説明

アイソトープでラベルされたインドリノン誘導体およびその調製方法

アイソトープラベルされたカルボニウム[l4C]インドリノン誘導体およびその製造方法が開示される。これらの化合物は、吸収、分布、代謝および排泄(ADME)研究のために有用である。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明はインドリノン誘導体に関し、更に特定すれば、カルボニウム14 [14C]でアイソトープラベルされたインドリノン化合物およびその調製方法に関する。
【0002】
当該技術において、幾つかのインドリノン誘導体が治療剤として知られている。
【0003】
なかでも特に関連するのは、一定の(1,2-ジヒドロ-2-オキソ-3H-インドール-3-イリデン)メチル-lH-ピロール誘導体であり、以下では略してインドールイリデン-メチル-ピロール類と称する。これはSugen Inc.によって種々の特許および特許出願に開示されており、その中には、US 5,880,141号、US 5,792,783号、WO 96/40116, WO 99/48868号、WO 99/61422号、WO 01/37820号、WO 02/66463号、およびWO03/35009号が含まれ、これらは本明細書の一部として本願に援用される。
【0004】
前記化合物は、チロシンキナーゼ信号伝達を調節することにより、異常な細胞増殖を規制、調節および/または阻害するための治療法において有用である。
【0005】
治療法、例えば癌の治療におけるその用途に起因して、アイソトープラベルされたカルボニウム14[l4C]化合物としてのその調製の可能性は、吸収、分布、代謝および排泄(ADME)の研究のために最も重要である。
【0006】
上記のことから、我々は今回、新規な種類のインドールイリデン-メチル-ピロール類が、そのメチリデン部分において[l4C]でアイソトープラベルされることを見出した。
【0007】
従って、本発明の第一の目的は、下記一般式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供することである:
【化7】

【0008】
ここで、
インドリノン環の位置4、5、6、および7の1以上における各R基は、相互に独立に、直鎖もしくは分岐鎖のC1-C4アルキルもしくはアルコキシ基またはハロゲン原子であり;
ピロール環の1以上の位置における各R1基は、同一かまたは異なって、Cl-C4 アルキル、または一般式-(CH2)pCO2R'、-(CH2)p-CONR'R''もしくは-CONH-(CH2)p-CONR'R''の基であり、ここでのpは0、1、2または3であり、そのアルキレン-(CH2)p-鎖は、ヒドロキシで任意に置換され、またR'およびR''は、それぞれ独立に、水素または任意にヒドロキシで置換された直鎖もしくは分岐鎖のC1-C4アルキルから選択されるか、またはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノまたはモルホリノ基を形成し;
mは、0または1〜4の整数であり;
nは、0または1〜3の整数である。
【0009】
式(I)に明瞭に記載されているように、14Cでのラベリングは、インドリノンをピラゾール環にブリッジするメチリデン部分において生じる。
【0010】
式(I)の化合物は不斉炭素原子を有する可能性があり、従って、ラセミ混合物として、または個々の光学異性体として存在する可能性がある。加えて、インドリノン環の3位とラベルされた[l4C]原子との間にある一般式(I)中の二重結合は、シス(Z)異性体またはトランス(E)異性体の何れか一方を生じる可能性がある。
【0011】
上記のことから、それ以外に規定しない限り、全ての光学異性体または幾何異性体、並びにそれらの混合物の全てが、本発明の範囲内にあると解釈されなければならない。
【0012】
他に規定しない限り、ここでの説明において、直鎖もしくは分岐鎖のCl-C4アルキルもしくはアルコキシ基の用語に関して、我々は、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシおよびtert-ブトキシを意図するものである。
【0013】
ハロゲン原子の用語に関して、我々は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意図する。
【0014】
式(I)の化合物の薬学的に許容可能な塩は、無機酸もしくは有機酸、例えば硝酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、過塩素酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、蓚酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、イセチオン酸およびサリチル酸との酸付加塩、並びに無機塩基もしくは有機塩基、例えばアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、特にナトリウムカリウム、カルシウムもしくはマグネシウムの水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、非環状アミンもしくは環状アミン、好ましくはメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンまたはピペリジンとの塩である。
【0015】
先に指摘した通り、本発明のインドリノン誘導体は、下記の番号付けシステムに従って、位置4、5、6、および7の1以上において、任意にR基で置換されてもよい。
【化8】

【0016】
同様に、本発明のインドリノン誘導体はまた、任意に、ピロール環の一以上の遊離位置において上記R1基で置換されてもよい。
【0017】
好ましくは、本発明の化合物は、ピロール環が1以上の基、例えばメチル、カルボキシ、エトキシカルボニル、カルボキシエチル、N, N-ジエチル-アミノカルボニル、N-[(2-ジエチルアミノ)エチル]カルボキシアミド、N-[2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]カルボキシアミド等で置換された、上記一般式(I)によって表されてもよい。
【0018】
更に好ましくは、本発明の化合物は、下記式の3-[(3, 5-ジメチル-1H-ピロール-2- イル)[l4C]メチレン-1,3-ジヒドロ-2H-インドール-2-オン(以下、[l4C] SU-5416と略称する;5-[(1,2-ジヒドロ-2-オキソ-3H-インドール-3-イリデン)[l4C]メチル]-2,4-ジメチル-lH-ピロール-3-プロピオン酸(以下、[l4C] SU- 6668と略称する);N-[(2-ジエチルアミノ)エチル]-5-[(5-フルオロ-1,2-ジヒドロ-2-オキソ-3H-インドール-3-イリデン)[l4C]メチル-2,4-ジメチル-lH-ピロール-3-カルボキシアミド(以下、[l4C] SU-11248と略称する);3-5-メチル-2-[(Z)-(2-オキソ-l,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)[l4C]メチル]-lH-ピロール-3-イル)プロピオン酸(以下、[l4C]SU-10944と略称する);および5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)[14C]メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-lH-ピロール-3-カルボキシアミド(以下、[l4C]SU-14813と略称する)から選択される。
【化9】

