説明

アナログ信号出力装置

【課題】筐体を取り外すことなく、出力するアナログ信号を調整することが出来るアナログ信号出力装置を提供することを目的とする。
【解決手段】アナログ信号出力装置が、変更指示に基づいて出力するアナログ信号のゼロ点及びスパンを変更するアナログ信号出力装置であって、外部に露出し、各種操作指示を受け付ける操作部と、前記操作部がゼロ点変更指示を受け付けると、当該ゼロ点変更指示に基づいて出力するアナログ信号のゼロ点を変更し、また前記操作部がスパン変更指示を受け付けると、当該スパン変更指示に基づいて出力するアナログ信号のスパンを変更し、そして、変更されたスパンを示すスパン値とを記憶し、この後に当該ゼロ点値及びスパン値に基づいてアナログ信号の出力値を算出する制御部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログ信号を出力するアナログ信号出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、分散的に設置された雨量計、気圧計、温湿度計、風向風速計等のフィールド機器及び制御指示に基づいて情報の記憶等の制御処理を実行する制御処理機器と、各場所に分散的に設置されたフィールド機器からの計測結果または制御処理装置への制御指示を集中的に管理する親局装置とによって構成される情報管理システムが存在し、フィールド機器及び制御処理機器と親局装置とは、中継局装置としての機能を有する多重化信号伝送によって通信の中継が行われている。この多重化信号伝送装置は、多重化信号伝送用のケーブルを介して親局と接続し、このケーブルを介して多重化した信号を親局と送受信する。
【0003】
そして、情報管理システムにおいて、この多重化信号伝送装置が、フィールド機器及び制御処理機器と親局との間の中継局装置として採用されることによって、フィールド機器及び制御処理機器の増減に対して柔軟に対応することが可能であり、フィールド機器及び制御処理機器の増減時の敷設工事等の経費を抑制することが出来る。例えば、多重化信号伝送装置を採用した情報管理システムとして、ダム堤体における各種計測結果の一元管理システムが存在する。当該システムでは、親局装置が配置された事務所から離れた場所に存在するダム堤体に設置された雨量計、水位計及び漏水計等の計測結果を、多重伝送装置を介して親局装置に伝送し、ユーザは事務所で親局装置を操作することによってダム堤体に関する各種計測結果を遠隔監視することが出来る。
【0004】
そして、多重化信号伝送装置には、各種フィールド機器からアナログ信号またはデジタル信号によって情報が入力されるアナログ信号入力装置及びアナログ/デジタル信号入力装置と、制御処理装置へアナログ信号またはデジタル信号によって制御指示を出力するアナログ信号出力装置及びアナログ/デジタル信号出力装置とが存在する。アナログ信号出力装置では、出力するアナログ信号のゼロ点調整及びスパン調整を実行する為に、筐体の内部に半固定抵抗器が設けられており、この半固定抵抗器のトリマを操作することによって、出力するアナログ信号のゼロ点調整及びスパン調整を行うことが出来る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来技術におけるアナログ信号出力装置では、出力するアナログ信号におけるゼロ点調整及びスパン調整を、工場出荷時または設置工事時に、半固定抵抗器のトリマを操作することによって行うことが出来る。しかしながら、アナログ信号出力装置において、この半固定抵抗器は、ネジによって固定された筐体の中に収容されており、出力するアナログ信号におけるゼロ点調整及びスパン調整を行う為に、この筐体を取り外すという作業が必要であった。その為、ゼロ点調整及びスパン調整に要する作業時間として、半固定抵抗器のトリマを操作する時間の他に、ケースの取り外し/取り付けに要する時間が余計に掛かっていた。
【0006】
また、アナログ信号出力装置が、筐体の取り外しを行うことが厄介な場所に設置されている場合があり、筐体の取り外しが厄介である為に設置された後からの調整が困難になることもあった。さらに、ケースを取り外すと、半固定抵抗器だけはなく、その他の電子部品も外部に露出することになる為、電子部品へのゴミ等の付着によって故障する可能性が増大する。
【0007】
