説明

アデノシンA3受容体モジュレーター

選択Aアデノシン受容体のアンタゴニスト活性を有する下記の式


で表される化合物(式中、R、R、R及びAの意味は明細書中に示されている。)を提供する。これらの化合物は医薬組成物としてA受容体の過剰な活性による疾患を治療するのに用いることができ、また、A受容体への他の化合物との相対的な結合を判断する診断剤にも適用され得る。この化合物は、例えば、蛍光、あるいは放射性標識で標識化され、この標識化合物を用いて生体内、又は生体外で高濃度のアデノシンA受容体を持つ腫瘍細胞の有無を決定するのに使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許の相互参照
本出願は、1998年9月16日に出願された米国特許出願09/154, 435の一部継続出願である1999年8月23日に出願された米国特許出願09/379,300の更なる一部継続出願である。
【0002】
背景技術
本発明は、アデノシンA受容体のモジュレーターとしてのピラゾロ−トリアゾロ−ピリミジン、トリアゾロ−トリアゾロ−ピリミジン、及びイミダゾロ−トリアゾロ−ピリミジン誘導体及びその医薬分野における用途に関するものである。
【背景技術】
【0003】
アデノシン受容体は、薬理学的な特徴によりA、A、Aの三つの大きな部類に分類されている。A受容体はGi蛋白質を通じてアデニル酸シクラーゼの阻害剤と結合し、ホスホイノミトールのツモーバー(tumover)の阻害または、促進、及びイオンチャンネルの活性化を含むセカンドメッセンジャーシステムへ結合するとされている。A受容体は、さらに二つのサブタイプであるA2AとA2Bに分類され、A2Aは、アデノシンアゴニストによりアデニレートシクラーゼを高親和性で活性化し、A2Bはそれを低親和性で活性化する。A受容体の配列はラットの精巣のcDNAライブラリーから初めて同定され、
その受容体の配列は、後にラットの脳のcDNAライブラリーからの他のG−蛋白質結合受容体との相同性に基づいてクローン化され、新規な機能を有するアデノシン受容体と対応して示された。
【0004】
の受容体の発見は、プリン体の領域における新しい治療法の展望を築いた。特に、A受容体は、炎症、低血圧及び肥満細胞の脱顆粒のプロセスを仲介する。この受容体が、中枢神経系にも作用することは明らかである。Aの選択的なアゴニストであるIB−MECAは、行動性鬱を引き起こし、これを長期投与することにより、脳虚血を防ぐことができる。高濃度のAの選択的なアゴニストは、HL−60ヒト白血病細胞のアポプトーシスを誘発することが発見されている。これらのことやその他の研究結果によれば、A受容体は前途有望な医薬における対象であるとされている。A受容体に対する選択的なアンタゴニストは、有用な抗炎症薬となり、脳における抗虚血剤にもなる可能性が有ることが見いだされている。
【0005】

肥満細胞の脱顆粒は、心筋の再灌流傷害、超過敏反応(喘息、アレルギー性鼻炎、じんましん)、虚血性大腸炎、自己免疫炎症及びアトピー性皮膚炎の要因である。選択的なAアデノシン受容体アンタゴニストは、肥満細胞の脱顆粒が原因となる疾患及び病的な作用の予防や治療に使用され得る。
例えば、Aアンタゴニストは抗喘息、抗うつ剤、不整脈治療剤、腎臓保護剤、抗パーキンソン剤及び認識増強剤(cognitive enhancing drugs)として開発されつつある。
【0006】
膵臓癌、大腸癌、乳癌、肺ガン及びヒト悪性黒色腫などのヒトの癌の多くにおいてA受容体があることが更なる研究によってわかっている。驚くことに、A受容体は、正常で健康な組織に比べ癌細胞により高濃度で存在しているということが発見されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
アゴニストのアプトーシス誘発作用が研究されているが、発明者はAアンタゴニストを用いてヒトの癌におけるアプトーシスの誘発に成功した。選択的なAアンタゴニストの使用により癌細胞を標的にしたアポトーシスの誘発ができれば、患者の治療において予期される副作用を軽減することができる。
従ってA受容体のアンタゴニストまたは、部分アンタゴニストである化合物及びその製造法並びにその用途を提供することを本発明は目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の簡単な説明
アデノシンA受容体の強力で、しかも選択性のあるモジュレーターとして有用であり、この受容体のアンタゴニストとしての活性を有する化合物及びその化合物の薬学的に許容される塩、並びにその製造方法及び使用方法を開示する。
この化合物は次の一般式で表される。
【0009】
【化7】

【0010】
式中、Aはイミダゾール、ピラゾール、又はトリアゾールであり、
Rは−C(X)R、−C(X)−N(R、−C(X)OR、−C(X)SR、−SO−R、−SOOR、−SO−SR、又はSO−N(R; Rは、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、複素環基、低級アルケニル、低級アルカノイル、又は、窒素原子に結合している場合には、窒素原子と一緒になって、アセチジン環若しくは、一個又はそれ以上のヘテロ原子を持つ5員〜6員の複素環を形成してもよく;
は水素、アルキル、置換されたアルキル、アラルキル、置換されたアラルキル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール又はアリールであり;
は、フラン、ピロール、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、ベンゾチオフェンであり、これらの基はヒドロキシ、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニルからなる群から選ばれた、置換されたアルキル、置換されたアルコキシ、置換されたアルケニル、置換されたアルキニル、アミノ、置換されたアミノ、アミノアシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アルキリアリール、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式基、ヘテロシクロキシ、アミノアシルオキシ、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオへテロアリールオキシ、−SO−アルキル、−SO−置換されたアルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換されたアルキル、−SO−アリール、−SO −ヘテロアリール及びトリハロメチルからなる群から選択された一個又はそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Xは、O、S、又はNRであり;
nは、1又は2である。
【0011】
好ましいRとしては、水素;C〜Cアルキル;C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル;C〜Cシクロアルキル;一個又はそれ以上のハロゲン原子で置換されているC〜Cアルキル、ヒドロキシ基、C〜Cアルコキシ、C〜Cシクロアルキル、又は式−N(R、−C(O)N(R;アリール、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキル、ニトロ、アミノ、シアノ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミドからなる群から選ばれる置換基で置換されたアリール;アリール部分が一個またはそれ以上の前述したアリール群について記述した置換基で置換されたC〜C10アラルキル;式−(CH)m−Hetで表される基であって、式中のHetは、N、O及びSからなる群から選択された一個以上のヘテロ原子を有する5〜6員の芳香族性、又は非芳香族性の複素環を示し、mは0〜5の整数を示す。;
などが挙げられる。
【0012】
好ましいC〜Cアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル及びイソペンチルである。C〜Cシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが挙げられる。C〜Cシクロアルキル基で置換されるC1〜Cアルキル基の例としては、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル及び2−シクロペンチルエチルである。置換されたC〜Cアルキル基の例としては、2−ヒドロキシエチル、2−メトキシエチル、トリフルオロメチル、2−フルオロエチル、2−クロロエチル、3−アミノプロピル、2−(4−メチル−1−ピペラジン)エチル、2−(4−モルホリニル)エチル、2−アミノカルボニルエチル、2−ジメチルアミノエチル、3−ジメチルアミノプロピルが挙げられる。アリールとしては、好ましくは置換されていてもよいフェニルである。N、O及び/又はSを含む5員〜6員の複素環の例としては、ピペラジニル、モルホリニル、チアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、フリル、チエニル、ピロリル、チアゾリル、テトラゾリルが挙げられる。C〜C10アラルキル基の例としては、一個以上の置換基により置換されていてもよいベンジル又はフェネチルが挙げられる。好ましくは、Rは水素、C〜Cアルキル、アリール、又はC〜C10アラルキルであり、部分的にこれらの基は置換基、好ましくは、ハロゲン原子で置換されていてもよい。好ましくは、XはOで、RはCアルキル又は置換されたアルキルで、Rはフランである。
【0013】
特に好ましい化合物は、Rがアルキルであるものである。
好ましいAとしては次の下の式で表されるものが挙げられる。
【0014】
【化8】

【0015】
本発明の化合物は、ヒトを含む哺乳類における、アデノシンA受容体を調整する方法に使用される。この方法は、アデノシンAを調節するに十分な有効量の式Iの化合物を哺乳類に投与することからなる。この化合物には次のような使用(use)がある。
・高血圧症の治療;
・間接リウマチ、及び乾癬等の炎症性疾患;
・花粉症、アレルギー性鼻炎等のアレルギー性疾患;
・肥満細胞の脱顆粒;
・抗がん剤;
・心臓低酸素症;及び、
・脳虚血の保護;
・例えば、一種又はそれ以上の上記に記載された病状の検定をするため、又は、ジャコブセン及びバンリーが記載しているように(Jacobson and Van Rhee「実験的治療のプリン作動性神経アプローチ」、Jacobson and Javis, ed., Wiley New York, 1997, pp. 101-128;Mathot et al., Brit. J. Pharmacol., 116:1957-1964(1995); van der Wenden et al., J.Med. Chem., 38:4000-4006(1995); 及びvan Calenbergh J.Med. Chem., 40:3765-3772(1997)。これらの内容は参考として明細書の一部に組み込まれる。)他の化合物のアデノシンA受容体への結合に対する有用性(例えば種々結合アッセイにより決定される競合的阻害を通して)の決定のためのスクリーニングアッセイなどの診断的利用。
【0016】
これらの化合物は、ヒトを含む哺乳動物における、アデニレートシクラーゼ(A)を全体的に又は部分的に阻害する方法に用いることができる。この方法は、アデニレート シクラーゼを全部に又は部分的に阻害するに十分な有効量の式Iの化合物を哺乳動物に投与することからなる。
【0017】
これらの化合物は標識化することができ、この標識された化合物と細胞を接触させ、A受容体に結合させ、標識の存在を検出させることによって、患者や、細胞のサンプルにおけるアデノシンAリガンドを含む癌細胞の存在を検出するための方法に用いられる。
【0018】
これらの化合物は、式Iの化合物及び一種以上の賦形剤を含む医薬製剤にすることができる。化合物の調製には、種々の中間体を使用することができる。
【0019】
発明の詳細な説明
本出願は、強力で、しかも選択性のあるアデノシン受容体のモジュレーターとして有用な化合物であり、アデノシンA受容体のアンタゴニスト、そしてある場合には、Aアゴニストとしての活性を有する化合物、並びにその製法及び使用を開示する。
【0020】
これらの化合物は、人間を含む哺乳類における、アデノシンA受容体を調節する方法に使用することができる。この方法は、アデノシンA受容体を調節するのに十分な有効量の式Iの化合物を哺乳類に投与することからなる。
これらの化合物は、式Iの化合物及び一種以上の賦形剤を含む医薬製剤として使用することができる。これらの化合物の調製には、種々の中間体を使用することができる。
【0021】
定義
ここで使用されるように、化合物が、アデニレートシクラーゼ(A)を完全に阻害でき、競合的結合アッセイにおいて [125I]AB−MECAを置換することができるならば、その化合物はアデノシンA受容体のアゴニストである。
ここで使用されるように、化合物が、アデニレート シクラーゼ(A)を部分的に阻害でき、競合的結合アッセイにおいて [125I]AB−MECAを置換することができるならば、その化合物はアデノシンA受容体の部分アゴニストである。
ここで使用されるように、化合物が、アデニレート シクラーゼ(A)を部分的にアゴニストによる阻害を防止でき、競合的結合アッセイにおいて [125I]AB−MECAを置換することができるならば、アデノシンA受容体の部分アンタゴニストである。
ここで使用されるように、化合物が、A/A、A2A/A 及びA2B/A 活性の比率が約50より大きく、好ましくは、50と100の間、さらに好ましくは、およそ100より大きい場合は、その化合物はアデノシンA受容体に対し選択的である。
【0022】
本明細書に使用される「アルキル」とは、一価の直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基を意味し、好ましくは1〜20個の炭素原子、より好ましくは1〜10の炭素原子(低級アルキル基)を有し、さらに好ましくは1〜6の炭素原子を有する。この用語は例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、−ブチル、イソ−ブチル、n−ヘキシル等の基として例示される。
「アルキレン」及び「低級アルキレン基」とは、対応するアルカンの二価の基を意味する。さらに、本明細書において使用される、アルコキシ、アルカノイル、アルケニル、シクロアルケニル等のアルカンに基づいて命名される他の基に「低級」がつく場合には、10個以下の炭素鎖を有するものを意味する。炭素原子の最低の数が2個以上の場合、例えば、アルケニル(最低2個の炭素原子)又はシクロアルキル(最低3個の炭素原子)等の場合には、「低級」は、少なくとも最低数の炭素原子を有するものと解される。
【0023】
本明細書において使用される「置換されたアルキル」とは、アルキル基、好ましくは1〜10個の炭素原子であるアルキル基(「置換された低級アルキル基」)であって、以下の群から選ばれた1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基を有する。それらの置換基は、アルコキシ、置換されたアルコキシ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換されたアミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオール、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、置換されたアリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式基、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換されたアルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換されたアルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、モノ−及びジ−アルキルアミノ、モノ−及びジ−(置換されたアルキル)アミノ、モノ−及びジ−アリールアミノ、モノ−及びジ−ヘテロアリールアミノ、モノ−及びジ−複素環式置換基アミノ、並びに、アルキル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環式基からなる群から選ばれた異なる置換基を有する非対称ジ置換アミノ類である。本明細書において使用される「置換された」という接頭語がついたその他の基は、前記された置換基の少なくとも1つを有するものである。
【0024】
本明細書において使用される「アルカリール」はアリール基の置換基を有するアルキル基を意味する。母体構造(core molecule)への結合はアルキル基を介してなされている。「アラルキル」はアルキル置換基を有するアリール基で、当該結合は、アリール基を介してなされている。
本明細書において使用される「アルコキシ」としては、アルキルが上記で定義されたアルキルである「アルキル−O−」基を意味する。好ましいアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、1,2−ジメチルブトキシ等が例としてあげられる。
本明細書において使用される「アルケニル」としては、好ましくは2〜10個の炭素原子、より好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、少なくとも1箇所、好ましくは1〜2箇所がアルケニル性の不飽和結合であるアルケニル基を意味する。好ましいアルケニル基としては、エテニル(−CH=CH)、n−プロペニル(−CHCH=CH)、iso−プロペニル(−C(CH)=CH)などがあげられる。
本明細書において使用される「アルキニル」としては、好ましくは2〜10個の炭素原子、より好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、少なくとも1箇所、好ましくは1〜2箇所がアルキニル性の不飽和結合であるアルキニル基を意味する。
【0025】
本明細書において使用される「アシル」としては、アルキル−C(O)−、置換されたアルキル−C(O)−、シクロアルキル−C(O)−、置換されたシクロアルキル−C(O)−、アリール−C(O)−、ヘテロアリール−C(O)−、及び複素環式−C(O)−であって、アルキル、置換されたアルキル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、複素環式基は本明細書において定義されているものである基を意味する。
本明細書において使用される「アシルアミノ」としては、−C(O)NRRであって、式中のRはそれぞれ独立して水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、又は複素環式基であり、そして、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、及び複素環式基は本明細書において定義されているものである基を意味する。
【0026】
本明細書において使用される「アリール」としては、単環(例えばフェニル)又は多環縮合環(例えばナフチル、アントリル)を有する、6〜14個の炭素原子をもつ不飽和芳香炭素環式基を意味する。好ましいアリールとしては、フェニル、ナフチル、などがあげられる。アリール置換基についての定義がない場合は、このようなアリール基は、以下の群から選択された1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基で置換されてもよい。これらの置換基は、ヒドロキシ、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、置換されたアルキル、置換されたアルコキシ、置換されたアルケニル、置換されたアルキニル、アミノ、置換されたアミノ、アミノアシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アルカリール、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式基、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、−SO−アルキル、−SO−置換されたアルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換されたアルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、及びトリハロメチルである。好ましい置換基としては、アルキル、アルコキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、トリハロメチル、及びチオアルコキシがあげられる。
【0027】
本明細書において使用される「シクロアルキル」としては、単環又は多環縮合環を有する、3〜12個の炭素原子をもつ環状アルキル基を意味する。これらのシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチルなどの単環式、又は、アダマンチルなどの多環式が例としてあげられる。
本明細書において使用される「ハロ」又は「ハロゲン」としては、フルオロ、クロル、ブロモ、及びヨードを意味し、好ましくは、フルオロ又はクロルのいずれかを意味する。
【0028】
本明細書において使用される「ヘテロアリール」としては、少なくとも1個の環(複数の環である場合を含む)が1〜15個の炭素原子と、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群から選択された1〜4個のヘテロ原子を有する芳香炭素環式基からなるものを意味する。
ヘテロアリール置換基についての定義がない場合は、このようなヘテロアリール基は、以下の群から選択された1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基で置換されてもよい。これらの置換基は、ヒドロキシ、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、置換されたアルキル、置換されたアルコキシ、置換されたアルケニル、置換されたアルキニル、アミノ、置換されたアミノ、アミノアシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アルカリール、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式基、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、−SO−アルキル、−SO−置換されたアルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換されたアルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、及びトリハロメチルである。好ましい置換基としては、アルキル、アルコキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、トリハロメチル、及びチオアルコキシがあげられる。このようなヘテロアリール基は、単環(例えばピリジル又はフリル等)又は多環縮合環(例えばインドリジニル又はベンゾチエニル)であってもよい。
【0029】
「複素環基」又は「複素環式基」としては、単環式又は多環縮合環式の、環において1〜15個の炭素原子と、窒素原子、硫黄原子又は酸素原子からなる群から選択された1〜4個のヘテロ原子を有する、飽和又は不飽和の炭素環式基からなるものを意味する。
複素環式基についての定義がない場合は、これらの複素環式基は、アルキル、置換されたアルキル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アリール、置換されたアリール、アリールオキシ、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、チオール、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、チオアリールオキシ、トリハロメチルなどからなる群から選択された、1〜5個の置換基で置換されてもよい。これらの複素環式基は、単環又は縮合環を有してもよい。
【0030】
1つ以上の置換基を有する上記に記載のいずれの群においても、これらの群は、勿論、立体的に非現実的な及び/又は合成的に不可能な置換基又は置換パターンを含んでいないことが理解されるべきである。
【0031】
本明細書で使用される「カルボン酸誘導体」及び「スルホン酸誘導体」としては、−C(X)−N(R、−C(X)R、−C(X)SR、−SO−R、−SOOR、−SOSR、又は−SO−N(Rを意味し、式中のXはO,S又はNRを示し、Rは、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、又は、置換されたアリール、並びに、それらから誘導される無水物、エステル、及び塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン化合物等の活性化された誘導体であり、それは、カルボン酸及びスルホン酸誘導体を標準的なカップリング法を用いて5’−アミンに結合するのに使われる。
【0032】
「薬学的に許容される塩」としては、式Iの化合物における薬学的に許容される塩を意味する。それらの塩は、種々の有機又は無機の対イオンに由来する周知のものであり、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどがその例としてあげられる。また、分子が塩基性を有する場合には、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシレート、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などの有機酸又は無機酸塩が、薬学的に許容される塩として使用できる。
【0033】
「保護基」又は「ブロッキング基」としては、化合物中の1つ以上のヒドロキシル基、アミノ基、又はカルボキシル基(アミノラクタム、アミノラクトン、ラクトン等のそれらの中間体も含む)に結合して、これらの基が反応を起こすのを防ぐ基であって、そして通常の化学的又は酵素的方法によって除去されて、ヒドロキシル基、アミノ基、又はカルボキシル基を再生成することができる基を意味する。好ましい除去可能なアミノブロッキング基としては、t−ブトキシカルボニル(t−BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)などの、生成物の性質に応じた通常の条件で除去され得る慣用されている基があげられる。
【0034】
省略記号について
本明細書には、次の省略記号が用いられている:
[125I]AB−MECAは、[125I]N−(4−アミノ−3−アイオドベンジル)アデノシン−5´−N−メチルウロンアミド;
(R)−PIAは、(R)−N−(フェニルイソプロピル)アデノシン;
DMSOは、ジメチルスルホキシド;
I−AB−MECAは、N−(4−アミノ−3−アイオドベンジル)アデノシン−5´−N−メチルウロンアミド;
IB−MECAは、N−(3−アイオドベンジル)アデノシン−5´−N−メチルウロンアミド;
Kiは、平衡阻害定数(equilibrium inhibition constant);
NECAは、5´−N−エチルカルボキシアミド アデノシン;
THFは、テトラヒドロフラン;
Tris(トリス)は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンである。
【0035】
化合物の製造法
反応性で壊れやすい官能基は、特定の反応又は一連の反応を行う前に保護され、最後の反応が終了した後に元の官能基に戻されることは、有機化学の当業者には周知のことである。通常、官能基は比較的安定な誘導体に変換することで保護されている。例えば、ヒドロキシル基はエーテル基に変換してもよく、アミン基はアミド又はカルバミン酸塩に変換してもよい。「ブロッキング」及び「脱ブロッキング」とも呼ばれる、保護及び脱保護の方法は、この技術分野において広くしられていることであり、また広く実用化されている。例えば、ティーグリーン(T.Green)の「有機合成における保護基」(Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley, New York (1981))、又は「有機化学における保護基」(Protective Groups in Organic Chemistry, Ed.J.F.W.McOmie, Plenum Press, London(1973))などを参照のこと。
【0036】
これらの化合物は、下記の式IIの化合物を適切なカルボン酸、スルホン酸誘導体、イソシアン酸塩の前駆体のイソシアン酸塩とを、公知の方法で反応させることにより調製するのが好ましい。
式IIの化合物において、Rがフランである化合物は、下記のスキームI及びIIにより調製することができる。
【0037】
【化9】

