説明

もみ殻ともみ殻くん炭の混合培地を使用した栽培装置

【課題】 従来の耕作地や温室栽培手段は、栽培地に種を蒔くか苗を植えて収穫するまで栽培する手段である。この栽培手段では、栽培地の利用回数が限られる。栽培育成でも散水や肥料の無駄がある。栽培地は、病害虫、連作障害や肥料濃度の調整に多くの費用を必要とする。
【解決手段】もみ殻ともみ殻くん炭と改質材、人工ゼオライト、貝化石、石英斑岩を混入した培地を使用し、土壌の使用を低減して栽培できることで、病害虫に侵されにくくなる。培地の下方に肥料成分を含む水溶液を貯水して栽培をし、余剰の水溶液は、貯水溝に溜めて循環、灌水手段が可能となる。上記栽培装置の栽培ユニットを作り、栽培ユニットに苗を植え込んで栽培し、収穫ごとに栽培ユニットを替えことで、栽培地の利用回数が増え収穫も格段に増大する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、もみ殻ともみ殻くん炭の混合した培地を有し、過湿にならず、土壌菌による害も防止できる栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、耕作地や温室の栽培は、種を蒔き又は、苗を植えて肥料や水分、液肥をやりながら数か月かけて収穫するのが一般である。耕作地や温室の栽培は、野菜にもよるが耕作地の使用回数が限られて、年間収穫量も限られる。また、耕作機械が必要になる。
【0003】
特許文献1にしめされるようにもみ殻及びもみ殻くん炭、保水材を入れた育苗用ポットが提案されている。しかし、このポットは、苗木を植え、その場所に固定させるポットであり、底に液肥を貯水することができない。前記のポット植えの苗木は、根が張る前に雨水が少ないと枯れ、土壌菌に侵される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特公平7−28616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来のように栽培の使用回数が限られたり、苗類が枯れたり、菌に侵されたりすることのない栽培装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明栽培装置は、もみ殻ともみ殻くん炭の混合培地と人工ゼオライト、貝化石、石英斑岩から選ばれる改質材と接触させた肥料成分を含む水溶液の循環・灌水手段が設けられている。
【0007】
前記の栽培装置は、下方に保水シートを敷設して改質材に接触させた肥料成分を含む水溶液を貯水する構造にすることができる。
【0008】
前記の培地の上方に間隔をおいて苗を植え付け可能な覆い蓋が設けられているもとすることができる。
【0009】
前記の栽培装置をユニット化し、平坦面、傾斜面に前記栽培ユニットが敷設され、肥料成分を含む水溶液を受ける貯水溝が併設することにより、栽培施設が構築できる。
【0010】
前記の培地と改質剤を使用して、底に肥料成分を含む水溶液を貯水する、植木鉢で、側面下方に排水口をもうけて、流れ出た水溶液を受ける貯水溝が併設することにより、水溶液の循環・灌水が構築できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明栽培装置は、培地のもみ殻ともみ殻くん炭が主体で、これらは無償または、安価で入手が簡単である。
【0012】
前記培地は、土壌の使用を全く使用しないか、使用量を低減することにより、土壌菌や土壌害虫の被害を抑え、農薬や耕作機械の費用も負担が軽減される。土壌の使用を低減することで、耕作地に限らず、平坦地、傾斜地で栽培することが可能となる。
【0013】
本発明栽培装置のユニット化は、栽培ユニットごと植物の生育に合わせて移動する事が出来て、栽培施設で、ユニットの使用回数が数多く使用でき収穫量も増大する。
【0014】
前記の改質剤に接触した肥料成分を含む水溶液は、灌水手段により灌水され、余剰の前記水溶液を貯水溝に集め循環させて、更に灌水する。従って、水溶液は垂れ流しがなく、農業用水や農薬の使用が著しく低減でき、それに要する費用も軽減され、環境保全農業につながる。更には、本発明栽培装置は、水の少ない地域で栽培に有効なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】 本発明栽培装置の一例を示す断面図である。
【図2】 本発明栽培装置の植木鉢の例を示す断面図である。
