説明

ばね成形機及びばね成形方法

【課題】終端側ばね端部の曲げ起こし部分とコイル部の始端部との相対的な位置のばらつきを抑えて、安定した品質性能のコイルばねを製造することが可能なばね成形機及びばね成形方法の提供を目的とする。
【解決手段】本発明では、コイル部Wcを成形した後、コイル部保持ツール92にてコイル部Wcを保持しかつそのコイル部Wcの終端を心金ツール93にて位置決めした状態で、心金ツール93を中心にコイル部Wcと共にツール固定テーブル68を回動することで、コイル部Wcと第2直線部Ws2との間の第2曲げ起こし部Wb2を成形する。つまり、コイルばねW1全体を構成する線材を後続の線材WRから切り離す前に、第2曲げ起こし部Wb2が成形されるので、コイル部Wcの周方向における第1曲げ起こし部Wb1(コイル部Wcの始端部)と第2曲げ起こし部Wb2との相対的な位置のばらつきを従来よりも抑える又は無くすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部の終端からコイル部の中心軸と平行に延びる終端側ばね端部が曲げ起こされたコイルばねを製造するばね成形機及びばね成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来のばね成形機としては、線材送給装置から送給された直線状の線材からコイル部を成形した後、コイル部を第1把持手段で把持しておき、コイルばね全体を構成するコイルばね素材を後続の線材から切り離し、次いで、切り離したコイルばね素材を第1把持手段で把持したまま起こし成形位置まで移送し、次いで、起こし成形位置の第2把持手段によってコイルばね素材を把持し直してから、起こし成形位置にてコイル部と終端側ばね端部との間の曲げ起こし部分を成形するものが知られている。
【特許文献1】特開平11−244974号公報([請求項1]、[0035]〜[0038]、第8図、第22図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上述した従来のばね成形機では、コイル部と終端側ばね端部との間の曲げ起こし部分を成形する前に、コイルばね素材を線材から切り離し、そのコイルばね素材を起こし成形位置まで移送してから、終端側ばね端部の曲げ起こし部分を成形している。そのため、移送中の振動や衝撃、さらには、起こし成形位置で第1把持手段から第2把持手段に把持し直す(受け渡す)ときにコイル部が周方向に回転して、起こし成形位置におけるコイルばね素材の姿勢がコイル部の周方向でばらつく。その結果、終端側ばね端部の曲げ起こし部分とコイル部の始端部との相対的な位置が、コイル部の周方向においてばらつくという問題があった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、終端側ばね端部の曲げ起こし部分とコイル部の始端部との相対的な位置のばらつきを抑えて、安定した品質性能のコイルばねを製造することが可能なばね成形機及びばね成形方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係るばね成形機は、直線状の線材からコイル部を成形してから、コイル部の終端を曲げ起こしてコイル部の中心軸と平行に延びる終端側ばね端部を成形し、コイル部と終端側ばね端部とを有したコイルばねを製造するばね成形機であって、線材送給装置から送給された直線状の線材に衝合して、線材からコイル部を成形する成形ツールと、成形ツールにて成形されたコイル部を保持するためのコイル部保持ツールと、コイル部の終端を位置決めするための心金と、成形ツールとコイル部保持ツールと心金とが固定されたツール固定テーブルと、ツール固定テーブルを回動かつ直動して任意の位置に位置決め制御可能であると共に、コイル保持ツールにてコイル部を保持しかつそのコイル部の終端を心金にて位置決めした状態で心金を中心にツール固定テーブルを回動可能なツール駆動機構とを備えたところに特徴を有する。
【0006】
ここで、本発明における「コイル部の終端」には、「コイル部を構成する線材の湾曲部分の接線方向に延びた直線部」を含まない「コイル部の狭義の終端」と、「コイル部を構成する線材の湾曲部分の接線方向に延びた直線部」を含む「コイル部の広義の終端」とが含まれる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のばね成形機において、コイル部保持ツールには、コイル部を径方向で挟んで対峙した1対の挟持壁と、1対の挟持壁の対向方向と直行する方向でコイル部に宛がわれるコイル側面支持壁とを備えているところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載のばね成形機において、コイル側面支持壁には、コイル部の側面に対応した円弧面が形成され、円弧面には、コイル部を構成する隣り合った線材によってコイル部の外側面に形成された凹凸に係合する凹凸係合部が形成されたところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載のばね成形機において、ツール駆動機構には、ツール固定テーブルを回動駆動させるための回転シャフトが備えられると共に、その回転シャフトの一端部に成形ツールとコイル部保持ツールと心金とが固定されたツール固定テーブルが設けられ、他端部にコイル部保持ツールと心金とが固定されたツール固定サブテーブルが設けられ、ツール固定テーブルに固定されたコイル部保持ツールと、ツール固定サブテーブルに固定されたコイル部保持ツールとのうち、何れか一方に形成された凹凸係合部は右巻きのコイル部の外側面の凹凸と係合するように構成され、他方に形成された凹凸係合部は、左巻きのコイル部の外側面の凹凸と係合するように構成されたところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項2乃至4の何れかに記載のばね成形機において、コイル部が、コイル側面支持壁と反対側で1対の挟持壁の端面から外側に突出するように構成され、コイル部のうち1対の挟持壁の端面から外側に突出した部分に当接しかつツール固定テーブルの回転を許容する押さえ板と、押さえ板をコイル部保持ツールに対して接離可能に往復動させるための補助駆動機構を備えたところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1に記載のばね成形機において、コイル部保持ツールは、コイル部の内側に挿入可能なコイル部挿入シャフトを備えたところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明は、請求項6に記載のばね成形機において、コイル部挿入シャフトの外面には、コイル部を構成する隣り合った線材によってコイル部の内側面に形成された凹凸に係合する凹凸係合部が形成されたところに特徴を有する。
【0013】
請求項8の発明に係るばね成形方法は、直線状の線材からコイル部を成形してから、コイル部の終端を曲げ起こしてコイル部の中心軸と平行に延びる終端側ばね端部を成形し、コイル部と終端側ばね端部とを有したコイルばねを製造するばね成形方法であって、線材を成形するための成形ツールと、コイル部を保持するためのコイル部保持ツールと、コイル部の終端を位置決めするための心金とをツール固定テーブルに固定して備え、そのツール固定テーブルを回動かつ直動して任意の位置に位置決め制御可能なツール駆動機構を設けておき、線材を成形ツールによってコイル部に成形したあと、コイル保持ツールにてコイル部を保持しかつそのコイル部の終端を心金にて位置決めした状態で、心金を中心にコイル部と共にツール固定テーブルを回動して、コイル部と終端側ばね端部との間の曲げ起こし部分を成形するところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0014】