【0019】
先に指摘した通り、本発明のもう一つの目的は、式(I)の化合物およびその薬学的に許容可能な塩を調製する方法を提供することである。この方法は、
a)ジメチル-[l4C]ホルムアミドを、塩化ジホスホリルの存在下で、次式(II)の適切なピロール誘導体
【化10】

【0020】
(ここで、R1およびnは請求項1で定義した通りである)
と反応させて、次式(III)の化合物を得、
【化11】

【0021】
任意に、式(III)の化合物をもう一つの式(III)の化合物に変換することと;
b)塩基性条件下で、前記式(III)の化合物を、次式(IV)のオキシインドール誘導体
【化12】

【0022】
(Rおよびmは、請求項1で定義した通りである)
と反応させて、前記式(I)の化合物を得、任意に、これをもう一つの式(I)の化合物および/またはその薬学的に許容可能な塩に変換することと
を含んでなるものである。
【0023】
上記の方法は、任意にインドリノン部分および/またはピロール部分の両方において幾つかのRおよびR1基で置換される、[l4C]でアイソトープラベルされた種々の式(I)の化合物を選択的に調製することを可能にするので、特に有利である。
【0024】
加えて、それは所望の誘導体を、高収率で且つ高度の放射化学的純度で調製することを可能にする。
【0025】
この方法のステップ(a)に従えば、ジメチル-[l4C]ホルムアミドが、先に述べたように、R1基で置換されまたは置換されない適切なピロール誘導体と反応される。この反応は、不活性雰囲気、例えば窒素またはアルゴン下において、塩化ジホスホリルの存在下に、約0℃〜約室温の温度で、約40分間行われる。
【0026】
先に指摘したように、こうして調整された式(III)の化合物は、例えば与えられたR'基をもう一つのR'基に変換することによって、式(III)の他の化合物に便宜に変換される。一例として、エステルR1基、例えばR'がアルキルの-(CH2)pCO2R'を有する式(III)の化合物は、R'が水素である対応するカルボン酸誘導体へと便宜に変換され得る。
【0027】
上記の反応は、式(III)の化合物の調製後に行われてもよく、或いは有利には、如何なる中間体誘導体の単離も必要とせずに、1ポット内で行われてもよい。如何なる上記変換も、周知の方法に従って行えばよい。
【0028】
一例として、エステル基の対応するカルボン酸誘導体への変換は、例えば水/メタノール還流条件下で且つ水酸化カリウムの存在下において、塩基性加水分解によって容易に達成することができる。
【0029】
同様に、-(CH2)pCO2Hに対応したR1基を有する式(III)の如何なる上記誘導体も、所望であれば、対応するカルボキキシアミド誘導体-(CH2)p-CONR'R"または-CONH-(CH2)p-CONR'R"に変換することができる。また、上記反応は、カルボキシアミドを調製するための慣用の条件に従って、例えば、式(III)の適切なカルボン酸誘導体を、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロホスフェート(BOP)および三級アミン、例えばトリエチルアミンの存在下で、適正なアミノ誘導体と反応させることによって行われる。
【0030】
この反応は、適切な溶媒、例えばジメチルホルムアミドの存在下に、室温で行えばよい。
【0031】
当該方法のステップ(b)に従って、上記式(III)の化合物は、塩基性条件下において、式(IV)の適切なインドリノン誘導体と反応される。この縮合反応は慣用の方法に従って、触媒量の適切な塩基(例えばピロリジン)の存在下に、適切な溶媒(例えばエタノール)中において、還流条件で適切な時間、例えば約30分〜90分行われる。
【0032】
ステップ(a)において上述したように行うことにより、式(III)の化合物をもう一つの式(III)の誘導体に変換するときに、ステップ(b)で得られる式(I)の化合物もまた、式(I)の他の誘導体へと便宜に変換され得る。
【0033】
一例として、R1がエステル基である式(I)の与えられた如何なる化合物も、先に説明したように、R1がカルボキシ基および/またはカルボキシアミドであり得る式(I)の対応する誘導体へと変換することができる。
【0034】
同様に、式(I)の化合物の任意の造塩反応またはその塩の有利化合物への変換、ならびに異性体混合物の単一異性体への分離は、すべて慣用の方法によって行うことができる。
【0035】
出発物質であるジメチル-[14C]ホルムアミドは商業的に入手可能な化合物であり、また式(II)および式(IV)の何れの誘導体も既知であるか、または周知の合成法に従って調製することができる。
【0036】
本発明の好ましい実施形態に従えば、上記の方法は、上記で述べた[14C]でアイソトープラベルされたインドリノン誘導体SU 5416、SU 6668、SU 11248、SU-10944 およびSU-14813の調製に対処するものである。
【0037】
この点において、次式(IIIa)または(IIIb)の中間誘導体は何れも新規であり、従って本発明の更なる目的を表すものである:
【化13】

