説明

まつげを処理するためのマスカラ組成物および方法

水相に複数種の水溶性または分散性のフィルム形成性ポリマーを含有し、かつ固体または半固体状の1種以上の乳化剤によって構造化されている、水および油のエマルジョンマスカラ組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まつげおよび毛髪を含む、ケラチン表面に適用するための着色化粧用組成物の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
マスカラは、まつげを長くし、カールさせ、目立たせるために女性が使用するものである。まつげの強調は、クレオパトラの時代にまでさかのぼる。その時代から、マスカラ処方は劇的に改善され、化粧品会社は常に、消費者が望む典型的な利点を提供する改善された処方を探している。その中には、まつげの色を黒くすること、長くすること、密にすること、そしてカールさせることが含まれる。
【0003】
更に、マスカラに共通する1つの問題は、経時的な粘度の上昇に関連する。マスカラ処方の粘度を上げるために伝統的に使用されているワックスは、その目的のためには良く機能するが、マスカラを使用する際に、容器の開閉の繰り返しによって、液体が蒸発し、製品の濃度が経時的に上昇する。このために、適用する際にマスカラが塊状になる場合が生じ得る。更に、ワックスは典型的には不透明の固体であるため、このようなワックスを含有するマスカラは、ワックスを含まない類似処方、またはポリアミドもしくはシリコンポリアミド等の透明なポリマーワックスを含む類似処方と比較するとより弱い色を示す。化粧品処方設計者は、透明なワックスを使用することによって鮮やかな(intense)色を持つマスカラ処方にたどり着くことができるが、利用できるものは多くない。更に、ポリアミドもしくはシリコンポリアミド等の透明なポリマーワックスは、特にほとんどのマスカラに共通する水中油型エマルジョン形態で、別の製剤化の困難性を示す。
【0004】
複数種の水溶性または分散性フィルム形成性ポリマー、室温(例えば25℃)で固体または半固体の乳化剤で処方されたマスカラは、特に水中油型エマルジョン形態の場合には、まつげを長くし、着色し、そしてカールさせ、かつ標準的なワックスベースの処方よりも鮮やかな色を与える優れたマスカラ処方を提供することが発見された。更に、これらのマスカラ処方は、経時的な顕著な粘度変化なしに加熱および冷却を繰り返すことができ、加熱したマスカラアプリケーターと共に使用するのに非常に適している。
【0005】
本発明の目的は、まつげを長くし、着色し、そしてカールさせ、顔料強度(intensity)を改善し、かつ熱力学的に安定なエマルジョンマスカラ処方を提供することである。
【0006】
本発明の更なる目的は、複数種の水溶性または分散性フィルム形成性ポリマー、固体または半固体状の乳化剤を含有し、不透明な動物性、植物性または鉱物性ワックスを実質的に含まない、水および油のエマルジョン形態のマスカラ処方を提供することである。
【0007】
本発明の更なる目的は、複数種の水溶性または分散性フィルム形成性ポリマー、少なくとも1種の固体または半固体の乳化剤、および繊維を含有する、水中油型エマルジョン形態のマスカラ処方を提供することである。
【0008】
本発明の更なる目的は、複数種の水溶性または分散性フィルム形成性ポリマー、少なくとも1種の固体もしくは半固体の乳化剤を含有し、油相フィルム形成性ポリマーを実質的に含まない油および水のエマルジョン形態のマスカラ処方を提供することである。
【0009】
本発明の更なる目的は、本発明のマスカラ組成物を適用することによってまつげを長くし、着色し、またはカールさせるための方法を提供することである。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、水相に複数種の水溶性または分散性フィルム形成性ポリマーを含有し、かつ固体または半固体状の1種以上の乳化剤で構造化されている、不透明ワックスを実質的に含まない水および油のエマルジョンマスカラ組成物に関する。
【0011】
本発明は更に、複数種の水溶性または分散性フィルム形成性ポリマーを含有する水相を含み、かつ油相フィルム形成性ポリマーを実質的に含まない、水および油のエマルジョンマスカラ組成物であって、固体または半固体状の1種以上の乳化剤で構造化されている、該組成物に関する。
【0012】
本発明は更に、複数種の水溶性または分散性フィルム形成性ポリマーを含有する水相および繊維を含み、かつ固体または半固体状の少なくとも1種の乳化剤で構造化されている、水および油のエマルジョンマスカラ組成物に関する。
【0013】
