説明

アスパルチルプロテアーゼインヒビター

開示されているのは、式(I)の化合物またはその立体異性体、互変異性体あるいは薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物(ここで、W、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は、明細書中で定義されたとおりである);および式Iの化合物を含む薬学的組成物である。また、開示されているのは、アスパルチルプロテアーゼを阻害する方法、ならびに特に、心臓血管疾患、認知疾患および神経変性疾患を処置する方法、ならびにヒト免疫不全ウイルス、プラスメプシン、カテプシン(D)および原核生物の酵素の阻害方法である。また、開示されているのは、式(I)の化合物をコリンエステラーゼインヒビターまたはムスカリン性アンタゴニストと組み合わせて使用して認知疾患もしくは神経変性疾患を処置する方法である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、アスパルチルプロテアーゼインヒビター、この化合物を含む薬学的組成物、心臓血管疾患、認知疾患および神経変性疾患の処置の際のこれらの使用、ならびにヒトヒト免疫不全ウイルス、プラスメプシン、カテプシンDおよび原生動物の酵素のインヒビターとしてのこれらの使用に関連している。
【背景技術】
【0002】
(背景)
A1(ペプシン様)ファミリーのヒトアスパラギン酸プロテアーゼは、以下のとおりである:病理状態におけるペプシンAおよびC、レニン、BACE−1、BACE2、Napsin A、カテプシンD。
【0003】
血圧および液体電解質の調節におけるレニン−アンギオテンシン系(RAS)の役割は、充分に確立された(非特許文献1)。オクタペプチドであるアンギオテンシン−II(強力な血管収縮薬および副腎アルドステロンの放出についての刺激物質)は、前駆体デカペプチドであるアンギオテンシン−Iからプロセシングされ、次いでアンギオテンシン−Iは、レニン酵素によってアンギオテンシノゲンからプロセシングされる。アンギオテンシン−IIはまた、血管平滑筋細胞の増殖、炎症、活性酸素種の産生および血栓症において役割を果たし、そしてアテローム発生および血管損傷に影響を与えることも見出されている。臨床的に、アンギオテンシン−Iの変換の拮抗作用をとおしてアンギオテンシン−IIの産生を妨害することの利点は周知であり、市場には多くのACEインヒビター剤がある。アンギオテンシノゲンのアンギオテンシン−Iへの変換初期の遮断(すなわち、レニン酵素の阻害)は、同一ではないが、類似した効果を有することが期待される。レニンは、唯一の天然の基質がアンギオテンシノゲンであるアスパルチルプロテアーゼであるので、この阻害をとおして高血圧およびアンギオテンシン−IIによって調節される関連症状を制御することは悪影響の頻度がより低いと考えられている。
【0004】
別のプロテアーゼであるカテプシン−Dは、リソソームの生合成およびタンパク質の標的化に関連しており、そして抗原プロセシングおよびペプチドフラグメントの提示にも関連し得る。これは、多くの疾患(アルツハイマー病、結合組織疾患、筋ジストロフィーおよび乳癌を含む)に関連付けられている。
【0005】
アルツハイマー病(AD)は、最終的には致命的となる進行性の神経変性疾患である。疾患の進行は、記憶、思考、見当識および判断に関する認知機能の漸進的喪失に関連している。行動の変化(混乱、うつおよび攻撃を含む)もまた疾患が進行するにつれて現れる。認知および行動の機能障害は、海馬および大脳皮質における変化したニューロン機能およびニューロンの喪失から生じると考えられている。現在利用可能なADの処置法は、待期療法であり、これらは、認知障害および行動障害を改善するが、疾患の進行を妨げない。ゆえに、AD処置に関して疾患の進行を停止させるという、満たされていない医学的必要性がある。
【0006】
ADの病理学的特徴は、異常なリン酸化タンパク質であるタウから構成される、細胞外β−アミロイド(Aβ)斑の沈着および細胞内神経細線維もつれである。ADにかかっている個体は、記憶および認知にとって重要であることが公知である脳の領域中にAβ沈着の特徴を示す。Aβは、ニューロン細胞の喪失ならびに認知低下および行動減退に関連する機能不全の根本的原因となる因子であると考えられている。アミロイド斑は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)のプロセシングから誘導された40〜42アミノ酸残基を含むAβペプチドから主に構成される。APPは、複数の異なるプロテアーゼ活性によってプロセシングされる。Aβペプチドは、AβのN末端に対応する位置においてβ−セクレターゼによって、そしてγ−セクレターゼ活性によってC末端においてAPPが切断されることから生じる。APPはまた、α−セクレターゼ活性によっても切断され、その結果、可溶性APPとして公知である分泌型非アミロイド発生性フラグメントを生じる。
【0007】
BACE−1として公知であるアスパルチルプロテアーゼは、AβペプチドのN末端に対応する位置におけるAPPの切断を担うβ−セクレターゼ活性として同定された。
【0008】
蓄積された生化学的証拠および遺伝学的証拠によって、ADの病因におけるAβの中心的役割が確認されている。例えば、Aβは、インビトロにおいて、およびげっ歯類の脳に注入された場合に、ニューロン細胞に対して有毒であることが示された。さらに、遺伝形態の早期発症性ADが公知であり、ここではAPPの充分に明確にされた変異もしくはプレセニリンが存在する。これらの変異は、Aβの生成を増大させ、そしてADの原因となると考えられている。
【0009】
Aβペプチドは、β−セクレターゼ活性の結果として形成されるので、BACE−1の阻害はAβペプチドの形成を阻害するはずである。ゆえに、BACE−1の阻害は、ADならびにAβプラーク沈着によって引き起こされる他の認知疾患および神経変性疾患の処置に対する治療学的アプローチである。
【0010】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因となる因子である。HIVアスパルチルプロテアーゼのインヒビターであるインジナビル、リトナビルおよびサキナビルのような化合物は、ウイルス量を結果として減少させることが臨床的に証明されている。そのような機能において、本明細書中に記載される化合物は、AIDSの処置において有用であることが期待される。伝統的に、研究者たちにとっての主な標的は、HIV−1プロテアーゼ(レニンに関連するアスパルチルプロテアーゼ)である。
【0011】
さらに、ヒトT細胞白血病ウイルスタイプI(HTLV−I)は、成人T細胞白血病および他の慢性疾患に臨床的に関連したヒトレトロウイルスである。他のレトロウイルスのように、HTLV−Iは、成熟ビリオンを生成するウイルス性前駆体タンパク質をプロセシングするためにアスパルチルプロテアーゼを必要とする。このことから、プロテアーゼは、インヒビター設計の魅力的な標的となる(非特許文献2)。
【0012】
プラスメプシンは、マラリア寄生虫の不可欠なアスパルチルプロテアーゼ酵素である。アスパルチルプロテアーゼであるプラスメプシン(特に、I、II、IVおよびHAP)の阻害のための化合物は、マラリアの処置のために開発中である(Freireらの特許文献1、非特許文献3)。さらに、アスパルチルプロテアーゼであるプラスメプシン(例えば、I、II、IVおよびHAP)を標的にするために使用される化合物は、マラリア寄生虫を殺すため、つまり罹患した患者を処置するために使用されている。
【0013】
アスパルチルプロテアーゼインヒビターとして作用する化合物は、例えば、2004年12月13日に出願されたUSSN 11/010,772中に記載されており、これは、本明細書中に参考として援用される。
【特許文献1】国際公開第2002/074719号パンフレット
【非特許文献1】Oparil,Sら、N Engl J Med 1974;291:381−401/446−57
【非特許文献2】Mooreら、Purification of HTLV−I Protease and Synthesis of Inhibitors for the treatment of HTLV−I Infection 55th Southeast Regional Meeting of the American Chemical Society、Atlanta、GA、US、2003年11月16〜19日(2003)、1073. CODEN;69EUCH Conference、AN 2004:137641 CAPLUS
【非特許文献3】Na Byoung−Kukら、Aspartic proteases of Plasmodium vivax are highly conserved in wild isolates、Korean Journal of Parasitology(2004年6月)、42(2) 61−6、Journal code:9435800
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
(発明の要旨)
本発明は、構造式I
【0015】
【化10】

を有する化合物もしくは異性体、この化合物もしくはこの異性体の薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはエステルであって、ここで、
Wは、−S(O)−、−S(O)−、−P(O)(OR15)−もしくは−C(=O)−であり;
、RおよびRは、H、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールシクロアルキルアルキル、アリールヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキルアルキル、シクロアルキル、アリールシクロアルキル、ヘテロアリールシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキル、アルケニル、アリールアルケニル、シクロアルケニル、アリールシクロアルケニル、ヘテロアリールシクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アリールヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールヘテロシクロアルケニル、アルキニル、アリールアルキニル、アリール、シクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルヘテロアリール、シクロアルケニルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、−OR15、−CN、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R10、−S(O)10、−C(O)N(R11)(R12)、−S(O)N(R11)(R12)、−S(O)N(R11)(R12)、−NO、−N=C(Rおよび−N(Rからなる群より独立して選択され;
、R、RおよびRは、H、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールシクロアルキルアルキル、アリールヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキルアルキル、シクロアルキル、アリールシクロアルキル、ヘテロアリールシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキル、アルケニル、アリールアルケニル、シクロアルケニル、アリールシクロアルケニル、ヘテロアリールシクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アリールヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールヘテロシクロアルケニル、アルキニル、アリールアルキニル、アリール、シクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルヘテロアリール、シクロアルケニルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、−CH−O−Si(R)(R10)(R19)、−CN、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R11)(R12)、−SR19、−S(O)N(R11)(R12)、−S(O)N(R11)(R12)、−N(R11)(R12)、−N(R11)C(O)R、−N(R11)S(O)R10、−N(R11)S(O)10−、−N(R11)C(O)N(R12)(R13)、−N(R11)C(O)ORおよび−C(=NOH)Rからなる群より独立して選択されるか;
または必要に応じて、R、R、RおよびRのうちの任意の2つがそれらが結合している炭素原子と一緒になって、
(a)1〜5個のR23部分によって必要に応じて置換された3〜8員のシクロアルキル環を形成し;そして
(b)上記の該3〜8員のシクロアルキル環中の1〜4個の原子が、−O−、−S−、−N(R11)−、−C(O)−、−S(O)−もしくは−S(O)−によって置き換えられ得;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、−OR15、−N(R15)(R16)、−N(R15)C(O)R16、−N(R15)S(O)R16、−N(R15)S(O)16、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)N(R16)(R17)および−N(R15)C(O)OR16からなる群より独立して選択され;
は、H、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルからなる群より独立して選択され;
10は、H、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルおよび−N(R15)(R16)からなる群より独立して選択され;
11、R12およびR13は、H、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R10、−S(O)10、−C(O)N(R15)(R16)、−S(O)N(R15)(R16)および−S(O)N(R15)(R16)からなる群より独立して選択され;
14は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ハロ、−CN、−OR15、−C(O)R15、−C(O)OR15、−C(O)N(R15)(R16)、−SR15、−S(O)N(R15)(R16)、−S(O)N(R15)(R16)、−C(=NOR15)R16、−P(O)(OR15)(OR16)、−N(R15)(R16)、−N(R15)C(O)R16、−N(R15)S(O)R16、−N(R15)S(O)16、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)N(R16)(R17)および−N(R15)C(O)OR16からなる群より独立して選択される1〜5個の置換基であり;
15、R16およびR17は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールシクロアルキル、アリールヘテロシクロアルキル、R18−アルキル、R18−シクロアルキル、R18−シクロアルキルアルキル、R18−ヘテロシクロアルキル、R18−ヘテロシクロアルキルアルキル、R18−アリール、R18−アリールアルキル、R18−ヘテロアリールおよびR18−ヘテロアリールアルキルからなる群より独立して選択されるか;
またはR15、R16およびR17は、
【0016】
【化11】

