説明

アミノ酸含有セルロース誘導体の製造方法及び化粧品配合物、水処理及び製紙でのそれらの使用

本発明は、アルカリ化セルロース又はアルカリ化セルロース誘導体と一般式:X−(CH−NR[Xは脱離基であり、好ましくは塩素、臭素、ヨウ素又はスルホン酸基R’SOであり、R’は1〜24の炭素原子を有する芳香族又は脂肪族基、例えばp−トルイル又はメチルであり;nは少なくとも2でなければならず;R及びR基は互いに独立して1〜24の炭素原子を有し場合によりヘテロ原子によって置換された脂肪族又は枝分かれ状又は環式アルキル置換基又はアリール置換基を示し、又はHを示し、又は二つのR及びR基は窒素と一緒に環を形成できる]の試薬との反応によるアミノ基含有セルロース誘導体の製造方法に関する。本発明は、水を反応媒体として使用し、セルロースと水の比は、アンヒドログルコール単位(AGU)1モル当たり1:5〜1:40モルの範囲である。本発明は、特定の全体の置換度を有するアミノ基含有セルロース誘導体に関し、更に化粧料配合物、水処理及び製紙でのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ化(又はアルカリ性にした)セルロースとアミノ基含有試薬との反応によるアミノ基含有セルロース誘導体の製造方法であって、非置換セルロース又はセルロース誘導体から出発する一反応工程で水溶性又は水分散性反応生成物を得ることが可能な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キトサン「2−アミノ−2−デオキシセルロース」は、大量に使用できる唯一のカチオン性多糖類として多くの用途を有する。とりわけ、化粧料配合物の酸安定増粘剤として、製紙添加剤として、キレート剤及び凝集剤として使用される。しかし、この天然多糖類の分離は、費用のかかる方法なので、このことが高い製品価格に反映される。この高価格が、今までキトサンの広い利用を妨げてきた。
【0003】
セルロース及びその誘導体、主にヒドロキシエチル基含有セルロースエーテルを、例えば一般式:Cl−(CH−NRのアミノアルキルクロリドとの反応によって、アミノ基含有セルロース誘導体に変換することができる。例えばUS-A 2 623 042 に記載のように、比較的大量の有機溶媒の使用によって、バッチに必要な徹底的混合を確保する。達成されるエーテル化の程度は、多くの場合低く、望ましくない副生成物の量が多い。
【0004】
DE-A 1 946 722 は、ニーダー(又は混練機)を使用することで、この問題の是正が可能なことを教示する。この場合、主に既に水溶性のセルロース誘導体を溶媒/水混合物中で混練し、N−(2−クロロエチル)−N,N−ジエチルアンモニウムクロリドと反応させて、アンヒドログルコース単位当たり0.3〜1.0の置換度(degree of substitution)を達成した。しかし、商業規模の反応では可燃性で揮発性の有機溶媒(最初に引用特許文献のパーオキサイド形成ジオキサン)を取り扱う際の安全性を、費用の増加によってのみ確保可能であるという短所がある。
【0005】
水性溶媒及び溶媒混合物の後処理及び回収は、例えば蒸留カラム等の高い投資を要求し、例えば蒸留残渣に対する処理費用を招く。尚、可燃性溶媒の使用は、出火と爆発の危険性増加をもたらす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、環境に優しく、安全で、費用効率が高い、アミノ基含有セルロース誘導体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明は、
アルカリ化(又はアルカリ性にした)セルロース又はアルカリ化セルロース誘導体と一般式:
X−(CH−NR
[ここで、
Xは、脱離基であって、好ましくは塩素、臭素、ヨウ素又はスルホン酸基R’SOであり、R’は、1〜24の炭素原子を有する芳香族又は脂肪族基、例えばp−トルイル又はメチルであり、
nは、少なくとも2でなければならず、
及びR基は、互いに独立して、1〜24の炭素原子を有し、場合によりヘテロ原子によって置換された脂肪族又は枝分かれ状又は環状アルキル又はアリール置換基、又はH、又は二つのR及びR基は、一緒に窒素を含む環を形成してよい]
