説明

アップリンクおよびダウンリンクの同期のためのダウンリンク検出を行う非周波数変換型リピータ

【課題】無線ネットワークが必要なビル等の構造物が無線を遮る壁配置等を有する間取りとなっている場合や、RF信号を減衰させる性質を有する物質で作られている場合でも、適切な通信可能範囲を実現する。
【解決手段】時分割二重(TDD)無線プロトコル通信システムにおける非周波数変換型リピータ300は、検出機能、再送信機能、および自動ゲイン制御機能を有する。検出は、検出器309、310とプロセッサ313を用いて行う。検出結果はロジック部314を有するプロセッサ313によってオーバーライドされてもよい。

【発明の詳細な説明】
【関連技術】
【0001】
本出願は、係属中である2004年5月13日出願の米国仮出願番号60/570,439、係属中である2004年5月13日出願の米国仮出願番号60/570,466、係属中である2004年5月13日出願の米国仮出願番号60/570,465、PCT出願PCT/US03/28558、タイトル「ネットワークカバレッジを向上させるリピータを有する無線ローカルエリアネットワーク」、およびPCT出願PCT/US03/35050、タイトル「検出機能を有する無線ローカルエリアネットワークリピータ」に関するものであり、これらに基づく優先権を主張し、かつ、これらの内容は参照によって本願明細書に組み込まれるものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、無線ネットワーク、特に、非周波数変換型のリピータにおける動的な周波数およびタイムスロットの検出およびメディア・アクセス制御に関する。
【背景技術】
【0003】
一般にWLANと呼ばれる無線ローカルエリアネットワーク、あるいはWMANとして知られている無線メトロポリタンエリアネットワークのための新規なプロトコルおよび/または仕様が浸透してきている。これらの中には、802.11および802.16d/eのプロトコルに加え、それらに関連した、“WiFi”または“WiMAX”、時分割同期符号分割多重アクセス(TDS−CDMA)、パーソナルハンディホンシステム(PHS)等のプロトコルがある。これらのプロトコルの多く(例えばPHS)は、発展途上の国々において、WMANによるネットワークアクセスの低コストな代替プロトコル、すなわちセル的なインフラストラクチャとして広く用いられるようになってきている。
【0004】
上記の標準的な無線プロトコルを利用する製品の仕様には、データ転送速度や通信可能範囲が通例表示されているが、それら表示された性能レベルを実際に達成するのは困難であることが多い。表示性能と現実の性能とのギャップは多くの原因から生まれる。それら原因の中には、RF信号の伝達経路中の減衰があるが、そのために、802.16は66GHzまでの送信周波数帯をサポート可能としているにもかかわらず、802.16d/eは、認可された2.3〜2.4GHzの周波数帯域中の10MHzのチャネルで主に用いられている。特に、時分割二重(TDD)プロトコルに基づいて作動する上記PHS等のシステムは、世界的規模の市場で広く受け入れられている等の理由から、注目されている。
【0005】
問題となるのは、無線ネットワークが必要なビル等の構造物が、無線を遮る壁配置等を有する間取りとなっている場合や、RF信号を減衰させる性質を有する物質で作られている場合であり、これらの場合には適切な通信可能範囲を実現することが困難となる。また、上記の標準的な無線プロトコルを利用して作動する装置のデータ転送速度は、信号強度に強く依存する。通信可能領域内の距離が増大すれば、無線システムの性能は通常は低下する。また、これらプロトコルの構造それ自体も動作可能範囲を制限する場合がある。
【0006】
無線システムの通信可能範囲を増大させるために、無線業界ではリピータが広く用いられている。しかし、任意の装置の複数の送信機および複数の受信機が、例えばTDDシステムにおいて、割り当てられたタイムスロットで作動するようなシステムにおいては、複雑な問題が発生する。このようなシステムにおいて、リピータの動作としてはよくあるように、複数の送信機が同時に作動すると、問題が発生する可能性がある。TDDプロトコルの中には、送信期間および受信期間を規定しているものがあり、それらはコリジョンに対して耐性がある。
【0007】
TDDシステムにおいては、受信チャネルおよび送信チャネルは周波数的にというよりもむしろ時間的に分離されている。そして、PHSシステムや802.16システムがそうであるように、TDDシステムの中には、特定のアップリンク/ダウンリンク送信用に時間をスケジュールしているものもある。802.11のような、スケジュールされたタイムスロットを使用しないTDDシステムもある。TDDシステム用の受信機および送信機間のアイソレーションを、物理的分離、アンテナパターン、周波数変換、極性アイソレーション等のいくつもの方法で実現してもよい。周波数変換を用いたアイソレーションの例は、特許文献1(名称:「ネットワークの通信可能範囲を拡大するリピータを用いた無線ローカルエリアネットワーク」、代理人用整理番号WF02−05/27−003−PCT、米国仮出願第60/414,888号に基づく出願)に記載されている。しかしながら、堅牢な作動を実現するためには、有効な作動のため非周波数変換型のリピータを採用し、このリピータに、信号の存在を迅速に検出させると共に、当該TDDシステムに対応するメディア・アクセスコントロールおよび全般的プロトコル(これらに基づいてTDDシステムが1つのタイムスロットで効果的に送信を中継する)と協調して動作させる必要がある。
【0008】
後述する通り当業者には明らかであるが、PHSシステムは、300KHzの帯域幅で割り当てられた1つの周波数チャネル中のチャネルアップリンクとダウンリンクのための複数の制御タイムスロット、および、20MHzの帯域幅内の他の周波数キャリアにそれぞれ割り当てられ得る複数の伝送タイムスロット、を有するTDDシステムである。PHSシステムで確立された各コネクションにおいては、アップリンクとダウンリンクは同一の周波数キャリアおよび同一の“チャネル”で実現されるが、アップリンクとダウンリンクは異なるタイムスロットを占める。さらに興味深いのは、802.16標準およびプロトコルに基づいて作動するTDDシステムであり、これは、後述する通り当業者にとっては明らかであるが、すべてのタイムスロットを1つの既知の周波数チャネルで使用する。
【発明の概要】
【0009】
従って、種々の例示的または他の例示的実施形態において、本発明はそのカバー範囲を、WLAN環境等の無線環境、および、広く言えば、IEEE802.16、IEEE802.20、PHS、およびTDS−CDMA等の、スケジュールされたアップリンクおよびダウンリンクタイムスロット、または、例えば802.11ベースのシステムで用いられるようなスケジュールされないランダムアクセスを実行する動的周波数検出方法および中継方法を有するどのような時分割二重システムにも広げる。更に、一例としてのリピータは、802.16およびPHSシステムのような、アップリンクおよびダウンリンクの中継方向が1つの期間における観測によってまたは放送システム情報の受信によって決定される同期TDDシステムにおいて作動する。一例としてのWLAN非周波数変換型リピータは、通常はスケジュールされない送信機能を有する2つまたは3つ以上のWLANノード、または加入者ユニットおよび基地局ユニットのような同期されかつスケジュールされたユニットが、例えばPHSシステムにあるような狭帯域ダウンリンク制御チャネルにおける制御スロット期間または任意の通常ダウンリンク期間に同期することで通信を行い、かつ、より広いキャリア周波数の帯域セットを広帯域中継ダウンリンクに中継することができるようにする。802.16システムのような他のシステムにおいては、制御タイムスロット検出帯域が、中継された帯域幅と同じになる。アップリンク側において、リピータは、広帯域な監視を実行することで、加入者側の送信用の1つまたは複数のスロットを好ましくは監視し、アップリンク送信が検出されると、受信された信号が基地局装備へのアップリンクチャネルで中継されてもよい。種々の例示的実施形態のように、リピータは好ましくは、受信した信号が、任意のリピータ遅延を含むが本質的には同じタイムスロットで送信されるような直接中継というソリューションを提供する。
【0010】
別個の図面にわたって同様な参照番号は同一または機能的に類似する構成要素を指し、下記の詳細な説明と一緒に明細書に組み込まれ、また、明細書の一部分を形成する、図面は、様々な実施形態をさらに説明し、本発明にしたがって様々な原理および利点を説明するために機能する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】種々の実施形態の例における非周波数変換型のリピータの一例を示す図である。
【図2】加入者側と基地局側とを含む、非周波数変換型のリピータの環境の一例を示す図である。
【図3】非周波数変換型のリピータの一例についての、検出およびリピータ回路の一例を示す概念図である。
【図4】非周波数変換型リピータの一例についての種々の実施形態における検出例の、受信信号強度指標(RSSI)と時間との関係を示すグラフである。
【図5】非周波数変換型リピータの一例についての種々の実施形態における、リピータのTDD期間との同期を示す流れ図である。
【図6】非周波数変換型リピータの一例についての種々の実施形態における、同期されると共にスケジュールされたTDDリピータの通常作動を示す流れ図である。
【図7】非周波数変換型リピータの一例についての種々の実施形態における、PHS用の周波数割り当てプランを示すグラフである。
【詳細な説明】
【0012】
図1に、一例としての非周波数変換型リピータ110を示す。リピータ110はリンク112等の通信リンクを介して制御端末111に接続されているが、この制御端末111を含んでいてもよい。このリンク112は、リピータ110の設定、各種の指標の取得等、種々の目的のためのシリアル通信を実現するRS−232接続であってもよい。なお、特定のリピータ110の製造モデルにおいては、そのような設定は製造時に完了するか、または例えばマイクロプロセッサ、コントローラ等の制御によって自動的に設定が成されることにより、そのような接続が使用される可能性が低くなることが考えられる。またリピータ110は、TDDリピータ接続の一方側(例えば基地局122)と無線インターフェース121を介して通信するための外部アンテナ120を含んでいてもよい。基地局122は、複数の加入者にサービスを提供する施設ノードならどのようなもの(例えばPHSセル基地局(CS)等)であってもよい。アンテナ120はリピータ110と、接続114を介して繋がっている。この接続114は、当業者には明らかなことであるが、例えばSMAコネクタおよび同軸ケーブルを用いた直接連結による接続によって実現されていてもよいし、他の直接接続によって実現されていてもよい。
【0013】
TDDリピータ接続の他方側(例えば加入者端末132)と無線インターフェース131を介して通信するために、別のアンテナ130が用いられてもよい。ここで用いられる加入者端末132は、ユーザエンティティ、ユーザ装置、端末装置(例えばPHSパーソナルステーション(PS))等として、基地局122のサービスを受けるように設定された装置である。アンテナ130はリピータ110と、接続115を介して繋がっている。この接続115は、上述のSMAコネクタおよび同軸ケーブルを用いた直接連結による接続によって実現されていてもよい。リピータ110は標準的な外部DC電源から電力供給を受けるようになっている。
【0014】
