説明

アミジン置換アリールアニリン化合物

本発明は、新規βアドレナリン受容体アゴニスト化合物を提供する。本発明はまた、このような化合物を含有する医薬組成物、このような化合物を使用してβアドレナリン受容体活性に関連した疾患を治療する方法、ならびにこのような化合物を調製するのに有用なプロセスおよび中間体を提供する。本発明は、アミジン置換アリールアニリン化合物、このような化合物を含有する医薬組成物、このような化合物を使用する方法、およびこのような化合物を調製するの方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、アミジン置換アリールアニリン化合物、このような化合物を含有する医薬組成物、このような化合物を使用する方法、およびこのような化合物を調製するの方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
βアドレナリン受容体アンタゴニストは、肺疾患(例えば、喘息および慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎および肺気腫を含めて))を治療するのに有効な薬剤であることが認められている。βアドレナリン受容体アンタゴニストはまた、早産分娩を治療するのに有用であり、そして神経障害および心臓障害を治療するのに有用である可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ある種のβアドレナリン受容体アンタゴニストを使って成果が達成されているにもかかわらず、現在の薬剤は、所望の作用持続時間、効力、選択性および/または開始には達していない。
【0004】
それゆえ、特性を改良した(例えば、改良された作用持続時間、効力、選択性および/または開始)新規βアドレナリン受容体アゴニストが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、次式の化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体を提供する:
【0006】
【化11】

ここで、
、R、RおよびRの各々は、別個に、水素、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシ、−NR、ハロ、C1〜6ヒドロキシアルキルおよび−NHCHOから選択され、ここで、RおよびRの各々は、別個に、水素またはC1〜6アルキルである;あるいはRおよびRは、一緒になって、−NHC(O)CHOH−、−CHOHC(O)NH−、−NHC(O)S−、および−SC(O)NH−から選択される;
は、水素、C1〜6アルキル、またはヒドロキシである;
およびRの各々は、別個に、水素、C1〜6アルキル、またはC3〜10シクロアルキルであるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ヘテロシクリル環を形成し、該ヘテロシクリル環は、5個〜7個の環原子を有し、そして1個〜3個のヘテロ原子を含有し、該ヘテロ原子は、窒素、酸素およびイオウから選択されるか、あるいはRおよびRは、一緒になって、C2〜4アルキレンを形成する;
は、水素、ヒドロキシ、ハロ、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキル、またはC1〜4ハロアルキルである;そして
、R、RおよびRの各々は、別個に、水素またはC1〜6アルキルである。
【0007】
本発明の化合物は、種々の生理学的特性を持つ。本発明の化合物が示す生理学的特性のいくつかには、βアドレナリン受容体アゴニスト活性が挙げられる。本発明の化合物は、強力で選択的なβアドレナリン受容体アゴニストである。
【0008】
本発明はまた、式Iの化合物の治療有効量と薬学的に受容可能な賦形剤とを含有する医薬組成物を提供する。
【0009】
それに加えて、本発明は、式Iの化合物と1種またはそれ以上の他の治療薬とを含有する配合、および本発明の配合と薬学的に受容可能な賦形剤とを含有する医薬組成物を提供する。
【0010】
本発明はまた、βアドレナリン受容体活性に関連した疾患または病気(例えば、肺疾患(例えば、喘息または慢性閉塞性肺疾患)、早産分娩、神経障害、心臓障害または炎症)に罹った哺乳動物を治療する方法を提供し、該方法は、該哺乳動物に、本発明の化合物の治療有効量を投与する工程を包含する。該方法は、典型的には、該哺乳動物に、式Iの化合物あるいは本明細書中で開示した式Iの化合物を含有する医薬組成物の治療有効量を投与する工程を包含する。特に、本発明は、哺乳動物における喘息または慢性閉塞性肺疾患を治療する方法を提供し、該方法は、該哺乳動物に、本発明の化合物の治療有効量を投与する工程を包含する。
【0011】
本発明は、さらに、本発明の化合物と1種またはそれ以上の他の治療薬との配合の治療有効量を投与する工程を包含する治療方法を提供する。
【0012】
本発明はまた、βアドレナリン受容体活性が媒介する障害を治療する方法を提供し、該方法は、患者に、式Iの化合物の治療有効量を投与する工程を包含する。
【0013】
それに加えて、本発明は、式IFのアミジン置換アリールアニリン化合物を生成する方法を提供する:
【0014】
【化12】

ここで、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、式Iのように定義され、該方法は、以下の工程を包含する:
(a)式IVのシアノ置換アリールアニリン化合物を生成するのに十分な条件下にて、
【0015】
【化13】

カップリング触媒の存在下で、
式IIのアリール化合物を:
【0016】
【化14】

式IIIのシアノフェニル化合物と反応させる工程:
【0017】
【化15】

ここで、
は、ヒドロキシ−保護基であり、
1a、R2a、R3aおよびR4aの各々は、それぞれ、式IのR、R、RおよびRと同じであると定義されるか、あるいは、R、R、RおよびRのいずれかがヒドロキシ基またはアミノ基を含むとき、対応するR1a、R2a、R3aおよびR4a基は、必要に応じて、保護ヒドロキシ基または保護アミノ基を含み、そして
AおよびBの一方は、ハロであり、そしてAおよびBの他方は、−NHである:
(b)酸の存在下で、式VIのイミノエステル化合物を生成するのに十分な条件下にて、式IVの該シアノ置換アリールアニリン化合物を反応させる工程:
【0018】
【化16】

ここで、Rは、C1〜6アルキルである;
(c)式IGの化合物を生成するのに十分な条件下にて、式VIのイミノエステル化合物と式HNRのアミン化合物とを反応させる工程;そして
【0019】
【化17】

