アクセス競合試験におけるアクセス競合発生システム
【課題】アクセス競合試験において、アクセス信号の確実な競合が速やかに実現し得るように構成されたアクセス競合発生システムを提供する。
【解決手段】第1及び第2のインターフェースのそれぞれから出力されるべき実アクセス信号と同様な第1及び第2の擬似アクセス信号が格納手段に格納され、第1及び第2のインターフェースのそれぞれには第1及び第2のローカルバス制御手段が設けられる。第1及び第2の擬似アクセス信号は擬似アクセス信号送出手段により第1及び第2のローカルバス制御手段に順次送出される。アービトレーション部にはアクセス監視手段が設けられる。第1及び第2の擬似アクセス信号のそれぞれには、第1及び第2のローカルバス制御手段からアクセス監視手段に送出されるべき送出タイミング時間として同じ時間が含まれる。
【解決手段】第1及び第2のインターフェースのそれぞれから出力されるべき実アクセス信号と同様な第1及び第2の擬似アクセス信号が格納手段に格納され、第1及び第2のインターフェースのそれぞれには第1及び第2のローカルバス制御手段が設けられる。第1及び第2の擬似アクセス信号は擬似アクセス信号送出手段により第1及び第2のローカルバス制御手段に順次送出される。アービトレーション部にはアクセス監視手段が設けられる。第1及び第2の擬似アクセス信号のそれぞれには、第1及び第2のローカルバス制御手段からアクセス監視手段に送出されるべき送出タイミング時間として同じ時間が含まれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、汎用プロセッサに接続されるデバイスにおいて種々のアクセス信号が競合した際にアクセス信号が適正に処理したか否かを試験するためのアクセス競合試験に関し、一層詳しくは、かかるアクセス競合試験におけるアクセス競合発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図12を参照すると、従来のプロセッサモジュールが参照符号1で全体的に示され、このプロセッサモジュール1には、汎用プロセッサ11、バスコントローラ12、外部メモリ13、汎用メモリ14、PCI(peripheral component interconnect)ブリッジ15、デバッグインターフェース16、PCIデバイス17及び18等が搭載される。
【0003】
バスコントローラ12には、アービトレーション(arbitration)部12A、プロセッサインターフェース12B、メモリインターフェース12C、汎用メモリインターフェース12D、バスインターフェース12E及び系間バスインターフェース12F等が含まれる。アービトレーション部12Aは、プロセッサインターフェース12B、メモリインターフェース12C、汎用メモリインターフェース12D、バスインターフェース12E及び系間バスインターフェース12F等からのアクセス信号が競合した際に調停する機能を持つ。即ち、アクセス信号の競合時に優先度の高いアクセス信号が先に処理され、優先度の低いアクセス信号は後で処理されることになる。このような適正なアクセス信号処理が行われたか否かを試験することがアクセス競合試験である。
【0004】
汎用プロセッサ11はプロセッサインターフェース12Bを介してアービトレーション12Aに接続される。汎用プロセッサ11では、そこで実行されるプログラムの内容に応じて種々のアクセス信号が発生させられ、これらアクセス信号はプロセッサインターフェース12Bを介してアービトレーション部12Aにアクセスされる。
【0005】
外部メモリ13は例えばDRAMとして構成され、メモリインターフェース12Cを介してアービトレーション部12Aに接続される。外部メモリ13には、汎用プロセッサ11でのプログラム実行中に得られた各種命令信号や演算結果データ等が一時的に格納される。
【0006】
汎用メモリ14は例えばフラッシュメモリとして構成され、汎用メモリインターフェース12Dを介してアービトレーション部12Aに接続される。汎用メモリ14には、種々の診断プログラムや試験プログラム等が格納される。なお、これら診断プログラムや試験プログラム等はここで言うアクセス競合試験とは直接的には関係しない。
【0007】
PCIブリッジ15はバスインターフェース12Eを介してアービトレーション部12Aに接続される。また、PCIブリッジ15はデバッグインターフェース16並びにPCIデバイス17及び18に接続される。デバッグインターフェース16はプロセッサモジュール1の実際の動作時には周辺デバイス等に接続されるが、アクセス競合試験時には試験用端末P1に接続される。また、PCIデバイス17及び18は例えばインターネット等に接続される。試験用端末P1では、アクセス競合試験時に人為的にアクセス信号が発生させられ、このアクセス信号はデバッグインターフェース16及びPCIブリッジ15を介してアービトレーション部12Aにアクセスされる。
【0008】
図12に示すプロセッサモジュール1は安全システムとして冗長機能を備える。即ち、プロセッサモジュール1と同様な対向プロセッサモジュール(図示されない)が用意される。この対向プロセッサモジュールは系間バスSB1を介して系間バスインターフェース12Fに接続され、対向プロセッサモジュール側で発生させられたアクセス信号は系間バスインターフェース12Fを介してアービトレーション部12Aにアクセスされる。
【0009】
図12のプロセッサモジュール1でアクセス競合試験を行うとき、上述した3つのアクセス信号が用いられる。即ち、汎用プロセッサ11でテストプログラムを実行する際に発生させられるプロセッサアクセス信号AR1と、試験用端末P1で人為的に発生させられるデバッグアクセス信号AR2と、対向プロセッサモジュール(図示されない)の汎用プロセッサで発生させられて系間バス3を介して転送される系間アクセス信号AR3とが用いられる。なお、系間アクセス信号AR3は、対向プロセッサモジュール側で発生させられたプロセッサアクセス信号及びデバッグアクセス信号のうちのいずれかとなる。
【0010】
図12では、アービトレーション部12Aに対するプロセッサアクセス信号AR1、デバッグアクセス信号AR2及び系間アクセス信号AR3のそれぞれのアクセスが矢印AR1、AR2及びAR3で象徴的に示されている。
【0011】
アクセス競合試験においては、アービトレーション部12Aでプロセッサアクセス信号AR1或いは系間アクセス信号AR3に対してデバッグアクセス信号AR2のアクセス競合が人為的に発生させられ、このときアービトレーション部12Aでアクセス競合が適正に処理されたか否かが試験される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述した従来のプロセッサモジュール1でのアクセス競合試験の課題としては、プロセッサアクセス信号或いは系間アクセス信号に対してデバッグアクセス信号のアクセス競合を人為的に発生させることが難しいという点が挙げられる。というのは、プロセッサモジュール1においては、アービトレーション部12Aに対するプロセッサアクセス信号、デバッグアクセス信号及び系間アクセス信号のそれぞれのアクセスが独立して制御されるために、アクセス競合の発生を常に確実に保証し得ないからである。勿論、デバッグアクセス信号の発生タイミングは試験用端末P1で調整することは可能であるが、このような調整については、所謂トライ・アンド・エラーの態様で行う必要があり、このため従来のプロセッサモジュール1でのアクセス競合試験はきわめて面倒で時間の掛かるものとなっていた。なお、試験用端末P1によりアービトレーション部12Aでアクセス競合時に適正な処理が行われたか否かが確認され得る。
【0013】
また、上述した従来のプロセッサモジュール1でのアクセス競合試験の別の課題としては、アクセス競合試験時には汎用プロセッサ11が実際に動作しなければならないということが挙げられる。従って、アクセス競合試験時にはプロセッサモジュール1および汎用プロセッサ11で実行されるプログラムが完成していなければならず、プロセッサモジュールを構成する各要素の仕様の決定が遅れている場合、各要素の一部の開発が遅れている場合、各要素の急な変更が決定した場合、プログラム作成が遅れている場合、或いはプログラムにバグがあった場合など、全ての問題が解消し、製品が全て完成するまで、アクセス競合試験を行い得ないということになり、アービトレーション部の試験を開発中に行うことが困難である。
【0014】
要するに、従来のアクセス競合発生システムについては、信頼性が低く、アクセス競合試験に手間取り、プロセッサモジュール等の製品化が遅れるという問題があった。
従って、本発明の課題は、アクセス競合試験において、アクセス信号の確実な競合が速やかに実現し得るように構成されたアクセス競合発生システムを提供することである。
【0015】
本発明の別の課題は、アクセス競合の発生を確実に保証し得るアクセス競合発生システムであって、例えば、プロセッサモジュール等のデバイス内のプロセッサのプログラムが未完成の場合でもアクセス競合試験を実行し得るアクセス競合発生システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の局面によるアクセス競合発生システムは、アービトレーション部並びに第1及び第2のインターフェースを持つデバイスに組み込まれるものであって、第1及び第2のインターフェースのそれぞれから出力されるべき実アクセス信号と同様な第1及び第2の擬似アクセス信号を格納する格納手段と、第1及び第2のインターフェースのそれぞれに設けられた第1及び第2のローカルバス制御手段と、第1及び第2の擬似アクセス信号を第1及び第2のローカルバス制御手段のそれぞれに順次送出するための擬似アクセス信号送出手段と、アービトレーション部に設けられたアクセス監視手段とを具備する。第1及び第2の擬似アクセス信号のそれぞれには、第1及び第2のローカルバス制御手段からアクセス監視手段に送出されるべき送出タイミング時間として同じ時間が含まれる。アクセス競合発生システムは、更に、第1及び第2の擬似アクセス信号のそれぞれを送出タイミング時間に基づいてアクセス監視手段に送出させるべく第1及び第2のローカルバス制御手段のそれぞれに設けられた擬似アクセス生成手段を具備する。
【0017】
本発明の第1の局面においては、送出タイミング時間として、第1のインターフェースで実アクセス信号が処理される処理時間と第2のインターフェースで実アクセス信号が処理される処理時間とを比べた際にその長い方の処理時間が設定され得る。
【0018】
また、本発明の第1の局面においては、擬似アクセス信号送出手段は、格納手段から第1及び第2の擬似アクセス信号の読出し命令を生成する命令生成手段と、第1及び第2の擬似アクセス信号の送出先を判定するための送出先判定手段とから構成され得る。
【0019】
また、本発明の第1の局面によるアクセス競合発生システムは、第1及び第2の擬似アクセス信号のそれぞれを第1及び第2のローカルバス制御手段からアクセス監視手段に送出された際に第1及び第2の擬似アクセス信号がアクセス監視手段に到達した時間差データを作成する時間差データ作成手段を具備し得る。この場合、競合発生システムは、更に、時間差データを蓄積するための時間差データ蓄積手段を具備し得る。
【0020】
本発明の第2の局面によるアクセス競合発生システムは、アービトレーション部並びに第1及び第2のインターフェースを持つデバイスに組み込まれるものであって、第1のインターフェースから出力されるべき実アクセス信号と同様な少なくとも2つの擬似アクセス信号を格納する格納手段と、第1のインターフェースに設けられた第1のローカルバス制御手段と、擬似アクセス信号を第1のローカルバス制御手段に順次送出するための擬似アクセス信号送出手段と、アービトレーション部に設けられたアクセス監視手段とを具備する。擬似アクセス信号には、第1のローカルバス制御手段からアクセス監視手段に送出されるべき送出タイミング時間が含まれる。アクセス競合発生システムは、更に、第2のインターフェースに設けられた第2のローカルバス制御手段とを具備し、第2のインターフェースからは実アクセス信号が一定の出力間隔で第2のローカルバス制御手段に出力される。アクセス競合発生システムは、更に、擬似アクセス信号が送出タイミング時間に基づいて第1のローカルバス制御手段からアクセス監視手段に送出された際に実アクセス信号の一定の出力間隔と送出タイミング時間との時間差データを作成するための時間差データ作成手段と、擬似アクセス信号送出手段により格納手段から次の擬似アクセス信号が第1のローカルバス制御手段に送出させられる際に次の擬似アクセス信号の送出タイミング時間を時間データで調整して該次の擬似アクセス信号と実アクセス信号とをアクセス競合させるための送出タイミング時間調整手段とを具備する。
【0021】
本発明の第2の局面においては、送出タイミング時間として、一定の出力間隔よりも短い時間が設定される。
【0022】
また、本発明の第2の局面においては、擬似アクセス信号送出手段は、格納手段から擬似アクセス信号の読出し命令を生成する命令生成手段と、擬似アクセス信号の送出先を判定するための送出先判定手段とから構成され得る。
【0023】
また、本発明による第2の局面によるアクセス競合発生システムは、更に、時間差データを蓄積するための時間差データ蓄積手段を具備し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
先ず、図1を参照すると、本発明によるアクセス競合発生システムを搭載したプロセッサモジュールが参照番号2で全体的に示される。
図12に示す従来のプロセッサモジュール1の場合と同様に、プロセッサモジュール2には、汎用プロセッサ21、バスコントローラ22、外部メモリ23、汎用メモリ24、PCIブリッジ25、デバッグインターフェース26、PCIデバイス27及び28等が搭載される。なお、デバッグインターフェース26はプロセッサモジュール2の実際の動作時には周辺デバイス等に接続されるが、アクセス競合試験時には試験用端末P2に接続され、この試験用端末P2によりアービトレーション部22Aでアクセス競合時に適正な処理が行われたか否かが従来のアクセス競合試験の場合と同様に確認され得る。
【0025】
また、図12に示すバスコントローラ12の場合と同様に、バスコントローラ22には、アービトレーション部22A、プロセッサインターフェース22B、メモリインターフェース22C、汎用メモリインターフェース22D、バスインターフェース22E及び系間バスインターフェース22Fが含まれる。
【0026】
なお、図12に示す従来の場合と同様に、プロセッサモジュール2も安全システムとして冗長機能を備える。即ち、プロセッサモジュール2と同様な対向プロセッサモジュール(図示されない)が用意され、この対向プロセッサモジュールは系間バスSB2を介して系間バスインターフェース22Fに接続され、対向プロセッサモジュール側で発生させられたアクセス信号は系間アクセス信号として系間バスインターフェース22Fを介してアービトレーション部22Aにアクセスされる。
【0027】
アクセス競合発生システムは、バスコントローラ22に設けられた競合制御部3及びソフトインターフェース4を具備し、競合制御部3はソフトインターフェース4を介して試験用端末P3に接続される。
【0028】
また、アクセス競合発生システムは、プロセッサインターフェース22B、メモリインターフェース22C、汎用メモリインターフェース22D、バスインターフェース22E及び系間バスインターフェース22Fのそれぞれに設けられたローカルバス(LB)制御部5B、5C、5D、5E及び5Fを具備し、これらLB制御部5Bないし5FはローカルバスB1を介して競合制御部3に接続される。なお、LB制御部5Bないし5Fは互いに同じ構成を持つものである。LB制御部5Bないし5Fは各インターフェース22Bないし22Fのアービトレーション部22A側に設けられる共に、バスコントローラ22がFPGAで構成される場合には、インターフェース22Bないし22Fのいずれかの仕様や回路が完成していない時点でも競合試験を可能としている。なお、LB制御部5Bないし5Fをアービトレーション部とは反対側に設けた場合には、インターフェース22Bないし22Fの回路を含めた競合試験を可能とすることができる。ただしこの場合にはLB制御部5Bないし5Fをインターフェース22Bないし22Fの回路に合わせた構成とする必要があり、かつ、疑似アクセス信号もインターフェース22Bないし22Fに合わせる必要があり設計が複雑化する。
更に、アクセス競合発生システムは、アービトレーション部22Aに設けられた競合監視部6を具備し、この競合監視部6はローカルバスB2を介して競合制御部3に接続される。
【0029】
