説明

うつ病および/または不安の治療用のパロキセチンと4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]メチルアミドとの組合せ

本発明は、パロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物、および4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物を含んでなる治療用組合せと、上記組合せを含む医薬組成物ならびにうつ病および/または不安の治療でのそれらの使用とに関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、パロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物、および4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物を含んでなる治療用組合せと、上記組合せを含む医薬組成物ならびにうつ病および/または不安の治療でのそれらの使用とに関する。
【0002】
(従来技術)
パロキセチン((−)トランス−4−(4’−フルオロフェニル)3−(3’−4’−メチレンジオキシフェノキシメチル)ピペリジン)およびその塩は市販されており、とりわけ不安、うつ病、強迫性障害(OCD)、月経前不快気分障害(PMDD)およびパニック障害の治療および予防のためのヒトへの使用が認可されている。
【0003】
特許文献1に記載されている4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物は、NK受容体アンタゴニストである。
【0004】
NK受容体アンタゴニストは、不安、うつ病、化学療法が起こす悪心嘔吐および術後悪心嘔吐の治療に有用であることが知られている。前臨床データは、NK受容体アンタゴニストが、痛み、炎症性疾患、アレルギー性疾患、中枢神経系(CNS)疾患、皮膚疾患、咳および胃腸疾患などの種々の他の疾患でも有用であるかもしれないことを示唆している。
【0005】
特許文献2には、うつ病および/または不安の治療または予防のための薬の製造を目的とする、抗うつ薬もしくは抗不安薬と共に中枢神経系浸透性(CNS−penetrant)NK受容体アンタゴニストの使用について記載されている。
しかしながら、このようなパロキセチンとの組合せの具体的な開示はない。
【0006】
特許文献1では、そこに記載されたNK受容体アンタゴニストが、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と組合わせて投与されてもよいことが広範に教示されている。しかしながら、うつ病および/または不安の治療での、そのような組合せのいかなる相乗効果に関しても教示はない。
【特許文献1】国際公開第02/32867号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6117855号明細書
【0007】
(発明の開示)
この度、意外にも、その個々の成分が通常の単回用量より少なく投与されるところの、パロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物と、4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物とを組み合わせて含む、うつ病および/または不安の治療のためにヒトに投与するための治療用組成物が、うつ病および/または不安の治療および/または予防にて驚くべき相乗的な効能レベルを示すことが見出された。
【0008】
特に、この度、治療的に非有効な量のパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物と、治療的に非有効な量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物とを組合せることによって、単独で服用されるその2つの個々の成分のどちらよりも極めて大きな抗うつ活性および/または抗不安活性がもたらされることが見出された。
【0009】
そのような組合せの使用が、1つもしくはそれ以上の下記の作用:
より効能のある抗うつ薬および/または抗不安薬、および/またはより容認される薬物療法、および/または抗うつ活性および/または抗不安活性のより迅速な発現のある薬
を提供するであろうことが本発明の特徴である。
さらに、本発明の組合せの相乗効果によって、薬に関連したいかなる潜在的副作用でもそのより良い処置が可能となる。
【0010】
本発明の一態様によると、治療的に非有効な量のパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物と、治療的に非有効な量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物とを含んでなる組合せが提供される。
【0011】
本発明の任意の文脈もしくは態様で用いられる場合、治療的に非有効な量とは、各々の成分が単独で投与される場合に有効な治療的反応を起こすと通常予想される量よりも少ない、組合せの各々の成分の投与量を意味する。
【0012】
本発明の任意の文脈もしくは態様で用いられる場合、パロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物は、遊離塩基として、またはすべての水和型もしくは無水型およびそのような塩のすべての多形相を含む、任意のその生理的に許容される塩の形で投与されてもよい。特に、パロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物の例として、制限するものではないが、塩酸パロキセチン、塩酸パロキセチン半水和物、塩酸パロキセチン無水和物、パロキセチンメシラートおよびすべてのその多形相が挙げられる。
【0013】
パロキセチンは、好ましくはその塩酸塩半水和物塩の形で使用される。
【0014】
