アフラトキシンを転化する活性を有する解毒酵素、及びこの酵素をコーディングする遺伝子
本発明は、アフラトキシンを転化する活性を有する解毒酵素、及びこの酵素をコーディングする遺伝子に関する。本発明者らは、初めてこの活性を有する新しい型のタンパク質を分離、純化し、これをアフラトキシン解毒酵素(Aflatoxin-detofizyme,ADTZ)と命名した。本発明では、純化及び配列解析によって、ADTZの遺伝子特異性プラスミドが得られ、ナラタケモドキ(Armillariella tabescens)の総RNAから、クローンしたコーディングADTZの遺伝子が得られ、遺伝子工学技術を用いて、多数の発現系の中で組換えADTZタンパク質が発現、純化される。本発明の解毒酵素は、AFB1を転化する生物活性を有し、AFB1の異常(aberration)作用を低下させることができ、将来の飼料加工、食品加工及び抗癌薬の開発において、優れた基礎を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アフラトキシンを転化する活性を有する解毒酵素、及びこの酵素をコーディングする遺伝子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アフラトキシン(Aflatoxin,AFT)は毒性が非常に強い真菌毒素であって、毒性を引き起こすラジカルが同じく、且つ構成が類似であるアフラトキシンB1(Aflatoxin B1,AFB1)、アフラトキシンM1(Aflatoxin M1,AFM1)、アフラトキシンG1(Aflatoxin G1,AFG1)等を含み、有毒菌株アスペルギルス・フラバス、アスペルギルス・パラジチカス及び他のかび菌(例えば、アスペルギルス・ウェンティ−)等から発生する。アフラトキシンは、穀物、飼料、食品に広く存在し、人類に対して、(1)AFTに汚染された食品をもし食用する前にAFTを除去しなかったら、食べた者に直接損害を与え、或いは、AFTが汚染された飼料を通じてフードチェーンを経由して鳥類・家畜肉、乳製品等を食べる人間に間接損害を与えて、直接または間接的に急性中毒を起こしたり或いは人類の癌を誘発する;(2)鳥類・家畜が汚染された飼料を摂取したら、軽い結果としては中毒され、直接な結果としては動物の体重の低下を引き起こしたり、或いは他の病気を誘発し、間接な結果としてはフードチェーンを通じて人類の慢性中毒を起こして、癌を誘発し、重い場合は死亡を起こす;(3)AFTに汚染された食糧、穀物を食べ又は飼養することができないので、廃棄処分しなければならない、等の主な危害を与える。
【0003】
アフラトキシンがこのような危害があるので、長い間、AFTの解毒技術が人々に注目されてきた。AFTの転化方法として下記方法がある。例えば、(1)アンモニア処理法:水を含む飼料に用いるが、処理した後で多量のアンモニアが食品に残存するので、米国FDAではこの方法で食品加工を行うことを禁止し、飼料中にも多量のアンモニアが含まれたので利用に影響を与えた。(2)NaOH法(植物油粗製でAFTを取り除くために用いる):設備の投資が大きく、燃費が大きく、コストが高いので、現在次第に淘汰される。(3)白土吸着方法:労働強度が強く、白土のほこりと燃費及び環境汚染等の問題があるので、現在は大体淘汰された。(4)混合溶媒抽出法:この方法は落花生の粉や綿実等の固形食品からAFTを取り除くために用いるが、抽出、溶媒の回収と処理際の費用が非常に高いので、広める価値がない。(5)高温法:この方法は処理されたサンプルを268℃以上に加熱することによりAFTを破壊するが、通常の加熱法であるとこの温度に達成しにくく、また、温度が高すぎると、食品の他の栄養成分を破壊する問題があって、実際にあまり応用しない。(6)生物学的方法:この方法はカッキン(活菌)或いは固定化細菌を利用してAFTを分解するが、カッキンにより原料の栄養成分が分解され、更に分解した新しい生成物及びこの生成物の毒性が明らかでないため、この方法は僅かの飼料と落花生油の解毒だけに用いられる。例えば、1996年の広東微生物所からの報告によると、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)菌を固形発酵した後のものを用いて解毒に適用するBDA生物製剤を製造したことがある。(7)紫外線法:紫外線の強い酸化作用を利用してAFTを破壊するが、効果が不安定で、且つエネルギーの消耗も大きい。(8)超濾過法:このような方法は非均相だけに用いられ、均相、酸性化の牛乳については無効で、更に高い技術を要し、設備の費用が非常に高いので、今まで実際的な応用価値がない。(9)生物酵素法:ある学者からの報告(Brown DWら,Proc.Natl.Acad.Sc.,USA,1996)によると、大腸桿菌の中で肝チトクロームP450酸化酵素をクローン(clone)発現して、アフラトキシンの代謝を強める酸化酵素を用いて、体内に入って活性化されたAFTに対して転化解毒作用を行い、これにより体内に入ったAFB1を低減する目的を実現する。
【0004】
これらの処理方法において、物理化学的な手段でAFTを転化する方法は強いため、処理された穀類、飼料、食品等の利用価値が小さくなり、効率も比較的に低く、コストの視点から言っても工業上に適用される方法ではない。また、体内でP450酸化酵素を高める方法はAFB1の代謝を強めることができるが、従って人に対する危険性も増加した。生物酵素触媒法は、もっと強い専一性、高転化効率という特徴を具備したので、AFTを直接に転化させる生物酵素の開発を検討している。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、アフラトキシンを転化する活性を有する解毒酵素、及びこの酵素をコーディングする遺伝子を提供することを目的とする。
【0006】
このような酵素を得るために、本発明者は篩い分けにより得た1株のかび菌から、AFB1を転化する生物酵素を純化し、またDNAの組換え技術を介して、1種の形質転換体の中で、AFB1を転化する活性を有するタンパク質を製造した。従って、本発明者は、初めて前記活性の有する新型のタンパク質を分離、純化して、アフラトキシン解毒酵素(Aflatoxin-detofizyme,ADTZ)と命名した。
【0007】
本発明は、純化と配列解析を介してアフラトキシン解毒酵素(Aflatoxin-detofizyme,ADTZ)の遺伝子の特異性プライマーを得、ナラタケモドキ(Armillariella tabescens)の総RNAから、クローンによって、ADTEをコーディングし、且つ今まで報告したことがない新遺伝子を得ており、更に遺伝子工学技術を用いて、ピキア・パストリス(Pichia Pastoris)発現系の中に組換えADTZタンパク質を発現、純化する。選ばれた真菌はArmillariella tabescensで、中国普通微生物菌種保蔵管理中心から取り出したものである。
【0008】
ADTZの純化:先ず、菌体をつぶし、硫酸アンモニウム沈殿法によってタンパク質沈澱を行い、沈殿サンプルは高速タンパク質液相クロマトグラムによって目的ピークを得る。
ADTZ短鎖N末端のアミノ酸配列の獲得:目的ピークに対して質量スペクトル解析を行って、短鎖ペプチドN末端のアミノ酸配列を得る。
【0009】
本発明において、Armillariella tabescensの総RNAの抽出を行う。上述の短鎖ペプチドN末端のアミノ酸配列によってプライマーを設計し、RT−PCRとSMART RACEを行い、得られたADTZ遺伝子の配列の長さは約2.3kbで、分析によると、配列には完全なオープン・リーディング・フレームと、3’末端及び5’末端の非翻訳領域とが含まれる。ADTZ成熟ペプチドの全長cDNA2088個のヌクレオチドをコーディングし、695個のアミノ酸をコーディングし、それの分子量が約73〜77kDa(SDS−PAGE電気泳動法)で、等電点(pI)が5.3〜6.8の間である(等電点電気泳動)。アミノ酸及びDNA配列は配列表に示す通りである。例えば一部のアミノ酸を除いて、置換して、修飾し、又は付加した後生成した産物等の修飾産物も、本発明のタンパク質の範囲に含まれる。
【0010】
また、本発明の他の目的として、上述のような遺伝子を含む発現ベクター及び該発現ベクターで宿主細胞を形質転換することにより得られる形質転換体を提供する。更に、形質転換体を培養する工程と、発現されたアフラトキシン解毒酵素を回収する工程を備えるアフラトキシン解毒酵素の製造方法も提供する。
【0011】
本発明において、一対のプライマーを設計することによって、Armillariella tabescensのcDNAからADTZ成熟ペプチドをコーディングする遺伝子を増幅し、真核組込型分泌発現ベクターにクローンする。例えば、pHIL−S1に基づいて発現プラスミドpHIL−S1−ADTZを構成し、また、組換え発現ベクターをPichia Pastoris GS115に形質転換する。該発現ベクターは、AOXをプロモーターとする。培養時間と誘導時間の探査によると、ADTZの発現量は培地総タンパク質の25%以上を占め、可溶の状態になる。
【0012】
本発明で用いた真核発現ベクターは、例えば、PAO815、PPIC3K、PPICZ、PHWO10、PGAPZ、又は分泌型ベクター、及びPPIC9K、PPICZα、PGAPZα、又は市販の同種のベクター等の細胞内型ベクターから選ぶことができる。なお、本発明で用いた真核発現菌株も、Pichia Pastoris KM71、MC100−3、SMD1168、SMD1165、SMD1163等から選んで宿主細胞とする。
【0013】
本発明は、原核発現系を用いても実現でき、pET、pUCH33等、或いは市販の同類のベクターから何れかを選んで発現ベクターとし、大腸菌BL21、大腸菌JM109等から何れかの原核発現菌株を選んで宿主細胞とする。
【0014】
発現ベクターの複製方法:Sambrookらの方法(Sambrookら,2002,Molecular cloning,Cold Spring Harbor Laboratory Press,USA)を参照し、CaCl2法に応じてコンピテント細胞E.Coli DH5αを調製、形質転換し、アンピシリン(100μg/mL)を含む培地で細胞を培養してから、塩基法でプラスミドを抽出する。
【0015】
本発明では、組換えADTZの純化条件も探査した。発酵もろみ液を硫酸アンモニウム沈殿した後、疏水クロマトグラフィーと金属親和クロマトグラフィーの二段階純化法を利用して組換えADTZを得て、組換えタンパク質の純度が95%以上に至る。
【0016】
本発明の他の目的として、飼料及び食品の製造中に前記アフラトキシンを転化する活性を有する解毒酵素を用いて脱毒するアフラトキシンの脱毒品を提供する。現在の飼料と食品の加工プロセスに合わせて、本発明で述べたようなアフラトキシンを転化する活性の有する解毒酵素を、脱毒剤として飼料中に添加することにより飼料の脱毒を行い、或いは固定化酵素に調製して、落花生油の脱毒に用いる。
【0017】
本発明のまた他の目的として、調製中に前記アフラトキシンを転化する活性を有する解毒酵素を用いたアフラトキシンによる癌を予防と治療する薬物提供する。現在の抗癌薬のプロセスに合わせて、本発明で述べたアフラトキシンを転化する活性を有する解毒酵素を添加することによって、アフラトキシンが誘発した癌の予防と治療に用いる薬物を得る。
本発明において、発明者は、初めてこのタンパク質をコーディングする遺伝子を分離、偏析した。また、発明者はこの遺伝子を一種の発現ベクターに組み込んで、一種の形質転換体を生成し、更に、この形質転換体に基づいて、ADTZタンパク質の製造を成功的に実現することができた。活性鑑定実験によれば、組換えADTZが天然ADTZと類似なアフラトキシンを転化する生物活性を有することが証明される。組換えADTZのAFB1解毒生物活性に対する鑑定実験によれば、組換えADTZが、AFB1の異常(aberration)作用を低下させ、AFB1が引き起こす突然変異を抑制する生物活性作用を有することが証明される。本発明は、これからの飼料加工、食品加工及び抗癌薬の開発において、優れた基礎を築いた。
【実施例】
【0018】
〔実施例1:ADTZの獲得及び純化〕
(I)菌体の発酵培養:
1)菌種:Armillariella tabescens
2)前記菌種を液体培地(馬鈴薯抽出液1L、グルコース20.0g、KH2PO4 3.0g、MgSO4・7H2O 1.5g、微量のビタミン、pH6.6)で合計25日培養して、一級〜三級をそれぞれ6日、4日、4日培養し、四級は11日培養し、培養温度を24〜28℃として、菌体を収集した。
【0019】
(II)アフラトキシン解毒酵素(ADTZ)の抽出:
新鮮な菌体を液体窒素凍結した後に小さい塊に打って、1:1(W/V)の比例でリン酸塩緩衝液を加えて、氷浴の中でホモジネートし、超音波で細胞を滅裂した後に、11000〜12000g遠心力で遠心分離法により沈殿物を除去し、それから20〜80%飽和の硫酸アンモニウムで分別沈殿し、最後に沈殿物を取り出す。pH6.0,0.02mol/Lのリン酸緩衝液で溶解懸濁して、ブラッドフォードタンパク質分析(Bradford法)し、また、AFB1 ELISAキットでタンパク質の成分の酵素活性を検査して、アフラトキシン解毒酵素(ADTZ)を含む酵素液を得る。
【0020】
(III)ADTZの純化:
(1)酵素サンプルの準備:
粗酵素液を40倍体積のリン酸緩衝液(pH6.0,0.02mol/L)で透析脱塩し、ポリエチレン・グリコール−20000で透析濃縮して、また、0.45μmマイクロフィルムで濾過してから、ブラッドフォードタンパク質分析する(Bradford法)。
【0021】
(2)高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)純化酵素:
文献(Ion Exchange Chromatography principles and methods,Pharmacia Co.編,Pharmacia Co.,1984,pp.29〜31;及びChromatofocusing with PolybufferTM and PBETM,6.Experimental,Pharmacia Co.編,Pharmacia Co.,1984,pp.11〜24)記載の方法によって、イオン交換クロマトグラムと、等電点電気泳動法クロマトグラフィーカラム填料と、緩衝液とを選んで、操作請求に従って、イオン交換クロマトグラム及びフォーカスクロマトグラムを、すべてFPLC System(Pharmacia Biotech Co.,米国)により行う。詳細は以下の通りである。
【0022】
(i)陰イオン交換クロマトグラム:
1)試薬:
pH6.0,0.2mol/Lリン酸塩貯蔵緩衝液
A液:pH6.0,0.02mol/Lのリン酸緩衝液
B液:pH6.0,0.02mol/L+1N NaClのリン酸緩衝液
【0023】
2)カラムの準備:
DEAE-Sephadex 50mLを、2倍の体積のリン酸塩緩衝液と十分に攪拌洗浄した後に、20分間静置し、そして小型真空ポンプで上清を引出して、相同な操作をして洗浄を繰り返し、また、相同の条件で5回繰り返して洗浄した後に、0.6mL/分の流速で規格が20×30cmであるカラムに充填する。
【0024】
基線が0付近に安定するようA液で当該カラムを平衡化する。酵素サンプル20mL(2mg/mLのタンパク質を含む)を予めカラムに通導して、DEAE-Sephadexイオン交換カラムを通過させる。塩化ナトリウム勾配溶出:A液で2時間溶出して、またA液及び0〜80%のB液で5時間溶出した後に、100%のB液で2時間溶出する。且つ流速を0.6mL/分とする。そして、フラクションコレクターで収集する。紫外線OD280nmモニターする。ポリエチレン・グリコール−20000で透析濃縮して脱塩してから、ブラッドフォードタンパク質分析し(Bradford法)、別々に各タンパク質成分の転化AFB1活性を測定して、活性成分を受け取る。以上の操作を繰り返して、活性成分を収集する。
【0025】
(ii)フォーカスクロマトグラフィー:
1)試薬:
溶出液:PolybufferTM 74(Pharmacia Co.製),250mL包装。100mLを取って純水を添加して1000mLまで薄め、4℃の条件に保存して予備用とする。
最初緩衝液:pH7.4,0.025mol/Lのイミダゾール−HCL緩衝液
2)カラム:
Mono-pTM PBE94,5×20cm予め装填カラム(Pharmacia Co.製)。
【0026】
Polybuffer 74で、前記イオン交換クロマトグラム純化を経由した後の酵素液6mL(タンパク質3mg/mLを含む)を平衡化させる(平衡化した後は6.5mLである)。最初緩衝液でMono-pカラムを2時間平衡化させ、Polybuffer 74溶離液でカラムを通過させて、2mL酵素液サンプルを通導し、またPolybuffer 74溶離液で10時間溶離する。且つ流速を0.2mL/分とする。紫外線OD280nmモニターを施してクロマトグラムを記録し、また、フラクションコレクターで受け取って、2mL/管(即ち、10分/管)に設定する。ブラッドフォードタンパク質分析し(Bradford法)、各タンパク質成分の転化AFB1活性を別々に測定する。活性成分を収集する。
【0027】
AU値が0に返るまで、0.1mol/Lのリン酸でカラムを洗って、再びAU値が0に返るまで、1mol/LのNaClでカラムを洗って、また、最初緩衝液でカラムを平衡化させて一晩おく。前記の条件でフォーカスクロマトグラム操作を繰り返して、活性成分を収集する。
