説明

アクチュエータ、繰り出し推進アクチュエータおよび足首の底屈・背屈運動支援装置

【課題】多様な方向の変位を発生可能なアクチュエータを提供する。
【解決手段】繰り出し推進アクチュエータ4は、複数のリニアアクチュエータ2_1〜2_3を備える。各リニアアクチュエータ2の偏平チューブ10は可撓性を有し、非加圧状態において偏平断面形状となり、加圧状態において略円形断面形状となる。スライダ20は、偏平チューブ10の屈曲部14を形成し、偏平チューブ10に沿って移動可能である。複数のリニアアクチュエータ2_1〜2_3それぞれの偏平チューブ10は、それぞれの軸が略平行に配置されるともに、それぞれに対する圧力が独立に制御可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈曲、伸展するアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
災害により倒壊した家屋の下敷きになった要救助者を探査する方法として、現在はボーカメやファイバースコープが用いられている。しかし、ボーカメやファイバースコープでは狭く複雑な瓦礫内を奥深くまで侵入し探査することが困難であった。そのため、ボーカメやファイバースコープでは侵入できない狭隘地形内を探査することができるレスキューロボットの開発が求められている。
【0003】
このような瓦礫に対してクローラや車輪を用いて踏破するロボットや瓦礫内の隙間をホース全体が移動していくロボットが開発されているが、これらはケーブルや本体の一部が突起物に引っかかることで全体の推進が妨げられる可能性がある。
【0004】
タコの腕にみられる繰り出し動作のように、アクチュエータの先端を繰り出すことを「繰り出し推進」という。この方法は自ら繰り出したアクチュエータに対して推力を生成する駆動方式であり、経路内部の状態や管路径の変化に影響されにくい推進が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−293655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アクチュエータの可動部を複雑な経路に沿って移動させる場合、経路に沿う方向に推進力を発生する必要がある。繰り出し推進アクチュエータに限らず、多様な変位を発生可能なアクチュエータが要求される。
【0007】
本発明は係る状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、多様な方向の変位を発生可能なアクチュエータの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様は、アクチュエータに関する。アクチュエータは、複数のリニアアクチュエータを備える。複数のリニアアクチュエータはそれぞれ、非加圧状態において偏平断面形状となり、加圧状態において略円形断面形状となる可撓性の偏平チューブと、偏平チューブの屈曲部を形成し、偏平チューブに沿って移動可能なスライダと、を含む。複数のリニアアクチュエータそれぞれの偏平チューブは、それぞれの軸が略並行に配置されるともに、それぞれに対する圧力が独立に制御可能である。
【0009】
この態様によれば、偏平チューブそれぞれに異なる圧力を与えることにより、複数のリニアアクチュエータそれぞれに異なるストローク量(変位)を発生させることができる。それにより、可動部を、各リニアアクチュエータそれぞれのストローク量に応じた方向に変位させることができる。
【0010】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のある態様によれば、多様な変位を発生できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1(a)〜(d)は、第1の実施の形態に係るリニアアクチュエータの基本構成を示す図である。
【図2】図2(a)〜(c)は、第1の実施の形態に係る繰り出し方向を制御可能な繰り出し推進アクチュエータの構成を示す図である。
【図3】人間の足首を示す図である。
【図4】図4(a)、(b)は、第2の実施の形態に係るアクチュエータの構成を示す図である。
【図5】図5(a)〜(c)は、図4(a)、(b)のアクチュエータの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1(a)〜(d)は、第1の実施の形態に係るリニアアクチュエータ2の基本構成を示す図である。このリニアアクチュエータ2は、蛸の足のように繰り出して推進することから、以下では繰り出し推進アクチュエータとも称する。
【0015】
