説明

はんだ接合のための溝付き板

【課題】改善されたはんだ接合のための溝付き板を提供する。
【解決手段】マルチダイLED放射体基板上の金属板または放射体基板に取り付けられた金属コアプリント基板(MCPCB)200上の金属板208(またはその両方の金属板)は、多数の放射状の溝210〜215を設けるものであり、その少なくとも一部は金属板208の周辺端部まで延在する。これらの溝210〜215は、はんだ接合プロセスにおいて空気を逃がすことができる流路を形成し、はんだボイドのサイズおよび/または総面積を縮小し、それにより、放射体とMCPCBとの間の熱伝達を改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続コンポーネントに関するものであり、具体的には、コンポーネント同士がはんだ付けされたときにできるはんだボイド(solder voids)を低減するために溝付き金属板(grooved metal plate)を備えることに関するものである。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)に基づく照明デバイス・システムには、大きな注目が集まっている。いくつかの照明デバイスでは、複数のLEDダイが単一の基板上に装着され、互いに電気的に接続されて、1つの放射体を形成している。動作中、放射体はかなりの熱を発生する可能性があり、過熱による損傷からLEDを保護するためにこの熱を遠くへ伝える必要がある。放射体は、例えば、本出願の譲受人である、LedEngin,Inc.社によって製造されており、これは基板の底部側に大きな金属板を備えることにより熱伝達を促している。放射体基板は、典型的には、放射体上の金属板とマッチする大きな金属板を有する金属コアプリント基板(MCPCB)などの支持面上に装着される。これら2枚の金属板同士が放射体からMCPCB内への熱伝達をもたらすようにはんだ付けされ、MCPCBからの熱はヒート・シンクにさらに伝達される。
【0003】
放射体はより多くのLEDダイを備えるために大型化するので、底面上の金属板およびMCPCB上のマッチする金属板も、一般的に、効果的な熱伝達を行わせるために大型化する必要がある。面積が広くなると、はんだが必ずしも均一な加熱または拡散を行わないので、金属板同士をはんだ付けする難度も高くなる。いくつかの場合において、大きなエア・ポケットが金属板同士の間に形成されてしまう。空気は、典型的なはんだ金属(スズなど)に比べて熱導体としての効果が著しく低いので、はんだボイドがある結果、金属板の表面全体にわたる温度分布が不均一になり、延いては、放射体/MCPCBの界面のところにかなり高い熱抵抗が生じ、および/または放射体基板が反って、損傷する可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のいくつかの実施形態によれば、放射体上の金属板またはMCPCB(またはその両方)は、一般的には放射状の多数の溝が設けられ、その少なくとも一部は金属板の周辺端部まで延在させる。これらの溝は、はんだ接合プロセス(例えば、標準のリフローおよび/またはホット・プレート・プロセス)において空気を逃がすことができる流路を形成し、はんだボイドのサイズおよび/または総面積を縮小し、それにより、放射体とMCPCBとの間の熱伝達を改善することができる。
【0005】
発明のいくつかの態様は、発光デバイスを支持する放射体基板に接合するプリント基板に関する。プリント基板は、金属コアプリント基板であってもよく、少なくとも第1の絶縁層と、第1の絶縁層の表面上の金属板とを備える。金属板は、円形であるか、または他の形状とすることもでき、中に複数の溝を有し、これらの溝の少なくともいくつかは、金属板の中心から第1の距離(ゼロであってもよいが、必ずしもゼロでなくてもよい)のところに内端を、金属板の周辺端部のところに外端を有する。
【0006】
プリント基板は、多層構造とすることができ、したがって、第2の絶縁層は、第1の絶縁層に対して平行であり、かつその下にあるものとしてよく、導電性材料の少なくとも1つのパターン層が第1の絶縁層の底面と第2の絶縁層の表面との間に配設され、これによりプリント基板の異なる部分同士の間に電気的接続のためのルーティングを行うことができる。金属コンタクト・パッドは、第1の絶縁層の表面上に配設され、金属コンタクト・パッドの少なくとも1つは、パターン層の導電性材料に電気的に接続される。