【0028】
(iii)ELISA法による活性成分の検査:
収集した各成分について別々にAFB1を取り扱い、ELISA法によって処理をしたサンプルの中のAFB1の量を検査し、100℃の条件で10分間沸騰した同じ成分を対照するが、AFB1を減少させることができる成分が活性の成分である。詳細は以下の通りである。
【0029】
1)サンプルの準備:
不活性化酵素液群:AFB1 200ul(濃度2.5ng/mLメタノール)+不活性化酵素液200ul(1.2mg/mL)
活性酵素液群:AFB1 200ul(濃度2.5ng/mLメタノール)+活性酵素液200ul(1.2mg/mL)
質量制御群:AFB1 200ul(濃度2.5ng/mLメタノール)+緩衝液200ul(1.2mg/mL)
不活性化酵素液の調製:成分を100℃で10分間煮沸させる。
【0030】
均等に混合して、30℃の条件で30分間反応させ、また15分間煮沸させて5分間3000g遠心力で沈殿物を除去し、サンプルを調製した後にELISAキット(AgraQuantTM Total Aflatoxin Assay 4/40,ROMER社製,米国)の操作仕様書によって操作し、標準曲線によって処理した後の産物の中に含まれているAFB1を算出する。収集した各成分を検査して、サンプルの中のAFB1が減少させ得る成分が活性のある成分となる。検査結果:活性のある成分の活性酵素液処理のサンプルの中で、AFB1は1.230±0.508ng/mLであり、活性のある成分の不活性化酵素液処理のサンプルの中で、AFB1は2.436±0.326ng/mLであり、質量制御群は2.508±0.203ng/mLである。
【0031】
活性ピークは、非還元性条件の下に電気泳動(PAGE)するが、これは単一のバンドであることを表明する。結果は図1の通りである。
得られたタンパク質は、SDS−PAGE電気泳動によって分析した結果、分子量が約73〜76kDaであり、等電点電気泳動によって分析した結果、等電点(pI)が約5.3〜6.8である。
【0032】
〔実施例2:純化したADTZ活性の鑑定〕
(I)ADTZでAFB1を転化する活性の鑑定:
中国予防医学科学院の標準処点(食品衛生国家標準集,中国予防医学科学院標準処編,北京,中国標準的出版社,1998年版,pp.410〜415)及び▲ジェー▼永信(薄層クロマトグラフの食品分析への応用,▲ジェー▼永信,陸氷真編集,北京大学出版社,1991年版,pp.118〜123)が報告した方法に従って、薄層クロマトグラフ法により、ADTZで処理したAFB1に対して検査・測定を行って、純化したADTZ活性を鑑定する。具体的な方法は次の通りである。
【0033】
(1)実験群:
1.5mLの遠心管一つを取って、1μLのAFB1溶液(AFB1メタノール溶液:0.5μg/μL,アフラトキシンB1,Alexis Biochemicals Inc.,スイス)を添加して、窒素ガスを蒸着する。別々にADTZ酵素の液体(タンパク質の含有量:0.1mg/mL)300μL、MgSO4 0.5μL、PEG200 10μLを添加して、十分に混ぜる。30℃の水浴の中で1時間反応させて、試験管の内のAFB1総量が2μgになるように、以降毎時間ずつ各容器へ0.5μLのAFB1溶液を添加する。添加を完了した後、更に2時間反応させる。
【0034】
(2)対照群:
1.5mLの遠心管一つを取って対照群1と表記し、1μLのAFB1溶液を添加してから、窒素ガスを蒸着する。別々に、300μLの酵素溶液(前もって100℃水浴で5分間非活性化する)、MgSO4 0.5μL、PEG200 10μLを添加した後、十分に混ぜる。1.5mLの別の遠心管を取って対照群2と表記し、1μLのAFB1溶液を添加してから、窒素ガスを蒸着する。別々に、3300μLのPBS緩衝液(0.1M,pH6.6)、MgSO4 0.5μL、PEG200 10μLを添加して十分に混ぜる。後続操作は実験群と同じである。
【0035】
以上のように、実験群と対照群の反応を行った後に、それぞれ2倍体積のクロロホルムを添加して二回抽出する。また、45℃の条件と窒素の下で抽出物を蒸着して、1mLのメタノールを添加して抽出物を十分に溶解させる。こうして、実験群サンプル(活性酵素群)、対照群1(修飾酵素群)、対照群2(緩衝液対象群)を得た。
【0036】
(3)薄層クロマトグラフ(TLC)で反応産物を検査する:
新しく活性化(100℃,2時間)したプレハブシリカゲルの薄層板(10×10cm,60Å,Whatman,USA)を取って、薄層板の上でサンプルをポイントして、ポイントをへりから1cm離れ、ポイントの間隔を1cmとする。左から右に:第1ポイントは10μL,25μg/mLのAFB1クロロホルム溶液であり;第2、3ポイントはそれぞれ10μLの対照群2であり;第4ポイントは10μL,2号の対照群1であり;第5ポイントは10μLの実験群であり;第6ポイントは10μL 25μg/mLのAFB1クロロホルム溶液である。
【0037】
展開:展開溝の内に10mLの無水エーテルを展開して、取り出して揮発乾燥する。
観察:波長が365nmである紫外線の下で蛍光を観察して、写真を撮る。結果は図2に示す通りである。
結果によると、AFB1の標準品(1、6)と酵素の非活性化対照(4)とPBS緩衝液対照(2、3)について、エーテルが展開する時すべてただ微小な移動のみが発生したが、ADTZ処理を行った後のAFB1産物のRf値は1に近づいている(=0.95)。これで、解毒処理をした後のAFB1が、その極性が著しく減少して、AFB1と明らかに異なり、純化して得たADTZがAFB1を転化する活性を有することを説明する。
【0038】
(II)AFB1に対するADTZの解毒生物活性の鑑定:
エームス・ネズミチフス菌バイオアッセイ試験(Ames実験)は中華人民共和国衛生部薬政局の公布する方法(中華人民共和国の衛生部薬政局が編集、新薬(西洋式薬)の臨床研究指導集(薬学、薬理学、毒理学),1993年7月)に従って行う。具体的な方法は次の通りである。
【0039】
(1)菌株のテスト:
ヒスチジンの栄養欠陥型のネズミのチフスサルモネラ菌株TA98(衛生部薬品生物製品検定所から引用)であり、−85℃(零下85℃)の低温の冷蔵庫で保存して、テストの前で採用の菌の株に対して遺伝子型鑑定及び自発回変数の測定を行って、生物学の鑑定は合格で、実験要求に符合する。
【0040】
(2)肝S9の調製:
(i)SDラット誘導:SDラットを一周間検疫して病気がないことを確定して、ポリ塩化ビフェニルでトウモロコシ油を混濁し、腹腔注射(500mg/kg体重)して、5日後の死刑を決め、死刑に処する前に12時間断食する。
(ii)S9成分の調製:上述のように誘導したSDラットに対して首を切って血を落ち、また、無菌の条件で肝臓を取って、重さを量り、肝臓を冷たい0.15mol/L(以下同じ)KClにより洗浄する。1g肝臓に3mLの割合で添加してホモジナイザーで均質化してから、各組織の均質化時間を一致させる。均質液を0℃で、9000g遠心力で20分間遠心して、上清液を取る。無菌を証明した後に−85℃の冷蔵庫に貯蔵して備え付けておく。
【0041】
(3)S9混合液の調製:
下記A、B、C液とS9成分を混合して、4℃の条件で保存して4時間以内に使う。
A液:(0.2mol/L,補酵素II,濾過滅菌)0.2mL
B液:(0.2mol/L,グルコース6−リン酸,濾過滅菌)0.25mL
C液:8.55mL
C液組成(0.4mol/L MgCl2 20mL,1.65mol/L KCl 20mL,0.2mol/Lリン酸緩衝液(pH7.4)500mL,蒸留水315mL,混ぜた後に濾過滅菌する)。
S9成分:1.00mL
【0042】
(4)試験サンプルの調製:
30mLの反応体系において、ADTZ濃度が0.2mg/mLで、AFB1の濃度が0.2mg/mLで、pH値が6.0であるが、28℃の下で120分間反応して、体系を10倍拡大する。反応後に、同等体積のクロロホルムでアフラトキシンB1副産物と未反応の残留物を3回抽出して、有機相を合併し、更に、40℃で減圧してクロロホルムを揮発乾燥する。また、3.75と3mLのDMSOで抽出物(活性酵素処理反応群)を洗浄し、活性ADTZの代わりに予めクロロホルムで非活性化させたADTZによって、同等の条件下にアフラトキシンB1(非活性化する酵素処理対照群)を処理する;活性ADTZ酵素液の代わりに緩衝液により、同等の条件下にアフラトキシンB1(緩衝液処理対照群)を処理する。以上のサンプルを全部−15℃の条件で保存する。
【0043】
(5)エームス・ネズミチフス菌バイオアッセイ試験:
サンプルのDMSO溶液と一夜培養した菌液及びS9を上層寒天培養基の中に添加して均一に混ぜる。また、40℃の条件で下層Vogel選択培地に倒れて置き、凝固した後に37℃のインキュベーターで72時間培養して、培養皿毎に現れる復帰突然変異コロニーの数を算出する。
群毎にテストする時、各群の抽出液及び陰陽性対照を全部3つの平皿に設けて、1回繰り返す。各群の抽出液の結果は、2回6群の平均値である。実験結果は、復帰コロニーの数、突然変異率(MR=サンプル復帰コロニーの数/陰性対照復帰コロニーの数)、及び抑制率(%)[={1−(被験サンプル復帰コロニーの数−陰性対照群復帰コロニーの数)/(AFB1対照群復帰コロニーの数−陰性対照群復帰コロニーの数)}−100%]によって表示される。
【0044】
(6)結果評価基準:
溶剤対照群が正常な範囲内であれば、受検物は3個濃度以上に陽性用量反応があり、最大の増加値は溶剤対照値の2倍(即ちMR≧2)であって、致突然変異陽性と考えられる。
【0045】
(7)結果:
活性ADTZ処理反応群の細菌復帰突然変異コロニーの数は、陰性対照群(DMSO対照群)に近づいている(MR値が全部2より小さい)。緩衝液処理対照群と不活性化ADTZ処理対照群の細菌復帰突然変異コロニーの数は、陰性対照群(MR値が全部2より大きい)より顕著に高い、陽性対照(アフラトキシンB1対照)の細菌復帰突然変異コロニーの数に比べて顕著な相違がない。これは活性ADTZ処理反応群の被試験物が誘発遺伝子突然変異作用を有しないことを表明している。ADTZはAFB1の突然変異を抑制する生物活性作用を有することを表す。結果は次の表の通りである。
【0046】
【表1】
【0047】
以上の表によると:突然変異誘発実験はラットの肝臓S−9混合物を含むSalmonella typhimuriurmn TA98を試験菌として行う。突然変異実験に用いるAFB1対照群の濃度は0.8mg/50mL DMSO/平板である。また、AFB1酵素処理後のサンプルは毎板に対しても、ABF1と同様な量に相当する量で実験を行って、そして同様な量のDMSOを維持する。平板に28時間培養した後に、数を数えて、結果を4つの平板の平均値±SDで表示する。
【0048】
〔実施例3:ADTZ短鎖ペプチドアミノ酸配列の獲得〕
実施例1で純化して得られた活性成分のピークの先を収集して、或いは活性成分をPAGE電気泳動して、目的バンドを収集し、Q−TOF2(電子スプレー−4極竿飛行時間−タンデム質量スペクトル解析)機器(イギリスMicromass社,軍事医学科学院器具テスト分析センターから提供)を採用してADTZ短鎖ペプチドのN末端のアミノ酸配列を測定する。得られたアミノ酸配列は次の通りである。
M1:EAWEGFTALVDK
M2:NKLLQDANGELENLYVR
【0049】
本発明のADTZ短鎖ペプチドアミノ酸配列は前記説明したものに限定されず、他の短鎖ペプチドアミノ酸配列フラグメントを含むことができる。該フラグメントがMALDI−MS−TOF或いは他の化学方法等によってADTZを測定して獲得したものであればよい。
【0050】
〔実施例4:酵素菌の総RNAの抽出〕
酵素を生成する菌の菌体の組織をプレクーリングしたモルタルの中に入れて、サンプルが粉末状になるように液体の窒素を添加して研磨する。また、100mg程度のサンプルを取って1.5mLの遠心管の中に移して、1mLのTrizolを添加し、振動して均一に混ぜて、室温に5分間置く。また、200mLクロロホルムを添加して、2分間振動して均一に混ぜて、氷浴に5分間置いて、2〜8℃の条件で、12000×gで15分間遠心してから、上清を別の11.5mLの遠心管に転移する。プレクーリングした500mLのイソプロピルアルコールを添加して、氷浴に20分間置いて、2〜8℃の条件で、12000×gで10分間遠心する。更に、上清を捨てて、プレクーリングした1mLの75%アルコールを添加して、沈殿及び遠心管壁を洗浄する。2〜8℃の条件で、7500×gで5分間遠心して、上清を捨てて、空気で5〜10分間乾燥させてから、50μLのDEPC無菌水を完全溶解するように添加する。紫外分光光度法と電気泳動の検査(1.1% Agarose/EB、100V、20分)を行って、サンプルは−80℃で保存する。結果は図3に示すように、電気泳動の検査の結果から28s rRNAと18s sRNAの二つの特徴バンドがはっきりして、光度比は2:1に近づいていることにより、総RNAが分解しなかったことを説明する。
【0051】
〔実施例5:ADTZ遺伝子特異性プライマーの獲得〕
実施例3で得たADTZ短鎖ペプチドアミノ酸配列から二つのプライマー(P1、P2とG1、G2)を設計する。ADTZ遺伝子部分の配列の産物を得るように、QIAGEN OneStep RT-PCR Kit(QIAGEN Inc.,米国)手帳を参照してRT−PCRを行う。ゴムを切ってRT−PCR産物を回収して、そして通常の方法によってTAクローンを行う。HindIIIとEcoRIでTAクローンの組換えプラスミドを酵素切断して鑑定して、1.5%アガロースゲル電気泳動で酵素切断結果を検査する。組換えプラスミドに対して配列解析を行って、ADTZ遺伝子のcDNAフラグメントE1を得る。具体的な方法は次の通りである。
【0052】
プライマー対1:
P1:5’−TGGGARGGNTTYACNGC−3’
P2:5’−TCNCCRTTNGCRTCYTG−3’
プライマー対2:
G1:5’−CARGAYGCNAAYGGNGA−3’
G2:5’−GCNGTRAANCCYTCCCA−3’
【0053】
本発明の増幅したADTZ遺伝子特異性プライマーのプライマーセットは以上のP1及びP2、G1及びG2に限定されず、他のプライマー対を含むことができ、該プライマー対が上記方法で獲得したADTZ短鎖ペプチドアミノ酸配列によって設計されたものであればよい。
【0054】
(I)RT−PCRの順序:
1)テンプレートの総RNA(実施例4から獲得する)を75℃で5分間変性させて、迅速に氷の中に挿入して冷却する。
【0055】
2)マスターミックス(Master Mix)(総体系80μL)の準備:
【表2】
吸い込んで均一に混ぜて、短時間遠心する。
【0056】
3)下表に示す順序で各成分を0.5mLの無菌遠心管の中に添加する(単位:μL)。
【表3】
【0057】
4)PCR循環プログラム:
・逆転写(Reverse transcription):50℃,30分
・Initial PCR activation step:50℃,15分
・3ステップサイクル(3-step cycling)
・15サイクル:94℃,40秒
65℃,1分(−1℃/サイクル)
72℃,1分
・25サイクル:94℃,40秒
50℃,1分
72℃,1分
・Final extension:70℃,10分
【0058】
5)循環が終わった後に、5μLサンプルを取って、電気泳動検査を行う。
【0059】
(II)ゴムを切ってRT−PCR産物を回収する:
1)TAE電気泳動緩衝液を調合して、また、0.8%アガロースゲルを調合する。
2)50μLのRT−PCRの産物と10×loading bufferを割合によって混合して、サンプルを加える。
3)100V,20分間の電気泳動。
4)電気泳動が終わった後に、紫外灯を用いてバンドの位置を観察して、目的帯を切って、新しい滅菌した1.5mLの遠心管へ転移する。
5)800μLのバッファーNT1を添加する。
6)NucleoTrap Suspensionを渦巻振動して、小珠が完全に浮遊させた後に、10μLを取って遠心管に加入する。
7)遠心管を50℃水浴に6分間置いて、その間に2分毎に短い時間渦巻振動する。
8)室温下で、10000×gで、30秒遠心して、上清を捨てる。
9)500μLのバッファーNT2を加入して、短時間渦巻振動し、室温の条件で、一0000×gで、30秒間遠心して、上清を捨てる。次に、このステップを1回繰り返す。
10)500μLのバッファーNT3を加入して、短時間渦巻振動し、室温の条件で、10000×gで、30秒間遠心して、上清を捨てる。次に、このステップを一回繰り返す。
11)再度10000×gで、30秒間遠心して、上清を捨て、空気の条件で10〜15分乾燥する。
12)30μLのTEバッファー(pH8.0)を加入して、沈殿物を再び懸濁する。回収のフラグメントを“E1”と命名する。RT−PCR産物の電気泳動検査を行う。結果は図4に示すように、プライマー対P1とP2の反応の結果から1つのバンドを獲得したことを明示しており、条帯位置はおよそ800bp程度であり、これをE1フラグメントと命名する。
【0060】
(III)TAクローンと配列解析:
(1)連結:
1.5mLの新しい滅菌した遠心管に下記の成分を加入する。
1μL pUCm−Tベクター
3μL E1フラグメント(RT−PCR回収産物)
1μL 10×バッファー
1μL T4 DNAリガーゼ
