説明

ばね・ダンパーユニット

【課題】自動車で歩行者を跳ねたときに,より高い歩行者保護位置までアクチュエータで持ち上げられるボンネットを速やかに最終的な歩行者保護位置に定位させる。
【解決手段】シリンダ内に減衰ピストンを有するダンパーが配置され,シリンダ内で媒体ガスにより外向きに負荷されたピストンロッド1が,シリンダにおける軸線方向の開口部を貫通してシリンダから突出することにより,ボンネットの開放運動を助勢可能とされている。アクチュエータがセンサ手段に応動してボンネットを歩行者保護位置まで持ち上げ変位させる。ピストンロッドに連結された構造部分又はその支持部分は,ボールヘッド3用の継手ソケット7を有する継手ヘッド6により構成されている。継手ヘッド6は,ピストンロッド1に連結されている。継手ソケット7は軸線方向において溝状に形成されており,これによりボールヘッド3が継手ソケット7内で軸方向に限定的に変位可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,請求項1の前段に記載した特徴を有するばね・ダンパーユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のばね・ダンパーユニットは,例えばドイツ特許第10325351号明細書(特許文献1)に開示されているボンネット開放手段に適用されており,減衰ピストンを有するガス圧ダンパーがシリンダ内に配置され,シリンダ内で媒体ガスにより外向きに負荷されたピストンロッドが,シリンダに設けられている軸線方向の開口部を貫通してシリンダから突出することにより,ボンネットの開放運動を助勢可能としている。ばね・ダンパーユニットは,アクチュエータとしての変位手段を具えている。この変位手段は,歩行者を跳ねたときにセンサ手段に応動して自動車のボンネットをより高い歩行者保護位置まで持ち上げるものである。高い歩行者保護位置まで持ち上げられたボンネットの下側には,ばね及び/又は減衰手段が配置されている。ばね及び/又は減衰手段は,歩行者を跳ねたときに歩行者保護位置を占めるボンネットに対して,弾性力又は減衰力を及ぼすものである。ばね・ダンパーユニットにおけるピストンロッド又はシリンダ又はこれらの少なくとも一方に連結された構造部分は,ばね・ダンパーユニットを支持する支持部分に対してストッパーの相互間で軸線方向に限定的に変位可能とされている。これにより開放手段が,ボンネットの閉鎖位置から歩行者保護位置までの変位の全過程を通じて分離され,したがって全面的に無効とされるものである。このようにして,歩行者を跳ねたときにボンネットを歩行者保護位置まで速やかに持ち上げることが可能である。しかしながら,その際にボンネットは,最終的な歩行者保護位置に定位するまでの過程において,歩行者保護位置を超えて少なくとも1回は上向きに,また少なくとも1回は下向きに振れることが想定される。そして,このようにボンネットが上向き又は下向きに振れている間に歩行者がボンネット上に跳ね上げられると,ボンネット又はその下側に位置するばね及び/又は減衰手段が,跳ねられた歩行者を最適条件下で保護し得なくなる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ドイツ特許第10325351号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術に鑑み,本発明の課題は,独立請求項1及び2の前段に記載した構成を有する既知のばね・ダンパーユニットを前提として,アクチュエータによりボンネットを歩行者保護位置まで持ち上げる際に,ボンネットをより速やかに最終的な歩行者保護位置に定位可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は,独立請求項1及び2に記載した特徴により,効果的に解決することが可能である。更に,本発明の好適な実施形態は従属請求項に記載したとおりである。
【0006】