【図3】 本発明栽培装置のユニットを示す一部切欠斜視図である。
【図4】 本発明栽培装置により、ユニットの組み立てられた栽培施設の一例を示す一部切欠斜視図である。
【図5】 本発明栽培装置の別のユニットの例を示す断面図である。
【図6】 本発明栽培装置により、別のユニットの組み立てられた栽培施設の一例を示す斜視図である。
【図7】 本発明栽培装置で使用する植木鉢と育苗用ポットの正面図である。
【図8】 本発明栽培装置の水溶液が循環をする配管フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、平坦地に堰6を畝の幅に作り、防水シート4を敷き、水溶液3を貯水し、その上にもみ殻ともみ殻くん炭の複合培地1と改質材2を混ぜてなる培地を盛り上げ敷きつめる。その上に覆い蓋9を敷き間隔をおいたてあけた穴に本発明栽培装置のポットに苗を植えた、ポット苗8を植え込んでいく。
【0017】
肥料成分を含む水溶液3は、灌水チューブ7でもみ殻ともみ殻くん炭の複合培地1の上に灌水される。灌水した水溶液3は、防水シート4で改質材2に接触した水溶液3を堰6の高さまで保水できる。
【0018】
改質材2に接触した余剰な水溶液3は、改質剤2を混入した貯水溝5に貯水されポンプ18で循環チューブ7を通って、培地1に灌水チューブ7で灌水される。
【0019】
図2の植木鉢11は、底に排水の穴がなく、側面の下方に排水口12、12が設けられている。植木鉢11は、混合培地1と改質剤2を混ぜてなる培地で満たす。苗やポット苗8を植えられた植木鉢11は、鉢の両方の脇に堰10を造り、堰の上方に防水シート4を敷き詰めた上に多数並べられた植木鉢11に灌水手段により灌水し、改質剤2に接触した余剰の水溶液3を貯水して、ポンプ18(図示せず)で循環・灌水される。
【0020】
図3は、栽培装置をユニット化にした例である。栽培ユニット13の下にハニカム保水シート14を敷きその上に混合培地1と改質剤2を混ぜてなる培地を栽培ユニット13に満たし、栽培ユニット13に覆い蓋9をして間隔をおいてあけた穴に着脱可能なポット苗8を植えていく。
【0021】
図4は、図3の栽培ユニット13を立体栽培施設20の上面と傾斜面に多数敷設した例である。栽培施設20上部から栽培ユニット13に水溶液3を灌水チューブ7で、灌水する。余剰分の水溶液3は、傾斜面の栽培ユニット13に順次伝わって下部に設置された貯水溝5に溜まり、ポンプ18で循環チューブ19を通して、灌水チューブ7で灌水される。
【0022】
立体栽培施設20は、枠組21の上部に断熱材24、防水シート4、防根シート25の順で敷きつめる。断熱材24と防水シート4の間に暖冷房チューブ26を通す。防根シート25の上部(栽培施設20の平坦面及び傾斜面)に栽培ユニット13を多数敷設する。
【0023】
図5は、栽培装置をユニット化にした別の例である。栽培ユニット15の筒状体下部に蓋16を筒状態の両端に設置して、混合培地1を筒状体に満たし、水溶液を貯水する。混合培地1が崩れ落ちないように筒状体の両端は、ネット17で覆いかぶす。筒状態の上部に、間隔をおいてあけた穴に着脱可能なポット苗8を植えていく。栽培ユニット15の筒状体上部は、図3における覆い蓋9の役割を兼ねる。
【0024】
図6は、図5の筒状体で構成した栽培ユニット15を立体栽培施設22の上面と傾斜面に設けられたフック23に多数吊り下げた例である。立体栽培施設22上部から栽培ユニット15に灌水チューブ7で灌水する。余剰の水溶液は、傾斜面に設置された栽培ユニット15に順次伝わって下部に設置された貯水溝5に溜まり、ポンプ18で循環チューブ19を通して、灌水チューブ7で灌水される。
【0025】
図6の栽培施設22は、フック23で栽培ユニット15を吊るすことで、栽培ユニット15の間に間隔ができて、空気の流れが良くなり植物にストレスを与えない。長期の栽培や枝、茎が垂れ下がる植物に適する。
【0026】
図7は、本発明栽培装置で使用する植木鉢11と育苗ポット27である。底に排水用の穴がなく、水溶液3を貯水する。植木鉢は、側面下方に排水口12,12を設けて余剰の水溶液3を排水する。育苗ポットは、側面下方にスリッター28,28を横や縦(図示せず)方向に入れて、余剰の水溶液3の排水を良くし、植物の根を各方向の培地に伸びやすくする。
【0027】