4mLの無菌水を添加して総体積を10mLに補充する。
吸い込んで均一に混ぜて、短時間遠心して、22℃水浴で4時間以上置く。
【0061】
(2)CaCl2でE.coli DH5αコンピテント細胞の調製:
DH5αモノクローンを選び取って2mLのLB液体培地の中に添加し、37℃の条件で振動して一夜培養する。活性化した新鮮なDH5α菌液の中から50μLを取って5mLのLB液体培地の中に接種して、37℃の条件で振動して1.5〜2時間培養する。また、氷浴に30分置いて、菌液を無菌遠心管の中に転移して、5000rpmで5分遠心して、上清を捨てる。1.5mL氷浴した無菌CaCl2を遠心管に添加して、菌体を浮遊して、氷浴に10分置いて、5000rpmで5分遠心して、上清を捨てる。200μLの氷浴した無菌CaCl2を遠心管に添加して、菌体を浮遊して、4℃の条件で保存しておく。
【0062】
(3)DH5αコンピテント細胞の形質転換:
200μLのコンピテント細胞を取って、10μLの連結物を含む遠心管に添加して、均一に混ぜる。氷浴に30分置き、42℃の水浴に90秒置いて、直ちに氷浴に3〜5分置く。800μL LB液体培地に添加して、37℃で40〜60分培養し;90mm平板毎に200μLの量で、形質転換されたコンピテント細胞をAmpとIPTG/X−galを含むLB固体培地に塗布し、37℃で12〜16時間振動培養する。
【0063】
(4)塩基によるプラスミドDNAの抽出:
形質転換した単菌落を選び取って、2mLのアンピシリンを含むLB液体培地の中に接種して、37℃で激しく振動して一夜培養する。1.5mL菌液を取って微量遠心管に添加して、12000rpmで2分遠心して、上清を捨てる。400μLのSTE溶液を取って菌体を洗浄して、渦巻き振動して均一に混ぜて、12000rpmで2分遠心して、上清を捨てる。沈殿した菌体に100μLのプレクーリングした溶液Iを添加して、激しく振動して均一に混ぜる。200μLの新鮮に調合した溶液IIを添加して、直ちに急速に転倒させて混ぜて、氷浴に3分置く。150μLのプレクーリングした溶液IIIを添加して、転倒させて混ぜることを繰り返して、氷浴に5分間置く。12000rpmで5分間遠心して、上清は別の管の中へ移す。同等体積のフェノールを添加して、転倒して均一に混ぜる。12000rpmで5分遠心する。気をつけて上清を吸収して別の管の中へ転移する。2倍体積のプレクーリングした無水アルコールを添加して、転倒にて均一に混ぜて、室温で静かに40〜60分置く。12000rpmで10分遠心させて、上清を捨てる。200μLの70%アルコールを添加して、沈殿物を洗浄して、12000rpmで1分間遠心させて、上清を捨てる。キャップを開けて、空気の中で5〜10分乾燥して、30μLのデオキシリボヌクレアーゼを含まないリボヌクレアーゼのTEを添加し、溶解沈殿し、37℃で1時間培養する。−20℃の条件で貯蔵する。
【0064】
(5)組換えプラスミドpTE1に対する酵素切断鑑定:
HindIIIとEcoRI酵素でTAクローンのリコンを酵素切断鑑定して、次の通り表す(単位:mL)。
【表4】
【0065】
37℃で4時間以上、酵素切断を行う。1.5%アガロースゲル電気泳動で酵素切断した結果、図5のように、組換えベクターpTE1の酵素切断鑑定によれば、HindIII+EcoRI双酵素切断(1号サンプル)とHindIII単酵素切断(3号サンプル)は皆400bp以上のバンドを切った。また、前者の光度は後者より高く、EcoRI単酵素切断はリコンを線形(2号サンプル)に切る。これは、E1フラグメント中央位置に一つのHindIII酵素認識部位が存在することを示す。
【0066】
(6)配列解析:
組換えプラスミドPEG純化法(Sambrookら,1989,Molecular cloning,Cold Spring Harbor Laboratory Press,USA)によって、プラスミドDNAを抽出する。T7とSP6をシークエンシングプライマーとして、ABI377 DNA Sequencer DNA自動配列計(上海博雅公司から提供)で、表裏方向で測定を行って、E1フラグメントの核酸配列を得る。測定結果:配列はプライマーP1とプライマーP2の配列を含み、その中の位置にHindIII酵素認識部位(aagctt)が現れる。
【0067】
〔実施例6:コードADTZ全長cDNA序列の獲得〕
実施例5で獲得したADTZ遺伝子の部分の配列E1フラグメントによって、プライマーを設計する。
S1(5’−TAGGCGAAGTGTCGTCGTCAATGGAA−3’)
S3(5’−GAAGTTATCGGCTTTCCAGTCAGAGGGT−3’)
【0068】
それぞれ3’RACEと5’RACEのプライマーとして、SMARTTM RACE cDNA amplification Kit(COLONTECH Laboratories,Inc.Cat.No.K1811-2)手帳によって、3’RACEと5’RACEを行う。ゴムを切ってRACE産物を回収して、そして通常の方法によってTAクローンを行う。HindIIIとEcoRIでTAクローンのリコンを酵素切断鑑定して、1.5%アガロースゲル電気泳動で酵素切断結果を検査する。組換えプラスミドをシークエンシング会社へ送って配列解析を行なって、二つのフラグメントE2、E3を得て、NCBIのVecScreen(BLASTN2.2.5)のプログラム(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/VecScreen.html)を利用してベクターの配列を識別し取り除く。また、DNAMANプログラム(米国Lynnon BioSoft社のソフトウェア)を用いてE1、E2、E3を繋ぎ合わせて、得た配列をNCBIのORF Finderプログラム(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gorf/gorf.html)を利用し、オープン・リーディング・フレーム分析を行って、コーディングADTZ成熟ペプチドのADTZ遺伝子の全長cDNA配列を得た。具体的には次の通りである。
プライマーS1:5’−TAGGCGAAGTGTCGTCGTCAATGGAA−3’
プライマーS3:5’−GAAGTTATCGGCTTTCCAGTCAGAGGGT−3’
【0069】
(I)3’RACE:
(1)3’RACE-Ready cDNAの調製:
1)テンプレートの総RNAを75℃で5分間変性して、迅速に氷の中に挿入して冷却する。
2)0.5mLの滅菌遠心管の中に下記の試薬を添加する。
1μL 変性したテンプレートの総RNA
1μL 3’−CDSプライマーA
3μLのリボヌクレアーゼを含まない無菌水を添加して体積を5mLまで補充する。
3)吸い込んで均一に混ぜて、そして短い時間で遠心させて混合液が管底に位置するようにする。
4)70℃で、温浴で2分置く。
5)氷浴で2分置いて、少し遠心させて下記の試薬を添加する。
【表5】
6)試薬をそっと吸い込んで均一に混ぜて、少し遠心させる。
7)インキュベーターの中で、42℃で1.5時間温浴する。
8)100mLのTricine−EDTAバッファーで産物を希釈する。
9)72℃で7分間培養する。
10)サンプルは−20℃で貯蔵する。
【0070】
(2)3’RACEのステップ:
1)マスターミックス(Master Mix)(総体系100μL)の準備:
【表6】
吸い込んで均一に混ぜて、短い時間で遠心する。
【0071】
2)下表に示す順序で各成分を0.5mLの無菌遠心管の中に添加する(単位:μL)。
【表7】
【0072】
3)PCR循環プログラム:
・5サイクル:94℃,5秒
72℃,3分
・5サイクル:94℃,5秒
70℃,10秒
72℃,3分
・35サイクル:94℃,5秒
68℃,10秒
72℃,3分
【0073】
4)循環が終わった後に5mLのサンプルを取って電気泳動検査する。結果は図6に示すように、3’RACEが一つの一バンドの産物を獲得したことを明示して、産物バンドは、分子量が約800bpに位置して、E2フラグメントと命名する。
【0074】
(3)ゴムを切って3’のRACE産物を回収し、TAクローンして、CaCl2法によってE.coli DH5αコンピテント細胞を調製する。DH5αコンピテント細胞を形質転換して、塩基でプラスミドDNAを抽出する(実験操作は前記の実施例5の内容と同じである)。
【0075】
(4)組換えプラスミドpTE2に対する酵素切断鑑定:
HindIIIとEcoRI酵素でTAクローンのリコンを酵素切断鑑定して、次の通り表す(単位:mL)。
【表8】
【0076】
37℃で4時間以上、酵素切断を行う。1.5%アガロースゲル電気泳動法で酵素切断した結果を検査した。図7のように、組換えベクターpTE2の酵素切断鑑定によると、HindIII+EcoRI双酵素(1号サンプル)から切った2つのバンドは、それぞれ600bpと300〜400bp左右に位置して、HindIII単酵素(3号サンプル)から切った一つのバンドは約300〜400bpであり、EcoRI単酵素はリコンを線形(2号サンプル)に切る。そして、E2フラグメントの中に一つのHindIII酵素認識部位が存在して、その位置はフラグメントの一方の側に近い。
【0077】
(5)配列解析:
組換えプラスミドPEG純化法(Sambrookら,1989,Molecular cloning,Cold Spring Harbor Laboratory Press,USA)によって、プラスミドDNAを抽出し、T7とSP6をシークエンシングプライマーとして、ABI377 DNA Sequencer DNA自動配列計(上海博雅公司から提供)で、表裏方向で測定を行って、2つのフラグメントの核酸配列を得る。得られたE2配列は、3’に偏る位置に一つのAAGCTTのHindIII酵素認識部位がある。
【0078】
(II)5’RACE:
(1)5’RACE-Ready cDNAの調製:
1)テンプレートの総RNAを取って、75℃で5分間変性させて、迅速に氷の中に挿入して冷却する。
2)0.5mLの滅菌遠心管の中に下記の試薬を添加する。
1μL 変性したテンプレートの総RNA
1μL 5’−CDSプライマーA
1μL SMART IIA Oligonucleotide
2μLのリボヌクレアーゼを含まない無菌水を添加して体積を5mLまで補充する。
2)吸い込んで均一に混ぜて、そして短時間遠心して混合液が管底に位置するようにする。
3)70℃で、温浴で2分置く。
4)氷浴で2分置いて、少し遠心させて下記の試薬を添加する。
【表9】
5)試薬をそっと抽出して均一に混ぜて、少し遠心させる。
6)インキュベーターの中で、42℃で1.5時間温浴する。
7)100mLのTricine−EDTAバッファーで産物を希釈する。
8)72℃で、7分間培養する。
9)サンプルは−20℃で貯蔵する。
【0079】
(2)5’RACEステップ:
1)マスターミックス(Master Mix)(総体系110μL)の準備:
【表10】
吸い込んで均一に混ぜて、短い時間で遠心する。
【0080】
2)下表に示す順序で各成分を0.5mLの無菌遠心管の中に添加する(単位:μL)。
【表11】
【0081】
3)PCR循環プログラム:
・94℃,1分
・5サイクル:94℃,30秒
72℃,4分
・5サイクル:94℃,30秒
70℃,4分
・25サイクル:94℃,30秒
68℃,4分
・72℃,10分
【0082】
4)循環が終わった後に、5μLのサンプルを取って、電気泳動検査を行って、5’RACE産物であるE3を得る。結果は図8に示すように、5’RACEで一つの単一のバンドの産物を得たことを明示しており、バンドの位置はおよそ1400〜1800bp程度であり、これをE3フラグメントと命名する。
【0083】
(3)ゴムを切って5’のRACE産物を回収して、TAクローンし、CaCl2法によってE.coli DH5αコンピテント細胞を調製する。DH5αコンピテント細胞を形質転換して、塩基でプラスミドDNAを抽出する(実験操作は実施例5の内容と同じである)。
【0084】
(4)組換えプラスミドpTE3に対する酵素切断鑑定:
HindIIIとEcoRI酵素でTAクローンのリコンを酵素切断鑑定して、次の通り表す(単位:mL)。
【表12】
【0085】
37℃で4時間以上、酵素切断を行う。1.5%アガロースゲル電気泳動で酵素切断した結果、図9に示すように、組換えベクターpTE3の酵素切断鑑定によれば、HindIII+EcoRI双酵素(1号サンプル)で、それぞれ1400〜1000bpと300〜400bp左右に位置する二つのバンドが現れた。HindIII単酵素(3号サンプル)に約1400〜1000bpである一つのバンドが現れた。また、E3フラグメントの中に一つのHindIII酵素認識部位が存在することが分かる。
【0086】
(5)配列解析:
組換えプラスミドPEG純化法(Sambrookら,1989,Molecular cloning,Cold Spring Harbor Laboratory Press,USA)によって、プラスミドDNAを取り出す。T7とSP6をシークエンシングプライマーとして、ABI377 DNA Sequencer DNA自動配列計(上海博雅公司から提供)で、表裏方向で測定を行って、E3フラグメントの核酸配列を得る。得られたE3フラグメントに、5’に偏る位置に一つのHindIII酵素認識部位が存在し、3’の端部に一つのHindIII酵素認識部位が存在する。
【0087】
(III)ADTZ cDNA配列の接合:
NCBIのVecscreenプログラムによりベクター配列を認識して取り除いた後、DNAMANプログラムでE1、E2、E3を繋ぎ合わせ、得られた配列を、NCBIのORF Finderプログラムによってオープン・リーディング・フレーム分析を行い、長さが2.3kbで、完璧なオープン・リーディング・フレームがあり、また3’末端のポリ(A)尾部及び5’末端と3’末端の非翻訳領域を含む配列を得た。その結果は配列表の配列番号2に示す。ADTZヌクレオチド配列と推定されたアミノ酸配列に対して、インターネットによって、例えばプログラムBLASTとBLASTX(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)、BLASTA配列との類似性を調べて、ADTZが新たな遺伝子であり、更に、これによって推算されたコーディングADTZの成熟ペプチドのアミノ酸配列と同じ配列がGENEBANKにないので、新しいアミノ酸配列であることが分かる。
【0088】
コーディングADTZ全長cDNA配列の取得は実施例6の方法に限定されず、ADTZ短鎖ペプチドのアミノ酸配列を用いて作ったプローブによって、Armillariella tabescensのcDNAデータベースからこの配列をクローンする方法も含まれる。
【0089】
〔実施例7:コーディングADTZの成熟ペプチドcDNA生成物の取得〕
実施例6で得られたコーディングADTZ全長cDNA配列の両端配列を分析し、開始コドンから終止コドンまでのADTZオープン・リーディング・フレームを得られ、更にプライマーに制限酵素認識部位EcoRI(GAATTC)とBamHI(GGATCC)をそれぞれ添加するように、プライマー一対を設計する。
P3:5’−GTCGAATTCATGGCCACCACAACTGTC−3’
P4:3’−GTAACTCTCTGCTAACACTCCTAGGGAC−5’
【0090】
常法によってPCR増幅を行い、ゲルから切って、PCR生成物を回収する。詳細は以下の通りである。
【0091】
1)マスターミックス(Master Mix)(総体系100μL)の準備:
【表13】
吸い込んで均一に混合した後、短時間の遠心分離を施す。
【0092】
2)各成分を下表に示す順序に従って、0.5mLの無菌遠心分離管に添加する(単位:μL)。
【表14】
【0093】
3)PCRサイクルプログラム:
・94℃,1分
・5サイクル:94℃,30秒
72℃,4分
・5サイクル:94℃,30秒
70℃,4分
・35サイクル:94℃,30秒
68℃,4分
・72℃,10分
【0094】
4)サイクルが済んだ後、サンプル5mLを取って電気泳動で検査した。その結果、図10に示すように、PCRが1800bp付近に一つのバンドのような生成物が得られ、ADTZ’フラグメントと命名する。
【0095】
5)ゲルから切って、PCR生成物を回収する。
PCR生成物を回収する常法に従って、コーディングADTZ成熟ペプチドのcDNAを得た。このフラグメントをADTZ’と命名する。
【0096】
〔実施例8:組換えプラスミドであるADTZ発現プラスミドの組立て〕
遺伝子クローンは常法(Sambrookら,2001,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,USA)で行って、実施例7で得られたADTZ’をpHIL−S1にクローンして、発現プラスミドpHIL−S1−ADTZを組み立てた。クローンした後の標的遺伝子は酵素で切って、配列解析をする。詳しくは、操作は以下の通りである。
【0097】