ところで、プロセッサモジュール2が実際に動作させられるとき、プロセッサインターフェース22B、メモリインターフェース22C、汎用メモリインターフェース22D、バスインターフェース22E及び系間バスインターフェース22Fからは種々のアクセス信号がアービトレーション部22Aに送出され、このときアービトレーション部22Aでアクセス信号のアクセス競合が発生し得る。図12を参照して既に説明したように、アービトレーション部22Aでのアクセス競合が発生した際にそれらアクセス信号が適正に処理されたか否かを試験することがアクセス競合試験である。
【0030】
図1に示すプロセッサモジュール2でアクセス競合試験を行うとき、アクセス競合発生システムは2つの動作モードのうちのいずれかで動作させられることになる。
第1の動作モードでは、競合制御部3で作成される擬似アクセス信号だけを用いてアクセス競合が発生させられ、これによりアクセス競合試験が行われる。即ち、プロセッサモジュール2の実際の動作時に得られるアクセス信号は全く使用されない。
【0031】
第1の動作モードについては後で詳述されるが、その概略について説明すると、競合制御部3では、プロセッサモジュール2の実際の動作時に上述した種々のインターフェース22Bないし22Fから出力されるアクセス信号と同様な擬似アクセス信号が作成され、これら擬似アクセス信号はローカルバスB1を介してインターフェース22Bないし22FのそれぞれのLB制御部5Bないし5Fに順次送出させられる。その後、LB制御部5Bないし5Fのうちの2つのLB制御部、例えばプロセッサインターフェース22B及び系間インターフェース22Fのそれぞれから擬似アクセス信号がアクセス競合を発生し得るように所定のタイミングでアービトレーション部22A及びその競合監視部6に送出させられる。次いで、競合監視部6では、双方の擬似アクセス信号がアクセス競合したか否かが判定され、その判定が競合状態情報として競合制御部3にローカルバスB2を介して送出されてそこに蓄積される。競合制御部3から全ての擬似アクセス信号がLB制御部5Bないし5Fに対して送出された後、試験者は競合制御部3に蓄積された競合状態情報を試験端末P3を介して確認することができる。
【0032】
第2の動作モードでは、バスコントローラ22の種々のインターフェース22Bないし22Fのいずれか1つが実際に動作せられ、そこから実アクセス信号がアービトレーション部22Aに順次送出させられるという条件下でアクセス競合試験が行われる。
【0033】
第2の動作モードについても後で詳述されるが、その概略について説明すると、種々のインターフェース22Bないし22Fのいずれか1つ、例えばプロセッサインターフェース22Bが実際に動作せられるとき、競合制御部3では、プロセッサインターフェース22BのLB制御部5Bを除くLB制御部5Cないし5Fに送出されるべき擬似アクセス信号が競合制御部3で作成され、これら擬似アクセス信号はローカルバスB1を介してインターフェース22Cないし22FのそれぞれのLB制御部5Cないし5Fに順次送出させられる。その後、LB制御部5Cないし5Fから擬似アクセス信号が適当なタイミングでアービトレーション部22A及びその競合監視部6に送出させられる。次いで、競合監視部6では、LB制御部5Cないし5Fからの擬似アクセス信号とプロセッサインターフェース22Bからの実アクセス信号とがアクセス競合したか否かが判定され、その判定が競合状態情報として競合制御部3にローカルバスB2を介して送出され、その競合状態情報に基づいて、競合制御部3からLB制御部5Cないし5Fに送出されるべき擬似アクセス信号がアービトレーション部22Aでプロセッサインターフェース22Bからの実アクセス信号とアクセス競合させられるように処理される。
【0034】
次に、図1の競合制御部3の詳細ブロック図である図2を参照して、競合制御部3の構成を説明する。
競合制御部3には、内部メモリ31、命令生成部32、ID判定/アクセス調整部33及び競合情報処理部34が設けられる。
【0035】
内部メモリ31にはアクセス競合試験用プログラムが格納され、このアクセス競合試験用プログラムには種々の擬似アクセス信号が含まれ、これら擬似アクセス信号はソフトインターフェース4を介して試験端末P3によって作成されるだけでなく各擬似アクセス信号の内容を書き換えることもできる。
アクセス競合発生システムの第1の動作モードの選択時、アクセス試験用プログラムには互いにアクセス競合されるべき一組の擬似アクセス信号が順次配列されている。
【0036】
図3を参照すると、第1の動作モードの選択時に内部メモリ31に書き込まれた一組の擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)のパケットフォーマットが模式的にかつ例示的に示され、この一組の擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)はアービトレーション部22Aでアクセス競合されるべきものである。同図に示すように、擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)の各々はヘッダー領域Hとデータ領域Dとに分けられ、ヘッダー領域Hは更に4つの領域H1、H2、H3及びH4に分けられる。
【0037】
擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)のそれぞれの領域H1には、擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)の各々がLB制御部5Bないし5Fのいずれかからアービトレーション部22Aに送出される際の送出タイミング時間として同一時間tが書き込まれ、この送出タイミング時間tは次のように決められる。
【0038】
例えば、擬似アクセス信号Smがプロセッサインターフェース22BのLB制御部5Bに送出され、一方擬似アクセス信号S(m+1)が系間インターフェース22FのLB制御部5Fに送出される場合を想定する。バスコントローラ22の実際の動作時に、アクセス信号がプロセッサインターフェース22Bに入力されて適宜処理された後にそこから出力される際の処理時間がtBであり、アクセス信号が系間インターフェース22Fに入力されて適宜処理された後にそこから出力される際の処理時間がtFであるとき、tB>tFであれば、送出タイミング時間tは処理時間tBとされる。一方、tB<tFであれば、送出タイミング時間tは処理時間tFとされる。要するに、送出タイミング時間tは処理時間の長い方に設定される。なお、上述した種々のインターフェース22Bないし22Fでのアクセス信号の処理時間については設計段階で知ることができる。
【0039】
領域H2には、擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)のそれぞれがプロセッサインターフェース22B、メモリインターフェース22C、汎用メモリインターフェース22D、バスインターフェース22E及び系間バスインターフェース22FのいずれかのLB制御部(5B、5C、5D、5E、5F)に送出されるべきかの送出先データがブロックIDとして書き込まれる。
【0040】
領域H3には、擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)のそれぞれの命令コードが書き込まれる。例えば、擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)の各々が書込み信号、読出し信号或いは割込み信号等のいずれかであるかを区別するための命令コードが書き込まれる。
領域H4には、当該擬似アクセス信号のアドレスが書き込まれる。
【0041】
データ部分Dには適当なデータが書き込まれるが、そのデータ内容はアクセス競合試験には直接的には関与しない。なお、擬似アクセス信号には純粋な命令信号も含まれ、このような命令信号はデータ領域Dを持たない。
【0042】
図4を参照すると、第2の動作モードの選択時に内部メモリ31に書き込まれた擬似アクセス信号Snのパケットフォーマットが模式的にかつ例示的に示され、この擬似アクセス信号Snはアービトレーション部22Aでアクセス競合されるべきものである。同図に示すように、第1の動作モードの選択時と同様に、擬似アクセス信号Snもヘッダー領域Hとデータ領域Dとに分けられ、ヘッダー部分Hは更に4つの領域H1、H2、H3及びH4に分けられる。
【0043】
第2の動作モードの選択時では、擬似アクセス信号SnがLB制御部5Bないし5Fのいずれかからアービトレーション部22Aに送出される際の送出タイミング時間として同一時間Tが全ての擬似アクセス信号の領域H1に書き込まれる。送出タイミング時間Tは内部メモリ31からの読出し間隔に対応し、この読出し間隔Tは、上述した例のように、プロセッサインターフェース22Bから実アクセス信号がアービトレーション部22Aに所定の一定間隔TCで順次送出させられるとすると、送出タイミング時間TはTCよりも幾分小さい時間とされる。
【0044】
また、第2の動作モードの選択時では、上述したように、擬似アクセス信号Snが次の擬似アクセス信号Sn+1とアクセス競合されることはない。従って、プロセッサインターフェース22Bから実アクセス信号がアービトレーション部22Aに順次送出させられる場合には、擬似アクセス信号Snの領域H2(図3参照)には、プロセッサインターフェース22BのLB制御部5Bを除く、LB制御部5C、5D、5E及び5Fのいずれかに送出されるべきかの送出先データがブロックIDとして書き込まれる。
なお、擬似アクセス信号Snのその他の領域H3、H4及びDに書き込まれる内容については、図3に示す場合と同様である。
【0045】
再び、図2に戻って説明すると、命令生成部32では、内部メモリ31からの擬似アクセス信号Sm又はSnの読出しが順次行われる。また、命令生成部32では、読出し擬似アクセス信号の命令コード(H3)の内容が当該プロセッサモジュール2のアクセス形式にデコードされる。デコード後、擬似アクセス信号Sm又はSnはID判定/アクセス調整部33に出力される。
ID判定/アクセス調整部33には、送出先ブッロク判定回路33A、セレクタ33B及び送出タイミング調整回路33Cが設けられる。
【0046】
送出先ブロック判定回路33Aでは、命令生成部32から入力された擬似アクセス信号Sm又はSnのブロックID(H2)から送出先データが判定され、これに基づいてセレクタ33Bの切換が行われる。例えば、擬似アクセス信号Sm又はSnの送出先がブロックIDからプロセッサインターフェース22Bであると判定された場合には、擬似アクセス信号をプロセッサインターフェース22BのLB制御部5に送出すべくセレクタ33Bが切り換えられ、また擬似アクセス信号Sm又はSnの送出先がブロックIDから系間インターフェース22Fであると判定された場合には、擬似アクセス信号Sm又はSnを系間インターフェース22FのLB制御部5に送出すべくセレクタ33Bが切り換えられることになる。
【0047】
送出タイミング調整回路33Cは本発明によるアクセス発生競合システムの第2の動作モードの選択時だけ使用され、送出タイミング調整回路33Cでは、擬似アクセス信号Snの送出タイミング時間Tに補正時間データΔTを加算することにより送出タイミング時間Tの調整が行われ、送出タイミング時間Tの調整後に擬似アクセス信号SnはローカルバスB1に対して出力され、そのブロックIDの送出先データに従ってLB制御部5Bないし5Fのいずれかに送出される。なお、補正時間データΔTは後で詳しく説明するように上述の競合状態情報に含まれるものである。
【0048】
なお、厳密に言うと、送出タイミング調整回路33Cは第1の動作モードの選択時でも実際には動作せられるが、この場合には補正時間データはゼロに設定され、擬似アクセス信号Smはその送出タイミング時間tを調整することなく、そのブロックIDの送出先データに従ってLB制御部5Bないし5Fのいずれかに送出される。
【0049】
競合情報処理部34にはメモリ34A、競合発生設定レジスタ34B及びアクセス競合判定回路34Cが設けられる。
アクセス競合発生システムの第1及び第2の動作モードのいずれにおいても、メモリ34Aには、アービトレーション部22Aの競合監視部6からローカルバスB2を介して送出される競合状態情報が順次格納されて蓄積され、これら競合状態情報は試験用端末P3により確認することができる。
【0050】
第2の動作モードの選択時だけ、競合発生設定レジスタ34Bが動作させられ、アービトレーション部22Aの競合監視部6から競合状態情報がローカルバスB2を介して送出される度毎に競合状態情報が競合発生設定レジスタ34Bに書き込まれ、この競合状態情報に含まれる補正時間データΔTに基づいてアクセス競合判定回路34Cによりアクセス競合が起きているか否かが判定される。アクセス競合判定回路34Cによりアクセス競合が起きていないと判定されたとき、補正時間データΔTがID判定/アクセス調整部33の送出タイミング調整回路33Cに出力される。
【0051】
次に、図1のLB制御部5の詳細ブロック図である図5を参照して、LB制御部5Bないし5Fの構成を説明する。なお、同図では、プロセッサインターフェース22B、メモリインターフェース22C、汎用メモリインターフェース22D、バスインターフェース22E及び系間バスインターフェース22Fがインターフェース処理ブロックとして代表的に表され、またインターフェース処理ブロックに接続される汎用プロセッサ21、外部メモリ23、汎用メモリ24及びPCIブリッジ25が外部接続デバイスとして代表的に表されている。
【0052】
インターフェース処理ブロック(22B、22C、22D、22E、22F)にはセレクタSEが設けられ、このセレクタSEにより、LB制御部(5B、5C、5D、5E、5F)からアービトレーション部22Aへの擬似アクセス信号の送出と外部接続デバイス(21、23、24、25)からアービトレーション部22Aへのアクセス信号の送出とが切り換えられる。
【0053】
LB制御部(5B、5C、5D、5E、5F)にはセレクタ切換設定スイッチ51が設けられ、このセレクタ切換設定スイッチ51は例えばディップ(DIP)スイッチとして構成することができる。アクセス競合試験を行うとき、DIPスイッチ51は試験者によって前もって操作される。
【0054】
アクセス競合発生システムの第1の動作モードの選択時、全てのインターフェース処理ブロック22B、22C、22D、22E及び22Fにおいて、DIPスイッチ51によりセレクタSEはLB制御部5側に切り換えられる。即ち、アービトレーション部22Aには、インターフェース処理ブロック22B、22C、22D、22E及び22Fのそれぞれから擬似アクセス信号が送出されることになる。
【0055】
一方、アクセス競合発生システムの第2の動作モードの選択時、インターフェース処理ブロック22B、22C、22D、22E及び22Fのうちのいずれか1つ、例えばプロセッサインターフェース22Bだけが実際に動作させられる場合には、そのDIPスイッチ51によりセレクタSEは外部接続デバイス即ち汎用プロセッサ21側に切り換えられる。
【0056】
図5に示すように、LB制御部(5B、5C、5D、5E、5F)には、更に、セレクタ52、DIPスイッチ53、ローカルバス受信部54及び擬似アクセス生成部55が設けられる。
【0057】
セレクタ52の切換はセレクタSEの場合と同様に、DIPスイッチ53によって行われ、第1の動作モードの選択時には、セレクタ52はローカルバス受信部54側に切り換えられ、第2の動作モードの選択時には、セレクタ52は擬似アクセス生成部55側に切り換えられる。
【0058】
第1の動作モードの選択時、例えば、競合制御部3のID判定/アクセス調整回路33から送出された擬似アクセス信号Smがプロセッサインターフェース22BのLB制御部5Bのセレクタ52を介してそのローカルバス受信部54により受信されると、LB制御部5Bのローカルバス受信部54では擬似アクセス信号Smが所定時間にわたって保持される。即ち、次の擬似アクセス信号S(m+1)が例えば系間バスインターフェース22FのLB制御部5Fのセレクタ52を介してそのローカルバス受信部54により受信されるまで、擬似アクセス信号SmはLB制御部5Bのローカルバス受信部54で保持される。次の擬似アクセス信号S(m+1)がLB制御部5Fのローカルバス受信部54で受信されると、擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)はそれぞれのローカルバス受信部54からその該当擬似アクセス生成部55に同時に出力され、そこから擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)は送出タイミング時間tの経過後にセレクタSEを介してアービトレーション部22A側に同時に送出される。
