はんだ付け装置及びフューム回収装置
【課題】冷却パイプ等の付着部に付着したフュームを除去する作業時間を短縮できるようにする。
【解決手段】フューム含有気体を本体部30に取り込み、本体部30の内部に設けられた冷却パイプ20の内側にファン38からの空気を流動させることで本体部30に取り込んだフューム含有気体を冷却し、該冷却によりフューム含有気体が凝縮したフュームを冷却パイプ20の外側の表面に付着させる。そして、駆動部19が、冷却パイプ20に当接して設けられるフューム除去部10を冷却パイプ20の外側の表面に沿って摺動させる。これにより、冷却パイプ20の外側の表面に付着したフュームを除去できるようになる。この結果、フュームを除去するために本体部30から冷却パイプ20を取り外す必要がなくなり、フューム除去に要する作業時間を短縮できる。
【解決手段】フューム含有気体を本体部30に取り込み、本体部30の内部に設けられた冷却パイプ20の内側にファン38からの空気を流動させることで本体部30に取り込んだフューム含有気体を冷却し、該冷却によりフューム含有気体が凝縮したフュームを冷却パイプ20の外側の表面に付着させる。そして、駆動部19が、冷却パイプ20に当接して設けられるフューム除去部10を冷却パイプ20の外側の表面に沿って摺動させる。これにより、冷却パイプ20の外側の表面に付着したフュームを除去できるようになる。この結果、フュームを除去するために本体部30から冷却パイプ20を取り外す必要がなくなり、フューム除去に要する作業時間を短縮できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被対象物を加熱してはんだ付けするはんだ処理部と、はんだ処理部で発生したフューム含有気体からフュームを抽出して回収するフューム回収部とで構成されるはんだ付け装置及びフューム回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、プリント基板に電子部品等をはんだ付けするにははんだ付け装置が用いられている。はんだ付け装置には、例えば、噴流はんだ槽でフロー法によってはんだ付けする自動はんだ付け装置や、プリント基板に載置した電子部品にソルダペーストを塗布した後に、加熱してはんだ付けするリフロー炉等が挙げられる。
【0003】
自動はんだ付け装置及びリフロー炉は、はんだ付け方法が異なるが、はんだ付け性能を向上させるために、どちらもフラックスを使用するものである。このフラックスは、松脂、活性剤、チキソ剤等の固形成分を高沸点の溶剤で溶解したものである。
【0004】
これらの溶剤は、100℃〜150℃程度で揮散してフュームを含有する気体(フューム含有気体)となる。このフューム含有気体は、冷やされると凝縮してフュームが析出し、更に冷やされると粘着性のある固形物になる。このフュームは、自動はんだ付け装置及びリフロー炉を構成する搬送部に付着して、搬送部の搬送機能を低下させる。また、プリント基板に付着して悪影響を及ぼすこともある。
【0005】
特許文献1にはリフロー炉におけるフューム除去方法が開示されている。このフューム除去方法によれば、ソルダペーストが塗布されたプリント基板をリフロー炉で加熱してはんだ付けする際に、ソルダペーストに含まれる溶剤が気化して発生するフューム含有気体中のフュームをリフロー炉内から除去するため、多管型結露手段、長穴並設型結露手段及びラビリンス型結露手段によってフュームを結露させて回収する。
【0006】
多管型結露手段は、本体部の内部に多数のパイプを有して、当該パイプの内側に外気を流動させることでフューム含有気体を冷却し、該冷却によりフューム含有気体が凝縮したフュームを当該パイプの外側の表面に付着(結露)させるものである。
【0007】
ラビリンス型結露手段とは、上下方向から複数の板材を互い違いに立設させ、これらの板材をフューム含有気体が通過する際に冷却されることを利用して板材の表面に付着(結露)させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−160322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1に記載のフューム除去方法は、リフロー炉内で発生したフューム含有気体からフュームを効率的に除去できる優れた方法であるが、多管型結露手段のパイプにフュームが大量に付着すると、パイプとフューム含有気体との熱交換を妨げて、フューム含有気体の冷却効率を低下させる。また、ラビリンス型結露手段においても長期間のうちにフューム固形物が堆積して板材との熱伝導が悪くなり、冷却効率を低下させる。
【0010】
特許文献1に記載のフューム除去方法では、ユーザが本体部から多管型結露手段を取り外して多数のパイプに付着したフュームを溶剤等で洗浄する必要があり、この洗浄作業は煩雑なものである。このため、パイプを頻繁に洗浄してパイプ表面を常に清浄な状態に保つことは困難であった。また、ラビリンス型結露手段においてもユーザが本体部からラビリンス型結露手段から板材を取り外して溶剤等で洗浄する必要があり、この洗浄作業は煩雑なものである。このため、板材を頻繁に洗浄して板材表面を常に清浄な状態に保つことは困難であった。
【0011】
そこで、本発明は、このような課題を解決するものであって、パイプや板材などからなる付着部に付着したフュームを除去する作業時間を短縮でき、パイプや板材などからなる付着部の表面を常に清浄な状態に保つことができるはんだ付け装置及びフューム回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明に係るはんだ付け装置は、被対象物を加熱してはんだ付けするはんだ処理部と、はんだ処理部で発生したフューム含有気体からフュームを抽出して回収するフューム回収部とで構成されるはんだ付け装置であって、フューム回収部は、フューム含有気体を取り込む本体部と、本体部内に設けられ、本体部に取り込まれたフューム含有気体を冷却し、該冷却によりフューム含有気体が凝縮したフュームを表面に付着させる付着部と、該付着部に当接して設けられる当接部と、該当接部を付着部の表面に沿って摺動させる駆動部とを備えることを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係るはんだ付け装置では、はんだ処理部が、被対象物を加熱してはんだ付けする。フューム回収部が、はんだ処理部で発生したフューム含有気体からフュームを抽出して回収する。これを前提にして、フューム回収部は、フューム含有気体を本体部に取り込み、本体部に取り込んだフューム含有気体を冷却し、該冷却によりフューム含有気体が凝縮したフュームを付着部の表面に付着させる。そして、駆動部が、付着部に当接して設けられる当接部を付着部の表面に沿って摺動させる。これにより、付着部の表面に付着したフュームを当接部の摺動によって除去できるようになる。
【0014】
また、本発明に係るフューム回収装置は、はんだ処理部で発生したフューム含有気体からフュームを抽出して回収するフューム回収装置であって、フューム含有気体を取り込む本体部と、本体部内に設けられ、本体部に取り込まれたフューム含有気体を冷却し、該冷却によりフューム含有気体が凝縮したフュームを表面に付着させる付着部と、該付着部に当接して設けられる当接部と、該当接部を付着部の表面に沿って摺動させる駆動部とを備えることを特徴とするものである。
【0015】
はんだ付け装置及びフューム回収装置が備える付着部は、例えば、内側に冷却媒体を流動させる複数のパイプからなるもの(多管型結露手段)であったり、上下方向から互い違いに立設させた複数の板材からなるもの(ラビリンス型結露手段)である。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るはんだ付け装置及びフューム回収装置によれば、付着部の表面に付着したフュームを当接部の摺動によって除去できるので、このフュームを除去するために本体部から付着部を取り外す必要がなくなり、フューム除去に要する作業時間を短縮できる。
【0017】
また、駆動部を操作することで簡単に、かつ、頻繁にフューム除去できるので、付着部の表面を常に清浄な状態に保つことができる。これにより、付着部の表面に付着したフュームに起因する熱伝導の低下を防止でき、フューム含有気体の冷却効率を向上できる。この結果、従来に比べて、フューム含有気体からフュームをより多く回収することができ、はんだ付けされる被対象物のはんだ不良を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施の形態に係る自動はんだ付け装置1の構成例を示す概略図である。
【図2】フューム回収装置100の構成例を示す斜視図である。
【図3】蓋部を外したときのフューム回収装置100の構成例を示す斜視図である。
【図4】フューム回収装置100の構成例を示す断面斜視図である。
【図5】フューム除去部10の構成例を示す斜視図である。
【図6】フューム除去部10の組立例を示す分解斜視図である。
【図7】フューム回収装置100の組立例(その1)を示す分解斜視図である。
【図8】フューム回収装置100の組立例(その2)を示す分解斜視図である。
【図9】フューム回収装置100の組立例(その3)を示す分解斜視図である。
【図10】フューム回収装置100の動作例(その1)を示す斜視図である。
【図11】フューム回収装置100の動作例(その2)を示す斜視図である。
【図12】フューム回収装置100の動作例(その3)を示す斜視図である。
【図13】第2の実施の形態に係るフューム回収装置200の構成例を示す斜視図である。
