説明

はんだペースト印刷装置、その送りローラおよびはんだペースト印刷方法

【課題】フレキシブルプリント基板上のはんだペースト量を変更して連続的に印刷する。
【解決手段】はんだペースト印刷装置100は、円筒状のはんだペースト印刷版10と、送りローラ20と、はんだペースト供給装置40と、スキージ50とを備える。印刷版10にはフレキシブルプリント基板30のランド上にはんだペーストを印刷する箇所に貫通孔部11が形成され、送りローラ20の外周面における印刷するはんだペースト量を変更する箇所には凸部からなる印刷量変更部21が形成される。はんだペースト印刷動作中に、印刷量変更部21が貫通孔部11と対向する場合においては矢印C方向から供給されたフレキシブルプリント基板30のランド上に、フレキシブルプリント基板30が印刷量変更部21に押されて凸状に変形しつつ貫通孔部11内に押し込まれることにより、はんだペースト31よりもはんだペースト量の少ないはんだペースト32が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、はんだペースト印刷装置、その送りローラおよびはんだペースト印刷方法に関し、特にフレキシブルプリント基板上のはんだペースト量を変更して連続的に印刷することができるはんだペースト印刷装置、その送りローラおよびはんだペースト印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント基板にはんだペーストを印刷するはんだペースト印刷装置として、クリームはんだ印刷装置(例えば、特許文献1(第1−3頁、第1−4図)参照)が知られている。このはんだペースト印刷装置は、所定の穴が形成された円筒状のマスクと、マスク内に設置された円柱状のスキージと、マスク内に設置されたクリームはんだ供給装置と、スキージの下部に設置された送りローラとを備える。
【0003】
そして、円筒状のマスクを回転しつつクリームはんだを供給し、このクリームはんだをマスク内のスキージで押圧してマスクの穴からクリームはんだを押し出してスキージとマスクの接触面の反対側を走行するフレキシブルプリント基板にクリームはんだを印刷する。これにより、平板のマスクによる印刷に比べてフレキシブルプリント基板とマスクの位置合わせを容易にし連続的に印刷することができるとされている。
【0004】
また、部分的にマスクの厚さを変更して、はんだペーストをフレキシブルプリント基板上に印刷するためのはんだ印刷用マスク(例えば、特許文献2(第4−7頁、第1−7図)参照)も提案されている。このはんだ印刷用マスクは、複数の層からなり、所望のランドごとに周囲の層の状態を変更してマスクの厚さを変え、平板状のスクリーン印刷版とフレキシブルプリント基板との間の距離を変えることにより印刷されるはんだペースト量(はんだペースト印刷量)を変化させるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−123486号公報
【特許文献2】特開2006−66811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、はんだペーストの印刷においては、通常は印刷後にフレキシブルプリント基板に実装される電子部品のサイズごとに適切なはんだペースト印刷量が異なるとされる。したがって、上記特許文献1に開示されているクリームはんだ印刷装置では、マスクの厚さを変えることで適切なはんだペースト量をフレキシブルプリント基板上に印刷することは可能であるが、いわゆるコネクタやQFP(Quad Flat Package)などの大型部品と、0603チップ(0.6mm×0.3mmサイズのチップ)やCSP(Chip Size Package)などの小型部品がフレキシブルプリント基板上に混在する場合は、それぞれの適切なはんだペースト印刷量が異なってしまう。このため、連続性を犠牲にせずすべてのランドに対応した適切なはんだペースト印刷量が得られるマスクを作製することは困難となる。これにより、このクリームはんだ印刷装置では、印刷工程において実装可能な部品群のサイズの違いに制限がかかってしまうこととなる。
【0007】