【0059】
一方、第2の動作モードの選択時、競合制御部3のID判定/アクセス調整回路33から送出された擬似アクセス信号Snはセレクタ52を介して擬似アクセス生成部55側に直接送出され、次いで擬似アクセス信号Snは送出タイミング時間Tの経過後にアービトレーション部22A側にセレクタSEを介して送出される。
【0060】
次に、図1の競合監視部6の詳細ブロック図である図6を参照して、競合監視部6の構成を説明する。
競合監視部6には、5つのアクセス受信部61B、61C、61D、61E及び61Fと、これらアクセス受信部61Bないし61Fに接続された基準カウンタ62と、アクセス受信部61Bないし61Fに接続されたアクセス監視部63と、このアクセス監視部63に接続された競合情報通知部64とが設けられる。
【0061】
アクセス受信部61Bないし61Fは、インターフェース処理ブッロク22Bないし22FのLB制御部5Bないし5Fのそれぞれにバス7B、7C、7D、7E及び7Fを介して接続される。LB制御部5Bないし5Fのそれぞれから送出された擬似アクセス信号Sm又はSnはその該当アクセス受信部61Bないし61Fにより受信される。
【0062】
図6には図示されないが、バス7Bないし7Fの各々はアービトレーション部22A自体にも接続され、LB制御部5Bないし5Fのそれぞれから送出された擬似アクセス信号Sm又はSnは競合監視部6だけでなくアービトレーション部22A自体にも送出させられる。また、インターフェース処理ブロック22Bないし22Fの実際の動作時に該インターフェース処理ブロック22Bないし22Fのそれぞれから実アクセス信号をアービトレーション部22A自体に送出させるためのバスはバス7Bないし7Fのそれぞれにも接続され、このためインターフェース処理ブロック22Bないし22Fのいずれか1つが動作させられているときには、その実アクセス信号は競合監視部6にも送出されることになる。
【0063】
アクセス競合発生システムの第1の動作モードの選択時、例えば、プロセッサインターフェース22Bから送出される擬似アクセス信号Smと系間バスインターフェース22Fから送出される擬似アクセス信号S(m+1)とについてアクセス競合試験が行われる場合を想定し、しかも系間インターフェース22FのLB制御部5Fからの擬似アクセス信号S(m+1)がアクセス受信部61Fによって受信される前にプロセッサインターフェース22BのLB制御部5Bからの擬似アクセス信号Smがアクセス受信部61Bによって受信されたと仮定すると、アクセス受信部61Bによる擬似アクセス信号Smの受信により基準カウンタ62のカウントが所定のクロックパルスに基づいて始動させられ、アクセス受信部61Fによる擬似アクセス信号S(m+1)の受信により基準カウンタ62のカウントが停止される。基準カウンタ62のカウントの停止と同時に擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)はアクセス監視部63に同時に出力され、このとき基準カウンタ62のカウント数も時間差データΔtとしてアクセス監視部63に出力されることになる。
【0064】
しかしながら、実際には、擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)はLB制御部5B及びLB制御部5Fのそれぞれの擬似アクセス生成部55から送出タイミング時間tの経過後にセレクタSEを介してアービトレーション部22A側に同時に送出されるので、Δt=0であり、従ってアービトレーション部22Aでの擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)のアクセス競合は確実に保証され得ることとなるが、何らかの理由により、Δt≠0となり得る場合もあり得る。
【0065】
いずれにしても、アクセス監視部63では、時間差データΔtに基づいて、アービトレーション部22Aでアクセス競合が起きたか否かが判定され、これにより競合状態情報が作成される。即ち、Δt=0であれば、アクセス競合が起きたと判定され、Δt≠0のとき、アクセス競合が起きていないと判定され、この判定情報が競合状態情報とされる。なお、競合状態情報には、競合判定情報(Δt)の他に擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)の命令コード等も含まれる。
【0066】
一方、アクセス競合発生システムの第2の動作モードの選択時、例えば、プロセッサインターフェース22Bから実際に送出される実アクセス信号と系間バスインターフェース22Fから送出される擬似アクセス信号Snとについてアクセス競合試験が行われる場合を想定し、しかもプロセッサインターフェース22Bの動作後にアクセス競合発生システムが動作させられるとすると、プロセッサインターフェース22Bからは種々の実アクセス信号が一定の出力間隔TCで順次出力され、実アクセス信号がアクセス受信部61Bで受信される度毎に基準カウンタ62はリセットされる。即ち、2つの連続した実アクセス信号がアクセス受信部61Bで順次受信されるとき、先行実アクセス信号がアクセス受信部61Bで受信されると、基準カウンタ62がリセットされて始動し、一定の出力間隔TCの時間経過後に後行実アクセス信号がアクセス受信部61Bで受信されると、再び基準カウンタ62はリセットされて始動されることになる。従って、先行実アクセス信号と後行実アクセス信号との間で、系間バスインターフェース22Fからの擬似アクセス信号Sn(送出タイミング時間T)アクセス受信部61Fで受信されたとすると、先行実アクセス信号と擬似アクセス信号Snとがアクセス監視部63に出力され、このとき時間差データΔTは以下のように定義される。
【0067】
ΔT=TC−T
以上の説明は、アクセス競合発生システムの動作初期時に擬似アクセス信号Snが実アクセス信号と確率的にアクセス競合され得ないという前提に基づいており、擬似アクセス信号Snで得られた時間差データΔTで次のアクセス信号S(n+1)のタイミング時間Tを適宜調整することにより、実アクセス信号と擬似アクセス信号S(n+1)とのアクセス競合が得られることになる。即ち、擬似アクセス信号S(n+1)の送出タイミング時間Tに時間差データΔTを加算して実アクセス信号の一定出力間隔TCに一致させることにより、擬似アクセス信号S(n+1)と実アクセス信号とのアクセス競合が保証され得ることとなる。
【0068】
なお、以上の記載から明らかなように、送出タイミング時間t又はTは基準カウンタ62で用いるクロックパルスのサイクル数に対応するものである。
アクセス監視部63では、時間差データΔTに基づいて、アービトレーション部22Aでアクセス競合が起きたか否かが判定され、これにより競合状態情報が作成される。即ち、ΔT=0であれば、アクセス競合が起きたと判定され、Δt≠0のとき、アクセス競合が起きていないと判定され、この判定情報が競合状態情報とされる。なお、競合状態情報には、判定情報(ΔT)の他に実アクセス信号及び擬似アクセス信号Snの命令コード等も含まれる。
【0069】
アクセス監視部63で作成された競合状態情報(Δt又はΔT)は競合情報通知部64に送られ、次いで競合状態情報(Δt又はΔT)は競合情報通知部64からローカルバスB2を介して競合制御部3(図2参照)の競合情報処理部34に送出する。競合情報処理部34では、競合状態情報(Δt又はΔT)がメモリ34Aに順次格納されて蓄積され、これら競合情報情報(Δt又はΔT)は試験用端末P3によって確認することができる。
【0070】
図7を参照すると、競合制御部34の競合発生設定レジスタ34Bが模式的に示される。同図において、種々のインターフェース22B、22C、22D、22E及び22Fから得られる実アクセス信号の命令コードはa、b、c及びdで識別される。同様に、内部メモリ31から得られる擬似アクセス信号の命令コードもa、b、c及びdで識別される。例えば、命令コードaは当該実アクセス信号或いは当該擬似アクセス信号が読出し命令信号であることを示し、命令コードbは当該実アクセス信号或いは当該擬似アクセス信号が書込み命令信号であることを示し、命令コードcは当該実アクセス信号或いは当該擬似アクセス信号が割込み命令信号であることを示し、命令コードdは当該実アクセス信号或いは当該擬似アクセス信号がその他の命令信号であることを示す。これら命令コードの識別のために各命令コード領域には4ビットが与えられる。
【0071】
例えば、アクセス競合発生システムの第2の動作モードの選択時、プロセッサインターフェース22Bから実アクセス信号が書込み信号(a)としてアービトレーション部22Aに送出され、一方系間インターフェース22Fから擬似アクセス信号Snが読出し信号(b)としてアービトレーション部22Aに送出させられ、しかも実アクセス信号と擬似アクセス信号とがアクセス競合させられずに、時間差データΔTが“5”として得られた場合、競合監視部6からの競合状態情報は競合発生設定レジスタ34Bに図7に示すような態様で書き込まれる。即ち、実アクセス信号側のプロセッサインターフェース22Bの命令コードa(書込み信号)に対応したビットに“1”が書き込まれ、擬似アクセス信号側のプロセッサインターフェース22Bの命令コードb(読出し信号)に対応したビットに“1”が書き込まれ、この双方のビットに対応する領域には時間差データΔTとして“5”が書き込まれる。なお、ΔT=5は基準カウンタ62(図6参照)で用いるクロックパルスのサイクル数に対応する。
【0072】
以上のように、競合状態情報が競合発生設定レジスタ34Bに書き込まれると、アクセス競合判定回路34Cでは、時間差データΔTがゼロか否かが判定され、ΔT≠0であるとき、時間差データΔT=5は競合発生設定レジスタ34BからID判定/アクセス調整部33の送出タイミング調整回路33Cに補正時間データとして出力される。
【0073】
次に、図8の動作説明図及び図9の動作シーケンス図を参照して、アクセス競合発生システムを第1の動作モードで動作させることにより行われるアクセス競合試験について説明する。図8では、アクセス競合試験で実行されるステップ<1>ないし<8>が矢印で経時的に示され、これらステップ<1>ないし<8>は図9に示すステップ<1>ないし<8>にそれぞれ対応する。なお、アクセス競合発生システムが第1及び第2の動作モード作動のいずれかで動作させられるか否かは試験用端末P3で選択され、第1の動作モード選択時には、競合制御部3の内部メモリ31には図3に示すようなアクセス競合試験用プログラムが既に用意されている。
【0074】
なお、図8では、インターフェース処理ブロック22B、22C、22D、22E及び22Fのうちの任意の2つがインターフェース処理ブロックA及びBとして代表的に示されている。例えば、インターフェース処理ブロックAはプロセッサインターフェース22Bであり、インターフェース処理ブロックBは系間インターフェース22Fである。
試験用端末P3からアクセス競合試験開始命令が競合制御部3に出力されると、アクセス競合発生システムは自律的に動作を開始する。
【0075】
先ず、ステップ<1>で競合制御部3のID判定/アクセス調整部33から擬似アクセス信号要求命令が命令生成部32に所定のタイミングで出力されると、ステップ<2>で命令生成部32は内部メモリ31から所定の時間間隔で擬似アクセス信号Smを順次読み出し、その命令コード(H3)の内容を当該プロセッサモジュール2のアクセス形式にデコードする。次いで、命令生成部32はステップ<3>で擬似アクセス信号SmをID判定/アクセス調整部33に順次出力する。
【0076】
ID判定/アクセス調整部33では、送出先ブッロク判定回路33Aが擬似アクセス信号SmのブロックID(H2)から送出先データを順次判定し、ステップ<4>で擬似アクセス信号Smはセレクタ33Bを介して所定のインターフェース処理ブッロク(22B、22C、22D、22E、22F)のLB制御部(5B、5C、5D、5E、5F)に順次送出される。なお、第1の動作モードにおいては、上述したように、擬似アクセス信号Smの送出タイミング時間tの調整は送出タイミング調整回路33Cで実質的に行われることはない。
【0077】
第1の動作モードの選択時、擬似アクセス信号Smはインターフェース処理ブロックAのLB制御部(5B、5C、5D、5E、5F)に送出されると、擬似アクセス信号Smはセレクタ52を介してローカルバス受信部54に送られる(図5参照)。
【0078】
例えば、擬似アクセス信号Smがインターフェース処理ブロックA例えばプロセッサインターフェース22BのLB制御部5Bのローカルバス受信部54に受信されたとすると、擬似アクセス信号Smは所定時間にわたって保持される。即ち、次の擬似アクセス信号S(m+1)がインターフェース処理ブロックB例えば系間バスインターフェース22FのLB制御部5Fのセレクタ52を介してそのローカルバス受信部54により受信されるまで、擬似アクセス信号SmはLB制御部5Bのローカルバス受信部54で保持される。次の擬似アクセス信号S(m+1)がLB制御部5Fのローカルバス受信部54で受信されると、擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)はそれぞれのローカルバス受信部54からその該当擬似アクセス生成部55に出力される。なお、擬似アクセス信号S(m+1)の<2>ないし<4>までの処理は擬似アクセス信号S(m)と同様である。
【0079】
次いで、ステップ<5>では、擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)はそれぞれの当擬似アクセス生成部55から送出タイミング時間tの経過後にそのセレクタSEを介してアービトレーション部22A側に送出されて、アービトレーション部22A自体と競合監視部6とに入力される(図6参照)。
【0080】
擬似アクセスSm及びS(m+1)の各々は競合監視部6の該当アクセス受信部(61B、61C、61D、61E、61F)で受信される。例えば、擬似アクセスSmがアクセス受信部61Bにより受信され、擬似アクセスS(m+1)がアクセス受信部61Fにより受信されたと仮定すると、上述したように、基準カウンタ62からはカウント数が時間差データΔtとしてアクセス監視部63に出力される同時に擬似アクセスSm及びS(m+1)もアクセス監視部63に出力される。アクセス監視部63では、時間差データΔtに基づいて競合状態情報が作成される。上述したように、Δt=0のとき、アクセス競合が起きていると判定され、Δt≠0のとき、アクセス競合が起きていないと判定され、この判定情報は競合状態情報に含まれ、競合状態判情報には更に擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)の命令コード等も含まれる。なお、第1の動作モードでは、通常においては、Δt=0である。
【0081】
ステップ<6>では、競合状態情報(Δt)が競合情報通知部64からローカルバスB2を介して競合制御部3の競合情報処理部34に送出される。競合情報処理部34では、競合状態情報(Δt)が競合判定部34のメモリ34Aに順次蓄積される。競合制御部3の内部メモリ31のアクセス競合試験プログラムから全ての擬似アクセス信号が読み出されると、全ての競合状態情報(Δt)が競合情報処理部34Aに蓄積され、アクセス競合発生システム自体の動作は一旦終了する。
【0082】
ステップ<7>では、試験者はソフトインターフェース4を介してレジスタ34Aから取り出した競合状態情報を試験用端末P3で確認し、試験用端末P2で得られたアクセス競合処理結果情報と共に競合状態情報を試験用端末P3で解析する。
【0083】
次に、図10の動作説明図及び図11の動作シーケンス図を参照して、アクセス競合発生システムを第2の動作モードで動作させることにより行われるアクセス競合試験について説明する。図10では、アクセス競合試験で実行されるステップ<1>ないし<8>が矢印で経時的に示され、これらステップ<1>ないし<8>は図11に示すステップ<1>ないし<8>にそれぞれ対応する。なお、アクセス競合発生システムが第1及び第2の動作モード作動のいずれかで動作させられるか否かは試験用端末P3で選択され、第2の動作モード選択時には、競合制御部3の内部メモリ31には図4に示すようなアクセス競合試験用プログラムが既に用意されている。
【0084】
なお、図10及び図11に示す例では、汎用プロセッサ21が所定のプログラムに従って実際に動作させられ、そこから所定の一定間隔で順次出力される実アクセス信号がプロセッサインターフェース22Bを介してアービトレーション部22A自身に送出されると同時にバス7を介して競合監視部6のアクセス受信部61Bにも送出され、このとき実アクセス信号がアクセス受信部61Bで受信される度毎に基準カウンタ62は上述したようにリセットされて始動させられる。