であり、ここで、R23は、0〜5個の置換基であり、mは0〜6であり、nは1〜5であり;
18は、アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、−NO、ハロ、ヘテロアリール、HO−アルコキシアルキル、−CF、−CN、アルキル−CN、−C(O)R19、−C(O)OH、−C(O)OR19、−C(O)NHR20、−C(O)NH、−C(O)N(アルキル)、−C(O)N(アルキル)(アリール)、−C(O)N(アルキル)(ヘテロアリール)、−SR19、−S(O)20、−S(O)NH、−S(O)NH(アルキル)、−S(O)N(アルキル)(アルキル)、−S(O)NH(アリール)、−S(O)NH、−S(O)NHR19、−S(O)NH(ヘテロシクロアルキル)、−S(O)N(アルキル)、−S(O)N(アルキル)(アリール)、−OCF、−OH、−OR20、−O−ヘテロシクロアルキル、−O−シクロアルキルアルキル、−O−ヘテロシクロアルキルアルキル、−NH、−NHR20、−N(アルキル)、−N(アリールアルキル)、−N(アリールアルキル)−(ヘテロアリールアルキル)、−NHC(O)R20、−NHC(O)NH、−NHC(O)NH(アルキル)、−NHC(O)N(アルキル)(アルキル)、−N(アルキル)C(O)NH(アルキル)、−N(アルキル)C(O)N(アルキル)(アルキル)、−NHS(O)20、−NHS(O)NH(アルキル)、−NHS(O)N(アルキル)(アルキル)、−N(アルキル)S(O)NH(アルキル)および−N(アルキル)S(O)N(アルキル)(アルキル)からなる群より独立して選択される1〜5個の置換基であるか;
または隣接する炭素上の2つのR18部分が一緒になって
【0017】
【化12】

を形成し得;
19は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルもしくはヘテロアリールアルキルであり;
20は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ハロ置換されたアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアリールアルキルであり;
そしてここで、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13およびR14中のアリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールシクロアルキルアルキル、アリールヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキルアルキル、シクロアルキル、アリールシクロアルキル、ヘテロアリールシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキル、アルケニル、アリールアルケニル、シクロアルケニル、アリールシクロアルケニル、ヘテロアリールシクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アリールヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールヘテロシクロアルケニル、アルキニル、アリールアルキニル、アリール、シクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルヘテロアリール、シクロアルケニルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール基のそれぞれは、独立して非置換であるか、もしくはアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ハロ、−CN、−OR15、−C(O)R15、−C(O)OR15、−C(O)N(R15)(R16)、−SR15、−S(O)N(R15)(R16)、−CH(R15)(R16)、−S(O)N(R15)(R16)、−C(=NOR15)R16、−P(O)(OR15)(OR16)、−N(R15)(R16)、−アルキル−N(R15)(R16)、−N(R15)C(O)R16、−CH−N(R15)C(O)R16、−CH−R15;−N(R15)S(O)R16、−N(R15)S(O)16、−CH−N(R15)S(O)16、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)N(R16)(R17)、−CH−N(R15)C(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)OR16、−CH−N(R15)C(O)OR16、−S(O)R15、=NOR15、−N、−NOおよび−S(O)15からなる群より独立して選択される1〜5個のR21基によって置換され
そしてここで、R21中のアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルケニルおよびアルキニル基のそれぞれは、独立して非置換であるか、もしくはアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、−CF、−CN、−OR15、−C(O)R15、−C(O)OR15、−アルキル−C(O)OR15、C(O)N(R15)(R16)、−SR15、−S(O)N(R15)(R16)、−S(O)N(R15)(R16)、−C(=NOR15)R16、−P(O)(OR15)(OR16)、−N(R15)(R16)、−アルキル−N(R15)(R16)、−N(R15)C(O)R16、−CH−N(R15)C(O)R16、−N(R15)S(O)R16、−N(R15)S(O)16、−CH−N(R15)S(O)16、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)N(R16)(R17)、−CH−N(R15)C(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)OR16、−CH−N(R15)C(O)OR16、−N、=NOR15、−NO、−S(O)R15および−S(O)15からなる群より独立して選択される1〜5個のR22基によって置換されるか;
または、隣接する炭素上の2つのR21もしくは2つのR22部分が一緒になって
【0018】
【化13】

を形成し得;
そしてここで、R21もしくはR22が、−C(=NOR15)R16、−N(R15)C(O)R16、−CH−N(R15)C(O)R16、−N(R15)S(O)R16、−N(R15)S(O)16、−CH−N(R15)S(O)16、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)N(R16)(R17)、−CH−N(R15)C(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)OR16および−CH−N(R15)C(O)OR16からなる群より選択される場合、R15およびR16が一緒になって、C〜C鎖になり得、ここで必要に応じて、1個、2個もしくは3個の環炭素が、−C(O)−もしくは−N(H)−によって取って代えられ得、そしてR15およびR16が、それらが結合している原子と一緒になって、R23によって必要に応じて置換された5〜7員の環を形成し;
23は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ハロ、−CN、−OR24、−C(O)R24、−C(O)OR24、−C(O)N(R24)(R25)、−SR24、−S(O)N(R24)(R25)、−S(O)N(R24)(R25)、−C(=NOR24)R25、−P(O)(OR24)(OR25)、−N(R24)(R25)、−アルキル−N(R24)(R25)、−N(R24)C(O)R25、−CH−N(R24)C(O)R25、−N(R24)S(O)R25、−N(R24)S(O)25、−CH−N(R24)S(O)25、−N(R24)S(O)N(R25)(R26)、−N(R24)S(O)N(R25)(R26)、−N(R24)C(O)N(R25)(R26)、−CH−N(R24)C(O)N(R25)(R26)、−N(R24)C(O)OR25、−CH−N(R24)C(O)OR25、−S(O)R24および−S(O)24からなる群より独立して選択される1〜5個の置換基であり;そしてここで、R23中のアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルケニルおよびアルキニル基のそれぞれは、独立して非置換であるか、もしくはアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、−CF、−CN、−OR24、−C(O)R24、−C(O)OR24、アルキル−C(O)OR24、−C(O)N(R24)(R25)、−SR24、−S(O)N(R24)(R25)、−S(O)N(R24)(R25)、−C(=NOR24)R25、−P(O)(OR24)(OR25)、−N(R24)(R25)、−アルキル−N(R24)(R25)、−N(R24)C(O)R25、−CH−N(R24)C(O)R25、−N(R24)S(O)R25、−N(R24)S(O)25、−CH−N(R24)S(O)25、−N(R24)S(O)N(R25)(R26)、−N(R24)S(O)N(R25)(R26)、−N(R24)C(O)N(R25)(R26)、−CH−N(R24)C(O)N(R25)(R26)、−N(R24)C(O)OR25、−CH−N(R24)C(O)OR25、−S(O)R24および−S(O)24からなる群より独立して選択される1〜5個のR27基によって置換され;
24、R25およびR26は、H、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールシクロアルキル、R27−アルキル、R27−シクロアルキル、R27−シクロアルキルアルキル、R27−ヘテロシクロアルキル、R27−ヘテロシクロアルキルアルキル、R27−アリール、R27−アリールアルキル、R27−ヘテロアリールおよびR27−ヘテロアリールアルキルからなる群より独立して選択され;
27は、アルキル、アリール、アリールアルキル、−NO、ハロ、−CF、−CN、アルキル−CN、−C(O)R28、−C(O)OH、−C(O)OR28、−C(O)NHR29、−C(O)N(アルキル)、−C(O)N(アルキル)(アリール)、−C(O)N(アルキル)(ヘテロアリール)、−SR28、−S(O)29、−S(O)NH、−S(O)NH(アルキル)、−S(O)N(アルキル)(アルキル)、−S(O)NH(アリール)、−S(O)NH、−S(O)NHR28、−S(O)NH(アリール)、−S(O)NH(ヘテロシクロアルキル)、−S(O)N(アルキル)、−S(O)N(アルキル)(アリール)、−OH、−OR29、−O−ヘテロシクロアルキル、−O−シクロアルキルアルキル、−O−ヘテロシクロアルキルアルキル、−NH、−NHR29、−N(アルキル)、−N(アリールアルキル)、−N(アリールアルキル)(ヘテロアリールアルキル)、−NHC(O)R29、−NHC(O)NH、−NHC(O)NH(アルキル)、−NHC(O)N(アルキル)(アルキル)、−N(アルキル)C(O)NH(アルキル)、−N(アルキル)C(O)N(アルキル)(アルキル)、−NHS(O)29、−NHS(O)NH(アルキル)、−NHS(O)N(アルキル)(アルキル)、−N(アルキル)S(O)NH(アルキル)および−N(アルキル)S(O)N(アルキル)(アルキル)からなる郡より独立して選択される1〜5個の置換基であり;
28は、アルキル、シクロアルキル、アリールアルキルもしくはヘテロアリールアルキルであり;そして
29は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアリールアルキルである。
【0019】
別の局面において、本発明は、少なくとも1つの式Iの化合物と薬学的に受容可能なキャリアとを含む薬学的組成物に関連している。
【0020】
別の局面において、本発明は、アスパルチルプロテアーゼを阻害する方法を包含しており、この方法は、少なくとも1つの式Iの化合物を、このような処置の必要な患者に投与する工程を包含する。
【0021】
さらに具体的には、本発明は、心臓血管疾患(例えば、高血圧症、腎不全、うっ血性心不全もしくはレニン阻害によって調節される別の疾患)を処置するための方法;ヒト免疫不全ウイルスを処置するための方法;認知疾患もしくは神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)を処置するための方法;マラリアの処置のためにプラスメプシンIおよびIIを阻害するための方法;アルツハイマー病、乳癌および卵巣癌の処置のためにカテプシンDを阻害するための方法;および真菌類感染の処置のために原生動物の酵素を阻害するための(例えば、熱帯性マラリア原虫の阻害)方法を包含する。前述の処置の方法は、少なくとも1つの式Iの化合物をこのような処置の必要な患者に投与する工程を包含する。特に、本発明は、アルツハイマー病を処置するための方法を含み、この方法は、少なくとも1つの式Iの化合物をこのような処置の必要な患者に投与する工程を包含する。
【0022】
別の局面において、本発明は、アルツハイマー病を処置するための方法を含み、この方法は、少なくとも1つの式Iの化合物とコリンエステラーゼインヒビターまたはムスカリン性アンタゴニストとの組み合わせを、このような処置の必要な患者Iに投与する工程を包含する。
【0023】
最終的な局面において、本発明は、単一のパッケージ中の別々の容器内に組み合わせて使用するための薬学的組成物を含むキットに関連しており、ここで、1つの容器は、式Iの化合物を薬学的に受容可能なキャリア中に含み、そして2つめの容器は、コリンエステラーゼインヒビターまたはムスカリン性アンタゴニストを薬学的に受容可能なキャリア中に含み、その合わせた量は、認知疾患もしくは神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)を処置するに有効な量である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(詳細な説明)
本発明のさらに好ましい化合物は、Wが−C(O)−である式Iの化合物である。
【0025】
別の式Iの好ましい化合物の群は、Rがアルキルであり、RがHであり、RがHである化合物の群である。
【0026】
式Iの好ましい化合物の群は、RおよびR、もしくはRおよびRが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、
【0027】
【化14】