【図14】フューム回収装置200の制御系の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明に係るはんだ付け装置の一例である自動はんだ付け装置1及びフューム回収装置100,200について説明する。
<第1の実施の形態>
[自動はんだ付け装置1の構成例]
まずは、自動はんだ付け装置1の構成例について説明する。図1に示すように、自動はんだ付け装置1は、本体ケース2、搬送部3、プリヒータ4、噴流はんだ槽5、冷却部6、チャンバー7、ブロワー8、循環パイプ9a,9b,9c及びフューム回収部(以下、「フューム回収装置100」という)で構成される。
【0020】
本体ケース2は、搬送部3、プリヒータ4、噴流はんだ槽5、冷却部6、チャンバー7、ブロワー8、循環パイプ9a,9b,9c及びフューム回収装置100を覆い、外部からの埃等のパーティクルに図示しない被対象物の一例であるプリント基板が汚染されないように保護するものである。
【0021】
搬送部3は、プリント基板を搬送するものである。搬送部3は、プリヒータ4、噴流はんだ槽5及び冷却部6の順番でプリント基板を搬送して、自動はんだ付け装置1外に搬出する。
【0022】
プリヒータ4は、プリント基板が自動はんだ付け装置1に投入される前の工程であるフラクサ工程でフラックスが塗布された当該プリント基板を乾燥させ、かつ、後述する噴流はんだ槽5によるはんだ付けを行う際、プリント基板にはんだを付着させる度合いであるはんだの付着力を向上させるために当該プリント基板を加熱する。
【0023】
プリヒータ4は、第1乃至第4のプリヒータを備え、第1乃至第4のプリヒータがプリント基板の搬送方向に対して並んで設けられており、プリヒータのそれぞれが温度調節可能になっている。
【0024】
プリヒータ4には噴流はんだ槽5が隣接して設けられる。噴流はんだ槽5は、プリヒータ4で乾燥されたプリント基板にはんだを噴きつけて、プリント基板の所定の箇所にはんだを形成させる。噴流はんだ槽5では、フューム含有気体が発生する温度以上でプリント基板が加熱される。
【0025】
噴流はんだ槽5には冷却部6が隣接して設けられる。冷却部6は、当該冷却部6を構成する図示しないファンによる送風をプリント基板に送り、プリヒータ4及び噴流はんだ槽5にて加熱されたプリント基板を冷却する。プリント基板を冷却部6で冷却することで、プリント基板に付着させたはんだに生じるクラック等を防ぐことができる。
【0026】
また、噴流はんだ槽5の上部にはチャンバー7が設けられる。チャンバー7は、噴流はんだ槽5で加熱されたプリント基板から発生するフューム含有気体を取り込む。
【0027】
チャンバー7にはブロワー8及び循環パイプ,9b,9cを介してフューム回収装置100が接続される。ブロワー8は、チャンバー7内のフューム含有気体を循環パイプ9a,9bを介してフューム回収装置100に送るものである。フューム回収装置100に送られたフューム含有気体は、フューム回収装置100によってフュームが回収されて、ブロワー8によって循環パイプ9cを介してチャンバー7に送られ、再び、噴流はんだ槽5に戻される。
【0028】
なお、ブロワー8は、チャンバー7とフューム回収装置100間の循環路を形成するためのものであるから、本実施の形態では、ブロワー8をフューム回収装置100の取込口32側にある循環パイプ9a、9b間に配置した場合を示しているが、フューム回収装置100の排出口33側にある循環パイプ9cに配置するようにしても良い。
【0029】
フューム回収装置100は、噴流はんだ槽5で発生したフューム含有気体を、チャンバー7、循環パイプ9a,9b及びブロワー8を介して取り込む。そして、フューム回収装置100は、内部に設けられた複数の冷却パイプの内側に冷却媒体(例えば、空気や水等)を流動させることで、取り込んだフューム含有気体を冷却し、該冷却によりフューム含有気体が凝縮したフュームを冷却パイプの外側の表面に付着させる。
【0030】
フューム回収装置100は、ハンドル16を備え、当該ハンドル16を回転させると、冷却パイプに当接して設けられるスキージが冷却パイプの外側の表面に沿って摺動する。これにより、冷却パイプの外側の表面に付着したフュームを除去できるようになる。
【0031】
このように、本実施の形態に係る自動はんだ付け装置1によれば、冷却パイプの外側の表面に付着したフュームをスキージの摺動によって除去できるので、このフュームを除去するためにフューム回収装置100が備える本体部から冷却パイプ等を取り外す必要がなくなり、フューム除去に要する作業時間を短縮できる。
【0032】
また、ハンドル16を回転操作することで簡単に、かつ、頻繁にフューム除去できるので、冷却パイプの外側の表面を常に清浄な状態に保つことができる。これにより、冷却パイプの外側の表面に付着したフュームに起因する熱伝導の低下を防止でき、フューム含有気体の冷却効率を向上できる。この結果、従来に比べて、フューム含有気体からフュームをより多く回収することができ、はんだ付けされる被対象物のはんだ不良を防止できる。
【0033】
なお、本実施の形態では、チャンバー7によって取り込まれたフューム含有気体が、チャンバー7、循環パイプ9a、ブロワー8、循環パイプ9b、フューム回収装置100及び循環パイプ9cの順番で流動する説明をしたが、これに限定されず、チャンバー7、循環パイプ9c、フューム回収装置100、循環パイプ9b、ブロワー8及び循環パイプ9aの順番で流動する構成(つまり、図1の矢印の向きに対して逆向きの方向に流動する構成)であっても良い。これにより、チャンバー7内のフューム含有気体の流れの方向が、搬送部3が搬送するプリント基板の搬送方向と逆向きになるので、フューム回収装置100でフュームが除去された気体が搬送部3の基板搬送につられて排出されることを低減できる。
【0034】
また、ブロワー8は、チャンバー7とフューム回収装置100間の循環路を形成するためのものであるから、当該ブロワー8の配置は、フューム回収装置100の取込口32側、あるいは、排出口33側に限定されるものではない。
【0035】
また、本実施の形態では、フューム回収装置100を自動はんだ付け装置に搭載したものについて説明したが、当該フューム回収装置100はリフロー炉にも適用可能である。
【0036】
[フューム回収装置100の構成例]
次に、フューム回収装置100の構成例について説明する。本例においては、複数のパイプを用いた多管型結露手段において、本発明を実施した場合について説明する。図2乃至4に示すように、フューム回収装置100は、本体部30、付着部の一例である冷却パイプ20、当接部の一例であるフューム除去部10及び駆動部19で構成される。
【0037】
本体部30は、流動口31、取込口32及び排出口33を有する。流動口31は、本体部30に設けられたファン38によって吸い込まれた外気を冷却パイプ20を介してフューム回収装置100外に排出するものである。この外気は本例では空気であり、冷却媒体の一例である。取込口32又は排出口33には図1で示したブロワー8が設けられ、ブロワー8の動作により自動はんだ付け装置1のチャンバー7内に発生したフューム含有気体が取込口32に取り込まれて排出口33から排出される。
【0038】
本体部30は上部の周囲にフランジ30aを有し、フランジ30aにはシール部材36を介して蓋部35が設けられる。フランジ30a、シール部材36及び蓋部35をクランプ37で挟持することで、本体部30と蓋部35とを固定する。本体部30から蓋部35を取り外すときは、クランプ37の挟持を解除させる。
【0039】
本体部30は底部の周囲にフランジ30bを有し、フランジ30bにはシール部材36を介してドレンパン34が設けられる。ドレンパン34は、本体部30に取り込まれたフューム含有気体から抽出されたフュームを回収するものである。例えば、ドレンパン34は、冷却パイプ20の外側の表面に付着したフュームであって、冷却パイプ20の外側の表面から自重で落下するフュームを回収する。また、ドレンパン34は、冷却パイプ20の外側の表面に付着したフュームであって、フューム除去部10によって強制的に除去されるフュームを回収する。
【0040】
フランジ30b、シール部材36及びドレンパン34を図示しないクランプで挟持することで、本体部30とドレンパン34とを固定する。本体部30からドレンパン34を取り外すときは、クランプの挟持を解除させる。
【0041】
本体部30内には複数の冷却パイプ20が、例えば、千鳥にそれぞれ設けられる。ファン38が空気を吸い込むことにより、該空気が冷却パイプ20の内側を流動する。冷却パイプ20は、例えばステンレス等の金属材料で構成されていて、当該冷却パイプ20の内側に空気が流動すると、内側だけでなく外側も冷却される。本体部30にフューム含有気体が取り込まれたときには、冷却パイプ20が冷却されると、当該冷却パイプ20の外側の表面に接触しているフューム含有気体が冷却されて、フューム含有気体が凝縮したものであるフュームが冷却パイプ20の外側の表面に付着する。
【0042】
冷却パイプ20にはフューム除去部10が当接して設けられる。例えば、図3及び4に示すように、フューム除去部10は、冷却パイプ20に貫通されて当該冷却パイプ20の長手方向に対して垂直な方向に立設する。
【0043】
フューム除去部10には駆動部19が設けられる。駆動部19は、スクリュシャフト15及びハンドル16を備える。スクリュシャフト15は、シャフトにネジが切られたものであり、フューム除去部10をボルト14を介して貫通する。スクリュシャフト15は、冷却パイプ20に対して略平行に設けられる。
【0044】