4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドの医薬的に許容可能な適当な塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、アルキルもしくはアリールスルホナート(例えばメタンスルホナートもしくはp−トルエンスルホナート)、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、琥珀酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩およびマレイン酸塩のような、医薬的に許容可能な有機酸もしくは無機酸で形成された酸付加塩が挙げられる。
【0015】
4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドの生理的に許容可能な好ましい塩としては、塩酸塩、メタンスルホナート、硫酸塩およびp−トルエンスルホナートが挙げられる。
【0016】
4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドは、好ましくはそのメタンスルホナート塩の形で使用される。
【0017】
本発明によると、治療的に非有効な量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物は、1日当たり0.5〜5mgの範囲(遊離塩基として測定)であってもよく、好ましくは1日当たり1〜3mgの範囲、最も好ましくは1日当たり1.5〜2.5mgの範囲であってもよい。
【0018】
本発明によると、治療的に非有効な量のパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物は、(遊離塩基として測定して)1日当たり1〜10mgの範囲であってもよく、好ましくは1日当たり3.5〜7.5mgの範囲であってもよい。
【0019】
本発明による組合せは、(遊離塩基として測定して)1mg〜10mgの量の、より特定的には3.5mg〜7.5mgの量のパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物と、0.5mg〜5mgの量(遊離塩基として測定)の、特定的には1mg〜3mgの量の、より特定的には1.5mg〜2.5mgの量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物とを都合よく含んでなる。
【0020】
本発明による好ましい組合せは、1mg〜10mgの量(遊離塩基として測定)のパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物と、0.5mg〜5mgの量(遊離塩基として測定)の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物とを含んでなる。
【0021】
本発明による好ましい組合せは、1mg〜10mgの量(遊離塩基として測定)のパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物と、1mg〜3mgの量(遊離塩基として測定)の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物とを含んでなる。
【0022】
本発明による好ましい組合せは、1mg〜10mgの量(遊離塩基として測定)のパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物と、1.5mg〜2.5mgの量(遊離塩基として測定)の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物とを含んでなる。
【0023】
本発明による好ましい組合せは、3.5mg〜7.5mgの量(遊離塩基として測定)のパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物と、0.5mg〜5mgの量(遊離塩基として測定)の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物とを含んでなる。
【0024】
本発明による好ましい組合せは、3.5mg〜7.5mgの量(遊離塩基として測定)のパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物と、1mg〜3mgの量(遊離塩基として測定)の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物とを含んでなる。
【0025】
本発明による好ましい組合せは、3.5mg〜7.5mgの量(遊離塩基として測定)のパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物と、1.5mg〜2.5mgの量(遊離塩基として測定)の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物とを含んでなる。
【0026】
本発明に基づいて採用される投与量は、当然ながら投与方法、患者の年齢、体重および健康状態により左右される。
【0027】
このように、本発明はヒトを含む哺乳類のうつ病および/または不安の治療方法を提供し、上記方法は治療的に非有効な量のパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物と、治療的に非有効な量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物とを含んでなる、治療的に有効な量の組合せで上記動物を治療することを含んでなる。
【0028】
さらに好ましい態様では、本発明はヒトを含む哺乳類のうつ病および/または不安の治療方法を提供し、上記方法は治療的に非有効な量のパロキセチンと、治療的に非有効な量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドメタンスルホナートとを含んでなる、治療的に有効な量の組合せで上記哺乳類を治療することを含んでなる。
【0029】
さらに好ましい態様では、本発明はヒトを含む哺乳類のうつ病および/または不安の治療方法を提供し、上記方法は治療的に非有効な量の塩酸パロキセチンと、治療的に非有効な量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドメタンスルホナートとを含んでなる、治療的に有効な量の組合せで上記哺乳類を治療することを含んでなる。