(d)式IFの該アミジン置換アリールアニリン化合物を生成するのに十分な条件下にて、必要に応じて、R1a、R2a、R3aおよびR4aのいずれかに存在し得る任意のヒドロキシ−またはアミノ−保護基を除去する工程。
【0020】
本発明はまた、すなわち、生体系または試料を研究するため、または他の化学化合物の活性を研究するために、研究手段として、使用できる。従って、その方法局面の別のものでは、本発明は、生体系または試料を研究するためか新規なβアドレナリン受容体アゴニストを発見するための研究手段として、式(I)の化合物あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体を使用する方法を提供する。
【0021】
本発明はまた、本明細書中で記述した他の合成方法および中間体(これらは、本発明の化合物を調製するのに有用である)を提供する。
【0022】
本発明はまた、医学療法での使用だけでなく、哺乳動物におけるβアドレナリン受容体活性に関連した疾患または病態(例えば、肺疾患(例えば、喘息または慢性閉塞性肺疾患)、早産、神経障害、心臓疾患、または炎症)を治療するための処方または医薬の製造における本発明の化合物の使用のための本明細書中で記述した化合物を提供する。
【0023】
(発明の詳細な説明)
(定義)
「アルキル」との用語は、一価飽和炭化水素基であって、直鎖状または分枝状であり得るものを意味する。特に定義しない限り、直鎖アルキル基は、典型的には、1個〜10個の炭素原子を含有し、そして分枝アルキル基は、典型的には、3個〜10個の炭素原子を含有する。代表的なアルキル基には、例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、第二級ブチル、イソブチル、第三級ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシルなどが挙げられる。
【0024】
「アルコキシ」との用語は、式−O−アルキルの一価部分を意味し、ここで、アルキルは、上で定義したとおりである。代表的なアルコキシ基には、例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、などが挙げられる。
【0025】
「アルキレン」との用語は、二価飽和炭化水素基であって、直鎖または分枝であり得るものを意味する。特に定義しない限り、このような直鎖アルキレン基は、典型的には、1個〜10個の炭素原子を含有し、そして分枝アルキレン基は、典型的には、3個〜10個の炭素原子を含有する。代表的なアルキレン基には、例として、メチレン、エチレン、n−プロピレン、H−ブチレン、1−メチルエチレン、1,1−ジメチルエチレンなどが挙げられる。
【0026】
「シクロアルキル」との用語は、一価飽和または部分不飽和環状非芳香族炭化水素基を意味し、これは、単環式または多環式(すなわち、縮合または架橋した)であり得る。特に定義しない限り、このようなシクロアルキル基は、典型的には、3個〜10個の全環原子を含有する。代表的なシクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
【0027】
「ヘテロシクリル」または「複素環」との用語は、一価飽和または部分不飽和環状非芳香族基を意味し、これは、一環式または多環式(すなわち、縮合または架橋した)であり得、そして少なくとも1個のヘテロ原子(典型的には、1個〜3個のヘテロ原子)(これは、窒素、酸素およびイオウから選択される)を含有する。特に定義しない限り、このようなヘテロシクリル基は、典型的には、5個〜10個の全環原子を含有する。代表的なヘテロシクリル基には、例として、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、モルホリニル、インドリン−3−イル、2−イミダゾリニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イル、キヌクリジニルなどが挙げられる。
【0028】
「ハロ」との用語は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
【0029】
「ヒドロキシアルキル」との用語は、1個またはそれ以上(典型的には、1個)のヒドロキシ基で置換されたアルキル基(これは、上で定義した)を意味するが、但し、もし、2個またはそれ以上のヒドロキシ基が存在するなら、それらは、両方共に同じ炭素原子上にはない。特に定義しない限り、このようなヒドロキシアルキル基は、典型的には、1個〜10個の炭素原子を含有する。代表的なヒドロキシアルキル基には、ヒドロキシメチル(−CHOH)、2−ヒドロキシエチル(−CHCHOH)、1−ヒドロキシエチル(−CH(OH)CH)などが挙げられる。
【0030】
「ハロアルキル」との用語は、1個またはそれ以上のハロ置換基で置換されたアルキル基(これは、上で定義した)を意味する。特に定義しない限り、このようなハロアルキル基は、典型的には、1個〜10個の炭素原子を含有する。代表的なハロアルキル基には、ジフルオロメチル(−CHF)、トリフルオロメチル(−CF)、2,2,2−トリフルオロエチル(−CHCF)などが挙げられる。
【0031】
「治療有効量」とは、治療が必要な患者に投与したとき、治療を起こすのに十分な量を意味する。
【0032】
本明細書中で使用する「治療」との用語は、患者(例えば、哺乳動物(特に、ヒト))における疾患または病態の治療を意味し、これには、以下が挙げられる:
(a)疾患または病態が起こるのを防止すること(すなわち、患者の予防的治療);
(b)疾患または病態を緩和すること(すなわち、患者における疾患または病態をなくすかその退行を引き起こすこと);
(c)疾患または病態を抑制すること(すなわち、患者における疾患または病態の進行を遅くするか阻止すること);または
(d)患者における疾患または病態の症状を軽減すること。
【0033】
「βアドレナリン受容体活性に関連した疾患」との語句は、βアドレナリン受容体アゴニストで治療することにより改善される全ての病態を包含し、そしてβアドレナリン受容体活性に関連していることが現在認識されているか将来発見されるであろう全ての疾患状態および/または病気を含む。このような疾患状態には、肺疾患(例えば、喘息および慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎および肺気腫を含めて))だけでなく、神経障害および心臓障害が挙げられるが、これらに限定されない。(例えば、Emilienら、「Current therapeutic uses and potential of β−adrenoceptor agonists and antagonists」、Eur.J.Clin.Pharmacol.1998,53,389−404を参照のこと)。βアドレナリン受容体活性は、早産分娩(例えば、米国特許第5,872,126号を参照)およびある種の炎症(例えば、WO99/30703および米国特許第5,290,815号を参照)に関連していることが知られている。
【0034】
「薬学的に受容可能な塩」との用語は、患者(例えば、哺乳動物)に投与することが許容できる塩基または酸から調製した塩を意味する。このような塩は、薬学的に受容可能な無機または有機塩基および薬学的に受容可能な無機または有機酸から誘導できる。
【0035】
薬学的に受容可能な塩が誘導される酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、キナホイック(xinafoic)酸(1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸)、1,5−ナフタレンジスルホン酸などが挙げられる。フマル酸、臭化水素酸、塩酸、酢酸、硫酸、メタンスルホン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、キナホイック酸および酒石酸から誘導された塩は、特に好ましい。
【0036】
薬学的に受容可能な塩が誘導される無機塩基には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、三価鉄、二価鉄、リチウム、マグネシウム、第一マンガン、第二マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが挙げられる。特に、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウムの塩が好ましい。薬学的に受容可能な塩が誘導される有機塩基には、第一級、第二級および第三級アミン(置換アミン、環状アミンおよび天然に生じるアミンを含めて)が挙げられ、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン(hydrabamine)、リジン、メチルグルカミン、モルフォリン、ピペラジン、ピペラジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなとが挙げられる。
【0037】
「薬学的に受容可能な賦形剤」とは、一般に、安全かつ非毒性であり、生物学的またはそれ以外のいずれでも有害ではない医薬組成物を調製する際に有用な賦形剤を意味し、これには、ヒトの医薬品用途だけでなく獣医学用途にも許容できる賦形剤が挙げられる。本明細書および請求の範囲で使用される「薬学的に受容可能な賦形剤」には、1種またはそれ以上のこのような賦形剤が含まれる。
【0038】
「溶媒和物」との用語は、溶質(すなわち、本発明の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩)の1個またはそれ以上の分子と溶媒の1個またはそれ以上の分子とにより形成された錯体または凝集体を意味する。このような溶媒和物は、典型的には、実質的に不変のモル比の溶質および溶媒を有する結晶化した固形物である。代表的な溶媒には、例として、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸などが挙げられる。溶媒が水であるとき、形成される溶媒和物は、水和物である。
【0039】
「あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体」との用語は、塩、溶媒和物および立体異性体の全ての順列(例えば、式Iの化合物の立体異性体の薬学的に受容可能な塩の溶媒和物)を含むと解釈されることが理解される。
【0040】
「脱離基」との用語は、置換反応(例えば、求核置換反応)において他の官能基または原子で置き換えることができる官能基または原子を意味する。例として、代表的な脱離基には、クロロ基、ブロモ基およびヨード基;スルホン酸エステル基(例えば、メシレート、トリレート、ブロシレート、ノシレートなど);およびアシルオキシ基(例えば、アセトキシ、トリフルオロアセトキシなど)が挙げられる。
【0041】
「アミノ保護基」との用語は、アミノ窒素との望ましくない反応を防止するのに適当な保護基を意味する。代表的なアミノ保護基には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ホルミル;アシル基(例えば、アルカノイル基(例えば、アセチル);アルコキシカルボニル基(例えば、第三級ブトキシカルボニル(Boc));アリールメトキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)および9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc));アリールメチル基(例えば、ベンジル(Bn)、トリチル(Tr)および1,1−ジ−(4’−メトキシフェニル)メチル);シリル基(例えば、トリメチルシリル(TMS)および第三級ブチルジメチルシリル(TBS))など。他の適当なアミノ保護基は、当業者に周知である。例えば、Protective Groups in Organic Synthesis,3rd edition,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,John Wiley & Sons,New York,1999,and Harrison and Harrisonら、Compendium of Synthetic Organic Methods,Vols.1−8(John Wiley and Sons,1971−1996)(これらの内容は、それらの全体として、本明細書中で参考として援用されている)を参照のこと。
【0042】
「ヒドロキシ保護基」との用語は、水酸基での望ましくない反応を防止するのに適当な保護基を意味する。代表的なヒドロキシ保護基には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アルキル基(例えば、メチル、エチルおよび第三級ブチル);アシル基(例えば、アルカノイル基(例えば、アセチル));アリールメチル基(例えば、ベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル(PMB)、9−フルオレニルメチル(Fm)およびジフェニルメチル(ベンズヒドリル、DPM));シリル基(例えば、トリメチルシリル(TMS)および第三級ブチルジメチルシリル(TBS))など。他の適当なヒドロキシ保護基は、当業者に周知である。例えば、Protective Groups in Organic Synthesis,3rd edition,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,John Wiley & Sons,New York,1999,and Harrison and Harrisonら、Compendium of Synthetic Organic Methods,Vols.1−8(John Wiley and Sons,1971−1996)(これらの内容は、本明細書中で参考として先に援用されている)を参照のこと。
【0043】
化学反応を記述するとき、「治療する」、「接触させる」および「反応させる」との用語は、本明細書中にて、交換可能に使用され、そして適当な条件下にて、1種またはそれ以上の試薬を加えることを意味する。指定された生成物および/または所望生成物を生成する条件は、必ずしも、最初に加えられた2種の試薬の組み合わせから直接生じ得るのではない、すなわち、指定された生成物および/または所望生成物の形成を最終的に引き起こす混合物で生成される1種またはそれ以上の中間体が存在し得ることが理解できるはずである。
【0044】
本明細書中で使用する「上で定義したもの」、「本明細書中で定義したもの」および「本明細書中で定義した」との用語は、交換可能に使用され、そして広い定義の変数だけでなく、もしあれば、狭い定義も含む。
【0045】
(本発明の化合物)
本発明は、式Iの新規化合物を提供する。本開示全体を通じて、本発明の範囲しまた、式Iの化合物の薬学的に受容可能な塩、溶媒和物および立体異性体を包含することが理解できるはずである。それに加えて、式Iの化合物の異性体の種々の混合物もまた、本発明の範囲内である。ラジカル、置換基および範囲についての以下の代表的な値および好ましい値は、例示にすぎない;それらは、これらのラジカルおよび置換基について規定された他の値または規定された範囲内の他の値を除外するものではない。
【0046】
本発明の特定の局面では、Rは、ハロ、−CHOH、または−NHCHOである。
【0047】
他の特定の局面では、Rは、クロロ、−CHOH、または−NHCHOである;あるいはRは、−CHOHまたは−NHCHOである。
【0048】
特定の局面では、Rは、水素である。
【0049】
別の局面では、RおよびRは、一緒になって、式−NHC(=O)CH=CH−または−CH=CHC(=O)NH−を形成する。
【0050】
特定の局面では、Rは、ヒドロキシまたはアミノである。
【0051】
他の特定の局面では、Rは、水素またはハロである;あるいはRは、水素またはクロロである。
【0052】
特定の局面では、Rは、−NHCHOであり、Rは、ヒドロキシであり、そしてRおよびRは、それぞれ、水素である。
【0053】
別の局面では、RおよびRは、一緒になって、−NHC(=O)CH=CH−または−CH=CHC(=O)NH−であり、Rは、ヒドロキシであり、そしてRは、水素である。
【0054】
さらに別の特定の局面では、Rは、−CHOHであり、Rは、ヒドロキシであり、そしてRおよびRは、それぞれ、水素である。
【0055】
特定の局面では、Rは、水素である。
【0056】
特定の局面では、Rは、水素である。
【0057】
特定の局面では、Rは、水素である。
【0058】
特定の局面では、Rは、水素である。
【0059】
特定の局面では、Rは、水素である。
【0060】
特定の局面では、Rは、水素またはC1〜6アルキルである。
【0061】
別の特定の局面では、Rは、水素である。
【0062】
特定の局面では、RおよびRの各々は、別個に、水素またはC1〜6アルキルである。
【0063】
別の局面では、RおよびRの各々は、別個に、水素またはメチルである。
【0064】
さらに別の特定の局面では、RおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ヘテロシクリル環を形成し、該ヘテロシクリル環は、5個〜7個の環原子を有し、そして1個〜3個のヘテロ原子を含有し、該ヘテロ原子は、窒素、酸素およびイオウから選択される。
【0065】
さらに別の特定の局面では、RおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、モルホリノを形成する。
【0066】
1局面では、本発明は、式IAの化合物を提供する:
【0067】
【化18】

ここで、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、本明細書中で定義した値のいずれかをとる。
【0068】
上記式IAの化合物により明白に図示されているように、本発明の化合物は、水酸基が結合したアルキレン炭素でキラル中心を含有する。立体異性体の混合物が使用されるとき、水酸基を有するキラル中心で(R)配向を備えた立体異性体の量は、対応する(S)立体異性体の量よりも多いことが有利である。同じ化合物の立体異性体を比較するとき、(R)立体異性体は、(S)立体異性体よりも好ましい。
【0069】
別の局面では、本発明は、式IBの化合物を提供する:
【0070】
【化19】

ここで、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、本明細書中で定義したとおりである。
【0071】
さらに別の局面では、本発明は、式ICの化合物を提供する:
【0072】
【化20】

ここで、R、R、R、R、RおよびRは、本明細書中で定義したとおりである。
【0073】
さらに別の局面では、本発明は、式IDの化合物を提供する:
【0074】
【化21】

ここで、
は、−CHOHまたは−NHCHOであり、そしてRは、水素であるか、あるいはRおよびRは、一緒になって、−NHC(=O)CH=CH−または−CH=CHC(=O)NH−である;
は、水素またはC1〜6アルキルである;そして
およびRの各々は、別個に、水素、またはC1〜6アルキルであるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ヘテロシクリル環を形成し、該ヘテロシクリル環は、5個〜7個の環原子を有し、そして1個〜3個のヘテロ原子を含有し、該ヘテロ原子は、窒素、酸素およびイオウから選択される。
【0075】
それに加えて、本発明は、RおよびRの各々が、別個に、水素またはメチルである式IDの化合物を提供する。
【0076】
さらに、本発明は、RおよびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、モルホリノを形成する式IDの化合物を提供する。
【0077】
本発明の次の化合物が特に言及され得る:
4−(4−{2−[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]−エチル}フェニルアミノ)ベンズアミジン;
4−(4−{2−[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]−エチル}−フェニルアミノ)−フェニルアミノ)−N,N−ジメチルベンズアミジン;
8−ヒドロキシ−5−[(R)−1−ヒドロキシ−2−(2−{4−[4−(イミノ−モルホリン−4−イル−メチル)フェニルアミノ]−フェニル}エチルアミノ)エチル]−1H−キノリン−2−オン;この場合、化学命名法は、MDL Information Systems,GmbH(Frankfurt,Germany)から提供されたプログラムであるAutoNomのものと一致している。
【0078】
(一般合成手順)
本発明の化合物は、以下の方法および手順を使用して、容易に入手できる出発物質から調製できる。本発明の化合物の種々の置換基は、これらの出発物質に存在できるか、中間体のいずれか1つに付加できるか、あるいは最終生成物の形成後に、置換反応または変換反応の公知方法により、付加できる。例えば、ニトロ基は、ニトロ化により付加でき、ニトロ基は、他の基(例えば、還元によりアミノ、アミノ基のジアゾ化およびジアゾ基とハロゲン化との置換によりハロゲン)に変換できる。アシル基は、フリーデル−クラフツアシル化により、付加できる。次いで、このアシル基は、種々の方法(ウォルフ−キッシュナー(Wolff−Kishner)還元およびクレメンソン(Clemmenson)還元を含めて)により、対応するアルキル基に変換できる。アミノ基は、アルキル化され、モノ−およびジ−アルキルアミノ基が形成できる;そしてメルカプト基およびヒドロキシ基は、アルキル化され、タイヤ宇するエーテルが形成できる。第一級アルコールは、当該技術分野で公知の酸化剤により酸化され、カルボン酸またはアルデヒドが形成でき、そして第二級アルコールは、酸化されて、ケトンが形成できる。それゆえ、これらの出発物質、中間体または最終生成物(単離された生成物を含めて)の分子全体にわたって、種々の置換基を提供するために、置換反応または変性反応が使用できる。
【0079】
本発明の化合物は、必ず存在する特定の置換基を有し得るので、各置換基の導入は、もちろん、関与している特定の置換基およびそれらを形成するのに必要な化学反応に依存している。それゆえ、ある置換基が第二の置換基を形成するときに化学反応によってどうように影響されるかを考慮することには、当業者によく知られている技術が関与している。
【0080】
さらに、当業者に明らかなように、特定の官能基が望ましくない反応を受けるのを防止するために、通常の保護基が必要であり得る。特定の官能基に適当な保護基だけでなく保護および脱保護に適当な条件の選択は、当該技術分野で周知である。例えば、多数の保護基、ならびにそれらの導入および除去は、T.W.Greene and G.M.Wuts,Protecting Groups in Organic Synthesis,3rd ed.,John Wiley & Sons,New York,1999、およびそこで引用された参考文献で記載されており、これらの全ての内容は、それらの全体として、本明細書中で参考として援用されている。
【0081】
以下のスキームでは、本発明の特定の局面が図示されているものの、当業者は、本明細書中で記述された方法を使用して、または当業者な公知の他の方法、試薬および出発物質を使用することにより、本発明の全ての局面が調製できることを認識する。典型的または好ましい処理条件(例えば、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が与えられる場合、特に明記しない限り、他の条件もまた使用できることもまた分かる。最適な反応条件は、使用する特定の反応物または溶媒と共に変えられ得るが、このような条件は、通常の最適化手順によって、当業者により決定できる。これらの反応のいくつかについての反応時間が以下で示されているのに対して、当業者に公知の種々の技術(例えば、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、および他のクロマトグラフィー法)を使用して、反応の進行を容易にモニターできる。
【0082】
1合成方法では、式Iの化合物は、スキームAで図示しているように、調製される。(以下のスキームで示された置換基および変数は、特に明記しない限り、上で提供した定義を有する)。
【0083】
【化22】