を形成する化合物の群である。
【0028】
式Iの好ましい化合物の群は、RおよびR、もしくはRおよびRが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、
【0029】
【化15】

を形成する化合物の群である。
【0030】
式Iの好ましい化合物の群では、R14がアリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキルもしくはシクロアルキルアルキルである。
【0031】
式Iの好ましい化合物のさらなる群では、RもしくはRがメチルである。
【0032】
式Iの好ましい化合物のさらなる群は、
がアルキルであり;
がHもしくはアルキルであり;
が、H、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキルもしくはシクロアルキルアルキルであり;
が、Hもしくはアルキルであり;
がHであり;
11が、H、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、−C(O)R、−C(O)OR、S(O)10、−C(O)N(R15)(R16)もしくは−S(O)N(R15)(R16)であり;
14が、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキルもしくはシクロアルキルアルキルであり;そして
Wが−C(O)−である化合物の群である。
【0033】
式Iの好ましい化合物のさらなる群は、以下の構造:
【0034】
【化16】

を有する化合物の群であり、ここで、R、R、R、R14およびR21は、上記で定義したとおりである。
【0035】
式Iの好ましい化合物のさらなる群は、Rが、アリール−置換されたアリール、ヘテロアリール−置換されたアリール、アリール−置換されたヘテロアリールもしくはヘテロアリール−置換されたヘテロアリール、アリール−置換されたシクロアルキル、ヘテロアリール−置換されたシクロアルキル、アリール−置換されたアルキル、ヘテロアリール−置換されたアルキル、アリール−置換されたシクロアルキルまたはヘテロアリール−置換されたシクロアルキルアルキルである化合物の群である。
【0036】
式Iの好ましい化合物のさらなる群は、Rが、
【0037】
【化17】

である化合物の群である。
【0038】
上記および本明細書にわたって使用される場合、以下の用語は、他に示されない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする:
「患者」は、ヒトおよび動物の両方を含む。
【0039】
「哺乳動物」は、ヒトおよび他の哺乳類の動物を意味する。
【0040】
「アルキル」は、直鎖状でも分枝状でもよく、約1〜約20個の炭素原子を鎖中に含む、脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキル基は、鎖中に約1〜約12個の炭素原子を含む。さらに好ましいアルキル基は、鎖中に約1〜約6個の炭素原子を含む。分枝状とは、1個以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルもしくはプロピル)が直鎖状のアルキル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキル」は、直鎖状でも分枝状でもよい鎖中に約1〜約6個の炭素原子を有する基を意味する。適切なアルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ヘプチル、ノニルおよびデシルが挙げられる。アルキル基は、1つ以上の置換基(例えば、R18、R21、R22など)によって必要に応じて置換され得、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、そして上記に定義したとおりである。置換アルキル基としては、フルオロメチル、トリフルオロメチルおよびシクロプロピルメチルが挙げられる。
【0041】
「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含み、直鎖状でも分枝状でもよく、約2〜約15個の炭素原子を鎖中に含む、脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルケニル基は、鎖中に約2〜約12個の炭素原子を有しており;さらに好ましいのは、鎖中に約2〜約6個の炭素原子を有する。分枝状とは、1個以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルもしくはプロピル)が直鎖状のアルケニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルケニル」は、直鎖状でも分枝状でもよい鎖中に約2〜約6個の炭素原子があることを意味する。適切なアルケニル基の非限定的な例としては、エテニル、プロペニル、n−ブテニル、3−メチルブト−2−エニル、n−ペンテニル、オクテニルおよびデセニルが挙げられる。
【0042】
「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含み、直鎖状でも分枝状でもよく、約2〜約15個の炭素原子を鎖中に含む、脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキニル基は、鎖中に約2〜約12個の炭素原子を有しており;さらに好ましくは、鎖中に約2〜約4個の炭素原子を有する。分枝状というのは、1個以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルもしくはプロピル)が直鎖状のアルキニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキニル」は、直鎖状でも分枝状でもよい鎖中に約2〜約6個の炭素原子があることを意味する。適切なアルキニル基の非限定的な例としては、エチニル、プロピニル、2−ブチニル、3−メチルブチニル、n−ペンチニルおよびデシニルが挙げられる。
【0043】
「アリール」は、約6〜約14個の炭素原子(好ましくは約6〜約10個の炭素原子)を含む芳香族の単環式もしくは多環式の環系を意味する。アリール基は、同じであっても異なっていてもよい1個以上の置換基(例えば、R18、R21、R22など)で必要に応じて置換され得、それらは本明細書中で定義したとおりであるか、あるいは隣接する炭素上の2個の置換基が一緒になって、
【0044】
【化18】

を形成し得る。適切なアリール基の非限定的な例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0045】
「ヘテロアリール」は、約5〜約14個の環原子(好ましくは約5〜約10個の環原子)を含む芳香族の単環式もしくは多環式の環系であって、ここで、環原子のうちの1〜8個は炭素とは異なる元素(1個もしくは組み合わせ)であり、例えば、窒素、酸素、もしくは硫黄であるものを意味する。好ましいヘテロアリールは、約5〜約6個の環原子を含む。「ヘテロアリール」は、1個以上の置換基(例えば、R18、R21、R22など)によって必要に応じて置換され得、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、そして上記に定義したとおりである。ヘテロアリールの根名(root name)の前の接頭辞のアザ、オキサもしくはチアはそれぞれ、少なくとも窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロアリールの窒素原子は、対応するN−酸化物へと必要に応じて酸化され得る。適切なヘテロアリールの非限定的な例としては、ピリジル、ピラジニル、フリル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピリダジニル、モルホリニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾフラニル、インドリル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、ベンゾジオキソリル、インドリル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリルなどが挙げられる。
【0046】
「シクロアルキル」は、約3〜約10個の炭素原子(好ましくは約5〜約10個の炭素原子)を含む非芳香族の単環式もしくは多環式の環系を意味する。好ましいシクロアルキル環は約5〜約7個の環原子を含む。シクロアルキルは、1個以上の置換基(例えば、R18、R21、R22など)によって必要に応じて置換され得、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、そして上記に定義したとおりである。適切な単環式シクロアルキルの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルキルの非限定的な例としては、1−デカリン、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられる。シクロアルキルのさらなる非限定的な例としては、以下
【0047】
【化19】

が挙げられる。
【0048】
「シクロアルキルエーテル」は、酸素原子および2〜7個の炭素原子を含む3〜7個の原子の非芳香族環を意味する。環炭素原子は、環酸素に隣接する置換基がハロまたは酸素原子、窒素原子もしくは硫黄原子を介して環に結合している置換基を含まないという条件で、置換され得る。
【0049】
「シクロアルケニル」は、約3〜約10個の炭素原子(好ましくは、約5〜約10個の炭素原子)を含む非芳香族の単環式もしくは多環式の環系であって、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含むものを意味する。シクロアルケニル環は、1個以上の置換基(例えば、R18、R21、R22など)によって必要に応じて置換され得、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、そして上記に定義したとおりである。好ましいシクロアルケニル環は、約5〜約7個の環原子を含む。適切な単環式シクロアルケニルの非限定的な例としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルケニルの非限定的な例は、ノルボルニレニルである。
【0050】
「ヘテロシクレニル」は、約3〜約10個の環原子(好ましくは、約5〜約10個の環原子)を含む非芳香族の単環式もしくは多環式の環系であって、ここで、環系中の原子のうちの1個以上が炭素とは異なる元素(1個もしくは組み合わせ)(例えば、窒素原子、酸素原子、もしくは硫黄原子)であり、そして少なくとも1つの炭素−炭素二重結合もしくは炭素−窒素二重結合を有するものを意味する。この環系内には隣接した酸素原子および/もしくは硫黄原子は存在しない。好ましいヘテロシクレニル環は約5〜約6個の環原子を含む。ヘテロシクレニルの根名の前の接頭辞のアザ、オキサもしくはチアはそれぞれ、少なくとも窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロシクレニルは、1個以上の置換基(例えば、R18、R21、R22など)によって必要に応じて置換され得、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、そして上記に定義したとおりである。ヘテロシクレニルの窒素原子もしくは硫黄原子は、対応するN−酸化物、S−酸化物もしくはS,S−二酸化物へと必要に応じて酸化され得る。適切な単環式アザヘテロシクレニル基の非限定的な例としては、1,2,3,4−テトラヒドロピリジル、1,2−ジヒドロピリジル、1,4−ジヒドロピリジル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジル、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニルなどが挙げられる。適切なオキサヘテロシクレニル基の非限定的な例としては、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、ジヒドロフラニル、フルオロジヒドロフラニルなどが挙げられる。適切な多環式のオキサヘテロシクレニル基の非限定的な例は、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプテニルである。適切な単環式のチアヘテロシクレニル環の非限定的な例としては、ジヒドロチオフェニル、ジヒドロチオピラニルなどが挙げられる。
【0051】
「ハロ」は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基もしくはヨード基を意味する。好ましいのは、フルオロ、クロロもしくはブロモであり、さらに好ましいのは、フルオロおよびクロロである。
【0052】
「ハロアルキル」は、アルキル上の1個以上の水素原子が上記で定義したハロ基によって置き換えられた、上記で定義したアルキルを意味する。
【0053】
「ヘテロシクリル」(もしくはヘテロシクロアルキル)は、約3〜約10個の環原子(好ましくは約5〜約10個の環原子)を含む非芳香族の飽和した単環式もしくは多環式の環系であって、環系内の原子のうちの1〜3個(好ましくは1個もしくは2個)は炭素とは異なる元素(1個もしくは組み合わせ)(例えば、窒素、酸素、もしくは硫黄)であるものを意味する。環系内には隣接した酸素原子および/もしくは硫黄原子は存在しない。好ましいヘテロシクリルは、約5〜約6個の環原子を含む。ヘテロシクリルの根名の前の接頭辞のアザ、オキサ、もしくはチアはそれぞれ、少なくとも窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロシクリルは、1個以上の置換基(例えば、R18、R21、R22など)によって必要に応じて置換され得、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、そして上記に定義したとおりである。ヘテロシクリルの窒素原子もしくは硫黄原子は、対応するN−酸化物、S−酸化物もしくはS,S−二酸化物へと必要に応じて酸化され得る。適切な単環式のヘテロシクリル環の非限定的な例としては、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,3−ジオキソラニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニルなどが挙げられる。
【0054】
「アリールアルキル」は、アリールおよびアルキルが前述のとおりであるアリール−アルキル基を意味する。好ましいアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例としては、ベンジル、2−フェネチルおよびナフタメチルが挙げられる。親部分への結合は、アルキルを介してである。
【0055】
「アリールシクロアルキル」は、縮合した本明細書中で定義したようなアリールおよびシクロアルキルから誘導された基を意味する。好ましいアリールシクロアルキルは、アリールがフェニルであり、そしてシクロアルキルが約5〜約6個の環原子を含むものである。アリールシクロアルキルは、1個以上の置換基(例えば、R18、R21、R22など)によって必要に応じて置換され得る基であり、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、そして上記に定義したとおりである。例えば、アリールシクロアルキルは、1〜5個のR21置換基によって必要に応じて置換され得る。適切なアリールシクロアルキルの非限定的な例としては、インダニルおよび1,2,3,4−テトラヒドロナフチルなどが挙げられる。親部分への結合は、非芳香族の炭素原子を介してである。
【0056】
「アリールヘテロシクロアルキル」は、縮合した本明細書中で定義したようなアリールおよびヘテロシクロアルキルから誘導された基を意味する。好ましいアリールシクロアルキルは、アリールがフェニルであり、そしてヘテロシクロアルキルが約5〜約6個の環原子を含むものである。アリールヘテロシクロアルキルは、1個以上の置換基(例えば、R18、R21、R22など)によって必要に応じて置換され得、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、そして上記に定義したとおりである。例えば、アリールヘテロシクロアルキルは、1〜5個のR21置換基によって必要に応じて置換され得る。適切なアリールヘテロシクロアルキルの非限定的な例としては、
【0057】
【化20】

