説明

はんだペースト

【解決手段】
本発明の1つのはんだペーストは、分子量が250以下の二塩基酸と、分子量が150以上300以下の一塩基酸と、分子量が300以上600以下の二塩基酸とを有する活性剤と、高密度ポリエチレン及びポリプロピレンから構成される群から選ばれる少なくとも1種類の樹脂添加物とをフラックス中に含有し、その樹脂添加物をそのフラックス中に4重量%以上12重量%以下有するとともに、80℃における粘度が400Pa・s以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだペーストに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子回路部品等をはんだ接続するために、種々のはんだペーストが使用されている。特に、はんだペーストに含まれるフラックスは、はんだ表面及び回路基板表面の金属酸化物を除去するとともに、はんだ付け時の金属の再酸化を防止する材料として用いられる。加えて、このフラックスは、はんだの表面張力を低下させ、且つはんだ付けを良好に行なうための重要な役割も果たす。
【0003】
ところで、従来から、有機酸等を組み合わせてはんだペースト用フラックス(以下、単に、フラックスともいう。)に添加することにより、信頼性及びはんだ付け性の向上が図られている。しかしながら、近年、電子回路部品等の微細化に伴って着目され始めてきた耐加熱だれ性に対する市場の要求を十分に満足するフラックスは、未だ見出されていない。耐加熱だれ性が劣るフラックスは、チップ部品におけるはんだボールの多発を引き起こすことがある。従って、このはんだボールが脱落すると、部品の微細化によって狭ピッチ化した部品リード間にはんだボールが入り込むため、短絡不良を発生させる可能性が高まる。加えて、前述の市場の要求は、特に車載用電子部品に対して厳しいといえる。
【0004】
上述の耐加熱だれ性、換言すれば、加熱による「だれ」の改善に対しては、これまで幾つかの提案がされてきた。例えば、具体的には、以下の各手段が挙げられる。
a)はんだ粉末、ロジン系樹脂、活性剤、及び溶剤を含有するソルダーペースト組成物にポリエチレングリコールポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールブロックポリマーを含有させる手段(特許文献1参照)
b)ソルダーペーストのフラックス中にフッ素樹脂化合物やフッ素系界面活性剤等のフッ素化合物を0.05〜10重量%添加させる手段(特許文献2参照)
c)球状の球形粉と様々な形状の不定形粉から成る粉末はんだとペースト状のフラックスとを混和したソルダーペーストにおいて、全粉末はんだに対してその不定形粉を10〜50重量%混和させる手段(特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−336993号公報
【特許文献2】特開平6−7989号公報
【特許文献3】特開平7−88675号公報
【特許文献4】特開平9−253884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の通り、微細化の進歩が著しい電子回路部品に十分に適用しうるフラックス及びはんだペーストを開発することは非常に難しい。例えば、上述の特許文献1及び2に記載された手段(a),(b)を採用しても、揮発性が低い極性物質の添加は、はんだ溶融後にも残留することから、十分な信頼性が得られない。また、上述の特許文献3に記載された手段(c)を採用しても、不定形粉末が添加されるため、はんだペーストの流動性が低下するだけでなく、微細部の印刷転写性が低下してしまう。
【0007】
加えて、これまで使用されてきたはんだペースト組成物中のフラックスには、活性剤として有機酸、特に活性力の点から比較的分子量の小さい(例えば分子量250以下の)二塩基酸が用いられていた(特許文献4参照)。しかし、最近使用されている鉛フリーはんだペーストでは、従来の錫鉛合金を用いたはんだペーストと比べて強い活性力が必要とされるため、上記の二塩基酸を多量に使用しなければならない。そうすると、はんだ付けの際、この二塩基酸と金属酸化物とが反応することによって生成される有機酸金属塩が、フラックス残渣中に溶解しきれなくなるため、その有機酸金属塩が基板上に点状に析出してしまう。この析出物は、水分によって容易に有機酸が解離するため、腐食や絶縁劣化の原因となる。
【0008】
そこで、はんだペースト組成物中のフラックスに含まれる二塩基酸の含有量を抑えるか、又はその二塩基酸を一塩基酸に置き換えて使用することによって対処する方法が考えられる。しかしながら、そのような方法を行った場合、たとえ金属塩が析出される点は改善されても、活性力が低下するようになる。その結果、この活性力の低下に伴ってはんだ付け不良が多発することとなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の技術課題を解決することにより、近年、微細化の進歩が著しい電子回路部品にも十分に適用しうるはんだペーストの具現化及びその実用化に大きく貢献するものである。発明者らは、高い信頼性と良好なはんだ付け性を両立させるはんだペーストを得るため、特にはんだペースト用フラックス及びはんだペーストに含まれる活性剤及びベース樹脂の機能性向上に着目して鋭意研究を行った。その結果、一定の分子量の範囲内に収めた複数種類の二塩基酸及び1種類の一塩基酸からなる活性剤と、特定の樹脂添加物とを含むはんだペーストを採用することが、高い信頼性と優れたはんだ付け性を両立し、さらに耐加熱だれ性の向上につながることを見出した。また、発明者らは、そのはんだペーストは、製造コストを上げることなく、環境に対する負荷にも配慮されたものであることを確認した。本発明は、そのような視点と経緯により創出された。