アンテナ120および130は指向性アンテナであってもよいし、また、リピータ110のリピータ回路と共に一体のパッケージとして構成されることで、例えば、構造物の窓や外壁内に設置されたときに、パッケージの一方側がある方向(例えば基地局への方向)を向くと共に、パッケージ(あるいは筐体)の他方側が別の方向(例えば加入者側への方向等)を向くようになっていてもよい。また、アンテナ120および130の放射パターンは、指向性であってもよいし無指向性であってもよい。パーソナルインターネット(PI)リピータの場合、アンテナの一方が建造物の外側に設置され、他方がその建造物の内側に配置されることが予想される。PIリピータも、建造物の内側に配置されてもよい。適切な配置および設定を実現するために、多くの異なる形態因子を用いてよいことは明らかである。当業者には明らかであるが、例えば、クロス極性パッチアンテナ、プラナーアンテナ、ストリップアンテナ等のクロス極性アンテナを用いてもよい。さらに、2本のアンテナを用い、一方を入力用、他方を出力用等の用途で用いてもよいのは明らかである。多くの場合、アンテナ120および130のうち一方(本例においてはアンテナ120)は、“提供者”アンテナ、すなわち、基地局122と対になるアンテナとして定義されてもよい。
【0015】
種々の実施形態の例におけるリピータまたはリピータシステムの一例の作動環境をより良く理解するために、図2を示す。例えば802.16、TDS−CDMA、PHSベースシステム等のサービスプロバイダによって運用される基地局222は、例えば建造物の内側に配置される加入者端末232と通信することができる。指向性アンテナ220は、壁200の外壁部202の表面(例えば窓部分、外部表面等)に配置され、リンク214を介して非周波数変換型リピータ210と対になっていてもよい。加入者端末232と基地局222との間で送信されたパケットは、以下で詳細に説明する方法で中継される。
【0016】
リピータ210の物理構造の側面を考慮すると、本システムについての基本的な条件を設けることができる。ここでの議論においては、リピータ210は、単一の基地局と単一の加入者端末232を有する環境下で作動するものとする。しかし、複数の加入者および/または複数の基地局が含まれるような実施形態も当然に可能である。フレームの持続時間、以下で詳細に説明する受信/送信移行ギャップ(R/T−TG)、および、ダウンリンクサブフレーム群に割り当てられた時間の、フレーム長に対するパーセンテージは前もってわかっており、また、可変のフレーム持続時間を採用する実施形態も可能である。典型的なセッションにおいては、予測されるフレーム持続時間は5msであり、R/T−TGは少なくとも5μs持続すると予測される。フレーム中のアップリンクのサブフレーム部分とダウンリンクのサブフレーム部分とは、50パーセント対50パーセントの比率となっていると予測される。上記のような仮定にもかかわらず、リピータ210は、後述する方法で自発的にフレームの開始タイミングと同期することが求められる。さらに、例えば、802.16に基づく実施形態の例においては、2.3〜2.4GHz送信帯域中の10MHzの作動チャネルは、サービスプロバイダによって識別され、制御端末等を用いる等によって手動でリピータ210に対して設定されるようになっていてもよい。
【0017】
また、PHSベースの実施形態の例においては、典型的な基地局222は複数のチャネル、多くの場合は300KHzの帯域幅を有する制御チャネルを含む4チャネル、をサポートすることができるようになっている。残りのトラフィックチャネルのそれぞれは、20MHzの帯域幅中の他の周波数キャリアに割り当てられており、基地局222と複数の加入者端末232との間の二重通信のリンクを提供する。PHSシステムにおいて確立された接続のそれぞれにおいて、アップリンクおよびダウンリンクは同一の周波数キャリア上および一対のアップリンク/ダウンリンクタイムスロット“チャネル”上に実現される。しかし、アップリンクとダウンリンクは、後に図7を用いて詳述する通り、異なるタイムスロットを占有する。
【0018】
LEDインジケータは、フレームタイミングが適切に同期されたことを視覚的に報知することが、必要であれば、可能である。また、複数の、例えば互いに色の異なる、LEDインジケータ、を用いて、相対的な信号強度を表すことで、アンテナおよび/またはリピータの配置の目安とすることができる。上記の通り、RS−232コネクタを、制御端末(例えば、グラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)によって作動するリピータ設定ソフトウェアを備えたラップトップコンピュータ)への連結部として用いることができる。この設定ソフトウェアは、例えば、作動チャネル、TDDにおけるアップリンクとダウンリンクの分割を設定することができ、また、作動中のリピータのキーとなるパラメータをグラフィカルに監視することができる。このようなパラメータが決まると、あるいは、特定の複数の条件に対する特定の複数の値の適用についてのスキームが決まると、このような作動制御の実行主体を、作動プログラムを有するマイクロプロセッサ等に移すことができる。それにより、対応するソフトウェアおよび/またはファームウェアを備えたマイクロプロセッサ/コントローラを、リピータ製品のパラメータ制御に用いることができる。
【0019】
IEEE802.16d/e直行周波数分割多重アクセス(OFDMA)(TTA−PI Korea)規格のTDDフォーマットは、全世界的な市場に向けた商用の非周波数変換型リピータの開発において良好に機能することが予想される。アップリンクとダウンリンクのフレームが1つのシステム中の種々の基地局間で同期することにより、基地局による送信と加入者端末による送信とが同時に発生する恐れがほとんどなくなり、遠近問題や、典型的な基地局222が、加入者端末232よりも非常に大きい実効等方放射電力(EIRP)レベルで送信を行っているかもしれないという問題を緩和することができる。
【0020】
必要となる信号増幅を除き、TDDによる中継を実現するための、リピータ210による唯一の無線信号に対する変更は、約1μsの伝送遅れの付加である。1μsの追加遅延は不変であるので、加入者端末232または基地局222におけるシンボル同期には問題はない。加入者端末232は基地局222およびリピータ210の両方からの信号を、実質的に悪影響なしで受信することができる。サイクリックプレフィックスタイム(CP)が12.8μsであるとすると、802.16による構成の一例においては、この追加遅延は比較的通常範囲内であり、OFDMサブキャリアは、直接信号および中継信号を受信した場合であっても、その直交性を保つ。
【0021】
802.16等のプロトコルにおいては、加入者端末232は、後述するように0.25dB刻みの電力レベル変化を示す符号付き8ビット値を含んだOFDMA電力制御情報部を周期的に受信するようになっていてもよい。加入者端末232に対応する電力制御が可能であることから、リピータ210の自動ゲイン制御設定を、できる限り一定レベルに保つ必要がある。リピータ210の“入力”アンテナに与えられるどのようなゲインも、一貫性のある方法でパワーアンプに送られなければならない。パワーアンプの飽和を防ぐために、細かい調整(例えば10dB刻みの調整)を周期的に行って許容範囲内の電力基準を回復させてもよい。このような方法による調整は、微調整における電力レベルの変化率が、基地局222における電力制御調整変化率である30dBs/秒より遥かに低ければ問題が発生しない。例えば、リピータ210は、1分に1度だけ10dBの刻みで調整を行えば、システム全体の電力制御スキームを深刻なレベルまで乱すことがない。なお、自動ゲイン制御(AGC)ループの実装の詳細は、特定のアプリケーションまたは特定の顧客等の要求群に関連して決めてもよい。ダウンリンクにおいては、信号は電力制御されないが、加入者端末232は周期的に計測したRSSIおよびその変化を、1dB刻みで量子化された、例えば40dBm〜123dBmまでの範囲内の値として、基地局222に報告する。リピータがどこに配置されても、受信信号強度がこの量子化幅内にうまく収まることが期待される。
【0022】
OFDMAにおいては、複数のユーザが異なるサブキャリアにおいて同時に受信および送信を行うことができることはよく知られている。各ユーザに割り当てられたサブキャリアの数、および、ユーザのための伝送に用いられるサブキャリアの総数は、フレームが変わると共に変化する。したがって、すべてのサブキャリアが毎フレーム割り当てられるわけではないので、リピータ210におけるアンテナ入力の受信電力レベルは変化する場合がある。しかし、多数のアクティブなユーザの存在によって平均化の効果が表れることにより、また、AGCループの作動がフレームの持続時間に比べてゆっくりであることにより、周波数領域におけるユーザの多重化はリピータにとって大きな問題ではない。
【0023】
当業者にとっては明らかであるが、リピータ210は、例えば60〜70dBのゲインを入射信号および出射信号に印加してもよいし、二重モードでアップリンク期間とダウンリンク期間の両方において同じ周波数で作動してもよい。もし出力信号の一部が、内部を介してにしろ外部を介してにしろ、十分な強度で入力に混ざると、一部のタイプのCDMAリピータで発生しうる条件に類似する入力―出力発振条件が発生し、その結果システムの性能が著しく低下する。内部的または外部的なアイソレーションを行うと、そのアイソレーションの量に応じて、リピータ210が提供できる増幅度が制限される。その結果、75dBのゲインを提供する場合、リピータ210におけるアンテナ間のアイソレーションおよび特定の装備におけるアンテナ間のアイソレーションが最大印加ゲインの10dB上または85dBのアイソレーションとなることが求められる。所望の内部的アイソレーションを達成するためには、回路デザインにおいて、特に入力信号とフィードバック経路のデザインにおいて、漏れとEMIに関連する問題に対して注意を払う必要がある。所望の外部的アイソレーションを達成するためには、例えば、基地局222へのリンク221用に指向性アンテナを用いることが、最小限想定される。さらに、壁200の外壁202において、基地局222へのリンク221のためのアンテナ220が、基地局222への直線距離ができるだけ短くなるように配置されていることが想定される。リピータ210から加入者端末232へのリンク231のためには、多くの場合建造物または構造物の内側に取り付けられる無指向性アンテナを用いることが想定される。信号の発振が収まらない場合は、リピータ210はそれを検出して、さらにアンテナを離すか、あるいはそれらアンテナの向きや配置を最適化することで、より良好なアンテナ間アイソレーションが達成されるまでの間、リンク231へのゲインを低減させる。
【0024】
例えばPHSおよび802.16の実施形態の例における、適切なTDDの作動のためには、アップリンク方向またはダウンリンク方向への信号を増幅するか否かをリピータ210が決定する必要がある。そしてその決定は、使用中のTDDプロトコルにおけるアップリンクのサブフレームとダウンリンクのサブフレームの開始タイミングと終了タイミングを特定することで実現する。例えば、ダウンリンクサブフレームにおいては、基地局222(提供ポートともいう)に向いている指向性アンテナ220に到達する信号は、増幅され、かつ指向性アンテナ230から出力される必要がある。また、アップリンクサブフレームにおいては、加入者端末232から指向性アンテナ230に到達する信号は、反対方向に増幅され、かつ、指向性アンテナ220から基地局222に向けて出力される必要がある。
【0025】