【0007】
いくつかの実施形態では、溝はすべて、周辺端部まで延在する必要があるが、他の実施形態では、そうでない場合もある。例えば、これらの溝のうちの少なくとも1つは、金属板の中心にその内端を、中心から第2の距離のところにその外端を有することができ、第2の距離は金属板の中心から金属板の周辺端部までの距離より小さい。この第2の距離は、第1の距離と同じであるか、またはそれより短いか、またはそれより長くてもよい。
【0008】
本発明のいくつかの態様は、発光デバイス用の放射体に関するものである。放射体は、複数の発光ダイオードを支持するように適合された表面と、底面とを有する放射体基板を備えることができる。金属板(円形であるか、または他の形状を有することができる)は、放射体基板の底面上に配設され、この金属板は、中に溝が形成されているものとすることができる。これらの溝の少なくともいくつかは、金属板の中心から第1の距離(ゼロであってもよいが、必ずしもゼロでなくてもよい)のところに内端を、金属板の周辺端部のところに外端を有する。
【0009】
本発明のいくつかの態様は、発光デバイスに関するものであり、このデバイスは第1の絶縁層および第1の絶縁層の表面上の第1の金属板を有するプリント基板と、複数の発光ダイオードを保持する表面および第2の金属板をその上に有する底面を有する放射体基板と、第1の金属板と第2の金属板との間に配設され、第1の金属板と第2の金属板とに接合されたはんだ層とを有する。第1の金属板および第2の金属板は、同じサイズおよび形状(例えば、円形)であるものとしてよい。第1の金属板および第2の金属板のうちの一方または他方(または両方)は、中に複数の溝を設けることができ、これらの溝の少なくともいくつかは第1の金属板の中心から第1の距離(ゼロであってもよいが、必ずしもゼロでなくてもよい)のところに内端を、第1の金属板の周辺端部のところに外端を有する。
【0010】
以下の詳細な説明と添付図面とを併せて読むことで、本発明の性質および利点をさらによく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態による光源アセンブリを例示する簡略化された断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態による金属コアプリント基板(MCPCB)の平面図である。
【図3A】本発明の一実施の形態により達成されたはんだ接合部と比較するために例示した、LED放射体上の金属板と従来のMCPCBの対応する金属板との間のはんだ接合部の簡略化された底面図である。
【図3B】本発明の一実施の形態により達成されたはんだ接合部の改善を例示する、LED放射体上の金属板と本発明の一実施の形態による溝を持つMCPCBの対応する金属板との間のはんだ接合部に対応する図である。
【図4】本発明の他の実施形態によるMCPCBの簡略化された平面図である。
【図5】本発明の他の実施形態によるMCPCBの簡略化された平面図である。
【図6】本発明の他の実施形態によるMCPCBの簡略化された平面図である。
【図7】本発明の他の実施形態によるMCPCBの簡略化された平面図である。
【図8】本発明の他の実施形態によるMCPCBの簡略化された平面図である。
【図9】本発明の他の実施形態によるMCPCBの簡略化された平面図である。
【図10】本発明の他の実施形態によるMCPCBの簡略化された平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のいくつかの実施形態によれば、マルチダイLED放射体基板上の金属板または放射体基板に取り付けられた金属コアプリンタ基板(MCPCB)上の金属板(またはその両方の金属板)は、一般的には放射状の多数の溝が設けられ、その少なくとも一部は金属板の周辺端部まで延在する。これらの溝は、はんだ接合プロセス(例えば、標準のリフローおよび/またはホット・プレート・プロセス)において空気を逃がすことができる流路を形成し、はんだボイドのサイズおよび/または総面積を縮小し、これにより、放射体とMCPCBとの間の熱伝達を改善することができる。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態による光源アセンブリ100を例示する簡略化された断面図である。LED放射体101は、金属コアプリント基板(MCPCB)102上に装着されている。LED放射体101は、放射体基板106上に配設された多数のLEDダイ104を備えている。基板106の底面107には、大きな円形金属板108がある。金属板108は、アルミニウム、アルミニウム合金、その他の金属もしくは金属合金、または異なる金属もしくは金属合金の多層スタックを含むことができる。いくつかの実施形態では、金属板108の主目的は、放射体101からMCPCB102に熱を伝達することであり、金属板108の材料は、温度特性に基づきしかるべく選択される。