【0038】
【化10】

【0039】
スキームIにおける試薬:A)トリエチルオルト蟻酸エステル;B)2−フロ酸ヒドラジド、2−メトキシエタノール;C)PhOPh、260EC(℃);D)10%HCl、還流;E)シアンアミド、pTOH、N−メチルピロリドン
【0040】
【化11】

【0041】
スキームIIにおける試薬:F)フロ酸ヒドラジド、ジフェニルエーテル;E)シアンアミド、pTOH、N−メチルピロリドン
【0042】
式IIの化合物は、スキームIに表される間接方法又はスキームIIに表される直接方法で調製することができる。その両方のスキームにおける、好ましい原料は、式IIIの複素環式化合物のオルト−アミノ二トリル誘導体であり、この化合物は一般に、文献に記載の公知合成方法や、単行本のイーシーテイラー及びマックキロップ著「アドバンス イン オーガニックケミストリー」シリーズの第7巻(E.C.Taylor and A.McKillop(vol.7 of the series Advances in Organic Chemistry, Ed. Interscience, 1970))に記載の方法により調製することができる。
【0043】
【化12】

【0044】
オルト−アミノ−二トリル(式III)を、過剰のオルト蟻酸エチルと還流温度で8〜10時間反応させることにより、対応する式IVのイミデートに変換される。過剰のオルトギ酸エチルを留去することにより、実質的に純粋な対応するイミデートIVを高収率で得ることができる。これは反応の粗生成物のIR及びH−NMRにより確認できる。
【0045】
【化13】

【0046】
式IVのイミデートは、それに続く2つの反応により、高収率で式VIの三環式構造の化合物とすることができる。
【0047】
【化14】

【0048】
反応は次の2つからなる:a)2−メトキシエタノール溶液中の2−フロ酸ヒドラジドと、還流温度で、8〜10時間反応させて式Vの中間体を得る反応;b)式VIに対応する式Vの化合物をジフェニルエーテル中で260EC(℃)の温度で0.5〜1時間加熱して熱環化させる反応。
【0049】
三環式化合物VIを、塩酸と1〜3時間還流して加水分解し、トリアゾールVIIを得る。次いで、式VIIの化合物をパラ−トルエンスルホン酸の存在下にN−メチルピロリドン中でシアンアミドと還流して、最後の環化を行い、所望の化合物IIとする(スキームI)。
【0050】
【化15】

【0051】
【化16】

【0052】
場合により、トリアゾールVIIは、オルト−アミノ−ニトリルIIIと2−フロ酸ヒドラジドとをジフェニルエーテル中で直接加熱することにより得ることもできる。次いでトリアゾールVIIを、前記したスキームIIで示される方法で環化する。次のスキームIII、IV及びVでは、Aがトリアゾール環である式IIの化合物の合成法を更に詳しく示している。
【0053】
スキームIII
5−アミノ−7−置換−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[5,4−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン誘導体の合成
【0054】
【化17】

【0055】
スキームIV
5−アミノ−8−置換−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[5,4−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン誘導体の合成
【0056】
【化18】

【0057】
スキームIVにおける試薬:A)フロ酸ヒドラジド、PhOPh、260EC(℃)、B)NHCN、pTsOH、N−メチルピロリドン
【0058】
スキームV
5−アミノ−9−置換−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[5,4−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン誘導体の合成
【0059】
【化19】