図14に示すように、遺伝子ADTZを含む組換えプラスミドpHIL−S1の組立ては、プラスミドpHIL−S1と標的フラグメントADTZに対して、二つ酵素EcoRI及びBamHIで切り、得られた生成物について0.8%のアガロースゲルで電気泳動を行った後、ゲルを切って回収する。T4 DNAリガーゼを利用し、プラスミドpHIL−S1と標的フラグメントADTZとの結合を完成する。CaCl2法によって、E.coli DH5αコンピテント細胞を調製した後、DH5αコンピテント細胞を形質転換し、形質転換体を篩分けて、アルカリでプラスミドを抽出する。組換えプラスミドpHIL−S1−ADTZを、EcoRI+BamHI、HindIII、SacI酵素で切ることにより確認する。組換えプラスミドを取り出し、PEG純化法(Sambrookら,2001,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,USA)によって、プラスミドDNAを抽出する。T7とSP6を配列解析するプライマーとし、ABI377 DNA Sequencer 自動DNAシーケンサー(上海博雅公司製)を採用して、両端から同時に測定を行う。その結果、図11に示すように、酵素切断による組換えベクターpSAの確認において、EcoRIとBamHI二つ酵素が(サンプル1)2000bp付近にあるバンドを切り出し、HindIII酵素だけが(サンプル2)1400bp、600bp、500bpにある三つのバンドを切り出し、SacI酵素だけが(サンプル3)組換えプラスミドを切ってリニアーになり、挿しいれるフラグメントにSacI酵素認識部位がないことが分かった。
【0098】
〔実施例9:組換えADTZの発現〕
組換えプラスミドpHIL−S1−ADTZとプラスミドpHIL−S1をSacI酵素で切り、得られた生成物について0.8%のアガロースゲルで電気泳動を行った後、ゲルを切って、得られたリニアー組換えプラスミドpHIL−S1−ADTZとプラスミドpHIL−S1を回収した。Pichia Expression Kit(Invitrogen Inc.,米国)に記載するプロトプラスト法に従って、Pichia Pastoris GS115を形質転換して、Mut+形質転換体を篩分けた。メタノールを単一炭素源として、組換え菌に対して誘導性発現(Pichia Expression Kitに従って操作する)を行う場合、培養液をSDS−PAGE電気泳動で分析することにより、形質転換体が誘導性発現された後、培養液の上清に著しい標的タンパクバードが検出された。しかし、標的遺伝子を含まない空プラスミドを対照菌に形質転換したのち、同様な条件下で96時間誘導すると、上清に標的タンパクバードが検出されなかった。その結果、図12に示すように、形質転換体がメタノールで誘導性発現された後、培養液の上清に著しい標的タンパクバードが検出されたが、標的遺伝子を含まない空プラスミドを形質転換した陰性対照菌に対して、同様な条件下で誘導すると、上清に標的タンパクバードが検出されなかった。
詳しくは以下の通りである。
【0099】
(I)組換え型とPichia pastorisの相同的組換え:
(1)リニアープラスミド:
組換えプラスミドpSAとプラスミドpHIL−S1をSacI酵素で切りながら、リニアープラスミドpHIL−S1を後述の実験の対照(control)とした。
酵素pSAで切る(総体系120):12mLバッファーL+8mL SacI+100mL pSA
酵素pHIL−S1で切る(総体系120):12mLバッファーL+8mL SacI+100mL pHIL−S1
酵素で切ったサンプルについて0.8%のアガロースゲルで電気泳動を行って、ゲルを切って、得られたリニアー組換えプラスミドpSAとプラスミドpHIL−S1を回収した。
【0100】
(2)プロトプラスト形質転換に用いるPichia Pastoris GS115の培養:
1)平板から一つのGS115単一クローンを取って、10mLのYPD中に接種した後、150mLの三角フラスコで、30℃下、250〜300rpmで振動して、一晩培養した。
2)昨日培養した10mLのYPD菌液からそれぞれ5、10、20μLを取り出して、200mLのYPD中に接種した後、500mLの三角フラスコで、30℃下、250〜300rpmで振動して、一晩培養した。
3)三つの三角フラスコに菌液のOD600を検査して、OD600=0.2〜0.3の菌液を取って、遠心管に移行し、室温下1500×gで5分遠心して、上清を捨てて、細胞を収集しプロトプラスト形質転換に用いた。
【0101】
(3)Pichia Pastoris GS115のプロトプラスト形質転換:
1)収集した培養の細胞を200mLの無菌水に懸濁して、10mLの遠心管二つに移行した。
2)室温下、1500×gで5分遠心して、上清を捨てた。
3)調製したばかりのSED 10mLで沈殿を洗った後、室温下、1500×gで5分遠心して、上清を捨てた。
4)1Mソルビトール液10mLで沈殿を洗った後、室温下、1500×gで5分遠心して、上清を捨てた。
5)SCE 10mLで沈殿を懸濁した。
6)Zymolyase一管を取って、氷結した後管壁を軽く打って、溶液を均一に混合した。
7)Zymolyase 7.5μLを取って管に加えて、30℃の温度で30分育てた。
8)室温下、750×gで10分遠心し、菌体を収集して、上清を捨てた。
9)1Mソルビトール液10mLでプロトプラストを洗った後、沈殿を分散するように管壁を軽く打って、室温下、750×gで10分遠心し、菌体を収集して、上清を捨てた。
10)10mLのCaSで菌体を洗った後、室温下、750×gで10分遠心し、菌体を収集して、上清を捨てた。
11)沈殿を0.6mLのCaSに懸濁して、このプロトプラストは必ず30分以内に使わなければならない。
【0102】
(4)プロトプラスト法によるPichia Pastoris GS115の形質転換:
1)それぞれ100μLのPichia Pastorisプロトプラストを取って、A、B、C三つの15mL無菌遠心管に添加した。
2)A管にDNAを加えずに陰性対照とし、B管に線状化した本来のプラスミドpHIL−S1 30μLを加えて、C管に線状化した組換えプラスミドpSA 30μLを加えて、室温で10分育て、この間に新鮮なPEG/CaT 3mLを調製して備える。
3)各管に調製したばかりのPEG/CaTを1mLそれぞれ添加して、軽く振動し均一に混ぜて,室温で10分育てた。
4)室温下、750×gで10分遠心し、上清を捨てて、乾燥まで置いた。
5)沈殿を150μLのSOSに懸濁して、室温で20分育てた。
6)各管に1Mソルビトール液を10mLそれぞれ添加して、プレートの塗装を準備した。
7)RD固体培地をプレートごと200μL塗布して、28〜30℃で反転置いて培養し、4〜6日後、形質転換体が出現した。
【0103】
(5)Mut+形質転換体の篩分け:
1)無菌楊枝でHis+形質転換体を取って、プレートMMとMDに一対一に菌を点在させながら、GS115/His+MutsAlbumin分とGS115/His+Mut+β−galとも点在させて、対照とした。
2)28〜30℃で反転置いて二日培養した。
3)二日後、プレートMMとMDを対照して、いずれのプレートにも良く成長したのがMut+で、プレートMDに良く成長したが、プレートMMに少し成長した、或いは成長しなかったのがMutsである。
【0104】
(6)組換え菌の誘導性発現:
1)His+Mut+形質転換体の一つの単一クローンを取って、25mLのBMGに接種して、250mLの三角フラスコで、28〜30℃下、250〜300rpmでOD600=2〜6(約16〜18時間)まで振動しながら培養した。
2)1500〜3000×gで5分遠心して、細胞を収集して、上清を捨てた後、細胞をBMMにOD600=1.0(約100〜200mL BMMを要する)まで懸濁して、1Lの三角フラスコで、28〜30℃下、250〜300rpmで振動し、引き続き培養した。
3)24時間毎に100%メタノールを添加し、最終の濃度を0.5%とし、誘導性発現を維持した。
4)誘導性発現を96時間続けた。培養液を2〜3分遠心して、上清を取って−80℃で保存して、発現生成物の純化に用いる。
96時間で誘導培養した上清中に総タンパク質量は0.23mg/mLであった。標的タンパクの分子量はBioEditソフトウェア(http://www.mbio.ncsu.edu/BioEdit/bioedit.html)で予測した理論値76.95kDaと一致した。
【0105】
〔実施例10:組換えADTZの純化〕
誘導発現の発酵液が70%の飽和(NH4)2SO4で沈殿して、沈殿から粗酵素サンプルを得た。粗酵素サンプルは同じ体積のPBSで溶解し、遠心した後、上清を取って疎水クロマトグラフPhenyl sepharoseカラムに通導し、連続的な勾配の溶出液により溶出し、標的ピークを収集した。透析脱塩し、PBS溶液で平衡化した後、濃縮した。濃縮した酵素液が金属キレート親和クロマトグラフChelating Sepharoseカラムに通導し、pH7.5〜6.0の非連続的な勾配の溶出液により溶出し、標的ピークを収集した。具体的には次の通りである。
【0106】
(1)硫酸アンモニウムで沈殿し、粗酵素を収集した。
40%の飽和度になるまで組換え発現発酵液に(NH4)2SO4粉末を加え、4℃下、10000gで20分間遠心し、更に上清に(NH4)2SO4粉末を添加し70%の飽和度になされ、4℃下、10000gで20分間遠心して、粗酵素サンプルを得た。
【0107】
(2)疎水クロマトグラフ:同じ体積の0.02M PBS(pH:6.0)溶液にADTZ粗酵素サンプルを溶解し、4000g、4℃で10分間遠心し、上清を取って、Phenyl sepharoseカラム[Phenyl sepharose 6 Fast flow(high sub),Pharmacia Biotech,Inc.]に通導し、基線まで溶液(0.02M PBS+30%飽和硫酸アンモニウム,pH:6.0)で洗った後、連続的な勾配の溶出緩衝液[A液(0.02M PBS+10%飽和硫酸アンモニウム,pH:6.0)+B液(0.02M PBS,pH:6.0)]により溶出し、活性ピークを収集した。透析脱塩し、F液(0.02M PBS+0.5M NaCl,pH:7.5)で平衡化した後、タンパク質の濃度が1mg/mLになるまで濃縮した。
【0108】
(3)金属キレート親和クロマトグラフ:Chelating Sepharose[Chelating Sepharose Fast Flow,Pharmacia Biotech,Inc.]を予め0.2M CuCl2溶液で飽和させ、純水で基線まで洗った後、更にF液(0.02M PBS+0.5M NaCl,pH:7.5)で洗って基線に安定させた。疎水クロマトグラフを行った標的ピークサンプルをカラムに通導し、別々に非連続的なpH勾配の緩衝液G液[0.02M PBS+0.5M NaCl,pH:7.5〜6.0の非連続的なpH勾配の緩衝液(0.5のpH単位毎に増加させた)]により溶出し、標的ピークを収集した。標的ピークをSDS−PAGE電気泳動で鑑定した。
【0109】
その結果、誘導性発現をした1Lの発酵液が以上の純化をした後、純化した組換えADTZが58mg得られた。純度は95%以上になる。
【0110】
〔実施例11:組換えADTZの活性の鑑定〕
組換えADTZの活性の鑑定は実施例2の方法Iに従って行った。反応系:(1)活性化酵素群:1μLのAFB1溶液(AFB1メタノール溶液:0.5μg/μL、窒素ガスで揮発した)+組換え発現ADTZ酵素液(タンパク質の含有量:0.1mg/mL)300μL+0.5μL MgSO4+10μL PEG200;(2)不活性化酵素群:1μLのAFB1溶液(AFB1メタノール溶液:0.5μg/μL、窒素ガスで揮発した)+不活性化した組換え発現ADTZ酵素液(タンパク質の含有量:0.1mg/mL、予め100℃で5分間水浴した)300μL+0.5μL MgSO4+10μL PEG200;(3)緩衝液対照群:1μLのAFB1溶液(AFB1メタノール溶液:0.5μg/μL、窒素ガスで揮発した)+PBS緩衝液(0.1M,pH:6.6)300μL+0.5μL MgSO4+10μL PEG200;反応系を均一に混合して、30℃で1時間水浴した後、管内のAFB1総量が2μgになるまで、1時間毎にAFB1を0.5μLそれぞれ添加した。その後、引き続き6時間反応させた。反応が済んだ後、実施例2の方法Iに従って点板展開し検査した。
【0111】
その結果は、組換えADTZで処理したAFB1生成物のRf値が1(=0.93)に近づき、天然ADTZの結果と似て、組換えADTZがAFB1を転化する活性を有することである。結果を図13に示す。組換えADTZで処理すると、AFB1生成物のRf値が1(=0.93)に近づき、天然ADTZの結果と似て、組換えADTZがAFB1を転化する活性を有することが分かった。
【0112】
〔実施例12:組換えADTZのAFB1に対する解毒生物活性の鑑定〕
組換えADTZの活性の鑑定は実施例2の方法IIに従って行った。天然ADTZの代わりに組換え発現ADTZを用いた以外、他の群が同様な設計と操作で、試験を受けたサンプルを調製した。その結果、活性組換えADTZで処理した群の細菌復帰突然変異コロニーの数は陰性対照群(DMSO対照群)と近似していた(いずれのMR値も2未満)。緩衝液処理対照群と不活性化組換えADTZ処理群は、細菌復帰突然変異コロニーの数が陰性対照群(いずれのMR値も2以上)より著しく高いが、陽性対照群(アフラトキシンB1対照)と著しい差がなかった。組換えADTZはAFB1に引き起された突然変異を抑制する生物活性作用を有することが分かった。結果を下表に示す。
【0113】
【表15】
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】純化したADTZのPAGE電気泳動の結果である。M:標準分子量タンパク質;1,2:BSA(小牛の血清アルブミン);3:硫酸アンモニウムで沈殿した粗酵素成分;4:純化したADTZ。
【図2】純化したADTZのAFB1を転化する作用の薄層クロマトグラフで検査した結果である。1:AFB1標準品;2,3:PBS緩衝液対照群;4:不活性化のADTZでAFB1を処理する対照群;5:ADTZでAFB1を処理する群;6:AFB1標準品。
【図3】Armillariella tabescensの総RNAを電気泳動した結果である。
【図4】RT−PCR生成物の電気泳動結果である。M:DNAマーカー;E1:RT−PCR生成物。
【図5】組換えベクターpTE1の酵素切断鑑定した結果である。M:DNAマーカー;1:Pte1/HindIII+EcoRI;2:pTE1/EcoRI;3:pTE1/HindIII。
【図6】3’RACE生成物の電気泳動による検査結果である。M:DNAマーカー;E2:3’RACE生成物。
【図7】組換えベクターpTE2の酵素切断鑑定した結果である。M:DNAマーカー;1:pTE2/HindIII+EcoRI;2:pTE2/EcoRI;3:pTE2/HindIII。
【図8】5’RACE生成物の電気泳動による検査結果である。M:DNAマーカー;E3:5’RACE生成物。
【図9】組換えベクターpTE3の酵素切断鑑定した結果である。M:DNAマーカー;1:pTE3/HindIII+EcoRI;2:pTE3/EcoRI;3:pTE3/HindIII。
【図10】End to end PCR生成物の電気泳動による検査結果である。M:DNAマーカー;ADTZ’:PCR生成物。
【図11】組換えベクターpSAの酵素切断鑑定した結果である。M:DNAマーカー;1:pSA/BamHI+EcoRI;2:pSA/HindIII;3:pSA/SacI。
【図12】発現生成物のSDS−PAGE分析結果である。1:96時間で誘導した陰性対照菌;2:標準分子量タンパク質;3:BSA(小牛の血清アルブミン);4:24時間で誘導した組換え菌;5:48時間で誘導した組換え菌;6:72時間で誘導した組換え菌;7:96時間で誘導した組換え菌。
【図13】組換えADTZのAFB1を転化する活性をTLCで検査した結果である。1:AFB1標準品対照;2:組換えADTZ処理AFB1群のサンプル;3:不活性化の組換えADTZ処理AFB1対照群のサンプル;4:緩衝液対照。
【図14】ADTZ組換え型の組立て、及びそれとPichia pastorisの相同的組換えのフローチャートである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、アフラトキシンを転化する活性を有する解毒酵素、及びこの酵素をコーディングする遺伝子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アフラトキシン(Aflatoxin,AFT)は毒性が非常に強い真菌毒素であって、毒性を引き起こすラジカルが同じく、且つ構成が類似であるアフラトキシンB1(Aflatoxin B1,AFB1)、アフラトキシンM1(Aflatoxin M1,AFM1)、アフラトキシンG1(Aflatoxin G1,AFG1)等を含み、有毒菌株アスペルギルス・フラバス、アスペルギルス・パラジチカス及び他のかび菌(例えば、アスペルギルス・ウェンティ−)等から発生する。アフラトキシンは、穀物、飼料、食品に広く存在し、人類に対して、(1)AFTに汚染された食品をもし食用する前にAFTを除去しなかったら、食べた者に直接損害を与え、或いは、AFTが汚染された飼料を通じてフードチェーンを経由して鳥類・家畜肉、乳製品等を食べる人間に間接損害を与えて、直接または間接的に急性中毒を起こしたり或いは人類の癌を誘発する;(2)鳥類・家畜が汚染された飼料を摂取したら、軽い結果としては中毒され、直接な結果としては動物の体重の低下を引き起こしたり、或いは他の病気を誘発し、間接な結果としてはフードチェーンを通じて人類の慢性中毒を起こして、癌を誘発し、重い場合は死亡を起こす;(3)AFTに汚染された食糧、穀物を食べ又は飼養することができないので、廃棄処分しなければならない、等の主な危害を与える。