【0030】
さらに好ましい態様では、本発明はヒトを含む哺乳類のうつ病および/または不安の治療方法を提供し、上記方法は治療的に非有効な量の塩酸パロキセチン半水和物と、治療的に非有効な量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドメタンスルホナートとを含んでなる、治療的に有効な量の組合せで上記哺乳類を治療することを含んでなる。
【0031】
さらに好ましい態様では、本発明はヒトを含む哺乳類のうつ病および/または不安の治療方法を提供し、上記方法は治療的に非有効な量の塩酸パロキセチン無水和物と、治療的に非有効な量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドメタンスルホナートとを含んでなる、治療的に有効な量の組合せで上記哺乳類を治療することを含んでなる。
【0032】
さらに好ましい態様では、本発明はヒトを含む哺乳類のうつ病および/または不安の治療方法を提供し、上記方法は治療的に非有効な量のパロキセチンメシラートと、治療的に非有効な量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドメタンスルホナートとを含んでなる、治療的に有効な量の組合せで上記哺乳類を治療することを含んでなる。
【0033】
本願明細書での治療の意味は、すでに現れたうつ病および/または不安の症状の治療のみならず予防にも及ぶ。
【0034】
本願明細書で使用する場合、うつ病という用語は、抑うつ症状の発現、抑うつ性障害、双極性障害、その他の憂うつ、精神病、適応障害および月経前不快気分障害(PMDD)を含む。このように、例えば抑うつ症状の発現としては、大うつ病症状の発現および混合症状の発現が挙げられる。抑うつ性障害としては、他に規定のない限り、大うつ病(MDD)、単発もしくは再発症状の発現(精神病性特徴、緊張性特徴、憂うつ性特徴、異常な特徴、不安抑うつもしくは産後発症を伴うまたは伴わない)、気分変調性障害(早発性もしくは遅発性であり、異常な特徴を伴うまたは伴わない)および抑うつ性障害が挙げられる。双極性障害としては、他に規定のない限り、双極性I型障害および双極性II型障害、気分循環性障害および双極性障害が挙げられる。その他の憂うつ、精神病および適応障害としては、神経症うつ病、これに限定されるものではないが心筋梗塞、糖尿病、流産、妊娠中絶、月経前不快気分障害(PMDD)、抑うつを伴うアルツハイマー型痴呆症(早発性もしくは遅発性)および抑うつを伴う血管性痴呆症を含む一般的症状に起因する気分障害、これに限定されるものではないがアルコール、アンフェタミン(amphetamines)、コカイン(cocaine)、幻覚剤、吸入薬、オピオイド(opioids)、フェンシクリジン(phencyclidines)、鎮静剤、睡眠薬、抗不安薬および他の物質に誘発されるうつ病を含む物質誘発性気分障害、抑うつ型の総合失調性感情障害、抑うつを伴う適応障害、および混合性不安と抑うつとを伴う適応障害が挙げられる。
【0035】
本願明細書で使用する場合、不安と言う用語は、不安発作、広場恐怖症、不安障害、適応障害、分離不安障害および月経前不快気分障害(PMDD)を含む。このように、例えば不安障害としては、他に規定のない限り、広場恐怖症を伴うもしくは伴わないパニック障害、パニック障害の病歴がない広場恐怖症、特定の恐怖症、対人恐怖症(社会不安障害)、強迫性障害、急性心的外傷後ストレス障害、全般性不安障害、一般的病状に起因する不安障害、物質誘発性不安障害、不安障害および混合性不安抑うつ障害が挙げられる。適応障害としては、不安を伴う適応障害および混合性不安と抑うつとを伴う適応障害が挙げられる。
【0036】
チータら((Cheeta S.)、2001年、ブレインリサーチ(Brain Research)、第915号、170〜175頁)によって説明された方法によると、治療的に非有効な量のパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物を、治療的に非有効な量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物と共に投与して得られる抗不安活性の効果的特徴は、スナネズミの社会相互作用モデルの中で証明され得る。
【0037】
上記組合せの化合物が、同様のもしくは異なった医薬処方で、同時にもしくは順次に投与されてもよいことは理解されるであろう。順次投与がなされる場合、2回目およびそれに続く有効成分の投与での遅れは、有効成分の組合せの相乗作用による治療的効果の利点を失うようであってはならない。また、上記組合せの組成物もしくは任意のその生理的に有効な誘導体は、同時に与えられるにしろ順次に与えられるにしろ、別個にもしくは複数単位で、または任意のその組合せで投与してもよいことも理解されるであろう。
【0038】
さらに好ましい実施形態では、本発明は同時投与もしくは順次投与によりうつ病および/または不安を治療および/または予防するための治療的に有効な薬の製造における、治療的に非有効な量のパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物、および治療的に非有効な量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0039】
さらに好ましい実施形態では、本発明は同時投与もしくは順次投与によりうつ病および/または不安を治療および/または予防するための治療的に有効な薬の製造における、治療的に非有効な量のパロキセチン、および治療的に非有効な量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドメタンスルホナートの使用を提供する。
【0040】
さらに好ましい実施形態では、本発明は同時投与もしくは順次投与によりうつ病および/または不安を治療および/または予防するための治療的に有効な薬の製造における、治療的に非有効な量の塩酸パロキセチン、および治療的に非有効な量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドメタンスルホナートの使用を提供する。
【0041】
