説明

アミン結合基を有する架橋ポリマー類

ペンダントアミン捕捉基を含有する架橋型高分子物質が記載されている。アミン捕捉基としては、求核置換反応によってアミン含有物質と反応可能なN−スルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。架橋型高分子物質を調製するために使用される反応混合物、当該架橋型高分子物質を含有する物品、物品製造方法、及びアミン含有物質の不動化方法についてもまた記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ペンダントアミン捕捉基を有する架橋型高分子物質、当該架橋型高分子物質を含有する物品及びアミン含有物質の不動化方法を記載する。
【背景技術】
【0002】
表面上に不動化されたアミン含有物質、例えばアミン含有検体、アミノ酸、DNA、RNA、タンパク質、細胞、組織、オルガネラ、免疫グロブリン(immunoglobins)、又はこれらの断片を、多数の用途にて使用することが可能である。例えば、不動化された生物学的アミン類を、疾病若しくは遺伝的欠陥の医学的診断のため、生物学的分離のため、又は各種生体分子検出のために使用することが可能である。アミン含有物質の不動化は、アミノ基と基材表面に共有結合したアミン反応性官能基との反応によって通常は行なわれる。
【0003】
かかるアミン反応表面は、例えば、N−[(メタ)クリルオキシ]スクシンイミド又はビニルアズラクトンなどのアミン反応性モノマーから調製した高分子物質の溶液を、基材表面へコーティングすることによって調製可能である。アミン含有物質は、N−アシルオキシスクシンイミド基と反応して、N−ヒドロキシスクシンイミドの変位及びカルボキサミドの形成をもたらすことができる。アミン含有物質は、環式アズラクトンと反応して、環状構造の開環をもたらすことができる。
【0004】
N−アシルオキシスクシンイミド基又はアズラクトン基などの反応性官能基を含む高分子表面は、一級又は二級アミン含有物質と素早く反応するが、かかる反応性官能基には、多数の欠点が生じる可能性がある。例えば、生物学的アミンとの反応の多くは、希釈水溶液中で実施される。これらの条件下において、N−アシルオキシスクシンイミド官能基は急速に加水分解されることが知られている。本競争反応は、基材上でのアミン含有物質の不完全又は非効率的不動化を引き起こすことがある。
【0005】
アズラクトン官能基は、加水分解に対してより安定しているが、ビニル基以外の任意の重合性基に結合したアズラクトンを合成することは困難である。これにより、ポリマー骨格に直接結合したアミン反応性官能基を持つ重合体物質を生じる。これは、アミン含有物質が、効率的不動化のためにアミン反応性基へ十分接近することが困難になり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アミン含有物質の、不動化のためのコーティング材として使用可能であり、基材に対する良好な接着性を備え、代わりのアミン反応性官能基を有する高分子物質の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
反応混合物及び当該反応混合物から形成された架橋型高分子物質が記載されている。より具体的には、反応混合物及び架橋型高分子物質は、アミン捕捉基を含有する。アミン捕捉基としては、求核置換反応によってアミン含有物質と反応可能なN−スルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。架橋型高分子物質を含有する物品、当該物品の製造方法、及びアミン含有物質の不動化方法についてもまた記載されている。
【0008】
第1の態様では、(a)下記式Iのアミン捕捉モノマーを含む反応混合物、
【0009】
【化1】

【0010】
及び(b)少なくとも2つの(メタ)クリロイル基を含む架橋モノマーについて記載する。前記式Iのアミン捕捉モノマーは、ハロ、アルキル、アルコキシ、又はそれらの組み合わせによって非置換又は置換されていることができる。式Iにおいて、
Lは、オキシ又は−NR−であり、
は、アルキル、アリール、又は−(CO)Rであり、式中、RはR及びそれらが結合している基と共に、窒素へテロ原子及びイオウへテロ原子を有する4〜8員複素環基又は二環式複素環基を形成し、ここで当該複素環基又は二環式複素環基が、任意の芳香族基、任意の飽和若しくは不飽和環状基、又は任意の飽和若しくは不飽和二環状基と縮合することができ、
は、アルキル、フルオロアルキル、クロロアルキル、アリール、−N(Rであり、式中、各Rが独立してアルキル基であるか、又はそれらが結合している窒素原子と共に4〜8員環状基を形成しているか、又はRが、R及びそれらが結合している基と共に、任意の芳香族基、任意の飽和若しくは不飽和環状基、又は任意の飽和若しくは不飽和二環状基と縮合することができる、4〜8員複素環基又は二環式複素環基を形成し、
が、水素又はメチルであり、
が、水素、アルキル、アリール、アラルキル、アシル、アリールスルホニル、又はアルキルスルホニルであり、
Yが、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む二価の基である。
【0011】
第2の態様では、(a)式Iのアミン捕捉モノマー及び(b)少なくとも2つの(メタ)クリロイル基を含む架橋モノマーを含有する反応混合物の反応生成物を含む架橋型高分子物質について記載する。
【0012】
第3の態様では、基材及び基材表面上に配置された架橋型高分子物質を含む物品について記載する。架橋型高分子物質は、(a)式Iのアミン捕捉モノマー及び(b)少なくとも2つの(メタ)クリロイル基を含む架橋モノマーを含有する反応混合物の反応生成物を含む。架橋型高分子物質は、N−スルホニルアミノカルボニル基を含むペンダントアミン捕捉基を有する。
【0013】
第4の態様では、物品の作製方法について記載する。本方法は、基材を提供すること、反応混合物を基材表面上に配設すること、及び反応混合物を硬化して架橋型高分子物質を形成することから構成される。反応混合物は、(a)式Iのアミン捕捉モノマー及び(b)少なくとも2つの(メタ)クリロイル基を含む架橋モノマーを含有する。架橋型高分子物質は、N−スルホニルアミノカルボニル基を含むペンダントアミン捕捉基を有する。
【0014】
第5の態様では、アミン含有物質の不動化方法について記載する。本方法は、基材を提供すること及び反応混合物を基材表面上に配設することから構成される。反応混合物は、(a)式Iのアミン捕捉モノマー及び(b)少なくとも2つの(メタ)クリロイル基を含む架橋モノマーを含有する。方法は更に、N−スルホニルアミノカルボニル基を含むペンダントアミン捕捉基を有する反応混合物を硬化して架橋型高分子物質を形成すること、及び次に、N−スルホニルアミノカルボニル基とアミン含有物質を反応させることから構成される。
【0015】
第6の態様では、下記式IIのペンダント基を含む高分子物質が提供される。
【0016】
【化2】