[請求項1,2,6,8の発明]
上記のように構成した請求項1及び8に係る発明によれば、線材を成形ツールによってコイル部に成形したあと、線材を切断せず続けて、コイル部と終端側ばね端部との間の曲げ起こし部分を成形する。
【0015】
ここで、成形ツールは、ツール固定テーブルに固定されており、そのツール固定テーブルには、成形ツールの他に心金とコイル部保持ツールとが固定されている。ツール固定テーブルは、ツール駆動機構によって回動及び直動されて任意の位置に位置決め制御可能となっており、ツール固定テーブルに固定された心金とコイル部保持ツールとを、任意の位置に位置決め制御することで、コイル部と終端側ばね端部との間の曲げ起こし部分が以下のようにして成形される。
【0016】
即ち、成形ツールによってコイル部を成形した後、コイル部保持ツールにてコイル部を保持しかつそのコイル部の終端を心金にて位置決めした状態で、心金を中心にコイル部と共にツール固定テーブルを回動する。すると、コイル部とその終端に後続の線材との間が心金に沿って(倣って)折り曲げられて、コイル部と終端側ばね端部との間の曲げ起こし部分が成形される。
【0017】
このように、本発明のばね成形機及びばね成形方法によれば、コイルばね全体を構成する線材を後続の線材から切り離す前に、コイル部と終端側ばね端部との間の曲げ起こし部分とが成形されるから、終端側ばね端部の曲げ起こし部分とコイル部の始端部との相対的な位置のばらつきを従来よりも抑える又は無くすことができ、安定した品質性能のコイルばねを製造することが可能となる。
【0018】
ここで、コイル部保持ツールは、コイル部を径方向で挟んで対峙した1対の挟持壁と、1対の挟持壁の対向方向と直行する方向でコイル部に宛がわれるコイル側面支持壁と備えて、コイル部を外側から保持する構成でもよいし(請求項2の発明)、コイル部の内側に挿入可能なコイル部挿入シャフトを備えて、コイル部を内側から支持する構成としてもよい(請求項6の発明)。
【0019】
[請求項3及び4の発明]
請求項3の発明によれば、コイル側面支持壁の円弧面に形成された凹凸係合部が、コイル部の隣り合った線材によってコイル部の外側面に形成された凹凸に係合するので、コイル部保持ツールに保持されたコイル部は、その中心軸方向への移動が禁止される。
【0020】
ここで、コイル部の隣り合った線材によってコイル部の外側面に形成された凹凸は、コイル部が左巻きの場合と、コイル部が右巻きの場合とで形状が異なる。これに対し、請求項4の発明によれば、ツール固定テーブルとツール固定サブテーブルとを備え、それらに右巻きのコイル部用の凹凸係合部を備えたコイル部保持ツールと、左巻きのコイル部用の凹凸係合部を備えたコイル部保持ツールとを固定したので、コイル部の巻回方向が右巻きと左巻きの何れの場合であっても、その外側面の凹凸を何れか一方のコイル部保持ツールの凹凸係合部と係合させることができる。
【0021】
[請求項5の発明]
請求項5の発明によれば、コイル部保持ツールにコイル部が保持されたときに1対の挟持壁の端面からコイル部の側面が外側に突出し、その突出した部分には押さえ板が当接する。この状態でツール固定テーブルを回動させた場合、コイル部の側面が押さえ板に摺接することで、押さえ板に対するツール固定テーブルの相対回転が許容される。そして、コイル部がコイル部保持ツールと押さえ板との間で挟んで保持されるので、コイル部の径方向への移動が禁止される。これにより、コイル部保持ツールからのコイル部の脱落を防ぐことができる。
【0022】
[請求項7の発明]
請求項7の発明によれば、コイル部挿入シャフトの外面に形成された凹凸係合部が、コイル部の隣り合った線材によってコイル部の内側面に形成された凹凸に係合するので、コイル部保持ツールに保持されたコイル部は、その中心軸方向への移動が禁止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
[第1実施形態]
以下、本発明に係るばね成形機100の第1実施形態を、図1〜図15に基づいて説明する。図1に示すように、ばね成形機100は基台10の上部に線材送給装置11を備え、基台10の前面壁10Aにツール駆動機構20が取り付けられている。
【0024】
線材送給装置11は基台10の上部に一体に設けられた箱形の装置筐体12を備え、その装置筐体12の内側に線材WRを送り出す線材送出機構(図示せず)が収容されると共に、装置筐体12の前面に切断ツール94や押さえ板ツール95を直動させる補助ツール駆動機構12A,12Bが設けられている。
【0025】
線材送出機構は、線材WRを挟持して送り出す少なくとも一対の線材送りローラと、この線材送りローラを駆動するサーボモータおよびその動力を線材送りローラに伝達する歯車機構とを備え、装置筐体12の前面には、線材送りローラにより送り出される線材WRを挿通して前方へと案内するクイル13が取り付けられている。本実施形態における線材WRは、例えば断面円形であり、クイル13には、線材WRの断面形状に対応した断面円形の線材挿通孔13Aが貫通形成されている(図3参照)。線材WRは、この線材挿通孔13Aを通って前方の成形空間R1へと送給される。また、クイル13により線材WRの側方への移動が規制され、線材WRは成形空間R1だけに送給される。ここで、クイル13は、装置筐体12の前面で線材挿通孔13Aを回転軸として回動可能となっている。
【0026】
補助ツール駆動機構12A,12Bは、装置筐体12の前面でクイル13を挟んだ上下に設けられており、クイル13からの線材WRの送給方向に直交する鉛直方向で各ツール94,95を直動可能としている。装置筐体12内には、これらの補助ツール駆動機構12A,12Bを駆動する図示しないサーボモータおよびその動力を補助ツール駆動機構12A,12Bに伝達する歯車機構とが設けられている。そして、線材送出機構と補助ツール駆動機構12A,12Bの各サーボモータは、図示しないNC制御部によって制御される。
【0027】
即ち、切断ツール94を直動させる補助ツール駆動機構12Aは、線材WRからコイルばねW1を成形している間、切断ツール94を成形空間R1の下方へ退避させており、コイルばねW1の成形が完了した後で、切断ツール94を上昇させて成形空間R1に進入させて、コイルばねW1を後続の線材WRから切り離す。
【0028】
押さえ板ツール95は下端部が水平な平板状をなしており、補助ツール駆動機構12Bは、コイルばねW1の成形過程における所定のタイミングで押さえ板ツール95を成形空間R1の上方から進退させる。なお、押さえ板ツール95は本発明の「押さえ板」に相当し、補助ツール駆動機構12Bは、本発明の「補助駆動機構」に相当する。押さえ板ツール95の作用については後に説明する。
【0029】
ツール駆動機構20は、複数のツール90〜93が固定されたツール固定テーブル68を、線材送給方向に対して鉛直方向で直交したY軸方向と、線材送給方向と水平方向で直交したX軸方向と、線材送給方向と平行かつ水平なZ軸方向とに直動させると共に、線材送給方向と平行かつ水平な第1回転軸J1回りと、その第1回転軸J1と直交した第2回転軸J2回りに回転させるように構成されており、ツール固定テーブル68と共に各ツール90〜93を任意の位置に位置決め可能となっている。
【0030】
以下、ツール駆動機構20について詳説すると、基台10の前面壁10Aには、Y軸移動台21が取り付けられている。Y軸移動台21は、前面壁10Aと平行な側板21Aと、側板21Aの上辺に直交した水平な天板21Bとを一体に備えた断面L字形をなしており、それら側板21Aと前面壁10Aとの間には、Y軸移動台21をY軸方向に直動させるためのY軸直動機構30が設けられている。より具体的には、基台10の前面壁10AにはY軸架台31が取り付けられており、このY軸架台31の前面で図2における左右方向の中央部には、ボールねじシャフト34Aがその軸線を鉛直方向に向けた状態で取り付けられている。Y軸架台31の前面には、1対の軸受台32,33が上下に離して設けられており、これら軸受台32,33のころがり玉軸受によって、ボールねじシャフト34Aの両端部が回動可能に支持されている。
