルから独立して選択される0〜3つの置換基を有する。];
または製薬的に許容できるその塩が提供される。
【0007】
式Iの化合物は、波線によって示された結合が上向きまたは下向きに示すかどうかに依って、式IAおよびIB:
【0008】
【化7】

に相当する2種の鏡像異性体で存在する(式中、X、Y、ArおよびArは、前述と同じ意味を有する。)。本発明によるいずれの化合物も、ホモキラル体IAおよびIBのいずれか、または任意の割合での前記2種の混合物として存在し得ることを理解すべきである。
【0009】
上記の異性に加えて、本発明による化合物は、1つ以上の不斉中心を含むことができ、したがって鏡像異性体として存在し得る。本発明による化合物は、2つ以上の不斉中心を有する場合、それらはさらにジアステレオ異性体として存在し得る。このような異性体の全ておよび任意の割合のこれらの混合物が、本発明の範囲内に包含されることを理解すべきである。
【0010】
式Iにおいて一度以上の可変部分が生じる場合、個々の発生は、他に示されない限り、互いに独立している。本明細書に用いられる語句の「炭化水素基」とは、炭素原子および水素原子のみからなる基を称す。このような基は、単独で、または示された最大炭素原子数と矛盾しない任意の組合せにおいて線状、分枝状または環式構造を含むことができ、飽和または示された最大炭素原子数が許す場合は芳香族を含む不飽和であり得る。
【0011】
xが1超の整数である場合の本明細書に用いられる語句の「C1〜xアルキル」とは、構成炭素原子が1からxの範囲にある直鎖および分枝状アルキル基を称す。具体的なアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびt−ブチルである。「C2〜6アルケニル」、「ヒドロキシC1〜6アルキル」、「ヘテロアリールC1〜6アルキル」、「C2〜6アルキニル」および「C1〜6アルコキシ」のような誘導語句は、類似の様式で解釈されるべきである。最も好適には、このような基における炭素原子数は、6個以上超えないことである。
【0012】
本明細書に用いられる語句の「C2〜6アシル」とは、アルキル部分が、直鎖、分枝状または環式であり、また、ハロゲン化され得るC1〜5アルキルカルボニル基を称す。例としては、アセチル、プロピオニルおよびトリフルオロアセチルが挙げられる。
【0013】
本明細書に用いられる語句の「ヘテロアリール」とは、C、N、OおよびSから選択される5環状原子または6環状原子の単環式系、または10環状原子までの縮合二環式系を意味し、構成環状の少なくとも1つは、芳香族であり、炭素以外の少なくとも1個の環原子を含む。5員または6員の単環式系が好ましい。ヘテロアリール基の例としては、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピロリル基、フリル基、チエニル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基およびチアジアゾリル基ならびにそれらのベンゾ縮合類縁体が挙げられる。ヘテロアリール基のさらなる例としては、テトラゾール、1,2,4−トリアジンおよび1,3,5−トリアジンが挙げられる。ピリジン環類は、N−オキシド形であり得る。
【0014】
フェニル基またはヘテロアリール基が、1より多い置換基を有する場合、前記置換基の1つ以下は、ハロゲンまたはアルキル以外であることが好ましい。アルキル基が、1より多い置換基を有する場合、前記置換基の1つ以下は、ハロゲン以外であることが好ましい。
【0015】
本明細書に用いられる用語の「ハロゲン」としては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられ、その中でフッ素と塩素が好ましい。
【0016】
医療使用のためには、式Iの化合物は、製薬的に許容できる塩類の形態が有利であり得る。しかしながら、他の塩類も、式Iの化合物またはそれらの製薬的に許容できる塩類の調製に有用であり得る。本発明の化合物の好適な製薬的に許容できる塩類としては、酸付加塩類が挙げられ、例えば、本発明による化合物の溶液を、塩酸、硫酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、蓚酸、クエン酸、酒石酸、炭酸またはリン酸などの製薬的に許容できる酸の溶液と混合することにより形成できる。あるいは、本発明の化合物が酸性部分を有する場合、前記酸性部分を好適な塩基による中和により、製薬的に許容できる塩が形成できる。このようにして形成された製薬的に許容できる塩類の例としては、ナトリウム塩またはカリウム塩などのアルカリ金属塩;アンモニウム塩類;カルシウム塩またはマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩類;およびアミン塩類(ピリジニウム塩類を含む)および第四級アンモニウム塩類など、好適な有機塩基で形成された塩類が挙げられる。
【0017】
式Iの化合物において、ArおよびArは独立して、場合によっては置換されているフェニルまたはヘテロアリールを表す。Arは、場合によっては置換されているフェニルおよび場合によっては置換されている6員ヘテロアリールから選択されることが好ましい。Arの好ましい6員ヘテロアリールの実施形態としては、場合によっては置換されているピリジル、特に場合によっては置換されている3−ピリジルが挙げられる。Arは、6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジルおよび(4位がハロゲン、CN、ビニル、アリル、アセチル、メチルまたはモノ−、ジ−またはトリフルオロメチルにより場合によっては置換されている)フェニルから選択されることが好ましい。本発明の好ましい一実施形態において、Arは、4−クロロフェニルを表す。他の好ましい一実施形態において、Arは、4−トリフルオロメチルフェニルを表す。
【0018】
Arは、好ましくは、場合によっては置換されているフェニル、特にハロゲン、CN、CFおよび場合によっては置換されているアルキルから選択される2つまたは3つの置換基を有するフェニルを表す。Arは、2−位および5−位、2−位および6−位または2−位、3−位および6−位にハロゲン置換(好ましくはフッ素)を有するフェニル基から、または2−位にフッ素置換および5−位にハロゲン、CN、メチルまたはヒドロキシメチルを有するフェニル基から典型的に選択される。本発明の好ましい一実施形態において、Arは、2,5−ジフルオロフェニル、2,6−ジフルオロフェニルまたは2,3,6−トリフルオロフェニルを表す。
【0019】
特定の一実施形態において、Arは、4−クロロフェニルまたは4−トリフルオロメチルフェニルであり、Arは、2,5−ジフルオロフェニルである。
【0020】
式Iにおいて、Xは、O、NRまたはCHRを表す。XがOを表す場合、Yは、CHR−NRまたはCHR−Oであることが好ましい。XがCHRを表す場合、Yは、CHR−CHR、CR=CRまたはCHR−NR、特にCHR−CHRまたはCHR−CHRであることが好ましい。Yが、CR=CRを表す場合、Xは、NRを表すことが好ましい。
【0021】
は、Hまたはメチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルなどのC1〜4アルキルを表すが、Rは、Hを表すことが好ましい。
【0022】
は、Hまたは先に定義されたように場合によっては置換されている、10個までの炭素原子の炭化水素基を表す。Rによって表される炭化水素基は、非芳香族で非置換であることが好ましく、6個までの炭素原子を含むことが好ましい。典型的な例としては、アルキル基(メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびn−ブチルなど)およびアルケニル基(アリルなど)が挙げられる。YがCHR−CHR、CR=CRまたはCHR−Oを表す場合、Rは、Hを表すことが極めて適切である。YがCHR−NRを表す場合、RとRとが組合わされて、先に定義されたように場合によっては置換されているピロリジン環、ピペリジン環またはテトラヒドロピリジン環などの縮合5員環または6員環を形成することができる。好ましい環としては、非置換またはOHにより置換されているピペリジンおよびテトラヒドロピペリジンが挙げられる。
【0023】
は、Hまたは先に定義されたように場合によっては置換されている、10個までの炭素原子の炭化水素基を表し、一実施形態において、Rによって表される炭化水素基は、非芳香族で非置換であることが好ましく、6個までの炭素原子を含むことが好ましい。典型的な例としては、アルキル基(メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびn−ブチルなど)およびアルケニル基(アリルおよび3−メチルブタ−2−エニルなど)が挙げられる。
【0024】
代わりの実施形態において、Rは、CN、Rが先に定義されたとおりであるOR、CO、CORおよびCON(Rから選択される置換基を有するC1〜6アルキルを表す。好ましい置換基としては、OH、CN、COH、COCHおよびCONHが挙げられる。YがCR=CRを表す場合、Rは、Hを表すことが極めて適切である。
【0025】
は、Hまたは先に定義されたように場合によっては置換されている、10個までの炭素原子の炭化水素基を表す。好ましい置換基としては、CN、CF、ハロゲン(特にF)、OHおよびアルコキシ(特にメトキシ)が挙げられる。好適な炭化水素基としては、場合によっては置換されているフェニルC1〜4アルキル(ベンジルなど)、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜6シクロアルキルおよびC3〜6シクロアルキルC1〜4アルキルが挙げられる。Rによって表される基の具体例としては、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、s−ブチル、2−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−シアノエチル、2−ヒドロキシエチル、2−メトキシエチル、アリル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロプロピルメチルが挙げられる。あるいは、RとRとが組合わされて上記の縮合環を形成できる。
【0026】
本発明の化合物のサブセットは、式IIのものおよびその製薬的に許容できる塩類であり:
【0027】
【化8】

式中、波線により示される結合は、シクロヘキサン環に関して相互にシスであり、R、ArおよびArは、前述と同じ定義および好ましい属性を有している。
【0028】
このサブセットの範囲内の具体例としては、Arが、4−クロロフェニルまたは4−トリフルオロメチルフェニルを表し、Arが、2,5−ジフルオロフェニルを表し、Rが、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、アリル、3−メチルブタ−2−エニル、シアノメチル、2−シアノエチル、3−シアノプロピル、2−ヒドロキシエチル、−CHCOCH、−CHCOH、−CHCHCOH、−CHCONHまたはCHCHCONHを表すもの、および製薬的に許容できるそれらの塩類が挙げられる。
【0029】
本発明の化合物の第二のサブセットは、式IIIのもの、および製薬的に許容できるそれらの塩類であり:
【0030】
【化9】

式中、波線により示される結合は、シクロヘキサン環に関して相互にシスであり、R、R、ArおよびArは、前述と同じ定義および好ましい属性を有している。
【0031】
このサブセットの範囲内の具体的な化合物としては、Arが、2,5−ジフルオロフェニルを表し、Ar、RおよびRは、下表に示されるものが挙げられる:
【0032】
【表1】

【0033】
本発明の化合物の第三のサブセットは、式IVのもの、および製薬的に許容できるそれらの塩類であり:
【0034】
【化10】

式中、波線により示される結合は、シクロヘキサン環に関して相互にシスであり、R、ArおよびArは、前述と同じ定義および好ましい属性を有している。
【0035】
このサブセット内の特定の化合物は、Arが2,5−ジフルオロフェニルを表し、Arが4−クロロフェニル、または4−トリフルオロフェニルを表し、Rは、H、メチル、エチル、プロピルまたはシクロブチルを表す化合物を含む。
【0036】
本発明によるさらなる特定の化合物は、本明細書に添付されている実施例に開示されている。
【0037】
本発明の化合物は、γセクレターゼの阻害剤としての活性を有する。
【0038】
また、本発明は、本発明の1つ以上の化合物および製薬的に許容できる担体を含む製薬組成物を提供する。これらの組成物は、経口、非経口、鼻腔内、舌下または経直腸投与のため、または吸入または吸送のために、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、滅菌非経口液剤または懸濁剤、計量エアロゾルまたは液体スプレー剤、点滴剤、アンプル剤、経皮パッチ、自動注入装置または坐剤などの単位投与量形態にあることが好ましい。主要有効成分は、本発明の化合物または製薬的に許容できるその塩を含有する均一な前製剤化組成物を形成するために、製薬用担体、例えば、トウモロコシ澱粉、乳糖、ショ糖、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムおよびリン酸カルシウムまたはゴム類、分散剤、懸濁化剤またはモノオレイン酸ソルビタンおよびポリエチレングリコールなどの界面活性剤および他の製薬用希釈剤、例えば、水など、従来の錠剤成分と典型的に混合させる。これらの前製剤化組成物が均一であると言う場合、前記組成物が、錠剤、丸剤、およびカプセル剤などの等しく有効な単位投与量形態に容易に細分割できるように、前記組成物全体にわたって、有効成分が均一に分散されていることを意味する。次いでこの前製剤化組成物を、本発明の0.1mgから約500mgの有効成分を含有する上記タイプの単位投与量形態へ細分割する。典型的な単位投与量形態は、1mgから100mg、例えば、1、2、5、10、25、50または100mgの有効成分を含有する。前記新規組成物の錠剤または丸剤は、作用持続性の利益を与える投与形態を提供するために、コーティングするか、または他に、配合することができる。例えば、錠剤または丸剤は、外側が内側を包み込む形態にある、内側投与成分と外側投与成分を含むことができる。この2種の成分は、胃内での崩壊に抵抗するように働き、内側成分が損なわれずに通過して十二指腸内に入るか、または放出が遅延化されることを可能にする腸溶層で分離されていることができる。腸溶層または腸溶コーティングには、種々の材料が使用でき、そのような材料としては、シェラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースを有する多数のポリマー酸およびポリマー酸混合物が挙げられる。
【0039】
経口または注射による投与のため、本発明の新規組成物を組み込むことができる液体形態としては、水性液剤、液体またはゲル充填カプセル剤、好適に芳香付けしたシロップ剤、水性または油性懸濁剤およびめんみ油、ゴマ油またはココナツ油などの食用油を有する芳香付け乳濁剤ならびにエリキシル剤および同様な製薬媒体が挙げられる。水性懸濁剤のために好適な分散剤または懸濁剤としては、トラガカントゴム、アラビアゴムなどの合成および天然ゴム類、アルギン酸塩、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルピロリドン)またはゼラチンが挙げられる。
【0040】
また、本発明は、人体の治療法に用いるための式Iの化合物または製薬的に許容できるその塩を提供する。前記治療は、β−アミロイドの蓄積に関連する病態のためのものであることが好ましい。前記病態は、アルツハイマー病などのβ−アミロイドの蓄積に関連する神経疾患であることが好ましい。
【0041】
本発明はさらに、アルツハイマー病の治療または予防のための医薬品製造における式Iの化合物または製薬的に許容できるその塩の利用法を提供する。また、アルツハイマー病に罹っているか、またはそれになり易い対象に、本発明による化合物または製薬的に許容できるその塩の有効量を投与することを含む、前記対象の治療法も開示されている。
【0042】
アルツハイマー病の治療または予防のための好適な投与量レベルは、1日当たり約0.01mg/kgから250mg/kg体重、好ましくは1日当たり約0.05mg/kgから100mg/kg体重、より好ましくは1日当たり約0.1mg/kgから50mg/kg体重、最も好ましい化合物では1日当たり約0.1mg/kgから20mg/kg体重である。前記化合物は、1日当たり1回から4回の投与計画で投与できる。しかしながら、幾つかの場合において、これらの限定量以外の投与量を使用することができる。
【0043】
Yが、CHR−NRを表す式Iの化合物は、式(1a)の化合物の環化によって調製できる。前記反応は、水素化ナトリウムの存在下、THFまたはDMFなどの非プロトン性溶媒中、0〜20℃で行われる。
【0044】
【化11】

