説明

たくし上げカーテンの昇降装置

【課題】ヘッドボックス内の昇降装置を大型化することなく、生地の擦れ合いを防止し得るたくし上げカーテンの昇降装置を提供する。
【解決手段】ヘッドボックス1から生地3を吊下支持し、ヘッドボックス1から垂下される昇降コード6で生地3の下端部を昇降して該生地3を昇降するたくし上げカーテン2において、生地3をヘッドボックス1から室内側へずらした位置で垂下させるオフセット装置22,30を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たくし上げカーテンの生地を昇降する昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるたくし上げカーテンは、ヘッドボックスから2枚の生地が前後に吊下支持され、ヘッドボックスの一端から垂下されるボールチェーンの操作により、それぞれ独立して昇降操作可能である。
【0003】
各カーテン生地の背面にはリングが上下方向に複数設けられ、そのリングに昇降コードが挿通されている。昇降コードの下端はフックを介して生地の下端部に取着されている。そして、ボールチェーンの操作により昇降コードを引き上げると、生地が襞状にたくし上げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−16422
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなたくし上げカーテンでは、前側の生地をたくし上げると、襞状にたくし上げられた生地の重心位置が後方に移動するため、後側の生地に当接して擦れ合う状態となる。特に、生地の昇降距離の大きいたくし上げカーテンでは、生地をたくし上げたとき、生地の後方への移動量が大きくなる。
【0006】
すると、前側の生地を繰り返し昇降すると、前後の生地が擦れ合って各生地が損傷されるという問題点がある。
また、生地の擦れ合いを防止するために生地の前後間隔を大きくすると、ヘッドボックス内に収容される昇降装置の前後長が大きくなるため、ヘッドボックス及びヘッドボックスの支持ブラケットが大型化するという問題点がある。
【0007】
この発明の目的は、ヘッドボックス若しくはヘッドボックスの支持ブラケットを大型化することなく、生地の擦れ合いを防止し得るたくし上げカーテンの昇降装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1では、ヘッドボックスから生地を吊下支持し、前記ヘッドボックスから垂下される昇降コードで前記生地の下端部を昇降して該生地を昇降するたくし上げカーテンにおいて、前記生地を前記ヘッドボックスから室内側へずらした位置で垂下させるオフセット装置を設けた。
【0009】
請求項2では、前記オフセット装置は、少なくとも前記ヘッドボックスの両端部から室内側に延びる一対の案内部材と、前記生地の裏面に該生地の全幅に亘って取着されて、前記案内部材に支持される支持棒とを備えた。
【0010】
請求項3では、前記案内部材に、前記生地に沿って前記昇降コードを案内する滑車を設けた。
請求項4では、前記案内部材を、前記ヘッドボックス内で前記昇降コードを巻き取る巻取りパイプの支持部材に嵌着した。
【0011】
請求項5では、前記案内部材を前記ヘッドボックスに取着可能とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ヘッドボックス内の昇降装置を大型化することなく、生地の擦れ合いを防止し得るたくし上げカーテンの昇降装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】プリーツスクリーンを備えたたくし上げカーテンを示す正面図である。
【図2】プリーツスクリーンを備えたたくし上げカーテンを示す側面図である。
【図3】ヘッドボックス内の昇降装置を示す平面図である。
【図4】支持部材と案内部材を示す分解斜視図である。
【図5】案内部材の作用を示す断面図である。
【図6】別例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明を具体化した第一の実施形態を図面に従って説明する。図1〜図3に示す日射遮蔽装置は、ヘッドボックス1の前面からたくし上げカーテン2の生地3が吊下支持される。生地3の上端部は、図5に示す面ファスナー4でヘッドボックス1の前面に接着されている。
【0015】
前記生地3の背面の幅方向両側部において、生地3の上下方向中央部にはリング5が取着され、そのリング5には昇降コード6が挿通されている。前記昇降コード6の下端にはコードキャッチ7が取着され、そのコードキャッチ7のフック部8が前記生地3の下端部に取着されている。
【0016】
前記生地3の後方において、前記ヘッドボックス1からプリーツスクリーン9の生地10が吊下支持されるとともに、生地10の下端にはボトムレール11が取着されている。前記生地3の幅方向両側部には昇降コード12が挿通され、その昇降コード12の下端に前記ボトムレール11が吊下支持されている。