さらに好ましい実施形態では、本発明は同時投与もしくは順次投与によりうつ病および/または不安を治療および/または予防するための治療的に有効な薬の製造における、治療的に非有効な量の塩酸パロキセチン半水和物、および治療的に非有効な量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドメタンスルホナートの使用を提供する。
【0042】
さらに好ましい実施形態では、本発明は同時投与もしくは順次投与によりうつ病および/または不安を治療および/または予防するための治療的に有効な薬の製造における、治療的に非有効な量の塩酸パロキセチン無水和物、および治療的に非有効な量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドメタンスルホナートの使用を提供する。
【0043】
さらに好ましい実施形態では、本発明は同時投与もしくは順次投与によりうつ病および/または不安を治療および/または予防するための治療的に有効な薬の製造における、治療的に非有効な量のパロキセチンメシラート、および治療的に非有効な量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドメタンスルホナートの使用を提供する。
【0044】
本発明による組合せ中の、4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物に対するパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物の割合は、例えば1:20〜5:1(遊離塩基の重量として測定)であってもよい。
【0045】
抗うつ薬および/または抗不安薬として有効であることを要する本発明による組合せの量は、当然のことながらさまざまであり、最終的には開業医の判断によるものであってもよい。考慮されるべき要素としては、投与経路および処方の種類、被検哺乳類の体重、年齢および一般状態、ならびに検査される病気の種類および重症度が挙げられる。
【0046】
特記しない限り、活性成分の重量はすべて薬物そのものに関して算定される。所望の投与量は、好ましくは一日中適当な間隔で投与される1回、2回、3回、4回、5回、6回もしくはそれ以上の回数で用量以下で与えられてもよい。
【0047】
有効成分と呼ばれてもよい上記組合せの成分は、治療を目的として、例えばヒトを含む哺乳類のような動物に従来の方法で投与されてもよい。
【0048】
上記組合せの有効成分は、未加工の化学薬品として投与することも可能ではあるが、それらは医薬処方として与えるのが好ましい。本発明による医薬処方は、1つもしくはそれ以上の医薬的に許容可能な担体もしくは賦形剤、および場合により他の治療薬と共に本発明による組合せを含んでなる。担体は、処方箋の他の成分と相性がよくそのレシピエントに有害ではないという意味において許容可能なものでなくてはならない。上記組合せの個々の成分が別々に投与される場合、一般にそれらは各々医薬処方として与えられる。以下、特記しない限り、処方とは上記組合せもしくはその成分を含む処方を意味する。
【0049】
パロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物と、4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物との組合せは、単一の剤形の医薬処方として与えられるのが都合がよい。
【0050】
医薬処方はしばしば、通常ブリスター包装のワンパッケージとなっている、全治療コースを含む「患者パッケージ」に入れられて患者に処方される。患者パッケージは、通常旧来の処方にはない患者パッケージに含まれる添付文書に患者がいつもアクセスする点で、薬剤師が原体供給から患者への調合薬の供給分を取り分ける旧来の処方よりも優れている。添付文書の包含は、患者による主治医の指示のコンプライアンスを向上させ、その結果一般に、より成功裡の治療につながることが明らかとなっている。
【0051】
患者に本発明の正しい使用を指導する添付文書を内に含む、単一の患者パッケージもしくは各々の処方の患者パッケージによる本発明の組合せの投与は、本発明の所望の付加的特徴であることは理解されるであろう。
【0052】
本発明のさらなる態様によると、少なくともパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物、4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物、および本発明の組合せの使用に関する指示を含む添付情報を含んでなる倍数の、例えば2倍もしくは3倍のパッケージが提供される。
【0053】
処方としては、経口投与、経直腸投与、経鼻投与、局所投与(経皮投与、口腔投与および舌下投与を含む)、経膣投与もしくは非経口投与 (皮下投与、筋内投与、静脈内投与および 皮内投与を含む) に適したものが挙げられる。それら処方は、都合よくは単位剤形の形で与えられてもよく、当該薬学分野で周知のいかなる方法によって調製されてもよい。そのような方法は、本発明のさらなる特徴を示し、上記有効成分を、1つもしくはそれ以上の副成分を構成する担体と関連させるステップを含む。一般に、上記処方は上記有効成分を液体担体もしくは微粉化した固体担体、あるいは両方と均一かつ緊密に関連させ、その後必要ならばその生産物を成形することによって調製される。
【0054】
経口投与に適した本発明の処方は、各々、粉剤もしくは粒剤、水溶液もしくは非水溶液である溶液または懸濁液、あるいは水中油型乳濁液もしくは油中水型乳濁液である所定の量の有効成分を含むカプセル、カプレット、カシェ剤もしくは錠剤のような別個の単位で与えられてもよい。上記有効成分はまた、巨丸剤, 舐剤もしくはペースト剤として与えられてもよい。
【0055】
