説明

アザインドール−2−カルボキサミド誘導体

本発明は、式(I)の化合物(式中、R1〜R5は、明細書および特許請求の範囲で定義されたとおりである)およびその薬学的に許容しうる塩に関する。化合物は、H3受容体の調節に関連する疾患の治療および/または予防に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアザインドール−2−カルボキサミド誘導体、その製造、それを含有する医薬組成物、および医薬としてのその使用に関する。本発明の活性化合物は、肥満症および他の疾患の処置において有用である。
【0002】
特に、本発明は、一般式I:
【0003】
【化15】

【0004】
[式中、
1は、
低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、
シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、
低級ヒドロキシアルキル、
低級アルコキシアルキル、
低級アルキルスルファニルアルキル、
低級ジアルキルアミノアルキル、
低級ジアルキルカルバモイルアルキル、
非置換または、低級アルキル、低級ハロゲンアルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されているフェニル、
フェニル環が、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されていてもよい、低級フェニルアルキル、
ヘテロアリール環が、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されていてもよい、低級ヘテロアリールアルキル、ならびに
ヘテロシクリル環が、非置換または、1もしくは2個の低級アルキル基で置換されていてもよい、低級ヘテロシクリルアルキル
よりなる群から選択され;
2は、水素、
低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、
シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、
低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシアルキル、
低級アルキルスルファニルアルキル、
低級ジアルキルアミノアルキル、
低級ジアルキルカルバモイルアルキル、
非置換または、低級アルキル、低級ハロゲンアルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されているフェニル、
フェニル環が、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されていてもよい、低級フェニルアルキル、
ヘテロアリール環が、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されていてもよい、低級ヘテロアリールアルキル、ならびに
ヘテロシクリル環が、非置換または、1もしくは2個の低級アルキル基で置換されていてもよい、低級ヘテロシクリルアルキル
よりなる群から選択されるか;あるいは
1およびR2は、
それらが結合している窒素原子と一緒になって、窒素、酸素もしくは硫黄から選択されるさらなるヘテロ原子、スルフィニル基、またはスルホニル基を場合により含む、4、5、6もしくは7員の飽和または部分的に不飽和のへテロ環を形成し、
その飽和または部分的に不飽和のへテロ環は、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、ハロゲンアルキル、ヒドロキシ、低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシ、オキソ、フェニル、ベンジル、ピリジル、およびカルバモイルから独立に選択される1、2、もしくは3個の基で置換されているか、または
フェニル環と縮合しており、そのフェニル環は、非置換または、低級アルキル、低級アルコキシ、およびハロゲンから独立に選択される1、2、もしくは3個の基で置換されており;
3は、水素、低級アルキル、低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシアルキル、低級ハロゲンアルキル、低級シクロアルキルアルキル、
低級アルカノイル、低級シアノアルキル、低級アルキルスルホニル、
フェニル環が、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、低級ハロゲンアルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されていてもよい、フェニルスルホニル、
非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、低級ハロゲンアルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されているフェニル;
フェニル環が、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、低級ハロゲンアルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されていてもよい、低級フェニルアルキル;ならびに
非置換または、低級アルキルまたはハロゲンから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されている、ヘテロアリール
よりなる群から選択され;
4は、水素またはハロゲンであり、
5は、
【化16】


(式中、
mは、0、1、または2であり;
nは、0、1、または2であり;
Xは、CR1313'、O、およびSから選択され;
6、R6'、R7、R7'、R8、R8'、R13、およびR13'は、互いに独立に、水素、低級アルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、およびジアルキルアミノよりなる群から選択されるか、または
7およびR13は、一緒になって二重結合を形成し;
pは、0、1、または2であり;
9は、低級アルキル、シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、および低級フェニルアルキルから選択され;
qは、0、1、または2であり;
10は、低級アルキルであり;
11は、低級アルキルであり;
12は、低級アルキルである)
から選択される基である]
の化合物およびその薬学的に許容しうる塩に関する。
【0005】
式Iの化合物は、ヒスタミン3受容体(H3受容体)に対するアンタゴニストおよび/または逆アゴニストである。
【0006】
ヒスタミン(2−(4−イミダゾリル)エチルアミン)は、体内、例えば胃腸管に広く分布しているアミン作動性神経伝達物質の一つである(Johnson L. R. 編、Physiology of the Gastrointestinal Tract, Raven Press, NY, pp. 211-242中のBurks 1994)。ヒスタミンは、胃酸分泌、腸運動(Leursら、Br. J. Pharmacol. 1991. 102, pp 179-185)、血管運動応答、腸炎症性応答およびアレルギー反応(Raithelら、Int. Arch. Allergy Immunol. 1995, 108, 127-133)のような種々の消化性の病態生理学的事象を制御する。哺乳類の脳において、ヒスタミンは、後基底視床下部の粗乳頭核に主として見出されるヒスタミン作動性細胞体において合成される。そこから、ヒスタミン作動性細胞体は、種々の脳領域に突き出ている(Panulaら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1984, 81, 2572-2576; Inagakiら、J. Comp. Neurol 1988, 273, 283-300)。
【0007】
現在の知識によれば、ヒスタミンは、4種の識別可能なヒスタミン受容体、ヒスタミンH1、H2、H3およびH4受容体を介して、CNSおよび末梢の双方におけるすべてのその作用を仲介する。
【0008】
H3受容体は、主に中枢神経系(CNS)に局在している。自己受容体として、H3受容体は、ヒスタミン作動性ニューロンからのヒスタミンの合成および分泌を、構成的に阻害する(Arrangら、Nature 1983, 302, 832-837; Arrangら、Neuroscience 1987, 23, 149-157)。異種受容体として、H3受容体は、また、中枢神経系ならびに肺、心臓血管系および胃腸管等の末梢臓器の双方において、特に、アセチルコリン、ドーパミン、セロトニンおよびノルエピネフリン等の他の神経伝達物質の放出を調節する(Clapham & Kilpatrik, Br. J. Pharmacol. 1982, 107, 919-923; The Histamine H3 Receptor (Leurs RL and Timmermann H 編、1998, pp 27-40, Elsevier, Amsterdam, The Netherlands)中のBlandinaら)。H3受容体は、外因性のヒスタミン無しでも、受容体が緊張的に活性化されるという意味で、構成的に活性である。H3受容体等の阻害性受容体の場合には、この固有の活性は、神経伝達物質放出の緊張性阻害を引き起こす。したがって、H3Rアンタゴニストはまた、外因性ヒスタミン効果をブロックし、受容体をその構成的に活性な(阻害的な)形態から中立的な状態に移す逆アゴニスト活性を有することが重要でありうる。
【0009】
H3受容体が哺乳類のCNSで広汎に分布していることは、この受容体の生理学的な役割を示している。したがって、種々の症状における新規な薬物開発ターゲットとしての治療上の潜在能力が提案されている。
【0010】
アンタゴニスト、逆アゴニスト、アゴニスト、または部分アゴニストとしての、H3Rリガンドの投与は、脳および末梢におけるヒスタミン濃度または神経伝達物質の分泌に影響を与え、したがって、いくつかの障害の処置に有用でありうる。そのような障害として、肥満症、(Masakiら; Endocrinol. 2003, 144, 2741-2748; Hancockら、European J. of Pharmacol. 2004, 487, 183-197)、急性心筋梗塞等の心臓血管障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)およびアルツハイマー病等の認知症および認知障害、統合失調症、うつ病、てんかん、パーキンソン病および発作もしくは痙攣等の神経障害、睡眠障害、ナルコレプシー、疼痛、胃腸障害、モルバス・メリエール等の前庭機能障害、薬物乱用および乗り物酔いが挙げられる(Timmermann, J. Med. Chem. 1990, 33, 4-11)。
【0011】
したがって、本発明の目的は、選択的で、直接的に作用するH3受容体アンタゴニスト、また逆アゴニストを提供することである。そのようなアンタゴニスト/逆アゴニストは、特にH3受容体の調節に関連する疾患の治療および/または予防における、治療上活性な物質として有用である。
【0012】
本明細書中で、用語「アルキル」は、単独または他の基と組み合わされて、炭素原子1〜20個、好ましくは炭素原子1〜16個、より好ましくは炭素原子1〜10個の分岐鎖状または直鎖状の一価の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。
【0013】
用語「低級アルキル」または「C1〜C8アルキル」は、単独または他の基と組み合わされて、炭素原子1〜8個の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、好ましくは炭素原子1〜6個の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、および特に好ましくは炭素原子1〜4個の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を意味する。直鎖状または分岐鎖状のC1〜C8アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、異性体のペンチル類、異性体のヘキシル類、異性体のヘプチル類、および異性体のオクチル類、好ましくはメチルおよびエチル、最も好ましくはメチルである。
【0014】
用語「低級アルケニル」または「C2-8アルケニル」は、単独または他の基と組み合わされて、オレフィン結合と8個までの、好ましくは6個までの、特に好ましくは4個までの炭素原子を含む、直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基を意味する。アルケニル基の例は、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、およびイソブテニルである。好ましい例は、2−プロペニルである。
【0015】
用語「低級アルキニル」または「C2-8アルキニル」は、単独または他の基と組み合わされて、三重結合と8個までの、好ましくは6個までの、特に好ましくは4個までの炭素原子を含む、直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基を意味する。アルキニル基の例は、エチニル、1−プロピニル、または2−プロピニルである。好ましい例は、2−プロピニルである。
【0016】
用語「シクロアルキル」または「C3-7シクロアルキル」は、炭素原子3〜7個を含む飽和炭素環式基を意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはシクロヘプチルである。特に好ましいものは、シクロプロピル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルである。
【0017】
用語「低級シクロアルキルアルキル」または「C3-7シクロアルキル−C1-8アルキル」は、低級アルキル基の水素原子の少なくとも1個がシクロアルキルで置き換えられている上で定義されたとおりの低級アルキル基を表す。好ましい例は、シクロプロピルメチルである。
【0018】
用語「アルコキシ」は、基R’−O−を表し、ここでR’は、低級アルキルであり、用語「低級アルキル」は、先に与えられた意味を有する。低級アルコキシ基の例は、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、およびtert−ブトキシ、好ましくはメトキシおよびエトキシ、最も好ましくはメトキシである。
【0019】
用語「低級アルコキシアルキル」または「C1-8アルコキシ−C1-8アルキル」は、低級アルキル基の水素原子の少なくとも1個がアルコキシ基、好ましくはメトキシまたはエトキシで置き換えられている上で定義されたとおりの低級アルキル基を表す。好ましい低級アルコキシアルキル基のうち、2−メトキシエチルまたは3−メトキシプロピルである。
【0020】
用語「アルキルスルファニル」または「C1-8アルキルスルファニル」は、基R’−S−を表し、ここでR’は、低級アルキルであり、用語「低級アルキル」は、先に与えられた意味を有する。アルキルスルファニルの例は、例えば、メチルスルファニルまたはエチルスルファニルである。
【0021】
用語「低級アルキルスルファニルアルキル」または「C1-8アルキルスルファニル−C1-8アルキル」は、低級アルキル基の水素原子の少なくとも1個がアルキルスルファニル基、好ましくはメチルスルファニルで置き換えられている上で定義されたとおりの低級アルキル基を表す。好ましい低級アルキルスルファニルアルキル基の例は、2−メチルスルファニルエチルである。
【0022】
用語「アルキルスルホニル」または「低級アルキルスルホニル」は、基R’−S(O)2−を表し、ここでR’は、低級アルキルであり、用語「低級アルキル」は、先に与えられた意味を有する。アルキルスルホニル基の例は、例えば、メチルスルホニルまたはエチルスルホニルである。
【0023】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を表し、フッ素、塩素、および臭素が好ましい。
【0024】
用語「低級ハロゲンアルキル」または「ハロゲン−C1-8アルキル」は、低級アルキル基の水素原子の少なくとも1個がハロゲン原子、好ましくはフルオロまたはクロロ、最も好ましくはフルオロで置き換えられている、上で定義されたとおりの低級アルキル基を意味する。好ましいハロゲン化低級アルキル基は、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、およびクロロメチルであり、トリフルオロメチルが特に好ましい。
【0025】
用語「低級ハロゲンアルコキシ」または「ハロゲン−C1-8アルコキシ」は、低級アルコキシ基の水素原子の少なくとも1個がハロゲン原子、好ましくはフルオロまたはクロロ、最も好ましくはフルオロで置き換えられている、上で定義されたとおりの低級アルコキシ基を意味する。好ましいハロゲン化低級アルキル基は、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、フルオロメトキシ、およびクロロメトキシであり、トリフルオロメトキシが特に好ましい。
【0026】
用語「低級ヒドロキシアルキル」または「ヒドロキシ−C1-8アルキル」は、低級アルキル基の水素原子の少なくとも1個がヒドロキシ基で置き換えられている、上で定義されたとおりの低級アルキル基を表す。低級ヒドロキシアルキル基の例は、ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルである。
【0027】
用語「ジアルキルアミノ」は、基−NR’R”を表し、ここでR’およびR”は、低級アルキルであり、用語「低級アルキル」は、先に与えられた意味を有する。好ましいジアルキルアミノは、ジメチルアミノである。
【0028】
用語「低級ジアルキルアミノアルキル」または「C1-8ジアルキルアミノ−C1-8アルキル」は、低級アルキル基の水素原子の少なくとも1個がジアルキルアミノ基で置き換えられている、上で定義されたとおりの低級アルキル基を表す。好ましい低級ジアルキルアミノアルキル基は、3−ジメチルアミノプロピルである。
【0029】
用語「低級アルカノイル」は、基−CO−R’を表し、ここでR’は、低級アルキルであり、用語「低級アルキル」は、先に与えられた意味を有する。好ましいものは、R’がメチルである基−CO−R’であり、アセチル基を意味する。
【0030】
用語「カルバモイル」は、基−CO−NH2を表す。
【0031】
用語「ジアルキルカルバモイル」または「C1-8ジアルキルカルバモイル」は、基−CO−NR’R”を表し、ここでR’およびR”は、低級アルキルであり、用語「低級アルキル」は、先に与えられた意味を有する。好ましいジアルキルカルバモイルは、ジメチルカルバモイルである。
【0032】
用語「低級ジアルキルカルバモイルアルキル」または「C1-8ジアルキルカルバモイル−C1-8アルキル」は、低級アルキル基の水素原子の少なくとも1個が本明細書中で前に定義されたとおりのジアルキルカルバモイル基で置き換えられている、上で定義されたとおりの低級アルキル基を表す。好ましい低級ジアルキルカルバモイルアルキル基は、ジメチルカルバモイルメチルである。
【0033】
用語「低級フェニルアルキル」または「フェニル−C1-8アルキル」は、低級アルキル基の水素原子の少なくとも1個がフェニル基で置き換えられている、上で定義されたとおりの低級アルキル基を表す。好ましい低級フェニルアルキル基は、ベンジルまたはフェネチルである。
【0034】
用語「ヘテロアリール」は、窒素、酸素、および/または硫黄から選択される1、2、もしくは3個の原子を含みうる芳香族5員または6員環を表す。ヘテロアリール基の例は、例えば、フリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、またはピロリルである。特に好ましいものは、フリルおよびピリジルである。
【0035】
用語「低級ヘテロアリールアルキル」または「ヘテロアリール−C1-8アルキル」は、低級アルキル基の水素原子の少なくとも1個が上で定義されたとおりのヘテロアリール基で置き換えられている、上で定義されたとおりの低級アルキル基を表す。
【0036】
用語「ヘテロシクリル」は、窒素、酸素、および/または硫黄から選択される1、2、もしくは3個の原子を含みうる飽和または部分的に不飽和の5員または6員環を表す。ヘテロシクリル環の例は、例えば、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼピニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、チアジアゾリジニル、ジヒドロフリル、テトラヒドロフリル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、およびチオモルホリニルである。好ましいヘテロシクリルは、ピペリジニルである。
【0037】
用語「低級ヘテロシクリルアルキル」または「ヘテロシクリル−C1-8アルキル」は、低級アルキル基の水素原子の少なくとも1個が上で定義されたとおりのヘテロシクリル基で置き換えられている、上で定義されたとおりの低級アルキル基を表す。
【0038】
用語「窒素、酸素もしくは硫黄から選択されるさらなるヘテロ原子を場合により含む、4、5、6もしくは7員の飽和のへテロ環を形成」は、飽和N−ヘテロ環を意味し、これは、場合によりさらに、窒素、酸素または硫黄原子を含んでいてもよく、例えば、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、またはアゼパニルである。「4、5、6もしくは7員の部分的に不飽和のへテロ環」は、二重結合を含んでいる、上で定義されたとおりのヘテロ環、例えば、2,5−ジヒドロピロリルまたは3,6−ジヒドロ−2H−ピリジニルを意味する。「スルフィニル基またはスルホニル基を含有する4、5、6もしくは7員の飽和または部分的に不飽和のへテロ環」は、−S(O)−基または−SO2−基を含むN−ヘテロ環、例えば、1−オキソチオモルホリニルまたは1,1−ジオキソチオモルホリニルを意味する。ヘテロ環は、非置換または、低級アルキル、低級アルコキシ、およびオキソから独立に選択される1、2または3個の基で置換されていてもよい。へテロ環はまた、フェニル環と縮合していてもよく、そのフェニル環は、非置換または、低級アルキル、低級アルコキシ、およびハロゲンから独立に選択される1、2もしくは3個の基で置換されている。そのような縮合へテロ環の例は、3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリンである。
【0039】
用語「オキソ」は、ヘテロ環のC原子が、=Oで置換されうることを意味し、したがって、ヘテロ環が1個以上のカルボニル(−CO−)基を含有しうることを意味する。
【0040】
用語「薬学的に許容しうる塩」は、生物学的にまたはその他で望ましくないものではない、遊離の塩基または遊離の酸の生物学的な有効性および特性を保持している塩を意味する。その塩は、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等、好ましくは塩酸と、および、有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、サリチル酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、N−アセチルシステイン等とで形成される。さらに、これらの塩は、遊離の酸へ無機塩基または有機塩基を付加させることにより調製することができる。無機塩基に由来する塩として、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。有機塩基に由来する塩として、一級、二級、および三級アミン、天然由来の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、および塩基性イオン交換樹脂、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N−エチルピペリジン、ピペリジン、ポリミン樹脂等の塩が挙げられるが、これらに限定されない。式Iの化合物は、また、両性イオンの形態で存在することができる。式Iの化合物の特に好ましい薬学的に許容しうる塩は、塩酸塩である。
【0041】
式Iの化合物は、また、溶媒和、例えば、水和されていることができる。溶媒和は、製造工程の途中で生じることができるか、あるいは、例えば、当初は無水の式Iの化合物の吸湿性の結果としても生じうる(水和)。用語、薬学的に許容しうる塩は、また、生理学的に許容しうる溶媒和物を包含する。
【0042】
「異性体」は、同一の分子式を有するが、その原子の結合の性質もしくは順序またはその原子の空間での配置が異なる化合物である。その原子の空間での配置が異なる異性体は、「立体異性体」と称される。互いに鏡像ではない立体異性体は、「ジアステレオ異性体」と称され、重ね合わせることができない鏡像である立体異性体は、「鏡像異性体」またはある場合には光学異性体と称される。4個の同一ではない置換基に結合している炭素原子は、「キラル中心」と称される。
【0043】
詳細には、本発明は、一般式I:
【0044】
【化17】

