説明

アッシャ装置及び半導体製造方法

【課題】ポッピング現象の発生を抑制し、基板の搬送を効率的にすることができるアッシャ装置及び半導体の製造方法を提供する。
【解決手段】アッシャ装置10は、ウエハ600のベーキングを行うロードロックチャンバ250と、ウエハ600をロードロックチャンバ250に搬送するカセットトランスファーユニット110と、ベーキングされたウエハ600のアッシング処理を行うプロセスチャンバ410と、ウエハ600を搬送するトランスファーチャンバ310とを有し、ロードロックチャンバ250は、真空引きがなされるとともにウエハ600のベーキング処理を開始し、ベーキング処理時に基板にポッピングが生じない程度の温度でウエハ600をベーキングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプラズマアッシング処理等のアッシング処理を行うアッシャ装置、及び基板のアッシング処理する工程を含む半導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
10トール以上の圧力状態でシリコン基板を反応チャンバの中のホットプレートに置いて所定の時間の間ベーキングを実施するインサイチューベーキング段階と、シリコン基板がホットプレートに置かれている状態で安定な真空状態を作る真空段階と、 反応チャンバに反応ガスを選別注入するガス工程段階と、フォトレジストが大部分除去されるまでプラズマを発生させるアッシング段階と、を含むことを特徴とする半導体ウエハアッシング方法が知られている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特表2005−523586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、例えばハイドーズイオン注入等を原因とするポッピング現象の対策であるが、基板の搬送効率が効率的ではないとの問題点があった。これは、ベーキング処理及びプラズマ処理がインサイチューであるためである。ここで、ポッピング現象とは、基板に塗布されたレジストの表面層が硬化し、剥離し難い状態に変質し、この状態でアッシング処理がなされた場合に、レジストの硬化した表面層の下部にある通常の状態にあるレジストが流動性となり、硬化したレジスト表面層を突き破り噴出する現象をいう。ポッピング現象は、レジストへのイオン注入工程を経ると特に生じやすく、ポッピング現象が生じると、基板に表面に硬化したレジストが飛び散り、飛び散ったレジストは、たとえ洗浄工程にて洗浄しても基板表面から除去することが困難であり、また、処理室内が飛び散った硬化した状態にあるレジストで汚染されてしまう。
【0005】
本発明は、例えばハイドーズイオン注入等を原因とするポッピング現象の発生を抑制するとともに、基板の搬送効率を効率的にすることができるアッシャ装置及び半導体製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴とするところは、基板のベーキング処理を行うベーキング処理室と、基板を前記ベーキング処理室に搬送する第1の搬送部と、前記ベーキング処理室でベーキングされた基板のアッシング処理を行うアッシング処理室と、前記ベーキング処理室と前記アッシング処理室との間で相互に基板を搬送する第2の搬送部を備える搬送室と、を有し、前記ベーキング処理室は、真空引きがなされるとともに基板のベーキング処理を開始し、ベーキング処理時に基板にポッピングが生じない程度の温度で基板をベーキングするアッシャ装置にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ハイドーズイオン注入等を原因とするポッピング現象の発生を抑制するとともに、基板の搬送効率を効率的にすることができるアッシャ装置及び半導体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明の好ましい実施例を、図面を参照して詳細に説明する。本発明の好ましい実施例においては、半導体製造装置としてアッシャ装置を使用する。
図1は、本発明の好ましい実施例のアッシャ装置を説明するための概略横断面図であり、図2、図3は、本発明の好ましい実施例のアッシャ装置を説明するための概略縦断面図である。図1、図2に示されるように、アッシャ装置10は、カセットトランスファー部100と、ロードロックチャンバ部200と、トランスファーチャンバ部300と、アッシング処理室として用いられるプロセスチャンバ部400とを備えている。