【0010】
本発明の1つのはんだペーストは、分子量が250以下の二塩基酸と、分子量が150以上300以下の一塩基酸と、分子量が300以上600以下の二塩基酸とを有する活性剤と、高密度ポリエチレン及びポリプロピレンから構成される群から選ばれる少なくとも1種類の樹脂添加物とをフラックス中に含有し、前述のフラックスの全体を100重量%としたときにその樹脂添加物を4重量%以上12重量%以下有する。加えて、前述のはんだペーストの80℃における粘度が、400Pa・S以上である。
【0011】
このはんだペーストによれば、上述の活性剤を有することにより、高い信頼性と優れたはんだ付け性を両立し得る。また、高密度ポリエチレン及びポリプロピレンから構成される群から選ばれる少なくとも1種類を含むことにより、高温(80℃)条件下におけるはんだペーストの高粘度化に寄与するため、耐加熱だれ性が向上し得る。換言すれば、加熱による「だれ」が抑制され得る。
【発明の効果】
【0012】
本発明の1つのはんだペーストによれば、耐加熱だれ性が向上する。換言すれば、加熱による「だれ」が抑制され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の1つの実施形態におけるフラックスの光学顕微鏡写真である。
【図2】本発明の実施例1の高密度ポリエチレンの粒度分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
つぎに、本発明の実施形態について説明する。
【0015】
上述のとおり、本実施形態のはんだペースト用フラックスは、分子量が250以下の二塩基酸と、分子量が150以上で300以下の一塩基酸と、分子量が300以上600以下の二塩基酸とを有する活性剤を有している。また、本実施形態のはんだペースト用フラックスは、高密度ポリエチレン及びポリプロピレンから構成される群から選ばれる少なくとも1種類の樹脂添加物をも含んでおり、前述の樹脂添加物の添加量は、前述のフラックスの全体を100重量%としたときに4重量%以上12重量%以下である。加えて、本実施形態のはんだペーストの80℃における粘度が、400Pa・s以上である。なお、本発明における高密度ポリエチレンとは、JIS K6922−1:1997に記載されるとおり、密度が942kg/m以上のものである。同様に、中密度ポリエチレンは、密度が930kg/m以上942kg/m未満であり、低密度ポリエチレンは、密度が910kg/m以上930kg/m未満である。
【0016】
ここで、上述の活性剤は、耐加熱だれ性の向上、換言すれば、加熱による「だれ」の抑制に寄与し得る。また、上述のとおり、高密度ポリエチレンとポリプロピレンとのいずれか又はその両方は、例えば一般的なはんだペースト用フラックスの軟化が始まる80℃下におけるフラックス及びはんだペーストの高粘度化に寄与する。従って、例えば、はんだを加熱溶融させることによって基板電極と電子部品とをはんだ付けする一般にリフローと呼ばれる工程において加熱による「だれ」が抑制され得る。そうすると、そのようなはんだペーストは、上述のはんだボールの発生を抑制することができるため、微細化の進歩が著しい電子回路部品にも適用し得る。
【0017】
また、分子量が250以下の二塩基酸としては、分子量が90以上の二塩基酸が好ましい。なお、分子量が250以下の二塩基酸の代表例は、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、アミノコハク酸、及びジフェン酸の群から選択され得る。また、分子量が150以上300以下の一塩基酸の代表例は、デカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アニス酸、ベンゾイル安息香酸、ジクロロ安息香酸、ジブロモサリチル酸、ジフェニル酢酸、及びクミン酸の群から選択され得る。さらに、分子量が300以上600以下の二塩基酸の代表例は、型番SL−20(岡村製油製)、ジエチレングリコールと無水コハク酸のエステル化反応物、不飽和脂肪酸の(メタ)アクリル酸付加物、及び不飽和脂肪酸の2量体の群から選択され得る。なお、その他の利用しうる活性剤の例としては、エチルアミン、プロピルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジフェニルグアニジン、エチレンジアミン、アニリン等のハロゲン化水素塩酸、乳酸、又はクエン酸が適用され得る。
【0018】
