説明

アッシュ処理方法及び排気システム

【課題】内燃機関の排気系に設けられたフィルタのアッシュを処理することによって、フィルタの長寿命化を図ることができるアッシュ処理方法、及び排気システムを提供する。
【解決手段】アッシュ処理方法は、エンジン1の排気通路5に設けられ、粒子状物質を捕集するためのフィルタ33を備える排気システムにおけるアッシュ処理方法であって、フィルタ33に捕集されている粒子状物質の量が閾値を超える度に、この粒子状物質を燃焼させるためにフィルタ33を所定温度で熱処理する粒子状物質処理工程(S2)と、所定温度よりも高い温度でフィルタ33を熱処理してフィルタ33に捕集されているアッシュをシュリンクさせるアッシュ処理工程(S6)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のアッシュ処理方法及び排気システムに関し、特に、内燃機関の排気系に設けられ、粒子状物質を捕集するためのフィルタを備える排気システムにおけるアッシュ処理方法及びこのような排気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、内燃機関の排気システムにおいて、内燃機関の排気には、燃料を燃焼させることで生じる窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)、煤等からなる粒子状物質と、内燃機関の潤滑油等が燃焼することで生じる硫酸カルシウム(CaSO4)、硫酸マグネシウム(MgSo4)の混合塩からなるアッシュが含まれていることが知られている。そしてこのような排気システムでは、排気に含まれる粒子状物質を、内燃機関の排気系に設けられた酸化触媒によって酸化すると共に、フィルタによって捕集することで大気に排出されるのを防止している。そしてフィルタに多量の粒子状物質が捕集されると、排気システムは、排気の温度を急上昇させてフィルタの温度を600度程度にして、フィルタに捕集されている粒子状物質を燃焼させることで、フィルタを再生するようになっている。
【0003】
一方で、排気に含まれるアッシュは、粒子状物質と共にフィルタに捕集されるが、このアッシュの燃焼温度が粒子状物質の燃焼温度と比較して高いこと、及びアッシュの発生量が粒子状物質と比較して少量であることから、アッシュがフィルタに与える影響(圧力損失)について認識されていたのにも関わらず(例えば、特許文献1参照)、アッシュ自体を処理することに関してなんら対策が採られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−242660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年では、エンジンの長寿命化が進み、例えばディーゼルエンジンを備える車両に関しては、その用途に応じて数十万キロ以上の走行距離が要求に応えるものが開発されている。そして車両の走行距離が長くなれば、フィルタに堆積するアッシュの量も増し、アッシュを処理する対策を講じなければフィルタの寿命が短くなってしまうという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、内燃機関の排気系に設けられたフィルタのアッシュを処理することによって、フィルタの長寿命化を図ることができるアッシュ処理方法、及び排気システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、内燃機関の排気系に設けられ、粒子状物質を捕集するためのフィルタを備える排気システムにおけるアッシュ処理方法であって、フィルタに捕集されている粒子状物質の量がPM閾値を超える度に、この粒子状物質を燃焼させるためにフィルタを所定温度で熱処理する粒子状物質処理工程と、所定温度よりも高い温度でフィルタを熱処理してフィルタに捕集されているアッシュをシュリンクさせるアッシュ処理工程とを備えることを特徴とする。
【0008】
このように構成された本発明によれば、粒子状物質を燃焼させるためにフィルタを所定温度で熱処理する粒子状物質処理工程によって粒子状物質を熱処理することに加えて、所定温度よりも高い温度でフィルタを熱処理してフィルタに捕集されているアッシュをシュリンクさせるアッシュ処理工程によって、フィルタに捕集されているアッシュを処理することができる。これにより、アッシュの体積が減少して、フィルタによる圧力損失が減少し、フィルタの長寿命化を図ることができる。
【0009】
また、本発明において、好ましくは、さらに、フィルタに粒子状物質を堆積させる粒子状物質堆積工程を備え、アッシュ処理工程は、粒子状物質堆積工程の後に行われる。
【0010】