本発明は、上述した事情を鑑みたものであり、筐体を取り外すことなく、出力するアナログ信号を調整することが出来るアナログ信号出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、アナログ信号出力装置に係る第1の解決手段として、出力するアナログ信号のゼロ点及びスパンを変更指示に基づいて変更するアナログ信号出力装置であって、外部に露出し、各種操作指示を受け付ける操作部と、前記操作部がゼロ点変更指示を受け付けると、当該ゼロ点変更指示に基づいて出力するアナログ信号のゼロ点を変更し、また前記操作部がスパン変更指示を受け付けると、当該スパン変更指示に基づいて出力するアナログ信号のスパンを変更し、そして、変更されたスパンを示すスパン値とを記憶し、この後に当該ゼロ点値及びスパン値に基づいてアナログ信号の出力値を算出する制御部と、を具備するという手段を採用する。
【0009】
本発明では、アナログ信号出力装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記制御部は、前記操作部がアナログ信号出力値手動調整モード遷移指示を受け付けると、アナログ信号出力値手動調整モードへ遷移し、アナログ信号出力値手動調整モードで前記操作部がゼロ点調整モード遷移指示を受け付けると、ゼロ点調整モードに遷移し、前記ゼロ点調整モードに遷移するとゼロ点の変更を許容し、またアナログ信号出力値手動調整モードで前記操作部がスパン調整モード遷移指示を受け付けると、スパン調整モードに遷移し、前記スパン調整モードに遷移するとスパンの変更を許容し、そして、前記操作部がアナログ信号出力値手動調整終了指示を受け付けると、変更されたゼロ点値及びスパン値とを記憶するという手段を採用する。
【0010】
本発明では、アナログ信号出力装置に係る第3の解決手段として、上記第2の解決手段において、複数のチャネルのアナログ信号を出力することが出来るアナログ信号出力装置であって、前記制御部は、アナログ信号出力値手動調整モードで前記操作部が調整対象チャネル決定指示を受け付けると、決定されたチャネルのアナログ信号の調整を許可し、当該チャネルのアナログ信号のゼロ点及びスパンを、前記操作部が受け付ける前記ゼロ点変更指示及びスパン変更指示に基づいて変更するという手段を採用する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アナログ信号出力装置が、外部に露出する操作部が受け付けるゼロ点変更指示及びスパン変更指示に基づいてアナログ信号の出力値のゼロ点を示すゼロ値及びスパンを示すスパン値を変更し、この変更されたゼロ点値及びスパン値に基づいてアナログ信号の出力値を算出する制御部を具備する為、ユーザはアナログ信号出力装置の筐体を取り外すことなく、出力するアナログ信号のゼロ点及びスパンを調整を行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態は、アナログ信号出力装置に関する。
図1は、本実施形態に係るアナログ信号出力装置Aによって構成される情報管理システムの構成を示す模式図である。
図1に示すように、この情報管理システムは、アナログ信号出力装置A、アナログ/デジタル信号出力装置B、アナログ信号入力装置C、アナログ/デジタル信号入力装置D、制御処理機器a‐1〜a‐4,b‐1〜b‐4、フィールド機器c‐1〜c‐4,d‐1〜d‐4及び親局装置Eから構成されている。
【0013】
アナログ信号出力装置Aは、制御処理機器a‐1〜a‐4の設置場所に応じて配置され、例えばダム堤体に制御処理機器a‐1〜a‐4が設置されている場合には、当該ダム堤体に設置された制御処理機器a‐1〜a‐4の近辺に設けられた、直射日光が当たらずかつ周辺温度及び周辺湿度が許容範囲を超えることのない通信設備室等に収容されている。
このアナログ信号出力装置Aは、アナログ信号の出力先として制御処理機器a‐1〜a‐4へ接続し、さらに多重化信号伝送用ケーブルを介して親局装置Eとも接続している。このアナログ信号出力装置Aは、多重化信号伝送用ケーブルを介して親局装置Eから入力された入力値(制御指示)に基づいて制御処理機器a‐1〜a‐4へアナログ信号を出力する。
【0014】