試験用端末P3からアクセス競合試験開始命令が競合制御部3に出力されると、アクセス競合発生システムは自律的に動作を開始する。
【0085】
先ず、ステップ<1>で競合制御部3のID判定/アクセス調整部33から擬似アクセス信号要求命令が命令生成部32に所定のタイミングで出力されると、ステップ<2>で命令生成部32は内部メモリ31から所定の時間間隔で擬似アクセス信号Snを順次読み出し、その命令コード(H3)の内容を当該プロセッサモジュール2のアクセス形式にデコードする。次いで、命令生成部32はステップ<3>で擬似アクセス信号SnをID判定/アクセス調整部33に順次出力する。
【0086】
ID判定/アクセス調整部33では、送出先ブッロク判定回路33Aが擬似アクセス信号SnのブロックID(H2)から送出先データを順次判定し、また送出タイミング調整回路33で擬似アクセス信号Snの送出タイミング時間Tが送出タイミング補正データで補正する。なお、初期段階では、送出タイミング補正データはゼロとされる。
【0087】
ステップ<4>で擬似アクセス信号Snはセレクタ33Bを介して所定のインターフェース処理ブロック(22C、22D、22E、22F)のLB制御部(5C、5D、5E、5F)に順次送出される(図5参照)。
【0088】
擬似アクセス信号Snがインターフェース処理ブロックAのLB制御部(5C、5D、5E、5F)に送出させられると、第2の動作モードでは、先に述べたように、アクセス信号Snはセレクタ52から擬似アクセス生成部55に直接出力される。ステップ<5>では、擬似アクセス信号Snが送出タイミング時間Tの経過後にその擬似アクセス生成部55からアービトレーション部22A自体と競合監視部6とに送出される(図6参照)。
【0089】
例えば、擬似アクセスSnが競合監視部6のアクセス受信部61Fで受信されると、基準カウンタ62からはカウント数が時間差データΔTとしてアクセス監視部63に出力される同時に擬似アクセスSnはアクセス受信部61Bに現に受信されている実アクセス信号と共にアクセス監視部63に出力される。アクセス監視部63では、時間差データΔTに基づいて競合状態情報が作成される。上述したように、ΔT=0のとき、アクセス競合が起きていると判定され、ΔT≠0のとき、アクセス競合が起きていないと判定され、この判定情報は競合状態情報に含まれ、競合状態判情報には更に実アクセス信号及び擬似アクセス信号Snの命令コード等も含まれる。
【0090】
ステップ<6>では、競合状態情報(ΔT)が競合情報通知部64からローカルバスB2を介して競合制御部3の競合情報処理部34に送出される。競合情報処理部34では、競合状態情報(ΔT)が競合判定部34のメモリ34Aに順次蓄積されると共に競合発生設定レジスタ34Bに書き込まれる。競合状態情報(ΔT)が競合発生設定レジスタ34Bに書き込まれると、アクセス競合判定回路34Cでは、時間差データΔTがゼロであるか否かが判定される。
【0091】
ステップ<7>では、ΔT≠0であるとき、時間差データΔTが競合発生設定レジスタ34BからID判定/アクセス調整部33の送出タイミング調整回路33Cに時間補正データとして出力される(図7参照)。なお、ΔT=0であるとき、時間差データ、即ち時間補正データΔTは送出タイミング調整回路33Cに出力されることはない。
【0092】
送出タイミング調整回路33Cでは、命令生成部32から入力されて来る次の擬似アクセス信号S(n+1)の送出タイミング時間Tが送出タイミング補正データΔTによって調整される。即ち、既に説明したように、送出タイミング時間Tの調整は以下の計算により行われる。
【0093】
T+ΔT=TC
その後、擬似アクセス信号S(n+1)は擬似アクセス信号Snと同様に処理され(ステップ<4>及び<5>)、競合監視部6からは競合状態情報(ΔT)が競合制御部3の競合判定部34に送出され(ステップ<6>)、この競合状態情報は擬似アクセス信号Snから得られた競合状態情報を同様な態様で処理される(ステップ<7>)。なお、第2の動作モードでは、競合制御部3の内部メモリ31からの競合試験用プログラムの読出しは少なくとも2回以上繰り返され、これによりプロセッサインターフェース22Bからの実アクセス信号に対して全ての擬似アクセス信号Snをアクセス競合させ得ることになる。
【0094】
ステップ<8>では、試験者はソフトインターフェース4を介してレジスタ34Aから取り出した競合状態情報を試験用端末P3で確認し、試験用端末P2で得られたアクセス競合処理結果情報と共に競合状態情報を試験用端末P3で解析する。
【0095】
(付記)
前記実施形態に関し次の付記を記す。
(付記1)アービトレーション部(22A)並びに第1及び第2のインターフェース(22B、22C、22D、22E、22F)を持つデバイス(22)に組み込まれるアクセス競合発生システムであって、前記第1及び第2のインターフェースのそれぞれから出力されるべき実アクセス信号と同様な第1及び第2の擬似アクセス信号(Sm、S(m+1))を格納する格納手段(31)と、
前記第1及び第2のインターフェースのそれぞれに設けられた第1及び第2のローカルバス制御手段(5B、5C、5D、5E、5F)と、前記第1及び第2の擬似アクセス信号を前記第1及び第2のローカルバス制御手段のそれぞれに順次送出するための擬似アクセス信号送出手段(32、33、B1)と、前記アービトレーション部に設けられたアクセス監視手段(63)とを具備し、前記第1及び第2の擬似アクセス信号のそれぞれには、前記第1及び第2のローカルバス制御手段から前記アクセス監視手段に送出されるべき送出タイミング時間として同じ時間(t)が含まれ、更に、前記第1及び第2の擬似アクセス信号のそれぞれを前記送出タイミング時間に基づいて前記アクセス監視手段に送出させるべく前記第1及び第2のローカルバス制御手段のそれぞれに設けられた擬似アクセス生成手段(55)を具備して成るアクセス競合発生システム。
【0096】
(付記2)付記1に記載のアクセス競合発生システムにおいて、前記送出タイミング時間(t)として、前記第1のインターフェースで実アクセス信号が処理される処理時間と前記第2のインターフェースで実アクセス信号が処理される処理時間とを比べた際にその長い方の処理時間が設定されることを特徴とするアクセス競合発生システム。
【0097】
(付記3)付記1又は2に記載のアクセス競合システムにおいて、前記擬似アクセス信号送出手段(32、33、B1)が前記格納手段(31)から前記第1及び第2の擬似アクセス信号(Sm、S(m+1))の読出し命令を生成する命令生成手段(32)と、前記第1及び第2の擬似アクセス信号の送出先を判定するための送出先判定手段(33A、33B)とから成ることを特徴とするアクセス競合発生システム。
【0098】
(付記4)付記1から3までのいずれか1項に記載のアクセス競合発生システムにおいて、前記第1及び第2の擬似アクセス信号(Sm、S(m+1))のそれぞれを前記第1及び第2のローカルバス制御手段(5B、5C、5D、5E、5F)から前記アクセス監視手段(63)に送出された際に前記第1及び第2の擬似アクセス信号(Sm、S(m+1))が前記アクセス監視手段に到達した時間差データ(Δt)を作成する時間差データ作成手段(61B、61C、61D、61E、61F、62)が設けられることを特徴とするアクセス競合発生システム。
【0099】
(付記5)付記4に記載のアクセス競合発生システムにおいて、前記時間差データ(Δt)を蓄積するための時間差データ蓄積手段(34A)が設けられることを特徴とするアクセス競合発生システム。
【0100】
(付記6)アービトレーション部(22A)並びに第1及び第2のインターフェース(22B、22C、22D、22E、22F)を持つデバイス(22)に組み込まれるアクセス競合発生システムであって、前記第1のインターフェースから出力されるべき実アクセス信号と同様な少なくとも2つの擬似アクセス信号(Sn、S(n+1))を格納する格納手段(31)と、前記第1のインターフェースに設けられた第1のローカルバス制御手段(5B、5C、5D、5E、5F)と、前記擬似アクセス信号を前記第1のローカルバス制御手段に順次送出するための擬似アクセス信号送出手段(32、33、B1)と、前記アービトレーション部に設けられたアクセス監視手段(63)とを具備し、前記擬似アクセス信号には、前記第1のローカルバス制御手段から前記アクセス監視手段に送出されるべき送出タイミング時間(T)が含まれ、更に、前記第2のインターフェースに設けられた第2のローカルバス制御手段とを具備し、前記第2のインターフェースからは実アクセス信号が一定の出力間隔(TC)で前記第2のローカルバス制御手段に出力されており、更に、前記擬似アクセス信号が前記送出タイミング時間に基づいて前記第1のローカルバス制御手段から前記アクセス監視手段に送出された際に前記実アクセス信号の一定の出力間隔と前記送出タイミング時間との時間差データ(ΔT)を作成するための時間差データ作成手段(61B、61C、61D、61E、61F、62)と、前記擬似アクセス信号送出手段により前記格納手段から次の擬似アクセス信号(S(n+1))が前記第1のローカルバス制御手段に送出させられる際に前記次の擬似アクセス信号(S(n+1))の送出タイミング時間を前記時間データで調整して該次の擬似アクセス信号(S(n+1))と実アクセス信号とをアクセス競合させるための送出タイミング時間調整手段(33C)とを具備して成るアクセス競合発生システム。
【0101】
(付記7)付記6に記載のアクセス競合発生システムにおいて、前記送出タイミング時間(T)として、前記一定の出力間隔(TC)よりも短い時間が設定されることを特徴とするアクセス競合発生システム。
【0102】
(付記8)付記6又は7に記載のアクセス競合システムにおいて、前記擬似アクセス信号送出手段(32、33、B1)が前記格納手段(31)から前記擬似アクセス信号(Sn、S(n+1))の読出し命令を生成する命令生成手段(32)と、前記擬似アクセス信号の送出先を判定するための送出先判定手段(33A、33B)とから成ることを特徴とするアクセス競合発生システム。
【0103】
(付記9)付記6から8までのいずれか1項に記載のアクセス競合発生システムにおいて、前記時間差データ(Δt)を蓄積するための時間差データ蓄積手段(34A)が設けられることを特徴とするアクセス競合発生システム。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明によるアクセス競合発生システムを組み込んだプロセッサモジュールのブッロク図である。
【図2】図1に示す競合制御部の詳細ブロック図である。
【図3】図1に示すアクセス競合発生システムを第1の動作モードで動作させる際に図2の内部メモリに書き込まれる擬似アクセス信号を模式的に示す模式図である。
【図4】図1に示すアクセス競合発生システムを第2の動作モードで動作させる際に図2の内部メモリに書き込まれる擬似アクセス信号を模式的に示す模式図である。
【図5】図1に示すインターフェースのそれぞれに設けられるローカルバス制御部の詳細ブロック図である。
【図6】図1に示すアービトレーション部に設けられる競合制御部の詳細ブロック図である。
【図7】図6に示す競合制御部の競合情報処理部に設けられる競合発生設定レジスタの模式図である。
【図8】図1に示すアクセス競合発生システムを第1の動作モードで動作させる際の動作説明図である。
【図9】図1に示すアクセス競合発生システムを第1の動作モードで動作させる際の動作シーケンス図である。
【図10】図1に示すアクセス競合発生システムを第2の動作モードで動作させる際の動作説明図である。
【図11】図1に示すアクセス競合発生システムを第2の動作モードで動作させる際の動作シーケンス図である。
【図12】従来のアクセス競合発生システムでアクセス競合試験を行うプロセッサモジュールのブロック図である。
【符号の説明】
【0105】
2:プロセッサモジュール
21:汎用プロセッサ
22:バスコントローラ
22A:アービトレーション部
22B:プロセッサインターフェース
22C:メモリインターフェース
22D:汎用メモリインターフェース
22E:バスインターフェース
22F:系間バスインターフェース
23:外部メモリ
24:汎用メモリ
26:PCIブリッジ
27・28:PCIデバイス
3:競合制御部
4:ソフトインターフェース
5B〜5F:ローカルバス制御部
6:競合監視部
B1・B2:ローカルバス
SB:系間バス
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、汎用プロセッサに接続されるデバイスにおいて種々のアクセス信号が競合した際にアクセス信号が適正に処理したか否かを試験するためのアクセス競合試験に関し、一層詳しくは、かかるアクセス競合試験におけるアクセス競合発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図12を参照すると、従来のプロセッサモジュールが参照符号1で全体的に示され、このプロセッサモジュール1には、汎用プロセッサ11、バスコントローラ12、外部メモリ13、汎用メモリ14、PCI(peripheral component interconnect)ブリッジ15、デバッグインターフェース16、PCIデバイス17及び18等が搭載される。
【0003】
バスコントローラ12には、アービトレーション(arbitration)部12A、プロセッサインターフェース12B、メモリインターフェース12C、汎用メモリインターフェース12D、バスインターフェース12E及び系間バスインターフェース12F等が含まれる。アービトレーション部12Aは、プロセッサインターフェース12B、メモリインターフェース12C、汎用メモリインターフェース12D、バスインターフェース12E及び系間バスインターフェース12F等からのアクセス信号が競合した際に調停する機能を持つ。即ち、アクセス信号の競合時に優先度の高いアクセス信号が先に処理され、優先度の低いアクセス信号は後で処理されることになる。このような適正なアクセス信号処理が行われたか否かを試験することがアクセス競合試験である。
【0004】
汎用プロセッサ11はプロセッサインターフェース12Bを介してアービトレーション12Aに接続される。汎用プロセッサ11では、そこで実行されるプログラムの内容に応じて種々のアクセス信号が発生させられ、これらアクセス信号はプロセッサインターフェース12Bを介してアービトレーション部12Aにアクセスされる。
【0005】
外部メモリ13は例えばDRAMとして構成され、メモリインターフェース12Cを介してアービトレーション部12Aに接続される。外部メモリ13には、汎用プロセッサ11でのプログラム実行中に得られた各種命令信号や演算結果データ等が一時的に格納される。
【0006】
汎用メモリ14は例えばフラッシュメモリとして構成され、汎用メモリインターフェース12Dを介してアービトレーション部12Aに接続される。汎用メモリ14には、種々の診断プログラムや試験プログラム等が格納される。なお、これら診断プログラムや試験プログラム等はここで言うアクセス競合試験とは直接的には関係しない。
【0007】
PCIブリッジ15はバスインターフェース12Eを介してアービトレーション部12Aに接続される。また、PCIブリッジ15はデバッグインターフェース16並びにPCIデバイス17及び18に接続される。デバッグインターフェース16はプロセッサモジュール1の実際の動作時には周辺デバイス等に接続されるが、アクセス競合試験時には試験用端末P1に接続される。また、PCIデバイス17及び18は例えばインターネット等に接続される。試験用端末P1では、アクセス競合試験時に人為的にアクセス信号が発生させられ、このアクセス信号はデバッグインターフェース16及びPCIブリッジ15を介してアービトレーション部12Aにアクセスされる。
【0008】
図12に示すプロセッサモジュール1は安全システムとして冗長機能を備える。即ち、プロセッサモジュール1と同様な対向プロセッサモジュール(図示されない)が用意される。この対向プロセッサモジュールは系間バスSB1を介して系間バスインターフェース12Fに接続され、対向プロセッサモジュール側で発生させられたアクセス信号は系間バスインターフェース12Fを介してアービトレーション部12Aにアクセスされる。
【0009】