【0045】
[式中、
1は、
低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、
シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、
低級ヒドロキシアルキル、
低級アルコキシアルキル、
低級アルキルスルファニルアルキル、
低級ジアルキルアミノアルキル、
低級ジアルキルカルバモイルアルキル、
非置換または、低級アルキル、低級ハロゲンアルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されているフェニル、
フェニル環が、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されていてもよい、低級フェニルアルキル、
ヘテロアリール環が、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されていてもよい、低級ヘテロアリールアルキル、ならびに
ヘテロシクリル環が、非置換または、1もしくは2個の低級アルキル基で置換されていてもよい、低級ヘテロシクリルアルキル
よりなる群から選択され;
2は、水素、
低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、
シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、
低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシアルキル、
低級アルキルスルファニルアルキル、
低級ジアルキルアミノアルキル、
低級ジアルキルカルバモイルアルキル、
非置換または、低級アルキル、低級ハロゲンアルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されているフェニル、
フェニル環が、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されていてもよい、低級フェニルアルキル、
ヘテロアリール環が、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されていてもよい、低級ヘテロアリールアルキル、ならびに
ヘテロシクリル環が、非置換または、1もしくは2個の低級アルキル基で置換されていてもよい、低級ヘテロシクリルアルキル
よりなる群から選択されるか;あるいは
1およびR2は、
それらが結合している窒素原子と一緒になって、窒素、酸素もしくは硫黄から選択されるさらなるヘテロ原子、スルフィニル基、またはスルホニル基を場合により含む、4、5、6もしくは7員の飽和または部分的に不飽和のへテロ環を形成し、
その飽和または部分的に不飽和のへテロ環は、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、ハロゲンアルキル、ヒドロキシ、低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシ、オキソ、フェニル、ベンジル、ピリジル、およびカルバモイルから独立に選択される1、2、もしくは3個の基で置換されているか、または
フェニル環と縮合しており、そのフェニル環は、非置換または、低級アルキル、低級アルコキシ、およびハロゲンから独立に選択される1、2、もしくは3個の基で置換されており;
3は、水素、低級アルキル、低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシアルキル、低級ハロゲンアルキル、低級シクロアルキルアルキル、
低級アルカノイル、低級シアノアルキル、低級アルキルスルホニル、
フェニル環が、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、低級ハロゲンアルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されていてもよい、フェニルスルホニル、
非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、低級ハロゲンアルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されているフェニル;フェニル環が、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、低級ハロゲンアルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されていてもよい、低級フェニルアルキル;ならびに
非置換または、低級アルキルまたはハロゲンから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されている、ヘテロアリール
よりなる群から選択され;
4は、水素またはハロゲンであり、
5は、
【化18】


(式中、
mは、0、1、または2であり;
nは、0、1、または2であり;
Xは、CR1313'、O、およびSから選択され;
6、R6'、R7、R7'、R8、R8'、R13、およびR13'は、互いに独立に、水素、低級アルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、およびジアルキルアミノから選択されるか、または
7およびR13は、一緒になって二重結合を形成し;
pは、0、1、または2であり;
9は、低級アルキル、シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、および低級フェニルアルキルから選択され;
qは、0、1、または2であり;
10は、低級アルキルであり;
11は、低級アルキルであり;
12は、低級アルキルである)
から選択される基である]
の化合物およびその薬学的に許容しうる塩に関する。
【0046】
本発明の式Iの好ましい化合物は、
1が、
低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、
シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、
低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシアルキル、
低級アルキルスルファニルアルキル、
低級ジアルキルアミノアルキル、低級ジアルキルカルバモイルアルキル、
非置換または、低級アルキル、低級ハロゲンアルコキシ、もしくは低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されているフェニル、
フェニル環が、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、もしくは低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されていてもよい、低級フェニルアルキル、
ヘテロアリール環が、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、もしくは低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されていてもよい、低級ヘテロアリールアルキル、ならびに
ヘテロシクリル環が、非置換または、1もしくは2個の低級アルキル基で置換されていてもよい、低級ヘテロシクリルアルキル
よりなる群から選択され、
2が、水素または低級アルキルである、式Iの化合物に関する。
【0047】
より好ましいものは、
1が、
低級アルキル、
シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、
低級アルコキシアルキル、
フェニル環が、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、もしくは低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されていてもよい、低級フェニルアルキル
よりなる群から選択され、
2が、水素または低級アルキルである、式Iの化合物である。
【0048】
特に好ましいものは、R1が、フェニル環が、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、もしくは低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されていてもよい、低級フェニルアルキルであり、
2が、水素または低級アルキルである、式Iの化合物である。
【0049】
同じく好ましいものは、R1およびR2が低級アルキルである、式Iの化合物である。
【0050】
さらに、R1およびR2が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、窒素、酸素もしくは硫黄から選択されるさらなるヘテロ原子、スルフィニル基、またはスルホニル基を場合により含む、4、5、6もしくは7員の飽和または部分的に不飽和のへテロ環を形成し、その飽和または部分的に不飽和のへテロ環は、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、ハロゲンアルキル、ヒドロキシ、低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシ、オキソ、フェニル、ベンジル、ピリジル、およびカルバモイルから独立に選択される1、2、もしくは3個の基で置換されているか、またはフェニル環と縮合しており、そのフェニル環は、非置換または、低級アルキル、低級アルコキシ、およびハロゲンから独立に選択される1、2、もしくは3個の基で置換されている、本発明に係る式Iの化合物が好ましい。
【0051】
より好ましいものは、R1およびR2が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、モルホリン、ピペリジン、2,5−ジヒドロピロール、ピロリジン、アゼパン、ピペラジン、アゼチジン、チオモルホリン、および3,6−ジヒドロ−2H−ピリジンよりなる群から選択されるヘテロ環を形成し、そのへテロ環は、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、ハロゲンアルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、オキソ、フェニル、ベンジル、ピリジル、およびカルバモイルから独立に選択される1、2、もしくは3個の基で置換されているか、またはフェニル環と縮合しており、そのフェニル環は、非置換または、低級アルキル、低級アルコキシ、およびハロゲンから独立に選択される1、2、もしくは3個の基で置換されている、本発明に係る式Iの化合物である。
【0052】
さらにより好ましくは、R1およびR2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、モルホリン、ピペリジン、4,4−ジフルオロピペリジン、およびピロリジンよりなる群から選択されるヘテロ環を形成する。
【0053】
さらに、R3が、水素、低級アルキル、低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシアルキル、低級ハロゲンアルキル、
低級シクロアルキルアルキル、低級シアノアルキル、
低級アルキルスルホニル、および
非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、低級ハロゲンアルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されているフェニルよりなる群から選択される、本発明に係る式Iの化合物が好ましい。
【0054】
より好ましいものは、R3が、水素、低級アルキル、低級ハロゲンアルキル、低級シクロアルキルアルキル、および低級シアノアルキルよりなる群から選択される、式Iのそれらの化合物であり、R3が水素であるそれらの化合物が特に好ましい。
【0055】
4は水素またはハロゲンである。R4が、水素、クロロ、およびブロモよりなる群から選択される、式Iの化合物が好ましい。
【0056】
本発明に係る式Iの特に好ましい化合物は、R4が水素であるものである。
【0057】
本発明に係る式Iのさらに好ましい化合物は、R5が、
【0058】
【化19】

【0059】
(式中、mは、0、1、または2であり;nは、0、1、または2であり;Xは、CR1313'、O、およびSから選択され;R6、R6'、R7、R7'、R8、R8'、R13、およびR13'は、互いに独立に、水素、低級アルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、およびジアルキルアミノよりなる群から選択されるか、またはR7およびR13は、一緒になって二重結合を形成する)
を意味する、それらの化合物である。
【0060】
この群の中で、mが、0または1であり、nが1であり、Xが、CR1313'であり、R6、R6'、R7、R7'、R8、R8'、R13、およびR13'が、水素または低級アルキルである、式Iのそれらの化合物が、好ましい。
【0061】
おなじく好ましいものは、R5が、
【0062】
【化20】

【0063】
(式中、pが、0、1、または2であり、R9が、低級アルキル、シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、および低級フェニルアルキルから選択される)
を意味する、式Iの化合物である。
【0064】
この群の中で、R9が低級アルキルである、それらの化合物が、好ましい。同じく好ましいものは、R9がシクロアルキルである化合物である。pの整数は、好ましくは1である。
【0065】
本発明に係る式Iの化合物のさらに好ましい群は、R5が、
【0066】
【化21】

【0067】
(式中、qが、0、1、または2であり;R10が、低級アルキルであり)
を意味する、それらのものである。
【0068】
5が、
【0069】
【化22】