また、アナログ信号出力装置Aは、親局装置Eと共にアナログ/デジタル信号出力装置B、アナログ信号入力装置C及びアナログ/デジタル信号入力装置Dとも多重化信号伝送用ケーブルを介して接続している。なお、上記多重化信号伝送用ケーブルは、1対のツイストペアケーブルであり、約2kmまで延長することが出来る。
アナログ/デジタル信号出力装置Bは、制御処理機器b‐1〜b‐4に接続し、多重化信号伝送用ケーブルを介して親局装置Eと接続する。また、アナログ信号入力装置C及びアナログ/デジタル信号入力装置Dは、それぞれフィールド機器c‐1〜c‐4,d‐1〜d‐4に接続し、アナログ信号出力装置Aと同様に多重化信号伝送用ケーブルを介して親局装置Eと接続する。
【0015】
アナログ/デジタル信号出力装置Bは、親局装置Eから入力された入力値(制御指示)に基づいて制御処理機器b‐1〜b‐4へアナログ信号またはデジタル信号を出力し、アナログ信号入力装置Cは、フィールド機器c‐1〜c‐4から入力されたアナログ信号を多重化し、この多重化した信号を親局装置Eへ送信し、またアナログ/デジタル信号入力装置Dは、フィールド機器d‐1〜d‐4から入力されたアナログ信号及びデジタル信号を多重化し、この多重化した信号を親局装置Eへ送信する。
【0016】
制御処理機器a‐1〜a‐4は、アナログ信号出力装置Aから入力されたアナログ信号に基づいて雨量、気圧、温度、湿度、風向風速等を記憶する記憶装置であり、制御処理機器b‐1〜b‐4も、アナログ/デジタル信号出力装置Bから入力されたアナログ信号またはデジタル信号に基づいて雨量、気圧、温度、湿度、風向風速等を記憶する記憶装置である。フィールド機器c‐1〜c‐4は、雨量計、気圧計、温湿度計、風向風速計等の計測機器であり、計測結果をアナログ信号としてアナログ信号入力装置Cへ出力し、フィールド機器d‐1〜d‐4も、雨量計、気圧計、温湿度計、風向風速計等の計測機器であり、計測結果をアナログ信号またはデジタル信号としてアナログ/デジタル信号入力装置Dへ出力する。
【0017】
親局装置Eは、アナログ信号出力装置A及びアナログ/デジタル信号出力装置Bへ制御指示を出力し、アナログ信号入力装置C及びアナログ/デジタル信号入力装置Dからの情報を表示するデスクトップ型パーソナルコンピュータE1と、当該パーソナルコンピュータE1と、アナログ信号出力装置A、アナログ/デジタル信号出力装置B、アナログ信号入力装置C及びアナログ/デジタル信号入力装置Dとの間の通信インタフェース装置として動作する親局インタフェース装置E2から構成されている。そして、パーソナルコンピュータE1と親局インタフェース装置E2との間の通信は、RS‐232Cに準拠して行われる。そして、親局インタフェース装置E2と、アナログ信号出力装置A、アナログ/デジタル信号出力装置B、アナログ信号入力装置C及びアナログ/デジタル信号入力装置Dとの間の通信には、多重化技術として時分割サイクリック多重化方式が採用されている。
【0018】
次に、上記アナログ信号出力装置Aの外観構成を、図2及び図3を参照して説明する。図2は、本実施形態に係るアナログ信号出力装置Aの外観構成を示す斜視図であり、図3は、本実施形態に係るアナログ信号出力装置Aの正面部分の一部を示した正面図である。
この図2に示すように、アナログ信号出力装置Aは、直方体の筐体1によって各種電子回路が収容されており、アナログ信号出力装置Aの正面には、入出力表示部2、操作部3及びI/O接続端子部4が設けられている。そして、操作部3は、アドレススイッチ3a、ユーティリティスイッチ3b、ファンクションスイッチ3c及びモードスイッチ3dから構成されている。
【0019】
入出力表示部2には、図3に示すように、縦方向に5列かつ横方向に7列のLED(Light Emitting Diode)が配置、すなわち35個のLEDが配置されている。この入出力表示部2における左端の「1」〜「4」の番号は、フィールド機器a1〜a4それぞれへ出力する各信号、すなわち4チャネル(チャネル「1」〜「4」)の信号のそれぞれに対応し、4チャネルの信号ぞれぞれの信号レベルに応じて「0」,「25」,「50」.「75」,「100」%のいずれかのLEDが点灯する。また、入出力表示部2に記される「POW」の左隣のLEDは、アナログ信号出力装置Aの電源が投入される、すなわち稼動時に点灯し、「RDY」左隣のLEDは、アナログ信号出力装置Aが子局として稼動する場合に点灯し、また親局として稼動する場合には点滅する。そして、「RCV」の左隣のLEDは、親局装置Eから信号の受信時に点灯し、「SND」の左隣のLEDは、親局装置Eへの信号の送信時に点灯し、「ALM」の左隣のLEDは、アナログ信号出力装置Aの動作に異常が発生した場合に点灯する。