【0031】
ボールねじシャフト34Aの下端部には、Y軸架台31の前面に固定されたY軸サーボモータ35の出力軸が、継手36を介して連結されている。ボールねじシャフト34Aのうち、軸受台32,33で挟まれた部分にはボールねじナット34Bが螺合されており、Y軸サーボモータ35の駆動によりボールねじナット34Bが上下に直動可能になっている。
【0032】
図2に示すように、Y軸架台31の前面のうちボールねじシャフト34Aの左右両側位置には、ボールねじシャフト34Aと平行に直進案内レール37A,37Aが取り付けられている。各直進案内レール37A,37Aには、それぞれ2個ずつスライダ37B,37Bが移動可能に係合されている(図1参照)。そして、ボールねじナット34Bと各直進案内レール37A,37Aに係合した2個ずつのスライダ37B,37Bとが、Y軸移動台21の側板21Aに固定され、このY軸移動台21がY軸サーボモータ35により、線材送給方向(図1の左方向)に対して鉛直方向で直交したY軸方向に直動される。なお、Y軸移動台21は、側板21Aと天板21Bの間に渡された三角壁21R,21Rによって補強されている。
【0033】
Y軸移動台21の天板21Bの上面にはX軸移動台22が取り付けられており、天板21BとX軸移動台22との間には、X軸移動台22をX軸方向に直動させるためのX軸直動機構40が設けられている。より具体的には、Y軸移動台21の天板21Bの上面で、図1における左右方向の中央部には、ボールねじシャフト44Aがその軸線を線材送給方向と直交した水平方向に向けた状態で取り付けられている。図2に示すように、天板21Bの上面には、1対の軸受台42,43が線材送給方向と直交した水平方向に離して設けられており、これら軸受台42,43のころがり玉軸受によってボールねじシャフト44Aの両端部が回動可能に支持されている。
【0034】
ボールねじシャフト44Aの一端部(図2における左端部)には、天板21Bに固定されたX軸サーボモータ45の出力軸が、継手46を介して連結されている。ボールねじシャフト44Aのうち、軸受台42,43に挟まれた部分にはボールねじナット44Bが螺合されており、X軸サーボモータ45の駆動により、ボールねじナット44Bが線材送給方向と直交した水平方向(図2に示す左右方向)に直動可能になっている。
【0035】
図1に示すように、天板21B上面のうち、ボールねじシャフト44Aを挟んだ両側位置には、1対の敷居21C,21Cがボールねじシャフト44Aと平行に延びている。これら各敷居21C,21Cは天板21Bの上面から突出しており、各敷居21C,21Cの上面には直進案内レール47A,47Aが固定されている。各直進案内レール47A,47Aには、それぞれ2個ずつのスライダ47B,47Bが移動可能に係合されている(図2参照)。そして、ボールねじナット44Bと2個ずつのスライダ47B,47BとがX軸移動台22の下面に固定され、このX軸移動台22が、X軸サーボモータ45により線材送給方向と水平に直交するX軸方向に直動される。
【0036】
X軸移動台22の上面には、ツール固定テーブル68を備えたメインボディ60が取り付けられており、X軸移動台22とメインボディ60との間には、メインボディ60をZ軸方向に直動させるためのZ軸直動機構50が設けられている。より具体的には、X軸移動台22の上面で、図2における左右方向の中央部には、ボールねじシャフト54Aがその軸線を線材送給方向と平行な水平方向に向けた状態で取り付けられている。図1に示すように、X軸移動台22の上面には、軸受台52,53が線材送給方向と平行な水平方向に離して設けられており、これら軸受台52,53のころがり玉軸受によってボールねじシャフト54Aの両端部が回動可能に支持されている。
【0037】
ボールねじシャフト54Aのうち、線材送給装置11とは反対側の端部(図1における左端部)には、X軸移動台22に固定されたZ軸サーボモータ55の出力軸が、継手56を介して連結されている。ボールねじシャフト54Aのうち、軸受台52,53に挟まれた部分にはボールねじナット54Bが螺合されており、Z軸サーボモータ55の駆動により、ボールねじナット54Bが線材送給方向と平行かつ水平なZ軸方向に直動可能になっている。
【0038】
X軸移動台22のうち、ボールねじシャフト54Aを挟んだ両側位置(図2の左右両側)には、直進案内レール57A,57Aが、ボールねじシャフト54Aと平行に設けられている。各直進案内レール57A,57Aには、それぞれ2個ずつのスライダ57B,57Bが移動可能に係合されている。そして、ボールねじナット54Bと2個ずつのスライダ57B,57Bとが、メインボディ60の下面に固定され、このメインボディ60はZ軸サーボモータ55によりZ軸方向に直動可能となっている。
【0039】
つまり、上述したY軸直動機構30、X軸直動機構40及びZ軸直動機構50により、メインボディ60とツール固定テーブル68は互いに直交する3軸(X,Y,Z軸)方向に直動可能となっている。また、ツール固定テーブル68は、以下に説明する第1回転機構71及び第2回転機構72によって互いに直交する第1回転軸J1及び第2回転軸J2回りに回転可能になっている。
【0040】
第1回転機構71の構成は以下の通りである。即ち、図3に示すように、メインボディ60には、線材送給方向と平行に延びた円筒シャフト61がベアリング61B,61Bによって回転可能に支持されている。円筒シャフト61のうちクイル13側の端部には、回転ヘッド63が固定され、その反対側の端部には平ギヤ61Gが一体に固定されている。メインボディ60のうち、クイル13とは反対側の後面には、第1回転機構71の駆動源である第1回転軸サーボモータ71Mが取り付けられ、その第1回転軸サーボモータ71Mの出力回転軸と円筒シャフト61との間が、減速機71D及び平ギヤ71G,61Gを介して連結されている。これらにより第1回転機構71が構成されており、第1回転軸サーボモータ71Mによって円筒シャフト61が回転駆動されると、回転ヘッド63が線材送給方向と平行かつ水平な第1回転軸J1(円筒シャフト61)を中心にして連動回転する。
【0041】
第2回転機構72の構成は以下の通りである。即ち、図3に示すように円筒シャフト61の内側には、インナーシャフト62が挿通されている。インナーシャフト62は、円筒シャフト61の両端に嵌合されたベアリング62B,62Bにより、円筒シャフト61に対して相対回転可能に支持されている。また、回転ヘッド63のうち、第1回転軸J1から外側にオフセットした(円筒シャフト61の回転中心から外側にずれた)外縁部からはクイル13に向かって旋回支持台65が突出している。そして、回転ヘッド63の内部には、第1回転軸J1と直交する軸回りに回転する第1中継シャフト64が備えられ、旋回支持台65の内部には、第1中継シャフト64と平行な軸回りに回転する第2中継シャフト66と従動シャフト67とが備えられている。
【0042】
インナーシャフト62と第1中継シャフト64との間は、1対のベベルギヤ62G,64G1により連結されており、第1中継シャフト64と第2中継シャフト66との間は、旋回支持台65の内部で平ギヤ64G2,66Gにより連結され、さらに、第2中継シャフト66と従動シャフト67との間は、旋回支持台65の内部で平ギヤ66G,67Gにより連結されている。
【0043】
