説明

アライメントマークの検出装置

【課題】ワーク・アライメントマーク(ワークマーク)の見え方が異なったとしても、ワークマークを正しく検出することができるようにすること。
【解決手段】作業者は、暗視野照明手段である照明手段10cの高さをワークマークがクリアに見える位置に設定し、アライメント顕微鏡10によりワークW上のワークマークWAM像を撮像し、登録パターンとして制御部11の記憶部11bに登録する。ワークマークを検出する際、制御部11のアライメントマーク検出部11cは、照明手段移動手段5により照明手段10cの高さを変化させながら、アライメント顕微鏡10によりワークW上をサーチし、ワークW上のパターンと登録パターンとを比較して一致度を求め、一致度が高いパターンが見つかると、このパターンをワークマークとして検出する。このワークマークを使って位置合わせ制御部11eはマスクMとワークWの位置合せを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクに形成されたマスク・アライメントマーク(マスクマーク)と、ワークに形成されたワーク・アライメントマーク(ワークマーク)とを検出して、両者が、あらかじめ設定した位置関係になるように位置合せ(アライメント)を行い、マスクを介してワークに光を照射する露光装置などに用いられる、ワーク・アライメントマークを検出するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子、プリント基板、液晶基板等のパターンをフォトリソグラフィにより製造する工程においては、露光装置が使用される。露光装置は、マスクパターンを形成したマスクと、そのパターンが転写されるワークを所定の位置関係に位置合わせし、その後、マスクを介して露光光を含む光を照射する。これにより、マスクパターンがワークに転写(露光)される。
露光装置におけるマスクとワークの位置合せは、一般に次のようにして行なわれる(例えば特許文献1参照)。
マスクに形成されたマスクマークと、ワークに形成されたワークマークとを、アライメント顕微鏡によって検出する。検出データを画像処理し、それぞれの位置座標を求め、両者の位置があらかじめ設定された位置関係になるように、マスクまたはワークを移動させて行なう。マスクとワークは、平面内の2方向(X方向とY方向)及び回転方向(θ方向)の位置合せを行わねばならない。したがって、マスクマークとワークマークは、それぞれ2ヶ所以上形成される。
【0003】
図10に、ワークマークを検出するアライメント顕微鏡10の概略構成を示す。なお、上記したように、マスクマークとワークマークはそれぞれ2ヶ所以上形成されており、したがって、アライメント顕微鏡10もそれに応じて2ヶ所以上設けられるが、同図では、1個(1ヶ所)のみ示している。アライメント顕微鏡10は、ハーフミラー10a、レンズL1、L2とCCDカメラ10bから構成されている。
11は画像処理等を行なう制御部、12はモニタ、WはワークマークWAMが形成されたワークである。
同図において、ワークマークWAMの検出(パターンサーチ)は以下のようにして行なう。
【0004】
A)ワークマークの登録
ワークマークWAMの検出に先立って、まず、検出するワークマークのパターンを制御部11に登録する。
ワークマークWAMとしては、例えば図11(a)に示す十字形のマークが使用され、制御部11には、図11(b)に示すように、モニタの1画素を単位とし、十字形のワークマークとその背景とを含めてひとつのパターンとして登録される。即ち、同図では説明を容易にするために、画素数を5×5としているが、画面中央の5画素が十字形に黒く、その周辺の20画素が白いというパターンが登録される。
具体的には、検出したいワークマークWAMを形成したサンプル基板をアライメント顕微鏡の下に置き、照明光を当てて照明する。
アライメント顕微鏡(例えば倍率3倍)10によって、登録するワークマークWAMを検出する。モニタ12には、アライメント顕微鏡10が取り込んで制御部11が画像処理できる範囲(例えば図12に示すように15mm×15mmの範囲)が写し出される。
【0005】
次に、登録するワークマークWAM全体が入るように、モニタ12上でワークマーク登録用の仮想線(図12の点線)によってワークマークWAMを囲み、制御部11にワークマークWAMを登録する。制御部11は上記仮想線に囲まれた画素を単位として、そのコントラストによりワークマークWAMを記憶する。これにより、ワークマークWAMの登録作業が終了する。
ワークマークWAMの大きさは、ワークの種類、ユーザ、工程によって様々であるが、例えば、ワークマークWAMを囲む仮想線の大きさが、図12に示すように200μm〜700μmになるものがしばしば使われる。
ワークマークWAMの形状もまた、上記と同じ理由でさまざまであり図11に示したような十字型には限られない。図13(a)に示すように丸型のものや、同図(b)に示すように規則的なパターンを1組としてアライメントマークにしたものなど多数ある。いずれにせよ、1つのワークマークのパターン全体が含まれるように登録範囲を設定する。