【0017】
[式中、
Lは、オキシ又は−NR−であり、
は、アルキル、アリール、又は−(CO)Rであり、式中、RはR及びそれらが結合している基と共に、窒素へテロ原子及びイオウへテロ原子を有する4〜8員複素環基又は二環式複素環基を形成し、ここで当該複素環基又は二環式複素環基が、任意の芳香族基、任意の飽和若しくは不飽和環状基、又は任意の飽和若しくは不飽和二環状基と縮合することができ、
は、アルキル、フルオロアルキル、クロロアルキル、アリール、−N(Rであり、式中、各Rが独立してアルキル基であるか、又はそれらが結合している窒素原子と共に4〜8員環状基を形成しているか、又は、Rが、R及びそれらが結合している基と共に、任意の芳香族基、任意の飽和若しくは不飽和環状基、又は任意の飽和若しくは不飽和二環状基と縮合することができる、4〜8員複素環基又は二環式複素環基を形成し、
が、水素、アルキル、アリール、アラルキル、アシル、アリールスルホニル、又はアルキルスルホニルであり、
Yが、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む二価の基であり、
アスタリスク(*)は、ペンダント基の、高分子物質の主鎖への結合部位を意味し、
式IIのペンダント基が、ハロ、アルキル、アルコキシ、又はそれらの組み合わせによって非置換又は置換されており、及び
高分子物質が、架橋している。]
用語「a」、「an」、及び「the」は、「少なくとも1つの」と同じ意味で用いられ、記載された要素の1以上を意味する。
【0018】
用語「アシル」とは、化学式−(CO)Rの一価の基を意味し、式中Rは、アルキル基であり、ここで(CO)は、炭素が二重結合にて酸素に結合していることを指す。
【0019】
用語「アルコキシ」とは、化学式−ORの一価の基を意味し、式中、Rはアルキル基である。
【0020】
用語「アルキル」とは、アルカンのラジカルであり、直鎖、分岐鎖、環状、又はそれらの組み合わせである基を含む一価の基を意味する。アルキル基は通常、1〜30個の炭素原子を有する。幾つかの実施形態では、アルキル基は、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子又は1〜4個の炭素原子を含有する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第3ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、及びエチルヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
用語「アルキレン」とは、アルカンのラジカルである二価の基を意味する。アルキレンは、直鎖、分岐鎖、環状、又はそれらの組み合わせであることができる。アルキレンは通常、1〜30個の炭素原子を有する。幾つかの実施形態では、アルキレンは、1〜20個、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を含有する。アルキレンのラジカル中心は、同一炭素原子上に(即ち、アルキリデン)又は異なった炭素原子上にあってよい。
【0022】
用語「アルキルスルホニル」とは、化学式−SORの一価の基を意味し、式中、Rはアルキルである。
【0023】
用語「アミン捕捉モノマー」とは、アミン捕捉基を有するモノマーを意味する。用語「アミン捕捉」とは、モノマー又は高分子物質上にある、アミン含有物質と反応可能な基を意味する。アミン捕捉基は多くの場合、N−スルホニルアミノカルボニル基を含む。
【0024】
用語「アミン含有物質」とは、一級アミン基、二級アミン基、又はそれらの組み合わせを有する物質を意味する。アミン含有物質は、生体物質又は非生体物質であることができる。アミン含有物質は多くの場合、一級アミン基、二級アミン基、又はそれらの組み合わせに結合したアルキレン基を有する。
【0025】
用語「アラルキル」とは、化合物R−Arのラジカルである一価の基を意味し、式中、Arは芳香族炭素環基であり、Rはアルキル基である。
【0026】
用語「アリール」とは、芳香族及び炭素環式である一価の基を意味する。アリールは、芳香環に結合又は縮合した1〜5個の環を有することができる。その他の環状構造は、芳香族、非芳香族、又はこれらの組み合わせであることができる。アリール基の例としては、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、アンスリル、ナフチル、アセナフチル、アントラキノニル、フェナンスリル、アントラセニル、ピレニル、ペリレニル、及びフルオレニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
用語「アリールスルホニル」とは、化学式−SOArの一価の基を意味し、式中Arは、アリールである。
【0028】
用語「アリーレン」とは、炭素環式及び芳香族である二価の基を意味する。基は、結合する、縮合する、又はこれらが組み合わされた1〜5個の環を有する。その他の環は、芳香族、非芳香族、又はこれらの組み合わせであることができる。幾つかの実施形態では、アリーレン基は、5個までの環、4個までの環、3個までの環、2個までの環、又は1個の芳香環を有する。例えば、アリーレン基は、フェニレンであることができる。
【0029】
用語「カルボニル」とは、化学式−(CO)−の二価の基を意味する。
【0030】
用語「カルボニルイミノ」とは、化学式−(CO)NR−の二価の基を意味し、式中、Rが、水素、アルキル、アリール、アラルキル、アシル、アリールスルホニル、又はアルキルスルホニルである。
【0031】
用語「カルボニルオキシ」とは、化学式−(CO)O−の二価の基を意味する。
【0032】
用語「クロロアルキル」とは、塩素原子により置き換えられた少なくとも1つの水素原子を有するアルキルを意味する。
【0033】
用語「フルオロアルキル」とは、フッ素原子により置き換えられた少なくとも1つの水素原子を有するアルキルを意味する。幾つかのフルオロアルキル基は、ペルフルオロアルキル基であり、そこではアルキル上の全ての水素原子がフッ素原子により置き換えられている。
【0034】
用語「ハロ」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを意味する。
【0035】
用語「ヘテロアルキレン」とは、チオ、オキシ、又は−NR−(式中、Rは水素又はアルキル)により置き換えられた1以上の−CH−基を有する二価のアルキレンを意味する。ヘテロアルキレンは、直鎖、分岐鎖、環状、又はそれらの組み合わせであることができ、60個までの炭素原子及び15個までのヘテロ原子を含むことができる。幾つかの実施形態において、ヘテロアルキレンは、50個までの炭素原子、40個までの炭素原子、30個までの炭素原子、20個までの炭素原子、又は10個までの炭素原子を含む。
【0036】
用語「(メタ)クリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートであるモノマーを意味する。同様に、用語「(メタ)クリルアミド」とは、アクリルアミド又はメタクリルアミドであるモノマーを意味する。
【0037】
用語「(メタ)クリロイル」基とは、式CH=CR−(CO)−のエチレン系不飽和基を意味し、式中Rは、水素又はメチルである。
【0038】
用語「N−スルホニルアミノカルボニル」とは、化学式−SONZ(CO)−の三価のものを意味し、式中Zは、アルキル、アリール、又は複素環構造の一部である。
【0039】
用語「オキシ」とは、化学式−O−の二価の基を意味する。
【0040】
用語「ペンダント」は、高分子物質に関する場合、高分子物質の主鎖に結合しているが、高分子物質の主鎖の一部ではない基を意味する。ペンダント基は、重合反応には関与しない。例えば、基Qは、式CH=C(R)−Qのエチレン系不飽和モノマーを含む、反応混合物のフリーラジカル重合により形成されるポリマー内のペンダント基である。本モノマーにおいて、化学式Rは、水素、アルキル、又はアリールであり、Qはエチレン系不飽和基に結合した基である。
【0041】
用語「ポリマー」とは、1つモノマーから調製した物質、例えばホモポリマー又は2つ、若しくはそれ以上のモノマーから調製した物質、例えばコポリマー、ターポリマー、等の両方を意味する。同様に、用語「重合させる」とは、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、等であり得る高分子物質の作製プロセスを意味する。
【0042】
用語「チオ」とは、式−S−の二価の基を意味する。
【0043】
用語「室温」とは、約20℃〜約25℃又は約22℃〜約25℃の温度を意味する。
【0044】
式中で2個の基を連結している曲線は、当該2個の基が共に、環状であり得る構造体の一部を形成していることを示している。即ち当該2個の基は、共に結合している。この曲線を横切る線は、構造体内の原子への共有結合を指す。
【0045】
本発明上述の発明の開示は、本発明の開示された各実施形態もあらゆる実施も記載しようとは意図していない。以下の説明は、説明に役立つ実施形態をより詳細に例示する。本出願の幾つかの箇所で、実施例の一覧として説明を提供するが、実施例は各種組み合わせにて使用することが可能である。それぞれの事例において、列挙される一覧は代表的な群としてのみ与えられるのであって、限定的な一覧として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
架橋型高分子物質の調製のための反応混合物、当該反応混合物から形成された架橋型高分子物質、当該架橋型高分子物質を含有する物品、当該物品の製造方法、及びアミン含有物質の不動化方法が記載されている。より具体的に言えば、反応混合物は、(a)アミン捕捉基を有するモノマー及び(b)架橋モノマーを含む。架橋型高分子物質は、求核置換反応によってアミン含有物質と反応可能なN−スルホニルアミノカルボニル基を含むペンダントアミン捕捉基を有する。架橋型高分子物質は、基材への良好な接着を有し、基材上でパターニングすることができる。
【0047】
反応混合物は、(a)下記式Iのアミン捕捉モノマー、及び
【0048】
【化3】

【0049】
(b)少なくとも2つの(メタ)クリロイル基を含む架橋モノマーを含む。式Iのモノマーは、ハロ、アルキル、アルコキシ、又はそれらの組み合わせによって非置換又は置換されていることができる。式Iにおいて、
Lは、オキシ又は−NR−であり、
は、アルキル、アリール、又は−(CO)Rであり、式中Rは、R及びそれらが結合している基と共に、窒素へテロ原子及びイオウへテロ原子を有する4〜8員複素環基又は二環式複素環基を形成し、ここで、当該複素環基又は二環式複素環基が、任意の芳香族基、任意の飽和若しくは不飽和環状基、又は任意の飽和若しくは不飽和二環状基と縮合することができ、
は、アルキル、フルオロアルキル、クロロアルキル、アリール、−N(Rであり、式中各Rが独立してアルキル基であるか、又はそれらが結合している窒素原子と共に、4〜8員環状基を形成しているか、又はRが、R及びそれらが結合している基と共に、任意の芳香族基、任意の飽和若しくは不飽和環状基、又は任意の飽和若しくは不飽和二環状基と縮合することができる、4〜8員複素環基又は二環式複素環基を形成し、
が、水素又はメチルであり、
が、水素、アルキル、アリール、アラルキル、アシル、アリールスルホニル、又はアルキルスルホニルであり又
Yが、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む二価の基である。
【0050】
式Iのアミン捕捉モノマーは、下記式I(a)に示すようにLがオキシの場合に、(メタ)クリレートモノマーであることができる。
【0051】
【化4】

【0052】
例示の(メタ)クリレートモノマー類は、アクリレート類(即ち、Rが水素の場合)又はメタクリレート類(即ち、Rがメチルの場合)である。
【0053】
式Iの前記アミン捕捉モノマーは、下記式I(b)に示すようにLが−NR−の場合に、(メタ)クリルアミドモノマーであることができる。
【0054】
【化5】

【0055】
例示の(メタ)クリルアミドモノマー類は、アクリルアミド類(即ち、Rが水素の場合)又はメタクリルアミド類(即ち、Rがメチル)である。
【0056】
式Iの基Zは、アルキル、アリール、又は複素環構造の一部であることができる。例えば、ZはC〜C30アルキル、C〜C10アルキル、又はC〜Cアルキルであることができる。その他の実施例では、ZはC〜C30アリール、C〜C24アリール、C〜C18アリール、又はC〜C12アリールであることができる。式Iのその他の実施例では、Zは、R及びそれらが結合している基と共に、任意の芳香族基、任意の飽和若しくは不飽和環状基、又は任意の飽和若しくは不飽和二環状基と縮合することができる複素環基又は二環式複素環基を形成する−(CO)R基であることができる。複素環基又は二環式複素環基は、窒素及びイオウへテロ原子を含む。芳香族基に縮合した複素環基を有する例示のモノマーを下記式I(c)に示す。
【0057】
【化6】

【0058】
と結合させて、複素環又は二環式複素環構造を形成する代わりに、R基は、アルキル、フルオロアルキル、ペルフルオロアルキル、クロロアルキル、アリール、又は
−N(Rであることができ、式中各Rが独立して、アルキル基であるか、又は両R基がそれらが結合している窒素原子と共に4〜8員複素環基を形成している。幾つかの実施形態では、RはC〜C30アルキル、C〜C10アルキル、又はC〜Cアルキルであることができる。その他の実施形態では、RはC〜C30フルオロアルキル若しくはペルフルオロアルキル、C〜C10フルオロアルキル若しくはペルフルオロアルキル、又はC〜Cフルオロアルキル若しくはペルフルオロアルキル基であることができる。更にその他の実施形態では、RはC〜C30アリール、C〜C18アリール、又はC〜C12アリールであることができる。例えば、Rはフェニル基であることができる。
【0059】
式I中の基Yは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む二価の基であることができる。基Yは、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NR−、又はそれらの組み合わせから選択される任意の基を更に含むことができる。基Y及び結合基−L−Y−は、ペルオキシド基(即ち、2個のオキシ基が互いに結合している)を通常は含まない。
【0060】
基Yは、アルキレン基であることができ、あるいはYは、別のアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NR−、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのその他の基に連結したアルキレンを含むことができる。その他の実施例において、Yは、ヘテロアルキレン基であることができ、あるいはYは、別のヘテロアルキレン、アルキレン、アリーレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NR−、又はそれらの組み合わせから選択される、少なくとも1つのその他の基に連結したヘテロアルキレンを含むことができる。更にその他の実施例では、Yは、アリーレン基であることができ、あるいはYは、別のアリーレン、アルキレン、ヘテロアルキレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NR−、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのその他の基に連結したアリーレンを含むことができる。
【0061】
例えば、下記式I(d)の如く、基Yはアルキレン基を含むことができる。
【0062】
【化7】