このように構成された本発明によれば、フィルタを熱処理する前に、フィルタに粒子状物質を堆積させることができる。そして、粒子状物質が堆積したフィルタを熱処理することによって、粒子状物質を燃焼させ、このとき生じた熱を用いてアッシュを処理することができる。これによりフィルタの熱処理温度をアッシュがシュリンクする温度まで上昇させることなく、アッシュを処理することができるので、昇温のためのエネルギ消費を低減できる。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、粒子状物質堆積工程における粒子状物質の堆積量の閾値である粒子状物質捕集量閾値は、PM閾値よりも少ない。
【0012】
このように構成された本発明によれば、粒子状物質を燃焼させることによって、フィルタの温度の上昇によるフィルタの破損を防ぐことができる。
【0013】
また、本発明において、好ましくは、アッシュ処理工程は、さらに、フィルタに捕集されているアッシュ量を推定するアッシュ量推定工程と、アッシュ量推定工程における推定結果に基づいてフィルタに捕集されているアッシュ量がアッシュ捕集量閾値を超えたかを判断する判断工程とを備え、アッシュ処理工程では、判断工程においてフィルタに捕集されているアッシュ量がアッシュ捕集量閾値を超えたと判断された場合に、粒子状物質処理工程における粒子状物質の熱処理設定温度以上の温度で粒子状物質を熱処理するようになっている。
【0014】
このように構成された本発明によれば、判断工程においてアッシュ量がアッシュ捕集閾値を超えた場合に、アッシュ処理工程を実施することができる。これにより、アッシュ処理工程の実施回数を抑制することができ、フィルタの熱処理に伴うエネルギ損失を最小限に抑えることができる。
【0015】
また、本発明において好ましくは、フィルタは、耐熱繊維不織布を用いたディーゼルパーティキュレートフィルタであり、さらにこの耐熱繊維不織布の気孔率は70%以上である。
このように構成された本発明によれば、耐熱繊維不織布の気孔率を比較的高く設定することによって、フィルタ内でアッシュを堆積させるための空間を確保することができ、これにより、アッシュが堆積したことによるフィルタの圧損の上昇を遅らせることができる。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明は、内燃機関の排気系に、粒子状物質を捕集するためのフィルタを備える排気システムであって、フィルタに捕集された粒子状物質を燃焼させるためにフィルタを所定温度で熱処理する粒子状物質処理手段と、所定温度よりも高い温度でフィルタを熱処理してフィルタに捕集されたアッシュをシュリンクさせるアッシュ処理手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
このように構成された本発明によれば、粒子状物質を燃焼させるためにフィルタを所定温度で熱処理する粒子状物質処理手段によって粒子状物質を熱処理することに加えて、所定温度よりも高い温度でフィルタを熱処理してフィルタに捕集されているアッシュをシュリンクさせるアッシュ処理手段によって、フィルタに捕集されているアッシュを処理することができる。これにより、アッシュの体積が減少して、フィルタによる圧力損失が減少し、フィルタの長寿命化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
このように、本発明によれば、内燃機関の排気系に設けられたフィルタのアッシュを処理することによって、フィルタの長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態による排気システの概略を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態による排気システムが備えるフィルタの側断面図である。
【図3】本発明の実施形態による排気システムが備えるフィルタの正面図である。
【図4】本発明の実施形態によるアッシュ処理方法の各プロセスを示すフロー図である。
【図5】本発明の実施形態の変形例にかかる排気システムが備えるフィルタを示す側断面図である。
【図6】本発明の実施形態の変形例にかかる排気システムが備えるフィルタを示す要部断面図である。
【図7】本発明の実施例及び比較例における実験で用いた試験筐体を示す側面図である。
【図8】本発明の実施例及び比較例における実験で用いた試験筐体の正面図である。
【図9】本発明の実施例及び比較例における実験で用いた試験筐体の断面図である。
【図10】本発明の実施例1による試験結果を示すグラフである。
【図11】比較例1による、アッシュを堆積させた状態のフィルタを拡大した写真である。
【図12】本発明の実施例1による、アッシュを堆積させた状態のフィルタを拡大した写真である。
【図13】本発明の実施例2による試験結果を示すグラフである。
【図14】本発明の実施例3による試験結果を示すグラフである。
【図15】本発明の実施例4による試験結果を示すグラフである。