式中、Rは、場合によっては置換されているアルキルまたはフェニル(特にメチル、トリルまたはトリフルオロメチル)を表し、Ar、Ar、X、RおよびRは、前記と同じ意味を有する。
【0045】
スルホネート類(1a)は、無水条件で塩基の存在下、典型的には周囲温度で、RSOClまたは(RSOOによるアルコール類(1b)の処理によって得られる。
【0046】
がHであるアルコール(1b)は、BF−エーテラートによるシリルエチルエーテル(2)の開裂によって得られる。前記反応は、周囲温度において、ジクロロメタン中で実施できる。Rが炭化水素である第二級アルコール(1b)は、対応する第一級アルコールの酸化および、生じたアルデヒドとRMgBrとの反応によって得ることができる。
【0047】
【化12】

式中、Ar、Ar、XよびRは、前記と同じ意味を有する。
【0048】
Xが、0である化合物(2)は、アルコール(3)とRNHSOClとの反応によって得られる。前記反応は、ジメチルアセトアミド中、50℃で行われる。
【0049】
【化13】

式中、Ar、ArおよびRは、前記と同じ意味を有する。
【0050】
アルコール(3)は、ケトン(4)の還元および所望のシス異性体の単離によって得られる。−78℃において、THF中L−Selectride(商標)によって還元すると、シス異性体が優先的に得られ、一方、−40℃から20℃において、イソプロパノール中、水素化ホウ素ナトリウムによって還元すると、クロマトグラフィーにより分離できるほぼ等比率のシス異性体とトランス異性体が得られる。
【0051】
【化14】

式中ArおよびArは、前記と同じ意味を有する。
【0052】
ケトン(4)は、塩化2−(トリメチルシリル)エトキシメチルによるシクロヘキサノン(5)のアルキル化によって得られる。前記反応は、リチウムヘキサメチルジシラジドなどの強塩基存在下、−78℃においてTHF中で実施することができる。
【0053】
【化15】

式中ArおよびArは、前記と同じ意味を有する。
【0054】
リチウムヘキサメチルジシラジドの代替として、BuLiと、[S−(R,R)]−(−)−ビス(α−メチルベンジル)アミンなどのキラルアミンとの反応から得られる生成物が使用できる。これによって、ホモキラル形態における化合物(4)の分離が可能となり、式Iのホモキラル化合物の合成が可能となる。シクロヘキサノン(5)の調製は、WO02/081435およびWO04/013090に記載されている。
【0055】
XがNRである化合物(2)は、アミン(6)とRNHSOClとの反応によって得ることができる。前記反応は、周囲温度において、トリエチルアミン存在下、ジクロロメタンとジメチルアセトアミドとの混合物中で実施できる。
【0056】
【化16】

式中、Ar、Ar、RおよびRは、前記と同じ意味を有する。
【0057】
アミン(6)は、無水条件で塩基の存在下、RSOClまたは(RSOOによるアルコール(3)のトランス異性体の処理、引き続いて生じたスルホン酸エステルを、RとRが、前記と同じ意味を有するRNHにより置換することによって得ることができる。あるいは、前記スルホン酸エステルを、アジドイオンを用いて置換し、その生成物を還元して、RがHであるアミン(6)を提供できる。前記置換は、95℃においてDMF中で実施でき、前記還元は、還流THF中、トリフェニルホスフィンを用いて実施できる。
【0058】
XがCHRである化合物(2)は、0℃においてメタノール中、水素化ホウ素ナトリウムおよびNiClを用いて、化合物(7)の還元にによって得ることができる。
【0059】
【化17】


式中、Ar、Ar、RおよびRは、前記と同じ意味を有する。
【0060】
化合物(7)は、
(EtO)P(O)−CH(R)SON(R)−CHCH=CH (8)
とケトン(4)との縮合により得られる。式中、RおよびRは、前記と同じ意味を有する。前記反応は、BuLi存在下、−78℃において、THF中で実施できる。化合物(8)は、−78℃において、THF中BuLi存在下、スルホンアミドR−CH−SON(R)−CHCH=CHとジエチルクロロホスホネートとの反応によって得られる。
【0061】
Yが、CHR−NRを表す式Iの化合物への代替経路は、式(9)の化合物の環化によるものでありる。前記反応は、テトラヒドロフラン(THF)を、例えば、一晩還流して行われる。この方法のために、XはCHRまたはNRであることが好ましい。
【0062】
【化18】

式中、Ar、Ar、X、RおよびRは、前記と同じ意味を有する。
【0063】
がHである式(9)の化合物は、RNHによるアルデヒド(10)の縮合および生じたイミンの水素化ホウ素ナトリウムによる還元によって調製できる。双方のステップとも、エタノール溶液中、周囲温度で実施でき、第1のステップは、アルミナ存在下で実施することが有利である。
【0064】
【化19】

式中、Ar、Ar、X、およびRは、前記と同じ意味を有する。
【0065】
がH以外のものである式(9)の化合物は、アルデヒド(10)とRNHとの反応および生じたイミンを、R−MgBrと、例えば、0℃でTHF中反応させることによって調製できる。
【0066】
アルデヒド(10)は、アルコール(11)の酸化により得られる。好適な酸化法としては、周囲温度においてジクロロメタン中、Dess−Martinペリオジナンによる処理が挙げられる。
【0067】
【化20】

式中、Ar、ArおよびXは、前記と同じ意味を有する。
【0068】
アルコール(11)は、アルコール(1b)に関する上記の経路と類似の経路によって得られる。
【0069】
Yが、CHR−CHRである式Iの化合物は、化合物(12)によって調製できる。前記反応は、BuLiの存在下、−30℃〜20℃でTHF中にて行われる。Xが、NRまたはCHRである化合物(12)は、対応する化合物(1a)に関して記載された方法と同じ方法により、RNHSOClの代わりにRCHSOClに、またRCH−SON(R)−CHCH=CHの代わりに、RCHSOCHにそれぞれ用いて調製できる。
【0070】
【化21】

式中、Ar、Ar、X、R、RおよびRは、前記と同じ意味を有する。Xは、NRまたはCHRであることが好ましい。
【0071】
Yが、CH−Oであり、Xが0である式Iの化合物は、塩化メタンスルホニルおよび水素化ナトリウムにより、XがO、RがH、RがHであるアルコール(1b)の連続処理によって調製できる。第1のステップは、4−ジメチルアミノピリジンの存在下、ピリジン中で、また第2のステップは、周囲温度においてTHFで実施される。
【0072】
Yが、CH−Oであり、XがNRである式Iの化合物は、二酢酸ヨードベンゼンによる化合物(13a)の処理によって調製できる。前記反応は、MgOおよび二酢酸Rh(II)ダイマーの存在下、還流ジクロロメタン中で行われる。化合物(13a)は、周囲温度においてDMF中、RNHSOClによるアルコール(13b)の処理から得られる。
【0073】
【化22】

式中、Ar、Ar、RおよびRは、前記と同じ意味を有する。RとRは、双方ともHであることが最も好適である。
【0074】
アルコール(13b)は、水素化ホウ素ナトリウム(RがHの場合)による、またはRがH以外の場合は、RMgBrによるアルデヒド(14)の処理によって得られる。
【0075】
【化23】

式中、ArおよびArは、前記と同じ意味を有する。
【0076】
アルデヒド(14)は、(i)メタンスルホン酸エステルの形成、(ii)メタンスルホン酸基の還元的開裂および(iii)カルボン酸エステルの還元を含む方法において、エノール(15)(WO02/081435)から調製できる。ステップ(i)は、(1b)から(1a)への変換に関して記載されたとおり実施する。ステップ(ii)は、−10℃におけるジクロロメタン/メタノール混液中、水素化ホウ素ナトリウムおよびニッケル(II)による処理を含む。ステップ(iii)は、−78℃でトルエン中、水素化ジイソブチルアルミニウムによる処理を含む。
【0077】
【化24】

式中、ArおよびArは、前記と同じ意味を有する。
【0078】
YがCH=CHである式Iの化合物は、式(16)の化合物の環化により調製できる。前記反応は、Grubb触媒の存在下、ジクロロメタン中で行われる。化合物(16)は、化合物(1b)の調製に関する上記の操作をRNHSOClの代わりに、塩化クロロエタンスルホニル、またRCH−SON(R)−CHCH=CHの代わりに、RCHSOCH=CHに替え、その後、アルコール基の酸化および生じたアルデヒドに対してのWittig反応によって調製できる。
【0079】
【化25】

式中、X、ArおよびArは、前記と同じ意味を有する。Xは、CHRまたはNHRであることが好ましく、NHRであることが最も好ましい。
【0080】
がH以外の式IIの化合物への好ましい経路は、R3a−Lによる化合物(17)のアルキル化を含む。前記アルキル化は、低温(例えば、−78℃)で、強塩基(リチウムビス(トリメチルシリル)アミドなど)の存在下、非プロトン系溶媒(THFなど)中で行われる。Prtが、p−メトキシベンジルの場合、開裂は、ジクロロメタンなどの不活性溶媒中、周囲温度で酸、例えば、トリフルオロ酢酸による処理によって実施できる。
【0081】
【化26】

式中、R3aは、H以外のRであり、Lは、ハロゲン化物(特に臭化物またはヨウ化物)、メシレート、トシレート、またはトリフレートなどの脱離基であり、Prtは、p−メトキシベンジルなどの保護基であり、ArおよびArは、前記と同じ意味を有する。
【0082】
化合物(17)への好ましい経路は、スルホンアミド(18)の環化を含む。前記環化は、適度な高温(例えば、約75℃)でDMFなどの非プロトン系溶媒中、水素化ナトリウムなどの強塩基による処理によって実施できる。
【0083】
【化27】

式中、R、Ar、ArおよびPrtは、前記と同じ意味を有する。
【0084】
化合物(18)は、塩化スルホニル(19)とPrtNHとの反応によって得ることができる。前記反応は、過剰のアミンを用い、約0℃でジクロロメタンなどの不活性溶媒中で実施できる。
【0085】
【化28】

式中、R、Ar、ArおよびPrtは、前記と同じ意味を有する。
【0086】
塩化スルホニル(19)は、スルホネート(20)と、チオ尿素との反応および、生じた付加体の塩基による処理によって得ることができる。前記チオ尿素による反応は、還流エタノール中で実施でき、生じた付加体は、酢酸水溶液中、気体状塩素によって処理できる。
【0087】
【化29】

式中、R、ArおよびArは、前記と同じ意味を有する。
【0088】
スルホネート(20)は、RSOClまたは(RSOOによるジオール(21)の処理によって得ることができる。前記反応は、トリエチルアミンなどの塩基存在下、約−10℃で、ジクロロメタン中簡便に実施される。
【0089】
【化30】

式中、R、ArおよびArは、前記と同じ意味を有する。
【0090】
ジオール(21)は、オゾンおよび水素化ホウ素ナトリウムによるケトン(22)の連続処理によって得ることができる。前記オゾン分解は、ジクロロメタン/メタノール混液中、約−78℃で典型的に実施され、次いで周囲温度に温めて水素化ホウ素ナトリウムを加える。
【0091】
【化31】