独立請求項1及び2に共通の特徴として,本発明においては,ばね・ダンパーユニットにおけるピストンロッド,シリンダ,又はこれらの少なくとも一方に連結された構造部分を,ばね・ダンパーユニットを支持する支持部分に対して,ストッパーの相互間で軸線方向に限定的に変位可能とすることによりばね・ダンパーユニットを,ボンネットの閉鎖位置から歩行者保護位置に至る変位経路の初期変位領域内においてのみ分離するものである。初期変位経路の終点において,ピストンロッド,シリンダ,又はこれらの少なくとも一方に連結された構造部分はストッパーに当接することにより,アクチュエータによるボンネットの,歩行者保護位置に向けての更なる持ち上げ変位に際してばね・ダンパーユニットにおけるダンパーを有効化する。ボンネットが歩行者保護位置に向けて更に持ち上げ変位を生じると,ダンパーが即座に減衰機能を発揮し,ボンネットをより速やかに歩行者保護位置に定位させて歩行者を最適条件下で保護し,これにより傷害を軽減し又は完全に回避することができる。この時点において有効化されたダンパーは,歩行者保護位置に対してボンネットを,緩慢ではなく,驚異的な即応性をもって瞬時に定位させるものである。
【0007】
独立請求項1及び2は,ダンパーの遅延させた有効化を可能とするための,実質的に二通りの実施形態に係る構造的特徴を包含する。
【0008】
先ず,独立請求項1に記載した発明においては,ばね・ダンパーユニットにおけるピストンロッド,シリンダ,又はこれらの少なくとも一方に連結された構造部分,あるいは,ばね・ダンパーユニットを支持する支持部分が,継手ソケット内に支持されたボールヘッドにより,又はボールヘッド用の継手ソケットを有する継手ヘッドにより構成され,ボールヘッド又は継手ヘッドがピストンロッド又は前記シリンダに対して少なくとも間接的に連結され,さらに,継手ソケットが軸線方向において溝状に形成されている。したがって,この実施形態では,ばね・ダンパーユニットが無効化されている軸線方向の変位経路が,溝状の継手ソケット内におけるボールヘッドの対応する相対変位によって実現される。そして,この場合におけるボールヘッドの変位範囲は,ボールヘッドが,溝状の継手ソケットにおける互いに逆向きの変位方向での両端領域と協働することによって限定されるものである。
【0009】
他方,独立請求項2に記載した発明においては,ばね・ダンパーユニットにおけるピストンロッド,シリンダ,又はこれらの少なくとも一方に連結された構造部分,あるいは,ばね・ダンパーユニットを支持する支持部分が,継手ソケット内に支持されたボールヘッドにより,又はボールヘッド用の継手ソケットを有する継手ヘッドにより構成され,ボールヘッド又は継手ヘッドが,少なくとも半径方向内方領域で円筒部分形状に形成されてシリンダ又はピストンロッドの円筒部分形状の外周領域に近似しており,継手ヘッド又はボールヘッドにおける少なくとも円筒形状の外周領域に沿って,かつ,シリンダ又はピストンロッドにおける略円筒形状の外周領域に沿って延在して姿勢が維持されたブッシュにより,その姿勢下で,軸線方向に限定的に変位可能に拘束されている。この実施形態では,ばね・ダンパーユニットが無効化されている軸線方向の変位経路が,ボールヘッド又は継手ヘッドと,関連するピストンロッド又はシリンダとの間で,すなわち簡単な構造部分により限定される。かかる構造部分は,単体として例えば他車種用の構造部分との互換性を持たせることができ,その場合には,同一の自動車メーカや異なる自動車メーカにより製造された各種の自動車に対して汎用的に使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態におけるピストンロッドのボールヘッド連結部に沿う線図的な断面図であり,アクチュエータによりボンネットが初期変位を終えた後にダンパーが有効化された状態を示すものである。
【図2】図1と同様な断面図であり,ボンネットが閉鎖されており,アクチュエータ及びダンパーが作用していない状態を示すものである。