【0017】
図3に示すように、前記ヘッドボックス1内の前部両側には支持部材13a,13bが配設され、その支持部材13a,13bには巻取りパイプ14a,14bが回転可能に支持されている。そして、巻取りパイプ14a,14bに前記たくし上げカーテン2の昇降コード6の上端部が巻着されるとともに、巻取りパイプ14a,14bが回転されると、昇降コード6が巻取りパイプ14a,14bに巻き取られ、あるいは巻取りパイプ14a,14bから巻戻される。
【0018】
前記ヘッドボックス1内の後部両側には支持部材15a,15bが配設され、その支持部材15a,15bには巻取りパイプ16a,16bが回転可能に支持されている。そして、巻取りパイプ16a,16bに前記プリーツスクリーン9の昇降コード12の上端部が巻着されるとともに、巻取りパイプ16a,16bが回転されると、昇降コード12が巻取りパイプ16a,16bに巻き取られ、あるいは巻取りパイプ16a,16bから巻戻される。
【0019】
前記巻取りパイプ14a,14bには六角棒状の第一の駆動軸17aが相対回転不能に挿通され、前記巻取りパイプ16a,16bには同じく六角棒状の第二の駆動軸17bが相対回転不能に挿通されている。
【0020】
前記第一及び第二の駆動軸17a,17bの一端部は、前記ヘッドボックス1の一端に配設されるクラッチ装置18の出力軸に嵌合されている。前記クラッチ装置18の端部にはプーリーが回転可能に支持され、そのプーリーにボールチェーン19が掛装されている。
【0021】
前記クラッチ装置18は、プーリーから垂下されるボールチェーン19の一方を下方へ引いたとき、前記第一の駆動軸17aを回転駆動し、ボールチェーン19の他方を下方へ引いたとき、前記第二の駆動軸17bを回転駆動するようになっている。そして、ボールチェーン19の操作により、たくし上げカーテン2の生地3あるいはプリーツスクリーン9の生地10を昇降可能となっている。
【0022】
図1及び図3に示すように、前記ヘッドボックス1内において前記第一及び第二の駆動軸17a,17bは、ストッパー装置20及びガバナー装置21に挿通されている。
前記ストッパー装置20は、たくし上げカーテン2の生地3及びプリーツスクリーン9の生地10の自重降下を防止するものである。そして、生地3あるいは生地10の引き上げ操作の後にボールチェーン19を手放したとき作動して、第一及び第二の駆動軸17a,17bの生地下降方向の回転を阻止して、生地3あるいは生地10の自重降下を阻止する。
【0023】
また、生地3,10の自重降下が阻止されている状態から、ボールチェーン19を生地3,10の引き上げ方向に僅かに引くと、ストッパー装置20の作動が解除されて、生地3あるいは生地10を所望位置まで自重降下させることにより下降操作可能となっている。
【0024】
前記ガバナー装置21は、前記第一及び第二の駆動軸17a,17bの回転速度を所定速度以下に抑制する機能を備えている。そして、生地3,10の自重降下速度を所定速度以下に抑制するようになっている。
【0025】
前記支持部材13a,13bには、前記昇降コード6と生地3を室内側へオフセットして吊下支持するための案内部材22が取着されている。
前記支持部材13a,13bには、図4に示すように、前記昇降コード6の吊下げ位置において下方へ突出する長四角筒状の連結部23が形成され、その連結部23における支持部材13a,13bの長手方向の外側面には、係止突起24がそれぞれ形成されている。
【0026】
前記案内部材22の上端部には、前記支持部材13a若しくは支持部材13bの連結部23を嵌挿可能とした長四角筒状の嵌合部26が形成され、その嵌合部26には前記係止突起24に係合する係止溝27が形成されるとともに、滑車25が回転可能に支持されている。
【0027】
そして、嵌合部26を下方から前記連結部23に嵌合すると、係止突起24が嵌合部26の内側面を乗り越えて係止溝27に係合して案内部材22が支持部材13a及び支持部材13bに取着される。そして、支持部材13a及び支持部材13bをヘッドボックス1に側方から挿入すると、図5に示すように、案内部材22が連結部23及びヘッドボックス1に支持されるようになっている。
【0028】
前記案内部材22には、前記嵌合部26から斜め下方に延びるアーム部28が形成されている。そして、案内部材22はアーム部28が室内側に突出するように前記連結部23に取着される。
【0029】
前記アーム部28は二股状に形成されるとともに、その先端部には滑車29が回転可能に支持されている。そして、前記巻取りパイプ14a,14bから下方へ垂下される昇降コード6は、図5に示すように、前記連結部23の滑車25からアーム部28の滑車29を経て下方へ垂下される。
【0030】