たとえばリニアアクチュエータ2は、災害により倒壊した家屋をはじめとして、人間が立ち入ることが難しい狭小空間内に、カメラが取り付けられたヘッドを送り出す用途に利用される。
【0016】
図1(a)は、リニアアクチュエータ2の斜視図を、図1(b)はリニアアクチュエータ2の断面図を示す。リニアアクチュエータ2は、偏平チューブ10およびヘッドユニットであるスライダ20を備える。偏平チューブ10は可撓性を有し、その内部の流路12が非加圧状態において、図1(c)に示すようにその断面が偏平形状となり、流路12に加圧した状態において、図1(d)に示すようにその断面が略円形となるように変形する。
【0017】
スライダ20は、偏平チューブ10の屈曲部14を形成し、かつ偏平チューブ10に沿って移動可能となっている。具体的にスライダ20は、屈曲部14を形成するためのストッパー22を有する。偏平チューブ10はストッパー22を支点として折り返される。スライダ20の先端には、カメラ30が取り付けられる。
【0018】
ローラー24は、偏平チューブ10を繰り出す際の摺動摩擦を低減するために設けられる。ローラー26は、スライダ20が移動する際に、移動経路との間の摩擦を低減するために設けられる。
【0019】
以上がリニアアクチュエータ2の構成である。続いて図1(b)を参照してリニアアクチュエータ2の動作を説明する。偏平チューブ10の第1端11を加圧すると、偏平チューブ10の第1端11と屈曲部14の間の部分の断面が略円形状に変形する。このとき偏平チューブ10の第2端13は開放されている。ここでは便宜的に、屈曲部14と加圧される第1端11の間の部分を上流側チューブ、屈曲部14と開放されている第2端13の間の部分を下流側チューブと称する。加圧を続けると、下流側チューブがストッパー22を跨いで上流チューブ側に巻き込まれていき、上流側チューブの長さLが延びることにより可動部であるストッパー22が繰り出される。
【0020】
図1(a)、(b)のリニアアクチュエータ2は、偏平チューブ10の軸方向Zに対してのみ推力が発生するため、自由空間では、軸方向Zにのみスライダ20を繰り出すことができる。狭い配管内では、管の内壁からの抗力により、スライダ(ヘッド)20を受動的に配管に沿って繰り出すことができる。しかしながら配管が蛇行している場合や、より複雑な経路内にヘッドを繰り出すためには、リニアアクチュエータ2自体に、繰り出し方向を能動的に変化させる機構が必要となる。
【0021】
図2(a)〜(c)は、繰り出し方向を制御可能な繰り出し推進アクチュエータ4の構成を示す図である。図2(a)は繰り出し推進アクチュエータ4の斜視図であり、図2(b)は右側面図、図2(c)は正面図である。
【0022】
繰り出し推進アクチュエータ4は、複数、具体的には3個のリニアアクチュエータ2_1〜2_3を備える。図2のリニアアクチュエータ2は、ローラー24やローラー26の配置は図1(a)、(b)のそれと異なっているが、基本的な構成および動作原理は図1と同じである。
【0023】
リニアアクチュエータ2_1〜2_3それぞれの偏平チューブ10_1〜10_3は、それぞれの軸が略並行に配置される。また、偏平チューブ10_1〜10_cそれぞれに対する圧力が、独立に制御可能となっている。
【0024】
また、リニアアクチュエータ2_1〜2_3それぞれのスライダ20_1〜20_3は、互いに接続されており、ひとつのヘッドユニット6を形成している。スライダ20_1〜20_3は、隣接する偏平チューブ10がなす角度が60度となるように固定される。
【0025】
以上が繰り出し推進アクチュエータ4の構成である。続いてその動作を説明する。
上述のように、偏平チューブ10それぞれは、独立に圧力が制御可能となっている。したがって、ストッパー22_1〜22_3に与えられる推進力を、それぞれに対応する偏平チューブ10に与えられる圧力によって制御することができる。
【0026】
偏平チューブ10_1〜10_3に加圧する際には、偏平チューブ10の外側が上流側チューブ、内側が下流側チューブとなるように、外側の第1端11を加圧することが望ましい。なぜなら外側のチューブは障害物等と接触する一方、内側のチューブは、障害物と直接接触しないため摩擦による抗力が小さく、したがって外側を上流側チューブとすることにより、内側の下流側チューブを進行方向Zに低摩擦で繰り出すことができるからである。
【0027】
なお、摩擦の影響が無視しうる場合には、偏平チューブ10の内側の第2端13側を加圧してもよい。あるいは、状況に応じて、第1端11側、第2端13側を切りかえて加圧してもよい。
【0028】
(第1の制御)
いずれかひとつの偏平チューブ10(ここでは10_1とする)の第1端11のみ加圧し、その他の偏平チューブ10_2、10_3を加圧しない場合、ストッパー22_1のみがZ方向に推力を受け、ストッパー22_2、22_3はもとの位置にとどまろうとする。その結果、ストッパー22_2、22_3を支点軸として、ヘッドユニット6を下向き(θ=270°)に傾けることができる。