【0003】
アフラトキシンがこのような危害があるので、長い間、AFTの解毒技術が人々に注目されてきた。AFTの転化方法として下記方法がある。例えば、(1)アンモニア処理法:水を含む飼料に用いるが、処理した後で多量のアンモニアが食品に残存するので、米国FDAではこの方法で食品加工を行うことを禁止し、飼料中にも多量のアンモニアが含まれたので利用に影響を与えた。(2)NaOH法(植物油粗製でAFTを取り除くために用いる):設備の投資が大きく、燃費が大きく、コストが高いので、現在次第に淘汰される。(3)白土吸着方法:労働強度が強く、白土のほこりと燃費及び環境汚染等の問題があるので、現在は大体淘汰された。(4)混合溶媒抽出法:この方法は落花生の粉や綿実等の固形食品からAFTを取り除くために用いるが、抽出、溶媒の回収と処理際の費用が非常に高いので、広める価値がない。(5)高温法:この方法は処理されたサンプルを268℃以上に加熱することによりAFTを破壊するが、通常の加熱法であるとこの温度に達成しにくく、また、温度が高すぎると、食品の他の栄養成分を破壊する問題があって、実際にあまり応用しない。(6)生物学的方法:この方法はカッキン(活菌)或いは固定化細菌を利用してAFTを分解するが、カッキンにより原料の栄養成分が分解され、更に分解した新しい生成物及びこの生成物の毒性が明らかでないため、この方法は僅かの飼料と落花生油の解毒だけに用いられる。例えば、1996年の広東微生物所からの報告によると、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)菌を固形発酵した後のものを用いて解毒に適用するBDA生物製剤を製造したことがある。(7)紫外線法:紫外線の強い酸化作用を利用してAFTを破壊するが、効果が不安定で、且つエネルギーの消耗も大きい。(8)超濾過法:このような方法は非均相だけに用いられ、均相、酸性化の牛乳については無効で、更に高い技術を要し、設備の費用が非常に高いので、今まで実際的な応用価値がない。(9)生物酵素法:ある学者からの報告(Brown DWら,Proc.Natl.Acad.Sc.,USA,1996)によると、大腸桿菌の中で肝チトクロームP450酸化酵素をクローン(clone)発現して、アフラトキシンの代謝を強める酸化酵素を用いて、体内に入って活性化されたAFTに対して転化解毒作用を行い、これにより体内に入ったAFB1を低減する目的を実現する。
【0004】
これらの処理方法において、物理化学的な手段でAFTを転化する方法は強いため、処理された穀類、飼料、食品等の利用価値が小さくなり、効率も比較的に低く、コストの視点から言っても工業上に適用される方法ではない。また、体内でP450酸化酵素を高める方法はAFB1の代謝を強めることができるが、従って人に対する危険性も増加した。生物酵素触媒法は、もっと強い専一性、高転化効率という特徴を具備したので、AFTを直接に転化させる生物酵素の開発を検討している。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、アフラトキシンを転化する活性を有する解毒酵素、及びこの酵素をコーディングする遺伝子を提供することを目的とする。
【0006】
このような酵素を得るために、本発明者は篩い分けにより得た1株のかび菌から、AFB1を転化する生物酵素を純化し、またDNAの組換え技術を介して、1種の形質転換体の中で、AFB1を転化する活性を有するタンパク質を製造した。従って、本発明者は、初めて前記活性の有する新型のタンパク質を分離、純化して、アフラトキシン解毒酵素(Aflatoxin-detofizyme,ADTZ)と命名した。
【0007】
本発明は、純化と配列解析を介してアフラトキシン解毒酵素(Aflatoxin-detofizyme,ADTZ)の遺伝子の特異性プライマーを得、ナラタケモドキ(Armillariella tabescens)の総RNAから、クローンによって、ADTEをコーディングし、且つ今まで報告したことがない新遺伝子を得ており、更に遺伝子工学技術を用いて、ピキア・パストリス(Pichia Pastoris)発現系の中に組換えADTZタンパク質を発現、純化する。選ばれた真菌はArmillariella tabescensで、中国普通微生物菌種保蔵管理中心から取り出したものである。
【0008】
ADTZの純化:先ず、菌体をつぶし、硫酸アンモニウム沈殿法によってタンパク質沈澱を行い、沈殿サンプルは高速タンパク質液相クロマトグラムによって目的ピークを得る。
ADTZ短鎖N末端のアミノ酸配列の獲得:目的ピークに対して質量スペクトル解析を行って、短鎖ペプチドN末端のアミノ酸配列を得る。
【0009】
本発明において、Armillariella tabescensの総RNAの抽出を行う。上述の短鎖ペプチドN末端のアミノ酸配列によってプライマーを設計し、RT−PCRとSMART RACEを行い、得られたADTZ遺伝子の配列の長さは約2.3kbで、分析によると、配列には完全なオープン・リーディング・フレームと、3’末端及び5’末端の非翻訳領域とが含まれる。ADTZ成熟ペプチドの全長cDNA2088個のヌクレオチドをコーディングし、695個のアミノ酸をコーディングし、それの分子量が約73〜77kDa(SDS−PAGE電気泳動法)で、等電点(pI)が5.3〜6.8の間である(等電点電気泳動)。アミノ酸及びDNA配列は配列表に示す通りである。例えば一部のアミノ酸を除いて、置換して、修飾し、又は付加した後生成した産物等の修飾産物も、本発明のタンパク質の範囲に含まれる。
【0010】
また、本発明の他の目的として、上述のような遺伝子を含む発現ベクター及び該発現ベクターで宿主細胞を形質転換することにより得られる形質転換体を提供する。更に、形質転換体を培養する工程と、発現されたアフラトキシン解毒酵素を回収する工程を備えるアフラトキシン解毒酵素の製造方法も提供する。
【0011】
本発明において、一対のプライマーを設計することによって、Armillariella tabescensのcDNAからADTZ成熟ペプチドをコーディングする遺伝子を増幅し、真核組込型分泌発現ベクターにクローンする。例えば、pHIL−S1に基づいて発現プラスミドpHIL−S1−ADTZを構成し、また、組換え発現ベクターをPichia Pastoris GS115に形質転換する。該発現ベクターは、AOXをプロモーターとする。培養時間と誘導時間の探査によると、ADTZの発現量は培地総タンパク質の25%以上を占め、可溶の状態になる。
【0012】
本発明で用いた真核発現ベクターは、例えば、PAO815、PPIC3K、PPICZ、PHWO10、PGAPZ、又は分泌型ベクター、及びPPIC9K、PPICZα、PGAPZα、又は市販の同種のベクター等の細胞内型ベクターから選ぶことができる。なお、本発明で用いた真核発現菌株も、Pichia Pastoris KM71、MC100−3、SMD1168、SMD1165、SMD1163等から選んで宿主細胞とする。
【0013】
本発明は、原核発現系を用いても実現でき、pET、pUCH33等、或いは市販の同類のベクターから何れかを選んで発現ベクターとし、大腸菌BL21、大腸菌JM109等から何れかの原核発現菌株を選んで宿主細胞とする。
【0014】
発現ベクターの複製方法:Sambrookらの方法(Sambrookら,2002,Molecular cloning,Cold Spring Harbor Laboratory Press,USA)を参照し、CaCl2法に応じてコンピテント細胞E.Coli DH5αを調製、形質転換し、アンピシリン(100μg/mL)を含む培地で細胞を培養してから、塩基法でプラスミドを抽出する。
【0015】
本発明では、組換えADTZの純化条件も探査した。発酵もろみ液を硫酸アンモニウム沈殿した後、疏水クロマトグラフィーと金属親和クロマトグラフィーの二段階純化法を利用して組換えADTZを得て、組換えタンパク質の純度が95%以上に至る。
【0016】
本発明の他の目的として、飼料及び食品の製造中に前記アフラトキシンを転化する活性を有する解毒酵素を用いて脱毒するアフラトキシンの脱毒品を提供する。現在の飼料と食品の加工プロセスに合わせて、本発明で述べたようなアフラトキシンを転化する活性の有する解毒酵素を、脱毒剤として飼料中に添加することにより飼料の脱毒を行い、或いは固定化酵素に調製して、落花生油の脱毒に用いる。
【0017】
本発明のまた他の目的として、調製中に前記アフラトキシンを転化する活性を有する解毒酵素を用いたアフラトキシンによる癌を予防と治療する薬物提供する。現在の抗癌薬のプロセスに合わせて、本発明で述べたアフラトキシンを転化する活性を有する解毒酵素を添加することによって、アフラトキシンが誘発した癌の予防と治療に用いる薬物を得る。
本発明において、発明者は、初めてこのタンパク質をコーディングする遺伝子を分離、偏析した。また、発明者はこの遺伝子を一種の発現ベクターに組み込んで、一種の形質転換体を生成し、更に、この形質転換体に基づいて、ADTZタンパク質の製造を成功的に実現することができた。活性鑑定実験によれば、組換えADTZが天然ADTZと類似なアフラトキシンを転化する生物活性を有することが証明される。組換えADTZのAFB1解毒生物活性に対する鑑定実験によれば、組換えADTZが、AFB1の異常(aberration)作用を低下させ、AFB1が引き起こす突然変異を抑制する生物活性作用を有することが証明される。本発明は、これからの飼料加工、食品加工及び抗癌薬の開発において、優れた基礎を築いた。
【実施例】
【0018】
〔実施例1:ADTZの獲得及び純化〕
(I)菌体の発酵培養:
1)菌種:Armillariella tabescens
2)前記菌種を液体培地(馬鈴薯抽出液1L、グルコース20.0g、KH2PO4 3.0g、MgSO4・7H2O 1.5g、微量のビタミン、pH6.6)で合計25日培養して、一級〜三級をそれぞれ6日、4日、4日培養し、四級は11日培養し、培養温度を24〜28℃として、菌体を収集した。
【0019】
(II)アフラトキシン解毒酵素(ADTZ)の抽出:
新鮮な菌体を液体窒素凍結した後に小さい塊に打って、1:1(W/V)の比例でリン酸塩緩衝液を加えて、氷浴の中でホモジネートし、超音波で細胞を滅裂した後に、11000〜12000g遠心力で遠心分離法により沈殿物を除去し、それから20〜80%飽和の硫酸アンモニウムで分別沈殿し、最後に沈殿物を取り出す。pH6.0,0.02mol/Lのリン酸緩衝液で溶解懸濁して、ブラッドフォードタンパク質分析(Bradford法)し、また、AFB1 ELISAキットでタンパク質の成分の酵素活性を検査して、アフラトキシン解毒酵素(ADTZ)を含む酵素液を得る。
【0020】
(III)ADTZの純化:
(1)酵素サンプルの準備:
粗酵素液を40倍体積のリン酸緩衝液(pH6.0,0.02mol/L)で透析脱塩し、ポリエチレン・グリコール−20000で透析濃縮して、また、0.45μmマイクロフィルムで濾過してから、ブラッドフォードタンパク質分析する(Bradford法)。
【0021】
(2)高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)純化酵素:
文献(Ion Exchange Chromatography principles and methods,Pharmacia Co.編,Pharmacia Co.,1984,pp.29〜31;及びChromatofocusing with PolybufferTM and PBETM,6.Experimental,Pharmacia Co.編,Pharmacia Co.,1984,pp.11〜24)記載の方法によって、イオン交換クロマトグラムと、等電点電気泳動法クロマトグラフィーカラム填料と、緩衝液とを選んで、操作請求に従って、イオン交換クロマトグラム及びフォーカスクロマトグラムを、すべてFPLC System(Pharmacia Biotech Co.,米国)により行う。詳細は以下の通りである。
【0022】
(i)陰イオン交換クロマトグラム:
1)試薬:
pH6.0,0.2mol/Lリン酸塩貯蔵緩衝液
A液:pH6.0,0.02mol/Lのリン酸緩衝液
B液:pH6.0,0.02mol/L+1N NaClのリン酸緩衝液
【0023】
2)カラムの準備:
DEAE-Sephadex 50mLを、2倍の体積のリン酸塩緩衝液と十分に攪拌洗浄した後に、20分間静置し、そして小型真空ポンプで上清を引出して、相同な操作をして洗浄を繰り返し、また、相同の条件で5回繰り返して洗浄した後に、0.6mL/分の流速で規格が20×30cmであるカラムに充填する。
【0024】
基線が0付近に安定するようA液で当該カラムを平衡化する。酵素サンプル20mL(2mg/mLのタンパク質を含む)を予めカラムに通導して、DEAE-Sephadexイオン交換カラムを通過させる。塩化ナトリウム勾配溶出:A液で2時間溶出して、またA液及び0〜80%のB液で5時間溶出した後に、100%のB液で2時間溶出する。且つ流速を0.6mL/分とする。そして、フラクションコレクターで収集する。紫外線OD280nmモニターする。ポリエチレン・グリコール−20000で透析濃縮して脱塩してから、ブラッドフォードタンパク質分析し(Bradford法)、別々に各タンパク質成分の転化AFB1活性を測定して、活性成分を受け取る。以上の操作を繰り返して、活性成分を収集する。
【0025】
(ii)フォーカスクロマトグラフィー:
1)試薬:
溶出液:PolybufferTM 74(Pharmacia Co.製),250mL包装。100mLを取って純水を添加して1000mLまで薄め、4℃の条件に保存して予備用とする。
最初緩衝液:pH7.4,0.025mol/Lのイミダゾール−HCL緩衝液
2)カラム:
Mono-pTM PBE94,5×20cm予め装填カラム(Pharmacia Co.製)。
【0026】
Polybuffer 74で、前記イオン交換クロマトグラム純化を経由した後の酵素液6mL(タンパク質3mg/mLを含む)を平衡化させる(平衡化した後は6.5mLである)。最初緩衝液でMono-pカラムを2時間平衡化させ、Polybuffer 74溶離液でカラムを通過させて、2mL酵素液サンプルを通導し、またPolybuffer 74溶離液で10時間溶離する。且つ流速を0.2mL/分とする。紫外線OD280nmモニターを施してクロマトグラムを記録し、また、フラクションコレクターで受け取って、2mL/管(即ち、10分/管)に設定する。ブラッドフォードタンパク質分析し(Bradford法)、各タンパク質成分の転化AFB1活性を別々に測定する。活性成分を収集する。
【0027】
AU値が0に返るまで、0.1mol/Lのリン酸でカラムを洗って、再びAU値が0に返るまで、1mol/LのNaClでカラムを洗って、また、最初緩衝液でカラムを平衡化させて一晩おく。前記の条件でフォーカスクロマトグラム操作を繰り返して、活性成分を収集する。
【0028】
(iii)ELISA法による活性成分の検査:
収集した各成分について別々にAFB1を取り扱い、ELISA法によって処理をしたサンプルの中のAFB1の量を検査し、100℃の条件で10分間沸騰した同じ成分を対照するが、AFB1を減少させることができる成分が活性の成分である。詳細は以下の通りである。
【0029】
1)サンプルの準備:
不活性化酵素液群:AFB1 200ul(濃度2.5ng/mLメタノール)+不活性化酵素液200ul(1.2mg/mL)
活性酵素液群:AFB1 200ul(濃度2.5ng/mLメタノール)+活性酵素液200ul(1.2mg/mL)
質量制御群:AFB1 200ul(濃度2.5ng/mLメタノール)+緩衝液200ul(1.2mg/mL)
不活性化酵素液の調製:成分を100℃で10分間煮沸させる。
【0030】
均等に混合して、30℃の条件で30分間反応させ、また15分間煮沸させて5分間3000g遠心力で沈殿物を除去し、サンプルを調製した後にELISAキット(AgraQuantTM Total Aflatoxin Assay 4/40,ROMER社製,米国)の操作仕様書によって操作し、標準曲線によって処理した後の産物の中に含まれているAFB1を算出する。収集した各成分を検査して、サンプルの中のAFB1が減少させ得る成分が活性のある成分となる。検査結果:活性のある成分の活性酵素液処理のサンプルの中で、AFB1は1.230±0.508ng/mLであり、活性のある成分の不活性化酵素液処理のサンプルの中で、AFB1は2.436±0.326ng/mLであり、質量制御群は2.508±0.203ng/mLである。
【0031】
活性ピークは、非還元性条件の下に電気泳動(PAGE)するが、これは単一のバンドであることを表明する。結果は図1の通りである。
得られたタンパク質は、SDS−PAGE電気泳動によって分析した結果、分子量が約73〜76kDaであり、等電点電気泳動によって分析した結果、等電点(pI)が約5.3〜6.8である。
【0032】
〔実施例2:純化したADTZ活性の鑑定〕
(I)ADTZでAFB1を転化する活性の鑑定:
中国予防医学科学院の標準処点(食品衛生国家標準集,中国予防医学科学院標準処編,北京,中国標準的出版社,1998年版,pp.410〜415)及び▲ジェー▼永信(薄層クロマトグラフの食品分析への応用,▲ジェー▼永信,陸氷真編集,北京大学出版社,1991年版,pp.118〜123)が報告した方法に従って、薄層クロマトグラフ法により、ADTZで処理したAFB1に対して検査・測定を行って、純化したADTZ活性を鑑定する。具体的な方法は次の通りである。