【0014】
放射体基板106の底面、表面、および/または側面に、他の電気接点110、112、114が設けられる。(例示する目的での3つの接点が図示されているが、電気接点の個数と配置は、望み通りに選択されることは理解されるであろう。)放射体基板106は、有利には、接点110、112、114とLEDダイ104との間に導電経路(図示せず)を設けるように構成されている。このような導電経路は、放射体基板106の表面上に、および/または内部にあってよく、例えば、放射体基板106は、パターン形成された導電層が絶縁層と交互に配置される層構造にすることができる。放射体101は、LEDダイ104の上に配設された一次レンズ115などの他のコンポーネントを備えることもできる。放射体101の特定の構造は、本発明を理解するうえで重要というわけではない。
【0015】
MCPCB102は、放射体基板106の接点110、112、114に接続するためにさまざまな電気接点116、118、120が設けられている表面109を有する。これらの接点は、アルミニウム、アルミニウム合金、他の金属もしくは金属合金、または他の導電性材料から形成される。MCPCB上の接点116、118、120と放射体の接点110、112、114との間の電気的接続部は、明示的に図示されていないが、接続部は、はんだ接合、ワイヤボンディング、または同様の方法などの従来の技術を使用して形成される。
【0016】
MCPCB102では、有利には、電気接点116、118、120と周辺部の接点配置(図示せず)との間に導電経路を設け、これにより、アセンブリ100をアセンブリ100の1つまたは複数のコピーを備えるランプなどのより大きな電子デバイス内に電気的に接続することができる。例えば、MCPCB102は、絶縁材料の層(例えば、誘電性ポリマー)が金属パターンとともに印刷されて導電経路を形成し、その後、それらの層が単一基板内に接合される多層構造であってよい。導電性ビアをプリント基板内に(例えば、1つまたは複数の基板を貫通する穴を形成し、それらの穴に金属を埋めるか、または金属でその内側を覆うことによって)形成し、異なる層内の経路を電気的に接続することができる。熱伝達および熱拡散が円滑に進むように、MCPCB102は、金属コア層(例えば、アルミニウム合金または同様のもの)を含むものとしてよく、絶縁材料としては、高い熱伝導率を有するものが選択されるものとしてよく、好適な構造が、当技術分野で知られている。従来の加工技術を使用することができ、MCPCB102によってもたらされる電気的接続性の具体的詳細は、本発明を理解するうえで重要ではない。
【0017】
MCPCB102の表面109上に、大きな円形の金属板122があり、その中に1つまたは複数の溝124が存在する。溝124について、以下でさらに説明する。金属板122は、放射体基板106の金属板108とほぼ同じ形状およびサイズのものとすることができる。金属板122は、アルミニウム、アルミニウム合金、その他の金属もしくは金属合金、または異なる金属もしくは金属合金の多層スタックを含む。いくつかの実施形態では、金属板122の主目的は、放射体101からMCPCB102内に熱を伝達することであり、金属板122の材料は、温度特性に基づきしかるべく選択される。
【0018】
はんだ材料126は、金属板122を金属板108に接合し、溝124を全体的にまたは部分的に充填することができる。はんだ材料126は、従来のはんだとすることができ、有利には、高い熱伝導率を有するものが選択される。
【0019】
