説明

アセチレン系化合物を配合した保護膜

【解決手段】(A)合成樹脂の固形分、
(B−1)下記一般式(1)


で表されるアセチレングリコール、下記一般式(2)


で表されるアセチレングリコールのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイドブロック型付加物、及び下記一般式(3)


で表されるアセチレングリコールのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム型付加物から選ばれる1種又は2種以上、
(B−2)下記一般式(4)
7O(C36O)v(C24O)w(C36O)x(C24O)y(C36O)zH (4)
で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル、並びにイオウ含有界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上
の混合物
を含むことを特徴とする保護膜。
【効果】本発明によれば、建材、建築外装に関しては優れた耐水性、密着性を発揮し、車両用に関しては傷等の保護性に優れた保護膜を提供し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセチレン系化合物を配合した保護膜に関するものであり、特には建材用、建築外装用、車両用等として有効で、密着性、耐水性に効果を発揮する保護膜に関する。
【背景技術】
【0002】
保護膜といっても、その要求性能は用途によって若干違ってくるが、例えば、建材、建築外装の場合、密着性、耐水性、場合によっては耐熱性、他基材との接着性が必要とされる。
【0003】
近年、建材業界などではVOC低減の観点から、有機溶剤から水を使用した保護材料へ転換がなされつつある。
【0004】
しかし、水性樹脂を保護膜とした場合、溶剤型の保護材料に比べて、初期の耐水性が劣るため、塗装後の降雨や高湿度の環境におかれた場合、剥がれ等の問題が生じることが多く、問題となっていた。最近では、アニオン性水性樹脂の酸性官能基をオキシラン基含有化合物と反応させることにより、親水基を消失させて水性保護膜の耐水性の改良を試みているが、塗装初期の耐水性発現には問題があった。
【0005】
また、米国特許第3,464,946号明細書(特許文献1)及び米国特許第3,444,114号明細書(特許文献2)には、オキシカルボン酸を用いて水性化を行ったアルキルエーテル化アミノ樹脂が開示されているが、耐水性の欠点は解消されていない。
更に、特公平8−32851号公報(特許文献3)には、イソシアネート硬化の2液型水性塗料が開示されている。しかしながら、やはり耐水性に悪影響があることが記載されている。
こういった点から、耐水性、密着性等に優れた保護膜の開発が求められていた。
【0006】
また、車両に使用されるコーティング剤には、鉛丹、シアナミド鉛、鉛酸カルシウムなどの鉛塩系や、塩基性クロム酸亜鉛、クロム酸ストロンチウムなどのクロム酸金属塩系の顔料が主として用いられていたが、健康障害や環境保全上の問題からその使用が次第に規制されるに至った。その後、リン酸亜鉛、リン酸カルシウムマグネシウム、リン酸チタン、リン酸シリカなどのリン酸金属塩系、トリポリリン酸アルミニウムなどの縮合リン酸金属塩系、亜リン酸亜鉛、亜リン酸カルシウム、亜リン酸ストロンチウム、亜リン酸アルミニウムなどの亜リン酸金属塩系、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム、ホウ酸バリウム、ホウ酸亜鉛等の無公害、無毒の顔料が開発されているが、鉛塩系やクロム塩系顔料に匹敵するものはなかった。
【0007】
また、特開平5−140491号公報(特許文献4)には、界面活性剤並びにアセチレンアルコール系化合物及び/又はアセチレングリコール系化合物を添加してなる金属板の水性型耐蝕刻性塗料が紹介されているが、前記界面活性剤並びにアセチレンアルコール系化合物及び/又はアセチレングリコール系化合物は樹脂を均一に金属表面に行き渡らせるための手段であり、耐蝕刻性はあくまでも樹脂に委ねている。
【0008】
更に、特開2000−104015号公報(特許文献5)には、熱硬化特性を有する水系ポリウレタン樹脂からなる熱硬化性塗料が紹介されているが、ウレタン樹脂には、耐光性が弱く、高価格であるという難点がある。
【0009】
【特許文献1】米国特許第3,464,946号明細書
【特許文献2】米国特許第3,444,114号明細書
【特許文献3】特公平8−32851号公報
【特許文献4】特開平5−140491号公報
【特許文献5】特開2000−104015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、建材、建築外装、車両などの用途にも適用し、建築、建築外装に関しては優れた密着性、耐水性、車両に関しては優れた保護性を発揮する保護膜の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、膜の基礎となる下記に示す合成樹脂に、アセチレングリコール系界面活性剤と特定のHLBの範囲にあるポリオキシアルキレンアルキルエーテルやイオウ含有界面活性剤の混合物を配合した保護膜が、各種基材への接着力、耐水性等の保護性を発揮し、上述した従来の問題点を解決し得ること、特に建材用、建築外装用、車両用等の保護膜として有用であることを知見し、本発明をなすに至った。
【0012】
即ち、本発明は、下記のアセチレン系化合物を配合した保護膜を提供する。
請求項1:
(A)合成樹脂の固形分 100質量部、
(B−1)下記一般式(1)
【化1】