【0009】
カセットトランスファー部100は、第1の搬送部として用いられるカセットトランスファーユニット110、120を備え、カセットトランスファーユニット110、120は、基板として用いられるウエハ600を支持するカセット500を載置するカセットテーブル111、121と、カセットテーブル111、121のY軸130、Z軸140をそれぞれ動作させるY軸アセンブリ112、122、Z軸アセンブリ113、123を、それぞれが備えている。
【0010】
ロードロックチャンバ部200は、ベーキング処理室として用いられているロードロックチャンバ250、260と、カセットテーブル111、121に載置されたカセット500からウエハ600をそれぞれ受取り、ウエハ600をロードロックチャンバ250、260内でそれぞれ保持するバッファユニット210、220と、図示しない圧力調整部とを備えている。バッファユニット210、220は、バッファフィンガーアセンブリ211、221とその下部のインデックスアセンブリ212、222とを備えている。バッファフィンガーアセンブリ211(221)と、その下部のインデックスアセンブリ212(222)は、θ軸214(224)により同時に回転する。
【0011】
図5には、ロードロックチャンバ250の周辺の構成が模式的に示されている。
ロードロックチャンバ250の、例えば外側には、予備加熱手段として用いられるヒータ230が設けられている。ヒータ230は、例えば略円等形状を有し、その円筒内にロードロックチャンバ250が位置するように設けられていて、例えばランプ、金属発熱体、セラミックカーボン、SiC等から構成されている。そして、ヒータ230は、ロードロックチャンバ250を、外側の周面から加熱して、ロードロックチャンバ250内に装填されたウエハ600をベーキング(予備加熱)する。
【0012】
この実施形態では、ロードロックチャンバ250の外側にヒータ230が設けられ、ヒータ230によってロードロックチャンバ250が外側から加熱されるが、これに替えて、ヒータ230をロードロックチャンバ250の内側に設け、内側からロードロックチャンバ250を加熱するようにしても良い。
【0013】
トランスファーチャンバ部300は、搬送室として用いられるトランスファーチャンバ310を備えており、先述のロードロックチャンバ250、260は、ゲートバルブ311、312を介して、トランスファーチャンバ310に取り付けられている。トランスファーチャンバ310には、第2の搬送部として用いられる真空アームロボットユニット320が設けられている。
【0014】
プロセスチャンバ部400は、アッシング処理室として用いられるプロセスチャンバ410、420と、その上部に設けられたプラズマ発生室430、440とを備えている。プロセスチャンバ410、420は、ゲートバルブ313、314を介してトランスファーチャンバ310に取り付けられている。
【0015】
プロセスチャンバ410、420は、ウエハ600を載置するサセプタテーブル411、421を備えている。サセプタテーブル411、421をそれぞれ貫通してリフターピン413、423が設けられている。サセプタテーブル411、421は、Z軸412、422により、それぞれ上下する。
【0016】
プラズマ発生室430、440は、チャンバ431、441をそれぞれ備え、チャンバ431、441の外部には、高周波コイル432、442が設けられている。高周波コイル432、442に高周波電力を印加して、ガス導入口433、443から導入されたアッシング処理用のガスをプラズマ化し、そのプラズマを利用してサセプタテーブル411、421上に載置されたウエハ600上のレジストをアッシングする。尚、トランスファーチャンバ部400は、後に詳細を記載する。
【0017】
次に、カセットテーブル111(121)からロードロックチャンバ250(260)までのウエハ600の搬送動作について説明する。
【0018】