802.11におけるTDDの中継では、2つのアンテナのうち1つのアンテナにパケットが存在することが検出され、それに応じて増幅の方向が動的に変化する。TDD遠隔増幅器のようなTDD増幅の他の技術においては、波形の存在を検出する前に増幅器の作動を止めることで、パケットの先頭を切り取ることができる。波形のプリアンブルが切り取られない場合は、複数の802.11TDDリピータを直列に連鎖させることで、建造物の奥深く信号を入り込ませることができる。直列連鎖および対応する検出技術は802.11システムにおいては良好に機能するものの、複数の加入者端末が送信を行っている場合は、何らかの形でアップリンク/ダウンリンク同期を取る必要がある。他のシステム情報を用いなければ、リピータ210は複数の加入者端末によって混乱してしまう場合がある。
【0026】
種々の実施形態の例において、TDDフレーミングを決定するために種々の方法が用いられる。このように、リピータ210は複数の方策を用いて信号の増幅を行うべき方向を正確に決定することができる。ここで説明される技術は、リピータ210からの伝播距離の要因や、近隣のセルサイトから到達するがゆえに、送信があったサブフレームの終了後に到達してしまう不要な信号という要因によるタイミングのずれには影響されない。
【0027】
増幅方向を決定する方法は、例えば最初に到達する信号を用いてリピータ210を閉じる等の指標の組み合わせを含む。種々のプロトコルにおける通常のシステムの作動を通じて、基地局222は異なる加入者端末からの送信を先進させまたは遅延させることで、複数のパケット送信の到達が同時になるようにする。したがって、リピータ210は、最初に到達した信号を保持して、そのパケットについての他のチャネルにおける検出を無視するように構成されていてもよい。
【0028】
時間の関数としての受信電力レベルの統計的解析結果を増幅方向の決定に用いてもよいのは明らかである。ダウンリンクサブフレームにおいて、基地局222に向けられた指向性アンテナ220における受信電力は、はっきりとした特性を有していると考えられる。基地局219からの信号についての既知の送信特性はまた、同期のために、または同期の一助となるように、使用されてもよい。
【0029】
タイミングについての他の特徴としては、規定されたギャップおよびダウンリンクにおいて周期的に表れる制御チャネルスロットの一貫性がある。このように、一貫性および周期性は、アップリンクおよびダウンリンクのスロットのパラメータのような既知のシステム情報と共に、基地局のタイミングを特定して同期するために用いられてもよい。
【0030】
上記のような特性を検出する手法の1つとして、基地局からの信号の既知の特性およびタイミング特性を特定するために、当該信号を詳細に統計解析することを行ってもよい。それに伴いリピータ210は、その無線信号の増幅方向を決定するために、例えば3つのステップを採用してもよい。1つ目として、初期化の間中指向性アンテナ220をモニタリングすること等により、後述する受信/送信移行ギャップ(R/T−TG)の位置を特定してもよい。2つ目として、5ミリ秒のIEEE802.16フレーム内のダウンリンクサブフレームの開始タイミングと持続時間を検出してもよい。3つ目として、アップリンクサブフレームとダウンリンクサブフレームにおける送信タイミングおよび受信タイミングが、1フレーム当たり1回の頻度で調整されるようになっていてもよい。PHSの例においては、例えば、繰り返されるチャネル群中、CSの制御チャネルの既知の周波数チャネルおよび周期を用いてもよい。
【0031】
増幅方向を決定する将来の技術の1つにおいては、モデムベースの同期が用いられてもよい。アップリンクとダウンリンクのサブフレームのタイミングに関するシグナリング情報を明示的に受信するために、また、そのような情報を同期に利用するために、IEEE802.16、PHS、または他のモデムが用いられてもよい。
【0032】
また例えば、リピータ210は、当業者には当たり前な後述される特定の違いを除いて、cdma2000におけるRFベースのリピータと類似した振る舞いおよび機能を見せるようになっていてもよい。上記のような典型的なリピータシステムは、例えば10dBiのゲインを有する屋外指向性アンテナ、およびそれに伴う数フィート長の同軸ケーブルを有している。同軸ケーブルは屋内リピータモジュールに接続されている。このリピータモジュールは外部DC電源から電力供給を受けることになる。またこのリピータは、例えば5dBiのゲインを有する屋内無指向性アンテナに接続されることになる。この屋内無指向性アンテナは、加入者の住居、仕事場等の種々の部屋への信号を増幅する。この屋内アンテナは、適切なアンテナ−アンテナ間アイソレーションが達成される限り、指向性を有していてもよい。
【0033】
当然のことではあるが、建物の壁200の外壁部202に指向性アンテナ220を設置し、さらにケーブルを建物内に配線するために、技術サポート人員が必要となるかもしれない。しかし、屋内リピータのセットアップには特別な設定は必要ないだろう。そして住宅用顧客は、屋内アンテナを好みの方向に向けるために、補助を必要としないだろう。また、パーソナルリピータは、RSSIレベル、同期等を示す1つまたは複数のLEDを有することで、リピータ210の配置、指向性アンテナ220、230の向きおよび配置を容易にし、リピータ210がTDDのアップリンクおよびダウンリンクのサブフレームに適切に同期したときを示すようになっていてもよい。
【0034】
他の例と同様、非周波数変換型リピータのサービスは、地下道や建物内におけるサービスのような、アクセスすることがこれまで難しかったサービスエリアにおいて大容量インターネットサービスを提供することを目的としている。例えば、建物内のリピータは1つの小さな屋内ユニットから成り、その屋内ユニットは、屋外に近い位置に配された屋外用アンテナ、および、例えば上記のような屋内用のアンテナを備えている。自力インストールにより適した他のリピータのモデルもあるだろう。
【0035】
本例のリピータは、IS−2000システムのような既存のリピータに類似した機能を有することになるだろう。本リピータは、同一周波数屋内リピータや、屋外インフラストラクチャリピータを含む、種々の形態をとることができる。屋外インフラストラクチャリピータは、高出力のリピータであり、カバレッジが貧弱なまたはカバレッジに問題のあるエリアを補強し、あるいは、現在のカバーエリアを選択的に拡張する。この屋外インフラストラクチャリピータはビルの屋上、セルタワー等に配置されてもよい。さらに、本リピータは、屋内分配システムであってもよい。屋内分配システムは、地下道や駐車ガレージに用いる基地局と接続するアンテナとリピータとの間の距離を大きく離す必要がある。更に、本例のリピータは、光ファイバリピータであってもよい。光ファイバリピータにおいては、建物内の“深い”カバレッジを達成するために、ファイバの距離は短くなっている。長い光ファイバの存在により、ここで説明されているリピータシステムの作動にシステムレベルの問題が起こるとされている。
【0036】
図3に、リピータ300の一例をブロック図で示す。アンテナ301および302は、それぞれ送信/受信(T/R)スイッチ303および303に接続されている。当初は、T/Rスイッチ303およびT/Rスイッチ304はアンテナ301およびアンテナ302のそれぞれからの信号を、それぞれに対応するローノイズアンプ(LNA)305およびLNA306に渡すように設定されている。増幅された信号は、それぞれ周波数ミキサ307および周波数ミキサ308によって周波数が低くなるように変換され、さらに、アンテナ201用の検出器309、アンテナ302用の検出器311といった、対応する信号検出器に渡される。信号が検出される最初のアンテナが、T/Rスイッチ303およびT/Rスイッチ304のいずれか一方の設定によって、入力アンテナとして設定され、また、他方のアンテナが、T/Rスイッチ303およびT/Rスイッチ304のうち他方の設定によって、出力アンテナとして設定される。なお、802.16アプリケーションのような典型的なアプリケーションにおいては、検出処理にはおよそ500ナノ秒かかり、送信スイッチの設定の遅れはおよそ200ナノ秒かかる。送信スイッチ315は、入力アンテナからの信号を遅延素子310または遅延素子312によって付加された遅延量だけ遅延させた後、パワーアンプ316に渡す。パワーアンプ316はこの信号を、別の送信スイッチ317の処理を介して、アンテナ301およびアンテナ302のうち上記のように出力アンテナとして指定されたアンテナに渡す。当然のことながら、この検出遅延量は、本プロトコルに対応するタイムアウト値を超えてはならないし、このタイムアウト値に近くてもいけない。さらに、このTDDプロトコルが同期を必要としている場合、この検出遅延を埋め合わせる必要はない。マイクロコンピュータ313および複合ロジック回路314は、検出処理の信頼性を向上させ、システムメンテナンスおよび制御等の当業者には当たり前の付加処理を実行するために用いることができる。また、マイクロコンピュータ313および複合ロジック回路314は、リピータ300の作動を高品質化し、増強し、または制御するために特定のソフトウェアを実行するために用いることができる。また、当然のことではあるが、アンテナ301とアンテナ302との間の複数の接続のうち少なくとも1つは、光ファイバーケーブルを用いた本例のリピータモジュールに接続されていてもよい。あるいは、8002.16モデム等のモデム320は、ネットワークにおけるチャネル割り当て情報を収集するべく、例えば制御チャネル情報に関連するシグナリング情報を復調するために用いられてもよい。モデム320は、変調されたデータを送信するために用いてもよい。
【0037】
当然のことではあるが、検出器311は、それ自体で中継を可能化するように用いられてもよいし、同期化されたアップリンクフレームタイミングまたはダウンリンクフレームタイミングと協調して使用されてもよい。あるいは、検出器311はアップリンクおよびダウンリンクの同期を維持するためだけに用いられてもよい。例えば、一旦同期が実現されると、あるアンテナの検出器311が当該アンテナから他方のアンテナへの中継を実現させればよい。しかし、検出器311が、当該アンテナ用の有効な中継スロットとして規定されていないタイムスロットにおいて信号を検出した場合、検出器311はその情報を中継しなければよい。
【0038】
上述したリピータ300用のNMSは、建物内分配リピータ関連およびインフラストラクチャリピータ関連のような特定のケースに実装することができる。しかし、モデム、マイクロプロセッサ、およびメモリの追加コストに鑑みれば、典型的なパーソナルタイプのリピータにNMSを使用する選択肢は期待できない。NMSは、遠隔ゲイン調整機能、遠隔ファームウェアアップグレード機能、インターネットファイアーウオール機能、VPN機能、ペアレンタルコントロール機能、およびスパムフィルタリング機能を有し、加入者宅内機器(CPE)ベンダーとの協調によって構築される。
【0039】
指向性アンテナ220における受信信号強度指標(RSSI)の時間に対する振る舞いを、図4のグラフ400に示す。なお、T/R−TG401、404、406および1つ前のサブフレームからのマルチパスパワーは、図示の都合上縮尺通りに示されていない。上記の3つのステップから得られた情報は、リピータ210によるアップ/ダウン送信選択処理における検出閾値を変更するために用いてもよい。そのアップ/ダウン送信選択処理は、結局のところ、既知のアップリンクのスロットおよびダウンリンクのスロットの同期に基づいてアップリンクとダウンリンクの検出閾値が動的に変更されるような推測的検出アルゴリズムとなる。
【0040】
典型的には最低5マイクロ秒持続すると特定されるT/R−T/G401、404、406の間、アップリンクにおいてもダウンリンクにおいても電波のやりとりはない。これらTRギャップを特定するために、RSSIに対応するウィンドウ関数を用いることができる。算術平均を用いるウインドウイングは以下のような形態となる。
【数1】