ここで、PおよびPの各々は、別個に、ヒドロキシ保護基であり、Lは、脱離基(例えば、ハロ(例えば、ブロモ))であり、そしてROHは、アルコールである。典型的には、ヒドロキシ保護基PおよびPは、異なる反応性を有し、それにより、適当な条件下にて、これらのヒドロキシ保護基の1つを選択的に除去することが可能となる。
【0084】
スキームAで示すように、式A−1の化合物は、アリールアミン(A−2)と反応されて、式A−3のカップリング中間体生成物が提供される。典型的には、このカップリング反応は、有機溶媒中で、塩基および遷移金属触媒およびアリールホスフィン配位子の存在下にて、加熱しつつ行われる。アリール基をアリールアミンにカップリングするのに有用な遷移金属触媒には、パラジウム系触媒(例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)−二パラジウム(0))が挙げられる。適当なアリールホスフィン配位子には、rac−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルが挙げられる。このカップリング反応は、典型的には、その反応混合物を約50℃と約120℃の間の温度で加熱することにより、実行される。しばしば、反応時間は、約0.25時間と約12時間の間の範囲である。
【0085】
保護基Pは、典型的には、酸に不安定なヒドロキシ保護基(例えば、シリル保護基)であって、これには、トリアルキルシリル(例えば、第三級ブチルジメチルシリル)が挙げられる。このようにして、Pは、シアノ基の酸加水分解と同じ反応条件下にて除去でき、式A−4のイミデート化合物が得られる。このシアノ基をイミデート基に加水分解するために、多種多様な酸が使用できる。このシアノ基を加水分解できる代表的な酸には、硫酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などが挙げられる。典型的には、この加水分解反応は、アルコール性溶媒(例えば、メタノール、エタノールまたはイソプロパノール)中で、実行される。反応温度は、一般に、0℃〜約50℃、しばしば、約15℃〜約30℃の範囲である。一般に、反応時間は、約1時間〜約24時間の範囲であり、約6時間〜約12時間が典型的な反応時間である。
【0086】
次いで、式A−4のイミデート化合物と式HNRのアミン化合物とを反応させると、式A−5のアミジン化合物が得られる。式A−4のイミデート化合物は、このアミン化合物と反応させる前に精製できるのに対して、一般に、粗(すなわち、未精製)式A−4のイミデート化合物を使用することの方が好都合である。式A−4のイミデート化合物から式A−5のアミジン化合物を調製する反応条件は、このアミン化合物の反応性に依存している。しかしながら、典型的には、この反応は、アルコール性溶媒(例えば、メタノールまたはエタノール)中で実行される。反応温度は、このアミン化合物の反応性に依存して、0℃から反応溶媒の沸点までのいずれかであり得る。しばしば、反応温度は、約10℃〜約70℃の範囲である。
【0087】
次いで、式A−5のアミジン化合物から保護基Pを除去すると、式A−6の生成物が得られる。一般に、ヒドロキシ保護基Pは、ベンジル保護基であり、これは、典型的には、炭素上パラジウム触媒を使用する水素化により、式A−5のアミジン化合物から除去されて、この生成物が得られる。
【0088】
あるいは、式A−1の化合物の脱離基Lと式A−2の化合物のアミノ基とは、アミノ基が式A−1における脱離基Lの場所を占めるように、また、脱離基Lが式A−2におけるアミノ基の場所を占めるように、交換できる。
【0089】
別の代替法では、式A−1の化合物とA−2の化合物との間で間のカップリング反応の前に、(例えば、加水分解およびアミン化合物との反応によって)、このシアノ基をアミジン基に変換する。
【0090】
式A−1の中間体は、当該技術分野で公知の手順で調製され得、これらは、例えば、米国特許第6,653,323 B2号および第6,670,376 B1号(これらの内容は、本明細書中で参考として援用されている)およびそこで引用された参考文献で記載されている。
【0091】
本発明の化合物を調製する別の方法は、スキームBで図示する。(以下のスキームで示された置換基および変数は、特に明記しない限り、上で提供した定義を有する)。
【0092】
【化23】

スキームBで図示された方法では、B−1のチオカルボニル化合物は、メチル化さりて、チオイミデートB−2が生じる。そのイミデート基を式HNRのアミン化合物と反応させ、得られた中間体を脱保護すると、式B−3の化合物が得られる。次いで、スキームAで上述のように、芳香環上のヒドロキシ保護基Pを除去すると、式B−4の化合物が得られる。この方法は、必要に応じて、これらの第二級アミンの一方または両方がアミノ保護基を持つチオカルボニル化合物を使用でき、そのアミノ保護基を除去する追加脱保護工程を含み得る。
【0093】
式B−1の中間体は、例えば、式IVの対応するニトリルをカルボキサミドに加水分解することに続いて、このカルボキサミドをローソン試薬を使用してチオアミドB−1に変換することにより、調製され得る。
【0094】
が−NHCHOであり、そしてRが水素である本発明の化合物を調製する別の方法は、以下のスキームCで図示する。
【0095】
【化24】