【0070】
(式中、nが、0、1、または2であり、R11が、低級アルキルであり、R12が、低級アルキルである)
を意味する、本発明に係る式Iの化合物が、同じく好ましい。
【0071】
式Iの好ましい化合物の例は、以下のもの:
モルホリン−4−イル−[5−(3−ピペリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
ピペリジン−1−イル−[5−(3−ピペリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
[5−(3−ピペリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]−ピリジン−2−イル]−ピロリジン−1−イル−メタノン、
5−(3−ピペリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]−ピリジン−2−カルボン酸 4−フルオロ−ベンジルアミド、
モルホリン−4−イル−[5−(3−ピロリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
ピペリジン−1−イル−[5−(3−ピロリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
ピロリジン−1−イル−[5−(3−ピロリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
5−(3−ピロリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]−ピリジン−2−カルボン酸 4−フルオロ−ベンジルアミド、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{5−[3−((2R,5R)−2,5−ジメチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル}−メタノン、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル}−メタノン、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{5−[3−((S)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル}−メタノン、
[5−(1−シクロプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]−ピリジン−2−イル]−モルホリン−4−イル−メタノン、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]−ピリジン−2−カルボン酸 4−フルオロ−ベンジルアミド、
[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]−ピリジン−2−イル]−ピペリジン−1−イル−メタノン、
[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]−ピリジン−2−イル]−モルホリン−4−イル−メタノン、
[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]−ピリジン−2−イル]−ピロリジン−1−イル−メタノン、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1−メタンスルホニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{1−メタンスルホニル−5−[3−((S)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル}−メタノン、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{1−メタンスルホニル−5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ−[2,3−b]ピリジン−2−イル}−メタノン、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1−(2−メトキシ−エチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[1−イソプロピル−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
[1−シクロプロピルメチル−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
[2−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−イル]−アセトニトリル、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[1−(2−ヒドロキシ−エチル)−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{1−イソプロピル−5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル}−メタノン、
{1−シクロプロピルメチル−5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル}−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
{2−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−イル}−アセトニトリル、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
{1−(4−クロロ−フェニル)−5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル}−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
[6−クロロ−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
[6−クロロ−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
[6−クロロ−1−シクロプロピルメチル−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
およびその薬学的に許容しうる塩である。
【0072】
本発明に係る式Iの特に好ましい化合物は、以下のもの:
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル}−メタノン、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[1−イソプロピル−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
[1−シクロプロピルメチル−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
[2−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−イル]−アセトニトリル、
[6−クロロ−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
[6−クロロ−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
[6−クロロ−1−シクロプロピルメチル−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
およびその薬学的に許容しうる塩である。
【0073】
さらに、式Iの化合物の薬学的に許容しうる塩および式Iの化合物の薬学的に許容しうるエステルは、個々に、本発明の好ましい実施態様を構成する。
【0074】
式Iの化合物は、酸、例えば通常の薬学的に許容しうる酸との酸付加塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、サリチル酸塩、硫酸塩、ピルビン酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マンデル酸塩、酒石酸塩、およびメタンスルホン酸塩を形成しうる。好ましいものは、塩酸塩である。また、式Iの化合物の溶媒和物および水和物ならびにそれらの塩は、本発明の一部を形成する。
【0075】
式Iの化合物は、1以上の不斉炭素原子を有することができ、光学的に純粋な鏡像異性体、例えばラセメートのような鏡像異性体の混合物、光学的に純粋なジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性体ラセメート、またはジアステレオ異性体ラセメートの混合物の形態で存在することができる。光学的に活性な形態は、例えば、ラセメートの分割により、不斉合成または不斉クロマトグラフィー(キラル吸着剤または溶離剤でのクロマトグラフィー)により得ることができる。本発明は、これらの形態のすべてを包含する。
【0076】
本発明における一般式Iの化合物が、官能基において誘導体化されて、インビボで親化合物に変換し戻しうる誘導体をもたらすことができることは理解される。インビボで一般式Iの親化合物を産生しうる、生理学的に許容でき、かつ代謝的に変化しやすい誘導体もまた、本発明の範囲に含まれる。
【0077】
本発明のさらなる態様は、上で定義された式Iの化合物の製造方法であって、
a)式II:
【0078】
【化23】

【0079】
(式中、R1、R2、およびR4は、本明細書で前に定義されたとおりであり、Rbは、水素またはtert−ブトキシカルボニルである)
の化合物を、トリアルキルホスフィンまたはトリフェニルホスフィンおよびアゾ化合物の存在下に、式III:
【0080】
【化24】

【0081】
(式中、R5は、本明細書で前に定義されたとおりである)
のアルコールと反応させて、式IA:
【0082】
【化25】

【0083】
(式中、R3は、水素である)
の化合物を得、場合により式IB:
【0084】
【化26】

【0085】
(式中、R3は、水素以外の本明細書で前に定義されたとおりの基である)
の化合物に変換し、所望により、
得られた化合物を薬学的に許容しうる酸付加塩に変換するか、
あるいは、
b)式IV:
【0086】
【化27】

【0087】
(式中、R4およびR5は、本明細書で前に定義されたとおりであり、Rbは、水素またはtert−ブトキシカルボニルである)
の化合物を、塩基性条件下に、式V:
【0088】
【化28】

【0089】
(式中、R1およびR2は、本明細書で前に定義されたとおりである)
のアミンとカップリングさせて、式IA:
【0090】
【化29】

【0091】
(式中、R3は、水素である)
の化合物を得、場合により式IB:
【0092】
【化30】

【0093】
(式中、R3は、水素以外の本明細書で前に定義されたとおりの基である)
の化合物に変換し、所望により、
得られた化合物を薬学的に許容しうる酸付加塩に変換することを含む方法である。
【0094】
式IBの化合物への変換は、無水条件(例えば、DMF中の水素化ナトリウム)下に、適切な溶媒中で式IAの化合物を適切な塩基で処理し、中間体アニオンをアルキル化剤またはアシル化剤R3−X(Xは、例えばヨウ化物、臭化物、メタンスルホネート、または塩化物等の脱離基を意味する)と反応させて、式IBの化合物(式中、R3は、低級アルキル、低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシアルキル、低級ハロゲンアルキル、低級シクロアルキルアルキル、低級アルカノイル、低級シアノアルキル、低級アルキルスルホニル、またはフェニルスルホニルを意味する)を得ることを意味するか、あるいは式IBの化合物への変換は、例えばジクロロメタンのような適切な溶媒中、適切な触媒(例えば、酢酸銅(II))および塩基(例えば、ピリジン)を用いて、式IAの化合物を場合により置換されているフェニルボロン酸と反応させて、式IBの化合物(式中、R3は、フェニルまたは置換フェニル基を意味する)を得ることを意味する。
【0095】
アルキル化剤またはアシル化剤R3−Xの典型的な例は、ヨウ化メチル、2−ブロロモプロパン、2,2,2−トリフルオロエチル−メタンスルホネート、メタンスルホニルクロリド、またはフェニルスルホニルクロリドである。
【0096】
本発明の式Iの化合物の調製は、逐次合成経路または集中的な合成経路で行うことができる。本発明の合成法は、以下のスキームに示されている。反応および得られた生成物の精製を行うために要する技術は当業者に公知である。工程の以下の記述に使用される置換基およびインデックスは、異なることが示されない限り、前記の意味を有する。
【0097】
より詳細には、式Iの化合物は、以下に記載の方法、実施例に記載の方法、または類似の方法により製造することができる。個々の反応工程に対する適切な反応条件は、当業者に公知である。出発原料は、市販されているか、または以下に記載の方法と類似の方法、本文もしくは実施例に示される参照文献に記載の方法、またはこの技術分野で公知の方法により調製することができる。
【0098】
【化31】

【0099】
式Jの7−アザ−インドール−2−カルボキシレートは、6−アミノ−5−ブロモ−ピリジン−3−オール(WO98/25920に従って調製される)を出発して、スキーム1に示されているようにして調製することができ、これは、例えばDMF等の適切な溶媒中で、ベンジル保護基で、例えば臭化ベンジルおよび例えば水素化ナトリウム等の塩基を用いることによりO−保護することができる。PGは、従って、ヒドロキシ保護基、例えばベンジル基を意味する。中間体Aと、(例えば、ジメチルテキシルシリル保護基で)場合により保護されているカルビノール誘導体とを反応させると、中間体Bを与える。PG’は、従って、ヒドロキシ保護基、例えば、ジメチルテキシルシリル等のシリル保護基を意味する。反応は、適切な溶媒(例えば、トリエチルアミン)中、適切な触媒(例えば、共触媒としてビス−トリフェニルホスフィンパラジウムジクロリドおよびヨウ化銅(I))の存在下に進行する。中間体Bは、例えば無水トリフルオロ酢酸等の酸無水物で処理し、得られるトリフルオロアセトアミドを、例えばN,N−ジイソプロピルエチルアミン等の適切な溶媒中、適切な触媒(例えば、ビス−トリフェニルホスフィンパラジウムジクロリドおよびヨウ化銅(I))で処理することにより7−アザ−インドール中間体Cに環化される。例えばTHF等の適切な溶媒中で、シリル保護基を、例えばフッ化テトラ−n−ブチルアンモニウムで除去すると、中間体Dが得られ、それは、例えばジクロロメタン中で、例えば二酸化マンガンでアルコールを酸化したのちに、中間体Eを与える。インドール窒素を、例えばジクロロメタン中で、例えば炭酸ジ−tert−ブチルを用いてBoc−保護すると、中間体Fが得られる。当業者に公知で文献(例えば、Amos B. Smith IIIら, J. Am. Chem. Soc. 1989, 111 (15), 5761-5768)記載の方法に従ってアルデヒド官能性を酸化すると、中間体Gが得られる。中間体Gを、メタノール中、硫酸で処理すると、中間体Jが生成する。この場合、Raは、メチル基を意味する。中間体Jは、また、酸性条件下に(例えばジクロロメタン中の、例えばトリフルオロ酢酸で)、中間体HからBoc保護基を除去することにより得ることができる。中間体Hは、次いで、無水条件(例えば、DMF中の水素化ナトリウム)下に、適切な溶媒中、適切な塩基で処理し、中間体アニオンを、例えばヨウ化メチル等のアルキル化剤Ra−Xと反応させることにより、中間体Gから合成することができる。スキーム1中のRaは、アルキル基、好ましくは低級アルキル基、好ましくはメチルまたはエチルである。Xは、例えば塩素、臭素、またはトリフルオロメタンスルホネート等の脱離基を意味する。
【0100】
【化32】

【0101】
一般式IAおよびIBの化合物は、スキーム2に従って調製することができる。中間体HまたはJ中のエステル官能性は、塩基性下に(例えば、極性溶媒、例えばメタノール、水、またはTHFまたはその溶媒の混合物中の水酸化リチウムで)または酸性条件下に(例えば、THF中の濃塩酸を用いて)切断され、得られる中間体Kのリチウム塩または塩酸塩を、さらにアミンと反応させると、アミド中間体Lが生成する。カルボン酸とアミン(市販されているか、または参照文献記載の方法もしくは当業者に公知の方法により入手しうる)とのカップリングは、文献(例えば、Comprehensive Organic Transformations: A Guide to Functional Group Preparations, 2nd Edition, Richard C. Larock, John Wiley & Sons, New York, NY. 1999)に広く記載されており、塩基(例えば、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン)の存在下に、例えばジメチルホルムアミド(DMF)またはジオキサンのような適切な溶媒中での、例えば、N,N−カルボニルジイミダゾール(CDI)、1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール(HOBT)、またはテトラフルオロホウ酸O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N,N−テトラメチルウロニウム(TBTU)等のカップリング試薬の使用を採用して達成することができる。保護基PGは、当業者に公知であり、文献(例えば、T. W. Greene and P. G. M. Wuts. Protective Groups in Organic Synthesis. 3rd Edition, 1999)に記載の方法により切断されて、中間体Mを与える。例えば、ベンジル保護基は、適切な溶媒または溶媒混合物(例えば、酢酸エチル、メタノール)中、適切な触媒(例えば、炭素上のパラジウム)を用いる水素化分解により切断される。一般式IAの化合物は、次のように調製することができる:HetIまたはHetIIの場合、得られるフェノールは、HO−HetIまたはHO−HetII型のアルコール(市販されているか、または参照文献記載の方法もしくは当業者に公知の方法により入手しうる)と、当業者に公知で広く記述されている(例えば、D. L. Hughes. The Mitsunobu reaction. Organic Reactions (New York) (1992), 42, 335-656)いわゆる「光延反応」を適用してカップリングされる。これにより、フェノール中間体は、そのような変換に一般に用いられる溶媒、例えばテトラヒドロフラン(THF)、トルエン、またはジクロロメタン中、例えばトリブチルホスフィンまたはトリフェニルホスフィンのようなホスフィンおよび例えばアゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)またはアゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)のようなアゾジカルボン酸ジアルキルエステルを用いて、あるいはN,N,N’,N’−テトラメチルアゾジカルボキサミドを用いて、HO−HetIまたはHO−HetII型のアルコールとカップリングされる。置換基R6またはR7がHO−HetIまたはHO−HetII型のアルコール中に既に存在しない場合、それらは、参照文献に記載の方法を用いて、または例えば還元的アミノ化等のこの分野で公知の方法(例えば、F. Zaragozaら, J. Med. Chem. 2004, 47, 2833-2838)により、式IAまたはIBの化合物中の遊離アミン官能性のアルキル化によって導入することができる。この点で、式IAの化合物は、まず、例えばtert−ブトキシカルボニル基等の適切な保護基で保護され、これは、R6またはR7の導入後に、当業者に公知で、スキーム1に記載したような条件下に除去することができる。前記の方法論は、また、HO−HetIII型のアルコールについても適用することができ、あるいはフェノール中間体は、適切な溶媒(例えば、2−ブタノン)中で塩基性条件(例えば、炭酸カリウム)下に、例えば1−ブロモ−3−クロロプロパン等のα,ω−ジハロアルカンでアルキル化され、中間体のクロロプロポキシ化合物は、例えばアセトニトリル等の適切な溶媒中、例えば炭酸カリウム等の塩基の存在下に、アミンと反応される。Rbが例えばtert−ブトキシカルボニル保護基等の保護基を意味する場合、保護基は、当業者に公知であり、文献(例えば、T. W. Greene and P. G. M. Wuts. Protective Groups in Organic Synthesis. 3rd Edition, 1999)に記載の方法により切断されて、一般式IAの化合物を与える。式IBの中間体は、例えば、式IAの中間体を、無水条件(例えば、DMF中の水素化ナトリウム)下に、適切な溶媒中で、適切な塩基で処理し、中間体アニオンを、例えばヨウ化メチル、2−ブロモプロパン、2,2,2−トリフルオロエチル−メタンスルホネート、メタンスルホニル−またはフェニルスルホニルクロリド等のアルキル化剤またはアシル化剤R3−Xと反応させることにより得ることができる。これらの場合、R3は、メチル。トリフルオロメチル、イソプロピル、またはアルキル−もしくはアリールスルホニル基を意味し、Xは、たとえばヨウ化物、臭化物、メタンスルホネート、または塩化物等の脱離基を意味する。R3がフェニルまたは置換フェニル基を意味する式IBの化合物は、当業者に公知で、文献(例えば、W. W. K. R. Mederskiら, Tetrahedron, 1999, 55, 12757)記載の方法により合成することができる。例えば、式IAの中間体は、例えばジクロロメタンのような適切な溶媒中、適切な触媒(例えば、酢酸銅(II))および塩基(例えば、ピリジン)を用いて、場合により置換されているフェニルボロン酸と反応される。スキーム2中のRaは、アルキル基、好ましくは低級アルキル基、好ましくはメチルまたはエチルである。Rbは、水素または、例えばtert−ブトキシカルボニル等の保護基を意味する。PGは、例えばベンジル保護基等の保護基を意味する。
【0102】
スキーム2中のRaは、アルキル基、好ましくは低級アルキル基、好ましくはメチルまたはエチルである。Rbは、水素または、例えばtert−ブトキシカルボニル等の保護基を意味する。PGは、例えばベンジル保護基等の保護基を意味する。
【0103】
【化33】