が挙げられる。
【0058】
親部分への結合は、非芳香族の炭素原子を介してである。
【0059】
同様に、「ヘテロアリールアルキル」、「シクロアルキルアルキル」および「ヘテロシクロアルキルアルキル」は、ヘテロアリール−、シクロアルキル−もしくはヘテロシクロアルキル−アルキル−基を意味し、ここで、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルおよびアルキルは前述のとおりである。好ましい基は、低級アルキル基を含む。親部分への結合は、アルキルを介してである。
【0060】
「アシル」は、種々の基が前述のとおりであるH−C(O)−、アルキル−C(O)−、アルケニル−C(O)−、アルキニル−C(O)−もしくはシクロアルキル−C(O)−基を意味する。親部分への結合は、カルボニルを介してである。好ましいアシルは、低級アルキルを含む。適切なアシル基の非限定的な例としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、2−メチルプロパノイル、ブタノイルおよびシクロヘキサノイルが挙げられる。
【0061】
「アルコキシ」は、アルキル基が前述のとおりであるアルキル−O−基を意味する。適切なアルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシおよびヘプトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介してである。
【0062】
「アルコキシアルキル」は、本明細書中で定義したアルコキシおよびアルキルから誘導された基を意味する。親部分への結合は、アルキルを介してである。
【0063】
「アリールアルケニル」は、本明細書中で定義したアリールおよびアルケニルから誘導された基を意味する。好ましいアリールアルケニルは、アリールがフェニルであり、そしてアルケニルが約3〜約6個の原子を含むものである。アリールアルケニル基は、1個以上の置換基(例えば、R18、R21、R22など)によって必要に応じて置換され得る基であり、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、そして本明細書中に定義するとおりである。アリールアルケニルは、例えば、1個以上のR21置換基によって必要に応じて置換され得る。親部分への結合は、非芳香族の炭素原子を介してである。
【0064】
「アリールアルキニル」は、本明細書中で定義したアリールおよびアルキニルから誘導された基を意味する。好ましいアリールアルキニルは、アリールがフェニルであり、そしてアルキニルが約3〜約6個の原子を含むものである。アリールアルキニル基は、1個以上の置換基(例えば、R18、R21、R22など)によって必要に応じて置換され得る基であり、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、そして上記に定義したとおりである。例えば、アリールアルキニルは、1個以上のR21置換基によって必要に応じて置換され得る。親部分への結合は、非芳香族の炭素原子を介してである。
【0065】
アルキル、アリール、ヘテロシクロアルキルなどにつく接尾辞「エン」は、二価の部分を示す(例えば、−CHCH−はエチレンであり、そして
【0066】
【化21】

は、パラ−フェニレンである)。
【0067】
用語「必要に応じて置換された」は、特定の基、ラジカルもしくは部分での利用可能な位置(単数もしくは複数)における必要に応じた置換を意味する。
【0068】
シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキルもしくはヘテロアリールアルキル部分上での置換は、基の環部分および/もしくはアルキル部分における置換を含む。
【0069】
基中で1つより多くの可変物が存在する(例えば、−N(R中のR)か、もしくは式Iの構造中で1つより多くの可変物が存在する(例えば、RおよびRの両方中にR15が存在し得る)場合、この可変物は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0070】
化合物中の部分(例えば、置換基、基もしくは環)の数に関しては、他に定義されない限り、語句「1つ以上」および「少なくとも1つ」は、化学的に許容可能であるだけの数の部分が存在し得ることを意味し、そしてこのような部分の最大数の決定は、当業者の知識内にきちんと入る。「少なくとも1つの式Iの化合物」の使用を含む組成物および方法に関しては、1〜3個の式Iの化合物が同時に投与され得、好ましくは1つである。
【0071】
本明細書中で使用される場合、用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む生成物、ならびに特定の成分の特定の量での組み合わせから直接的に、もしくは間接的に生じた任意の生成物を包含することが意図される。
【0072】
結合としての波線
【0073】
【化22−1】

は、一般的に可能な異性体(例えば、(R)−および(S)−の立体化学を含む)の混合物もしくはそのいずれかを示す。例えば、
【0074】
【化22−2】

環系内に引かれている線(例えば、
【0075】
【化23】

)は、表示された線(結合)が置換可能な環の炭素原子のいずれかに結合され得ることを示す。
【0076】
当該分野において周知であるように、他に述べられていない限り、結合の最終末端において部分が何も描かれていない、特定の原子から引かれている結合は、その結合を介してその原子に結合されているメチル基を示す。例えば:
【0077】
【化24】

本明細書中の本文、スキーム、実施例、構造式および任意の表中の満たされていない原子価を有するいずれのヘテロ原子も、その原子価を満たすために水素原子もしくは原子を有すると考えられることも注意されるべきである。
【0078】
当業者は、特定の式Iの化合物は、互変異性であり、そしてこのような互変異性形態は全て、本明細書中で、本発明の一部であると企図されることを理解する。例えば、RおよびRがそれぞれHである化合物は、以下の構造:
【0079】
【化25】

のうちのいずれかによって表され得る。
【0080】
例えば、R21およびR22が−N(R15)C(O)N(R16)(R17)であり、そしてR15およびR16が環を形成する場合、形成される部分は、例えば、
【0081】
【化26】