【0020】
アドレススイッチ3aは、左側の上位アドレススイッチ3a‐1及び右側の下位アドレススイッチ3a‐2から構成されている。ユーザは、上位アドレススイッチ3a‐1及び下位アドレススイッチ3a‐2を、「0」〜「F」(16進数)のいずれかの値に設定し、上位アドレススイッチ3a‐1の設定値と下位アドレススイッチ3a‐2の組み合わせによってアナログ信号出力装置Aに割り当てられたアドレスをアナログ信号出力装置Aに設定する。
ユーティリティスイッチ3bは、アナログ信号出力装置Aに設定されたアドレスの表示指示及びアドレスのリセット指示を受け付ける為のスイッチである。ユーザが、ユーティリティスイッチ3bを押下すると、アナログ信号出力装置Aはアドレスを表示し、また3秒以上押下するとアナログ信号出力装置Aがリセット動作を実行する。
【0021】
ファンクションスイッチ3cは、アナログ信号出力装置Aが出力するアナログ信号のチャネル数を設定する為のスイッチである。アナログ信号出力装置Aは、ファンクションスイッチ3cが設定された「0」、「1」、「2」及び「3」〜「F」の値に応じて出力するアナログ信号のチャネル数が設定される。アナログ信号出力装置Aでは、ファンクションスイッチ3cが、「0」に設定されている場合には、アナログ信号のチャネル数を1つに設定し、「1」に設定されている場合には、アナログ信号のチャネル数を2つに設定し、「2」に設定されている場合には、アナログ信号のチャネル数を3つに設定し、「3」〜「F」のいずれかに設定されている場合には、アナログ信号のチャネル数を4つに設定する。なお、アナログ信号出力装置Aでは、フィールド機器a1〜a4に接続し、出力するアナログ信号が4チャネルである為に、ファンクションスイッチ3cが「3」〜「F」 のいずれかに設定されている。
【0022】
モードスイッチ3dは、スイッチ3d‐1〜3d‐4の4つのスイッチから構成されており、各スイッチが「ON」または「OFF」に設定されることによって、動作における子局/親局設定等の各種設定が行われる。なお、アナログ信号出力装置Aの通常稼動時には、スイッチ3d‐4は「OFF」に設定されている。
I/O接続端子部4は、正極側電源端子、負極側電極端子、多重化信号伝送用ケーブルに接続するX接続端子、Y接続端子、各制御処理機器a1〜a4へのアナログ信号、すなわちチャネル「1」〜「4」のアナログ信号を出力する正極側出力端子及び負極側出力端子等の24の接続端子から構成されている。
【0023】
次に上記アナログ信号出力装置Aの機能構成を、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態に係るアナログ信号出力装置Aの機能構成を示す機能ブロック図である。アナログ信号出力装置Aは、図4に示すように、入出力表示部2、操作部3、RS-232C通信I/F部11、多重化信号通信I/F部12、アナログ信号出力I/F部13及び制御部14から構成される。
【0024】
入出力表示部2は、上記において説明したように35個のLEDによって構成され、制御部14の制御の下、各LEDを点灯、消灯または点滅させる。
操作部3は、上記において説明したようにアドレススイッチ3a、ユーティリティスイッチ3b、ファンクションスイッチ3c及びモードスイッチ3dから構成されており、これらのスイッチの操作によってユーザから受け付けた操作指示を制御部14へ出力する。
【0025】
RS-232C通信I/F部11は、制御部14の制御に基づいてパーソナルコンピュータ等の制御装置との間で通信を行う為の通信インタフェースであり、RS-232Cに準拠して通信を実行する。なお、アナログ信号出力装置Aでは、RS-232C通信I/F部11に制御装置は接続されていない。
【0026】
多重化信号通信I/F部12は、上記I/O接続端子部4における多重化信号伝送用ケーブルに接続するX接続端子、Y接続端子等によって構成されており、多重化信号伝送用ケーブルを介してアナログ/デジタル信号出力装置B、アナログ信号入力装置C、アナログ/デジタル信号入力装置D及び親局装置Eに接続し、制御部14の制御の下、このアナログ/デジタル信号出力装置B、アナログ信号入力装置C、アナログ/デジタル信号入力装置D及び親局装置Eとの間で各種信号の送受信を行う。