【図16】本発明の実施例5による試験結果を示すグラフである。
【図17】本発明の実施例5による、アッシュを堆積させた状態のフィルタを拡大した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態によるアッシュ処理方法及び排気システムについて説明する。ここで本実施形態では、ディーゼルエンジンを用いた乗用車に備えられた排気システムについて詳述する。図1は、排気システの概略を示すブロック図であり、図2は、排気システムが備えるフィルタの側断面図であり、図3は、このフィルタの正面図である。
【0021】
まず、図1に示すように、排気システムは、エンジン1と、このエンジン1から延びる吸気経路3及び排気通路5と、ECU(Electronic control unit)7を備える。エンジン1は、ディーゼルエンジンによって構成されており、燃焼室9と、この燃焼室9に燃料を噴射するインジェクタ11と、燃焼室9の吸気経路3側に設けられた吸気弁13と、燃焼室9の排気通路5側に設けられた排気弁15と、燃焼室9内に設けられたピストン17を備える。
【0022】
排気通路5に排気される排気ガスには、燃料の燃焼によって生じる粒子状物質(PM:Particulate Matter)と、エンジン1の潤滑油に含まれる添加剤、不純物の未燃焼物質等の燃焼によって生じるアッシュが含まれる。粒子状物質は主に、燃料の未燃焼物質であり、窒素酸化物、炭化水素、煤等を含む。そして、これらの物質の燃焼温度は、約600度以上である。
【0023】
また、アッシュは、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムの混合塩を含み、その融点は約1200度である。また、このようなアッシュは、その融点以下の温度の約700〜1100度でシュリンクする。ここで、アッシュは、通常、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、又はこれらの2種以上の混合物からなる。そして、アッシュの融点は、通常約1400度である。ところが、フィルタ33で捕集されたアッシュは、ナノ粒子が凝集しミクロンオーダーの二次粒子を形成しており、融点よりも低い温度でシュリンクし、融着現象が起こる。そして二次粒子を形成している一次粒子間及び二次粒子間には大きな空隙があり、重量以上の体積を占めていので、1100度以下でも、アッシュ粒子がシュリンク或いは融着現象を起こし、アッシュの体積が1/5から1/2程度に減少する。尚、アッシュをシュリンクさせるためのアッシュ熱処理設定温度は、900度から1400度であるのがよい。これは、アッシュ熱処理設定温度を900度よりも低くすると、アッシュのシュリンクによる体積の変化量が少なく、一方でアッシュ熱処理設定温度を1400度よりも高くすると、フィルタ33自体に影響を与え、フィルタ33の強度が低下してしまうからである。このアッシュ熱処理設定温度のより好ましい値は、1100度から1200度である。アッシュ熱処理設定温度を1100度以上とすることにより、アッシュをシュリンクさせるための時間を短縮することができ、一方で、1200度以下とすることにより、加熱温度のオーバーシュートから生じるフィルタ33の強度の低下を確実に防止することができる。
【0024】
また、エンジン1の排気通路5には、DPF(Diesel Particulate Filter)装置19と、マフラー21が設けられている。
【0025】
エンジン1の下流のDPF装置19は、酸化触媒23と、この酸化触媒23よりも排気通路下流側に設けられたフィルタ部25と、フィルタ部25の上下の圧力を検出するための圧力センサ27,29と、フィルタ部の下流に設けられた温度センサ30を備える。酸化触媒23は、約300度の温度で、排気中の粒子状物質に含まれる一酸化炭素、一酸化窒素、及びHCを酸化して、排気中の約50%の粒子状物質を無害化するようになっている。また、圧力センサ27,29は、それぞれフィルタ部25の上下における圧力を検出するようになっている。そして圧力の検出結果は、ECU7に供給され、ECU7がフィルタ部25の上下の差圧を算出してこれにより、フィルタ部25の粒子状物質とアッシュの捕集量を推定できるようになっている。また、温度センサ30は、フィルタ部25の温度を検出し、検出結果をECU7に供給するようになっており、ECU7による設定温度の維持の制御に使用される。
【0026】
図2に示すように、フィルタ部25は、内部が中空とされる柱状のハウジング31と、このハウジング31内に設けられたフィルタ33と、フィルタの周辺に配置された電気ヒータ35とを備える。ハウジング31は、排気通路5の上流側から下流側に向けて延びており、その上端の中央部には酸化触媒を通過した排気を中空部に流入させるための流入口37が設けられており、その下端の中央部には、フィルタを通過した排気をマフラー21側に流出させる流出口39が設けられている。そしてこの流出口39よりも排気通路上流側の中空部内には、フィルタ33が位置決めされている。