式中、ArおよびArは、前記と同じ意味を有する。
【0092】
ケトン(21)は、(5)から(4)への変換と同様な条件下、臭化アリルまたはヨウ化アリルによるシクロヘキサノン(5)のアルキル化により得られる。
【0093】
上記経路の詳細な操作は、実施例の節に提供されている。
【0094】
上記経路によって調製された式Iの個々の化合物は、アルキル化、エステル化、アミド結合、加水分解、有機金属種に媒介された結合、酸化および還元などのよく知られた合成法によって、式Iによる他の化合物へと変換できることは、当業者に明らかであろう。このような方法は、式Iの化合物の先駆体について、同様に実施できる。例えば、芳香族基ArまたはArの置換基を付加できるか、または式Iの化合物またはそれらの前駆体に対して実施された標準的合成法によって相互変換できる。例えば、ArまたはAr上の塩素原子または臭素原子を、トリ−t−ブチルホスフィン、フッ化セシウム、およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)の存在下、ビニルトリブチルスズによる処理によって、ビニルに置換できる。ビニル基のオゾン分解により、対応するホルミル誘導体が得られる、これを、対応する酸への酸化、対応するベンジルアルコールへの還元ならびにヒドロキシルアミン、次いでトリフェニルホスフィンおよび四塩化炭素を用いた処理による対応するニトリルへの変換などの種々の方法において変換できる。このタイプの変換のための操作は、WO2004/031139に開示されている。同様に、R、RまたはRにより表されるアルケニル基(アリルなど)をオゾン分解に供してホルミル誘導体が得られ、これらを次に、上記のように、カルボン酸への酸化、第一級アルコールへの還元およびニトリルへの変換などの標準的経路により、他の機能的誘導体へと変換できる。また、前述のアルコールを、対応するスルホン酸エステルへと変換して、種々の求核試薬によって、求核性置換に供することもできる。前述のニトリルは、標準的経路により、対応する第一級アミドへ水和化できる。
【0095】
本プロトコルのさらなる一例として、RとRの一方、または双方がHを表す式Iの化合物(またはそれらの前駆体)を、標準的アルキル化法によって、対応するアルキル誘導体へ変換することができる。同様に、RおよびRが、ビニルまたはアリルを表す式Iの化合物を、Grubb触媒を用いた処理によって、RとRが、ヘテロ環を完成させる対応する化合物へと変換することができる。
【0096】
上記の合成スキームに使用された出発物質および試薬自体が商品として入手できない場合は、それらを、商品として入手できる物質への有機合成の標準法の適用により得ることができる。
【0097】
上記の合成スキームの多くが、立体異性体混合物を生じさせ得ることは理解されよう。このような混合物は、分別結晶化および分取クロマトグラフィーなどの従来の手段により分離できる。
【0098】
本発明による一定の化合物は、1つ以上のキラル中心の存在により、またはその分子の全体的不斉性により、光学異性体として存在し得る。このような化合物は、ラセミ体において調製できるか、またはエナンチオ特異的合成または分割によって、個々の鏡像異性体を調製できる。新規化合物は、例えば、分取HPLC、またはジ−p−トルオイル−D−酒石酸および/またはジ−p−トルオイル−L−酒石酸などの光学活性酸を用いた塩形成によるジアステレオマー対の形成、それに引き続く分別結晶化および遊離塩基の再生などの標準的方法により、それらの鏡像異性体成分へと分割できる。また、新規化合物は、ジアステレオマーのエステルまたはアミドの形成後、クロマトグラフィー分離およびキラル助剤の除去によっても分割できる。
【0099】
上記合成手順のいずれの時でも、いずれの関係分子上の感受性または反応性の基を保護することが必要であり、および/または望ましいと考えられる。これは、Protective Groups in Organic Chemistry、編集者J.F.W.McOmie、Plenum Press、1973年;およびT.W.Greene & P.G.M.Wuts著Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley & Sons、第3版、1999年に記載されているものなど、従来の保護基によって達成できる。これらの保護基は、当業界で知られた方法を用いて、その後の都合のよい段階で除去できる。この方法の一例として、XがNHである式(12)の化合物の環化前に、臭化アリルを用いたアルキル化によってスルホンアミドの窒素を保護することが有利である。引き続き、アリル基を、[PhPCHCHCHPPh]NiClの存在下、周囲温度でトルエン中、水素化ジイソブチルアンモニウムを用いた還元により除去できる。
【0100】
本発明の化合物の有効性のレベルを判断するために使用できるアッセイは、WO01/70677に記載されている。このような有効性を判断するための好ましいアッセイは、WO03/093252に開示されている。
【0101】
代替となるアッセイは、Biochemistry,2000年、39(30)、8698〜8704ページに記載されている。
【0102】
また、J.Neuroscience Methods、2000年、102、61〜68ページを参照されたい。
【0103】
上記アッセイの少なくとも1つにおいて、本発明の実施例は全て、0.5μM未満、典型的には、50nM未満、多くの場合に10nM未満、好ましい場合には1.0nM未満のED50を有した。
【0104】
以下の例は、本発明を例示している。簡便さのため、化合物は、それらの鏡像異性体の均一性の状態に関わりなく、式IAによるものとして典型的に記されている。ホモキラル化合物は、RとSの立体配置記述子によって示されている。
【実施例】
【0105】
中間体1
4−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−2−[2−(トリメチルシリル)エトキシメチル]シクロヘキサノン
【0106】
【化32】

【0107】
乾燥テトラヒドロフラン(10mL)中、4−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)シクロヘキサノン(WO02/081435)(2.0g、5.2mmol)を、0.5Mリチウムヘキサメチルジシラジドのテトラヒドロフラン(11.4mL)冷却溶液に−78℃で滴下しながら加えた。この混合物を、この温度で2時間撹拌してから、塩化2−(トリメチルシリル)エトキシメチル(1.4mL、7.8mmol)を加え、この溶液を16時間かけて室温に温めた。反応混合物を、酢酸エチル(10mL)で希釈し、水(10mL)で洗浄し、有機相を分離し、乾燥(MgSO)して蒸発乾固した。生成物を、[9:1]ヘキサン−酢酸エチルで溶出するシリカにより精製すると、1.2gの標題化合物を得た。H NMR CDCl 7.38(4H,s)、7.24〜7.16(1H,m)、7.12〜7.06(1H,m)、6.97〜6.87(1H,m)、3.66(1H,dd,J=9.7および3.0Hz)、3.51〜3.45(3H,m)、3.17〜3.15(1H,m)、3.05〜2.98(1H,m)、2.56〜2.49(2H,m)、2.41〜2.35(2H,m)、2.23〜2.17(1H,m)、0.91〜0.87(2H,m)および0.03(9H,s)。
【0108】
中間体2
4−[(4−トリフルオロメチルフェニル)スルホニル]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−2−[2−(トリメチルシリル)エトキシメチル]シクロヘキサノン
【0109】
【化33】

【0110】
4−[(4−トリフルオロメチルフェニル)スルホニル]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)シクロヘキサノン(WO02/081435)から出発して中間体1のとおり調製し、固体として得た。16.3g。H NMR CDCl 7.69〜7.59(4H,m)、7.24〜7.18(1H,m)、7.12〜7.06(1H,m)、6.93〜6.86(1H,m)、3.67(1H,dd,J=9.7および2.9Hz)、3.58〜3.47(3H,m)、3.20〜3.16(1H,m)、3.04〜2.98(1H,m)、2.57〜2.51(2H,m)、2.41〜2.38(2H,m)、2.24〜2.16(1H,m)、0.91〜0.87(2H,m)および0.03(9H,s)。
【0111】
中間体3
(R,S)−4−[(4−トリフルオロメチルフェニル)スルホニル]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−2−[2−(トリメチルシリル)エトキシメチル]シクロヘキサノン
【0112】
【化34】

【0113】
窒素ガス下、[(S−(R,R)]−(−)−ビス(α−メチルベンジル)アミン(10g、44.4mmol)および無水塩化リチウム(1.87g、44.5mmol)を、テトラヒドロフラン(250mL)中で撹拌してから、−78℃に冷却し、ブチルリチウム(ヘキサン中1.6mol溶液、25.9mL)で徐々に処理した。この反応混合物を、0℃に温めて、30分間撹拌してから、再度−100℃の内温に冷却し、1時間撹拌した。−78℃に冷却された4−[(4−トリフルオロメチルフェニル)スルホニル]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)シクロヘキサノン(WO02/081435)(12.5g、29.9mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液を、−100℃の内温を維持しながら徐々に加えた。この混合物を−100℃で2時間撹拌してから、塩化2−(トリメチルシリル)エトキシメチル(7.9mL、44.7mmol)を加え,生じた混合物を−78℃に温め、一晩徐々に−12℃に温めた。反応混合物を、1M溶液のクエン酸でクエンチし、次いで酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を1Mクエン酸で、5%重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥(MgSO)し、ろ過し、溶媒を留去した。生じた油を、2%から10%酢酸エチル:イソヘキサンで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して標題化合物を透明油として得た。収量5g(30%)。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.69(2H,d,J 8.4Hz)、7.60(2H,d,J 8,4Hz)、7.23〜7.18(1H,m)、7.15〜7.08(1H,m)、6.96〜6.86(1H,m)、3.70〜3.64(1H,m)、3.53〜3.48(3H,m)、3.22〜3.16(1H,m)、3.08〜2.98(1H,m)、2.61〜2.51(2H,m)、2.43〜2.36(2H,m)、2.25〜2.14(1H,m)、0.94〜0.83(2H,m)、0.00(9H,s)。キラル純度はキラルHPLCにより決定された。
【0114】
中間体4(R,S)
(R,S)−4−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−2−[2−(トリメチルシリル)エトキシメチル]シクロヘキサノン
【0115】
【化35】

【0116】
出発物質として4−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)シクロヘキサノンを用いて中間体3と同じ様式で調製した。中間体1に関するNMRデータと同じ。
【0117】
中間体5
【0118】
【化36】

【0119】
4−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−(6−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)シクロヘキサノン(WO2004/031139)を、中間体1に関して記載された手法により所望の生成物に変換した。
【0120】
H NMR(360MHz,CDCl)δ0.01(9H,s)、0.90(2H,t,J=7.3Hz)、2.14〜2.25(1H,m)、2.40〜2.59(4H,m)、3.01(1H,m)、3.14〜3.19(1H,m)、3.48〜3.53(3H,m)、3.65〜3.68(1H,m)、6.87〜6.95(1H,m)、7.13〜7.18(1H,m)、7.23〜7.28(1H,m)、7.75(1H,d,J=8.2Hz)、7.95(1H,d,J=6.4Hz)、8.66(1H,s)。
【0121】
(実施例1)
(4aSR,6RS,8aSR)−6−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−6−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−エチルオクタヒドロ−1H−2,1,3−ベンゾチアジアジン2,2−ジオキシド
【0122】
【化37】

【0123】
ステップ1
4−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−2−[2−(トリメチルシリル)エトキシメチル]シクロヘキサノール(トランス異性体)
【0124】
【化38】

【0125】
イソプロパノール(2L)中、中間体1(23g、44.7mmol)を、−40℃でNaBH(6.8g、179mmol)で処理し、16時間かけて室温に温めながら撹拌した。反応液を8%クエン酸水(1L)でクエンチし、酢酸エチル(1L)で希釈し、次いで有機相を分離し、乾燥(MgSO)して蒸発乾固した。このトランス生成物を、ヘキサン−酢酸エチル混液で溶出するシリカにより精製した。収量23.3g。H NMR CDCl 7.39〜7.31(4H,m)、7.06〜7.02(2H,m)、6.86〜6.83(1H,m)、3.62〜3.46(5H,m)、2.90〜2.42(2H,m)、2.18〜2.03(2H,m)、1.91〜1.80(1H,m)、1.71〜1.52(1H,m)、1.24〜1.20(1H,m)、0.93〜0.89(2H,m)、および0.03(9H,s)。
【0126】
ステップ2
4−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−2−[2−(トリメチルシリル)エトキシメチル]シクロヘキシルアミン
【0127】
【化39】

【0128】
ジクロロメタン(100mL)中、ステップ1のアルコール(11.7g、22.7mmol)を、0℃でトリエチルアミン(6.3mL、45mmol)により処理して撹拌し、塩化メタンスルホニル(2.2mL、27mmol)を加えた。反応混合物を、1時間かけて室温まで温め、水(20mL),10%クエン酸水(20mL)および飽和炭酸水素ナトリウム水(50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)して蒸発乾固した。残渣をヘキサン中20%酢酸エチルで溶出するシリカを通してろ過し、メシレート体(10g)を得た。
ジメチルホルムアミド(50mL)中、この固体をアジ化ナトリウム(1.4g、29mmol)で処理し、95℃で8時間加熱した。この混合物を水(80mL)で処理し、酢酸エチル(2x50mL)で抽出した。有機相を合わせて、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)して蒸発乾固した。テトラヒドロフラン(320mL)および水(32mL)中の残渣(8g、14.7mmol)を、室温でトリフェニルホスフィン(4.7g、18mmol)により15分間処理してから、混合物を4時間還流加熱した。混合物を室温まで冷却し、次いでSCX Varian Bond Elut(商標)カートリッジを通した。塩基性フラクションを蒸発させて第一級アミン(7.2g)を得た。H NMR CDCl 7.39〜7.31(4H,m)、7.09〜6.96(2H,m)、6.85〜6.80(1H,m)、3.48〜3.15(5H,m)、2.93〜2.29(4H,m)、1.74〜1.19(3H,m)、0.93〜0.89(2H,m)および0.03(9H,s)。
MS MH+ 516(518)。
【0129】
ステップ3
4−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−2−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルアミン
【0130】
【化40】

【0131】
ジクロロメタン(40mL)中、ステップ2の生成物(5.5g、10.6mmol)を、三弗化硼素エーテラート(4mL)で処理し、2時間後、この混合物を0℃に冷却し、撹拌しながら水酸化ナトリウム(2.5M、20mL)を添加した。各層を分離し、有機層をブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、蒸発乾固して油を得、これをヘプタンと共沸して、アミノアルコール体を白色固体(5.8g)として得た。MS ES+416、418。
【0132】
ステップ4
【0133】
【化41】