スクリュシャフト15の一端にはハンドル16が設けられる。ハンドル16は、スクリュシャフト15を回転させる。ユーザによってハンドル16が回転されると、スクリュシャフト15が回転して、該回転と共に、フューム除去部10がスクリュシャフト15に沿って摺動する。すると、フューム除去部10は、冷却パイプ20の外側の表面を摺動する。これにより、冷却パイプ20の外側の表面に付着したフュームを除去できるようになる。
【0045】
[フューム除去部10の構成例]
次に、フューム除去部10の構成例について説明する。図5に示すように、フューム除去部10は、プレート11a,11b,11c,11d、スキージ12b,12c,12d、プレート固定部13a,13b及びボルト14を備える。
【0046】
プレート11a,11b,11c,11dは、パイプの外側の形状に対応した弧形状のパイプ貫通溝21を有する。パイプ貫通溝21と冷却パイプ20の外側の形状は略一致している。
【0047】
プレート11b,11c,11dにはスキージ12b,12c,12dがそれぞれ設けられる。スキージ12b,12c,12dは、例えば熱可塑性の耐熱高分子樹脂であるピーク材や、ステンレス等で構成され、プレート11b,11c,11dのパイプ貫通溝21の形状に沿った弧形状で形成されている。スキージ12b,12c,12dは、冷却パイプ20にそれぞれ当接する。
【0048】
なお、スキージ12b,12c,12dは、本実施の形態では、冷却パイプ20に対してフューム含有気体の流路の上流側(取込口32がある側)に設けてあるが、これに限定されず、冷却パイプを包囲するように、フューム含有気体の流路の上流側及び下流側に設けても良い。また、スキージ12b,12c,12dは、弧形状ではなく円形状で形成されていても良いし、ステンレスなどで構成されたブラシ形状のものであっても良い。
【0049】
プレート固定部13a,13bは、プレート11a,11b,11c,11dの上部及び下部に設けられ、プレート11a,11b,11c,11dを所定の位置に固定する。
【0050】
ボルト14は、プレート11cに設けられる。ボルト14とプレート11cとは、例えば溶接で確実に固定されている。ボルト14は、ネジが切られていて、スクリュシャフト15に係合する。
【0051】
スクリュシャフト15の一端にはハンドル固定部17を介してハンドル16が設けられる。ハンドル固定部17は、図2及び3で説明した本体部30に固定され、本体部30の内部に収容されたスクリュシャフト15と、本体部30の外部にあるハンドル16とを接続する。
【0052】
スクリュシャフト15の他端にはスクリュシャフト支持部18が設けられる。スクリュシャフト支持部18は、ネジが切られていないシャフト穴18aが穿設されていて、スクリュシャフト15が空回りするように回転可能に支持するものである。スクリュシャフト支持部18は、後述する図8に示すように、本体部30の内部に固定される。
【0053】
ハンドル16を回転させると、スクリュシャフト15も回転する。すると、フューム除去部10は、当該フューム除去部10が有する図6で後述するパイプ貫通溝21に冷却パイプ20が当接するために、ハンドル16の回転方向の動きが規制され、スクリュシャフト15に沿って移動する。例えば、ハンドル16を時計回りに回転させると、フューム除去部10が奥側(スクリュシャフト支持部18がある側)から手前側(ハンドル固定部17がある側)に向かって移動し、ハンドル16を反時計回りに回転させると、フューム除去部10が手前側から奥側に移動する。
【0054】
スクリュシャフト15が図2乃至4で示した冷却パイプ20に対して略平行に設けられているので、フューム除去部10は、スクリュシャフト15に沿って移動すると共に、冷却パイプ20に沿って移動する。つまり、フューム除去部10が有するスキージ12b,12c,12dが冷却パイプ20に当接しながら移動(摺動)する。
【0055】
[フューム除去部10の組立方法]
次に、フューム除去部10の組立方法の一例について説明する。図6に示すように、プレート11b,11c,11dとスキージ12b,12c,12dとは、ネジ等で固定され、プレート11cとボルト14とは、溶接等で固定されていることを前提とする。
【0056】
まず、プレート11a,11b,11c,11dの上部をプレート固定部13aの溝に嵌め込み、プレート11a,11b,11c,11dの下部をプレート固定部13bの溝に嵌め込む。そして、プレート11a,11b,11c,11dとプレート固定部13a,13bとをネジ等によって固定することで、フューム除去部10が完成する。
【0057】
[フューム回収装置100の組立方法]
次に、フューム回収装置100の組立方法の一例について説明する。図7に示すように、図6で説明したフューム除去部10のプレート11a,11b,11c,11dが有するパイプ貫通溝21に複数の冷却パイプ20を貫通させる。
【0058】
図8に示すように、ドレンパン34、クランプ37及びファン38等が取り付けられた本体部30に、図7で説明した冷却パイプ20に貫通されたフューム除去部10を収容する。図8では、簡略化のために、複数の冷却パイプ20と複数の流動口31との位置がそれぞれ一致するように下方に移動させて、フューム除去部10及び冷却パイプ20を本体部30に収容しているが、実際には、冷却パイプ20の一部とスクリュシャフト支持部18とがぶつからないように、フューム除去部10及び冷却パイプ20を本体部30に収容している。即ち、冷却パイプ20と流動口31との位置がそれぞれ少しずれるように下方に移動させて、フューム除去部10及び冷却パイプ20を本体部30に収容してから、冷却パイプ20と流動口31との位置が一致するようにフューム除去部10及び冷却パイプ20をスライド移動させている。
【0059】
フューム除去部10及び冷却パイプ20を本体部30に収容した後、本体部30の上部に蓋部35を被せて、本体部30及び蓋部35をクランプ37で挟持して固定する。
【0060】
図9に示すように、本体部30に穿設されたシャフト孔39にスクリュシャフト15を当該スクリュシャフト15の他端15aから挿入し、他端15aがフューム除去部10のボルト14に到達したら、ネジを締め続ける。すると、他端15aはスクリュシャフト支持部18に穿設されたシャフト穴18aに挿入する。
【0061】
その後、ハンドル16が接続されたハンドル固定部17をスクリュシャフト15の一端15bに係合させると共に、本体部30にネジ等で固定する。このようにしてフューム回収装置100が完成する。
【0062】
なお、本実施の形態で説明したフューム除去部10及びフューム回収装置100の組立方法は、一例であって、これに限定されるものではない。例えば、予め本体部30と冷却パイプ20とが溶接によって接合されていて、当該本体部30の冷却パイプ20にプレート11a,11b,11c,11dやプレート固定部13a,13b、スキージ12b,12c,12dを組み付ける方法であっても構わない。
【0063】
[フューム回収装置100の動作例]
次に、フューム回収装置100の動作例について説明する。フューム回収装置100の動作を見やすくするために、図10乃至12では蓋部35を省略する。図10に示すように、フューム除去部10は、本体部30の奥側(ファン38側)に待機している。フューム回収装置100は、ファン38を駆動することで外気を吸い込んで冷却パイプ20を冷却し、冷却パイプ20内の外気を流動口31からフューム回収装置100外に排出する。
【0064】
そして、取込口32からフューム含有気体を本体部30に取り込む。すると、本体部30に取り込んだフューム含有気体は、冷却パイプ20によって冷却されて凝縮してフュームが析出され、排出口33から排出される。このフュームは、冷却パイプ20の表面に付着する。
【0065】
このように、フューム含有気体からフュームを析出し続けると、冷却パイプ20の表面にフュームが溜まっていく。冷却パイプ20の表面にフュームが溜まると、冷却パイプ20とフューム含有気体との熱交換が妨げられて、フューム含有気体の冷却効率を低下させる。このため、冷却パイプ20にある程度のフュームが溜まったら、それを除去する必要がある。
【0066】
フュームを回収するために、まずは、ハンドル16を時計回りに回す。すると、ハンドル16に接続されたスクリュシャフト15が時計回りに回転し、スクリュシャフト15に係合しているフューム除去部10が本体部30の奥側から手前側(ハンドル16側)に移動する。
【0067】
図11に示すように、フューム除去部10は、冷却パイプ20の長手方向に沿って摺動する。すると、フューム除去部10が有するスキージが冷却パイプ20の外側の表面に付着しているフュームを掻き取る。
【0068】
図12に示すように、更に、ハンドル16を時計回りに回すと、フューム除去部10が
ハンドル16側に移動すると共に、冷却パイプ20の長手方向に沿って摺動する。これにより、冷却パイプ20の外側の表面に付着したフュームを除去できるようになる。
【0069】
このように、フューム回収装置100によれば、フューム含有気体を本体部30に取り込み、本体部30の内部に設けられた冷却パイプ20の内側にファン38からの空気を流動させることで本体部30に取り込んだフューム含有気体を冷却し、該冷却によりフューム含有気体が凝縮したフュームを冷却パイプ20の外側の表面に付着させる。そして、駆動部19が、冷却パイプ20に当接して設けられるフューム除去部10を冷却パイプ20の外側の表面に沿って摺動させる。
【0070】
これにより、冷却パイプ20の外側の表面に付着したフュームを除去できるようになる。この結果、フュームを除去するために本体部30から冷却パイプ20を取り外す必要がなくなり、フューム除去に要する作業時間を短縮できる。
【0071】