【0063】
[式中、pは1〜30の整数である。]例示化合物類としては、pが20以下、10以下、8以下、6以下、又は4以下の整数であるようなものが挙げられる。基L、Z、R、及びRは、式Iについて既に定義されたものと同一である。化合物類は、ハロ、アルキル、アルコキシ、又はそれらの組み合わせによって非置換又は置換されることができる。
【0064】
式Iに従う幾つかのモノマー類では、基Yは、第2のアルキレン又は第1のヘテロアルキレン基に、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、又は−NR−から選択された基によって連結された、第1のアルキレン基を含む。追加のアルキレン又はヘテロアルキレン基は、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、又は−NR−から選択された基によって、第2のアルキレン又は第1のヘテロアルキレン基に連結されることができる。
【0065】
式Iのその他の例示のモノマー類では、基Yは下記式I(e)の如くヘテロアルキレン基を含む。
【0066】
【化8】

【0067】
[式中、Dはオキシ、チオ、又は−NH−であり、mは1〜15の整数であり、又kは2〜4の整数である。]基L、Z、R、及びRは、式Iについて既に定義されたものと同一である。化合物は、ハロ、アルキル、アルコキシ、又はそれらの組み合わせによって非置換又は置換されていることができる。該式の幾つかの化合物類では、mは12以下、10以下、8以下、6以下、又は4以下の整数である。例示化合物類としては、Dがオキシ、及びkが2に等しいようなものが挙げられる。
【0068】
式Iに準ずるその他の化合物類では、基Yは、第2のヘテロアルキレン又は第1のアルキレン基に、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、又は−NR−から選択された基によって連結された、第1のヘテロアルキレン基を含む。追加のアルキレン又はヘテロアルキレン基は、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ基、オキシ、チオ、又は−NR−から選択された基によって、第2のヘテロアルキレン又は第1のアルキレン基に連結されることができる。式Iの幾つかの例示のモノマー類では、基Yは、下記式I(f)の如く、ヘテロアルキレン、カルボニル基及びアルキレン基を含む。
【0069】
【化9】

【0070】
[式中、Dは、オキシ、チオ、又は−NH−であり、mは、1〜15の整数であり、pは、1〜30の整数であり、又kは、2〜4の整数である。]基L、R、R、及びZは、式Iについてと同一である。モノマーは、ハロ、アルキル、アルコキシ、又はそれらの組み合わせによって非置換又は置換されていることができる。当該式の幾つかの化合物類では、mは12以下、10以下、8以下、6以下、又は4以下の整数であり、又pは20以下、10以下、8以下、6以下、又は4以下の整数である。例示化合物類としては、Dがオキシ、及びkが2に等しいようなものが挙げられる。
【0071】
幾つかの実施形態では、Yは、アリーレン基を含むことができる。例えば、アリーレンは、N−スルホニルアミノカルボニル基に直接結合することができる。アリーレン基は、30個までの炭素原子、24個までの炭素原子、18個までの炭素原子、12個までの炭素原子、又は6個の炭素原子を含むことができる。基Yとしては、更に1以上のアルキレン基、1以上のヘテロアルキレン基、又はそれらの組み合わせも挙げることができる。例えば、モノマーは下記式I(g)であることができる。
【0072】
【化10】

【0073】
[式中、Arはアリーレン基であり、基−Y−Ar−が、式IのYに相当する。基Yが、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NR3−、又はそれらの組み合わせから選択される、単結合又は二価の基であることができる。
【0074】
基L、Z、R、及びRは、式Iについて既に定義されたものと同一である。化合物類は、ハロ、アルキル、アルコキシ、又はそれらの組み合わせによって非置換又は置換されていることができる。幾つかの化合物では、Arはフェニレンである。]
幾つかの要因が、特定用途のための基Yの選択に影響を与え得る。例えば、これらの要件としては、アミン捕捉モノマーの合成し易さ、アミン捕捉モノマーの架橋モノマーとの相溶性又は反応性、及びアミン捕捉基のアミン含有物質との反応性又は選択性が挙げられる。例えば、基Yのサイズ及び極性は、アミン捕捉基のアミン含有物質との反応性に影響を与え得る。即ち、アミン捕捉基の反応性は、基Yの長さ、基Yの組成、又はその両方を変化させることにより変更することができる。同様に、−NZSO基のサイズ及び性質が、表面濃度及びアミン含有物質との反応性に影響を与え得る。所望する場合、アミン捕捉モノマー中の各種の基を選択して、周囲温度にて液体のモノマーを提供することができる。液体モノマー類は、環境的に望ましい無溶剤コーティング組成物にて有用である傾向がある。
【0075】
反応混合物は多くの場合、重合に先だって、溶液によりコーティングし、乾燥される(例えば、ほぼ100%固形分)。アミン捕捉モノマーの溶媒中での溶解度、及び架橋モノマーとの混和性は、好適なコーティングを得るための重要変数となり得る。これらの因子は、基Yの選択によってコントロールすることができる。例えば、基Y(例えば、N−アクリロイルサッカリンを持つ)が存在しない場合、アミン捕捉モノマーは、受け入れ難い程低い溶解度をほとんどの一般的溶媒に対して有し、架橋モノマーとの反応性が損なわれることになり得る。ヘテロアルキレン基は、極性溶媒類及びモノマー類中での溶解度を改善する傾向にあり、アルキレン基は、非極性溶媒類及びモノマー類中での溶解度を改善する傾向にある。
【0076】
式I従うモノマー類の具体例としては、
【0077】
【化11】

【0078】
【化12】

【0079】
及び
【0080】
【化13】

【0081】
が挙げられるが、これらに限定されない。[これは、ハロ、アルキル、アルコキシ、又はそれらの組み合わせによって、非置換又は置換されることができる。]
その他の例示のモノマー類は、日本特許出願JP11−109630にて記載の通りであるように、次のような構造を有し、
【0082】
【化14】

【0083】
式中、Qは−CH−又は−CH(CH)−から選択されたアルキレンであり、Qは−CHCH−である。更にその他の例示のアミン捕捉モノマー類は、欧州特許出願EP0814381A1にて記載の通りであるように、次の構造を有する:
【0084】
【化15】

【0085】
又は
【0086】
【化16】

【0087】
式中、Qは−CHCH−である。更なる例示のアミン捕捉モノマー類は、日本特許出願JP1−114861に記載されているように、次の構造を有する:
【0088】
【化17】

【0089】
又は
【0090】
【化18】

【0091】
式中、Qは−CHCH−であり、Qは−(CH−である。
【0092】
アミン捕捉モノマー類は、2個の反応性官能基、N−スルホニルアミノカルボニル基を含むアミン反応性基及びラジカル重合反応を生じることができる(メタ)クリロイル基を含有する。合成ストラテジーは、これら2個の反応性官能基の形成に至る必要があるが、それらの異なった反応性に対しても寛容でなければならない。式Iのモノマー類(例えば、式I(a)〜I(g)のモノマー類)は、例えば、ハロカルボニル基を含む第1の化合物をN−スルホニルアミノカルボニル基を有する第2の化合物と反応させることによって調製してよい。第2の化合物は、多くの場合、塩である。好適な反応スキームを反応スキームAに示す。
【0093】
反応スキームA
【0094】
【化19】

【0095】
基L、Y、Z、R、及びRは、式Iについて既に定義されたものと同一であることができる。式中式IのZが、−(CO)Rであり、RはRと結合して環状構造を形成する場合、化合物類は反応スキームBを使用して調製可能である。
【0096】
反応スキームB
【0097】
【化20】