【0027】
図2及び図3に示すように、フィルタ33は、耐熱繊維不織布を三角柱状に形成して、その上端が蓋部41により閉じられており、その下端が流出口39と連通するようになっている。フィルタ33を構成する耐熱繊維不織布としては、珪素を主体とした珪素繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維等の無機系繊維を用いることができる。また、このようなフィルタ33は、耐熱繊維不織布の比重に対する耐熱繊維不織布のかさ密度の割合から算出される気孔率(全気孔率)が70%以上であることが好ましい。このように耐熱繊維不織布の気孔率を比較的高くすることによって、フィルタ内でアッシュを堆積させるための空間を確保することができ、これにより、アッシュが堆積したことによるフィルタの圧損の上昇を遅らせることができる。
【0028】
フィルタ33に使用される耐熱繊維不織布の目付は、50〜1000g/m2、好ましくは、100〜500g/m2、より好ましくは、150〜400g/m2とされる。目付を50g/m2以上とすることによって、繊維が均一に分散し不織布の厚さが一定となり、1000g/m2以下であれば、折り曲げ易いなど形状の自由度があるので好ましい。なお、目付とは、例えばJIS-L-1096に沿って測定されたものをいう。また、この耐熱繊維不織布のかさ密度は、0.01〜0.5g/cm3、好ましくは、0.03〜0.3g/cm3、より好ましくは、0.05〜0.1g/cm3とされる。かさ密度を、0.01g/cm3以上とすることによって、フェルトとしての形状を十分保持することができ、0.5g/cm3以下であれば、排ガスが通過する空隙(空間)を十分に確保できるので好ましい。
【0029】
さらに耐熱繊維不織布を形成する繊維としては、無機系繊維を用いるのがよい。ここで、無機系繊維としては、珪素を主体とした珪素繊維、炭化珪素(SiC)繊維、アルミナ繊維が挙げられる。そして、耐アルカリ性能を上げるため、炭化珪素繊維は、Ti、Zr、Ca及び/又はAl等の成分を含んでいるのがよく、これらの成分は、繊維全体に対して1〜40質量%含まれていることが適当である。そしてこのような無機系の耐熱性繊維としては、例えば、炭化珪素繊維として、ニカロン繊維(Si−O−C 組成比57.2:32.7:10、日本カーボン株式会社製)、チラノ繊維(登録商標)耐熱グレードZMI(Si−C−O−Zr 組成比56:34:9:1)、チラノ繊維(登録商標)耐熱グレードS(Si−O−C−Ti 組成比50:30:18:2)チラノ繊維(登録商標)耐熱グレードSA(Si−O−C−Al 組成比67:31:1:2)(チラノ繊維(登録商標)は、全て、宇部興産株式会社製)を用いることが好ましい。
【0030】
そしてこの繊維の直径は、平均で3〜40μm、好ましくは、9〜30μm、より好ましくは12〜25μmであるのがよい。直径を3μm以上とすることによって、繊維自体が飛散して発ガン性のある物質を大気中に放出するのを防止することができる。また、繊維の繊維長は、平均で10〜100mm、好ましくは、30〜60mmであるのがよい。また、繊維の引張強さは、ASTM D-638で測定して、約1〜5GPa、好ましくは2〜4GPaであるのがよい。そして耐熱性繊維不織布の厚さは、0.1〜40mm、好ましくは1〜30mmであるのがよい。そして耐熱性繊維不織布は、上述のような性質を有する不織布を少なくとも1層、好ましくは、性質の異なる耐熱性繊維不織布を2種以上積層した積層体としてもよい。
【0031】
また、電気ヒータ35は、例えばセラミックヒータから構成されている。そしてDPF装置31内には、柱状のフィルタ33の側面と対向するように複数のセラミックヒータが配置されている。この電気ヒータ35は、ECU7によって制御されており、通電時にはフィルタ33を約600度で加熱処理するようになっている。
尚、本実施形態では、フィルタに堆積されたアッシュの処理手段として、電気ヒータ35を用いることとしたが、この処理手段としては、電気ヒータ35の代わりに、燃料を燃焼室に排気工程で噴射(ポスト噴射)し、フィルタ上流の酸化触媒でその燃料を燃焼させることで排ガス温を上昇させるようなエンジンの燃焼制御システムを用いても良い。
【0032】
このようなフィルタ部25のハウジング31内に流入した排気は、矢印Aによって示すように、中央部に設けられた流入口37から流入して、蓋部41を迂回してハウジング31の周方向に流れる。そして排気は、電気ヒータ35とフィルタ33の間を通ってフィルタに到達し、フィルタを通過する。その後、排気は矢印Bに示すように、流出口39の方向に流れるようになっている。そして排気がフィルタ33を通過するとき、排気に含まれる粒子状物質及びアッシュは、フィルタ33の繊維に付着し、フィルタ33で捕集される。