【0041】
ここで、Wはサンプル数である。インデックスnは、その間にRSSI信号402および405がサンプリングされる離散時間間隔を示す。この離散時間間隔は、正確にサブフレームタイミングを特定するために、例えば、最小T/R−TG持続時間である5マイクロ秒の1/25のサンプル期間としてもよい。最小のT/R−TGが5マイクロ秒である場合、サンプリング周波数は5MHzとなる。あるいは、新しいサンプルをより強調するために、以下に示すような指数忘却ファクターを用いたウィンドウ関数を用いてもよい。
【数2】

【0042】
式2の形式においては、メモリファクターλは、例えば、上記再帰方程式において63%パワーとなるような時定数tcが最小のT/R−TGギャップより十分小さくなるように、例えば1μ秒となるように、選んでもよい。有限幾何級数にこのフォーミュラを用いることで、メモリファクターλは、以下のような形式になっていてもよい。
【数3】

【0043】
アップリンクサブフレームとダウンリンクサブフレームの始まりは、フィルターされたRSSI値の立ち上がりによって典型的に特徴づけられる。したがって、サブフレームの開始を検出する1つの方法は、フィルターされたRSSIの連続的な複数の増加を探すことである。すなわち、もし式
【数4】

【0044】
の値が連続的な複数のサンプルで正となっていれば、それがサブフレームの始点であると知ることができる。また、送信ギャップを含むフレームの総持続時間は5ミリ秒であることがわかっており、この知識は2つの送信ギャップ、ダウンリンクサブフレーム、およびアップリンクサブフレームの総時間長が正しいことを確認するために用いることができる。同様に、式
【数5】

【0045】
の値が連続的な複数のサンプルで負となっていれば、それがサブフレームの終端であることが示されていることになる。
【0046】
あるいは、RSSIが閾値セットより高いか低いかを、アナログコンパレータおよび調整可能な参照電圧セットを用いて、マイクロコンピュータ313が判断してもよい。この閾値は受信RSSIレベルおよび検出確率中の誤検出確率に適合するように変化させてもよい。ある期間内の検出の統計は、同期のために用いる基準とすることができる。例えば、もし暫定的なスロット割り当てが、仮定されたプロトコル環境に対して正しいものであれば、そのスロットにおける候補信号の整合性ある受信についての統計により、そのプロトコル環境についての最初の仮定が正しく、かつその環境における同期が正しかったということを確認できる。
【0047】
サブフレームの始点および終端の誤検出の可能性を最小限にする方法がいくつかある。例えば、サブフレームの終端においては、
【数6】

【0048】
のパワーレベルがノイズレベルより非常に大きく、かつ、
【数7】

【0049】
の減少率が高いことがわかっている。同様に、サブフレームの始点においては、
【数8】

【0050】
のパワーレベルがノイズレベルに近く、かつ、
【数9】

【0051】
の増大率が高いことがわかっている。このように、ノイズレベルに対する
【数10】

【0052】
のパワーレベル、およびその微分の強度についての知識を、誤検出を最小限にとどめるために用いることができる。
【0053】
さらに、検出されたサブフレームがアップリンク方向のものであるかダウンリンク方向のものであるかについての判定を行う必要がある。ユーザチャネルがまとめてグループ化された、802.16等のプロトコルでは、指向性アンテナ220のような基地局側アンテナにおける受信信号強度は、アップリンクサブフレームの場合よりもダウンリンクサブフレームの場合の方がはるかに高い。これは、例えば、指向性の屋外アンテナが用いられた場合におけるアップリンクとダウンリンクの間の強いアイソレーションによるものである。このように、より高いパワーレベルのサブフレームがダウンリンクサブフレームとなり、より低いパワーレベルのサブフレームがアップリンクサブフレームとなる。
【0054】
ダウンリンクサブフレームおよびアップリンクサブフレームのタイミングが決定すると、例えば検出アルゴリズムのトラッキングモードが開始される。非コヒーレントRSSIスロープ検出アルゴリズム等のアルゴリズムで、フレームの開始時および終了時を追跡することができる。例としてダウンリンクサブフレーム開始時ループについて考える。ダウンリンクサブフレームの始点がs(n)に見積もられたとする。すると、5ミリ秒フレームから次の5ミリ秒フレームへと、ダウンリンクサブフレームの開始タイミングが以下の式を用いて調節される。
【数11】

【0055】
ここで、d(n)は、ダウンリンクサブフレームの開始タイミングが調節される方向であり、wは始点s(n)に関するメモリファクターである。d(n)は以下の式によって定義される。
【数12】

【0056】
ここで、Nはフレームのスタートタイミングのどちらかの側におけるサンプルの数である。ここで、
【数13】

【0057】
である。ダウンリンクサブフレームの始点における
【数14】

【0058】
の大きな増加のみが正値につながるように、式6の閾値を大きくする必要がある。図4に鑑みれば、閾値403はベースライン閾値を示すようになっていてもよい。
【0059】
上述の通り、仕様によれは、行きアンテナと戻りアンテナの間のアイソレーションとして75dBが要求される。実際には、各アンテナの指向性、および外部アンテナと内部アンテナの間にある壁の存在により、アイソレーションの量はさらに大きくなっていてもよい。非周波数変換型リピータの配置は、既に実際にあるので、経験的にもアイソレーションが困難な課題となることはない。窓に配置するタイプのシングルユニットのようなリピータの実現例においては、40dBから50dBのアイソレーション程度になるかもしれないが、この場合は増幅量を低減するようにしてもよい。
【0060】
しかし、増幅のループによる不安定性を引き起こすフィードバック現象において、自動ゲインコントロール(AGC)回路はそのフィードバック状態を検出し、信号の増幅を抑えることで、リピータのゲインを犠牲にして不要な発振を除去するようになっている。x[n]を、離散時間nにおける入力信号とする。入力アンテナで受信し出力アンテナで計測したときの信号の総ゲインは、gで表される。離散時間nにおける出力信号はy[n]で表される。フィードバックパケットはフィードバックゲインgおよび単位時間の遅延から成る。このとき、以下のような差分方程式が得られる。
【数15】