ここで、PおよびPは、別個に、ヒドロキシ保護基であり、各Pは、別個に、アミノ保護基であり、そして代表的な試薬および条件は、明白に示されている。
【0096】
スキームCでは、化合物C−1は、上記スキームAで記述したような2種の芳香環化合物のカップリング反応から誘導される。それらのアミノ基は、酸性条件に対して安定なアミノ保護基を使用して保護されて、式C−2の化合物が得られる。このような保護基は、当業者に周知であり、そして上で援用されたProtecting Groups in Organic Synthesis by Greene and Wutzで開示されている。次いで、式C−2の化合物のシアノ基は、酸性条件(上記スキームAの考察を参照)下にて加水分解されて、イミデート化合物C−3が得られる。スキームCで示すように、このシアノ基を酸性加水分解すると、また、ホルミル基が除去される。次いで、イミデート化合物C−3とアミン化合物とを反応させると、式C−4のアミジン化合物が得られる。式C−4の化合物の遊離アミノ基を再形成すると、式C−5の化合物が得られる。式C−5の化合物にある2個のフェニル基の間に位置している窒素原子上の保護基Pを選択的に除去し、引き続いて、このアミノ基を官能化すると、この窒素原子上にて、所望の置換基が得られる(ここで、Rは、C1〜6アルキルである)。次いで、他のアミノ保護基Pを除去すると、式C−6の化合物が得られる。Rが水素である化合物について、両方のアミノ保護基Pは、単一の反応で除去できる。
【0097】
他の官能基(例えば、シアノ基およびイミデート基)からアミジン官能基を生成する他の方法は、当業者に周知である。例えば、Advanced Organic Chemistry,5th Ed.,Smith and March,2001,John Wiley & Sons,New York,NY(この内容は、その全体として、本明細書中で参考として援用されている)を参照のこと。このようにして、式Iの化合物の合成には、多種多様な出発物質が使用できる。
【0098】
(医薬組成物)
本発明はまた、本発明の化合物を含有する医薬組成物を提供する。従って、この化合物(これは、典型的には、薬学的に受容可能な塩の形態である)は、任意の適当な投与形態(例えば、経口投与または非経口投与または吸入による投与)に処方できる。
【0099】
例として、この化合物は、通常の薬学的に受容可能な賦形剤と混合され、そして粉剤、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウエハなどの形態で、使用できる。このような医薬組成物は、約0.05〜約90重量%、さらに好ましくは、約0.1〜約30重量%の活性化合物を含有する。これらの医薬組成物は、通例の賦形剤(例えば、コーンスターチまたはゼラチン、ラクトース、硫酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、リン酸二カルシウム、塩化ナトリウムおよびアルギン酸)を含有し得る。本発明の処方で通例使用される崩壊剤には、クロスカルメロース、微結晶性セルロース、コーンスターチ、グリコール酸ナトリウムデンプンおよびアルギン酸が挙げられる。
【0100】
液状組成物は、一般に、必要に応じて、懸濁剤、可溶化剤(例えば、シクロデキストリン)、防腐剤、界面活性剤、湿潤剤、香料または着色剤と共に、適当な担体(例えば、エタノール、グリセリン、ソルビトール、非水性溶媒(例えば、ポリエチレングリコール)、オイルまたは水)中のこの化合物または薬学的に受容可能な塩の懸濁液または溶液からなる。あるいは、液状処方は、再構成可能な粉剤から調製できる。
【0101】
例えば、活性化合物、懸濁剤、ショ糖および甘味料を含有する粉剤は、水で再構成され、懸濁液を形成できる;シロップは、活性成分、ショ糖および甘味料を含有する粉剤から調製できる。
【0102】
錠剤の形態の組成物は、固形組成物を調製するのに通常使用される任意の適当な薬学的に受容可能な賦形剤を使用して、調製できる。このような賦形剤の例には、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、ラクトース、ショ糖、微結晶性セルロースおよび結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン)が挙げられる。この錠剤はまた、着色フィルム被覆を備え付けることができるか、または色は、その賦形剤の一部として含まれる。それに加えて、活性化合物は、親水性または疎水性マトリックスを含有する錠剤として、徐放剤形で処方できる。
【0103】
カプセル形態の組成物は、例えば、硬質ゼラチンに活性化合物および賦形剤を取り込むことにより、通常のカプセル化手順を使用して、調製できる。あるいは、活性化合物および高分子量ポリエチレングリコールの半固形マトリックスが調製でき、硬質ゼラチンカプセルに充填できる;または活性化合物のポリエチレングリコール溶液または食用油(例えば、液状パラフィンまたは分取やし油)懸濁液が調製され、そして軟質ゼラチンカプセルに充填できる。
【0104】
含有できる錠剤には、アカシア、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン(Povidone)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ショ糖、デンプンおよびメチルセルロースがある。使用できる潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウムまたは他のステアリン酸金属塩、ステアリン酸、シリコーン液体、タルク、ワックス、オイルおよびコロイドシリカが挙げられる。
【0105】
香料(例えば、ペパーミント、冬緑油、サクランボ香料など)もまた、使用できる。さらに、外観を魅力的にするか生成物の確認を助ける剤形にする着色剤を加えることが望まれ得る。
【0106】
非経口的に投与して活性である本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩は、筋肉内投与、くも膜下腔内投与または静脈内投与に処方できる。
【0107】
筋肉内投与またはくも膜下腔内投与に典型的な組成物は、活性成分のオイル(例えば、落花生油またはゴマ油)溶液または懸濁液からなる。静脈内投与またはくも膜下腔内投与に典型的な組成物は、無菌等張水溶液からなり、これは、例えば、活性成分と、ブドウ糖または塩化ナトリウム、またはブドウ糖および塩化ナトリウムの混合物からなる。他の例には、乳酸加リンガー溶液の注射、乳酸加リンガー溶液+ブドウ糖の注射、Normosol−Mおよびブドウ糖、Isolyte E、アシル化リンガー溶液の注射などがある。この処方には、必要に応じて、共溶媒(例えば、ポリエチレングリコール);キレート化剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸);可溶化剤(例えば、シクロデキストリン);および抗酸化剤(例えば、メタ亜硫酸水素ナトリウム)が含有され得る。あるいは、この溶液は、凍結乾燥され、次いで、投与直前に、適当な溶媒で再構成される。
【0108】
局所投与時に活性である本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩は、経皮組成物または経皮送達装置(「パッチ」)として、処方できる。このような組成物は、例えば、裏打ち、活性化合物レザバ、制御膜、ライナーおよびコンタクト接着剤を含む。このような経皮パッチは、本発明の化合物が制御量で連続注入または非連続注入されるように、使用され得る。薬剤を送達する経皮ハッチの構成および使用は、当該技術分野で周知である。例えば、米国特許第5,023,252号を参照。このようなパッチは、薬剤を連続送達、脈動送達または応需送達するように、構成され得る。
【0109】
本発明の化合物を投与する1つの好ましい様式は、吸入である。吸入は、気道に薬剤を直接送達する有効な手段である。3つの一般的な形式の薬剤吸入装置が存在している:噴霧吸入器、乾燥粉末吸入器(DPI)および計量用量吸入器(MDI)。通常の噴霧装置は、高速の空気流れを生じ、これは、ミストとして治療剤を噴霧し、このミストは、患者の気道内に運ばれる。この治療剤は、液体形状(例えば、吸入可能サイズの微粉化粒子の溶液または懸濁液)に処方され、この場合、微粉化は、典型的には、その粒子の約90%以上が約10μm未満の直径を有するとして、定義される。
【0110】
通常の噴霧装置で使用するのに典型的な処方は、約0.05μg/mLと約10mg/mLの間の活性成分の濃度で、その活性成分の医薬塩の等張水溶液である。適当な噴霧装置は、例えば、PARI GmbH(Starnberg,German)により、商業的に提供される。他の噴霧装置には、例えば、米国特許第6,123,068号で開示されている。
【0111】
DPIは、典型的には、遊離流動性粉末(これは、吸気時に患者の気流に分散できる)の形態で、治療剤を投与する。この粉末を分散するために外部エネルギー源を使用する代替DPI装置もまた開発されている。遊離の流動性粉末を得るために、この治療剤は、適当な賦形剤(例えば、ショ糖またはデンプン)と処方できる。乾燥粉末処方は、例えば、乾燥乳糖粒子と適当な形状(典型的には、本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩(すなわち、活性剤))の微粉化粒子とを混ぜ合わせることにより、そして乾燥ブレンドすることにより、製造できる。あるいは、この薬剤は、賦形剤なしで処方できる。その処方は、乾燥粉末ディスペンサに装填されるか、または乾燥粉末送達装置と併用するために、吸入カートリッジまたはカプセルに装填される。
【0112】
商業的に得られるDPI送達装置の例には、Diskhaler(GlaxoSmithKline,Research Triangle Park,NC)(例えば、米国特許第5,035,237号を参照);Diskus(GlaxoSmithKline)(例えば、米国特許第6,378,519号を参照);Turbuhaler(AstraZeneca,Wilmington,DE)(例えば、米国特許第4,524,769号を参照);およびRotahaler(GlaxoSmithKline)(例えば、米国特許第4,353,365号を参照)が挙げられる。適当なDPI装置のさらに他の例は、米国特許第5,415,162号、第5,239,993号および第5,715,810号および本明細書中の参考文献で記述されている。
【0113】
MDIは、典型的には、圧縮した推進ガスを使用して、測定した量の治療剤を放出する。MDI用の処方は、活性成分の液化推進剤溶液または懸濁液を含有する。従来、推進剤として、クロロフルオロカーボン(例えば、CClF)が使用されていたが、このような試薬がオゾン層に悪影響を与える懸念があるために、ヒドロフルオロアルカン(HFA)(例えば、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA 134a)および1,1,1,2,3,3,3,−ヘプタフルオロ−n−プロパン(HFA 227)を使用する処方が開発された。MDI投与用のHFA処方のさらに別の成分には、共溶媒(例えば、エタノールまたはペンタン)および界面活性剤(例えば、ソルビタントリオレエート、オレイン酸、レシチンおよびグリセリン)が挙げられる。(例えば、米国特許第5,225,183号、EP 0717987 A2およびWO92/22286を参照)。
【0114】
それゆえ、MDI投与に適当な処方は、約0.001重量%〜約2重量%の本発明の化合物、約0重量%〜約20重量%のエタノール、および約0重量%〜約5重量%の界面活性剤を含有でき、残りは、HFA推進剤である。1つのアプローチでは、この処方を調製するために、本発明の活性剤の医薬塩、エタノール(もし存在するなら)および界面活性剤(もし存在するなら)を含有するバイアルには、冷却または加圧したヒドロフルオロアルカンが加えられる。懸濁液を調製するためには、この医薬塩は、微粉粒子として提供される。その処方は、エアロゾルキャニスターに装填され、これは、MDI装置の一部をなす。HFA推進剤と併用するように特別に開発されたMDI装置の例は、米国特許第6,006,745号および第6,143,227号で提供されている。
【0115】
別の製剤では、活性化合物の医薬塩の微粉粒子上で界面活性剤の被覆を噴霧乾燥することにより、懸濁液処方が調製される。(例えば、WO 99/53901およびWO 00/61108を参照)。吸入可能粒子を調製する方法および吸入投薬に適当な処方および装置の別の例については、米国特許第6,268,533号、第5,983,956号、第5,874,063号および第6,221,398号、およびWO 99/55319およびWO 00/30614を参照。
【0116】
これらの活性化合物は、βアドレナリン受容体アゴニストとして有用であり、従って、哺乳動物におけるβアドレナリン受容体により媒介されるかβアドレナリン受容体活性に関連した疾患または病態(すなわち、βアドレナリン受容体アゴニストで治療することにより改善される疾患)を治療するのに有用である。このような病態には、肺性疾患(例えば、喘息または慢性閉塞性肺疾患)、早産分娩、神経障害、心臓障害または炎症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0117】
この活性化合物は、広い投薬範囲にわたって有効であり、一般に、治療有効量で投与される。しかしながら、実際に投与される化合物の量は、関連した状況(治療する病気、選択した投与経路、投与する実際の化合物およびその相対活性、個々の患者の年齢、体重および応答、患者の症状の重症度など)を考慮して、医師により決定されることが分かる。
【0118】
吸入投与に適当な用量の治療剤は、約0.05μg/日〜約1000μg/日、好ましくは、約0.1μg/日〜約500μg/日の一般的な範囲である。特定の送達装置に特徴的な肺に送達される活性剤の画分は、吸入投与に適当な用量を決定する際に、考慮されることが理解される。
【0119】
ある化合物は、定期用量で、投与できる:毎週、1週間に複数回、毎日または1日に複数回。その治療レジメンでは、長期間にわたる投与(例えば、数週間または数ヶ月)、すなわち、長期投与が必要であり得る。経口投与に適当な用量は、約0.05μg/日〜約100μg/日、好ましくは、約0.5μg/日〜約1000μg/日の一般的な範囲である。
【0120】
他の特性のうちで、本発明の化合物は、驚くべき予想外の作用持続時間を示す。以下の実施例で記述するように、本発明の化合物は、気管支保護の動物モデルにおいて、24時間より長い作用持続時間を示した。さらに、本発明の化合物は、βアドレナリン受容体の強力かつ選択的なアゴニストである。特に、本発明の化合物は、βおよびβアドレナリン受容体と比較したとき、βアドレナリン受容体に対して選択的である。
【0121】
本発明は、それゆえ、βアドレナリン受容体活性に関連した疾患または病態に罹った哺乳動物を治療する方法を提供し、該方法は、該哺乳動物に、本発明の化合物または本発明の化合物を含有する医薬組成物を投与する工程を包含する。
【0122】
本発明の活性剤はまた、1種またはそれ以上の他の治療薬をさらに含有する配合の一部として、使用できる。例えば、本発明の薬剤は、抗炎症薬(例えば、コルチコステロイドおよび非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs))、抗コリン薬(特に、ムスカリン受容体)、他のβアドレナリン受容体アゴニスト、抗感染薬(例えば、抗生物質または抗ウイルス薬)または抗ヒスタミン薬から選択される1種またはそれ以上の治療薬と併用して、投与できる。
【0123】
本発明は、それゆえ、さらなる局面において、1種またはそれ以上の他の治療薬(例えば、抗炎症薬、抗コリン薬、別のβアドレナリン受容体アゴニスト、抗感染薬または抗ヒスタミン薬)と一緒に本発明の化合物を含有する配合を提供する。本発明の配合において、個々の化合物は、例えば、各治療薬に対して別個の隔室を使用する吸入送達装置において、別々に提供され得るか、あるいは単一医薬組成物中で一緒に処方され得る。
【0124】
他の治療薬は、薬学的に受容可能な塩または溶媒和物の形態で使用できる。適当なら、これらの他の治療薬は、光学的に純粋な立体異性体として、使用できる。
【0125】
適当な抗炎症薬には、コルチコステロイドおよびNSAIDsが挙げられる。本発明の化合物と併用され得る適当なコルチコステロイドには、経口および吸入コルチコステロイドならびに抗炎症活性を有するそれらのプロドラッグがある。例には、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメサゾン、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸 S−フルオロメチルエステル、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−プロピオニルオキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸 S−(2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3S−イル)エステル、ベクロメタゾンエステル(例えば、17−プロピオン酸エステルまたは17,21−二プロピオン酸エステル)、ブデソニド、フルニソリド、モメタゾンエステル(例えば、フロ酸エステル)、トリアムシノロンアセトニド、ロフレポニド(rofleponide)、シクレソニド、プロピオン酸ブチキソコルト、RPR−106541、およびST−126が挙げられる。好ましいコルチコステロイドには、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α−ジフルオロ−11b−ヒドロキシ−16α−メチル−17α−[(4−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボニル)オキシ]−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸 S−フルオロメチルエステルおよび6α,9α−ジフルオロ−17a−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11b−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸 S−フルオロメチルエステルが挙げられ、さらに好ましくは、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸 S−フルオロメチルエステルが挙げられる。
【0126】
適当なNSAIDsには、クロモグリク酸ナトリウム;ネドクロミルナトリウム;ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤(例えば、テオフィリン、PDE4阻害剤または混合PDE3/PDE4阻害剤);ロイコトリエンアンタゴニスト(例えば、モンテルカスト);ロイコトリエン合成の阻害剤;iNOS阻害剤;タンパク質分解酵素阻害剤(例えば、トリプターゼおよびエラスターゼ阻害剤);ベータ−2インテグリンアンタゴニストおよびアデノシン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト(例えば、アデノシン2aアゴニスト);サイトカインアンタゴニスト(例えば、ケモカインアンタゴニスト(例えば、インターロイキン抗体(αIL抗体))具体的には、αIL−4療法、αIL−13療法、またはそれらの組み合わせ);またはサイトカイン合成の阻害剤が挙げられる。他の適当なβ−アドレナリン受容体アゴニストには、サルメテロール(例えば、キナホイック酸塩(xinafoate)として)、サルブタモール(例えば、硫酸塩または遊離塩基としてた)、フォルモテロール(例えば、フマル酸塩として)、フェノテロールまたは
テルブタリンおよびそれらの塩が挙げられる。
【0127】
また、本発明の活性剤をホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤または混合PDE3/PDE4阻害剤と併用することも、重要である。代表的なホスホジエステラーゼ−4(PDE4)阻害剤または混合PDE3/PDE4阻害剤には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:シス−4−シアノ−4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸、2−カルボメトキシ−4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン−1−オン;シス−[4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン−1−オール];シス−4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]シクロヘキサン−1−カルボン酸など、またはそれらの薬学的に受容可能な塩。他の代表的なPDE4または混合PDE4/PDE3阻害剤には、以下が挙げられる:AWD−12−281(elbion);NCS−613(INSERM);D−4418(ChiroscienceおよびSchering−Plough);CI−1018またはPD−168787(Pfizer);WO99/16766で開示されたベンゾジオキソール化合物(Kyowa Hakko);K−34(Kyowa Hakko);V−11294A(Napp);ロフルミラスト(Byk−Gulden);WO99/47505で開示されたフタラジノン化合物(Byk−Gulden);Pumafentrine(Byk−Gulden、現在、Altana);アロフィリン(Almirall−Prodesfarma);VM554/UM565(Vernalis);T−440(Tanabe Seiyaku);およびT2585(Tanabe Seiyaku)。
【0128】
適当な抗コリン薬には、ムスカリン受容体においてアンタゴニストとして作用する化合物、特に、M、MまたはM受容体のアンタゴニストである化合物、またはそれらの組み合わせがある。代表的な化合物には、アトロピン、スコポラミン、ホマトロピン、ヒヨスチアミンなどで例示されるようなベラドンナ植物のアルカロイドが挙げられる;これらの化合物は、通常、塩として投与され、第三級アミンである。これらの薬剤(特に、塩形状)は、多数の企業から容易に入手できるか、あるいは文献データから製造または調製できる:
アトロピン−CAS−51−55−8またはCAS−51−48−1(無水形状)、硫酸アトロピン−CAS−5908−99−6;酸化アトロピン−CAS−4438−22−6またはそのHCl塩−CAS−4574−60−1および硝酸メチルアトロピン−CAS−52−88−0。
【0129】
ホマトロピン−CAS−87−00−3、臭化水素酸塩−CAS−51−56−9、臭化メチル塩−CAS−80−49−9。
【0130】
ヒヨスチアミン(d,l)−CAS−101−31−5、臭化水素酸塩−CAS−306−03−6および硫酸塩−CAS−6835−16−1。
【0131】
スコポラミン−CAS−51−34−3、臭化水素酸塩−CAS−6533−68−2、臭化メチル塩−CAS−155−41−9。
【0132】
好ましい抗コリン薬には、イプラトロピウム(例えば、その臭化物として)(これは、Atroventの名称で販売されている)、オキシトロピウム(例えば、その臭化物として)およびチオトロピウム(例えば、その臭化物として)(CAS−139404−48−1)が挙げられる。また、以下も重要である:メタンテリン(CAS−53−46−3)、臭化プロパンテリン(CAS−50−34−9)、アニソトロピン臭化メチルまたはValpin 50(CAS−80−50−2)、臭化クリジニウム(Quarzan、CAS−3485−62−9)、コピロレート(Robinul)、ヨウ化イソプロパミド(CAS−71−81−8)、臭化メペンゾラート(米国特許第2,918,408号)、塩化トリジヘキシエチル(Pathilone、CAS−4310−35−4)、およびメチル硫酸ヘキソシクリウム(Tral、CAS−115−63−9)。また、塩酸シクロペントレート(CAS−5870−29−1)、トロピカミド(CAS−1508−75−4)、塩酸トリヘキシフェニジル(CAS−144−11−6)、ピレンゼピン(CAS−29868−97−1)、テレンゼピン(CAS−80880−90−9)、AF−DX 116、またはメトクトラミン、およびWO01/04118で開示された化合物(この内容は、本明細書中で参考として援用されている)も参照のこと。
【0133】
適当な抗ヒスタミン剤(これらはまた、H−受容体アンタゴニストとも呼ばれる)には、H−受容体を阻害する公知の多数のアンタゴニストであって、ヒトに使用して安全なものが挙げられる。全ては、ヒスタミンとH−受容体との相互作用の可逆的で競合的な阻害剤である。これらの阻害剤の大部分(殆どは、第一世代アンタゴニスト)は、それらの核構造に基づいて、エタノールアミン、エチレンジアミンおよびアルキルアミンとして特徴付けられる。それに加えて、他の第一世代抗ヒスタミン剤には、ピペラジンおよびフェノチアジンに基づいて特徴付けることができるものが挙げられる。第二世代アンタゴニスト(これらは、非鎮静作用である)は、核エチレン基(アルキルアミン)を保持しているか、あるいはピペリジンまたはピペラジンとの第三級アミン基に似ているという点で、類似の構造−活性関係を有する。代表的なアンタゴニストは、次のとおりである:
エタノールアミン:マレイン酸カルビノキサミン、フマル酸クレマスチン、塩酸ジフェニルヒドラミンおよびジメンヒドリネート。
【0134】
エチレンジアミン:マレイン酸ピリラミン(pyrilamine amleate)、トリペレナミンHClおよびクエン酸トリペレナミン;
アルキルアミン:クロルフェニラミンおよびその塩(マレイン酸塩)、およびアクリバスチン。
【0135】
ピペラジン:ヒドロキシジンHCl、パモ酸ヒドロキシジン、シクリジンHCl、乳酸シクリジン、メクリジンHClおよびセチリジンHCl。
【0136】
ピペリジン:アステミゾール、レボカバスチンHCl、ロラタジンまたはそのデスカルボエトキシアナログ、テルフェナジン、および塩酸フェキソフェナジン、またはそれらの薬学的に受容可能な塩。
【0137】
塩酸アゼラスチンは、本発明の化合物と併用され得るさらに別のH受容体アンタゴニストである。
【0138】
好ましい抗ヒスタミン剤の例には、メタピリレンおよびロラタジンが挙げられる。
【0139】
本発明は、それゆえ、さらなる局面において、式Iの化合物あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体とコルチコステロイドとを含有する配合を提供する。特に、本発明は、このコルチコステロイドがプロピオン酸フルチカゾンである配合か、このコルチコステロイドが、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸 S−フルオロメチルエステルまたは6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−プロピオニルオキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸 S−(2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3S−イル)エステルである配合を提供する。
【0140】
本発明は、それゆえ、さらなる局面において、式Iの化合物あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体とPDE4阻害剤とを含有する配合を提供する。
【0141】
本発明は、それゆえ、さらなる局面において、式Iの化合物あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体と抗コリン薬とを含有する配合を提供する。
【0142】
本発明は、それゆえ、さらなる局面において、式Iの化合物あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体と抗ヒスタミン剤とを含有する配合を提供する。
【0143】