前記たくし上げカーテン2の生地3の裏面には、前記ヘッドボックス1の直下位置で前記案内部材22のアーム部28の先端部に当接する位置に支持棒30が取着されている。この支持棒30は、合成樹脂で丸棒状に形成され、生地3の全幅に亘って延設されている。
【0031】
そして、ヘッドボックス1から垂下される生地3は、支持棒30の両端部が前記支持部材13a,13bにそれぞれ取着された案内部材22のアーム部28の先端部上面に当接するようになっている。
【0032】
このような構成により、たくし上げカーテン2の生地3は案内部材22によりヘッドボックス1の前面から室内側にずらした位置で垂下されている。
上記のように構成されたたくし上げカーテン2の昇降装置では、ボールチェーン19を操作して生地3を襞状にたくし上げ可能であるとともに、たくし上げられた生地3を自重により下降操作可能である。
【0033】
たくし上げられた生地3は、支持棒30から下方に延びる鉛直線より後方でたくし上げられるが、案内部材22により生地3とプリーツスクリーン9の生地10との間に十分な間隔が確保されているので、生地3と生地10との擦れ合いが防止される。
【0034】
上記のように構成されたたくし上げカーテン2の昇降装置では、次に示す作用効果を得ることができる。
(1)たくし上げカーテン2の生地3を昇降操作するとき、生地3と後方に吊下支持されるプリーツスクリーン9の生地10との擦れ合いを防止することができる。従って、生地3,10の損傷を未然に防止することができる。
(2)ヘッドボックス1内の昇降装置及びヘッドボックスの支持ブラケットを大型化することなく、生地3と生地10との擦れ合いを防止することができる。
(3)案内部材22に支持される支持棒30で、生地3の上端部をその全幅に亘って直線的に室内側へずらすことができる。従って、支持部材13a,13bにそれぞれ取着した2つの案内部材22で生地3を直線的にずらすことができる。
(4)案内部材22の嵌合部26を支持部材13a,13bの連結部23に嵌合することにより、案内部材22を支持部材13a,13bに容易に取着することができる。
(5)たくし上げカーテン2の昇降コード6を、案内部材22に設けた滑車25,29により生地3とともに室内側へずらすことができる。
【0035】
上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・図6に示すように、案内部材22をヘッドボックス1の底面に取着してもよい。このような構成により、支持部材13a,13bの取付位置以外にも案内部材22を取着することができる。
・上記実施形態のプリーツスクリーン9に代えて、ヘッドボックス1からたくし上げカーテンを吊下支持して、二重たくし上げカーテンとしてもよい。
・ヘッドボックス1からたくし上げカーテン2のみを吊下支持する構成としてもよい。この場合には、支持ブラケットを大型化してヘッドボックスの取付位置を変更することなく、生地3と窓面との干渉を防止することができる。
【符号の説明】
【0036】
1…ヘッドボックス、2…たくし上げカーテン、3…生地、6…昇降コード、13a,13b…支持部材、22…オフセット装置(案内部材)、25,29…滑車、30…オフセット装置(支持棒)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドボックスから生地を吊下支持し、前記ヘッドボックスから垂下される昇降コードで前記生地の下端部を昇降して該生地を昇降するたくし上げカーテンにおいて、
前記生地を前記ヘッドボックスから室内側へずらした位置で垂下させるオフセット装置を設けたことを特徴とするたくし上げカーテンの昇降装置。
【請求項2】
前記オフセット装置は、
少なくとも前記ヘッドボックスの両端部から室内側に延びる一対の案内部材と、
前記生地の裏面に該生地の全幅に亘って取着されて、前記案内部材に支持される支持棒と
を備えたことを特徴とする請求項1記載のたくし上げカーテンの昇降装置。
【請求項3】
前記案内部材に、前記生地に沿って前記昇降コードを案内する滑車を設けたことを特徴とする請求項2記載のたくし上げカーテンの昇降装置。
【請求項4】
前記案内部材を、前記ヘッドボックス内で前記昇降コードを巻き取る巻取りパイプの支持部材に嵌着したことを特徴とする請求項2又は3記載のたくし上げカーテンの昇降装置。
【請求項5】
前記案内部材を前記ヘッドボックスに取着可能としたことを特徴とする請求項2又は3記載のたくし上げカーテンの昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−234935(P2011−234935A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109555(P2010−109555)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000250672)立川ブラインド工業株式会社 (224)
【Fターム(参考)】