【0061】
安定性を確保するためには、増幅ゲインとフィードバックゲインの積が1以下であることが必要である。言い換えれば、gで表される送受信アンテナ間のアイソレーションは、リピータを通るときの信号のゲインgよりも大きくなければならない。
【0062】
各実施形態において、図3に示すようなリピータ300は、必要であれば、信号の増幅が必要な方向を例えば上述の通り決定するために必要な時間だけ、受信無線周波数信号を遅延させるようになっていてもよい。T/Rスイッチ302、303およびTXスイッチ315、317等のすべての送信および受信スイッチは、遅延された入力信号がPA316に届くすぐ前に、正しい方向にセットされるようにすることで、信号の一部が切り取られることがなくなる。増幅の方向は、規定されたタイムスロットおよび同期化されたフレーミングに基づいて知ることができる。このように、上記の技術は中継を実現するために組み合わせて用いられてもよい。例えば、ある特定のアンテナポートにおける同期および検出は、中継を実現するためには必要である。言い換えれば、あるアンテナポートにおいて信号が検出されるべきとき(例えば同期が実現した正しいアップリンクまたはダウンリンクのスロット期間中等)にその信号検出される場合のみ、中継が実現される。
【0063】
隣接セルの干渉の問題については、リピータ300は、同じネットワーク内の隣接セルの端部に位置する加入者端末のうちいくつかの端末との伝送ビットレートを、隣接セルの干渉の存在を原因として、低下させるようになっていてもよい。対照的に周波数変換型のリピータにおいては、加入者からの信号が別の周波数帯に中継されるので、干渉が増大することがない。リピータ300は加入者端末よりも比較的良好な環境下にあるので、このような周波数変換型のリピータの場合、アップリンクにおいては、基地局に割り当てられた周波数中の、隣接するセルへの干渉は小さい。ダウンリンクにおいても、同じ理由により、基地局からの信号が加入者端末に干渉を及ぼすこことは少ない。
【0064】
非周波数変換型リピータの場合、特にリピータのゲインが高いとき、ダウンリンクにおいて周囲のセルサイトへの付加的な干渉が発生する。しかしながら、アンテナを下方へ十分傾けることで、干渉の効果を緩和することができる。さらに、リピータはその定義上、リピータなしでは信号強度が非常に低くなってしまう領域において信号増幅を行うことが多いので、周囲のセルの端部や構造物の内部等においては、干渉信号の総強度が非常に高くならないと考えられる。また、再利用ファクターが1であるような配置の場合、隣接する基地局は、セル端部のユーザのそれぞれに送信するために異なるOFDMAサブキャリアを選択してもよい。これによって、セルの端部においてビットレートを向上させることができる。PHSの場合、個々の基地局またはCSが動的周波数割り当てを行うので、干渉はほとんど発生しない。ある実施形態においては、リピータは、既知のスロット構造および300KHzのタイムスロットチャネルの1つ(例えばただ1つのキャリア周波数中の制御チャネル)に基づいて、同期および追従を行う。リピータは20MHzの周波数帯域に渡って中継を行うことで、狭帯域検出および20MHzの全帯域に渡る広帯域非周波数変換型中継を、アップリンクおよびダウンリンクの両方の方向で、狭帯域チャネル上の同期のみに基づいて、行うことができる。
【0065】
アップリンクにおいても、目標となる基地局の干渉レベルは同じであるが、隣接する基地局においては、リピータがその対象とする基地局に近いことから、干渉レベルが低くなる。IEEE802.16ベースのシステムにおいては、セルの周辺に位置するユーザは、異なるサブキャリアに割り当てられる。これは、もしセルサイズがリピータによって拡大されても、サブキャリアを用いることで干渉は抑制されることを意味する。
【0066】
アクティブRFリピータを使用すれば、データリンク層またはネットワーク層で作動する蓄積交換リピータを使用する場合に比べて、遅延、ビットレート、複雑性の点で有利である。蓄積交換型のリピータは、信号を再構成してから再送信することで、レンジを拡大し、またはシステムのスループットを向上させる。このリピータシステムを評価するために、単純な指数関数的パワー経路減衰モデルを用いることができる。信号がn次のオーダーの経路減衰モデルに従い、リピータが加入者端末とアクセスポイントとの中点にあるとする。リピータが受信したパワーの、加入者に対する比は、
【数16】

【0067】
となる。
【0068】
したがって、3次の経路減衰の場合、蓄積交換型リピータは、受信したSNRに9dBのゲインをもたらす。表1は、IEEE802.16標準における、変調レートおよび符号化スキーム毎のSNRレベルの要求値およびブロック当たりのビット数を示している。最下端の3つの変調スキームについては、リンクバジェットの9dBの改善によってブロックサイズが2〜3倍に改善される。これは、マージンおよび遅延の増大があるものの、パケットを2回送信するまでもなく、総スループットの改善があることを意味する。表1は、変調および符号化レートスキーム毎のブロックサイズの改善を示している。ブロックサイズ改善比とは、例えば、9dBがリンクバジェットに付加されたときの、ブロック中のビット数の増大をいう。高次のオーダーの経路減衰がある場合、さらに大きなスループットの改善が期待される。
【0069】
アクティブRFリピータは、蓄積交換型のリピータに比べて、遅延の改善、スループットの完全、および複雑性の緩和という点で有利である。さらに、データセキュリティーのスキームも、RFベースのリピータにおいては維持される。というのも、暗号鍵が必要でないからであり、それによって複雑性および管理負荷が低減される。RFリピータにおける遅延は1マイクロ秒未満であり、場合によっては数百ナノ秒となる。一方、蓄積交換型のリピータはフレームの持続時間(IEEE802.16の場合5ミリ秒)よりも長くなる。遅延に対してセンシティブなアプリケーションの多くにおいては、このような長い遅延は耐えられないものである。蓄積交換型リピータにおけるビットレートのボトルネックは、最も遅いポイントトゥーポイントリンクのビットレートによって最大ビットレートが制限されることで発生する。常に加入者端末と基地局との中点に正確にリピータを配置することは不可能であるので、スループットとレンジの改善効果は大きく制限される場合がある。また、表1に示すように、小さいブロックサイズの場合にはビットレートの改善効果は大きいが、ブロックサイズが大きくなるとその効果は低くなる。個々のパケットは2度送信されなければならないので、R=3/4の16QAMおよび64QAM変調においては、蓄積交換型リピータのセルのスループットは低下する場合がある。また、蓄積交換型リピータは、パケットの再構成および再送信のために不可避的に発生する付加処理のために、本来的に複雑になってしまい、それがリピータの価格の上昇および電力消費の増大に繋がってしまう。セキュリティ、サービス品質(QoS)および導入コスト、ネットワークマネージメントにまつわるプロトコルの現実的な制限により、このような蓄積交換型のリピータが広く利用されることが阻害されている。
【0070】
以下の通り、表1はIEEE802.16シグナルコンステレーションの受信SNRおよび非符号化ブロックサイズ、および、9dBのSNRの改善に伴うブロックサイズの改善比を示している。
【表1】

【0071】
当然のことであるが、加入者端末および基地局装置における内的および外的パワーコントロールループの範囲内で、実施形態のリピータはゲインを提供することができる。例えば、上記のように、本例のリピータは設定ユーティリティを用いてプログラム可能に、40から80dBの間のゲインを提供することができる。この40から80dBのゲイン幅は、パワーアンプのピークパワーが15dBmに制限されていることから来るものである。自動ゲイン制御(AGC)ループはIEEE802.16d/eプロトコルの高速アップリンクパワー制御を実現するようになっている。この高速アップリンクパワー制御は、ベンダーによって内容は異なるが、最大30dBs/秒までのフェージングまで対応するように要求されている。リピータにおけるAGCループの目的は、上述のような発振によって、または、電波源からの入力アンテナへの過大なパワーによって発生するパワーアンプの飽和を回避することにある。しかしながら、そのような状況が頻繁に発生することはあまりないので、このような目的のためには、例えば周期的な10dBの調整のような、頻繁でなくかつ大まかなAGCレベルの調整が適切である。
【0072】
AGCループにおいてゲインを大きく調整すると、システムが不安定になりがちである。例えば、下方調整はフレーム消失を招き、上方調整は隣接するセルとの干渉を増大させる。それゆえ、調整の頻度を制限するための方策が必要となる。調整を制限する1つの方法は、単に、PA飽和レベル未満の特定の通常作動レベルで作動させることである。他の方法は、パワーアンプのヒートシンクを過大な性能を持たせて製造することで、ある限定された長さの期間において通常のピークレベルを超える発熱にパワーアンプが絶えられるようにし、さらに、パワー出力が設計上の限界を一定期間超えたときにのみAGCゲインを調整することである。
【0073】
アップリンクサブフレームとダウンリンクサブフレームのそれぞれにおいて独立にAGCの状態を管理することも有効な場合がある。独立管理の目的としては、加入者端末のパワーアンプのゲインを下げる変わりにリピータのアップリンクゲインを上げることで、加入者端末の電力消費を抑え、かつ、干渉を低減することがある。リピータのアンテナの指向性が強く、かつリピータにおいて電波の伝達環境が基本的に良いことから、リピータのアップリンクゲインを上げることで、周囲のセルサイトへの干渉の少ない目標受信感度を達成することができる。単純なn次のオーダーの指数的経路減衰について考える。基地局が加入者端末232からrメートル離れている状態で、目標受信感度P(r)に対応するために、ある送信パワーレベルP_0が必要であるとすると、受信感度は以下のように定義される。
【数17】