(式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
で表されるアセチレングリコール、下記一般式(2)
【化2】


(式中、R3及びR4はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を示し、Aは−(C24O)w1−(C36O)x1−(C24O)y1−(C36O)z1−Hであり、Bは−(C24O)w2−(C36O)x2−(C24O)y2−(C36O)z2−Hであり、w1、w2、x1、x2、y1、y2、z1、z2はそれぞれ0又は0.5〜25の正数であり、w1+w2+y1+y2は0.5〜50、x1+x2+z1+z2は0.5〜50であり、w1+w2+x1+x2+y1+y2+z1+z2は1〜100である。)
で表されるアセチレングリコールのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイドブロック型付加物、及び下記一般式(3)
【化3】


(式中、R5及びR6はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を示し、Dは−(C24O/C36O)m−Hであり、Eは−(C24O/C36O)n−Hであり、m及びnはそれぞれ0又は0.5〜50の正数であり、m+nは1〜100である。)
で表されるアセチレングリコールのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム型付加物から選ばれる1種又は2種以上:10〜90質量%、
(B−2)下記一般式(4)
7O(C36O)v(C24O)w(C36O)x(C24O)y(C36O)zH (4)
(式中、R7は炭素数1〜20のアルキル基、v、w、x、y、zは0又は1〜20の正数であり、v+w+x+y+z>0である。)
で表されるHLBが8〜18のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、並びに下記一般式(5)
【化4】


及び下記一般式(6)
【化5】


(式中、Mは独立にアルカリ金属又はアンモニウム基であり、R8は独立に水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。)
で表されるイオウ含有界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上:10〜90質量%、
(B−3)水及び/又は水溶性有機溶剤:0〜25質量%
の混合物 0.01〜10質量部
を含むことを特徴とする保護膜。
請求項2:
更に、(C)充填剤 1〜200質量部
を含むことを特徴とする請求項1記載の保護膜。
請求項3:
前記(A)成分が、(メタ)アクリル酸エステル樹脂系エマルジョン、スチレン/アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、ウレタン樹脂系エマルジョン、エチレン/酢酸ビニル共重合体エマルジョン、ポリエステル樹脂、及び水性エポキシ樹脂から選ばれる1種又は2種以上からなる請求項1又は2記載の保護膜。
請求項4:
前記(B−1)成分のナトリウム含有量が1,000ppm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の保護膜。
請求項5:
膜厚が1〜100μmである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の保護膜。
請求項6:
建材用、建築外装用、車両用又は硝子繊維処理用である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の保護膜。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、建材、建築外装に関しては優れた耐水性、密着性を発揮し、車両用に関しては傷等の保護性に優れた保護膜を提供し得る。
しかも、本保護膜は、材料表面に油膜等の油状物質があっても、ふくれ等が発生しない密着性に優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のアセチレン系化合物を配合した保護膜は、
(A)合成樹脂の固形分 100質量部、
(B−1)下記一般式(1)
【化6】


(式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
で表されるアセチレングリコール、下記一般式(2)
【化7】


(式中、R3及びR4はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を示し、Aは−(C24O)w1−(C36O)x1−(C24O)y1−(C36O)z1−Hであり、Bは−(C24O)w2−(C36O)x2−(C24O)y2−(C36O)z2−Hであり、w1、w2、x1、x2、y1、y2、z1、z2はそれぞれ0又は0.5〜25の正数であり、w1+w2+y1+y2は0.5〜50、x1+x2+z1+z2は0.5〜50であり、w1+w2+x1+x2+y1+y2+z1+z2は1〜100である。)
で表されるアセチレングリコールのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイドブロック型付加物、及び下記一般式(3)
【化8】