上述の、分子量が250以下の二塩基酸、分子量が150以上300以下の一塩基酸、及び分子量が300以上600以下の二塩基酸の使用量は特に制限されない。但し、分子量が250以下の二塩基酸100重量部に対し、分子量が150以上300以下の一塩基酸を100以上500以下の重量部程度とすることが、はんだ付け性と信頼性の両立を図る観点から好ましい。前述の観点から言えば、分子量が250以下の二塩基酸100重量部に対し、特に分子量が150以上300以下の一塩基酸を150以上350以下の重量部程度とすることが更に好ましい。一方、分子量が250以下の二塩基酸100重量部に対し、分子量が300以上600以下の二塩基酸を80以上400以下の重量部程度とすることが前述の観点から好ましい。前述の観点から言えば、分子量が250以下の二塩基酸100重量部に対し、分子量が300以上600以下の二塩基酸を80以上300以下の重量部程度とすることが更に好ましい。
【0019】
また、高密度ポリエチレンとポリプロピレンとのいずれか又はその両方の使用量は、フラックスの全体を100重量%としたときに4重量%以上12重量%以下の範囲であればよい。しかしながら、フラックス100重量部に対して、高密度ポリエチレンとポリプロピレンとのいずれか又はその両方が5以上9以下の重量部程度となることが、加熱だれの防止及びはんだペーストの粘性の調整の容易性の観点から更に好ましい。
【0020】
ここで、本実施形態で使用される高密度ポリエチレンについては、はんだペースト用フラックス中の粒子状の高密度ポリエチレンの粒径、粒径分布、又は形状が、以下のa)〜d)の条件のうち、少なくとも1つを満たすことが好ましい一態様である。
a)その高密度ポリエチレンの粒径の最長径の平均粒径が、0.001μm以上50μm以下である。
b)光学顕微鏡により倍率200倍で観察したときに、上述のはんだペースト用フラックスの1.5mm×1.1mmの無作為に選んだ視野中における粒径の最長径が60μm以下である高密度ポリエチレンの個数が、その高密度ポリエチレンの総数の90%以上である
c)光学顕微鏡により倍率100倍で観察したときに、上述のはんだペースト用フラックスの3.1mm×2.3mmの無作為に選んだ視野中における粒径の最長径が100μm以上である高密度ポリエチレンの個数が、その高密度ポリエチレンの総数の1%以下である
d)その高密度ポリエチレンが多面形である。
前述の条件を満足することにより、例えば、フラックス中の高密度ポリエチレンが微細化された電極等の上に配置される確度が高まるため、電子回路部品等の微細化への適用性がさらに高まる。なお、図1は、本実施形態のはんだペーストの一部を構成するフラックスの光学顕微鏡写真である。図1に示すように、フラックス中には、前述の範囲に含まれる複数の粒径を持つ高密度ポリエチレンが観察される。図1に示すフラックスの場合、粒ゲージ測定によれば50μmよりも大きな擦れは認められないため、高密度ポリエチレンの最長径は約50μm以下である。また、多くの高密度ポリエチレンが多面形である。なお、上記の各条件a)〜d)のうち2つ以上を同時に満たすことがより好ましく、全ての条件を同時に満たすことは、さらに好ましい。
【0021】
ところで、高密度ポリエチレンの粘度分子量が、1500以上4500以下であることは好ましい一態様である。この粘度分子量の範囲を満足すれば、加熱時の「だれ」の抑制作用がさらに向上する。
【0022】
また、高密度ポリエチレンの融点が、110℃以上130℃以下であることも、もう1つの好ましい一態様である。この融点の範囲を満足すれば、加熱時の「だれ」の抑制作用がさらに向上する。
【0023】
また、高密度ポリエチレンの酸価が1以下であることも、もう1つの好ましい一態様である。この酸価の範囲を満足すれば、高密度ポリエチレンの添加による絶縁信頼性の低下を防止することができる。
【0024】
加えて、高密度ポリエチレンのガラス転移温度が、−50℃以下であることも、もう1つの好ましい一態様である。このガラス転移温度の範囲を満足すれば、特に車載電子部品用ペーストに求められる、フラックス残渣の耐亀裂性の劣化を抑えることができる。
【0025】
次に、本実施形態で使用されるポリプロピレンについては、はんだペースト用フラックス中の粒子状のポリプロピレンの粒径、粒径分布、又は形状が、以下のa)〜d)の条件のうち、少なくとも1つを満たすことが好ましい一態様である。
a)そのポリプロピレンの粒径の最長径の平均粒径が、0.001μm以上50μm以下である。
b)光学顕微鏡により倍率200倍で観察したときに、上述のはんだペースト用フラックスの1.5mm×1.1mmの無作為に選んだ視野中における粒径の最長径が60μm以下であるポリプロピレンの個数が、そのポリプロピレンの総数の90%以上である
c)光学顕微鏡により倍率100倍で観察したときに、上述のはんだペースト用フラックスの3.1mm×2.3mmの無作為に選んだ視野中における粒径の最長径が100μm以上であるポリプロピレンの個数が、そのポリプロピレンの総数の1%以下である
d)そのポリプロピレンが多面形である。
前述の条件を満足することにより、例えば、フラックス中のポリプロピレンが微細化された電極等の上に配置される確度が高まるため、電子回路部品等の微細化への適用性がさらに高まる。なお、上記の各条件a)〜d)のうち2つ以上を同時に満たすことがより好ましく、全ての条件を同時に満たすことは、さらに好ましい。
【0026】
ここで、ポリプロピレンの粘度分子量が、5000以上20000以下であることは好ましい一態様である。この粘度分子量の範囲を満足すれば、加熱時の「だれ」の抑制作用がさらに向上する。