である。
【0082】
本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物もまた、本明細書中で企図される。プロドラッグに関する議論は、A.C.S.Symposium SeriesのT.Higuchi and V.Stella、Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987)14、およびBioreversible Carriers in Drug Design、(1987)Edward B.Roche(編)、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press内に提供されている。用語「プロドラッグ」は、インビボで変換されて式(I)の化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、エステルもしくは溶媒和物を生じる化合物(例えば、薬物の前駆物質)を意味する。この変換は、種々のメカニズムによって(例えば、代謝プロセスもしくは化学的プロセスによって)起こり得る(例えば、血液中の加水分解をとおして)。プロドラッグの使用に関する議論は、A.C.S.Symposium SeriesのT.Higuchi and W.Stella、「Pro−drugs as Novel Delivery Systems」、Vol. 14によって、およびBioreversible Carriers in Drug Design、Edward B. Roche(編)、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987内に提供されている。
【0083】
例えば、式(I)の化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、エステルもしくは溶媒和物が、カルボン酸官能基を含む場合、プロドラッグは、酸の基の水素原子を、基(例えば、(C−C)アルキル、(C−C12)アルカノイルオキシメチル、4〜9個の炭素原子を有する1−(アルカノイルオキシ)エチル、5〜10個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルカノイルオキシ)−エチル、3〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4〜7個の炭素原子を有する1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5〜8個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3〜9個の炭素原子を有するN−(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4〜10個の炭素原子を有する1−(N−(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3−フタリジル、4−クロトノラクトニル、γ−ブチロラクトン−4−イル、ジ−N,N−(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル(例えば、β−ジメチルアミノエチル)、カルバモイル−(C−C)アルキル、N,N−ジ(C−C)アルキルカルバモイル−(C−C)アルキルおよびピペリジノ−、ピロリジノ−もしくはモルホリノ(C−C)アルキルなど)で置き換えることによって形成されるエステルを含み得る。
【0084】
同様に、式(I)の化合物が、アルコール官能基を含む場合、プロドラッグは、アルコール基の水素原子を、基(例えば、(C−C)アルカノイルオキシメチル、1−((C−C)アルカノイルオキシ)エチル、1−メチル−1−((C−C)アルカノイルオキシ)エチル、(C−C)アルコキシカルボニルオキシメチル、N−(C−C)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C−C)アルカノイル、α−アミノ(C−C)アルカニル、アリールアシルおよびα−アミノアシルもしくはα−アミノアシル−α−アミノアシル(ここで、各α−アミノアシル基は、天然のL−アミノ酸より独立して選択される)、P(O)(OH)、−P(O)(O(C−C)アルキル)もしくはグリコシル(炭水化物のヘミアセタール形態のヒドロキシル基を取り除くことで生じるラジカル)など)で置き換えることによって形成され得る。
【0085】
式(I)の化合物がアミン官能基を含む場合、プロドラッグは、アミン基中の水素原子を、基(例えば、RおよびR’がそれぞれ独立して(C−C10)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ベンジルであるか、あるいはR−カルボニルが天然α−アミノアシルもしくは天然−アミノアシルである、R−カルボニル、RO−カルボニル、NRR’−カルボニル、YがH、(C−C)アルキルもしくはベンジルである−C(OH)C(O)OY、Yが(C−C)アルキルであり、Yが(C−C)アルキル、カルボキシ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルキルまたはモノ−N−もしくはジ−N,N−(C−C)アルキルアミノアルキルである−C(OY)Y、YがHもしくはメチルであり、そしてYがモノ−N−もしくはジ−N,N−(C−C)アルキルアミノモルホリノ、ピペリジン−1−イルまたはピロリジン−1−イルである−C(Y)Yなど)で置き換えることで形成され得る。
【0086】
「溶媒和物」は、1つ以上の溶媒分子との本発明の化合物の物理的会合を意味する。この物理的会合は、様々な程度のイオン結合、および水素結合を含めた共有結合を含む。特定の例において、溶媒和物は単離可能であり、例えば1つ以上の溶媒分子が結晶固体の結晶格子内に含まれている場合がそうである。「溶媒和物」は、溶液相および単離可能な溶媒和物の両方を包含する。適切な溶媒和物の非限定的な例としては、エタノレート(ethanolate)、メタノレート(methanolate)などが挙げられる。「水和物」は、溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0087】
「有効量」もしくは「治療上有効な量」は、アスパルチルプロテアーゼを阻害および/もしくはBACE−1を阻害し、ゆえに、所望する治療効果を適切な患者にもたらすに有効な、本発明の化合物もしくは組成物の量を記載することを意味する。
【0088】
式Iの化合物は、塩を形成し、この塩もまた本発明の範囲内にある。他に示されない限り、本明細書中の式Iの化合物への言及は、その塩への言及を含むと理解される。用語「塩」は、本明細書中で使用される場合、無機酸および/もしくは有機酸を使って形成される酸性塩、ならびに無機塩基および/もしくは有機塩基を使って形成される塩基性塩を示す。さらに、式Iの化合物が塩基性部分(例えば、ピリジンもしくはイミダゾールだが、これらに限定されない)、および酸性部分(例えば、カルボン酸だが、これに限定されない)の両方を含む場合、両性イオン(「分子内塩」)が形成され得、これは、本明細書中で使用される場合、用語「塩」に含まれる。薬学的に受容可能な(すなわち、非毒性で生理学上受容可能な)塩が好ましいが、他の塩もまた有用である。例えば、媒質中(例えば、塩を沈殿させる媒質中もしくはその後凍結乾燥を行う水性媒質中)で式Iの化合物とある量(例えば、等量)の酸もしくは塩基を反応させることにより、式Iの化合物の塩が形成され得る。塩基性(もしくは酸性)の薬学的化合物から薬学的に有用な塩を形成するのに適していると一般的に考えられる酸(および塩基)は、例えば、S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)1−19;P.Gould、International J.of Pharmaceutics(1986)33 201−217;Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry (1996)、Academic Press、New Yorkによって;The Orange Book(Food & Drug Administration、Washington,D.C.ウェブサイトにて);およびP.Heinrich Stahl、Camille G.Wermuth(編)、Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use(2002)Int’l. Union of Pure and Applied Chemistry、pp.330−331中で議論されている。これらの開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0089】
典型的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル硫酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモエート(pamoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、重硫酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩(本明細書中で述べたようなもの)、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシレートとしても公知)、ウンデカン酸塩などが挙げられる。
【0090】
典型的な塩基性塩としては、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、リチウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、アルミニウム塩、亜鉛塩、有機塩基(例えば、有機アミン)(例えば、ベンザチン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ヒドラバミン(hydrabamine)(N,N−ビス(デヒドロアビエチル)エチレンジアミンで形成)、N−メチル−D−グルカミン、N−メチル−D−グルカミド(N−methyl−D−glucamide)、t−ブチルアミン、ピペラジン、フェニルシクロヘキシルアミン、コリン、トロメタミン)との塩、およびアミノ酸(例えば、アルギニン、リジン)との塩などが挙げられる。塩基性の窒素含有基は、薬剤(例えば、ハロゲン化低級アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピルおよびブチルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸のジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミル)、長鎖ハロゲン化物(例えば、デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物)、ハロゲン化アラルキル(例えば、ベンジルおよびフェネチルの臭化物)など)によって、四級化され得る。
【0091】
このような酸性塩および塩基性塩は全て、本発明の範囲内の薬学的に受容可能な塩であることが意図されており、全ての酸性塩および塩基性塩は、本発明の目的のためには、対応する化合物の遊離した形態と等価であるとみなされる。
【0092】
本発明の化合物の薬学的に受容可能なエステルは、以下の基を含む:(1)ヒドロキシ基のエステル化によって得られるカルボン酸エステル(ここで、エステルグループのカルボン酸部分の非カルボニル部分は、直鎖状もしくは分枝状のアルキル(例えば、アセチル、n−プロピル、t−ブチルもしくはn−ブチル)、アルコキシアルキル(例えば、メトキシメチル)、アラルキル(例えば、ベンジル)、アリールオキシアルキル(例えば、フェノキシメチル)、アリール(例えば、必要に応じて(例えば、ハロゲン、C1−4アルキルもしくはC1−4アルコキシあるいはアミノで)置換されたフェニル)から選択される;(2)スルホネートエステル(例えば、アルキルスルホニルもしくはアラルキルスルホニル(例えば、メタンスルホニル));(3)アミノ酸エステル(例えば、L−バリルもしくはL−イソロイシル);(4)ホスホン酸エステルおよび(5)モノ−、ジ−もしくはトリリン酸エステル。リン酸エステルは、例えば、C1−20アルコールもしくはその反応性誘導体によって、あるいは2,3−ジ(C6−24)アシルグリセロールによってさらにエステル化され得る。
【0093】
式Iの化合物、ならびにその塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグは、それらの互変異性体の形態(例えば、アミドもしくはイミノエーテルとして)で存在し得る。このような互変異性体の形態は全て、本明細書中で本発明の一部として企図される。
【0094】
式(I)の化合物は、不斉中心もしくはキラル中心を含み得て、ゆえに、さまざまな立体異性体の形態で存在し得る。ラセミ混合物を含む、式(I)の化合物のすべての立体異性体の形態およびそれらの混合物は、本発明の一部となることが意図される。さらに、本発明は、すべての幾何異性体および位置異性体を包含する。例えば、式(I)の化合物が二重結合もしくは縮合環を含む場合、シス形態およびトランス形態の両方ならびにその混合物が、本発明の範囲内に包含される。
【0095】
ジアステレオマーの混合物は、それらの物理的、化学的相違を基に、当業者に周知の方法によって(例えば、クロマトグラフィー、および/もしくは分別結晶によって)、それらの個々のジアステレオマーに分離され得る。エナンチオマーは、適切な光学活性化合物(例えば、キラルアルコールもしくはMosherの酸塩化物のようなキラルの補助物)との反応により、そのエナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物に変換し、そのジアステレオマーを分離し、それぞれのジアステレオマーを対応する純粋なエナンチオマーに変換する(例えば、加水分解する)ことによって、分離され得る。また、式(I)の化合物のいくつかは、アトロプ異性体(例えば、置換ビアリール)であり得、これらは本発明の一部とみなされる。エナンチオマーもまたキラルHPLCカラムの使用によって分離され得る。
【0096】
式(I)の化合物は、異なる互変異性体の形態(例えば、アミドもしくはイミノエーテルとして)で存在し得、このような形態は全て、本発明の範囲内に包含される。また、例えば、本化合物の全てのケト−エノールおよびイミン−エナミンの形態は、本発明内に包含される。
【0097】
本化合物(この化合物の塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグ、ならびにこのプロドラッグの塩、溶媒和物、およびエステルを含む)の全ての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)(例えば、エナンチオマー形態(不斉炭素がなくてさえも存在し得る)、回転異性体の形態、アトロプ異性体、およびジアステレオマーの形態を含む種々の置換基上の不斉炭素ゆえに存在し得るもの)は、位置異性体(例えば、4−ピリジルおよび3−ピリジル)と同様に、本発明の範囲内であることが企図される。(例えば、式(I)の化合物が二重結合もしくは縮合環を含む場合、シス−形態およびトランス−形態の両方ならびにその混合物が、本発明の範囲内に包含される。また、例えば、本化合物の全てのケト−エノールおよびイミン−エナミンの形態は、本発明内に包含される。)。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば他の異性体を実質的に含まなくてもよいし、または例えばラセミ体として、または他の全ての異性体と、もしくは他の選択された異性体と混合されてもよい。本発明のキラル中心は、IUPAC 1974 Recommendationsによって定義されているようにS配置もしくはR配置を有し得る。「塩」、「溶媒和物」、「エステル」、「プロドラッグ」などの用語の使用は、本発明の化合物のエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、位置異性体、ラセミ体もしくはプロドラッグの塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグに等しく適用されることが意図される。
【0098】
本発明はまた、同位体標識された本発明の化合物を包含し、これは、一つ以上の原子が、通常天然で見出される原子質量もしくは質量数と異なる原子質量もしくは質量数を有する原子と置換される事を除いては、本明細書中に詳述した化合物と同一である。本発明の化合物に組み込まれ得る同位体の例として、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、および塩素の同位体(例えば、それぞれH、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、および36Cl)が挙げられる。
【0099】
特定の同位体標識をした式(I)の化合物(例えば、Hおよび14Cで標識をしたもの)は、化合物および/もしくは基質の組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム(すなわち、H)および炭素−14(すなわち、14C)同位体は、それらの調製の容易さおよび検出のし易さのために、特に好ましい。さらに、重水素(すなわち、H)のようなより重い同位体を有する置換基は、より高い代謝安定性から生じる特定の治療上の利点(例えば、インビボの半減期を伸ばす、または必要投与量を下げる)を生じ得るので、いくつかの状況においては好ましくなり得る。同位体標識をした式(I)の化合物は、一般的に、本明細書の後記のスキームおよび/もしくは実施例において開示される手順と類似した手順にしたがって、同位体標識をしていない試薬を適切な同位体的標識をした試薬で置換することによって調製され得る。
【0100】
式Iの化合物の多形形態ならびに、式Iの化合物の塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグの多形形態は、本発明に含まれることが意図される。
【0101】
本発明の化合物は、薬理学的特性を有しており、特に、式Iの化合物は、アスパルチルプロテアーゼインヒビターであり得る。
【0102】
式Iの化合物は、当該分野において公知である手順を使用して作られ得る。以下の反応スキームは、典型的な手順を示すが、当業者は、他の手順もまた適切であり得ることを理解する。
【0103】
以下のスキームおよび実施例において、以下の略語が使用される:
r.t.もしくはR.T.:室温
eq:当量
aq.:水性
BoC:tert−ブトキシカルボニル
TFA:トリフルオロ酢酸
DCM:ジクロロメタン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
MeI:ヨウ化メチル
PhI(OAc):ヨードベンゼンジアセテート
Rh(OAc):酢酸ロジウム(II)
Pd(PPh:テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム
THF:テトラヒドロフラン
min:分
mL:ミリリットル
sat.:飽和した
本発明中の化合物は、当業者には公知のプロセスによって、そして以下の反応スキーム、ならびに下に記載する調製および実施例に示されるように作られ得る。
【実施例】
【0104】
(実験実施例)
【0105】
【化27】

方法A、工程1;
A1(1mmol)のアセトニトリル溶液に、ヨウ化トリメチルスルホニウム(1.1当量)および1Nの水性KOH(1.1当量)を加え、そして一晩攪拌する。この反応混合物を、DCMと水との間で分配する。有機層を乾燥させ、そして溶媒をエバポレートし、そして残渣をクロマトグラフィーにかけて、化合物A2を得る。
【0106】
方法A、工程2;
A2(1mmol)とトリエチルシラン(2当量)とのDCM溶液10mlに、5mlのTFAを加え、反応物をA2が消えるまで攪拌する。溶媒を除去して、生成物A3を得る。
【0107】
方法A、工程3;
A3の無水DCM溶液に、ビス(N−ヒドロキシスクシンイミド)炭酸塩(1当量)を加え、この溶液をA3が消えるまで攪拌し、その後、N−boc−グアニジン(A4、1当量)を加える。この反応物を一晩攪拌し、その後、これを水性NaHCOおよびブラインで洗浄する。有機層を乾燥させ、この溶媒を除去し、そして残渣をクロマトグラフィーにかけて、A5を得る。
【0108】
方法A、工程4;
A5のDMF溶液に、1当量のMeIおよび1NのNaCOを加え、そしてこの混合物を一晩攪拌し、その後、これをDCMと水との間で分配する。有機層を乾燥させ、そして溶媒を除去し、そして残渣をクロマトグラフィーにかけて、A6を得る。
【0109】
方法A、工程5;
文献の手順(C.EspinoおよびJ.Du Bois;Angew.Chem.Int.(編)、2001年、40、598)を採用する。
【0110】
A6(5mmol)、PhI(OAc)(1.4当量)、MgO(2.4当量)およびRh(OAc)(0.05%)の混合物を、室温で一晩攪拌し、精製した後、生成物A7を得る。
【0111】
方法A、工程6;
4mlのDMF中のA7(1mmol)、m−シアノフェニルボロン酸(1.1当量)、飽和した水性のKCO(2当量)およびPd(PPh(10%)の混合物を、マイクロウェーブオーブンを使用して、窒素下で100℃で10分間加熱する。この反応混合物を精製し、そしてこの生成物を、DCM中40%TFAで処理をして、化合物A8を得る。
【0112】
【化28】