の試薬との反応によるアミノ基含有セルロース誘導体の製造方法であって、
水は反応媒体として使用され、セルロースと水との比は、アンヒドログルコース単位(anhydroglucose unit:AGU)1モル当り、1:5〜1:40モルであることを特徴とする製造方法を提供する。
【0008】
本発明の方法は、上述の短所を避けることを可能にする。驚くべきことに、全体として反応の間に有機溶媒の使用を無しで済ますことが可能であることを見出した。本発明に基づいて、水を反応媒体として使用する。反応物の加水分解の予想通りの増加にもかかわらず、収率は驚くべきことに大変良好なので水溶性又は少なくとも水分散性セルロース誘導体をセルロースから一段階で製造することができる。有機溶媒をなしで済ますこともバッチの後処理を相当簡単にする。得られる生成物は、例えばジオキサン等の製造に使用する有機溶媒の残渣を全く含まない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
きわめて様々な由来と特性分布を有するセルロースを、本発明に基づく方法で使用することができ、例えば削りくず、繊維又は粉末形態に、機械的に細かく砕いたセルロース(ブナノキ、トウヒ、マツ、ユーカリ、綿)であることが好ましい。
【0010】
セルロース誘導体も使用することができ、カルボキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、メチル及びエチルセルロース及びカルボキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、メチル及びエチル置換基を混合して有する多糖類が好ましい。メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース及びエチルヒドロキシプロピルセルロースが特に好ましい。
【0011】
水不溶性セルロースエーテル又は水中で熱的凝集点を有するセルロースエーテルを使用することが好ましい。
【0012】
反応に使用するセルロース誘導体の全体の置換度(又は全置換度:overall degree of substitution)は、0.01と4の間であることが好ましく、0.1と3の間であることが特に好ましい。アルキル置換基の平均置換度(mean degree of substitution)(DSアルキル)は、0と2.5の間であり、好ましくは0と1.7の間である。ヒドロキシアルキル置換基のモル置換度(molar degree of substitution)(MSヒドロキシアルキル)は、0と3.5の間であり、0と2.5の間であることが好ましい。
【0013】
適するエーテル化剤(又は試薬)は、一般式:
X−(CH−NR
[ここで、
Xは、脱離基であって、好ましくは塩素、臭素、ヨウ素又はスルホン酸基R’SOであり、R’は、1〜24の炭素原子を有する芳香族又は脂肪族基、例えばp−トルイル又はメチルであり、
nは、少なくとも2でなければならず、
及びR基は、互いに独立して、1〜24の炭素原子を有し、場合によりヘテロ原子によって置換された脂肪族又は枝分かれ状又は環式アルキル又はアリール置換基、又はHであり、二つのR及びR基は、窒素と一緒に環を形成することができる]
の化合物である。
【0014】
Xは、塩素であることが特に好ましい。
【0015】
本発明に基づいて使用すべきエーテル化剤の例には、N−2−クロロエチルジイソプロピルアミン、N−2−クロロエチルジエチルアミン、N−3−クロロプロピルジエチルアミン、N−2−クロロエチルジメチルアミン及びN−2−クロロプロピルジメチルアミンが含まれる。R及びR基は、窒素と一緒に環式の基を形成することができる。二つのR及びR基が、窒素と一緒に環を形成する本発明に基づいて使用されるエーテル化試薬の例には、N−2−クロロエチルピロリジン、N−2−クロロエチルピペリジン及びN−2−クロロエチルモルホリンが含まれる。エーテル化剤は、アンモニウム塩の形態で使用することができ、塩酸塩であることが好ましい。固体、又は水中又は他の溶媒中で例えば65重量%又は50重量%の溶液を使用することが可能である。