本発明は更に、複数種の水溶性または分散性フィルム形成性ポリマーを含有する水相を含み、かつ固体または半固体状の少なくとも1種の乳化剤で構造化されている、水および油のエマルジョンから構成される、不透明ワックスを実質的に含まないマスカラ組成物を適用することによって、まつげを長くし、着色し、またはカールさせる方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本組成物は、油中水型または水中油型エマルジョンであり得るエマルジョンの形態である。存在する水の量は約0.1〜99%、好ましくは約0.5〜80%、より好ましくは約1〜75%の範囲であり得る。本明細書中で言及するパーセンテージは全て、他に記載のない限り、重量%である。存在する油は、組成物の約0.1〜95%、好ましくは約0.5〜90%、より好ましくは約1〜80%の範囲であり得る。好ましい一実施形態において、マスカラ組成物は水中油型エマルジョンである。
【0015】
「不透明ワックス」という用語は、ワックスが透明または半透明でないこと、例えば光を通過させないことを意味する。
【0016】
「複数」という用語は、1より多いことを意味する。
【0017】
「構造化」という用語は、組成物の粘度が上昇することを意味する。
【0018】
「実質的に含まない」という用語は、組成物が、その文脈で言及する成分を約5%未満、好ましくは約3%未満、より好ましくは約1%未満含有し、最も好ましくは全く含有しないことを意味する。尚、本明細書中で言及するパーセンテージは全て、他に記載のない限り、重量%である。
【0019】
I. 水溶性または分散性フィルム形成性ポリマー
本組成物は、複数種の水溶性または分散性フィルム形成性ポリマーを含有する水相を含む。推奨範囲は組成物の約0.1〜95%、好ましくは約0.5〜50%、より好ましくは約0.5〜20%である。好適なフィルム形成性ポリマーは、合成または天然のポリマーを含み得る。合成ポリマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸またはこれらの単純なC1-10アルキルエステル等のエチレン系不飽和モノマーから得られるもの;あるいはアクリルアミド、アクリル酸アンモニウム、アクリレート、メタクリレート、ブチルアクリルアミド、アクリル酸エチルヘキシル、オクチルアクリルアミド、ネオデカン酸ビニル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチル、アジピン酸、ブタジエン、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリル酸、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ヒドロキシエチル、スチレン、アクリル酸アンモニウム、ブチルアクリルアミド、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸ステアリル、無水マレイン酸、エチレン、プロピレン、イソホロンジイソシアネート、イソシアネート、ジイソシアネート、フタル酸、メタクリル酸エチル、トシルアミド等のホモもしくはコポリマーが挙げられる。
【0020】
このようなフィルム形成剤として、以下のものを挙げることができる:アクリルアミド/アクリル酸アンモニウムコポリマー、アクリルアミドコポリマー、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウムコポリマー、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム/アクリル酸コポリマー、アクリレーツ/アクリルアミドコポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸アンモニウムコポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸ベヘニル/メタクリル酸ジメチコンコポリマー、アクリレーツ/ビスヒドロキシプロピルジメチコンクロスポリマー、アクリレーツ/t-ブチルアクリルアミドコポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸C12-22アルキルコポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸ジメチルアミノエチルコポリマー、アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシルコポリマー、アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル/スチレンコポリマー、アクリレーツ/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチルコポリマー、アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリレートコポリマー、アクリレーツ/VPコポリマー、アクリレーツ/VAコポリマー、アクリレーツ/VAクロスポリマー、アクリレーツ/VP/メタクリル酸ジメチルアミノエチルコポリマー、アジピン酸、ジエチレングリコール /グリセリンクロスポリマー、ステアリン酸アリル/VAコポリマー、アクリル酸アンモニウムコポリマー、アクリル酸アンモニウム/アクリル酸エチルヘキシルコポリマー、スチレン/アクリレーツコポリマーアンモニウム、VA/アクリレーツコポリマーアンモニウム、VA/クロトン酸コポリマーアンモニウム、メタクリル酸ベヘニル/メタクリル酸パーフルオロオクチルエチルコポリマー、アクリル酸ブチル/メタクリル酸エチルヘキシルコポリマー、アクリル酸ブチル/ジメタクリル酸グリコールコポリマー、アクリル酸ブチル/スチレンアクリレートコポリマー、イソブチレン/MAコポリマー、アクリル酸ラウリル/VA コポリマー、ポリアクリレート1、2、5、6、8、9、12、13、14、15、16、17、18、19;ポリアクリル酸、ポリアミド1、ポリアミド2、ポリエステル1、2、3、4、5;ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリルアミド、ポリウレタン1、2、4、5、6、7、8、10、11、12、13、14、15、16、17、20、もしくは21;ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、PVP、PVM/MAコポリマー、PVM/MAデカジエンコポリマー、PVP/MAコポリマー、PVP/VA/プロピオン酸ビニルコポリマー、PVP/VA/イタコネートコポリマー、PVM/MAコポリマー、アクリル酸ナトリウムコポリマー、スチレン/アクリレーツコポリマーナトリウム、スチレン/MAコポリマー、スチレン/VAコポリマー、VA/クロトネートコポリマー、VP/アクリル酸ジメチルアミノエチルコポリマー等。
【0021】
好適なフィルム形成性ポリマーのより具体的な例としては、限定するものではないが、メタクリル酸メチルクロスポリマー;ポリイミド-1;ジステアレス-100 IPDI コポリマー;加水分解コムギタンパク質/シスチンビス-PG-プロピルシラントリオールコポリマー;PVA;ポリスチレンスルホン酸ナトリウム;加水分解コムギタンパク質/PVPクロスポリマー;アクリレーツコポリマー等が挙げられる。更なる例は、the C.T.F.A. Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook, 第11版, 2006, 第3巻, 第2779-2783頁に記載されており、これを参照によりその全体をここに組み入れる。
【0022】
II. 油
本発明の組成物は、好ましくはエマルジョンの形態であり、油中水型、または水中油型エマルジョンの形態であり得る。好適な油は揮発性または非揮発性であって良く、また有機油、シリコーン油、もしくは炭化水素油であって良い。本明細書で使用する場合、「油」という用語は一般に、室温(25℃)で注ぐことが可能な(pourable)油を意味する。油は、約0.1〜99%、好ましくは約0.5〜90%、より好ましくは約1〜85%の範囲で存在し得る。
【0023】
好適な揮発性シリコーンとしては、メチルトリメチコン (1.5センチストークス)等の分岐シリコーン;ヘキサメチルジシロキサン (0.5cs)、オクタメチルトリシロキサン (1.0cs)、デカメチルテトラシロキサン (1.5cs)、ドデカメチルペンタシロキサン (2.0cs)等の直鎖状揮発性シリコーンが挙げられる;環状揮発性シリコーンは、一般的には「シクロメチコン」と呼ばれ、これはシクロテトラシロキサン、シクロペンタシロキサン、またはシクロヘキサシロキサンであり得る。好適な揮発性炭化水素としては、イソドデカン、イソヘキサデカン等のC9-12パラフィン系炭化水素が挙げられる。
【0024】
更に好適なものは、ジメチコン、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、ジフェニルジメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン、セチルジメチコン等の非揮発性シリコーンである。
【0025】
使用可能な非揮発性の有機油の例としては、天然の植物油、例えばダイズ、ヒマ種子、コムギ胚芽、グレープシード、アーモンド、ラベンダー等が挙げられる。
【0026】
非揮発性有機油の例として、C6-30脂肪カルボン酸および約2〜40個の炭素原子を有する一価、二価、もしくは多価アルコールのエステルを含む合成または天然のモノ、ジ、もしくはトリエステルを挙げることもできる。例としては、リンゴ酸イソステアリル、リンゴ酸ジイソステアリル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸ミリスチル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、ステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、ポリグリセリル-3イソステアレート、ポリグリセリル-3ジイソステアレート等が挙げられる。