【0038】
ここで、R1は水素原子であるか、または-(CH2)2-CO2H、-CO2H、-C02CH2CH3、-CONH-(CH2)2-N(CH2CH3)2 および
【化14】

【0039】
からなる群から選択される基である。
【0040】
[14C]でアイソトープラベルされた式(I)のインドリノン誘導体は、当該技術において周知の慣用法に従って、ADME研究に使用することができる。
【0041】
以下の実施例は、如何なる限定も課すことなく、本発明をより良く例示する目的で提供するものである。
【実施例】
【0042】
例1 3,5-ジメチル-1H-ピロール-2-[14C]カルボアルデヒドの調製
ジメチル[14C]ホルムアミド(約740MBq,1.045mmol)を氷浴で冷却し、塩化ジホスホリル(DPC)(380μL;2.76mmol)を、シリンジを介して非常にゆっくりと添加した。約0℃で窒素雰囲気下にて10分撹拌した後、この溶液に2,4-ジメチルピロール(130μL;1.275mmol)を10分間に亘って添加し、この混合物を30分室温で撹拌した。反応の終点(C-18逆相カラムでの放射-HPLCにより確認。溶出剤は水−アセトニトリル−トリフルオロ酢酸の、90:10:0.1〜10:90:0.1体積比の混合物。線状勾配溶離を15分、定組成溶離を5分、検出波長=255nm,放射検出=500μLセルで、均一および2:1のHPLC溶出比(体積比)までのシンチレーションカクテル)において、この混合物を−10℃で冷却し、メタノール:水=1:5(v:v)の溶液(3mL)をフラスコ内へ導入した。水酸化カリウムの10%溶液を添加することによりpHを約12に調整した後、白色の懸濁物を得、D4焼結ガラスフィルタを介してこれを濾過し、水を用いて洗浄した(4×3mL)。固体の3,5-ジメチル-1H-ピロール-2-[14C]カルボアルデヒドを白色の固体(360MBq)で得た,放射化学的純度95%。標題化合物の放射化学的純度は放射-HPLCにより評価され(C-18逆相カラム、溶出剤は体積比90:10:0.1〜10:90:0.1の水−アセトニトリル−トリフルオロ酢酸混合物、線状勾配溶離を15分、定組成溶離を5分、検出波長=255nm、放射検出=500μLセルで、均一および2:1の HPLC溶出比(体積比)までのシンチレーションカクテル)、標題化合物の保持時間(Rt=9.11分)は、ラベルされない標準品試料の保持時間と同じであった。このステップの放射化学的収率は約49%であった。
【0043】
例2 3-[(3,5-ジメチル-1H-ピロール-2-イル)[14C]メチレン]-1,3-ジヒドロ-2H-インドール-2-オン([14C]SU 5416)の調製
3,5-ジメチル-1H-ピロール-2-[14C]カルボアルデヒド(約360MBq;0.48mmol 例えば例1で既述したとおりに調製)及びオキシインドール(64.3mg;0.48mmol)を、エタノール(3mL)中に溶解させた。次いで、ピロリジン(70μL;1.71mmol)を添加し、この溶液を還流温度で90分間、暗所で撹拌した。得られた懸濁液を室温で冷却し、D4焼結ガラスフィルタを介して濾過し、黄ないし赤色の固体を得、これをエタノールを用いて洗浄した(4×3mL)。乾燥後、3-[(3,5-ジメチル-1H-ピロール-2-イル)[14C]メチレン]-1,3-ジヒドロ-2H-インドール-2-オン([14C]SU 5416)を得た(約194MBq;0.261mmol)。放射化学的純度99%。放射化学的純度は放射-HPLCにより評価され(C-18逆相カラム、溶出剤は体積比90:10:0.1〜10:90:0.1の水−アセトニトリル−トリフルオロ酢酸混合物、線状勾配溶離を15分、定組成溶離を5分、検出波長=255nm、放射検出=500μLセルで、均一および体積比2:1のHPLC溶出比までのシンチレーションカクテル)、標題化合物の保持時間(Rt=15.4分)は、ラベルされていない標準品試料の保持時間と同じであった。標題化合物の質量スペクトルを、陽イオン検出を備えた電子スプレーイオン化技術(ESI)を用いて記録した。このESI質量スペクトルは、m/z 241において、3-[(3,5-ジメチル-1H-ピロール-2-イル)[14C]メチレン]-1,3-ジヒドロ-2H-インドール-2-オンのプロトン付加された分子イオンを示し、またm/z 239において、3-[(3,5-ジメチル-1H-ピロール-2-イル)メチレン]-1,3-ジヒドロ-2H-インドール-2-オンのプロトン付加された分子イオンを示した。このステップの放射化学的収率は約54%であった。
【0044】
例3 3-(3,5-ジメチル-2-[14C]ホルミル-1H-ピロール-4-イル)-プロピオン酸の調製
ジメチル[14C]ホルムアミド(約740MBq,1.045mmol)を氷浴で冷却し、DPC(900μL)を、シリンジを介して非常にゆっくりと添加した。10分撹拌した後、上述の冷却 (氷浴)した溶液に、3-(2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-イル)プロパン酸(213mg,1.27mmol)を15分に亘って窒素下で添加し、次いで室温にまで昇温させ、この混合物を30分間室温で撹拌した。放射-HPLCにより確認された反応の終点(C-18逆相カラム、溶出剤は体積比90:10:0.1〜10:90:0.1の水−アセトニトリル−トリフルオロ酢酸混合物、線状勾配溶離を15分、定組成溶離を5分、検出波長=255nm、放射検出=500μLセルで、均一および体積比2:1のHPLC溶出比までのシンチレーションカクテル)において、混合物を−10℃で冷却し、メタノール:水=1:5(v:v)の溶液(3mL)を添加した。水酸化カリウムの45%溶液を添加することによりpHを約12に調整した後、溶液を0℃で30分撹拌した。D4焼結ガラスフィルタを介して懸濁物を濾過し、黄色の透明な溶液を得、これに10N 塩酸溶液を添加してpH 3.5にした。この混合物を0℃で30分撹拌した。得られた茶色の懸濁物を、D4焼結ガラスフィルタを介して濾過し、中間体3-(3,5-ジメチル-2-[14C]ホルミル-1H-ピロール-4-イル)-プロピオン酸を茶色の固体で得た(213MBq;0.383mmol)。放射化学的純度77%。この放射化学的純度は、放射-HPLCにより評価され(C-18逆相カラム、溶出剤は体積比90:10:0.1〜10:90:0.1の水−アセトニトリル−トリフルオロ酢酸混合物、線状勾配溶離を15分、定組成溶離を5分、検出波長=255nm、放射検出=500μLセルで、均一および体積比2:1のHPLC溶出比までのシンチレーションカクテル)、標題化合物の保持時間(Rt=7.36分)は、ラベルされていない標準品試料の保持時間と同じであった。このステップの放射化学的収率は約29%であった。
【0045】
例4 (Z)-3-[2,4-ジメチル-5-(2-オキソ-1,2-ジヒドロ-インドール-3-イリデン[14C]メチル)-1H-ピロール-3-イル]-プロピオン酸([14C]SU 6668)の調製