本明細書で説明されている放射体およびMCPCBは、例示的であり、変更形態および修正形態も可能であることは理解される。図1は、縮尺拡大図として意図されているわけではなく、例えば、金属板およびはんだ材料は、放射体またはMCPCBの厚さに関して図よりも薄い(または厚い)ものとしてもよい。電気接点の個数および配置は、図示されているものと異なっていてもよい。放射体106およびMCPCB102によって形成される特定の導電経路は図示されておらず、このような導電経路の詳細は、本発明には重要でないことは理解されるであろう。大きな金属板108および122は、所望の任意のサイズであってよく、このサイズは、放射体の設計に基づき決定される。例えば、金属板108および122は、直径が例えば6mmまたは8mmである円形であってよく、金属板は両方とも同じであるか、またはほぼ同じサイズであってもよい。より大きな、または小さな金属板も使用できる。いくつかの実施形態では、金属板108および122は、熱伝達にのみ使用され、他の構造に電気的に接続される必要はない。しかし、望ましい場合には、金属板108および122は、例えば、接地接続を形成するため、他の構造に電気的に接続される。
【0020】
図2は、本発明の一実施の形態によるMCPCB200(例えば、MCPCB102を実装する)の平面図である。上述のように、MCPCB200は、絶縁層同士の間に挟装されたパターン形成導体の1つまたは複数の層を備えることができ、従来の技術は、これらの層を加工するために使用される。表面202は、さまざまな金属接点(またはパッド)204および放射状の溝210〜215を持つより大きな円形の金属板208を備える。
【0021】
溝210〜215は放射状(またはほぼ放射状)である。すなわち、それぞれの溝は、金属板208の中心のところ、またはその近くに内端を、または金属板208の周辺端部のところ、またはその近くに外端を有する。この特定の例では、溝210〜215の内端は、金属板208の中心のところにあり、したがって溝210〜215は互いに接続されている。外端は、金属板208の周辺端部にまで延在している。図示されている例では、金属板208は平面状であり、均一な厚さ(製作公差内の)を有し、溝210〜215は、金属板208の厚さと同程度の深さを有し、したがって、MCPCB102の表面200の絶縁材料が露出されている。他の実施形態では、溝210〜215は、金属板208の厚さより浅いものとしてもよい。溝210〜215は、金属板208の厚さよりいくぶん深くてもよいが、MCPCB102は、内部金属経路を有することができ、溝210〜215は、溝210〜215がはんだを充填されたときに望ましくない導電経路を形成するほど深いものであってはならない。6つの放射状の溝210〜215が図示されているが、異なる数の溝を使用することができることは理解されるであろう。一実施の形態では、溝210〜215は、幅約0.23mm、深さ0.07mmであり、幅と深さは可変であるものとしてよい。いくつかの実施形態では、溝210〜215の数と幅は、溝210〜215の面積が金属板208の面積の15%以下となるように選択される。
【0022】
金属板208および溝210〜215は、さまざまな方法で加工される。いくつかの実施形態では、MCPCB200は、導電性金属パターンを電気的絶縁または誘電体材料のシート上に印刷し、次いで、印刷されたシート同士を接合して多層回路基板を形成することで作成され、このプロセスは、一般に、本質的に従来の方法であり、詳細な説明は省かれる。いくつかの実施形態では、金属板208は、溝なしで一番上のシート上に印刷され、溝210〜215は、印刷されたシートが融合された後に金属板208の適切な領域から金属を切削または剥離することによって形成される。あるいは、金属板208に対する印刷されたパターンは、溝210〜215を含むことができ、このプロセスの結果一般的に、金属板208の厚さと同程度の深さを有する溝210〜215が形成される。
【0023】
図3Aおよび3Bは、図2の溝210〜215などの溝により達成されるはんだ接合の改善例を示している、図3Aには、溝が設けられていないときのLED放射体上の金属板と従来のMCPCBの対応する金属板との間のはんだ接合部300の簡略化された底面図が示されている。円310は、MCPCBおよび放射体金属板の縁を示している。(図面はわかりやすくするため簡略化されているが、実際の放射体MCPCBアセンブリの類似の図面は、例えば、X線撮像を使用して得られる。)図示されているように、より大きなはんだボイド302が存在しており、はんだ接合部300の面積の20%以上を占めている。