(式中、R5及びR6はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を示し、Dは−(C24O/C36O)m−Hであり、Eは−(C24O/C36O)n−Hであり、m及びnはそれぞれ0又は0.5〜50の正数であり、m+nは1〜100である。)
で表されるアセチレングリコールのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム型付加物から選ばれる1種又は2種以上:10〜90質量%、
(B−2)下記一般式(4)
7O(C36O)v(C24O)w(C36O)x(C24O)y(C36O)zH (4)
(式中、R7は炭素数1〜20のアルキル基、v、w、x、y、zは0又は1〜20の正数であり、v+w+x+y+z>0である。)
で表されるHLBが8〜18のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、並びに下記一般式(5)
【化9】


及び下記一般式(6)
【化10】


(式中、Mは独立にアルカリ金属又はアンモニウム基であり、R8は独立に水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。)
で表されるイオウ含有界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上:10〜90質量%、
(B−3)水及び/又は水溶性有機溶剤:0〜25質量%
の混合物 0.01〜10質量部
を含むものである。
【0015】
本発明の保護膜を形成するためのコーティング組成物において、その基本となる(A)成分は(メタ)アクリル酸エステル樹脂系エマルジョン、スチレン/アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、ウレタン樹脂系エマルジョン、エチレン/酢酸ビニル共重合体エマルジョン、ポリエステル樹脂、水溶性エポキシ樹脂から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。この中では、(メタ)アクリル酸エステル樹脂系エマルジョン、スチレン/アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体エマルジョンが、汎用性、価格の面から好適であるまた、樹脂は、公知の重合方法で乳化重合等したものでもよいし、市販品を使用してもよい。なお、(A)成分で用いられるエマルジョン中の固形分量は20〜60質量%が好ましく、更に好ましくは30〜50質量%である。
【0016】
(A)成分、特に(メタ)アクリル酸エステル樹脂系エマルジョン、スチレン/アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体エマルジョンに使用される不飽和基含有単量体は特に指定されるものではなく、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニル単量体類、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体類、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン等の共役ジエン系単量体類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル等のエチレン性不飽和モノカルボン酸エステル類、イタコン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノエチル、フマル酸ジブチル等のエチレン性不飽和ジカルボン酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸類、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸類、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有単量体類、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のアルコール基含有単量体類、メトキシエチルアクリレート等のアルコキシル基含有単量体類、アクリロニトリル等のニトリル基含有単量体類、アクリルアミド等のアミド基含有単量体類、ジメチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基含有単量体類、ジビニルベンゼン、アリルメタクリレート等の1分子中にエチレン性不飽和基を2個以上有する単量体類等が挙げられ、これらの単量体を用いて乳化重合することができる。
【0017】
上記乳化重合には、公知のあらゆる乳化重合法を採用することができる。不飽和基含有単量体及びその他の重合助剤(例えば、アルキル硫酸エステル塩等の乳化剤、過硫酸アンモニウム等の重合開始剤、炭酸ソーダ等のpH調整剤、各種消泡剤等)を初期に一括添加してもよいし、連続的に添加してもよいし、その一部を重合中に連続又は分割して添加してもよい。
【0018】
上記乳化重合に用いられる乳化剤としては、下記(1)〜(4)の界面活性剤が挙げられ、これら界面活性剤の1種又は2種以上が使用される。
【0019】
(1)アニオン系界面活性剤、例えばアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、脂肪酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルリン酸エステル塩等の界面活性剤。
【0020】
(2)ノニオン系界面活性剤、例えばポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、又はアセチレンアルコール、アセチレングルコール及びそれらのエチレンオキサイド付加物等の界面活性剤。
【0021】
(3)カチオン系界面活性剤、例えばアルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルアンモニウムクロライド、アルキルアミン塩等の界面活性剤。
【0022】
(4)分子中にラジカル重合能を有する二重結合を持つ重合性界面活性剤、例えばアルキルアリルスルホコハク酸塩、メタアクリロイルポリオキシアルキレン硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステル塩等の重合性界面活性剤。
【0023】
これら界面活性剤の使用量は、不飽和基含有単量体に対して0.3〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
【0024】
上記乳化重合に用いられる重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、2,2’−ジアミジノ−2,2’−アゾプロパンジ塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物が挙げられる。また、公知のレドックス系開始剤、例えば過硫酸カリウムと亜硫酸水素ナトリウム等も挙げられる。重合開始剤の使用量は、不飽和基含有単量体に対して0.1〜5質量部、好ましくは0.2〜2質量部である。
【0025】
上記乳化重合を行う重合温度は、通常は10〜90℃、好ましくは50〜80℃である。重合時間は3〜20時間である。この重合は、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気中で行うのが好ましい。
【0026】
本発明の保護膜を形成するコーティング組成物に配合する混合物のうち(B−1)成分は、下記一般式(1)で表されるアセチレングリコール、下記一般式(2)、(3)で表されるアセチレングリコールのアルキレンオキサイド付加物から選ばれる1種又は2種以上のアセチレングリコール類である。
【化11】