方法B、工程1
A2のアセトニトリル溶液に、水性の1NのNaN(2当量) 臭化テトラブチルアンモニウム(2当量)を加える。この混合物を一晩攪拌し、その後、これをDCMと水との間で分配する。有機層を乾燥させ、溶媒を除去し、そして残渣を精製してアジ化合物を得、これを含水THF中のポリスチレン結合したトリフェニルホスフィンを使用して、アミノアルコールまで還元して、粗製の生成物B1を得、これを精製せずに使用する。
【0113】
方法B、工程2;
B1のアセトニトリル溶液に、公知の文献の手順(Zeitschrift Fure Anorganische und Allgemeine Chemie、505、171−9;1983)を使用して生成したB2を加え、この溶液をマイクロウェーブオーブン内で5分間100℃まで加熱し、その後、溶媒をエバポレートし、そして残渣を精製して、B3を得る。
【0114】
方法B、工程3
4mlのDMF中のB3(1mmol)、m−シアノフェニルボロン酸(1.1当量)、飽和した水性KCO(2当量)およびPd(PPh(10%)の混合物を、マイクロウェーブオーブンを使用して、窒素下で100℃で10分間加熱する。この反応混合物を精製し、そしてこの生成物を、DCM中40%TFAで処理をし、精製した後、化合物B4を得る。
【0115】
(ヒトカテプシンD FRETアッセイ)
以下で使用される基質は記載されている(Y.Yasudaら、J.Biochem.、125、1137(1999))。基質および酵素は、市販されている。以下の基質に関して記載のアッセイ条件の下で4uMのKmを本発明者らの実験室で決定し、これはYasudaらのものと一致する。
【0116】
アッセイは、384ウェルのNuncブラックプレートを使用して30ulの最終容積で行われ得る。8種の濃度の化合物を、酵素とともに37℃で30分間事前にインキュベートし得、その後、基質を加え、引き続き37℃で45分間インキュベートし得る。蛍光の増加率は、1時間以上線形であり、そしてMolecular Devices FLEXステーションプレートリーダーを使用してインキュベート期間の最後に測定する。Kiを、4uMのKm値および2.5uMの基質濃度を使用してIC50より補間する。
【0117】
(試薬)
酢酸ナトリウム pH5
10%ストックからの1% Brij−35(Calbiochem)
DMSO
精製された(>95%)ヒト肝臓カテプシンD(Athens Research & Technology Cat# 16−12−030104)
ペプチド基質(Km=4uM)Bachem Cat# M−2455
コントロールインヒビターとしてペプスタチン(Ki〜0.5nM)が使用され、これはSigmaより入手可能である。
Nunc 384ウェルブラックプレート。
【0118】
(最終のアッセイ緩衝液条件)
100mMの酢酸ナトリウム pH5.0
0.02%Brij−35
1%DMSO。
【0119】
化合物を、3%DMSOを含むアッセイ緩衝液中に3×最終濃度に希釈する。10ulの化合物を、DMSOを含まないアッセイ緩衝液中に希釈した10ulの2.25nM酵素(3×)中に加え、少しの間混合し、スピンし、そして37℃で30分間インキュベートする。3×基質(7.5uM)を、DMSOを含まない1×アッセイ緩衝液中に調製する。10ulの基質を、各ウェルに加え、混合し、そして少しの間スピンして、反応を開始させる。アッセイプレートを、37℃で45分間インキュベートし、328nmのExおよび393nmのEmを使用して、384コンパティブル蛍光プレートリーダーで読み取る。
【0120】
(BACE−1クローニング、タンパク質発現および精製)
ヒトBACE1の予測される可溶形態(sBACE1、アミノ酸1−454に対応)を、全長BACE1 cDNA(pCDNA4/mycHisA構築物中の全長ヒトBACE1 cDNA;University of Toronto)から、PCRによって、アドバンテージ−GC cDNA PCRキット(Clontech、Palo Alto、CA)を使用して産生した。pCDNA4−sBACE1myc/HisからのHindIII/PmeIフラグメントを、Klenowを使用して平滑末端化し、そしてpFASTBACI(A)(Invitrogen)のStu I部位中にサブクローニングした。DH10Bac細胞(GIBCO/BRL)中への転移によってsBACE1mycHisの組み換えバクミド(bacmid)を産生した。その後、sBACE1mycHisバクミド構築物を、組み換えバキュロウイルスを産生するためにCellFectin(Invitrogen、San Diego、CA)を使用してsf9細胞中にトランスフェクトした。Sf9細胞を、3%の熱不活性化FBSおよび0.5×ペニシリン/ストレプトマイシン溶液(Invitrogen)を補充したSF 900−II培地(Invitrogen)中で増殖させた。5mlの高力価のプラーク精製されたsBACEmyc/Hisウイルスを使用して、1Lの対数増殖中のsf9細胞を72時間感染させた。インタクトな細胞を、3000×gで15分間の遠心分離によってペレット化した。分泌されたsBACE1を含む上清を収集し、そして、100mMのHEPES、pH8.0を使用して50%v/vに希釈した。希釈された培地を、Q−セファロースカラムに入れた。このQ−セファロースカラムを、緩衝液A(20mM HEPES、pH8.0、50mM NaCl)で洗浄した。
【0121】
タンパク質を、Q−セファロースカラムより緩衝液B(20mM HEPES、pH8.0、500mM NaCl)で溶出した。Q−セファロースカラムからのタンパク質ピークをプールして、そしてNi−NTAアガロースカラムに入れた。その後、このNi−NTAアガロースカラムを、緩衝液C(20mM HEPES、pH8.0、500mM NaCl)で洗浄した。その後、結合タンパク質を緩衝液D(緩衝液C+250mM イミダゾール)で溶出させた。Bradford Assay(Biorad、CA)によって決定されたピークタンパク質のフラクションを、Centricon 30濃縮機(Millipore)を使用して濃縮した。sBACE1純度は、SDS−PAGEおよびCommassie Blue染色によって評価すると、約90%であると見積もられた。N末端の塩基配列決定は、90%を超える精製されたsBACE1がプロドメインを含んだことを示した;したがって、このタンパク質をsproBACE1という。
【0122】
(ペプチド加水分解アッセイ)
インヒビター、25nM Euk−ビオチン標識されたAPPsw基質(EuK−KTEEISEVNLDAEFRHDKC−ビオチン;CIS−Bio International、France)、5μMの標識されていないAPPswペプチド(KTEEISEVNLDAEFRHDK;American Peptide Company、Sunnyvale、CA)、7nM sproBACE1、20mM PIPES pH5.0、0.1%Brij−35(プロテイングレード(protein grade)、Calbiochem、San Diego、CA)および10%グリセロールを、30℃で30分間、事前にインキュベートした。5μlアリコート中の基質を加えて25μlの総容量にすることで反応を開始させた。30℃で3時間後、50mM Tris−HCl pH 8.0、0.5M KF、0.001%Brij−35、20μg/mlのSA−XL665(ストレプトアビジンと結合した架橋アロフィコシアニン(allophycocyanin)タンパク質;CIS−Bio International、France)を含む同容量の2×終了緩衝液(stop buffer)(0.5μg/ウェル)を加えることで反応を終了させた。インキュベーションの前に、プレートを短時間振って、そして1200×gで10秒間スピンして、全ての液体をプレートの底にペレット化させた。HTRF測定を、Packard Discovery(登録商標)HTRFプレートリーダーで、337nmのレーザー光を使用してサンプルを励起させ、その後、50μs遅れてから、400μsにわたって620nmおよび665nm両方の放出の同時測定をすることによって行なった。
【0123】
インヒビター(I)のIC50決定は、種々の濃度のIならびに一定濃度の酵素および基質の存在下で、620nmにおける相対蛍光で除算した665nmでの相対蛍光のパーセント変化(665/620比)を測定することによって決定された。可変の傾きを許容する4つのパラメータのロジスティック式を選択するGraphPad Prism 3.0ソフトウェアを使用して、このデータの非線形回帰分析を実施した。Y=最小値+(最大値−最小値)/(1+10((LogEC50−X)×斜線の傾き));Xは、Iの濃度の対数であり、Yは、比のパーセント変化であり、そしてYは、S状形で最小値から始まり、最大値に進む。
【0124】
(ヒト成熟レニン酵素アッセイ)
ヒトレニンを、ヒトの腎臓cDNAライブラリーからクローニングして、そしてC末端においてV5−6His配列でエピトープ標識してpCDNA3.1中に入れた。pCNDA3.1−レニン−V5−6Hisは、HEK293細胞中で安定して発現され、そして標準的Ni親和性クロマトグラフィーを使用して>80%まで精製された。組み換えヒトレニン−V5−6Hisのプロドメインを、固定化TPCK−トリプシンを使用した限定タンパク分解によって取り除いて成熟ヒトレニンを入手した。レニン酵素活性を、50mM Tris−HCl pH8.0、100mM NaCl、0.1%Brij−35および5%DMSOの緩衝液中の市販されている蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)ペプチド基質、RS−1(Molecular Probes、Eugene、OR)を使用して、テスト化合物の異なる濃度の存在下もしくはそれ無しで、30℃で40分間モニタリングした。成熟ヒトレニンは、おおよそ200nMで存在した。阻害活性を、ビヒクルコントロールおよびサンプルを有しない酵素と比較した、40分のインキュベーションの最後におけるレニン誘発された蛍光パーセント減少として決定した。
【0125】
少なくとも1つの式Iの化合物と少なくとも1つのコリンエステラーゼインヒビターとの組み合わせに関する本発明の局面において、アセチルコリンエステラーゼインヒビターおよび/もしくはブチルコリンエステラーゼインヒビターが使用され得る。コリンエステラーゼインヒビターの例は、タクリン、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、ピリドスチグミンおよびネオスチグミンであり、タクリン、ドネペジル、リバスチグミンおよびガランタミンが好ましい。
【0126】
式Iの化合物とムスカリン性アンタゴニストに関連する本発明の局面において、mもしくはmアンタゴニストが使用され得る。mアンタゴニストの例は、当該分野において公知である。mアンタゴニストの例もまた、当該分野において公知であり;特に、mアンタゴニストは、米国特許第5,883,096号;同第6,037,352号;同第5,889,006号;同第6,043,255号;同第5,952,349号;同第5,935,958号;同第6,066,636号;同第5,977,138号;同第6,294,554号;同第6,043,255号;および同第6,458,812号中;ならびにWO 03/031412中に開示されており、これらの全ては、本明細書中に参考として援用される。
【0127】
本発明によって記載されている化合物から薬学的組成物を調製するためには、不活性の薬学的に受容可能なキャリアは、固体もしくは液体のいずれかであり得る。固体形態の調製物としては、散剤、錠剤、分散可能な顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤および坐剤が挙げられる。散剤および錠剤は、約5〜約95%の活性成分を含み得る。適切な固体キャリアは、当該分野で公知である(例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖もしくはラクトース)。錠剤、散剤、カシェ剤およびカプセル剤は、経口投与に適した固体投薬形態として使用され得る。薬学的に受容可能なキャリアの例および多種の組成物の製造の方法は、A.Gennaro(編)、Remington’s Pharmaceutical Sciences、18th Edition、(1990)、Mack Publishing Co.、Easton、Pennsylvania内で見出され得る。
【0128】
液体形態の調製物としては、溶液、懸濁液およびエマルジョンが挙げられる。例としては、非経口注射のための水もしくは水−プロピレングリコール溶液、または経口溶液、懸濁液、およびエマルジョンのための甘味料および乳白剤の添加が述べられ得る。液体形態の調製物としてはまた、鼻腔内投与のための溶液も挙げられ得る。
【0129】
吸入に適したエアゾールの調製物としては、薬学的に受容可能なキャリア(例えば、圧縮不活性ガス(例えば、窒素))と組み合わせられ得る、溶液および粉末状の固体が挙げられ得る。
【0130】
また、経口もしくは非経口のいずれかの投与のために使用直前に液体形態の調製物に変換されることが意図された固体形態の調製物も挙げられる。このような液体形態としては、溶液、懸濁液、およびエマルジョンが挙げられる。
【0131】
本発明の化合物はまた、経皮的にも送達され得る。経皮的な組成物は、クリーム、ローション、エアゾール、および/もしくはエマルジョンの形態をとり得、この目的のために当該分野で従来行なわれるように、マトリックスもしくはレザバタイプの経皮パッチに含まれ得る。
【0132】
好ましくは、本化合物は経口投与される。
【0133】
好ましくは、本薬学的調製物は、単位投薬形態である。このような形態では、調製物は、適切な量の活性化合物(例えば、所望する目的に達するに有効な量)を含む適切なサイズの単位用量に細分される。
【0134】
調製物の単位用量中の活性化合物の量は、具体的な用途にしたがって、変わり得るか、もしくは約1mg〜約100mgに調整され得、好ましくは、約1mg〜約50mg、さらに好ましくは約1mg〜約25mgに調整され得る。
【0135】
使用される実際の投薬量は、患者の必要条件および処置される状態の重症度に依存して変わり得る。個々の状態に対する適切な投薬レジメンの決定は、当該分野の技術範囲内である。便宜上、総日用量は細分され得、必要であれば、1日の間に少しずつ投与され得る。
【0136】
本発明の化合物および/もしくは薬学的に受容可能なその塩の投与の量および頻度は、患者の年齢、状態および大きさ、ならびに処置される症状の重症度といった要素を考慮して、主治医の判断にしたがって調節される。経口投与の一般的に推奨される1日あたりの投薬レジメンは、2〜4分割した用量で、約1mg/日〜約300mg/日、好ましくは1mg/日〜50mg/日の範囲であり得る。
【0137】
認知障害を処置するために式Iの化合物がコリンエステラーゼインヒビターと組み合わせて使用される場合、これらの2つの活性成分が、同時にもしくは逐次的に共投与され得るか、または薬学的に受容可能なキャリア内に式Iの化合物およびコリンエステラーゼインヒビターを含む単一の薬学的組成物が投与され得る。この組み合わせの成分は、個々にもしくは一緒に任意の従来の経口もしくは非経口の投薬形態(例えば、カプセル剤、錠剤、散剤、カシェ剤、懸濁液、溶液、坐剤、鼻のスプレーなど)で投与され得る。コリンエステラーゼインヒビターの投薬は、公開されたものから決定され得、それは0.001mg/kg体重〜100mg/kg体重の範囲にあり得る。
【0138】
式Iの化合物およびコリンエステラーゼインヒビターの別々の薬学的組成物が投与されることが意図される場合、これらは、式Iの化合物を薬学的に受容可能なキャリア内に含む1つの容器およびコリンエステラーゼインヒビターを薬学的に受容可能なキャリア内に含む別の容器を単一パッケージ内に含むキット中に提供され得、ここで、式Iの化合物およびコリンエステラーゼインヒビターは、この組み合わせが治療上有効であるような量で存在する。キットは、例えば、成分が異なる時間間隔で投与されるべき場合、もしくはこれらが異なる投薬形態である場合に、組み合わせを投与するのに便利である。
【0139】
本発明は、上記に述べたような特定の実施形態に関連して記載されているが、多くのその代案、改変および変更は、当業者には明らかである。全てのこういった代案、改変および変更は、本発明の趣旨および範囲内に入ると意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式:
【化1】