【0033】
(1)実験群:
1.5mLの遠心管一つを取って、1μLのAFB1溶液(AFB1メタノール溶液:0.5μg/μL,アフラトキシンB1,Alexis Biochemicals Inc.,スイス)を添加して、窒素ガスを蒸着する。別々にADTZ酵素の液体(タンパク質の含有量:0.1mg/mL)300μL、MgSO4 0.5μL、PEG200 10μLを添加して、十分に混ぜる。30℃の水浴の中で1時間反応させて、試験管の内のAFB1総量が2μgになるように、以降毎時間ずつ各容器へ0.5μLのAFB1溶液を添加する。添加を完了した後、更に2時間反応させる。
【0034】
(2)対照群:
1.5mLの遠心管一つを取って対照群1と表記し、1μLのAFB1溶液を添加してから、窒素ガスを蒸着する。別々に、300μLの酵素溶液(前もって100℃水浴で5分間非活性化する)、MgSO4 0.5μL、PEG200 10μLを添加した後、十分に混ぜる。1.5mLの別の遠心管を取って対照群2と表記し、1μLのAFB1溶液を添加してから、窒素ガスを蒸着する。別々に、3300μLのPBS緩衝液(0.1M,pH6.6)、MgSO4 0.5μL、PEG200 10μLを添加して十分に混ぜる。後続操作は実験群と同じである。
【0035】
以上のように、実験群と対照群の反応を行った後に、それぞれ2倍体積のクロロホルムを添加して二回抽出する。また、45℃の条件と窒素の下で抽出物を蒸着して、1mLのメタノールを添加して抽出物を十分に溶解させる。こうして、実験群サンプル(活性酵素群)、対照群1(修飾酵素群)、対照群2(緩衝液対象群)を得た。
【0036】
(3)薄層クロマトグラフ(TLC)で反応産物を検査する:
新しく活性化(100℃,2時間)したプレハブシリカゲルの薄層板(10×10cm,60Å,Whatman,USA)を取って、薄層板の上でサンプルをポイントして、ポイントをへりから1cm離れ、ポイントの間隔を1cmとする。左から右に:第1ポイントは10μL,25μg/mLのAFB1クロロホルム溶液であり;第2、3ポイントはそれぞれ10μLの対照群2であり;第4ポイントは10μL,2号の対照群1であり;第5ポイントは10μLの実験群であり;第6ポイントは10μL 25μg/mLのAFB1クロロホルム溶液である。
【0037】
展開:展開溝の内に10mLの無水エーテルを展開して、取り出して揮発乾燥する。
観察:波長が365nmである紫外線の下で蛍光を観察して、写真を撮る。結果は図2に示す通りである。
結果によると、AFB1の標準品(1、6)と酵素の非活性化対照(4)とPBS緩衝液対照(2、3)について、エーテルが展開する時すべてただ微小な移動のみが発生したが、ADTZ処理を行った後のAFB1産物のRf値は1に近づいている(=0.95)。これで、解毒処理をした後のAFB1が、その極性が著しく減少して、AFB1と明らかに異なり、純化して得たADTZがAFB1を転化する活性を有することを説明する。
【0038】
(II)AFB1に対するADTZの解毒生物活性の鑑定:
エームス・ネズミチフス菌バイオアッセイ試験(Ames実験)は中華人民共和国衛生部薬政局の公布する方法(中華人民共和国の衛生部薬政局が編集、新薬(西洋式薬)の臨床研究指導集(薬学、薬理学、毒理学),1993年7月)に従って行う。具体的な方法は次の通りである。
【0039】
(1)菌株のテスト:
ヒスチジンの栄養欠陥型のネズミのチフスサルモネラ菌株TA98(衛生部薬品生物製品検定所から引用)であり、−85℃(零下85℃)の低温の冷蔵庫で保存して、テストの前で採用の菌の株に対して遺伝子型鑑定及び自発回変数の測定を行って、生物学の鑑定は合格で、実験要求に符合する。
【0040】
(2)肝S9の調製:
(i)SDラット誘導:SDラットを一周間検疫して病気がないことを確定して、ポリ塩化ビフェニルでトウモロコシ油を混濁し、腹腔注射(500mg/kg体重)して、5日後の死刑を決め、死刑に処する前に12時間断食する。
(ii)S9成分の調製:上述のように誘導したSDラットに対して首を切って血を落ち、また、無菌の条件で肝臓を取って、重さを量り、肝臓を冷たい0.15mol/L(以下同じ)KClにより洗浄する。1g肝臓に3mLの割合で添加してホモジナイザーで均質化してから、各組織の均質化時間を一致させる。均質液を0℃で、9000g遠心力で20分間遠心して、上清液を取る。無菌を証明した後に−85℃の冷蔵庫に貯蔵して備え付けておく。
【0041】
(3)S9混合液の調製:
下記A、B、C液とS9成分を混合して、4℃の条件で保存して4時間以内に使う。
A液:(0.2mol/L,補酵素II,濾過滅菌)0.2mL
B液:(0.2mol/L,グルコース6−リン酸,濾過滅菌)0.25mL
C液:8.55mL
C液組成(0.4mol/L MgCl2 20mL,1.65mol/L KCl 20mL,0.2mol/Lリン酸緩衝液(pH7.4)500mL,蒸留水315mL,混ぜた後に濾過滅菌する)。
S9成分:1.00mL
【0042】
(4)試験サンプルの調製:
30mLの反応体系において、ADTZ濃度が0.2mg/mLで、AFB1の濃度が0.2mg/mLで、pH値が6.0であるが、28℃の下で120分間反応して、体系を10倍拡大する。反応後に、同等体積のクロロホルムでアフラトキシンB1副産物と未反応の残留物を3回抽出して、有機相を合併し、更に、40℃で減圧してクロロホルムを揮発乾燥する。また、3.75と3mLのDMSOで抽出物(活性酵素処理反応群)を洗浄し、活性ADTZの代わりに予めクロロホルムで非活性化させたADTZによって、同等の条件下にアフラトキシンB1(非活性化する酵素処理対照群)を処理する;活性ADTZ酵素液の代わりに緩衝液により、同等の条件下にアフラトキシンB1(緩衝液処理対照群)を処理する。以上のサンプルを全部−15℃の条件で保存する。
【0043】
(5)エームス・ネズミチフス菌バイオアッセイ試験:
サンプルのDMSO溶液と一夜培養した菌液及びS9を上層寒天培養基の中に添加して均一に混ぜる。また、40℃の条件で下層Vogel選択培地に倒れて置き、凝固した後に37℃のインキュベーターで72時間培養して、培養皿毎に現れる復帰突然変異コロニーの数を算出する。
群毎にテストする時、各群の抽出液及び陰陽性対照を全部3つの平皿に設けて、1回繰り返す。各群の抽出液の結果は、2回6群の平均値である。実験結果は、復帰コロニーの数、突然変異率(MR=サンプル復帰コロニーの数/陰性対照復帰コロニーの数)、及び抑制率(%)[={1−(被験サンプル復帰コロニーの数−陰性対照群復帰コロニーの数)/(AFB1対照群復帰コロニーの数−陰性対照群復帰コロニーの数)}−100%]によって表示される。
【0044】
(6)結果評価基準:
溶剤対照群が正常な範囲内であれば、受検物は3個濃度以上に陽性用量反応があり、最大の増加値は溶剤対照値の2倍(即ちMR≧2)であって、致突然変異陽性と考えられる。
【0045】
(7)結果:
活性ADTZ処理反応群の細菌復帰突然変異コロニーの数は、陰性対照群(DMSO対照群)に近づいている(MR値が全部2より小さい)。緩衝液処理対照群と不活性化ADTZ処理対照群の細菌復帰突然変異コロニーの数は、陰性対照群(MR値が全部2より大きい)より顕著に高い、陽性対照(アフラトキシンB1対照)の細菌復帰突然変異コロニーの数に比べて顕著な相違がない。これは活性ADTZ処理反応群の被試験物が誘発遺伝子突然変異作用を有しないことを表明している。ADTZはAFB1の突然変異を抑制する生物活性作用を有することを表す。結果は次の表の通りである。
【0046】
【表1】
【0047】
以上の表によると:突然変異誘発実験はラットの肝臓S−9混合物を含むSalmonella typhimuriurmn TA98を試験菌として行う。突然変異実験に用いるAFB1対照群の濃度は0.8mg/50mL DMSO/平板である。また、AFB1酵素処理後のサンプルは毎板に対しても、ABF1と同様な量に相当する量で実験を行って、そして同様な量のDMSOを維持する。平板に28時間培養した後に、数を数えて、結果を4つの平板の平均値±SDで表示する。
【0048】
〔実施例3:ADTZ短鎖ペプチドアミノ酸配列の獲得〕
実施例1で純化して得られた活性成分のピークの先を収集して、或いは活性成分をPAGE電気泳動して、目的バンドを収集し、Q−TOF2(電子スプレー−4極竿飛行時間−タンデム質量スペクトル解析)機器(イギリスMicromass社,軍事医学科学院器具テスト分析センターから提供)を採用してADTZ短鎖ペプチドのN末端のアミノ酸配列を測定する。得られたアミノ酸配列は次の通りである。
M1:EAWEGFTALVDK
M2:NKLLQDANGELENLYVR
【0049】
本発明のADTZ短鎖ペプチドアミノ酸配列は前記説明したものに限定されず、他の短鎖ペプチドアミノ酸配列フラグメントを含むことができる。該フラグメントがMALDI−MS−TOF或いは他の化学方法等によってADTZを測定して獲得したものであればよい。
【0050】
〔実施例4:酵素菌の総RNAの抽出〕
酵素を生成する菌の菌体の組織をプレクーリングしたモルタルの中に入れて、サンプルが粉末状になるように液体の窒素を添加して研磨する。また、100mg程度のサンプルを取って1.5mLの遠心管の中に移して、1mLのTrizolを添加し、振動して均一に混ぜて、室温に5分間置く。また、200mLクロロホルムを添加して、2分間振動して均一に混ぜて、氷浴に5分間置いて、2〜8℃の条件で、12000×gで15分間遠心してから、上清を別の11.5mLの遠心管に転移する。プレクーリングした500mLのイソプロピルアルコールを添加して、氷浴に20分間置いて、2〜8℃の条件で、12000×gで10分間遠心する。更に、上清を捨てて、プレクーリングした1mLの75%アルコールを添加して、沈殿及び遠心管壁を洗浄する。2〜8℃の条件で、7500×gで5分間遠心して、上清を捨てて、空気で5〜10分間乾燥させてから、50μLのDEPC無菌水を完全溶解するように添加する。紫外分光光度法と電気泳動の検査(1.1% Agarose/EB、100V、20分)を行って、サンプルは−80℃で保存する。結果は図3に示すように、電気泳動の検査の結果から28s rRNAと18s sRNAの二つの特徴バンドがはっきりして、光度比は2:1に近づいていることにより、総RNAが分解しなかったことを説明する。
【0051】
〔実施例5:ADTZ遺伝子特異性プライマーの獲得〕
実施例3で得たADTZ短鎖ペプチドアミノ酸配列から二つのプライマー(P1、P2とG1、G2)を設計する。ADTZ遺伝子部分の配列の産物を得るように、QIAGEN OneStep RT-PCR Kit(QIAGEN Inc.,米国)手帳を参照してRT−PCRを行う。ゴムを切ってRT−PCR産物を回収して、そして通常の方法によってTAクローンを行う。HindIIIとEcoRIでTAクローンの組換えプラスミドを酵素切断して鑑定して、1.5%アガロースゲル電気泳動で酵素切断結果を検査する。組換えプラスミドに対して配列解析を行って、ADTZ遺伝子のcDNAフラグメントE1を得る。具体的な方法は次の通りである。
【0052】
プライマー対1:
P1:5’−TGGGARGGNTTYACNGC−3’
P2:5’−TCNCCRTTNGCRTCYTG−3’
プライマー対2:
G1:5’−CARGAYGCNAAYGGNGA−3’
G2:5’−GCNGTRAANCCYTCCCA−3’
【0053】
本発明の増幅したADTZ遺伝子特異性プライマーのプライマーセットは以上のP1及びP2、G1及びG2に限定されず、他のプライマー対を含むことができ、該プライマー対が上記方法で獲得したADTZ短鎖ペプチドアミノ酸配列によって設計されたものであればよい。
【0054】
(I)RT−PCRの順序:
1)テンプレートの総RNA(実施例4から獲得する)を75℃で5分間変性させて、迅速に氷の中に挿入して冷却する。
【0055】
2)マスターミックス(Master Mix)(総体系80μL)の準備:
【表2】
吸い込んで均一に混ぜて、短時間遠心する。
【0056】
3)下表に示す順序で各成分を0.5mLの無菌遠心管の中に添加する(単位:μL)。
【表3】
【0057】
4)PCR循環プログラム:
・逆転写(Reverse transcription):50℃,30分
・Initial PCR activation step:50℃,15分
・3ステップサイクル(3-step cycling)
・15サイクル:94℃,40秒
65℃,1分(−1℃/サイクル)
72℃,1分
・25サイクル:94℃,40秒
50℃,1分
72℃,1分
・Final extension:70℃,10分
【0058】
5)循環が終わった後に、5μLサンプルを取って、電気泳動検査を行う。
【0059】
(II)ゴムを切ってRT−PCR産物を回収する:
1)TAE電気泳動緩衝液を調合して、また、0.8%アガロースゲルを調合する。
2)50μLのRT−PCRの産物と10×loading bufferを割合によって混合して、サンプルを加える。
3)100V,20分間の電気泳動。
4)電気泳動が終わった後に、紫外灯を用いてバンドの位置を観察して、目的帯を切って、新しい滅菌した1.5mLの遠心管へ転移する。
5)800μLのバッファーNT1を添加する。
6)NucleoTrap Suspensionを渦巻振動して、小珠が完全に浮遊させた後に、10μLを取って遠心管に加入する。
7)遠心管を50℃水浴に6分間置いて、その間に2分毎に短い時間渦巻振動する。
8)室温下で、10000×gで、30秒遠心して、上清を捨てる。
9)500μLのバッファーNT2を加入して、短時間渦巻振動し、室温の条件で、一0000×gで、30秒間遠心して、上清を捨てる。次に、このステップを1回繰り返す。
10)500μLのバッファーNT3を加入して、短時間渦巻振動し、室温の条件で、10000×gで、30秒間遠心して、上清を捨てる。次に、このステップを一回繰り返す。
11)再度10000×gで、30秒間遠心して、上清を捨て、空気の条件で10〜15分乾燥する。
12)30μLのTEバッファー(pH8.0)を加入して、沈殿物を再び懸濁する。回収のフラグメントを“E1”と命名する。RT−PCR産物の電気泳動検査を行う。結果は図4に示すように、プライマー対P1とP2の反応の結果から1つのバンドを獲得したことを明示しており、条帯位置はおよそ800bp程度であり、これをE1フラグメントと命名する。
【0060】
(III)TAクローンと配列解析:
(1)連結:
1.5mLの新しい滅菌した遠心管に下記の成分を加入する。
1μL pUCm−Tベクター
3μL E1フラグメント(RT−PCR回収産物)
1μL 10×バッファー
1μL T4 DNAリガーゼ
4mLの無菌水を添加して総体積を10mLに補充する。
吸い込んで均一に混ぜて、短時間遠心して、22℃水浴で4時間以上置く。
【0061】
(2)CaCl2でE.coli DH5αコンピテント細胞の調製:
DH5αモノクローンを選び取って2mLのLB液体培地の中に添加し、37℃の条件で振動して一夜培養する。活性化した新鮮なDH5α菌液の中から50μLを取って5mLのLB液体培地の中に接種して、37℃の条件で振動して1.5〜2時間培養する。また、氷浴に30分置いて、菌液を無菌遠心管の中に転移して、5000rpmで5分遠心して、上清を捨てる。1.5mL氷浴した無菌CaCl2を遠心管に添加して、菌体を浮遊して、氷浴に10分置いて、5000rpmで5分遠心して、上清を捨てる。200μLの氷浴した無菌CaCl2を遠心管に添加して、菌体を浮遊して、4℃の条件で保存しておく。
【0062】
(3)DH5αコンピテント細胞の形質転換:
200μLのコンピテント細胞を取って、10μLの連結物を含む遠心管に添加して、均一に混ぜる。氷浴に30分置き、42℃の水浴に90秒置いて、直ちに氷浴に3〜5分置く。800μL LB液体培地に添加して、37℃で40〜60分培養し;90mm平板毎に200μLの量で、形質転換されたコンピテント細胞をAmpとIPTG/X−galを含むLB固体培地に塗布し、37℃で12〜16時間振動培養する。
【0063】
(4)塩基によるプラスミドDNAの抽出:
形質転換した単菌落を選び取って、2mLのアンピシリンを含むLB液体培地の中に接種して、37℃で激しく振動して一夜培養する。1.5mL菌液を取って微量遠心管に添加して、12000rpmで2分遠心して、上清を捨てる。400μLのSTE溶液を取って菌体を洗浄して、渦巻き振動して均一に混ぜて、12000rpmで2分遠心して、上清を捨てる。沈殿した菌体に100μLのプレクーリングした溶液Iを添加して、激しく振動して均一に混ぜる。200μLの新鮮に調合した溶液IIを添加して、直ちに急速に転倒させて混ぜて、氷浴に3分置く。150μLのプレクーリングした溶液IIIを添加して、転倒させて混ぜることを繰り返して、氷浴に5分間置く。12000rpmで5分間遠心して、上清は別の管の中へ移す。同等体積のフェノールを添加して、転倒して均一に混ぜる。12000rpmで5分遠心する。気をつけて上清を吸収して別の管の中へ転移する。2倍体積のプレクーリングした無水アルコールを添加して、転倒にて均一に混ぜて、室温で静かに40〜60分置く。12000rpmで10分遠心させて、上清を捨てる。200μLの70%アルコールを添加して、沈殿物を洗浄して、12000rpmで1分間遠心させて、上清を捨てる。キャップを開けて、空気の中で5〜10分乾燥して、30μLのデオキシリボヌクレアーゼを含まないリボヌクレアーゼのTEを添加し、溶解沈殿し、37℃で1時間培養する。−20℃の条件で貯蔵する。