【0074】
2番目のケースとして、リピータがr/2メートル離れているとする。この場合、受信感度は以下のようになる。
【数18】

【0075】
リピータの入力アンテナにおける受信パワーを、基地局の入力アンテナにおける受信パワーと同等とするには、送信パワーレベルの比は以下のようになる。
【数19】

【0076】
このように、同一の受信感度を有するリピータに到達するためのトータルパワーはちょうど−3ndBとなる。信号の経路を2つの部分に分割することで、加入者端末とリピータ局の総送信パワーは、直接送信の場合よりも、−3n+3dBだけ変化する。3次のオーダーの経路減衰の場合、合計−6dBだけ変化した総送信パワーレベルが必要となる。この3次のオーダーの経路減衰が、リピータのアンテナの近隣の基地局との良好なアイソレーションと組み合わさることで、加入者端末と基地局との中点にアップリンクリピータが配置されたことにより、非常に低いセル外干渉が達成される。
【0077】
当然ながら、リピータを通じた信号の増幅は、一般的にOFDM波形を変形させることはない。本例におけるリピータはラジオ周波数レベル作動し、また、リピータによって適用されるゲインは、例えばIEEE802.16においては10MHzの通過幅に渡ってフラットであるので、OFDMサブキャリア波形は変形することなくリピータを通過する。もし増幅されていない信号と増幅された信号が両方とも受信機に到達すると、RMS遅延拡散が増加する。しかし、リピータを介した遅延は1000ナノ秒未満であり、典型的には数百ナノ秒であるので、受信機によるシンボル間遅延の増大は最低限のものとなる。なぜなら、個々のOFDMシンボルの開始における12.8マイクロ秒の周期的プレフィックス内に、遅延は十分収まるからである。
【0078】
送信アンテナと受信アンテナのダイバシティスキームも本実施形態のリピータに適用することができる。例えば、IEEE802.16標準は時空間符号化(STC)の構造を規定している。STCは、本実施形態のリピータにも適用可能な3GPP/PP2標準で標準化された時空送信ダイバシティ(STTD)と類似している。また、あらゆる種類の送信と受信のダイバシティを本実施形態のリピータに適用することができる、というのも、それが通過帯域中の受信信号のすべてを等しく増幅するからである。実効的な無線チャネルはリピータによって変化させられるが、すべてのアンテナから送信される中継信号における位相およびゲインの変更は一定である。このように、送信および受信アンテナダイバシティスキームに対する悪影響はない。したがって、多重入力多重出力(MIMO)システムは、例えば、多重非周波数変換型リピータを複数用いて実現することができる。MIMOとは、送信機側の複数のアンテナと受信機側の複数のアンテナを用いた多重無線接続をいう。複数のアンテナを用いることで、無線環境空間次元を無線接続の性能改善に用いることができる。
【0079】
PHSの作動においては、システム全体で制御チャネルタイムスロットを固定周波数とすることで、PSが制御チャネルの位置を特定のセルに依らずに知ることができ、PSがセル間を移動するときに制御チャネルを探す必要がなくなるので、ハンドオーバー等が容易になる。トラフィックチャンネルは、動的チャネル割り当て(DCA)に従い、使用形態および干渉レベルに基づいてCSによって動的に割り当てられる。DCAは、固定周波数割り当てを排することで、周波数スペクトルの効果的な使用が可能となる。実際、トラフィックチャネルのタイムスロットおよび周波数はセッションまたは呼毎に変化してもよい。DCAのアプローチはPHSおよびWiMAXにとっては重要である。というのも、例えばPHSでは、20MHzの帯域内のアップリンクタイムスロットおよびダウンリンクタイムスロットの両方において、複数の通信事業者がサポートされているからである。
【0080】
なお、例えば、時間領域および周波数領域の両方で多重化を許容するIEEE802.16 OFDMAによって許可されるように、複数の同時送信が異なるOFDMサブチャネルで発生すると、個々のユーザへの送信は異なるサブキャリアを同時に占有することができることに留意すべきである。本例のリピータは、アップリンクおよびダウンリンクのサブフレーム中でどれだけの数のユーザが送信を行っているかに関わらず、それらサブフレームの開始時点に同期するので、リピータは複数の同時送信を問題なく増幅することができる。占有されるサブキャリアの数が変化するとAGC入力パワーにゆらぎが発生するが、ゲイン制御アルゴリズムはそのような場合にも十分な正確性のマージンを提供する。
【0081】
種々の実施形態に対応するTDDリピータ例の作動をより良く理解するために、図5に、通常の作動のフローチャートを示す。この作動は3つの基本作動状態、すなわち、初期化状態510、捕捉状態520、および追従&中継状態530に分けられる。511のスタートの後、512で、リピータは起動すると共に、PHS、802.16等のプロトコル環境に対応する作動のための特定のパラメータ、例えば、ゲインパラメータ、検出閾値等と共に初期化される。このときリピータは、特定のプロトコルに対応する作動を行うようあらかじめ作られており、512では、あらかじめ決められたプロトコルのための設定パラメータが読み出されて設定される。リピータはデフォルトの作動モードにあらかじめ設定されていてもよいし、無線環境を検知して、どのようなパラメータを適用すべきかの決定を行う。なお、種々の実施形態においては、リピータのハードウェアは1つのネットワーク環境(例えばPHS、802.16等)用に構成されている。したがって、図5はPHSまたは802.16ベースのネットワーク環境に関する判定ブロックを表しているが、このような複数ネットワークの判定構造は、当然ながら説明のためのみのものである。あるいは、リピータのハードウェアは典型的には唯一の環境においてのみ作動するように構成されているものの、リピータのソフトウェアは、多くのネットワーク環境で利用可能な共通ソフトウェアベースのものであってもよいし、1つのネットワーク環境専用のものであってもよい。このように、当初からの設定、初期化中の割り当てまたは設定、検出等を通じて、例えば、作動対象のネットワークが、513でPHSネットワークに、514で802.16または他のネットワークに、決められる。
【0082】
ネットワーク環境がPHSネットワークである場合、捕捉状態520において、リピータは、提供者アンテナからのダウンリンク信号である狭帯域信号を、521で検出することができる。信号が検出されると、522で、自動ゲイン制御(AGC)パラメータおよび他のパラメータがセットされ、基本タイミングの決定が試みられる。その試みにおいては、検出された信号の特性と、ダウンリンクの繰り返し周期または他の先見的情報および/または経験則等の既知の情報(制御チャネルの位置を示すものであってもよい)とが比較される。ダウンリンク信号は、ひとたび捕捉されると、523で、例えば20MHzの全バンド幅で加入者に中継され、また、引き続きダウンリンクの検出と、例えば追従が実行されてもよい。ネットワークが802.16または他のネットワークである場合、524で、ダウンリンクまたは提供者側が全バンド幅で検出されてもよい。信号が検出されると、525で、自動ゲイン制御(AGC)パラメータおよび他のパラメータがセットされ、基本タイミングの決定が試みられる。その試みにおいては、検出された信号の特性と、ダウンリンクの繰り返し周期または他の先見的情報および/または経験則等の既知の情報(制御チャネルの位置を示すものであってもよい)とが比較される。ダウンリンク信号は、捕捉されると、526で、例えば20MHzの全バンド幅で加入者に中継され、また、引き続きダウンリンクの検出が行われてもよい。最後に、捕捉状態520が完了すると、531で、加入者側でアップリンク信号が検出され、基地局またはCSに中継される。本例の処理においては532で終了するように示されているが、当然のことながら、上記の手順および処理は、示されたように、より大きいループ手順の一部であってもよい。また、当業者にとっては理解可能であるが、上記の手順は、終了するのではなく繰り返されるようになっていてもよいし、他の処理等に繋がるようになっていてもよい。
【0083】
同期を含む種々の実施形態に対応する処理手順例のより詳細な図を図6に示す。スタート611において、例えば上記の初期化は既に実行されて捕捉状態610に入っているのは明らかである。スタートの後、すなわち初期化の後、本例のリピータは612で、おそらく基地局またはCSからの、提供者側のダウンリンク信号を検出することができる。リピータは、AGCの値に関連するゲインレベル等、およびそれらに関連するパラメータを設定することで、捕捉のための信号に処理を注力するようになっていてもよい。捕捉の後、同期状態620に入る。同期状態620において、リピータはダウンリンク信号中でタイミングの規則性または周期性を探し、そのタイミング情報を種々のプロトコルに関連する既知の情報と比較することで、リピータが置かれたネットワークのタイプを621で特定しようとする。なお上記の通り、リピータは、既知のダウンリンクおよびアップリンクの特性に対応付けられるギャップや期間の位置を特定するために、RSSIおよび他のパラメータに関連する統計情報を利用することができる。ネットワークについての推定の正しさを確認するために他の統計的方法を用いてもよい。例えば、もし自らがPHSネットワーク内にいるとリピータが推定すると、リピータは制御チャネルの推定位置(例えばスロットまたはスロットペア(すなわちアップリンクおよびダウンリンク))を求めることができる。リピータは、統計情報をある捕捉期間にわたって蓄積することで、推定したチャネルが制御チャネルであることを特定の確度で確認することができる。当然のことながら、図3のモデム320等のモデムを備えたリピータにおいては、上述の通り、制御チャネル位置、チャネルタイミング、トラフィックチャネル割り当て、パワー制御等の情報を取り出すことで、所望のスロットおよび/または帯域を効率よく正確に中継するというリピータ性能を622で改善することができる。
【0084】
同期が確立すると、リピータは追従&中継状態630に進み、そこで検出結果は、631で、中継のためのみならず、同期の維持および例えば加入者方向への中継に用いられる。当然のことながら、上述の通り、検出および同期が有効である場合にのみ、すなわち、検出された信号が適切なタイムスロット内にある場合にのみ、選択的に中継が実行される。同期を維持する際には、トラフィックチャネルのスロット当に関するタイミング情報と、検出を通じて決定されたタイミングとの間のタイミング差が増大すると、リピータによって管理されるタイミング情報が調整されるようになっていてもよい。同期の確立後、加入者側のアップリンク信号が検出されて、例えば提供者アンテナ632へと中継されてもよい。なお、例えばアップリンク信号が加入者側アンテナで検出されたけれどもそれは誤ったタイムスロット内であった場合、信号は中継されることはない。中継を行うためには、信号が検出され、かつ、その信号の同期が適切に確立していなければならない。この本例における手続は633で終了する旨示されているが、当然のことながら、図5に関連して示されたように、本例の手続はループによって繰り返されてもよいし、他の処理等に繋がってもよい。