図3に示すようにメインボディ60の後面側で、第1回転軸サーボモータ71Mの上方位置には、第2回転機構72の駆動源である第2回転軸サーボモータ72Mが取り付けられている。第2回転軸サーボモータ72Mは、インナーシャフト62と同軸線上に取り付けられ、その第2回転軸サーボモータ72Mの出力回転軸とインナーシャフト62の一端部とが減速機72Dを介して連結されている。これらにより第2回転機構72が構成され、第2回転軸サーボモータ72Mがインナーシャフト62を回転させると、回転ヘッド63の内部で第1及び第2中継シャフト64,66が連動回転し、第1回転軸J1と直交する第2回転軸J2(従動シャフト67)を回動中心にして連動回転する。
【0044】
従動シャフト67は旋回支持台65を貫通して第1回転軸J1(回転ヘッド63の回転中心)側に突出しており、その突出端部には、ツール固定テーブル68が固定されている。つまり、ツール固定テーブル68は、回転ヘッド63及び旋回支持台65と共に第1回転軸J1を中心として回転駆動されかつ、従動シャフト67を中心として第1回転軸J1と直交した第2回転軸J2回りに回転駆動される。
【0045】
ツール固定テーブル68は、図4(A)に示すように、例えば平面形状が円形をなし、その裏面の中心に従動シャフト67の突出端部が固定されると共に、第1回転軸J1側(図3における上方)を向いたツール固定面68Pに全てのツール90〜93が固定されている。
【0046】
ばね成形機100には、上記各サーボモータ35,45,55,71M,72MをNC制御するNC制御部(図示せず)が備えられている。このNC制御部がNCプログラムを実行することで、図5に示すコイルばねW1が製造される。即ち、Y軸,X軸,Z軸の各移動機構30,40,50及び、第1及び第2回転機構71,72によってツール固定テーブル68が任意の位置に位置決めされ、成形空間R1にて線材WRと当接するツール90〜93が順次変更される。これにより、成形空間R1に送給された直線状の線材WRが、第1フック部Wf1から第2フック部Wf2に向かって順番に成形されて、図5に示すコイルばねW1が成形され、第2フック部Wf2の成形後に、切断ツール94によってコイルばねW1を後続の線材WRから切り離す。以下、このNCプログラムを繰り返し実行することで、線材WRからコイルばねW1が連続的に製造される。
【0047】
ここで、コイルばねW1は、線材WRを巻回してなる右巻きのコイル部Wcの始端及び終端から、第1直線部Ws1及び第2直線部Ws2とが曲げ起こされてコイル部Wcの中心軸と平行に延び、さらに、第1直線部Ws1及び第2直線部Ws2の先端には、それぞれ第1フック部Wf1と第2フック部Wf2とが設けられている。ここで、第2直線部Ws2とそれに続く第2フック部Wf2とが、本発明の「終端側ばね端部」に相当する。
【0048】
このコイルばねW1を成形するために使用される各ツール90〜95のうち、ツール固定テーブル68に固定されたツール90〜93について、図4を参照しつつ説明する。ツール90は、コイルばねW1のうち、主に第1及び第2フック部Wf1,Wf2やコイル部Wcなどの湾曲部分を成形するためのツールである。ツール90はツール固定テーブル68の中央部から径方向外側に延びかつ先端部分がツール固定テーブル68の側方に突出している。図4(A)に示すように、ツール90の先端部は、第2回転軸J2方向から見た平面形状が直角三角形状をなしており、直角三角形の斜辺に相当する斜面には線材WRと衝合しかつ案内するための線材摺接溝90Aが形成されている。
【0049】
ツール91は、主に第1直線部Ws1とコイル部Wcの始端との間を直角曲げして、第1曲げ起こし部Wb1を成形するためのツールである。ツール91は、ツール固定テーブル68の中央部からツール90とは反対方向に向かって延びかつ先端部がツール固定テーブル68の側方に突出している。ツール91の先端寄り部分には段差面91Aが設けられており、その段差面91Aより先端側が高台部91Bになっている。なお、高台部91Bには、ツール91の長手方向に延びた線材保持溝91Cが陥没形成されている。
【0050】
ツール93は、次述するツール92にてコイル部Wcが保持された状態でコイル部Wcの終端を位置決めし、ツール固定テーブル68と共にコイル部Wcを第2回転軸J2で回転移動させたときに、ツール92と協働してコイル部Wcと第2直線部Ws2との間の第2曲げ起こし部Wb2を成形するためのツールである。ツール93は、ツール固定テーブル68の回転中心から直角に起立した円柱状をなしている。即ち、ツール93は第2回転軸J2(従動シャフト67)と同軸線上に立設されている。
【0051】
ツール92は、コイル部Wcを径方向外側から保持してツール固定テーブル68と共に第2回転軸J2回りに回転移動させ、前記ツール93と協働して第2曲げ起こし部Wb2を成形するためのツールである。ツール92は、ツール固定テーブル68の回転中心よりツール91側に偏在して設けられている。図4(B)及び図12に示すように、ツール92は、ツール固定テーブル68のツール固定面68Pから起立しかつツール91と平行に延びた1対の挟持壁92A,92Aを備えている。さらに、ツール92は、1対の挟持壁92A,92Aのちょうど中間で挟持壁92A,92Aと平行な中間線L2が、ツール固定テーブル68の回転中心を通りかつ挟持壁92A,92Aと平行な基準線L1に対して、所定の寸法Q1だけ平行にずれた位置になるように配置されている。詳細には、中間線L2が基準線L1に対して、ツール93の半径と線材WRの半径とを合計した寸法Q1分だけ、第2曲げ起こし部Wb2を成形する際のツール固定テーブル68の回転方向(図4(A)における時計回り方向)の後方側(図4(A)における下方、図12における右方向)に平行にずれた位置になるように配置されている。
【0052】
挟持壁92A,92Aのうちツール固定面68P寄り部分は、コイル側面支持壁92Eで繋がれている。コイル側面支持壁92Eには、コイル部Wcの外側面に対応した円弧面92Cが形成されており、コイル部Wcの外径より僅かに大きな距離で離れた1対の挟持壁92A,92Aの両対向面間が、円弧面92Cによって連続して断面略U字形のコイル部受容溝92Bが形成されている。コイル部受容溝92Bのうち、1対の挟持壁92A,92Aの両対向面と円弧面92Cとの境界部分は傾斜面となっており、コイル部Wcがスムーズに円弧面92Cに入るようになっている。
【0053】
円弧面92Cには凹凸係合部92Dが形成されている。凹凸係合部92Dは、例えば、右巻きのコイル部Wcの隣り合った線材によってコイル部Wcの外側面に形成された凹凸と係合するように構成されており、コイル部受容溝92Bにコイル部Wcを受容したときに、そのコイル部Wcが軸方向へ移動することが禁止されている。ここで、コイル部受容溝92Bの深さは、コイル部Wcの直径より小さくなっており、コイル部受容溝92Bにコイル部Wcが受容されたとき、コイル部Wcの外側面が1対の挟持壁92A,92Aの先端面から外側に突出するように構成されている(図11及び図12参照)。
【0054】
以下、これらツール90〜93を区別する場合には、「湾曲ツール90」、「折曲げツール91」、「コイル部保持ツール92」、「心金ツール93」という。また、湾曲ツール90と折曲げツール91は、本発明の「成形ツール」に相当し、心金ツール93は本発明の「心金」に相当する。
【0055】
以上が、本実施形態のばね成形機100の構成に関する説明であり、次に、このばね成形機100によるコイルばねW1の成形方法について図6〜図14を参照しつつ説明する。
【0056】
まず、各ツール固定テーブル68に備えた各ツール90〜93と、切断ツール94及び押さえ板ツール95を成形空間R1から後退した退避位置に配置しておき、線材送給装置11から所定長さ分の線材WRを成形空間R1に送給する。
【0057】
次に、ツール固定テーブル68のツール固定面68PをX軸方向に向けかつ湾曲ツール90をクイル13(成形空間R1)側に向けた状態で、Z軸直動機構50によりツール固定テーブル68を成形空間R1に向けて前進させる。
【0058】