(式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
【化12】


(式中、R3及びR4はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を示し、Aは−(C24O)w1−(C36O)x1−(C24O)y1−(C36O)z1−Hであり、Bは−(C24O)w2−(C36O)x2−(C24O)y2−(C36O)z2−Hであり、w1、w2、x1、x2、y1、y2、z1、z2はそれぞれ0又は0.5〜25の正数であり、w1+w2+y1+y2は0.5〜50、好ましくは2.5〜42.5、更に好ましくは5〜42.5、x1+x2+z1+z2は0.5〜50、好ましくは2.5〜42.5、更に好ましくは5〜42.5であり、w1+w2+x1+x2+y1+y2+z1+z2は1〜100、好ましくは5〜85、更に好ましくは10〜85である。)
【化13】


(式中、R5及びR6はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を示し、Dは−(C24O/C36O)m−Hであり、Eは−(C24O/C36O)n−Hであり、m及びnはそれぞれ0又は0.5〜50、好ましくは2.5〜42.5の正数であり、m+nは1〜100、好ましくは5〜85である。)
【0027】
上記一般式(1)で表されるアセチレングリコールとしては、例えば、
2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール、
5,8−ジメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール、
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、
4,7−ジメチル−5−デシン−4,7−ジオール、
2,3,6,7−テトラメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、
3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、
2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール
等を挙げることができる。
【0028】
上記一般式(2)で表されるアセチレングリコールのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイドブロック型付加物として具体的には、例えば、
2,5,6,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオールのアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数10、プロピレンオキサイド付加モル数40、w1=2モル、w2=2モル、x1=8モル、x2=8モル、y1=3モル、y2=3モル、z1=12モル、z2=12モル)、
2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオールのアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数40、プロピレンオキサイド付加モル数10、w1=20モル、w2=20モル、x1=5モル、x2=5モル、y1、y2、z1、z2=0モル)、
5,8−ジメチル−6−ドデシン−5,8−ジオールのアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数20、プロピレンオキサイド付加モル数20、w1=7モル、w2=7モル、x1=10モル、x2=10モル、y1=3モル、y2=3モル、z1、z2=0モル)、
5,8−ジメチル−6−ドデシン−5,8−ジオールのアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数20、プロピレンオキサイド付加モル数20、w1、w2=0モル、x1=10モル、x2=10モル、y1=10モル、y2=10モル、z1、z2=0モル)、
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数20、プロピレンオキサイド付加モル数10、w1=3モル、w2=3モル、x1=1モル、x2=1モル、y1=7モル、y2=7モル、z1=4モル、z2=4モル)、
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数20、プロピレンオキサイド付加モル数10、w1=10モル、w2=10モル、x1=5モル、x2=5モル、y1、y2、z1、z2=0モル)、
4,7−ジメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数30、プロピレンオキサイド付加モル数6、w1=7モル、w2=7モル、x1=3モル、x2=3モル、y1=8モル、y2=8モル、z1、z2=0モル)、
4,7−ジメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数30、プロピレンオキサイド付加モル数6、w1、w2=0モル、x1=1モル、x2=1モル、y1=15モル、y2=15モル、z1=2モル、z2=2モル)、
2,3,6,7−テトラメチル−4−オクチン−3,6−ジオールのアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数8、プロピレンオキサイド付加モル数4、w1=2モル、w2=2モル、x1=1モル、x2=1モル、y1=2モル、y2=2モル、z1=1モル、z2=1モル)、
3,6−ジエチル−4−オクチン−3,6−ジオールのアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数24、プロピレンオキサイド付加モル数18、w1=5モル、w2=5モル、x1=9モル、x2=9モル、y1=7モル、y2=7モル、z1、z2=0モル)、