【0027】
非揮発性炭化水素の例としては、スクアラン、スクアレン、エイコサン等が挙げられる。
【0028】
III. 固体または半固体の乳化剤
本発明の組成物において使用する固体または半固体の乳化剤は、約0.01〜50%、好ましくは約0.05〜45%、より好ましくは約0.1〜35%の範囲の量で存在し得る。乳化剤は室温(例えば25℃)で固体または半固体であり、組成物の粘度を上昇させたり、濃くするために使用する。好適な固体または半固体の乳化剤は合成または天然由来のものであって良く、アルコキシル化C12-40直鎖もしくは分岐鎖脂肪アルコール等のアルコキシル化アルコール、アルコキシル化した天然の水素化したもしくは水素化していない固体もしくは半固体油、アルキレングリコール等が挙げられる。より具体的な例としては、2〜500の範囲の数のエチレンオキシド反復単位を有するラウレス、ステアレス、イソステアレス、ベヘネス等のアルコキシル化脂肪アルコール;約5〜200の範囲のアルキレンオキシドもしくはエチレンオキシド反復単位を有するポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール;天然源由来のエトキシ化水素化乳化剤、例えばヒマシ油;エトキシ化分岐鎖脂肪エトキシ化乳化剤等が挙げられる。好適な固体または半固体乳化剤のより具体的な例としては、PEG-20、ステアレス-2、ステアレス-21、ステアレス-100、PEG-40水素化ヒマシ油、PEG-6デシルテトラデセス-30等が挙げられる。
【0029】
IV. 不透明ワックス
一実施形態において、本組成物は不透明ワックスを実質的に含まない。組成物が実質的に含まない不透明ワックスとしては、ビースワックス、カルナウバ、オゾケライト、合成ワックス、ヤマモモワックス、キャンデリラ、アカシア、セレシン、セチルエステル、フラワーワックス(flower wax)、シトラスワックス(citrus wax)、ホホバワックス、モクロウ、ポリエチレン、マイクロクリスタリン、米ぬか(rice bran)、ラノリンワックス、ミンク、モンタン、ヤマモモ(bayberry)、オウリキュリー(ouricury)、オゾケライト、パームカーネルワックス(palm kernel wax)、パラフィン、アボカドワックス、アップルワックス(apple wax)、シェラックワックス、サルビアワックス(clary wax)、ビール粕ワックス(spent grain wax)、グレープワックス(grape wax)等が挙げられる。
【0030】
V. 保湿剤
また、本組成物中に1種以上の保湿剤を含めることが好ましい場合がある。存在する場合、このような保湿剤は、組成物の総重量に基づいて約0.001〜25%、好ましくは約0.005〜20%、より好ましくは約0.1〜15%の範囲であり得る。好適な保湿剤の例としては、グリコール、糖類等が挙げられる。好適なグリコールはモノマーまたはポリマーの形態であり、ポリエチレンおよびポリプロピレングリコール、例えば4〜200の反復エチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコールであるPEG 4-200;並びにC1-6アルキレングリコール、例えばプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール等が挙げられる。好適な糖類は、そのいくつかは多価アルコールでもあるが、好適な保湿剤でもある。このような糖類の例としては、グルコース、フルクトース、ハチミツ、水添ハチミツ、イノシトール、マルトース、マンニトール、マルチトール、ソルビトール、スクロース、キシリトール、キシロース等が挙げられる。好適なものはまた、尿素である。好ましくは、本発明の組成物において使用する保湿剤は、C1-6、好ましくはC2-4アルキレングリコール、最も特定すればブチレングリコールである。
【0031】
VI. 顔料および粒子状粉末
本組成物はまた、好ましくは1種以上の顔料を含有する。顔料は、有機または無機であり得る。有機顔料は一般に、D&CおよびFD&C ブルー、ブラウン、グリーン、オレンジ、レッド、イエロー等と指定されているアゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントロキノン、およびキサンチン染料を含む、種々の芳香族化合物の型である。有機顔料は一般に、レーキと呼ばれる認定された着色添加物の不溶性の金属塩からなる。無機顔料としては、酸化鉄、ウルトラマリン、クロム、水酸化クロム、およびこれらの混合物が挙げられる。赤色、青色、黄色、褐色、黒色の酸化鉄、およびこれらの混合物が好適である。推奨範囲は約0.001〜40%、好ましくは約0.005〜35%、より好ましくは約0.01〜30%であり得る。
【0032】