次いで、ツール固定テーブル68を第2回転軸J2で回動させて、クイル13から突出した線材WRに湾曲ツール90の斜面を押し付ける。すると、クイル13から突出した線材WRが下方に曲げられる。
【0059】
次に、湾曲ツール90の斜面に線材WRを衝合させた状態で、線材WRを所定長さ分送給する。すると、図6(A)に示すように、線材WRが湾曲ツール90の線材摺接溝90Aに案内されて円弧状に塑性変形され、コイルばねW1における第1フック部Wf1が成形される。
【0060】
次に、ツール固定テーブル68をZ軸方向に後退させて各ツール90〜93を退避位置にしておき、その状態で、第1直線部Ws1の長さ分だけ線材WRを送給する。これにより、第1フック部Wf1に連続させて第1直線部Ws1が設けられる(図6(B)参照)。
【0061】
次に、ツール固定テーブル68を第2回転軸J2で180度回転させて、折曲げツール91をクイル13側に向けておき、図7(A)から同図(B)への変化に示すように、線材送給方向と直交した水平方向(X軸方向)から折曲げツール91を第1直線部Ws1に押し付けながら、線材送給装置11から線材WRを設定量送給する。すると、第1直線部Ws1の後端が略直角に湾曲して、コイルばねW1における第1曲げ起こし部Wb1が成形されると共に、第1直線部Ws1が線材送給方向と略直交した状態となる。なお、図7(A)では、説明の便宜のため、コイル部保持ツール92のみ2点鎖線で示してある。
【0062】
次に、ツール固定テーブル68をZ軸方向に後退させて各ツール90〜93を退避位置とし、そこでツール固定テーブル68を第2回転軸J2で180度回転させて、湾曲ツール90をクイル13側に向ける。その状態でツール固定テーブル68をZ軸方向に前進させ、湾曲ツール90の線材摺接溝90Aをクイル13の真正面(線材送給方向の前方)位置で待機させる。
【0063】
次に、線材送給装置11から線材WRを送給し、その線材WRを湾曲ツール90の線材摺接溝90Aに衝合させる。すると、図8(A)から同図(B)さらに図9への変化に示すように、線材WRが線材送給方向とは直交した(X軸方向と平行な)巻回軸で、右巻きのコイル状に巻回される。これにより、第1曲げ起こし部Wb1を介して第1直線部Ws1に連続しかつ第1直線部Ws1と平行な中心軸を有する右巻きのコイル部Wcが成形される。
【0064】
次に、ツール固定テーブル68をZ軸方向に後退させて各ツール90〜93を退避位置とし、そこでツール固定テーブル68を第2回転軸J2で90度回転させると共に、回転ヘッド63を第1回転軸J1で90度回転させて、ツール固定面68Pを上向きにすると共に、コイル部保持ツール92のコイル部受容溝92BをX軸方向、即ち、コイル部Wcの中心軸と平行な状態にする。
【0065】
また、ツール固定テーブル68が上記した姿勢変更動作を行っている間に、線材送給装置11は、所定の長さ分の線材WRを成形空間R1に送給して、コイル部Wcの終端に連続しかつ直線状に延びた第2直線部Ws2を設けておく。この時点で第2直線部Ws2は、コイル部Wcの中心軸に対して直角となっている。
【0066】
次に、ツール固定テーブル68をZ軸方向に前進させて、コイル部保持ツール92をコイル部Wcの真下位置に待機させる(図10参照)。
【0067】
次に、図11(A)に示すように、ツール固定テーブル68をY軸方向に上昇させて、コイル部Wcの下方からコイル部保持ツール92を近づけ、コイル部受容溝92Bにコイル部Wcを受容させると共に、コイル部Wcの上方から押さえ板ツール95を下降させて、これらコイル部保持ツール92と押さえ板ツール95との間でコイル部Wcを上下方向で挟んで保持する(図12参照)。
【0068】
このとき、心金ツール93の先端が押さえ板ツール95に形成された支持孔95Aに挿入され、心金ツール93の軸方向の両端が、押さえ板ツール95とツール固定テーブル68とで両持ち支持される。
【0069】
また、コイル部受容溝92Bにコイル部Wcが受容されたとき、コイル部Wcに後続した第2直線部Ws2が、心金ツール93とコイル部保持ツール92との間の隙間に通されて、コイル部Wcの終端が心金ツール93によって位置決めされる。
【0070】
次に、図11(A)から図11(B)への変化に示すように、ツール固定テーブル68を第2回転軸J2で約90度回転させて、コイル部Wcの中心軸が線材送給方向と平行になるようにコイル部Wcを回転移動させると共に、線材送給装置11から、線材WRを設定量送給する。すると、コイル部Wcの終端に心金ツール93が押し付けられ、その心金ツール93に沿って(倣って)第2直線部Ws2がコイル部Wcから略直角に曲げ起こされる。即ち、コイル部Wcと第2直線部Ws2との間に略直角に湾曲した第2曲げ起こし部Wb2が成形され、第2直線部Ws2がコイル部Wcの中心軸と平行になる。
【0071】
ここで、コイル部保持ツール92と押さえ板ツール95との間でコイル部Wcを上下方向で挟んで保持しているから、第2曲げ起こし部Wb2を成形する過程で、コイル部Wcがコイル部保持ツール92から脱落することが防がれる。また、コイル部Wcの隣り合った線材によってコイル部Wcの外側面に形成された凹凸が、コイル部保持ツール92の円弧面92Cに形成された凹凸係合部92Dと係合しているので、第2曲げ起こし部Wb2を成形する過程で、コイル部Wcがその中心軸方向へ移動することが防がれる。
【0072】
第2曲げ起こし部Wb2の成形が完了したら、図13に示すように、ツール固定テーブル68と押さえ板ツール95とを上下に離すように直動させて、コイル部Wcの保持を解除する。
【0073】
次に、ツール固定テーブル68を第1回転軸J1及び第2回転軸J2回りに回転させて、ツール固定テーブル68のツール固定面68PがX軸方向を向きかつ湾曲ツール90がクイル13側を向いた状態にし、その状態でツール固定テーブル68をZ軸方向で前進させる(図14(A)参照)。そして、図14(A)から同図(B)への変化に示すように、ツール固定テーブル68をY軸方向に下降させて湾曲ツール90をクイル13から突出した線材WRに衝合させると共に、線材WRを設定量送給する。すると、第2直線部Ws2と第2フック部Wf2との間の湾曲部が成形される(図14(B)参照)。
【0074】
そして、第2直線部Ws2と第2フック部Wf2との間の湾曲部を、湾曲ツール90の線材摺接溝90Aに衝合させ押し曲げした状態で、線材WRを所定長さ分送給することで、図14(B)から図15への変化に示すように、第2直線部Ws2に後続の線材WRが円弧状に塑性変形され、第2直線部Ws2に連続した第2フック部Wf2が成形される。以上で、コイルばねW1の全体が成形される。
【0075】
最後に、ツール固定テーブル68を後退させて各ツール90〜93を成形空間R1から退避させ、その状態で、切断ツール94を成形空間R1に進入させて、コイルばねW1を後続の線材WRから切り離す。
【0076】
以上の一連の動作で1つのコイルばねW1が製造され、この一連の動作を繰り返すことで、コイルばねW1が連続的に製造される。なお、上記説明では、クイル13の動作については説明しなかったが、成形途中のコイルばねや、各ツール90〜95、ツール駆動機構20及び補助ツール駆動機構12A,12B等の可動部分と干渉しないように、クイル13も成形過程で線材挿通孔13Aを中心に回転する。
【0077】
このように、本実施形態のばね成形機100及びばね成形方法によれば、第1曲げ起こし部Wb及びコイル部Wcを成形した後、コイル部保持ツール92にてコイル部Wcを保持しかつそのコイル部Wcの終端を心金ツール93にて位置決めした状態で、心金ツール93を中心にコイル部Wcと共にツール固定テーブル68を回動することで、コイル部Wcと第2直線部Ws2との間の第2曲げ起こし部Wb2が成形される。つまり、コイルばねW1全体を構成する線材を、後続の線材WRから切り離す前に、コイル部Wcと第1直線部Ws1との間の第1曲げ起こし部Wb1と、コイル部Wcと第2直線部Ws2との間の第2曲げ起こし部Wb2とが共に成形される。よって、コイル部Wcの周方向における第1曲げ起こし部Wb1(コイル部Wcの始端部)と第2曲げ起こし部Wb2との相対的な位置のばらつきを従来よりも抑える又は無くすことができ、安定した品質性能のコイルばねW1を製造することが可能となる。