また、駆動部19を操作する(ハンドル16を回す)ことで簡単に、かつ、頻繁にフューム除去できるので、冷却パイプ20の外側の表面を常に清浄な状態に保つことができる。これにより、冷却パイプ20の外側の表面に付着したフュームに起因する熱伝導の低下を防止でき、フューム含有気体の冷却効率を向上できる。この結果、従来に比べて、フューム含有気体からフュームをより多く回収することができ、はんだ付けされる被対象物のはんだ不良を防止できる。
【0072】
なお、本実施の形態では、スクリュシャフト15及びハンドル16によりフューム除去部10を冷却パイプ20に摺動させたが、駆動部19はこれに限定されず、スクリュシャフト15及びハンドル16の代わりに、フューム除去部10を直接移動させるスライド機構であっても良い。
【0073】
また、本実施の形態では、スキージ12b,12c,12dは、プレート11b,11c,11dの片面のみに設けられているが、両面に設けても構わない。これにより、フューム除去部10を図10に示した位置からハンドル16を時計回りに回して図12に示した位置に移動させて冷却パイプ20からフュームを除去できるだけでなく、フューム除去部10を図12に示した位置からハンドル16を反時計回りに回して図10に示した位置に移動させて冷却パイプ20からフュームを除去できるようになる。
【0074】
<第2の実施の形態>
本実施の形態では、第1の実施の形態で説明したフューム回収装置100のハンドル16の代わりにモータ50を設けたフューム回収装置200について説明する。前述の第1の実施の形態と同じ名称及び符号のものは同じ機能を有するので、その説明を省略する。
【0075】
[フューム回収装置200の構成例]
最初に、フューム回収装置200の構成例について説明する。図13に示すように、フューム回収装置200は、前述の図2で示したフューム回収装置100のハンドル16の代わりに回転部の一例であるモータ50を設けたものである。ハンドル16は、ユーザが手動で回転するものであったが、モータ50は、制御部80に接続されて自動で回転するものである。
【0076】
次に、フューム回収装置200の制御系の構成例について説明する。図14に示すように、フューム回収装置200は、モータ50、フューム検知センサ60、操作部70及び制御部80を備える。
【0077】
制御部80には第1の実施の形態で説明した自動はんだ付け装置1が接続可能である。制御部80は、図示しない記憶部から制御プログラムを読み出して、自動はんだ付け装置1を制御する。例えば、制御部80は、自動はんだ付け装置1の噴流はんだ槽から噴流される溶融はんだの噴流量やプリヒータの温度を制御する。
【0078】
制御部80には操作部70が接続される。操作部70は、ユーザによって操作されるものであり、操作部70が操作されると、例えば、モータ50を駆動させるためのモータ駆動信号D1が制御部80から出力される。
【0079】
制御部80にはモータ50が接続される。モータ50は、制御部80によって出力されたモータ駆動信号D1を受信してモータ50を駆動させる。例えば、冷却パイプ20の表面に付着したフュームを除去したいときに、ユーザが操作部70を操作して、制御部80からモータ駆動信号D1を出力させる。すると、モータ50がモータ駆動信号D1によって駆動して、本体部30に収容されているスクリュシャフト15を回転させ、スクリュシャフト15に係合したフューム除去部10を冷却パイプ20の長手方向に摺動させる。これにより、フューム回収装置100のようにユーザがハンドル16を回転しなくても、操作部70による操作でモータ50を回転させることで、冷却パイプ20の外側の表面に付着したフュームを除去することができる。
【0080】
また、制御部80にはフューム検知センサ60が接続される。フューム検知センサ60は、冷却パイプ20の外側の表面に付着したフュームを検知すると、検知信号D2を生成する。
【0081】
例えば、フューム検知センサ60は、冷却パイプから離間して設けられた光学式センサであり、冷却パイプ20に光を照射し、反射光の受光感度によりフュームを検知する。フューム検知センサ60は、受光感度が良好であると冷却パイプ20は清浄であると判断して、冷却パイプ20の表面状態を監視し続ける。また、フューム検知センサ60は、受光感度が劣化すると冷却パイプ20にフュームが大量に付着していると判断して、検知信号D2を生成する。なお、フューム検知センサ60は、光学式センサに限定されるものではない。
【0082】
制御部80は、フューム検知センサ60によって生成された検知信号D2に基づいてモータ50を駆動させて、冷却パイプ20にフューム除去部10を摺動させる。これにより、ユーザが蓋部35を取り外して冷却パイプ20に付着したフュームを確認して操作部70を操作しなくても、冷却パイプ20の外側の表面に大量にフュームが付着した場合に、その付着したフュームを除去することができる。
【0083】
更に、制御部80は、タイマ81を有する。ユーザが操作部70で所定の時間を入力すると、制御部80は、操作部で入力された時間に基づいて所定の時間を設定し、該設定した時間になるとタイマ81が当該制御部80にモータ50を駆動させる。これにより、ユーザが蓋部35を取り外して冷却パイプ20に付着したフュームを確認しなくても、冷却パイプ20の外側の表面に付着したフュームを所定時間毎に除去することができる。
【0084】
このように、本実施の形態に係るフューム回収装置200によれば、ハンドル16の代わりにモータ50を設けることにより、ユーザがハンドル16を回転して冷却パイプ20に付着したフュームを除去する作業を削減できる。また、フューム検知センサ60を設けたり、タイマ81を設けたりすることで、ユーザが蓋部35を取り外して冷却パイプ20に付着したフュームを確認する作業を削減できる。
【0085】
なお、第1及び第2の実施の形態では、複数のパイプからなる多管型結露手段を用いたフューム回収装置について説明したが、本発明は、上下方向から複数の板材を互い違いに立設させたラビリンス型結露手段を用いたフューム回収装置についても適用可能である。この場合、スキージ形状を、各板材の上下の配置や板厚に応じた形状にすることにより適用できるものである。
【符号の説明】
【0086】
1・・・自動はんだ付け装置、10・・・フューム除去部(当接部)、11a,11b,11c,11d・・・プレート、12b,12c,12d・・・スキージ、13a,13b・・・プレート固定部、14・・・ボルト、15・・・スクリュシャフト、16・・・ハンドル(回転部)、17・・・ハンドル固定部、18・・・スクリュシャフト支持部、18a・・・シャフト穴、19・・・駆動部、20・・・冷却パイプ(付着部)、21・・・パイプ貫通溝、30・・・本体部、30a,30b・・・フランジ、31・・・流動口、32・・・取込口、33・・・排出口、34・・・ドレンパン、35・・・蓋部、36・・・シール部材、37・・・クランプ、38・・・ファン、39・・・シャフト孔、50・・・モータ(回転部)、60・・・フューム検知センサ、70・・・操作部、80・・・制御部、81・・・タイマ、100,200・・・フューム回収装置(フューム回収部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、被対象物を加熱してはんだ付けするはんだ処理部と、はんだ処理部で発生したフューム含有気体からフュームを抽出して回収するフューム回収部とで構成されるはんだ付け装置及びフューム回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、プリント基板に電子部品等をはんだ付けするにははんだ付け装置が用いられている。はんだ付け装置には、例えば、噴流はんだ槽でフロー法によってはんだ付けする自動はんだ付け装置や、プリント基板に載置した電子部品にソルダペーストを塗布した後に、加熱してはんだ付けするリフロー炉等が挙げられる。
【0003】
自動はんだ付け装置及びリフロー炉は、はんだ付け方法が異なるが、はんだ付け性能を向上させるために、どちらもフラックスを使用するものである。このフラックスは、松脂、活性剤、チキソ剤等の固形成分を高沸点の溶剤で溶解したものである。
【0004】
これらの溶剤は、100℃〜150℃程度で揮散してフュームを含有する気体(フューム含有気体)となる。このフューム含有気体は、冷やされると凝縮してフュームが析出し、更に冷やされると粘着性のある固形物になる。このフュームは、自動はんだ付け装置及びリフロー炉を構成する搬送部に付着して、搬送部の搬送機能を低下させる。また、プリント基板に付着して悪影響を及ぼすこともある。
【0005】
特許文献1にはリフロー炉におけるフューム除去方法が開示されている。このフューム除去方法によれば、ソルダペーストが塗布されたプリント基板をリフロー炉で加熱してはんだ付けする際に、ソルダペーストに含まれる溶剤が気化して発生するフューム含有気体中のフュームをリフロー炉内から除去するため、多管型結露手段、長穴並設型結露手段及びラビリンス型結露手段によってフュームを結露させて回収する。
【0006】
多管型結露手段は、本体部の内部に多数のパイプを有して、当該パイプの内側に外気を流動させることでフューム含有気体を冷却し、該冷却によりフューム含有気体が凝縮したフュームを当該パイプの外側の表面に付着(結露)させるものである。
【0007】
ラビリンス型結露手段とは、上下方向から複数の板材を互い違いに立設させ、これらの板材をフューム含有気体が通過する際に冷却されることを利用して板材の表面に付着(結露)させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−160322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1に記載のフューム除去方法は、リフロー炉内で発生したフューム含有気体からフュームを効率的に除去できる優れた方法であるが、多管型結露手段のパイプにフュームが大量に付着すると、パイプとフューム含有気体との熱交換を妨げて、フューム含有気体の冷却効率を低下させる。また、ラビリンス型結露手段においても長期間のうちにフューム固形物が堆積して板材との熱伝導が悪くなり、冷却効率を低下させる。