また、上述した特許文献2に開示されているはんだ印刷用マスクでは、平板状のスクリーン印刷版を用いるため、特許文献1のものと比べて連続性が犠牲になるとともに、マスクの厚さが異なることで、マスク開口部側面とはんだペーストとの接触面積が変わることとなる。このため、マスクの厚さが異なる部分では、マスクをフレキシブルプリント基板から離すときの適切な条件が異なってしまう。これにより、すべてのマスク開口部から良好な抜け性を得るための設定が困難となり、連続的にはんだペースト印刷量を変えつつ印刷を行うことが難しいという問題がある。
【0008】
この発明は、フレキシブルプリント基板上のはんだペースト量を変更して連続的に印刷することができるはんだペースト印刷装置、その送りローラおよびはんだペースト印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかるはんだペースト印刷装置は、複数の貫通孔部が設けられた円筒状のはんだペースト印刷版と、前記はんだペースト印刷版に隣設された送りローラとを備え、前記はんだペースト印刷版および送りローラは、それらの外周面の間にフレキシブルプリント基板を挟持して、それぞれが回転しながらそのフレキシブルプリント基板を一の方向に送り出し、フレキシブルプリント基板の前記貫通孔部に対向する位置に前記はんだペースト印刷版の周面の肉厚と同一の高さを有するはんだペーストを印刷するはんだペースト印刷装置において、前記送りローラの外周面には、基準となる外周面とは異なる高さで形成され前記はんだペーストの印刷量を変更する印刷量変更部が少なくとも一つ設けられ、はんだペースト印刷動作中に、前記はんだペースト印刷版の前記複数の貫通孔部の少なくとも一つと前記送りローラの前記印刷量変更部とが前記フレキシブルプリント基板を介して対向するように配置されることを特徴とする。
【0010】
なお、この場合の前記はんだペースト印刷装置においては、例えば前記印刷量変更部は、前記はんだペースト印刷版の周面の肉厚よりも低い凸部からなり、複数設けられた場合に各凸部は前記外周面からの高さが互いに同一、または各凸部のうちの少なくとも一つは前記高さが他と異なるように構成されていることが好ましい。
【0011】
また、この場合の前記はんだペースト印刷装置においては、例えば前記印刷量変更部は、凹部からなり、複数設けられた場合に各凹部は前記外周面からの深さが互いに同一、または各凹部のうちの少なくとも一つは前記深さが他と異なるように構成されていることが好ましい。
【0012】
この発明にかかるはんだペースト印刷装置の送りローラは、複数の貫通孔部が設けられた円筒状のはんだペースト印刷版と、前記はんだペースト印刷版に隣設された送りローラとを備え、前記はんだペースト印刷版および送りローラは、それらの外周面の間にフレキシブルプリント基板を挟持して、それぞれが回転しながらそのフレキシブルプリント基板を一の方向に送り出し、フレキシブルプリント基板の前記貫通孔部に対向する位置に前記はんだペースト印刷版の周面の肉厚と同一の高さを有するはんだペーストを印刷するはんだペースト印刷装置の送りローラにおいて、その外周面に、基準となる外周面とは異なる高さで形成され前記はんだペーストの印刷量を変更する印刷量変更部が少なくとも一つ設けられ、はんだペースト印刷動作中に、前記はんだペースト印刷版の前記複数の貫通孔部の少なくとも一つと前記印刷量変更部とが前記フレキシブルプリント基板を介して対向するように配置されることを特徴とする。
【0013】
なお、この場合の前記はんだペースト印刷装置の送りローラにおいては、例えば前記印刷量変更部は、前記はんだペースト印刷版の周面の肉厚よりも低い凸部からなり、複数設けられた場合に各凸部は前記外周面からの高さが互いに同一、または各凸部のうちの少なくとも一つは前記高さが他と異なるように構成されていることが好ましい。
【0014】
また、この場合の前記はんだペースト印刷装置の送りローラにおいては、例えば前記印刷量変更部は、凹部からなり、複数設けられた場合に各凹部は前記外周面からの深さが互いに同一、または各凹部のうちの少なくとも一つは前記深さが他と異なるように構成されていることが好ましい。
【0015】