【0016】
N−2−クロロエチルジイソプロピルアミン塩酸塩(又はハイドロクロリド)及びN−2−クロロエチルジエチルアミン塩酸塩を使用することが好ましい。
【0017】
セルロースを出発物質として使用する場合、1モルのアンヒドログルコース当たり、約0.1〜3モル、好ましくは約0.3〜2モル、特に好ましくは約1〜2モルのエーテル化剤を使用する。
【0018】
セルロース誘導体を使用する場合、1モルのアンヒドログルコース当たり、約0.01〜1.5モル、好ましくは約0.1〜1モル、特に好ましくは約0.1〜0.8モルのエーテル化剤を使用する。
【0019】
反応の前に、セルロース又はセルロース誘導体を、塩基、好ましくは水酸化ナトリウムの約5〜60重量%、好ましくは30〜55重量%の水溶液を用いてアルカリ化する。アルカリ化は、反応装置中で直接行うことができる。
【0020】
反応の前に、例えば、セルロース又はセルロース誘導体を、塩基、好ましくは水酸化ナトリウムの5〜60重量%水溶液を用いて処理し、室温で10〜120分間攪拌することができる。その後絞り出すことで明確な残留水分量にされる。このようにして活性化されたセルロース、例えばアルカリ化セルロース又は場合により水酸化アンモニウムで膨潤(又は膨張)したセルロース、又は活性化セルロース誘導体は、その後反応装置(又は反応器)に移される。セルロースから離れて、水不溶性セルロース誘導体も活性化のこの形態に適する。
【0021】
原則、塩基として、水酸化テトラアルキルアンモニウム又は炭酸ナトリウムを使用することも可能であるが、アルカリ金属水酸化物、特に水酸化ナトリウムを用いることが好ましい。塩基の一部を固体として加えることができる。
【0022】
1モルのエーテル化剤当たり好ましくは少なくとも0.1当量、特に好ましくは少なくとも0.3当量の塩基を使用する。エーテル化剤1モル当たりに使用される塩基の量は、多くとも2当量、好ましくは多くとも1.5モル、特に好ましい態様においては多くとも1.2モルであるべきである。
【0023】
従って、アンモニウム塩、例えば塩酸塩の形態でエーテル化剤を使用する場合、塩基の量を増やさなければならない。この場合、アンモニウム塩、例えば塩酸塩からアミンを遊離させるために、アンモニウム塩を基準として少なくとも等モルの塩基を更に加えることが必要である。
【0024】
セルロースと水との比は、アンヒドログルコース単位1モル当たり1:5〜1:40モルであり、好ましくは1:10重量部と1:30重量部の間であるべきである。
【0025】
反応混合物は、15〜95℃の温度で、30分間〜12時間の処理するが、選択するパラメーターは下記の通りが好ましい:40〜80℃及び1〜4時間。
【0026】
分子量低下を防止し、最小にするために、反応を全体的に又は部分的に不活性ガス、例えば窒素又はアルゴン下にて行うことができる。
【0027】
適する反応装置は、当業者には既知であり、サイズ実験(sizing experiment)によって決定することができる。装置は、反応物質の徹底的な混合と加熱を可能とするべきである。
【0028】
特に適する反応装置は、例えば分割槽(又は分割トラフ:divided trough)混練チャンバー(又は室:chamber)に基づくニーダー(又は混練機)であり、その中で、しばしばZ−形又はシグマ形混練羽根が回転し、場合により互いにかき取り(又はすくい取り)、混練空間のほとんど全体をカバーする。羽根の表面が交互に近づいたり更に離れたりして動くので、高圧縮、引っ張り及びせん断力が、混練材料全体に広がる。これは、高粘性物質を徹底的に混合することを可能とする。[Ramesh R. Hemrajani in: Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, "Mixing and Blending; 12. Mixing of Dry Solids and Pastes"; John Wiley & Sons, 1995. DOI: 10.1002/0471238961.1309240908051318.a01, Article Online Posting Date: December 4, 2000.]