図12のプロセッサモジュール1でアクセス競合試験を行うとき、上述した3つのアクセス信号が用いられる。即ち、汎用プロセッサ11でテストプログラムを実行する際に発生させられるプロセッサアクセス信号AR1と、試験用端末P1で人為的に発生させられるデバッグアクセス信号AR2と、対向プロセッサモジュール(図示されない)の汎用プロセッサで発生させられて系間バス3を介して転送される系間アクセス信号AR3とが用いられる。なお、系間アクセス信号AR3は、対向プロセッサモジュール側で発生させられたプロセッサアクセス信号及びデバッグアクセス信号のうちのいずれかとなる。
【0010】
図12では、アービトレーション部12Aに対するプロセッサアクセス信号AR1、デバッグアクセス信号AR2及び系間アクセス信号AR3のそれぞれのアクセスが矢印AR1、AR2及びAR3で象徴的に示されている。
【0011】
アクセス競合試験においては、アービトレーション部12Aでプロセッサアクセス信号AR1或いは系間アクセス信号AR3に対してデバッグアクセス信号AR2のアクセス競合が人為的に発生させられ、このときアービトレーション部12Aでアクセス競合が適正に処理されたか否かが試験される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述した従来のプロセッサモジュール1でのアクセス競合試験の課題としては、プロセッサアクセス信号或いは系間アクセス信号に対してデバッグアクセス信号のアクセス競合を人為的に発生させることが難しいという点が挙げられる。というのは、プロセッサモジュール1においては、アービトレーション部12Aに対するプロセッサアクセス信号、デバッグアクセス信号及び系間アクセス信号のそれぞれのアクセスが独立して制御されるために、アクセス競合の発生を常に確実に保証し得ないからである。勿論、デバッグアクセス信号の発生タイミングは試験用端末P1で調整することは可能であるが、このような調整については、所謂トライ・アンド・エラーの態様で行う必要があり、このため従来のプロセッサモジュール1でのアクセス競合試験はきわめて面倒で時間の掛かるものとなっていた。なお、試験用端末P1によりアービトレーション部12Aでアクセス競合時に適正な処理が行われたか否かが確認され得る。
【0013】
また、上述した従来のプロセッサモジュール1でのアクセス競合試験の別の課題としては、アクセス競合試験時には汎用プロセッサ11が実際に動作しなければならないということが挙げられる。従って、アクセス競合試験時にはプロセッサモジュール1および汎用プロセッサ11で実行されるプログラムが完成していなければならず、プロセッサモジュールを構成する各要素の仕様の決定が遅れている場合、各要素の一部の開発が遅れている場合、各要素の急な変更が決定した場合、プログラム作成が遅れている場合、或いはプログラムにバグがあった場合など、全ての問題が解消し、製品が全て完成するまで、アクセス競合試験を行い得ないということになり、アービトレーション部の試験を開発中に行うことが困難である。
【0014】
要するに、従来のアクセス競合発生システムについては、信頼性が低く、アクセス競合試験に手間取り、プロセッサモジュール等の製品化が遅れるという問題があった。
従って、本発明の課題は、アクセス競合試験において、アクセス信号の確実な競合が速やかに実現し得るように構成されたアクセス競合発生システムを提供することである。
【0015】
本発明の別の課題は、アクセス競合の発生を確実に保証し得るアクセス競合発生システムであって、例えば、プロセッサモジュール等のデバイス内のプロセッサのプログラムが未完成の場合でもアクセス競合試験を実行し得るアクセス競合発生システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の局面によるアクセス競合発生システムは、アービトレーション部並びに第1及び第2のインターフェースを持つデバイスに組み込まれるものであって、第1及び第2のインターフェースのそれぞれから出力されるべき実アクセス信号と同様な第1及び第2の擬似アクセス信号を格納する格納手段と、第1及び第2のインターフェースのそれぞれに設けられた第1及び第2のローカルバス制御手段と、第1及び第2の擬似アクセス信号を第1及び第2のローカルバス制御手段のそれぞれに順次送出するための擬似アクセス信号送出手段と、アービトレーション部に設けられたアクセス監視手段とを具備する。第1及び第2の擬似アクセス信号のそれぞれには、第1及び第2のローカルバス制御手段からアクセス監視手段に送出されるべき送出タイミング時間として同じ時間が含まれる。アクセス競合発生システムは、更に、第1及び第2の擬似アクセス信号のそれぞれを送出タイミング時間に基づいてアクセス監視手段に送出させるべく第1及び第2のローカルバス制御手段のそれぞれに設けられた擬似アクセス生成手段を具備する。
【0017】
本発明の第1の局面においては、送出タイミング時間として、第1のインターフェースで実アクセス信号が処理される処理時間と第2のインターフェースで実アクセス信号が処理される処理時間とを比べた際にその長い方の処理時間が設定され得る。
【0018】
また、本発明の第1の局面においては、擬似アクセス信号送出手段は、格納手段から第1及び第2の擬似アクセス信号の読出し命令を生成する命令生成手段と、第1及び第2の擬似アクセス信号の送出先を判定するための送出先判定手段とから構成され得る。
【0019】
また、本発明の第1の局面によるアクセス競合発生システムは、第1及び第2の擬似アクセス信号のそれぞれを第1及び第2のローカルバス制御手段からアクセス監視手段に送出された際に第1及び第2の擬似アクセス信号がアクセス監視手段に到達した時間差データを作成する時間差データ作成手段を具備し得る。この場合、競合発生システムは、更に、時間差データを蓄積するための時間差データ蓄積手段を具備し得る。
【0020】
本発明の第2の局面によるアクセス競合発生システムは、アービトレーション部並びに第1及び第2のインターフェースを持つデバイスに組み込まれるものであって、第1のインターフェースから出力されるべき実アクセス信号と同様な少なくとも2つの擬似アクセス信号を格納する格納手段と、第1のインターフェースに設けられた第1のローカルバス制御手段と、擬似アクセス信号を第1のローカルバス制御手段に順次送出するための擬似アクセス信号送出手段と、アービトレーション部に設けられたアクセス監視手段とを具備する。擬似アクセス信号には、第1のローカルバス制御手段からアクセス監視手段に送出されるべき送出タイミング時間が含まれる。アクセス競合発生システムは、更に、第2のインターフェースに設けられた第2のローカルバス制御手段とを具備し、第2のインターフェースからは実アクセス信号が一定の出力間隔で第2のローカルバス制御手段に出力される。アクセス競合発生システムは、更に、擬似アクセス信号が送出タイミング時間に基づいて第1のローカルバス制御手段からアクセス監視手段に送出された際に実アクセス信号の一定の出力間隔と送出タイミング時間との時間差データを作成するための時間差データ作成手段と、擬似アクセス信号送出手段により格納手段から次の擬似アクセス信号が第1のローカルバス制御手段に送出させられる際に次の擬似アクセス信号の送出タイミング時間を時間データで調整して該次の擬似アクセス信号と実アクセス信号とをアクセス競合させるための送出タイミング時間調整手段とを具備する。
【0021】
本発明の第2の局面においては、送出タイミング時間として、一定の出力間隔よりも短い時間が設定される。
【0022】
また、本発明の第2の局面においては、擬似アクセス信号送出手段は、格納手段から擬似アクセス信号の読出し命令を生成する命令生成手段と、擬似アクセス信号の送出先を判定するための送出先判定手段とから構成され得る。
【0023】
また、本発明による第2の局面によるアクセス競合発生システムは、更に、時間差データを蓄積するための時間差データ蓄積手段を具備し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
先ず、図1を参照すると、本発明によるアクセス競合発生システムを搭載したプロセッサモジュールが参照番号2で全体的に示される。
図12に示す従来のプロセッサモジュール1の場合と同様に、プロセッサモジュール2には、汎用プロセッサ21、バスコントローラ22、外部メモリ23、汎用メモリ24、PCIブリッジ25、デバッグインターフェース26、PCIデバイス27及び28等が搭載される。なお、デバッグインターフェース26はプロセッサモジュール2の実際の動作時には周辺デバイス等に接続されるが、アクセス競合試験時には試験用端末P2に接続され、この試験用端末P2によりアービトレーション部22Aでアクセス競合時に適正な処理が行われたか否かが従来のアクセス競合試験の場合と同様に確認され得る。
【0025】
また、図12に示すバスコントローラ12の場合と同様に、バスコントローラ22には、アービトレーション部22A、プロセッサインターフェース22B、メモリインターフェース22C、汎用メモリインターフェース22D、バスインターフェース22E及び系間バスインターフェース22Fが含まれる。
【0026】
なお、図12に示す従来の場合と同様に、プロセッサモジュール2も安全システムとして冗長機能を備える。即ち、プロセッサモジュール2と同様な対向プロセッサモジュール(図示されない)が用意され、この対向プロセッサモジュールは系間バスSB2を介して系間バスインターフェース22Fに接続され、対向プロセッサモジュール側で発生させられたアクセス信号は系間アクセス信号として系間バスインターフェース22Fを介してアービトレーション部22Aにアクセスされる。
【0027】
アクセス競合発生システムは、バスコントローラ22に設けられた競合制御部3及びソフトインターフェース4を具備し、競合制御部3はソフトインターフェース4を介して試験用端末P3に接続される。
【0028】
また、アクセス競合発生システムは、プロセッサインターフェース22B、メモリインターフェース22C、汎用メモリインターフェース22D、バスインターフェース22E及び系間バスインターフェース22Fのそれぞれに設けられたローカルバス(LB)制御部5B、5C、5D、5E及び5Fを具備し、これらLB制御部5Bないし5FはローカルバスB1を介して競合制御部3に接続される。なお、LB制御部5Bないし5Fは互いに同じ構成を持つものである。LB制御部5Bないし5Fは各インターフェース22Bないし22Fのアービトレーション部22A側に設けられる共に、バスコントローラ22がFPGAで構成される場合には、インターフェース22Bないし22Fのいずれかの仕様や回路が完成していない時点でも競合試験を可能としている。なお、LB制御部5Bないし5Fをアービトレーション部とは反対側に設けた場合には、インターフェース22Bないし22Fの回路を含めた競合試験を可能とすることができる。ただしこの場合にはLB制御部5Bないし5Fをインターフェース22Bないし22Fの回路に合わせた構成とする必要があり、かつ、疑似アクセス信号もインターフェース22Bないし22Fに合わせる必要があり設計が複雑化する。
更に、アクセス競合発生システムは、アービトレーション部22Aに設けられた競合監視部6を具備し、この競合監視部6はローカルバスB2を介して競合制御部3に接続される。
【0029】
ところで、プロセッサモジュール2が実際に動作させられるとき、プロセッサインターフェース22B、メモリインターフェース22C、汎用メモリインターフェース22D、バスインターフェース22E及び系間バスインターフェース22Fからは種々のアクセス信号がアービトレーション部22Aに送出され、このときアービトレーション部22Aでアクセス信号のアクセス競合が発生し得る。図12を参照して既に説明したように、アービトレーション部22Aでのアクセス競合が発生した際にそれらアクセス信号が適正に処理されたか否かを試験することがアクセス競合試験である。
【0030】
図1に示すプロセッサモジュール2でアクセス競合試験を行うとき、アクセス競合発生システムは2つの動作モードのうちのいずれかで動作させられることになる。
第1の動作モードでは、競合制御部3で作成される擬似アクセス信号だけを用いてアクセス競合が発生させられ、これによりアクセス競合試験が行われる。即ち、プロセッサモジュール2の実際の動作時に得られるアクセス信号は全く使用されない。
【0031】
第1の動作モードについては後で詳述されるが、その概略について説明すると、競合制御部3では、プロセッサモジュール2の実際の動作時に上述した種々のインターフェース22Bないし22Fから出力されるアクセス信号と同様な擬似アクセス信号が作成され、これら擬似アクセス信号はローカルバスB1を介してインターフェース22Bないし22FのそれぞれのLB制御部5Bないし5Fに順次送出させられる。その後、LB制御部5Bないし5Fのうちの2つのLB制御部、例えばプロセッサインターフェース22B及び系間インターフェース22Fのそれぞれから擬似アクセス信号がアクセス競合を発生し得るように所定のタイミングでアービトレーション部22A及びその競合監視部6に送出させられる。次いで、競合監視部6では、双方の擬似アクセス信号がアクセス競合したか否かが判定され、その判定が競合状態情報として競合制御部3にローカルバスB2を介して送出されてそこに蓄積される。競合制御部3から全ての擬似アクセス信号がLB制御部5Bないし5Fに対して送出された後、試験者は競合制御部3に蓄積された競合状態情報を試験端末P3を介して確認することができる。
【0032】
第2の動作モードでは、バスコントローラ22の種々のインターフェース22Bないし22Fのいずれか1つが実際に動作せられ、そこから実アクセス信号がアービトレーション部22Aに順次送出させられるという条件下でアクセス競合試験が行われる。
【0033】
第2の動作モードについても後で詳述されるが、その概略について説明すると、種々のインターフェース22Bないし22Fのいずれか1つ、例えばプロセッサインターフェース22Bが実際に動作せられるとき、競合制御部3では、プロセッサインターフェース22BのLB制御部5Bを除くLB制御部5Cないし5Fに送出されるべき擬似アクセス信号が競合制御部3で作成され、これら擬似アクセス信号はローカルバスB1を介してインターフェース22Cないし22FのそれぞれのLB制御部5Cないし5Fに順次送出させられる。その後、LB制御部5Cないし5Fから擬似アクセス信号が適当なタイミングでアービトレーション部22A及びその競合監視部6に送出させられる。次いで、競合監視部6では、LB制御部5Cないし5Fからの擬似アクセス信号とプロセッサインターフェース22Bからの実アクセス信号とがアクセス競合したか否かが判定され、その判定が競合状態情報として競合制御部3にローカルバスB2を介して送出され、その競合状態情報に基づいて、競合制御部3からLB制御部5Cないし5Fに送出されるべき擬似アクセス信号がアービトレーション部22Aでプロセッサインターフェース22Bからの実アクセス信号とアクセス競合させられるように処理される。
【0034】
次に、図1の競合制御部3の詳細ブロック図である図2を参照して、競合制御部3の構成を説明する。
競合制御部3には、内部メモリ31、命令生成部32、ID判定/アクセス調整部33及び競合情報処理部34が設けられる。
【0035】
内部メモリ31にはアクセス競合試験用プログラムが格納され、このアクセス競合試験用プログラムには種々の擬似アクセス信号が含まれ、これら擬似アクセス信号はソフトインターフェース4を介して試験端末P3によって作成されるだけでなく各擬似アクセス信号の内容を書き換えることもできる。
アクセス競合発生システムの第1の動作モードの選択時、アクセス試験用プログラムには互いにアクセス競合されるべき一組の擬似アクセス信号が順次配列されている。
【0036】
図3を参照すると、第1の動作モードの選択時に内部メモリ31に書き込まれた一組の擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)のパケットフォーマットが模式的にかつ例示的に示され、この一組の擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)はアービトレーション部22Aでアクセス競合されるべきものである。同図に示すように、擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)の各々はヘッダー領域Hとデータ領域Dとに分けられ、ヘッダー領域Hは更に4つの領域H1、H2、H3及びH4に分けられる。
【0037】
擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)のそれぞれの領域H1には、擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)の各々がLB制御部5Bないし5Fのいずれかからアービトレーション部22Aに送出される際の送出タイミング時間として同一時間tが書き込まれ、この送出タイミング時間tは次のように決められる。