【0098】
【化21】

【0099】
[式中、L、Y、R、R及びRは、式Iについて既に定義された通りである。]
反応混合物は、当該反応混合物中のモノマー類の重量を基準にして、0.1〜90重量%の式Iのアミン捕捉モノマーを通常は含む。0.1重量%未満のアミン捕捉モノマーが反応混合物中に含まれる場合、結果として得られる架橋型高分子物質内に、アミン含有物質との反応に利用可能な、十分な数のペンダントアミン捕捉基がない可能性がある。しかし、アミン捕捉モノマー量が90重量%より大きい場合には、反応混合物中の架橋モノマー量が少ないために、架橋ポリマーは機械的に堅牢でない、又は寸法安定性がない可能性がある。
【0100】
反応混合物は、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも5重量%、又は少なくとも10重量%のIのアミン捕捉モノマーを通常は含有する。反応混合物は、90重量%までの、80重量%までの、70重量%までの、60重量%までの、50重量%までの、40重量%までの、30重量%までの、又は20重量%までのアミン捕捉モノマーを通常は含有する。例えば、反応混合物は、0.2〜90重量%、0.5〜90重量%、1〜90重量%、2〜80重量%、2〜60重量%、2〜40重量%、2〜20重量%、又は2〜10重量%のアミン捕捉モノマーを通常は含有することができる。
【0101】
式Iのモノマーに加えて、反応混合物は、少なくとも2つの(メタ)クリロイル基を含む架橋モノマーを含有する。好適な架橋モノマー類としては、ジ(メタ)クリレート類、トリ(メタ)クリレート類、テトラ(メタ)クリレート類、ペンタ(メタ)クリレート類、などが挙げられる。これらの(メタ)クリレート類は、例えば、(メタ)クリル酸をアルカンジオール類、アルカントリオール類、アルカンテトラオール類、又はアルカンペンタオール類と反応させることにより形成することができる。
【0102】
例示の架橋モノマー類としては、1,2−エタンジオールジ(メタ)クリレート;1,12−ドデカンジオールジ(メタ)クリレート;1,4−ブタンジオールジ(メタ)クリレート;1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)クリレート;トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、TMPTA−Nの商標名でサーフェス・スペシャルティズ(Surface Specialties)(ジョージア州スミュルナ)及びSR−351の商標名でサルトマー(Sartomer)(ペンシルベニア州エクストン)から市販されている);ペンタエリスリトールトリアクリレート(例えば、SR−444の商標名のもとにサルトマー(Sartomer)から市販されている);トリス(2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート)トリアクリレート(SR−368の商標名のもとにサルトマー(Sartomer)から市販されている);ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(例えば、サーフェス・スペシャリティーズ(Surface Specialties)からPETIA(テトラアクリレート対トリアクリレートを約1:1の比で含む)及びPETA−K(テトラアクリレート対トリアクリレートを約3:1の比で含む)の商標名にて市販されている);ペンタエリスリトールテトラアクリレート(例えば、SR−295の商標名にてサルトマー(Sartomer)から市販されている);ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(例えば、SR−355の商標名にてサルトマー(Sartomer)から市販されている);エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(例えば、SR−494の商標名にてサルトマー(Sartomer)から市販されている);及びジペンタエリスリトールペンタアクリレート(例えば、SR−399の商標名にてサルトマー(Sartomer)から市販されている)が挙げられる。架橋モノマー類の混合物を使用してもよい。
【0103】
反応混合物は、当該反応混合物中のモノマー類の重量を基準にして、10〜99.9重量%の架橋モノマーを含有することができる。反応混合物中に含まれる架橋モノマーの量がこれ未満であれば、結果として得られる架橋型高分子物質は、機械的に堅牢でもなく又寸法安定性もない。他方では、より多量の架橋モノマーが使用されると、架橋型高分子物質中のペンダントアミン捕捉基の数が、アミン含有物質と効率的に反応するには少なすぎる可能性がある。
【0104】
架橋モノマーの量は、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%であることができる。例えば、架橋モノマーの量は、10〜99重量%、20〜90重量%、30〜90重量%、30〜80重量%、30〜70重量%、又は30〜60重量%の範囲内であることができる。
【0105】
その他の任意の希釈剤モノマー類、例えば(メタ)クリレート類及び(メタ)クリルアミド類を、反応混合物内に含んでもよい。好適な希釈剤モノマー類としては、アミン捕捉基を有さず、1個のみの(メタ)クリロイル基を有するモノマー類が挙げられる。反応混合物は、当該反応混合物中のモノマー類の重量を基準にして、20重量%までの希釈剤モノマーを含むことができる。約20重量%超の希釈剤モノマーが反応混合物中に含まれる場合には、架橋型高分子物質が十分に機械的に堅牢で、十分に寸法安定性でなく、あるいはアミン含有化合物と効果的に反応するだけの十分な数のペンダントアミン捕捉基がない可能性がある。幾つかの反応混合物中には、希釈剤モノマーが含まれない。希釈剤モノマーの量は、通常、0〜20重量%、0〜15重量%、0〜10重量%、又は0〜5重量%の範囲内である。
【0106】
幾つかの例示の(メタ)クリレート希釈剤モノマー類は、メチル(メタ)クリレート、エチル(メタ)クリレート、n−プロピル(メタ)クリレート、イソプロピル(メタ)クリレート、n−ブチル(メタ)クリレート、イソブチル(メタ)クリレート、第3メタクリル酸ブチル、n−ヘキシル(メタ)クリレート、シクロヘキシル(メタ)クリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)クリレート、2−メチルブチル(メタ)クリレート、2−エチルヘキシル(メタ)クリレート、4−メチル−2−ペンチル(メタ)クリレート、n−オクチル(メタ)クリレート、イソオクチル(メタ)クリレート、n−デシル(メタ)クリレート、イソデシル(メタ)クリレート、ラウリル(メタ)クリレート、イソノニル(メタ)クリレート、イソトリデシル(メタ)クリレート、及びベヘニル(メタ)クリレートなどのアルキル(メタ)クリレート類である。
【0107】
他の例示の(メタ)クリレート希釈剤モノマー類は、フェニル(メタ)クリレート、ステアリル(メタ)クリレート、及びベンジル(メタ)クリレートなどのアリール(メタ)クリレート類である。更に他の例示の(メタ)クリレート希釈剤モノマー類は、2−ヒドロキシエチル(メタ)クリレート及び3−ヒドロキシプロピル(メタ)クリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)クリレート、グリセロール(メタ)クリレート、などのヒドロキシアルキル(メタ)クリレート類である。追加の例示の(メタ)クリレート希釈剤モノマー類は、2−エトキシエチル(メタ)クリレート、2−メトキシエチル(メタ)クリレート、ポリエチレングリコール(メタ)クリレート、などのエーテル含有(メタ)クリレート類である。希釈剤モノマー類は、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)クリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)クリレート、2−トリメチルアンモニウムエチル(メタ)クリレートハロゲン化合物類、などの含窒素(メタ)クリレート類であることができる。希釈剤モノマー類はまた、(メタ)クリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)クリルアミド類、などであることができる。
【0108】
幾つかの反応混合物は、溶媒を含有する。好適な溶媒類としては、水、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、イソプロパノール、N−メチルピロリドン、塩素化及びフッ素化炭化水素類、フッ素化エーテル類、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。他の反応混合物は、無溶媒であることができる。例示の無溶媒反応混合物としては、アミン捕捉モノマーが液体であるようなもの又は反応混合物が除去される溶媒でコーティングされた組成物であるようなものが挙げられる。
【0109】
(a)式Iのアミン捕捉モノマー及び(b)架橋モノマーを含有する反応混合物の反応生成物を含む架橋型高分子物質は、上記の通り調製可能である。これらの反応混合物は、フリーラジカル重合法を使用して、通常は重合される。多くの場合、反応混合物に含まれている反応開始剤が存在する。反応開始剤は、熱反応開始剤、光反応開始剤、又はその両方であってよい。反応開始剤は多くの場合、反応混合物中のモノマー類の重量を基準にして、0.1〜5重量%、0.1〜3重量%、0.1〜2重量%、又は0.1〜1重量%の濃度で使用される。
【0110】
熱反応開始剤を反応混合物に加えた場合、室温で(即ち、20〜25℃)又は高温にて架橋ポリマーを形成することができる。重合に必要な温度は、多くの場合、使用される特定の熱反応開始剤に依存する。熱反応開始剤の例としては、有機過酸化物類又はアゾ化合物類が挙げられる。
【0111】
光反応開始剤を反応混合物に加えた場合、化学線を組成物がゲル化する又は硬化するまで適用することにより、架橋型高分子物質を形成することができる。好適な化学線としては、赤外線領域、可視領域、紫外線領域、又はそれらの組み合わせでの電磁放射線が挙げられる。
【0112】
紫外線領域において好適な光反応開始剤の例としては、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル類(例えば、ベンゾインメチルエーテル及び置換ベンゾインアルキルエーテル類例えばアニソインメチルエーテル)、フェノン類(例えば、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどの置換アセトフェノン類及び2−メチル2−ヒドロキシプロピオフェノンなどの置換α−ケトール類)、ホスフィンオキシド類、高分子光反応開始剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0113】
市販の光反応開始剤としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)からダロキュア(DAROCUR)1173の商標名にて市販されている)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンの混合物(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)からダロキュア(DAROCUR)4265の商標名にて市販されている)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)からイルガキュア(IRGACURE)651の商標名にて市販されている)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキシド及び1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンの混合物(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)からイルガキュア(IRGACURE)1800の商標名にて市販されている)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキシドの混合物(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)からイルガキュア(IRGACURE)1700の商標名にて市販されている)、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)からイルガキュア(IRGACURE)907の商標名にて市販されている)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)からイルガキュア(IRGACURE)184の商標名にて市販されている)、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)からイルガキュア(IRGACURE)369の商標名にて市販されている)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)からイルガキュア(IRGACURE)819の商標名にて市販されている)、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィネート(例えば、BASF(ノースカロライナ州シャーロット)からルシリン(LUCIRIN)TPO−Lの商標名で市販されている)、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(例えば、BASF(ノースカロライナ州シャーロット)からルシリン(LUCIRIN)TPOの商標名で市販されている)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
可視領域にて用いるのに好適な光反応開始剤は、多くの場合、電子供与体、及びヨードニウム塩などの電子受容体、並びにα−ジケトンなどの可視光感作性化合物を含む。かかる光反応開始剤は、例えば、米国公開特許公報第2005/0113477A1号(オクスマン(Oxman)ら)、及び米国公開特許公報第2005/0070627A1号(ファルサフィ(Falsafi)ら);並びに米国特許第6,765,036B2号(デデ(Dede)ら)にて更に記載されており、全て本明細書に参考として組み込まれる。
【0115】
基材及び当該基材表面上に配置された架橋型高分子物質を含む物品が調製可能である。架橋型高分子物質は、多くの場合、(a)式Iのアミン含有モノマー及び(b)少なくとも2つの(メタ)クリロイル基を有する架橋モノマーを含有する反応混合物にて基材表面をコーティングした後に形成される。
【0116】
基材は、任意の有用な形態を有することができ、フィルム、シート、膜、フィルター、不織布繊維又は織布繊維、中空又は固体ビーズ、ボトル、プレート、チューブ、ロッド、パイプ、又はウェハが挙げられるが、これらに限定されない。基材は、多孔質又は非多孔質、剛性又は可撓性、透明又は不透明、透明又は有色、及び反射性又は非反射性であることができる。基材は、平坦な又は比較的平坦な表面を有することができ、あるいはウエル、ギザギザ、チャネル、バンプなどの質感を有することができる。基材は、物質の単層又は多層を有することができる。好適な基材物質としては、例えば、高分子物質、ガラス、セラミックス、金属、金属酸化物、水和金属酸化物、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0117】
好適な高分子基材物質としては、ポリオレフィン類(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)、ポリスチレン類、ポリアクリレート類、ポリメタクリレート類、ポリアクリロニトリル類、ポリビニルアセテート類、ポリビニルアルコール類、ポリ塩化ビニル類、ポリオキシメチレン類、ポリカーボネート類、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリウレタン類、フェノール樹脂類、ポリアミン類、アミノエポキシ樹脂類、ポリエステル類、シリコーン類、セルロース系ポリマー類、多糖類、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
好適なガラス及びセラミック基材物質としては、例えば、シリコン、アルミニウム、鉛、ホウ素、リン、ジルコニウム、マグネシウム、カルシウム、ヒ素、ガリウム、チタン、銅、又はそれらの組み合わせを挙げることができる。ガラスは、様々な種類のケイ酸塩含有物質を通常は含む。
【0119】
幾つかの実施形態では、基材は、米国特許第6,696,157B1号(デヴィッド(David)ら)にて開示されているように、ダイヤモンド様ガラス層を含み、当該開示は、その全体が本明細書に参照として組み込まれる。ダイヤモンド様ガラスは、炭素、ケイ素、及び水素、酸素、フッ素、イオウ、チタン、又は銅から選択される1以上の元素を含む非晶質物質である。幾つかのダイヤモンド様ガラス物質は、プラズマ法を使用してテトラメチルシラン前駆体から形成された。酸素プラズマ中で処理され、表面上のシラノール濃度を制御するための、疎水性物質を更に生成することができる。
【0120】
基材のために好適な金属類、金属酸化物類、又は水和金属酸化物は、例えば、金、銀、白金、パラジウム、アルミニウム、銅、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛などを含有することができる。金属含有物質は、ステンレス鋼、酸化インジウムスズ、などの合金類であることができる。幾つかの実施形態では、金属含有物質は、多層基材の最上層である。例えば、基材は、高分子の第2の層及び金属を含有する第1の層を有することができる。一例において、第2の層は高分子フィルムであり、第1の層は金の薄膜である。その他の実施例では、多層基材は、チタン含有層でコーティングし、次に金含有層でコーティングした高分子フィルムから構成される。即ち、チタン層は、金の層を高分子フィルムへ接着させるための結合層又はプライマー層として機能することができる。多層基材のその他の実施例において、シリコン支持層は、クロムの層で被覆され、次に金の層で被覆されている。クロム層は、金層のシリコン層への接着を改善することができる。
【0121】
物品は、基材を提供すること、反応混合物を基材表面上に配設すること、及び反応混合物を硬化して架橋型高分子物質を形成することにより作製することができる。反応混合物は、上記のように、(a)式Iのアミン捕捉モノマー及び(b)架橋モノマーを含有する。反応混合物は、例えば、加熱(即ち、熱反応開始剤を使用する)又は化学線の適用(即ち、光反応開始剤を使用する)によって硬化することができる。
【0122】
反応混合物は、基材表面を多くの場合は濡らすことができ、その結果として得られる架橋ポリマーが基材表面に接着する。架橋ポリマーは、ポリマー上の反応性基と基材表面上の相補的な基(complementary group)Yとの間で共有結合を形成することなく通常は接着する。むしろ、ポリマーは基材上の表面欠陥と連結することによって接着する。
【0123】
幾つかの物品では、架橋型高分子物質が基材上でパターニングされる。架橋型高分子物質の任意の好適なパターンを形成することができる。例えば、パターンは、テキスト、模様、像、などの形態であることができる。パターンは、例えば、ドット、正方形、長方形、円形、線、又は波(例えば、方形波、正弦波、及びのこぎり波)の形態であることができる。
【0124】
パターニングされた架橋型高分子層の1形成方法としては、スクリーン印刷、ジェット印刷(例えば、スプレージェット、バルブジェット、又はインクジェット印刷)などによって、基材表面上に反応混合物のパターンを配設することが挙げられる。ジェット印刷のための有用な装置が、例えば米国特許第6,513,897号(トキエ(Tokie))及び米国公開特許公報第2002/0128340号(ヤング(Young)ら)に記載されており、その両方が、本明細書に参考として組み込まれる。パターンを基材表面へ適用後、反応混合物を硬化することができる。例えば、反応混合物は、熱反応開始剤が反応混合物中に含まれる場合には加熱することによって、又は光反応開始剤が反応混合物中に含まれる場合には化学線を適用することによって硬化することができる。
【0125】
パターニングされた架橋型高分子層の別の形成方法は、反応混合物の層を基材上へ形成すること、反応混合物の第1の部分を硬化して、基材上へ架橋型高分子物質のパターンを形成すること、及び硬化しなかった反応混合物の第2の部分を除去することから構成される。基材上の反応混合物の層は、例えば、ブラシコーティング、スプレーコーティング、グラビアコーティング、転写ロールコーティング、ナイフコーティング、カーテンコーティング、ワイヤコーティング、及びドクターブレードコーティングなどの任意の好適な手法を使用することによって調製可能である。
【0126】
反応混合物の一部を重合する1つの方法は、光反応開始剤を反応混合物中で使用すること及びマスクを使用することである。マスクは、開口部のパターンを含有し、反応混合物の層と化学線供給源との間に配置されることができる。化学線は、マスクの開口部を貫通することができる。化学線に晒された際に、マスク内開口部に相当する反応混合物層の第1の部分は重合することができ、マスクによって化学線からブロックされた反応混合物層の第2の部分は、未硬化又は未反応で残存する。即ち、未硬化反応混合物は、ゲル化又は硬化せず、架橋型高分子物質を形成しないモノマー組成物である。未硬化反応混合物は、式Iのモノマー、架橋モノマー類、及びあらゆる任意の希釈剤モノマー類に好適な溶剤を使用して除去することができる。溶剤は、広範囲な架橋ゆえに、硬化済架橋型高分子物質を通常は溶解しない。このため、架橋型高分子物質のパターンを基材表面に残したままで、未硬化反応性混合物を除去することができる。
【0127】
未反応反応混合物を除去するための好適な溶媒類としては、水、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、イソプロパノール、N−メチルピロリドン、塩素化及びフッ素化炭化水素類、フッ素化エーテル類、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。架橋型高分子物質は、これらの溶剤類に通常は不溶性である。本明細書で使用する時、不溶性ポリマーは、室温にて例えば、水、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、イソプロパノール、N−メチルピロリドン、塩素化及びフッ素化炭化水素類、フッ素化エーテル類、又はそれらの組み合わせなどの溶剤中で0.01重量%未満の溶解度を有するものである。
【0128】
本パターニング法に好適なマスク類としては、高分子物質(例えば、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリイミド、ポリカーボネート、又はポリスチレン)、金属箔物質(例えば、ステンレス鋼、その他の鋼鉄類、アルミニウム、又は銅)、紙、織布又は不織布布地物質、又はそれらの組み合わせが挙げられる。高分子マスク類及びこれらマスク類の開口部は、更に米国特許第6,897,164B2号(ボーデ(Baude)ら)に記載されており、本明細書に参考として組み込まれる。マスクの開口部は、任意の好適な寸法であることができる。
【0129】
架橋型高分子物質は、ペンダントアミン捕捉基を有する。このため、基材表面上に架橋型高分子物質の層又はパターンを有する物品は、アミン含有物質と反応可能なアミン捕捉基を有することができる。高分子物質のペンダントアミン捕捉基は、下記式IIのようなものであり、
【0130】
【化22】