【0134】
ジクロロメタン(40mL)およびジメチルアセトアミド(40mL)中、ステップ3の生成物(5.3g、10mmol)を、トリエチルアミン(3.4mL、24mmol)により処理し、次いで塩化N,N−ジメチルスルファモイル(1.6mL、14.5mmol)で処理した。72時間後、この混合物を水(200mL)の添加によりクエンチした。この混合物をジクロロメタン(2x100mL)で抽出し、有機層をブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、蒸発させて油を得、これを、シリカを通してろ過し、スルファミド体(4g)を得た。H NMR CDCl 7.38〜7.31(4H,m)、7.07〜7.04(2H,m)、6.85〜6.79(1H,m)、5.24(1H,d,J=11Hz)、3.79〜3.65(2H,m)、3.58〜3.50(1H,m)、2.98〜2.92(1H,m)、2.83(6H,s)、2.58〜2.20(3H,m)、2.09〜1.98(2H,m)、および1.56〜1.52(1H,m)。
【0135】
ステップ5
ジクロロメタン(3mL)中、ステップ4の生成物(0.1g、0.2mmol)を、Dess−Martinのペリオジナン(89mg、0.22mmol)で処理し、1時間後、混合物を、10%メタ重亜硫酸ナトリウム水(2mL)の添加によってクエンチした。10分間撹拌後、各層を分離し、水層をジクロロメタン(2x10mL)で抽出し、有機層を合わせて、飽和重炭酸ナトリウム水、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、蒸発させ、ヘプタンと共沸して、固体アルデヒド体(0.1g)を得た。粗製アルデヒドを、エタノール(3mL)に溶解し、エタノール中2Mエチルアミン(10当量、1mL)で処理し、オーブン乾燥アルミナ(100mg)を加えた。この混合物を16時間撹拌してからろ過した。水素化ホウ素ナトリウム(36mg、1mmol)を加え、1時間後、溶媒を減圧留去した。残渣を、酢酸エチル(5mL)と飽和重炭酸ナトリウム水(5mL)とに分配した。有機層を乾燥(NaSO)し、蒸発させ、残渣をテトラヒドロフラン(5mL)に溶解し、一晩還流した。溶媒を減圧留去し、残渣をヘキサン中25%酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフを行って、所望の環式スルファミド体(50mg)を得た。H NMR CDCl 7.39〜7.30(4H,m)、7.11〜7.06(2H,m)、6.90〜6.83(1H,m)、4.44(1H,d,J=11Hz)、3.86〜3.83(1H,m)、3.46(1H,dd,J=12.5および3.5Hz)、3.40(1H,m)、3.00〜2.93(2H,m)、2.72〜2.67(1H,m)、2.62〜2.45(2H,m)、2.17〜2.11(1H,m)、1.96〜1.92(1H,m)、1.68〜1.55(2H,m)および1.33〜1.30(3H,m)。MS ES 503、505。
【0136】
以下のものは、ステップ5におけるエチルアミンの代わりに適切なアミンを用いて調製した:
【0137】
【化42】

【0138】
【表2】

【0139】
(実施例15〜25)
実施例1の手法に従って、中間体2を出発し、ステップ4における適切なアミンを用いて調製した:
【0140】
【化43】

【0141】
【表3】

【0142】
(実施例26)
(4RS,4aRS,6RS,8aSR)−3,4−ジアリル−6−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−6−(2,5−ジフルオロフェニル)オクタヒドロ−1H−2,1,3−ベンゾチアジアジン2,2−ジオキシド
【0143】
【化44】

【0144】
ジクロロメタン(10mL)中、実施例1ステップ4の生成物(0.25g、0.5mmol)を、Dess−Martinのペリオジナン(243mg、0.57mmol)で処理し、1時間後、混合物を、10%メタ重亜硫酸ナトリウム水(5mL)の添加によってクエンチした。10分間撹拌後、各層を分離し、水層をジクロロメタン(2x25mL)で抽出し、有機層を合わせて、飽和重炭酸ナトリウム水、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、蒸発させ、ヘプタンと共沸して、アルデヒド体を固体(0.25g)として得た。粗製アルデヒドを、アセトニトリル(5mL)に溶解し、アリルアミン(75μL、1mmol)およびアルミナ(100mg)を加えた。2時間後、混合物をろ過し、蒸発させ、残渣を乾燥テトラヒドロフラン(8mL)に溶解した。この溶液を、0℃に冷却してから、テトラヒドロフラン中の1M臭化アリルマグネシウム(1mL、1mmol)を加えた。16時間後、混合物を酢酸(1滴)で処理し、次いで飽和炭酸水素ナトリウム水(10mL)で洗浄した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせて、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、濃縮した。次に残渣をテトラヒドロフランに溶解し、16時間還流して環化を実施した。溶媒を減圧留去し、生成物をヘキサン類中15%酢酸エチルで溶出するシリカカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(195mg)を得た。H NMR CDCl 7.39(2H,d,J=9Hz)、7.30(2H,d,J=9Hz)、7.11〜6.92(2H,m)、6.90〜6.83(1H,m)、5.85〜5.78(1H,m)、5.59〜5.49(1H,m)、5.34〜5.31(2H,m)、5.02〜4.92(2H,m)、4.53(1H,d,J=11Hz)、4.26〜4.19(1H,m)、3.99〜3.96(1H,m)、3.58〜3.52(1H,m)、3.16〜3.14(1H,m)、2.72〜2.18(6H,m)、1.96〜1.92(1H,m)および1.68〜1.55(1H,m)。MS ES 555、557。
【0145】
(実施例27)
(2RS,4aSR,11aRS,11bRS)−2−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−2−(2,5−ジフルオロフェニル)−1,2,3,4,4a,5,8,11,11a,11b−デカヒドロピリド[1,2−c][2,1,3]ベンゾチアジアジン6,6−ジオキシド
【0146】
【化45】

【0147】
ジクロロメタン(5mL)中、実施例26の生成物(190mg、0.34mmol)を、Grubb触媒(第二世代)(1mg)で処理した。この混合物を24時間撹拌し、次いで蒸発させ、残渣をヘキサン類中20%酢酸エチルで溶出するシリカカラムクロマトグラフィーにより精製して、実施例27(150mg)を得た。H NMR CDCl 7.39(2H,d,J=9Hz)、7.31(2H,d,J=9Hz)、7.11〜7.01(2H,m)、6.90〜6.83(1H,m)、5.83〜5.79(1H,m)、5.61〜5.55(1H,m)、4.89(1H,d,J=11Hz)、4.32〜4.28(1H,m)、4.08〜4.05(1H,m)、3.71〜3.64(1H,m)、3.49〜3.46(1H,m)、2.78〜2.25(5H,m)、2.06〜2.01(2H,m)、1.82〜1.75(1H,m)および1.50〜1.45(1H,m)。MS ES 527、529。
【0148】
(実施例28)
(2RS,4aSR,11aRS,11bRS)−2−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−2−(2,5−ジフルオロフェニル)ドデカヒドロピリド[1,2−c][2,1,3]ベンゾチアジアジン6,6−ジオキシド
【0149】
【化46】

【0150】
酢酸エチル(2mL)中、実施例27の生成物(16mg、0.03mmol)を、10%パラジウム炭素[1mg]と水素ガス(1気圧)とで処理した。混合物を2時間撹拌してからろ過し、蒸発させて実施例28(15mg)を得た。H NMR CDCl 7.39(2H,d,J=9Hz)、7.32(2H,d,J=9Hz)、7.11〜7.01(2H,m)、6.90〜6.83(1H,m)、5.03(1H,d,J=11Hz)、4.02〜3.98(2H,m)、3.20〜3.15(1H,m)、2.95〜2.88(1H,m)、2.72〜2.18(5H,m)、2.03〜1.95(2H,m)、1.90〜1.81(2H,m)および1.65〜1.49(4H,m)。MS ES 529、531。
【0151】
(実施例29)
(4RS,4aRS,6RS,8aSR)−4−アリル−6−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−6−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−イソプロピルオクタヒドロ−1H−2,1,3−ベンゾチアジアジン2,2−ジオキシド
【0152】
【化47】

【0153】
アリルアミンの代わりにイソプロピルアミンを用いて、実施例26の手法により調製した。H NMR CDCl 7.39(2H,d,J=8Hz)、7.30(2H,d,J=8Hz)、7.10〜7.01(2H,m)、6.89〜6.85(1H,m)、5.59〜5.49(1H,m)、5.02〜4.90(2H,m)、4.36(1H,d,J=11Hz)、4.16〜4.13(1H,m)、3.97〜3.95(1H,m)、3.14〜3.12(1H,m)、2.77〜2.70(1H,m)、2.56〜2.15(5H,m)、1.96〜1.92(1H,m)、1.68〜1.55(2H,m)および1.34〜1.24(6H,m)。MS ES 557、559。
【0154】
(実施例30)
(4RS,4aRS,6RS,8aSR)−6−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−6−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−イソプロピル−4−プロピルオクタヒドロ−1H−2,1,3−ベンゾチアジアジン2,2−ジオキシド
【0155】
【化48】

【0156】
実施例29の生成物(16mg、0.03mmol)を、酢酸エチル(2mL)に溶解し、10%パラジウム炭素(1mg)で処理した。この混合物を、水素雰囲気下で2時間撹拌してからろ過し、蒸発させて実施例30(15mg)を得た。H NMR CDCl 7.39(2H,d,J=8Hz)、7.30(2H,d,J=8Hz)、7.12〜7.05(2H,m)、6.89〜6.85(1H,m)、4.30(1H,d,J=11Hz)、4.15〜4.10(1H,m)、3.97〜3.95(1H,m)、3.04〜3.02(1H,m)、2.56〜2.15(3H,m)、1.98〜1.92(2H,m)、1.72〜1.58(4H,m)、1.34〜1.24(6H,m)、1.21〜1.10(2H,m)および0.94〜0.86(3H,m)。MS ES 559、561。
【0157】
(実施例31)
(4aRS,6RS,8aSR)−6−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−6−(2,5−ジフルオロフェニル)オクタヒドロ−3,2,1−ベンゾキサチアジン2,2−ジオキシド
【0158】
【化49】

【0159】
ステップ1
【0160】
【化50】

【0161】
ジクロロメタン(100mL)中、WO02/081435の実施例1のエノール体(18.4g、420mmol)を、0℃でトリエチルアミン(8.7mL、620mmol)で処理し、0.25時間後、塩化メタンスルホニル(4.0mL、0.530mmol)で処理した。室温で1時間撹拌後、水を加え、有機層をジクロロメタン(3x)に抽出した。有機抽出液を乾燥(MgSO)し、溶媒を減圧留去し、粗製物を30%酢酸エチル/ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、生成物を白色泡状物(19.5g、90%)として得た。
【0162】
ステップ2:
【0163】
【化51】

【0164】
ステップ1のメシレート体(200mg、0.35mmol)を、メタノール/ジクロロメタン(10mL)(5:1)に溶解し、−10℃に冷却した。塩化ニッケル六水和物(82mg、0.35mmol)を加え、次いで水素化ホウ素ナトリウム(67mg、1.8mmol)を一度に加えた。−10℃で2時間撹拌後、反応液を、Celite(商標)を通してろ過し、メタノールで洗浄した。溶媒を減圧留去し、残渣を酢酸エチルに溶解し、2M塩酸(2x)、水(2x)およびブライン(2x)で洗浄した。有機抽出液を乾燥(MgSO)し、溶媒を減圧留去した。粗製物を20%酢酸エチル/ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物(31mg、21%)を得た。H NMR(400MHz CDCl)δ1.63〜1.65(1H,m)、1.84〜1.89(2H,m)、2.00〜2.18(2H,m)、2.50〜2.56(1H,m)、2.70(1H,m)、2.93〜2.95(1H,m)、3.22〜3.24(1H,m)、3.55(3H,s)、6.73〜6.80(1H,m,Ar−H)、6.97〜7.01(1H,m,Ar−H)、7.07〜7.12(1H,m,Ar−H)、7.28〜7.37(4H,m,Ar−H)。
【0165】
ステップ3:
【0166】
【化52】

【0167】
前述のエステル(3.0g、7mmol)を、トルエン(50mL)に溶解し、−78℃に冷却した。水素化ジイソブチルアルミニウム(トルエン中1.0M)(8.7mmol、8.7mL)を、0.5時間かけて加え、反応液を−78℃で1.5時間撹拌してから、メタノール(0.5mL)、2N水酸化ナトリウム(1mL)および水(2mL)でクエンチした。反応混合物を室温に温め、Celite(商標)を通してろ過し、酢酸エチル(500mL)で洗浄した。有機抽出液を、水(2x)、ブライン(2x)で洗浄してから乾燥(MgSO)し、溶媒を減圧留去した。粗製物を10%酢酸エチル/ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、アルデヒド体を白色固体(1.86g、67%)として得た。H NMR(400MHz CDCl)δ1.62〜1.74(2H,m)、1.80(1H,m)、2.01〜2.08(1H,m)、2.16〜2.22(1H,m)、2.61〜2.75(2H,m)、2.94〜2.99(1H,m)、3.06〜3.12(1H,m)、6.77〜6.83(1H,m,Ar−H)、6.98〜7.06(2H,m,Ar−H)、7.29〜7.38(4H,m,Ar−H)、9.57(1H,s,CHO)。
【0168】
ステップ4:
【0169】
【化53】