【0006】
B)パターンサーチ
次に、実際のワークマークWAMを検出する。アライメント顕微鏡の下から、ワークマークのパターン登録に使用したサンプル基板を取り除き、実際にパターンが形成された基板(ワーク)を置く。顕微鏡の倍率は、上記でパターンを登録した同じ倍率(3倍)である。
図10に示すように、アライメントユニット10のハーフミラー10aを介して照明光をワークW上のワークマークWAMに照射し、CCDカメラ10bによりワークマークWAMを受像する。そしてモニタ12に映し出されたワークマークWAMの像を制御部11に入力し、モニタ12の画素を単位として座標データに変換する。
制御部11は、前記した登録パターンと、受像したワークマークWAMの像を比較する。例えば、受像したワークマークWAMの像(検出パターン)が、図11(c)に示す検出パターンAである場合、登録パターンと60%一致しているので、スコア(相関値)60として認識する。
また同様に、受像したワークマークWAMの像(検出パターン)が、図11(d)に示す検出パターンBである場合、登録パターンと80%一致しているので、スコア80として認識する。さらに、受像したワークマークWAMの像(検出パターン)が、図11(e)に示す検出パターンCの場合、100%一致しているので、スコア100として認識する。
【0007】
上記のようにして、モニタに映し出された全領域をパターンサーチし、スコアが最も100に近い(最も高い)位置を、ワークマークWAMの位置(ワークマークWAMが検出されている位置)として認識し、その位置座標をワークマークの位置座標として記憶する。
具体的には、ワーク上WのワークマークWAMが設けられている付近を、アライメントユニット10によって観察する。図14は、そのときモニタ12によって写し出されている実際のワークの領域を示す図である。上記したように、アライメント顕微鏡の倍率は、ワークマークのパターンを登録した時の倍率と同じ3倍である。
したがって、モニタ12には、図12と同じ範囲(15mm×15mmの範囲)が写し出される。この範囲を全領域にわたって、上記の仮想線で囲い登録した範囲が1画素ずつ移動(スキャン)し、その各々の位置においてスコアを求める。
図14のワークマークを検索する領域内(15mm×15mmの範囲)には、例えば、(B)のようにワークマーク以外のパターンが形成されている場合もあるし、また、(C)のようにごみが付着している場合もある。パターンやごみの形状が、たまたま登録されているワークマークのパターンに似ていることもある。そのような場合、比較的スコアの高い位置が、画像処理領域内に複数検出されることがある。
しかし、上記したように、制御部11は仮想線に囲まれた画素を単位として、そのコントラストによりワークマークWAMを記憶している。したがって、図14の領域内にワークマークWAMが存在すれば、その位置(A)でのスコアが最も高くなる。したがって、最も高いスコアが検出された位置をワークマークの位置として検出するように設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−117632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
半導体ウエハの露光装置においては、ワークであるウエハに形成されるワークマークは、同じ面に形成される回路パターンと同様に、フォトリソグラフィにより形成されることが多い。
一方、プリント基板の露光装置においては、プリント基板にレーザ照射やドリルなどの機械加工により形成した、φ100μm程度の貫通していない孔(へこみ)を、ワークマークとして使用する場合がある。
このような基板に形成された孔の検出には、暗視野照明と呼ばれる照明方法が使われる。暗視野照明は、基板に対して斜めから照明光を照射し、基板の上方に撮像素子を配置する。真上からの照明では孔は検出しづらい。
図15(a)は、図10のアライメント顕微鏡により、プリント基板100に形成された孔101を、暗視野照明により撮像する様子を模式的に示した図である。なお、同図では、照明光103は図面の右側と左側からしか示していないが、実際は、孔101に対して360°全方向から照明されている。
【0010】
照明光103は、プリント基板100に対し、斜めに入射する。プリント基板100の表面は拡散面であり、基板の表面や孔の底の部分に照射された照明光103は、拡散して反射し、その一部は、反射ミラー102に反射され撮像素子(CCD、図示せず)に入射する。
一方、孔101の壁面に入射した光は、拡散して反射するものの、壁面で反射された光が直接撮像素子(CCD)には入射しない。
そのため、撮像素子には、孔101は、壁の部分と、それ以外の部分(プリント基板の表面と孔の底の部分)とでは異なった明るさで写る。例えば図15(b)に示すように、壁の部分は黒く縁取りされたリング状に、孔の底の部分は基板の表面と同様にグレーに写ることがある。