【0078】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態は、図16〜図18に示されており、ツール固定テーブル68に固定された各ツール90,91,920,930の配置及びコイル部保持ツール920の構造が、上記第1実施形態とは異なる。その他の構成については上記第1実施形態と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0079】
ツール固定面68Pのうち、ツール固定テーブル68を周方向で3等配した位置にはツール固定溝68Mが陥没形成されており、それらツール固定溝68Mのうちの2つに、湾曲ツール90と折曲げツール91とが嵌め込まれて固定されている。
【0080】
本実施形態のコイル部保持ツール920は、ツール固定面68Pに対して固定された第1ベース921と、第1ベース921に重ねて固定された第2ベース922とを備えている。
【0081】
第1ベース921の上面のうち長手方向の中間位置には段差が設けられており、その段差を境にして高床部921Aと低床部921Bとが設けられている。高床部921Aの上面のうち第1ベース921の短手方向における両側縁部には平行な1対の側壁921C,921Cが起立形成されている。
【0082】
第2ベース922は直方体形状をなしている。第2ベース922は、第1ベース921の高床部921Aに載置された状態で、第2ベース922を貫通したボルト923によって高床部921Aに螺子止めされており、1対の側壁921C,921Cによってボルト923を中心とした回転が禁止されている。なお、第2ベース922のボルト挿通孔922Aは長手方向に延びた長孔となっており、第1ベース921に対する第2ベース922の固定位置を長手方向で調節できるようになっている。
【0083】
図16(B)に示すように、第1ベース921の低床部921Bの上面と、第2ベース922の下面との間には、線材挟込空間924が形成されている。線材挟込空間924には、ツール固定テーブル68の回転中心から起立しかつ第1ベース921の低床部921Bを貫通した心金ツール930の先端部が突出している。心金ツール930(本発明の「心金」に相当する)は円柱状をなしており、第2ベース922の下面に突き合わされている。
【0084】
さて、第2ベース922には、本発明に係るコイル部挿入シャフト925が一体に設けられている。コイル部挿入シャフト925は、第2ベース922の側面から突出し、心金ツール930の軸線(第2回転軸J2)と直交する方向に延びている。具体的には、折曲げツール91と平行かつ同方向に延びている。コイル部挿入シャフト925は、その軸方向と平行な側面が第2ベース922の上面及び下面と面一な1対の平面部925A,925Aと、1対の円弧面部925B,925Bとで構成されており、先端部がテーパ状に先細りとなっている。また、1対の円弧面部925B,925Bのうち、一方の円弧面部925B(後述する第2曲げ起こし部Wb2を成形する際の、ツール固定テーブル68の回転方向の前方側(図16(B)における左側)に配置された円弧面部925B)には、凹凸係合部925Cが形成されている。この凹凸係合部925Cは、例えば右巻きのコイル部Wcの隣り合った線材によってコイル部Wcの内側面に形成された凹凸と係合するように構成されている。なお、凹凸係合部925Cが形成された円弧面部925Bと反対側の面は円弧面にする必要はなく平面でもよい。
【0085】
次に、本実施形態のばね成形機100によるコイルばねW1の成形方法について説明する。なお、コイルばねW1のうち、第2曲げ起こし部Wb2以外の部分の成形方法については上記第1実施形態と同じなので、説明を省略する。
【0086】
コイル部Wcが成形されたら、次に、ツール固定テーブル68をZ軸方向に後退させて各ツール90,91,920,930を退避位置に保持し、そこでツール固定テーブル68を第2回転軸J2で回転させると共に、回転ヘッド63を第1回転軸J1で回転させて、ツール固定面68Pを上向きにすると共に、コイル部保持ツール920のコイル部挿入シャフト925をX軸方向と平行にする。そして、ツール固定テーブル68をZ軸方向に前進させてから、図17(B)に示すようにX軸方向へ移動させて、コイル部挿入シャフト925をコイル部Wcの終端側からコイル部Wcの内側に挿入させる(図18(A)及び図18(B)の状態)。このとき、コイル部Wcの終端が心金ツール930にて位置決めされる。
【0087】
次に、図17(B)から図17(C)への変化に示すように、ツール固定テーブル68を第2回転軸J2を中心にして約90度回転させて、コイル部Wcの中心軸が線材送給方向と平行になるようにコイル部Wcを回転移動させる。すると、図18(A)から図18(C)への変化に示すように、コイル部Wcの終端に心金ツール93が押し付けられ、その心金ツール93に沿って(倣って)第2直線部Ws2がコイル部Wcから略直角に曲げ起こされる。即ち、コイル部Wcと第2直線部Ws2との間の第2曲げ起こし部Wb2が成形され、第2直線部Ws2がコイル部Wcの中心軸と平行に曲げ起こされる。ツール固定テーブル68の回転時には、コイル部挿入シャフト925のうちツール固定テーブル68の回転方向(ツール固定面68P側から見て時計回り方向)の前方側に設けられた円弧面部925Bがコイル部Wcの内側面に押し付けられ、凹凸係合部925Cが、コイル部Wcの内側面に形成された凹凸と係合するので、コイル部Wcの位置ずれが防止される。このように、本実施形態によっても上記第1実施形態と同等の効果を奏する。
【0088】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態は、図19〜図27に示されており、ツール固定テーブル68とは別にツール固定サブテーブル69を備え、それらが旋回支持台65の表裏面に背中合わせにして設けられている点が、前記第1実施形態とは異なる。その他の構成については上記第1実施形態と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0089】
図19に示すように、メインボディ60に備えた従動シャフト67(本発明の「回転シャフト」に相当する)は旋回支持台65を貫通して第1回転軸J1(回転ヘッド63の回転中心)側と反対側にも突出しており、その突出端部にツール固定サブテーブル69が一体回転可能に固定されている。即ち、ツール駆動機構20は、ツール固定サブテーブル69を、線材送給方向に対して鉛直方向で直交したY軸方向と、線材送給方向と水平方向で直交したX軸方向と、線材送給方向と平行かつ水平なZ軸方向とに直動させると共に、線材送給方向と平行かつ水平な第1回転軸J1回りと、その第1回転軸J1と直交した第2回転軸J2回りに回転させるように構成されており、ツール固定サブテーブル69とそこに固定された各ツール90〜93とを任意の位置に位置決め可能となっている。
【0090】
図20に示すように、ツール固定サブテーブル69は、例えば平面形状が円形をなし、その裏面の中心に従動シャフト67の突出端部が固定されると共に、第1回転軸J1側とは反対側(図19における下方)を向いたツール固定面69Pに、ツール固定テーブル68に固定された各ツール90〜93と同一のツール90〜93が固定されている。ここで、ツール固定サブテーブル69に固定された湾曲ツール90、折曲げツール91、コイル部保持ツール92、心金ツール93は、ツール固定テーブル68に固定された同一のツール90〜93と対称に配置されている。換言すれば、図4(A)及び図20(B)に示すように、ツール固定面68P側(図19における上方)から見たときのツール固定テーブル68における各ツール90〜93の配置と、ツール固定面69P側(図19における下方)から見たときのツール固定サブテーブル69における各ツール90〜93の配置は、ちょうど右手と左手の関係の如く、鏡像の関係になっている。