【0064】
(5)組換えプラスミドpTE1に対する酵素切断鑑定:
HindIIIとEcoRI酵素でTAクローンのリコンを酵素切断鑑定して、次の通り表す(単位:mL)。
【表4】
【0065】
37℃で4時間以上、酵素切断を行う。1.5%アガロースゲル電気泳動で酵素切断した結果、図5のように、組換えベクターpTE1の酵素切断鑑定によれば、HindIII+EcoRI双酵素切断(1号サンプル)とHindIII単酵素切断(3号サンプル)は皆400bp以上のバンドを切った。また、前者の光度は後者より高く、EcoRI単酵素切断はリコンを線形(2号サンプル)に切る。これは、E1フラグメント中央位置に一つのHindIII酵素認識部位が存在することを示す。
【0066】
(6)配列解析:
組換えプラスミドPEG純化法(Sambrookら,1989,Molecular cloning,Cold Spring Harbor Laboratory Press,USA)によって、プラスミドDNAを抽出する。T7とSP6をシークエンシングプライマーとして、ABI377 DNA Sequencer DNA自動配列計(上海博雅公司から提供)で、表裏方向で測定を行って、E1フラグメントの核酸配列を得る。測定結果:配列はプライマーP1とプライマーP2の配列を含み、その中の位置にHindIII酵素認識部位(aagctt)が現れる。
【0067】
〔実施例6:コードADTZ全長cDNA序列の獲得〕
実施例5で獲得したADTZ遺伝子の部分の配列E1フラグメントによって、プライマーを設計する。
S1(5’−TAGGCGAAGTGTCGTCGTCAATGGAA−3’)
S3(5’−GAAGTTATCGGCTTTCCAGTCAGAGGGT−3’)
【0068】
それぞれ3’RACEと5’RACEのプライマーとして、SMARTTM RACE cDNA amplification Kit(COLONTECH Laboratories,Inc.Cat.No.K1811-2)手帳によって、3’RACEと5’RACEを行う。ゴムを切ってRACE産物を回収して、そして通常の方法によってTAクローンを行う。HindIIIとEcoRIでTAクローンのリコンを酵素切断鑑定して、1.5%アガロースゲル電気泳動で酵素切断結果を検査する。組換えプラスミドをシークエンシング会社へ送って配列解析を行なって、二つのフラグメントE2、E3を得て、NCBIのVecScreen(BLASTN2.2.5)のプログラム(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/VecScreen.html)を利用してベクターの配列を識別し取り除く。また、DNAMANプログラム(米国Lynnon BioSoft社のソフトウェア)を用いてE1、E2、E3を繋ぎ合わせて、得た配列をNCBIのORF Finderプログラム(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gorf/gorf.html)を利用し、オープン・リーディング・フレーム分析を行って、コーディングADTZ成熟ペプチドのADTZ遺伝子の全長cDNA配列を得た。具体的には次の通りである。
プライマーS1:5’−TAGGCGAAGTGTCGTCGTCAATGGAA−3’
プライマーS3:5’−GAAGTTATCGGCTTTCCAGTCAGAGGGT−3’
【0069】
(I)3’RACE:
(1)3’RACE-Ready cDNAの調製:
1)テンプレートの総RNAを75℃で5分間変性して、迅速に氷の中に挿入して冷却する。
2)0.5mLの滅菌遠心管の中に下記の試薬を添加する。
1μL 変性したテンプレートの総RNA
1μL 3’−CDSプライマーA
3μLのリボヌクレアーゼを含まない無菌水を添加して体積を5mLまで補充する。
3)吸い込んで均一に混ぜて、そして短い時間で遠心させて混合液が管底に位置するようにする。
4)70℃で、温浴で2分置く。
5)氷浴で2分置いて、少し遠心させて下記の試薬を添加する。
【表5】
6)試薬をそっと吸い込んで均一に混ぜて、少し遠心させる。
7)インキュベーターの中で、42℃で1.5時間温浴する。
8)100mLのTricine−EDTAバッファーで産物を希釈する。
9)72℃で7分間培養する。
10)サンプルは−20℃で貯蔵する。
【0070】
(2)3’RACEのステップ:
1)マスターミックス(Master Mix)(総体系100μL)の準備:
【表6】
吸い込んで均一に混ぜて、短い時間で遠心する。
【0071】
2)下表に示す順序で各成分を0.5mLの無菌遠心管の中に添加する(単位:μL)。
【表7】
【0072】
3)PCR循環プログラム:
・5サイクル:94℃,5秒
72℃,3分
・5サイクル:94℃,5秒
70℃,10秒
72℃,3分
・35サイクル:94℃,5秒
68℃,10秒
72℃,3分
【0073】
4)循環が終わった後に5mLのサンプルを取って電気泳動検査する。結果は図6に示すように、3’RACEが一つの一バンドの産物を獲得したことを明示して、産物バンドは、分子量が約800bpに位置して、E2フラグメントと命名する。
【0074】
(3)ゴムを切って3’のRACE産物を回収し、TAクローンして、CaCl2法によってE.coli DH5αコンピテント細胞を調製する。DH5αコンピテント細胞を形質転換して、塩基でプラスミドDNAを抽出する(実験操作は前記の実施例5の内容と同じである)。
【0075】
(4)組換えプラスミドpTE2に対する酵素切断鑑定:
HindIIIとEcoRI酵素でTAクローンのリコンを酵素切断鑑定して、次の通り表す(単位:mL)。
【表8】
【0076】
37℃で4時間以上、酵素切断を行う。1.5%アガロースゲル電気泳動法で酵素切断した結果を検査した。図7のように、組換えベクターpTE2の酵素切断鑑定によると、HindIII+EcoRI双酵素(1号サンプル)から切った2つのバンドは、それぞれ600bpと300〜400bp左右に位置して、HindIII単酵素(3号サンプル)から切った一つのバンドは約300〜400bpであり、EcoRI単酵素はリコンを線形(2号サンプル)に切る。そして、E2フラグメントの中に一つのHindIII酵素認識部位が存在して、その位置はフラグメントの一方の側に近い。
【0077】
(5)配列解析:
組換えプラスミドPEG純化法(Sambrookら,1989,Molecular cloning,Cold Spring Harbor Laboratory Press,USA)によって、プラスミドDNAを抽出し、T7とSP6をシークエンシングプライマーとして、ABI377 DNA Sequencer DNA自動配列計(上海博雅公司から提供)で、表裏方向で測定を行って、2つのフラグメントの核酸配列を得る。得られたE2配列は、3’に偏る位置に一つのAAGCTTのHindIII酵素認識部位がある。
【0078】
(II)5’RACE:
(1)5’RACE-Ready cDNAの調製:
1)テンプレートの総RNAを取って、75℃で5分間変性させて、迅速に氷の中に挿入して冷却する。
2)0.5mLの滅菌遠心管の中に下記の試薬を添加する。
1μL 変性したテンプレートの総RNA
1μL 5’−CDSプライマーA
1μL SMART IIA Oligonucleotide
2μLのリボヌクレアーゼを含まない無菌水を添加して体積を5mLまで補充する。
2)吸い込んで均一に混ぜて、そして短時間遠心して混合液が管底に位置するようにする。
3)70℃で、温浴で2分置く。
4)氷浴で2分置いて、少し遠心させて下記の試薬を添加する。
【表9】
5)試薬をそっと抽出して均一に混ぜて、少し遠心させる。
6)インキュベーターの中で、42℃で1.5時間温浴する。
7)100mLのTricine−EDTAバッファーで産物を希釈する。
8)72℃で、7分間培養する。
9)サンプルは−20℃で貯蔵する。
【0079】
(2)5’RACEステップ:
1)マスターミックス(Master Mix)(総体系110μL)の準備:
【表10】
吸い込んで均一に混ぜて、短い時間で遠心する。
【0080】
2)下表に示す順序で各成分を0.5mLの無菌遠心管の中に添加する(単位:μL)。
【表11】
【0081】
3)PCR循環プログラム:
・94℃,1分
・5サイクル:94℃,30秒
72℃,4分
・5サイクル:94℃,30秒
70℃,4分
・25サイクル:94℃,30秒
68℃,4分
・72℃,10分
【0082】
4)循環が終わった後に、5μLのサンプルを取って、電気泳動検査を行って、5’RACE産物であるE3を得る。結果は図8に示すように、5’RACEで一つの単一のバンドの産物を得たことを明示しており、バンドの位置はおよそ1400〜1800bp程度であり、これをE3フラグメントと命名する。
【0083】
(3)ゴムを切って5’のRACE産物を回収して、TAクローンし、CaCl2法によってE.coli DH5αコンピテント細胞を調製する。DH5αコンピテント細胞を形質転換して、塩基でプラスミドDNAを抽出する(実験操作は実施例5の内容と同じである)。
【0084】
(4)組換えプラスミドpTE3に対する酵素切断鑑定:
HindIIIとEcoRI酵素でTAクローンのリコンを酵素切断鑑定して、次の通り表す(単位:mL)。
【表12】
【0085】
37℃で4時間以上、酵素切断を行う。1.5%アガロースゲル電気泳動で酵素切断した結果、図9に示すように、組換えベクターpTE3の酵素切断鑑定によれば、HindIII+EcoRI双酵素(1号サンプル)で、それぞれ1400〜1000bpと300〜400bp左右に位置する二つのバンドが現れた。HindIII単酵素(3号サンプル)に約1400〜1000bpである一つのバンドが現れた。また、E3フラグメントの中に一つのHindIII酵素認識部位が存在することが分かる。
【0086】
(5)配列解析:
組換えプラスミドPEG純化法(Sambrookら,1989,Molecular cloning,Cold Spring Harbor Laboratory Press,USA)によって、プラスミドDNAを取り出す。T7とSP6をシークエンシングプライマーとして、ABI377 DNA Sequencer DNA自動配列計(上海博雅公司から提供)で、表裏方向で測定を行って、E3フラグメントの核酸配列を得る。得られたE3フラグメントに、5’に偏る位置に一つのHindIII酵素認識部位が存在し、3’の端部に一つのHindIII酵素認識部位が存在する。
【0087】
(III)ADTZ cDNA配列の接合:
NCBIのVecscreenプログラムによりベクター配列を認識して取り除いた後、DNAMANプログラムでE1、E2、E3を繋ぎ合わせ、得られた配列を、NCBIのORF Finderプログラムによってオープン・リーディング・フレーム分析を行い、長さが2.3kbで、完璧なオープン・リーディング・フレームがあり、また3’末端のポリ(A)尾部及び5’末端と3’末端の非翻訳領域を含む配列を得た。その結果は配列表の配列番号2に示す。ADTZヌクレオチド配列と推定されたアミノ酸配列に対して、インターネットによって、例えばプログラムBLASTとBLASTX(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)、BLASTA配列との類似性を調べて、ADTZが新たな遺伝子であり、更に、これによって推算されたコーディングADTZの成熟ペプチドのアミノ酸配列と同じ配列がGENEBANKにないので、新しいアミノ酸配列であることが分かる。
【0088】
コーディングADTZ全長cDNA配列の取得は実施例6の方法に限定されず、ADTZ短鎖ペプチドのアミノ酸配列を用いて作ったプローブによって、Armillariella tabescensのcDNAデータベースからこの配列をクローンする方法も含まれる。
【0089】
〔実施例7:コーディングADTZの成熟ペプチドcDNA生成物の取得〕
実施例6で得られたコーディングADTZ全長cDNA配列の両端配列を分析し、開始コドンから終止コドンまでのADTZオープン・リーディング・フレームを得られ、更にプライマーに制限酵素認識部位EcoRI(GAATTC)とBamHI(GGATCC)をそれぞれ添加するように、プライマー一対を設計する。
P3:5’−GTCGAATTCATGGCCACCACAACTGTC−3’
P4:3’−GTAACTCTCTGCTAACACTCCTAGGGAC−5’
【0090】
常法によってPCR増幅を行い、ゲルから切って、PCR生成物を回収する。詳細は以下の通りである。
【0091】
1)マスターミックス(Master Mix)(総体系100μL)の準備:
【表13】
吸い込んで均一に混合した後、短時間の遠心分離を施す。
【0092】
2)各成分を下表に示す順序に従って、0.5mLの無菌遠心分離管に添加する(単位:μL)。
【表14】
【0093】
3)PCRサイクルプログラム:
・94℃,1分
・5サイクル:94℃,30秒
72℃,4分
・5サイクル:94℃,30秒
70℃,4分
・35サイクル:94℃,30秒
68℃,4分
・72℃,10分
【0094】
4)サイクルが済んだ後、サンプル5mLを取って電気泳動で検査した。その結果、図10に示すように、PCRが1800bp付近に一つのバンドのような生成物が得られ、ADTZ’フラグメントと命名する。
【0095】
5)ゲルから切って、PCR生成物を回収する。
PCR生成物を回収する常法に従って、コーディングADTZ成熟ペプチドのcDNAを得た。このフラグメントをADTZ’と命名する。
【0096】
〔実施例8:組換えプラスミドであるADTZ発現プラスミドの組立て〕
遺伝子クローンは常法(Sambrookら,2001,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,USA)で行って、実施例7で得られたADTZ’をpHIL−S1にクローンして、発現プラスミドpHIL−S1−ADTZを組み立てた。クローンした後の標的遺伝子は酵素で切って、配列解析をする。詳しくは、操作は以下の通りである。
【0097】
図14に示すように、遺伝子ADTZを含む組換えプラスミドpHIL−S1の組立ては、プラスミドpHIL−S1と標的フラグメントADTZに対して、二つ酵素EcoRI及びBamHIで切り、得られた生成物について0.8%のアガロースゲルで電気泳動を行った後、ゲルを切って回収する。T4 DNAリガーゼを利用し、プラスミドpHIL−S1と標的フラグメントADTZとの結合を完成する。CaCl2法によって、E.coli DH5αコンピテント細胞を調製した後、DH5αコンピテント細胞を形質転換し、形質転換体を篩分けて、アルカリでプラスミドを抽出する。組換えプラスミドpHIL−S1−ADTZを、EcoRI+BamHI、HindIII、SacI酵素で切ることにより確認する。組換えプラスミドを取り出し、PEG純化法(Sambrookら,2001,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,USA)によって、プラスミドDNAを抽出する。T7とSP6を配列解析するプライマーとし、ABI377 DNA Sequencer 自動DNAシーケンサー(上海博雅公司製)を採用して、両端から同時に測定を行う。その結果、図11に示すように、酵素切断による組換えベクターpSAの確認において、EcoRIとBamHI二つ酵素が(サンプル1)2000bp付近にあるバンドを切り出し、HindIII酵素だけが(サンプル2)1400bp、600bp、500bpにある三つのバンドを切り出し、SacI酵素だけが(サンプル3)組換えプラスミドを切ってリニアーになり、挿しいれるフラグメントにSacI酵素認識部位がないことが分かった。
【0098】
〔実施例9:組換えADTZの発現〕
組換えプラスミドpHIL−S1−ADTZとプラスミドpHIL−S1をSacI酵素で切り、得られた生成物について0.8%のアガロースゲルで電気泳動を行った後、ゲルを切って、得られたリニアー組換えプラスミドpHIL−S1−ADTZとプラスミドpHIL−S1を回収した。Pichia Expression Kit(Invitrogen Inc.,米国)に記載するプロトプラスト法に従って、Pichia Pastoris GS115を形質転換して、Mut+形質転換体を篩分けた。メタノールを単一炭素源として、組換え菌に対して誘導性発現(Pichia Expression Kitに従って操作する)を行う場合、培養液をSDS−PAGE電気泳動で分析することにより、形質転換体が誘導性発現された後、培養液の上清に著しい標的タンパクバードが検出された。しかし、標的遺伝子を含まない空プラスミドを対照菌に形質転換したのち、同様な条件下で96時間誘導すると、上清に標的タンパクバードが検出されなかった。その結果、図12に示すように、形質転換体がメタノールで誘導性発現された後、培養液の上清に著しい標的タンパクバードが検出されたが、標的遺伝子を含まない空プラスミドを形質転換した陰性対照菌に対して、同様な条件下で誘導すると、上清に標的タンパクバードが検出されなかった。