【0170】
ジクロロメタン/メタノール(45mL)(1:2)中、ステップ3のアルデヒド体(1.86g、4.3mmol)を、炭酸カリウム(6.1g、43mmol)と処理し、この混合物を室温で2時間撹拌し、ジクロロメタン(50mL)で希釈し、水(3x)で洗浄した。有機抽出液を乾燥(MgSO)し;溶媒を減圧留去し、エピマー化アルデヒドを白色結晶性固体(1.8g、97%)として得た。H NMR(400MHz CDCl)δ1.27〜1.39(2H,m)、1.96〜2.07(4H,m)、2.16〜2.19(1H,m)、2.71〜3.1(2H,m)、6.83〜6.90(1H,m,Ar−H)、7.03〜7.09(2H,m,Ar−H)、7.35〜7.40(4H,m,Ar−H)、9.61(1H,s,CHO)。
ステップ5:
【0171】
【化54】

【0172】
前記アルデヒド体(1.0g、2.5mmol)をメタノール(20mL)に懸濁し、0℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(48mg、1.25mmol)を一度に加え、反応液を1時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、粗製物を20%酢酸エチル/ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。アルコール体を無色油(0.9g、90%)として得た。H NMR(400MHz CDCl)δ1.3〜1.5(2H,m)、1.70(1H,m)、1.83〜1.90(2H,m)、2.07(1H,m)、2.60〜3.0(2H,m)、3.50〜3.53(2H,m)、6.80〜6.87(1H,m,Ar−H)、7.01〜7.11(2H,m,Ar−H)、7.36〜7.39(4H,m,Ar−H)。
【0173】
ステップ6:
【0174】
【化55】

【0175】
前記アルコール体(150mg、0.13mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド(3mL)に溶解し、塩化スルファモイル(150mg、0.39mmol)を加えた。反応液を室温で4時間撹拌してから、酢酸エチル(50mL)に溶解し、水(3x)で洗浄した。有機層を乾燥(MgSO)し、溶媒を減圧留去した。残渣を40%酢酸エチル/ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、白色固体(90mg、50%)を得た。H NMR(400MHz CDCl)δ1.19〜1.27(2H,m)、1.70〜1.72(2H,m)、1.86〜1.97(2H,m)、2.04(1H,s)、2.5〜3.0(2H,m)、4.03〜4.1(2H,m)、5.0(2H,s,NH)、6.85(1H,s,Ar−H)、7.02〜7.08(2H,m,Ar−H)、7.35〜7.39(4H,m,Ar−H)。MS ES 478。
【0176】
ステップ7:
ステップ6のスルファメート体(90mg、0.19mmol)に、ジクロロメタン(3mL)および酸化マグネシウム(17mg、0.43mmol)を加え、次いで二酢酸ヨードベンゼン(7mg、0.2mmol)および酢酸ロジウム(II)ダイマー(1mg)を加えた。この混合物を40℃で0.5時間で加熱し、溶媒を減圧留去し、粗製物を40%酢酸エチル/ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに次いで分取HPLCより精製し、9:1混合物のジアステレオマーを得、主要成分は標題化合物(7mg、8%)であった。H NMR(500MHz CDCl)δ1.51〜1.53(1H,m)、1.71〜1.74(1H,m)、1.93〜1.96(1H,m)、2.28〜2.30(1H,m)、2.55〜2.65(2H,m)、2.72〜2.76(1H,m)、3.92(1H,s)、4.30〜4.32(1H,d,J=11.6Hz)、4.64〜4.66(1H,d,J=8.8Hz,NH)、4.99〜5.01(1H,d,J=10.7Hz)、6.84〜6.89(1H,m,Ar−H)、7.07〜7.12(2H,m,Ar−H)、7.32〜7.41(4H,m,Ar−H)。MS ES 476/478。
【0177】
(実施例32)
(4aSR,6RS,8aSR)−6−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−6−(2,5−ジフルオロフェニル)オクタヒドロ−1,2,3−ベンゾキサチアジン2,2−ジオキシド
【0178】
【化56】

【0179】
ステップ1
【0180】
【化57】

【0181】
−78℃に冷却された乾燥THF(500mL)中、中間体1(14.8g、28.7mmol)を、L−Selectride(THF中1M、34.5mL、34.5mmol)により滴下しながら処理した。この混合物を、この温度で1.5時間撹拌してから、塩酸(2M、50mL)でクエンチし、室温に温め、半分の容量に濃縮した。残渣を水で希釈し、酢酸エチル(3x100mL)で抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、ろ過し、蒸発させた。粗製物をフラッシュクロマトグラフィー(イソヘキサン/酢酸エチル5:1から2:1)により精製し、白色固体(12.1g)を得た。
【0182】
H NMR CDCl −0.03(9H,s)、0.98〜0.82(4H,m)、1.45〜1.29(4H,m)、1.91〜1.84(1H,brs)、2.61〜2.57(2H,m)、3.18(1H,br)、3.55〜3.41(3H,m)、6.91〜6.80(1H,m)、7.14〜6.98(2H,m)、7.35(4H,s)。
【0183】
ステップ2
【0184】
【化58】

【0185】
ステップ1の生成物(980mg、1.9mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(15mL)に溶解し、塩化スルファモイル(875mg、7.6mmol)を一度に加えた。反応液を50℃で一晩加熱し、冷却し、水(150mL)で希釈した。酢酸エチル(3x50mL)で抽出後、有機層をブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、ろ過して蒸発させた。粗製物をフラッシュクロマトグラフィー(イソヘキサン/酢酸エチル5:1から2:1)により精製し、白色泡状物(720mg)を得た。
MS MH−594
ステップ3
【0186】
【化59】

【0187】
実施例1ステップ3の手法によりステップ2の生成物から調製した。
MS ES494
【0188】
ステップ4
乾燥ピリジン(5mL)中、ステップ3のアルコール体(900mg、1.81mmol)を、N,N−ジメチルアミノピリジン(110mg、0.6mmol)および塩化p−トルエンスルホニル(1.0g、5.4mmol)で処理し、この反応液を40℃で一晩撹拌した。この混合物を、水(50mL)で希釈した。酢酸エチル(3x50mL)で抽出した。有機層を、2M塩酸(x2)、水、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、ろ過して蒸発させた。粗製物をフラッシュクロマトグラフィー(イソヘキサン/酢酸エチル4:1から1:1)により精製し、白色固体(910mg)を得た。乾燥THF(8mL)中のこのトシレート体(660mg、1.15mmol)に、水素化ナトリウム(60%分散液、60mg、1.5mmol)を加えた。反応液を一晩撹拌してから、飽和塩化アンモニウム水(5mL)でクエンチし、水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(3x50mL)で抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、ろ過して蒸発させた。粗製物をフラッシュクロマトグラフィー(9:1ジクロロメタン/メタノール)により精製し、所望の精製物を白色泡状物(520mg)として得た。H NMR(MeOD)0.82〜0.91(3H,m)、1.52〜1.72(2H,m)、2.03〜2.08(1H,m)、2.34〜2.74(4H,m)、3.72(1H,dd,J=3.4,14.7Hz)、6.97〜7.04(1H,m)、7.18〜7.23(2H,m)、7.40(2H,d,J=8.7Hz)、7.51(2H,d,J=8.7Hz)。
【0189】
(実施例33)
(4aSR,6RS,8aSR)−6−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−6−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−メチルオクタヒドロ−1,2,3−ベンゾキサチアジン2,2−ジオキシド
【0190】
【化60】

【0191】
乾燥THF(2mL)中、実施例32の生成物(40mg、0.083mmol)に、水素化ナトリウム(60%分散液、4mg、0.1mmol)を加え、次いでヨードメタン(8μl、0.17mmol)を加えた。この混合物を一晩撹拌し、飽和塩化アンモニウム水(10mL)でクエンチし、酢酸エチル(3x50mL)で抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、ろ過して蒸発させた。粗製物をフラッシュクロマトグラフィー(2:1イソヘキサン/酢酸エチル)により精製して白色固体(34mg)を得た。
【0192】
H NMR CDCl 1.43(1H,s)、1.67〜1.75(1H,m)、2.20(1H,dd,J=2.9,15.4Hz)、2.44〜2.64(3H,m)、2.86(3H,s)、2.89〜2.99(2H,m)、3.55(1H,dd,J=3.2,12.7Hz)、4.90(1H,s)、6.85〜6.91(1H,m)、7.02〜7.12(2H,m)、7.35(2H,d,J=8.5Hz)、7.37(2H,d,J=8.5Hz)。
【0193】
(実施例34〜37)
【0194】
【化61】

【0195】
実施例33の手法に従って、ヨードメタンの代わりに適切なハロゲン化アルキルを用いて、この反応混合物を5時間還流して以下のものを調製した:
【0196】
【表4】

【0197】
(実施例38)
(4aSR,6RS,8aSR)−6−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−3−シクロブチル−6−(2,5−ジフルオロフェニル)オクタヒドロ−1,2,3−ベンゾキサチアジン2,2−ジオキシド
【0198】
【化62】

【0199】
実施例32のステップ1〜4を、ステップ2における塩化スルファモイルの代わりに塩化シクロブチルスルファモイルを用いて繰り返した。環化は、反応が還流で実施されること以外、実施例32のステップ5と同じく実施された。
【0200】
H NMR CDCl 1.55(2H,m)、1.65〜1.89(2H,m)、2.14〜2.17(2H,m)、2.17(1H,m)、2.27〜2.99(6H,m)、3.00〜3.09(1H,m)、3.34〜3.37(1H,m)、3.86〜3.93(1H,m)、4.84(1H,s)、6.80〜7.09(3H,m)、7.35(2H,d,J=8Hz)、7.39〜7.41(2H,d,J=8Hz)。
【0201】
(実施例39)
(4aSR,6RS,8aSR)−6−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−6−(2,5−ジフルオロフェニル)ヘキサヒドロ−4H−1,3,2−ベンゾジオキサチン2,2−ジオキシド
【0202】
【化63】

【0203】
実施例32のステップ4を、塩化トルエンスルホニルの代わりに塩化メタンスルホニルを用いて繰り返した。実施例32のステップ5の手法による粗製メシレート体の処理によりスルファメート体よりもサルフェート体を得た。
【0204】
H NMR CDCl 1.45〜1.52(1H,m)、1.94(1H,s)、2.55〜2.67(4H,m)、3.02〜3.10(1H,m)、3.95(1H,dd,J=1.2,5.6Hz)、4.73(1H,t,J=4.6Hz)、4.79(1H,t,J=5.3Hz)、6.83〜6.88(1H,m)、6.99〜7.07(2H,m)、7.38〜7.42(4H,m)。
【0205】
(実施例40)
(4aSR,6RS,8aSR)−3−シクロプロピル−6−(2,5−ジフルオロフェニル)−1−メチル−6−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}オクタヒドロ−1H−2,1,3−ベンゾチアジアジン2,2−ジオキシド
【0206】
【化64】

【0207】
実施例18の生成物(7mg、0.012mmol)を、ジメチルホルムアミド(1mL)に溶解し、水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液、3mg)を加えた。この混合物を90℃に2時間加熱後、ヨウ化メチル(8μL)を加え、50℃で3時間加熱してから、酢酸エチル(20mL)に注ぎ、水洗した(3x30mL)。有機相を乾燥し、蒸発させて油を得、分取t.l.c.により精製して所望の生成物を得た。H NMR CDCl 7.69〜7.52(4H,m)、7.12〜7.07(2H,m)、6.87〜6.80(1H,m)、3.78〜3.72(1H,m)、3.49〜3.48(1H,m)、3.13〜3.07(2H,m)、2.76(3H,s)、2.68〜2.63(1H,m)、2.60〜2.35(3H,m)、2.21〜2.17(1H,m)、1.65〜1.59(1H,m)、1.45〜1.35(1H,m)、0.95〜0.83(2H,m)および0.78〜0.72(2H,m)。
【0208】
(実施例41)および(実施例42)
(4aS,6R,8aS)−6−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−3−シクロプロピル−6−(2,5−ジフルオロフェニル)オクタヒドロ−1H−2,1,3−ベンゾチアジアジン2,2−ジオキシドおよび(4aR,6S,8aR)−6−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−3−シクロプロピル−6−(2,5−ジフルオロフェニル)オクタヒドロ−1H−2,1,3−ベンゾチアジアジン2,2−ジオキシド
【0209】
【化65】

【0210】
実施例4の生成物(5mg)は、イソヘキサン類中15%エタノールで溶出する(2mL/分)CHIRACEL OD−H(250x4.5mm)カラムを用いて、その構成エナンチオマーに、キラルHPLCにより分離し、実施例41(2mg)および実施例42(2mg)を得た。MS(ES)515,517。
【0211】
(実施例43)
(4aRS,6RS,8aSR)−6−(2,5−ジフルオロフェニル)−6−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}オクタヒドロ−1H−2,1−ベンゾチアジン2,2−ジオキシド
【0212】
【化66】

【0213】
ステップ1
【0214】
【化67】

【0215】
トリエチルアミン(175μL、1.26mmol)を、実施例15ステップ1の生成物(230mg、0.419mmol)および塩化メタンスルホニル(65μL、0.838mmol)のジクロロメタン(5mL)溶液に加えた。この混合物を室温で3時間撹拌し、蒸発乾固し、残渣を酢酸エチルと2M塩酸とに分配した。有機層を、2M塩酸に次いで4M水酸化ナトリウムで洗浄し、乾燥(MgSO)し、ろ過し、溶媒を留去して所望のメタンスルホンアミドを淡黄色泡状物として得た。
【0216】
ステップ2
【0217】
【化68】

【0218】
ジメチルホルムアミド(5mL)中、ステップ1の生成物(263mg、0.419mmol)を、水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液、90mg、2.25mmol)で処理し、反応混合物を室温で30分間撹拌してから、臭化アリル(382μL、4.51mmol)を加えた。次に、この反応混合物を65℃に加熱して一晩撹拌した。冷却反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機抽出液を水洗し、乾燥(MgSO)し、ろ過し、溶媒を留去した。残渣を、25%酢酸エチル:75%イソヘキサンで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、N−アリル誘導体を黄色泡状物として得た。収量150mg。
【0219】
ステップ3
【0220】
【化69】