【図3】図1及び2に示したボールヘッド連結部の側面図である。
【図4】本発明の第2実施形態において,継手ヘッドをピストンロッドに固定するための固定手段を示す線図的な断面図である。
【図5】図4における継手ヘッドをピストンロッドに対して拘束するための拘束手段を示す断面図である。
【図6】図4における継手ヘッドの側面図である。
【図7】図6に対して継手ヘッドの長手方向軸線周りの異なる角度方向から継手ヘッドにおける継手ソケットを示す説明図である。
【図8】図4に対応する線図的な断面図であり,継手ヘッドがピストンロッドに対する取付け状態でブッシュにより未だ拘束されていない状態を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下,本発明を図示の好適な実施形態について更に詳述する。
【0012】
本発明の第1実施形態に係るばね・ダンパーユニットは,例えば端部領域が自動車のボンネット及び車体(何れも図示せず。)に対してそれぞれ直接的又は間接的に関節連結されるものであり,図示しないシリンダ内に差圧型減衰ピストンを有するガスダンパーが配置されている。この減衰ピストンは,ガス状媒体で圧力負荷された2つの作動スペース間で軸線方向に変位可能とされている。減衰ピストン内又はシリンダ内又は両作動スペースを接続する流路内には,少なくとも1つの絞り開口が形成されている。この絞り開口は,ばね・ダンパーユニットの長さが変化する際にガス状媒体を絞りながら通過させることにより,一方においては,減衰ピストンに結合され,ガス状媒体によりシリンダの軸線方向開口部を貫通して外向きに負荷されたピストンロッド1に対して,また他方においては,シリンダに対して,ばね・ダンパーユニットの長さ変化と逆向きに作用する減衰力を作用させるものである。減衰ピストンには,一側からピストンロッド1が突出しているため,シリンダの両作動スペース内におけるガス状媒体の差圧に基づく力,すなわち,図示の実施形態ではばね・ダンパーユニットの長さを増加させる力が作用する。したがって,減衰ピストンは,ボンネットに対して開放方向に作用することにより,通常時におけるボンネットの開放運動を助勢するガスばねとして機能するものである。
【0013】
第1実施形態において,ばね・ダンパーユニットのピストンロッド1は,支持部2を介してボンネット又は車体に取り付けられる。そのために支持部2はボールヘッド3を具え,ボールヘッド3は回り止めを有する連結ねじ4を介してボンネット又は車体に固定するものである。ピストンロッド1の遊端は,例えば,回り止めを有する更なる連結ねじ5を介して継手ヘッド6に固定され,継手ヘッド6はボールヘッド3用の継手ソケット7が設けられている。継手ソケット7はピストンロッド1の軸線方向で溝状に形成されており,したがって継手ソケット7内でボールヘッド3は,溝状の継手ソケット7の端部領域からピストンロッド1の軸線方向に限定的に変位可能とされている。継手ソケット7内におけるボールヘッド3の変位範囲は,ボンネットがその閉鎖位置から歩行者保護位置に向けて変位する際の初期変位経路に対応しており,この範囲内ではばね・ダンパーユニットにおけるダンパーが実質的に無効とされている。この対応する初期変位経路は,ボンネットが閉鎖位置から歩行者保護位置に向けて変位する際に生じるばね・ダンパーユニットの長さの変化量よりも小さい。アクチュエータによりボンネットが初期変位経路の終点から歩行者保護位置に向けて更に変位すると,ばね・ダンパーユニットにおけるダンパーが有効化されて減衰作用を発現し,ボンネットを驚異的な即時性をもって歩行者保護位置に定位させることができ,その間にボンネットは歩行者保護位置から上向き又は下向きに不所望の振れを生じることはない。その際にボールヘッド3は,恒常的に継手ソケット7の端部領域と当接している。
【0014】
ボールヘッド3を継手ソケット7内に保持するため,図示の実施形態では継手ソケットの開口部領域に溝を形成し,この溝内に半径方向に弾性力を作用させる保持リング(図示せず)を係合させる。