【0091】
また、ツール固定テーブル68に固定されたコイル部保持ツール92の凹凸係合部92Dは、右巻きのコイル部の外側面の凹凸と凹凸同志が係合するように構成されており、ツール固定サブテーブル69に固定されたコイル部保持ツール92の凹凸係合部92Dは、左巻きのコイル部の外側面の凹凸と凹凸同志が係合するように構成されている。従って、コイルばねW1のコイル部が右巻きの場合には、ツール固定テーブル68のコイル部保持ツール92にてコイル部が保持され、コイルばねW1のコイル部が左巻きの場合には、ツール固定サブテーブル69のコイル部保持ツール92にてコイル部が保持される。
【0092】
また、本実施形態のばね成形機100では、図5に示した一般的なコイルばねW1のみならず、図21に示すダブルトーション形のコイルばねW2を成形することが可能である。コイルばねW2は、一端側から順に、第1フック部Wf1、第1直線部Ws1、第1曲げ起こし部Wb1、右巻きコイル部Wc1、第2曲げ起こし部Wb2、中間直線部Ws3、第3曲げ起こし部Wb3、左巻きコイル部Wc2、第4曲げ起こし部Wb4、第2直線部Ws2及び第2フック部Wf2を備えている。右巻きコイル部Wc1と左巻きコイル部Wc2は同一の中心軸で巻回されており、第1直線部Ws1、第2直線部Ws2及び中間直線部Ws3は、各コイル部Wc1,Wc2の中心軸と平行に延びている。ここで、中間直線部Ws3は、右巻きコイル部Wc1に対する本発明の「終端側ばね端部」に相当すると共に、第2直線部Ws2とそれに続く第2フック部Wf2とが、左巻きコイル部Wc2に対する本発明の「終端側ばね端部」に相当する。
【0093】
さて、図21に示すコイルばねW2は、以下のようにして成形される。即ち、第1フック部Wf1から第2曲げ起こし部Wb2までは、上記第1実施形態で説明したように、ツール固定テーブル68を回動かつ直動して任意の位置に位置決め制御し、ツール固定テーブル68に固定された各ツール90〜93と押さえ板ツール95とによって成形される(図6〜図8及び図22〜図24を参照)。この間、ツール固定サブテーブル69に固定された各ツール90〜93は成形に関与しない。
【0094】
第2曲げ起こし部Wb2まで成形されたら、ツール固定テーブル68に替えてツール固定サブテーブル69を回動かつ直動して任意の位置に位置決め制御し、ツール固定サブテーブル69に固定された各ツール90〜93と押さえ板ツール95とによって、コイルばねW2のうち中間直線部Ws3の後続部分、即ち、第3曲げ起こし部Wb3から第2フック部Wf2までを成形する。詳細には、ツール固定サブテーブル69の折曲げツール91により第3曲げ起こし部Wb3を成形し、ツール固定サブテーブル69の湾曲ツール90により左巻きコイル部Wc2を成形した後で、図25に示すように、ツール固定サブテーブル69のコイル部保持ツール92と押さえ板ツール95との間で左巻きコイル部Wc2を上下方向から挟んで保持すると共に、左巻きコイル部Wc2の終端をツール固定サブテーブル69の心金ツール93で位置決めし、その状態で、図26に示すように、ツール固定サブテーブル69を第2回転軸J2で約90度回転させて、第4曲げ起こし部Wb4を成形する。次に、左巻きコイル部Wc2の保持を解除すると共にツール固定サブテーブル69の位置決めを行い、ツール固定サブテーブル69の湾曲ツール90により第2フック部Wf2を成形する。このように、コイルばねW2のうち、第3曲げ起こし部Wb3以降は、ツール固定テーブル69に固定された各成形ツール90〜93と押さえ板ツール95とにより成形が行われ、ツール固定テーブル68に固定された各ツール90〜93は成形に関与しない。
【0095】
ここで、右巻きコイル部Wc1と左巻きコイル部Wc2とでは外側面の凹凸形状が異なるため、それら外側面の凹凸と凹凸同志が係合するコイル部保持ツール92も、右巻きコイル部Wc1と左巻きコイル部Wc2とで専用のものが必要となる。これに対し、コイルばねW2のうち、第3曲げ起こし部Wb3、左巻きコイル部Wc2、第2フック部Wf2については、NC制御部のプログラムを変更することで、ツール固定テーブル68に固定された湾曲ツール90及び折曲げツール91でも成形することが可能である。そこで、コイルばねW2のうち、第4曲げ起こし部Wb4以外の部分は、ツール固定テーブル68の各ツール90〜93と押さえ板ツール95とによって成形するようにして、ツール固定サブテーブル69には、図27に示すように左巻きコイル部Wc2に対応したコイル部保持ツール92と心金ツール93だけを固定した構成としてもよい。
【0096】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0097】
(1)前記第1実施形態において、コイル部保持ツール92はコイル部Wcを下方から保持し、押さえ板ツール95はコイル部Wcを上方から押さえるように構成されていたが、コイル部保持ツール92はコイル部Wcを上方から保持し、押さえ板ツール95はコイル部Wcを下方から押さえるように構成してもよい。そのためには、装置筐体12の前面における押さえ板ツール95と切断ツール94の配置を、第1実施形態とは逆にすればよい。
【0098】
(2)前記実施形態では、コイルばねW1の第1フック部Wf1から第2フック部Wf2までの全体を成形した後で、後続の線材WRから切り離すように構成されていたが、ばね成形機100では、コイルばねW1のうち、第2フック部Wf2又は両フック部Wf1,Wf2以外の部分だけを成形し、第2フック部Wf2又は両フック部Wf1,Wf2については、後続の線材WRから切り離した後で、別途成形してもよい。
【0099】
(3)前記第1実施形態では、コイル部保持ツール92のコイル部受容溝92Bを断面U字形としていたが、図28に示すように、「U」字における直線部分を無くした断面半円形状にしてもよい。
【0100】
(4)前記第1実施形態では、コイルばねW1における第1曲げ起こし部Wb1を、折曲げツール91のみで成形していたが、装置筐体12の前面に心金ツールとその心金ツールを往復動させる補助ツール駆動機構とを設けておき、折曲げツール91によって第1直線部Ws1の終端を心金ツールに倣わせるようにして第1曲げ起こし部Wb1を成形してもよい。
【0101】
(5)前記第1実施形態では、コイル部Wcの中心軸と平行な第1直線部Ws1及び第2直線部Ws2を有したコイルばねW1の製造例を例示したが、これら直線部を有さないコイルばねを上記実施形態のばね成形機で製造することも可能である。また、本発明における「コイル部の終端」には、「コイル部を構成する線材の湾曲部分の接線方向に延びた直線部」を含まない「コイル部の狭義の終端」(例えば、図13、図21参照)と、図29に示すように、「コイル部を構成する線材の湾曲部分の接線方向に延びた直線部」を含む「コイル部の広義の終端」とが含まれる。「コイル部の広義の終端」に曲げ起こし部を成形する場合には、図4(A)及び図20(B)に示したツール固定面68P,69Pにおけるコイル部保持ツール92の固定位置を、それぞれ基準線L1側にずらせばよい。そして、コイル部保持ツール92の固定位置を、ツール固定面68P、69P上で基準線L1と直交する方向に変更可能な構成にしておき、「コイル部を構成する線材の湾曲部分の接線方向に延びた直線部」の長さを変更できるようにしてもよい。
【0102】
(6)本発明のばね成形機100及びばね成形方法は、引っ張りコイルばね、圧縮コイルばね、トーションコイルばね、さらには、ケーブル等の外側を覆う保護コイルばね等、各種コイルばねの成形に利用することができる。