3-(3,5-ジメチル-2-[14C]ホルミル-1H-ピロール-4-イル)-プロピオン酸(213MBq;0.295mmol,例えば例3の記載のとおりに調製)およびオキシインドール(46mg;0.35mmol)をエタノール(2mL)中に溶解させ、次いでピロリジン(40μL;0.977mmol)を添加し、この溶液を、還流温度で90分間暗所で撹拌した。放射-HPLC(C-18逆相カラム、溶出剤は体積比90:10:0.1〜10:90:0.1の水−アセトニトリル−トリフルオロ酢酸混合物、線状勾配溶離を15分、定組成溶離を5分、検出波長=255nm、放射検出=500μLセルで、均一および体積比2:1のHPLC溶出比までのシンチレーションカクテル)により確認された反応の終点において、混合物を室温にまで冷却し、真空下で蒸発させ、水(300mL)を用いて希釈し、1N 塩酸溶液を添加してpHを2にした。この溶液を分液漏斗中に移し、酢酸エチルを用いて抽出した(3×100mL)。回収した有機相を貯留し、塩水を用いて洗浄し(2×100mL)、真空下で蒸発乾固した後、粗製の(Z)-3-[2,4-ジメチル-5-(2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン[14C]メチル)-1H-ピロール-3-イル]-プロピオン酸([14C]SU 6668)を得た(171.5MBq;0.309mmol)。放射化学的純度84%。この純度は放射-HPLCにより評価された(C-18逆相カラム、溶出剤は体積比90:10:0.1〜10:90:0.1の水−アセトニトリル−トリフルオロ酢酸混合物、線状勾配溶離を15分、定組成溶離を5分、検出波長=255nm、放射検出=500μLセルで、均一および体積比2:1のHPLC溶出比までのシンチレーションカクテル)。標題化合物の保持時間(Rt=12.5分)は、ラベルされていない標準品試料の保持時間と同じであった。約84%の放射化学的純度を有する粗製の[14C]SU 6668(上記のように調製)を、DMSO:移動相A(1:2体積比)の混合物中に溶解させて約6.5mg/mLの濃度とし、この溶液を光から保護した。
【0046】
上記溶液の約5mLのアリクォートを、分取用HPLC系に注入した(C-18逆相カラム、溶出剤は体積比が(A)90:10:0.1及び(B)10:90:0.1の水−アセトニトリル−トリフルオロ酢酸混合物,75%A−25%Bの定組成での溶出を25分、100%Bまで亘る線状勾配溶出を5分、および100%Bでの定組成溶出を10分、検出波長=254nm)。実行(run)のリアルタイムUV-プロファイルプロットを目視により辿ることにより、[14C]SU 6668 ピークが同定された。純粋な[14C]SU 6668に対応するカラム溶出液を、光から保護したガラス製フラスコ内に回収した。化合物を含んだ画分を合体させ、蒸発によりアセトニトリルを除去した。酸性の水溶液を分液漏斗中に移し、酢酸エチルを用いて抽出した(1×200mL)。有機相を分離し、塩水を用いて洗浄し(1×200mL)、溶媒を蒸発させた後、[14C]SU 6668を得た(98.23MBq;0.177mmol)。放射化学的純度99%。放射化学的純度は放射-HPLCにより評価され(C-18逆相カラム、溶出剤は体積比90:10:0.1〜10:90:0.1の水−アセトニトリル−トリフルオロ酢酸混合物、線状勾配溶離を15分、定組成溶離を5分、検出波長=255nm、放射検出=500μLセルで、均一および体積比2:1のHPLC溶出比までのシンチレーションカクテル)、標題化合物の保持時間(Rt=12.5分)はラベルされていない標準品試料の保持時間と同じであった。標題化合物の質量スペクトルを、陽イオン検出を具備する電子スプレーイオン化技術(ESI)を用いて記録した。このESI質量スペクトルは、m/z 311amuにおいて、(Z)-3-[2,4-ジメチル-5-(2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン[14C]メチル)-1H-ピロール-3-イル]-プロピオン酸のプロトン付加された分子イオンを示し、またm/z 309amuにおいて、(Z)-3-[2,4-ジメチル-5-(2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデンメチル)-1H-ピロール-3-イル]-プロピオン酸のプロトン付加された分子イオンを示した。精製を含むこのステップの放射化学的収率は約46%であった。
【0047】
例5 5-[14C]ホルミル-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボン酸の調製
ジメチル[14C]ホルムアミド(約740MBq,1.309mmol)を氷浴で冷却し、塩化ジホスホリル(DPC 97%;500μL)を、シリンジを介して非常にゆっくりと添加した。10分撹拌した後、上記の冷却した(氷浴)溶液に2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボン酸エチル(278mg,1.66mmol)を15分に亘って窒素下で添加し、次いで室温にまで昇温させた。30分後、反応混合物の確認により(C-18逆相カラム、溶出剤は体積比90:10:0.1〜10:90:0.1の水−アセトニトリル−トリフルオロ酢酸混合物、線状勾配溶離を15分、定組成溶離を5分、検出波長=255nm、放射検出=500μLセルで、均一および体積比2:1のHPLC溶出比までのシンチレーションカクテル)、[14C]-DMFの完全な消失が示された。茶色の溶液を再度冷却し(氷浴)、水:メタノールの混合物(5:1体積比;1mL)を用いて希釈し、冷却した(氷浴)丸底フラスコ中に移し、さらに水:メタノール(5:1体積比;4mL)を添加し、水酸化カリウムの10%溶液を添加することによりpH 7に調整した。追加量の上記水酸化カリウム溶液(800μL)を反応フラスコ内に導入した後、氷浴を取り外し、白ないし黄色がかった懸濁物を還流温度で4時間加熱した。室温に冷却した後、表面に痕跡量の茶色の油状物のある透明な黄色の溶液を得た。混合物に塩酸の10%溶液を勢いよく撹拌しながら添加することによりpH<4に調整し、得られた橙ないし茶色の懸濁液を、焼結ガラス製フィルタ漏斗を介して濾過した。茶色の固体残渣を、塩酸の5%溶液を用いた懸濁物中で洗浄し(2×6mL)、さらに中性の無色の洗浄液が回収されるまで水中で洗浄した(9×7mL)。黄色の固体残渣を、全活性測定および分析的確認のために、エタノール:メタノール :ジメチルホルムアミドの混合物中に溶解させた。溶媒を真空下で乾固させた後、5-[14C]ホルミル-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボン酸(492MBq)を得た。放射化学的純度は>92%であり、さらに精製することなく次のステップで用いた。放射化学的純度は放射-HPLCにより評価され(C-18逆相カラム、溶出剤は体積比90:10:0.1〜10:90:0.1の水−アセトニトリル−トリフルオロ酢酸混合物、線状勾配溶離を15分、定組成溶離を5分、検出波長=255nm、放射検出=500μLセルで、均一および体積比2:1のHPLC溶出比までのシンチレーションカクテル)、標題化合物の保持時間(Rt=6.6分)は、ラベルされていない標準品試料の保持時間と同じであった。このステップの放射化学的収率は約66%であった。
【0048】
例6 N-[2-(ジエチルアミノ)エチル]-5-[14C]ホルミル-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキシアミドの調製