【0027】
また、ポリプロピレンの融点が、130℃以上160℃以下であることも、もう1つの好ましい一態様である。この融点の範囲を満足すれば、加熱時の「だれ」の抑制作用がさらに向上する。
【0028】
また、ポリプロピレンの酸価が1以下であることも、もう1つの好ましい一態様である。この酸価の範囲を満足すれば、ポリプロピレンの添加による絶縁信頼性の低下を防止することができる。
【0029】
加えて、ポリプロピレンのガラス転移温度が、0℃以下であることも、もう1つの好ましい一態様である。このガラス転移温度の範囲を満足すれば、特に車載電子部品用ペーストに求められる、フラックス残渣の耐亀裂性の劣化を抑えることができる。
【0030】
なお、上述のとおり、高密度ポリエチレン又はポリプロピレンの一方のみが含まれるはんだペーストだけではなく、その両方が含まれるはんだペースト用フラックスも好ましい一態様である。高密度ポリエチレンとポリプロピレンとの両方が含まれるはんだペーストが、上述の好適な各範囲を満足すれば、上述の各効果が奏され得る。
【0031】
ところで、上述の各はんだペーストが、100℃以上の融点を有する、高級脂肪族モノカルボン酸、多塩基酸、及びジアミンを脱水反応させることにより得られるワックス状生成物をさらに含むことは、他の好ましい一態様である。このワックス状生成物は、上述の高密度ポリエチレン又はポリプロピレンの作用を助けることができる。
【0032】
このはんだペーストを採用することにより、分子量が250以下の二塩基酸の活性が高められる。従って、良好なはんだ付け性が確保されるようになる。また、併用される分子量が150以上300以下の一塩基酸、及び分子量が300以上600以下の二塩基酸は、活性作用を助長するようになる。加えて、分子量が250以下の二塩基酸と併用される前述の一塩基酸及び二塩基酸は、低分子量の二塩基酸の金属塩をフラックスの残渣中に均一に分散させるとともに、ロジンやアクリル樹脂等の疎水性のベース樹脂によってその金属塩を包み込ませることが可能となる。ここで、低分子量の二塩基酸の金属塩は、はんだ付け時に生成される、フラックス残渣への溶解性が低い金属塩である。従って、残渣中の有機酸金属塩の水分による分解及びイオン化を大幅に抑制するだけでなく、残存有機酸のイオン化をも抑制することができる。その結果、電気的絶縁不良と腐食発生をさらに抑制し得るフラックスが得られる。加えて、そのようなフラックスを含むはんだペーストは、はんだ付け性が良好であるとともに、信頼性に富む。
【0033】
加えて、本実施形態のはんだペーストのフラックスに含まれる樹脂は、残渣の耐亀裂性を向上させる観点から、柔軟性に優れたアクリル樹脂に代表される樹脂が適用され得る。しかしながら、従来から用いられてきたロジンと、その誘導体とのいずれか又はその両方が追加的に加えることはより好ましい一態様である。なお、ロジンとその誘導体とのいずれか又はその両方が使用される場合、ロジンとその誘導体とのいずれか又はその両方の使用量は特に制限されない。しかしながら、ロジンとその誘導体とのいずれか又はその両方が、フラックス100重量部に対して10重量部以上50重量部以下となることが、はんだ付け性能および耐食性や、印刷作業性などの観点から好ましい。また、前述の観点から言えば、ロジンとその誘導体とのいずれか又はその両方が、フラックス100重量部に対して15重量部以上30重量部以下となることがさらに好ましい。
【0034】
また、上述のロジンの代表例は、通常のガムロジン、トール油ロジン、又はウッドロジンである。また、その誘導体の代表例は、熱処理した樹脂、重合ロジン、水素添加ロジン、ホルミル化ロジン、ロジンエステル、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、アクリル酸付加ロジン、又はロジン変性アルキド樹脂などである。これらのロジン及びその誘導体は、金属に活性剤を均一に塗布するためのバインダーとして使用される。
【0035】
さらに、上述のアクリル樹脂の代表例は、重合性不飽和基を有するモノマーをラジカル重合によって重合した熱可塑性アクリル樹脂である。ここで、重合性不飽和基を有するモノマーの代表例は、(メタ)アクリル酸、その各種エステル、クロトン酸、イタコン酸、(無水)マレイン酸及びそれらのエステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、塩化ビニル、酢酸ビニルである。また、代表的なラジカル重合は、過酸化物等を触媒とした用いた塊状重合法、液状重合法、懸濁重合法、乳化重合法であるが、他の公知の重合法が適用され得る。なお、優れた耐亀裂、柔軟性を得るため、このアクリル樹脂の重量平均分子量を6000以上12000以下で、かつ数平均分子量を4000以上6000以下とすることも、さらに好ましい一態様である。
【0036】