【0029】
同様に、偏平チューブ10_2にのみ加圧した場合には、ヘッドユニット6をθ=30°の方向に傾けることができ、偏平チューブ10_3にのみ加圧した場合には、θ=150°の方向に傾けることができる。
【0030】
(第2の制御)
複数の偏平チューブ10_1〜10_3のうち、2つ10_1、10_2を等しく加圧し、残りの10_3を加圧しない場合、ヘッドユニット6を、加圧しないリニアアクチュエータ2_3のストッパー22_3を支点軸として、θ=210°の方向に傾けることができる。
同様に、偏平チューブ10_1のみ加圧しない場合、ヘッドユニット6をθ=90°の方向に、偏平チューブ10_2のみ加圧しない場合、θ=330°の方向に傾けることができる。
【0031】
当業者であれば、2つの偏平チューブを加圧する際に、それらに圧力差を与えることにより、θ=90°、210°、330°のみでなく、それらの中間的な方向にヘッドユニット6を傾けることが可能であることが理解される。
【0032】
(第3の制御)
各偏平チューブ10_1〜10_3の外側の一端を均等に加圧し、内側の他端を開放する。これにより、スライダ20_1〜20_3それぞれのストッパー22_1〜22_3が等速で軸方向Zに進むため、ヘッドユニット6を直進させることができる。この場合、最も強い推進力が得られる。
【0033】
当業者であれば、第1〜第3制御それぞれの間に、中間的な状態が存在することが理解できる。すなわち、偏平チューブ10_1〜10_3それぞれに与える圧力、ならびに各偏平チューブ10_1〜10_3の間の圧力差を適切に制御することにより、ヘッドユニット6を、θ=0〜360°の任意の方向に操舵できることができる。
【0034】
実施の形態では、リニアアクチュエータ2を3個連結して繰り出し推進アクチュエータ4を構成する例を説明したが、リニアアクチュエータ2の個数は特に限定されない。
【0035】
(第2の実施の形態)
高齢者や術後間もない看者など臥床状態の生活を長時間強いられる人々には、尖足や血栓をはじめとするさまざまな身体的問題が生ずる。尖足は、足関節を長時間放置することによりアキレス腱が萎縮し、足首が底屈位のまま硬直する症状であり、歩行を困難にする。あるいは足関節の放置は、足の血流量を低下させ、血栓を生じやすくする。この血栓が肺などに流れると肺梗塞などを引き起こしかねない。
【0036】
現在病院では、これらの症状に対してさまざまな対策を施している。尖足の対策としては、足首を曲げた状態で足底に箱を押し当てるなどして足が伸びないようにし、血栓の対策としては、空圧のマッサージ機能を有する器具により血行を促進している。しかしながら、現状のこれらの対策をもってもなお運動量が不十分とされており、改善した運動量をもたらすために、足関節に双方向屈曲運動を促すアクチュエータが望まれている。
【0037】
図3は、人間の足首を示す図である。歩行支援を目的として足首動作を支援するアクチュエータがいくつか提案されている。しかしながらそれらの多くは、矢状面50に対して垂直な固定回転軸をもつ外骨格構造を基本としている。一方、人間の足関節はこの矢状面50に垂直な方向52から傾いた生理軸54を中心に回転を行うため、外骨格構造のアクチュエータを用いると使用中のずれが生ずる。このことから、内骨格に基づいた運動を促すアクチュエータが望まれている。
【0038】
第2の実施の形態では、内骨格に基づいた運動を可能とするアクチュエータについて説明する。
【0039】
図4(a)、(b)は、第2の実施の形態に係るアクチュエータ8の構成を示す図である。アクチュエータ8は、人間の足首に装着され、足首の双方向屈曲運動を支援する底屈・背屈運動支援装置である。アクチュエータ8には、足首の屈曲角θを、70°〜135°の範囲においてゆっくりと双方向に屈曲運動させる性能が要求される。
【0040】
アクチュエータ8は、第1装着部60、第2装着部62、第1リニアアクチュエータ64、第2リニアアクチュエータ66、ポンプ68備える。
【0041】
第1装着部60は、生理軸54が存在するくるぶしよりも上側のすねの周辺に装着され、第2装着部62は、くるぶしよりもつま先側に装着される。第1装着部60と第2装着部62は、一体に形成されてもよい。アクチュエータ8が足首を底屈、背屈させる際には、第1装着部60は実質的に変位せず、第2装着部62が変位する。このことから、第1装着部60を固定部、第2装着部62を可動部とも称する。
【0042】
第1リニアアクチュエータ64は足の内側に、第2リニアアクチュエータ66は足の外側に設けられる。第1リニアアクチュエータ64および第2リニアアクチュエータ66は、足を挟んで互いに略並行に設けられる。