ヘキサフルオロホスホン酸ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス (ジメチルアミノ)ホスホニウム(BOP, 1g, 2.26mmol)、トリエチルアミン(480μL, 3.43mmol)およびN,N-ジエチルエタン-1,2-ジアミン(360μL, 2.56mmol)を、DMF(5mL)中の5-[14C]ホルミル-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボン酸(167mg,455MBq,0.1mmol,例えば例5の記載のとおりに調製)の冷却した(氷浴)溶液の中に、窒素下でゆっくりと撹拌しながら添加した。氷浴を取り外し、反応混合物を室温で40分撹拌した。反応の終点において(放射-HPLCにより確認、C-18逆相カラム、溶出剤は体積比90:10:0.1〜10:90:0.1の水−アセトニトリル−トリフルオロ酢酸混合物、線状勾配溶離を15分、定組成溶離を5分、検出波長=255nm、放射検出=500μLセルで、均一および体積比2:1のHPLC溶出比までのシンチレーションカクテル)、混合物を水(200mL)で用いて希釈し、塩酸の10%溶液(40mL)を添加した。10分撹拌した後、酸性の溶液を分液漏斗中に移し、酢酸エチルを用いて洗浄した(3×100mL)。水相に水酸化カリウムの10%溶液を添加することにより水相をpH>12に調整し、酢酸エチルを用いて抽出した(3×80mL)。回収した有機相を貯留し、塩水を用いて洗浄し(3×70mL)、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過後、真空下で乾固させた。溶媒を乾燥するまで真空下で蒸発させ、>95%の放射化学的純度を有するN-[2-(ジエチルアミノ)エチル]-5-[14C]ホルミル-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキシアミド(326MBq)を得、これをさらに精製することなく次のステップに用いた。放射化学的純度は放射-HPLCにより評価され(C-18逆相カラム、溶出剤は体積比90:10:0.1〜10:90:0.1の水−アセトニトリル−トリフルオロ酢酸混合物、線状勾配溶離を15分、定組成溶離を5分、検出波長=255nm、放射検出=500μLセルで、均一および体積比2:1のHPLC溶出比までのシンチレーションカクテル)、標題化合物の保持時間(Rt=4.9分)は、ラベルされない標準品試料の保持時間と同じであった。このステップの放射化学的収率は約72%であった。
【0049】
例7 N-[2-(ジエチルアミノ)エチル]-5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)-[14C]メチル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキシアミド([14C]SU 11248)の調製
5-フルオロ-1,3-ジヒドロ-2H-インドール-2-オン(137mg,0.91mmol)を、エタノール(3mL)中のN-[2-(ジエチルアミノ)エチル]-5-[14C]ホルミル-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキシアミド(190mg,326MBq,0.71mmol,例えば例6に記載のとおりに調製)の懸濁物に、室温において窒素下で添加した。茶色の透明な溶液を得、ピロリジン(100μL, 1.2mmol)を添加した後、反応混合物を30分還流させた。反応の最後に(放射-HPLCにより確認、C-18逆相カラム、溶出剤は体積比90:10:0.1〜10:90:0.1の水−アセトニトリル−トリフルオロ酢酸混合物、線状勾配溶離を15分、定組成溶離を5分、検出波長=255nm、放射検出=500μLセルで、均一および体積比2:1のHPLC溶出比までのシンチレーションカクテル)、混合物を室温にまで冷却し、真空下で蒸発させ、水(300mL)で希釈し、塩酸の10%溶液(50mL)を添加した。得られた透明な茶色の溶液を酢酸エチルで洗浄し(5×80mL)、水酸化カリウムの10%溶液を添加することによりpH>12に調整し、酢酸エチルを用いて抽出した(7×50mL)。回収した有機相を貯留し、塩水を用いて洗浄し(3×70mL)、活性測定および分析的確認のために真空下で濃縮した。この溶液を真空下で蒸発乾固させ、N-[2-(ジエチルアミノ)エチル]-5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)-[14C]メチル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキシアミド([14C]SU 11248)(240MBq)を黄ないし橙色の固体で得た。放射化学的純度>97%。純度は放射-HPLCにより評価され(C-18逆相カラム、溶出剤は体積比90:10:0.1〜10:90:0.1の水−アセトニトリル−トリフルオロ酢酸混合物、線状勾配溶離を15分、定組成溶離を5分、検出波長=255nm、放射検出=500μLセルで、均一および体積比2:1のHPLC溶出比までのシンチレーションカクテル)、標題化合物の保持時間(Rt=9.8分)は、ラベルされていない標準品試料の保持時間と同じであった。標題化合物の質量スペクトルを、陽イオン検出を備えた電子スプレーイオン化技術(ESI)を用いて記録した。ESI質量スペクトルは、m/z 411amu において、N-[2-(ジエチルアミノ)エチル]-5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)-[14C]メチル-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキシアミドのプロトン付加された分子イオンを示し、またm/z 409amuにおいて、N-[2-(ジエチルアミノ)エチル]-5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)-メチル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキシアミドのプロトン付加された分子イオンを示した。このステップの放射化学的収率は約74%であった。
【0050】
例8 3-(2-[14C]ホルミル-5-メチル-1H-ピロール-3-イル)プロパン酸の調製
ジメチル[14C]ホルムアミド(約740MBq,1.045mmol)を氷浴で冷却し、塩化ジホスホリル(DPC 97%, 800μL)を、シリンジを介して非常にゆっくりと添加した。10分撹拌した後、上記の冷却した溶液に3-(5-メチル-1H-ピロール-3-イル)プロパン酸(66.7mg;0.435mmol)を15分に亘って窒素下で添加し、次いで室温にまで温め、混合物を30分室温で撹拌した。
【0051】
放射-HPLC (先の例で既に示した通り) により確認された反応終点において、混合物を0℃にまで冷却し、これと同温のメタノール:水=1:5(v:v,1mL)の溶液をゆっくりと添加した。
【0052】
水酸化カリウム(45%)を添加することによりpHを12にまで調整し、この溶液を室温で30分撹拌した。得られた懸濁物を、D4焼結ガラス製フィルタを介して濾過し、得られた透明な黄色の溶液を0℃にまで冷却し、次いで10N 塩酸溶液を添加してpH 3にした。この混合物を0℃で15分撹拌し、得られた懸濁物を、D4焼結ガラス製フィルタを介して濾過した。濾過した茶色の溶液を分液漏斗中に移し、酢酸エチルを用いて抽出した(4×25mL)。合体した有機相を塩水(1×100mL)で洗浄し、次いでIST 相上で乾燥させ、真空下で蒸発乾固させた後、標題化合物を茶色の固体で得た(279MBq; 0.134mmol)。このステップの放射化学的収率は約38%であった。
【0053】
例9 3-5-メチル-2-[(Z)-(2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)[14C]メチル]-1H-ピロール-3-イルプロパン酸([14C]SU-10944)の調製
3-(2-[14C]ホルミル-5-メチル-1H-ピロール-3-イル)プロパン酸(279MBq;0134 mmol)およびオキシインドール(19.6mg;0.147mmol)をエタノール(2mL)中に溶解させ;次いでその中にピロリジン(30μL;0.35mmol)を添加し、この溶液を還流温度において90分間暗所で撹拌した。放射-HPLC(先の例で既に示した通り)により確認された反応の終点において、酢酸(30μL)を添加し、この溶液を還流温度において5分間暗所で撹拌した。反応混合物を室温にまで冷却し、真空下で蒸発乾固させ、1N 水酸化カリウム溶液(5mL)中に溶解させた。次いでこの溶液を分液漏斗中に移し、酢酸エチルで洗浄し(3×8mL)、10N 塩酸溶液を添加してpH 3にし、次いで酢酸エチルを用いて抽出した(4×10mL)。合体した有機相を塩水で洗浄し(1×50mL)、IST相カラム上で乾燥させ、真空下で蒸発乾固させた後、標題の粗製の化合物を得た(240.87MBq;0.116mmol;放射化学的純度94%)。