以上のように構成されたアッシャ装置10においては、カセットテーブル111(112)からロードロックチャンバ250(260)へとウエハ600が搬送される。この際、図2、図3に示されるように、カセットテーブル111(121)にカセット500を搭載してZ軸140が下方向に動作する。Z軸140が下にある状態でバッファフィンガーアセンブリ211(221)のY軸130がカセット500の方向に動作する。I軸230の動作により25枚のウエハ600をバッファフィンガーアセンブリ211(221)のバッファフィンガー213(223)がカセット500から受け取る。受け取った状態でY軸130がもとの位置まで下がる。バッファフィンガーアセンブリ211(221)が上昇し、ロードロックチャンバ250(260)へウエハ600が格納される。ウエハ600を格納後、圧力調整部により真空引きを行う都度、ヒータ230を起動し、ポッピングが起きない程度の温度でウエハ600を加熱する。
【0019】
ロードロックチャンバ250(260)においては、ロードロックチャンバ250(260)内にバッファユニット210(220)によって、保持されているウエハ600を、真空アームロボットユニット320のフィンガー321に搭載し、θ軸325により真空アームロボットユニット320を回転し、Y軸326により、プロセスチャンバ410(420)内のサセプタテーブル411(421)上に移載する。そして、真空アームロボットユニット320のフィンガー321とリフターピン413(423)との協働により、ウエハ600をサセプタテーブル411(421)上に移載する。また、逆の動作により、処理が終了したウエハ600をサセプタテーブル411(421)から、真空アームロボットユニット320によって、ロードロックチャンバ250(260)内のバッファユニット210(220)にウエハ600を移載する
【0020】
図4には、プロセスチャンバ410の詳細が示されている。尚、先述のプロセスチャンバ420は、プロセスチャンバ410と同じ構成である。
プロセスチャンバ410は、半導体基板や半導体素子に乾式処理でアッシングを施す高周波無電極放電型のプロセスチャンバである。プロセスチャンバ410は、図4に示すように、先述のプラズマを生成するためのプラズマ発生室430、半導体基板などのウエハ600を収容する処理室445、プラズマ発生室430に高周波電力を供給する高周波電源444、及び高周波電源444の発振周波数を制御する周波数整合器446を備えており、例えば、架台としての水平なベースプレート448の上部に前記のプラズマ発生室430を配置し、ベースプレート448の下部に処理室445を配置して構成される。
【0021】
プラズマ発生室430は、減圧可能に構成され且つプラズマ用ガスが供給される、先述のチャンバ431と、反応容器の外周に巻回された共振コイル450と、共振コイル450の外周に配置され且つ電気的に接地された外側シールド452とから構成される。
【0022】
チャンバ431は、通常、高純度の石英硝子やセラミックスにて円筒状に形成された所謂チャンバである。チャンバ431は、通常、軸線が垂直になるように配置され、トッププレート454及び処理室445によって上下端を気密に封止される。チャンバ431の下方の処理室445には、真空ポンプに接続され且つチャンバ431及び処理室445の内部を真空引きするための排気管456が、空気抵抗の役割を果たすバッフルリング458を介して設けられ、チャンバ431の上部のトッププレート454には、図示を省略する材料ガス供給設備から伸長され且つ所要のプラズマ用ガスを供給するためのガス供給管455が、先述のガス導入口433に付設されている。また、チャンバ431内には、ガスをチャンバ431の内壁に沿って流れるようにするための略円板形で、石英からなるバッフル板460が設けられている。
【0023】
共振コイル450は、所定の波長の定在波を形成するため、一定波長モードで共振するように巻径、巻回ピッチ、巻数が設定される。すなわち、共振コイル450の電気的長さは、高周波電源444から供給される電力の所定周波数における1波長の整数倍(1倍、2倍、…)又は半波長もしくは1/4波長に相当する長さに設定される。
【0024】
具体的には、共振コイル450は、印加する電力や発生させる磁界強度又は適用する装置の外形などを勘案し、例えば、800kHz〜50MHz、0.5〜5KWの高周波電力によって0.01〜10ガウス程度の磁場を発生し得るように、50〜300mm の有効断面積であって且つ200〜500mmのコイル直径に構成され、チャンバ431の外周側に2〜60回程度巻回される。共振コイル450を構成する素材としては、銅パイプ、銅の薄板、アルミニウムパイプ、アルミニウム薄板、ポリマーベルトに銅又はアルミニウムを蒸着した素材などが使用される。共振コイル450は、絶縁性材料にて平板状に形成され且つベースプレート448の上端面に鉛直に立設された複数のサポートによって支持される。