さらに、この発明にかかるはんだペースト印刷方法は、複数の貫通孔部が設けられた円筒状のはんだペースト印刷版と前記はんだペースト印刷版に隣設された送りローラとの外周面の間にフレキシブルプリント基板を挟持して、前記はんだペースト印刷版および送りローラを回転させながらそのフレキシブルプリント基板を一の方向に送り出し、フレキシブルプリント基板の前記貫通孔部に対する位置に前記はんだペースト印刷版の周面の肉厚と同一の高さを有するはんだペーストを印刷するはんだペースト印刷方法において、前記送りローラの外周面には、基準となる外周面とは異なる高さで形成され前記はんだペーストの印刷量を変更する印刷量変更部が少なくとも一つ設けられ、はんだペースト印刷動作中に、前記はんだペースト印刷版の前記複数の貫通孔部の少なくとも一つと前記フレキシブルプリント基板を介して対向するように配置されながら前記一の方向に送り出すことを特徴とする。
【0016】
この場合の前記はんだペースト印刷方法においては、例えば前記印刷量変更部は、前記はんだペースト印刷版の周面の肉厚よりも低い凸部からなり、複数設けられた場合に各凸部は前記外周面からの高さが互いに同一、または各凸部のうちの少なくとも一つは前記高さが他と異なるように構成されていることが好ましい。
【0017】
また、この場合の前記はんだペースト印刷方法においては、例えば前記印刷量変更部は、凹部からなり、複数設けられた場合に各凹部は前記外周面からの深さが互いに同一、または各凹部のうちの少なくとも一つは前記深さが他と異なるように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、送りローラの外周面に設けられた印刷量変更部によって、はんだペースト印刷版の貫通孔部からフレキシブルプリント基板上に印刷されるはんだペーストの量を変更することができるので、フレキシブルプリント基板上のはんだペースト量を変更して連続的に印刷することができるはんだペースト印刷装置、その送りローラおよびはんだペースト印刷方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態にかかる送りローラを備えたはんだペースト印刷装置の構成および動作を説明するための説明図である。
【図2】同はんだペースト印刷装置の一部を拡大して示す断面図である。
【図3】同はんだペースト印刷装置の一部の第2例を示す断面図である。
【図4】同はんだペースト印刷装置の一部の第3例を示す断面図である。
【図5】同はんだペースト印刷装置の一部の第4例を示す断面図である。
【図6】同はんだペースト印刷装置の一部の第5例を示す断面図である。
【図7】同はんだペースト印刷装置の一部の第6例を示す断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態にかかる送りローラを備えたはんだペースト印刷装置の一部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照して、この発明にかかるはんだペースト印刷装置、その送りローラおよびはんだペースト印刷方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる送りローラを備えたはんだペースト印刷装置の構成および動作を説明するための説明図、図2は同はんだペースト印刷装置の一部を拡大して示す断面図である。
【0021】
図1(a)に示すように、はんだペースト印刷装置100は、円筒状のはんだペースト印刷版10と、このはんだペースト印刷版10と対向配置された送りローラ20とを備えて構成されている。また、はんだペースト印刷装置100は、はんだペースト印刷版10内に設けられたはんだペースト供給装置40と、同じくはんだペースト印刷版10内に設けられた円柱状のスキージ50とを備える。
【0022】
そして、このはんだペースト印刷装置100は、はんだペースト印刷版10と送りローラ20との外周面の間に図中矢印Cで示す方向(以下、矢印C方向とする。)から供給されたフレキシブルプリント基板30上に、はんだペースト印刷版10によってはんだペースト49を印刷して、はんだペースト31が印刷されたフレキシブルプリント基板30を矢印C方向に送り出す印刷動作を行う構成となっている。
【0023】