また、本実施形態において使用される溶剤の好ましい一例は、容易に活性剤や樹脂等の成分を溶解することで溶液にすることができる極性溶剤である。代表的には、アルコール系が使用され、特に、ジエチレングリコールモノエーテル類は、揮発性及び活性剤の溶解性が優れている。なお、前述の溶剤が使用される場合、その溶剤の使用量は特に制限されない。しかしながら、フラックス100重量部に対して、前述の溶剤が15重量部以上40重量部以下となることが印刷作業性やペーストの安定性の観点から好ましい。但し、複数の溶剤が併用される場合は、それらの溶剤の合計量が前述の範囲に入ることが好ましい。また、前述の観点から言えば、前述の溶剤が20重量部以上35重量部以下となることがさらに好ましい。
【0037】
なお、本実施形態のはんだペーストが製造される際に、必要に応じて溶剤が用いられてもよい。溶剤の種類は特に限定されない。しかしながら、沸点150℃以上の溶剤が採用されることは、はんだペーストの製造中に蒸発しにくい点から好ましい。具体的には、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルアセテート、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、α−テルピネオール、ベンジルアルコール、2−ヘキシルデカノール、安息香酸ブチル、アジピン酸ジエチル、フタル酸ジエチル、ドデカン、テトラデセン、ドデシルベンゼン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,5−ペンタンジオール、メチルカルビトール、ブチルカルビトールが挙げられる。好ましくは、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルアセテート等が、溶剤の例として挙げられる。
【0038】
次に、本実施形態のはんだペーストに用いられるフラックスの製造方法を説明する。
【0039】
まず、本実施形態のフラックスは、上述の各成分を公知の方法によって溶解ないし混合させることにより得られる。例えば、まず、上述の各成分が、一度に又は順次に、加熱されて溶解及び/又は混合した後、冷却される。その後、機械的な粉砕処理工程や衝撃変形破壊処理工程などによって物理的な衝撃力が与えられる。なお、この物理的な衝撃力は、前述の溶解工程の前に、高密度ポリエチレンとポリプロピレンのいずれか又はその両方に対して与えられてもよい。本実施形態のフラックスは、上述の方法を用いて各成分を混合することにより得られる。具体的には、混練装置、真空撹拌装置、ホモディスパー、スリーワンモーター、又はプラネタリーミキサー等の公知の装置が、上述の各成分を混合するための装置として適用され得る。ここで、上述の各成分の混合温度は、特に限定されない。但し、混合に用いられる溶剤の沸点よりも低い温度で加温することによって上述の各成分を溶解することは、好ましい一態様である。
【0040】
次に、本実施形態のはんだペーストの製造方法を説明する。
【0041】
まず、本実施形態のはんだペーストに用いられるはんだ粉末の組成は特に限定されない。具体的には、錫(Sn)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、アンチモン(Sb)、鉛(Pb)、インジウム(In)、ビスマス(Bi)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、金(Au)、及びゲルマニウム(Ge)から構成される群より選択される1種または2種以上を含むはんだ粉末が、その一例として挙げられる。また、公知の錫/鉛合金、錫/銀合金、錫/銀/銅合金、錫/銀/ビスマス/インジウム、錫/銅合金、錫/銅/ニッケル、錫/亜鉛合金、錫/亜鉛/ビスマス合金、錫/亜鉛/アルミニウム合金、錫/亜鉛/ビスマス/アルミニウム合金、錫/亜鉛/ビスマス/インジウム合金、錫/ビスマス合金、及び錫/インジウム合金から構成される群より選択される1種または2種以上を含むはんだ粉末も、他の1つの例である。
【0042】
また、はんだ粉末の形状は、真球状又は略真球状であることが好ましい。また、はんだ粉末の粒径は、通常のものであれば上述のフラックスと混合され得る。なお、例えば、真球のはんだ粉末が採用される場合、直径5μm以上60μm以下のはんだ粉末が採用されるとことは、微小電子部品の実装の高精度化が図られる点で好ましい。また、はんだ粉末を構成する組成の組成比率も特に限定されない。例えば、Sn63/Pb37、Sn96.5/Ag3.5、Sn96/Ag3.5/Cu0.5、Sn96.6/Ag2.9/Cu0.5、Sn96.5/Ag3.0/Cu0.5、Sn42/Bi58、Sn99.3/Cu0.7、Sn91/Zn9、Sn89/Zn8/Bi3等が、好適なはんだ粉末の一例として挙げられる。なお、前述の各数値は、各金属の重量比を示す。
【0043】
本実施形態のはんだペーストは、上述のフラックスと上述のはんだ粉末とを公知の手段で混練配合することにより製造され得る。具体的には、真空撹拌装置、混練装置、又はプラネタリーミキサー等の公知の装置が、上述の各成分を混練配合するための装置として適用され得る。ここで、混練配合が行われる際の処理温度及び条件は特に限定されない。しかしながら、外部環境からの水分の吸収、はんだ金属粒子の酸化、温度上昇によるフラックスの熱的な劣化などの観点から、5℃以上50℃以下で処理されることが好ましい。また、フラックスとはんだ粉末との重量比は特に限定されない。しかしながら、印刷作業性やペーストの安定性の観点から、フラックスが5以上20以下の重量比に対して、はんだ粉末が80以上95以下の重量比であることが好ましい。