好適な粉末としては、着色された、または着色されていない(例えば白色の)非顔料粉末が挙げられる。これらは、組成物の約0.01〜40%、好ましくは約0.05〜35%、より好ましくは約0.1〜30%の範囲の量で存在し得る。好適な非顔料粉末としては、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、フュームドシリカ、球状シリカ、ポリメタクリル酸メチル、微粉化テフロン(登録商標)、窒化ホウ素、アクリレートコポリマー、ケイ酸アルミニウム、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム、ベントナイト、ケイ酸カルシウム、セルロース、チョーク、コーンスターチ、珪藻土、フラー土、グリセリルデンプン(glyceryl starch)、ヘクトライト、ケイ酸、カオリン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、マルトデキストリン、モンモリロナイト、微結晶セルロース、コメデンプン、シリカ、タルク、マイカ、二酸化チタン、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ロジン酸亜鉛、アルミナ、アタパルジャイト、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、デキストラン、カオリン、ナイロン、シリル化シリカ、シルクパウダー、セリサイト、ダイズ粉末、酸化スズ、水酸化チタン、リン酸三マグネシウム、クルミ殻粉末、またはこれらの混合物が挙げられる。上記粉末は、レシチン、アミノ酸、鉱油、シリコーン、または粉末表面を被覆し、粒子をより親油性にする他の種々の剤により、単独もしくは組み合わせで表面処理されていても良い。
【0033】
VII. 繊維
本組成物はまた、まつげを長く、強調する繊維を含有し得る。存在する場合、こうした繊維は、組成物の約0.01〜20%、好ましくは約0.05〜15%、より好ましくは約0.1〜10%の範囲であり得る。繊維は天然のものであっても合成したものであっても良く、ナイロン、シルク、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、マイクロデニール(microdenier)繊維等が挙げられる。
【0034】
VIII. 油相フィルム形成剤
一実施形態において、本組成物は油相フィルム形成性ポリマーを実質的に含まない。組成物に含まれない油相フィルム形成性ポリマーの例としては、トリメチルシロキシケイ酸等のシリコーン樹脂、メチルシルセスキオキサン、ポリアミド等のMT樹脂が挙げられる。
【0035】
以下の実施例と関連付けて本組成物を更に記載するが、実施例は説明目的のためにのみ示すものである。
【実施例1】
【0036】
以下のようにして水中油型エマルジョンマスカラ組成物を調製した。
【表1】

【0037】
組成物は、水相および油相成分を別々に混合し、次いで相を混合して乳化し、マスカラ組成物を調製した。
【0038】
好ましい実施形態と関連付けて本発明を記載したが、本発明の範囲を記載した特定の形態に限定することが意図されるものではなく、むしろ、そのような代替物、改変物、および均等物を、添付した請求の範囲によって規定される本発明の精神および範囲内に含まれ得るように包含することが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水相に複数種の水溶性または分散性フィルム形成性ポリマーを含有し、かつ固体または半固体状の1種以上の乳化剤によって構造化されている、不透明ワックスを実質的に含まない水および油のエマルジョンマスカラ組成物。
【請求項2】
乳化剤がアルコキシル化アルコール、アルコキシル化C12-20直鎖もしくは分岐鎖脂肪アルコール、またはこれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
乳化剤がPEG-20、ステアレス-2、ステアレス-21、PEG-40水添ヒマシ油、またはこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
更に繊維を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
水溶性または分散性のフィルム形成性ポリマーが、アクリルアミド、アクリル酸アンモニウム、アクリレート、メタクリレート、ブチルアクリルアミド、アクリル酸エチルヘキシル、オクチルアクリルアミド、ネオデカン酸ビニル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチル、アジピン酸、ブタジエン、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリル酸、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ヒドロキシエチル、スチレン、アクリル酸アンモニウム、ブチルアクリルアミド、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸ステアリル、無水マレイン酸、エチレン、プロピレン、イソホロンジイソシアネート、イソシアネート、ジイソシアネート、フタル酸、メタクリル酸エチル、トシルアミド、もしくはこれらの混合物のホモポリマーまたはコポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