【0027】
アナログ信号出力I/F部13は、上記I/O接続端子部4におけるチャネル「1」〜「4」のアナログ信号を出力する正極側出力端子及び負極側出力端子等から構成されており、フィールド機器a1〜a4へ接続し、制御部14の制御の下、このフィールド機器a1〜a4へアナログ信号を出力する。
【0028】
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)から構成される内部メモリ並びに入出力表示部2、操作部3、RS-232C通信I/F部11、多重化信号通信I/F部12及びアナログ信号出力I/F部13と信号の入出力をそれぞれ行うインタフェース回路等から構成されており、上記ROMに記憶された制御プログラム、RS-232C通信I/F部11と多重化信号通信I/F部12が受信する各種信号及び操作部3が受け付ける操作指示に基づいてアナログ信号出力装置Aの全体動作を制御する。なお、制御部14が実行する制御処理の詳細については、以下にアナログ信号出力装置Aの動作として説明する。
【0029】
次に、上記構成のアナログ信号出力装置Aの動作について図5を参照して説明する。図5は、本実施形態に係るアナログ信号出力装置Aの動作を示すフローチャートである。
制御部14は、上位アドレススイッチ3a‐1及び下位アドレススイッチ3a‐2がともに「F」に設定され、かつモードスイッチ3dのスイッチ3d‐4が「ON」に設定されている場合に、ユーティリティスイッチ3bが3秒以上押下されることによって操作部3がアナログ信号出力値手動調整モード遷移指示を受け付けると、アナログ信号出力値手動調整モードに遷移する(ステップS1)。
【0030】
そして、制御部14は、ステップS1の後に、ファンクションスイッチ3cが設定された「1」〜「4」それぞれの値に対応したチャネル番号のアナログ信号の手動の調整を許可する。具体的には、制御部14は、ファンクションスイッチ3cが「1」に設定されることによって操作部3が調整対象チャネル「1」決定指示を受け付けると、ユーザによるチャネル「1」のアナログ信号の手動調整を許可する(ステップS2)。
【0031】
そして、制御部14は、図3に示すように、入出力表示部2にLEDを点灯させることによって、アナログ信号出力値手動調整モードかつ調整対象チャネルがチャネル「1」であること示す表示を行わせる(ステップS3)。なお、アナログ信号出力装置Aの正面部分を説明する為に参照した図3における入出力表示部2は、ステップS3において、アナログ信号出力値手動調整モードかつ調整対象がチャネル「1」のアナログ信号である場合に点灯するLEDの一例を示している。図3に示すように、入出力表示部2では、アナログ信号出力値手動調整モードかつチャネル「1」のアナログ信号である場合に、縦1列目の左側2つのLEDが点灯し、かつ入出力表示部2に記された「1」の右隣のLEDが点灯する。
【0032】
そして、制御部14は、モードスイッチ3dのスイッチ3d‐1が「OFF」または「ON」のいずれに設定されているか判定し(ステップS4)、ステップS4においてスイッチ3d‐1が「OFF」に設定されることによって操作部3がゼロ点調整モード遷移指示を受け付けると、ゼロ点調整モードに遷移してチャネル「1」のアナログ信号のゼロ点調整を許可し(ステップS5)、下位アドレススイッチ3a‐2が設定される値に応じてゼロ点を変更させたチャネル「1」のアナログ信号をアナログ信号出力I/F部13に出力させる(ステップS6)。
【0033】
ステップS6をより詳細に説明すると、制御部14は、下位アドレススイッチ3a‐2が「0」に設定されている場合にはゼロ点の変更を停止させ、「1」に設定されている場合にはゼロ点のインクリメントを行い、「2」に設定されている場合には「1」に設定されている場合よりも倍速でゼロ点のインクリメントを行う。また、制御部14は、ステップS6において、下位アドレススイッチ3a‐2が、「F」に設定されている場合には、ゼロ点のデクリメントを行い、「E」に設定されている場合には「F」に設定されている場合よりも倍速でゼロ点のデクリメントを行う。
【0034】