【0044】
また、本実施形態のはんだペーストは、本実施形態の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、更に、酸化防止剤、つや消し剤、着色剤、消泡剤、分散安定剤、及びキレート剤などから構成される群から選択される1種又は複数種の材料が適宜配合され得る。
【0045】
ところで、本出願におけるポリエチレン又はポリプロピレンの粘度分子量は、ウベローデ改良型粘度計を用いた粘度法によって測定した粘度分子量Mvである。具体的な粘度分子量の測定は、次のとおりである。
【0046】
まず、測定試料にデカリンが添加され、140℃にて30分間、振とう溶解がなされる。この加熱溶解した試料溶液の135±0.2℃における流下秒数が粘度計にて測定されることにより、極限粘度([η])が得られる。その上で、ポリエチレン、ポリプロピレンのそれぞれについて、以下の数式に[η]を代入することにより、粘度分子量が計算される。
【0047】
【数1】

【0048】
【数2】

【0049】
以下に、上述の実施形態を、実施例に基づいてさらに具体的に説明する。
【0050】
[実施例1,2,及び比較例1]
本実施例1、2、及び比較例1では、高密度ポリエチレンを含有するはんだペーストが、上述の実施形態で開示された製造方法によって製造される。表1に、本実施例1、2、及び比較例1のはんだペーストの組成及びそれらの組成比を示す。また、ここで、本実施例1、2、及び比較例1のはんだペーストで用いられた高密度ポリエチレンの最長径の平均粒径は約35μmであり、それらの粘度分子量が約2000であり、それらの融点が120℃であり、それらの酸価が0であり、それらのガラス転移温度が−120℃であり、密度が970kg/mである。なお、図2は、本実施例1、2、及び比較例1に使用の高密度ポリエチレンの粒度分布を示すグラフである。
【0051】
また、実施例1乃至実施例6、及び比較例1乃至比較例3のはんだペーストが含有するアクリル樹脂Aの物性については、その重量平均分子量が約9000であり、その数平均分子量が5000であり、その酸価が0であり、そのガラス転移温度が−60℃である。また、実施例1乃至実施例6、及び比較例1乃至比較例3のはんだペーストが含有する重合ロジンAについては、その軟化点が140℃であり、その酸価は145である。また、実施例1及び比較例1のはんだ粉末については、錫が96.5重量%に対して、銀が3.0重量%であり、銅が0.5重量%である。加えて、本実施例1のはんだ粉末の粒度分布は、25μm以上38μm以下である。なお、実施例2乃至実施例6、比較例1乃至比較例3に使用されるはんだ粉末については本実施例1と同様であるため、はんだ粉末についての説明は省略され得る。
【0052】
[実施例3、4]
本実施例3及び4のはんだペーストも、実施例1と同様に製造される。表1は、本実施例3及び4のはんだペーストの組成及びその組成比も示す。なお、本実施例3のはんだペーストに用いられた高密度ポリエチレンの最長径の平均粒径は約5μmであり、本実施例4のはんだペーストに用いられた高密度ポリエチレンの最長径の平均粒径は約45μmである。また、高密度ポリエチレンの物性値は、その最長径の平均粒径以外は全て実施例1のものと同じである。従って、重複する説明は省略される。
【0053】
[実施例5]
本実施例5のはんだペーストも、実施例1と同様に製造される。表1は、本実施例5のはんだペーストの組成及びその組成比も示す。なお、本実施例5のはんだペーストで用いられた高密度ポリエチレンの粘度分子量は約4000であり、その融点が130℃であり、そのガラス転移温度が−100℃であり、密度が980kg/mである。なお、高密度ポリエチレンの物性値は、粘度分子量、融点、ガラス転移温度、及び密度以外は全て実施例1のものと同じである。従って、重複する説明は省略される。
【0054】
[実施例6]
本実施例6のはんだペーストも、実施例1と同様に製造される。表1は、本実施例6のはんだペーストの組成及びその組成比も示す。なお、本実施例6のはんだペーストは、実施例5の組成に加え、ワックス状生成物(商品名:ライトアマイドWH−255、共栄社化学製)を0.1重量%含有する。また、高密度ポリエチレンの物性値は、全て実施例5のものと同じである。従って、重複する説明は省略される。
【0055】
[比較例2、3]
本比較例2及び3のはんだペーストも、実施例1と同様に製造される。表1は、本比較例2及び3のはんだペーストの組成及びその組成比も示す。なお、本比較例2のはんだペーストに用いられた低密度ポリエチレンの最長径の平均粒径は約40μmであり、その粘度分子量が約2500であり、その融点が105℃であり、その酸価が0であり、そのガラス転移温度が−110℃である。また、本比較例3のはんだペーストに用いられた低密度ポリエチレンの最長径の平均粒径は約38μmであり、その粘度分子量が約4500であり、その融点が105℃であり、その酸価が0であり、そのガラス転移温度が−100℃である。また、比較例2の低密度ポリエチレンA、及び比較例3の低密度ポリエチレンBの密度は、いずれも920kg/mである。
【0056】
【表1】

【0057】
[実施例7,8及び比較例4乃至6]