【0010】
特許文献1に記載のフューム除去方法では、ユーザが本体部から多管型結露手段を取り外して多数のパイプに付着したフュームを溶剤等で洗浄する必要があり、この洗浄作業は煩雑なものである。このため、パイプを頻繁に洗浄してパイプ表面を常に清浄な状態に保つことは困難であった。また、ラビリンス型結露手段においてもユーザが本体部からラビリンス型結露手段から板材を取り外して溶剤等で洗浄する必要があり、この洗浄作業は煩雑なものである。このため、板材を頻繁に洗浄して板材表面を常に清浄な状態に保つことは困難であった。
【0011】
そこで、本発明は、このような課題を解決するものであって、パイプや板材などからなる付着部に付着したフュームを除去する作業時間を短縮でき、パイプや板材などからなる付着部の表面を常に清浄な状態に保つことができるはんだ付け装置及びフューム回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明に係るはんだ付け装置は、被対象物を加熱してはんだ付けするはんだ処理部と、はんだ処理部で発生したフューム含有気体からフュームを抽出して回収するフューム回収部とで構成されるはんだ付け装置であって、フューム回収部は、フューム含有気体を取り込む本体部と、本体部内に設けられ、本体部に取り込まれたフューム含有気体を冷却し、該冷却によりフューム含有気体が凝縮したフュームを表面に付着させる付着部と、該付着部に当接して設けられる当接部と、該当接部を付着部の表面に沿って摺動させる駆動部とを備えることを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係るはんだ付け装置では、はんだ処理部が、被対象物を加熱してはんだ付けする。フューム回収部が、はんだ処理部で発生したフューム含有気体からフュームを抽出して回収する。これを前提にして、フューム回収部は、フューム含有気体を本体部に取り込み、本体部に取り込んだフューム含有気体を冷却し、該冷却によりフューム含有気体が凝縮したフュームを付着部の表面に付着させる。そして、駆動部が、付着部に当接して設けられる当接部を付着部の表面に沿って摺動させる。これにより、付着部の表面に付着したフュームを当接部の摺動によって除去できるようになる。
【0014】
また、本発明に係るフューム回収装置は、はんだ処理部で発生したフューム含有気体からフュームを抽出して回収するフューム回収装置であって、フューム含有気体を取り込む本体部と、本体部内に設けられ、本体部に取り込まれたフューム含有気体を冷却し、該冷却によりフューム含有気体が凝縮したフュームを表面に付着させる付着部と、該付着部に当接して設けられる当接部と、該当接部を付着部の表面に沿って摺動させる駆動部とを備えることを特徴とするものである。
【0015】
はんだ付け装置及びフューム回収装置が備える付着部は、例えば、内側に冷却媒体を流動させる複数のパイプからなるもの(多管型結露手段)であったり、上下方向から互い違いに立設させた複数の板材からなるもの(ラビリンス型結露手段)である。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るはんだ付け装置及びフューム回収装置によれば、付着部の表面に付着したフュームを当接部の摺動によって除去できるので、このフュームを除去するために本体部から付着部を取り外す必要がなくなり、フューム除去に要する作業時間を短縮できる。
【0017】
また、駆動部を操作することで簡単に、かつ、頻繁にフューム除去できるので、付着部の表面を常に清浄な状態に保つことができる。これにより、付着部の表面に付着したフュームに起因する熱伝導の低下を防止でき、フューム含有気体の冷却効率を向上できる。この結果、従来に比べて、フューム含有気体からフュームをより多く回収することができ、はんだ付けされる被対象物のはんだ不良を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施の形態に係る自動はんだ付け装置1の構成例を示す概略図である。
【図2】フューム回収装置100の構成例を示す斜視図である。
【図3】蓋部を外したときのフューム回収装置100の構成例を示す斜視図である。
【図4】フューム回収装置100の構成例を示す断面斜視図である。
【図5】フューム除去部10の構成例を示す斜視図である。
【図6】フューム除去部10の組立例を示す分解斜視図である。
【図7】フューム回収装置100の組立例(その1)を示す分解斜視図である。
【図8】フューム回収装置100の組立例(その2)を示す分解斜視図である。
【図9】フューム回収装置100の組立例(その3)を示す分解斜視図である。
【図10】フューム回収装置100の動作例(その1)を示す斜視図である。
【図11】フューム回収装置100の動作例(その2)を示す斜視図である。
【図12】フューム回収装置100の動作例(その3)を示す斜視図である。
【図13】第2の実施の形態に係るフューム回収装置200の構成例を示す斜視図である。
【図14】フューム回収装置200の制御系の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明に係るはんだ付け装置の一例である自動はんだ付け装置1及びフューム回収装置100,200について説明する。
<第1の実施の形態>
[自動はんだ付け装置1の構成例]
まずは、自動はんだ付け装置1の構成例について説明する。図1に示すように、自動はんだ付け装置1は、本体ケース2、搬送部3、プリヒータ4、噴流はんだ槽5、冷却部6、チャンバー7、ブロワー8、循環パイプ9a,9b,9c及びフューム回収部(以下、「フューム回収装置100」という)で構成される。
【0020】
本体ケース2は、搬送部3、プリヒータ4、噴流はんだ槽5、冷却部6、チャンバー7、ブロワー8、循環パイプ9a,9b,9c及びフューム回収装置100を覆い、外部からの埃等のパーティクルに図示しない被対象物の一例であるプリント基板が汚染されないように保護するものである。
【0021】
搬送部3は、プリント基板を搬送するものである。搬送部3は、プリヒータ4、噴流はんだ槽5及び冷却部6の順番でプリント基板を搬送して、自動はんだ付け装置1外に搬出する。
【0022】
プリヒータ4は、プリント基板が自動はんだ付け装置1に投入される前の工程であるフラクサ工程でフラックスが塗布された当該プリント基板を乾燥させ、かつ、後述する噴流はんだ槽5によるはんだ付けを行う際、プリント基板にはんだを付着させる度合いであるはんだの付着力を向上させるために当該プリント基板を加熱する。
【0023】
プリヒータ4は、第1乃至第4のプリヒータを備え、第1乃至第4のプリヒータがプリント基板の搬送方向に対して並んで設けられており、プリヒータのそれぞれが温度調節可能になっている。
【0024】
プリヒータ4には噴流はんだ槽5が隣接して設けられる。噴流はんだ槽5は、プリヒータ4で乾燥されたプリント基板にはんだを噴きつけて、プリント基板の所定の箇所にはんだを形成させる。噴流はんだ槽5では、フューム含有気体が発生する温度以上でプリント基板が加熱される。
【0025】
噴流はんだ槽5には冷却部6が隣接して設けられる。冷却部6は、当該冷却部6を構成する図示しないファンによる送風をプリント基板に送り、プリヒータ4及び噴流はんだ槽5にて加熱されたプリント基板を冷却する。プリント基板を冷却部6で冷却することで、プリント基板に付着させたはんだに生じるクラック等を防ぐことができる。
【0026】
また、噴流はんだ槽5の上部にはチャンバー7が設けられる。チャンバー7は、噴流はんだ槽5で加熱されたプリント基板から発生するフューム含有気体を取り込む。
【0027】
チャンバー7にはブロワー8及び循環パイプ,9b,9cを介してフューム回収装置100が接続される。ブロワー8は、チャンバー7内のフューム含有気体を循環パイプ9a,9bを介してフューム回収装置100に送るものである。フューム回収装置100に送られたフューム含有気体は、フューム回収装置100によってフュームが回収されて、ブロワー8によって循環パイプ9cを介してチャンバー7に送られ、再び、噴流はんだ槽5に戻される。
【0028】
なお、ブロワー8は、チャンバー7とフューム回収装置100間の循環路を形成するためのものであるから、本実施の形態では、ブロワー8をフューム回収装置100の取込口32側にある循環パイプ9a、9b間に配置した場合を示しているが、フューム回収装置100の排出口33側にある循環パイプ9cに配置するようにしても良い。
【0029】
フューム回収装置100は、噴流はんだ槽5で発生したフューム含有気体を、チャンバー7、循環パイプ9a,9b及びブロワー8を介して取り込む。そして、フューム回収装置100は、内部に設けられた複数の冷却パイプの内側に冷却媒体(例えば、空気や水等)を流動させることで、取り込んだフューム含有気体を冷却し、該冷却によりフューム含有気体が凝縮したフュームを冷却パイプの外側の表面に付着させる。
【0030】
フューム回収装置100は、ハンドル16を備え、当該ハンドル16を回転させると、冷却パイプに当接して設けられるスキージが冷却パイプの外側の表面に沿って摺動する。これにより、冷却パイプの外側の表面に付着したフュームを除去できるようになる。
【0031】