本発明は、それゆえ、さらなる局面において、PDE4阻害剤およびコルチコステロイドと一緒に式Iの化合物あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体を含有する配合を提供する。
【0144】
本発明は、それゆえ、さらなる局面において、抗コリン薬およびコルチコステロイドと一緒に式Iの化合物あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体を含有する配合を提供する。
【0145】
上記組み合わせで使用する「式Iの化合物」との用語は、それらの代表的な群(例えば、式IA、IB、IC、IDおよびIEの化合物)、ならびに任意の個々に開示された化合物を含む。
【0146】
従って、本発明の医薬組成物は、必要に応じて、式Iの化合物あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体と上記のような1種またはそれ以上の他の治療薬との配合を含有できる。
【0147】
このような配合の個々の化合物は、別々のまたは組み合わせた医薬品処方において、順次または同時のいずれかで、投与され得る。公知の治療薬の適当な用量は、当業者に容易に理解される。従って、本発明の治療方法は、別々のまたは組み合わせた医薬品処方において、順次または同時のいずれかで、このような配合の個々の化合物の投与を包含する。
【0148】
それゆえ、さらなる局面に従って、本発明は、βアドレナリン受容体活性に関連した疾患または病態に罹った哺乳動物を治療する方法を提供し、該方法は、該哺乳動物に、式Iの化合物あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体と1種またはそれ以上の他の治療薬との配合の治療有効量を投与する工程を包含する。
【0149】
本発明の化合物は、βアドレナリン受容体アゴニストであるので、このような化合物はまた、βアドレナリン受容体を有する生体系または試料を研究する研究手段として、または新しいβアドレナリン受容体アゴニストを発見する研究手段として、有用である。さらに、本発明の化合物は、他のβアドレナリン亜型の受容体と比較したとき、βアドレナリン受容体に対して選択性を示すので、このような化合物はまた、生体系または試料において、βアドレナリン受容体の選択的アゴニズムの効果を研究するのに有用である。インビトロまたはインビボのいずれかで行われ得るこのような研究では、任意の適当なβアドレナリン受容体を有する生体系または試料が使用され得る。
【0150】
このような研究に適切な代表的な生体系または試料としては、細胞、細胞抽出物、原形質膜、組織試料、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、ブタなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。βアドレナリン受容体をアゴナイズする効果は、通常の手順および装置(例えば、放射性リガンド結合アッセイおよび機能アッセイ、例えば、下記の細胞内環状アデノシン一リン酸(cAMP)の配位子媒介変換のためのアッセイまたは類似の性質のアッセイ)を使用して、測定される。本発明の化合物のβアドレナリン受容体アゴナイズ量は、典型的には、約1ナノモル〜約1000ナノモルの範囲である。本発明の化合物が新しいβアドレナリン受容体アゴニストを発見を研究手段として使用されるとき、本発明はまた、別の実施態様として、(適当なアッセイを使用する)比較データの作成および対象試験化合物を同定する試験データの分析の両方を包含する。
【0151】
以下の非限定的な例は、本発明の代表的な医薬組成物を例示する。本発明の活性化合物の処方に適当な追加担体はまた、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,PA,2000で見られる。
【0152】
(処方実施例A)
本実施例は、本発明の化合物を経口投与するための代表的な医薬組成物を例示する。
【0153】
成分 錠剤1個あたりの量(mg)
活性化合物 1
乳糖 148
ステアリン酸マグネシウム 2
上記成分を混合し、そして硬質ゼラチンカプセルに導入する。
【0154】
(処方実施例B)
本実施例は、本発明の化合物を経口投与するための他の代表的な医薬組成物を例示する。
【0155】
成分 錠剤1個あたりの量(mg)
活性化合物 1
コーンスターチ 50
乳糖 145
ステアリン酸マグネシウム 5
上記成分を十分に混合し、そしてプレスして、単一の錠剤にする。
【0156】
(処方実施例C)
本実施例は、本発明の化合物を経口投与するための代表的な医薬組成物の調製を例示する。
【0157】
以下の組成を有する経口懸濁液を調製する。
【0158】
成分
活性化合物 3mg
フマル酸 0.5g
塩化ナトリウム 2.0g
メチルパラベン 0.1g
グラニュー糖 25.5g
ソルビトール(70%溶液) 12.85g
Veegum K(Vanderbilt Co.) 1.0g
香料 0.035mL
着色剤 0.5mg
蒸留水 q.s.〜100mL
(処方実施例D)
本実施例は、本発明の化合物を含有する代表的な医薬組成物の調製を例示する。以下の組成で、pH4に緩衝化した注射可能製剤を調製する:
成分
活性化合物 0.1mg
酢酸ナトリウム緩衝液(0.4M) 2.0mL
HCl(1N) q.s.〜pH4
水(蒸留水) q.s.〜20mL
(処方実施例E)
本実施例は、本発明の化合物を注射するための代表的な医薬組成物の調製を例示する。
【0159】
本発明の化合物1mgに滅菌水20mLを加えることにより、再構成溶液を調製する。次いで、使用前に、この溶液を静脈液(これは、その活性化合物と相溶性である)200mLで希釈する。このような液体は、5%ブドウ糖溶液、0.9%塩化ナトリウム、または5%ブドウ糖と0.9%塩化ナトリウムとの混合物から選択する。他の例には、乳酸加リンガー溶液、乳酸加リンガー溶液+ブドウ糖の注射、Normosol−Mおよびブドウ糖、Isolyte Eおよびアシル化リンガー溶液の注射がある。
【0160】
(処方実施例F)
本実施例は、本発明の化合物を局所塗布する代表的な医薬組成物の調製を例示する。
【0161】
成分 グラム
活性化合物 0.2〜10
Span 60 2
Tween 60 2
鉱油 5
ワセリン 10
メチルパラベン 0.15
プロピルパラベン 0.05
BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール) 0.01
水 q.s.〜100
水以外の上記成分の全てを混ぜ合わせ、そして攪拌しつつ、60℃まで加熱する。次いで、60℃で、激しく攪拌しつつ、十分な量の水を加えて、それらの成分を乳化し、次いで、水を加える(q.s.100g)。
【0162】
(処方実施例G)
本実施例は、本発明の化合物を含有する代表的な医薬組成物の調製を例示する。
【0163】
活性化合物の医薬塩0.1mgを0.9%塩化ナトリウム溶液(これは、クエン酸で酸性化した)に溶解することにより、噴霧器で使用する水性エアロゾル処方を調製する。その混合物を攪拌し、その活性塩が溶解するまで超音波処理する。NaOHをゆっくりと加えることにより、この溶液のpHを、3〜8の範囲の値に調節する。
【0164】
(処方実施例H)
本実施例は、吸入カートリッジで使用するための本発明の化合物を含有する乾燥粉末処方の調製を例示する。
【0165】
ゼラチン吸入カートリッジを、以下の成分を有する医薬組成物で満たす:
成分 mg/カートリッジ
活性化合物の医薬塩 0.2
乳糖 25
活性化合物の医薬塩を、乳糖とブレンドする前に、微粉化する。これらのカートリッジの内容物を、粉末吸入器を使用して、投与する。
【0166】
(処方実施例I)
本実施例は、粉末吸入装置で使用するための本発明の化合物を含有する乾燥粉末処方の調製を例示する。
【0167】
1:200の微粉化医薬塩:乳糖のバルク処方比を有する医薬組成物を調製する。この組成物を乾燥粉末吸入装置(これは、1用量あたり、約10μgと約100μgの間の活性薬剤成分を送達できる)に充填する。
【0168】
(処方実施例J)
本実施例は、計量用量吸入器で使用する本発明の化合物を含有する処方の調製を例示する。
【0169】
10μm未満の平均粒径を有する微粉化粒子としての活性化合物5gを、コロイド溶液(これは、脱イオン水100mLに溶解したトレハロース0.5gおよびレシチン0.5gから形成した)に分散することにより、活性化合物の医薬塩5%、レシチン0.5%およびトレハロース0.5%を含有する懸濁液を調製する。この懸濁液を噴霧乾燥し、得られた物質を、1.5μm未満の平均粒径を有する粒子に微粉化する。これらの粒子を、加圧1,1,1,2−テトラフルオロエタンと共に、キャニスターに装填する。
【0170】
(処方実施例K)
本実施例は、計量用量吸入器で使用する本発明の化合物を含有する処方の調製を例示する。
【0171】
10μm未満の平均粒径を有する微粉化粒子としての活性化合物10gを、溶液(これは、脱イオン水200mLに溶解したレシチン0.2gから形成した)に分散することにより、活性化合物の医薬塩5%およびレシチン0.1%を含有する懸濁液を調製する。この懸濁液を噴霧乾燥し、得られた物質を、1.5μm未満の平均粒径を有する粒子に微粉化する。これらの粒子を、加圧1,1,1,2,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパンと共に、キャニスターに装填する。
【0172】
(生物学的アッセイ)
本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩は、生物学的活性を示し、医療処置に有用である。βアドレナリン受容体に結合する化合物の能力、ならびにその選択性、アゴニスト効力および内因活性は、以下の試験A−Bを用いて実証され得るか、または当該分野に公知の他の試験を用いて実証され得る。
【0173】
略語:
%Eff 効力%
ATCC アメリカンタイプカルチャーコレクション
BSA ウシ血清アルブミン
cAMP アデノシン3’:5’−環状モノホスフェート
DMEM ダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)
DMSO ジメチルスルホキシド
EDTA エチレンジアミン四酢酸
Emax 最大効力
FBS ウシ胎仔血清
Gly グリシン
HEK−293 ヒト胚腎臓−293
PBS リン酸緩衝生理食塩水
rpm 1分あたりの回転数
Tris トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
(ヒトβアドレナリン受容体またはヒトβアドレナリン受容体を発現する細胞からの膜調製)
クローニングされたヒトβアドレナリン受容体またはヒトβアドレナリン受容体を定常発現するHEK−293由来細胞株をそれぞれ、500μg/mLのジェネテシンの存在下で10%の透析したFBSを含むDMEM中でほぼコンフルーエンシーまで増殖させた。細胞単層を、細胞スクレーパーを用いてVersene1:5,000(PBS中0.2g/L EDTA)で浮遊させた。1,000rpmでの遠心分離により、細胞を収集し、細胞ペレットを−80℃にて凍結保存するか、または膜をすぐに調製した。膜の調製のために、細胞ペレットを溶解緩衝液(4℃での10mM Tris/HCL(pH7.4)、50mLの緩衝液につき「2mM EDTAを含む完全なプロテアーゼ阻害剤カクテル錠剤(Complete Protease Inhibitor Cocktail Tablets with 2mM EDTA)」(Roche カタログ番号1697498,Roche Molecular Biochemicals,Indianapolis,IN)の1つの錠剤)に再懸濁し、氷上でタイトフィットのDounceガラス製ホモジナーザー(20ストローク)を用いてホモジネートした。ホモジネートは、20,000×gで遠心分離し、ペレットを上記のように再懸濁および遠心分離によって溶解緩衝液で一度洗浄した。最終ペレットを、膜緩衝液(25℃での75mM Tris/HCl(pH7.4)、12.5mM MgCl、1mM EDTA)中に再懸濁した。膜懸濁液のタンパク質濃度を、Bradford法(Bradford MM.,Analytical Biochemistry,1976,72,248−54)によって決定した。膜を−80℃でアリコート中に凍結保存した。
【0174】
(試験A)
(ヒトβアドレナリン受容体およびヒトβアドレナリン受容体に対する放射性結合アッセイ)
アッセイ緩衝液(25℃での75mM Tris/HCl(pH 7.4)、12.5mM MgCl、1mM EDTA、0.2% BSA)にヒトβアドレナリン受容体を含む膜について5μgの膜タンパク質、またはヒトβアドレナリン受容体を含む膜について2.5μgの膜タンパク質を含む100μLの総アッセイ体積にて、96ウェルマイクロタイタープレート中で結合アッセイを行った。0.01nM〜20nMの範囲の10の異なる濃度にて[H]ジヒドロアルプレノロール(NET−720、100Ci/mmol、PerkinElmer Life Sciences Inc.,Boston,MA)を使用して、放射性リガンドのK値を決定するための飽和結合研究を行った。1nMおよび40pM〜10μMの範囲の10の異なる濃度において[H]ジヒドロアルプレノロールを用いて化合物のpK値を決定するための置換アッセイを行った。化合物を、溶解緩衝液(50% DMSOを含む25mM Gly−HCL(pH3.0))中に10mMの濃度に溶解させ、次いで、50mM Gly−HCl(pH3.0)中で1mMに希釈し、そこからアッセイ緩衝液中に連続的に希釈した。非特定的結合を、10μMの非標識のアルプレノロールの存在下で決定した。アッセイを、室温で90分間インキュベートし、0.3%ポリエチレンイミン中で予浸したGF/Bガラス繊維フィルタープレート(Packard BioScience Co.,Meriden,CT)での急速濾過によって結合反応を終了した。繊維プレートを、濾過緩衝液(4℃での75mM Tris/HCl(pH7.4)、12.5mM MgCl、1mM EDTA)で3回洗浄して、非結合性の放射能を除去した。プレートを風乾し、50μLのMicroscint−20液体シンチレーション流体(Packard BioScience Co.,Meriden,CT)を添加し、プレートを、Packard Topcount液体シンチレーションカウンター(Packard BioScience Co.,Meriden,CT)でカウントした。1部位競合について3パラメーターのモデルを使用してGraphPad Prism Softwareパッケージ(GraphPad Software,Inc.、San Diego、CA)を用いた非線形回帰分析により、結合データを分析した。曲線最小値を、10μMのアルプレノロールの存在下において決定されるような非特異的結合についての値に固定した。Cheng−Prusoff式(Cheng Y、およびPrusoff WH.,Biochemical Pharmacology、1973,22、23,3099−108)を使用して放射性リガンドの観察されたIC50値およびK値から、化合物についてのK値を計算した。受容体サブタイプの選択性を、K(β)/K(β)の比として計算した。本発明の化合物は、βアドレナリン受容体よりβアドレナリン受容体においてより高い結合を示した(すなわち、約30より大きい選択性を有するK(β)>K(β))。
【0175】
(試験B)
(ヒトβアドレナリン受容体、ヒトβアドレナリン受容体、およびヒトβアドレナリン受容体を異種的に発現する細胞株を用いる全細胞cAMPフラッシュプレートアッセイ)
クローニングされたヒトβアドレナリン受容体(クローンH34.1)を定常発現するHEK−293細胞株を、10% FBSおよび500μg/mLのジェネテシンを補充したDMEMからなる培地中で約70%〜90%のコンフルエンシーまで増殖させた。クローニングされたヒトβアドレナリン受容体(クローンH24.14)を定常発現するHEK−293細胞株を、同じ培地中で完全なコンフルエンシーまで増殖させた。クローニングされたヒトβアドレナリン受容体を定常発現するCHO−K1細胞株を、全ての5回の継代に添加された10% FBSおよび800μg/mLのジェネテシンを補充したHam’s F−12培地中で約70%〜90%のコンフルエンシーまで増殖させた。アッセイの前の日に、培養を抗生物質を含まない同じ増殖培地に交換した。
【0176】
cAMPアッセイを、製造業者の指示に従って、125I−cAMPを用いるフラッシュプレートアデニリルシクラーゼ活性システム(NEN SMP004,PerkinElmer Life Sciences Inc.,Boston,MA)を使用して放射免疫測定様式において実施した。
【0177】
アッセイの日に、細胞をPBSで1回リンスして、Versence1:5,000(PBS中の0.2g/L EDTA)で浮遊させ、カウントした。細胞を1,000rpMで遠心分離によって収集し、37℃に予熱した刺激緩衝液中で再懸濁した。βアドレナリン受容体、10nM ICI 118,551を刺激緩衝液に添加して、細胞を37℃で10分間、インキュベートした。βアドレナリン受容体、βアドレナリン受容体およびβアドレナリン受容体を発現する細胞について、それぞれ、30,000細胞/ウェル、40,000細胞/ウェルおよび7,000細胞/ウェルの最終濃度で、細胞を使用した。化合物をDMSO中に10mMの濃度に溶解して、次いで、50mM Gly−HCl(pH3.0)中に1mMに希釈し、そこからアッセイ緩衝液(25℃での75mM Tris/HCl(pH7.4)、12.5mM MgCl、1mM EDTA、0.2% BSA)中に連続的に希釈した。化合物を、10μM〜9.5pMの範囲の11の異なる濃度でこのアッセイにおいて試験した。反応を37℃で10分間、インキュベートし、100μlの氷冷の検出緩衝液の添加によって停止させた。プレートを密閉して、4℃で一晩インキュベートして、トップカウントシンチレーションカウンター(Packard BioScience Co.,Meriden,CT)において次の朝にカウントした。1mlの反応あたり生成されたcAMPの量を、製造業者の使用説明書に記載されるように、サンプルおよびcAMP標準物質について観察されたカウントに基づいて計算した。S字状の用量−応答(Hill勾配=1)について3パラメーターのモデルを使用してGraphPad Prism Softwareパッケージ(GraphPad Software,Inc.、San Diego、CA)を用いた非線形回帰分析により、データを分析した。
【0178】
本発明の化合物は、約9より大きいpEC50値によって証明されるように、このアッセイにおけるβアドレナリン受容体において強力な活性を示した。さらに、試験された化合物は、β受容体およびβ受容体における機能活性と比較してβ受容体における機能活性において選択性を示した。特に、本発明の化合物は、約50より大きいEC50(β)/EC50(β)比および約400より大きいEC50(β)/EC50(β)比を示した。
【0179】
(試験C)
(ヒトβアドレナリン受容体を内因的に発現する肺上皮細胞株を用いる全細胞cAMPフラッシュプレートアッセイ)
βアドレナリン受容体の内因性レベルを発現する細胞株におけるアゴニスト効力および効果(内因活性)の決定について、ヒトの肺上皮細胞株(BEAS−2B)(ATCC CRL−9609、アメリカンタイプカルチャーコレクション、Manassa,VA)(January Bら、British Journal of Pharmacology,1998,123,4,701−11)を使用した。細胞を、完全な無血清培地(エピネフリンおよびレチノイン酸を含むLHC−9 MEDIUM(カタログ番号181−500,Biosource International,Camarillo,CA))中で75〜90%のコンフルエンシーまで増殖させた。アッセイの前の日に、培地をLHC−S(エピネフリンまたはレチノイン酸を含まない(カタログ番号141−500,Biosource International,Camarillo,CA))に交換した。
【0180】
cAMPアッセイを、製造業者の指示書に従って、125I−cAMPを用いるフラッシュプレートアデニリルシクラーゼ活性システム(NEN SMP004,PerkinElmer Life Sciences Inc.,Boston,MA)を使用して放射免疫測定様式において実施した。
【0181】
アッセイの日に、細胞をPBSでリンスして、PBS中の5mM EDTAでスクレープすることによって浮遊させ、カウントした。細胞を1,000rpMで遠心分離によって収集し、600,000細胞/mLの最終濃度で37℃に予熱した刺激緩衝液中で再懸濁した。細胞をこのアッセイにおいて30,000細胞/ウェルの最終濃度で使用した。化合物を、溶解緩衝液(50% DMSOを含む25mM Gly−HCl(pH3.0))中で10mMの濃度に溶解し、次いで、50mM Gly−HCl(pH3.0)中で1mMに希釈し、そこからアッセイ緩衝液(25℃での75mM Tris/HCl(pH7.4)、12.5mM MgCl、1mM EDTA、0.2% BSA)中で連続的に希釈した。
【0182】
化合物を、10μM〜40pMの範囲の10の異なる濃度でこのアッセイにおいて試験した。最大応答を、10μMのイソプロテレノールの存在下において決定した。反応を、37℃で10分間、インキュベートし、100μlの氷冷の検出緩衝液の添加によって停止させた。プレートを密閉して、4℃で一晩インキュベートして、トップカウントシンチレーションカウンター(Packard BioScience Co.,Meriden,CT)において次の朝にカウントした。1mLの反応あたり生成されたcAMPの量を、製造業者の指示書に記載されるように、サンプルおよびcAMP標準物質について観察されたカウントに基づいて計算した。可変勾配を有するS字状の用量−応答について4パラメーターのモデルを使用してGraphPad Prism Softwareパッケージ(GraphPad Software,Inc.、San Diego、CA)を用いた非線形回帰分析により、データを分析した。このアッセイにおいて試験された本発明の化合物は、約8より大きいpEC50値を示した。
【0183】
化合物効力(%Eff)を、観察されたEmax(近似曲線の頂部)と10μMのイソプロテレノールについて得られたと最大応答との比から計算し、イソプロテレノールに対する%Effとして表した。試験された化合物は、約50より大きい%Effを示した。
【0184】
(試験D)
(モルモットモデルにおけるアセチルコリン誘導気管支痙攣に対する気管支保護のアッセイ)
体重250gと350gとの間の6匹の雄性モルモット(Duncan−Hartley(HsdPoc:DH)Harlan,Madison,WI)の群を、ケージカードによって個々に識別した。研究の間、動物を、自由に試料と水を摂食可能とした。
【0185】
全身曝露投薬チャンバ(R&S Molds、San Carlos、CA)において、試験化合物を10分間にわたって吸入により投与した。エアロゾルが、中央のマニホルドから6つの個々のチャンバに同時に送達されるように、投薬チャンバを準備した。60分間順応させて注射用の噴霧水(WFI)に10分間曝露した後に、モルモットを試験化合物またはビヒクル(WFI)のエアロゾルに曝露した。22psiの圧力でガスの混合物(CO=5%、O=21%およびN=74%)により推進されるLC Star Nebulizer Set(Model 22F51、PARI Respiratory Equipment,Inc.Midlothian、VA)を使用して、これらのエアロゾルを水溶液から作製した。この運転圧での噴霧器を介したガス流は、約3L/分であった。生じたエアロゾルを、陽圧によってチャンバ内に推進した。非希釈空気を、エアロゾル化溶液を送達する間に使用した。10分間の噴霧の間に、約1.8mLの溶液を噴霧した。この値を、充填した噴霧器の噴霧前の重さと噴霧後の重さとを比較することによって、重量測定した。
【0186】
吸入経由で投与した化合物の気管支保護効果を、投与の1.5時間後、24時間後、48時間後および72時間後に、全身プレチスモグラフィを使用して評価した。肺評価を開始する45分前に、ケタミン(43.75mg/kg)、キシラジン(3.50mg/kg)およびアセプロマジン(1.05mg/kg)の筋肉内注射を用いて各モルモットを麻酔した。外科的部位を、剃毛し、70%アルコールで消毒した後に、首腹側面の2〜5cmの正中切開を施した。次いで、頚静脈を分離し、生理食塩水充填ポリエチレンカテーテル(PE−50、Becton Dickinson、Sparks、MD)でカニューレ挿入して、0.1mg/mL溶液のアセチルコリン(ACh)(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)の静脈内注入を可能にした。次いで、気管を切開して分離し、14Gのテフロン(登録商標)チューブ(#NE−014、Small Parts、Miami Lakes、FL)でカニューレ挿入した。必要な場合、上述の麻酔用カクテルのさらなる筋肉内注射によって麻酔を維持した。麻酔の深さをモニタリングし、そして動物が、動物の足をつまむことに応答する場合、または呼吸数が、100回呼吸/分よりも多い場合、麻酔の深さを調整した。
【0187】
一旦カニューレ挿入が完了した場合、動物を、プレチスモグラフ(#PLY3114、Buxco Electronics,Inc.、Sharon、CT)の中へ置き、食道圧カニューレを、挿入して肺性推進圧(pressure)を測定した。テフロン(登録商標)気管チューブをプレチスモグラフの開口部に取り付けて、モルモットにチャンバの外側からの室内空気を呼吸させた。次いで、チャンバを密閉した。加熱灯を使用して体温を維持し、10mLの較正シリンジ(#5520 Series、Hans Rudolph、Kansas City、MO)を使用して4mLの空気でモルモットの肺を3回膨張させて、下気道が、圧潰しないこと、および動物が過呼吸にならないことを確実にした。
【0188】
一旦ベースライン値が、コンプライアンスについて0.3〜0.9mL/cm HOの範囲内であること、および抵抗について1秒間あたり0.1〜0.199cm HO/mLの範囲内であることを決定した場合、肺評価を開始した。Buxco肺測定コンピュータプログラムにより、肺性値の収集および導出を可能にした。このプログラムを始めることにより、実験プロトコルおよびデータ収集を開始した。各呼吸でプレチスモグラフ内に生じる時間に対する体積の変化を、Buxco圧力トランスデューサを介して測定した。時間に対してこのシグナルを積分することによって、流動(flow)の測定を各呼吸について計算した。このシグナルを、Sensym圧力トランスデューサ(#TRD4100)を使用して収集した肺性推進圧(pressure)変化とともに、Buxco(MAX 2270)前置増幅器を介して、データ収集インタフェース(#’s SFT3400および#’s SFT3813)に接続した。全ての他の肺のパラメータを、これら2つの入力から導いた。
【0189】
ベースライン値を5分間収集し、その後モルモットをAChでチャレンジした。以下の用量および実験開始からの所定時間で、AChを、シリンジポンプ(sp210iw,World Precision Instruments,Inc.、Sarasota、FL)から1分間静脈内に注入した:5分で1.9μg/分、10分で3.8μg/分、15分で7.5μg/分、20分で15.0μg/分、25分で30μg/分および30分で60μg/分。各ACh投薬の3分後に、抵抗またはコンプライアンスがベースライン値に回復しなかった場合、10mLの較正シリンジからの4mLの空気でモルモットの肺を3回膨張させた。記録した肺のパラメータは、呼吸数(呼吸/分)、コンプライアンス(mL/cm HO)および肺抵抗(1秒あたりのcm HO/mL)を含んだ(Gilesら、1971)。一旦このプロトコルの35分で肺機能測定を完了すると、モルモットをプレチスモグラフから取り出し、CO窒息によって安楽死させた。
【0190】
以下の式を使用して、AChチャレンジの範囲にわたる流動(flow)および圧力(pressure)から導かれた肺抵抗値を使用して、量PD(これは、ベースラインの肺抵抗を2倍に引き起こすために必要なAChの量として定義される)を計算した。これは、臨床所においてPC20値を計算するために使用される式から導いた(Am.Thoracic Soc,2000)。
【0191】
【化25】