【0060】
スキームVにおける試薬:A)フロ酸ヒドラジド、PhOPh、260℃、B)NHCN、pTsOH、N−メチルピロリドン
【0061】
最終的に、5−アミンを含有する化合物IIを、カルボン酸類、スルホン酸類、活性化されたカルボン酸類、活性化されたスルホン酸類、チオカルボン酸類、活性化されたチオカルボン酸類、イソシアン酸塩類、イソチオシアン酸塩等と反応させて、所望の化合物を製造する。活性化されたカルボン酸類としては、酸ハロゲン化物、エステル、無水物、及びアミドを形成するためのアミンと反応することができる公知の他の誘導体などが挙げられる。活性化されたスルホン酸類としては、
塩化スルホニルのようなスルホニルハライドが挙げられる。
【0062】
全ての場合に、活性化されたカルボン酸やスルホン酸誘導体を使う必要はない。酸はそれ自体、標準的なカップリング剤、例えば、ジシクロヘキシルジイミド(DCI)や、その他の通常のカップリング剤などを使ってアミンとカップリングさせることができる。アミド結合の形成のための適切なカップリングの条件は、ペプタイド合成の当業者には周知のことである。
【0063】
同様にして、全ての場合に所望のイソシアン酸塩又はイソチオシアン酸塩を直接使用する必要はない。所望のイソシアン酸塩や、イソチオシアン酸塩は、その場で対応のアシルアジドからクルチウス転位により製造できることは、当該分野の当業者には周知のことである。また、所望のイソシアン酸塩や、イソチオシアン酸塩はホフマン転位で対応のアミド又はチオアミドからも製造することができるが、そのことも当該分野の当業者には周知である。そしてまた、所望のイソシアン酸塩や、イソチオシアン酸塩は、その場で対応のO−アシルヒドロキサム酸又はO−チオアシルヒドロキサム酸のロッセン転位により製造することができる。
【0064】
一般には、3−シアノ−2−アミノピラゾール類が出発原料として使用される場合には、上記した化学方法が、8−(Ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン類を製造するために使用される。当該3−シアノ−2−アミノピラゾール類を、ジメチルホルムアミド(DMF)等の非プロトン性極性溶媒中で、ハロゲン化アルキル(RX)と反応させることにより、環の窒素原子の一つにR基を導入することができる。その結果として得られた化合物を、オルト蟻酸トリエチルと還流して、イミンエチルエステルを製造することができる。次いで、フロ酸ヒドラジドと反応させて、好ましくはディーンスタークトラップ(Dean-Stark trap)を用いて、反応で生成される水を共沸により除去して、8−(Ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン類を得る。この生成物は、例えば(EtOAc/ヘキサン1:1)のクロマトグラフィーで精製され、次の化学方法に使用される。
【0065】
この反応の生成物を、HCl等の適切な酸と還流下に反応させ、次いで触媒量のパラ−トルエンスルホン酸と、N−メチルピロリドン等の溶媒中で高温でシアンアミドと反応させて、5−アミノ−8−(Ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジンを得る。
【0066】
これらのアミンにより置換された化合物を、適切なイソシアン酸塩と反応させて、尿素系化合物とし、酸ハロゲン化物等の活性化されたカルボン酸と反応させてアミドとし、スルホン酸ハロゲン化物などの活性化されたスルホン酸と反応させてスルホンアミドとし、また、他の反応性のカルボン酸又はスルホン酸誘導体と反応させて、他の所望な化合物とすることができる。アミンで置換された化合物と反応させるために使用されるイソシアン酸塩類は、市販されているもの、または当該分野で公知の手段により合成することができる。
【0067】
例えば、イソシアン酸塩、4−(N−モルホリノ)−フェニルイソシアン酸塩は、市販の4−モルホリノアニリンとホスゲン又はジホスゲンを適当な溶媒中で反応させて合成することができる。同様にして、スルホニルアミン、スルホニルピペラジン、置換されたスルホニルアミンまたは置換されたスルホニルピペラジンのフェニル−イソシアン酸塩類は、ジホスゲン又はホスゲンをそれぞれのアミンと反応させることにより合成される。ベンゼン、酢酸エチルなどは、このような反応における溶媒として有用である。
【0068】
他のイソシアン酸塩類も、まず、対応のアシルアジドを合成し、次いでこれを熱分解することによりイソシアン酸塩とすることができる。このような分解は、本来クルチウスにより報告されており、さらに他の研究者により報告されている(例えば、R.Lo Scalzo et al., Gazz. Chim. Ital. 118, 819(1988)を参照のこと)。アシルアジド類は、ヒドラジドと亜硝酸ナトリウム溶液とを塩酸中で接触させることで製造される。
【0069】
トリアゾロ−トリアゾロ−ピリミジン化合物は、同じような化学的手段を用いて調製されるが、適切な機能化されたアジドを原料として用い、このアジドを2−シアノアセトアミドと反応させて最初の複素環を形成させ、そのアミド基をPOCl等の脱水剤と反応させ、ニトリルとする。結果として得られたシアノ−アミノトリアゾ−ルを上記で示された3−シアノ−2−アミノトリアゾールと同様な方法で反応させて、トリアゾロ−トリアゾロ−ピリミジンを調製することができる。
放射性物質でラベル化された化合物の調製
【0070】
本化合物は、任意の適切な放射性標識を用いて標識化することが出来る。適切な放射性標識の例としては、H及び14Cなどが挙げられるが、薬物動態の研究において通常用いられる、任意の実質的に非毒性の放射性標識を用いることもできる。有機化合物中に放射性標識を導入する方法は、当該分野で周知である。
【0071】
化合物が、5−[[置換フェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−(ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン化合物類、又は5−アミノ−8−(ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン化合物類の場合には、トリチウム標識の導入はとりわけ簡単である。
【0072】
一つの実施態様では、適切な出発原料は8位の(ar)アルキル基が二重結合を含んでいる化合物である。この二重結合を、例えば、パラジウム炭素又は他の公知の水素化触媒などの適切な触媒の存在下に、トリチウムと反応させることができる。
【0073】
例えば、5−[[(4−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−(1,2−ジトリチオプロピル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物108の放射性リガンド)は、5−[[(4−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−(2−プロペン−1−イル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物100)にトリチウムを加えることによって製造される。化合物108の放射性リガンドは、JURKAT癌細胞での種々のバインディングアッセイの実験に関して以下で議論されるものである。
【0074】
また、トリチウム標識は、アミドを形成するために5位アミノ基と反応させるために使われる化合物中に存在させることもできる。例えば、ここで示されている5−アミノカルボニルアミノ化合物類を調製するために使用されるイソシアン酸塩類は、トリチウムや、他の放射性標識を含むことができ、したがって最終生成物へ容易に導入することができる。
【0075】
別の実施態様において、放射性標識は、環系が統合されている分子に導入することもできる。式IIの化合物の合成に関して上記したとおり、式VIの種々の三環式化合物は、HClで加水分解されて、式VIIのトリアゾール類とされ、これを、スキームIに示されるとおり、パラトルエンスルホン酸の存在下に、シアナミドと共に還流することによって環化される。この合成工程において、14C標識化されたシアナミドを用いて、14C標識を組み込むことは比較的簡単である。
【0076】
ヨウ化された化合物は、例えば、5-アミン基と反応させるために使用する芳香族化合物に放射性ヨウ素を導入することにより調製することができる。芳香環にヨウ素を導入する方法は、その分野の当業者には周知である。ここに示される化合物を調製するために5−アミン基と反応させるために使用される芳香族化合物にヨウ素原子を導入することは容易である。
したがって、通常の技術により適切な放射性標識アナログを容易に製造することができる。
【0077】
蛍光標識した化合物の調製
放射性標識した化合物と同様に、蛍光標識した化合物の合成も、比較的簡単である。Rの位置の置換基でも実行可能であるが、蛍光基は、Rの位置に存在するのが好ましい。一つの実施態様では、蛍光基は、Rの位置に結合することができるフラン環に含有されている。また、その他の芳香環を用いることもできる。蛍光標識は、当該分野において周知であり、また、公知の化学的手段により簡単に本明細書に示す化合物に結合させることができる。
【0078】
化合物の使用方法
この化合物は、A受容体のアゴニスト及びアンタゴニストを使用することができる全ての疾患の処置に適用することができる。それは、・高血圧症の治療・処置;
・間接リウマチ、及び乾癬等の炎症性疾患の治療・処置;
・花粉症、アレルギー性鼻炎等のアレルギー性疾患の治療・処置;
・肥満細胞の脱顆粒;
・抗がん剤;
・心臓低酸素症の治療・処置;及び、
・脳虚血の防止;
例えば、ジャコブソンの文献(Jacobson, TIPS May 1998, pp. 185-191,)に記載されているように、これらの内容は参考として明細書の一部に組み込まれる、
を包含している。
【0079】
これらの化合物の好ましい使用としては、癌の検出及び/又は癌の治療・処置があげられる。以下に示されるように、A受容体は癌細胞に発現することが知られている。A受容体は、細胞が十分な血液供給をなされていない場合、細胞を虚血性損傷から保護すると信じられている。しかしながら、アデノシンA受容体のアゴニズムは保護作用をもたらし、細胞に十分な血液供給がなされていない場合にも、癌細胞が死ぬのを防ぐことができる。これらの受容体の拮抗薬を処方することによって、A受容体の保護効果は無くなる。
【0080】
化合物は、医学的に許容されるいかなる手段で患者に処方されてもよい。適切な投与形態として、経口投与、直腸投与、局所投与、非経口投与(皮下投与、筋肉投与、及び静脈投与を含む)などが挙げられるが、経口投与又は、非経口投与が好まれる。
【0081】
アデノシン受容体の調節物質としての化合物の有効量は、治療される哺乳動物によって当然異なり、最終的には医者又は獣医の判断にまかされる。考慮すべき要素は、治療対象の状態、投与の方法、処方物の性質、哺乳動物の体重、表面積、年齢、通常の状態、及び投与される特定の化合物である。しかしながら、好ましい投与量は1日当たり体重1kgに対し約0.1mg〜約10mg、好ましくは約1mg〜約3mgである。
【0082】
1日の合計投与数は1回でも、複数回でも、例えば1日当たり2〜6回でも良く、一定期間、静脈内注射により投与しても良い。投与量は、上記に記載された量より多くても少なくても本発明の範囲内であり、それが望まれまた必要であれば患者に投与することできる。例えば、75kgの哺乳動物に対する投与量は、1日当たり約75mg〜約220mgで、一般的には1日当たり約150mgである。別々に複数回投与する場合は、本発明の化合物50mgを1日当たり3回投与するのが一般的である。
【0083】
その他の実施形態では、放射性化合物は、A受容体を持つ癌細胞の有無を検出するアッセイの目的のために、患者に処方できる。ここに示されている、A受容体のサブタイプに対する比較的高親和性を有する化合物は、有利に患者に処方され、その化合物が癌細胞中のA受容体と結合した後、放射性標識された化合物の位置を確認することにより、癌細胞の位置が判定される。放射性化合物の位置や、濃度を検出するための装置は、当該分野の当業者には周知である。
【0084】
癌細胞を、取り除く手術中で放射性標識及び/又は蛍光標識した化合物の使用も、有用である。しばしば、外科医は、癌組織を全て取り除かなければならない。放射性標識又は蛍光標識した化合物は、手術の前若しくは、手術中に用いられ、患者の癌細胞と結合する。処方の時間は、他の要因もあるが、特定の癌細胞に対する特定の化合物の取り込みにや、癌細胞のある位置などに依存している。次いで外科医は、癌を除いた後に残存する癌細胞を検出する比較的簡単なアッセイを施す。当該分野の当業者には周知の分析装置を用いて、手術を施した場所の蛍光又は、放射性を測定することで、残存している癌細胞を確認することができる。
【0085】
インビトロでの癌細胞の検出は、培地の中の細胞の懸濁物中にこの化合物を添加し、癌細胞上のアデノシンA受容体に化合物を結合させ、標識を検出することにより行われる。
処方物
【0086】
上記に記載された化合物は、活性化合物、例えば式Iの化合物、と一緒に投与の形態で許容される担体を含む処方で投与されるのが好ましい。適切な製薬上好ましい担体としては、当該分野の当業者には公知のものが挙げられる。
【0087】
この組成物は、他の医学上有効な成分、例えば、抗ウィルス剤、抗腫瘍剤、抗菌剤、抗炎症剤、鎮痛剤、免疫抑制剤等をさらに含有していてもよい。担体は、処方物の他の成分と適合性があるという点で、薬学的に許容されるものでなくてはならず、患者にとって有害であってはならない。
【0088】
この処方物は、経口投与、直腸投与、局所投与、非経口投与(皮下投与、筋肉投与、静脈内投与を含む)に対する適切な担体を含むことができる。好ましい担体としては、経口投与又は、非経口投与に適切なものが挙げられる。
【0089】
非経口投与に適した処方物としては、好ましくは患者の血液と等張である活性化合物の無菌水溶性製剤が好のましい。そのため、これらの処方物は、蒸留水又は生理食塩水中の5%のデキストロース溶液、蒸留水を含有しているのが好ましい。有用な処方物は、適当な溶媒で希釈することにより非経口投与に適した溶液とすることができる、式Iの化合物を含有する濃縮された液体又は固体からなるものも、好ましい処方物の例である。
【0090】
経腸投与では、化合物は、カプセル、カシュ剤、錠剤又はトローチ剤などの離散したユニットにおける不活性担体に組み込まれており、そのそれぞれが、粉体もしくは粒状、又は例えば、シロップ、エリキシル剤、乳剤又はドラフト(1回分の液剤の容量)などの水性若しくは非水性の懸濁液若しくは溶液として、活性化合物のあらかじめ決められた有効量を含有している。適切な担体としては、スターチ又は砂糖、並びに潤滑性の油脂、香味料、結合剤及び他の同じ性質を持つ他の物質などが挙げられる。
【0091】
錠剤は、圧縮又は造粒によって製造され、その際一種以上の補助成分を使用してもよい。圧縮された錠剤は、粉末又は顆粒などの自由流動形態の活性化合物を適当な機械の中で圧縮することによって調製され、その際には結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、界面活性剤、又は分散剤などの補助成分を混合しても良い。造粒された錠剤は、粉状の活性化合物と適当な担体を含有する混合物を、適当な造粒機を用いて造粒することにより製造される。
【0092】
シロップ又は懸濁液は、活性化合物を濃縮したスクロースなどの糖の水溶液に加えることによって作られ、その際補助成分を加えてもよい。これらの補助成分としては、香味料、糖の結晶化を遅らせるための薬剤、グリセロール又はソルビトールなどの多価アルコールからなる他の成分の溶解性を向上させるための薬剤などがあげられる。
【0093】
この化合物は、水溶液、軟膏、クリーム、ジェル、ローション又は重合物質(例えば、PluronicTM 、BASF) などの局所適用によって局所的に処方することもでき、それらは、従来の薬学的に公知である従来の方法によって調製することができる。水溶液、軟膏、クリーム、ジェル、ローション又は重合体の塩基及び活性成分に加え、これらの局所処方物は、さらに、防腐剤、香料、及びその他の活性な薬剤を含んでいてもよい。
【0094】
直腸投与の処方物は、座剤の基剤として、カカオ脂又はWitepsol S55(ドイツのDynamite Nobel Chemical社の製品)などの従来の担体を有する座剤であってもよい。
【0095】
また、化合物はリポソームや、ミクロスフィア(又はミクロパーティクル)として処方することもできる。患者に処方するためのリポソーム及びミクロスフィア処方物の製造法は、当該分野の当業者に周知のものである。米国特許4,789,734には、リポソームに生体物質を閉じこめカプセル化する方法が開示されており、参考として本明細書にこの文献の記載を取り込む。原則としては、物質を水溶液に溶かし、適当なリン脂質及び脂質を加え、必要であれば界面活性剤とともに、さらに必要であれば、この物質を透析又は超音波で処理する。公知の方法の総説は、ジーグレゴリアディスの本(G.Gregoriadis,Chapter 14, "Limposomes," Drug Carrier in Biology and Medicine, pp. 287-341(Academic Press, 1979))に記載されている。ポリマー又は蛋白質で形成されたミクロスフィアは、当業者には周知のことであり、消化管から直接血流に流れるように構成されている。また、ミクロスフィア又は、ミクロスフィアの組成物は、何日も何ヶ月にも渡って持続的に放出させるために(体内に)埋め込まれ、この化合物を取り込ませることができる。例えば、米国特許4,906,474、4,925,673及び3,625,214を参照のこと。それらに示される内容は、本明細書に参考として取り込まれる。
【0096】
好ましいミクロパーティクルは、ポリグリコライド(polyglycolide)、ポリラクチド、及びこれらのコポリマーなどの生分解性ポリマーから調製される。当該分野の当業者は、所望の薬の放出の速度及び所望の投与量などの様々な要因に基づいて、適切な担体系を容易に決定することができる。
【0097】
処方物は、単位投薬形態とするのが好ましく、薬学分野において周知のいかなる方法によって調製されてもよい。いずれの方法も活性化合物と一種以上の補助成分からなる担体とを混合させる過程を含んでいる。一般に、この処方物は、活性化合物を液体の担体や細粒状の担体に均一に且つ密接に混合させ、必要な場合は、この混合物を好ましい単位投薬形態の製品にすることによって調製される。
【0098】
前記の成分に加え、これら処方物はさらに医薬組成物に使用される一種以上の補助成分を含んでいてもよい。これらの補助成分の例としては、希釈剤、緩衝液、香料、結合剤、界面活性剤、増粘剤、潤滑剤、懸濁化剤、防腐剤(酸化防止剤を含む)などがあげられる。
【0099】
化合物の活性度の判定
化合物の活性は、従来からの実験手法により、以下のいずれかのアッセイで容易に判定できる。
ラットA及びA2Aアデノシン受容体結合アッセイ
【0100】
細胞膜の調製:
雄のウィスターラット(200〜250g)の頭部を切断し、脳全体(脳幹、線条及び小脳)を氷の上で解剖する。脳の組織は、50mMトリスHCl、pH7.4の20容量(vols)中のポリトロン(セッティング5)中で分離することができる。次いで、ホモジネートを48,000gで10分間遠心分離し、ペレットを、2IU/mLアデノシンデアミナーゼ、タイプVI(シグマ ケミカル カンパニー、St.Louis,Mo.,USA)を含むトリス−HClに再懸濁する。37EC(℃)で30分間インキュベーションした後、細胞膜を遠心分離し、ペレットを−70EC(℃)で保存する。線条体の組織を、10mM MgCl を含有する50mMトリスHClのバッファー、pH7,4の25容量(vol)中のポリトロンで、ホモジネートする。このホモジネートを、次いで48,000gで10分間、4EC(℃)で遠心分離し、2IU/mlアデノシンデアミナーゼを含むトリスHClバッファーに再懸濁する。37EC(℃)で30分間インキュベーションした後、細胞膜を遠心分離し、ペレットを−70EC(℃)で保存した。
【0101】
放射性リガンドの結合アッセイ
[H]−DPCPX(1,3−ジプロピル−8−シクロペンチルキサンチン)のラットの脳の細胞膜への結合は、原則的には、ブルンスらによりすでに報告された方法(Bruns et al., Proc.Natl, Acad. Sci. 77, 5547-5551 1980)に従って行われる。置換実験(displacement experiments)は、1nM [H]−DPCPX、ラットの脳の希釈した細胞膜100ΦL(μL)(プロテイン/アッセイの100Φg(μg))、及び少なくとも6−8の異なる濃度の試験化合物を含むバッファー0.25ml中で行われる。非特異的結合は、CHA(Nシクロヘキシルアデノシン)10ΦM(μM)の存在下で決定される。通常これは全結合の#10%である。インキュベーションの時間は通常25EC(℃)で120分である。
【0102】
[H]−SCH58261(5-アミノ−7−(2−(フェニル)エチル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン)のラットの脳の線条体細胞膜(プロテイン/アッセイの100Φg(μg))への結合は、ゾッチィーらに記載された方法(Zocchi et al.,J.Pharm. and Exper. Ther. 276:398-404(1996).)に従って方法で行われる。競合の研究では、少なくとも6〜8の異なる濃度で、試験化合物を用いる必要がある。非特異的結合は、50ΦM(μM)のNECA(5´−(N−エチルカルボキサミド)アデノシン)の存在下で決定された。インキュベーションの時間は通常25EC(℃)で60分である。
【0103】
結合及び遊離の放射性活性は、ブランデルセルハーベスター(Gaithersburg, MD, USA)を用い、ワットマンGF/Bグラスフィルターで、アッセイ混合物を濾過することにより分離される。インキュベーション混合液を、3mlの氷冷したインキュベーションバッファーで希釈し、急速に減圧濾過し、フィルターを3mlのインキュベーションバッファーで3回洗浄する。フィルターに結合した放射能を例えば、液体シンチレーションで計測する。蛋白質の濃度は、例えばウシアルブミンを対照標準として用いるバイオラッド(Bio-Rad)の方法(Bradford, Anal. Biochem. 72:248(1976))に従ってより判定される。
【0104】
ヒトクローンAアデノシン受容体の結合アッセイ
受容体結合アッセイ
結合アッセイは、サルバトレら(Salvatore et al., Proc.Natl.Acad.Sci.90:10365-10369(1993))に記載された方法に従って行われる。飽和の研究では、ヒト組み換え型Aアデノシン受容体(Research Biochemmical International, Natick, MA, USA)で形質転換したHEK−293細胞からの細胞膜(8mg 蛋白質/ml)のアリコート(一部)を、0.1〜5nMの[125I]AB−MECAの10〜12の異なる濃度でインキュベートして行われる。競合試験は、0.3nM[125I]AB−MECA、50mMトリスHClバッファー、10mM MgCl、pH7.4及び20ΦI(μI)の希釈された細胞膜(12.4mg蛋白質/ml)、並びに少なくとも6−8の異なる濃度の試験リガンドを含むテストチューブ中で、100ΦL(μL)の最終容量で2回繰り返し行われる。
【0105】
予め行ったタイムコースの実験結果に基づいて、インキュベーションの時間は、37EC(℃)で60分とした。結合及び遊離の放射能は、ブランデルセルハーベスターを使用して、ワットマン(Whatman)GF/Bグラスファイバーフィルターでアッセイ混合物を濾過することによって分離した。非特異的結合は、50ΦM(μM)R−PIAの存在下での結合として定義され、全結合の約30%であった。インキュベーション混合液を、3mlの氷冷したインキュベーションバッファーで希釈し、急速に減圧濾過し、フィルターを3mlのインキュベーションバッファーで3回洗浄した。フィルターに結合した放射能は、ベックマンガンマ(Beckman gamma)5500B(計測器)でカウントした。 蛋白質の濃度は、ウシアルブミンを対照標準としたバイオラッド(Bio-Rad)の方法(3)に従って判定される。
【0106】
データの分析
結合阻害定数(inhibitory binding constant)の値であるK は、チェング及びプルソッグ(Cheng & Prusoff)の式(Cheng and Prusoff Biochem. Pharmacol. 22:3099-3108(1973))であるK=IC50/(1+[C]/K)(ここに[C]は放射性リガンドの濃度であり、Kはその解離定数である。)に従ったIC50の値から計算される。
【0107】
飽和及び阻害実験のコンピューター分析のために、加重非線形最小二乗曲線フィッティングプログラムLIGAND(Munson and Rodbard, Anal. Biochem. 107:220-239(1990))が、使用される。データは通常は幾何平均として、括弧内に95%又は99%の信頼限界を付して表される。
【0108】
CHO細胞膜の調製
CHO細胞でのヒトA、A2A、A2B及びAサブ3受容体の発現は、既に報告されている(Klotz et al.,1998)。この細胞を付着増殖させて、栄養混合物F12を含み、ヌクレオシドを含まないダルベッコの改変イーグル培地中で、37℃で、5%CO/95%空気の雰囲気下で培養した。細胞を週に2、3回分割し、次いで細胞膜を調製するために培養物を取り除く。リン酸緩衝生理食塩水を用いてこの細胞を洗浄して、氷冷した低張性緩衝液(5mM Tris HCl、2mM EDTA、pH7.4)中でフラスコから剥がす。ポリトロンを用いて細胞懸濁液を均質化して、そのホモジネートを48,000gで30分間遠心分離する。得られた細胞膜ペレットを、Aアデノシン受容体に対しては、50mM トリスHClバッファー、pH7.4中で、A2Aアデノシン受容体については、50mM トリスHCl、10mM MgCl、pH7.4中で、Aアデノシン受容体については、50mM Tris HCl、10mM MgCl、1mM EDTA、pH7.4中にそれぞれ再懸濁して、それらを結合及びアデニレートシクラーゼアッセイに用いた。
【0109】
ヒトクローンA、A2A、A2B及びAアデノシン受容体の結合アッセイ
ヒト組み換えAアデノシン受容体で形質転換されたCHO細胞への[H]−DPCPXの結合は、クロッツ及びその共同者により既に記載された方法(Klotz, K.N.; Cristalli, G.; Grifantini, M.; Vittori, S.; Lohse, M. J., "Photoaffinity labeling of A1 ademosine receptors," J.Biol. Chem., 260,14659-14664, 1985)に従って行う。
【0110】
1nMの[H]−DPCPX、20μLの希釈された細胞膜(50μgのプロテイン/アッセイ)、及び少なくとも6〜8の異なる濃度の試験化合物を含有する、0.20mLのバッファー中で、25℃で120分間で、置換実験を実施する。非特異的結合は、10μMのCHAの存在下において決定されるが、これは常に、全結合の10%である。ヒト組み換えA2Aアデノシン受容体(50μgのタンパク質/アッセイ)を用いて形質転換したCHO細胞に対する[H]−SCH58261の結合は、バラニらの方法(Varani, K; Cacciari, B.; Baraldi, P.G.; Dionisotti, S.; Ongini, E.; Borea, P.A., "Binding affinity of adenosine receptor agonist and antagonists at human cloned Aadenosine receptors"”Life Sci., 63, 81-87, 1998) に従って行った。競合試験において、少なくとも6〜8の異なる濃度の化合物が用いられ、50μMのNECAの存在下で、インキュベーション時間60分として、25℃で、非特異的結合を測定した。
【0111】
ヒト組み換えA2Bアデノシン受容体を用いて形質転換したHEK−293細胞(Receptor Biology, Inc., Beltsville, Md)に対する[H]−DPCPXの結合は、実質的にバラニ及びその共同者による方法(Mol. Pharmacol.)に従って行う実施する。詳細には、アッセイは、0.1mLの50mMトリスHClバッファー、10mM MgCl,1mM EDTA、0.1mM ベンズアミジン(pH7.4)、40nMの[H]−DPCPXを含む2IU/mlのアデノシンデアミナーゼ、希釈された膜(20μgのタンパク質/アッセイ)、及び少なくとも6〜8の異なる濃度の試験化合物からなる溶液中で、25℃で、60分間でおこなわれる。100μMのNECAの存在下で、非特異的結合を決定したが、これは常に、全結合の30%であった。
【0112】
ヒト組み換えAアデノシン受容体を用いて形質転換したCHO細胞に対する[H]−MRE3008−F20(化合物108の放射性リガンド)の結合は、バラニらの方法(Mol. Pharmacol.)に従って実施した。競合実験は、1nMの[H]MRE3008−F20、50mMのトリスHClバッファー、10mMのMgCl、pH7.4、及び100μLの希釈された膜(50μgのタンパク質/アッセイ)、並びに少なくとも6〜8の異なる濃度の試験リガンドを含有している試験管において、250μLの最終容積で2回反復して行う。インキュベーションの時間は、予め行われたタイムコースの実験の結果(Mol. Pharmacol.)に基づいて、4℃で120分であった。非特異的結合は、1μMMRE3008−F20の存在下での結合として定義され、これは、全結合の約25%である。ミクロ−メタ(Micro-Mate)196セルハーベスター(Packard Instrument Company)を用いて、ホワットマン(Whatman)GF/Bガラスファイバーフィルターを通してアッセイ混合物を濾過することによって、結合した放射能部分及び遊離の放射能部分を分離する。このフィルターに結合した放射能を、ミクロ−サイント(Micro-Scint)20でトップカウント(Top Count)(効率57%)上でカウントした。対照標準としてウシアルブミンを用いるバイオラッド(BioRad)法(Bradford,M.M.,"A rapid and sensitive method for the quantification of microgram quantities of protein utilizing the principle of protein dye-binding," Anal. Biochem. 72, 248, 1976)に従って、タンパク質の濃度を決定する。
【0113】
アデニレートシクラーゼのアッセイ
膜の調製は、GTP5μM,ホスホジエステラーゼ阻害剤として0.5mMの4−(3−ブトキシ−4−メトキシベンジル)−2−イミダゾリジオン(Ro20−1274)、2.0IU/mLアデノシンデアミナーゼを含む0.5mLのインキュベーション混合物(50mMトリスHCl、MgCl10mM、EDTA 1mM、pH7.4)中に懸濁し、37℃の振盪浴中において10分間プレインキュベートする。IB−MECA(100nM)、又はATP(1mM)及びフォルスコリン10μMのプラスで試験されるアンタゴニストを、この混合物に加え、そして、インキュベーションをさらに10分続ける。アンタゴニストの力価は、サイクリックAMP(cAMP)産生の阻害を誘導するIB−MECA(100nM)の拮抗作用によって決定された。この反応は、沸騰水浴に移すことにより終結される。2分間沸騰させ、次いで試験管は室温まで冷やされ、4℃で10分間、2000gで遠心分離する。上清(100μL)が、実質的にバラニらの方法(Mol.Pharmacol.2000)に従って行われる競合プロテイン結合アッセイで使用される。
【0114】
全容積0.5ml中に、インキュベーションバッファー(トリズマベース(trizma base) 0.1M、アミノフィリン8.0mM;2−メルカプトエタノール6.0mM、pH7.4)、及び[H]−cAMPを含有する各々の試験管に、cAMP標準のサンプル(0〜10pmol)を添加する。ウシ副腎から事前に調製した結合タンパク質を、4℃で150分間事前にインキュベートさせたサンプルに添加して、活性炭の添加後、2000gで10分間、遠心分離する。透明な上清(0.2mL)を、LS−1800ベックマンシンチレーションカウンター中のアトムライト(atomlight)4mLと混合する。
【0115】
実施例
以下の実施例は、本発明の概要を説明するものであるが、本発明を限定するものではない。これらの実施例において使用される記号と仕様は、現代の国際的な化学ジャーナル、例えばジャーナル オブ ザ アメリカン ケミカル ソサエティー (”J.Am.Chem.Soc.”)及びテトラヘドロンなどで使用されているものと同様である。
【実施例1】
【0116】
8−(Ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−C]ピリミジンの調製(化合物18−25)
8−(Ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−C]ピリミジン類は、下記スキームVIに示される合成ストラテジーに従って調製された。
【0117】
【化20】