3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオールのアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数36、プロピレンオキサイド付加モル数26、w1=10モル、w2=10モル、x1=5モル、x2=5モル、y1=8モル、y2=8モル、z1=8モル、z2=8モル)、
2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオールのアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数44、プロピレンオキサイド付加モル数40、w1=8モル、w2=8モル、x1=4モル、x2=4モル、y1=14モル、y2=14モル、z1=16モル、z2=16モル)
等を挙げることができる。
【0029】
上記一般式(3)で表されるアセチレングリコールのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム型付加物として具体的には、例えば、
2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオールのアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数20、プロピレンオキサイド付加モル数20、m=20モル、n=20モル)、
5,8−ジメチル−6−ドデシン−5,8−ジオールのアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数10、プロピレンオキサイド付加モル数10、m=12モル、n=8モル)、
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数15、プロピレンオキサイド付加モル数15、m=13モル、n=17モル)、
4,7−ジメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数27、プロピレンオキサイド付加モル数27、m=27モル、n=27モル)、
2,3,6,7−テトラメチル−4−オクチン−3,6−ジオールのアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数2.5、プロピレンオキサイド付加モル数2.5、m=2.5モル、n=2.5モル)、
3,6−ジエチル−4−オクチン−3,6−ジオールのアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数21、プロピレンオキサイド付加モル数21、m=20モル、n=22モル)、
3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオールのアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数31、プロピレンオキサイド付加モル数31、m=27モル、n=35モル)、
2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオールのアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数42、プロピレンオキサイド付加モル数42、m=42モル、n=42モル)
等を挙げることができる。
【0030】
一般式(2)及び(3)で表されるアルキレンオキサイドの付加モル総数は、1〜100モル、好ましくは5〜85モル、更に好ましくは10〜85モルである。アルキレンオキサイド単位の付加モル総数が100モルを超えた場合、親水性が上がり、金属との親和力が低下する。その結果として、密着性、耐水性が低下する。
【0031】
また、一般式(2)及び(3)で表されるエチレンオキサイドの付加モル総数は0.5〜50モル、特に10〜40モルであることが好ましく、プロピレンオキサイドの付加モル総数は0.5〜50モル、特に10〜40モルであることが好ましい。エチレンオキサイドの付加モル総数が50モルを超えた場合、泡立ちが発生し、結果として膜を形成した際にピンホールが増加する等の不具合が生じる場合がある。0.5モル未満では混和性が低下する場合がある。一方、プロピレンオキサイドの付加モル総数が50モルを超えた場合、溶解性が低下し、凝集物が発生する場合があり、0.5モル未満では混和性が低下する場合がある。
【0032】
なお、(B−1)成分はナトリウム含有量が1,000ppm以下(0〜1,000ppm)で、更にカリウム含有量が2,000ppm以下(0〜2,000ppm)であることが好ましい。更に好ましくはナトリウムを100〜800ppm含有したものを用いることがよい。ナトリウム量を前記量以下に抑えることで防錆性、耐水性の低下を防ぐことができる。このようにナトリウム量、カリウム量を上記含有量にする手段としては、アセチレングリコールを精製したり、純度の高い原料を用いたり、製造工程中でできるかぎり金属汚染が起こらない環境で合成し、アセチレングリコールを製造することにより得ることができる。
【0033】
本混合物中の(B−1)成分は、その構造中に疎水基を持つため、水を呼び込みにくく、耐水性にも優れるものである。
【0034】
これらのアセチレングリコール類[(B−1)成分]は、その1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができ、本発明の保護膜を調製する際に用いられる量は、(B−1)成分と(B−2)成分及び後述する(B−3)成分の合計量中10〜90質量%であり、好ましくは20〜80質量%である。90質量%を超えると水性塗料として配合した場合に水への溶解性が悪くなり、10質量%未満であると保護膜作製時に泡立ちが発生し、結果として膜を形成した際にピンホールが増加する等の不具合が生じる場合がある。
【0035】
一方、(B−2)成分は、下記一般式(4)
7O(C36O)v(C24O)w(C36O)x(C24O)y(C36O)z
(4)
(式中、R7は炭素数1〜20のアルキル基、v、w、x、y、zは0又は1〜20の正数であり、v+w+x+y+z>0、好ましくはv+w+x+y+zは1〜80の正数である。)
で表されるHLBが8〜18のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、並びに下記一般式(5)
【化14】