【0024】
図3Bには、LED放射体上の金属板と本発明の一実施の形態により溝がMCPCB上に設けられているMCPCBの対応する金属板との間のはんだ接合部350の対応する図が示されている。円360は、MCPCBおよび放射体金属板の縁を示している。いくつかの小さなはんだボイド352が存在するが、それぞれのボイドは小さく、ボイドの総面積は著しく(接合部面積の15%未満に)縮小されている。図2を参照しつつ上で指摘されているように、溝210〜215は、有利には、金属板208の周囲まで延在させる。図2の実施形態では、溝210〜215は、はんだ付けの際に空気を逃がせる流路を形成し、空気が閉じ込められて大きなはんだボイドを形成することのないようにしている。
【0025】
図3Aおよび3Bに示されている図は、例示的なものである。当業者であれば、はんだ付けプロセスは固有の変動性を有しており、溝付き金属板なしで作られたすべてのはんだ接合部が大きなはんだボイドを有するわけではないことを理解するであろう。一般に、金属板のサイズが増大するにつれ、溝がない場合に、大きなはんだボイドが生じる可能性がより高くなる傾向がある。先に説明されているような溝は、大きなはんだボイドの出現を著しく低減することができる。大量生産が行われる状況下では、溝付き金属板を使用することで、歩留まりが改善され、および/または大きなボイドを除去するためにはんだ付けされた部品を作り直す必要が減じ、したがって生産効率が改善される。
【0026】
溝の配置構成および/または個数は、図2にされているものと異なっていてもよい。図4乃至9は、備えることができる代替的配置構成を例示しており、これらの例は、可能なものを網羅しているわけではないことは理解されるであろう。すべての場合において、MCPCBは、上述のように加工され、図1に示されているように放射体に対する電気的接続性を実現することができる。また、図4乃至9の例示は放射体の対応する金属板にはんだ付けされることが意図されているMCPCBの表面上の大きな金属板のみを示しているけれども、他のパッドおよび構造が存在していることは理解されるであろう。
【0027】
いくつかの実施形態では、溝のいくつかまたはすべてが金属板の中心からゼロでない距離のところにその内端を有する。例示として、図4は、本発明の他の実施形態によるMCPCB400の簡略化された平面図である。図示されているように、MCPCB400は、溝404〜409を持つ大きな円形の金属板402を備えている。電気接点に対する他のパッドも備えることができる(図示せず)。溝404〜409は、金属板402の周辺端部にまで延在するが、図2の溝210〜215とは異なり、溝404〜409は、金属板402の中心で接続されておらず、溝404〜409の内端が金属板402の中心からゼロでない距離のところにある。
【0028】
他の実施形態では、溝のいくつかは、周辺までずっと延在している必要はない。例示として、図5は、本発明の他の実施形態によるMCPCB500の簡略化された平面図である。図示されているように、MCPCB500は、内側にある放射状溝504〜509および外側にある放射状溝514〜519を持つ大きな円形の金属板502を備えている。内側にある放射状溝504〜509の内端は、金属板502の中心において接続し(他の実施形態では、内側にある放射状溝は接続させる必要はない)、金属板502の周への途中である半径(r1)まで延在している。例えば、半径r1は、金属板502の半径の1/2または1/3または2/3とすることができる。この例の外側にある放射状溝514〜519は、半径r1から金属板502の周辺端部まで外向きに延在し、内側にある放射状溝504〜509と角度と方向が揃っていない。この構成では、内側にある溝504〜509は、閉じ込められている空気を比較的小さな空隙内に導くことができ、外側にある溝514〜519は、空気を逃がして、外側領域内の空隙のサイズを縮小することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、内側にある溝と外側にある溝は、内側にある溝が終わる位置の半径方向の距離が外側にある溝が始まる位置の半径方向の距離より大きくなるという意味で、重なり合っていてもよい。図6は、本発明の他の実施形態によるMCPCB600の簡略化された平面図である。図示されているように、MCPCB600は、内側にある放射状溝604〜609および外側にある放射状溝614〜619を持つ大きな円形の金属板602を備えている。内側にある放射状溝604〜609は、金属板602の中心のところで接続しており、第1の半径(r1)まで延在している。外側にある放射状溝614〜619は、第2の半径(r2)から金属板602の周辺端部まで延在している。この例では、r1はr2より大きい。