【0118】
スキームVI:8−(Ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−C]ピリミジン調製の基本手順(18−25)
試薬:a)NaH、DMF、RX;b)HC(OEt)、還流;c)2−フロ酸ヒドラジド、MeO(CHOH;d)PhO、260EC(℃)、フラッシュクロマトグラフィー
【0119】
化合物18−25を調製するために、DMF40ml中の化合物1(10mmol)の溶液を0EC(℃)まで冷却し、NaH(60%オイル溶液、12mmol)と様々な割合で10分間以上反応させた。45分後、それぞれの(ar)アルキルハライド(12mmol)を加え、反応混合物を25EC(℃)まで暖め、3〜5時間攪拌した(TLC:EtOAc 1:1)。反応は、HO(80ml)を加えて冷却し、EtOAc(5×25ml)によって水層を抽出した。有機層を合体し、乾燥(NaSO)し、濾過し、減圧下で濃縮し、N及びN異性体を分離していない混合物(割合は約1:4)としてアルキル化ピラゾール(化合物2−9)を得た。その後、このN及びN−置換−4−シアノ−5−アミノピラゾール(化合物2−9)の混合物を、トリエチルオルト蟻酸エステル(60ml)に溶解し、その溶液を窒素下で8時間還流した。その後、溶媒を減圧で留去し、油状のイミデートの混合物(化合物10−17)の残留物を2−メトキシエタノール(50ml)に溶解し、2−フロ酸ヒドラジド(13mmol)を加えた。混合物を5〜10時間還流させ、冷却した後、溶媒を減圧下で留去し、暗黒色の油状の残留物をジフェニルエーテル(50ml)中でさらに環化した。反応において発生した水分を共沸により除去するためにディーンスターク(Dean−Stark)の装置を使用した。1.5時間後、混合物を冷却し、ヘキサン(300ml)に注いだ。沈殿物を濾過して集め、クロマトグラフィーによって精製した(EtOAc/ヘキサン 1:1)。このようにして、主な生成物(Nアルキル化物)(化合物18−25)を全体的に高い収率で得た。
【0120】
この基本手順に従って、以下の化合物を調製した。
【0121】
8−メチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物18)収率45%;黄色の固体,m.p.155−156EC(℃)(EtOAc−軽油);IR(KBr):1615,1510cm−1H NMR(DMSO−d)*(δ)4.1(s,1H);6.32(m,1H);7.25(m,1H);8.06(m,1H);8.86(s,1H),9.38(s,1H)。
【0122】
8−エチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物19)収率50%;黄白色の固体,m.p.188−189EC(℃)(EtOAc−軽油);IR(KBr):1620,1500cm−1H NMR(DMSO−d)*(δ)1.67(t,2H,J=7);4.53(q,2H,J=7);6.59(m,1H);7.23(m,1H);7.64(s,1H);8.34(s,1H);9.10(s,1H)。
【0123】
8−プロピル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物20)収率60%;黄色の固体,m.p.189−190EC(℃)(EtOAc−軽油);IR(KBr):1600,1505cm−1H NMR(DMSO−d)*(δ)0.98(t,2H,J=7);2.03−2.10(m, 2H);4.41(q,2H,J=7);6.60(m,1H);7.24(m,1H);7.64(s,1H);8.32(s,1H);9.10(s,1H)。
【0124】
8−ブチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物21)収率50%,黄白色の固体,m.p.245−247EC(℃)(EtOAc−軽油);IR(KBr):1610,1500cm−1H NMR(DMSO−d)*(δ)0.9(m,3H);1.3(m,2H);1.9(m,2H);4.5(t,2H,J=7.2);6.2(m,1H);7.3(m,1H);8.0(m,1H);8.9(s,1H);9.4(s,1H)。
【0125】
8−イソペンチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物22)収率54%;黄白色の固体,m.p.235−237EC(℃)(EtOAc−軽油);IR(KBr):1635,1510,1450cm−1H NMR(DMSO−d)*(δ)1.0(d,6H,J=6.2);1.5−1.9(m,3H);4.6(t,2H,J=7.4);6.6(m,1H),7.3(m,1H);7.7(m,1H);8.8(s,1H);9.1(s,1H)。
【0126】
8−(2−イソペンテニル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物23)収率48%;黄色の固体,m.p.210−212EC(℃)(EtOAc−軽油);IR(KBr):1625,1500,1430cm−1H NMR(DMSO−d)*(δ)1.79(s,3H);1.87(s,3H);5.05(d,2H,J=6);5.55−5.63(m,1H);6.60(m,1H);7.24(m,1H);7.64(s,1H)8.34(s,1H);9.10(s,1H)。
【0127】
8−(2−(フェニル)エチル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物24)収率56%,m.p.268−270EC(℃);(EtOAc−軽油);IR(KBr):1660,1510,1450cm−1H NMR(DMSO−d)*(δ)3.32(t,2H,J=6.7);4.72(t,2H,J=6.7);6.73(s,1H);7.23(m,5H);7.95(s,1H);8.8(s,1H);9.41(s,1H).Anal.(C1814O)C,H,N。
【0128】
8−(3−(フェニル)プロピル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物25)収率63%;黄色の固体,m.p.165−166EC(℃)(EtOAc−軽油);IR(KBr);1630,1500,1440cm−1H NMR(DMSO−d)*(δ)2.34−2.48(m,2H);2.67(t,3H,J=7.5);4.43(t,2H,J=7.5),6.61(m,1H);7.16−7.32(m,6H);7.64(d,1H,J=2);8.29(s,1H);9.02(s,1H)。
【実施例2】
【0129】
5−アミノ−8−(ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジンの調製(化合物33−40)
5−アミノ−8−(ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジンは、下記スキームVIIに示される合成ストラテジーに従って調製された。
【0130】
【化21】

【0131】
スキームVII:5−アミノ−8−(ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン調製の基本手順(化合物34−41)
試薬:a)HCl,還流;b)NHCN,1−メチル−2−ピロリドン,pTsOH,140EC(℃)
【0132】
化合物34−41を調製するために、10%HCl水溶液(50ml)中のピラゾロ−トリアゾロ−ピリミジン混合物(化合物18−25)の溶液(10mmol)を3時間還流した。その後、溶液を冷却し、0EC(℃)でNaHCO飽和溶液で中和した。化合物(26−33)をEtOAc(3×20ml)で抽出し、有機層をNaSOで乾燥し、減圧で留去した。得られた粗製アミン(化合物26−33)をN−メチルピロリドン(40ml)に溶解し、シアンアミド(60mmol)とp−トルエンスルホン酸(15mmol)を加え、その混合物を160EC(℃)で4時間加熱した。冷却した後、再びシアンアミド(60mmol)を加え、溶液を一晩加熱した。その後、溶液をEtOAc(80ml)で希釈し、沈殿物(余分なシアンアミド)を濾過して集め、それを減圧下で濃縮し、水で洗浄した(3×30ml)。有機層を乾燥させ(NaSO)、減圧で留去した。残留物をクロマトグラフィー(EtOAc/軽油 2:1)で精製し、固体の目的の生成物(化合物34−41)を得た。
【0133】
この基本手順に従って、以下の化合物を調製した。
【0134】
5−アミノ−8−メチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物34)収率53%;黄色の固体,m.p.167−168EC(℃)(EtOAc−軽油);IR(KBr):3500−2950,1680,1645,1610,1560,1455cm−1H NMR(DMS−d)*(δ)4.12(s,3H);6.70(m,1H);6.99(bs,2H);7.18(m,1H);7.81(s,1H),8.42(s,1H)。
【0135】
5−アミノ−8−エチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物35)収率65%;黄色の固体,m.p.249−250EC(℃)(EtOAc−軽油);IR(KBr):3430−2950,1680,1655,1620,1550,1450cm−1H NMR(DMSO−d)*(δ)1.46(t,2H,J=7);4.30(d,2H,J=7);6.72(m,1H);7.18(m,1H);7.93(bs,2H);7.93(s,1H);8.62(s,1H)。
【0136】
5−アミノ−8−プロピル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物36)収率57%;黄白色の固体,m.p.209−210EC(℃)(EtOAc−軽油);IR(KBr):3400−2900,1660,1645,1610,1545,1430cm−1H NMR(DMSO−d)*(δ)0.83(t,2H,J=7);1.81−1.91(m,2H);4.22(d,2H,J=7);6.71(m,1H);7.19(m,1H);7.63(bs,2H);7.93(s,1H);8.61(s,1H)。
【0137】
5−アミノ−8−ブチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物37)収率47%;白色の固体,m.p.200−203EC(℃)(EtOAc−軽油);IR(KBr):3500−2900,1685,1640,1620,1550,1450cm−1H NMR(DMSO−d)*(δ)0.9(t,3H);1.2(m,2H);1.8(m,2H);4.2(t,2H);6.7(m,1H);7.2(m,2H);7.6(s,1H);8.0(s,1H);8.6(s,1H)。
【0138】
5−アミノo−8−イソペンチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物38)収率60%;灰色の固体,m.p.212−213EC(℃)(EtOAc−軽油);IR(KBr):3500−2850,1670,1650,1615,1560,1455cm−1H NMR(CDCl)*(δ)0.96(d,6H,J=6.4);1.59(m,1H);1.86(m,2H);4.32(t,2H,J=6.4);6.58(m,1H);6.72(bs,2H);7.21(d,1H,J=4.2);7.63(d,1H,J=1.2);8.10(s,1H)。
【0139】
5−アミノ−8−(2−イソペンテニル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物39)収率58%;黄白色の固体,m.p.178−179EC(℃)(EtOAc−軽油);IR(KBr):3520−2950,1665,1640,1610,1555,1450cm−1H NMR(CDCl)*(δ)1.74(s,3H);1.77(s,3H);4.87(d,2H,J=7);5.43−5.46(m,1H);6.72(m,1H);7.18(m,1H);7.62(bs,2H);7.93(s,1H);8.55(s,1H)。
【0140】
5−アミノ−8−(2−(フェニル)エチル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物40)収率45%;白色の固体,m.p.183−185EC(℃)(EtOAc−軽油);IR(KBr):3500−2900,1670,1645,1620,1530,1455cm−1H NMR(DMSO−d)*(δ)3.21(t,2H,J=6.4);4.53(t,2H,J=6.4);6.7(s,1H);7.1−7.4(m,6H),7.65(bs,2H);7.93(s,1H);8.45(s,1H)。
【0141】
5−アミノ−8−(3−(フェニル)プロピル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物41)収率57%;黄色の固体,m.p.168−170EC(℃)(EtOAc−軽油);IR(KBr):3510−2950,1665,1640,1615,1520,1455cm−1H NMR(DMSO−d)*(δ)2.14−2.21(m,2H);2.54(t,2H,J=7);4.29(t,2H,J=6.4);6.71(s,1H);7.14−7.32(m,6H),7.64(bs,2H);7.93(s,1H);8.64(s,1H)。
【実施例3】
【0142】
5−[[(置換されたフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−(ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジンの調製(化合物42−57)
5−[(置換されたフェニル)カルボニル]アミノ−8−(Ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジンは、下記スキームVIIIに示される合成ストラテジーに従って調製された。
【0143】
【化22】

【0144】
スキームVIII:5−[[(置換されたフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−(ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン調製の基本手順(化合物42−57)
【0145】
化合物42−57を調製するために、それぞれのアミノ化合物(化合物34−41)(10mmol)を新たに蒸留したTHF(15ml)に溶解し、それぞれのイソシアン酸塩誘導体(13mmol)を加えた。その混合物を、アルゴン存在下で18時間還流した。その後、溶媒を減圧下で留去し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc−軽油 4−6)で精製し、目的の化合物42−57を得た。この基本手順に従って、以下の化合物を調製した。
【0146】
5−[[(3−クロロフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−メチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物42)収率98%;黄白色の固体,m.p.142−145EC(℃)(EtO−軽油);IR(KBr):3210−2930,1660,1630,1610,1500cm−1H NMR(CDCl)*(δ)4.21(s,3H);6.60(m,1H);7.11(d,1H,J=8);7.13−7.28(m,2H):7.55(d,1H,J=8);7.65(s,1H);7.78(d,1H,J=2);8.22(s,1H);8.61(bs,1H);11.24(bs,1H)。
【0147】
5−[[(4−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−メチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物43)収率99%;黄色の固体,m.p.193−195EC(℃)(EtO−軽油);IR(KBr):3200−2900,1664,1625,1600,1500cm−1H NMR(CDCl)*(δ)3.81(s,3H);4.20(s,3H);6.61(m,1H);6.85(d,2H,J=9);7.26(m,1H);7.55(d,2H,J=9);7.65(s,1H);8.21(s,1H);8.59(bs,1H);10.96(bs,1H)。
【0148】
5−[[(3−クロロフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−エチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物44)収率98%;黄白色の固体,m.p.204−205EC(℃)(EtO−軽油);IR(KBr):3220−2930,1660,1620,1600,1500cm−1H NMR(CDCl)*(δ)1.71(t,3H,J=7);4.50(q,2H,J=7);6.67(m,1H);7.20(d,1H,J=8);7.31(m,1H);7.61(d,1H,J=8);7.70(s,1H);7.84(s,1H);8.30(s,1H);8.67(bs,1H);11.30(bs,1H)。
【0149】
5−[[(4−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−エチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物45)収率99%;黄白色の固体,m.p.200−201EC(℃)(EtO−軽油);IR(KBr):3250−2950,1665,1620,1610,1520cm−1 H NMR(CDCl)*(δ)1.71(t,3H,J=7);3.85(s,3H);4.49(s,3H);6.65(m,1H);6.88(d,2H,J=9);7.26(m,1H);7.58(d,2H,J=9);7.69(s,1H);8.28(s,1H);8.63(bs,1H);10.99(bs,1H)。
【0150】
5−[[(3−クロロフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−プロピル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物46)収率95%;白色の固体,m.p.138−139EC(℃)(EtO−軽油):IR(KBr):3210−2920,1655,1615,1600,1510cm−1H NMR(CDCl)*(δ)1.71(t,3H,J=7);2.04(m,2H);4.36(q,2H,J=7);6.62(m,1H);7.12(d,1H,J=8);7.27(m,1H);7.56(d,1H,J=8);7.66(s,1H);7.80(s,1H);8.24(s,1H);8.62(bs,1H);11.08(bs,1H)。
【0151】
5−[[(4−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−プロピル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物47)収率98%;黄白色の固体,m.p.146−148EC(℃)(EtO−軽油);IR(KBr):3230−2950,1660,1620,1600,1530cm−1H NMR(CDCl)*(δ)0.98(t,3H,J=7);2.04−2.08(m,2H);3.82(s,3H);4.35(t,2H,J=7);6.61(m,1H);6.89(d,2H,J=9);7.25(m,1H);7.56(d,2H,J=9);7.65(s,1H);8.23(s,1H);8.59(bs,1H);10.95(bs,1H)。
【0152】
5−[[(3−クロロフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−ブチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物48)収率97%;白色の固体,m.p.210−212EC(℃)(EtO−軽油);IR(KBr):3240−2970,1650,1610,1510cm−1H NMR(CDCl)*(δ)1.00(t,3H,J=7);1.39−1.41(m,2H);1.99−2.03(m,2H);4.41(q,2H,J=7);6.63(m,1H);7.14(d,1H,J=8);7.29(m,1H);7.56(d,1H,J=8);7.67(s,1H);7.80(s,1H);8.25(s,1H);8.63(bs,1H);11.26(bs,1H)。
【0153】
5−[[(4−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−ブチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3,e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物49)収率96%;白色の固体,m.p.197−198EC(℃)(EtO−軽油);IR(KBr):3250−2960,1665,1610,1600,1520cm−1H NMR(CDCl)*(δ)0.98(t,3H,J=7);1.38−1.42(m,2H);2.02−2.05(m,2H);3.82(s,3H);4.39(t,2H,J=7);6.63(m,1H);6.92(d,2H,J=9);7.25(m,1H);7.57(d,2H,J=9);7.67(s,1H);8.23(s,1H);8.60(bs,1H);10.95(bs,1H)。
【0154】
5−[[(3−クロロフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−イソペンチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物50)収率97%;黄白色の固体,m.p.199−200EC(℃)(EtO−軽油);IR(KBr):3230−2950,1655,1600,1510cm−1H NMR(CDCl)*(δ)1.01(d,6H,J=7.5);1.49−1.51(m,1H);1.88−2.03(m,2H);4.42(t,2H,J=7);6.62(m,1H);7.13(d,1H,J=8);7.34(m,1H);7.57(d,1H,J=8);7.67(s,1H);7.80(s,1H);8.24(s,1H);8.63(bs,1H);11.25(bs,1H)。
【0155】
5−[[(4−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−イソペンチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物51)収率98%;白色の固体,m.p.192−193EC(℃)(EtO−軽油);IR(KBr):3230−2970,1660,1615,1600,1500cm−1H NMR(CDCl)*(δ)0.99(d,6H,J=7.5);1.58−1.22(m,1H);1.87−1.97(m,2H);3.82(s,3H);4.40(t,2H,J=7);6.62(m,1H);6.91(d,2H,J=9);7.23(m,1H);7.58(d,2H,J=9);7.66(s,1H);8.23(s,1H);8.59(bs,1H);10.94(bs,1H)。
【0156】
5−[[(3−クロロフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−(2−イソペンテニル)−2−(2−フリル)ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物52)収率99%;白色の固体,m.p.204−205EC(℃)(EtO−軽油);IR(KBr):3245−2960,1650,1600,1510cm−1 H NMR(CDCl)*(δ)1.84(s,3H);1.88(s,3H);5.01(d,2H,J=8);5.57(m,1H);6.62(m,1H);7.12(d,1H,J=8);7.29(m,1H);7.56(d,1H,J=8);7.66(s,1H);7.80(s,1H);8.26(s,1H);8.60(bs,1H);11.26(bs,1H)。
【0157】
5−[[(4−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−(2−イソペンテニル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物53)収率96%;黄白色の固体,m.p.198−199EC(℃)(EtO−軽油);IR(KBr):3235−2950,1665,1620,1600,1510cm−1H NMR(CDCl)*(δ)1.83(s,3H);1.87(s,3H);3.81(s,3H);4.97(d,2H,J=7);5.57(m,1H);6.61(m,1H);6.93(d,2H,J=9);7.24(m,1H);7.54(d,2H,J=9);7.66(s,1H);8.25(s,1H);8,58(bs,1H);10.96(bs,1H)。
【0158】
5−[[(3−クロロフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−(2−(フェニル)エチル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物54)収率98%;白色の固体,m.p.186−187EC(℃)(EtO−軽油);IR(KBr):3250−2970,1660,1610,1515cm−1H NMR(CDCl)*(δ)3.33(t,2H,J=7);4.62(t,2H,J=7);6.60(m,1H);7.19−7.35(m,7H);7.57(d,1H,J=8);7.61(s,1H);7.81(s,1H);7.89(s,1H);8.63(bs,1H);11.27(bs,1H)。
【0159】
5−[[(4−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−(2−(フェニル)エチル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物55)収率99%;白色の固体,m.p.180−181EC(℃)(EtO−軽油);IR(KBr);3245−2960,1660,1615,1600,1500cm−1H NMR(CDCl)*(δ)3.42(t,2H,J=7);3.82(s,3H);4.60(t,2H,J=7);6.60(m,1H);6.93(d,2H,J=9);7.09(m,2H);7.20−7.28(m,4H);7.56(d,2H,J=8);7.60(s,1H);7.89(s,1H);8.59(bs,1H);10.96(bs,1H)。
【0160】
5−[[(3−クロロフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−(3−(フェニル)プロピル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物56)収率99%;黄白色の固体,m.p.183−184EC(℃)(EtO−軽油);IR(KBr);3245−2960,1665,1610,1515cm−1H NMR(CDCl)*(δ)2.46(m,2H);2.73(t,2H,J=7);4.43(t,2H,J=7);6.66(m,1H);7.19−7.40(m,8H);7.59(d,1H,J=8);7.64(s,1H);7.85(m,1H);8.25(s,1H);8.67(bs,1H);11.30(bs,1H)。
【0161】
5−[[(4−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−(3−(フェニル)プロピル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物57)収率98%;白色の固体,m.p.174−175EC(℃)(EtO−軽油);IR(KBr):3240−2950,1665,1615,1600,1510cm−1H NMR(CDCl)*(δ)2.46(m,2H);2.73(t,2H,J=7);4.42(t,2H,J=7);6.67(m,1H);6.96(d,2H,J=9);7.22−7.41(m,6H);7.60(d,2H,J=8);7.64(s,1H);8.25(s,1H),8.65(bs,1H);11.16(bs,1H)。
【実施例4】
【0162】
5−[(ベンジル)カルボニル]アミノ−8−(ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物58−59)
5−[(ベンジル)カルボニル]アミノ−8−(Ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジンは、下記スキームIXに示される合成ストラテジーに従って調製される。
【0163】
【化23】