このように、本実施の形態に係る自動はんだ付け装置1によれば、冷却パイプの外側の表面に付着したフュームをスキージの摺動によって除去できるので、このフュームを除去するためにフューム回収装置100が備える本体部から冷却パイプ等を取り外す必要がなくなり、フューム除去に要する作業時間を短縮できる。
【0032】
また、ハンドル16を回転操作することで簡単に、かつ、頻繁にフューム除去できるので、冷却パイプの外側の表面を常に清浄な状態に保つことができる。これにより、冷却パイプの外側の表面に付着したフュームに起因する熱伝導の低下を防止でき、フューム含有気体の冷却効率を向上できる。この結果、従来に比べて、フューム含有気体からフュームをより多く回収することができ、はんだ付けされる被対象物のはんだ不良を防止できる。
【0033】
なお、本実施の形態では、チャンバー7によって取り込まれたフューム含有気体が、チャンバー7、循環パイプ9a、ブロワー8、循環パイプ9b、フューム回収装置100及び循環パイプ9cの順番で流動する説明をしたが、これに限定されず、チャンバー7、循環パイプ9c、フューム回収装置100、循環パイプ9b、ブロワー8及び循環パイプ9aの順番で流動する構成(つまり、図1の矢印の向きに対して逆向きの方向に流動する構成)であっても良い。これにより、チャンバー7内のフューム含有気体の流れの方向が、搬送部3が搬送するプリント基板の搬送方向と逆向きになるので、フューム回収装置100でフュームが除去された気体が搬送部3の基板搬送につられて排出されることを低減できる。
【0034】
また、ブロワー8は、チャンバー7とフューム回収装置100間の循環路を形成するためのものであるから、当該ブロワー8の配置は、フューム回収装置100の取込口32側、あるいは、排出口33側に限定されるものではない。
【0035】
また、本実施の形態では、フューム回収装置100を自動はんだ付け装置に搭載したものについて説明したが、当該フューム回収装置100はリフロー炉にも適用可能である。
【0036】
[フューム回収装置100の構成例]
次に、フューム回収装置100の構成例について説明する。本例においては、複数のパイプを用いた多管型結露手段において、本発明を実施した場合について説明する。図2乃至4に示すように、フューム回収装置100は、本体部30、付着部の一例である冷却パイプ20、当接部の一例であるフューム除去部10及び駆動部19で構成される。
【0037】
本体部30は、流動口31、取込口32及び排出口33を有する。流動口31は、本体部30に設けられたファン38によって吸い込まれた外気を冷却パイプ20を介してフューム回収装置100外に排出するものである。この外気は本例では空気であり、冷却媒体の一例である。取込口32又は排出口33には図1で示したブロワー8が設けられ、ブロワー8の動作により自動はんだ付け装置1のチャンバー7内に発生したフューム含有気体が取込口32に取り込まれて排出口33から排出される。
【0038】
本体部30は上部の周囲にフランジ30aを有し、フランジ30aにはシール部材36を介して蓋部35が設けられる。フランジ30a、シール部材36及び蓋部35をクランプ37で挟持することで、本体部30と蓋部35とを固定する。本体部30から蓋部35を取り外すときは、クランプ37の挟持を解除させる。
【0039】
本体部30は底部の周囲にフランジ30bを有し、フランジ30bにはシール部材36を介してドレンパン34が設けられる。ドレンパン34は、本体部30に取り込まれたフューム含有気体から抽出されたフュームを回収するものである。例えば、ドレンパン34は、冷却パイプ20の外側の表面に付着したフュームであって、冷却パイプ20の外側の表面から自重で落下するフュームを回収する。また、ドレンパン34は、冷却パイプ20の外側の表面に付着したフュームであって、フューム除去部10によって強制的に除去されるフュームを回収する。
【0040】
フランジ30b、シール部材36及びドレンパン34を図示しないクランプで挟持することで、本体部30とドレンパン34とを固定する。本体部30からドレンパン34を取り外すときは、クランプの挟持を解除させる。
【0041】
本体部30内には複数の冷却パイプ20が、例えば、千鳥にそれぞれ設けられる。ファン38が空気を吸い込むことにより、該空気が冷却パイプ20の内側を流動する。冷却パイプ20は、例えばステンレス等の金属材料で構成されていて、当該冷却パイプ20の内側に空気が流動すると、内側だけでなく外側も冷却される。本体部30にフューム含有気体が取り込まれたときには、冷却パイプ20が冷却されると、当該冷却パイプ20の外側の表面に接触しているフューム含有気体が冷却されて、フューム含有気体が凝縮したものであるフュームが冷却パイプ20の外側の表面に付着する。
【0042】
冷却パイプ20にはフューム除去部10が当接して設けられる。例えば、図3及び4に示すように、フューム除去部10は、冷却パイプ20に貫通されて当該冷却パイプ20の長手方向に対して垂直な方向に立設する。
【0043】
フューム除去部10には駆動部19が設けられる。駆動部19は、スクリュシャフト15及びハンドル16を備える。スクリュシャフト15は、シャフトにネジが切られたものであり、フューム除去部10をボルト14を介して貫通する。スクリュシャフト15は、冷却パイプ20に対して略平行に設けられる。
【0044】
スクリュシャフト15の一端にはハンドル16が設けられる。ハンドル16は、スクリュシャフト15を回転させる。ユーザによってハンドル16が回転されると、スクリュシャフト15が回転して、該回転と共に、フューム除去部10がスクリュシャフト15に沿って摺動する。すると、フューム除去部10は、冷却パイプ20の外側の表面を摺動する。これにより、冷却パイプ20の外側の表面に付着したフュームを除去できるようになる。
【0045】
[フューム除去部10の構成例]
次に、フューム除去部10の構成例について説明する。図5に示すように、フューム除去部10は、プレート11a,11b,11c,11d、スキージ12b,12c,12d、プレート固定部13a,13b及びボルト14を備える。
【0046】
プレート11a,11b,11c,11dは、パイプの外側の形状に対応した弧形状のパイプ貫通溝21を有する。パイプ貫通溝21と冷却パイプ20の外側の形状は略一致している。
【0047】
プレート11b,11c,11dにはスキージ12b,12c,12dがそれぞれ設けられる。スキージ12b,12c,12dは、例えば熱可塑性の耐熱高分子樹脂であるピーク材や、ステンレス等で構成され、プレート11b,11c,11dのパイプ貫通溝21の形状に沿った弧形状で形成されている。スキージ12b,12c,12dは、冷却パイプ20にそれぞれ当接する。
【0048】
なお、スキージ12b,12c,12dは、本実施の形態では、冷却パイプ20に対してフューム含有気体の流路の上流側(取込口32がある側)に設けてあるが、これに限定されず、冷却パイプを包囲するように、フューム含有気体の流路の上流側及び下流側に設けても良い。また、スキージ12b,12c,12dは、弧形状ではなく円形状で形成されていても良いし、ステンレスなどで構成されたブラシ形状のものであっても良い。
【0049】
プレート固定部13a,13bは、プレート11a,11b,11c,11dの上部及び下部に設けられ、プレート11a,11b,11c,11dを所定の位置に固定する。
【0050】
ボルト14は、プレート11cに設けられる。ボルト14とプレート11cとは、例えば溶接で確実に固定されている。ボルト14は、ネジが切られていて、スクリュシャフト15に係合する。
【0051】
スクリュシャフト15の一端にはハンドル固定部17を介してハンドル16が設けられる。ハンドル固定部17は、図2及び3で説明した本体部30に固定され、本体部30の内部に収容されたスクリュシャフト15と、本体部30の外部にあるハンドル16とを接続する。
【0052】
スクリュシャフト15の他端にはスクリュシャフト支持部18が設けられる。スクリュシャフト支持部18は、ネジが切られていないシャフト穴18aが穿設されていて、スクリュシャフト15が空回りするように回転可能に支持するものである。スクリュシャフト支持部18は、後述する図8に示すように、本体部30の内部に固定される。
【0053】
ハンドル16を回転させると、スクリュシャフト15も回転する。すると、フューム除去部10は、当該フューム除去部10が有する図6で後述するパイプ貫通溝21に冷却パイプ20が当接するために、ハンドル16の回転方向の動きが規制され、スクリュシャフト15に沿って移動する。例えば、ハンドル16を時計回りに回転させると、フューム除去部10が奥側(スクリュシャフト支持部18がある側)から手前側(ハンドル固定部17がある側)に向かって移動し、ハンドル16を反時計回りに回転させると、フューム除去部10が手前側から奥側に移動する。
【0054】
スクリュシャフト15が図2乃至4で示した冷却パイプ20に対して略平行に設けられているので、フューム除去部10は、スクリュシャフト15に沿って移動すると共に、冷却パイプ20に沿って移動する。つまり、フューム除去部10が有するスキージ12b,12c,12dが冷却パイプ20に当接しながら移動(摺動)する。
【0055】
[フューム除去部10の組立方法]
次に、フューム除去部10の組立方法の一例について説明する。図6に示すように、プレート11b,11c,11dとスキージ12b,12c,12dとは、ネジ等で固定され、プレート11cとボルト14とは、溶接等で固定されていることを前提とする。
【0056】