【0043】
第1リニアアクチュエータ64および第2リニアアクチュエータ66の基本構成は、第1の実施の形態で説明した通りであり、偏平チューブ10とスライダ20を備える。第1リニアアクチュエータ64のスライダ20は、第1装着部60の内側に固定されている。スライダ20は、第1装着部60と垂直な軸に対して回動可能に固定されることが望ましい。このように、第1リニアアクチュエータ64のスライダ20は、偏平チューブ10に対して相対的に移動するが、第1装着部60に対して固定されるため、図1(a)、(b)で説明したローラー26は不要であり、構成が簡略化されている。
【0044】
第1リニアアクチュエータ64の偏平チューブ10の第1端11は、第2装着部62の内側に固定されている。第1端11も、第2装着部62と垂直な軸に対して回動可能に肯定されることが望ましい。反対に第1リニアアクチュエータ64の第2端13は特に拘束する必要はない。偏平チューブ10は、第1端11、第2端13それぞれがポンプ68と接続され、加減圧が可能となっている。偏平チューブ10の長さは、必要な屈曲角θ(70°〜135°)が得られるように決めればよい。
【0045】
第2リニアアクチュエータ66は、第1リニアアクチュエータ64と同様に構成される。また、第1リニアアクチュエータ64側の偏平チューブ10と、第2リニアアクチュエータ66側の偏平チューブ10は、独立に圧力が制御可能となっている。
【0046】
以上がアクチュエータ8の構成である。続いてその動作を説明する。まずはじめに、第1リニアアクチュエータ64および第2リニアアクチュエータ66それぞれの偏平チューブ10に対して、同様の圧力を加えた場合を説明する。
【0047】
図5(a)〜(c)は、図4(a)、(b)のアクチュエータ8の動作を示す図である。上段はアクチュエータ8の動作を、下段はそれに対応する足首の動作を示す。
【0048】
図5(a)は、第1端11および第2端13がともに非加圧の状態を示す。この状態でアクチュエータ8は何の力も発生させない。
【0049】
図5(b)は、第1端11側を加圧し、第2端13側を非加圧とした状態を示す。この状態では、偏平チューブ10のストッパー22と第1端11の間の断面が略円形に変形し、その結果、偏平チューブ10の非加圧側の部分がストッパー22から第1端11側に引きこまれていく。その結果、足首が延びる方向に力が加わり、底屈動作を実現することができる。
【0050】
図5(b)は、第1端11側を非加圧とし、第2端13側を加圧した状態を示す。この状態では、偏平チューブ10のストッパー22と第2端13の間の断面が略円形に変形し、その結果、偏平チューブ10の非加圧側の部分がストッパー22から第2端13側に引きこまれていく。その結果、足首が曲がる方向に力が加わり、背屈動作を実現することができる。
【0051】
足首を屈曲させるために必要な力は、屈曲角θの増加にともない増大する一方、従来の一般的なチューブアクチュエータは、変位(ストローク量)の増加にともない力が減少する傾向があり、足首の屈曲運動の支援には不都合であった。これに対してアクチュエータ8は、変位によらずに、言い換えれば足首の屈曲角θによらずに、均等な力を発生させることができるという利点を有する。
【0052】
人間の足関節は、足の裏を体の外側に向ける状態(回外)を保つ筋力に比べて、足の裏を内側に向ける状態(回内)を保つ筋力の方が1kg程度大きい。そのため、足は徐々に回外方向に拘縮していく。したがってより効果的な尖足の予防のためには、底屈、背屈運動に加えて、回内、回外方向のストレッチ動作の実現が重要となる。
【0053】
上述のように、第1リニアアクチュエータ64と第2リニアアクチュエータ66は、並行に設けられており、かつそれぞれの偏平チューブ10は独立に圧力が調節可能となっているため、アクチュエータ8の自由度は2となる。この自由度2を利用することにより、回内運動、回外運動を実現できる。
【0054】
すなわち、第1リニアアクチュエータ64では第1端11側を加圧し、第2リニアアクチュエータ66では第2端13側を加圧する。そうすると、第1リニアアクチュエータ64によって足の内側が延び、第2リニアアクチュエータ66によって足の外側が曲がる方向に力が発生する。これは足首を軸Yを中心として外側(I)ねじる向きに作用し、回外運動が実現できる。
【0055】
反対に、第1リニアアクチュエータ64では第2端13側を加圧し、第2リニアアクチュエータ66では第1端11側を加圧する。そうすると、第1リニアアクチュエータ64によって足の内側が曲がり、第2リニアアクチュエータ66によって足の外側が延びる方向に力が発生し、これは足首を軸Yを中心として内側(II)にねじる向き作用し、回内運動が実現できる。以上が第2の実施の形態に係るアクチュエータ8の動作である。