また、制御部14は、ステップS4においてスイッチ3d‐1が「ON」に設定されることによって操作部3がスパン調整モード遷移指示を受け付けると、スパン調整モードに遷移してチャネル「1」のアナログ信号のスパン調整を許可し(ステップS7)、下位アドレススイッチ3a‐2が設定される値に応じてスパンを変更させたチャネル「1」のアナログ信号をアナログ信号出力I/F部13に出力させる(ステップS8)。
【0035】
ステップS8において、制御部14は、上記ステップS6と同様に、下位アドレススイッチ3a‐2が「0」に設定されている場合には、スパンの変更を停止させ、「1」に設定されている場合にはスパンのインクリメントを行い、「2」に設定されている場合には「1」に設定されている場合よりも倍速でスパンのインクリメントを行う。また、制御部14は、ステップS8において、下位アドレススイッチ3a‐2が、「F」に設定されている場合には、スパンのデクリメントを行い、「E」に設定されている場合には「F」に設定されている場合よりも倍速でゼロ点のデクリメントを行う。
【0036】
そして、制御部14は、ステップS6及びステップS8において変更されたゼロ点を示す設定値(ゼロ点値)及びスパンを示す設定値(スパン値)と、擬似入力値を電圧値/電流値換算式へ代入することによって電圧値または電流値を算出し、この電圧値または電流値に基づくアナログ信号をアナログ信号出力I/F部13に出力させる。上記擬似入力値とは、親局装置Eからの実際の入力値の代わりの擬似的な値である。
制御部14は、通常稼動時に、親局装置Eからの実際の入力値と、調整済のゼロ値及びスパン値とを、電圧値/電流値換算式に代入することによって電圧値または電流値を算出し、この電圧値または電流値に基づくアナログ信号をアナログ信号出力I/F部13に出力させる。
【0037】
なお、ユーザは、アナログ信号を調整する際に、アナログ信号出力装置AのI/O接続端子部4のチャネル「1」のアナログ信号を出力する正極側出力端子及び負極側出力端子へマルチメータを接続し、マルチメータが表示するチャネル「1」のアナログ信号の計測結果を確認しながら、下位アドレススイッチ3a‐2によってゼロ点またはスパンを調整する。
【0038】
制御部14は、ステップS6またはステップS8の後に、ユーティリティスイッチ3bが200ms以上押下によってアナログ信号出力値手動調整終了指示を操作部3が受け付けたか否か判定し(ステップS9)、ステップS9において『NO』と判定した場合には、すなわちアナログ信号出力値手動調整終了指示を操作部3が受け付けていない場合には、ステップS4に遷移し、ステップS9において『YES』と判定した場合には、すなわちアナログ信号出力値手動調整終了指示を操作部3が受け付けると、ステップS6において変更されたゼロ点を示すゼロ点値及びステップS8において変更されたスパンを示すスパン値を内部のROMに記憶させ、アナログ信号出力値手動調整モードを終了し、通常稼動モードに遷移する(ステップS10)。
【0039】
以上のように、アナログ信号出力装置Aでは、従来別の目的の為に使用されかつ外部に露出する操作部3によって出力するアナログ信号のゼロ点及びスパンを調整することが出来る為、ユーザはアナログ信号出力装置Aの筐体1を取り外すことなく、出力するアナログ信号の調整を行うことが出来る。
【0040】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような変形が考えられる。
(1)上記実施形態のアナログ信号出力装置Aにおいて、制御部14が、上位アドレススイッチ3a‐1及び下位アドレススイッチ3a‐2がともに「F」に設定され、かつモードスイッチ3dのスイッチ3d‐4が「ON」に設定されている場合に、ユーティリティスイッチ3bが3秒以上押下されることによって操作部3がアナログ信号出力値手動調整モード遷移指示を受け付けると、アナログ信号出力値手動調整モードに遷移しているが、アナログ信号出力値手動調整モードに遷移させる為の操作手順は、上記の手順に限定されない。
【0041】
そして、アナログ信号出力値手動調整モードに遷移すると、ファンクションスイッチ3cが設定された値に応じて調整対象のチャネルが決定されるが、調整対象のチャネルを決定するための操作手順も、上記の手順に限定されない。