を有する化合物もしくは異性体、該化合物もしくは該異性体の薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはエステルであって、ここで、
Wは、−S(O)−、−S(O)−、−P(O)(OR15)−もしくは−C(=O)−であり;
、RおよびRは、H、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールシクロアルキルアルキル、アリールヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキルアルキル、シクロアルキル、アリールシクロアルキル、ヘテロアリールシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキル、アルケニル、アリールアルケニル、シクロアルケニル、アリールシクロアルケニル、ヘテロアリールシクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アリールヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールヘテロシクロアルケニル、アルキニル、アリールアルキニル、アリール、シクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルヘテロアリール、シクロアルケニルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、−OR15、−CN、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R10、−S(O)10、−C(O)N(R11)(R12)、−S(O)N(R11)(R12)、−S(O)N(R11)(R12)、−NO、−N=C(Rおよび−N(Rからなる群より独立して選択され;
、R、RおよびRは、H、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールシクロアルキルアルキル、アリールヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキルアルキル、シクロアルキル、アリールシクロアルキル、ヘテロアリールシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキル、アルケニル、アリールアルケニル、シクロアルケニル、アリールシクロアルケニル、ヘテロアリールシクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アリールヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールヘテロシクロアルケニル、アルキニル、アリールアルキニル、アリール、シクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルヘテロアリール、シクロアルケニルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、−CH−O−Si(R)(R10)(R19)、−CN、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R11)(R12)、−SR19、−S(O)N(R11)(R12)、−S(O)N(R11)(R12)、−N(R11)(R12)、−N(R11)C(O)R、−N(R11)S(O)R10、−N(R11)S(O)10−、−N(R11)C(O)N(R12)(R13)、−N(R11)C(O)ORおよび−C(=NOH)Rからなる群より独立して選択されるか;
または必要に応じて、R、R、RおよびRのうちの任意の2つがそれらが結合している炭素原子と一緒になって、
(a)1〜5個のR23部分によって必要に応じて置換された3〜8員のシクロアルキル環を形成し;そして
(b)上記の該3〜8員のシクロアルキル環中の1〜4個の原子が、−O−、−S−、−N(R11)−、−C(O)−、−S(O)−もしくは−S(O)−によって置き換えられ得;
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、−OR15、−N(R15)(R16)、−N(R15)C(O)R16、−N(R15)S(O)R16、−N(R15)S(O)16、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)N(R16)(R17)および−N(R15)C(O)OR16からなる群より独立して選択され;
は、H、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルからなる群より独立して選択され;
10は、H、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルおよび−N(R15)(R16)からなる群より独立して選択され;
11、R12およびR13は、H、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、−C(O)R、−C(O)OR、−S(O)R10、−S(O)10、−C(O)N(R15)(R16)、−S(O)N(R15)(R16)および−S(O)N(R15)(R16)からなる群より独立して選択され;
14は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ハロ、−CN、−OR15、−C(O)R15、−C(O)OR15、−C(O)N(R15)(R16)、−SR15、−S(O)N(R15)(R16)、−S(O)N(R15)(R16)、−C(=NOR15)R16、−P(O)(OR15)(OR16)、−N(R15)(R16)、−N(R15)C(O)R16、−N(R15)S(O)R16、−N(R15)S(O)16、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)N(R16)(R17)および−N(R15)C(O)OR16からなる群より独立して選択される1〜5個の置換基であり;
15、R16およびR17は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールシクロアルキル、アリールヘテロシクロアルキル、R18−アルキル、R18−シクロアルキル、R18−シクロアルキルアルキル、R18−ヘテロシクロアルキル、R18−ヘテロシクロアルキルアルキル、R18−アリール、R18−アリールアルキル、R18−ヘテロアリールおよびR18−ヘテロアリールアルキルからなる群より独立して選択されるか;
またはR15、R16およびR17は、
【化2】

であり、ここで、R23は、0〜5個の置換基であり、mは0〜6であり、nは1〜5であり;
18は、アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、−NO、ハロ、ヘテロアリール、HO−アルコキシアルキル、−CF、−CN、アルキル−CN、−C(O)R19、−C(O)OH、−C(O)OR19、−C(O)NHR20、−C(O)NH、−C(O)N(アルキル)、−C(O)N(アルキル)(アリール)、−C(O)N(アルキル)(ヘテロアリール)、−SR19、−S(O)20、−S(O)NH、−S(O)NH(アルキル)、−S(O)N(アルキル)(アルキル)、−S(O)NH(アリール)、−S(O)NH、−S(O)NHR19、−S(O)NH(ヘテロシクロアルキル)、−S(O)N(アルキル)、−S(O)N(アルキル)(アリール)、−OCF、−OH、−OR20、−O−ヘテロシクロアルキル、−O−シクロアルキルアルキル、−O−ヘテロシクロアルキルアルキル、−NH、−NHR20、−N(アルキル)、−N(アリールアルキル)、−N(アリールアルキル)−(ヘテロアリールアルキル)、−NHC(O)R20、−NHC(O)NH、−NHC(O)NH(アルキル)、−NHC(O)N(アルキル)(アルキル)、−N(アルキル)C(O)NH(アルキル)、−N(アルキル)C(O)N(アルキル)(アルキル)、−NHS(O)20、−NHS(O)NH(アルキル)、−NHS(O)N(アルキル)(アルキル)、−N(アルキル)S(O)NH(アルキル)および−N(アルキル)S(O)N(アルキル)(アルキル)からなる群より独立して選択される1〜5個の置換基であるか;
または隣接する炭素上の2つのR18部分が一緒になって
【化3】

を形成し得;
19は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルもしくはヘテロアリールアルキルであり;
20は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ハロ置換されたアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアリールアルキルであり;
そしてここで、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13およびR14中の該アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールシクロアルキルアルキル、アリールヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキルアルキル、シクロアルキル、アリールシクロアルキル、ヘテロアリールシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキル、アルケニル、アリールアルケニル、シクロアルケニル、アリールシクロアルケニル、ヘテロアリールシクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アリールヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールヘテロシクロアルケニル、アルキニル、アリールアルキニル、アリール、シクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルキルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルヘテロアリール、シクロアルケニルアリール、ヘテロシクロアルケニルアリール基のそれぞれは、独立して非置換であるか、もしくはアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ハロ、−CN、−OR15、−C(O)R15、−C(O)OR15、−C(O)N(R15)(R16)、−SR15、−S(O)N(R15)(R16)、−CH(R15)(R16)、−S(O)N(R15)(R16)、−C(=NOR15)R16、−P(O)(OR15)(OR16)、−N(R15)(R16)、−アルキル−N(R15)(R16)、−N(R15)C(O)R16、−CH−N(R15)C(O)R16、−CH−R15;−N(R15)S(O)R16、−N(R15)S(O)16、−CH−N(R15)S(O)16、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)N(R16)(R17)、−CH−N(R15)C(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)OR16、−CH−N(R15)C(O)OR16、−S(O)R15、=NOR15、−N、−NOおよび−S(O)15からなる群より独立して選択される1〜5個のR21基によって置換され;そしてここで、R21中の該アルキル、シクロアルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルケニルおよびアルキニル基のそれぞれは、独立して非置換であるか、もしくはアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、−CF、−CN、−OR15、−C(O)R15、−C(O)OR15、−アルキル−C(O)OR15、C(O)N(R15)(R16)、−SR15、−S(O)N(R15)(R16)、−S(O)N(R15)(R16)、−C(=NOR15)R16、−P(O)(OR15)(OR16)、−N(R15)(R16)、−アルキル−N(R15)(R16)、−N(R15)C(O)R16、−CH−N(R15)C(O)R16、−N(R15)S(O)R16、−N(R15)S(O)16、−CH−N(R15)S(O)16、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)N(R16)(R17)、−CH−N(R15)C(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)OR16、−CH−N(R15)C(O)OR16、−N、=NOR15、−NO、−S(O)R15および−S(O)15からなる群より独立して選択される1〜5個のR22基によって置換されるか;
または、隣接する炭素上の2つのR21もしくは2つのR22部分が一緒になって
【化4】