【0054】
例10 ([14C]SU-10944)の精製
例9に従って得られた約94%の放射化学的純度を有する粗製の([14C]SU-10944)を、暗所においてジメチルスルホキシド中に溶解させて、約11mg/mLの濃度にした。この溶液の約3mLのアリクォートを、分取用HPLC系(下記を参照されたい)内に注入した:
カラム:Xterra MS C18;100x30mm ID(5μM);
カラム温度:室温;
注入体積:3mL;
試料希釈剤:DMSO;
移動相A: アセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸=10:90:0.1体積比;
移動相B: アセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸=90:10:0.1体積比;
溶出剤:時間の間隔(分);ポンプ条件 ; %A; %B
0 実行準備状態 100 0
15 線状勾配 0 100
3 定組成 0 100
1 再び平衡,勾配 100 0
移動相流速:45mL/分
UV検出:254 nm;少なくとも2p.ts/秒のサンプリング速度。
【0055】
実行(run)のリアルタイムUV-プロファイルプロットを視覚的に辿ることにより、[14C]SU 10944ピークが同定された。
【0056】
純粋化合物に対応するカラム溶出液を、光から保護されたガラス製フラスコに回収した。化合物を含んだ画分を合体させ、アセトニトリルを蒸発により除去した。この酸性の水溶液を分液漏斗中に移し、酢酸エチルを用いて抽出した(1×100mL)。回収した有機相を塩水で洗浄し(1×50mL)、IST相分離カラム上で乾燥させ、溶媒を蒸発乾固させた後、>97%の放射化学的純度を有する標題化合物を得た(159MBq;0.076mmol)。
【0057】
例11 5-[14C]ホルミル-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボン酸[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イル-プロピル]アミドの調製
ヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホミウム (BOP 97%;38.2mg;0.086mmol)、トリエチルアミン(15μL;0.108mmol)および(2S)-1-アミノ-3-モルホリン-4-イル-プロパン-2-オール(13.60mg;0.085mmol)を、ジメチルホルムアミド(2mL)中の、例5の記載のとおりに調製した5-[14C]ホルミル-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボン酸(5.3mg;72.89MBq;0.031mmol)の冷却(氷浴)した溶液に、窒素下で撹拌しながらゆっくりと添加した。
【0058】
氷浴を取り外し、反応混合物を室温で40分撹拌した。先の例で報告されたように放射-HPLCで確認された反応の最後に、混合物を水(20mL)を用いて希釈し、6N 塩酸溶液を用いてpH 3にまで酸性にした。10分撹拌したのち、この酸性の溶液を分液漏斗中に移し、酢酸エチルを用いて洗浄した(3×20mL)。
【0059】
水酸化カリウムの45%溶液を添加することにより水相をpH>12に調整し、酢酸エチルを用いて抽出した(4×20mL)。回収した有機相を貯留し、塩水で洗浄し(1×50mL)、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過後、真空下で蒸発乾固させた。橙色の油状の残渣を全活性測定および分析的確認のために酢酸エチル(20mL)中に溶解させた。この溶液を乾燥するまで真空下で蒸発させることにより、標題化合物を得た(39.83MBq;放射化学的純度>72%)。得られた化合物(約54%の放射化学的収率)を、さらに精製せずに後続のステップで用いた。
【0060】
例12 5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)[14C]メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボキシアミド([14C]SU-14813)の調製
5-[14C]ホルミル-2,4-ジメチル-1H-ピロール-3-カルボン酸[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イル-プロピル]アミド(23.45MBq;0.011mmol)および5-フルオロ-1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン(2.2mg;0.0145mmol)を、エタノール(1.5mL)中に溶解させた。次いで、これにピロリジン(5μL;0.06mmol)を添加し、この溶液を還流温度において40分間暗所で撹拌した。先の例で報告したようにして放射-HPLCにより確認された反応の終点において、この混合物を室温にまで冷却し、真空下で蒸発乾固させ、1Nの水酸化カリウム溶液(20mL)に溶解させた。次いでこの溶液を分液漏斗中に移し、酢酸エチルを用いて抽出した(3×20mL)。合体した有機相を塩水で洗浄し(1×50mL)、IST 相分離カラム上で乾燥させ、真空下で蒸発乾固させた後、粗製の標題化合物を得た(12.60MBq;0.006mmol;放射化学的純度82%)。このステップの放射化学的収率は約54%であった。
【0061】
例13 ([14C]SU-14813)の精製
例12に従って調製した放射化学的純度約が82%の粗精製物([14C]SU-14813)を、暗所において、メタノール:移動相A=1:2(v/v)中に溶解させて約1.9mg/mLの濃度にした。
【0062】
上記溶液の約3mLのアリクォートを、分取用HPLC系内(下記を参照されたい)に注入した:
カラム:Xterra MS C18;100x30mm ID(5μM);
カラム温度:室温;
注入体積:3mL;
試料希釈剤:メタノール:移動相A=1:2(v/v);
移動相A: アセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸=10:90:0.1体積比;
移動相B: アセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸=90:10:0.1体積比;
溶出剤:時間の間隔(分);ポンプ条件 ; %A; %B
0 実行準備状態 100 0
15 線状勾配 0 100
3 定組成 0 100
1 再び平衡,勾配 100 0
勾配移動相流速:45mL/分
UV検出:254 nm;少なくとも2p.ts/秒のサンプリング速度。
【0063】
実行(run)のリアルタイムUV-プロファイルプロットを視覚的に辿ることにより、[14C]SU-14813のピークが同定された。
【0064】
純粋な化合物に対応するカラム溶出液は、光から保護されたガラス製フラスコに回収された。化合物を含んだ画分が合体され、アセトニトリルは蒸発により除去された。得られた水溶液を分液漏斗中に移し、水酸化カリウムの45%溶液を添加することによりpH=12に調整し、酢酸エチルを用いて抽出した(1×50mL)。
【0065】
回収した有機相を塩水で洗浄し(1×50mL)、IST相分離カラムを上で乾燥させ、溶剤を蒸発乾固させた後、97%の放射化学的純度を有する標題化合物(11.16MBq;0.005mmol)を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩:
【化1】