【0038】
例えば、擬似アクセス信号Smがプロセッサインターフェース22BのLB制御部5Bに送出され、一方擬似アクセス信号S(m+1)が系間インターフェース22FのLB制御部5Fに送出される場合を想定する。バスコントローラ22の実際の動作時に、アクセス信号がプロセッサインターフェース22Bに入力されて適宜処理された後にそこから出力される際の処理時間がtBであり、アクセス信号が系間インターフェース22Fに入力されて適宜処理された後にそこから出力される際の処理時間がtFであるとき、tB>tFであれば、送出タイミング時間tは処理時間tBとされる。一方、tB<tFであれば、送出タイミング時間tは処理時間tFとされる。要するに、送出タイミング時間tは処理時間の長い方に設定される。なお、上述した種々のインターフェース22Bないし22Fでのアクセス信号の処理時間については設計段階で知ることができる。
【0039】
領域H2には、擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)のそれぞれがプロセッサインターフェース22B、メモリインターフェース22C、汎用メモリインターフェース22D、バスインターフェース22E及び系間バスインターフェース22FのいずれかのLB制御部(5B、5C、5D、5E、5F)に送出されるべきかの送出先データがブロックIDとして書き込まれる。
【0040】
領域H3には、擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)のそれぞれの命令コードが書き込まれる。例えば、擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)の各々が書込み信号、読出し信号或いは割込み信号等のいずれかであるかを区別するための命令コードが書き込まれる。
領域H4には、当該擬似アクセス信号のアドレスが書き込まれる。
【0041】
データ部分Dには適当なデータが書き込まれるが、そのデータ内容はアクセス競合試験には直接的には関与しない。なお、擬似アクセス信号には純粋な命令信号も含まれ、このような命令信号はデータ領域Dを持たない。
【0042】
図4を参照すると、第2の動作モードの選択時に内部メモリ31に書き込まれた擬似アクセス信号Snのパケットフォーマットが模式的にかつ例示的に示され、この擬似アクセス信号Snはアービトレーション部22Aでアクセス競合されるべきものである。同図に示すように、第1の動作モードの選択時と同様に、擬似アクセス信号Snもヘッダー領域Hとデータ領域Dとに分けられ、ヘッダー部分Hは更に4つの領域H1、H2、H3及びH4に分けられる。
【0043】
第2の動作モードの選択時では、擬似アクセス信号SnがLB制御部5Bないし5Fのいずれかからアービトレーション部22Aに送出される際の送出タイミング時間として同一時間Tが全ての擬似アクセス信号の領域H1に書き込まれる。送出タイミング時間Tは内部メモリ31からの読出し間隔に対応し、この読出し間隔Tは、上述した例のように、プロセッサインターフェース22Bから実アクセス信号がアービトレーション部22Aに所定の一定間隔TCで順次送出させられるとすると、送出タイミング時間TはTCよりも幾分小さい時間とされる。
【0044】
また、第2の動作モードの選択時では、上述したように、擬似アクセス信号Snが次の擬似アクセス信号Sn+1とアクセス競合されることはない。従って、プロセッサインターフェース22Bから実アクセス信号がアービトレーション部22Aに順次送出させられる場合には、擬似アクセス信号Snの領域H2(図3参照)には、プロセッサインターフェース22BのLB制御部5Bを除く、LB制御部5C、5D、5E及び5Fのいずれかに送出されるべきかの送出先データがブロックIDとして書き込まれる。
なお、擬似アクセス信号Snのその他の領域H3、H4及びDに書き込まれる内容については、図3に示す場合と同様である。
【0045】
再び、図2に戻って説明すると、命令生成部32では、内部メモリ31からの擬似アクセス信号Sm又はSnの読出しが順次行われる。また、命令生成部32では、読出し擬似アクセス信号の命令コード(H3)の内容が当該プロセッサモジュール2のアクセス形式にデコードされる。デコード後、擬似アクセス信号Sm又はSnはID判定/アクセス調整部33に出力される。
ID判定/アクセス調整部33には、送出先ブッロク判定回路33A、セレクタ33B及び送出タイミング調整回路33Cが設けられる。
【0046】
送出先ブロック判定回路33Aでは、命令生成部32から入力された擬似アクセス信号Sm又はSnのブロックID(H2)から送出先データが判定され、これに基づいてセレクタ33Bの切換が行われる。例えば、擬似アクセス信号Sm又はSnの送出先がブロックIDからプロセッサインターフェース22Bであると判定された場合には、擬似アクセス信号をプロセッサインターフェース22BのLB制御部5に送出すべくセレクタ33Bが切り換えられ、また擬似アクセス信号Sm又はSnの送出先がブロックIDから系間インターフェース22Fであると判定された場合には、擬似アクセス信号Sm又はSnを系間インターフェース22FのLB制御部5に送出すべくセレクタ33Bが切り換えられることになる。
【0047】
送出タイミング調整回路33Cは本発明によるアクセス発生競合システムの第2の動作モードの選択時だけ使用され、送出タイミング調整回路33Cでは、擬似アクセス信号Snの送出タイミング時間Tに補正時間データΔTを加算することにより送出タイミング時間Tの調整が行われ、送出タイミング時間Tの調整後に擬似アクセス信号SnはローカルバスB1に対して出力され、そのブロックIDの送出先データに従ってLB制御部5Bないし5Fのいずれかに送出される。なお、補正時間データΔTは後で詳しく説明するように上述の競合状態情報に含まれるものである。
【0048】
なお、厳密に言うと、送出タイミング調整回路33Cは第1の動作モードの選択時でも実際には動作せられるが、この場合には補正時間データはゼロに設定され、擬似アクセス信号Smはその送出タイミング時間tを調整することなく、そのブロックIDの送出先データに従ってLB制御部5Bないし5Fのいずれかに送出される。
【0049】
競合情報処理部34にはメモリ34A、競合発生設定レジスタ34B及びアクセス競合判定回路34Cが設けられる。
アクセス競合発生システムの第1及び第2の動作モードのいずれにおいても、メモリ34Aには、アービトレーション部22Aの競合監視部6からローカルバスB2を介して送出される競合状態情報が順次格納されて蓄積され、これら競合状態情報は試験用端末P3により確認することができる。
【0050】
第2の動作モードの選択時だけ、競合発生設定レジスタ34Bが動作させられ、アービトレーション部22Aの競合監視部6から競合状態情報がローカルバスB2を介して送出される度毎に競合状態情報が競合発生設定レジスタ34Bに書き込まれ、この競合状態情報に含まれる補正時間データΔTに基づいてアクセス競合判定回路34Cによりアクセス競合が起きているか否かが判定される。アクセス競合判定回路34Cによりアクセス競合が起きていないと判定されたとき、補正時間データΔTがID判定/アクセス調整部33の送出タイミング調整回路33Cに出力される。
【0051】
次に、図1のLB制御部5の詳細ブロック図である図5を参照して、LB制御部5Bないし5Fの構成を説明する。なお、同図では、プロセッサインターフェース22B、メモリインターフェース22C、汎用メモリインターフェース22D、バスインターフェース22E及び系間バスインターフェース22Fがインターフェース処理ブロックとして代表的に表され、またインターフェース処理ブロックに接続される汎用プロセッサ21、外部メモリ23、汎用メモリ24及びPCIブリッジ25が外部接続デバイスとして代表的に表されている。
【0052】
インターフェース処理ブロック(22B、22C、22D、22E、22F)にはセレクタSEが設けられ、このセレクタSEにより、LB制御部(5B、5C、5D、5E、5F)からアービトレーション部22Aへの擬似アクセス信号の送出と外部接続デバイス(21、23、24、25)からアービトレーション部22Aへのアクセス信号の送出とが切り換えられる。
【0053】
LB制御部(5B、5C、5D、5E、5F)にはセレクタ切換設定スイッチ51が設けられ、このセレクタ切換設定スイッチ51は例えばディップ(DIP)スイッチとして構成することができる。アクセス競合試験を行うとき、DIPスイッチ51は試験者によって前もって操作される。
【0054】
アクセス競合発生システムの第1の動作モードの選択時、全てのインターフェース処理ブロック22B、22C、22D、22E及び22Fにおいて、DIPスイッチ51によりセレクタSEはLB制御部5側に切り換えられる。即ち、アービトレーション部22Aには、インターフェース処理ブロック22B、22C、22D、22E及び22Fのそれぞれから擬似アクセス信号が送出されることになる。
【0055】
一方、アクセス競合発生システムの第2の動作モードの選択時、インターフェース処理ブロック22B、22C、22D、22E及び22Fのうちのいずれか1つ、例えばプロセッサインターフェース22Bだけが実際に動作させられる場合には、そのDIPスイッチ51によりセレクタSEは外部接続デバイス即ち汎用プロセッサ21側に切り換えられる。
【0056】
図5に示すように、LB制御部(5B、5C、5D、5E、5F)には、更に、セレクタ52、DIPスイッチ53、ローカルバス受信部54及び擬似アクセス生成部55が設けられる。
【0057】
セレクタ52の切換はセレクタSEの場合と同様に、DIPスイッチ53によって行われ、第1の動作モードの選択時には、セレクタ52はローカルバス受信部54側に切り換えられ、第2の動作モードの選択時には、セレクタ52は擬似アクセス生成部55側に切り換えられる。
【0058】
第1の動作モードの選択時、例えば、競合制御部3のID判定/アクセス調整回路33から送出された擬似アクセス信号Smがプロセッサインターフェース22BのLB制御部5Bのセレクタ52を介してそのローカルバス受信部54により受信されると、LB制御部5Bのローカルバス受信部54では擬似アクセス信号Smが所定時間にわたって保持される。即ち、次の擬似アクセス信号S(m+1)が例えば系間バスインターフェース22FのLB制御部5Fのセレクタ52を介してそのローカルバス受信部54により受信されるまで、擬似アクセス信号SmはLB制御部5Bのローカルバス受信部54で保持される。次の擬似アクセス信号S(m+1)がLB制御部5Fのローカルバス受信部54で受信されると、擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)はそれぞれのローカルバス受信部54からその該当擬似アクセス生成部55に同時に出力され、そこから擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)は送出タイミング時間tの経過後にセレクタSEを介してアービトレーション部22A側に同時に送出される。
【0059】
一方、第2の動作モードの選択時、競合制御部3のID判定/アクセス調整回路33から送出された擬似アクセス信号Snはセレクタ52を介して擬似アクセス生成部55側に直接送出され、次いで擬似アクセス信号Snは送出タイミング時間Tの経過後にアービトレーション部22A側にセレクタSEを介して送出される。
【0060】
次に、図1の競合監視部6の詳細ブロック図である図6を参照して、競合監視部6の構成を説明する。
競合監視部6には、5つのアクセス受信部61B、61C、61D、61E及び61Fと、これらアクセス受信部61Bないし61Fに接続された基準カウンタ62と、アクセス受信部61Bないし61Fに接続されたアクセス監視部63と、このアクセス監視部63に接続された競合情報通知部64とが設けられる。
【0061】
アクセス受信部61Bないし61Fは、インターフェース処理ブッロク22Bないし22FのLB制御部5Bないし5Fのそれぞれにバス7B、7C、7D、7E及び7Fを介して接続される。LB制御部5Bないし5Fのそれぞれから送出された擬似アクセス信号Sm又はSnはその該当アクセス受信部61Bないし61Fにより受信される。
【0062】
図6には図示されないが、バス7Bないし7Fの各々はアービトレーション部22A自体にも接続され、LB制御部5Bないし5Fのそれぞれから送出された擬似アクセス信号Sm又はSnは競合監視部6だけでなくアービトレーション部22A自体にも送出させられる。また、インターフェース処理ブロック22Bないし22Fの実際の動作時に該インターフェース処理ブロック22Bないし22Fのそれぞれから実アクセス信号をアービトレーション部22A自体に送出させるためのバスはバス7Bないし7Fのそれぞれにも接続され、このためインターフェース処理ブロック22Bないし22Fのいずれか1つが動作させられているときには、その実アクセス信号は競合監視部6にも送出されることになる。
【0063】
アクセス競合発生システムの第1の動作モードの選択時、例えば、プロセッサインターフェース22Bから送出される擬似アクセス信号Smと系間バスインターフェース22Fから送出される擬似アクセス信号S(m+1)とについてアクセス競合試験が行われる場合を想定し、しかも系間インターフェース22FのLB制御部5Fからの擬似アクセス信号S(m+1)がアクセス受信部61Fによって受信される前にプロセッサインターフェース22BのLB制御部5Bからの擬似アクセス信号Smがアクセス受信部61Bによって受信されたと仮定すると、アクセス受信部61Bによる擬似アクセス信号Smの受信により基準カウンタ62のカウントが所定のクロックパルスに基づいて始動させられ、アクセス受信部61Fによる擬似アクセス信号S(m+1)の受信により基準カウンタ62のカウントが停止される。基準カウンタ62のカウントの停止と同時に擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)はアクセス監視部63に同時に出力され、このとき基準カウンタ62のカウント数も時間差データΔtとしてアクセス監視部63に出力されることになる。
【0064】
しかしながら、実際には、擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)はLB制御部5B及びLB制御部5Fのそれぞれの擬似アクセス生成部55から送出タイミング時間tの経過後にセレクタSEを介してアービトレーション部22A側に同時に送出されるので、Δt=0であり、従ってアービトレーション部22Aでの擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)のアクセス競合は確実に保証され得ることとなるが、何らかの理由により、Δt≠0となり得る場合もあり得る。
【0065】
いずれにしても、アクセス監視部63では、時間差データΔtに基づいて、アービトレーション部22Aでアクセス競合が起きたか否かが判定され、これにより競合状態情報が作成される。即ち、Δt=0であれば、アクセス競合が起きたと判定され、Δt≠0のとき、アクセス競合が起きていないと判定され、この判定情報が競合状態情報とされる。なお、競合状態情報には、競合判定情報(Δt)の他に擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)の命令コード等も含まれる。
【0066】
一方、アクセス競合発生システムの第2の動作モードの選択時、例えば、プロセッサインターフェース22Bから実際に送出される実アクセス信号と系間バスインターフェース22Fから送出される擬似アクセス信号Snとについてアクセス競合試験が行われる場合を想定し、しかもプロセッサインターフェース22Bの動作後にアクセス競合発生システムが動作させられるとすると、プロセッサインターフェース22Bからは種々の実アクセス信号が一定の出力間隔TCで順次出力され、実アクセス信号がアクセス受信部61Bで受信される度毎に基準カウンタ62はリセットされる。即ち、2つの連続した実アクセス信号がアクセス受信部61Bで順次受信されるとき、先行実アクセス信号がアクセス受信部61Bで受信されると、基準カウンタ62がリセットされて始動し、一定の出力間隔TCの時間経過後に後行実アクセス信号がアクセス受信部61Bで受信されると、再び基準カウンタ62はリセットされて始動されることになる。従って、先行実アクセス信号と後行実アクセス信号との間で、系間バスインターフェース22Fからの擬似アクセス信号Sn(送出タイミング時間T)アクセス受信部61Fで受信されたとすると、先行実アクセス信号と擬似アクセス信号Snとがアクセス監視部63に出力され、このとき時間差データΔTは以下のように定義される。