まず、プレート11a,11b,11c,11dの上部をプレート固定部13aの溝に嵌め込み、プレート11a,11b,11c,11dの下部をプレート固定部13bの溝に嵌め込む。そして、プレート11a,11b,11c,11dとプレート固定部13a,13bとをネジ等によって固定することで、フューム除去部10が完成する。
【0057】
[フューム回収装置100の組立方法]
次に、フューム回収装置100の組立方法の一例について説明する。図7に示すように、図6で説明したフューム除去部10のプレート11a,11b,11c,11dが有するパイプ貫通溝21に複数の冷却パイプ20を貫通させる。
【0058】
図8に示すように、ドレンパン34、クランプ37及びファン38等が取り付けられた本体部30に、図7で説明した冷却パイプ20に貫通されたフューム除去部10を収容する。図8では、簡略化のために、複数の冷却パイプ20と複数の流動口31との位置がそれぞれ一致するように下方に移動させて、フューム除去部10及び冷却パイプ20を本体部30に収容しているが、実際には、冷却パイプ20の一部とスクリュシャフト支持部18とがぶつからないように、フューム除去部10及び冷却パイプ20を本体部30に収容している。即ち、冷却パイプ20と流動口31との位置がそれぞれ少しずれるように下方に移動させて、フューム除去部10及び冷却パイプ20を本体部30に収容してから、冷却パイプ20と流動口31との位置が一致するようにフューム除去部10及び冷却パイプ20をスライド移動させている。
【0059】
フューム除去部10及び冷却パイプ20を本体部30に収容した後、本体部30の上部に蓋部35を被せて、本体部30及び蓋部35をクランプ37で挟持して固定する。
【0060】
図9に示すように、本体部30に穿設されたシャフト孔39にスクリュシャフト15を当該スクリュシャフト15の他端15aから挿入し、他端15aがフューム除去部10のボルト14に到達したら、ネジを締め続ける。すると、他端15aはスクリュシャフト支持部18に穿設されたシャフト穴18aに挿入する。
【0061】
その後、ハンドル16が接続されたハンドル固定部17をスクリュシャフト15の一端15bに係合させると共に、本体部30にネジ等で固定する。このようにしてフューム回収装置100が完成する。
【0062】
なお、本実施の形態で説明したフューム除去部10及びフューム回収装置100の組立方法は、一例であって、これに限定されるものではない。例えば、予め本体部30と冷却パイプ20とが溶接によって接合されていて、当該本体部30の冷却パイプ20にプレート11a,11b,11c,11dやプレート固定部13a,13b、スキージ12b,12c,12dを組み付ける方法であっても構わない。
【0063】
[フューム回収装置100の動作例]
次に、フューム回収装置100の動作例について説明する。フューム回収装置100の動作を見やすくするために、図10乃至12では蓋部35を省略する。図10に示すように、フューム除去部10は、本体部30の奥側(ファン38側)に待機している。フューム回収装置100は、ファン38を駆動することで外気を吸い込んで冷却パイプ20を冷却し、冷却パイプ20内の外気を流動口31からフューム回収装置100外に排出する。
【0064】
そして、取込口32からフューム含有気体を本体部30に取り込む。すると、本体部30に取り込んだフューム含有気体は、冷却パイプ20によって冷却されて凝縮してフュームが析出され、排出口33から排出される。このフュームは、冷却パイプ20の表面に付着する。
【0065】
このように、フューム含有気体からフュームを析出し続けると、冷却パイプ20の表面にフュームが溜まっていく。冷却パイプ20の表面にフュームが溜まると、冷却パイプ20とフューム含有気体との熱交換が妨げられて、フューム含有気体の冷却効率を低下させる。このため、冷却パイプ20にある程度のフュームが溜まったら、それを除去する必要がある。
【0066】
フュームを回収するために、まずは、ハンドル16を時計回りに回す。すると、ハンドル16に接続されたスクリュシャフト15が時計回りに回転し、スクリュシャフト15に係合しているフューム除去部10が本体部30の奥側から手前側(ハンドル16側)に移動する。
【0067】
図11に示すように、フューム除去部10は、冷却パイプ20の長手方向に沿って摺動する。すると、フューム除去部10が有するスキージが冷却パイプ20の外側の表面に付着しているフュームを掻き取る。
【0068】
図12に示すように、更に、ハンドル16を時計回りに回すと、フューム除去部10が
ハンドル16側に移動すると共に、冷却パイプ20の長手方向に沿って摺動する。これにより、冷却パイプ20の外側の表面に付着したフュームを除去できるようになる。
【0069】
このように、フューム回収装置100によれば、フューム含有気体を本体部30に取り込み、本体部30の内部に設けられた冷却パイプ20の内側にファン38からの空気を流動させることで本体部30に取り込んだフューム含有気体を冷却し、該冷却によりフューム含有気体が凝縮したフュームを冷却パイプ20の外側の表面に付着させる。そして、駆動部19が、冷却パイプ20に当接して設けられるフューム除去部10を冷却パイプ20の外側の表面に沿って摺動させる。
【0070】
これにより、冷却パイプ20の外側の表面に付着したフュームを除去できるようになる。この結果、フュームを除去するために本体部30から冷却パイプ20を取り外す必要がなくなり、フューム除去に要する作業時間を短縮できる。
【0071】
また、駆動部19を操作する(ハンドル16を回す)ことで簡単に、かつ、頻繁にフューム除去できるので、冷却パイプ20の外側の表面を常に清浄な状態に保つことができる。これにより、冷却パイプ20の外側の表面に付着したフュームに起因する熱伝導の低下を防止でき、フューム含有気体の冷却効率を向上できる。この結果、従来に比べて、フューム含有気体からフュームをより多く回収することができ、はんだ付けされる被対象物のはんだ不良を防止できる。
【0072】
なお、本実施の形態では、スクリュシャフト15及びハンドル16によりフューム除去部10を冷却パイプ20に摺動させたが、駆動部19はこれに限定されず、スクリュシャフト15及びハンドル16の代わりに、フューム除去部10を直接移動させるスライド機構であっても良い。
【0073】
また、本実施の形態では、スキージ12b,12c,12dは、プレート11b,11c,11dの片面のみに設けられているが、両面に設けても構わない。これにより、フューム除去部10を図10に示した位置からハンドル16を時計回りに回して図12に示した位置に移動させて冷却パイプ20からフュームを除去できるだけでなく、フューム除去部10を図12に示した位置からハンドル16を反時計回りに回して図10に示した位置に移動させて冷却パイプ20からフュームを除去できるようになる。
【0074】
<第2の実施の形態>
本実施の形態では、第1の実施の形態で説明したフューム回収装置100のハンドル16の代わりにモータ50を設けたフューム回収装置200について説明する。前述の第1の実施の形態と同じ名称及び符号のものは同じ機能を有するので、その説明を省略する。
【0075】
[フューム回収装置200の構成例]
最初に、フューム回収装置200の構成例について説明する。図13に示すように、フューム回収装置200は、前述の図2で示したフューム回収装置100のハンドル16の代わりに回転部の一例であるモータ50を設けたものである。ハンドル16は、ユーザが手動で回転するものであったが、モータ50は、制御部80に接続されて自動で回転するものである。
【0076】
次に、フューム回収装置200の制御系の構成例について説明する。図14に示すように、フューム回収装置200は、モータ50、フューム検知センサ60、操作部70及び制御部80を備える。
【0077】
制御部80には第1の実施の形態で説明した自動はんだ付け装置1が接続可能である。制御部80は、図示しない記憶部から制御プログラムを読み出して、自動はんだ付け装置1を制御する。例えば、制御部80は、自動はんだ付け装置1の噴流はんだ槽から噴流される溶融はんだの噴流量やプリヒータの温度を制御する。
【0078】
制御部80には操作部70が接続される。操作部70は、ユーザによって操作されるものであり、操作部70が操作されると、例えば、モータ50を駆動させるためのモータ駆動信号D1が制御部80から出力される。
【0079】
制御部80にはモータ50が接続される。モータ50は、制御部80によって出力されたモータ駆動信号D1を受信してモータ50を駆動させる。例えば、冷却パイプ20の表面に付着したフュームを除去したいときに、ユーザが操作部70を操作して、制御部80からモータ駆動信号D1を出力させる。すると、モータ50がモータ駆動信号D1によって駆動して、本体部30に収容されているスクリュシャフト15を回転させ、スクリュシャフト15に係合したフューム除去部10を冷却パイプ20の長手方向に摺動させる。これにより、フューム回収装置100のようにユーザがハンドル16を回転しなくても、操作部70による操作でモータ50を回転させることで、冷却パイプ20の外側の表面に付着したフュームを除去することができる。
【0080】
また、制御部80にはフューム検知センサ60が接続される。フューム検知センサ60は、冷却パイプ20の外側の表面に付着したフュームを検知すると、検知信号D2を生成する。
【0081】
例えば、フューム検知センサ60は、冷却パイプから離間して設けられた光学式センサであり、冷却パイプ20に光を照射し、反射光の受光感度によりフュームを検知する。フューム検知センサ60は、受光感度が良好であると冷却パイプ20は清浄であると判断して、冷却パイプ20の表面状態を監視し続ける。また、フューム検知センサ60は、受光感度が劣化すると冷却パイプ20にフュームが大量に付着していると判断して、検知信号D2を生成する。なお、フューム検知センサ60は、光学式センサに限定されるものではない。