【0104】
一般式IAおよびIBの化合物は、また、スキーム2に記載され、述べられた方法を適用して、スキーム3に従って調製することもできる。スキーム3中のRaは、アルキル基、好ましくは低級アルキル基、好ましくはメチルまたはエチルである。Rbは、水素または、例えばtert−ブトキシカルボニル等の保護基を意味する。PGは、例えばベンジル保護基等の保護基を意味する。
【0105】
【化34】

【0106】
4が塩素または臭素原子を意味する一般式Iの化合物は、スキーム4に従って調製することができる。場合により、式HのN,O保護された(例えば、インドール窒素でのtert−ブトキシカルボニル保護基(PG”)および5位における酸素でのベンジル保護基(PG))7−アザ−インドール−2−カルボキシレートは、ピリジン窒素で、例えばジクロロメタン中のメタ−クロロ過安息香酸等の適切な酸化条件下にN−オキシドに酸化される。得られる中間体Qを、その後、例えばテトラヒドロフラン等の適切な溶媒中で、例えばヘキサメチルジシラザンのような適切な塩基の存在下に、例えばクロロギ酸エチルまたは安息香酸臭化物等の求核系で処理すると、中間体Rが得られる。中間体Rは、次いで、前に概説された方法により、中間体SおよびTを介して、一般式ICまたはIDの化合物にさらに変換することができる。スキーム4中のRaは、アルキル基、好ましくは低級アルキル基、好ましくはメチルまたはエチルである。PGおよびPG”は、PGのための例えばベンジル保護基等およびPG”としての例えばtert−ブトキシカルボニル保護基等の保護基を意味する。
【0107】
上記のように、本発明の式Iの化合物は、H3受容体の調節に関連する疾患の治療および/または予防用の医薬として使用することができる。
【0108】
本明細書中で、表現「H3受容体の調節に関連する疾患」は、H3受容体の調節により治療および/または予防することができる疾患を意味する。そのような疾患は、肥満症、代謝症候群(シンドロームX)、アルツハイマー病を含む神経疾患、認知症、年齢関連記憶障害、軽度の認知機能障害、認知欠損、注意欠陥多動性障害、てんかん、神経因性疼痛、炎症性疼痛、片頭痛、パーキンソン病、多発性硬化症、発作、めまい、統合失調症、うつ病、依存症、乗り物酔い、およびナルコレプシーを含む睡眠障害、ならびに喘息、アレルギー、アレルギー誘起気道反応、鬱血、慢性閉塞性肺疾患および胃腸障害を含む他の疾患を包含するが、これらに限定されない。
【0109】
好ましい態様において、表現「H3受容体の調節に関連する疾患」は、肥満症、代謝症候群(シンドロームX)、他の摂食障害に関連し、肥満症が特に好ましい。
【0110】
したがって、本発明はまた、上で定義されたとおりの化合物ならびに薬学的に許容しうる担体および/または助剤を含む医薬組成物に関する。
【0111】
さらに、本発明は、治療上有効な物質として、特に、H3受容体の調節に関連する疾患の治療および/または予防用の治療上有効な物質として使用するための、上で定義されたような化合物に関する。
【0112】
他の実施態様において、本発明は、H3受容体の調節に関連する疾患の治療および/または予防方法に関し、この方法は、式Iの化合物の治療有効量をヒトまたは動物に投与することを含む。肥満症の治療および/または予防方法が好ましい。
【0113】
本発明は、さらに、H3受容体の調節に関連する疾患の治療および/または予防用の、上で定義されたような式Iの化合物の使用に関する。
【0114】
加えて、本発明は、H3受容体の調節に関連する疾患の治療および/または予防用の医薬を製造するための、上で定義されたような式Iの化合物の使用に関する。肥満症の治療および/または予防用の医薬を製造するための、上で定義されたような式Iの化合物の使用が好ましい。
【0115】
さらに、本発明は、リパーゼ阻害剤、特にリパーゼ阻害剤がオルリスタットであるものでの処置をも受けている患者における肥満症の治療および予防用の医薬を製造するための、式Iの化合物の使用に関する。
【0116】
本発明のさらに好ましい目的は、一緒になって効果的な軽減を与える、肥満症または摂食障害を処置するための他の薬剤の治療有効量と組み合わせてまたはそれと共同して、式Iに係る化合物の治療有効量を投与することを含む、肥満症および肥満症関連障害の治療または予防方法を提供することである。好適な他の薬剤としては、食欲抑制剤、リパーゼ阻害剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、および体脂肪の代謝を刺激する薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。上記の薬剤の組み合わせまたは共同は、別々の、連続的なまたは同時的な投与を包含する。
【0117】
用語「リパーゼ阻害剤」は、リパーゼ、例えば胃および膵臓リパーゼの作用を阻害することが可能である化合物を意味する。例えば、米国特許第4,598,089号に記載のオルリスタットおよびリプスタチンは、リパーゼの強力な阻害剤である。リプスタチンは、微生物起源の天然物であり、オルリスタットは、リプスタチンの水素化の結果物である。他のリパーゼ阻害剤として、一般にパンクリシンと称されるある種類の化合物が挙げられる。パンクリシンは、オルリスタットの類縁体である(Mutohら、1994)。用語「リパーゼ阻害剤」は、例えば国際特許出願WO99/34786(Geltex Pharmaceuticals Inc.)に記載のポリマー結合リパーゼ阻害剤をも意味する。これらのポリマーは、リパーゼを阻害する1以上の基でそれらが置換されていることを特徴とする。用語「リパーゼ阻害剤」は、これらの化合物の薬学的に許容しうる塩をも包含する。用語「リパーゼ阻害剤」は、好ましくは、テトラヒドロリプスタチンを意味する。テトラヒドロリプスタチンの治療有効量と組み合わせてまたはそれと共同して、式Iに係る化合物の治療有効量を投与することが特に好ましい。
【0118】
テトラヒドロリプスタチン(オルリスタット)は、肥満症および高脂血症の治療または予防に有用な公知化合物である。オルリスタットの製造方法をも開示する1986年7月1日発行の米国特許第4,598,089号および適切な医薬組成物を開示する米国特許第6,004,996号を参照。さらに好適な医薬組成物は、例えば、国際特許出願WO00/09122およびWO00/09123に記載されている。オルリスタットの別の製造方法は、欧州特許出願公報第0185359、0189577、0443449、および0524495に開示されている。
【0119】
本発明の化合物と組み合わせて使用する好適な食欲抑制剤として、APD356、アミノレックス、アンフェクロラール、アンフェタミン、アクソカイン、ベンゾフェタミン、ブプロピオン、クロルフェンテルミン、クロベンゾレックス、クロフォレックス、クロミノレックス、クロルテルミン、CP945598、シクレキセドリン、CYT009−GhrQb、デクスフェンフルラミン、デクストロアンフェタミン、ジエチルプロピオン、ジフェメトキシジン、N−エチルアンフェタミン、フェンブトラゼート、フェンフルラミン、フェニソレックス、フェンプロポレックス、フルドレックス、フルミノレックス、フルフリルメチルアンフェタミン、レブアンフェタミン、レボファセトペラン、マジンドール、メフェノレックス、メタンフェプラモン、メトアンフェタミン、メトレレプチン、ノルシュードエフェドリン、ペントレックス、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミン、ピシロレックス、リモナバント、シブトラミン、SLV319、SNAP7941、SR147778(スリナバント)、ステロイド性植物抽出物(例えば、P57)、およびTM30338、ならびにその薬学的に許容しうる塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
最も好ましい食欲抑制剤は、シブトラミン、リモナバント、およびフェンテルミンである。
【0121】
本発明の化合物と組み合わせて使用する好適な選択的セロトニン再取り込み阻害剤として、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、およびセルトラリン、ならびにその薬学的に許容しうる塩が挙げられる。
【0122】
体脂肪の代謝を刺激する好適な薬剤として、成長ホルモンアゴニスト(例えば、AOD−9604)が挙げられるが、これに限定されない。
【0123】
リパーゼ阻害剤、食欲抑制剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、および体脂肪の代謝を刺激する薬剤よりなる群から選択される化合物での処置をも受けている患者における肥満症の治療および予防用の医薬の製造における、式Iの化合物の使用もまた、本発明の目的である。
【0124】
リパーゼ阻害剤、好ましくはテトラヒドロリプスタチンでの処置をも受けている患者における肥満症の治療または予防用の医薬の製造における、式Iの化合物の使用もまた、本発明の目的である。
【0125】
さらに好ましい目的は、リパーゼ阻害剤の治療有効量と組み合わせてまたはそれと共同して、式Iに係る化合物の治療有効量を投与することを含む、人間における2型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病(NIDDM))の治療または予防方法、特に、リパーゼ阻害剤がテトラヒドロリプスタチンである方法を提供することである。同じく、本発明の目的は、式Iに係る化合物およびリパーゼ阻害剤、特にテトラヒドロリプスタチンの、同時的な、別々の、または逐次的な投与のための上記の方法である。
【0126】
さらに好ましい目的は、抗糖尿病剤の治療有効量と組み合わせてまたはそれと共同して、式Iに係る化合物の治療有効量を投与することを含む、人間における2型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病(NIDDM))の治療または予防方法を提供することである。
【0127】
用語「抗糖尿病剤」は、1)PPARγアゴニスト、例えばピオグリタゾン(アクトス)またはロシグリタゾン(アバンディア)など;2)ビグアニド、例えばメトフォルミン(グルコファージ)など;3)スルホニルウレア、例えばグリベンクラミド、グリメピリド(アマリル)、グリピジド(グルコトロール)、グリブリド(ディアベータ)など;4)非スルホニルウレア、例えばナテグリニド(スターリックス)、レパグリミド(プランジン)など;5)PPARα/γアゴニスト、例えばGW−2331など;6)DPP−IV阻害剤、例えばLAF−237(ビルダグリプティン)、MK−0431、BMS−477118(サクサグリプチン)またはGSK23Aなど;7)グルコキナーゼ活性化剤、例えばWO00/58293A1に開示の化合物など;8)α−グルコシダーゼ阻害剤、例えばアカルボース(プレコース)またはミグリトール(グリセット)などよりなる群から選択される化合物を表す。
【0128】
また、本発明の目的は、式Iに係る化合物および抗糖尿病剤の治療有効量の、同時的な、別々のまたは逐次的な投与のための上記の方法である。
【0129】
抗糖尿病剤での処置をも受けている患者における2型糖尿病の治療または予防用の医薬の製造における、式Iの化合物の使用も、本発明の目的である。
【0130】
さらに好ましい目的は、脂質低下剤の治療有効量と組み合わせてまたはそれと共同して、式Iに係る化合物の治療有効量を投与することを含む、人間における脂質異常症の治療または予防方法を提供することである。
【0131】
用語「脂質低下剤」は、1)胆汁酸封鎖剤、例えばコレスチラミン(クエストラン)、コレスティポール(コレスチド)など;2)HMG−CoA還元酵素阻害剤、例えばアトルバスタチン(リピトール)、セリバスタチン(バイコール)、フルバスタチン(レスコール)、プラバスタチン(プラバコール)、シンバスタチン(ゾコール)など;3)コレステロール吸収阻害剤、例えばエゼチミベなど;4)CETP阻害剤、例えばトルセトラピブ、JTT705など;5)PPARαアゴニスト、例えばベクロフィブレート、ゲンフィブロジル(ロピド)、フェノフィブレート(リピジル)、ベザフィブレート(ベザリプ)など;6)リポタンパク質合成阻害剤、例えばナイアシンなど;7)ナイアシン受容体アゴニスト、例えばニコチン酸などよりなる群から選択される化合物を表す。
【0132】
また、本発明の目的は、式Iに係る化合物および脂質低下剤の治療有効量の、同時的な、別々のまたは逐次的な投与のための上記の方法である。
【0133】
脂質低下剤での処置をも受けている患者における脂質異常症の治療または予防用の医薬の製造における、式Iの化合物の使用も、本発明の目的である。
【0134】
さらに好ましい目的は、抗高血圧剤の治療有効量と組み合わせてまたはそれと共同して、式Iに係る化合物の治療有効量を投与することを含む、人間における高血圧症の治療または予防方法を提供することである。
【0135】
用語「抗高血圧剤」または「血圧降下剤」は、1)アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、例えばベナゼプリル(ロテンシン)、カプトプリル(カプトテン)、エナラプリル(バソテック)、フォシノプリル(モノプリル)、リシノプリル(プリニビル、ゼストリル)、モエキシプリル(ユニバスク)、ペリンドプリル(コベルスム)、キナプリル(アキュプリル)、ラミプリル(アルテース)、トランドラプリル(マビック)など;2)アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、例えばカンデサルタン(アタカンド)、エプロサルタン(テベテン)、イルベサルタン(アバプロ)、ロサルタン(コザール)、テルミサルタン(ミカディスク)、バルサルタン(ジオバン)など;3)アドレナリン遮断薬(末梢または中枢)、例えばβ−アドレナリン遮断薬、例えばアセブトロール(セクトロール)、アテノロール(テノルミン)、ベタクソロール(ケルロン)、ビソプロロール(ゼベタ)、カルテオロール(カルトロール)、メトプロロール(ロプレッサー;トプロール−XL)、ナドロール(コルガード)、ペンブトロール(レバトール)、ピンドロール(ビスケン)、プロプラノロール(インデラル)、チモロール(ブロッカドレン)など;α/β−アドレナリン遮断薬、例えばカルベジロール(コレグ)、ラベタロール(ノルモディン)など;α―1アドレナリン遮断薬、例えばプラゾシン(ミニプレス)、ドクサゾシン(カルドゥラ)、テラゾシン(ハイトリン)、フェノキシベンズアミド(ジベンジリン)など;末梢アドレナリン−ニューロン遮断薬、例えばグアナドレル(ハイロレル)、グアネチジン(イスメリン)、レセルピン(セルパシル)など;α−2アドレナリン遮断薬、例えばa−メチルドーパ(アルドメット)、クロニジン(カタプレス)、グアナベンズ(ウイテンシン)、グアンファシン(テネックス)など;4)血管拡張薬(血管拡張剤、Vasodilators)、例えばヒドララジン(アプレソリン)、ミノキシジル(ロニトレン)、クロニジン(カタプレス)など;5)カルシウムチャンネル遮断薬、例えばアムロジピン(ノルバスク)、フェロジピン(プレンジル)、イスラジピン(ジナシルク)、ニカルジピン(カルジンsr)、ニフェジピン(プロカルディア、アダラート)、ニソルジピン(スラー)、ジルチアゼム(カルジゼム)、ベラパミル(イソプチル)など;6)利尿薬、例えばチアジドおよびチアジド様薬剤、例えばヒドロクロロチアジド(ヒドロジウリル、ミクロジド)、クロロチアジド(ジウリル)、クロロタリドン(ヒグロトン)、インダパミド(ロゾール)、メトラゾン(ミクロックス)など;ループ利尿薬、例えばブメタニド(ブメックス)およびフロセミド(ラシックス)、エタクリン酸(エデクリン)、トルセミド(デマデックス)など;カリウム保持性利尿薬、例えばアミロリド(ミダモル)、トリアムテレン(ジレニウム)、スピロノラクトン(アルダクトン)、およびチアメニジン(シンコール)など;7)チロシンヒドロキシラーゼ阻害剤、例えばメチロシン(デムサー)など;8)中性エンドペプチダーゼ阻害剤、例えばBMS−186716(オマパトリラート)、UK−79300(カンドキサトリル)、エカドトリル(シノルファン)、BP−1137(ファシドトリル)、UK−79300(サンパトリラート)など;ならびに9)エンドセリンアンタゴニスト、例えばテゾセンタン(RO0610612)、A308165などよりなる群から選択される化合物を表す。
【0136】
また、本発明の目的は、式Iに係る化合物および抗高血圧剤の治療有効量の、同時的な、別々の、または逐次的な投与のための上記の方法である。
【0137】
抗高血圧剤での処置をも受けている患者における高血圧症の治療または予防用の医薬の製造における、式Iの化合物の使用も、本発明の目的である。
【0138】
式Iの化合物およびそれらの薬学的に許容しうる塩は、有益な薬理学的な特性を有する。特に、本発明の化合物は、良好なヒスタミン3受容体(H3R)アンタゴニストおよび/または逆アゴニストであることが見出されている。
【0139】
以下の試験は、式(I)の化合物の活性を決定するために行われた。
【0140】
3H−(R)α−メチルヒスタミンとの結合アッセイ
飽和結合実験は、Takahashi, K, Tokita, S., Kotani, H. (2003) J. Pharmacol. Exp. Therapeutics 307, 213-218に記載のようにして調製されたHR3−CHO膜を用いて行われた。
【0141】
適切な量の膜(60〜80μgタンパク質/穴)を、増加していく濃度の3H(R)α−メチルヒスタミン二塩酸塩(0.10〜10nM)と共にインキュベートした。非特異的結合は、200倍過剰の冷(R)α−メチルヒスタミン二臭化水素酸塩(500nM最終濃度)を用いて決定した。インキュベーションは、室温で行った(深い穴のプレート中で3時間振盪)。各穴中の最終量は、250μlであった。インキュベーションに続いて、GF/Bフィルター(トリス50mM中の100μlの0.5%PEIで、2時間200rpmで振盪して予備浸漬したもの)上で迅速ろ過を行った。ろ過は、細胞収集器を用いて行い、次いで、フィルタープレートを、0.5M NaClを含む氷冷洗浄用緩衝液で5回洗浄した。収集後、プレートを55℃で60分間乾燥し、次いで、シンチレーション液(Microscint 40、各穴に40μl)を加え、フィルター上の放射能量を、プレートを室温で2時間、200rpmで振盪した後、パッカードトップカウンター(Packard top-counter)で測定した。
【0142】
結合用緩衝液:50mMトリス−HCl pH7.4および5mM MgCl2x6H2O pH7.4。洗浄用緩衝液:50mMトリス−HCl pH7.4および5mM MgCl2x6H2Oおよび0.5M NaCl pH7.4。
【0143】
H3R逆アゴニストの親和性の間接的測定: 12種の増加していく濃度(10μM〜0.3nMの範囲)の選択した化合物を、ヒトHR3−CHO細胞系の膜を用いて、常に、競合結合実験において試験した。適切な量のタンパク質、例えば、KdでのRAMHの約500cpmの結合を、3H(R)α−メチルヒスタミン(1nM最終濃度=kd)の存在下に、96穴プレート中、250μlの最終量で、室温で1時間、インキュベートした。非特異的結合は、200倍過剰の冷(R)α−メチルヒスタミン二臭化水素酸塩を用いて決定した。
【0144】
全ての化合物を、一つの濃度につき二回試験した。50%より多い[3H]−RAMHの阻害を示した化合物は、連続的希釈実験でIC50を決定するために、再度試験した。Kiは、Cheng-Prusoff式に基づいて、IC50から算出した(Cheng, Y, Prusoff, WH (1973) Biochem Pharmacol 22, 3099-3108)。
【0145】
本発明の化合物は、約1nM〜約1000nM、好ましくは約1nM〜約100nM、より好ましくは約1nM〜約30nMの範囲内の、Ki値を示す。以下の表は、本発明のいくつかの選択した化合物についての測定値を示す。
【0146】
【表1】