本実施例7及び8では、ポリプロピレンAを含有するはんだペーストが、上述の実施形態で開示された製造方法によって製造される。表2は、本実施例7及び8のはんだペーストの組成及びそれらの組成比を示す。また、比較例として、比較例4乃至比較例6の組成及びそれらの組成比が表2に示されている。比較例4乃至比較例6のはんだペーストも、上述の実施形態で開示された製造方法によって製造される。ここで、本実施例7及び8のはんだペーストで用いられたポリプロピレンAの最長径の平均粒径は約30μmであり、それらの粘度分子量が約10000であり、それらの融点が145℃であり、それらの酸価が0であり、それらのガラス転移温度が約−20℃である。また、比較例4のはんだペーストには、ポリプロピレンA,Bの代わりに硬化ひまし油が混合されている。加えて、比較例5のはんだペーストには、ポリプロピレンA,Bの代わりに、その最長径の平均粒径が約33μmであり、その粘度分子量が約2700であり、その融点が110℃であり、酸価が30であり、そのガラス転移温度が約−80℃であり、密度が930kg/mである中密度ポリエチレンAが混合されている。さらに、比較例6のはんだペーストには、ポリプロピレンA,Bが含有されておらず、ヘキサメチレンビス12ヒドロキシステアリン酸アミドが0.9重量%含有されている。
【0058】
また、本実施例7乃至実施例13及び比較例4乃至比較例6のはんだペーストが含有するアクリル樹脂Bの物性については、その重量平均分子量が約9000であり、その数平均分子量が5000であり、その酸価が3であり、そのガラス転移温度が−55℃である。また、実施例7乃至実施例13のはんだペーストが含有する水添ロジンについては、その軟化点が81℃であり、その酸価は165である。また、本実施例7のはんだ粉末は、実施例1のはんだ粉末と同じである。なお、実施例8乃至実施例13及び比較例4乃至比較例6についても本実施例11と同様であるので、はんだ粉末についての説明は省略される。
【0059】
[実施例9、10]
本実施例9及び10のはんだペーストも、実施例7と同様に製造される。表2は、本実施例9及び10のはんだペーストの組成及びその組成比も示す。なお、本実施例9のはんだペーストで用いられたポリプロピレンAの最長径の平均粒径は約8μmであり、本実施例10のはんだペーストで用いられたポリプロピレンAの最長径の平均粒径は約42μmである。また、ポリプロピレンの物性値は、その最長径の平均粒径以外は全て実施例7のものと同じである。従って、重複する説明は省略される。
【0060】
[実施例11]
本実施例11のはんだペーストも、実施例7と同様に製造される。表2は、本実施例11のはんだペーストの組成及びその組成比も示す。なお、本実施例11のはんだペーストで用いられたポリプロピレンBの最長径の平均粒径は約20μmであり、その粘度分子量が約19000であり、その融点が147℃であり、その酸価が0であり、そのガラス転移温度が−25℃である。
【0061】
[実施例12]
本実施例12のはんだペーストも、実施例7と同様に製造される。表2は、本実施例12のはんだペーストの組成及びその組成比も示す。なお、本実施例12のはんだペーストは、実施例11の組成に加え、ワックス状生成物(商品名:ライトアマイドWH−255、共栄社化学製)を0.1重量%含有する。また、ポリプロピレンBの物性値は、全て実施例11のものと同じである。従って、重複する説明は省略され得る。
【0062】
[実施例13]
本実施例13のはんだペーストも、実施例7と同様に製造される。表2は、本実施例13のはんだペーストの組成及びその組成比も示す。なお、本実施例13のはんだペーストは、実施例1で使用している高密度ポリエチレンAと、実施例7で使用しているポリプロピレンAとを、0.4重量%ずつ含有している。
【0063】
【表2】

【0064】
上述の実施例1乃至実施例13のはんだペースト及び比較例1乃至比較例6のはんだペーストを分析した結果、表3に示すように、実施例1乃至実施例13のはんだペーストは、いずれも耐加熱だれ性の向上に寄与することが確認された。また、実施例1乃至実施例13のはんだペーストは、いずれも80℃における粘度が400Pa・s以上であった。加熱時のはんだペーストが高粘度であるため、連続印刷を4時間行った後のはんだペーストを用いた加熱だれ試験においても良好な結果が得られた。さらに、上述の実施例1乃至実施例13のはんだペーストは絶縁抵抗値も高い値を維持していた。なお、表3における、「加熱だれ」の単位は、mmであり、「絶縁抵抗」値の単位は、Ωである。
【0065】
【表3】

【0066】
一方、比較例1、比較例4、及び比較例6の80℃におけるはんだペーストの粘度は400Pa・s以下であり、加熱だれも上述の各実施例と比較して劣っていることが確認された。また、比較例2、比較例3、及び比較例5の80℃におけるはんだペーストの粘度は400Pa・s以上であったが、それらの絶縁性は上述の各実施例の絶縁性と比較して劣ることが確認された。
【0067】
なお、本出願におけるはんだペースト粘度の測定は、粘弾性測定装置を用いて測定され
た。具体的には、以下のとおりである。
(1)試料となるはんだペーストを測定装置の試料台と測定ジグの直径25mmのステンレス平行平板との間に挟み込む