【0082】
制御部80は、フューム検知センサ60によって生成された検知信号D2に基づいてモータ50を駆動させて、冷却パイプ20にフューム除去部10を摺動させる。これにより、ユーザが蓋部35を取り外して冷却パイプ20に付着したフュームを確認して操作部70を操作しなくても、冷却パイプ20の外側の表面に大量にフュームが付着した場合に、その付着したフュームを除去することができる。
【0083】
更に、制御部80は、タイマ81を有する。ユーザが操作部70で所定の時間を入力すると、制御部80は、操作部で入力された時間に基づいて所定の時間を設定し、該設定した時間になるとタイマ81が当該制御部80にモータ50を駆動させる。これにより、ユーザが蓋部35を取り外して冷却パイプ20に付着したフュームを確認しなくても、冷却パイプ20の外側の表面に付着したフュームを所定時間毎に除去することができる。
【0084】
このように、本実施の形態に係るフューム回収装置200によれば、ハンドル16の代わりにモータ50を設けることにより、ユーザがハンドル16を回転して冷却パイプ20に付着したフュームを除去する作業を削減できる。また、フューム検知センサ60を設けたり、タイマ81を設けたりすることで、ユーザが蓋部35を取り外して冷却パイプ20に付着したフュームを確認する作業を削減できる。
【0085】
なお、第1及び第2の実施の形態では、複数のパイプからなる多管型結露手段を用いたフューム回収装置について説明したが、本発明は、上下方向から複数の板材を互い違いに立設させたラビリンス型結露手段を用いたフューム回収装置についても適用可能である。この場合、スキージ形状を、各板材の上下の配置や板厚に応じた形状にすることにより適用できるものである。
【符号の説明】
【0086】
1・・・自動はんだ付け装置、10・・・フューム除去部(当接部)、11a,11b,11c,11d・・・プレート、12b,12c,12d・・・スキージ、13a,13b・・・プレート固定部、14・・・ボルト、15・・・スクリュシャフト、16・・・ハンドル(回転部)、17・・・ハンドル固定部、18・・・スクリュシャフト支持部、18a・・・シャフト穴、19・・・駆動部、20・・・冷却パイプ(付着部)、21・・・パイプ貫通溝、30・・・本体部、30a,30b・・・フランジ、31・・・流動口、32・・・取込口、33・・・排出口、34・・・ドレンパン、35・・・蓋部、36・・・シール部材、37・・・クランプ、38・・・ファン、39・・・シャフト孔、50・・・モータ(回転部)、60・・・フューム検知センサ、70・・・操作部、80・・・制御部、81・・・タイマ、100,200・・・フューム回収装置(フューム回収部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被対象物を加熱してはんだ付けするはんだ処理部と、前記はんだ処理部で発生した前記フューム含有気体からフュームを抽出して回収するフューム回収部とで構成されるはんだ付け装置であって、
前記フューム回収部は、
前記フューム含有気体を取り込む本体部と、
前記本体部内に設けられ、前記本体部に取り込まれた前記フューム含有気体を冷却し、該冷却により前記フューム含有気体が凝縮した前記フュームを表面に付着させる付着部と、
該付着部に当接して設けられる当接部と、
該当接部を前記付着部の表面に沿って摺動させる駆動部とを備えることを特徴とするはんだ付け装置。
【請求項2】
前記当接部は、
前記付着部の表面の形状に対応した形状のスキージを有することを特徴とする請求項1に記載のはんだ付け装置。
【請求項3】
前記駆動部は、
前記当接部を貫通するスクリュシャフトと、
前記スクリュシャフトの一端に設けられ、前記スクリュシャフトを回転させる回転部とを備え、
前記回転部を回転させると共に、前記当接部を前記スクリュシャフトに沿って摺動させることを特徴とする請求項1又は2に記載のはんだ付け装置。
【請求項4】
前記回転部は、ハンドル又はモータで構成されることを特徴とする請求項3に記載のはんだ付け装置。
【請求項5】
前記モータには制御部が接続され、
前記制御部は、所定の時間を設定し、該設定した時間毎に前記モータを駆動させることを特徴とする請求項4に記載のはんだ付け装置。
【請求項6】
前記制御部にはフューム検知センサが接続され、
前記フューム検知センサは、
前記付着部の表面に付着したフュームを検知して検知信号を生成し、
前記制御部は、
前記フューム検知センサによって生成された前記検知信号に基づいて前記モータを駆動させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のはんだ付け装置。
【請求項7】
前記付着部は、
内側に冷却媒体を流動させる複数のパイプからなることを特徴とする請求項1に記載のはんだ付け装置。
【請求項8】
前記付着部は、
上下方向から互い違いに立設させた複数の板材からなることを特徴とする請求項1に記載のはんだ付け装置。
【請求項9】
はんだ処理部で発生したフューム含有気体からフュームを抽出して回収するフューム回収装置であって、
前記フューム含有気体を取り込む本体部と、
前記本体部内に設けられ、前記本体部に取り込まれた前記フューム含有気体を冷却し、該冷却により前記フューム含有気体が凝縮した前記フュームを表面に付着させる付着部と、
該付着部に当接して設けられる当接部と、
該当接部を前記付着部の表面に沿って摺動させる駆動部とを備えることを特徴とするフューム回収装置。
【請求項10】
前記付着部は、
内側に冷却媒体を流動させる複数のパイプからなることを特徴とする請求項9に記載のフューム回収装置。
【請求項11】
前記付着部は、
上下方向から互い違いに立設させた複数の板材からなることを特徴とする請求項9に記載のフューム回収装置。
【請求項1】
被対象物を加熱してはんだ付けするはんだ処理部と、前記はんだ処理部で発生した前記フューム含有気体からフュームを抽出して回収するフューム回収部とで構成されるはんだ付け装置であって、
前記フューム回収部は、
前記フューム含有気体を取り込む本体部と、
前記本体部内に設けられ、前記本体部に取り込まれた前記フューム含有気体を冷却し、該冷却により前記フューム含有気体が凝縮した前記フュームを表面に付着させる付着部と、
該付着部に当接して設けられる当接部と、
該当接部を前記付着部の表面に沿って摺動させる駆動部とを備えることを特徴とするはんだ付け装置。
【請求項2】
前記当接部は、
前記付着部の表面の形状に対応した形状のスキージを有することを特徴とする請求項1に記載のはんだ付け装置。
【請求項3】
前記駆動部は、
前記当接部を貫通するスクリュシャフトと、
前記スクリュシャフトの一端に設けられ、前記スクリュシャフトを回転させる回転部とを備え、
前記回転部を回転させると共に、前記当接部を前記スクリュシャフトに沿って摺動させることを特徴とする請求項1又は2に記載のはんだ付け装置。
【請求項4】
前記回転部は、ハンドル又はモータで構成されることを特徴とする請求項3に記載のはんだ付け装置。
【請求項5】
前記モータには制御部が接続され、
前記制御部は、所定の時間を設定し、該設定した時間毎に前記モータを駆動させることを特徴とする請求項4に記載のはんだ付け装置。
【請求項6】
前記制御部にはフューム検知センサが接続され、
前記フューム検知センサは、
前記付着部の表面に付着したフュームを検知して検知信号を生成し、
前記制御部は、
前記フューム検知センサによって生成された前記検知信号に基づいて前記モータを駆動させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のはんだ付け装置。
【請求項7】
前記付着部は、
内側に冷却媒体を流動させる複数のパイプからなることを特徴とする請求項1に記載のはんだ付け装置。
【請求項8】
前記付着部は、
上下方向から互い違いに立設させた複数の板材からなることを特徴とする請求項1に記載のはんだ付け装置。
【請求項9】
はんだ処理部で発生したフューム含有気体からフュームを抽出して回収するフューム回収装置であって、
前記フューム含有気体を取り込む本体部と、
前記本体部内に設けられ、前記本体部に取り込まれた前記フューム含有気体を冷却し、該冷却により前記フューム含有気体が凝縮した前記フュームを表面に付着させる付着部と、
該付着部に当接して設けられる当接部と、
該当接部を前記付着部の表面に沿って摺動させる駆動部とを備えることを特徴とするフューム回収装置。
【請求項10】
前記付着部は、
内側に冷却媒体を流動させる複数のパイプからなることを特徴とする請求項9に記載のフューム回収装置。
【請求項11】
前記付着部は、
上下方向から互い違いに立設させた複数の板材からなることを特徴とする請求項9に記載のフューム回収装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−200929(P2011−200929A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72869(P2010−72869)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000199197)千住金属工業株式会社 (101)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000199197)千住金属工業株式会社 (101)
【Fターム(参考)】
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