フィルム形成性ポリマーが、メタクリル酸メチルクロスポリマー;ポリイミド-1;ジステアレス-100 IPDIコポリマー;加水分解コムギタンパク質/シスチンビス-PG-プロピルシラントリオールコポリマー;PVA;ポリスチレンスルホン酸ナトリウム;加水分解コムギタンパク質/PVP クロスポリマー;アクリレーツコポリマー;アクリレーツ/オクチルアクリルアミドコポリマー;メタクリル酸メチルクロスポリマー;PVP;PVA;またはこれらの混合物から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも1種の保湿剤を更に含有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも1種の非揮発性油を更に含有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
非揮発性油が炭化水素を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
非揮発性炭化水素油がポリブテン、ポリイソブテン、ポリデセン、またはこれらの混合物を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
フィルム形成性ポリマーが、アクリレーツコポリマー、アクリレーツ/オクチルアクリルアミドコポリマー、ポリビニルアルコール、ジステアレス-100 IPDIコポリマー、PVA、PVP、メタクリル酸メチルクロスポリマー、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、加水分解コムギタンパク質/PVPクロスポリマー、ポリイミド-1、およびこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
複数種の水溶性または分散性フィルム形成性ポリマーを含有する水相を含み、かつ油相フィルム形成性ポリマーを実質的に含まない、水および油のエマルジョンマスカラ組成物であって、固体または半固体状の1種以上の乳化剤によって構造化されている、上記組成物。
【請求項13】
複数種の水溶性または分散性フィルム形成性ポリマーが、アクリルアミド、アクリル酸アンモニウム、アクリレート、メタクリレート、ブチルアクリルアミド、アクリル酸エチルヘキシル、オクチルアクリルアミド、ネオデカン酸ビニル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチル、アジピン酸、ブタジエン、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリル酸、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ヒドロキシエチル、スチレン、アクリル酸アンモニウム、ブチルアクリルアミド、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸ステアリル、無水マレイン酸、エチレン、プロピレン、イソホロンジイソシアネート、イソシアネート、ジイソシアネート、フタル酸、メタクリル酸エチル、トシルアミド、もしくはこれらの混合物のホモポリマーまたはコポリマーである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
複数種の水溶性または分散性フィルム形成性ポリマーが、アクリルアミド/アクリル酸アンモニウムコポリマー、アクリルアミドコポリマー;アクリルアミド/アクリル酸ナトリウムコポリマー;アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム/アクリル酸コポリマー;アクリレーツ/アクリルアミドコポリマー;アクリレーツ/メタクリル酸アンモニウムコポリマー;アクリレーツ/メタクリル酸ベヘニル/メタクリル酸ジメチコンコポリマー;アクリレーツ/ビスヒドロキシプロピルジメチコンクロスポリマー;アクリレーツ/t-ブチルアクリルアミドコポリマー;アクリレーツ/メタクリル酸C12-22アルキルコポリマー;アクリレーツ/メタクリル酸ジメチルアミノエチルコポリマー;アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシルコポリマー;アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル/スチレンコポリマー;アクリレーツ/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチルコポリマー;アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリレートコポリマー;アクリレーツ/VPコポリマー;アクリレーツ/VAコポリマー;アクリレーツ/VAクロスポリマー;アクリレーツ/VP/メタクリル酸ジメチルアミノエチルコポリマー;アジピン酸ジエチレングリコール/グリセリンクロスポリマー;ステアリン酸アリル/VAコポリマー;アクリル酸アンモニウムコポリマー;アクリル酸アンモニウム/アクリル酸エチルヘキシルコポリマー;スチレン/アクリレーツコポリマーアンモニウム;VA/アクリレーツコポリマーアンモニウム;VA/クロトン酸コポリマーアンモニウム;メタクリル酸ベヘニル/メタクリル酸パーフルオロオクチルエチルコポリマー;アクリル酸ブチル/メタクリル酸エチルヘキシルコポリマー;アクリル酸ブチル/ジメタクリル酸グリコールコポリマー;アクリル酸ブチル/スチレンアクリレートコポリマー;イソブチレン/MAコポリマー;アクリル酸ラウリル/VAコポリマー;ポリアクリレート1;ポリアクリレート2;ポリアクリレート5;ポリアクリレート6;ポリアクリレート8;ポリアクリレート9;ポリアクリレート12;ポリアクリレート13;ポリアクリレート14;ポリアクリレート15;ポリアクリレート16;ポリアクリレート17;ポリアクリレート18;ポリアクリレート19;ポリアクリル酸;ポリアミド1;ポリアミド2;ポリエステル1;ポリエステル2;ポリエステル3;ポリエステル4;ポリエステル5;ポリアクリル酸エチル;ポリメタクリルアミド;ポリウレタン1;ポリウレタン2;ポリウレタン4;ポリウレタン5;ポリウレタン6;ポリウレタン7;ポリウレタン8;ポリウレタン10;ポリウレタン11;ポリウレタン12;ポリウレタン13;ポリウレタン14;ポリウレタン15;ポリウレタン16;ポリウレタン17;ポリウレタン20;ポリウレタン21;ポリ酢酸ビニル;ポリビニルアルコール;PVP,PVM/MAコポリマー;PVM/MAデカジエンコポリマー;PVP/MAコポリマー;PVP/VA/プロピオン酸ビニルコポリマー;PVP/VA/イタコネートコポリマー;PVM/MAコポリマー;アクリル酸ナトリウムコポリマー;スチレン/アクリレーツコポリマーナトリウム;スチレン/MAコポリマー;スチレン/VAコポリマー;VA/クロトネートコポリマー;VP/アクリル酸ジメチルアミノエチルコポリマー;メタクリル酸メチルクロスポリマー;ジステアレス-100 IPDIコポリマー;加水分解コムギタンパク質/シスチンビス-PG-プロピルシラントリオールコポリマー;PVA; ポリスチレンスルホン酸ナトリウム;加水分解コムギタンパク質/PVPクロスポリマー;アクリレーツコポリマー;またはこれらの混合物から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
固体または半固体の乳化剤がアルコキシル化アルコールを含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
固体または半固体の乳化剤がアルコキシル化脂肪アルコールを含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
更に繊維を含有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項18】
複数種の水溶性もしくは分散性フィルム形成性ポリマーを含む水相を含有し、かつ固体もしくは半固体状の少なくとも1種の乳化剤によって構造化されている水および油のエマルジョンから構成される、不透明ワックスを実質的に含まないマスカラ組成物を適用することによって、まつげを長くし、着色し、またはカールさせる方法。
【請求項19】
組成物が少なくとも1種の保湿剤を更に含有する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
組成物が少なくとも1種の炭化水素油を更に含有する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
炭化水素油がポリブテン、ポリイソブテン、ポリデセン、またはこれらの混合物を含む、請求項20に記載の方法。

【公表番号】特表2012−522050(P2012−522050A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503471(P2012−503471)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/027134
【国際公開番号】WO2010/117552
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)
【Fターム(参考)】