【0029】
反応バッチを水中又は溶媒/水混合物中に入れ、場合により中和し、適する溶媒で洗浄し、乾燥し、場合により粉砕する。
【0030】
生成物を洗浄するために適する溶媒は、生成物がほんのわずかのみ膨張するか全く膨張しないものである。本発明に基づく方法では、アミノ基含有セルロース誘導体は、中和を省略する場合水を用いて精製することが好ましい。濾液がpH>7、好ましくはpH>8を有するとの条件で(1重量%水溶液で測定)、生成物は、わずかに膨張又は溶ける。更に、その後、必要であれば、場合により水性、有機溶媒又は溶媒混合物、例えばアセトンを用いて、洗浄を行うことができる。その後、生成物を遊離のアミンの形態で処理することができ、又は酸を用いて完全に又は部分的にアンモニウムの形態に変換後更に処理することができる。
【0031】
必要であれば、反応後、無機酸又は有機酸を含んで成る群から選択される酸、好ましくは塩酸を用いて反応バッチを処理することもできる。その後、場合により水性、有機溶媒、又は溶媒混合物、例えば水性アセトンを用いて更に洗浄することが望ましい。もし生成物をこのようにして中和する場合、そのpHは、好ましくは7〜4、特に好ましくは約6.5〜5である。
【0032】
必要に応じて、窒素含有量とDSを増加させるために、特別な精製をすることなく、反応生成物を同じタイプの反応に更に付すことができる。本発明に基づく方法で記載した方法に基づいて、更なる可能性は、アミノ基を含有する異なるエーテル化剤を用いる混合エーテル化である。
【0033】
本発明に基づく方法は、簡単な手順とセルロースの温和な処理によって優れる。多数のセルロースに一般に適用できる。0.5と1.5の間の置換度を有するアミノ基含有セルロース誘導体を一段の反応工程で未置換セルロースから得ることができる。有機溶媒を無しですますことによって、多くの場合防爆機器の使用は不要である。
【0034】
本発明は、
a)セルロース又は側鎖、例えばヒドロキシアルキル鎖に結合したタイプ−(CH−NR
[ただし、
nは、少なくとも2であり、
及びR基は、互いに独立して、1〜24の炭素原子を有し、場合によりヘテロ原子によって置換された脂肪族又は枝分かれ状又は環式アルキル又はアリール置換基、又はH、又は二つのR及びR基は、窒素と一緒に環を形成することができる]
の置換基を含み、
b)タイプRであるアルキル置換基を含み、
[ここで、Rは、好ましくは−(CH−CHであり、m=0〜3であり、DSアルキル>0.1である]、
c)好ましくはヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル及びヒドロキシブチルを含んで成る群からのヒドロキシアルキル置換基を含み、MSヒドロキシアルキル>0.1であり、並びに
d)0.8〜2,5の間の、置換基−(CH−NR、R及びヒドロキシアルキルの全体の置換度(個々の置換度の合計)を有し、それは、[置換基−(CH−NRに対して]窒素含有量から、又は[置換基R及びヒドロキシアルキルに対するDSアルキル]ツイゼル開裂(Zeisel cleavage)後測定される
アミノ基含有セルロース誘導体も提供する。
【0035】
得られるアミノ基含有セルロース誘導体は、例えば化粧品配合物(又は化粧品処方)、特にヘアケア製品及びシャンプー等の種々の用途を有する。それらは、水処理、特に凝集助剤として、又は製紙、特に保存助剤(又は保持助剤)として使用することもできる。これらの示した用途も本発明によって提供される。
【実施例】
【0036】
例1
周囲の湿気を含有する243g(1.5モル)の粉末トウヒ亜硫酸塩パルプを、5lの24%水酸化ナトリウム溶液でアルカリ化し、1:4:29のAGU:NaOH:水の比に絞り、5lの容量の水平ニーダーに移す。65℃に加熱後、323gの水中600g(3モル)のN,N−ジイソプロピルアミノエチルクロリド塩酸塩溶液(65%溶液)を強烈に混練しながら加え、更に3時間混練を続ける。これによって、液体中に、1:4:2:40の反応物比AGU:NaOH:試薬:水を与える。形成する反応生成物は、吸引により過剰の反応液から分離し、流出洗浄液のpHが一定になるまで温水で洗浄する。乾燥後得られる白色粉末は、5.80%の窒素含有量(DS=1.14)を有する。
【0037】
例2
5lの25%水酸化ナトリウム溶液を243g(1.5モル)のパルプに注ぎ、そして、混合物を室温で1時間撹拌する。その後、アンヒドログルコース:NaOH:水比は、1:4:20となるまで絞り出す。491g(3モル)のN,N−ジイソプロピルアミノエチルクロリド(塩基なし)を形成するアルカリ化セルロースに5分間かけて加え、温度を65℃にあげる。3時間の反応後、形成する高粘性物質を水中に取り出し、機械的に細かく砕く。塩と副生成物を激しく洗浄して除去する。元素分析により決定される窒素含有量は、5.85%(DS=1.44)である。
【0038】
例3
243g(1.5モル)のセルロースを5lの31%水酸化ナトリウム溶液中でアルカリ化し、その後、部分的に絞り出したフィルターケーキを、アンヒドログルコース:NaOH:水比が、1:4:20になるまで、再び絞る。55℃に加熱後、600g(3モル)のN,N−ジイソプロピルアミノエチルクロリド塩酸塩を固体の形態で加え、混合物を3時間40分−1で強く混練する。反応生成物を水で洗浄する。乾燥後、測定された窒素含有量は、5.45%である(DS=1.26)。
【0039】
例4
595mlの17%水酸化ナトリウム溶液を、169g(1モル)のN,N−ジメチルアミノエチルセルロース(%N:0.87−DS:0.10)に加え、AGU:NaOH:水比を1:3:32.5にし、その後混合物を十分に混練する。ニーダー内で80℃に加熱後、327g(2モル)のN,N−ジイソプロピルアミノエチルクロリドを加える。4時間の混練後、反応混合物をエタノール/水(1:1v/v)を用いて処理し、希塩酸を用いて中和する。このようにして溶解したポリマーをNaOHを加えて沈殿させて、アセトンですすぎ、乾燥する。窒素含有量を再び測定すると、6.03%である(DS=1.22)。
【0040】
例5
327g(2モル)のN,N−ジイソプロピルアミノエチルクロライドを、162g(1モル)の木のパルプに加え、空気を除いて混合物を室温で12時間保管する。その後、300mlの30%水酸化ナトリウム溶液を加え、そのバッチを60℃で4時間混練する。液体中の得られる反応物質比は、下記の通りである:アンヒドログルコース:NaOH:試薬:水=1:3:2:15.5。反応が終了したとき、生成物は、絞り出され、流出洗浄水がほとんど中性になるまで、水で繰り返し洗浄される。乾燥後、白色生成物を粒状化する。元素分析で見出される窒素含有量は、5.97%である(DS=1.50)。
【0041】
例6
50%水酸化ナトリウム溶液(6モル)を、混合機内の大気中の湿気を含有する243g(1.5モル)の粉砕パルプに加え、45分間成分を混合する。3モルのN,N−ジイソプロピルアミノエチルクロリド(65%溶液)を加え、反応を更に4時間続ける。反応混合物中の得られる反応物質比AGU:NaOH:試薬:水は、1:4:2:21.5である。形成する反応生成物は、吸引して過剰の反応液体から分離し、流出洗浄水のpHが一定になるまで温水で洗浄する。乾燥後得られる白色粉末は、5.80%の窒素含有量を有する(DS=1.14)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ化セルロース又はアルカリ化セルロース誘導体と一般式:
X−(CH−NR
[ここで、
Xは、脱離基であって、好ましくは塩素、臭素、ヨウ素又はスルホン酸基R’SOであり、R’は、1〜24の炭素原子を有する芳香族又は脂肪族基、例えばp−トルイル又はメチルであり、
nは、少なくとも2でなければならず、
及びR基は、互いに独立して、1〜24の炭素原子を有し、場合によりヘテロ原子によって置換された脂肪族又は枝分かれ状又は環式アルキル又はアリール置換基、又はH、又は二つのR及びR基は、一緒に窒素を含む環を形成してよい]
である試薬との反応によるアミノ基含有セルロース誘導体の製造方法であって、
水が反応媒体として使用され、セルロースと水との比は、アンヒドログルコース単位(AGU)1モル当り、1:5〜1:40モルであることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
AGU当り0.1〜3モルのエーテル化試薬を使用することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