【0164】
スキームIX:5−[(ベンジル)カルボニル]アミノ−8−(ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン調製の基本手順(化合物58−59)
【0165】
化合物58−59を調製するために、それぞれのアミノ化合物(化合物38又は41)(10mmol)を新たに蒸留したTHF(15ml)に溶解し、それぞれの酸ハロゲン化物誘導体(13mmol)及びトリエチルアミン(13mmol)を加えた。その混合物をアルゴン雰囲気下18時間還流させた。その後、溶媒を減圧下で留去し、残留物をEtOAc(30ml)に溶解し、水(15ml)で2回洗浄した。有機層をNaSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc−軽油 4:6)で精製し、目的の化合物58及び59を得た。
【0166】
この基本手順に従って、以下の化合物を調製した。
【0167】
5−[(ベンジル)カルボニル]アミノ−8−イソペンチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物58)収率85%,黄白色の固体,m.p.144−145EC(℃)(EtO−軽油);IR(KBr):3255−2930,1673,1620,1610,1520cm−1H NMR(CDCl)*(δ)0.98(d,6H,J=7.5);1.60(m,1H);1.91(m,1H);4.40(t,2H,J=7);4.53(s,2H);6.60(m,1H);7.18(m;1H);7.26−7.39(m,5H);7.64(s,1H);8.22(s,1H);9.11(bs,1H)。
【0168】
5−[(ベンジル)カルボニル]アミノ−8−(3−(フェニル)プロピル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物59)収率95%,黄白色の固体,m.p.116−117EC(℃)(EtO−軽油);IR(KBr);3250−2900,1675,1625,1600,1500cm−1H NMR(CDCl)*(δ)2.39(m,2H);2.67(t,2H,J=7);4.37(t,2H,J=7);4.53(s,2H);6.61(m,1H);7.16−7.43(m,11H);7.65(s,1H);7.64(s,1H);8.19(s,1H);9.12(bs,1H)。
【実施例5】
【0169】
1−置換−4−シアノ−5−アミノピラゾールの調製
市販されているエトキシ−メチレン マロノジニトリル、及び、同様に市販されているN−置換されたヒドラジンを用いて、ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー (J.Org.Chem.)1956,21,1240、ジャーナル オブ ザ アメリカン ケミカル ソサエティー (J.Am.Chem.Soc.)1956,78,784、及びこれらで引用されている文献に記載の手順に従って、以下の化合物を調製した。
1−メチル−4−シアノ−5−アミノピラゾール
1−n−ブチル−4−シアノ−5−アミノピラゾール
1−イソペンチル−4−シアノ−5−アミノピラゾール
1−(2−シクロペンチル)エチル−4−シアノ−5−アミノピラゾール
1−ヒドロキシエチル−4−シアノ−5−アミノピラゾール
1−フェニル−4−シアノ−5−アミノピラゾール
1−tert−ブチル−4−シアノ−5−アミノピラゾール
1−(フェニル)エチル−4−シアノ−5−アミノピラゾール
1−(2−クロロフェニル)−4−シアノ−5−アミノピラゾール
【0170】
これらの化合物は、ここに記載されているピラゾロ−トリアゾロ−ピリミジン化合物を調製するための中間体として使用することができる。
【実施例6】
【0171】
1−置換−4−シアノ−3−アミノピラゾールの調製
4−シアノ−5−アミノピラゾールを原料として、ケミカル アンド ファーマスティカル ブレティン(Chem.Pharm.Bull.)1970,18,2353、又は、ジャーナル オブ ヘテロサイクリック ケミストリー(J.Heterocyclic Chem.)1979,16,1113で報告されている手順に従って、1−置換4−シアノ−3−アミノピラゾールを、無水炭酸カリウム存在下、80EC(℃)で1〜2時間でジメチルホルムアミド中で対応するハロゲン化アルキルによる直接アルキル化法により調製する。約1:2の比率のN1及びN2アルキル化の2種の位置異性体を含む反応混合物から、N2異性体を単一の結晶化又はシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーで酢酸エチルと石油エーテルの混合物による溶出により単離される。これらの手順で以下の化合物を調製した。
1−メチル−4−シアノ−3−アミノピラゾール
1−ブチル−4−シアノ−3−アミノピラゾール
1−ベンジル−4−シアノ−3−アミノピラゾール
1−イソペンチル−4−シアノ−3−アミノピラゾール
1−(フェニル)エチル−4−シアノ−3−アミノピラゾール
【0172】
これらの化合物は、ここに記載されているピラゾロ−トリアゾロ−ピリミジン化合物を調製するための中間体として使用することができる。
【実施例7】
【0173】
フェニルエチル−4−シアノ−3−アミノピラゾールの調製
a)DMF(50ml)中の無水炭酸カリウム(30mmol)の懸濁液に3−アミノ−4−シアノピラゾール(20mmol)を加え、80EC(℃)の温度で30分間加熱した。その懸濁液に臭化フェネチル(25mmol)を加え、80EC(℃)で2時間加熱した。室温まで冷却した後、その混合物を減圧で蒸発乾固し、得られた残留物を蒸留水(100ml)に溶解し、酢酸エチル(3×50ml)で抽出した。有機抽出液を併せて、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧で蒸発乾固した。得られた残留物は、1−フェニルエチル−4−シアノ−5−アミノピラゾール(20%)と1−フェニルエチル−4−シアノ−3−アミノピラゾール(60%)の1:3の混合物からなる。これらの混合物は、実施例9で使用されてもよく、又は、シリカゲルカラムでのクロマトグラフィーにより、酢酸エチル/ヘキサン混合物で溶出して精製して、以下の化合物を得る。
1−フェニルエチル−4−シアノ−5−アミノピラゾール M.P.172−173EC(℃);(20%);H−NMR(DMSO−d):3.04(t,2H);4.12(t,2H);5.85(bs,2H);7.21−7.30(m,5H);7.41(s,1H);1−2−フェニルエチル−4−シアノ−3−アミノピラゾール M.P.98−100EC(℃)(60%);H NMR(CDCl):3.07(t,2H);4.10(t,2H);4.23(bs,2H);7.17(s,1H);7.00−7.28(m,5H)。
【0174】
b)トリエチルオルト蟻酸エステル(40ml)中の1−2−フェニルエチル−4−シアノ−5−アミノピラゾール(20mmol)の溶液を窒素雰囲気下で8時間還流させた。余分なオルト蟻酸エステルを減圧で蒸発留去し、残った黄色の油をエチルエーテルに溶解し、シリカゲルで処理して濾過し、対応するイミノエーテルを得た(収率87%)。オルト蟻酸エステルを蒸発した後に得られた残留物は実質的に純粋で、すぐに次のステップで使用される。2−メトキシエタノール(50ml)中のイミノエーテル(20mmol)及び2−フロ酸ヒドラジド(2.5g,22mmol)の溶液を5〜10時間還流した。冷却した後、溶液を留去して、油状の残留物を得た。その残留物を、反応中に発生した水分を共沸除去するために、ディーンスターク(Dean−Stark)装置を使用してジフェニルエーテル(50ml)中で加熱環化した。1.5時間後、反応はTLC(酢酸エチル:石油エーテル 2:1)によって確認され、出発化合物が完全になくなった時に、混合物を冷却しヘキサンを加えた。得られた沈殿物を濾過、結晶化し、7−(2−フェニルエチル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]−ピリミジンを得た。M.P.174−175EC(℃)(20%)H NMR(DMSO−d):3.23(t,2H)4.74(t,2H);6.75;(s,1H);7.14−7.17(m,5H);7.28(s,1H);7.98(s,1H);8.53(s,1E);9.56(s,1H)。
【0175】
同様に、1−2−フェニルエチル−4−シアノ−3−アミノピラゾールを用いて、8−(2−フェニルエチル)−2−(2−フリル)ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ(1,5−c)−ピリミジンを調製した。M.P.268−270EC(℃)(600A)HNMR(DMSO−d):3.32(t,2H);4.72(t,2H);6.73(s,1H),7.23(m,5H);7.95(s,1H);8.8(s,1H); 9.41(s,1H)。
【0176】
c)10%HCl(5.0ml)中のステップb)の生成物(10mmol)の懸濁液を3時間攪拌し還流させた。冷却した後、溶液を0EC(℃)で濃縮水酸化アンモニウムで塩基性にし、得られた沈殿物を酢酸エチル(3×100ml)で抽出、乾燥し、減圧で蒸発乾固し、対応する1−(2−フェニルエチル)−4−[3(2−フリル)−1,2,4−トリアゾール−5−イル]−5−アミノピラゾールを得た。m.p.175−176EC(℃);H NMR(DMSO−d):3.15(t,2H);4.48(t,2H);5.78(s,1H);6.37(s,1H);6.68(s,1H);7.1(s,1H);7.27−7.28(m,5H);7.82(s,1H);14.51(bs,2H);同様に、1−(2−フェニルエチル)−4−[3(2−フリル)−1,2,4−トリアゾール−5−イル)−3−アミノピラゾール(m.p.205−206EC(℃));H NMR(DMSO−d):3.12(t,2H);4.46(t,2H);5.75(s,1H);14.41(bs,2H)を得た。
【0177】
d)N−メチルピロリドン(40ml)中のステップc)のアミン(10mmol)の懸濁液にシアンアミド(60mmol)を加え、その後p−トルエンスルホン酸(15mmol)を加えた。混合物を攪拌しながら160EC(℃)まで加熱した。4時間後、2回目のシアンアミド(60mmol)を加え、一晩中加熱した。その後、混合物を冷却し、熱水(200ml)で処理した。沈殿物を濾過し、水で洗浄し、エタノールで結晶化し、対応する5−アミノ−7−(2−フェニルエチル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジンを得た。m.p.225−226EC(℃).H NMR(DMSO−d):3.21(t,2H);4.51(t,2H);6.65(s,1H);7.1−7.44(m,6H);7.78(s,1H);7.89(bs,2H);8.07(s,1H)。
【0178】
同様に、5−アミノ−8−(2−フェニルエチル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジンm.p.212−213EC(℃);H NMR(DMSO−d):3.21(t,2H);4.53(t,2H);6.7(s,1H);7.1−7.4(m,5H,芳香環のH(arom)及び1H);7.65(bs,2H);7.93(s,1H);8.45(s,1H)を得た。
【実施例8】
【0179】
4−シアノ−5−アミノ−1,2,3−トリアゾールの調製
DMSO(70ml)中の炭酸カリウム(0.23モル)の懸濁液にシアノアセトアミド(70mmol)及びp−フルオロベンジルアジド(54.5mmol)を続けて加えた。得られた溶液を室温で1時間攪拌し、その後大量の水(1.5l)を注入した。分離した固体を濾過し、水で洗浄し、70EC(℃)のオーブンで乾燥させ、1−(p−フルオロベンジル)−4−カルボキシアミド−5−アミノ−1,2,3−トリアゾール(収率96.1%)を得た。M.P.:198−199EC(℃);H NMR(DMSO−d):7.5−7.1(m,6H);6.4(s,2H);5.4(s,2H)。
【0180】
攪拌し0EC(℃)に冷却した、DMF(5ml)中のアミド懸濁液(0.005モル)にオキシ塩化リン(0.01モル)を加えた。得られた溶液を0EC(℃)で5分間、25EC(℃)で10分間、80EC(℃)で15分間攪拌した。室温に冷却した後、5mlの N HClを加え、その混合物を5分間還流させた。1−(p−フルオロベンジル)−4−シアノ−5−アミノ−1,2,3−トリアゾールが冷却した溶液から分離した(収率90%)。M.P.185−186EC(℃);H NMR(DMSO−d):7.3−7.0(m,6H);5.5(s,2H);IR(KBr):3400,3220,2220,1655cm−1
【0181】
同様に、以下の化合物を調製した。
1−又は2−ベンジル−4−シアノ−5−アミノ−1,2,3−トリアゾール
1−又は2−(o−フルオロベンジル)−4−シアノ−5−アミノ−1,2,3−トリアゾール
1−又は2−(p−フルオロベンジル)−4−シアノ−5−アミノ−1,2,3−トリアゾール
1−又は2−ブチル−4−シアノ−5−アミノ−1,2,3−トリアゾール
1−又は2−イソペンチル−4−シアノ−5−アミノ−1,2,3−トリアゾール
1−又は2−(2−メトキシエチル)−4−シアノ−5−アミノ−1,2,3−トリアゾール
1−2−ヘプチル−4−シアノ−5−アミノ−1,2,3−トリアゾール
1−又は2−オクチル−4−シアノ−5−アミノ−1,2,3−トリアゾール
【0182】
これらの化合物は、ここに記載されているトリアゾロ−トリアゾロ−ピリミジン化合物を調製するための中間体として使用することができる。
【実施例9】
【0183】
エトキシメチレンアミノ複素環類の調製
化合物IVのエトキシメチレンアミノ複素環類は、オルト−アミノニトリルをそれぞれエチルオルト蟻酸エステルと還流させて調製される。一例として、4−シアノ−5−(エトキシメチレンアミノ)−1−ブチルピラゾールの調製が報告されている。トリエチルオルト蟻酸エステル(40ml)中の4−シアノ−5−アミノ−1−ブチルピラゾール(20mmol)の溶液を窒素雰囲気下で8時間、還流温度まで加熱する。余分なオルト蟻酸エステルを減圧で留去する。残った黄色の油をエチルエーテルに溶解し、シリカゲルを用いて溶出し、純粋な化合物を得た(収率87%)。多くの場合、オルト蟻酸エステルの蒸発後に得られた残留物は実質的に純粋で、すぐに次のステップで使用される。IR(ヌジョール):3140,2240,1640cm−1H NMR(CDCl):8.4(s,1H);7.9(s,1H);4.5(t,2H);4.3(q,2H);1.8(m,2H);1.5(m,2H);1.4(t,3H);0.9(t,M)。
【実施例10】
【0184】
エトキシメチレンアミノ複素環の環化
2−メトキシエタノール(50ml)中のエトキシメチレンアミノ複素環(20mmol)及び2−フロ酸ヒドラジド(2.5g,22mmol)の溶液を5〜10時間還流させた。冷却した後、その溶液を濃縮し、オイル状の残留物を得た。そのオイル状の残留物を、ジフェニルエーテル(50ml)中で加熱環化した。反応中に発生した水分は、ディーンスターク(Dean−Stark)装置を取り付けた丸底フラスコを使って共沸除去した。種々の時間(3〜5時間)後、反応はTLC(酢酸エチル:石油エーテル 2:1)によって確認され、すべての出発生成物がなくなった時、混合物を冷却し、ヘキサンを加えた。得られた沈殿物を濾過し、適当な溶媒で結晶化した。ある場合には、粘性のオイルが溶液から分離し、その後デカントされ抽出される。その後、油状の残留物はシリカゲルでクロマトグラフされ、酢酸エチル/石油エーテル混合物で溶出され、三環の化合物VIを得た。
【0185】
一例として、これらの化合物によって調製されたいくつかの化合物の分析的、分光学的な性質を示す。
【0186】
7−ブチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ−[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
H NMR(DMSO−d):9.6(s,1H);8.6(s,1H);8.0(m,1H);7.4(m,1H);6.7(m,1H);4.5(t,2H);1.9(m,2H);1.3(m,2H);0.9(t,3H)。
【0187】
8−ブチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
H NMR(DMSO−d):9.4(s,1H);8.9(s,1H);8.0(m,1H),7.3(m,1H);6.2(m,1H);4.5(t,2H);1.9(m,2H); I.;(m,2H);0.9(m,3H)。
2D−NMR(NOESY)スペクトルにおいて、4.5で共鳴するN−CHシグナルは8.9で共鳴するC9−Hシグナルとクロスピークを示した。
【0188】
7−イソペンチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
H NMR(CDCl):9.1(s,1H);8.8(s,1H);7.7(m,1H);7.3(m,1H);6.6(m,1H);4.6(t,2H);1.18−1.7(m,3H);1.0(d,6H)。
【0189】
8−イソペンチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
9.1(s,1H);8.8(s,1H);7.7(m,1H);7.3(m,1H);6.6(m,1H);4.6(t,2H);1.9−1.5(m,3H);1.0(d,6H)。
【0190】
この手順に従って、以下の化合物を調製した。
7−メチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
8−メチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
7−(2−クロロフェニル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
7−フェニルエチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
7−tert−ブチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
7−(2−(シクロペンチル)エチル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
8−ベンジル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
7−ベンジル−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[5,4−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
7−(2−フルオロベンジル)−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[5,4−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
7−(4−フルオロベンジル)−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[5,4−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
7−ブチル−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[5,4−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
7−イソペンチル−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[5,4−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
7−(2−メトキシ)エチル−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[5,4−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
7−ヘプチル−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[5,4−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
7−オクチル−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[5,4−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
8−ベンジル−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[5,4−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
8−(2−フルオロベンジル)−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[5,4−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
8−(4−フルオロベンジル)−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[5,4−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
8−ブチル−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[5,4−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
8−イソペンチル−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[5,4−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
8−ヘキシル−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[5,4−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
8−ヘプチル−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[5,4−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
8−オクチル−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[5,4−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
9−ベンジル−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[4,5−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
9−(2−フルオロベンジル)−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[4,5−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
9−(4−フルオロベンジル)−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[4,5−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン
【0191】
これらの化合物は、ここに記載されているトリアゾロ−トリアゾロ−ピリミジン及びピラゾロ−トリアゾロ−ピリミジンを調製するための中間体として使用することができる。
【実施例11】
【0192】
5−アミノ−7−[アラルキル]−2−(2−フリル)−ピラゾール[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジンの調製
N−メチル−ピロリドン(40ml)中の式VIIのアミン(10mmol)の懸濁液にシアンアミド(60mmol)を加え、さらにp−トルエンスルホン酸(15mmol)を加えた。その混合物を電磁攪拌しながら160EC(℃)まで熱した。4時間後、2回目のシアンアミド(60mmol)を加え、一晩中加熱した。その後、混合物を冷却し、熱水(200ml)で処理した。沈殿した固体を濾過し、水で洗浄し、エタノールで結晶化した。沈殿物がない場合は、溶液を酢酸エチル(4×100ml)で抽出し、抽出物を塩水(2×50ml)で洗浄し、減圧で乾燥し、留去した。その後、残留物はシリカゲルカラムでクロマトグラフされ、酢酸エチルで溶出した。
【0193】
以下に、この手順で調製されたいくつかの化合物の分析的、分光学的データを示す。
【0194】
5−アミノ−7−ブチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン。M.P.157−158EC(℃);H NMR(DMSO−d)8.1(s,1H);8.0(s,2H);7.9(m,1H);7.2(m,1H);6.7(m,1H);4.2(t,2H);1.9(m,2H);1.5(m,2H);0.9(t,3H)。5−アミノ−8−ブチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン m.p.183−185EC(℃);H NMR(DMSO−d):8.6(s,1H);8.0(s,1H);7.6(s,2H);7.2(m,1H);6.7(m,1H);4.2(t,2H);1.8(m,2H);1.2(m,2H);0.9(t,3H)。
【0195】
5−アミノ−7−ベンジル−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[5,4−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン。 M.p.295−297EC(℃);H NMR(DMSO−d):8.5(s,2H);8.0(s,1H);7.3(m,6H);6.7(m,1H);5.7(s,2H)。
【0196】
5−アミノ−7−o−フルオロ−ベンジル−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[5,4−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン M.p.310−312EC(℃);H NMR(DMSO−d):8.5(s,2H);8.0(s,1H);7.3(m,5H);6.8(s,1H);5.75(s,2H)。
【0197】
5−アミノ−7−メチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4トリアゾロ−[1,5−c]ピリミジン;m.p.210−213EC(℃)
【0198】
5−アミノ−7−tert−ブチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4トリアゾロ−[1,5−c]ピリミジン;m.p.238−240EC(℃)
【0199】
5−アミノ−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ−[1,5−c]ピリミジン;m.p.248−250EC(℃)
【0200】
5−アミノ−7−(2−ヒドロキシエチル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ−[1,5−c]ピリミジン;m.p.258−260EC(℃)
【0201】
5−アミノ−7−フェニル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ−[1,5−c]ピリミジン;m.p.295−297EC(℃)
【0202】
5−アミノ−7−イソペンチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ−[1,5−e]ピリミジン;m.p.208−210EC(℃)
【0203】
5−アミノ−8−イソペンチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ−[1,5−c]ピリミジン;m.p.200−203EC(℃)
【0204】
5−アミノ−7−フェネチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ−[1,5−c]ピリミジン;m.p.225EC(℃)
【0205】
5−アミノ−7−[2−(ベンジルオキシ)エチル]−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ−[1,5−c]ピリミジン
【0206】
5−アミノ−7−[2−(4−イソブチルフェニル)エチル]−(2−フリル)−ピラゾール[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン;m.p.207−210EC(℃)
【0207】
これらの化合物は、適当な酸又はスルホン酸誘導体と反応させて、本明細書に開示されている式Iの化合物とすることができる。
【実施例12】
【0208】
置換−4−カルボキシアミド−5−アミノ−1,2,3−トリアゾールの調製
p−フルオロベンジルアジド(15.1g、0.1モル)及びシアンアセトアミド(10.8g、0.13モル)を、この順番でジメチルスルホキシド(150ml)中の粉末炭酸カリウム(57.5g、0.42モル)の懸濁液中に加えた。その混合物を室温で1時間攪拌した。その後、混合物に3リットルの水を注入し、分離した固体を濾過し、水で十分に洗浄し、22.47g(96%)の1−p−フルオロベンジル−4−カルボキシアミド−5−アミノ−1,2,3−トリアゾールを得た。M.P.:198−199EC(℃);H NMR(DMSO−d):7.5−7.1(m,6H);6.4(s,2H);5.4(s,2H)。
【0209】
同様に、以下の化合物を得た。
【0210】
2−フルオロ−6−クロロベンジル−4−カルボキシアミド−5−アミノ−1,2,3−トリアゾール;m.p.230−231EC(℃);H NMR(DMSO−d):5.40(s,2H);6.52(bs,2H);7.12−7.45(m,5H)。
【0211】
3−フルオロベンジル−4−カルボキシアミド−5−アミノ−1,2,3−トリアゾール;m.p.211−211EC(℃);H NMR(DMSO−d):5.46(s,2H);6.47(bs,2H);7.00−7.52(m,6H)。
【0212】
2−フルオロベンジル−4−カルボキシアミド−5−アミノ−l,2,3−トリアゾール;M.P.195−197EC(℃)。
【0213】
1−(2−(フェニル)エチル)−4−カルボキシアミド−5−アミノ−l,2,3−トリアゾール;M.P.181−183EC(℃);H NMR(DMSO−d):3.04(t,2H);4.35(t,2H);6.30(bs,2H);7.20−7.47(m,7H)。
【実施例13】
【0214】
置換−4−シアノ−5−アミノ−1,2,3−トリアゾールの調製
DMF(100ml(100 10ml))中の1−p−フルオロベンジル−4−カルボキシアミド−5−アミノ−1,2,3−トリアゾール(23.4g、0.1モル)の懸濁液を、0EC(℃)でマグネティックスターラーで攪拌し、20.8ml(0.2モル)のPOClを加えた。その溶液を0EC(℃)で5時間、室温で10時間、最後に80EC(℃)で15時間攪拌した。冷却した後、1N HCl(100ml)を加え、得られた溶液を5時間還流させた。その後冷却し、以下の1,5p−フルオロベンジル−4−シアノ−5−アミノ−1,2,3−トリアゾール(18.54g、90%)沈殿物を得た。M.P.185−186EC(℃);H NMR(DMSO−d):7.3−7.0(m,6H);5.5(s,2H);IR(KBr):3400,3220,2220,1655cm−1
【0215】
同様に、以下の化合物を得た。
【0216】
2−フルオロ−6−クロロベンジル−4−シアノ−5−アミノ−1,2,3−トリアゾール;M.P.181−185EC(℃);H NMR(DMSO−d):5.40(s,2H);7.26−7.50(m,5H)。
【0217】
3−フルオロベンジル−4−シアノ−5−アミノ−l,2,3−トリアゾール;M.P.195−197EC(℃);H NMR(DMSO−d):5.44(s,2H);7.00−7.43(m,6H)。
【0218】
2−フルオロベンジル−4−シアノ−5−アミノ−1,2,3−トリアゾール;M.P.:195−197EC(℃)。
【0219】
1−(2−(フェニル)エチル)−4−シアノ−5−アミノ−1,2,3−トリアゾール;M.P.149−150EC(℃);H NMR(DMSO−d):3.04(t,2H),4.36(t,2H);7.03(bs,2H);7.23−7.28(m,5H)。
【実施例14】
【0220】
置換−4[3(2−フリル)−1,2,4−トリアゾール−5−イル]−5−アミノ−1,2,3−トリアゾールの調製
ジフェニルエーテル(30ml)中の1−p−フルオロベンジル−4−シアノ−5−アミノ−2,3−トリアゾール(20mmol)及び2−フロ酸ヒドラジド(22mmol)の懸濁液を、出発化合物がなくなるまで攪拌し、熱し、ディーンスターク装置で還流させた(260EC(℃))(TLC,1〜2時間)。冷却した後、混合物を石油エーテルで希釈し、得られた沈殿物をデカンテーションによって濾過又は分離させた。シリカゲルカラムでクロマトグラフし、酢酸エチル及び石油エーテル2:1で溶出し、以下を得た。
【0221】
1−(p−フルオロベンジル)−4−[3−(2−フリル)−l,2,4−トリアゾール−5−イル]−5−アミノ−1,2,3−トリアゾール;m.p.266−268EC(℃);H NMR(DMSO−d):14.5(s,1H);7.8(s,1H);7.4−7.1(m,5H);6.6(s,1H);6.5(s,2H);5.5(s,2H)。
【0222】
同様に、1−(2−(フェニル)エチル)−4[3(2−フリル)−1,2,4−トリアゾール−5−イル]−5−アミノ−1,2,3−トリアゾール(50%);m.p.200−202EC(℃);H NMR(DMSO−d):3.07(t,2H);4.16(t,2H);5.50(bs,2H);6.61(s,1H);6.95(s,1H);7.2−7.4(m,5H);7.78(s,1H);13.8(bs,1H)を得た。
【実施例15】
【0223】
5−アミノ−7−置換−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[5,4−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジンの調製
N−メチル−ピロリドン(4ml)中の1−(p−フルオロベンジル)−4−[3−(2−フリル)1,2,4−トリアゾル−5−イル]−5−アミノ−1,2,3−トリアゾール(0.325g、1モル)の懸濁液にシアンアミド(6mmol)を加え、p−トルエンスルホン酸(1.5mmol)を加えた。その混合物をマグネティックスターラーで攪拌しながら160EC(℃)に加熱した。4時間後、2回目のシアンアミド(6mmol)を加え、一晩中加熱した。その後、その混合物を熱水(20ml)で処理した。沈殿した固体を濾過し、水で洗浄し、エタノールで結晶化した。沈殿物がない場合は、溶液を酢酸エチル(4×10ml)で抽出し、抽出物を塩水(2×5ml)で洗浄し、真空状態で乾燥、蒸発乾固した。その後、残留物はシリカゲルカラムでクロマトグラフされ、酢酸エチルで溶出し、以下の105mg(収率30%)の5−アミノ−7−p−フルオロ−ベンジル−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[5,4−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジンを得た。M.P.:266−268EC(℃);H NMR(DMSO−d):8.5(bs,2H);7.95(s,1H);7.4−7.1(m,6H);6.7(s,1H);5.7(s,2H)。
【0224】
同様に、以下の化合物を得た。
【0225】
5−アミノ−7−(o−フルオロベンジル)−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[5,4−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン;M.P.310EC(℃)。
【0226】
5−アミノ−7−ベンジル−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[5,4−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン;M.P.295−297EC(℃)。
【0227】
5−アミノ−7−(2−フルオロ−6−クロロベンジル)−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ−[5,4−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン;M.P.218−220EC(℃);H NMR(DMS0−d):8.51(bs,2H);7.98(s,1H);7.55−7.28(m,4H);6.77(m,1H);5.73(s,2H)。
【0228】
5−アミノ−7−(m−フルオロベンジル)−2−(2−フリル)−1,2,3−トリアゾロ[5,4−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン;m.p.280−283EC(℃);H NMR(DMSO−d):8.45(bs,2H);7.98(s,1H);7.4−7.1(m,5H);6.76(s,IH);5.75(s,2H)。
【0229】
5−アミノ−7−(2−フェニルエチル)−2−(2−フリル)−1.2,3−トリアゾロ[5,4−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン;M.P.269−271EC(℃);H NMR(DMSO−d):8.4(bs,2H);7.98(s,1H);7.3−7.15(m,6H);6.8(s,1H);4.71(t,2H);3.31(t,2H)。
【実施例16】
【0230】
その他の化合物
上記記載の化学反応を利用して、以下の化合物を調製した。
【0231】
【化24】