なお、このような印刷動作に際して、はんだペースト印刷版10、送りローラ20およびフレキシブルプリント基板30の移動の際の位置合わせや印刷精度を確実なものとするために、はんだペースト印刷装置100には次のような構造が採用されている。すなわち、図示は省略するが、はんだペースト印刷装置100は、例えばはんだペースト印刷版10およびフレキシブルプリント基板30に所定間隔で形成された移動同期用のスプロケット穴と、送りローラ20にこれらスプロケット穴と対応するように形成されたスプロケット溝とを具備する。
【0024】
さらに、スキージ50にスプロケット穴と同間隔のスプロケット片を形成し、印刷動作の際にこのスプロケット片がスプロケット穴やスプロケット溝に入り込みつつはんだペースト印刷版10を図中矢印Aで示す方向(以下、矢印A方向とする。)に回転させる。これとともに送りローラ20を図中矢印Bで示す方向(以下、矢印B方向とする。)に回転させてフレキシブルプリント基板30を矢印C方向に移動させることで、位置合わせを行いつつフレキシブルプリント基板30上の所望の位置にはんだペースト31を印刷する。
【0025】
ここで、はんだペースト49,31が印刷されるフレキシブルプリント基板30は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、またはガラスエポキシ樹脂等からなる絶縁性および可撓性を有するベースフィルム(図示せず)を備えて構成される。
【0026】
さらに、フレキシブルプリント基板30は、このベースフィルム上に、例えば耐熱性のある熱可塑性ポリイミド樹脂等からなる接着剤を介して銅(Cu)やアルミニウム(Al)等の金属導体をパターン形成した回路(図示せず)を備えて構成されている。なお、この回路の先端部や中間部には、半導体装置等の電子部品をフレキシブルプリント基板30に実装するための部品実装用のランド(図示せず)が形成されている。
【0027】
はんだペースト印刷版10は、例えばステンレス等の金属からなるメタルマスクであり、はんだペースト印刷時にフレキシブルプリント基板30のランド形成箇所と対応する箇所に位置するように形成された複数の貫通孔部11を備えている。したがって、はんだペースト供給装置40から供給されたはんだペースト49は、スキージ50によってこれらの貫通孔部11内に充填され、はんだペースト印刷版10の周面の肉厚と同一の高さをもってはんだペースト印刷版10と送りローラ20とに挟まれたフレキシブルプリント基板30のランド上にそれぞれ印刷される。なお、はんだペースト供給装置40およびスキージ50は、公知の構成を採用することができるため、ここでは説明を省略する。
【0028】
一方、送りローラ20は、その外周面によってはんだペースト印刷版10との間に挟まれたフレキシブルプリント基板30を上記矢印C方向に送り出す。この送りローラ20の外周面には、はんだペースト印刷版10の貫通孔部11と対応する箇所のうち、フレキシブルプリント基板30のランド上に印刷されるはんだペースト量を異ならせる位置に対応する貫通孔部11とはんだペースト印刷時に対向する箇所に位置するように形成された、第1例の印刷量変更部21が設けられている。この印刷量変更部21は、凸部からなり、はんだペースト印刷版10の周面の肉厚よりも高さが低くなるように形成されている。
【0029】
このように構成されたはんだペースト印刷装置100では、印刷動作中に印刷量変更部21が貫通孔部11と対向しない場合においては、図1(b)および図1(c)に示すように、はんだペースト印刷版10と送りローラ20との間に矢印C方向から供給されたフレキシブルプリント基板30のランド上に、貫通孔部11の厚さ(すなわち、はんだペースト印刷版10の周面の肉厚)分のはんだペースト31が形成される。
【0030】
また、印刷動作中に印刷量変更部21が貫通孔部11と対向する場合においては、図1(b)および図2に示すように、矢印C方向から供給されたフレキシブルプリント基板30のランド上に、はんだペースト31よりもはんだペースト量の少ない(すなわち、厚さが薄い)はんだペースト32が形成される。
【0031】
このはんだペースト32は、図2に示すように、印刷量変更部21の送りローラ20の外周面からの高さH分だけ、フレキシブルプリント基板30が印刷量変更部21に押されて凸状に変形しつつ貫通孔部11内に押し込まれることにより、貫通孔部11内の空間が狭められることで厚さが薄く形成される。
【0032】