錠剤は、場合により1つもしくはそれ以上の副成分と共に、圧縮もしくは成形して作られてもよい。圧縮錠剤は、場合により結合剤(例えばポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えばスターチグリコレートナトリウム、クロスカルメロースナトリウム架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤もしくは分散剤と混合された、粉剤もしくは粒剤のような易流動性の形状の有効成分を、適当な機械で圧縮することにより調製されてもよい。成形錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉状化合物の混合物を、適当な機械で成形することにより作られてもよい。錠剤は、場合によりコーティングされもしくは切り込みを入れられてもよく、例えばさまざまな割合で所望の放出プロフィールを提供するヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いて、その中の有効成分の遅いもしくは制御された放出を提供するように形成されてもよい。錠剤は、場合により胃以外の腸の部分での放出を提供する腸溶コーティングを施されて提供されてもよい。
【0056】
口内の局所投与に適した処方としては、通常スクロースおよびアカシアもしくはトラガカントの味付き基剤に有効成分を含んでなるロゼンジ、ゼラチンおよびグリセリン、もしくはスクロースおよびアカシアのような不活性基剤に有効成分を含んでなるトローチ、および適当な液体担体に有効成分を含んでなるうがい薬が挙げられる。経直腸投与のための処方は、例えばカカオ脂もしくはポリエチレングリコールを含んでなる適当な基剤を伴う坐薬として与えられてもよい。
【0057】
局所投与はまた、経皮イオン導入器を用いてなされてもよい。
【0058】
経膣投与に適した処方は、有効成分に加えて当該分野で適当であることが既知となっているような担体を含む、錠剤、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームもしくはスプレーの処方で与えられてもよい。
【0059】
担体が固体である経直腸投与に適した医薬処方は、最も好ましくは単位用量の坐薬として与えられる。適当な担体としては、カカオ脂および当該分野で一般に用いられている他の材料が挙げられる。坐薬は、有効な組合せと、軟化されたもしくは溶かされた担体とを混合し、次に冷却およびモールド成形することによって都合よく形成されてもよい。
【0060】
非経口投与に適した処方としては、酸化防止剤、緩衝液、防腐剤、および該処方を対象レシピエントの血液と等張にする溶質を含んでもよい水性および非水性の等張滅菌注射液、懸濁化剤および増粘剤を含んでもよい水性および非水性の滅菌懸濁液、ならびに化合物を血液成分または1つもしくはそれ以上の器官に向かわせるようにデザインされたリポソームあるいは他の微粒子系が挙げられる。上記処方は、単位用量もしくは複数回用量の、例えばアンプルおよびバイアルのような密閉容器で与えられてもよく、使用直前に例えば注射用の水のような滅菌の液体担体の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥された)状態で保管されてもよい。即時の注射液および懸濁液は、上述した種類の滅菌粉剤、粒剤および錠剤から調製されてもよい。
【0061】
以上詳細に述べられた成分に加えて、本発明の処方が、問題となっている処方タイプに関連した、当該分野では従来の他の物質を含んでもよいことは理解されるべきである。例えば経口投与に適した処方は、甘味料、増粘剤および香料添加剤のようなさらなる物質を含んでもよい。
【0062】
上記2つの有効成分を含む本発明の医薬組成物は、製薬業界で周知となっている従来の技術に基づいて調製されてもよい。したがって、例えばパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物、および4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物は、各有効成分の処方のために別々に、上述したような適当な賦形剤と合わせて混合されてもよい。錠剤は、例えばそのような混合物の直接圧縮法もしくは他の従来の方法を用いて調製されてもよい。二層錠剤は従来の手順に基づいて調製されてもよい。したがって、例えば2つの充填ステーションを備えた適当な打錠機で、2種類の混合物を別々に圧縮することによって調製される。カプセルは、適当な充填機を用いて、混合物を適当な賦形剤と共にゼラチンカプセルに充填することによって調製されてもよい。経口投与もしくは経直腸投与する制御放出の形態は、制御放出の剤形に関連した従来の方法で処方されてもよい。
【0063】
生物学的データ
治療的に非有効な量のパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物を、治療的に非有効な量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物と共に投与して得られる抗不安活性の効果的特徴は、スナネズミの社会相互作用モデルの中で証明され得る。
【0064】
実験
塩酸パロキセチン半水和物(遊離塩基として測定したパロキセチン0.03mg/kg、経口)、4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドメタンスルホナート(以下化合物Aという)(遊離塩基として測定した化合物A0.03mg/kg、腹腔内)、およびパロキセチン(遊離塩基として測定したパロキセチン0.03mg/kg、経口)と化合物A(遊離塩基として測定した化合物A0.03mg/kg、腹腔内)との組合せを、モンゴルスナネズミに単独で投与して、有効な社会相互作用における経過時間への影響を評価した。
【0065】
対照動物の治療によって得られた値に関し、投与後1時間で得られた結果を、それぞれの動物による有効な社会相互作用における経過時間の百分率変化として表し、表1にまとめた。
【0066】
【表1】

【0067】
塩酸パロキセチン半水和物と化合物Aとの組合せによる治療後の、それぞれの動物による有効な社会相互作用における経過時間量の変化は、別々に投与された成分の治療的反応から予想されるものよりも著しく大きい。
【0068】
このように、上記結果は、社会的ストレスのアッセイにおいて、4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物と、パロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物との間の相乗効果の証拠を提供する。