【0015】
次に,図4〜図8に基づいて本発明の第2実施形態を説明する。この場合,第1実施形態における構成要素と同一の,又は対応する構成要素は同一の参照数字で表し,相違する構成要素は異なる参照数字で表している。第2実施形態においても自動車のボンネットは,ばね・ダンパーユニットと,図示しないアクチュエータとを具え,このアクチュエータは,自動車が歩行者を跳ねたときにセンサ手段に応動してボンネットをより高い歩行者保護位置まで変位させ,これによりボンネットで例えば歩行者の頭部や上体を適切に補足可能としたものである。
【0016】
第2実施形態においても,ばね・ダンパーユニットはボンネット及び車体に対して直接的又は間接的に関節連結されるものである。図示しないシリンダ内には,差圧型減衰ピストンを有するガスダンパーが配置されている。シリンダからは,ガス状媒体により外向きに圧力負荷されたピストンロッド1'が軸線方向の開口部を貫通して突出しており,ボンネットの開放運動を助勢可能としている。
【0017】
センサ手段に応動するアクチュエータは,ボンネットをより高い歩行者保護位置まで変位させるものである。センサ手段,アクチュエータ及びボンネットは,いずれも図示を省略した。
【0018】
ばね・ダンパーユニットのシリンダ内で差圧型減衰ピストンに結合されているピストンロッド1'は,ボンネット又は車体に固定された支持部分における,図示しないボールヘッド用の継手ソケット7'を設けた継手ヘッド6'に対して,両側のストッパー相互間で軸線方向に限定的に変位可能とされている。この場合のボールヘッドは,第1実施形態におけるボールヘッドに対応する構成とすることができる。
【0019】
第2実施形態における継手ヘッド6'は,半径方向の内方領域が略半円筒形状に形成され,その内径はピストンロッドの外径と対応している。図8に示すように,継手ヘッド6'を,ピストンロッド1'において対応する直径を有する略円筒形状の外側領域に近似させると,ブッシュ9'を,継手ヘッド6'における円筒形状の外側領域に沿って,更に継手ヘッド6'におけるピストンロッド1'の円筒形状領域8'に沿って,図8の矢印方向で軸線方向に変位させることにより,ブッシュ9'をピストンロッド1'に対する設置状態に保持することが可能である。
【0020】
ピストンロッド1'に対して継手ヘッド6'を軸線方向で固定するため,第2実施形態においては,ピストンロッド1'に半径方向の凹部を形成し,その凹部内に,対応する幅をもって継手ヘッド6'の略半円筒形状領域から半径方向内方に向けて突出するカラー12'を係合させる。
【0021】
設置状態におけるブッシュ9'を軸線方向で固定するため,例えば図4及び図5に示すようにばねリング13'を設け,このばねリング13'を半径方向の弾性をもってブッシュ9'内における受け凹部14'内に離脱不能に係合させると共に,ブッシュ9'が設置状態にある場合に継手ヘッド6'に設けられている支持肩部15'と係合させることができる。
【0022】
本発明は,上述した実施形態とは異なる態様をもって実施することも可能である。かかる変形例を例示すれば,次のとおりである。
(A) ばね・ダンパーユニットにおけるピストンロッド及びシリンダの少なくとも一方に連結された構造部分又はばね・ダンパーユニットを支持する支持部分は,継手ソケット内に支持されたボールヘッドにより,又はボールヘッド用の継手ソケットを有する継手ヘッドにより構成することができる。そのボールヘッド又は継手ヘッドは,ピストンロッド又はシリンダに対して少なくとも直接的に連結することができる。
(B) 継手ソケットは軸線方向で溝状に形成することができ,この場合にはボールヘッドを継手ソケット内で軸線方向に限定的に変位させることが可能である。