詳しくは以下の通りである。
【0099】
(I)組換え型とPichia pastorisの相同的組換え:
(1)リニアープラスミド:
組換えプラスミドpSAとプラスミドpHIL−S1をSacI酵素で切りながら、リニアープラスミドpHIL−S1を後述の実験の対照(control)とした。
酵素pSAで切る(総体系120):12mLバッファーL+8mL SacI+100mL pSA
酵素pHIL−S1で切る(総体系120):12mLバッファーL+8mL SacI+100mL pHIL−S1
酵素で切ったサンプルについて0.8%のアガロースゲルで電気泳動を行って、ゲルを切って、得られたリニアー組換えプラスミドpSAとプラスミドpHIL−S1を回収した。
【0100】
(2)プロトプラスト形質転換に用いるPichia Pastoris GS115の培養:
1)平板から一つのGS115単一クローンを取って、10mLのYPD中に接種した後、150mLの三角フラスコで、30℃下、250〜300rpmで振動して、一晩培養した。
2)昨日培養した10mLのYPD菌液からそれぞれ5、10、20μLを取り出して、200mLのYPD中に接種した後、500mLの三角フラスコで、30℃下、250〜300rpmで振動して、一晩培養した。
3)三つの三角フラスコに菌液のOD600を検査して、OD600=0.2〜0.3の菌液を取って、遠心管に移行し、室温下1500×gで5分遠心して、上清を捨てて、細胞を収集しプロトプラスト形質転換に用いた。
【0101】
(3)Pichia Pastoris GS115のプロトプラスト形質転換:
1)収集した培養の細胞を200mLの無菌水に懸濁して、10mLの遠心管二つに移行した。
2)室温下、1500×gで5分遠心して、上清を捨てた。
3)調製したばかりのSED 10mLで沈殿を洗った後、室温下、1500×gで5分遠心して、上清を捨てた。
4)1Mソルビトール液10mLで沈殿を洗った後、室温下、1500×gで5分遠心して、上清を捨てた。
5)SCE 10mLで沈殿を懸濁した。
6)Zymolyase一管を取って、氷結した後管壁を軽く打って、溶液を均一に混合した。
7)Zymolyase 7.5μLを取って管に加えて、30℃の温度で30分育てた。
8)室温下、750×gで10分遠心し、菌体を収集して、上清を捨てた。
9)1Mソルビトール液10mLでプロトプラストを洗った後、沈殿を分散するように管壁を軽く打って、室温下、750×gで10分遠心し、菌体を収集して、上清を捨てた。
10)10mLのCaSで菌体を洗った後、室温下、750×gで10分遠心し、菌体を収集して、上清を捨てた。
11)沈殿を0.6mLのCaSに懸濁して、このプロトプラストは必ず30分以内に使わなければならない。
【0102】
(4)プロトプラスト法によるPichia Pastoris GS115の形質転換:
1)それぞれ100μLのPichia Pastorisプロトプラストを取って、A、B、C三つの15mL無菌遠心管に添加した。
2)A管にDNAを加えずに陰性対照とし、B管に線状化した本来のプラスミドpHIL−S1 30μLを加えて、C管に線状化した組換えプラスミドpSA 30μLを加えて、室温で10分育て、この間に新鮮なPEG/CaT 3mLを調製して備える。
3)各管に調製したばかりのPEG/CaTを1mLそれぞれ添加して、軽く振動し均一に混ぜて,室温で10分育てた。
4)室温下、750×gで10分遠心し、上清を捨てて、乾燥まで置いた。
5)沈殿を150μLのSOSに懸濁して、室温で20分育てた。
6)各管に1Mソルビトール液を10mLそれぞれ添加して、プレートの塗装を準備した。
7)RD固体培地をプレートごと200μL塗布して、28〜30℃で反転置いて培養し、4〜6日後、形質転換体が出現した。
【0103】
(5)Mut+形質転換体の篩分け:
1)無菌楊枝でHis+形質転換体を取って、プレートMMとMDに一対一に菌を点在させながら、GS115/His+MutsAlbumin分とGS115/His+Mut+β−galとも点在させて、対照とした。
2)28〜30℃で反転置いて二日培養した。
3)二日後、プレートMMとMDを対照して、いずれのプレートにも良く成長したのがMut+で、プレートMDに良く成長したが、プレートMMに少し成長した、或いは成長しなかったのがMutsである。
【0104】
(6)組換え菌の誘導性発現:
1)His+Mut+形質転換体の一つの単一クローンを取って、25mLのBMGに接種して、250mLの三角フラスコで、28〜30℃下、250〜300rpmでOD600=2〜6(約16〜18時間)まで振動しながら培養した。
2)1500〜3000×gで5分遠心して、細胞を収集して、上清を捨てた後、細胞をBMMにOD600=1.0(約100〜200mL BMMを要する)まで懸濁して、1Lの三角フラスコで、28〜30℃下、250〜300rpmで振動し、引き続き培養した。
3)24時間毎に100%メタノールを添加し、最終の濃度を0.5%とし、誘導性発現を維持した。
4)誘導性発現を96時間続けた。培養液を2〜3分遠心して、上清を取って−80℃で保存して、発現生成物の純化に用いる。
96時間で誘導培養した上清中に総タンパク質量は0.23mg/mLであった。標的タンパクの分子量はBioEditソフトウェア(http://www.mbio.ncsu.edu/BioEdit/bioedit.html)で予測した理論値76.95kDaと一致した。
【0105】
〔実施例10:組換えADTZの純化〕
誘導発現の発酵液が70%の飽和(NH4)2SO4で沈殿して、沈殿から粗酵素サンプルを得た。粗酵素サンプルは同じ体積のPBSで溶解し、遠心した後、上清を取って疎水クロマトグラフPhenyl sepharoseカラムに通導し、連続的な勾配の溶出液により溶出し、標的ピークを収集した。透析脱塩し、PBS溶液で平衡化した後、濃縮した。濃縮した酵素液が金属キレート親和クロマトグラフChelating Sepharoseカラムに通導し、pH7.5〜6.0の非連続的な勾配の溶出液により溶出し、標的ピークを収集した。具体的には次の通りである。
【0106】
(1)硫酸アンモニウムで沈殿し、粗酵素を収集した。
40%の飽和度になるまで組換え発現発酵液に(NH4)2SO4粉末を加え、4℃下、10000gで20分間遠心し、更に上清に(NH4)2SO4粉末を添加し70%の飽和度になされ、4℃下、10000gで20分間遠心して、粗酵素サンプルを得た。
【0107】
(2)疎水クロマトグラフ:同じ体積の0.02M PBS(pH:6.0)溶液にADTZ粗酵素サンプルを溶解し、4000g、4℃で10分間遠心し、上清を取って、Phenyl sepharoseカラム[Phenyl sepharose 6 Fast flow(high sub),Pharmacia Biotech,Inc.]に通導し、基線まで溶液(0.02M PBS+30%飽和硫酸アンモニウム,pH:6.0)で洗った後、連続的な勾配の溶出緩衝液[A液(0.02M PBS+10%飽和硫酸アンモニウム,pH:6.0)+B液(0.02M PBS,pH:6.0)]により溶出し、活性ピークを収集した。透析脱塩し、F液(0.02M PBS+0.5M NaCl,pH:7.5)で平衡化した後、タンパク質の濃度が1mg/mLになるまで濃縮した。
【0108】
(3)金属キレート親和クロマトグラフ:Chelating Sepharose[Chelating Sepharose Fast Flow,Pharmacia Biotech,Inc.]を予め0.2M CuCl2溶液で飽和させ、純水で基線まで洗った後、更にF液(0.02M PBS+0.5M NaCl,pH:7.5)で洗って基線に安定させた。疎水クロマトグラフを行った標的ピークサンプルをカラムに通導し、別々に非連続的なpH勾配の緩衝液G液[0.02M PBS+0.5M NaCl,pH:7.5〜6.0の非連続的なpH勾配の緩衝液(0.5のpH単位毎に増加させた)]により溶出し、標的ピークを収集した。標的ピークをSDS−PAGE電気泳動で鑑定した。
【0109】
その結果、誘導性発現をした1Lの発酵液が以上の純化をした後、純化した組換えADTZが58mg得られた。純度は95%以上になる。
【0110】
〔実施例11:組換えADTZの活性の鑑定〕
組換えADTZの活性の鑑定は実施例2の方法Iに従って行った。反応系:(1)活性化酵素群:1μLのAFB1溶液(AFB1メタノール溶液:0.5μg/μL、窒素ガスで揮発した)+組換え発現ADTZ酵素液(タンパク質の含有量:0.1mg/mL)300μL+0.5μL MgSO4+10μL PEG200;(2)不活性化酵素群:1μLのAFB1溶液(AFB1メタノール溶液:0.5μg/μL、窒素ガスで揮発した)+不活性化した組換え発現ADTZ酵素液(タンパク質の含有量:0.1mg/mL、予め100℃で5分間水浴した)300μL+0.5μL MgSO4+10μL PEG200;(3)緩衝液対照群:1μLのAFB1溶液(AFB1メタノール溶液:0.5μg/μL、窒素ガスで揮発した)+PBS緩衝液(0.1M,pH:6.6)300μL+0.5μL MgSO4+10μL PEG200;反応系を均一に混合して、30℃で1時間水浴した後、管内のAFB1総量が2μgになるまで、1時間毎にAFB1を0.5μLそれぞれ添加した。その後、引き続き6時間反応させた。反応が済んだ後、実施例2の方法Iに従って点板展開し検査した。
【0111】
その結果は、組換えADTZで処理したAFB1生成物のRf値が1(=0.93)に近づき、天然ADTZの結果と似て、組換えADTZがAFB1を転化する活性を有することである。結果を図13に示す。組換えADTZで処理すると、AFB1生成物のRf値が1(=0.93)に近づき、天然ADTZの結果と似て、組換えADTZがAFB1を転化する活性を有することが分かった。
【0112】
〔実施例12:組換えADTZのAFB1に対する解毒生物活性の鑑定〕
組換えADTZの活性の鑑定は実施例2の方法IIに従って行った。天然ADTZの代わりに組換え発現ADTZを用いた以外、他の群が同様な設計と操作で、試験を受けたサンプルを調製した。その結果、活性組換えADTZで処理した群の細菌復帰突然変異コロニーの数は陰性対照群(DMSO対照群)と近似していた(いずれのMR値も2未満)。緩衝液処理対照群と不活性化組換えADTZ処理群は、細菌復帰突然変異コロニーの数が陰性対照群(いずれのMR値も2以上)より著しく高いが、陽性対照群(アフラトキシンB1対照)と著しい差がなかった。組換えADTZはAFB1に引き起された突然変異を抑制する生物活性作用を有することが分かった。結果を下表に示す。
【0113】
【表15】
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】純化したADTZのPAGE電気泳動の結果である。M:標準分子量タンパク質;1,2:BSA(小牛の血清アルブミン);3:硫酸アンモニウムで沈殿した粗酵素成分;4:純化したADTZ。
【図2】純化したADTZのAFB1を転化する作用の薄層クロマトグラフで検査した結果である。1:AFB1標準品;2,3:PBS緩衝液対照群;4:不活性化のADTZでAFB1を処理する対照群;5:ADTZでAFB1を処理する群;6:AFB1標準品。
【図3】Armillariella tabescensの総RNAを電気泳動した結果である。
【図4】RT−PCR生成物の電気泳動結果である。M:DNAマーカー;E1:RT−PCR生成物。
【図5】組換えベクターpTE1の酵素切断鑑定した結果である。M:DNAマーカー;1:Pte1/HindIII+EcoRI;2:pTE1/EcoRI;3:pTE1/HindIII。
【図6】3’RACE生成物の電気泳動による検査結果である。M:DNAマーカー;E2:3’RACE生成物。
【図7】組換えベクターpTE2の酵素切断鑑定した結果である。M:DNAマーカー;1:pTE2/HindIII+EcoRI;2:pTE2/EcoRI;3:pTE2/HindIII。
【図8】5’RACE生成物の電気泳動による検査結果である。M:DNAマーカー;E3:5’RACE生成物。
【図9】組換えベクターpTE3の酵素切断鑑定した結果である。M:DNAマーカー;1:pTE3/HindIII+EcoRI;2:pTE3/EcoRI;3:pTE3/HindIII。
【図10】End to end PCR生成物の電気泳動による検査結果である。M:DNAマーカー;ADTZ’:PCR生成物。
【図11】組換えベクターpSAの酵素切断鑑定した結果である。M:DNAマーカー;1:pSA/BamHI+EcoRI;2:pSA/HindIII;3:pSA/SacI。
【図12】発現生成物のSDS−PAGE分析結果である。1:96時間で誘導した陰性対照菌;2:標準分子量タンパク質;3:BSA(小牛の血清アルブミン);4:24時間で誘導した組換え菌;5:48時間で誘導した組換え菌;6:72時間で誘導した組換え菌;7:96時間で誘導した組換え菌。
【図13】組換えADTZのAFB1を転化する活性をTLCで検査した結果である。1:AFB1標準品対照;2:組換えADTZ処理AFB1群のサンプル;3:不活性化の組換えADTZ処理AFB1対照群のサンプル;4:緩衝液対照。
【図14】ADTZ組換え型の組立て、及びそれとPichia pastorisの相同的組換えのフローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アフラトキシンを転化する活性を有する解毒酵素であって、等電点が5.3〜6.8、分子量が73〜77キロダルトンであり、配列表に示すようなアミノ酸配列を有することを特徴とする解毒酵素。
【請求項2】
アフラトキシンを転化する活性を有する請求項1に記載の解毒酵素をコーディングすることを特徴とする遺伝子。
【請求項3】
配列表に示すようなヌクレオチド配列を有することを特徴とする請求項2に記載の遺伝子。
【請求項4】
請求項3に記載の遺伝子を含むことを特徴とする組換え発現ベクター。
【請求項5】
請求項4に記載の組換え発現ベクターを用いて宿主細胞を形質転換することにより得られることを特徴とする形質転換体。
【請求項6】
請求項5に記載の形質転換体を培養する工程と、発現されたアフラトキシンを転化する活性を有する解毒酵素を回収する工程と、を含む請求項1に記載の解毒酵素の調製方法。
【請求項7】
飼料及び食品中のアフラトキシンの脱毒品の製造に請求項1に記載のアフラトキシンを転化する活性を有する解毒酵素を用いることを特徴とする使用方法。
【請求項8】
アフラトキシンによる癌を予防及び治療する薬物の製造に請求項1に記載のアフラトキシンを転化する活性を有する解毒酵素を用いることを特徴とする使用方法。
【請求項1】
アフラトキシンを転化する活性を有する解毒酵素であって、等電点が5.3〜6.8、分子量が73〜77キロダルトンであり、配列表に示すようなアミノ酸配列を有することを特徴とする解毒酵素。
【請求項2】
アフラトキシンを転化する活性を有する請求項1に記載の解毒酵素をコーディングすることを特徴とする遺伝子。
【請求項3】
配列表に示すようなヌクレオチド配列を有することを特徴とする請求項2に記載の遺伝子。
【請求項4】
請求項3に記載の遺伝子を含むことを特徴とする組換え発現ベクター。
【請求項5】
請求項4に記載の組換え発現ベクターを用いて宿主細胞を形質転換することにより得られることを特徴とする形質転換体。
【請求項6】
請求項5に記載の形質転換体を培養する工程と、発現されたアフラトキシンを転化する活性を有する解毒酵素を回収する工程と、を含む請求項1に記載の解毒酵素の調製方法。
【請求項7】
飼料及び食品中のアフラトキシンの脱毒品の製造に請求項1に記載のアフラトキシンを転化する活性を有する解毒酵素を用いることを特徴とする使用方法。
【請求項8】
アフラトキシンによる癌を予防及び治療する薬物の製造に請求項1に記載のアフラトキシンを転化する活性を有する解毒酵素を用いることを特徴とする使用方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2008−509684(P2008−509684A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526165(P2007−526165)
【出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【国際出願番号】PCT/CN2005/000050
【国際公開番号】WO2006/017960
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(507034012)グアンツォウ コウ‐ウィン バイオエンジニアリング カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【国際出願番号】PCT/CN2005/000050
【国際公開番号】WO2006/017960
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(507034012)グアンツォウ コウ‐ウィン バイオエンジニアリング カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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