【0067】
ΔT=TC−T
以上の説明は、アクセス競合発生システムの動作初期時に擬似アクセス信号Snが実アクセス信号と確率的にアクセス競合され得ないという前提に基づいており、擬似アクセス信号Snで得られた時間差データΔTで次のアクセス信号S(n+1)のタイミング時間Tを適宜調整することにより、実アクセス信号と擬似アクセス信号S(n+1)とのアクセス競合が得られることになる。即ち、擬似アクセス信号S(n+1)の送出タイミング時間Tに時間差データΔTを加算して実アクセス信号の一定出力間隔TCに一致させることにより、擬似アクセス信号S(n+1)と実アクセス信号とのアクセス競合が保証され得ることとなる。
【0068】
なお、以上の記載から明らかなように、送出タイミング時間t又はTは基準カウンタ62で用いるクロックパルスのサイクル数に対応するものである。
アクセス監視部63では、時間差データΔTに基づいて、アービトレーション部22Aでアクセス競合が起きたか否かが判定され、これにより競合状態情報が作成される。即ち、ΔT=0であれば、アクセス競合が起きたと判定され、Δt≠0のとき、アクセス競合が起きていないと判定され、この判定情報が競合状態情報とされる。なお、競合状態情報には、判定情報(ΔT)の他に実アクセス信号及び擬似アクセス信号Snの命令コード等も含まれる。
【0069】
アクセス監視部63で作成された競合状態情報(Δt又はΔT)は競合情報通知部64に送られ、次いで競合状態情報(Δt又はΔT)は競合情報通知部64からローカルバスB2を介して競合制御部3(図2参照)の競合情報処理部34に送出する。競合情報処理部34では、競合状態情報(Δt又はΔT)がメモリ34Aに順次格納されて蓄積され、これら競合情報情報(Δt又はΔT)は試験用端末P3によって確認することができる。
【0070】
図7を参照すると、競合制御部34の競合発生設定レジスタ34Bが模式的に示される。同図において、種々のインターフェース22B、22C、22D、22E及び22Fから得られる実アクセス信号の命令コードはa、b、c及びdで識別される。同様に、内部メモリ31から得られる擬似アクセス信号の命令コードもa、b、c及びdで識別される。例えば、命令コードaは当該実アクセス信号或いは当該擬似アクセス信号が読出し命令信号であることを示し、命令コードbは当該実アクセス信号或いは当該擬似アクセス信号が書込み命令信号であることを示し、命令コードcは当該実アクセス信号或いは当該擬似アクセス信号が割込み命令信号であることを示し、命令コードdは当該実アクセス信号或いは当該擬似アクセス信号がその他の命令信号であることを示す。これら命令コードの識別のために各命令コード領域には4ビットが与えられる。
【0071】
例えば、アクセス競合発生システムの第2の動作モードの選択時、プロセッサインターフェース22Bから実アクセス信号が書込み信号(a)としてアービトレーション部22Aに送出され、一方系間インターフェース22Fから擬似アクセス信号Snが読出し信号(b)としてアービトレーション部22Aに送出させられ、しかも実アクセス信号と擬似アクセス信号とがアクセス競合させられずに、時間差データΔTが“5”として得られた場合、競合監視部6からの競合状態情報は競合発生設定レジスタ34Bに図7に示すような態様で書き込まれる。即ち、実アクセス信号側のプロセッサインターフェース22Bの命令コードa(書込み信号)に対応したビットに“1”が書き込まれ、擬似アクセス信号側のプロセッサインターフェース22Bの命令コードb(読出し信号)に対応したビットに“1”が書き込まれ、この双方のビットに対応する領域には時間差データΔTとして“5”が書き込まれる。なお、ΔT=5は基準カウンタ62(図6参照)で用いるクロックパルスのサイクル数に対応する。
【0072】
以上のように、競合状態情報が競合発生設定レジスタ34Bに書き込まれると、アクセス競合判定回路34Cでは、時間差データΔTがゼロか否かが判定され、ΔT≠0であるとき、時間差データΔT=5は競合発生設定レジスタ34BからID判定/アクセス調整部33の送出タイミング調整回路33Cに補正時間データとして出力される。
【0073】
次に、図8の動作説明図及び図9の動作シーケンス図を参照して、アクセス競合発生システムを第1の動作モードで動作させることにより行われるアクセス競合試験について説明する。図8では、アクセス競合試験で実行されるステップ<1>ないし<8>が矢印で経時的に示され、これらステップ<1>ないし<8>は図9に示すステップ<1>ないし<8>にそれぞれ対応する。なお、アクセス競合発生システムが第1及び第2の動作モード作動のいずれかで動作させられるか否かは試験用端末P3で選択され、第1の動作モード選択時には、競合制御部3の内部メモリ31には図3に示すようなアクセス競合試験用プログラムが既に用意されている。
【0074】
なお、図8では、インターフェース処理ブロック22B、22C、22D、22E及び22Fのうちの任意の2つがインターフェース処理ブロックA及びBとして代表的に示されている。例えば、インターフェース処理ブロックAはプロセッサインターフェース22Bであり、インターフェース処理ブロックBは系間インターフェース22Fである。
試験用端末P3からアクセス競合試験開始命令が競合制御部3に出力されると、アクセス競合発生システムは自律的に動作を開始する。
【0075】
先ず、ステップ<1>で競合制御部3のID判定/アクセス調整部33から擬似アクセス信号要求命令が命令生成部32に所定のタイミングで出力されると、ステップ<2>で命令生成部32は内部メモリ31から所定の時間間隔で擬似アクセス信号Smを順次読み出し、その命令コード(H3)の内容を当該プロセッサモジュール2のアクセス形式にデコードする。次いで、命令生成部32はステップ<3>で擬似アクセス信号SmをID判定/アクセス調整部33に順次出力する。
【0076】
ID判定/アクセス調整部33では、送出先ブッロク判定回路33Aが擬似アクセス信号SmのブロックID(H2)から送出先データを順次判定し、ステップ<4>で擬似アクセス信号Smはセレクタ33Bを介して所定のインターフェース処理ブッロク(22B、22C、22D、22E、22F)のLB制御部(5B、5C、5D、5E、5F)に順次送出される。なお、第1の動作モードにおいては、上述したように、擬似アクセス信号Smの送出タイミング時間tの調整は送出タイミング調整回路33Cで実質的に行われることはない。
【0077】
第1の動作モードの選択時、擬似アクセス信号Smはインターフェース処理ブロックAのLB制御部(5B、5C、5D、5E、5F)に送出されると、擬似アクセス信号Smはセレクタ52を介してローカルバス受信部54に送られる(図5参照)。
【0078】
例えば、擬似アクセス信号Smがインターフェース処理ブロックA例えばプロセッサインターフェース22BのLB制御部5Bのローカルバス受信部54に受信されたとすると、擬似アクセス信号Smは所定時間にわたって保持される。即ち、次の擬似アクセス信号S(m+1)がインターフェース処理ブロックB例えば系間バスインターフェース22FのLB制御部5Fのセレクタ52を介してそのローカルバス受信部54により受信されるまで、擬似アクセス信号SmはLB制御部5Bのローカルバス受信部54で保持される。次の擬似アクセス信号S(m+1)がLB制御部5Fのローカルバス受信部54で受信されると、擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)はそれぞれのローカルバス受信部54からその該当擬似アクセス生成部55に出力される。なお、擬似アクセス信号S(m+1)の<2>ないし<4>までの処理は擬似アクセス信号S(m)と同様である。
【0079】
次いで、ステップ<5>では、擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)はそれぞれの当擬似アクセス生成部55から送出タイミング時間tの経過後にそのセレクタSEを介してアービトレーション部22A側に送出されて、アービトレーション部22A自体と競合監視部6とに入力される(図6参照)。
【0080】
擬似アクセスSm及びS(m+1)の各々は競合監視部6の該当アクセス受信部(61B、61C、61D、61E、61F)で受信される。例えば、擬似アクセスSmがアクセス受信部61Bにより受信され、擬似アクセスS(m+1)がアクセス受信部61Fにより受信されたと仮定すると、上述したように、基準カウンタ62からはカウント数が時間差データΔtとしてアクセス監視部63に出力される同時に擬似アクセスSm及びS(m+1)もアクセス監視部63に出力される。アクセス監視部63では、時間差データΔtに基づいて競合状態情報が作成される。上述したように、Δt=0のとき、アクセス競合が起きていると判定され、Δt≠0のとき、アクセス競合が起きていないと判定され、この判定情報は競合状態情報に含まれ、競合状態判情報には更に擬似アクセス信号Sm及びS(m+1)の命令コード等も含まれる。なお、第1の動作モードでは、通常においては、Δt=0である。
【0081】
ステップ<6>では、競合状態情報(Δt)が競合情報通知部64からローカルバスB2を介して競合制御部3の競合情報処理部34に送出される。競合情報処理部34では、競合状態情報(Δt)が競合判定部34のメモリ34Aに順次蓄積される。競合制御部3の内部メモリ31のアクセス競合試験プログラムから全ての擬似アクセス信号が読み出されると、全ての競合状態情報(Δt)が競合情報処理部34Aに蓄積され、アクセス競合発生システム自体の動作は一旦終了する。
【0082】
ステップ<7>では、試験者はソフトインターフェース4を介してレジスタ34Aから取り出した競合状態情報を試験用端末P3で確認し、試験用端末P2で得られたアクセス競合処理結果情報と共に競合状態情報を試験用端末P3で解析する。
【0083】
次に、図10の動作説明図及び図11の動作シーケンス図を参照して、アクセス競合発生システムを第2の動作モードで動作させることにより行われるアクセス競合試験について説明する。図10では、アクセス競合試験で実行されるステップ<1>ないし<8>が矢印で経時的に示され、これらステップ<1>ないし<8>は図11に示すステップ<1>ないし<8>にそれぞれ対応する。なお、アクセス競合発生システムが第1及び第2の動作モード作動のいずれかで動作させられるか否かは試験用端末P3で選択され、第2の動作モード選択時には、競合制御部3の内部メモリ31には図4に示すようなアクセス競合試験用プログラムが既に用意されている。
【0084】
なお、図10及び図11に示す例では、汎用プロセッサ21が所定のプログラムに従って実際に動作させられ、そこから所定の一定間隔で順次出力される実アクセス信号がプロセッサインターフェース22Bを介してアービトレーション部22A自身に送出されると同時にバス7を介して競合監視部6のアクセス受信部61Bにも送出され、このとき実アクセス信号がアクセス受信部61Bで受信される度毎に基準カウンタ62は上述したようにリセットされて始動させられる。
試験用端末P3からアクセス競合試験開始命令が競合制御部3に出力されると、アクセス競合発生システムは自律的に動作を開始する。
【0085】
先ず、ステップ<1>で競合制御部3のID判定/アクセス調整部33から擬似アクセス信号要求命令が命令生成部32に所定のタイミングで出力されると、ステップ<2>で命令生成部32は内部メモリ31から所定の時間間隔で擬似アクセス信号Snを順次読み出し、その命令コード(H3)の内容を当該プロセッサモジュール2のアクセス形式にデコードする。次いで、命令生成部32はステップ<3>で擬似アクセス信号SnをID判定/アクセス調整部33に順次出力する。
【0086】
ID判定/アクセス調整部33では、送出先ブッロク判定回路33Aが擬似アクセス信号SnのブロックID(H2)から送出先データを順次判定し、また送出タイミング調整回路33で擬似アクセス信号Snの送出タイミング時間Tが送出タイミング補正データで補正する。なお、初期段階では、送出タイミング補正データはゼロとされる。
【0087】
ステップ<4>で擬似アクセス信号Snはセレクタ33Bを介して所定のインターフェース処理ブロック(22C、22D、22E、22F)のLB制御部(5C、5D、5E、5F)に順次送出される(図5参照)。
【0088】
擬似アクセス信号Snがインターフェース処理ブロックAのLB制御部(5C、5D、5E、5F)に送出させられると、第2の動作モードでは、先に述べたように、アクセス信号Snはセレクタ52から擬似アクセス生成部55に直接出力される。ステップ<5>では、擬似アクセス信号Snが送出タイミング時間Tの経過後にその擬似アクセス生成部55からアービトレーション部22A自体と競合監視部6とに送出される(図6参照)。
【0089】
例えば、擬似アクセスSnが競合監視部6のアクセス受信部61Fで受信されると、基準カウンタ62からはカウント数が時間差データΔTとしてアクセス監視部63に出力される同時に擬似アクセスSnはアクセス受信部61Bに現に受信されている実アクセス信号と共にアクセス監視部63に出力される。アクセス監視部63では、時間差データΔTに基づいて競合状態情報が作成される。上述したように、ΔT=0のとき、アクセス競合が起きていると判定され、ΔT≠0のとき、アクセス競合が起きていないと判定され、この判定情報は競合状態情報に含まれ、競合状態判情報には更に実アクセス信号及び擬似アクセス信号Snの命令コード等も含まれる。
【0090】
ステップ<6>では、競合状態情報(ΔT)が競合情報通知部64からローカルバスB2を介して競合制御部3の競合情報処理部34に送出される。競合情報処理部34では、競合状態情報(ΔT)が競合判定部34のメモリ34Aに順次蓄積されると共に競合発生設定レジスタ34Bに書き込まれる。競合状態情報(ΔT)が競合発生設定レジスタ34Bに書き込まれると、アクセス競合判定回路34Cでは、時間差データΔTがゼロであるか否かが判定される。
【0091】
ステップ<7>では、ΔT≠0であるとき、時間差データΔTが競合発生設定レジスタ34BからID判定/アクセス調整部33の送出タイミング調整回路33Cに時間補正データとして出力される(図7参照)。なお、ΔT=0であるとき、時間差データ、即ち時間補正データΔTは送出タイミング調整回路33Cに出力されることはない。
【0092】
送出タイミング調整回路33Cでは、命令生成部32から入力されて来る次の擬似アクセス信号S(n+1)の送出タイミング時間Tが送出タイミング補正データΔTによって調整される。即ち、既に説明したように、送出タイミング時間Tの調整は以下の計算により行われる。
【0093】
T+ΔT=TC
その後、擬似アクセス信号S(n+1)は擬似アクセス信号Snと同様に処理され(ステップ<4>及び<5>)、競合監視部6からは競合状態情報(ΔT)が競合制御部3の競合判定部34に送出され(ステップ<6>)、この競合状態情報は擬似アクセス信号Snから得られた競合状態情報を同様な態様で処理される(ステップ<7>)。なお、第2の動作モードでは、競合制御部3の内部メモリ31からの競合試験用プログラムの読出しは少なくとも2回以上繰り返され、これによりプロセッサインターフェース22Bからの実アクセス信号に対して全ての擬似アクセス信号Snをアクセス競合させ得ることになる。
【0094】
ステップ<8>では、試験者はソフトインターフェース4を介してレジスタ34Aから取り出した競合状態情報を試験用端末P3で確認し、試験用端末P2で得られたアクセス競合処理結果情報と共に競合状態情報を試験用端末P3で解析する。
【0095】
(付記)
前記実施形態に関し次の付記を記す。
(付記1)アービトレーション部(22A)並びに第1及び第2のインターフェース(22B、22C、22D、22E、22F)を持つデバイス(22)に組み込まれるアクセス競合発生システムであって、前記第1及び第2のインターフェースのそれぞれから出力されるべき実アクセス信号と同様な第1及び第2の擬似アクセス信号(Sm、S(m+1))を格納する格納手段(31)と、
