説明

そば切り状態を真上から目視できる駒板

【課題】 そば切りをするとき、麺体の上に駒板を重ね乗せて、それをガイドにしてそば切りをするが、従来の駒板では下の麺体が隠れて、そば切り状態を目視することが困難であった。そば切り幅は包丁を傾けて駒板を横へ移動さえる時の包丁の角度で判断していた。そのため正確なそば切り幅の判断をするには熟練を必要とした。またそば切りを直接目視しようとすると、無理な姿勢になり疲労をともなった。
【解決手段】 そば切り状態を直接目視できれば、熟練をしていなくても、無理な姿勢をとらなくても、そばを同じ幅で切ることが容易になる。本発明では、そば切り状態を直接目視できるようにするために、板の一端(1)に当て木(2)を設け、その当て木(2)の中央部分に空間(3)を設けて、駒板の真上から下まで見通せるようしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、そば切りで同じ幅に切り揃えることを容易にするために、当て木の中央部分に真上から下まで見通せる空間を設け、真上からそば切り状態を目視できるようにした、そば切り補助具の駒板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の駒板は、板の一端に角棒状の当て木を設けただけのものであった。
これを、切ろうとする麺体の上に重ね乗せ、駒板の当て木に包丁の側面をあてがい、当て木をガイドにして、包丁で麺体を切り下ろすものであった。
そして、切り下ろした包丁を当て木側に傾けて、駒板全体に横方向の力を加え、下の麺体を動かさずに、重ね乗せた駒板だけをわずかに横へ移動させていた。
駒板を横に移動させることで、当て木の真下には次に切る麺体があらわれることになり、これがそばの切り幅となる。
同じように、当て木に包丁をあてて、露出した麺体を切り下ろし、駒板だけを横に移動させ、次に麺体を切る幅だけ露出させ、このようにして反復してそば切りをしていた。
駒板を横へ移動させる量は、当て木の高さとかかわっていて、同じ移動量の場合、当て木の背が高いと包丁の傾け角度は小さくなり、当て木が低いと包丁の傾け角度は大きくなる。
当て木にあてる包丁の傾け角度は、好みや熟練度による個人差があり、そのため個人差に対応して、当て木の高さの違う駒板が各種提供されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらには、次のような欠点があった。
従来の駒板では、麺体を包丁で切る時、麺体の上に駒板を重ね乗せる状態になり、それがため麺体が隠れて、駒板の真上からはそば切り状態を目視できなかった。
反復して同じ幅にそばを切り揃えようとすると、切り下ろす度ごとに、駒板全体を横へ移動させる包丁の傾け角度で判断することになり、それを正確に行うには熟練を要した。
熟練していない初心者の場合は、包丁の傾け角度だけでは正確な切り幅が判断できないので、当て木の下に露出したそばを見て切ることになるが、そのためには当て木とその下の麺体が見える位置に視点を移さなければならず、右利きの場合は右側に大きく屈み込むようにして外側から見る無理な姿勢をとらなければならなかった。
左利きの場合は左に屈みこむ姿勢をとらなければならなかった。
本発明は、以上のような欠点を無くすためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
板(1)の一端に設けた当て木(2)の中央部分に真上から下まで見通せる空間(3)を設け、そば切り状態を駒板の上から目視できるようにした。
こうすることで、麺体に駒板を重ね乗せても、当て木の中央部分に空間があるため、下端まで見通せるようになり、麺体に包丁の刃が当たる状態を真上から見ることができる。
本発明は、以上の構成よりなるそば切り状態を真上から目視できる駒板である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の当て木に設けた空間により真下を目視できるので、包丁の傾け角度だけに頼って横移動させていた駒板も、熟練していなくても正確に横移動させることができるようになった。
また、当て木の真下に露出した麺体を目視できるので、それを見ながら確認して切ることができるので、初心者にもそばを同じ幅に切り揃えることが容易になった。
また、当て木の真上からそば切り状態を目視できるため、従来の駒板でそば切り状態を見ようとする時に強いられた、外側に屈み込むような身体に負担をかける無理な姿勢をとる必要もなくり、そば切り作業の疲労を軽減させることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
そば切りの状態を、駒板の真上から見えるようにするためには、当て木を切り欠いて下まで見通すことのできる空間が必要である。
従来の駒板では、切り下ろした包丁を傾けて、当て木全体に横方向の力を加えて駒板を横へ移動させているが、駒板を平行に横移動させるためには当て木全体に力を加える必要はなく、当て木の両端へ均等に力を加えるだけで十分である。
そこで、当て木の両端部分を残し、中央部分を凹型に切り欠いて空間を設け真上から下まで見通すことができるようにする。
しかし、真上から見て、当て木が凹型になるこの方法では、当て木に接していない露出した麺体の面積が大きくなり、連続してそば切りをする時に次のような不都合を生じる。
切り下ろした包丁を持ち上げる時に、当て木で押さえられていない露出した麺体が包丁に付着して浮き上がることがあって、その部分の麺体の形が崩れ、次に包丁で切り下ろす時に真っ直ぐに同じ幅で切れなくなる。
これを防ぐためには、当て木に設けた空間は、下まで目視できる状態でありながら、麺体の浮き上がりを防止する必要があった。
麺体が浮き上がらないように押さえの役目も果たし、なおかつ真上から下まで見通してそば切り状態を目視できるようにするためには、当て木の中央部分を凹型に切り欠いた空間の上部を広く、下部を狭くなるように斜面にすることで解決した。
板(1)の一端に設けた当て木(2)の中央部分に真上から下まで見通せる空間(3)を設け、この空間を通して麺体を包丁が切る状態を見えるようにする。
本発明は、以上のような構造である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明のそば切り状態を真上から目視できる駒板の斜視図である。
【符号の説明】
【0008】
1 板
2 当て木
3 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板(1)の一端に当て木(2)を設け、当て木(2)の中央部分に真上から下を見通せる空間(3)を設けた駒板。

【図1】
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【公開番号】特開2010−194283(P2010−194283A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68867(P2009−68867)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(509078816)
【Fターム(参考)】