【0085】
このように、上記のような手順および回路を用いることで、非再生型、物理層(PHY)、かつTDDタイプの中継が望まれる環境において、種々のプロトコル環境における中継が実現する。図7にも示す上述のPHS等の、いくつかのプロトコル環境においては、チャネル構造が固定しており、それによって検出および同期が非常に容易になっている。タイムスロット割り当てと周波数との関係を示す図7のチャートのように、典型的なPHSシステムは複数の周波数キャリア、すなわち制御キャリア701、キャリア1 702、キャリア2 703、およびキャリア3 704、を有している。これらキャリアのそれぞれは4つのチャネル、すなわちチャネル1〜チャネル4、および8つのタイムスロットをサポートしている。各チャネルはアップリンクとダウンリンクのタイムスロットのペアを有し、それらチャネルのうち1つは、制御チャネルである。制御チャネルはあるキャリアに割り当てられており、そのキャリアは、例えば、キャリア1 702〜キャリア3 704等のトラフィックチャネルキャリアとは異なるキャリア、例えば制御キャリア701である。これらのトラフィックチャネルはタイムスロットによって区別されるので、同一または異なるキャリアを有していてもよい。キャリア間隔は300kHzであり、周波数帯は現在の標準によれば77チャネルを提供する1895.15〜1917.95MHz帯である。典型的なPSha10ミリワット以下の電力で送信し、典型的なCSは500ミリワット以下の電力で送信する。π/4シフトQPSK変調の場合、送信レートは384kbps程度である。図7に示すように、PHS送信フレーム用のフレーム持続時間721は普通5ミリ秒であり、そのうち2.5ミリ秒がダウンリンクフレーム722およびアップリンクフレーム723に予約されている。ダウンリンクフレーム722およびアップリンクフレーム723のそれぞれは制御チャネルおよび3つのトラフィックチャネルを有している。ダウンリンクフレーム722はダウンリンク制御チャネル711、それに続くダウンリンクトラフィックチャネル1 712、ダウンリンクトラフィックチャネル2 713、ダウンリンクトラフィックチャネル3 714を有している。アップリンクの側ではアップリンクフレーム723はアップリンク制御チャネル715、それに続くアップリンクトラフィックチャネル1 716、アップリンクトラフィックチャネル2 717、アップリンクトラフィックチャネル3 718を有している。
【0086】
この技術における当業者ならば、他の信号検出器の構成を決定し、本発明における検出の閾値等を設定するための例えば上記のような種々の技術を認識することができるだろう。また、検出器要素309、311、複合ロジック要素314、マイクロコンピュータ313の機能、および他の要素等の種々の構成要素は、1つの統合装置にまとめられてもよい。種々の構成要素およびそれらの相互作用に対する他の変更および置き換えは、本技術の当業者ならば、本発明の範囲よび意図から外れることなく行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アップリンクにおいて第1の局へ送信を行う第2の局に対し、ダウンリンクにおいて前記第2の局へ送信を行う前記第1の局から送信される信号を、時分割二重(TDD)プロトコルに基づいて、非再生中継する方法であって、
前記アップリンクと前記ダウンリンクのうち1つまたは複数に対応する期間において信号を検出すること、
前記アップリンクにおいて前記信号を検出した場合、前記信号を、前記第2の局から前記第1の局へ、前記第1の局に向けられた第1のアンテナを用いて再送信すること、および
前記ダウンリンクにおいて前記信号を検出した場合、前記信号を、前記第1の局から前記第2の局へ、前記第2の局に向けられた第2のアンテナおよび無指向性アンテナのうち1つを用いて再送信することを含み、
前記第1のアンテナ、前記第2のアンテナ、および前記無指向性アンテナのうち1つまたは複数についての形態因子は、前記検出することおよび前記再送信することを容易にするようになっていることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記検出することに相当する時間を埋め合わせるために、前記信号を前記第2の局から前記第1の局へ再送信することの前に、および、前記信号を前記第1の局から前記第2の局へ再送信することの前に、前記信号に遅延を加えることを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記遅延は前記プロトコルに対応するタイムアウトパラメータより短いことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記検出することは、受信信号強度指標についての窓関数を用いて、アップリンク期間とダウンリンク期間の間のギャップのうち1つまたは複数を検出することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記検出することは、前記RSSIについての増大を検出することで、前記アップリンク期間および前記ダウンリンク期間のうち1つまたは複数の開始を検出することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記検出することは、前記アップリンク期間を相対的に小さいパワーレベルに対応するものとして特定すること、および、前記ダウンリンク期間を相対的に大きいパワーレベルに対応するものとして特定することを含む請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記アップリンクおよび前記ダウンリンクに対応するパラメータを表すことを更に含み、前記表すことが表す前記パラメータは前記第1のアンテナ、前記第2のアンテナ、前記無指向性アンテナのうち1つまたは複数の設置を容易にするためのものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記パラメータは前記アップリンクおよび前記ダウンリンクに対応する同期レベルを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記プロトコルは、IEEE802.16プロトコル、802.20プロトコル、IEEE802.16dプロトコル、IEEE802.16eプロトコル、IEEE802.16d/eプロトコル、パーソナルハンディホンシステム(PHS)プロトコル、および時分割同期符号分割多重アクセス(TDS−CDMA)プロトコルのうち1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の局は基地局を含み、前記第2の局は加入者端末を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記アップリンク用の第1の自動ゲイン制御(AGC)レベルを管理すること、および、前記ダウンリンク用の第2のAGCレベルを、前記第1のAGCレベルとは別に管理することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
無線接続におけるアップリンクにおいて第1の局へ送信を行う第2の局に対し、前記無線接続におけるダウンリンクにおいて前記第2の局へ送信を行う前記第1の局から送信される信号を、時分割二重(TDD)プロトコルに基づいて中継する非再生型および非周波数変換型のリピータであって、
前記無線接続を介して前記第1の局と接続する第1のアンテナと、
前記無線接続を介して前記第2の局と接続する、第2のアンテナおよび無指向性アンテナのうちいずれか一方と、
前記第1のアンテナ、および、前記第2のアンテナと前記無指向性アンテナとのうち前記一方、と接続するリピータモジュールと、を備え、
前記リピータモジュールは、
前記アップリンクと前記ダウンリンクのうち1つまたは複数において前記信号の存在を検出する検出回路と、
前記アップリンクにおいて前記信号を検出した場合、前記信号を、前記第2の局から前記第1の局へ、前記第1の局に向けられた第1のアンテナを用いて再送信し、また、前記ダウンリンクにおいて前記信号を検出した場合、前記信号を、前記第1の局から前記第2の局へ、前記第2の局に向けられた前記第2のアンテナおよび無指向性アンテナのうち1つを用いて再送信する送信回路と、を有し、
前記第1のアンテナ、前記第2のアンテナ、および前記無指向性アンテナのうち1つまたは複数についての形態因子は、前記信号を中継することを容易にするようになっており、前記形態因子は配置を含むことを特徴とするリピータ。
【請求項13】
前記第1のアンテナ、および、前記第2のアンテナと前記無指向性アンテナのうち前記1つ、のいずれか1つは、前記リピータモジュールによって提供者アンテナに対応するものとして定義され、
前記リピータモジュールは、前記提供者アンテナから受信した前記信号に同期するように構成されており、
前記提供者アンテナは、当該リピータの設置ガイドラインおよび前記提供者アンテナに対応する信号の既知の特性のいずれか1つに基づいて定義されることを特徴とする請求項12に記載のリピータ。
【請求項14】
受信信号強度指標(RSSI)、信号ノイズ比(SNR)、およびE/N値のうち1つを含む信号品質指標に基づいて、前記提供者アンテナが定義されることを特徴とする請求項13に記載のリピータ。
【請求項15】
前記第1のアンテナ、および、前記第2のアンテナと前記無指向性アンテナのうち前記1つ、のうち少なくとも1つは、前記リピータモジュールに光ファイバーケーブルで接続されていることを特徴とする請求項12に記載のリピータ。
【請求項16】
前記アップリンクおよび前記ダウンリンクについてのパラメータの表示を提供する表示部を更に備え、
前記表示は、前記第1のアンテナ、前記第2のアンテナ、および前記無指向性アンテナのうち1つまたは複数の設置を容易にするものであることを特徴とする請求項12に記載のリピータ。
【請求項17】