【0069】
遊離塩基としての、もしくは任意のその生理的に許容される塩の形をとるパロキセチンは、そのような塩のすべての水和形もしくは無水形、およびすべての多形相を含み、参照することにより本明細書に援用される米国特許第4,007,196号明細書、欧州特許第0223403号明細書、欧州特許第0808314号明細書、および欧州特許第0970955号明細書に記載された方法で調製されてもよい。
【0070】
4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物は、参照することにより本明細書に援用される国際公開第02/32867号パンフレットに記載された方法で調製されてもよい。
【0071】
同時投与のために、パロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物、および4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物は、従来の方法で形成されてもよい。
【0072】
このように、例えばパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物は、米国特許第4,007,196号明細書、EP−B−0223403、EP−B−0808314およびEP−B−0970955に記載されているように形成されてもよく、また4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物は、国際公開第02/32867号パンフレットに記載されているように形成されてもよい。
【0073】
本発明の好ましい態様では、パロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物、および4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物は、単一の医薬組成物に形成される。
【実施例】
【0074】
本発明のこの態様がより十分に理解されるために、下記の実施例を示すが、あくまでも一例に過ぎない。
【0075】
下記の医薬処方中、化合物Aは4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物を意味し、化合物Bはパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物を意味する。
【0076】
錠剤
錠剤は、直接圧縮法もしくは湿式造粒法のような通常の方法により調製されてもよい。
【0077】
錠剤は、標準的技術を用いて、例えばオパドライ(Opadry)のような適当な被膜形成材料でフィルムコーティングされてもよい。
【0078】
実施例1
直接圧縮法
錠剤
【表2】

【0079】
化合物A、化合物B、第二リン酸カルシウム、クロスポビドン、コロイド状二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムを共に混合し、得られた混合物を適当な機械を用いて錠剤に圧縮し、実施例1に基づく錠剤を得る。
【0080】
実施例2
湿式造粒法
【表3】

【0081】
化合物Aを微結晶性セルロース、ポリビニールピロリドンおよびクロスポビドンと混合し、次いで適当な量の水で粒状にする。顆粒を乾燥させた後、それに化合物Bおよびコロイド状二酸化ケイ素を加えて適当な時間混合する。得られた混合物を、ステアリン酸マグネシウムとブレンドし、次いで実施例1に記載したように錠剤に圧縮した。
【0082】
実施例3
湿式造粒法
【表4】

【0083】
化合物Bを微結晶性セルロース、ポリビニールピロリドンおよびクロスポビドンと混合し、次いで適当な量の水で粒状にする。顆粒を乾燥させた後、それに化合物Aおよびコロイド状二酸化ケイ素を加えて適当な間、混合する。得られた混合物を、ステアリン酸マグネシウムとブレンドし、次いで実施例1に記載したように錠剤に圧縮した。
【0084】
実施例4
共湿式造粒法
【表5】

【0085】
化合物Bおよび化合物Aを、微結晶性セルロース、ポリビニールピロリドンおよびクロスポビドンと混合し、次いで適当な量の水で粒状にする。顆粒を乾燥させた後、それにステアリン酸マグネシウムを加えブレンドし、得られた混合物を実施例1に記載したように錠剤に圧縮する。
【0086】
実施例5
乾式造粒法
【表6】

【0087】
化合物Bおよび化合物Aを、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、クロスポビドン、コロイド状二酸化ケイ素およびポリビニールピロリドンと混合する。得られた混合物を平板の穿孔機で圧縮して、スラッグをミルに落として顆粒状粒子を得る。次いで顆粒を実施例1に記載したように錠剤に圧縮する。
【0088】
ペレット
実施例6
押出し造粒法
【表7】

*微結晶性セルロース(アビセル(Abicel))
【0089】
化合物Bを造粒機のチャンバー内で微結晶性セルロースと混合した後、攪拌しながら適当な量の水をスプレーして湿らせ、得られた湿塊を、適当な寸法のスクリーンを通して押し出し、造粒機の回転円板の機械的行為によってペレットへと変えられる円柱状の押し出し粒子を得る。ペレットを乾燥させ、次いで同様の方法を適用して生産した化合物Aのペレットと共にカプセルに包む。
【0090】
あるいは、化合物Bを造粒機のチャンバー内で微結晶性セルロースと混合した後、攪拌しながら適当な量の水をスプレーして湿らせ、得られた混合物を、その粒子を成長させてペレットにするために攪拌する。ペレットを乾燥させ、次いで同様の方法を適用して生産した化合物Aのペレットと共にカプセルに包む。
【0091】
あるいは、適当な量の不活性なセルロースペレットを流動床の造粒チャンバーに入れ、底に空気を送りながら運転し、次いで化合物Bの水溶液をスプレーしてコーティングする。ペレットを乾燥させ、次いで同様の方法を適用して生産した化合物Aのペレットと共にカプセルに包む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療的に非有効な量のパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物と、治療的に非有効な量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物とを含んでなる組合せ。