なお、この場合は、貫通孔部11の開口径よりも印刷量変更部21の高さH方向と交差する方向の外径が小さくなるように、印刷量変更部21が凸状に形成される必要がある。また、この印刷量変更部21の高さHを適宜変更することにより、はんだペースト31よりも薄い種々の厚さのはんだペーストをフレキシブルプリント基板30のランド上に形成することができる。
【0033】
このように、本実施形態にかかるはんだペースト印刷装置100では、送りローラ20に設けられた印刷量変更部21によって、はんだペースト印刷版10の貫通孔部11からフレキシブルプリント基板30のランド上に印刷されるはんだペーストの量を一度の印刷により変更することができる。これにより、フレキシブルプリント基板30のランド上のはんだペースト量を変更して連続的に印刷することが可能となる。なお、上述した印刷量変更部21の他に、次のような種々の構成であってもよい。
【0034】
図3〜図7は、同はんだペースト印刷装置の一部の第2例〜第6例を示す断面図である。なお、以降において、既に説明した部分と重複する箇所には同一の符号を付して説明を省略し、本発明に特に関連のない部分は明記しない場合があることとする。図3に示すように、第2例では、送りローラ20の外周面に形成された凹部からなる印刷量変更部22によってはんだペースト量を変更する。
【0035】
このため、印刷動作中に印刷量変更部22が貫通孔部11と対向する場合においては、矢印C方向から供給されたフレキシブルプリント基板30のランド上に、はんだペースト31よりもはんだペースト量の多い(すなわち、厚さが厚い)はんだペースト33が形成される。このはんだペースト33は、図3に示すように、印刷量変更部22の送りローラ20の外周面からの深さD分だけ、フレキシブルプリント基板30が貫通孔部11内に充填されたはんだペースト49により押されて凹状に変形しつつ印刷量変更部22内に押し込まれることにより、貫通孔部11内の空間以上にはんだペースト49が充填されることで厚さが厚く形成される。
【0036】
なお、この場合は、貫通孔部11の開口径よりも印刷量変更部22の深さD方向と交差する方向の内径が大きくなるように、印刷量変更部22が凹状に形成される必要がある。また、この印刷量変更部22の深さDを適宜変更することにより、はんだペースト31よりも厚い種々の厚さのはんだペーストをフレキシブルプリント基板30のランド上に形成することができる。
【0037】
また、図4に示すように、第3例では、上記第1例の印刷量変更部21と同様に送りローラ20の外周面に形成された凸部からなる印刷量変更部23によってはんだペースト量を変更するが、この印刷量変更部23は、凸方向先端に向かって外径が小さくなる(縮径する)ように形成されている点が相違している。
【0038】
これにより、フレキシブルプリント基板30が印刷量変更部23に押されて凸状に変形しつつ貫通孔部11内に押し込まれる際に、凸部の角の部分における応力を低減することができるので、フレキシブルプリント基板30は第1例の印刷量変更部21を用いた場合に比べて緩やかな角度で変形する。したがって、はんだペースト31よりも薄いはんだペースト34を形成することができる効果には変わりはないが、さらに印刷動作中のフレキシブルプリント基板30に折れや傷などが発生することを効果的に防止することが可能となる。
【0039】
また、図5に示すように、第4例では、上記第1例および第3例の印刷量変更部21,23と同様に送りローラ20の外周面に形成された凸部からなる印刷量変更部24によってはんだペースト量を変更するが、この印刷量変更部24は、外周面から球面状に突出して形成されている点が相違している。
【0040】
これにより、フレキシブルプリント基板30が印刷量変更部24に押されて凸状に変形しつつ貫通孔部11内に押し込まれる際に、凸部の角がなくなりさらになだらかに変形する。このため、第1例や第3例の印刷量変更部21,23を用いた場合に比べてはんだペースト31よりも薄いはんだペースト35を形成することができる効果には変わりはないが、フレキシブルプリント基板30に折れや傷などが発生することをさら効果的に防止することが可能となる。
【0041】
一方、図6に示すように、第5例では、上記第2例の印刷量変更部22と同様に送りローラ20の外周面に形成された凹部からなる印刷量変更部25によってはんだペースト量を変更するが、この印刷量変更部25は、凹方向先端(すなわち、凹部の底面方向)に向かって内径が小さくなる(縮径する)ように形成されている点が相違している。