【0030】
さらに他の実施形態では、溝のいくつかは、中心において接続しているが、他の溝は接続していない。例えば、図7は、本発明の他の実施形態によるMCPCB700の簡略化された平面図である。図示されているように、MCPCB700は、第1の一組の放射状溝704〜709および第2の一組の放射状溝714〜719を持つ大きな円形の金属板702を備えている。溝704〜709は、金属板702のほぼ中心において接続しており、この例では、金属板702の周辺端部まで延在している。溝714〜719は、溝704〜709の間に中間の角度位置に設けられ、中心では接続していない。その代わりに、溝714〜719は、内側半径(r2)から金属板702の周辺端部まで延在している。この配置構成および類似の配置構成で、金属板の中心の近くに高密度の溝を形成することなく金属板の外側領域内の溝の間の空間を縮小することができ、これは、金属板のサイズが大きくなるほど特に有益な場合がある。
【0031】
さらに他の実施形態では、放射状溝は、中心から異なる距離のところで始まり、周辺まで延在するものとしてよく、ただし、溝は中心で接続していない。例えば、図8は、本発明の他の実施形態によるMCPCB800の簡略化された平面図である。図示されているように、MCPCB800は、第1の一組の放射状溝804〜807および第2の一組の放射状溝814〜819を持つ大きな円形の金属板802を備えている。この例の溝804〜807は、半径(r1)から金属板802の周辺端部まで延在している。溝814〜817は、溝804〜807の間に中間の角度位置に設けられ、半径r2から金属板802の周辺端部まで延在している。この例では、r2はr1より大きく、したがって、溝の内端は中心から異なる距離のところにある。他の実施形態では、r2は、r1以下とすることができる。
【0032】
さらに他の実施形態では、放射状溝は正確な放射状の直線に追随する必要はなく、溝のいくつかまたはすべてが、中心の近くから始まり、非半径方向に縁まで延在させる。例えば、図9は、本発明の他の実施形態によるMCPCB900の簡略化された平面図である。図示されているように、MCPCB900は、内端が中心の近くに位置するが、中心からずれており、外端が周辺端部のところにあるほぼ放射状の溝904〜909を持つ大きな円形の金属板902を備えている。それぞれの溝は、半径方向に対してある角度をなす向きにある。
【0033】
さらに他の実施形態では、放射状溝は、まっすぐである必要はなく、それらの溝のいくつか、またはすべてが湾曲していてもよい。例えば、図10は、本発明の他の実施形態によるMCPCB1000の簡略化された平面図である。図示されているように、MCPCB1000は、内端が中心の近くに位置するが、中心からずれており、外端が周辺端部のところにある湾曲した放射状溝1004〜1009を持つ大きな円形の金属板1002を備えている。それぞれの溝は、内端から外端まで湾曲した経路を有する。
【0034】
上記の、または他の溝付き金属板のどれかは、図1の金属板122を形成するために使用することができる。他の実施形態では、放射状溝は、MCPCB金属板122上ではなく放射体101の金属板108上に形成することができる。例えば、銅ベースのMCPCBの場合、放射体金属板上に溝を形成することが望ましいと思われる。一般に、放射体金属板、MCPCB金属板のどれか、または両方の金属板は、本明細書で説明されているように放射状溝(正確に、または一般的に放射状であるものとしてよい)を有することができる。
【0035】
放射体をMCPCBに接合するために、従来のはんだ付けプロセスを使用することができる。例えば、リフロー・プロセスでは、はんだペースト(一般的に、粉末はんだとフラックスを含有する)がMCPCB102の金属板122の表面に、および/または金属板108の底面に施される。はんだペーストを施すときに溝124に特に注意する必要はない。次いで、部品を所望の位置合わせで接触させる。温度を制御しつつアセンブリをオーブンに入れるか、またはホット・プレート上に置いて、はんだをリフローし、そうしてはんだ接合部126を形成する。特定の温度/時間プロファイルは、本発明にとって重要ではなく、従来のプロセスも使用できる。