前記パラメータは前記アップリンクおよび前記ダウンリンクに対応する同期レベルを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記リピータモジュールは、前記検出回路による検出と前記送信回路による送信との間に遅延を付加する遅延部を更に有し、
前記遅延は前記検出回路の検出についての時間を埋め合わせることを特徴とする請求項12に記載のリピータ。
【請求項19】
前記プロトコルは、IEEE802.16プロトコル、802.20プロトコル、IEEE802.16dプロトコル、IEEE802.16eプロトコル、IEEE802.16d/eプロトコル、パーソナルハンディホンシステム(PHS)プロトコル、および時分割同期符号分割多重アクセス(TDS−CDMA)プロトコルのうち1つを含むことを特徴とする請求項12に記載のリピータ。
【請求項20】
前記第1の局は基地局を含み、前記第2の局は加入者端末を含むことを特徴とする請求項12に記載のリピータ。
【請求項21】
前記検出回路は、前記プロトコルにおける受信信号強度指標についての窓関数を用いて、アップリンク期間とダウンリンク期間の間のギャップのうち1つまたは複数を検出するように構成されたプロセッサを更に含むことを特徴とする請求項12に記載のリピータ。
【請求項22】
前記プロセッサは、前記RSSIについての増大を検出することで、前記アップリンク期間および前記ダウンリンク期間のうち1つまたは複数の開始を検出するように更に構成されていることを特徴とする請求項19に記載のリピータ。
【請求項23】
送信された信号を非再生中継する時分割二重(TDD)リピータシステムであって、
第1の局と、
ネットワークのプロトコルに従い、無線接続によって前記第1の局と接続する第2の局と、を備え、
前記第1の局は、前記無線接続におけるダウンリンクにおいて前記第2の局へ送信を行い、前記第2の局は、前記無線接続におけるアップリンクにおいて第1の局へ送信を行い、
更に当該リピータシステムは、
前記無線接続を介して前記第1の局に接続する第1のアンテナと、
前記無線接続を介して前記第2の局に接続する、第2のアンテナおよび無指向性アンテナのうち1つと、
前記第1のアンテナ、および、前記第2のアンテナと前記無指向性アンテナとのうち前記一方、と接続するリピータモジュールと、を備え、
前記リピータモジュールは、
前記アップリンクと前記ダウンリンクのうち1つまたは複数において前記信号の存在を検出する検出する検出部と、
前記アップリンクにおいて前記信号を検出した場合、前記信号を、前記第2の局から前記第1の局へ、前記第1の局に向けられた前記第1のアンテナを用いて再送信し、また、前記ダウンリンクにおいて前記信号を検出した場合、前記信号を、前記第1の局から前記第2の局へ、前記第2の局に向けられた前記第2のアンテナおよび無指向性アンテナのうち1つを用いて再送信する送信部と、を有し、
前記第1のアンテナ、前記第2のアンテナ、および前記無指向性アンテナのうち1つまたは複数についての形態因子は、送信された前記信号を無再生中継することを容易にするようになっていることを特徴とするTDDリピータシステム。
【請求項24】
前記ネットワークは、複数のキャリア周波数を有するパーソナルハンディホン(PHS)ネットワークであり、
前記リピータモジュールは、前記複数のキャリア周波数のうち1つに同期して追従すると共に、前記複数のキャリア周波数のうち他のすべての周波数において中継を行うように構成されていることを特徴とする請求項23に記載のTDDリピータシステム。
【請求項25】
前記形態因子は、前記第1のアンテナ、前記第2のアンテナ、および前記無指向性アンテナのうち1つまたは複数の配置を含むことを特徴とする請求項23に記載のTDDリピータシステム。
【請求項26】
前記アップリンクおよび前記ダウンリンクについてのパラメータの表示を提供する表示部を更に備え、
前記表示は、前記第1のアンテナ、前記第2のアンテナ、および前記無指向性アンテナのうち1つまたは複数の設置を容易にするものであることを特徴とする請求項23に記載のTDDリピータシステム。
【請求項27】
前記パラメータは前記アップリンクおよび前記ダウンリンクに対応する同期レベルを含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記リピータモジュールは、前記検出回路による検出と前記送信回路による送信との間に遅延を付加する遅延部を更に有し、
前記遅延は前記検出回路の検出についての時間を埋め合わせることを特徴とする請求項23に記載のTDDリピータシステム。
【請求項29】
前記送信部に接続される自動ゲイン制御(AGC)モジュールを更に備え、
前記AGCモジュールは、前記アップリンクおよび前記ダウンリンクにおける前記信号についての送信レベルを制御するものであり、
前記送信レベルは、前記ネットワークにおける条件に基づいて、前記アップリンクにおいて第1の所定のレベルに保持され、前記ダウンリンクにおいて第2の所定のレベルに保持されることを特徴とする請求項23に記載のTDDリピータシステム。
【請求項30】
前記AGCモジュールは、前記アップリンクおよび前記ダウンリンクにおける前記信号についての送信レベルを制御するものであり、
前記送信レベルは、前記ネットワークにおける条件に基づいて、前記アップリンクにおいて所定のレベルに保持されることを特徴とする請求項23に記載のTDDリピータシステム。
【請求項31】
前記送信部に接続される自動ゲイン制御(AGC)モジュールを更に備え、
前記AGCモジュールは、前記アップリンクおよび前記ダウンリンクにおける前記信号についての送信レベルを制御するものであり、
前記送信レベルは、前記ネットワークにおける条件に基づいて、前記アップリンクにおける複数のチャネルに対応する第1の複数の所定のレベルに保持され、前記ダウンリンクにおける複数のチャネルに対応する第2の複数の所定のレベルに保持されることを特徴とする請求項23に記載のTDDリピータシステム。
【請求項32】
前記プロトコルは、IEEE802.16プロトコル、802.20プロトコル、IEEE802.16dプロトコル、IEEE802.16eプロトコル、IEEE802.16d/eプロトコル、パーソナルハンディホンシステム(PHS)プロトコル、および時分割同期符号分割多重アクセス(TDS−CDMA)プロトコルのうち1つを含むことを特徴とする請求項23に記載のTDDリピータシステム。
【請求項33】
前記プロトコルは、IEEE802.16プロトコル、802.20プロトコル、IEEE802.16dプロトコル、IEEE802.16eプロトコル、IEEE802.16d/eプロトコル、パーソナルハンディホンシステム(PHS)プロトコル、および時分割同期符号分割多重アクセス(TDS−CDMA)プロトコルのうち1つを含むことを特徴とする請求項23に記載のTDDリピータシステム。
【請求項34】
前記第1の局は基地局を含み、前記第2の局は加入者端末を含むことを特徴とする請求項23に記載のTDDリピータシステム。
【請求項35】
前記第1の局は基地局を含み、前記第2の局は加入者端末を含むことを特徴とする請求項24に記載のTDDリピータシステム。
【請求項36】
前記検出部は、前記プロトコルにおける受信信号強度指標についての窓関数を用いて、アップリンク期間とダウンリンク期間の間のギャップのうち1つまたは複数を検出するように構成されたプロセッサを更に含むことを特徴とする請求項23に記載のTDDリピータシステム。
【請求項37】
前記プロセッサは、前記RSSIについての増大を検出することで、前記アップリンク期間および前記ダウンリンク期間のうち1つまたは複数の開始を検出するように更に構成されていることを特徴とする請求項24に記載のリピータ。
【請求項38】
送信された信号を非再生中継する時分割二重(TDD)リピータシステムであって、
第1の多重入力多重出力(MIMO)局と、
ネットワークのプロトコルに従い、無線接続によって前記第1のMIMO局と接続する複数の第2の局と、を備え、
前記第1のMIMO局は、前記無線接続におけるダウンリンクにおいて前記複数の第2の局へ送信を行い、前記複数の第2の局は、前記無線接続におけるアップリンクにおいて第1のMIMO局へ送信を行い、
更に当該リピータシステムは、
前記無線接続を介して前記第1のMIMO局に接続する第1の複数のアンテナと、
前記無線接続を介して前記複数の第2の局に接続する、第2の複数のアンテナと、
前記第1の複数のアンテナ、および、前記第2の複数のアンテナと接続する複数のリピータモジュールと、を備えたことを特徴とするTDDリピータシステム。
【請求項39】
無線接続におけるダウンリンクにおいて通信を行う第1の局から送信される信号を、時分割二重(TDD)プロトコルに基づいて中継する非再生型および非周波数変換型のリピータであって、
建物の窓に取り付けるためのパッケージ内に配置されると共に、前記第1の局に前記無線接続を介して接続される第1のアンテナペアを有する第1のアンテナモジュールと、
前記無線接続に接続されると共に、前記建物内に配置される第2のアンテナモジュールと、
前記第1のアンテナモジュールおよび前記第2のアンテナモジュールに接続されるリピータモジュールと、を備え、
前記リピータモジュールは、前記第1のアンテナモジュールを用いて前記ダウンリンクにおいて前記信号の存在を検出する検出回路と、前記第2のアンテナを用いて前記第1の局から前記建物の前記内部に前記信号を再送信する送信回路と、を有することを特徴とするリピータ。
【請求項40】
前記ネットワークはワイドエリアネットワーク(WAN)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、および無線メトロポリタンエリアネットワーク(WMAN)のいずれか1つであることを特徴とする請求項39に記載のリピータ。
【請求項41】
前記検出回路は更に、前記ネットワークにおける前記ダウンリンクおよび前記アップリンクのうち1つのスロットタイミングに前記リピータモジュールを同期させると共に、前記信号の存在の検出および同期に基づいて、中継を選択的に可能化または不可能化することを特徴とする請求項39に記載のリピータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−109983(P2012−109983A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−265153(P2011−265153)
【出願日】平成23年12月2日(2011.12.2)
【分割の表示】特願2007−513349(P2007−513349)の分割
【原出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】