【0103】
(7)前記実施形態では、切断ツール94はY軸方向で成形空間R1に進退するように構成していたが、X軸方向から成形空間R1に進退するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の第1実施形態に係るばね成形機の部分側断面図
【図2】図1におけるばね成形機のB矢視図
【図3】図2におけるA−A断面図
【図4】ツール固定テーブル及び各ツールの(A)平面図、(B)斜視図
【図5】コイルばねの側面図
【図6】(A)第1フック部の成形動作を示す斜視図、(B)第1直線部が設けられた状態の斜視図
【図7】第1曲げ起こし部の成形動作を示す斜視図
【図8】コイル部の成形動作を示す斜視図
【図9】コイル部の成形が終了した状態の斜視図
【図10】コイル部を保持する直前の状態を示す斜視図
【図11】第2曲げ起こし部の成形動作を示す斜視図
【図12】図11(A)におけるC矢視図
【図13】コイル部の保持が解除された状態の斜視図
【図14】第2フック部の成形動作を示す斜視図
【図15】第2フック部の成形が終了した状態の斜視図
【図16】第2実施形態に係るツール固定テーブル及び各ツールの(A)斜視図、(B)側面図
【図17】第2曲げ起こし部の成形動作を示す斜視図
【図18】第2曲げ起こし部の成形動作を示す図
【図19】第3実施形態に係るばね成形機の断面図
【図20】ツール固定サブテーブル及び各ツールの(A)斜視図、(B)平面図
【図21】コイルばねの斜視図
【図22】右巻きコイル部が成形された状態の斜視図
【図23】右巻きコイル部がコイル部保持ツールで保持された状態の斜視図
【図24】第2曲げ起こし部が成形された状態の斜視図
【図25】左巻きコイル部がコイル部保持ツールで保持される前の状態の斜視図
【図26】第4曲げ起こし部が成形された状態の斜視図
【図27】変形例に係るツール固定サブテーブル及び各ツールの(A)斜視図、(B)平面図
【図28】変形例(3)に係るコイル部保持ツールの斜視図
【図29】変形例(5)に係るコイルばねの斜視図
【符号の説明】
【0105】
11 線材送給装置
12B 補助ツール駆動機構(補助駆動機構)
20 ツール駆動機構
67 従動シャフト(回転シャフト)
68 ツール固定テーブル
69 ツール固定サブテーブル
90 湾曲ツール(成形ツール)
91 折曲げツール(成形ツール)
92,920 コイル部保持ツール
92A,92A 挟持壁
92C 円弧面
92D 凹凸係合部
92E コイル側面支持壁
93,930 心金ツール(心金)
95 押さえ板ツール(押さえ板)
100 ばね成形機
925 コイル部挿入シャフト
925C 凹凸係合部
W1,W2 コイルばね
WR 線材
Wb1 第1曲げ起こし部
Wb2 第2曲げ起こし部
Wb3 第3曲げ起こし部
Wb4 第4曲げ起こし部
Wc コイル部
Wc1 右巻きコイル部
Wc2 左巻きコイル部
Ws1 第1直線部
Ws2 第2直線部
Ws3 中間直線部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状の線材からコイル部を成形してから、前記コイル部の終端を曲げ起こして前記コイル部の中心軸と平行に延びる終端側ばね端部を成形し、前記コイル部と前記終端側ばね端部とを有したコイルばねを製造するばね成形機であって、
線材送給装置から送給された直線状の線材に衝合して、前記線材から前記コイル部を成形する成形ツールと、
前記成形ツールにて成形された前記コイル部を保持するためのコイル部保持ツールと、
前記コイル部の終端を位置決めするための心金と、
前記成形ツールと前記コイル部保持ツールと前記心金とが固定されたツール固定テーブルと、
前記ツール固定テーブルを回動かつ直動して任意の位置に位置決め制御可能であると共に、前記コイル保持ツールにて前記コイル部を保持しかつそのコイル部の終端を前記心金にて位置決めした状態で前記心金を中心に前記ツール固定テーブルを回動可能なツール駆動機構とを備えたことを特徴とするばね成形機。
【請求項2】
前記コイル部保持ツールには、前記コイル部を径方向で挟んで対峙した1対の挟持壁と、前記1対の挟持壁の対向方向と直行する方向で前記コイル部に宛がわれるコイル側面支持壁とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のばね成形機。
【請求項3】
前記コイル側面支持壁には、前記コイル部の側面に対応した円弧面が形成され、前記円弧面には、前記コイル部を構成する隣り合った線材によって前記コイル部の外側面に形成された凹凸に係合する凹凸係合部が形成されたことを特徴とする請求項2に記載のばね成形機。
【請求項4】
前記ツール駆動機構には、前記ツール固定テーブルを回動駆動させるための回転シャフトが備えられると共に、その回転シャフトの一端部に前記成形ツールと前記コイル部保持ツールと前記心金とが固定された前記ツール固定テーブルが設けられ、他端部に前記コイル部保持ツールと前記心金とが固定されたツール固定サブテーブルが設けられ、
前記ツール固定テーブルに固定された前記コイル部保持ツールと、前記ツール固定サブテーブルに固定された前記コイル部保持ツールとのうち、何れか一方に形成された前記凹凸係合部は右巻きの前記コイル部の外側面の凹凸と係合するように構成され、他方に形成された前記凹凸係合部は、左巻きの前記コイル部の外側面の凹凸と係合するように構成されたことを特徴とする請求項3に記載のばね成形機。
【請求項5】
前記コイル部が、前記コイル側面支持壁と反対側で前記1対の挟持壁の端面から外側に突出するように構成され、
前記コイル部のうち前記1対の挟持壁の端面から外側に突出した部分に当接しかつ前記ツール固定テーブルの回転を許容する押さえ板と、前記押さえ板を前記コイル部保持ツールに対して接離可能に往復動させるための補助駆動機構を備えたことを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載のばね成形機。
【請求項6】
前記コイル部保持ツールは、前記コイル部の内側に挿入可能なコイル部挿入シャフトを備えたことを特徴とする請求項1に記載のばね成形機。
【請求項7】
前記コイル部挿入シャフトの外面には、前記コイル部を構成する隣り合った線材によって前記コイル部の内側面に形成された凹凸に係合する凹凸係合部が形成されたことを特徴とする請求項6に記載のばね成形機。
【請求項8】
直線状の線材からコイル部を成形してから、前記コイル部の終端を曲げ起こして前記コイル部の中心軸と平行に延びる終端側ばね端部を成形し、前記コイル部と前記終端側ばね端部とを有したコイルばねを製造するばね成形方法であって、
前記線材を成形するための成形ツールと、前記コイル部を保持するためのコイル部保持ツールと、前記コイル部の終端を位置決めするための心金とをツール固定テーブルに固定して備え、そのツール固定テーブルを回動かつ直動して任意の位置に位置決め制御可能なツール駆動機構を設けておき、
前記線材を前記成形ツールによって前記コイル部に成形したあと、前記コイル保持ツールにて前記コイル部を保持しかつそのコイル部の終端を前記心金にて位置決めした状態で、前記心金を中心に前記コイル部と共に前記ツール固定テーブルを回動して、前記コイル部と前記終端側ばね端部との間の曲げ起こし部分を成形することを特徴とするばね成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2010−17755(P2010−17755A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182319(P2008−182319)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000116976)旭精機工業株式会社 (56)
【Fターム(参考)】