【0025】
共振コイル450の両端は電気的に接地されるが、共振コイル450の少なくとも一端は、装置の最初の設置の際又は処理条件の変更の際に当該共振コイルの電気的長さを微調整するため、可動タップ462を介して接地される。図4中の符号464は他方の固定グランドを示す。更に、装置の最初の設置の際又は処理条件の変更の際に共振コイル450のインピーダンスを微調整するため、共振コイル450の接地された両端の間には、可動タップ466によって給電部が構成される。
【0026】
すなわち、共振コイル450は、電気的に接地されたグランド部を両端に備え且つ高周波電源444から電力供給される給電部を各グランド部の間に備え、しかも、少なくとも一方のグランド部は、位置調整可能な可変式グランド部とされ、そして、給電部は、位置調整可能な可変式給電部とされる。共振コイル450が可変式グランド部及び可変式給電部を備えている場合には、後述するように、プラズマ発生室430の共振周波数及び負荷インピーダンスを調整するにあたり、より一層簡便に調整することができる。
【0027】
更に、共振コイル450の一端(もしくは他端または両端)には、位相及び逆位相電流が共振コイル450の電気的中点に関して対称に流れるように、コイル及びシールドから成る波形調整回路が挿入されてもよい。斯かる波形調整回路は、共振コイル450の端部を電気的に非接続状態とするか又は電気的に等価の状態に設定することにより開路に構成される。また、共振コイル450の端部は、チョーク直列抵抗によって非接地とし、固定基準電位に直流接続されてもよい。
【0028】
外側シールド452は、共振コイル450の外側の電界を遮蔽するとともに、共振回路を構成するのに必要な容量成分を共振コイル450との間に形成するために設けられる。外側シールド452は、一般的には、アルミニウム合金、銅又は銅合金などの導電性材料を使用して円筒状に形成される。外側シールド452は、共振コイル450の外周から、例えば5〜150mm程度隔てて配置される。そして、通常、外側シールド452は、共振コイル450の両端と電位が等しくなるように接地されるが、共振コイル450の共振数を正確に設定するため、外側シールド452の一端又は両端は、タップ位置を調整可能になされたり、あるいは、共振コイル450と外側シールド452の間には、トリミングキャパシタンスが挿入されたりしてもよい。
【0029】
ウエハ600を収容する上記の処理室445は、例えば短軸の略有底円筒状に形成されている。処理室445には、ウエハ600を水平に保持し短軸円柱状の、先述のサセプタテーブル411が設けられる。サセプタテーブル411には、一般に使用される静電チャックが備えられていてもよい。
【0030】
高周波電源444としては、共振コイル450に必要な電圧及び周波数の電力を供給できる電源である限り、Rfゼネレータ等の適宜の電源を使用でき、例えば、周波数80kHz〜800MHzで0.5〜5KW程度の電力を供給可能な高周波発生器が使用される。
【0031】
また、高周波電源444の出力側には反射波電力計468が設置され、反射波電力計468によって検出された反射波電力が、制御部として用いられるコンピュータ470に入力される。コンピュータ470は、単に高周波電源444のみを制御するものではなく、アッシャ装置10全体の制御を行っている。コンピュータ470には、表示装置472が接続されている。表示装置472は、例えば、反射波電力計468による反射波の検出結果等、アッシャ装置10に設けられた各種検出部で検出されたデータ等を表示する。尚、コンピュータ470は、反射波電力の検出に限らず各部の制御も行う。
【0032】
以上のように構成されたアッシャ装置10では、第1の搬送工程として、複数の(例えば25枚の)ウエハ600が、ロードロックチャンバ250(260)内に搬送される。次に、ベーキング処理工程として、ロードロックチャンバ250(260)に搬送されウエハ600がヒータ230によりベーキングされる。次に、第2の搬送工程として、予め定められた所定温度に到達したウエハ600が、ロードロックチャンバ250から、プロセスチャンバ410(420)へと搬送される。次に、アッシング処理工程として、プロセスチャンバ410(420)内で、ウエハ600のアッシング処理がなされる。
【0033】