【0033】
次に、このような排気システムにおけるアッシュ処理方法について詳述する。図4は、アッシュ処理方法の各プロセスを示すフロー図であり、このフロー図において、「S」は、「ステップ」を示す。
【0034】
図4に示すように、一連の処理が開始すると、S1において排気システムは、フィルタ33に捕集されている粒子状物質の量が、所定のPM閾値を超えたか否かを判断する。PM閾値は、フィルタ33によってある程度の粒子状物質が捕集され、フィルタ33を再生する必要があるか否かを判断するための値である。そしてこの処理は、ECU7がフィルタ33の上下の圧力の検出結果に基づいて粒子状物質の捕集量を算出し、算出された捕集量がPM閾値を超えたか否かを判断することで行われる。これにより、排気システムは、フィルタ33から粒子状物質を除去してフィルタ33を再生する必要があるか否かを判断することができる。この処理は、フィルタ33を再生する必要があると判断されるまで繰り返し実行される。尚、本実施形態では、フィルタ33の上下の差圧に基づいてフィルタ33を再生する必要があるか否かを判断することとするが、前回のフィルタ再生時からの走行距離が所定の距離、例えば600kmを超えたか否かを判断して、フィルタ33を再生するか否かを判断するようにしてもよい。
【0035】
次いで、S2において排気システムは、DPF装置31のフィルタ33の粒子状物質を加熱処理する。かかる処理は、ECU7が、電気ヒータ35を制御して、フィルタ33を約600度に加熱することで行われる。これにより、フィルタ33に捕集された粒子状物質が燃焼し、フィルタ33が再生される。このとき、ECU7は、温度センサ30によって検出される温度が、粒子状物質を処理することができるような温度として設定される粒子状物質処理設定温度(約600度)となるように、電気ヒータ35を制御する。
【0036】
次いで、S3において排気システムは、フィルタ33に捕集されているアッシュの量を推定する。この処理は、ECU7が、圧力センサ27,29の検出結果からフィルタ再生直後におけるフィルタ33の上下の差圧を検出して、その結果に基づいてアッシュの量を推定することで行われる。このようにフィルタ再生直後のフィルタ33の上流側と下流側の差圧を検出することによって、粒子状物質が殆ど存在しない状態でのフィルタ33の圧力損失、すなわちフィルタ33に捕集されているアッシュによる圧力損失を検出して、これによりアッシュの量を推定することができる。
【0037】
次いで、S4において排気システムは、推定したアッシュの量がアッシュ捕集量閾値を超えたか否かを判断する。このアッシュ捕集量閾値は、アッシュを処理する必要があるか否かを判断するための閾値であり、エンジンの種類等に応じて予め決定された値である。そしてECU7は、アッシュ捕集量閾値を読み出して、アッシュ捕集量閾値と、推定されたアッシュの堆積量を比較する。ここで、アッシュの推定量が、アッシュ捕集量閾値を超えていないと判断された場合には、アッシュの処理が不要であるとして、排気システムはS1〜S3の一連の処理を繰り返す。これにより、アッシュの推定量が、アッシュ捕集量閾値を超えるまでは、粒子状物質が所定量を超える度にフィルタを再生する。一方で、アッシュの推定量がアッシュ捕集量閾値を超えたと判断した場合には、排気システムは、S5以降の処理を実行する。
【0038】
次いで、S5において排気システムは、フィルタ33に堆積した粒子状物質の量が粒子状物質捕集量閾値となったか否かを判断する。熱処理中の減速時のように、温度と酸素濃度が高く、排ガス流量が少ないと、粒子状物質が急速に燃焼し、フィルタの温度が熱処理設定温度以上になる場合があるが、この粒子状物質捕集量閾値は、いかなる場合においても、フィルタの耐熱温度を超えないように設定する。
そしてこの判断は、ECU7が、アッシュ量の推定時からのフィルタ33の上流側と下流側での差圧の上昇量を検出して実行される。そして、フィルタ33にアッシュが所定量以上堆積した後、S6において排気システムは、電気ヒータ35を用いてフィルタ33を熱処理する。このときフィルタ33の温度は、電気ヒータ35による加熱と、フィルタ33に捕集された粒子状物質の燃焼により、約1100度まで上昇する。これにより、アッシュのシュリンクが発生し、フィルタ33を構成する繊維間の開口が広がるので、フィルタ33による圧力損失を低減させることができる。
【0039】
このように本実施形態によれば、フィルタ33に捕集されたアッシュをシュリンクさせてフィルタ33による圧力損失を低減させることができるので、フィルタ33の長寿命化を図ることができる。
【0040】
次に、上記実施形態の変形例について詳述する。図5は、変形例にかかる排気システムが備えるフィルタを示す側断面図であり、図6は、このフィルタの要部断面図である。