ここで、
=2回目から最後のAch濃度(前のCの濃度)
=最後のAch濃度(肺抵抗(R)の2倍の増加を生じる濃度)
=ベースラインR
=C後のR
=C後のR値。
【0192】
VarianceのOne−Way分析、続いてBonferroni/Dunn検定を使用するpost−hoc分析を使用して、データの統計学的分析を行った。P値<0.05を有意とみなした。
【0193】
Windows(登録商標)用GraphPad Prism、バージョン3.00(GraphPad Software、San Diego、California)を使用して、用量−応答曲線を4つのパラメータロジスティック式にフィットさせた。
【0194】
Y=Min+(Max−Min)/(1+10^((log ED50−X)Hill勾配))
ここで、Xは用量の対数であり、Yは応答(PD)であり、Yは、Minで始まり、S字状の形で漸近的にMaxに近づく。
【0195】
本発明の代表的な化合物は、投与後24時間を越えた時点で顕著な気管支保護活性を有することが見出された。
【0196】
以下の合成実施例は、本発明を例示するために提供され、決して、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【実施例】
【0197】
一般:特に明記しない限り、試薬、出発物質および溶媒は、例えば、業者、例えば、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)、J.T.Baker(Phillipsburg,NJ)、およびHoneywell BurdickおよびJackson(Muskegon,MI)から購入し、さらに精製することなく、使用した;反応は、窒素雰囲気下にて、実行した;反応混合物は、薄層クロマトグラフィー(シリカTLC)、分析用高速液体クロマトグラフィー(分析用HPLC)または質量分析により、モニターした;反応混合物は、下記の一般的なプロトコルを使用して、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、または分取HPLCにより、精製した;NMR試料を重水素化溶媒(CDOD、CDClまたはDMSO−d6)に溶解し、スペクトルは、標準パラメータ下にて、Varian Gemini 2000機器(300MHz)で獲得した;そして質量スペクトルの同定は、Perkin Elmer機器(PE SCIEX API 150 EX)を使って、エレクトロスプレーイオン化方法により、実行した。
【0198】
(実施例1)
本実施例は、4−(4−{2−[(R)−2−(8−ベンジルオキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリン−5−イル)−2−(第三級ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)エチルアミノ]エチル}−フェニルアミノ)ベンゾニトリルを調製する方法を説明する。
【0199】
4−アミノベンゾニトリル(0.661g、5.6mmol)、8−ベンジルオキシ−5−{(R)−2−[2−(4−ブロモ−フェニル)−エチルアミノ−1−(第三級ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エチル}−1H−キノリン−2−オン塩酸塩(3.0g、4.66mmol)およびナトリウム第三級ブトキシド(2.02g、20.97mmol)のトルエン(100mL)溶液に、室温で、トリス(ジベンジリデンアセトン)−二パラジウム(0)(0.213g、0.233mmol)を加え、続いて、rac−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(0.435g、0.699mmol)を加えた。得られた混合物を、90℃で、2時間加熱し、次いで、冷却した。その溶液を、水(500mL)、1:1の飽和塩化ナトリウム水溶液:水(500mL)で洗浄し、次いで、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧で溶媒を除去して、暗褐色固形物として、表題化合物を得た。逆相HPLCにより、そのトリフルオロ酢酸塩として、所望生成物を単離した。
【0200】
(実施例2)
本実施例は、8−ヒドロキシ−5−[(R)−1−ヒドロキシ−2−(2−{4−[4−(イミノ−モルホリン−4−イル−メチル)−フェニルアミノ]−フェニル}−エチルアミノ)−エチル]−1H−キノリン−2−オンを調製する方法を説明する。
【0201】
実施例1のニトリルトリフルオロ酢酸塩をエタノールに溶解し、そして氷浴にて冷却した。その溶液が飽和するまで、HClを泡立たせた。反応容器を密封し、そして室温で、一晩撹拌し、次いで、真空下にて溶媒を除去した。残渣をエタノールに吸収させ、そしてモルホリンを加えた。この反応が完結したと判断した後、生成物を抽出し、次いで、エタノールに溶解し、そして触媒として炭素上パラジウムを使って、水素雰囲気下にて、水素化した。逆相HPLCにより、そのトリフルオロ酢酸塩として、所望生成物を得た。m/z:[M+H] C3033についての計算値:528.26;実測値 528.3。
【0202】
(実施例3)
本実施例は、4−(4−{2−[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリン−5−イル)−エチルアミノ]−エチル}−フェニルアミノ)−N,N−ジメチル−ベンズアミジンを調製する方法を説明する。
【0203】
実施例1のニトリルトリフルオロ酢酸塩をエタノールに溶解し、そして氷浴にて冷却した。その溶液が飽和するまで、HClを泡立たせた。反応容器を密封し、そして室温で、一晩撹拌し、次いで、真空下にて溶媒を除去した。残渣に、メタノール中の2Mジメチルアミンを加え、それを65℃まで加熱した。この反応が完結したと判断した後、生成物を抽出し、次いで、エタノールに溶解し、そして触媒として炭素上パラジウムを使って、水素雰囲気下にて、水素化した。逆相HPLCにより、そのトリフルオロ酢酸塩として、所望生成物を得た。m/z:[M+H] C2831についての計算値 486.25;実測値 486.5。
【0204】
(実施例4)
本実施例は、4−(4−{2−[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリン−5−イル)−エチルアミノ]−エチル}−フェニルアミノ)−ベンズアミジンを調製する方法を説明する。
【0205】
実施例1のニトリルトリフルオロ酢酸塩をエタノールに溶解し、そして氷浴にて冷却した。その溶液が飽和するまで、HClを泡立たせた。反応容器を密封し、そして室温で、一晩撹拌し、次いで、真空下にて溶媒を除去した。残渣をエタノールに吸収させ、酢酸アンモニウムを加え、そして得られた混合物を加熱した。この反応が完結したと判断した後、生成物を抽出し、次いで、エタノールに溶解し、そして触媒として炭素上パラジウムを使って、水素雰囲気下にて、水素化した。逆相HPLCにより、そのトリフルオロ酢酸塩として、所望生成物を得た。m/z:[M+H] C2627についての計算値 458.22;実測値 458.5。
【0206】
本発明の前述の論述は、例示および説明の目的のために提供されている。前述のことは、本発明を本明細書中で開示された形態に限定するとは解釈されない。本発明の記述は、1種またはそれ以上の実施態様ならびに特定の変数および改良の記述を含むものの、例えば、本開示を理解した後、当業者の技術および知見の範囲内であり得る他の変数および改良は、本発明の範囲内である。本発明は、許容される範囲までの代替実施態様を含む権利を得ることを意図しており、これらには、請求されたものに対する代替、交換可能および/または等価な構造、機能、範囲または工程が、このような代替、交換可能および/または等価な構造、機能、範囲または工程が本明細書中で開示されているかどうかにかかわらず、また、いずれかの特許可能な対象を公共に捧げる意図なしで、含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式の化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体:
【化1】