【0036】
本発明は、特定の実施形態に関して説明しているが、当業者であれば、多くの修正形態が可能であることを理解するであろう。例えば、本明細書に示されている実施形態では、金属板は円形であるが(製作公差の範囲内で)、他の形状でも使用できる。例えば、金属板は、楕円形もしくは多角形(丸い角または尖った角を持つ)であるものとしてよく、「放射状」溝は、中心の近くから始まり、円形、楕円形、または多角形の形状の周辺端部に向かって延在させることができる。溝の数は、図示されているものと異なっていてもよく、また金属板の中心において、またはその近くで接続する溝はまったくないか、またはいくつかあるか、またはすべて接続させていてもよい。異なる溝の内端は、中心から異なる距離のところにあってもよい。本明細書に示されている例では、円対称性の溝の配置構成を有するが(例えば、4重または6重)、溝の配置構成が対称的である必要はない。それに加えて、溝の幅は、その長さにそって変化してもよく、また異なる溝は異なる幅を有していてもよい。
【0037】
それに加えて、前記の例では、溝は、MCPCBの表面上の金属板内に形成される。他の実施形態では、溝は、MCPCBの表面上ではなく放射体基板の底面上の金属板内に形成される。上記のように、与えられた光源アセンブリ内の放射体およびMCPCB上の金属板は、同じサイズおよび形状を有することができ、したがって、MCPCBについて上記に説明されているパターンを放射体の金属板上の溝パターンとして使用することができる。他のパターンも使用してもよい。さらに他の実施形態では、溝は両方の金属板上(つまり、MCPCB上および放射体基板上)に形成してもよい。これらの溝は、溝が存在することによるはんだの厚さのバラツキを低減するために金属板のはんだ付け時に一方の金属板上の溝の位置が他方の金属板上の溝と合わないように配置構成する。
【0038】
したがって、本発明は、特定の実施形態に関して説明されているけれども、本発明は、以下の請求項の範囲内にあるすべての修正形態および等価形態を対象とすることが意図されていることは理解されるであろう。
【符号の説明】
【0039】
100 光源アセンブリ
101 LED放射体
102 金属コアプリント基板(MCPCB)
104 LEDダイ
106 放射体基板
107 底面
108 大きな円形金属板
109 表面
110、112、114 電気接点
115 一次レンズ
116、118、120 電気接点
122 金属板
124 溝
126 はんだ材料
200 MCPCB
202 表面
204 金属接点(またはパッド)
208 より大きな円形の金属板
210〜215 放射状の溝
300 はんだ接合部
302 はんだボイド
310 円
350 はんだ接合部
352 はんだボイド
360 円
400 MCPCB
402 大きな円形の金属板
404〜409 溝
500 MCPCB
502 大きな円形の金属板
504〜509 内側にある放射状溝
514〜519 外側にある放射状溝
600 MCPCB
602 大きな円形の金属板
604〜609 内側にある放射状溝
614〜619 外側にある放射状溝
700 MCPCB
702 大きな円形の金属板
704〜709 第1の一組の放射状溝
714〜719 第2の一組の放射状溝
800 MCPCB
802 大きな円形の金属板
804〜807 第1の一組の放射状溝
814〜819 第2の一組の放射状溝
900 MCPCB
902 大きな円形の金属板
904〜909 ほぼ放射状の溝
1000 MCPCB
1002 大きな円形の金属板
1004〜1009 湾曲した放射状溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光デバイスを支持する放射体基板に接合するためのプリント基板であって、
第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層の表面上の金属板とを備え、