【0041】
図5に示すように、変形例にかかる排気システムのフィルタ51は、ハニカム構造を備えたセラミックから形成されており、DPF装置の酸化触媒側からマフラー側に延びる通路状の多数のセル53を備える。多数のセル53には、酸化触媒側又はマフラー側の何れか一方に壁部55,57が設けられており、多数のセル53は、壁部55,57によって酸化触媒側又はマフラー側の何れか一方が塞がれ、排気が流入し、又は流出しないようになっている。
【0042】
図6に示すように、セル53間を仕切るフィルタ壁59には、多数の気孔61が設けられている。この気孔61の大きさは、約9〜25μmとなっており、フィルタ壁59の気孔率は、約40〜70%とされる。そして、酸化触媒を通過した排気は、酸化触媒側が開口したセル53に流入し、この気孔61を通って隣接するマフラー側が開口したセル53に流れる。そしてこのとき、粒子状物質とアッシュは、気孔61を通過せずにフィルタ壁59に捕集される。
【0043】
このような構造のフィルタ51を備える排気システムにおいても、図4において詳述したアッシュ処理方法を適用することにより、フィルタ51に捕集されたアッシュをシュリンクさせてフィルタ51による圧力損失を低減させることができるので、フィルタ51の長寿命化を図ることができる。但し、このようなフィルタ51を用いた場合のアッシュ処理設定温度は、DPF装置19の耐クラック温度以下に限定され、例えば、材料がフィルタ51を構成する材料がSiCの場合、アッシュ処理設定温度は、900度から1000度とされるのが望ましい。
【0044】
尚、上述の実施形態では、フィルタとして、耐熱繊維不織布を用いたフィルタと、ハニカム構造のフィルタを例に挙げて詳述したが、これらを比較した場合、以下の理由により、耐熱繊維不織布を用いたフィルタの方がより好ましい。即ち、熱容量が大幅に小さいため、昇温が早く、熱処理時間が短くできる。また、耐熱繊維不織布を用いたフィルタは、ハニカム構造のフィルタと比べて、粒子状物質燃焼による昇温量が大きいため、昇温時に消費されるエネルギが少なくなるので、燃費が良い。また、耐熱繊維不織布を用いたフィルタは、高温でのクラックが発生しにくいので、アッシュ処理での高温処理に対する信頼性が高い。そしてこれにより、耐熱繊維不織布を用いた方が、アッシュ処理時の処理温度を高く設定することができ、これによりアッシュを早期にシュリンクさせて、処理時間を短縮することができる。
【0045】
以下、本発明の実施例について、詳細に説明する。
【0046】
〔実施例1〕
[1]試験筐体
図7は、以下の実施例及び比較例における実験で用いた試験筐体を示す側面図であり、図8は、この試験筐体の正面図であり、さらに図9は、この試験筐体の断面図である。
【0047】
図7から図9に示すように、試験筐体101は、直方体形状のハウジング103の各々の端面に、エンジンの排気を流入させるための流入口105と、排気を流出させるための流出口107を形成し、ハウジング103内に8個のセラミックヒータ109を配置して構成される。セラミックヒータ109は、ハウジング103の4つの側面に各2個ずつ取り付けられている。また、ハウジング103内には、金網111によって挟持された三角柱状のフィルタ113が配置されている。
【0048】
[2]耐熱性繊維フィルタの構成
フィルタ113に用いる耐熱性繊維としては、炭化珪素繊維(チラノ繊維(登録商標)耐熱グレードZMI(Si−C−O−Zrの組成比56:34:9:1))を用いた。使用した各炭化珪素繊維は、26μm、24μm、22μm、20μm、18μm、16μm、14μm、12μmの繊維径であった。この炭化珪素繊維を、特開2000−199160公報(発明の名称:「無機短繊維フェルトの製造方法及び装置」)に記載の方法により本発明の耐熱性繊維フィルタ層用の不織布とした。具体的には、各炭化珪素繊維を40mmの長さに切断し、直径1m×高さ2mの円筒中に入れて空気を流し、結束した繊維を解繊した。解繊した繊維をはかり取り、必要に応じて複数種の繊維を混合した。その後、繊維を空気流中に導入し、繊維を3mの高さから基板上に自然落下させて積層し、不織布を得た。得られた不織布は、繊維がランダム方向に交絡した構造を有していた。
【0049】
また、得られた耐熱性繊維フィルタ層用不織布の目付は230g/m2、かさ密度は0.02g/cm3であった。この不織布を18cm×14cmにカットして、繊維径の太い順に8枚積層した。これを、耐熱性のステンレスの金網111(直径0.29mmのSUS304製、24メッシュサイズ(インチ基準))によって挟持させて多層のフィルタ層を製造した。フィルタ層の厚さは26mm、かさ密度は、0.07g/cm3であった。これを3枚組み合わせて三角柱型ディーゼルパーティキュレートフィルタを製造した。三角柱型ディーゼルパーティキュレートフィルタは、その3つの側面に太い繊維径の繊維から構成されるフィルタ層(A1)を外側とし、より細い繊維径の繊維から構成されるフィルタ層(An)を内側に配置した構造を有する。