【0056】
第2の実施の形態によれば、内骨格に基づいた運動が可能となり、生理軸54を中心として足関節を双方向に底屈、背屈させるとともに、回外、回内させることができる。これにより、従来の装置に比べて、尖足や血栓を好適に予防することが可能となる。
【0057】
図4(a)、(b)では、スライダ20が第1装着部60側に、偏平チューブ10の第1端11が第2装着部62側に固定されているが、それとは反対に、スライダ20を第2装着部(可動部)62側に、偏平チューブ10の第1端11を第1装着部(固定部)60側に固定してもよい。
【0058】
なお、アクチュエータ8の用途は、足首の底屈・背屈支援装置には限定されず、その他にも、第1の軸(54)を中心とするθ方向の回転と、第2の軸Yを中心とするねじれ方向の回転(ねじれ運動)が必要なさまざまな用途に利用できる。また第1リニアアクチュエータ64、第2リニアアクチュエータ66に加えて、さらに多くのリニアアクチュエータを追加し、より多様な運動を発生させることも可能である。
【0059】
第1、第2の実施の形態では、いずれも偏平チューブ10およびスライダ20を有するリニアアクチュエータ2が複数利用されるとともに、それらが略並行に配置され、かつ各リニアアクチュエータの偏平チューブ10に対する圧力が独立に制御可能である点で共通している。これにより、従来なしえなかったさまざまな方向の運動を実現できる。
【0060】
実施の形態にもとづき、具体的な用語を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0061】
2…リニアアクチュエータ、4…繰り出し推進アクチュエータ、6…ヘッドユニット、8…アクチュエータ、10…偏平チューブ、11…第1端、12…流路、13…第2端、14…屈曲部、20…スライダ、22…ストッパー、24,26…ローラー、30…カメラ、60…第1装着部、62…第2装着部、64…第1リニアアクチュエータ、66…第2リニアアクチュエータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリニアアクチュエータを備え、
前記複数のリニアアクチュエータはそれぞれ、
非加圧状態において偏平断面形状となり、加圧状態において略円形断面形状となる可撓性の偏平チューブと、
前記偏平チューブの屈曲部を形成し、前記偏平チューブに沿って移動可能なスライダと、
を含み、
前記複数のリニアアクチュエータそれぞれの偏平チューブは、それぞれの軸が略平行に配置されるともに、それぞれに対する圧力が独立に制御可能であることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記複数のリニアアクチュエータそれぞれのスライダは、ひとつの可動部に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記複数のリニアアクチュエータは3個であり、
各リニアアクチュエータそれぞれの前記偏平チューブの偏平面が、隣接する偏平チューブの偏平面と略60度をなすように配置されることを特徴とする請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のアクチュエータを備えることを特徴とする繰り出し推進アクチュエータ。
【請求項5】
請求項2に記載のアクチュエータを備え、
前記複数のリニアアクチュエータそれぞれの偏平チューブの第1端は、ひとつの固定部に取り付けられており、
前記固定部が足のくるぶしより上に装着可能であり、前記可動部が足のくるぶしより下に装着可能であることを特徴とする、足首の底屈・背屈運動支援装置。
【請求項6】
前記複数のリニアアクチュエータそれぞれのスライダは、ひとつの固定部に取り付けられ、前記複数のリニアアクチュエータそれぞれの偏平チューブの第1端は、ひとつの可動部に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
請求項6に記載のアクチュエータを備え、前記固定部が足のくるぶしより上に装着可能であり、前記可動部が足のくるぶしより下に装着可能であることを特徴とする、足首の底屈・背屈運動支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−241856(P2012−241856A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114744(P2011−114744)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】