【0232】
【実施例17】
【0233】
イソシアン酸フェニルの調製
スルホニルイソシアン酸フェニルは下記スキームXに示される合成ストラテジーに従って調製される。
【0234】
【化25】

【0235】
スキームX:イソシアン酸フェニル調製の基本手順
【0236】
市販されている適当なアミンの懸濁液を、酢酸エチルを溶媒としてジホスゲンで処理した。その後、得られたイソシアン酸は本発明の化合物を合成する際の中間体として使うことができる。
【0237】
スキームXに従って、以下のイソシアン酸フェニルを調製することができるが、それらのほとんどが市販されている。
【0238】
4−(ジエチルアミノ)イソシアン酸フェニル(化合物101−102の調製の際、中間体として使用される)。
【0239】
4−(ジメチルアミノ)イソシアン酸フェニル(化合物103の調製の際、中間体として使用される)。
【0240】
4−(N−モルホリノ)イソシアン酸フェニル(化合物104の調製の際、中間体として使用される)。
【0241】
(実施例17)
スルホニルイソシアン酸フェニルの調製
イソシアン酸フェニルは下記スキームXIに示される合成ストラテジーに従って調製される。
【0242】
【化26】

【0243】
スキームXI:スルホニルイソシアン酸フェニル調製の基本手順
【0244】
アセトアニリド(20g,145mmol)を、0〜5℃でクロロスルホン酸(48mL,725mmol)に徐々に加えた。加えた後、反応混合物を60℃で2時間熱した。室温まで冷却し、その反応混合物を撹拌しながらゆっくりと氷300gに注いだ。沈殿した塩化スルホニルを濾過して集め、水で洗浄し、その後35℃/−10℃でアセトンで再
【0245】
無水CHCl中の4−アセチルアミノベンゼン塩化スルホニル(4.5mmol)の懸濁液を、室温で1−メチルピペラジン(4.5mmol)及びトリエチルアミン(4.5mmol)で処理した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、水を加え、生成物をさらにCHClで抽出した。有機抽出液を併せて、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で留去させ、目的のN−[4−(4−メチルピペラジン−1−スルホニル)フェニル]アセトアミドを得た。Mp:184℃;収率41%;H NMR(DMSO−d): δ2.09(S,3H),2.15(s,3H),2.40(m,4H),2.85(m,4H),7.63−7.68(d,2H,J=10Hz),7.80−7.84(d,2H,J=8Hz),10.41(s,1H)。
【0246】
N−[4−(4−メチルピペラジン−1−スルホニル)フェニル]アセトアミド(2g、6.7mmol)を3N HCl(50mL)及び1,4−ジオキサン(12mL)に溶解した。反応混合物を1時間還流させ、減圧で蒸発させ、得られた混合物を30%NHOHで塩基性にした。目的の生成物をCHClで抽出し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で留去させ、白色の固体の4−(4−メチルピペラジン−1−スルホニル)アニリンを得た。MP:210℃;収率53%;H NMR(DMSO−d):δ2.22(s,3H),2.50(m,4H),2.82(m,4H),6.10(bs,2H),6.62−6.67(d,2H,J=10Hz),7.32−7.36(d,2H,J=8Hz)。
【0247】
無水ベンゼン中に溶解した4−(4−メチルピペラジン−1−スルホニル)アニリン(0.5g,1.96mmol)を、無水ベンゼン中のクロル蟻酸トリクロロメチル(0.3mL、2.35mmol)の溶液に−10℃で滴下した。混合物を10分間室温まで暖め、その後2時間90℃まで熱した。混合物を減圧下で濃縮し、固体の4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル]イソシアン酸フェニルを得た。これを、化合物105を調製する際、中間体として使用した。IR:1166,1339,2265cm−1
【0248】
スキームXIに従って、以下のスルホニルイソシアン酸フェニルを調製することができる。
【0249】
1−[(4−イソシアナトフェニル)スルホニル]−3−メチルピペラジン
【0250】
N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−4−イソシアナトベンゼンスルホンアミド
【0251】
N−[3−(ジエチルアミノ)プロピル]−4−イソシアナトベンゼンスルホンアミド
【実施例18】
【0252】
5−[[(置換されたフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−(ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン尿素の調製(化合物101,104,105,103中間体)
5−[(置換されたフェニル)カルボニル]アミノ−8−(Ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジンは、下記スキームXIIに記載の合成ストラテジーに従って調製される。
【0253】
【化27】

【0254】
スキームXII:5−[[(置換されたフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−(ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン尿素類の調製の基本手順(化合物101,104,105、化合物103の中間体)
【0255】
化合物101,104,105、及び化合物103の中間体を調製するために、それぞれのアミノ化合物(化合物34−41)(10mmol)を新たに蒸留したTEA及びジオキサンに溶解し、その後それぞれのイソシアン酸(13mmol)を加えた。混合物はアルゴン雰囲気下、最低3時間環流させた。その後、溶媒を減圧下で除去し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc−軽油 4−6)で精製し、目的の化合物101,104,105、及び化合物103の中間体を得た。化合物101及び化合物103の中間体を調製する場合、N−メチルピロリドンもイソシアン酸に加えた。この基本手順に従って、以下の化合物を調製した。
【0256】
N−[4−(ジエチルアミノ)フェニル]−N’−[2−(2−フリル)−8−メチル−8H−ピラゾロ[4,3−e][1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン−5−イル]尿素(化合物101)
【0257】
N−(2−(2−フリル)−8−メチル−8H−ピラゾロ[4,3−e][1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン−5−イル)−N’−[4−(モルホリン−4−イルスルホニル)フェニル]尿素(化合物104)
【0258】
N−[2−(2−フリル)−8−メチル−8H−ピラゾロ[4,3−e][1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン−5−イル]−N’−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル]−フェニル}尿素(化合物105)
【0259】
N−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−N’−[2−(2−フリル)−8−メチル−8H−ピラゾロ[4,3−e][1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン−5−イル]尿素(化合物103の中間体)
【実施例19】
【0260】
5−[[(置換されたフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−(ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン尿素の医薬的塩の調製(化合物102,103)
本発明の医薬的塩は、下記スキームXIIIに記載の方法等、公知の方法によって調製することができる。
【0261】
【化28】

【0262】
スキームXIII:5−[[(置換されたフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−(ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン尿素の塩酸塩の調製の基本手順(化合物101,104,105及び化合物103の中間体)
【0263】
本発明のピリミジン尿素化合物100mg(例えば化合物101及び化合物103の中間体)を、HClガスを飽和させたメタノール10mlに接触させることによって、塩酸塩を調製した。温度を0℃に保ち、約1時間撹拌した。その後、溶媒を減圧で蒸発させ、固体の化合物を得た。その固体をエタノールで再度懸濁し、さらに減圧で溶媒を蒸発させ、精製した。この基本手順に従って、以下の化合物を調製した。
【0264】
N−[8−メチル−2−(2−フリル)−8H−ピラゾロ[4,3−e][1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン−5−イル]−N’−[4−(ジエチルアミノ)フェニル]尿素塩酸塩(化合物102)
【0265】
N−[8−メチル−2−(2−フリル)−8H−ピラゾロ[4,3−e][1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン−5−イル]−N’−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]尿素塩酸塩(化合物103)
【実施例20】
【0266】
5−[(ピリジニル)アミノ−8−(ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン尿素の調製(化合物106)
5−[(ピリジニル)アミノ−8−(ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン尿素は下記スキームXIVに記載の合成ストラテジーに従って調製される。
【0267】
【化29】