【0221】
ステップ2の生成物(150mg、0.225mmol)を、実施例1ステップ3に記載されたとおり三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(250μL、1.99mmol)と処理してアルコール体(115mg)を得た。
【0222】
ステップ4
【0223】
【化70】

【0224】
ジクロロメタン(5mL)中、ステップ3のアルコール体(115mg、0.203mmol)および塩化メタンスルホニル(47μL、0.609mmol)を、トリエチルアミン(141μL、1.01mmol)で処理し、この混合物を室温で3時間撹拌した。溶媒を減圧留共去し、残渣を酢酸エチルと2M塩酸とに分配した。有機層を採取し、2M塩酸に次いで4M水酸化ナトリウムで洗浄し、乾燥(MgSO)し、ろ過し、溶媒を留去し、微量の酢酸エチルの全てを除去するためにトルエンと共沸させ、メシレート体を白色泡状物として得た。収量130mg。
【0225】
ステップ5
【0226】
【化71】

【0227】
窒素ガス下、テトラヒドロフラン(5mL)中、ステップ4のメシレート体(130mg、0.202mmol)を、−30℃でブチルリチウム(ヘキサン中1.6M、252μL)と処理し、この反応混合物を室温にゆっくりと温めてから、水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機抽出液を水洗し、乾燥(MgSO)し、ろ過し、蒸発させた。残渣を、25%酢酸エチル:75%イソヘキサンで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の環式スルホンアミド体を白色粉末として得た。収量15mg(14%)。
【0228】
ステップ6
トルエン中(2mL)、ステップ5の生成物(12mg、0.022mmol)を、[1.3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル(II)(1.2mg、0.0022mmol)に次いで水素化ジイソブチルアルミニウム(トルエン中1.5M溶液、30μL)で処理した。混合物を室温で3時間撹拌してから、4M水酸化ナトリウムでクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機抽出液を乾燥(MgSO)し、酢酸エチルで溶出するシリカゲルプラグを通してろ過し、蒸発乾固した。残渣をジエチルエーテル中粉砕し、固体を採取して標題化合物を白色固体として得た。収量6mg(55%)。
【0229】
H NMR(500MHz,CDCl)δ7.67(2H,d,J 8.1Hz)、7.53(2H,d,J 8.1Hz)、7.12〜7.07(2H,m)、6.90〜6.78(1H,m)、4.45〜4.37(1H,m)、3.76〜3.71(1H,m)、3.20〜3.11(1H,m)、3.10〜3.04(1H,m)、2.71〜2.61(1H,m)、2.55〜2.42(2H,m)、2.40〜2.29(1H,m)、2.10〜1.98(1H,m)、1.91〜1.84(1H,m)、1.72〜1.60(2H,m)、0.98〜0.91(1H,m)。m/z(ES)(M−1)508。
【0230】
(実施例44)
(3S,4aR,6R,8aS)−6−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−エチル−6−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}オクタヒドロ−1H−2,1−ベンゾチアジン2,2−ジオキシド
【0231】
【化72】

【0232】
ステップ1
【0233】
【化73】

【0234】
中間体3(830mg、1.29mmol)を、実施例15ステップ1および実施例43に記載されたとおり処理し、キラルN−アリルスルホンアミド体を白色固体として得た。収量300mg(42%)。
【0235】
H NMR(500MHz,CDCl)δ7.67(2H,d,J 8.1Hz)、7.53(2H,d,J 8.1Hz)、7.12〜7.06(2H,m)、6.88〜6.77(1H,m)、6.07〜5.98(1H,m)、5.28(1H,dd,J 0.5および17.6Hz)、5.23(1H,dd,J 0.5および10.5Hz)、4.41〜4.31(1H,m)、3.71〜3.61(1H,m)、3.28〜3.20(1H,m)、3.10〜3.02(1H,m)、2.91〜2.80(1H,m)、2.56〜2.25(5H,m)、1.98〜1.90(1H,m)、1.81〜1.66(1H,m)、1.45〜1.30(2H,m)。
【0236】
ステップ2
【0237】
【化74】

【0238】
テトラヒドロフラン(5mL)中、ステップ1の生成物(80mg、0.146mmol)を、0℃でリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(テトラヒドロフラン中1M溶液、292μL)と処理し、この混合物を0℃で30分間撹拌してから、ヨードメタン(15μL、0.188mmol)を添加した。生じた混合物を一晩ゆっくりと温め、水でクエンチしてから酢酸エチルで抽出した。有機抽出液を乾燥(MgSO)し、ろ過し、溶媒を留去した。残渣を、10%から15%酢酸エチル:イソヘキサンで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、極性のより低い生成物(白色固体、収量28mg、33%)を得た:
H NMR(500MHz,CDOH)δ7.81(2H,d,J 8.3Hz)、7.66(2H,d,J 8.3Hz)、7.24〜7.15(2H,m)、7.02〜6.93(1H,m)、6.04〜5.93(1H,m)、5.32(1H,d,J 17.2Hz)、5.19(1H,d,J 10.1Hz)、4.26(1H,dd,J 5.1 & 17.2Hz)、3.77(1H,dd,J 7.0 & 17.2Hz)、3.54(1H,brs)、3.16〜3.11(1H,m)、2.83〜2.68(1H,m)、2.61〜2.39(2H,m)、2.33〜2.02(2H,m)、2.08〜1.85(2H,m)、1.55〜1.28(3H,m)、1.11〜0.98(3H,m)、0.93〜0.82(1H,m);
また、極性のより高い生成物(白色固体、収量23mg、27%)を得た:
H NMR(500MHz,CDOH)δ7.83(2H,d,J 8.3Hz)、7.66(2H,d,J 8.3Hz)、7.24〜7.14(2H,m)、7.04〜6.94(1H,m)、5.92〜5.81(1H,m)、5.24(1H,dd,J 1.1 & 17.2Hz)、5.13(1H,dd,J 1.1 & 10.3Hz)、4.13〜4.05(1H,dd,m)、3.75(1H,dd,J 6.8 & 16.7Hz)、3.59〜3.53(1H,m)、3.00〜2.93(1H,m)、2.70〜2.55(2H,m)、2.48〜2.22(4H,m)、2.13〜2.03(1H,m)、1.93〜1.85(1H,m)、1.75〜1.66(1H,m)、1.59〜1.47(1H,m)、1.17〜1.07(3H,m)、0.95〜0.84(1H,m)。
【0239】
ステップ3
ステップ2の極性のより低い生成物(25mg、0.0433mmol)を、実施例43ステップ6に記載されたとおり処理し、所望のキラルスルホンアミド体を白色固体として得た。収量20mg(86%)。
【0240】
H NMR(500MHz,CDOH)δ7.82(2H,d,J 8.2Hz)、7.64(2H,d,J 8.2Hz)、7.23〜7.08(2H,m)、7.01〜6.93(1H,m)、3.57〜3.52(1H,m)、3.06〜2.98(1H,m)、2.75〜2.56(2H,m)、2.51〜2.37(2H,m)、2.00〜1.91(2H,m)、1.90〜1.82(1H,m)、1.74〜1.55(2H,m)、1.51〜1.42(1H,m)、1.23〜1.20(1H,m)、1.15〜1.07(3H,m)、0.97〜0.84(1H,m)。m/z(ES)(M−1)536。
【0241】
(実施例45)
(3R,4aR,6R,8aS)−6−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−エチル−6−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}オクタヒドロ−1H−2,1−ベンゾチアジン2,2−ジオキシド
【0242】
【化75】

【0243】
実施例44ステップ2の極性のより高い異性体(23mg、0.0433mmol)を、実施例43ステップ6に記載されたとおり処理し、所望のキラルスルホンアミド体を白色固体として得た。収量10mg(46%)。
【0244】
H NMR(500MHz,CDOH)δ7.84(2H,d,J 8.2Hz)、7.65(2H,d,J 8.2Hz)、7.27〜7.08(2H,m)、7.04〜6.94(1H,m)、3.62〜3.57(1H,m)、2.93〜2.86(1H,m)、2.75〜2.63(1H,m)、2.56〜2.49(2H,m)、2.48〜2.41(1H,m)、2.40〜2.32(1H,m)、2.17〜2.07(1H,m)、2.00〜1.93(1H,m)、1.91〜1.84(1H,m)、1.79〜1.70(1H,m)、1.68〜1.55(1H,m)、1.32〜1.25(1H,m)、1.20〜1.14(3H,m)、0.98〜0.85(1H,m)。m/z(ES)(M−1)536。
【0245】
(実施例46)
(3RS,4aRS,6RS,8aSR)−6−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−イソプロピル−6−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}オクタヒドロ−1H−2,1−ベンゾチアジン2,2−ジオキシド
【0246】
【化76】

【0247】
ステップ1
【0248】
【化77】

【0249】
ジクロロメタン(25mL)中、実施例15ステップ2の生成物(2g、3.1mmol)を、トリエチルアミン(1.7mL、12.4mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(触媒量)および塩化t−ブチルジメチルシリル(1.16g、7.75mmol)により処理した。16時間後、混合物を、10%クエン酸(10mL)、重炭酸ナトリウム(飽和水20mL)およびブライン(飽和水15mL)により洗浄した。有機層を乾燥(MgSO)し、蒸発させ、残渣を、酢酸エチル中1%アンモニアで溶出するシリカを通してろ過し、所望のt−ブチルジメチルシリルエーテル体を白色固体(1.8g)として得た。MSES+564。
【0250】
ステップ2
【0251】
【化78】

【0252】
ステップ1のシリルエーテル体(1.8g、3.2mmol)および塩化イソブタンスルホニル(1.12g、8mmol)を、ジクロロメタン(20mL)中撹拌し、トリエチルアミン(1.34mL、9.5mmol)を加えた。室温で16時間撹拌後、この混合物を蒸発乾固し、残渣を酢酸エチルと2M塩酸とに分配した。有機層を採取し、2M塩酸に次いで4M水酸化ナトリウムで洗浄し、乾燥(MgSO)し、ろ過し、溶媒を減圧留去した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン中20%酢酸エチルで溶出する)により精製し、スルホンアミド体(900mg)を得た。この生成物を、ジメチルホルムアミド(6mL)に溶解し、水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液、132mg、3.3mmol)を加えた。この混合物を室温で30分間撹拌してから、臭化アリル(1.1mL、13mmol)を加え、この混合物を65℃に72時間加熱した。室温に冷却後、水でクエンチし、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機抽出液を水洗し、乾燥(MgSO)し、ろ過し、溶媒を留去した。残渣を、20%酢酸エチル:80%イソヘキサンで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、N−アリル誘導体(400mg)を得た。
【0253】
ステップ3
【0254】
【化79】

【0255】
実施例32ステップ4の手法により、ステップ2の生成物(0.2g)および塩化p−トルエンスルホニルから調製した。ヘキサン類中30%酢酸エチルで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、トシレート体(185mg)を得た。
【0256】
ステップ4
【0257】
【化80】

【0258】
窒素下、テトラヒドロフラン(5mL)中、ステップ3のトシレート体(186mg、0.24mmol)を、−40℃でリチウムヘキサメチルジシラジド(テトラヒドロフラン中1.0M溶液、480μL)と処理し、反応混合物を室温に一晩ゆっくりと温めてから、飽和塩化アンモニウム水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機抽出液を水洗し、乾燥(MgSO)し、ろ過して溶媒を留去した。残渣を、15%酢酸エチル:85%イソ−ヘキサンで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、極性のより低い生成物を白色固体(48mg)を得た:
H NMR(500MHz,CDCl)δ7.66(2H,d,J 8Hz)、7.52(2H,d,J 8Hz)、7.11〜7.07(1H,m)、6.93〜6.75(2H,m)、6.06〜5.96(1H,m)、5.29〜5.22(2H,m)、4.41〜4.33(1H,m)、3.69〜3.48(2H,m)、3.07〜2.99(1H,m)、2.89〜2.72(1H,m)、2.61〜2.20(5H,m)、1.90〜1.73(2H,m)、1.48〜1.30(2H,m)、1.17(3H,d,J=7Hz)および1.05(3H,d,J=7Hz);
また、極性のより高い生成物を白色固体(67mg)を得た:
H NMR(500MHz,CDCl)δ7.65(2H,d,J 8Hz)、7.54(2H,d,J 8Hz)、7.07〜7.03(2H,m)、6.86〜6.78(1H,m)、5.75〜5.65(1H,m)、5.04〜4.99(2H,m)、3.95(1H,dd,J=15.5および4.5Hz)、3.63(1H,dd,J=15.5および6.5Hz)、3.29〜3.24(1H,m)、2.76〜2.72(1H,m)、2.61〜2.52(4H,m)、2.49〜2.42(1H,m)、2.40〜2.18(3H,m)、2.09〜2.00(1H,m)、1.75〜1.68(1H,m)、1.17(3H,d,J=6.8Hz)および1.09(3H,d,J=6.8Hz)。
【0259】
ステップ5
ステップ4の極性のより低い生成物(40mg、0.067mmol)を、実施例43ステップ6に記載されたとおり処理し、標題化合物を白色固体として得た。23mg。H NMR(500MHz,CDCl)δ7.67(2H,d,J 8.3Hz)、7.53(2H,d,J 8.0Hz)、7.25〜6.88(2H,m)、7.11〜7.06(1H,m)、4.68〜4.50(1H,brs)、3.69〜3.68(1H,m)、3.00〜2.96(1H,m)、2.71〜2.65(1H,m)、2.60〜2.27(3H,m)、2.18〜2.13(1H,m)、2.02〜1.87(2H,m)、1.80〜1.52(3H,m)、1.22(3H,d,J 6.9Hz)、1.07(3H,d,J 6.9Hz)。m/z(ES)(M−1)550。
【0260】
(実施例47)
(3SR,4aRS,6RS,8aSR)−6−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−イソプロピル−6−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}オクタヒドロ−1H−2,1−ベンゾチアジン2,2−ジオキシド
【0261】
【化81】