【0042】
これにより、フレキシブルプリント基板30が貫通孔部11内に充填されたはんだペースト49により押されて凹状に変形しつつ印刷量変更部25内に押し込まれる際に、凹部の角の部分における応力を低減することができるので、フレキシブルプリント基板30は第2例の印刷量変更部22を用いた場合に比べて緩やかな角度で変形する。したがって、はんだペースト31よりも厚いはんだペースト36を形成することができる効果には変わりはないが、さらに印刷動作中のフレキシブルプリント基板30に折れや傷などが発生することを効果的に防止することが可能となる。
【0043】
また、図7に示すように、第6例では、上記第2例および第5例の印刷量変更部22,25と同様に送りローラ20の外周面に形成された凹部からなる印刷量変更部26によってはんだペースト量を変更するが、この印刷量変更部26は、外周面から球面状に凹んで形成されている点が相違している。
【0044】
これにより、フレキシブルプリント基板30が貫通孔部11内に充填されたはんだペースト49により押されて凹状に変形しつつ印刷量変更部26内に押し込まれる際に、凹部の角がなくなりさらになだらかに変形する。このため、第2例や第5例の印刷量変更部22,25を用いた場合に比べてはんだペースト31よりも厚いはんだペースト37を形成することができる効果には変わりはないが、フレキシブルプリント基板30に折れや傷などが発生することをさらに効果的に防止することが可能となる。
【0045】
さらに、上述した凸部からなる印刷量変更部は、次のような構成であってもよい。図8は、本発明の他の実施形態にかかる送りローラを備えたはんだペースト印刷装置の一部を拡大して示す断面図である。図8に示すように、本例の印刷量変更部27は、上記第4例の印刷量変更部24と同様に送りローラ20の外周面から球面状に突出して形成されているが、ゴムやエラストマー等の弾性体からなり印刷量変更部27が形成された表面シート20Aを送りローラ20の外周面に配置することにより構成されている点が相違している。
【0046】
これにより、フレキシブルプリント基板30が印刷量変更部27に押されて凸状に変形しつつ貫通孔部11内に押し込まれる際に、はんだペースト31よりも薄いはんだペースト38を形成することができるとともに、大きな圧力がかかった場合であっても印刷量変更部27自身が変形することで応力を緩和することができる。
【0047】
したがって、フレキシブルプリント基板30に折れや傷などが発生することをさらに効果的に防止することが可能となる。なお、印刷量変更部27は、表面シート20Aに形成されたものの他、表面シート20Aを介さずに送りローラ20の外周面に直接弾性体により形成されてもよい。また、上述した印刷量変更部は、適宜凹凸を組み合わせて構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 はんだペースト印刷版
11 貫通孔部
20 送りローラ
20A 表面シート
21〜27 印刷量変更部
30 フレキシブルプリント基板
31〜38 はんだペースト
40 はんだペースト供給装置
49 はんだペースト
50 スキージ
100 はんだペースト印刷装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の貫通孔部が設けられた円筒状のはんだペースト印刷版と、
前記はんだペースト印刷版に隣設された送りローラとを備え、
前記はんだペースト印刷版および送りローラは、それらの外周面の間にフレキシブルプリント基板を挟持して、それぞれが回転しながらそのフレキシブルプリント基板を一の方向に送り出し、フレキシブルプリント基板の前記貫通孔部に対向する位置に前記はんだペースト印刷版の周面の肉厚と同一の高さを有するはんだペーストを印刷するはんだペースト印刷装置において、
前記送りローラの外周面には、基準となる外周面とは異なる高さで形成され前記はんだペーストの印刷量を変更する印刷量変更部が少なくとも一つ設けられ、はんだペースト印刷動作中に、前記はんだペースト印刷版の前記複数の貫通孔部の少なくとも一つと前記送りローラの前記印刷量変更部とが前記フレキシブルプリント基板を介して対向するよう配置される