【0131】
架橋型高分子物質の主鎖に結合している。基L、Y、Z、及びRは、式Iにて既に記載した。式II中のアスタリスクは、ペンダントアミン捕捉基が架橋型高分子物質の主鎖に結合した場所を指す。ペンダントアミン捕捉基としては、N−スルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。
【0132】
式IIに従うペンダント基は、N−ヒドロキシスクシンイミドの誘導体類(アミン含有物質と反応することが知られている基)と比較して、改善された加水分解安定性を通常は有する。式IIを持つペンダント基の改善された加水分解安定性故に、架橋型高分子物質及び当該架橋型高分子物質を含有する物品は、水溶液系にて使用することが通常は可能である。
【0133】
アミン捕捉基は、アミン含有物質と反応して、アミン含有物質の不動化をもたらすことができる。アミン含有物質の不動化方法は、基材を提供すること、及び反応混合物を基材表面上に配設することから構成される。反応混合物は、(a)式Iのモノマー及び(b)少なくとも2つの(メタ)クリロイル基を含む架橋モノマーを含有する。方法は更に、ペンダントアミン捕捉基を有する反応混合物を硬化して架橋型高分子物質を形成すること、及びアミン含有物質を架橋型高分子物質のペンダントアミン捕捉基と反応させることから構成される。本方法では、ペンダントアミン捕捉基内のN−スルホニルアミノカルボニル基が、アミン含有物質と反応することができる。幾つかの実施形において、アミン含有物質は、例えばアミノ酸、ペプチド、DNA、RNA、タンパク質、酵素、細胞器官、細胞、組織、免疫グロブリン、又はこれらの断片などの生体物質である。他の実施形態では、アミン含有物質は、アミン含有検体などの非生体物質である。
【0134】
アミン含有物質は、N−スルホニルアミノカルボニル基との求核置換反応によって、ペンダントアミン捕捉基と反応することができる。アミン含有物質は、一級アミン基又は二級アミン基を有することができる。例えば、アミン含有物質は、式HN−Tの一級アミン含有生体物質であることができ、式中Tは、一級アミン含有生体物質の残り(即ち、基Tは、式HN−Tの一級アミン含有生体物質から−NH基を差し引いたものに相当する)である。基Tは多くの場合、−NH基に直接結合したアルキレン基を有する。一級アミン含有生体物質は、式IIのペンダント基を有する架橋型高分子物質と反応し、下記式IIIの反応済ペンダント基を有する架橋型高分子物質を生じる。
【0135】
【化23】