及び下記一般式(6)
【化15】


(式中、Mは独立にアルカリ金属又はアンモニウム基であり、R8は独立に水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。)
で表されるイオウ含有界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上である。
【0036】
(B−1)成分のアセチレングリコール類に配合する(B−2)成分のポリオキシアルキレンエーテルとしては、一般式(4)で示されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルであればよいが、具体的には、C1225O(C24O)6(C36O)2(C24O)6(C36O)8H、C1327O(C24O)6(C36O)2(C24O)6(C36O)8H、C1225O(C24O)w(C36O)x(C24O)y(C36O)zH(但し、w+y=15、x+z=4)、C1327O(C24O)w(C36O)x(C24O)y(C36O)zH(但し、w+y=15、x+z=4)、C1225O(C24O)8(C36O)2(C24O)6H、C1327O(C24O)8(C36O)2(C24O)6H、C1327O(C24O)8(C36O)2(C24O)6H、C1225O(C24O)12(C36O)2(C24O)12H、C1327O(C24O)12(C36O)2(C24O)12H、CH3(CH29(CH3)CHO(C24O)7(C36O)4.5H、CH3(CH211(CH3)CHO(C24O)7(C36O)4.5H、CH3(CH29(CH3)CHO(C24O)5(C36O)3.5H、CH3(CH211(CH3)CHO(C24O)5(C36O)3.5H、C1429O(C24O)14(C36O)2H、C1429O(C24O)14(C36O)2H、C1633O(C36O)4(C24O)H、C1633O(C36O)4(C24O)10H、C1633O(C36O)4(C24O)20H、C1633O(C36O)8(C24O)20H、C1837O(C36O)20(C24O)1.5H、C1633O(C36O)4(C24O)10(C36O)4(C24O)10H、C1633O(C36O)4(C24O)19(C36O)4H等を挙げることができ、その1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。なお、これら(B−2)成分のHLBは8未満では、十分な水溶性が得られなくなるし、18を超えると塗布ムラが発生する場合がある。
【0037】
また、一般式(5)、(6)で表されるイオウ含有界面活性剤として具体的には、例えば、n−ヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸カリウム、ジアミルスルホコハク酸ナトリウム、1,3−ジメチルエチルスルホコハク酸ナトリウム、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸アンモニウム、1,3−ジメチルブチルスルホコハク酸ナトリウム等を挙げることができる。
(B−2)成分はその1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0038】
本発明の界面活性剤組成物を調製する際に用いられる(B−2)成分の量は、(B−1)成分と(B−2)成分及び下記(B−3)成分の合計量中10〜90質量%であり、好ましくは20〜80質量%である。10質量%未満だと(B−1)成分の可溶化が不十分になる場合があり、90質量%を超えると泡立ちが発生し、結果として膜を形成した際にピンホールが増加する等の不具合が生じる場合がある。
【0039】
本発明では、上記(B−1)成分及び(B−2)成分の2成分の合計が100質量%になるように用いるのが好ましいが、更に(B−3)成分として、純水、あるいはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセリンなどの水溶性有機溶剤を併用してもよく、本発明の保護膜を形成するためのコーティング組成物の特性を損なわない限り、(B−1)、(B−2)、(B−3)成分の合計量中0〜25質量%、好ましくは5〜20質量%の量で用いることができる。
【0040】
上記(B−1)成分、(B−2)成分、(B−3)成分の混合物の配合量は、上述した通り、(A)成分の固形分100質量部に対し0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.2〜2質量部である。該混合物の配合量が少なすぎると、ハジキ等による膜形成不良が発生し、多すぎると、泡立ちが多くなり、膜形成不良が発生する場合がある。
【0041】
また、(C)成分である充填剤は、チタン、タルク、カオリン、ベントナイト、マイカ、シリカ、重質炭酸カルシウム、クレー、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、ガラスビーズ、樹脂ビーズから選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。
その配合量は、(A)成分の固形分100質量部に対して0〜200質量部、特に1〜200質量部であるが、好ましくは5〜150質量部、更に好ましくは10〜100質量部である。(C)成分の量が少なすぎると、膜の乾燥時間が長くなり、作業上好ましくない場合があり、(C)成分の量が多すぎると、膜伸び率が低下し、結果として膜の強度が低下する場合がある。
【0042】
本発明の保護膜を得るためのコーティング組成物は、例えば、上記各成分をプロペラ式撹拌機などの公知の混合調製方法により混合することによって得られる。また、常温にて固体の成分については、必要により加温して混合するものである。
【0043】
また更に、コーティング組成物には、その性能を損なわない程度に湿潤剤、分散剤、消泡剤、成膜助剤、凍結安定剤、レベリング剤、界面活性剤、光安定剤、防腐剤等の添加剤を配合し得る。
【0044】
以上のように得られた組成物を、建材、建築外装材、車両、硝子繊維処理材等に、ロールコータ、はけ塗り、スリットダイコータ、ナイフコータ、スプレイコータ、カーテンコータ等により厚さ1〜100μm、好ましくは2〜50μm塗布し、加熱・乾燥させて保護膜として得ることができる。また、保護膜を塗布するにあたり、被塗布材の表面は表面処理されていてもよい。なお、加熱・乾燥温度は105〜160℃とすることが好ましい。
【実施例】
【0045】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、例中の部及び%はそれぞれ質量部、質量%を示す。
【0046】
[実施例及び比較例]
(B−1)、(B−2)、(B−3)成分の配合量を表1に示す。
<(B−1)、(B−2)配合物>
【表1】