【0268】
スキームXIV:5−[(ピリジニル)アミノ−8−(ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン尿素調製の基本手順(化合物106)
【0269】
化合物106等を調製するために、アシルアジドのクルチウス転位を生起させた後、それぞれのアミノ化合物(例えば化合物34−41)を加えた。HCl水溶液30ml中の13.8 (g)の亜硝酸ナトリウム溶液に、温度を0℃から5℃の間に保ちながら、13.7gのヒドラジドをゆっくり加えた。混合物を0℃で、
さらに0.5時間撹拌した。反応をEtOH(エーテル)で抽出し、有機層をpH8.0のNaCO溶液で洗浄し、その後、水で洗浄した。その後、溶液をNaSOで乾燥させ、r.t.(室温)で濃縮した。白色の固体を石油エーテルを用いて濾過し、ピリジンアシルアジドを得た(M.P.45℃)。
【0270】
次に、1.5gのピリジンアシルアジド及びトルエン30mlを80℃で2時間撹拌し、クルチウス転位を起こした。その後、0.5gの三環系アミン(化合物34)を加え、混合物を100℃で5時間撹拌した(TLCで95℃〜105℃に調節)。(CHCl−CHOH)。溶媒を蒸発させ、生成物を沸騰している熱いCHOH(約60℃に加熱)に溶解した。それをシリカゲルに吸着させ、クロマトグラフィーで精製し、0.9gの白色の固体を得た(M.P.195−197℃)。この基本手順に従って、以下の化合物を調製した。
【0271】
N−[2−(2−フリル)−8−メチル−8H−ピラゾロ[4,3−e][1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン−5−イル]−N’−ピリジン−4−イル尿素(化合物106)M.P.195−197℃。
【0272】
尿素化合物106を用いて、対応する医薬的塩を以下のように得た。50mgの化合物106を、5mlのジオキサン及びHClガスを飽和させた5mlのメタノールに加え、0℃に保ち、約1時間撹拌した。その後、溶媒を減圧で蒸発させ、固体の化合物を得た。その後、その固体を濾過により分離させ、EtOHで洗浄した。この手順に従って、以下の化合物を調製した。
【0273】
N−[2−(2−フリル)−8−メチル−8H−ピラゾロ[4,3−e][1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン−5−イル]−N’−ピリジン−4−イル尿素塩酸塩(化合物107)M.P.>300℃;水溶性。
【実施例21】
【0274】
化合物の生物活性の評価
上記に記載されているいくつかの化合物について、下記アッセイを使用して、ラットA及びA2A、及び、ヒトA受容体に対する親和性をテストした。
【0275】
ラットA及びA2Aアデノシン受容体結合アッセイ
雄のウィスターラット(200〜250g)の首を切断し、脳全体と線条を氷の上で解剖した。この器官を、10mMのMgClを含むpH7.4の25容量の50mM トリスHCl中、30秒間、5のセッティングで、ポリトロンホモジナイザー中で分解した。ホモジネートを、10分間48,000で遠心分離し、ペレットを、2IU/mLアデノシンジアミナーゼを含む同じバッファーに再懸濁した。37EC(℃)で30分間インキュベートした後、細胞膜を遠心分離し、ペレットを80EC(℃)で保存した。冷凍する前に、対照用の標準として、子ウシのアルブミンとのプロテインアッセイのために、ホモジネートの一部を分取した。結合アッセイは、25EC(℃)の10mMのMgClの存在下、ラット脳と線条膜のそれぞれで行われた。全てのバッファー溶液は常にpHが7.4に調節された。
【0276】
置換の実験(Displacement Experiments)は、1nMの選択アデノシンA受容体配位子[H]CHA(N−シクロヘキシルアデノシン)及びラット脳の細胞膜を含む、500Φ(μ)LのトリスHClバッファー中で行われた(150−200Φ(μ)gのプロテイン/アッセイ)。
【0277】
置換の実験(Displacement Experiments)は、10mMのMgCl、0.2nMの選択アデノシンA2A受容体配位子[H]SCH58261(5−アミノ−7−(2−(フェニル)エチル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン)及びラットの線条膜を含む、500Φ(μ)LのトリスHClバッファー中で行われた(80−100Φ(μ)gのプロテイン/アッセイ)。IC50値(IC50は標識配位子の50%を置換した阻害濃度)を決定するために、3倍の試験化合物を、最低6種類の異なる濃度で結合アッセイサンプルに加えた。遊離の放射性配位子からの結合の分離は、氷冷のバッファーで3回洗浄したワットマン(Whatman)GF/Bフィルターで急速濾過することによって行われた。フィルターに結合している放射能を、5mLのアクアシュアー(Aquassure)を加えた後、シンチレーションカウンターによって計測した。10Φ(μ)M R−PIA(N−(フェニルイソプロピル)アデノシン)及び10Φ(μ)M NECA(5’−(N−エチルカルボキシアミド)アデノシン)のそれぞれの存在下での結合では、特異的結合は明確にされず、常に全結合の10%であった。インキュベーションの時間は、先に行ったタイムコースの実験の結果に基づき、0EC(℃)で150分間から30EC(℃)で75分間であった。Ki値はチェング−プルソフ(Cheng−Prusoff)式で計算した。全ての結合データは、非線形回帰カーブフィッティングコンピュータープログラムLIGANDを使用して分析した。
【0278】
ヒトクローンAアデノシン受容体結合アッセイ
ヒト組み換え型Aアデノシン受容体でトランスフェクトされたHEK−293細胞から分取した細胞膜(8muのプロテイン/mL)を結合アッセイに使用した。図1は、[125I]AB−MECA(N−(4−アミノ−3−ヨードベンジル)−5’−(N−メチルカルバモイル)アデノシン)のHEK−293細胞に対する特有の飽和状態を示す。阻害実験は、0.3nMの[125I]AB−MECA、50nMのトリスHClバッファー、10mMのMgCl、pH7.4、20Φ(μ)Lの希釈細胞膜(12.4mgのプロテイン/mL)、及び、少なくとも6〜8種類の異なる濃度の代表的なアデノシン受容体アンタゴニストを含む試験管の中で、最終容量の100Φ(μ)L中で2回行われた。50Φ(μ)M R−PIAの存在下では特異的結合は明確にされず、全結合の約30%であった。インキュベーションの時間は、先に行ったタイムコースの実験の結果に基づき、37EC(℃)で60分間であった。結合及び遊離放射能は、ブランデル(Brandel)セルハーベスターを使用して、ワットマン(Whatman)GF/Bグラスファイバーフィルターでアッセイ混合物を濾過することによって分離された。
【0279】
結果と考察
ラット脳A及びA2A、及び、ヒトA受容体に対する親和性のための放射性配位子の結合アッセイによって、化合物34−59をテストした。その結果を表1にまとめた。同様に、ヒトA、A2A、A2B、及び、A受容体に対する親和性のための放射性配位子の結合アッセイによって、その他の化合物をテストした。その結果を表2にまとめた。
【0280】
データは、N位置の容積が小さい化合物(化合物38、40及び41)のグループが、A2A受容体に対する高い親和性とAに対する低い選択性、及び、ヒトアデノシンA受容体サブタイプに対する低い親和性を示すことを証明している。また、N位置に置換されたフェニルカルバモイル鎖をもつ化合物が、ヒトA受容体サブタイプに対するナノモル範囲の親和性をもち、A及びA2A受容体サブタイプに対する種々の程度の選択性をもつことを証明している。特に、4−メトキシフェニルカルバモイル部分(化合物51、55及び57)が、3−クロロフェニルカルバモイル部分(化合物50、54及び56)よりも3倍程度高い親和性を有する。
【0281】
種々の立体的性質をもつ鎖をN位置に導入することにより、ヒトAアデノシン受容体に対する高い有効性とA及びA2A受容体サブタイプに対するより高度な選択性をもつ誘導体にデザインすることができる。
【0282】
図1は、アデノシンA受容体に対する[125I]AB−MECAの飽和曲線を示す。はめ込みのスキャッチャード(Scatchard)プロットの直線性は、本発明者の実験条件における、KD値0.9±0.01nM及びBmax値62±1fmol/mgプロテイン(n=3)との結合部位の単一クラスの存在を示す。
【0283】
図2は、cAMP産生の阻害を誘導するC1−IB−MECAに対する、化合物66、67、106、及び107の有効性を示す。アデノシンA受容体拮抗作用の有効性は、化合物66、106及び107は同程度であるが、化合物67より約2倍弱程度低い。
【0284】
表1 化合物34−59のラットA及びA2A、及び、ヒトAアデノシン受容体に対する結合親和性


値は「Kim et al., J. Med. Chem., 39:4142-4148(1996)」による。
【0285】
表2 化合物101−109のヒトA、A2A、A2B、及び、Aアデノシン受容体に対する結合親和性

【0286】
データは、本明細書に記載されている5−[[(置換されたフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−(ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン化合物の8位置における小さな鎖状(C1−3)置換基、特にメチル、エチル、及びプロピル基が、ペンチル及びヘキシル基などの大きな鎖状よりも好ましいことを証明している。特に、化合物45及び47、8−メチル、8−エチル及び8−プロピル、5−(4−メトキシフェニル)置換化合物は高い親和性と選択性を示している。
【0287】
メチル、エチル、及びプロピル鎖はフェニルまたは置換フェニル基と置換することができ、置換してもなお、A受容体サブタイプに対する高い親和性と選択性を示す。しかし、親和性は10〜100減少する。しかし、N位置にフェニルエチル鎖、Nの位置に4−MeO−フェニルカルバモイル鎖をもつ化合物(化合物55)は親和性と選択性という点では比較的高い値を示した(KhA=1.47nM,rA/hA=872,rA2A/hA=951)。
【0288】
比較的大きなペンチル基をもつ化合物50及び51においても、化合物はA受容体サブタイプに対する比較的高い親和性を示した(それぞれ81.10及び29.57nM)。しかしその選択性は約10〜100減少した。
【0289】
従来の研究では、5−アミノ−8−(ar)アルキル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン化合物のアデノシンA受容体サブタイプに対する親和性は、8位置における基の大きさによって増加する傾向にあることを証明してきた。しかし、ここに記載されている化合物のA受容体サブタイプに対する親和性については、反対の傾向が事実であるように思われる。C1−3置換基は、A受容体サブタイプに対する相互作用において理想的な立体的かつ親油性の性質を表しているようである。
【実施例22】
【0290】
放射性標識化合物との結合実験
一連の結合実験は、0.5nM[125I]−ABMECAを使用して、細胞株の細胞膜上の50:M R−PIA又は200:M NECAの存在下で決定された非特異的結合の種々の腫瘍細胞株において行われた。特異的結合は全結合から非特異的結合をひいて決定された。細胞株はHL60、NB4、SKN−MC、SKN−Be2C、SKN−SH、JURKAT細胞株である。結合実験の結果を下記の表3に示す。
【0291】
表3

【0292】
結果を図3にグラフで示す。Jurkat細胞株はテストした細胞株の中で一番良い結果を示している。飽和実験は、Jurkat細胞株を使用して37EC(℃)で1時間インキュベートし、[125I]−ABMECA(0.125−1.5nM)を使用してRPIA(50:M)で測定した非特異的結合で行われた。Kd(nM)は4で、Bmax(fmol/mgプロテイン)は290だった。
【0293】
A1受容体の存在の有無を決定するために、別のアッセイを行った。置換アッセイは、0EC(℃)で150分間Jurkat細胞で、特異的Aアンタゴニスト(0.5nM)である[H]DPCPXを使用してR−PIA(50:M)で決定された非特異的結合で行われた。全結合は13208、非特異的結合は2997、特異的結合は10211(77%)であった。その結果、非常に多くのA結合が観察された。
【0294】
以下の実験によって、ここに記載された新規の選択アンタゴニスト(化合物108の放射性配位子)を使用することにより、いくつかのヒト腫瘍細胞株、例えばHL60、proミエロサイトヒト白血病及びJurkat、ヒトT−細胞白血病などにおけるA受容体の性質が初めて示された。これらの研究において、Jurkat及びHL60細胞の細胞膜(0.5mgプロテイン/ml)は、Jurkat及びHL60細胞においてそれぞれ0.2から15nM及び0.1から10nMの10〜12種類の異なる濃度の化合物108でインキュベートした。図3は、Jurkat細胞膜においてアデノシンA受容体に結合する化合物108の飽和曲線を示し、はり込みのスキャッチャード(Scatchard)プロットの直線はKd値1.9±0.2nM及びBmax値1.30±0.03pmol/mgプロテイン(n=3)での結合部位の単一のクラスの存在を示す。図5は、HL60細胞膜においてアデノシンA受容体に結合する化合物108の飽和曲線を示し、はり込みのスキャッチャード(Scatchard)プロットの直線はKd値1.2±0.1nM及びBmax値626±42fmol/mgプロテイン(n=3)での結合部位の単一のクラスの存在を示す。
【0295】
これらの結果は、多くの細胞株が比較的多数のアデノシン受容体を有することを示している。化合物108はA受容体に高い親和性と選択性で結合することが知られているため、腫瘍細胞にはA受容体が比較的多数存在すると考えられる。
【実施例23】
【0296】
製剤処方
(A)1000パッチに対する経皮吸収剤

【0297】
(B)1000錠に対する経口投与錠剤

【0298】
活性化合物とスターチを水で造粒し、乾燥させる。ステアリン酸マグネシウムを乾燥した顆粒に加え、その混合物を十分に混ぜる。混ぜ合わせた混合物を打錠して錠剤にする。
【0299】
(C)1000本の1mLアンプルの注射剤

【0300】
活性化合物と緩衝化剤を約50℃のプロピレングリコールに溶解する。その後、撹拌しながら注射用の水を加え、得られた溶液を濾過し、アンプルに注入し、シールし、オートクレーブで殺菌する。
【0301】
(D)1000mLに対する点滴液

【0302】
本発明は、具体的な実施態様について記載されているが、物質や条件において種々の代用ができることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、本発明の化合物から調製される薬剤は他の賦形剤や色識別法を取り入れたり、目的の効果や患者への投与法に応じて、修正することができる。その他の応用は、当業者には自明であり、本明細書に含まれるものである。本発明の範囲は以下の請求項によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0303】
【図1】[125I]AB−MECAのモル濃度に対する、HEK293細胞に発現するヒトのA受容体と[125I]AB−MECAとの結合の(fmol/mg プロテイン)の飽和を示すグラフである。
【図2】化合物66、67、106及び107による、C1−IB−MECAの、cAMP生産の阻害の誘発をブロックする能力を示すグラフである。
【図3】[125I]AB−MECAのモル濃度に対する、JURKAT細胞株(セルライン)に発現するヒトのA受容体と[125I]AB−MECAとの結合(fmol/mg プロテイン)の飽和を示すグラフである。図に示されているように、[125I]AB−MECAを用いて検出されたA受容体の濃度はJurkat細胞膜において、およそfmol/mg プロテインであった。
【図4】化合物108の種々のモル濃度における、化合物47のトリチウム化された類似体である5−[[(4−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−プロピル−2(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物108)の、JURKAT細胞株(セルライン)に発現するA受容体への結合(fmol/mg プロテイン)の飽和を示すグラフである。これらの図中のデータは、ヒトの癌細胞においてアデノシンA受容体が高い濃度で存在していることを示している。例えば、およそ1300fmol/mgのプロテインが、Jurkat細胞で検出され、650fmol/mgのプロテインがHL60細胞で検出された。したがって、化合物108は、[125I]AB−MECAよりもアデノシンA受容体を検出するためのはるかに感度の良いツールである。これらの研究結果により、ヒトの様々な癌細胞の中にあるA受容体を検出することが容易になされることになる。
【図5】化合物108の種々のモル濃度における、化合物47のトリチウム化された類似体である5−[[(4−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−プロピル−2(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン(化合物108)の、JURKAT細胞株(セルライン)に発現するA受容体への結合(fmol/mg プロテイン)の飽和を示すグラフである。これらの図中のデータは、ヒトの癌細胞においてアデノシンA受容体が高い濃度で存在していることを示している。例えば、およそ1300fmol/mgのプロテインが、Jurkat細胞で検出され、650fmol/mgのプロテインがHL60細胞で検出された。したがって、化合物108は、[125I]AB−MECAよりもアデノシンA受容体を検出するためのはるかに感度の良いツールである。これらの研究結果により、ヒトの様々な癌細胞の中にあるA受容体を検出することが容易になされることになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式、
【化1】