【0136】
式中、L、Y、及び*は、式I及びIIについて記載されたのと同一である。不動化されたアミンの存在は、例えば、質量分析、接触角測定、赤外分光法、及び偏光解析法を使用して同定することができる。更に、アミン含有物質が生物学的活性物質である場合、各種免疫学的検定及び光学顕微鏡技術を使用することが可能である。
【0137】
アミン含有物質の、式IIのペンダントアミン捕捉基のN−スルホニルアミノカルボニル基との反応速度は、N−スルホニルアミノカルボニル基の加水分解速度より通常は速い。即ち、アミン含有物質の不動化は、加水分解反応よりも高速で発生する。アミン含有物質は、架橋型高分子物質のペンダント基への不動化が一旦生じると、共有カルボニルイミノ結合が形成されるがゆえに、容易に移動しない。
【0138】
不動化された生物学的アミン含有物質は、疾病又は遺伝的欠陥の医学的診断において有用であり得る。不動化されたアミン含有物質は、生物学的分離のため又は各種生体分子の存在を検出するためにも使用できる。更に、不動化されたアミン含有物質は、バイオリアクター内にて使用し、又は生体触媒として使用して、他の物質を調製することが可能である。N−スルホニルアミノカルボニル基を持つペンダント基もまた、生体物質ではないアミン含有検体を検出するために使用することが可能である。アミン含有検体は、一級アミン基、二級アミン基、又はそれらの組み合わせを有することができる。
【0139】
更に、その他の物質は、不動化されたアミン含有物質に結合されることができる。この更に結合された物質は、アミン含有物質の不動化前に、当該アミン含有物質と組み合わせたり、アミン含有物質の不動化の後で、当該アミン含有物質に結合させたりすることができる。アミン含有物質及び更に結合させた物質は、相補的RNA断片、相補的DNA断片、抗原−抗体コンビネーション、免疫グロブリン−バクテリアコンビネーションなどであり得る。
【0140】
生物学的アミン含有物質は、多くの場合、架橋型高分子物質のペンダント基への付着後に、活性を維持することができる(即ち、式IIIに準じたペンダント基が、生物学的に活性なアミン含有物質を含むことができる)。例えば、不動化抗体は、引き続いて抗原に結合することができ、又は不動化抗原は、引き続いて抗体に結合することができる。同様に、バクテリアに結合可能な部分を有する不動化されたアミン含有生体物質は、その後バクテリアに結合することができる(例えば、不動化された免疫グロブリンは、引き続いて黄色ブドウ球菌などのバクテリアに結合することができる)。
【0141】
式II及び式IIIのペンダント基は、架橋型高分子物質の主鎖に結合している。架橋型高分子物質は、(メタ)クリロイル基のフリーラジカル重合反応により通常は形成される。式IIのペンダント基を持つ架橋型高分子物質は、少なくとも2つの一級アミン基、二級アミン基、又はそれらの組み合わせを有する物質を含有する一級アミンの反応によって、更に架橋することができる。即ち、2以上の一級アミン基を有するアミン含有物質は、式IIのペンダント基の2以上と反応してよい。
【実施例】
【0142】
これらの実施例は単にあくまで例示を目的としたものであり、添付した特許請求の範囲の範囲に限定するものではない。特に記載のない限り、実施例及びこれ以降の明細書に記載されるパーツ、パーセンテージ、比率等は全て重量による。使用される溶媒及びその他の試薬は、特に記載のない限り、シグマ・アルドリッチ・ケミカル社(Sigma-Aldrich Chemical Company);ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)より入手した。
【0143】
【表1】

【0144】
調製例1:下記式の調製
【0145】
【化24】

【0146】
ガラス製反応容器中にて、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(22.31グラム)、無水グルタル酸(20.54グラム)及びトリエチルアミン(19.08グラム)の乾燥THF(167.5ミリリットル)溶液を一晩室温で攪拌した。溶液をロータリーエバポレーターを使用して濃縮し、残留物を400ミリリットルのEtOAc中に溶解させた。引き続いて有機相を脱イオン水、飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSO上で乾燥させた。溶液を濾過し、塩化チオニル(21.14グラム)及びDMF(3滴)にて、ガラス製反応容器中にて処理した。混合物を一晩攪拌し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。濃縮物を、氷浴で冷却した乾燥アセトン(250ミリリットル)中の乾燥Naサッカリン(31.29グラム)攪拌懸濁液にゆっくりと添加した。混合物を一晩攪拌し、室温まで暖めた。混合物を濾過し、ろ液を濃縮し、クロロホルムのスラリーにし、再度濾過した。ろ液を濾過し、ジエチルエーテルを添加し、沈殿物を濾過によって分離し、窒素流下で乾燥させて所望の生成物を得た。収量:40.5グラム。
【0147】
調製例2:下記式の調製
【0148】
【化25】

【0149】
ガラス製反応容器中にて、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(22.31グラム)、無水グルタル酸(20.54グラム)及びトリエチルアミン(19.08グラム)の乾燥THF(167.49ミリリットル)溶液をガラス製反応容器中にて、一晩室温で攪拌した。ロータリーエバポレーターを使用して溶液を濃縮し、残留物をEtOAc(400ミリリットル)中に溶解させた。引き続いて、有機相を脱イオン水及び飽和NaCl水溶液で洗浄し、次にMgSO上で乾燥させた。溶液を濾過し、塩化チオニル(16.9グラム)及びDMF(3滴)にて、ガラス製反応容器中にて処理した。混合物を一晩攪拌し、ロータリーエバポレーターで濃縮し、約83%固形分を得た。水素化ナトリウムを、鉱油(0.47グラム)中の60重量%分散体として、ガラス製反応容器に添加し、氷浴中に置いた。水素化ナトリウムをTHFですすいで、鉱油を取り除いた。N−メチルペルフルオロブタンスルホンアミド(3.67グラム)をTHF(24.1グラム)中に溶解させた。溶液を水素化ナトリウムに添加した。メタクリレート中間体(3.53グラム)を含有する濃縮物の一部(4.25グラム)を、攪拌懸濁液にゆっくりと添加した。混合物を一晩攪拌し、室温まで暖め、その後、当該混合物を水中に注いだ。本混合物を酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル混合物を、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。次に、ロータリーエバポレーターを使用して揮発性構成成分を除去し、4.5グラムの生成物を得た(収率67%)。
【0150】
調製例3:下記式の調製
【0151】
【化26】