ここで、
インドリノン環の位置4、5、6、および7の1以上における各R基は、相互に独立に、直鎖もしくは分岐鎖のC1-C4アルキルもしくはアルコキシ基またはハロゲン原子であり;
ピロール環の1以上の位置における各R1基は、同一かまたは異なって、Cl-C4 アルキル、または一般式-(CH2)pCO2R'、-(CH2)p-CONR'R''もしくは-CONH-(CH2)p-CONR'R''の基であり、ここでのpは0、1、2または3であり、そのアルキレン-(CH2)p-鎖は、ヒドロキシで任意に置換され、またR'およびR''は、それぞれ独立に、水素または任意にヒドロキシで置換された直鎖もしくは分岐鎖のC1-C4アルキルから選択されるか、またはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノまたはモルホリノ基を形成し;
mは、0または1〜4の整数であり;
nは、0または1〜3の整数である。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、前記ピロール環が、メチル、カルボキシ、エトキシカルボニル、カルボキシエチル、N,N-ジエチル-アミノカルボニル、N-[(2-ジエチルアミノ)エチル]カルボキシアミド、またN-[2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]カルボキシアミドから選択される一以上の基で置換される化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物であって、3-[(3,5-ジメチル-lH-ピロール-2-イル)[l4C]メチレン-1,3-ジヒドロ-2H-インドール-2-オン;5-[(1,2-ジヒドロ-2-オキソ-3H-インドール-3-イリデン)[l4C]メチル]-2,4-ジメチル-lH-ピロール-3-プロピオン酸;N-[(2-ジエチルアミノ)エチル]-5-[(5-フルオロ-1,2-ジヒドロ-2-オキソ-3H-インドール-3-イリデン)[l4C]メチル]-2,4-ジメチル-lH-ピロール-3-カルボキシアミド;3-5-メチル-2-[(Z)-(2-オキソ-l,2-ジヒドロ-3Hインドール-3-イリデン)[l4C]メチル]-lH-ピロール-3-イル)プロピオン酸;および5-[(Z)-(5-フルオロ-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-3H-インドール-3-イリデン)[l4C]メチル]-N-[(2S)-2-ヒドロキシ-3-モルホリン-4-イルプロピル]-2,4-ジメチル-lH-ピロール-3-カルボキシアミドである化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の式(I)の化合物を調製する方法であって:
a)ジメチル-[l4C]ホルムアミドを、塩化ジホスホリルの存在下で、次式(II)の適切なピロール誘導体
【化2】