したがって、底のある孔が理想的に形成されている場合は、ワークマークWAMの登録画像として、図15(b)のようなリング状のパターンが登録されることになる。
【0011】
しかし、例えば同じ形の孔を加工したつもりであっても、アライメント顕微鏡で検出した場合、撮像手段(CCD)での見え方(形状や明暗や色調)が異なることがある。
その理由の一つは、出来上がった孔の形状が偶然に異なってしまう場合である。
図16は、プリント基板にレーザやドリルで加工して形成した孔の形状の一例である。 同図は、孔の断面図である。
図16(a)は、理想的な孔の形状である。しかし、レーザやドリルの先端の形状により、図16(b)に示すように、孔の壁が斜めになる(すり鉢状)になることもある。また、図16(c)に示すように、孔のエッジ部分にバリ104が生じることもある。
このように、プリント基板100に機械加工により形成される孔は、その形状にふぞろいが生じることがある。そのため、このような孔をワークマークとしてアライメント顕微鏡で検出すると、撮像手段(CCD)での見え方が異なる。
【0012】
撮像手段(CCD)での見え方が異なる他の理由は、孔形成後に施される処理によるものがある。
例えば、図16(d)に示すように、プリント基板には、表面に銅105などの金属箔がめっきされることがあり、孔の中もめっきされる。金属めっきにより表面の反射率が変化するので、めっきの有無により、撮像手段(CCD)での見え方が異なる。
また、図16(e)に示すように、金属めっきされたその上にレジストフィルムが貼られることもある。レジストフィルム106の厚さは数十μmであり、これを貼り付けると、孔の側面や底面に沿って貼り付けることはできず、孔の開口を塞ぐかたちになる。
そのため、孔の部分では、レジストフィルムにより照明光の反射率や光の反射する方向が変化し、レジストフィルムが貼られていない場合と貼られている場合とでは撮像手段(CCD)での見え方が異なる。
例えば、図16(e)のように、レジストフィルムが貼られた場合、アライメント顕微鏡により検出される孔の形状は、全体が黒い丸に見えることがある。
また、レジストフィルムの貼り具合によっては、孔の中へのフィルムのたるみ具合も変わるので、撮像手段(CCD)での見え方が異なる。
【0013】
ワークマークの見え方が異なると、実際に撮像されているワークマーク画像が、制御部に記憶されているワークマークの画像とは、異なることとなる。このようなことが起きると、ワークマークが存在する位置でのスコアが低くなり、ワークマークを正しく検出できなくなる。
図17を用いて説明する。図17(a)に示すリング状のパターンが、制御部に登録されたワークマークの画像とする。
図17(b)は、基板のワークマークを検索(サーチ)する領域内に、ワークマークが存在し、かつ登録された画像とほぼ同等の見え方をしている場合である。この場合、図17(a)の登録マークは、図17(b)の四角で囲った位置でほとんど一致し、そのスコアは、例えば、9000点(10000満点)である。
図17(c)が本案件の課題となる場合である。サーチする領域内に、ワークマークが存在するが、上記したような原因により見え方が登録マークとは異なり黒丸状に見える場合である。リングは中央部が白いが、黒丸は中央部が黒いので、図17(c)の四角で囲った位置におけるスコアは低く、例えば2000点程度である。
【0014】
図17(d)は、検索領域内に、ワークマークではない配線等の黒四角の輪郭のパターンが存在する場合である。この場合、形状は異なるが、真ん中が黒く周辺部が白いという明暗のパターンが似ているので、図17(d)の四角で囲った位置におけるスコアは、図17(c)場合よりも高く、例えば5000点になることがある。
図17(c)は、登録されたマークとは見え方が異なるが、ワークマークであるので検出しなければならない。しかし、図17(d)は、ワークマークではないので、ワークマークとして検出しないようにしなければならない。
しかし、図17(c)をワークマークとして検出するために、制御部において、例えば「スコアが2000点以上の場合はワークマークとする」と設定すると、ワークマークではない図17(d)をワークマークとして検出してしまう。一方、図17(d)をワークマークとして検出しないために「スコアが6000点以上の場合をワークマークとする」と設定すると、図17(c)をワークマークとして検出できない。
したがって、ワークマークを正しく検出することができない。
【0015】
以上のように、同一形状としてワーク上に形成したワークマークが、ワークマークの加工の条件やプリント基板の製造工程上の処理により、撮像素子により写し出される見え方(形状や明暗や色調)が異なることがある。この場合には、登録したワークマークで実際のワークマークを検出しようとしても、検出できないことがある。
上記特許文献1においては、見え方の異なる複数のパターンを記憶部に登録し、この登録パターンと検索領域内のパターンとを比較し、一致度のスコアを求め、スコアが一定値を越えているとき、このパターンをワークマークとして判定するようにしている。