そして、ベーキング処理工程では、ロードロックチャンバ250(260)内を60秒〜90秒の間、真空引き(真空置換)する。真空引きを開始するとともに、ウエハ600にベーキング処理が開始される。この時、ウエハ600をベーキングする際の圧力が10トール(Torr)以上であり、ベーキングする温度をウエハ600にポッピングが生じない程度の温度である、例えば150℃以下とする。
【0034】
また、ベーキング処理工程では、略真空であるトランスファーチャンバ310内の圧力と、大気圧であるカセットトランスファーユニット110(120)内の圧力との間の圧力にロードロックチャンバ250(260)内が保たれた状態で、ウエハ600のベーキング処理がなされる。
【0035】
以上のように、このアッシャ装置10では、プロセスチャンバ410(420)内でのアッシング処理に先立だって、ロードロックチャンバ250(260)内で複数のウエハ600のベーキング(予備加熱)がなされる。このため、プロセスチャンバ410(420)での、ウエハ600のベーキング処理を不要としたり、プロセスチャンバ410(420)でのウエハ600をベーキングする時間を短縮したりすることができる。その結果、プロセスチャンバ410(420)でベーキング処理を行うよりも、基板処理のスループットを高くすることができる。
【0036】
また、以上のように、この実施形態では、10トール以上の高圧力の下でウエハ600がベーキングされるため、ウエハ600表面の少なくとも一部に塗布されたレジストの表面層が、例えばイオン注入がなされる等の原因で硬化した状態にあったとしても、硬化したレジストの表面層の下にある通常のレジスト層の揮発、膨張が生じにくい。尚、ウエハ600に塗布されたレジストにイオン注入がなされていない場合であっても、硬化したレジストの表面層の下にある通常の状態にあるレジスト層の揮発、膨張が生じにくくなることはウエハ600に塗布されたレジストにイオン注入がなされた場合と同様である。このように、この実施形態ではスループットが高く、かつポッピング現象を防止することができる。
【0037】
また、以上のようにこの実施形態では、ロードロックチャンバ250(260)が真空引きされる時間が60秒〜90秒と1分乃至は1分強の時間であり、その間に複数のウエハ600をベーキングするので、アッシャ装置10におけるアッシング処理の生産性が高い。
【0038】
また、以上のように、この実施形態では、ロードロックチャンバ250(260)で、25枚との複数枚のウエハ600が一括してベーキングされる。このため、ウエハ600を1枚ずつベーキング処理するアッシャ装置と比較して、ウエハ600のスループットが向上する。
【0039】
以上で説明をした実施形態においては、ウエハ600をベーキングする温度が、ウエハ600にポッピングが生じない程度の温度である150℃以下に設定されたが、ウエハ600をベーキングする温度は、例えば100℃〜300℃の範囲で適宜定めることができる。
【0040】
また、以上で説明をした実施形態においては、ロードロックチャンバ250(260)内を、Oガス、Nガス、Hガス、HOガスのいずれかの雰囲気として、ウエハ600のベーキング処理を行うことが望ましい。
【0041】
また、以上で説明をした実施形態においては、ロードロックチャンバ250(260)内を、Oガス、Nガス、Hガス、HOガスからなる群から選択された少なくとも2つのガスが混合された雰囲気として、ウエハ600のベーキング処理を行うことが望ましい。
【0042】
また、以上で説明をした実施形態においては、ロードロックチャンバ250(260)内を、Oガス、Nガス、Hガス、又はOガス、Nガス、Hガスからなる群から選択された少なくとも2つのガスと、HOガスとが混合された雰囲気として、ウエハ600のベーキング処理を行うことが望ましい。
【0043】
ベーキング処理工程では、ベーキング温度が150℃以下であったのに対して、アッシング処理工程では、プロセスチャンバ410(420)内は、例えば250℃に加熱されている。また、ベーキング処理工程では、ロードロックチャンバ250(260)内の圧力が10トール以上とされたが、アッシング処理工程では、プロセスチャンバ410(420)内は略真空に保たれる。
【0044】
本発明の好ましい実施形態を付記する。
【0045】
〔付記1〕
基板のベーキング処理を行うベーキング処理室と、基板を前記ベーキング処理室に搬送する第1の搬送部と、前記ベーキング処理室でベーキングされた基板のアッシング処理を行うアッシング処理室と、前記ベーキング処理室と前記アッシング処理室との間で相互に基板を搬送する第2の搬送部を備える搬送室と、を有し、前記ベーキング処理室は、真空引きがなされるとともに基板のベーキング処理を開始し、ベーキング処理時に基板にポッピングが生じない程度の温度で基板をベーキングするアッシャ装置。