ここで、
、R、RおよびRの各々は、別個に、水素、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシ、−NR、ハロ、C1〜6ヒドロキシアルキルおよび−NHCHOから選択され、ここで、RおよびRの各々は、別個に、水素またはC1〜6アルキルである;あるいはRおよびRは、一緒になって、−NHC(O)CHOH−、−CHOHC(O)NH−、−NHC(O)S−、および−SC(O)NH−から選択される;
は、水素、C1〜6アルキル、またはヒドロキシである;
およびRの各々は、別個に、水素、C1〜6アルキル、またはC3〜10シクロアルキルであるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ヘテロシクリル環を形成し、該ヘテロシクリル環は、5個〜7個の環原子を有し、そして1個〜3個のヘテロ原子を含有し、該ヘテロ原子は、窒素、酸素およびイオウから選択されるか、あるいはRおよびRは、一緒になって、C2〜4アルキレンを形成する;
は、水素、ヒドロキシ、ハロ、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキル、またはC1〜4ハロアルキルである;そして
、R、RおよびRの各々は、別個に、水素またはC1〜6アルキルである、
化合物。
【請求項2】
次式の化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物である、請求項1に記載の化合物:
【化2】

ここで、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、請求項1で定義したとおりである、
化合物。
【請求項3】
次式の化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物である、請求項1に記載の化合物:
【化3】