セルロース誘導体としてセルロースエーテルを使用することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
セルロース誘導体として、0.01から4、好ましくは0.1〜3の間の全体の置換度を有するセルロースエーテルを使用し、アルキル置換基の平均置換度(DSアルキル)は、0〜2.5、特に好ましくは0〜1.7であり、ヒドロキシアルキル置換基のモル置換度(MSヒドロキシアルキル)は、0〜3.5、特に好ましくは0〜2.5であることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
アンヒドログルコース単位当り、0.01〜1.5モルのエーテル化試薬を使用することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
セルロースと水との比は、アンヒドログルコース単位の1モル当り、1:10〜1:30モルであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
a)タイプ−(CH−NR
[ただし、
nは、少なくとも2であり、
及びR基は、互いに独立して、1〜24の炭素原子を有し、場合によりヘテロ原子によって置換された脂肪族又は枝分かれ状又は環式アルキル又はアリール置換基、又はH、又は二つのR及びR基は、一緒に窒素を含む環を形成してよい]
である置換基を含み、
b)タイプRであるアルキル置換基を含み、
[ここで、Rは、好ましくは−(CH−CHであり、m=0〜3であり、DS>0.1である]、並びに
c)アンヒドログルコース単位当り0.8〜2である、置換基−(CH−NRとRとの全体の置換度(個々の置換度の合計)を有し、それらは、[置換基−(CH−NRに対して]窒素含有量から、又は[置換基Rに対して]ツイゼル開裂後測定される
セルロース誘導体。
【請求項8】
a)セルロース又は側鎖、例えばヒドロキシアルキル基に結合したタイプ−(CH−NR
[ただし、
nは、少なくとも2であり、
及びR基は、互いに独立して、1〜24の炭素原子を有し、場合によりヘテロ原子によって置換された脂肪族又は枝分かれ状又は環式アルキル又はアリール置換基、又はH、又は二つのR及びR基は、一緒に窒素を含む環を形成してよい]
である置換基を含み、
b)タイプRであるアルキル置換基を含み、
[ここで、Rは、好ましくは−(CH−CHであり、m=0〜3であり、DS>0.1である]、
c)タイプRであるヒドロキシアルキル置換基を含み、Rは−CH−CH(C2p+1)O−{CH−CH(C2p+1)O}−C2r+1であることが好ましい
[ここで、p=0又は1、q=0〜30、r=0又は1及びMSヒドロキシアルキル>0.1である]、並びに
d)アンヒドログルコース単位当り0.8〜2である、置換基−(CH−NR、R及びRの全体の置換度(個々の置換度の合計)を有し、それらは、[置換基−(CH−NRに対して]窒素含有量から、又は[置換基R及びRに対して]ツイゼル開裂後測定される
アミノ基含有セルロース誘導体。
【請求項9】
請求項1に記載の方法で得られる、化粧品配合物中のアミノ基含有セルロース誘導体の使用。
【請求項10】
請求項1に記載の方法で得られる、水処理又は製紙でのアミノ基含有セルロール誘導体の使用。

【公表番号】特表2008−507602(P2008−507602A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521853(P2007−521853)
【出願日】平成17年7月12日(2005.7.12)
【国際出願番号】PCT/EP2005/007538
【国際公開番号】WO2006/010468
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(503166780)ヴォルフ セルロシックス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (6)
【氏名又は名称原語表記】Wolff Cellulosics GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】29656 Walsrode, Germany
【Fターム(参考)】