【0046】
付記1のアッシャ装置のベーキング処理室内では、アッシング処理室内でのアッシング処理に先立だってベーキング処理室内で基板のベーキング(予備加熱)がなされる。このため、アッシャ処理室内での基板のベーキング処理を行う時間をなくしたり、アッシング処理室内で基板のベーキングを行うアッシャ装置と比較して、アッシング処理室内で基板をベーキング処理する時間を短縮したりすることができる。
【0047】
〔付記2〕
前記ベーキング処理室は、60秒乃至90秒の真空引きがなされるとともに基板のベーキング処理を開始し、ベーキング処理時の圧力が10トール以上である付記1記載のアッシャ装置。
【0048】
付記2のアッシャ装置では、10トール以上との高圧力の下でベーキングされるため、基板表面の少なくとも一部に塗布されたレジストの表面層が、例えばイオン注入がなされる等の原因で硬化した状態にあったとしても、硬化したレジストの表面層の下にある通常のレジスト層の揮発、膨張が生じにくい。尚、レジストにイオン注入がなされていない場合であっても、硬化したレジストの表面層の下にある通常の状態にあるレジスト層の揮発、膨張が生じにくくなることは、レジストにイオン注入がなされた場合と同様である。
【0049】
また、付記2のアッシャ装置では、ベーキング処理室の真空引きがなされる時間が、60秒〜90秒と1分乃至は1分強の時間であるので、ベーキング処理を行ってもアッシャ処理の生産性が低下は、ほとんど生じない。
【0050】
〔付記3〕
前記搬送室内は略真空と、前記第1の搬送部の回りは略大気圧である付記1記載のアッシャ装置。
【0051】
〔付記4〕
前記ベーキング処理室内は、真空引きがなされることで、略真空である前記搬送室内の圧力と、略大気圧である前記第1の搬送部の回りの圧力との間の圧力でベーキング処理を行う付記1記載のアッシャ装置。
【0052】
〔付記5〕
前記ベーキング処理室は、複数枚の基板を一括してベーキングする付記1記載のアッシャ装置。付記5のアッシャ装置では、複数枚の基板を一括してベーキングするので、基板を1枚ずつベーキング処理する装置と比較して、基板のスループットが向上する。
【0053】
〔付記6〕
前記基板にポッピングが生じない程度の温度が、100℃〜300℃に設定される付記1記載のアッシャ装置。
【0054】
〔付記7〕
前記ベーキング処理室は、Oガス、Nガス、Hガス、HOガスのいずれかの雰囲気で基板のベーキング処理を行う付記1記載のアッシャ装置。
【0055】
〔付記8〕
前記ベーキング処理室は、Oガス、Nガス、Hガス、HOガスからなる群から選択された少なくとも2つのガスが混合された雰囲気で基板のベーキング処理を行う付記1記載のアッシャ装置。
【0056】
〔付記9〕
前記ベーキング処理室は、Oガス、Nガス、Hガス、又はOガス、Nガス、Hガスからなる群から選択された少なくとも2つのガスと、HOガスとが混合された雰囲気で基板のベーキング処理を行う付記1記載のアッシャ装置。
【0057】
〔付記10〕
複数の基板をベーキング処理室に搬送する第1の搬送工程と、前記ベーキング処理室に搬送された基板をベーキング処理するベーキング処理工程と、所定温度に到達した基板を、前記ベーキング処理室からアッシング処理室に搬送する第2の搬送工程と、前記処アッシング処理室内で基板のアッシング処理を行うアッシング処理工程と、を有し、前記ベーキング処理工程は、真空引きをするとともに基板のベーキング処理を開始し、ベーキングする温度が基板にポッピングが生じない程度の温度である半導体製造方法。
【0058】
〔付記11〕
前記ベーキング処理室は、60秒乃至90秒の真空引きがなされるとともに基板のベーキング処理を開始し、ベーキング処理時の圧力が10トール以上である付記10記載の半導体製造方法。
【0059】
〔付記12〕
大気環境から基板をロードロック室に搬送した後、前記ロードロック室内において、10トール以上圧力下で基板を加熱し、所定時間、所定温度で基板をベーキングした後に、加熱された基板をプロセス処理室に搬送し、前記プロセス修理室内にガスを流して基板からレジストの剥離を行うアッシング処理方法。
【0060】
〔付記13〕
前記所定温度は、100℃〜300℃である付記12記載のアッシング処理方法。
【0061】