【0152】
ガラス製反応容器中にて、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(10.0グラム)、無水グルタル酸(9.21グラム)及びトリエチルアミン(8.55グラム)の乾燥THF(120ミリリットル)溶液をガラス製反応容器中にて、一晩室温で攪拌する。ロータリーエバポレーターを使用して溶液を濃縮し、残留物をEtOAc(300ミリリットル)中に溶解させる。引き続いて有機相を脱イオン水及び飽和NaCl水溶液で洗浄し、次に、MgSO上で乾燥させる。溶液を濾過し、塩化チオニル(11.05グラム)及びDMF(3滴)にて、ガラス製反応容器中にて処理する。混合物を一晩攪拌し、ロータリーエバポレーターで濃縮し、約80%固形分を得る。水素化ナトリウムを、鉱油(3.23グラム)中の60重量%分散体として、ガラス製反応容器に添加し、氷浴中に置く。水素化ナトリウムをTHFですすいで、鉱油を取り除く。N−メチルトリフルオロメタンスルホンアミドを、THF(70グラム)中に溶解させた。溶液を水素化ナトリウムに添加する。メタクリレート中間体(20.2グラム)を含有する濃縮物を攪拌懸濁液にゆっくりと添加する。混合物を一晩攪拌し、室温まで暖め、その後、当該混合物を水中に注ぐ。本混合物を酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル混合物を、硫酸ナトリウム上で乾燥させる。次に、ロータリーエバポレーターを使用して揮発性成分を除去し、生成物を得た。
【0153】
PEIコーティングされたスライド・ガラスマトリックスの調製
ガラス製顕微鏡用スライドを2時間5モル濃度NaOH恒温槽中に浸漬させ、脱イオン水、エタノール、及びメタノールですすぎ、窒素流下にて乾燥させた。清潔なスライドは、必要になるまで、80℃のオーブン内で保管した。
【0154】
8枚のスライドを2列、4行のマトリクスに並べた。上記スライドは、各スライドの裏側の真ん中でテープ片を使用して、マトリックス内の適切な位置に固定した。PEIの2重量%IPA溶液を、12番メイヤーロッドを使用してマトリクス上にコーティングした。コーティングを、空気中で乾燥させた。
【0155】
Cy5でラベルしたIgGの調製
Cy5色素(3H−インドリウム、2−[5−[1−[6−[(2,5−ジオキソ−1−ピロリジニル)オキシ]−6−オキソヘキシル]−1,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−5−スルホ−2H−インドール−2−イリデン]−1,3−ペンタジエニル]−1−エチル−3,3−ジメチル−5−スルホ−、分子内塩(9CI))の3個のバイアル瓶の内容物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解させて、総容量を100マイクロリットルにした。Cy5色素のバイアル瓶は、GE−アマシャム・バイオサイエンス(GE-Amersham Biosciences)(ニュージャージー州ピスカタウエイ)から入手した。得られた色素溶液を1ミリリットルの5ミリグラム/ミリリットルのマウスIgG0.1M炭酸ナトリウム溶液に添加した(pH9.0にて)。マウスIgGは、シグマ(ミズーリ州セントルイス)から得られた。得られた溶液を光照射から保護し、45分間室温にて優しく振盪させた。本溶液は、Cy5でラベルした抗体及び未反応Cy5を含有していた。
【0156】
Cy5でラベルした抗体(Cy5−IgG)は、ゲル濾過クロマトグラフィーを使用して未反応Cy5ラベルから分離した。Cy5−IgG及び未反応Cy5を含有する溶液を、リン酸緩衝液(PBS)を使用してpH7.4にて平衡が保たれたPD−10カラムに添加した。PD−10カラムは、GE−アマシャム・バイオサイエンス(GE-Amersham Biosciences)(ニュージャージー州ピスカタウエイ)から入手した。PBSにてpH7.4で洗浄することにより、Cy5−IgG分画を収集した。Cy5/IgG比は、Cy5−IgG分画中のIgG濃度(280nm)及びCy5濃度(650nm)を測定することにより計算した。Cy5及びIgGの製造業者により提供された製品仕様を確認して、IgG及びCy5の減衰係数値並びに共有結合したCy5の280nmでの吸光度寄与分を得た。最終Cy5−IgG溶液を、1.3ミリグラム/ミリリットルCy5−IgG濃度、Cy5/IgG比2.2で得た。本原液から、130、50、13及び5マイクログラム/ミリリットルのCy5−IgGを10ミリモル炭酸塩緩衝液中にpH9.6にて含有する試験溶液を調製した。緩衝液は、シグマ(ミズーリ州セントルイス)から入手可能な炭酸ナトリウム/重炭酸ナトリウム緩衝液カプセルを使用して調製した。
【0157】
比較例C1
光反応開始剤(0.01グラム)及びTMPTA(0.6グラム)のACN(5グラム)溶液を調製した。本溶液は、当該溶液の重量を基準にして、11重量%TMPTA及び0.18重量%光反応開始剤を含有していた。本溶液を前述のPEIコーティングされたスライド・ガラスマトリックス上に、12番メイヤーロッドを使用してコーティングした。得られたコーティングを、空気中で乾燥した。コーティングマトリックスは、15メートル/分(50フィート/分)の速度で、2回硬化装置を通過させた。硬化装置は、フュージョン・システムズ(Fusion Systems)(メリーランド州ゲイサーズバーグ)から入手し、F300ランプを取り付けた。得られた硬化コーティングを金属スパチュラで擦って、当該コーティングが擦れて剥がれないことを確認した。
【0158】
上記で調製したCy5−IgG試験溶液及びCy5−IgGを含まない試料の5マイクロリットルのスポットを、コーティング表面に適用し、30分間放置した。表面を0.25重量%トゥイーン(TWEEN)−25脱イオン水溶液ですすぎ、次に脱イオン水でですすいだ。スライドを窒素雰囲気で乾燥させ、蛍光リーダー(テカングループ(Tecan Group LTD)(ノースカロライナ州リサーチ・トライアングル・パーク)からLSシリーズテカン(TECAN)の商標名で市販されている)内に置いた。シングルスキャン測定は、焦点高さを1002マイクロメートル、解像度を40マイクロメートル、オーバーサンプリングを3マイクロメートル、ゲインを160、ピンホール深さ焦点を±150マイクロメートルに調整することにより行なった。データは、16−ビットでピクセル化したTIFFファイルとして、モレキュラー・デバイス(Molecular Devices Corp)(カリフォルニア州サニーベール)からジェネピックス・プロ(GENEPIX PRO)の商標名で市販されているソフトウェアを使用して分析した。当該データを表1に示す。
【0159】
(実施例1)
調製例1からの物質(0.03グラム)、光反応開始剤(0.01グラム)、及びTMPTA(0.56グラム)をACN(5グラム)中に溶解させることにより、溶液を調製した。得られた溶液は、当該溶液の重量を基準にして、0.5重量%の調製例1、0.18重量%の光反応開始剤、及び10重量%のTMPTAを含有していた。本溶液を前述のPEIコーティングされたスライド・ガラスマトリックス上に、12番メイヤーロッドを使用してコーティングした。得られたコーティングを、空気中で乾燥した。コーティングマトリックスを、15メートル/分(50フィート/分)の速度で、F300ランプを備えたフュージョン・システムズ(Fusion Systems)硬化装置に2回通過させた。得られた硬化コーティングを金属スパチュラで擦って、当該コーティングが擦れて剥がれないことを確認した。
【0160】
Cy5−IgG試験溶液及びCy5−IgGを含まない試料の5マイクロリットルのスポットを、コーティング表面に適用し、30分間放置した。表面を0.25重量%トゥイーン(TWEEN)−25脱イオン水溶液ですすぎ、次に脱イオン水でですすいだ。スライドを窒素雰囲気で乾燥させ、蛍光リーダー(テカングループ(Tecan Group LTD)(ノースカロライナ州リサーチ・トライアングル・パーク)からLSシリーズテカン(TECAN)の商標名で市販されている)内に置いた。シングルスキャン測定は、焦点高さを1002マイクロメートル、解像度を40マイクロメートル、ゲインを160、オーバーサンプリングを3マイクロメートル、ピンホール深さ焦点を±150マイクロメートルに調整することにより行なった。データは、16−ビットでピクセル化したTIFFファイルとして、モレキュラー・デバイス(Molecular Devices Corp)(カリフォルニア州サニーベール)からジェネピックス・プロ(GENEPIX PRO)の商標名で市販されているソフトウェアを使用して分析した。当該データを表1に示す。
【0161】
(実施例2)
調製例2の物質(0.03グラム)、光反応開始剤(0.01グラム)、及びTMPTA(0.56グラム)をACN(5.25グラム)中に溶解させることにより、溶液を調製した。得られた溶液は、当該溶液の重量を基準にして、0.5重量%の調製例2、0.18重量%の光反応開始剤、及び10重量%のTMPTAを含有していた。本溶液を前述のPEIコーティングされたスライド・ガラスマトリックス上に、12番メイヤーロッドを使用してコーティングした。得られたコーティングを、空気中で乾燥した。
【0162】
コーティングマトリックスを、15メートル/分(50フィート/分)の速度で、F300ランプを備えたフュージョン・システムズ(Fusion Systems)硬化装置に2回通過させた。得られた硬化コーティングを金属スパチュラで擦って、当該コーティングが擦れて剥がれないことを確認した。
【0163】
Cy5−IgG試験溶液及びCy5−IgGを含まない試料の5マイクロリットルのスポットを、コーティング表面に適用し、30分間放置した。表面を0.25重量%トゥイーン(TWEEN)−25脱イオン水溶液ですすぎ、次に脱イオン水でですすいだ。スライドを窒素雰囲気で乾燥させ、蛍光リーダー(テカングループ(Tecan Group LTD)(ノースカロライナ州リサーチ・トライアングル・パーク)からLSシリーズテカン(TECAN)の商標名で市販されている)内に置いた。シングルスキャン測定は、焦点高さを1002マイクロメートル、解像度を40マイクロメートル、ゲインを160、オーバーサンプリングを3マイクロメートル、ピンホール深さ焦点を±150マイクロメートルに調整することにより行なった。データは、16−ビットでピクセル化したTIFFファイルとして、モレキュラー・デバイス(Molecular Devices Corp)(カリフォルニア州サニーベール)からジェネピックス・プロ(GENEPIX PRO)の商標名で市販されているソフトウェアを使用して分析した。当該データを表1に示す。
【0164】
【表2】

注意 値65535は、16−ビットの蛍光リーダーを使用して測定可能なピクセルの最大数である。
【0165】
本明細書中に引用される特許、特許文献、及び刊行物の完全な開示は、それぞれが個々に組み込まれたかのように、その全体が参考として組み込まれる。本発明の範囲及び趣旨を逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当分野の技術者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、また、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する特許請求の範囲によってのみ限定されると意図する本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記式Iのアミン捕捉モノマー:
【化1】

[式中、
Lは、オキシ、−NR−であり;
は、アルキル、アリール、又は−(CO)Rであり、式中、RはR及びそれらが結合している基と共に、窒素へテロ原子及びイオウへテロ原子を有する4〜8員複素環基又は二環式複素環基を形成し、ここで、当該複素環基又は二環式複素環基が、任意の芳香族基、任意の飽和若しくは不飽和環状基、又は任意の飽和若しくは不飽和二環状基と縮合することができ、
は、アルキル、フルオロアルキル、クロロアルキル、アリール、−N(Rであり、式中、各Rが独立してアルキル基であるか、又はそれらが結合している窒素原子と共に4〜8員環状基を形成しているか、又は、Rが、R及びそれらが結合している基と共に、任意の芳香族基、任意の飽和若しくは不飽和環状基、又は任意の飽和若しくは不飽和二環状基と縮合することができる、4〜8員複素環基又は二環式複素環基を形成し、
が、水素又はメチルであり、
が、水素、アルキル、アリール、アラルキル、アシル、アリールスルホニル、又はアルキルスルホニルであり、
Yが、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む二価の基であり、
前記式Iのモノマーが、ハロ、アルキル、アルコキシ、又はそれらの組み合わせによって非置換又は置換である。]及び
(b)少なくとも2つの(メタ)クリロイル基を含む架橋モノマーを含む反応混合物。
【請求項2】
前記アミン捕捉モノマーが、下記式I(a)から成る、請求項1に記載の反応混合物。
【化2】

【請求項3】
前記アミン捕捉モノマーが、下記式I(b)から成る、請求項1に記載の反応混合物。
【化3】

【請求項4】
前記アミン捕捉モノマーが、下記式I(c)から成る、請求項1に記載の反応混合物。
【化4】

【請求項5】
前記アミン捕捉モノマーが、下記式I(d)
【化5】

下記式I(e)
【化6】

又は下記式I(f)
【化7】

[式中、
Dは、オキシ、チオ、又は−NH−であり、
mは、1〜15の整数であり、
pは、1〜30の整数であり、又
kは、2〜4の整数である。]から成る、請求項1に記載の反応混合物。
【請求項6】
前記アミン捕捉モノマーが、
【化8】