(2)試料台と平行平板との間隙を1.0mmとする
(3)周波数5Hz、振り角0.1%の条件でひずみを加え、80℃での粘度を測定する
【0068】
上述の実施形態及び各実施例は、本発明を何ら限定するものではない。上述の実施形態及び各実施例の他の組合せを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明のはんだペーストは、電子回路部品等の種々の用途のはんだ接続に極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子量が250以下の二塩基酸と、分子量が150以上300以下の一塩基酸と、分子量が300以上600以下の二塩基酸とを有する活性剤と、高密度ポリエチレン及びポリプロピレンから構成される群から選ばれる少なくとも1種類の樹脂添加物とをフラックス中に含有し、前記フラックスの全体を100重量%としたときに前記樹脂添加物を4重量%以上12重量%以下有するとともに、80℃における粘度が400Pa・s以上である
はんだペースト。
【請求項2】
前記はんだペースト用フラックス内の粒子状の前記高密度ポリエチレンが、以下のa)〜d)の条件、すなわち、
a)前記高密度ポリエチレンの粒径の最長径の平均粒径が、0.001μm以上50μm以下である
b)光学顕微鏡により倍率200倍で観察したときに、前記はんだペースト用フラックスの1.5mm×1.1mmの無作為に選んだ視野中における粒径の最長径が60μm以下である前記高密度ポリエチレンの個数が、前記高密度ポリエチレンの総数の90%以上である
c)光学顕微鏡により倍率100倍で観察したときに、前記はんだペースト用フラックスの3.1mm×2.3mmの無作為に選んだ視野中における粒径の最長径が100μm以上である前記高密度ポリエチレンの個数が、前記高密度ポリエチレンの総数の1%以下である
d)前記高密度ポリエチレンが多面形である
のうち、少なくとも1つを満たす
請求項1に記載のはんだペースト。
【請求項3】
前記高密度ポリエチレンの粘度分子量が、1500以上4500以下である
請求項1又は請求項2に記載のはんだペースト。
【請求項4】
前記高密度ポリエチレンの融点が、110℃以上130℃以下である
請求項1又は請求項2に記載のはんだペースト。
【請求項5】
前記高密度ポリエチレンの酸価が、1以下である
請求項1又は請求項2に記載のはんだペースト。
【請求項6】
前記高密度ポリエチレンのガラス転移温度が、−50℃以下である
請求項1又は請求項2に記載のはんだペースト。
【請求項7】
前記はんだペースト用フラックス内の粒子状の前記ポリプロピレンが、以下のa)〜d)の条件、すなわち、
a)前記ポリプロピレンの粒径の最長径の平均粒径が、0.001μm以上50μm以下である
b)光学顕微鏡により倍率200倍で観察したときに、前記はんだペースト用フラックスの1.5mm×1.1mmの無作為に選んだ視野中における粒径の最長径が60μm以下である前記ポリプロピレンの個数が、前記ポリプロピレンの総数の90%以上である
c)光学顕微鏡により倍率100倍で観察したときに、前記はんだペースト用フラックスの3.1mm×2.3mmの無作為に選んだ視野中における粒径の最長径が100μm以上である前記ポリプロピレンの個数が、前記ポリプロピレンの総数の1%以下である
d)前記ポリプロピレンが多面形である
のうち、少なくとも1つを満たす
請求項1に記載のはんだペースト。
【請求項8】
前記ポリプロピレンの粘度分子量が、5000以上20000以下である
請求項1又は請求項7に記載のはんだペースト。
【請求項9】
前記ポリプロピレンの融点が、130℃以上160℃以下である
請求項1又は請求項7に記載のはんだペースト。
【請求項10】
前記ポリプロピレンの酸価が、1以下である
請求項1又は請求項7に記載のはんだペースト。
【請求項11】
前記ポリプロピレンのガラス転移温度が、0℃以下である
請求項1又は請求項7に記載のはんだペースト。
【請求項12】
高級脂肪族モノカルボン酸、多塩基酸、及びジアミンを含む系を脱水反応させることによって得られるワックス状生成物をさらに含む
請求項1、請求項2、又は請求項7のいずれかに記載のはんだペースト。
【請求項13】
前記ワックス状生成物の融点が、100℃以上である
請求項12に記載のはんだペースト。

【図2】
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【図1】
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【公開番号】特開2011−121058(P2011−121058A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278209(P2009−278209)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(000168414)荒川化学工業株式会社 (301)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【出願人】(000143215)株式会社弘輝 (7)
【出願人】(000233860)ハリマ化成株式会社 (167)
【Fターム(参考)】