(C) ボールヘッド又は継手ヘッドを半径方向内方領域で半円筒形状に形成して,シリンダ又はピストンロッドにおける円筒形状の外側領域に近似させ,継手ヘッド又はボールヘッドにおける円筒部分形状の外周領域に沿って,かつ,シリンダ又はピストンロッドにおける対応する直径とした円筒形状領域に沿って延在して姿勢が維持されたブッシュにより,その姿勢下で,軸線方向に限定的に変位可能に拘束することができる。
(D) アクチュエータによりボンネットを歩行者保護位置まで上向きに変位させる際に,シリンダ又はピストンロッド又はボールヘッド又は継手ヘッド又は前記構造部分の一部を,他の構造部分に設けたストッパーに当接させることもできる。ボンネットをアクチュエータ及び/又はガス圧ばね及び/又は予圧された更なるばねにより歩行者保護位置まで更に変位させる際,ばね・ダンパーユニットにおけるガス圧ダンパーが有効化されてボンネットに減衰力を作用させるため,ボンネットが歩行者保護位置から上向き又は下向きに不所望の振れを生じることはない。
(E) 差圧型減衰ピストンをガス状媒体により圧力負荷された2つの作動スペースの間で軸線方向に変位可能とし,これらの作動スペースは,シリンダ又は減衰ピストン又は料作動スペースを接続する流路に設けた少なくとも1つの絞り開口部を介して互いに接続することができる。
(F) 支持部分は,継手ソケット内に支持されたボールヘッドにより,又はボールヘッド用の継手ソケットが設けられている継手ヘッドにより構成することができ,この場合にボールヘッド又は継手ヘッドは,例えば単独で又は中間部分を介して回り止め状態において保持されるものである。
(G) ボールヘッドは単独で,又は任意の保持手段を介して保持することができる。ボールヘッド又は継手ヘッドは,ピストンロッド又はボンネット又は車体に対して任意の態様で保持することができる。
(H) ブッシュの使用に際して,ブッシュはピストンロッド又はシリンダ又はボールヘッド又は継手ヘッドに対して任意の態様で設置状態に保持することができる。
(I) ブッシュにおける円筒部分形状とした内側領域又は円筒部分形状とした外側領域は,ブッシュ及びボールヘッド又は継手ヘッドの固定に十分な限度において,任意の角度に亘って円周方向に延在させることができる。その際,ボールヘッド又は継手ヘッドはピストンロッドに対して少なくとも直接的に,相対回転可能に又は相対回転不能に固定することができる。
(J) ブッシュは,それぞれ半径方向内側に位置すると共に,軸線方向で互いにずらせて配置された2つの円筒形状内側領域を具える構成とすることができる。この場合,一方の円筒形状内側領域を,ボールヘッド又は継手ヘッドの少なくとも円筒部分形状又は円筒形状の外側領域の外径に適合すると共に,ブッシュにおける他方の円筒形状内側領域をピストンロッドにおける隣接部分の外径に適合させるのが好適である。
(K) ばね・ダンパーユニットの平面的又は空間的な旋回を許容するために継手ソケット内に支持されるボールヘッドは,突部を有し,その突部の中心軸線周りでばね・ダンパーユニットを旋回可能とする継手ヘッドを包含する構成とすることができる。
【符号の説明】
【0023】
1, 1’ ピストンロッド
3 ボールヘッド
4 ねじ部
6, 6’ 継手ヘッド
7,7’ 継手ソケット
9’ ブッシュ
10' 外側領域
11’ 半径方向の凹部
12' カラー
13' ばねリング
14' 受け凹部
15' 支持肩部
16' 内側領域
17' 内側領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のボンネット及び車体に対して直接的又は間接的に連結されるばね・ダンパーユニットであって,シリンダ内に減衰ピストンを有するダンパーが配置され,シリンダ内で媒体ガスにより外向きに負荷されたピストンロッドが,シリンダに設けられている軸線方向の開口部を貫通してシリンダから突出することにより,ボンネットの開放運動を助勢可能とされており,アクチュエータがセンサ手段に応動してボンネットをより高い歩行者保護位置まで変位させ,前記ピストンロッド,前記シリンダ,又はこれらの少なくとも一方に連結された構造部分が,