さらに、モードスイッチ3dのスイッチ3d‐1が「OFF」または「ON」のいずれに設定されることにゼロ点調整モードまたはスパン調整モードに遷移したが、ゼロ点調整モードまたはスパン調整モードに遷移する為の操作手順も、上記の手順に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態に係るアナログ信号出力装置Aによって構成される情報管理システムの構成を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るアナログ信号出力装置Aの外観構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るアナログ信号出力装置Aの正面部分の一部を示した正面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るアナログ信号出力装置Aの機能構成を示す機能ブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るアナログ信号出力装置Aの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
A…アナログ信号出力装置、B…アナログ/デジタル信号出力装置、C…アナログ信号入力装置、D…アナログ/デジタル信号入力装置、a‐1〜a‐4,b‐1〜b‐4…制御処理機器、c‐1〜c‐4,d‐1〜d‐4…フィールド機器、E…親局装置、E1…パーソナルコンピュータ、E2…親局インタフェース装置、1…筐体、2…入出力表示部、3…操作部、3a…アドレススイッチ、3a‐1…上位アドレススイッチ、3a‐2…下位アドレススイッチ、3b…ユーティリティスイッチ、3c…ファンクションスイッチ、3d…モードスイッチ、3d‐1〜3d‐4…スイッチ、4…I/O接続端子部、11…RS-232C通信I/F部、12…多重化信号通信I/F部、13…アナログ信号出力I/F部、14…制御部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力するアナログ信号のゼロ点及びスパンを変更指示に基づいて変更するアナログ信号出力装置であって、
外部に露出し、各種操作指示を受け付ける操作部と、
前記操作部がゼロ点変更指示を受け付けると、当該ゼロ点変更指示に基づいて出力するアナログ信号のゼロ点を変更し、また前記操作部がスパン変更指示を受け付けると、当該スパン変更指示に基づいて出力するアナログ信号のスパンを変更し、そして、変更されたスパンを示すスパン値とを記憶し、この後に当該ゼロ点値及びスパン値に基づいてアナログ信号の出力値を算出する制御部と、
を具備することを特徴とするアナログ信号出力装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記操作部がアナログ信号出力値手動調整モード遷移指示を受け付けると、アナログ信号出力値手動調整モードへ遷移し、アナログ信号出力値手動調整モードで前記操作部がゼロ点調整モード遷移指示を受け付けると、ゼロ点調整モードに遷移し、前記ゼロ点調整モードに遷移するとゼロ点の変更を許容し、またアナログ信号出力値手動調整モードで前記操作部がスパン調整モード遷移指示を受け付けると、スパン調整モードに遷移し、前記スパン調整モードに遷移するとスパンの変更を許容し、そして、前記操作部がアナログ信号出力値手動調整終了指示を受け付けると、変更されたゼロ点値及びスパン値とを記憶することを特徴とする請求項1に記載のアナログ信号出力装置。
【請求項3】
複数のチャネルのアナログ信号を出力することが出来るアナログ信号出力装置であって、
前記制御部は、アナログ信号出力値手動調整モードで前記操作部が調整対象チャネル決定指示を受け付けると、決定されたチャネルのアナログ信号の調整を許可し、当該チャネルのアナログ信号のゼロ点及びスパンを、前記操作部が受け付ける前記ゼロ点変更指示及びスパン変更指示に基づいて変更することを特徴とする請求項2に記載のアナログ信号出力装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−54291(P2010−54291A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218416(P2008−218416)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000232357)横河電子機器株式会社 (109)
【Fターム(参考)】