【0047】
(B−1)成分
B−1−1:2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール
B−1−2:2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数20、プロピレンオキサイド付加モル数10、w1=3モル、w2=3モル、x1=1モル、x2=1モル、y1=7モル、y2=7モル、z1=4モル、z2=4モル)
B−1−3:2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数15、プロピレンオキサイド付加モル数15、m=13モル、n=17モル)
B−1−4:2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオールのアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数42、プロピレンオキサイド付加モル数42、m=42モル、n=42モル)
B−1−4’:組成はB−1−4と同様。
B−1−5:2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオールのアルキレンオキサイド付加物(エチレンオキサイド付加モル数60、プロピレンオキサイド付加モル数60、m=60モル、n=60モル)
(B−2)成分
B−2−1:ノイゲンET−116B(第一工業製薬社製商品名、R7O(C24O)w(C36O)xH、R7:炭素数12、14のアルキル、w=7、x=4.5、HLB12.0)
B−2−2:ノイゲンDL−0415(第一工業製薬社製商品名、R7O(C24O)w(C36O)x(C24O)y(C36O)zH、R7:炭素数12,13のアルキル、w+y=15、x+z=4、HLB15.0)
B−2−3:ノイゲンYX−400(第一工業製薬社製商品名、R7O(C24O)wH、R7:炭素数12のアルキル、w=40、HLB18.1)
B−2−4:ノイゲンDH−0300(第一工業製薬社製商品名、R7O(C24O)wH、R7:炭素数14のアルキル、w=2、HLB4.0)
B−2−5:ニッコールPBC−33(日光ケミカルズ社製商品名、CH3(CH214CH2O(C36O)4(C24O)10H、HLB10.5)
B−2−6:ニッコールPEN4630(日光ケミカルズ社製商品名、C2449(C36O)6(C24O)30H、HLB12.0)
B−2−7:ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム
B−2−8:ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸カリウム
(B−3)成分
EG:エチレングリコール
PG:プロピレングリコール
【0048】
なお、ICP発光分光光度計 IRIS Intorepid II XSPにてNaを定量した。
【0049】
<保護膜用コーティング組成物配合>
ビニブラン2583(日信化学工業社製アクリルエマルジョン商品名、固形分45%)50部、充填剤ペースト30部、イオン交換水15部、アジピン酸ジヒドラジト5%水溶液4部、配合物(M−1〜M15)1部を混合して評価用保護膜を得た。
《充填剤[(C)成分]ペースト調製》
二酸化チタン(石原産業社製タイペークR−780)70部、消泡剤(エアプロダクツ社製サーフィノールDF−58)0.5部、顔料分散剤(ビックケミー社製ディスパーBYK−190)5部、イオン交換水24.5部を混合した後、更にディスパーにて分散し、顔料ペーストを得た。
【0050】
<コーティング組成物塗布試料作製>
車両用として亜鉛メッキ鋼板を選択し、これに乾燥膜厚が10μmとなるように塗布し、その後110℃で10分間乾燥して保護膜を形成し、評価用試料板1とした。
また、外装建築用としては窯業系サイディング材、アルミサイディング材、鉄サイディング材等あるが、今回はアルミニウムを選択し、これに乾燥膜厚が30μmとなるように塗布し、その後110℃で10分間乾燥して保護膜を形成し、評価用試料板2とした。
《組成物及び保護膜の性能評価》
粘度 パドル型粘度計を用いて測定した(23℃)。
pH JIS Z 8802に準じ、試料をそのまま用いて測定した。
防錆性 評価用試料板をJIS K 5600に従い、塩水噴霧試験を行った。
試験後、カット部の錆び発生状態、密着性、塗膜外観を評価した。
◎:カット部からの錆が発生しておらず、密着性が100/100。
○:カット部からの赤さびが5%以下。
△:カット部からの赤さびが6〜20%。
×:カット部からの赤さびが20%を超える。
密着性 JIS K 5600の碁盤目テープ法により試験を行った。
セロハンテープ剥離後の塗膜の状態を確認し、剥がれが生じなかった面積を
表示した。
耐水性 密着性と同様の試料板を50℃温水中に10日間浸漬した後、塗膜外観(変
色、ふくれ、剥がれ等)、密着性を評価した。
◎:塗膜外観に変化がなく、密着性が100/100。
○:カット部からのふくれがあり、密着性が80/100以上。
△:カット部からのふくれがあり、密着性が50/100以上。
×:カット部からのふくれがあり、密着性が50/100未満。
上記結果を表2に示す。
【0051】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)合成樹脂の固形分 100質量部、
(B−1)下記一般式(1)
【化1】