ここで、
、R、R、R、R、R、RおよびRは、請求項1で定義したとおりである、
化合物。
【請求項4】
次式の化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物である、請求項1に記載の化合物:
【化4】

ここで、
は、−CHOHまたは−NHCHOであり、そしてRは、水素であるか、あるいはRおよびRは、一緒になって、−NHC(=O)CH=CH−または−CH=CHC(=O)NH−である;
は、水素またはC1〜6アルキルである;そして
およびRの各々は、別個に、水素、またはC1〜6アルキルであるか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ヘテロシクリル環を形成し、該ヘテロシクリル環は、5個〜7個の環原子を有し、そして1個〜3個のヘテロ原子を含有し、該ヘテロ原子は、窒素、酸素およびイオウから選択される、
化合物。
【請求項5】
およびRの各々が、別個に、水素またはメチルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
およびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、モルホリノを形成する、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
およびRが、一緒になって、−NHC(=O)CH=CH−または−CH=CHC(=O)NH−である、請求項4〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
前記化合物が、以下である、請求項4に記載の化合物:
4−(4−{2−[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]−エチル}フェニルアミノ)ベンズアミジン;
4−(4−{2−[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]−エチル}−フェニルアミノ)−フェニルアミノ)−N,N−ジメチルベンズアミジン;
8−ヒドロキシ−5−[(R)−1−ヒドロキシ−2−(2−{4−[4−(イミノ−モルホリン−4−イル−メチル)フェニルアミノ]−フェニル}エチルアミノ)エチル]−1H−キノリン−2−オン;あるいは
それらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物の治療有効量と薬学的に受容可能な賦形剤とを含有する、医薬組成物。
【請求項10】
さらに、1種またはそれ以上の治療薬の治療有効量を含有する、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記他の治療薬が、コルチコステロイド、抗コリン薬、PDE4阻害薬、別のβアドレナリン受容体アゴニスト、またはそれらの混合物を含む、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記医薬組成物が、吸入による投与のために処方される、請求項9〜11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物と、1種またはそれ以上の他の治療薬とを含有する、配合。
【請求項14】
治療で使用するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
医薬に製造における、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物または請求項13に記載の配合の使用。
【請求項16】
前記医薬が、哺乳動物におけるβアドレナリン受容体活性に関連した疾患または病態を治療するためである、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記疾患または病態が、喘息または慢性閉塞性肺疾患である、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記医薬が、吸入による投与に適当である、請求項16または17に記載の使用。
【請求項19】
式IFのアミジン置換アリールアニリン化合物を生成する方法:
【化5】

ここで、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、請求項1のように定義され、該方法は、以下の工程を包含する:
(a)式IVのシアノ置換アリールアニリン化合物を生成するのに十分な条件下にて、
【化6】

カップリング触媒の存在下で、
式IIのアリール化合物を:
【化7】

式IIIのシアノフェニル化合物と反応させる工程:
【化8】

ここで、
は、ヒドロキシ−保護基であり、
1a、R2a、R3aおよびR4aの各々は、それぞれ、請求項1のR、R、RおよびRと同じであると定義されるか、あるいは、R、R、RおよびRのいずれかがヒドロキシ基またはアミノ基を含むとき、対応するR1a、R2a、R3aおよびR4a基は、必要に応じて、保護ヒドロキシ基または保護アミノ基を含み、そして
AおよびBの一方は、ハロであり、そしてAおよびBの他方は、−NHである:
(b)酸の存在下で、式VIのイミノエステル化合物を生成するのに十分な条件下にて、式IVの該シアノ置換アリールアニリン化合物を反応させる工程:
【化9】

ここで、Rは、C1〜6アルキルである;
(c)式IGの化合物を生成するのに十分な条件下にて、式VIのイミノエステル化合物と式HNRのアミン化合物とを反応させる工程;そして
【化10】

(d)式IFの該アミジン置換アリールアニリン化合物あるいはそれらの塩または立体異性体を生成するのに十分な条件下にて、必要に応じて、R1a、R2a、R3aおよびR4aのいずれかに存在し得る任意のヒドロキシ−またはアミノ−保護基を除去する工程。
【請求項20】
請求項19に記載の方法により調製された、生成物。
【請求項21】
βアドレナリン受容体活性に関連した疾患または病態に罹った哺乳動物を治療する方法であって、該哺乳動物に、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物の治療有効量を投与する工程を包含する、方法。
【請求項22】
前記疾患または病態が、喘息または慢性閉塞性肺疾患である、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
前記方法が、さらに、1種またはそれ以上の他の治療薬の治療有効量を投与する工程を包含する、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
前記他の治療薬が、コルチコステロイド、抗コリン薬、PDE4阻害薬、別のβアドレナリン受容体アゴニスト、またはそれらの混合物である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
βアドレナリン受容体を含有する生体系または試料を研究する方法であって、該方法は、以下の工程を包含する:
(a)該生体系または試料を請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物と接触させる工程;および
(b)該生体系または試料に対する該化合物により引き起こされる効果を測定する工程。

【公表番号】特表2008−512470(P2008−512470A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531297(P2007−531297)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/031824
【国際公開番号】WO2006/031556
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(500154711)セラヴァンス, インコーポレーテッド (129)
【Fターム(参考)】