【0147】
本発明の化合物の追加の生物学的活性の証明は、この分野で周知のインビトロ、エクスビボ、およびインビボアッセイを通して達成しうる。例えば、肥満関連障害、例えば糖尿病、シンドロームX、またはアテローム性動脈硬化疾患ならびに関連障害、例えば高トリグリセリド血症および高コレステロール血症の処置用の薬剤の効能を証明するために、以下のアッセイを使用しうる。
【0148】
血糖値の測定方法
db/dbマウス(Jackson Laboratories, Br Harbor, MEより入手)から採血し(眼または尾静脈で)、等しい平均血糖値に従ってグループ分けする。それらに、7〜14日間、1日1回試験化合物を経口投与する(薬学的に許容しうるビヒクル中、経管的に)。この時点で、動物から眼または尾静脈で再度採血し、血糖値を測定する。
【0149】
トリグリセリド値の測定方法
hApoAlマウス(Jackson Laboratories, Br Harbor, MEより入手)から採血し(眼または尾静脈で)、等しい平均血清中トリグリセリド値に従ってグループ分けする。それらに、7〜14日間、1日1回試験化合物を経口投与する(薬学的に許容しうるビヒクル中、経管的に)。その後、動物から眼または尾静脈で再度採血し、血清中トリグリセリド値を測定する。
【0150】
HDL−コレステロール値の測定方法
血漿HDL−コレステロール値を測定するために、hApoAlマウス(Jackson Laboratories, Br Harbor, MEより入手)から採血し(眼または尾静脈で)、等しい平均血漿HDL−コレステロール値に従ってグループ分けする。マウスに、7〜14日間、1日1回ビヒクル又は試験化合物を経口投与し、次いで、翌日採血する。血漿を、HDL−コレステロールについて分析する。
【0151】
式(I)の化合物ならびにその薬学的に許容しうる塩およびエステルは、医薬として、例えば、経腸、非経口、または局所投与の医薬製剤の形態で使用することができる。それらは、例としては、例えば錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬質および軟質ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤、または懸濁剤の剤形で経口的に、例えば坐剤の剤形で経直腸的に、例えば注射液または注入液の剤形で非経口的に、あるいは例えば軟膏、クリーム剤、または油剤の剤形で局所的に、投与できる。
【0152】
医薬製剤の製造は、記載の式(I)の化合物およびその薬学的に許容しうるものを、非毒性で不活性な治療上適合性のある、適切な固体または液体担体材料および所望であれば通常の医薬用助剤と一緒にガレヌス製剤の投与形態にする、当業者によく知られている方法で実施することができる。
【0153】
適切な担体材料は、無機担体材料のみならず、有機担体材料でもある。したがって、例えば、乳糖、トウモロコシデンプンまたはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩を、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、および硬質ゼラチンカプセル剤用の担体材料として使用することができる。軟質ゼラチンカプセル剤に適切な担体材料は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、ならびに半固形および液状ポリオールである(しかし、軟質ゼラチンカプセル剤の場合、活性成分の性質によっては、担体を必要とはしない)。液剤およびシロップ剤の製造に適切な担体材料は、例えば、水、ポリオール、ショ糖、転化糖等である。注射液剤に適切な担体材料は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、および植物油である。坐剤に適切な担体材料は、例えば、天然または硬化油、ロウ、脂肪、および半液状または液状ポリオールである。局所製剤に適切な担体材料は、グリセリド、半合成および合成グリセリド、硬化油、液体ロウ、流動パラフィン、液体脂肪族アルコール、ステロール、ポリエチレングリコール、およびセルロース誘導体である。
【0154】
通常の安定剤、防腐剤、湿潤剤および乳化剤、稠度改善剤、風味改善剤、浸透圧を変化させる塩、緩衝物質、可溶化剤、着色剤およびマスキング剤、ならびに酸化防止剤が医薬用助剤として考慮される。
【0155】
式(I)の化合物の用量は、処置されるべき疾患、患者の年齢および個別の状態、ならびに投与形態に応じて広範囲に変更でき、当然それぞれの特定の事例における個別の要件に適合される。成人患者では、約1mg〜約1000mg、特に約1mg〜約100mgの1日量が考慮される。用量に応じて、1日投与量をいくつかの用量単位で投与することが好都合である。
【0156】
医薬製剤は、好都合には、式(I)の化合物を約0.1〜500mg、好ましくは0.5〜100mg含有する。
【0157】
下記の実施例は、本発明をさらに詳細に説明するためのものである。しかしながら、それらは本発明の範囲をどのようにも限定することを意図するものではない。
【0158】
実施例
実施例1
モルホリン−4−イル−[5−(3−ピペリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン
【0159】
DMF 0.6ml中の5−(3−ピペリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸塩酸塩45mg(0.13mmol)の懸濁液に、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート53mg(0.16mmol)、モルホリン14ml(14mg;0.16mmol)およびN,N−ジイソプロピル−エチルアミン0.16ml(0.12g、0.93mmol)を加えた。75分後、反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液に注ぎ、ジクロロメタンで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣をジクロロメタン:メタノール:アンモニア(9:1:0.1v/v)を溶離剤として用いるシリカゲルのフラッシュ−クロマトグラフィーに付して、目的化合物42mg(85%)を明褐色の固体として得た。
MS(ISP):373.2(M+H
【0160】
中間体
a)5−(3−クロロ−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル
2−ブタノン10ml中の5−ヒドロキシ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル2−エチルエステル(WO 05/000849のように調製)0.5g(2.4mmol)、炭酸カリウム0.4g(2.6mmol)および1−ブロモ−3−クロロプロパン0.29ml(0.46g、2.9mmol)からなる懸濁液を、23時間加熱還流した。反応混合物を10%塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣をn−ヘプタン:酢酸エチル(1:1v/v)を溶離剤として用いるシリカゲルのフラッシュ−クロマトグラフィーに付して、目的化合物0.22g(32%)を無色の固体として得た。
MS(EI):282.1(M)
【0161】
b)5−(3−ピペリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル
5−(3−クロロ−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル0.20g(0.71mmol)、炭酸カリウム0.12g(0.85mmol)、ヨウ化カリウム0.12g(0.71mmol)およびピペリジン84ml(72μg、0.85mmol)からなる懸濁液を、17時間加熱還流した。室温まで冷却した後、反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣をジクロロメタン:メタノール:アンモニア(9:1:0.1v/v)を溶離剤として用いるシリカゲルのフラッシュ−クロマトグラフィーに付して、目的化合物0.16g(68%)を明黄色の固体として得た。
MS(ISP):332.4(M+H
【0162】
c)5−(3−ピペリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸塩酸塩
ジオキサン1.2ml中の5−(3−ピペリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル0.18g(0.54mmol)の溶液に、濃塩酸0.54ml(0.64g)を加えた。反応混合物を18時間加熱還流し、蒸発させ、高真空下で五酸化リンで乾燥させて、化合物0.18g(100%)を明褐色の固体として得た。
MS(ISP):304.4(M+H
【0163】
実施例2
ピペリジン−1−イル−[5−(3−ピペリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン
標記化合物を5−(3−ピペリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸塩酸塩およびピペリジンから実施例1と同様に合成して、目的生成物を明褐色の固体(75%)として得た。
MS(TIC):371.1(M+H
【0164】
実施例3
[5−(3−ピペリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−ピロリジン−1−イル−メタノン
標記化合物を5−(3−ピペリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸塩酸塩およびピロリジンから実施例1と同様に合成して、目的生成物を無色の固体(70%)として得た。
MS(TIC):357.1(M+H
【0165】
実施例4
5−(3−ピペリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸4−フルオロ−ベンジルアミド
標記化合物を5−(3−ピペリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸塩酸塩および4−フルオロベンジルアミンから実施例1と同様に合成して、目的生成物を明褐色の固体(55%)として得た。
MS(ISP):411.2(M+H
【0166】
実施例5
モルホリン−4−イル−[5−(3−ピロリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン
標記化合物をリチウム5−(3−ピロリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、モルホリンおよびN,N−ジイソプロピルエチルアミンから実施例1と同様に合成して、目的生成物を明黄色の固体(55%)として得た。
MS(TIC):359.1(M+H
【0167】
中間体
a)5−(3−ピロリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル
標記化合物を5−(3−クロロ−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル、炭酸カリウム、ヨウ化カリウムおよびピロリジンから実施例1、中間体b)と同様に合成して、目的生成物を明黄色の固体(75%)として得た。
MS(TIC):318.0(M+H
【0168】
b)リチウム5−(3−ピロリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシラート
水0.4ml、メタノール0.4mlおよびテトラヒドロフラン0.4ml中の5−(3−ピロリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル0.19g(0.6mmol)の懸濁液を0℃まで冷却し、1M水酸化リチウム水溶液0.63ml(0.63mmol)で処理した。室温で5時間撹拌した後、揮発成分をロータリエバポレーターで蒸発させ、残渣を高真空下で五酸化リンで乾燥させて、化合物0.18g(100%)を明黄色の固体(100%)として得た。
MS(TIC):288.1(M−H
【0169】
実施例6
ピペリジン−1−イル−[5−(3−ピロリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン
標記化合物をリチウム5−(3−ピロリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、ピペリジンおよびN,N−ジイソプロピルエチルアミンから実施例1と同様に合成して、目的生成物を明褐色の固体(32%)として得た。
MS(TIC):357.2(M+H
【0170】
実施例7
ピロリジン−1−イル−[5−(3−ピロリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン
標記化合物をリチウム5−(3−ピロリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、ピロリジンおよびN,N−ジイソプロピルエチルアミンから実施例1と同様に合成して、目的生成物を明黄色の固体(53%)として得た。
MS(TIC):343.0(M+H
【0171】
実施例8
5−(3−ピロリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸4−フルオロ−ベンジルアミド
標記化合物をリチウム5−(3−ピロリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、4−フルオロベンジルアミンおよびN,N−ジイソプロピルエチルアミンから実施例1と同様に合成して、目的生成物を明黄色の固体(29%)として得た。
MS(TIC):397.0(M+H
【0172】
実施例9
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{5−[3−((2R,5R)−2,5−ジメチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル−メタノン
標記化合物をアセトニトリル中の[5−(3−クロロ−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン、(2R,5R)−(−)−トランス−2,5−ジメチルピロリジン(市販)および炭酸カリウムから実施例1、中間体a)と同様に合成して、目的生成物23mg(6%)を明黄色の固体として得た。
MS(TIC):421.1(M+H
【0173】
中間体
a)5−ベンジルオキシ−2−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
DMF 30ml中の5−ベンジルオキシ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル(中間体G)2.3g(6.2mmol)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート2.5g(7.8mmol)および4,4−ジフルオロピペリジン塩酸塩1.2g(7.8mmol)の溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン6.4ml(4.8g、37.4mmol)を加えた。40分間室温で撹拌した後、清澄な溶液を飽和重炭酸ナトリウム水溶液に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣をジクロロメタンおよびn−ヘプタンから再結晶化させて、目的化合物2.8g(95%)を無色の固体として得た。
MS(TIC):472.0(M+H
【0174】
b)2−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−5−ヒドロキシ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
メタノール3mlおよび酢酸エチル4ml中の5−ベンジルオキシ−2−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル0.3g(0.64mmol)の溶液に、活性炭上パラジウム(10%)45mgを加え、懸濁液を1.3barで15分間水素化した。懸濁液をジカライトスピードプラス(商標)(Aldrich)で濾過し、フィルターケーキを酢酸エチルおよびメタノールで洗浄し、濾液を蒸発させた。残渣を酢酸エチルで:n−ヘプタン(2:1)を溶離剤として用いるシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、目的化合物0.19g(78%)を無色の固体として得た。
MS(TIC):382.0(M+H
【0175】
c)5−(3−クロロ−プロポキシ)−2−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
標記化合物を2−ブタノン中の2−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−5−ヒドロキシ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル、炭酸カリウムおよび1−ブロモ−3−クロロプロパンから実施例1、中間体a)と同様に合成して、目的生成物を無色の泡状物(63%)として得た。
MS(TIC):458.2(M+H
【0176】
d)[5−(3−クロロ−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン
ジクロロメタン15ml中の5−(3−クロロ−プロポキシ)−2−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル1.3g(2.8mmol)の溶液を0℃まで冷却し、次にトリフルオロ酢酸4.2ml(6.3g、55.5mmol)を加え、冷却浴を取り外した。1.5時間後、溶液を再度0℃まで冷却し、1M水酸化ナトリウム水溶液60mLをゆっくりと加えた。溶液をジクロロメタンで3回抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、n−ヘプタン50mlを加えた。ジクロロメタンをロータリエバポレーターで蒸発させ、得られた懸濁液を濾過し、n−ヘプタンで洗浄して、無色の固体(0.92g、93%)を高真空下で乾燥させた。
MS(TIC):358.0(M+H
【0177】
実施例10
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル−メタノン
標記化合物をアセトニトリル中の[5−(3−クロロ−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン、(R)−2−メチル−ピロリジン塩酸塩(市販)および炭酸カリウムから実施例1、中間体a)と同様に合成して、目的生成物を明褐色の固体(53%)として得た。
MS(TIC):407.2(M+H
【0178】
実施例11
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{5−[3−((S)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル−メタノン
標記化合物をアセトニトリル中の[5−(3−クロロ−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン、(S)−2−メチル−ピロリジン塩酸塩(市販)および炭酸カリウムから実施例1、中間体a)と同様に合成して、目的生成物を無色の固体(57%)として得た。
MS(TIC):407.2(M+H
【0179】
実施例12
[5−(1−シクロプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−モルホリン−4−イル−メタノン
【0180】
ジクロロメタン2ml中の5−(1−シクロプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−2−(モルホリン−4−カルボニル)−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル0.16g(0.34mmol)の溶液を0℃まで冷却し、トリフルオロ酢酸0.52ml(0.8g、6.8mmol)で処理した。冷却浴を取り外し、室温で1時間後溶液を蒸発させ、残渣をジクロロメタン:メタノール:アンモニア(9:1:0.1v/v)を溶離剤として用いるシリカゲルのフラッシュ−クロマトグラフィーに付して、目的化合物0.1g(83%)を無色の固体として得た。
MS(ISP):371.4(M+H
【0181】
中間体
a)5−ベンジルオキシ−2−(モルホリン−4−カルボニル)−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
標記化合物をDMF中の5−ベンジルオキシ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル(中間体G)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、モルホリンおよびN,N−ジイソプロピルエチルアミンから実施例9、中間体a)と同様に合成して、目的生成物を無色の泡状物(70%)として得た。
MS(TIC):438.1(M+H
【0182】
b)5−ヒドロキシ−2−(モルホリン−4−カルボニル)−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
標記化合物を5−ベンジルオキシ−2−(モルホリン−4−カルボニル)−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの水素化により実施例9、中間体b)と同様に合成して、目的生成物を無色の泡状物(91%)として得た。
MS(TIC):247.8.(M+H
【0183】
c)5−(1−シクロプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−2−(モルホリン−4−カルボニル)−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
テトラヒドロフラン2ml中のN−シクロプロピル−4−ピペリジノール73mg(0.5mmol)の溶液に、5−ヒドロキシ−2−(モルホリン−4−カルボニル)−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル0.15g(0.43mmol)およびトリフェニルホスフィン0.14g(0.52mmol)を加え、懸濁液を0℃まで冷却した。次に、ジイソプロピルアゾジカルボキシラート0.12g(0.52mmol)を加え、得られた溶液を室温で20時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチル:メタノール(9:1v/v)を溶離剤として用いるシリカゲルのフラッシュ−クロマトグラフィーに付して、生成物を無色のガムとして得た。
MS(ISP):471.4(M+H
【0184】
実施例13
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン
標記化合物をDMF中の5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸塩酸塩、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、4,4−ジフルオロピペリジン塩酸塩およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(5当量)から実施例9、中間体a)と同様に合成して、目的生成物をオフホワイトの固体(44%)として得た。
MS(TIC):407.2(M+H
【0185】
中間体
a)5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル2−エチルエステル
テトラヒドロフラン6ml中の5−ヒドロキシ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル2−エチルエステル(WO 05/000849のように調製)0.2g(0.65mmol)および1−イソプロピル−ピペリジン−4−オール(市販)の濁った溶液に、トリブチルホスフィン0.26g(1.3mmol)を加え、混合物を60分以内に0℃まで冷却した。1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン32.9mg(1.3mmol)を撹拌しながら加え、反応物を室温にした。19時間後、褐色の懸濁液を濾過し、蒸発させた。残渣をtertブチルメチルエーテル中で撹拌し、濾過し、清澄な濾液を蒸発させ、ジクロロメタン:メタノール:アンモニア(9:1:0.1v/v)を溶離剤として用いるシリカゲルのフラッシュ−クロマトグラフィーに付して、生成物60mg(21%)を黄色の油状物として得た。
MS(TIC):432.2(M+H
【0186】
b)5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸塩酸塩
ジオキサン1.2ml中の5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル2−エチルエステル0.24g(0.56mmol)の溶液を濃塩酸0.56mlで処理し、還流下で16時間撹拌した。揮発成分をロータリエバポレーターで除去し、残渣を高真空下で乾燥させて、生成物0.19g(98%)を褐色の泡状物として得、それはさらに精製しなくても次の工程用には十分純粋であった。
MS(TIC):302.2(M−H)
【0187】
実施例14
5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸4−フルオロ−ベンジルアミド
標記化合物をDMF中の5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸塩酸塩、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、4−フルオロベンジルアミンおよびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(7当量)から実施例9、中間体a)と同様に合成して、目的生成物を明黄色の固体(37%)として得た。
MS(TIC):411.2(M+H
【0188】
実施例15
[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−ピペリジン−1−イル−メタノン
標記化合物をDMF中の5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸塩酸塩、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、ピペリジンおよびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(7当量)から実施例9、中間体a)と同様に合成して、目的生成物を明褐色の泡状物(51%)として得た。
MS(TIC):371.1(M+H
【0189】
実施例16
[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−モルホリン−4−イル−メタノン
標記化合物をDMF中の(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸塩酸塩(実施例13,中間体b))、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、モルホリンおよびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(7当量)から実施例9、中間体a)と同様に合成して、目的生成物を黄色の固体(70%)として得た。
MS(TIC):373.2(M+H
【0190】
実施例17
[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−ピロリジン−1−イル−メタノン
標記化合物をDMF中のリチウム1−tert−ブトキシカルボニル−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、ピロリジンおよびN,N−ジイソプロピルエチルアミンから実施例9、中間体a)と同様に合成して、目的生成物を明黄色の固体(33%)として得た。
MS(TIC):357.2(M+H
【0191】
中間体
リチウム1−tert−ブトキシカルボニル−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシラート
標記化合物を水、メタノールおよびテトラヒドロフラン中の5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル2−エチルエステル(実施例13、中間体a))および水酸化リチウムから実施例5、中間体b)と同様に合成して、化合物を黄色の固体(>100%)として得た。
MS(ISP):404.4(M+H
【0192】
実施例18
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1−メタンスルホニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン
DMF 3ml中の(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン(実施例13)0.25g(0.6mmol)および水素化ナトリウム30mg(0.68mmol;鉱油中55%分散)の懸濁液を、70℃まで加熱した。得られた溶液に、塩化メタンスルホニル53μl(77mg、0.67mmol)を加えた。1.5時間後、加熱浴を取り外し、溶液を水に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。粗生成物をジクロロメタン:メタノール:アンモニア(9:1:0.1v/v)を用いるシリカゲルのフラッシュ−クロマトグラフィーにより精製して、生成物13mg(44%)を明褐色の泡状物として得た。
MS(TIC):485.2(M+H
【0193】
実施例19
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{1−メタンスルホニル−5−[3−((S)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル−メタノン
標記化合物を(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{5−[3−((S)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル}−メタノン(実施例11)、水素化ナトリウムおよび塩化メタンスルホニルから実施例18と同様に合成して、目的生成物を明黄色の油状物(52%)として得た。
MS(TIC):485.3(M+H
【0194】
実施例20
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{1−メタンスルホニル−5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル−メタノン
標記化合物を(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル}−メタノン(実施例10))、水素化ナトリウムおよび塩化メタンスルホニルから実施例18と同様に合成して、目的生成物を明黄色の油状物(53%)として得た。
MS(TIC):485.3(M+H
【0195】
実施例21
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1−(2−メトキシ−エチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン
標記化合物を(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン(実施例13)、水素化ナトリウムおよび2−ブロモエチルメチルエーテルから実施例18と同様に合成して、目的生成物を明黄色の油状物(49%)として得た。
MS(TIC):465.3(M+H
【0196】
実施例22
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[1−イソプロピル−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン
標記化合物を(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン(実施例13)、水素化ナトリウムおよび2−ブロモプロパンから実施例18と同様に合成して、目的生成物を明褐色の泡状物(13%)として得た。
MS(TIC):449.2(M+H
【0197】
実施例23
[1−シクロプロピルメチル−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン
標記化合物を(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン(実施例13)、水素化ナトリウムおよびシクロプロピルメチルブロミドから実施例18と同様に合成して、目的生成物を明褐色の油状物(51%)として得た。
MS(TIC):461.1(M+H
【0198】
実施例24
[2−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−イル]−アセトニトリル
標記化合物を(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン(実施例13)、水素化ナトリウムおよびブロモアセトニトリルから実施例18と同様に合成して、目的生成物を明黄色の油状物(61%)として得た。
MS(TIC):446.1(M+H
【0199】
実施例25
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン
標記化合物を(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン(実施例13)、水素化ナトリウムおよび2,2,2−トリフルオロエチルメタンスルホナートから実施例18と同様に合成して、目的生成物を黄色の油状物(48%)として得た。
MS(TIC):489.2(M+H
【0200】
実施例26
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[1−(2−ヒドロキシ−エチル)−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン
[1−[2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エチル]−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン55mg(97μmol)の溶液を0℃まで冷却し、トリフルオロ酢酸1ml(1.49g、13mmol)を加えた。冷却浴を取り外し、撹拌をさらに1時間室温で続けた。反応物を1M水酸化ナトリウム水溶液で中和し、ジクロロメタンで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。粗生成物をジクロロメタン:メタノール:アンモニア(9:1:0.1v/v)を溶離剤として用いるシリカゲルのフラッシュ−クロマトグラフィーにより精製して、生成物29mg(66%)を明黄色の油状物として得た。
MS(TIC):451.1(M+H
【0201】
中間体
[1−[2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エチル]−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン
標記化合物を(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン(実施例13)、水素化ナトリウムおよび(2−ブロモエトキシ)−tert−ブチルジメチルシランから実施例18と同様に合成して、目的生成物を明黄色の固体(29%)として得た。
MS(TIC):565.5(M+H
【0202】
実施例27
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{1−イソプロピル−5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル−メタノン
標記化合物を(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{1−メタンスルホニル−5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル}−メタノン(実施例20)、水素化ナトリウムおよび2−ブロモプロパンから実施例18と同様に合成して、目的生成物を無色の油状物(26%)として得た。
MS(TIC):449.2(M+H
【0203】
実施例28
{1−シクロプロピルメチル−5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン
標記化合物を(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{1−メタンスルホニル−5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル}−メタノン(実施例20)、水素化ナトリウムおよびシクロプロピルメチルブロミドから実施例18と同様に合成して、目的生成物を明黄色の油状物(53%)として得た。
MS(TIC):461.4(M+H
【0204】
実施例29
{2−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−イル−アセトニトリル
標記化合物を(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{1−メタンスルホニル−5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル}−メタノン(実施例20)、水素化ナトリウムおよびブロモアセトニトリルから実施例18と同様に合成して、目的生成物を明黄色の油状物(3%)として得た。
MS(TIC):446.3(M+H
【0205】
実施例30
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン
標記化合物を(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{1−メタンスルホニル−5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル}−メタノン(実施例20)、水素化ナトリウムおよび2,2,2−トリフルオロエチルメタンスルホナートから実施例18と同様に合成して、目的生成物を明黄色の油状物(62%)として得た。
MS(TIC):489.1(M+H
【0206】
実施例31
{1−(4−クロロ−フェニル)−5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン
ジクロロメタン5ml中の(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{1−メタンスルホニル−5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル}−メタノン(実施例20)0.15g(0.37mmol)の溶液に、酢酸銅(II)0.13g(0.74mmol)、4−クロロフェニルボロン酸0.17g(1.1mmol)およびピリジン0.12ml(0.12mg、1.5mmol)を加え、懸濁液を室温で18時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をジクロロメタン:メタノール:アンモニア(9:1:0.1v/v)を溶離剤として用いるシリカゲルのフラッシュ−クロマトグラフィーに付して、化合物を明黄色の固体(88%)として得た。
MS(TIC):517.4(M+H
【0207】
実施例32
[6−クロロ−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン
標記化合物をDMF中の6−クロロ−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸塩酸塩、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、4,4−ジフルオロ−ピペリジンおよびN,N−ジイソプロピルエチルアミンから実施例1と同様に合成して、目的生成物を明黄色の泡状物(40%)として得た。
MS(TIC):441.2(M+H
【0208】
中間体
a)5−ベンジルオキシ−7−オキシ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル2−メチルエステル
ジクロロメタン6ml中の5−ベンジルオキシ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル2−メチルエステル(中間体H)0.58g(1.5mmol)の溶液に、m−クロロ過安息香酸0.75g(3.0mmol;70%)を加えた。3時間後、さらなるm−クロロ過安息香酸0.75gを加えた。18時間後反応物を10%炭酸カリウム水溶液に注ぎ、ジクロロメタンで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣を酢酸エチルとともに撹拌し、濾過し、高真空下で乾燥させて、目的生成物0.26g(43%)を明黄色の固体として得た。
MS(ISP):399.3(M+H
【0209】
b)5−ベンジルオキシ−6−クロロ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル2−メチルエステル
テトラヒドロフラン5ml中の5−ベンジルオキシ−7−オキシ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル2−メチルエステル0.34g(0.85mmol)の溶液に、ヘキサメチルジシラザン0.18ml(0.14g、0.85mmol)およびクロロギ酸メチル0.16ml(0.20g、2.14mmol)を加えた。1時間後、さらなるクロロギ酸メチル0.16mlを加え、2時間後、さらなるクロロギ酸メチル0.16mlを加え、反応を完了させた。溶媒を蒸発させ、残渣をジクロロメタンを溶離剤として用いるシリカゲルのクロマトグラフィーに付して、標記化合物0.22g(61%)を白色の固体として得た。
MS(EI):416.1(M)、316.1(M−(CO+C))
【0210】
c)6−クロロ−5−ヒドロキシ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル2−メチルエステル
標記化合物を5−ベンジルオキシ−6−クロロ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル2−メチルエステルの水素化により実施例9、中間体b)と同様に合成して、化合物を白色の固体(62%)として得た。
MS(EI):326.3(M),226.0(M−(CO+C))
【0211】
d)6−クロロ−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル2−メチルエステル
標記化合物を6−クロロ−5−ヒドロキシ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル2−メチルエステル、トリフェニルホスフィン、およびジイソプロピルアゾジカルボキシラートの代わりにジ−tert−ブチルアゾジカルボキシラートから実施例12、中間体c)と同様に合成して、化合物を明黄色の泡状物(68%)として得た。
MS(TIC):452.1(M+H
【0212】
e)6−クロロ−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸塩酸塩
標記化合物をジオキサン中の6−クロロ−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル2−メチルエステルおよび濃塩酸から実施例13、中間体b)と同様に、還流温度で4時間撹拌した後合成した。生成物を明褐色の固体(>100%)として得た。
MS(TIC):336.2(M−H)
【0213】
実施例33
[6−クロロ−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン
標記化合物を6−クロロ−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸塩酸塩、水素化ナトリウムおよび2,2,2−トリフルオロエチルメタンスルホナートから実施例18と同様に合成して、目的生成物を明黄色の油状物(57%)として得た。
MS(TIC):523.1(M+H
【0214】
実施例34
[6−クロロ−1−シクロプロピルメチル−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン
標記化合物を6−クロロ−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸塩酸塩、水素化ナトリウムおよびシクロプロピルメチルブロミドから実施例18と同様に合成して、目的生成物を明黄色の油状物(46%)として得た。
MS(TIC):495.4(M+H
【0215】
中間体
中間体A
5−ベンジルオキシ−6−クロロ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル2−メチルエステル
DMF 175ml中の6−アミノ−5−ブロモ−ピリジン−3−オール(WO 98/25920に従って調製)17.2g(91.0mmol)の溶液を0℃まで冷却し、水素化ナトリウム4.17g(96.0mmol;鉱油中55%分散)で少量ずつ処理した。さらなるDMF 75mlを加え、室温で30分間撹拌した後、混合物を0℃まで冷却し、臭化ベンジル11.4ml(96.0mmol)を滴下した。冷却浴を取り外し、室温で60分後、反応混合物を10%塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させた。粗生成物をn−ヘプタン:酢酸エチル(1:1v/v)を溶離剤として用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。蒸発の間に形成した懸濁液を濾過し、フィルターケーキをn−ヘプタンで洗浄して、生成物16.2g(63%)を無色の固体として得た。残った淡黄色の母液はさらなる生成物4.2g(16%)を含み、それは次の工程のために十分純粋であった。
MS(EI):278.0;280.0(M)
【0216】
中間体B
5−ベンジルオキシ−3−{3−[ジメチル−(1,1,2−トリメチル−プロピル)−シラニルオキシ]−プロパ−1−イニル]−ピリジン−2−イルアミン
【0217】
トリエチルアミン215ml中の銅ヨウ化物0.29g(1.54mmol)およびビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)の混合物を、還流下で15分間撹拌した。混合物を40℃に冷却し、次に5−ベンジルオキシ−6−クロロ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル2−メチルエステル21.5g(77.0mmol)およびジメチル−プロパ−2−イニルオキシ−(1,l,2−トリメチル−プロピル)−シラン18.6g(94.0mmol)を加え、反応混合物を19時間還流した。室温まで冷却した後、懸濁液を10%クエン酸水溶液に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させた。残渣をアセトン:n−ヘプタン(1:2v/v)を溶離剤として用いるシリカゲルのフラッシュ−クロマトグラフィーに付して、生成物13.7g(45%)を褐色の固体として、同反応に再度使用できるいくらかの未反応出発物質(約8.7g)とともに得た。
MS(EI):396.3(M);311.1(M−C13
【0218】
中間体C
5−ベンジルオキシ−2−[ジメチル−(1,1,2−トリメチル−プロピル)−シラニルオキシメチル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
【0219】
ジクロロメタン25ml中の5−ベンジルオキシ−3−{3−[ジメチル−(1,l,2−トリメチル−プロピル)−シラニルオキシ]−プロパ−1−イニル}−ピリジン−2−イルアミン1.0g(2.5mmol)の溶液を、トリフルオロ無水酢酸0.39ml(0.58g、1.10mmol)で0℃で処理した。冷却浴を取り外し、室温で60分撹拌した後、揮発成分をロータリエバポレーターで除去した。残った明褐色の油状物をトリエチルアミン25mlに溶解し、ヨウ化銅(I)14mg(73.5μmol)およびビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)18mg(25.6μmol)を加え、混合物を還流温度で20時間撹拌した。混合物を10%塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。粗生成物をアセトン:n−ヘプタン(1:3v/v)を溶離剤として用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、目的化合物0.5g(45%)を黄色の固体として得た。
MS(EI):396.2(M);311.1(M−C13
【0220】
中間体D
(5−ベンジルオキシ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル)−メタノール
【0221】
テトラヒドロフラン3ml中の5−ベンジルオキシ−2−[ジメチル−(1,l,2−トリメチル−プロピル)−シラニルオキシメチル]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン0.53g(1.3mmol)の溶液に、テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド(THF中1M溶液)1.6ml(1.6mmol)を加えた。75分後、溶液を飽和重炭酸ナトリウム水溶液に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣をtert−ブチルメチルエーテル中で撹拌し、濾過し、tert−ブチルメチルエーテルで洗浄して、生成物0.3g(88%)を褐色の固体として得た。
MS(EI):254.1(M)
【0222】
中間体E
5−ベンジルオキシ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルバルデヒド
【0223】
ジクロロメタン15ml中の(5−ベンジルオキシ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル)−メタノール0.3g(1.2mmol)およびマンガンジオキシド0.82g(9.4mmol)の懸濁液を、室温で3時間撹拌した。ジカライトスピードプラス(商標)(Aldrich)で濾過した後、溶媒を蒸発させて、目的化合物0.22g(74%)を明褐色の固体として得た。
MS(EI):252.1(M)
【0224】
中間体F
5−ベンジルオキシ−2−ホルミル−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
ジクロロメタン10ml中の5−ベンジルオキシ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルバルデヒド0.42g(1.7mmol)の懸濁液に、ジ−tert−ブチルジカルボナート0.38g(1.75mmol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン10mg(82μmol)を加えた。20分後、溶液が形成され、それを蒸発させた。残渣をn−ヘプタン:酢酸エチル(2:1v/v)を用いるシリカゲルのフラッシュ−クロマトグラフィーに付した。蒸発させて懸濁液が形成され、それを5℃まで冷却し、濾過した。フィルターケーキをn−ヘプタンで洗浄し、真空下で乾燥させて、生成物0.4g(69%)を明褐色の固体として得た。
MS(EI):352.1(M);252.1(M−(C+CO))
【0225】
中間体G
5−ベンジルオキシ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル
tert−ブタノール10ml、2−メチル−2−ブテン7mlおよびアセトニトリル20ml中の5−ベンジルオキシ−2−ホルミル−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル0.41g(1.2mmol)の溶液に、水10ml中の塩化ナトリウム1.2g(10.6mmol;80%)および無水リン酸ナトリウム0.97g(8.1mmol)からなる混合物を滴下した。得られた2相混合物を室温で1.5時間撹拌した。次に有機成分をロータリエバポレーターで蒸発させ、残った水相をジクロロメタンで3回抽出した。合わせた有機層を10%チオ硫酸ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。粗生成物を酢酸エチル:n−ヘプタン(1:1v/v)を溶離剤として用いるシリカゲルのフラッシュ−クロマトグラフィーにより精製して、化合物0.35g(74%)を黄色の泡状物として得た。
MS(TIC):367.1(M−H)
【0226】
中間体H
5−ベンジルオキシ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル2−メチルエステル
DMF 2ml中の5−ベンジルオキシ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル0.2g(0.54mmol)の溶液を0℃まで冷却し、26mg(0.54mmol;鉱油中55%分散)を加えた。15分後、ヨウ化メチル38μl(85mg、0.6mmol)を加え、冷却浴を取り外した。5時間後、反応混合物を水に注ぎ、ジクロロメタンで5回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、化合物0.19g(93%)を明黄色の油状物として得、それはさらに精製しなくても十分純粋であった。
MS(TIC):383.0(M+H
【0227】
中間体J
5−ベンジルオキシ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸メチルエステル
メタノール2ml中の5−ベンジルオキシ−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル(中間体G)0.2g(0.54mmol)および濃硫酸30μlの懸濁液を加熱還流した。1.5時間後、さらなるメタノール2mlおよび濃硫酸30μlを加えた。得られた清澄な溶液を3時間還流し、室温まで冷却した後、飽和重炭酸ナトリウム溶液に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、生成物0.12g(78%)を無色の固体として得た。
MS(TIC):282.8(M+H
【0228】
実施例A
下記の成分を含有するフィルムコーティング剤は常法により製造することができる:
成分 1錠当たり
核:
式(I)の化合物 10.0mg 200.0mg
微晶質セルロース 23.5mg 43.5mg
含水乳糖 60.0mg 70.0mg
ポビドン K30 12.5mg 15.0mg
デンプングリコール酸ナトリウム 12.5mg 17.0mg
ステアリン酸マグネシウム 1.5mg 4.5mg
(核重量) 120.0mg 350.0mg
フィルム皮膜:
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 3.5mg 7.0mg
ポリエチレングリコール6000 0.8mg 1.6mg
タルク 1.3mg 2.6mg
酸化鉄(黄色) 0.8mg 1.6mg
二酸化チタン 0.8mg 1.6mg
【0229】
活性成分を篩にかけ、微晶質セルロースと混合して、混合物をポリビニルピロリドンの水溶液で造粒する。顆粒をデンプングリコール酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムと混合し、圧縮してそれぞれ120又は350mgの核を得る。核を上記フィルム皮膜の水溶液/懸濁液でコーティングする。
【0230】
実施例B
下記の成分を含有するカプセル剤は常法により製造できる:
成分 1カプセル当たり
式(I)の化合物 25.0mg
乳糖 150.0mg
トウモロコシデンプン 20.0mg
タルク 5.0mg
【0231】
成分を篩にかけ、混合し、サイズ2のカプセルに充填する。
【0232】
実施例C
注射剤は、下記の組成を有してよい:
式(I)の化合物 3.0mg
ゼラチン 150.0mg
フェノール 4.7mg
炭酸ナトリウム pH7にするのに十分な量
注射剤用水 1.0mlになる量
【0233】
実施例D
下記の成分を含有する軟ゼラチンカプセル剤は常法により製造できる:
カプセル剤内容物
式(I)の化合物 5.0mg
黄色のロウ 8.0mg
水素化大豆油 8.0mg
部分水素化植物油 34.0mg
大豆油 110.0mg
カプセル剤内容物の重量 165.0mg
ゼラチンカプセル
ゼラチン 75.0mg
グリセロール85% 32.0mg
Karion83 8.0mg(乾燥物)
二酸化チタン 0.4mg 黄色酸化鉄 1.1mg
【0234】
活性成分を、温かく溶融している他の成分に溶解し、混合物を適切な大きさの軟ゼラチンカプセルに充填する。充填した軟質ゼラチンカプセル剤を、通常の手順に従って処理する。
【0235】
実施例E
下記の成分を含有するサッシェ剤は常法により製造できる:
式(I)の化合物 50.0mg
乳糖、微粉末 1015.0mg
微晶質セルロース(AVICEL PH 102) 1400.0mg
カルボキシメチルセルロースナトリウム 14.0mg
ポリビニルピロリドン K30 10.0mg
ステアリン酸マグネシウム 10.0mg
風味添加剤 1.0mg
【0236】
活性成分を、乳糖、微晶質セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムと混合し、水中のポリビニルピロリドンの混合物で造粒する。顆粒をステアリン酸マグネシウムおよび風味添加剤と混合し、サッシェに充填する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I:
【化1】