【0262】
実施例46のステップ5を、ステップ4の極性のより高い異性体(40mg、0.067mmol)を用いて繰り返し、標題化合物を白色固体として得た。(23mg)。H NMR(500MHz,CDCl)δ7.68(2H,d,J 8.3Hz)、7.54(2H,d,J 8.2Hz)、7.10〜7.06(2H,m)、6.87〜6.82(1H,m)、4.47(1H,d,J 8.9Hz)、3.60〜3.57(1H,m)、2.82〜2.77(1H,m)、2.71〜2.52(2H,m)、2.40〜2.20(4H,m)、1.98(1H,dd,J 15.1および2Hz)、1.81〜1.77(2H,m)、1.76〜1.74(1H,m)、1.26(3H,d,J 6.4Hz)、1.11(3H,d,J 6.8Hz)。m/z(ES)(M−1)550。
【0263】
(実施例48)
(4aRS,6RS,8aSR)−6−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−6−(2,5−ジフルオロフェニル)オクタヒドロ−1H−イソチオクロメン2,2−ジオキシド
【0264】
【化82】

【0265】
ステップ1
【0266】
【化83】

【0267】
乾燥テトラヒドロフラン(10mL)中、ジエチル(メチルスルホニルメチル)ホスホネート[J.Org.Chem.1972年、37(22)、3547〜9ページ](0.49g、2.1mmol)を、−78℃で1.0Mブチルリチウム(1.25mL、2mmol)により滴下して処理した。この混合物を、1時間かけて−50℃に温めてから、中間体1(1.0g、1.9mmol)を加え、次いで混合物を16時間かけて室温に温める。この混合物を酢酸エチル(10mL)で希釈し、水(10mL)で洗浄し、有機相を分離し、乾燥(NaSO)し、蒸発乾固した。残渣を、[7:3]ヘキサン−酢酸エチルで溶出するシリカにより精製し、ビニルスルホン体(0.7g)を得た。
【0268】
ステップ2
【0269】
【化84】

【0270】
乾燥テトラヒドロフラン(90mL)中、ステップ1の生成物(0.7g、1.2mmol)を、−40℃で1.0M L−Selectride(1.8mL、1.8mmol)により滴下して処理した。この混合物を2時間この温度で保持し、次いで1時間かけて0℃に温めてから、エタノール(3滴)を加えた。反応混合物を、酢酸エチル(10mL)で希釈し、水(10mL)で洗浄し、有機相をブライン(飽和)で洗浄し、分離し、乾燥(NaSO)して蒸発乾固した。残渣を、[3:1]ヘキサン−酢酸エチルで溶出するシリカにより精製し、所望の生成物(0.7g)を得た。H NMR CDCl 7.35〜7.28(4H,m)、7.11〜6.79(2H,m)、7.06〜7.02(1H,m)、3.47〜3.11(6H,m)、2.92(3H,s)、2.70〜2.20(5H,m)、1.97〜1.79(2H,m)、1.49〜1.38(1H,m)、0.91〜0.84(2H,m)および0.03(9H,s)。
【0271】
ステップ3
【0272】
【化85】

【0273】
実施例1のステップ3の手法に従ってBFエーテラートとの処理により、次いで実施例32のステップ4の手法によるトシル化により、ステップ2の生成物から調製した。収量0.425g。
【0274】
ステップ4
ステップ3のトシレート体(106mg、0.16mmol)を用い、実施例43のステップ5の手法に従って、所望の環式スルホン体(75mg)を得た。
【0275】
H NMR(500MHz,CDCl)δ7.38(2H,d,J 8.7Hz)、7.30(2H,d,J 8.5Hz)、7.15〜6.80(2H,m)、7.09〜7.06(1H,m)、3.37(1H,t,J=14Hz)、3.08〜3.02(1H,m)、2.96〜2.90(1H,m)、2.80(1H,dt,J=14.5および3.5Hz)、2.70〜2.15(6H,m)、2.02〜1.93(1H,m)、および1.87〜1.62(3H,m)。
【0276】
(実施例49)
(4aRS,6RS,8aSR)−6−(2,5−ジフルオロフェニル)−2,2−ジオキシドオクタヒドロ−1H−イソチオクロメン−6−イル4−(トリフルオロメチル)フェニルスルホン
【0277】
【化86】

【0278】
最初のステップにおける中間体1の代わりに中間体2を用いて、実施例48に記載されたとおり調製した。
【0279】
H NMR(500MHz,CDCl)δ7.66(2H,d,J 8.2Hz)、7.51(2H,d,J 8.2Hz)、7.25〜6.78(2H,m)、7.10〜7.07(1H,m)、3.38(1H,t,J=13.9Hz)、3.08〜3.02(1H,m)、2.96〜2.90(1H,m)、2.80(1H,dt,J=14.5および3.5Hz)、2.70〜2.19(6H,m)、2.02〜1.93(1H,m)、および1.87〜1.62(3H,m)。
【0280】
(実施例50)
(3SR,4aRS,6RS,8aSR)−6−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−6−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−エチルオクタヒドロ−1H−イソチオクロメン2,2−ジオキシド
【0281】
【化87】

【0282】
ステップ1におけるジエチル(メタンスルホニルメチル)ホスホネートの代わりにジエチル(プロパンスルホニルメチル)ホスホネートを用いて、実施例48に記載されたとおり調製した。
【0283】
H NMR(500MHz,CDCl)δ7.39〜7.37(2H,m)、7.31〜7.29(2H,m)、7.22〜6.78(2H,m)、7.09〜7.05(1H,m)、3.37(1H,t,J=13.9Hz)、2.86〜2.82(1H,m)、2.80(1H,dd,J=14.3および3.7Hz)、2.68〜2.13(6H,m)、2.02〜1.49(6H,m)、および1.11(3H,t,J=7.5Hz)。
【0284】
(実施例51)
(3S,4aR,6R,8aS)−6−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−6−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−エチルオクタヒドロ−1H−2,1−ベンゾチアジン2,2−ジオキシド
【0285】
【化88】

【0286】
ステップ1
【0287】
【化89】

【0288】
中間体4は、実施例1ステップ1および2に記載されたとおり処理した。生じた生成物(80%e.e)(3.6g、6.96mmol)をイソ−プロパノール(34mL)に溶解し、(1S)−(+)−カンファースルホン酸(1.37g、5.91mmol)を加えた。この混合物を加熱還流し、室温にゆっくりと冷却してから、冷蔵庫に一晩置いた。生じた固体を採取し、予め冷却(〜5℃)したイソプロパノールで洗浄してから、酢酸エチルに懸濁させ、4M水酸化ナトリウムで洗浄した。有機層を乾燥(MgSO)し、ろ過し、溶媒を留去してキラルアミン体(98%e.e)を得た。収量3g、NMRデータは、実施例1ステップ2の生成物に見られたものと同一であった。
【0289】
ステップ2
ステップ1のアミン体(3g)を、実施例43ステップ1〜5に記載されたとおり合成し、所望のホモキラルスルホンアミド体(60mg)を得た。
【0290】
H NMR(500MHz,CDOH)δ7.51(2H,d,J 8.7Hz)、7.40(2H,d,J 7.9Hz)、7.25〜7.11(2H,m)、7.04〜6.94(1H,m)、3.55〜3.51(1H,m)、3.03〜2.97(1H,m)、2.75〜2.32(4H,m)、2.17〜2.07(1H,m)、2.01〜1.93(2H,m)、1.91〜1.84(1H,m)、1.75〜1.57(2H,m)、1.50〜1.44(1H,m)および1.11(3H,t,J 7.6Hz)。
【0291】
(実施例52)
(4aRS,6RS,8aSR)−3−シクロプロピル−6−(2,5−ジフルオロフェニル)−6−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}オクタヒドロ−1H−2,3−ベンゾチアジン2,2−ジオキシド
【0292】
【化90】

【0293】
ステップ1
【0294】
【化91】

【0295】
シクロプロピルアミンのメタンスルホニル誘導体は、臭化アリルを用いて実施例43ステップ2に記載された手法によりN−アルキル化された。窒素雰囲気下、THF(40mL)中、生じた生成物(3.6g、0.021mol)を、−78℃でヘキサン類中ブチルリチウムの1.6M溶液(14.1mL、0.023mol)で処理した。20分後、ジエチルクロロホスホネート(3.9g、0.023mol)を加え、2時間撹拌を続けた。反応をクエンチ(水)し、抽出(酢酸エチル)し、抽出液を洗浄(水、ブライン)し、乾燥(硫酸マグネシウム)して減圧蒸発させた。40%酢酸エチル/イソヘキサンを用いて溶出するフラッシュシリカクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(2.9g、収率44%)を得た。
【0296】
ステップ2
【0297】
【化92】

【0298】
窒素雰囲気下、THF(10mL)中、ステップ1の生成物(1.0g、3.2mmol)を、−78℃でブチルリチウム(ヘキサン類中1.6M、2.2mL、3.5mmol)で処理し、次いで10分間熟成してから、THF(10mL)中の中間体2(1.76g、3.2mmol)を添加した。16時間撹拌後、反応液を水でクエンチし、エーテルに抽出し、洗浄(ブライン)し、乾燥(硫酸マグネシウム)して減圧蒸発させた。残渣を、10〜20%酢酸エチル/イソヘキサンを用いて溶出するフラッシュシリカクロマトグラフィーにより精製して、ビニルスルホンアミド体、0.6g、収率27%を得た。
【0299】
ステップ3
【0300】
【化93】

【0301】
下、メタノール(10mL)中、ステップ2の生成物(0.4g、0.56mmol)を、0℃で塩化ニッケル(II)(0.02g、0.112mmol)で処理し、次いで水素化ホウ素ナトリウム(0.22g、5.6mmol)を少量ずつ添加した。3時間後、反応混合物をろ過し、減圧蒸発させ、残渣を酢酸エチルと水とに分配した。有機層を洗浄(ブライン)し、乾燥(硫酸マグネシウム)して減圧蒸発させた。20%酢酸エチル/イソヘキサンを用いて溶出するフラッシュシリカクロマトグラフィーにより残渣を精製して、所望の生成物を得た。(0.031g、収率8%)。
【0302】
ステップ4
ステップ3の生成物を、BFエーテラートを用いて実施例1ステップ3の手法により処理した。ジクロロメタン(0.6mL)中、生じたアルコール体(0.042g、0.079mmol)を、0℃でジクロロメタン(0.2mL)中のトリエチルアミン(0.012g、0.12mmol)に続いてジクロロメタン(0.2mL)中の塩化メタンスルホニル(0.011g、0.095mmol)で処理した。この混合物を60分間撹拌し、ジクロロメタン(2mL)で希釈し、洗浄(ブライン)し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、シリカプラグ(酢酸エチルで溶出)を通し、減圧蒸発させた。窒素下、N,N−ジメチルホルムアミド(1.0mL)中、生じた粗製メシレート体を、0℃で鉱油中60%分散液の水素化ナトリウム(0.004mg、0.093mmol)で処理し、60分間撹拌した。反応液をクエンチ(0.5Mクエン酸溶液)し、酢酸エチルに抽出し、洗浄(水、ブライン)し、乾燥(硫酸マグネシウム)して減圧蒸発させた。酢酸エチル/イソヘキサン混液を用いて溶出するフラッシュシリカクロマトグラフィーにより残渣を精製して、所望の環式スルホンアミド体、0.006g、収率18%を得た。
【0303】
H NMR(400MHz,CDCl)δ0.45(1H,vbrs)、0.70〜0.78(1H,m)、0.85〜0.96(1H,m)、1.08〜1.15(1H,m)、1.60〜1.75(2H,m)、2.14〜2.61(7H,m)、2.83〜3.06(1H,m)、3.04〜3.39(1H,m)、3.32〜3.39(1H,m)、3.59〜3.63(1H,m)、6.84(1H,vbrs)、7.06〜7.12(2H,m)、7.50(2H,d,J=8.2Hz)、7.67(2H,d,J=8.2Hz)。MS(ES)MH=550。
【0304】
(実施例53)
(4aSR,6RS,8aSR)−3−シクロプロピル−6−(2,5−ジフルオロフェニル)−6−{[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]スルホニル}オクタヒドロ−1H−2,1,3−ベンゾチアジアジン2,2−ジオキシド
【0305】
【化94】

【0306】
実施例4に詳述された手法を用いて中間体5(100mg、0.17mmol)から調製した。収量69mg(71%)。
【0307】
H NMR(360MHz,CDCl)δ0.39〜0.50(1H,m)、0.65〜0.74(1H,m)、0.71〜0.93(3H,m)、1.58〜1.75(2H,m)、1.98(1H,bd,J=14.4Hz)、2.14〜2.22(1H,m)、2.26〜2.33(1H,m)、2.45〜2.70(2H,m)、3.04〜3.15(1H,m)、3.55(1H,bd,J=14.4Hz)、3.84(1H,bd,J=14.4Hz)、4.45(1H,d,J=10.8Hz)、6.78〜6.92(1H,m)、7.10〜7.20(2H,m)、7.74(1H,d,J=8.3Hz)、7.84〜7.90(1H,m)、8.60(1H,bs)。
【0308】
(実施例54)
(4aS,6R,8aS)−3−シクロプロピル−6−(2,5−ジフルオロフェニル)−6−{[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]スルホニル}オクタヒドロ−1H−2,1,3−ベンゾチアジアジン2,2−ジオキシド
【0309】
【化95】