【請求項2】
前記パロキセチンがその塩酸塩半水和物の塩として配合され、4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドがそのメタンスルホナート塩として配合される、請求項1記載の組合せ。
【請求項3】
1〜10mg(遊離塩基として測定)の量のパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む、請求項1または2記載の組合せ。
【請求項4】
3.5〜7.5mg(遊離塩基として測定)の量のパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項5】
0.5〜5mg(遊離塩基として測定)の量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項6】
1〜3mg(遊離塩基として測定)の量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項7】
1.5〜2.5mg(遊離塩基として測定)の量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項8】
1〜10mg(遊離塩基として測定)の量のパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物と、0.5〜5mg(遊離塩基として測定)の量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物とを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項9】
1〜10mg(遊離塩基として測定)の量のパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物と、1〜3mg(遊離塩基として測定)の量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物とを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項10】
1〜10mg(遊離塩基として測定)の量のパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物と、1.5〜2.5mg(遊離塩基として測定)の量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物とを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項11】
3.5〜7.5mg(遊離塩基として測定)の量のパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物と、0.5〜5mg(遊離塩基として測定)の量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物とを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項12】
3.5〜7.5mg(遊離塩基として測定)の量のパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物と、1〜3mg(遊離塩基として測定)の量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物とを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項13】
3.5〜7.5mg(遊離塩基として測定)の量のパロキセチンまたはその生理的に許容される塩もしくは溶媒和物と、1.5〜2.5mg(遊離塩基として測定)の量の4−(S)−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−2−(R)−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸[1−(R)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−メチルアミドまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物とを含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項14】
うつ病および/または不安の治療および/または予防に用いるための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項15】
ヒトを含む哺乳類のうつ病および/または不安の治療および/または予防のための方法であって、治療的に有効な量の請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せで該動物を治療することを含む方法。
【請求項16】
1つもしくはそれ以上の医薬上許容される担体または賦形剤と共に、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せを含む医薬処方。
【請求項17】
うつ病および/または不安の治療および/または予防のために同時投与もしくは順次投与する、治療的に有効な薬の製造における、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組合せの使用。

【公表番号】特表2006−523650(P2006−523650A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505186(P2006−505186)
【出願日】平成16年4月16日(2004.4.16)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004122
【国際公開番号】WO2004/091616
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】