ばね・ダンパーユニットを支持する支持部分に対して,ストッパーの相互間で軸線方向に限定的に変位可能とされているばね・ダンパーユニットにおいて,前記構造部分又は前記支持部分が,継手ソケット(7)内に支持されたボールヘッド(3)により,又はボールヘッド(3)用の継手ソケット(7)を有する継手ヘッド(6)により構成され,該ボールヘッド(3)又は継手ヘッド(6)が前記ピストンロッド(1)又は前記シリンダに対して少なくとも間接的に連結され,前記継手ソケット(7)が軸線方向において溝状に形成され,これにより前記ボールヘッド(3)が前記継手ソケット(7)内で軸線方向に限定的に変位可能とされていることを特徴とするばね・ダンパーユニット。
【請求項2】
自動車のボンネット及び車体に対して直接的又は間接的に連結されるばね・ダンパーユニットであって,シリンダ内に減衰ピストンを有するダンパーが配置され,シリンダ内で媒体ガスにより外向きに負荷されたピストンロッドが,シリンダに設けられている軸線方向の開口部を貫通してシリンダから突出することにより,ボンネットの開放運動を助勢可能とされており,アクチュエータがセンサ手段に応動してボンネットをより高い歩行者保護位置まで変位させ,前記ピストンロッド,前記シリンダ,又はこれらの少なくとも一方に連結された構造部分が,ばね・ダンパーユニットを支持する支持部分に対して,又は該支持部分に少なくとも間接的に連結された中間部分に対して,ストッパーの相互間で軸線方向に限定的に変位可能とされているばね・ダンパーユニットにおいて,前記構造部分又は前記支持部分が,継手ソケット(7')内に支持されたボールヘッド(3)により,又はボールヘッド(3)用の継手ソケット(7')を有する継手ヘッド(6')により構成され,前記ボールヘッド(3)又は前記継手ヘッド(6')が,少なくとも半径方向内方領域で円筒形状に形成されて前記シリンダ又は前記ピストンロッド(1')の略円筒形状の外周領域に近似しており,前記継手ヘッド(6')又は前記ボールヘッド(3)における少なくとも円筒形状の外周領域に沿って,かつ,前記シリンダ又は前記ピストンロッド(1')における略円筒形状の外周領域に沿って延在して姿勢が維持されたブッシュ(9')により,その姿勢下で軸線方向に限定的に変位可能に拘束されていることを特徴とするばね・ダンパーユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のばね・ダンパーユニットにおいて,前記アクチュエータにより前記ボンネットを歩行者保護位置に向けて上向き変位させる際に,前記シリンダ又は前記前記ピストンロッド(1')又は前記ボールヘッド(3)又は前記継手ヘッド又は前記構造部分の領域を他の構造部分(6, 6')におけるストッパーに当接させて,前記アクチュエータにより及び/又はガス圧ばねにより及び/又は更なる予圧されたばねにより前記ボンネットを歩行者保護位置に向けて更に上向き変位させる際に,ばね・ダンパーユニットにおけるガス圧ダンパーを前記ボンネットに減衰的に作用させ,これにより前記ボンネットが歩行者保護位置を超えて上向き及び/又は下向きに振れるのを実質的に阻止することを特徴とするばね・ダンパーユニット。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載のばね・ダンパーユニットにおいて,ダンパーピストンが,ガス状媒体で圧力負荷された2つの作動スペースの間で変位可能な差圧型ダンパーピストンで構成され,これらの作動スペースは絞り開口を介して互いに接続され,該絞り開口は,前記シリンダ内に,又は前記ダンパーピストンに,又は両作動スペースを接続する流路内に形成されていることを特徴とするばね・ダンパーユニット。
【請求項5】