前記第1及び第2のインターフェースのそれぞれに設けられた第1及び第2のローカルバス制御手段(5B、5C、5D、5E、5F)と、前記第1及び第2の擬似アクセス信号を前記第1及び第2のローカルバス制御手段のそれぞれに順次送出するための擬似アクセス信号送出手段(32、33、B1)と、前記アービトレーション部に設けられたアクセス監視手段(63)とを具備し、前記第1及び第2の擬似アクセス信号のそれぞれには、前記第1及び第2のローカルバス制御手段から前記アクセス監視手段に送出されるべき送出タイミング時間として同じ時間(t)が含まれ、更に、前記第1及び第2の擬似アクセス信号のそれぞれを前記送出タイミング時間に基づいて前記アクセス監視手段に送出させるべく前記第1及び第2のローカルバス制御手段のそれぞれに設けられた擬似アクセス生成手段(55)を具備して成るアクセス競合発生システム。
【0096】
(付記2)付記1に記載のアクセス競合発生システムにおいて、前記送出タイミング時間(t)として、前記第1のインターフェースで実アクセス信号が処理される処理時間と前記第2のインターフェースで実アクセス信号が処理される処理時間とを比べた際にその長い方の処理時間が設定されることを特徴とするアクセス競合発生システム。
【0097】
(付記3)付記1又は2に記載のアクセス競合システムにおいて、前記擬似アクセス信号送出手段(32、33、B1)が前記格納手段(31)から前記第1及び第2の擬似アクセス信号(Sm、S(m+1))の読出し命令を生成する命令生成手段(32)と、前記第1及び第2の擬似アクセス信号の送出先を判定するための送出先判定手段(33A、33B)とから成ることを特徴とするアクセス競合発生システム。
【0098】
(付記4)付記1から3までのいずれか1項に記載のアクセス競合発生システムにおいて、前記第1及び第2の擬似アクセス信号(Sm、S(m+1))のそれぞれを前記第1及び第2のローカルバス制御手段(5B、5C、5D、5E、5F)から前記アクセス監視手段(63)に送出された際に前記第1及び第2の擬似アクセス信号(Sm、S(m+1))が前記アクセス監視手段に到達した時間差データ(Δt)を作成する時間差データ作成手段(61B、61C、61D、61E、61F、62)が設けられることを特徴とするアクセス競合発生システム。
【0099】
(付記5)付記4に記載のアクセス競合発生システムにおいて、前記時間差データ(Δt)を蓄積するための時間差データ蓄積手段(34A)が設けられることを特徴とするアクセス競合発生システム。
【0100】
(付記6)アービトレーション部(22A)並びに第1及び第2のインターフェース(22B、22C、22D、22E、22F)を持つデバイス(22)に組み込まれるアクセス競合発生システムであって、前記第1のインターフェースから出力されるべき実アクセス信号と同様な少なくとも2つの擬似アクセス信号(Sn、S(n+1))を格納する格納手段(31)と、前記第1のインターフェースに設けられた第1のローカルバス制御手段(5B、5C、5D、5E、5F)と、前記擬似アクセス信号を前記第1のローカルバス制御手段に順次送出するための擬似アクセス信号送出手段(32、33、B1)と、前記アービトレーション部に設けられたアクセス監視手段(63)とを具備し、前記擬似アクセス信号には、前記第1のローカルバス制御手段から前記アクセス監視手段に送出されるべき送出タイミング時間(T)が含まれ、更に、前記第2のインターフェースに設けられた第2のローカルバス制御手段とを具備し、前記第2のインターフェースからは実アクセス信号が一定の出力間隔(TC)で前記第2のローカルバス制御手段に出力されており、更に、前記擬似アクセス信号が前記送出タイミング時間に基づいて前記第1のローカルバス制御手段から前記アクセス監視手段に送出された際に前記実アクセス信号の一定の出力間隔と前記送出タイミング時間との時間差データ(ΔT)を作成するための時間差データ作成手段(61B、61C、61D、61E、61F、62)と、前記擬似アクセス信号送出手段により前記格納手段から次の擬似アクセス信号(S(n+1))が前記第1のローカルバス制御手段に送出させられる際に前記次の擬似アクセス信号(S(n+1))の送出タイミング時間を前記時間データで調整して該次の擬似アクセス信号(S(n+1))と実アクセス信号とをアクセス競合させるための送出タイミング時間調整手段(33C)とを具備して成るアクセス競合発生システム。
【0101】
(付記7)付記6に記載のアクセス競合発生システムにおいて、前記送出タイミング時間(T)として、前記一定の出力間隔(TC)よりも短い時間が設定されることを特徴とするアクセス競合発生システム。
【0102】
(付記8)付記6又は7に記載のアクセス競合システムにおいて、前記擬似アクセス信号送出手段(32、33、B1)が前記格納手段(31)から前記擬似アクセス信号(Sn、S(n+1))の読出し命令を生成する命令生成手段(32)と、前記擬似アクセス信号の送出先を判定するための送出先判定手段(33A、33B)とから成ることを特徴とするアクセス競合発生システム。
【0103】
(付記9)付記6から8までのいずれか1項に記載のアクセス競合発生システムにおいて、前記時間差データ(Δt)を蓄積するための時間差データ蓄積手段(34A)が設けられることを特徴とするアクセス競合発生システム。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明によるアクセス競合発生システムを組み込んだプロセッサモジュールのブッロク図である。
【図2】図1に示す競合制御部の詳細ブロック図である。
【図3】図1に示すアクセス競合発生システムを第1の動作モードで動作させる際に図2の内部メモリに書き込まれる擬似アクセス信号を模式的に示す模式図である。
【図4】図1に示すアクセス競合発生システムを第2の動作モードで動作させる際に図2の内部メモリに書き込まれる擬似アクセス信号を模式的に示す模式図である。
【図5】図1に示すインターフェースのそれぞれに設けられるローカルバス制御部の詳細ブロック図である。
【図6】図1に示すアービトレーション部に設けられる競合制御部の詳細ブロック図である。
【図7】図6に示す競合制御部の競合情報処理部に設けられる競合発生設定レジスタの模式図である。
【図8】図1に示すアクセス競合発生システムを第1の動作モードで動作させる際の動作説明図である。
【図9】図1に示すアクセス競合発生システムを第1の動作モードで動作させる際の動作シーケンス図である。
【図10】図1に示すアクセス競合発生システムを第2の動作モードで動作させる際の動作説明図である。
【図11】図1に示すアクセス競合発生システムを第2の動作モードで動作させる際の動作シーケンス図である。
【図12】従来のアクセス競合発生システムでアクセス競合試験を行うプロセッサモジュールのブロック図である。
【符号の説明】
【0105】
2:プロセッサモジュール
21:汎用プロセッサ
22:バスコントローラ
22A:アービトレーション部
22B:プロセッサインターフェース
22C:メモリインターフェース
22D:汎用メモリインターフェース
22E:バスインターフェース
22F:系間バスインターフェース
23:外部メモリ
24:汎用メモリ
26:PCIブリッジ
27・28:PCIデバイス
3:競合制御部
4:ソフトインターフェース
5B〜5F:ローカルバス制御部
6:競合監視部
B1・B2:ローカルバス
SB:系間バス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アービトレーション部(22A)並びに第1及び第2のインターフェース(22B、22C、22D、22E、22F)を持つデバイス(22)に組み込まれるアクセス競合発生システムであって、
前記第1及び第2のインターフェースのそれぞれから出力されるべき実アクセス信号と同様な第1及び第2の擬似アクセス信号(Sm、S(m+1))を格納する格納手段(31)と、
前記第1及び第2のインターフェースのそれぞれに設けられた第1及び第2のローカルバス制御手段(5B、5C、5D、5E、5F)と、
前記第1及び第2の擬似アクセス信号を前記第1及び第2のローカルバス制御手段のそれぞれに順次送出するための擬似アクセス信号送出手段(32、33、B1)と、
前記アービトレーション部に設けられたアクセス監視手段(63)とを具備し、
前記第1及び第2の擬似アクセス信号のそれぞれには、前記第1及び第2のローカルバス制御手段から前記アクセス監視手段に送出されるべき送出タイミング時間として同じ時間(t)が含まれ、
更に、前記第1及び第2の擬似アクセス信号のそれぞれを前記送出タイミング時間に基づいて前記アクセス監視手段に送出させるべく前記第1及び第2のローカルバス制御手段のそれぞれに設けられた擬似アクセス生成手段(55)を具備して成るアクセス競合発生システム。
【請求項2】
請求項1に記載のアクセス競合発生システムにおいて、前記送出タイミング時間(t)として、前記第1のインターフェースで実アクセス信号が処理される処理時間と前記第2のインターフェースで実アクセス信号が処理される処理時間とを比べた際にその長い方の処理時間が設定されることを特徴とするアクセス競合発生システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアクセス競合システムにおいて、前記擬似アクセス信号送出手段(32、33、B1)が前記格納手段(31)から前記第1及び第2の擬似アクセス信号(Sm、S(m+1))の読出し命令を生成する命令生成手段(32)と、前記第1及び第2の擬似アクセス信号の送出先を判定するための送出先判定手段(33A、33B)とから成ることを特徴とするアクセス競合発生システム。
【請求項4】
アービトレーション部(22A)並びに第1及び第2のインターフェース(22B、22C、22D、22E、22F)を持つデバイス(22)に組み込まれるアクセス競合発生システムであって、
前記第1のインターフェースから出力されるべき実アクセス信号と同様な少なくとも2つの擬似アクセス信号(Sn、S(n+1))を格納する格納手段(31)と、
前記第1のインターフェースに設けられた第1のローカルバス制御手段(5B、5C、5D、5E、5F)と、
前記擬似アクセス信号を前記第1のローカルバス制御手段に順次送出するための擬似アクセス信号送出手段(32、33、B1)と、
前記アービトレーション部に設けられたアクセス監視手段(63)とを具備し、前記擬似アクセス信号には、前記第1のローカルバス制御手段から前記アクセス監視手段に送出されるべき送出タイミング時間(T)が含まれ、
更に、前記第2のインターフェースに設けられた第2のローカルバス制御手段とを具備し、前記第2のインターフェースからは実アクセス信号が一定の出力間隔(TC)で前記第2のローカルバス制御手段に出力されており、
更に、前記擬似アクセス信号が前記送出タイミング時間に基づいて前記第1のローカルバス制御手段から前記アクセス監視手段に送出された際に前記実アクセス信号の一定の出力間隔と前記送出タイミング時間との時間差データ(ΔT)を作成するための時間差データ作成手段(61B、61C、61D、61E、61F、62)と、
前記擬似アクセス信号送出手段により前記格納手段から次の擬似アクセス信号(S(n+1))が前記第1のローカルバス制御手段に送出させられる際に前記次の擬似アクセス信号(S(n+1))の送出タイミング時間を前記時間データで調整して該次の擬似アクセス信号(S(n+1))と実アクセス信号とをアクセス競合させるための送出タイミング時間調整手段(33C)とを具備して成るアクセス競合発生システム。
【請求項5】
請求項4に記載のアクセス競合発生システムにおいて、前記送出タイミング時間(T)として、前記一定の出力間隔(TC)よりも短い時間が設定されることを特徴とするアクセス競合発生システム。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のアクセス競合発生システムにおいて、前記時間差データ(Δt)を蓄積するための時間差データ蓄積手段(34A)が設けられることを特徴とするアクセス競合発生システム。
【請求項1】
アービトレーション部(22A)並びに第1及び第2のインターフェース(22B、22C、22D、22E、22F)を持つデバイス(22)に組み込まれるアクセス競合発生システムであって、
前記第1及び第2のインターフェースのそれぞれから出力されるべき実アクセス信号と同様な第1及び第2の擬似アクセス信号(Sm、S(m+1))を格納する格納手段(31)と、
前記第1及び第2のインターフェースのそれぞれに設けられた第1及び第2のローカルバス制御手段(5B、5C、5D、5E、5F)と、
前記第1及び第2の擬似アクセス信号を前記第1及び第2のローカルバス制御手段のそれぞれに順次送出するための擬似アクセス信号送出手段(32、33、B1)と、
前記アービトレーション部に設けられたアクセス監視手段(63)とを具備し、
前記第1及び第2の擬似アクセス信号のそれぞれには、前記第1及び第2のローカルバス制御手段から前記アクセス監視手段に送出されるべき送出タイミング時間として同じ時間(t)が含まれ、
更に、前記第1及び第2の擬似アクセス信号のそれぞれを前記送出タイミング時間に基づいて前記アクセス監視手段に送出させるべく前記第1及び第2のローカルバス制御手段のそれぞれに設けられた擬似アクセス生成手段(55)を具備して成るアクセス競合発生システム。
【請求項2】
請求項1に記載のアクセス競合発生システムにおいて、前記送出タイミング時間(t)として、前記第1のインターフェースで実アクセス信号が処理される処理時間と前記第2のインターフェースで実アクセス信号が処理される処理時間とを比べた際にその長い方の処理時間が設定されることを特徴とするアクセス競合発生システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアクセス競合システムにおいて、前記擬似アクセス信号送出手段(32、33、B1)が前記格納手段(31)から前記第1及び第2の擬似アクセス信号(Sm、S(m+1))の読出し命令を生成する命令生成手段(32)と、前記第1及び第2の擬似アクセス信号の送出先を判定するための送出先判定手段(33A、33B)とから成ることを特徴とするアクセス競合発生システム。
【請求項4】
アービトレーション部(22A)並びに第1及び第2のインターフェース(22B、22C、22D、22E、22F)を持つデバイス(22)に組み込まれるアクセス競合発生システムであって、
前記第1のインターフェースから出力されるべき実アクセス信号と同様な少なくとも2つの擬似アクセス信号(Sn、S(n+1))を格納する格納手段(31)と、
前記第1のインターフェースに設けられた第1のローカルバス制御手段(5B、5C、5D、5E、5F)と、
前記擬似アクセス信号を前記第1のローカルバス制御手段に順次送出するための擬似アクセス信号送出手段(32、33、B1)と、
前記アービトレーション部に設けられたアクセス監視手段(63)とを具備し、前記擬似アクセス信号には、前記第1のローカルバス制御手段から前記アクセス監視手段に送出されるべき送出タイミング時間(T)が含まれ、
更に、前記第2のインターフェースに設けられた第2のローカルバス制御手段とを具備し、前記第2のインターフェースからは実アクセス信号が一定の出力間隔(TC)で前記第2のローカルバス制御手段に出力されており、
更に、前記擬似アクセス信号が前記送出タイミング時間に基づいて前記第1のローカルバス制御手段から前記アクセス監視手段に送出された際に前記実アクセス信号の一定の出力間隔と前記送出タイミング時間との時間差データ(ΔT)を作成するための時間差データ作成手段(61B、61C、61D、61E、61F、62)と、
前記擬似アクセス信号送出手段により前記格納手段から次の擬似アクセス信号(S(n+1))が前記第1のローカルバス制御手段に送出させられる際に前記次の擬似アクセス信号(S(n+1))の送出タイミング時間を前記時間データで調整して該次の擬似アクセス信号(S(n+1))と実アクセス信号とをアクセス競合させるための送出タイミング時間調整手段(33C)とを具備して成るアクセス競合発生システム。
【請求項5】
請求項4に記載のアクセス競合発生システムにおいて、前記送出タイミング時間(T)として、前記一定の出力間隔(TC)よりも短い時間が設定されることを特徴とするアクセス競合発生システム。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のアクセス競合発生システムにおいて、前記時間差データ(Δt)を蓄積するための時間差データ蓄積手段(34A)が設けられることを特徴とするアクセス競合発生システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−134807(P2008−134807A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−320263(P2006−320263)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]