(ここで、R1およびnは請求項1で定義した通りである)
と反応させて、次式(III)の化合物を得、
【化3】

任意に、式(III)の化合物をもう一つの式(III)の化合物に変換することと;
b)塩基性条件下で、式(III)の化合物を、次式(IV)のオキシインドール誘導体
【化4】

(Rおよびmは、請求項1で定義した通りである)
と反応させて、式(I)の化合物を得、任意に、これをもう一つの式(I)の化合物および/またはその薬学的に許容可能な塩に変換することと
を含んでなる方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、ステップ(b)において、塩基性条件がピロリジンによって得られる方法。
【請求項6】
次式(IIIa)または(IIIb)の化合物:
【化5】

ここで、R1は水素原子であるか、または-(CH2)2-CO2H、-CO2H、-C02CH2CH3、-CONH-(CH2)2-N(CH2CH3)2および
【化6】

からなる群から選択される基である。
【請求項7】
吸収、分布、代謝および排泄の研究(ADME)のための、請求項1で定義した式(I)の化合物の使用。

【公表番号】特表2006−515564(P2006−515564A)
【公表日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−525429(P2004−525429)
【出願日】平成15年7月28日(2003.7.28)
【国際出願番号】PCT/EP2003/050340
【国際公開番号】WO2004/012776
【国際公開日】平成16年2月12日(2004.2.12)
【出願人】(504218576)ファルマシア・イタリア・エス・ピー・エー (7)
【Fターム(参考)】