請求項1,3,4の何れか一項に記載のばね・ダンパーユニットにおいて,前記支持部分は,継手ソケット(7, 7')内に支持されたボールヘッド(3),又はボールヘッド用の継手ソケット(7, 7')を有する継手ヘッドであって,ねじ部(4)を具えており,該ねじ部(4)は,前記ボンネット又は前記車体又はこれらの少なくとも一方に連結された中間部分に設けられているねじ内に締結可能であり,かつ,回り止めを介して回転不能に保持されることを特徴とするばね・ダンパーユニット。
【請求項6】
請求項1,3,4,5の何れか一項に記載のばね・ダンパーユニットにおいて,前記ボールヘッド(3)が保持手段,例えば前記継手ソケット(7, 7')の開口部領域内で該継手ソケット(7, 7')内に設けた溝に係合させた保持リングにより該継手ソケット(7, 7')内に保持され,前記ボールヘッド(3)又は前記継手ヘッド(6, 6')が,前記シリンダ又は前記ピストンロッド(1, 1')又はこれらの少なくとも一方に連結された中間部分に設けられているねじに対してねじ締結可能とされていることを特徴とするばね・ダンパーユニット。
【請求項7】
請求項2〜5の何れか一項に記載のばね・ダンパーユニットにおいて,前記ボールヘッド又は前記継手ヘッド(6')を前記ピストンロッド(1')の外端領域で軸線方向に固定するため,前記ボールヘッド又は前記継手ヘッドにおける円筒部分形状の内側領域に半径方向の凹部が形成され,該凹部内に前記ピストンロッドにおける半径方向の突部が係合しており,あるいは前記ピストンロッドに半径方向の凹部(11')が形成され,該凹部内には,前記ボールヘッド又は前記継手ヘッドにおける円筒部分形状の内側領域から半径方向内向きに突出するカラー(12')が係合していることを特徴とするばね・ダンパーユニット。
【請求項8】
請求項2,3,4,5,7の何れか一項に記載のばね・ダンパーユニットにおいて,前記ブッシュ(9')が,それぞれ半径方向内側に位置すると共に,直径を互いに異ならせた2つの略円筒形状を呈する内側領域(16', 17')を具え,その一方の内側領域(16')が,前記ボールヘッド又は前記継手ヘッド(6')の少なくとも円筒部分形状の外側領域(10')の外径に適合すると共に,他方の内側領域(17')が前記ピストンロッド(1')における略円筒形状部分の外径に適合しており,少なくとも円筒部分形状の前記内側領域(16', 17')が,少なくとも部分的に半径方向で対向して,又は軸線方向に隣接させて,又は軸線方向に間隔をおいて並置されていることを特徴とするばね・ダンパーユニット。
【請求項9】
請求項2,3,4,5,7の何れか一項に記載のばね・ダンパーユニットにおいて,前記ブッシュが,それぞれ半径方向内側に位置すると共に,軸線方向で互いにずらせて配置された2つの円筒部分形状の内側領域を具え,その一方の円筒部分形状を有する内側領域が,前記ボールヘッド又は前記継手ヘッドの少なくとも円筒形状の外側領域の外径に適合すると共に,前記ブッシュにおける他方の内側領域が前記ピストンロッドにおける隣接部分の外径に適合していることを特徴とするばね・ダンパーユニット。
【請求項10】
請求項2〜9の何れか一項に記載のばね・ダンパーユニットにおいて,前記ブッシュ(9')はその設置状態において半径方向に弾性を有するばねリング(13')により軸線方向に固定されており,該ばねリングは,前記ブッシュ又は前記ピストンロッド又は前記ボールヘッド又は前記継手ヘッドに設けられた受け凹部(14')内に係合しており,あるいはこれらに形成された支持肩部(15')と係合していることを特徴とするばね・ダンパーユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−246116(P2011−246116A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118064(P2011−118064)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(503219640)シュタビルス ゲーエムベーハー (23)
【氏名又は名称原語表記】STABILUS GMBH
【Fターム(参考)】