(式中、
Aは、イミダゾール、ピラゾール、又はトリアゾールであり;
Rは、−C(X)R、−C(X)−N(R、−C(X)OR、−C(X)SR、−SO−R、−SO−SR、又はSO−N(R であり;
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、複素環基、低級アルケニル、低級アルカノイル、又は、窒素原子に結合している場合には、窒素原子と一緒になってアセチジン環若しくは、一個又はそれ以上のヘテロ原子を持つ5員〜6員の複素環を形成してもよく;
は水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、アラルキル、置換されたアラルキル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、又はアリールであり;
は、フラン、ピロール、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、ベンゾチオフェンであり、これらの基はヒドロキシ、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、置換されたアルキル、置換されたアルコキシ、置換されたアルケニル、置換されたアルキニル、アミノ、置換されたアミノ、アミノアシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アルキリアリール、アリール、置換されたアリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式基、ヘテロシクロキシ、アミノアシルオキシ、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、−SO−アルキル、−SO−置換されたアルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換されたアルキル、−SO−アリール、−SO −ヘテロアリール及びトリハロメチルからなる群から選択された一個又はそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Xは、O、S、又はNRであり;
nは、1又は2である。)
で表される化合物、及び、その薬学的に許容される塩。
【請求項2】
Rが、−C(X)R、−C(X)−N(R、−SO−R 又はSO−N(Rであり、XがO又はSである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、水素、アルキル、アルケニル、及びアリールからなる群から選ばれた請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、水素、アルキル、アルケニル、及びアリールからなる群から選ばれた請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、フランである請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Xが、Oである請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Aが、トリアゾロ環である請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
Aが、ピラゾロ環である請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
一個以上のヘテロ原子を有する5員〜6員の複素環における、ヘテロ原子が、N、O、又はSである請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
哺乳動物における、アデノシンA受容体を調節する医薬を調製するための請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項11】
アデノシンA受容体の調節が、高血圧、炎症、肥満細胞脱顆粒、及び心臓低酸素症の軽減、並びに脳虚血の保護である請求項10に記載の使用。
【請求項12】
Rが、−C(X)R、−C(X)−N(R、−SO−R1、又はSO−N(Rであり、XがO又はSである請求項11に記載の使用。
【請求項13】
が、水素、アルキル、アルケニル、及びアリールからなる群から選ばれた請求項11に記載の使用。
【請求項14】
が、水素、アルキル、アルケニル、及びアリールからなる群から選ばれた請求項11に記載の使用。
【請求項15】
Xが、Oである請求項11に記載の使用。
【請求項16】
Aが、ピラゾロ環である請求項11に記載の使用。
【請求項17】
Aが、トリアゾロ環である請求項11に記載の使用。
【請求項18】
アデノシンA受容体の調節が、心臓低酸素症の軽減、又は脳虚血の保護である請求項11に記載の使用。
【請求項19】
アレルギー性鼻炎、アレルギー性花粉症、ツタウルシによる反応、じんましん、強皮症、関節炎、炎症性腸疾患、及びぜんそくからなる群から選択されたアレルギー性疾患の治療に用いる医薬を調製するための請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項20】
Rが、−C(X)R、−C(X)−N(R、−SO−R、又はSO−N(Rであり、XがO又はSである請求項19に記載の使用。
【請求項21】
が、水素、アルキル、アルケニル、及びアリールからなる群から選ばれた請求項19に記載の使用。
【請求項22】
が、水素、アルキル、アルケニル、及びアリールからなる群から選ばれた請求項19に記載の使用。
【請求項23】
Xが、Oである請求項19に記載の使用。
【請求項24】
Aが、ピラゾロ環である請求項19に記載の使用。
【請求項25】
Aが、トリアゾロ環である請求項19に記載の使用。
【請求項26】
アデノシンA受容体の調節が、白血病、及びリンパ種からなる群から選択された、アデノシンA受容体を高濃度で含有する癌の治療である請求項10に記載の使用。
【請求項27】
Rが、−C(X)R、−C(X)−N(R、−SO−R1、又はSO−N(Rであり、XがO又はSである請求項26に記載の使用。
【請求項28】
が、水素、アルキル、アルケニル、及びアリールからなる群から選ばれた請求項26に記載の使用。
【請求項29】
が、水素、アルキル、アルケニル、及びアリールからなる群から選ばれた請求項26に記載の使用。
【請求項30】
Xが、Oである請求項26に記載の使用。
【請求項31】
Aが、ピラゾロ環である請求項26に記載の使用。
【請求項32】
Aが、トリアゾロ環である請求項26に記載の使用。
【請求項33】
下記の一般式、
【化2】

(式中、Aはイミダゾール、ピラゾール、又はトリアゾールであり;
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、アラルキル、置換されたアラルキル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、又はアリールであり;
は、フランであり;及び
は、水素、アルキル、アミノ、置換されたアルキル、アルキルで置換されたアミノ、アルキルでジ−置換されたアミノ、アルケニル、アラルキル、置換されたアラルキル、ヘテロアリール、置換されたへテルアリール、複素環式基、アリール、置換されたアリール、スルホニル、又は置換されたスルホニルである。)
で表される化合物、及びその薬学的に許容される塩。
【請求項34】
が、水素、アルキル、アルケニル、及びアリールからなる群から選ばれた請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
Aが、トリアゾロ環である請求項33に記載の化合物。
【請求項36】
Aが、ピラゾロ環である請求項33に記載の化合物。
【請求項37】
哺乳動物における、アデノシンA受容体を調節する医薬を調製するための請求項33に記載の化合物の使用。
【請求項38】
アデノシンA受容体の調節が、高血圧、炎症、肥満細胞脱顆粒、及び心臓低酸素症の軽減、並びに脳虚血の保護である請求項37に記載の使用。
【請求項39】
が、水素、アルキル、アルケニル、及びアリールからなる群から選ばれた請求項38に記載の使用。
【請求項40】
Aが、ピラゾロ環である請求項38に記載の使用。
【請求項41】
Aが、トリアゾロ環である請求項38に記載の使用。
【請求項42】
アデノシンA受容体の調節が、心臓低酸素症の軽減、又は脳虚血の保護である請求項38に記載の使用。
【請求項43】
アデノシンA受容体の調節が、白血病、及びリンパ種からなる群から選択された、アデノシンA受容体を高濃度で含有する癌の治療である請求項37に記載の使用。
【請求項44】
が、水素、アルキル、アルケニル、及びアリールからなる群から選ばれた請求項43に記載の使用。
【請求項45】
Aが、ピラゾロ環である請求項43に記載の使用。
【請求項46】
Aが、トリアゾロ環である請求項43に記載の使用。
【請求項47】
5−[[(3−クロロフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−メチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、
5−[[(4−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−メチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、
5−[[(3−クロロフェニル)アミノ]カルボニル)アミノ−8−エチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、
5−[[(4−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−エチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、
5−[[(3−クロロフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−プロピル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、
5−[[(4−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−プロピル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、
5−[[(3−クロロフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−ブチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、
5−[[(4−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−ブチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、
5−[[(3−クロロフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−イソペンチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、
5−[[(4−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−イソペンチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、
5−[[(3−クロロフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−(2−イソペンテニル)−2−(2−フリル)ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、
5−[[(4−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−(2−イソペンテニル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、
5−[[(3−クロロフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−(2−(フェニル)エチル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、
5−[[(4−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−(2−(フェニル)エチル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、
5−[[(3−クロロフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−(3−(フェニル)プロピル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、
5−[[(4−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−(3−(フェニル)プロピル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、
5−[(ベンジル)カルボニル]アミノ−8−イソペンチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、
5−[(ベンジル)カルボニル]アミノ−8−(3−(フェニル)プロピル)−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、
N−[4−(ジエチルアミノ)フェニル]−N´−[2−(2−フリル)−8−メチル−8H−ピラゾロ[4,3−e][1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン−5−イル]尿素、
N−[8−メチル−2−(2−フリル)−8H−ピラゾロ[4,3−e][1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン−5−イル]−N´−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]尿素塩酸塩、
N−[8−メチル−2−(2−フリル)−8H−ピラゾロ[4,3−e][1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン−5−イル]−N´−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]尿素塩酸塩、
N−(2−(2−フリル)−8−メチル−8H−ピラゾロ[4,3−e][1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン−5−イル)−N´−[4−(モルホリン−4−イルスルホニル)フェニル]尿素、
N−[2−(2−フリル)−8−メチル−8H−ピラゾロ[4,3−e][1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン−5−イル]−N´−{4−[4−メチルピペラジン−1−イル)スルホニル]−フェニル}尿素、
N−[2−(2−フリル)−8−メチル−8H−ピラゾロ[4,3−e][1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン−5−イル]−N´−ピリジン−4−イル尿素、
N−[2−(2−フリル)−8−メチル−8H−ピラゾロ[4,3−e][1,2,4]トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン−5−イル]−N´−ピリジン−4−イル尿素塩酸塩、
5−[[(4−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−プロピル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、及び、
5−[[(4−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル]アミノ−8−エチル−2−(2−フリル)−ピラゾロ[4,3−e]−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン、
からなる化合物の群から選ばれた化合物。
【請求項48】
哺乳動物における、アデノシンA受容体を調節する医薬を調製するための請求項47に記載の化合物の使用。
【請求項49】
アデノシンA受容体の調節が、高血圧、炎症、肥満細胞脱顆粒、及び心臓低酸素症の軽減、並びに脳虚血の保護である請求項48に記載の使用。
【請求項50】
アデノシンA受容体の調節が、心臓低酸素症の軽減、又は脳虚血の保護である請求項49に記載の使用。
【請求項51】
アデノシンA受容体の調節が、アレルギー性鼻炎、アレルギー性花粉症、ツタウルシによる反応、じんましん、強皮症、関節炎、炎症性腸疾患、及びぜんそくからなる群から選択されたアレルギー性疾患となるアレルギー応答の軽減である請求項48に記載の使用。
【請求項52】
アデノシンA受容体の調節が、白血病、及びリンパ種からなる群から選択された、アデノシンA受容体を高濃度で含有する癌の治療である請求項48に記載の使用。
【請求項53】
下記の一般式、
【化3】

(式中、
Aは、イミダゾール、ピラゾール、又は、トリアゾールであり;
Rは、−C(X)R、−C(X)−N(R、−C(X)OR、−C(X)SR、−SO、−SOSR、又は、SO−N(Rであり;
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、複素環、低級アルケニル、低級アルカノイルであり、又は、窒素原子と結合している場合には、窒素原子と一緒になってアゼチジン環若しくは、一個又はそれ以上のヘテロ原子をもつ5〜6員の複素環を形成してもよく;
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、アラルキル、置換されたアラルキル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、アリール、又は置換されたアリールであり;
は、フラン、ピロール、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、ベンゾチオフェンであり、これらの基はヒドロキシ、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、置換されたアルキル、置換されたアルコキシ、置換されたアルケニル、置換されたアルキニル、アミノ、置換されたアミノ、アミノアシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アルカリール、アリール、置換されたアリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式基、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、−SO−アルキル、−SO−置換されたアルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換されたアルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、及びトリハロメチルからなる群から選択された一個又はそれ以上の置換基で置換されてもよく;
XはO、S、又は、NRであり;
nは、1又は2であり;
その薬学的に許容される塩であり;
式中の水素原子の中の1つ以上が放射性同位体である)
で表される放射性標識化合物。
【請求項54】
患者の中の高濃度のアデノシンA受容体をもつ腫瘍細胞の有無を決定するための、
a)化合物を腫瘍細胞へ結合させた後に検出可能な放射性標識を有する、請求項53に記載の化合物の患者への投与、
b)化合物の腫瘍細胞への結合、及び、
c)放射性標識の検出。
からなる請求項53に記載の化合物の使用。
【請求項55】
細胞サンプル中の高濃度のアデノシンA受容体をもつ腫瘍細胞の有無を決定するための、
a)細胞培地における細胞の懸濁液の調製、
b)化合物を腫瘍細胞へ結合させた後に検出可能な放射性標識を有する、請求項53に記載の化合物の細胞への投与、
c)化合物の腫瘍細胞へ結合、及び、
d)放射性標識の検出。
からなる請求項53に記載の化合物の使用。
【請求項56】
腫瘍の外科的切除後の高濃度のアデノシンA受容体をもつ残留腫瘍細胞の有無を決定するための、
a)腫瘍の外科的切除前、切除後又は切除中の、化合物を残留腫瘍細胞へ結合させた後に検出可能な放射性標識を有する、請求項53に記載の化合物の患者への投与、
b)化合物の残留腫瘍細胞への結合、及び、
c)放射性標識の検出
からなる請求項53に記載の化合物の使用。
【請求項57】
下記の一般式、
【化4】

(式中、
Aは、イミダゾール、ピラゾール、又は、トリアゾールであり;
Rは、−C(X)R、−C(X)−N(R、−C(X)OR、−C(X)SR、−SO、−SOSR、又は、−SO−N(Rであり;
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、複素環、低級アルケニル、低級アルカノイルであり、又は、窒素原子と結合している場合には、窒素原子と一緒になってアゼチジン環若しくは、一個又はそれ以上のヘテロ原子を有する5〜6員の複素環を形成してもよく;
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、アラルキル、置換されたアラルキル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、アリール、又は置換されたアリールであり;
は、フラン、ピロール、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、ベンゾチオフェンであり、これらの基はヒドロキシ、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、置換されたアルキル、置換されたアルコキシ、置換されたアルケニル、置換されたアルキニル、アミノ、置換されたアミノ、アミノアシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アルカリール、アリール、置換されたアリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式基、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、−SO−アルキル、−SO−置換されたアルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換されたアルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、及びトリハロメチルからなる群から選択された一個又はそれ以上の置換基で置換されてもよく;
XはO、S、又は、NRであり;
nは、1又は2であり;
その薬学的に許容される塩であり;
式中の14Cは、炭素原子の放射性同位体である)
で表される放射性標識化合物。
【請求項58】
患者の中の高濃度のアデノシンA受容体をもつ腫瘍細胞の有無を決定するための、
a)化合物を腫瘍細胞へ結合させた後に検出可能な放射性標識を有する、請求項57に記載の化合物の患者への投与、
b)化合物の腫瘍細胞への結合、及び、
c)放射性標識の検出
からなる請求項57に記載の化合物の使用。
【請求項59】
細胞サンプル中の高濃度のアデノシンA受容体をもつ腫瘍細胞の有無を決定するための、
a)細胞培地における細胞の懸濁液の調製、
b)化合物を腫瘍細胞へ結合させた後に検出可能な放射性標識を有する、請求項57に記載の化合物の細胞への投与、
c)化合物の腫瘍細胞へ結合、及び、
d)放射性標識の検出
からなる請求項57に記載の化合物の使用。
【請求項60】
腫瘍の外科的切除後の高濃度のアデノシンA受容体をもつ残留腫瘍細胞の有無を決定するための、
a)腫瘍の外科的切除前、切除後又は切除中の、化合物を残留腫瘍細胞へ結合させた後に検出可能な放射性標識を有する、請求項57に記載の化合物の患者への投与、
b)化合物の残留腫瘍細胞への結合、及び、
c)放射性標識の検出
からなる請求項57に記載の化合物の使用。
【請求項61】
下記の一般式、
【化5】

(式中、
Aは、イミダゾール、ピラゾール、又は、トリアゾールであり;
Rは、−C(X)R、−C(X)−N(R、−C(X)OR、−C(X)SR、−SO、−SOSR、又は、−SO−N(Rであり;
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、複素環、低級アルケニル、低級アルカノイルであり、又は、窒素原子と結合している場合には、窒素原子と一緒になってアゼチジン環若しくは、一個又はそれ以上のヘテロ原子を有する5〜6員の複素環を形成してもよく;
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、アラルキル、置換されたアラルキル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、又はアリールであり;
は、フラン、ピロール、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、ベンゾチオフェンであり、これらの基はヒドロキシ、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、置換されたアルキル、置換されたアルコキシ、置換されたアルケニル、置換されたアルキニル、アミノ、置換されたアミノ、アミノアシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アルカリール、アリール、置換されたアリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式基、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、−SO−アルキル、−SO−置換されたアルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換されたアルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、及びトリハロメチルからなる基から選択された一個又はそれ以上の置換基で置換されてもよく;
XはO、S、又は、NRであり;
nは、1又は2であり;
その薬学的に許容される塩であり;
さらに1つ以上の蛍光標識を含み;
式中の蛍光標識は、フルオレセイン、5,6−カルボキシメチルフルオレセイン、テキサスレッド、2−[N−(7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル)アミノ]−2−デオキシ−D−グルコース、クマリン、塩化ダンシル、及び、ローダミンからなる蛍光標識基から選択されたものである)
で表される蛍光標識化合物。
【請求項62】
患者の中の高濃度のアデノシンA受容体をもつ腫瘍細胞の有無を決定するための、
a)化合物を腫瘍細胞へ結合させた後に検出可能な蛍光標識を有する、請求項61に記載の化合物の患者への投与、
b)化合物の腫瘍細胞への結合、及び、
c)蛍光標識の検出
からなる請求項61に記載の化合物の使用。
【請求項63】
細胞サンプル中の高濃度のアデノシンA受容体をもつ腫瘍細胞の有無を決定するための、
a)細胞培地における細胞の懸濁液の調製、
b)化合物を腫瘍細胞へ結合させた後に検出可能な蛍光標識を含む、請求項61に記載の化合物の細胞への投与、
c)化合物の腫瘍細胞へ結合、及び、
d)蛍光標識の検出
からなる請求項61に記載の化合物の使用。
【請求項64】
腫瘍の外科的切除後の高濃度のアデノシンA受容体をもつ残留腫瘍細胞の有無を決定するための、
a)腫瘍の外科的切除前、切除後又は切除中の、化合物を残留腫瘍細胞へ結合させた後に検出可能な蛍光標識を有する、請求項61に記載の化合物の患者への投与、
b)化合物の残留腫瘍細胞への結合、及び、
c)蛍光標識の検出
からなる請求項61に記載の化合物の使用。
【請求項65】
下記の一般式、
【化6】

(式中、
Aは、イミダゾール、ピラゾール、又は、トリアゾールであり;
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、アラルキル、置換されたアラルキル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、又は、アリールであり;
は、フランであり;及び
は、ヘテロアリール又は置換されたヘテロアリールである)
で表される化合物、及び、その薬学的に許容される塩。
【請求項66】
が水素、アルキル、アルケニル、及び、アリールから選択された、請求項65に記載の化合物。
【請求項67】
Aがトリアゾロ環である、請求項65に記載の化合物。
【請求項68】
Aがピラゾロ環である、請求項65に記載の化合物。
【請求項69】
ほ乳類における、アデノシンA受容体を調節する医薬を調製するための、請求項65に記載の化合物の使用。
【請求項70】
が水素、アルキル、アルケニル、及び、アリールから選択された、請求項69に記載の化合物の使用。
【請求項71】
Aがピラゾロ環である、請求項69に記載の使用。
【請求項72】
Aがトリアゾロ環である、請求項69に記載の使用。
【請求項73】
アデノシンA受容体の調節により、高血圧、炎症、肥満細胞脱顆粒、及び、心臓低酸素症の減少、及び、脳虚血の予防のための、請求項69に記載の使用。
【請求項74】
アデノシンA受容体の調節により、心臓低酸素症の減少、及び、脳虚血の予防のための、請求項73に記載の使用。
【請求項75】
アデノシンA受容体の調節により、アレルギー性鼻炎、アレルギー性花粉症、ツタウルシによる反応、じんましん、強皮症、関節炎、炎症性腸疾患、及び、ぜんそくからなるグループから選択されたアレルギー性疾患による、アレルギー反応の軽減のための、請求項69に記載の使用。
【請求項76】
アデノシンA受容体の調節により、白血病及びリンパ腫から選択された、高濃度のアデノシンA受容体を有する癌疾患の治療のための、請求項69に記載の使用。
【請求項77】
アデノシンA受容体の調節により、白血病及びリンパ腫から選択された、高濃度のアデノシンA受容体を有する癌疾患の治療のための、請求項69に記載の使用。
【請求項78】
が水素、アルキル、アルケニル、及び、アリールから選択された、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
Aがピラゾロ環である、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
Aがトリアゾロ環である、請求項77に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−510574(P2006−510574A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−503471(P2004−503471)
【出願日】平成14年5月6日(2002.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2002/014191
【国際公開番号】WO2003/095457
【国際公開日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【出願人】(504043015)キング・ファーマシューティカルズ・リサーチ・アンド・デベロプメント・インコーポレイティッド (17)
【Fターム(参考)】