【0050】
[3]アッシュ堆積方法
エンジンの排気中にアッシュとなる成分を含ませるために、燃料にアッシュになる成分(Ca:26ppm,Mg:12ppm,Mo:3.6ppm)を添加し、加速度テストを行った。このときの調合条件を表1に示す。
【0051】
【表1】

調合条件 (100L調液時)
【0052】
そして、100Lの燃料に対する各成分の含有量は、以下のようになった。
Caスルホネートの含有量
100L×0.8198(軽油比重)×0.026(g)÷0.116(Caイオン濃度)
=18.37g
Mgスルホネートの含有量
100L×0.8198×0.012(g)÷0.0923(Mgイオン濃度)
=10.65g
MoDTCの含有量
100L×0.8198×0.0036(g)÷0.05(Moイオン濃度)
=7.38g
【0053】
また、排気を発生させるために、2000ccディーゼル車(三菱デリカ、エンジン型番KQ−SKF2VM)を使用した。そして、このエンジンを上述の燃料を用いて3500rpm×140Nmの運転条件で定常運転させることで、排気を発生させ、その排気を上述の試験筐体101の流入口105に流入させた。
【0054】
[4]アッシュ堆積量の測定方法
フィルタ113によって捕集されたアッシュの量(g)を測定するために、エンジンの駆動前後のフィルタ113の質量を測定し、その質量差をアッシュの堆積量とした。
【0055】
[5]評価方法
評価方法としては、試験筐体101の上流側と下流側の圧力損失を算出した。この圧力損失(kPa)は、試験筐体101の上流側における排気の圧力と、試験筐体101の下流側における排気の圧力との差を求めることで算出した。
【0056】
[6]試験方法・試験結果
試験方法としては、上記燃料を用いて、3時間エンジンを定常運転させた後、セラミックヒータ109を用いてフィルタ113を900度で4時間処理する工程を1サイクルとして、このサイクルを5回行った。これにより、フィルタ113に18.0gのアッシュを堆積させた。そして試験筐体101の通気量を、2〜8m3/分で変化させて、上下の圧力損失を測定した。その結果を表2、及び図10に示す。ここで表1及び図10中の比較例1は、アッシュを堆積させる前の圧力損失を示し、比較例2は、アッシュを18.0g堆積させて熱処理を行う前の圧力損失を示し、実施例1は、熱処理後の圧力損失(kPa)を示す。そして、図11には、アッシュを堆積させた状態(比較例1)のフィルタを拡大した写真を示し、図12には、アッシュを熱処理した後(実施例1)のフィルタを拡大した写真を示す。
【表2】

【0057】
表2及び図10を参照して、通気量が8m3/minのときに、比較例1と比較例2の結果を比較すると、比較例1と比較例2の間では、圧力損失が90.1%上昇していることが分かる。また、比較例1と実施例1の結果を比較すると、比較例1と実施例1の間では、圧力損失が22.5%上昇していることが分かる。即ち、比較例2と実施例1との間では、フィルタ113の熱処理によって67.6%の圧力損失が回復していることが分かる。
【0058】
〔実施例2〕
試験方法としては、上記燃料を用いて、3時間エンジンを定常運転させた後、セラミックヒータ109を用いてフィルタ113を1000度で10分処理する工程を1サイクルとして、このサイクルを4回行った。これ以外の条件は、全て実施例1と同じである。そして、上記運転によりフィルタ113に15.2gのアッシュを堆積させた。そして試験筐体101の通気量を、2〜8m3/分で変化させて、上下の圧力損失を測定した。その結果を表3、及び図11に示す。ここで表3及び図13中の比較例3は、アッシュを堆積させる前の圧力損失を示し、比較例4は、アッシュを15.2g堆積させて熱処理を行う前の圧力損失を示し、実施例3は、熱処理後の圧力損失(kPa)を示す。
【表3】

【0059】
表3及び図13を参照して、通気量が8m3/minのときに、比較例3と比較例4の結果を比較すると、比較例3と比較例4の間では、圧力損失が83.8%上昇していることが分かる。また、比較例3と実施例2の結果を比較すると、比較例3と実施例2の間では、圧力損失が3.7%上昇していることが分かる。即ち、比較例3と実施例2との間では、フィルタ113の熱処理によって80.1%の圧力損失が回復していることが分かる。
【0060】
〔実施例3〕
試験方法としては、上記燃料を用いて、3時間エンジンを定常運転させた後、セラミックヒータ109を用いてフィルタ113を900度で4時間処理する工程を1サイクルとして、このサイクルを4回行った。これ以外の条件は、全て実施例1と同じである。そして試験筐体101の通気量を、8m3/分とし、上下の圧力損失を測定した。
【0061】