〔付記14〕
ベーキング時にHOを添付する付記12記載のアッシング処理方法。
【0062】
〔付記15〕
前記ロードロック室に一度に挿入する基板の枚数が、1枚又は複数枚である付記12記載のアッシング処理方法。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上述べたように、本発明は、例えばプラズマアッシング処理等のアッシング処理を行うアッシャ装置、及び基板のアッシング処理する工程を含む半導体の製造方法に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の好ましい実施例のアッシャ装置を説明するための概略横断面図である。
【図2】本発明の好ましい実施例のアッシャ装置を説明するための概略縦断面図である。
【図3】本発明の好ましい実施例のアッシャ装置を説明するための概略縦断面図である。
【図4】本発明の好ましい実施例のアッシャ装置に用いられるプロセスチャンバを示す断面図である。
【図5】本発明の好ましい実施例のアッシャ装置に用いられるロードロックチャンバ周辺の構成を模式的に示す模式図である。
【符号の説明】
【0065】
10…アッシャ装置
100…カセットトランスファー部
110、120…カセットトランスファーユニット
111…カセットテーブル
112、122…Y軸アセンブリ
113、123…Z軸アセンブリ
130…Y軸
140…Z軸
200…ロードロックチャンバ部
210、220…バッファユニット
211、221…バッファフィンガーアセンブリ
212、222…インデックスアセンブリ
213…バッファフィンガー
214…θ軸
230…I軸
250、260…ロードロックチャンバ
300…トランスファーチャンバ部
310…トランスファーチャンバ
311、312、313、314…ゲートバルブ
320…真空アームロボットユニット
321…フィンガー
325…θ軸
326…Y軸
330…ヒータ
400…プロセスチャンバ部
410、420…プロセスチャンバ
411、421…サセプタテーブル
412、422…Z軸
413、423…リフターピン
430、440…プラズマ発生室
431、441…チャンバ
432、442…高周波コイル
433、443…ガス導入口
445…処理室
444…高周波電源
446…周波数整合器
448…ベースプレート
450…共振コイル
452…外側シールド
454…トッププレート
455…ガス供給管
456…排気管
458…バッフルリング
460…バッフル板
462…可動タップ
464…固定グランド
466…可動タップ
468…反射波電力計
470…コンピュータ
472…表示装置
500…カセット
600…ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板のベーキング処理を行うベーキング処理室と、
基板を前記ベーキング処理室に搬送する第1の搬送部と、
前記ベーキング処理室でベーキングされた基板のアッシング処理を行うアッシング処理室と、
前記ベーキング処理室と前記アッシング処理室との間で相互に基板を搬送する第2の搬送部を備える搬送室と、
を有し、
前記ベーキング処理室は、真空引きがなされるとともに基板のベーキング処理を開始し、ベーキング処理時に基板にポッピングが生じない程度の温度で基板をベーキングするアッシャ装置。
【請求項2】
前記ベーキング処理室は、複数枚の基板を一括してベーキングする請求項1記載のアッシャ装置。
【請求項3】
複数の基板をベーキング処理室に搬送する第1の搬送工程と、
前記ベーキング処理室に搬送された基板をベーキング処理するベーキング処理工程と、
所定温度に到達した基板を、前記ベーキング処理室からアッシング処理室に搬送する第2の搬送工程と、
前記処アッシング処理室内で基板のアッシング処理を行うアッシング処理工程と、
を有し、
前記ベーキング処理工程は、真空引きをするとともに基板のベーキング処理を開始し、ベーキングする温度が基板にポッピングが生じない程度の温度である半導体製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−43755(P2009−43755A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−203995(P2007−203995)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】