【0310】
実施例53の生成物は、キラルHPLC(Chiralpak AD、カラム寸法250x21.0mm内径)によりその構成的鏡像異性体に分離した。ラセミ体(70mg)を、2mLエタノールに溶解し、50μl注入を用いて、1.75mgのカラム充填は、イソヘキサン類中30%エタノールで溶出して達成された。第2の溶出ピークは、実施例54(12mg)であり、NMRデータは、実施例53に特定されたものと同一であった。
【0311】
(実施例55)
(3S,4aR,6R,8aS)−6−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−エチル−6−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}オクタヒドロ−1H−2,1−ベンゾチアジン2,2−ジオキシド
【0312】
【化96】

【0313】
−代替経路。
【0314】
ステップ1
【0315】
【化97】

【0316】
(1S)−1−フェニル−N−[(1S)−1−フェニルエチル]エタナミン(10.8g、47.85mmol)およびオーブン乾燥塩化リチウム(3.0g、71.80mmol)のテトラヒドロフラン(200ml)溶液を、窒素下脱気した。この反応混合物を、−78℃(内温)に冷却し、n−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M、30ml、47.85mmol)を25分かけた滴下により処理した。添加後、反応液を−20℃に温めてから−100℃に冷却し、2時間撹拌した。4−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−[[4−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル]−シクロヘキサノン(20g、47.85mmol)のテトラヒドロフラン(100ml)(−78℃に冷却された)溶液を、20分かけて反応容器にカニューレにより挿入した。−100℃でさらに30分後、ヨウ化アリル(8.80ml、95.60mmol)を加え、反応混合物を、18時間室温に温めた。この反応混合物を、クエン酸溶液(200ml)で酸性にし、酢酸エチル(300ml)で希釈した。酢酸エチル層を、分離し、クエン酸溶液(200ml)、10%アンモニア溶液(200ml)、ブラインで再度洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過して減圧蒸発させた。カラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を白色固体として(8.97g、41%、70%e.e)を得た。この物質(73.1g、61%e.e)のトルエン(181ml)溶液を、70℃で撹拌しながら45分かけてイソヘキサン(760ml)に滴下により加えた。この反応混合物を、ラセミ生成物(100mg)で接種し、2.5時間かけてゆっくりと冷却した。生じた固体をろ過し、ろ液を減圧蒸発させると、透明なガム状油(49g、95%e.e)を生成した。
【0317】
ステップ2
【0318】
【化98】

【0319】
酸素を、ステップ1の生成物(67.8g、148mmol)のジクロロメタン(750ml)およびメタノール(150ml)撹拌溶液中に−78℃で10分間通気させた。オゾンを、青い着色が持続するまで反応混合物中に通気させ(3.5時間)、続いて酸素、次いで青色が消失するまで窒素を通気させた。水素化ホウ素ナトリウム(14g、370mmol)を、この反応混合物に加えてから、室温にゆっくりと温めた。この混合物を、pH2になるまでクエン酸溶液(200ml)と2N塩酸で酸性にし、ジクロロメタン(800ml)で希釈した。ジクロロメタン層を分離し、水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過して減圧蒸発させた。エーテルおよびイソヘキサン(50:50)からの再結晶により精製して、ジオール体を白色固体(50g、73%、97%e.e)として得た。
【0320】
ステップ3
【0321】
【化99】

【0322】
塩化メタンスルホニル(20ml、259mmol)を、ステップ2の生成物(50g、108mmol)のジクロロメタン(700ml)およびトリエチルアミン(45ml、324mmol)の溶液に徐々に加え、−10℃で撹拌した。反応混合物を−10℃で2時間撹拌した。この反応液を、クエン酸溶液(500ml)で酸性にし、ジクロロメタン(500ml)で希釈した。ジクロロメタン層を分離し、炭酸水素ナトリウム溶液(500ml)、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧蒸発させて、ビスメシレート体を白色泡状物(67.7g、>100%)として得、これをさらに精製することなく用いた。
【0323】
ステップ4
【0324】
【化100】

【0325】
ステップ3の生成物(67.7g、109mmol)のエタノール溶液を、チオ尿素(8.7g、115mmol)で処理した。この反応混合物を、80℃で18時間撹拌し、室温に冷却し、減圧蒸発させて、所望の生成物を黄色泡状物(80.6g、>100%)として得た。
ステップ5
【0326】
【化101】

【0327】
酢酸(500ml)を、ステップ4の生成物(80.7g)の水(100ml)溶液に
室温で加えた。塩素ガス(凡そ55g)を、反応混合物が暗黄色になるまで30分間通気させた。反応混合物を、ジエチルエーテル(1000ml)と水(1000ml)とで希釈した。エーテル層を分離し、さらに水(1000ml)の部分、亜硫酸ナトリウム溶液(500ml)、炭酸水素ナトリウム(3x500ml)、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧蒸発させて、塩化スルホニルを白色泡状物65.7g(>100%)として得た。
【0328】
ステップ6
【0329】
【化102】

【0330】
4−メトキシベンジルアミン(35ml、263mmol)を、窒素下、0℃で撹拌された、ステップ5の生成物(65.7g、105mmol)のジクロロメタン(500ml)溶液に10分かけて滴下により加えた。反応混合物を、90分かけて室温に温め、ジクロロメタン(500ml)で希釈し、クエン酸溶液(500ml)で酸性にした。ジクロロメタン層を分離し、ブライン、水(700ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧蒸発させた。カラムクロマトグラフィーにより精製して、標題中間体を淡褐色泡状物(59.3g、4ステップの全収率88%)として得た。
【0331】
ステップ7
【0332】
【化103】

【0333】
水素化ナトリウム(4.90g、127mmol)を、ステップ6の生成物(59.3g、82mmol)のジメチルホルムアミド(700ml)に溶解された溶液に加えた。室温で10分間撹拌後、反応混合物を75℃に加熱した。2時間後、反応混合物を室温に冷却し、クエン酸溶液(500ml)で酸性にし、酢酸エチル(800ml)で希釈した。酢酸エチル層を分離し、水(3x500ml)、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧蒸発させた。カラムクロマトグラフィーにより精製して、環化中間体を白色固体(28.7g、56%)として得た。
【0334】
ステップ8
【0335】
【化104】

【0336】
リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(THF中1M、114ml、114mmol)を、−2℃(内温)で撹拌しながら、ステップ7の生成物(28.7g、45.5mmol)のテトラヒドロフラン(300ml)溶液に滴下により加えた。窒素下、反応混合物を、0℃で1時間撹拌してから、−78℃に冷却し、ヨウ化エチル(4.7ml、59.2mmol)で処理した。この反応混合物を、−25℃で18時間撹拌してから、−8℃に温め、次いで室温に2時間かけて温めた。反応液を、酢酸エチル(500ml)と水(500ml)とで希釈し、クエン酸溶液(500ml)で酸性にした。酢酸エチル層を分離し、水層を酢酸エチル(3x500ml)で抽出した。有機層を合わせて、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧蒸発させた。カラムクロマトグラフィーにより精製して、アルキル化中間体を白色泡状物(23.1g、77%)として得た。
【0337】
ステップ9:(3S,4aR,6R,8aS)−6−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−エチル−6−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}オクタヒドロ−1H−2,1−ベンゾチアジン2,2−ジオキシド
ステップ8の生成物(23.1g)のジクロロメタン(115ml)溶液を、トリフルオロ酢酸(60ml)により5分間かけて滴下して加え、窒素下、室温で30分間撹拌した。反応混合物を減圧蒸発させ、カラムクロマトグラフィーにより精製して、白色泡状物(17g、90%、98.5%ee)として得た。
【0338】
この白色泡状物(17g、98.5%ee)を酢酸エチル(34ml)に溶解し、70℃に加熱した。窒素下、ヘプタン(136ml)を、この撹拌溶液に少量ずつ加えた。2時間後、反応溶液を、標題化合物のホモキラルサンプルにより接種し、さらに1時間撹拌してから、室温に冷却した。生じた白色固体をろ過により採取した(12g、99.5%ee)。
【0339】
H NMR δ(ppm)(CDCl):7.67(2H,d,J=8.3Hz)、7.56(2H,s)、7.11〜7.07(1H,m)、6.98〜6.83(2H,m)、4.71〜4.58(1H,m)、3.68(1H,s)、3.12(1H,q,J=9.8Hz)、2.73(1H,t,J=13.5Hz)、2.54〜2.40(3H,m)、2.17〜1.91(4H,m)、1.65〜1.48(3H,m)、1.14(3H,t,J=7.5Hz)。
【0340】
(実施例56)
(3S,4aR,6R,8aS)−6−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−(2−プロペニル)−6−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}−オクタヒドロ−1H−2,1−ベンゾチアジン2,2−ジオキシド
【0341】
【化105】

【0342】
ステップ8におけるヨウ化エチルの代わりにヨウ化アリルを用いて、実施例55の方法により調製した。
【0343】
H NMR δ(ppm)(CDCl):7.72〜7.58(4H,m)、7.20〜6.75(3H,m)、5.90〜5.80(1H,m)、5.37〜5.16(3H,m)、3.70(1H,s)、3.37(1H,s)、2.90〜2.70(2H,m)、2.54〜2.40(3H,m)、2.33〜2.15(1H,m)、2.00〜1.94(3H,m)、1.80〜1.52(2H,m)。
【0344】
(実施例57)
(3R,4aR,6R,8aS)−6−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−(2−ヒドロキシエチル)−6−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}−オクタヒドロ−1H−2,1−ベンゾチアジン2,2−ジオキシド
【0345】
【化106】

【0346】
実施例56の生成物のオゾン処理に次いで、実施例55ステップ2に記載された手法を用いて、水素化ホウ素ナトリウムにより調製した。
【0347】
H NMR δ(ppm)(CDOD):7.81(2H,d,J=8.2Hz)、7.64(2H,d,J=8.0Hz)、7.19(2H,t,J=7.9Hz)、7.00〜6.94(1H,m)、3.82〜3.70(2H,m)、3.57(1H,s)、3.35(2H,s)、2.80〜2.40(4H,m)、2.21〜2.13(2H,m)、2.01(2H,s)、1.88(1H,d,J=14.6Hz)、1.63〜1.53(3H,m)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】

[式中、波線によって示された結合は、シクロヘキサン環に関して相互にシスであり;
Xは、O、NRまたはCHRを表し;
Yは、CHR−CHR、CR=CR、CHR−NRまたはCHR−Oを表し;
は、HまたはC1〜4アルキルを表し;
、RおよびRは独立して、Hまたは(CF、CHF、ハロゲン、CN、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(RもしくはNRCORにより場合によっては置換されている)10個までの炭素原子の炭化水素基を表すか;またはRとRは一緒になって、オキソ、CF、CHF、ハロゲン、CN、OR、COR、CO、OCOR、N(R、CON(RもしくはNRCORにより場合によっては置換されている5員環または6員環を完成し:
は、HまたはC1〜4アルキルを表し;
は、C1〜4アルキルを表し;
ArおよびArは独立して、フェニルまたはヘテロアリールを表し、これらのいずれかはハロゲン、CN、NO、CF、CHF、OH、OCF、CHO、CH=NOH、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルコキシカルボニル、C2〜6アシル、C2〜6アルケニルおよびハロゲン、CN、NO、CF、OHおよびC1〜4アルコキシから選択される置換基を場合によっては有するC1〜4アルキルから独立して選択される0〜3つの置換基を有する。];
または製薬的に許容できるその塩。
【請求項2】
式IAまたはIB:
【化2】

の請求項1に記載の化合物または製薬的に許容できるその塩。
【請求項3】
式II:
【化3】

の請求項1もしくは請求項2に記載の化合物または製薬的に許容できるその塩。
【請求項4】
式III:
【化4】

の請求項1もしくは請求項2に記載の化合物または製薬的に許容できるその塩。
【請求項5】
式IV:
【化5】

の請求項1もしくは請求項2に記載の化合物または製薬的に許容できるその塩。
【請求項6】
Arが、6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジルおよび(4位がハロゲン、CN、ビニル、アリル、アセチル、メチルまたはモノ−、ジ−もしくはトリフルオロメチルにより場合によっては置換されている)フェニルから選択され;Arが、2,5−ジフルオロフェニル、2,6−ジフルオロフェニルまたは2,3,6−トリフルオロフェニルを表す請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の化合物および製薬的に許容できる担体を含む製薬組成物。
【請求項8】
人体の治療方法に使用するための請求項1から6のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
アルツハイマー病を治療または予防するための薬剤の製造における請求項1から6のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項10】
請求項1から6のいずれかに記載の化合物の有効量を、アルツハイマー病に罹患しているかまたはその傾向がある対象に投与することを含むアルツハイマー病に罹患しているかまたはその傾向がある対象の治療方法。

【公表番号】特表2006−528961(P2006−528961A)
【公表日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530479(P2006−530479)
【出願日】平成16年5月7日(2004.5.7)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001973
【国際公開番号】WO2004/101538
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(390035482)メルク シャープ エンド ドーム リミテッド (81)
【Fターム(参考)】