を形成し得;
そしてここで、R21もしくはR22が、−C(=NOR15)R16、−N(R15)C(O)R16、−CH−N(R15)C(O)R16、−N(R15)S(O)R16、−N(R15)S(O)16、−CH−N(R15)S(O)16、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)S(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)N(R16)(R17)、−CH−N(R15)C(O)N(R16)(R17)、−N(R15)C(O)OR16および−CH−N(R15)C(O)OR16からなる群より選択される場合、R15およびR16が一緒になって、C〜C鎖になり得、ここで必要に応じて、1個、2個もしくは3個の環炭素が、−C(O)−もしくは−N(H)−によって取って代えられ得、そしてR15およびR16が、それらが結合している原子と一緒になって、R23によって必要に応じて置換された5〜7員の環を形成し;
23は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ハロ、−CN、−OR24、−C(O)R24、−C(O)OR24、−C(O)N(R24)(R25)、−SR24、−S(O)N(R24)(R25)、−S(O)N(R24)(R25)、−C(=NOR24)R25、−P(O)(OR24)(OR25)、−N(R24)(R25)、−アルキル−N(R24)(R25)、−N(R24)C(O)R25、−CH−N(R24)C(O)R25、−N(R24)S(O)R25、−N(R24)S(O)25、−CH−N(R24)S(O)25、−N(R24)S(O)N(R25)(R26)、−N(R24)S(O)N(R25)(R26)、−N(R24)C(O)N(R25)(R26)、−CH−N(R24)C(O)N(R25)(R26)、−N(R24)C(O)OR25、−CH−N(R24)C(O)OR25、−S(O)R24および−S(O)24からなる群より独立して選択される1〜5個の基であり;そしてここで、R23中の該アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルケニルおよびアルキニル基のそれぞれは、独立して非置換であるか、もしくはアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、−CF、−CN、−OR24、−C(O)R24、−C(O)OR24、アルキル−C(O)OR24、−C(O)N(R24)(R25)、−SR24、−S(O)N(R24)(R25)、−S(O)N(R24)(R25)、−C(=NOR24)R25、−P(O)(OR24)(OR25)、−N(R24)(R25)、−アルキル−N(R24)(R25)、−N(R24)C(O)R25、−CH−N(R24)C(O)R25、−N(R24)S(O)R25、−N(R24)S(O)25、−CH−N(R24)S(O)25、−N(R24)S(O)N(R25)(R26)、−N(R24)S(O)N(R25)(R26)、−N(R24)C(O)N(R25)(R26)、−CH−N(R24)C(O)N(R25)(R26)、−N(R24)C(O)OR25、−CH−N(R24)C(O)OR25、−S(O)R24および−S(O)24からなる群より独立して選択される1〜5個のR27基によって置換され;
24、R25およびR26は、H、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールシクロアルキル、R27−アルキル、R27−シクロアルキル、R27−シクロアルキルアルキル、R27−ヘテロシクロアルキル、R27−ヘテロシクロアルキルアルキル、R27−アリール、R27−アリールアルキル、R27−ヘテロアリールおよびR27−ヘテロアリールアルキルからなる群より独立して選択され;
27は、アルキル、アリール、アリールアルキル、−NO、ハロ、−CF、−CN、アルキル−CN、−C(O)R28、−C(O)OH、−C(O)OR28、−C(O)NHR29、−C(O)N(アルキル)、−C(O)N(アルキル)(アリール)、−C(O)N(アルキル)(ヘテロアリール)、−SR28、−S(O)29、−S(O)NH、−S(O)NH(アルキル)、−S(O)N(アルキル)(アルキル)、−S(O)NH(アリール)、−S(O)NH、−S(O)NHR28、−S(O)NH(アリール)、−S(O)NH(ヘテロシクロアルキル)、−S(O)N(アルキル)、−S(O)N(アルキル)(アリール)、−OH、−OR29、−O−ヘテロシクロアルキル、−O−シクロアルキルアルキル、−O−ヘテロシクロアルキルアルキル、−NH、−NHR29、−N(アルキル)、−N(アリールアルキル)、−N(アリールアルキル)(ヘテロアリールアルキル)、−NHC(O)R29、−NHC(O)NH、−NHC(O)NH(アルキル)、−NHC(O)N(アルキル)(アルキル)、−N(アルキル)C(O)NH(アルキル)、−N(アルキル)C(O)N(アルキル)(アルキル)、−NHS(O)29、−NHS(O)NH(アルキル)、−NHS(O)N(アルキル)(アルキル)、−N(アルキル)S(O)NH(アルキル)および−N(アルキル)S(O)N(アルキル)(アルキル)からなる郡より独立して選択される1〜5個の置換基であり;
28は、アルキル、シクロアルキル、アリールアルキルもしくはヘテロアリールアルキルであり;そして
29は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアリールアルキルである、化合物。
【請求項2】
Wが−C(O)−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がアルキルであり、RがHであり、RがHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
がメチルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
およびR、もしくはRおよびRが、それらが結合している炭素原子と一緒になって
【化5】

を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
およびR、もしくはRおよびRが、それらが結合している炭素原子と一緒になって
【化6】

を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
14が、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキルもしくはシクロアルキルアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
もしくはRがメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
がアルキルであり;
がHもしくはアルキルであり;
が、H、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキルもしくはシクロアルキルアルキルであり;
が、Hもしくはアルキルであり;
がHであり;
11が、H、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、−C(O)R、−C(O)OR、S(O)10、−C(O)N(R15)(R16)もしくは−S(O)N(R15)(R16)であり;
14が、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキルもしくはシクロアルキルアルキルであり;そして
Wが−C(O)−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
以下の構造:
【化7】

から選択され、ここで、R、R、R、R14およびR21は、上記に定義したとおりである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
が、アリール−置換されたアリール、ヘテロアリール−置換されたアリール、アリール−置換されたヘテロアリールもしくはヘテロアリール−置換されたヘテロアリール、アリール−置換されたシクロアルキル、ヘテロアリール−置換されたシクロアルキル、アリール−置換されたアルキル、ヘテロアリール−置換されたアルキル、アリール−置換されたシクロアルキルまたはヘテロアリール−置換されたシクロアルキルアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
が、
【化8】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
以下の構造:
【化9】

を有する化合物。
【請求項14】
有効量の少なくとも1つの請求項1に記載の化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
【請求項15】
アスパルチルプロテアーゼを阻害する方法であって、該方法は、有効量の少なくとも1つの請求項1に記載の化合物を、このような処置の必要な患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項16】
心臓血管疾患、認知疾患および神経変性疾患を処置する方法、ならびにヒト免疫不全ウイルス、プラスメプシン、カテプシンDおよび原核生物の酵素の阻害方法であって、該方法は、有効量の少なくとも1つの請求項1に記載の化合物をこのような処置の必要な患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項17】
認知疾患もしくは神経変性疾患が処置される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
アルツハイマー病が処置される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
有効量の少なくとも1つの請求項1に記載の化合物、および有効量のコリンエステラーゼインヒビターもしくはムスカリン性アンタゴニストを薬学的に受容可能なキャリア内に含む、薬学的組成物。
【請求項20】
認知疾患もしくは神経変性疾患を処置する方法であって、該方法は、有効量の少なくとも1つの請求項1に記載の化合物を有効量のコリンエステラーゼインヒビターと組み合わせてこのような処置の必要な患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項21】
アルツハイマー病が処置される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
認知疾患もしくは神経変性疾患を処置する方法であって、該方法は、有効量の少なくとも1つの請求項1に記載の化合物を、有効量のγセクレターゼインヒビター、HMG−CoAレダクターゼインヒビターもしくは非ステロイド性抗炎症因子と組み合わせてこのような処置の必要な患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項23】
アルツハイマー病が処置される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記HMG−CoAレダクターゼインヒビターが、アトルバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチンもしくはロスバスタチンである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記非ステロイド性抗炎症因子が、イブプロフェン、レラフェン、ナプロキセンである、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
有効量の少なくとも1つの請求項1に記載の化合物および有効量の少なくとも1つのγセクレターゼインヒビター;HMG−CoAレダクターゼインヒビターもしくは非ステロイド性抗炎症因子を含む、薬学的組成物。
【請求項27】
認知疾患もしくは神経変性疾患を処置する方法であって、該方法は、有効量の少なくとも1つの請求項1に記載の化合物を、コリンエステラーゼインヒビター、ムスカリン性mアゴニストもしくはmアンタゴニスト、γセクレターゼインヒビター、HMG−CoAレダクターゼインヒビターおよび非ステロイド性抗炎症因子からなる群より選択される有効量の1つ以上の化合物と組み合わせてこのような処置の必要な患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項28】
有効量の請求項13に記載の化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
【請求項29】
アスパルチルプロテアーゼを阻害する方法であって、該方法は、有効量の請求項13に記載の化合物を、このような処置の必要な患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項30】
心臓血管疾患、認知疾患および神経変性疾患を処置する方法、ならびにヒト免疫不全ウイルス、プラスメプシン、カテプシンDおよび原核生物の酵素の阻害方法であって、該方法は、有効量の請求項13に記載の化合物をこのような処置の必要な患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項31】
認知疾患もしくは神経変性疾患が処置される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
アルツハイマー病が処置される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
有効量の請求項13に記載の化合物と、有効量のコリンエステラーゼインヒビター、またはムスカリン性mアゴニストもしくはmアンタゴニストとを薬学的に受容可能なキャリア内に含む、薬学的組成物。
【請求項34】
認知疾患もしくは神経変性疾患を処置する方法であって、該方法は、有効量の請求項13に記載の化合物を有効量のコリンエステラーゼインヒビターと組み合わせてこのような処置の必要な患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項35】
アルツハイマー病が処置される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
認知疾患もしくは神経変性疾患を処置する方法であって、該方法は、有効量の請求項13に記載の化合物を、有効量のγセクレターゼインヒビター、HMG−CoAレダクターゼインヒビターもしくは非ステロイド性抗炎症因子と組み合わせてこのような処置の必要な患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項37】
アルツハイマー病が処置される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記HMG−CoAレダクターゼインヒビターが、アトルバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチンもしくはロスバスタチンである、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記非ステロイド性抗炎症因子が、イブプロフェン、レラフェンもしくはナプロキセンである、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
有効量の請求項13に記載の化合物と、有効量の少なくとも1つのγセクレターゼインヒビター、HMG−CoAレダクターゼインヒビターもしくは非ステロイド性抗炎症因子とを含む、薬学的組成物。
【請求項41】
認知疾患もしくは神経変性疾患を処置するための方法であって、該方法は、有効量の少なくとも1つの請求項13に記載の化合物を、コリンエステラーゼインヒビター、ムスカリン性mアゴニストもしくはmアンタゴニスト、γセクレターゼインヒビター、HMG−CoAレダクターゼインヒビターおよび非ステロイド性抗炎症因子からなる群より選択される有効量の1つ以上の化合物と組み合わせて、このような処置の必要な患者に投与する工程を包含する、方法。

【公表番号】特表2009−513670(P2009−513670A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538053(P2008−538053)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/042193
【国際公開番号】WO2007/053506
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】