【化9】

又は
【化10】

から選択される、請求項1に記載の反応混合物。[これは、ハロ、アルキル、アルコキシ、又はそれらの組み合わせによって、非置換又は置換されている。]
【請求項7】
光反応開始剤、熱反応開始剤、又はそれらの組み合わせを更に含む、請求項1に記載の反応混合物。
【請求項8】
Yが、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NR−、又はそれらの組み合わせから選択された基を更に含む、請求項1に記載の反応混合物。
【請求項9】
前記反応混合物が、前記反応混合物内のモノマー類の重量を基準にして、0.1〜90重量%の前記式Iの前記アミン捕捉モノマーを含む、請求項1に記載の反応混合物。
【請求項10】
(a)下記式Iのアミン捕捉モノマー:
【化11】

[式中、
Lは、オキシ、−NR−であり、
は、アルキル、アリール、又は−(CO)Rであり、式中、RはR及びそれらが結合している基と共に、窒素へテロ原子及びイオウへテロ原子を有する4〜8員複素環基又は二環式複素環基を形成し、ここで、当該複素環基又は二環式複素環基が、任意の芳香族基、任意の飽和若しくは不飽和環状基、又は任意の飽和若しくは不飽和二環状基と縮合することができ、
は、アルキル、フルオロアルキル、クロロアルキル、アリール、−N(Rであり、式中、各Rが独立してアルキル基であるか、又はそれらが結合している窒素原子と共に4〜8員環状基を形成しているか、又は、Rが、R及びそれらが結合している基と共に、任意の芳香族基、任意の飽和若しくは不飽和環状基、又は任意の飽和若しくは不飽和二環状基と縮合することができる、4〜8員複素環基又は二環式複素環基を形成し、
が、水素又はメチルであり、
が、水素、アルキル、アリール、アラルキル、アシル、アリールスルホニル、又はアルキルスルホニルであり、
Yが、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む二価の基であり、
前記式Iのモノマーが、ハロ、アルキル、アルコキシ、又はそれらの組み合わせによって非置換又は置換である。]及び、
(b)少なくとも2つの(メタ)クリロイル基を含む架橋モノマーを含む反応混合物の反応生成物を含む、架橋型高分子物質。
【請求項11】
前記アミン捕捉モノマーが、下記式I(f)から成る、請求項10に記載の高分子物質。
【化12】

[式中、
Dは、オキシ、チオ、又は−NH−であり、
mは、1〜15の整数であり、
pは、1〜30の整数であり、
kは、2〜4の整数である。]
【請求項12】
基材、及び
基材表面上に配置した架橋型高分子物質を備える物品で、当該架橋型高分子物質が、N−スルホニルアミノカルボニル基を含むペンダントアミン捕捉基を有し、当該架橋型高分子物質が、
(a)下記式Iのアミン捕捉モノマー:
【化13】

[式中、
は、アルキル、アリール、又は−(CO)Rであり、式中、RはR及びそれらが結合している基と共に、窒素へテロ原子及びイオウへテロ原子を有する4〜8員複素環基又は二環式複素環基を形成し、ここで、当該複素環基又は二環式複素環基が、任意の芳香族基、任意の飽和若しくは不飽和環状基、又は任意の飽和若しくは不飽和二環状基と縮合することができ、
は、アルキル、フルオロアルキル、クロロアルキル、アリール、−N(Rであり、式中、各Rが独立してアルキル基であるか、又はそれらが結合している窒素原子と共に4〜8員環状基を形成しているか、又は、Rが、R及びそれらが結合している基と共に、任意の芳香族基、任意の飽和若しくは不飽和環状基、又は任意の飽和若しくは不飽和二環状基と縮合することができる、4〜8員複素環基又は二環式複素環基を形成し;
が、水素又はメチルであり、
が、水素、アルキル、アリール、アラルキル、アシル、アリールスルホニル、又はアルキルスルホニルであり、
Lは、オキシ、−NR−であり、
Yが、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む二価の基であり、
前記式Iのモノマーが、ハロ、アルキル、アルコキシ、又はそれらの組み合わせによって非置換又は置換である。]及び
(b)少なくとも2つの(メタ)クリロイル基を含む架橋モノマーを含む反応混合物の反応生成物である、前記物品。
【請求項13】
基材を提供すること;
(a)下記式Iのアミン捕捉モノマー:
【化14】

[式中、
Lは、オキシ、−NR−であり、
は、アルキル、アリール、又は−(CO)Rであり、式中、RはR及びそれらが結合している基と共に、窒素へテロ原子及びイオウへテロ原子を有する4〜8員複素環基又は二環式複素環基を形成し、ここで、当該複素環基又は二環式複素環基が、任意の芳香族基、任意の飽和若しくは不飽和環状基、又は任意の飽和若しくは不飽和二環状基と縮合することができ、
は、アルキル、フルオロアルキル、クロロアルキル、アリール、−N(Rであり、式中、各Rが独立してアルキル基であるか、又はそれらが結合している窒素原子と共に4〜8員環状基を形成しているか、又は、Rが、R及びそれらが結合している基と共に、任意の芳香族基、任意の飽和若しくは不飽和環状基、又は任意の飽和若しくは不飽和二環状基と縮合することができる、4〜8員複素環基又は二環式複素環基を形成し、
が、水素又はメチルであり、
が、水素、アルキル、アリール、アラルキル、アシル、アリールスルホニル、又はアルキルスルホニルであり、
Yが、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む二価の基であり、
前記式Iのモノマーが、ハロ、アルキル、アルコキシ、又はそれらの組み合わせによって非置換又は置換である。]及び、
(b)少なくとも2つの(メタ)クリロイル基を含む架橋モノマーを含む、
反応混合物を基材表面上に配設すること、及び
前記反応混合物を硬化させて、N−スルホニルアミノカルボニル基を含むペンダントアミン捕捉基を有する架橋型高分子物質を形成すること、並びに
アミン含有物質を、前記架橋型高分子物質のN−スルホニルアミノカルボニル基と反応させることから成る、アミン含有物質の基材への不動化方法。
【請求項14】
前記アミン含有物質が、アミン含有検体、アミノ酸含有検体、アミノ酸、ペプチド、DNA、RNA、タンパク質、酵素、細胞器官、細胞、組織、免疫グロブリン、又はこれらの断片である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アミン含有物質が抗体であり且つ当該抗体が更に抗原に結合している、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記アミン含有物質が抗原であり且つ当該抗原が更に抗体に結合している、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記アミン含有物質が、免疫グロブリンである、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記アミン含有物質が、更にバクテリアに結合している、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
基材を提供すること;
(a)下記式Iのアミン捕捉モノマー:
【化15】

[式中、
Lは、オキシ、−NR−であり、
は、アルキル、アリール、又は−(CO)Rであり、式中、RはR及びそれらが結合している基と共に、窒素へテロ原子及びイオウへテロ原子を有する4〜8員複素環基又は二環式複素環基を形成し、ここで、当該複素環基又は二環式複素環基が、任意の芳香族基、任意の飽和若しくは不飽和環状基、又は任意の飽和若しくは不飽和二環状基と縮合することができ、
は、アルキル、フルオロアルキル、クロロアルキル、アリール、−N(Rであり、式中、各Rが独立してアルキル基であるか、又はそれらが結合している窒素原子と共に4〜8員環状基を形成しているか、又は、Rが、R及びそれらが結合している基と共に、任意の芳香族基、任意の飽和若しくは不飽和環状基、又は任意の飽和若しくは不飽和二環状基と縮合することができる、4〜8員複素環基又は二環式複素環基を形成し;
が、水素又はメチルであり、
が、水素、アルキル、アリール、アラルキル、アシル、アリールスルホニル、又はアルキルスルホニルであり、Yが、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む二価の基であり、
前記式Iのモノマーが、ハロ、アルキル、アルコキシ、又はそれらの組み合わせによって非置換又は置換である。]及び
(b)少なくとも2つの(メタ)クリロイル基を含む架橋モノマーを含む、
反応混合物を基材表面上に配設すること、及び
前記反応混合物を硬化させて、N−スルホニルアミノカルボニル基を含むペンダントアミン捕捉基を有する架橋型高分子物質を形成することから成る、物品の作製方法。
【請求項20】
下記式IIのペンダント基から成る、高分子物質。
【化16】

[式中、
Lは、オキシ又は−NR−であり、
は、アルキル、アリール、又は−(CO)Rであり、式中、RはR及びそれらが結合している基と共に、窒素へテロ原子及びイオウへテロ原子を有する4〜8員複素環基又は二環式複素環基を形成し、ここで、当該複素環基又は二環式複素環基が、任意の芳香族基、任意の飽和若しくは不飽和環状基、又は任意の飽和若しくは不飽和二環状基と縮合することができ、
は、アルキル、フルオロアルキル、クロロアルキル、アリール、−N(Rであり、式中、各Rが独立してアルキル基であるか、又はそれらが結合している窒素原子と共に4〜8員環状基を形成しているか、又は、Rが、R及びそれらが結合している基と共に、任意の芳香族基、任意の飽和若しくは不飽和環状基、又は任意の飽和若しくは不飽和二環状基と縮合することができる、4〜8員複素環基又は二環式複素環基を形成し、
が、水素、アルキル、アリール、アラルキル、アシル、アリールスルホニル、又はアルキルスルホニルであり、
Yが、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はそれらの組み合わせを含む二価の基であり、
アスタリスク(*)は、前記ペンダント基の、前記高分子物質の主鎖への結合部位を意味し、
化学式IIのペンダント基が、ハロ、アルキル、アルコキシ、又はそれらの組み合わせによって非置換又は置換されており、且つ
前記高分子物質が、架橋している。]

【公表番号】特表2009−516008(P2009−516008A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533436(P2008−533436)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/036487
【国際公開番号】WO2007/040986
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】