[式中、
1は、
低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、
シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、
低級ヒドロキシアルキル、
低級アルコキシアルキル、
低級アルキルスルファニルアルキル、
低級ジアルキルアミノアルキル、
低級ジアルキルカルバモイルアルキル、
非置換または、低級アルキル、低級ハロゲンアルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されているフェニル、
フェニル環が、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されていてもよい、低級フェニルアルキル、
ヘテロアリール環が、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されていてもよい、低級ヘテロアリールアルキル、ならびに
ヘテロシクリル環が、非置換または、1もしくは2個の低級アルキル基で置換されていてもよい、低級ヘテロシクリルアルキル
よりなる群から選択され;
2は、水素、
低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、
シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、
低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシアルキル、
低級アルキルスルファニルアルキル、
低級ジアルキルアミノアルキル、
低級ジアルキルカルバモイルアルキル、
非置換または、低級アルキル、低級ハロゲンアルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されているフェニル、
フェニル環が、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されていてもよい、低級フェニルアルキル、
ヘテロアリール環が、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されていてもよい、低級ヘテロアリールアルキル、ならびに
ヘテロシクリル環が、非置換または、1もしくは2個の低級アルキル基で置換されていてもよい、低級ヘテロシクリルアルキル
よりなる群から選択されるか;あるいは
1およびR2は、
それらが結合している窒素原子と一緒になって、窒素、酸素もしくは硫黄から選択されるさらなるヘテロ原子、スルフィニル基、またはスルホニル基を場合により含む、4、5、6もしくは7員の飽和または部分的に不飽和のへテロ環を形成し、
その飽和または部分的に不飽和のへテロ環は、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、ハロゲンアルキル、ヒドロキシ、低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシ、オキソ、フェニル、ベンジル、ピリジル、およびカルバモイルから独立に選択される1、2、もしくは3個の基で置換されているか、あるいは
フェニル環と縮合しており、そのフェニル環は、非置換または、低級アルキル、低級アルコキシ、およびハロゲンから独立に選択される1、2、もしくは3個の基で置換されており;
3は、水素、低級アルキル、低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシアルキル、低級ハロゲンアルキル、低級シクロアルキルアルキル、
低級アルカノイル、低級シアノアルキル、低級アルキルスルホニル、
フェニル環が、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、低級ハロゲンアルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されていてもよい、フェニルスルホニル、
非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、低級ハロゲンアルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されているフェニル;フェニル環が、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、低級ハロゲンアルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されていてもよい、低級フェニルアルキル;ならびに
非置換または、低級アルキルまたはハロゲンから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されている、ヘテロアリール
よりなる群から選択され;
4は、水素またはハロゲンであり、
5は、
【化2】