前記金属板はその中に複数の溝を有し、前記溝の少なくともいくつかは、前記金属板の中心から第1の距離のところに内端を、前記金属板の周辺端部のところに外端を有するプリント基板。
【請求項2】
前記第1の絶縁層に平行であり、前記の絶縁層の下にある第2の絶縁層と、
前記第1の絶縁層の底面と前記第2の絶縁層の表面との間に配設された導電性材料の少なくとも1つのパターン層とをさらに備える請求項1に記載のプリント基板。
【請求項3】
前記第1の絶縁層の前記表面上に配設された複数の金属コンタクト・パッドをさらに備え、
前記複数の金属コンタクト・パッドのうちの少なくとも1つは、前記パターン層の前記導電性材料に電気的に接続される請求項2に記載のプリント基板。
【請求項4】
前記金属板は、円形である請求項1に記載のプリント基板。
【請求項5】
前記第1の距離は、ゼロである請求項1に記載のプリント基板。
【請求項6】
前記第1の距離は、ゼロより大きい請求項1に記載のプリント基板。
【請求項7】
前記複数の溝は、金属板の前記中心のところに内端を、前記中心から第2の距離のところに外端を有する少なくとも1つの溝をさらに含み、前記第2の距離は、前記金属板の前記中心から前記金属板の前記周辺端部までの距離より小さい請求項1に記載のプリント基板。
【請求項8】
前記第2の距離は、第1の距離に等しい請求項7に記載のプリント基板。
【請求項9】
前記第2の距離は、第1の距離より小さい請求項7に記載のプリント基板。
【請求項10】
前記複数の放射状溝のすべての各外端は、前記金属板の前記周辺端部のところにある請求項1に記載のプリント基板。
【請求項11】
発光デバイス用の放射体であって、
複数の発光ダイオードを支持するように適合された表面および、底面を有する放射体基板と、
前記放射体基板の前記底面上に配設された金属板とを備え、
前記金属板はその中に複数の溝を有し、前記溝の少なくともいくつかは、前記金属板の中心から第1の距離のところに内端を、前記金属板の周辺端部のところに外端を有する放射体。
【請求項12】
前記金属板は、円形である請求項11に記載の放射体。
【請求項13】
前記第1の距離は、ゼロである請求項11に記載の放射体。
【請求項14】
前記第1の距離は、ゼロより大きい請求項11に記載の放射体。
【請求項15】
前記複数の溝は、金属板の前記中心のところに内端を、前記中心から第2の距離のところに外端を有する少なくとも1つの溝をさらに含み、前記第2の距離は、前記金属板の前記中心から前記金属板の前記周辺端部までの距離より小さい請求項11に記載の放射体。
【請求項16】
発光デバイスであって、
第1の絶縁層および前記第1の絶縁層の表面上の第1の金属板を有するプリント基板と、
複数の発光ダイオードを保持する表面および第2の金属板をその上に有する底面を有する放射体基板と、
前記第1の金属板と前記第2の金属板との間に配設され、前記第1の金属板と前記第2の金属板とに接合されたはんだ層とを備え、
前記第1の金属板はその中に複数の溝を有し、前記溝の少なくともいくつかは、前記第1の金属板の中心から第1の距離のところに内端を、前記第1の金属板の周辺端部のところに外端を有する発光デバイス。
【請求項17】
前記第1および第2の金属板は、円形である請求項16に記載の発光デバイス。
【請求項18】
前記第1の距離は、ゼロである請求項16に記載の発光デバイス。
【請求項19】
前記複数の溝は、金属板の前記中心のところに内端を、前記中心から第2の距離のところに外端を有する少なくとも1つの溝をさらに含み、前記第2の距離は、前記金属板の前記中心から前記金属板の前記周辺端部までの距離より小さい請求項16に記載の発光デバイス。
【請求項20】
前記複数の放射状溝のすべての各外端は、前記金属板の前記周辺端部のところにある請求項16に記載の発光デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−84960(P2013−84960A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−225711(P2012−225711)
【出願日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【出願人】(510323266)エルイーディエンジン・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】