図8は、肥料成分を含む水溶液3の設備配管フロー図である。水源から水をタンク29溜めて、肥料成分を混入する、水溶液3をポンプ18で、もみ殻ともみ殻くん炭の複合培地1に灌水チューブ7で灌水する。余剰な水溶液を貯水溝5に集めて、ポンプ18により、タンク30に集め、肥料成分の調整をして、循環チューブ19を通してタンク29に戻し、循環が完了する。
【0028】
培地1は、もみ殻の撥水性、もみ殻くん炭の多孔質両方の性質を利用して、乾燥気味を好む植物は、もみ殻を多く、水分を多く必要とする植物は、もみ殻くん炭を多く混ぜあわす。もみ殻ともみ殻くん炭の複合培地1は、固形物で、両方の間に無数の隙間に空気層ができ、植物の根が空気と接触することによりと根腐れが起きない。
【0029】
本発明栽培装置の培地1は、肥料、ミネラル成分をほとんど含まない。不足分の肥料、ミネラルを適度に補うことで、栽培の簡素化できる。培地1は、もみ殻ともみ殻くん炭の比率を1対1から1.5対0.5の割合とし、選ばれる改質材2は、もみ殻ともみ殻くん炭からなる複合培地の混合培地1の比率を1に対して3パーセント〜5パーセントを混ぜ合わす。
【0030】
改質材2は、人工ゼオライト、貝化石、石英斑岩を主成分とする、改質材は、成分にリン、カルシュウム、アルミニューム、マグネシューム、石灰、苦土、カリウム、鉄、亜鉛、銅、ケイ酸など植物に必要なミネラルを混合することができる。
【0031】
改質剤2は、イオン交換資材でもあり、人工ゼオライトは、4配位アルミニュームに基く負電位を多数持っているので、最も重要な特性として、各種イオン可逆的に交換できることがあげられる。
【0032】
肥料に含まれる塩化アンモニウムなどの塩をとかした水溶液3に、改質剤2などある種の高分子物質を添加して攪拌放置すると、溶旅中のアンモニウムが減少し、これと並行してナトリウムとかマグネシュームイオンなどの陽イオンが水溶液3中に現れてくることがある。植物は、改質材2で調整された、水溶液3を植物の根が吸収し、成長が促進される。
【0033】
苗は、プラグ苗をつくり、育苗ポット27に移植し、ポットで苗を育て、図1、図3、の覆い蓋9、の穴にポット苗8のまま植え込む。図2は、苗やポット苗8を植え、図6は、の穴にポット苗8のまま植え込む。
【0034】
図3にポット苗8を植え込んだ栽培ユニット13を平坦地、傾斜地や立体の栽培施設20に多数敷設して栽培をする。収穫後、次のポット苗8を植え込んだ栽培ユニット13に替えることで、耕作地の利用回数が多くなり収穫も格段に増大する。栽培ユニット15を栽培施設22の栽培も同様である。
【0035】
本発明栽培装置は、栽培ユニット13、15を使用することにより耕作地以外の屋上、屋根、壁面での栽培や植物用電球が設置されている屋内でも栽培が容易に行える。
【符号の説明】
【0036】
1 もみ殻ともみ殻くん炭の混合培地
2 改質剤 人工ゼオライト、貝化石、石英斑岩
3 肥料成分を含む水溶液
4 防水シート
5 貯水溝
6 堰
7 灌水チューブ
8 ポット苗
9 覆い蓋
10 堰
11 植木鉢
12 排水口
13 栽培ユニット
14 ハニカム保水シート
15 栽培ユニット
16 蓋
17 ネット
18 ポンプ
19 循環チューブ
20 栽培施設
21 枠組
22 栽培施設
23 フック
24 断熱材
25 防根シート
26 暖冷房チューブ
27 育苗ポット
28 スリッター
29 タンク
30 タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
もみ殻ともみ殻くん炭と混合した培地を有し、人工ゼオライト、貝化石、石英斑岩から選ばれる改質剤と接触させた肥料成分を含む水溶液の循環・灌水手段が設けられてなることを特徴とする栽培装置。
【請求項2】
上記培地の下方に、保水シートが敷設されてなることを特徴とする請求項1記載の栽培装置。
【請求項3】
上記培地の上方に、間隔をおいて苗を植え付け可能な覆い蓋が設けられてなることを特徴とする。
【請求項4】
請求項1〜3記載の栽培装置をユニット化し、平坦面、傾斜面に前記栽培ユニットが敷設され、肥料成分を含む水溶液を受ける貯水溝が併設されてなることを特徴とする栽培施設。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−103(P2012−103A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66677(P2011−66677)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(510153179)
【Fターム(参考)】