(式中、
mは、0、1、または2であり;
nは、0、1、または2であり;
Xは、CR1313'、O、およびSから選択され;
6、R6'、R7、R7'、R8、R8'、R13、およびR13'は、互いに独立に、水素、低級アルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、およびジアルキルアミノよりなる群から選択されるか、または
7およびR13は、一緒になって二重結合を形成し;
pは、0、1、または2であり;
9は、低級アルキル、シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、および低級フェニルアルキルから選択され;
qは、0、1、または2であり;
10は、低級アルキルであり;
11は、低級アルキルであり;
12は、低級アルキルである)
から選択される基である]
の化合物およびその薬学的に許容しうる塩。
【請求項2】
1が、
低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、
シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、
低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシアルキル、
低級アルキルスルファニルアルキル、
低級ジアルキルアミノアルキル、低級ジアルキルカルバモイルアルキル、
非置換または、低級アルキル、低級ハロゲンアルコキシ、もしくは低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されているフェニル、
フェニル環が、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、もしくは低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されていてもよい、低級フェニルアルキル、
ヘテロアリール環が、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、もしくは低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されていてもよい、低級ヘテロアリールアルキル、および
ヘテロシクリル環が、非置換または、1もしくは2個の低級アルキル基で置換されていてもよい、低級ヘテロシクリルアルキル
よりなる群から選択され、
2が、水素または低級アルキルである、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項3】
1が、フェニル環が非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、もしくは低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されていてもよい、低級フェニルアルキルであり、R2が、水素または低級アルキルである、請求項1または2記載の式Iの化合物。
【請求項4】
1およびR2が、低級アルキルである、請求項1または2記載の式Iの化合物。
【請求項5】
1およびR2が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、窒素、酸素もしくは硫黄から選択されるさらなるヘテロ原子、スルフィニル基、またはスルホニル基を場合により含む、4、5、6もしくは7員の飽和または部分的に不飽和のへテロ環を形成し、その飽和または部分的に不飽和のへテロ環は、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、ハロゲンアルキル、ヒドロキシ、低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシ、オキソ、フェニル、ベンジル、ピリジル、およびカルバモイルから独立に選択される1、2、もしくは3個の基で置換されているか、あるいはフェニル環と縮合しており、そのフェニル環は、非置換または、低級アルキル、低級アルコキシ、およびハロゲンから独立に選択される1、2、もしくは3個の基で置換されている、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項6】
1およびR2が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、モルホリン、ピペリジン、2,5−ジヒドロピロール、ピロリジン、アゼパン、ピペラジン、アゼチジン、チオモルホリン、および3,6−ジヒドロ−2H−ピリジンよりなる群から選択されるヘテロ環を形成し、そのへテロ環は、非置換または、低級アルキル、ハロゲン、ハロゲンアルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、オキソ、フェニル、ベンジル、ピリジル、およびカルバモイルから独立に選択される1、2、もしくは3個の基で置換されているか、あるいはフェニル環と縮合しており、そのフェニル環は、非置換または、低級アルキル、低級アルコキシ、およびハロゲンから独立に選択される1、2、もしくは3個の基で置換されている、請求項1〜5のいずれか一項記載の式Iの化合物。
【請求項7】
1およびR2が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、モルホリン、ピペリジン、4,4−ジフルオロピペリジン、およびピロリジンよりなる群から選択されるヘテロ環を形成する、請求項1、5、または6のいずれか一項記載の式Iの化合物。
【請求項8】
3が、
水素、低級アルキル、低級ヒドロキシアルキル、低級アルコキシアルキル、低級ハロゲンアルキル、
低級シクロアルキルアルキル、低級シアノアルキル、
低級アルキルスルホニル、および
非置換または、低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、低級ハロゲンアルコキシ、および低級ヒドロキシアルキルから独立に選択される1もしくは2個の基で置換されているフェニルよりなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか一項記載の式Iの化合物。
【請求項9】
3が、水素、低級アルキル、低級ハロゲンアルキル、低級シクロアルキルアルキル、および低級シアノアルキルである、請求項1〜8のいずれか一項記載の式Iの化合物。
【請求項10】
3が水素である、請求項1〜9のいずれか記載の式Iの化合物。
【請求項11】
4が水素である、請求項1〜10のいずれか記載の式Iの化合物。
【請求項12】
4がクロロまたはブロモである、請求項1〜10のいずれか記載の式Iの化合物。
【請求項13】
5が、
【化3】