〔実施例4〕
試験方法としては、上記燃料を用いて、3時間エンジンを定常運転させた後、セラミックヒータ109を用いてフィルタ113を1000度で10分処理する工程を1サイクルとして、このサイクルを4回行った。これ以外の条件は、全て実施例1と同じである。そして試験筐体101の通気量を、8m3/分とし、上下の圧力損失を測定した。
【0062】
〔実施例5〕
試験方法としては、上記燃料を用いて、3時間エンジンを定常運転させた後、セラミックヒータ109を用いてフィルタ113を1100度で10分処理する工程を1サイクルとして、このサイクルを4回行った。これ以外の条件は、全て実施例1と同じである。そして試験筐体101の通気量を、8m3/分とし、上下の圧力損失を測定した。
【0063】
そして表4、並びに図14乃至図16は、実施例3乃至実施例5の結果を示すものである。表4及び図14中の比較例5は、実施例3の実験において、アッシュを堆積させ、熱処理を行う前の圧力損失を示し、表4及び図15中の比較例6は、実施例4の実験でアッシュを堆積させ、熱処理を行う前の圧力損失を示し、表4及び図16中の比較例7は、実施例3の実験において、アッシュを堆積させ、熱処理を行う前の圧力損失を示す。また、図17は、実施例5の処理を行った後のフィルタを拡大した写真を示す。
【0064】
【表4】

【0065】
これら実施例3乃至5の実験によっても、好適にアッシュを処理することができたのが分かる。特に実施例5によれば、図17に示すように、アッシュを視認することができない程、アッシュを処理することができている。
【符号の説明】
【0066】
1 エンジン
5 排気通路
7 ECU
19 DPF装置
25 フィルタ部
33,51 フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気系に設けられ、粒子状物質を捕集するためのフィルタを備える排気システムにおけるアッシュ処理方法であって、
前記フィルタに捕集されている粒子状物質の量がPM閾値を超える度に、この粒子状物質を燃焼させるために前記フィルタを所定温度で熱処理する粒子状物質処理工程と、
前記所定温度よりも高い温度で前記フィルタを熱処理して前記フィルタに捕集されているアッシュをシュリンクさせるアッシュ処理工程とを備えること、
を特徴とするアッシュ処理方法。
【請求項2】
さらに、前記フィルタに粒子状物質を堆積させる粒子状物質堆積工程を備え、
前記アッシュ処理工程は、粒子状物質堆積工程の後に行われる請求項1に記載のアッシュ処理方法。
【請求項3】
前記粒子状物質堆積工程における粒子状物質の堆積量の閾値である粒子状物質捕集量閾値は、前記PM閾値よりも少ない請求項2に記載のアッシュ処理方法。
【請求項4】
前記アッシュ処理工程は、さらに、
前記フィルタに捕集されているアッシュ量を推定するアッシュ量推定工程と、
前記アッシュ量推定工程における推定結果に基づいて前記フィルタに捕集されているアッシュ量がアッシュ捕集量閾値を超えたかを判断する判断工程とを備え、
前記アッシュ処理工程では、前記判断工程において前記フィルタに捕集されているアッシュ量が前記アッシュ捕集量閾値を超えたと判断された場合に、前記粒子状物質処理工程における粒子状物質の熱処理設定温度以上の温度で熱処理するようになっている請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のアッシュ処理方法。
【請求項5】
前記フィルタは、耐熱繊維不織布を用いたディーゼルパーティキュレートフィルタである請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のアッシュ処理方法。
【請求項6】
前記耐熱繊維不織布の気孔率は70%以上である請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のアッシュ処理方法。
【請求項7】
内燃機関の排気系に、粒子状物質を捕集するためのフィルタを備える排気システムであって、
前記フィルタに捕集された粒子状物質を燃焼させるために前記フィルタを所定温度で熱処理する粒子状物質処理手段と、
前記所定温度よりも高い温度で前記フィルタを熱処理して前記フィルタに捕集されたアッシュをシュリンクさせるアッシュ処理手段とを備えること、
を特徴とする排気システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2010−229927(P2010−229927A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79785(P2009−79785)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(390018153)日本毛織株式会社 (8)
【Fターム(参考)】