ことを特徴とするはんだペースト印刷装置。
【請求項2】
前記印刷量変更部は、前記はんだペースト印刷版の周面の肉厚よりも低い凸部からなり、複数設けられた場合に各凸部は前記外周面からの高さが互いに同一、または各凸部のうちの少なくとも一つは前記高さが他と異なるように構成されている
ことを特徴とする請求項1記載のはんだペースト印刷装置。
【請求項3】
前記印刷量変更部は、凹部からなり、複数設けられた場合に各凹部は前記外周面からの深さが互いに同一、または各凹部のうちの少なくとも一つは前記深さが他と異なるように構成されている
ことを特徴とする請求項1または2記載のはんだペースト印刷装置。
【請求項4】
複数の貫通孔部が設けられた円筒状のはんだペースト印刷版と、
前記はんだペースト印刷版に隣設された送りローラとを備え、
前記はんだペースト印刷版および送りローラは、それらの外周面の間にフレキシブルプリント基板を挟持して、それぞれが回転しながらそのフレキシブルプリント基板を一の方向に送り出し、フレキシブルプリント基板の前記貫通孔部に対向する位置に前記はんだペースト印刷版の周面の肉厚と同一の高さを有するはんだペーストを印刷するはんだペースト印刷装置の送りローラにおいて、
その外周面に、基準となる外周面とは異なる高さで形成され前記はんだペーストの印刷量を変更する印刷量変更部が少なくとも一つ設けられ、はんだペースト印刷動作中に、前記はんだペースト印刷版の前記複数の貫通孔部の少なくとも一つと前記印刷量変更部とが前記フレキシブルプリント基板を介して対向するように配置される
ことを特徴とするはんだペースト印刷装置の送りローラ。
【請求項5】
前記印刷量変更部は、前記はんだペースト印刷版の周面の肉厚よりも低い凸部からなり、複数設けられた場合に各凸部は前記外周面からの高さが互いに同一、または各凸部のうちの少なくとも一つは前記高さが他と異なるように構成されている
ことを特徴とする請求項4記載のはんだペースト印刷装置の送りローラ。
【請求項6】
前記印刷量変更部は、凹部からなり、複数設けられた場合に各凹部は前記外周面からの深さが互いに同一、または各凹部のうちの少なくとも一つは前記深さが他と異なるように構成されている
ことを特徴とする請求項4または5記載のはんだペースト印刷装置の送りローラ。
【請求項7】
複数の貫通孔部が設けられた円筒状のはんだペースト印刷版と前記はんだペースト印刷版に隣設された送りローラとの外周面の間にフレキシブルプリント基板を挟持して、前記はんだペースト印刷版および送りローラを回転させながらそのフレキシブルプリント基板を一の方向に送り出し、フレキシブルプリント基板の前記貫通孔部に対向する位置に前記はんだペースト印刷版の周面の肉厚と同一の高さを有するはんだペーストを印刷するはんだペースト印刷方法において、
前記送りローラの外周面には、基準となる外周面とは異なる高さで形成され前記はんだペーストの印刷量を変更する印刷量変更部が少なくとも一つ設けられ、はんだペースト印刷動作中に、前記はんだペースト印刷版の前記複数の貫通孔部の少なくとも一つと前記フレキシブルプリント基板を介して対向するように配置されながら前記一の方向に送り出す
ことを特徴とするはんだペースト印刷方法。
【請求項8】
前記印刷量変更部は、前記はんだペースト印刷版の周面の肉厚よりも低い凸部からなり、複数設けられた場合に各凸部は前記外周面からの高さが互いに同一、または各凸部のうちの少なくとも一つは前記高さが他と異なるように構成されている
ことを特徴とする請求項7記載のはんだペースト印刷方法。
【請求項9】
前記印刷量変更部は、凹部からなり、複数設けられた場合に各凹部は前記外周面からの深さが互いに同一、または各凹部のうちの少なくとも一つは前記深さが他と異なるように構成されている
ことを特徴とする請求項7または8記載のはんだペースト印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−114287(P2011−114287A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271576(P2009−271576)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】