(式中、mは、0、1、または2であり;nは、0、1、または2であり;Xは、CR1313'、O、およびSから選択され;R6、R6'、R7、R7'、R8、R8'、R13、およびR13'は、互いに独立に、水素、低級アルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、およびジアルキルアミノよりなる群から選択されるか、またはR7およびR13は、一緒になって二重結合を形成する)
を意味する、請求項1〜12のいずれか一項記載の式Iの化合物。
【請求項14】
mが、0または1であり、nが1であり、Xが、CR1313'であり、R6、R6'、R7、R7'、R8、R8'、R13、およびR13'が、水素または低級アルキルである、請求項1〜13のいずれか一項記載の式Iの化合物。
【請求項15】
5が、
【化4】


(式中、pが、0、1、または2であり、R9が、低級アルキル、シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、および低級フェニルアルキルから選択される)
を意味する、請求項1〜12のいずれか一項記載の式Iの化合物。
【請求項16】
9が低級アルキルである、請求項1〜12または15のいずれか一項記載の式Iの化合物。
【請求項17】
9がシクロアルキルである、請求項1〜12または15のいずれか一項記載の式Iの化合物。
【請求項18】
pが1である、請求項1〜12または15〜17のいずれか一項記載の式Iの化合物。
【請求項19】
5が、
【化5】


(式中、qが、0、1、または2であり;R10が、低級アルキルである)
を意味する、請求項1〜12のいずれか一項記載の式Iの化合物。
【請求項20】
5が、
【化6】


(式中、nが、0、1、または2であり、R11が、低級アルキルであり、R12が、低級アルキルである)
を意味する、請求項1〜12のいずれか一項記載の式Iの化合物。
【請求項21】
モルホリン−4−イル−[5−(3−ピペリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
ピペリジン−1−イル−[5−(3−ピペリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
[5−(3−ピペリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]−ピリジン−2−イル]−ピロリジン−1−イル−メタノン、
5−(3−ピペリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]−ピリジン−2−カルボン酸 4−フルオロ−ベンジルアミド、
モルホリン−4−イル−[5−(3−ピロリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
ピペリジン−1−イル−[5−(3−ピロリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
ピロリジン−1−イル−[5−(3−ピロリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
5−(3−ピロリジン−1−イル−プロポキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]−ピリジン−2−カルボン酸 4−フルオロ−ベンジルアミド、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{5−[3−((2R,5R)−2,5−ジメチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル}−メタノン、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル}−メタノン、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{5−[3−((S)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル}−メタノン、
[5−(1−シクロプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]−ピリジン−2−イル]−モルホリン−4−イル−メタノン、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]−ピリジン−2−カルボン酸 4−フルオロ−ベンジルアミド、
[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]−ピリジン−2−イル]−ピペリジン−1−イル−メタノン、
[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]−ピリジン−2−イル]−モルホリン−4−イル−メタノン、
[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]−ピリジン−2−イル]−ピロリジン−1−イル−メタノン、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1−メタンスルホニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{1−メタンスルホニル−5−[3−((S)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル}−メタノン、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{1−メタンスルホニル−5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ−[2,3−b]ピリジン−2−イル}−メタノン、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1−(2−メトキシ−エチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[1−イソプロピル−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
[1−シクロプロピルメチル−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
[2−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−イル]−アセトニトリル、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[1−(2−ヒドロキシ−エチル)−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{1−イソプロピル−5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル}−メタノン、
{1−シクロプロピルメチル−5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル}−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
{2−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−イル}−アセトニトリル、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
{1−(4−クロロ−フェニル)−5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル}−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
[6−クロロ−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
[6−クロロ−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
[6−クロロ−1−シクロプロピルメチル−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
よりなる群から選択される、請求項1記載の式Iの化合物およびその薬学的に許容しうる塩。
【請求項22】
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−{5−[3−((R)−2−メチル−ピロリジン−1−イル)−プロポキシ]−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル}−メタノン、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−[1−イソプロピル−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−メタノン、
[1−シクロプロピルメチル−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
[2−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−ピロロ[2,3−b]ピリジン−1−イル]−アセトニトリル、
[6−クロロ−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
[6−クロロ−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
[6−クロロ−1−シクロプロピルメチル−5−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル)−メタノン、
よりなる群から選択される、請求項1記載の式Iの化合物およびその薬学的に許容しうる塩。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか一項記載の化合物の製造方法であって、
a)式II:
【化7】


(式中、R1、R2、およびR4は、請求項1に定義されたとおりであり、Rbは、水素またはtert−ブトキシカルボニルである)
の化合物を、トリアルキルホスフィンまたはトリフェニルホスフィンおよびアゾ化合物の存在下に、式III:
【化8】


(式中、R5は、請求項1に定義されたとおりである)
のアルコールと反応させて、式IA:
【化9】


(式中、R3は、水素である)
の化合物を得、場合により式IB:
【化10】


(式中、R3は、水素以外の請求項1に定義されたとおりの基である)
の化合物に変換し、所望により、
得られた化合物を薬学的に許容しうる酸付加塩に変換するか、あるいは、
b)式IV:
【化11】


(式中、R4およびR5は、請求項1に定義されたとおりであり、Rbは、水素またはtert−ブトキシカルボニルである)
の化合物を、塩基性条件下に、式V:
【化12】


(式中、R1およびR2は、請求項1に定義されたとおりである)
のアミンとカップリングさせて、式IA:
【化13】


(式中、R3は、水素である)
の化合物を得、場合により式IB:
【化14】


(式中、R3は、水素以外の本明細書中で前に定義されたとおりの基である)
の化合物に変換し、所望により、
得られた化合物を薬学的に許容しうる酸付加塩に変換することを含む方法。
【請求項24】
請求項23に記載の製造方法により製造される、請求項1〜22のいずれか一項記載の化合物。
【請求項25】
請求項1〜22のいずれか一項記載の化合物ならびに薬学的に許容しうる担体および/または助剤を含む、医薬組成物。
【請求項26】
H3受容体の調節に関連する疾患の治療および/または予防用の、請求項25記載の医薬組成物。
【請求項27】
治療上活性な物質として使用するための、請求項1〜22のいずれか一項記載の化合物。
【請求項28】
H3受容体の調節に関連する疾患の治療および/または予防用の、治療上活性な物質として使用するための、請求項1〜22のいずれか一項記載の化合物。
【請求項29】
H3受容体の調節に関連する疾患の治療および/または予防方法であって、請求項1〜22のいずれか一項記載の化合物の治療有効量を、それを必要とするヒトまたは動物に投与する工程を含む方法。
【請求項30】
H3受容体の調節に関連する疾患の治療および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1〜22のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項31】
肥満症の治療および/または予防用の、請求項30記載の使用。
【請求項32】
ヒトまたは動物における肥満症の治療または予防方法であって、リパーゼ阻害剤、食欲抑制剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、および体脂肪の代謝を刺激する薬剤よりなる群から選択される化合物の治療有効量と組み合わせてまたは共同して、請求項1〜22のいずれか一項記載の式Iの化合物の治療有効量を投与することを含む方法。
【請求項33】
ヒトまたは動物における2型糖尿病の治療または予防方法であって、請求項1〜22のいずれか一項記載の式Iの化合物の治療有効量を、抗糖尿病剤の治療有効量と組み合わせてまたは共同して投与することを含む方法。
【請求項34】
リパーゼ阻害剤での処置をも受けている患者における肥満症の治療または予防用の医薬の製造における、請求項1〜22のいずれか一項記載の式Iの化合物の使用。
【請求項35】
抗糖尿病剤での処置をも受けている患者における2型糖尿病の治療または予防用の医薬の製造における、請求項1〜22のいずれか一項記載の式Iの化合物の使用。
【請求項36】
脂質低下剤での処置をも受けている患者における脂質異常症の治療または予防用の医薬の製造における、請求項1〜22のいずれか一項記載の式Iの化合物の使用。
【請求項37】
実質的に本明細書中に記載の、新規化合物、工程および方法、ならびにそのような化合物の使用。

【公表番号】特表2009−515926(P2009−515926A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540579(P2008−540579)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【国際出願番号】PCT/EP2006/068206
【国際公開番号】WO2007/057329
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】