(式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
で表されるアセチレングリコール、下記一般式(2)
【化2】


(式中、R3及びR4はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を示し、Aは−(C24O)w1−(C36O)x1−(C24O)y1−(C36O)z1−Hであり、Bは−(C24O)w2−(C36O)x2−(C24O)y2−(C36O)z2−Hであり、w1、w2、x1、x2、y1、y2、z1、z2はそれぞれ0又は0.5〜25の正数であり、w1+w2+y1+y2は0.5〜50、x1+x2+z1+z2は0.5〜50であり、w1+w2+x1+x2+y1+y2+z1+z2は1〜100である。)
で表されるアセチレングリコールのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイドブロック型付加物、及び下記一般式(3)
【化3】


(式中、R5及びR6はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を示し、Dは−(C24O/C36O)m−Hであり、Eは−(C24O/C36O)n−Hであり、m及びnはそれぞれ0又は0.5〜50の正数であり、m+nは1〜100である。)
で表されるアセチレングリコールのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダム型付加物から選ばれる1種又は2種以上:10〜90質量%、
(B−2)下記一般式(4)
7O(C36O)v(C24O)w(C36O)x(C24O)y(C36O)zH (4)
(式中、R7は炭素数1〜20のアルキル基、v、w、x、y、zは0又は1〜20の正数であり、v+w+x+y+z>0である。)
で表されるHLBが8〜18のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、並びに下記一般式(5)
【化4】


及び下記一般式(6)
【化5】


(式中、Mは独立にアルカリ金属又はアンモニウム基であり、R8は独立に水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。)
で表されるイオウ含有界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上:10〜90質量%、
(B−3)水及び/又は水溶性有機溶剤:0〜25質量%
の混合物 0.01〜10質量部
を含むことを特徴とする保護膜。
【請求項2】
更に、(C)充填剤 1〜200質量部
を含むことを特徴とする請求項1記載の保護膜。
【請求項3】
前記(A)成分が、(メタ)アクリル酸エステル樹脂系エマルジョン、スチレン/アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、ウレタン樹脂系エマルジョン、エチレン/酢酸ビニル共重合体エマルジョン、ポリエステル樹脂、及び水性エポキシ樹脂から選ばれる1種又は2種以上からなる請求項1又は2記載の保護膜。
【請求項4】
前記(B−1)成分のナトリウム含有量が1,000ppm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の保護膜。
【請求項5】
膜厚が1〜100μmである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の保護膜。
【請求項6】
建材用、建築外装用、車両用又は硝子繊維処理用である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の保護膜。

【公開番号】特開2008−62193(P2008−62193A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−243773(P2006−243773)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(000226666)日信化学工業株式会社 (40)
【Fターム(参考)】