本発明は上記のように複数のパターンを登録することなく、ワークマークを検出できるようにしたものであり、アライメント顕微鏡の撮像素子に写し出されるワークマークの見え方(形状や明暗や色調)が異なったとしても、ワークマークを正しく検出することができるワークマークの検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の発明者は、鋭意検討の結果、ワーク表面をアライメント顕微鏡により撮像する際に、ワーク(ワークマーク)を照明するアライメント照明手段からワーク表面までの距離(ワークに対する照明光の高さ)を変化させると、アライメント顕微鏡の撮像素子に写し出されるワークマークの像の見え方(形状や明暗や色調)が変化することを見出した。
図4に、ワークに形成した貫通していない孔(へこみ)であるワークマークを、ワークから照明手段までの間隔(照明光の高さ)を変えて撮像した画像と、予め登録したワークマークのパターン(登録パターン)で各画像のパターンをサーチしたときのスコア(登録パターンと各画像のパターンの一致度を示す値、ここでは9999満点)を示す。
ワークマークは、各画像において左列からφ140μmのへこみ、φ120μmのへこみ、φ100μmのへこみ、φ80μmのへこみ、φ200μmのへこみの計5種類を作成した。
ワークから照明手段までの間隔(照明光の高さ)は、図左から11.0mm、8.5mm、5.5mm、4.0mm、2.5mm、1.0mmの6種類で撮像した。
同図を見れば明らかなように、照明光の高さを変えると、撮像したワークマークの見え方が変化し、スコアも変化する。
【0017】
このように照明光の高さによりワークマークの見え方が変化するのは、暗視野照明の照明光が、ワークに入射する角度が変化するためと考えられる。
図5は暗視野照明手段(リング状の照明手段10c)の高さを変えたときの状態と各状態における撮像画像の輝度分布を示す図であり、同図に示すグラフの横軸は画像上の位置、縦軸は輝度(相対値)を示す。
同図に示すように、ワークWから照明手段10cまでの間隔が広がる(照明光の高さが高くなる)と、照明光の入射角度は小さくなり、ワークWから照明手段10cまでの間隔が狭まる(照明光の高さが低くなる)と、照明光の入射角度は大きくなる。
【0018】
図4に戻り、φ200μm(最右列)のへこみ(ワークマーク)を例に取ると、照明光の高さが11.0mm、8.5mmの場合は、内側(中央)に白い部分のある円環状に見える。しかし、照明光の高さが5.5mm、4.0mm、2.5mm、1.0mmの場合は、黒丸に見える。
また、φ140μm(最左列)の場合は、照明光の高さが11.0mmの場合は内側(中央)に白い部分のある円環状に見え、照明光の高さが8.5mmの場合は、灰色の丸に見える。そして、照明光の高さが5.5mm、4.0mm、2.5mm、1.0mmの場合は、色の濃い黒丸に見える。
図4の下段に、ワークマークとして、それぞれφ140μmの黒丸、φ120μmの黒丸、φ100μmの黒丸、φ80μmの黒丸、φ200μmの黒丸を登録し、各画像のワークマークをサーチした場合のスコア(9999点満点)を示す。なお、7000点以上が一般的に安定してサーチできるレベルである。
【0019】
φ200μmのワークマークの場合、照明光の高さが11.0mmでの画像では、ワークマークはサーチできず、照明光の高さが8.5mmでは、スコアが1489であった。しかし、照明光の高さが5.5mm、4.0mm、2.5mmの場合は、スコアは8000以上になった。このスコアであれば、ワークマークとして検出し位置合せに使用できる。そして、スコアが最も高いのは照明光の高さが4.0mmの場合なので、この時の画像に基づいて位置合せを行うことが望ましい。しかし、照明光の高さを1.0mmにすると、スコアは5947と再び低下した。
同様に、φ140μm、φ120μmのワークマークの場合も、照明光の高さが4.0mmの場合に、スコアが最も高くなる。一方、φ100μm、φ80μmのワークマークの場合は、照明光の高さが5.5mmの場合に、スコアが最も高くなる。
このように、ワークマークの大きさ(形状)により、最も高いスコアが得られる照明の高さは異なる。
【0020】
そこで、予めワークマークのパターンを登録しておき(以下このパターンを登録パターンという)、アライメント顕微鏡によりワークマークを撮像する際に、暗視野照明手段の高さを変化させてワーク上を撮像し、登録パターンを用いてサーチする。
例えば、まず、第1の照明光の高さで撮像したワーク上のパターンと、登録パターンとを比較しながらスコアを求めてワークマーク像をサーチする。次に、第2の照明光の高さで撮像したパターンと登録パターンとを比較しながらスコアを求めてワークマーク像をサーチする。
これを繰り返し、あらかじめ設定された値以上のスコアを示したパターンがあれば、これをワークマーク像として、ワークマークが検出されたものとする。そして、そのワークマーク像を使用して位置合せを行う。または、最も高い値のスコアを示した照明光の高さのワークマーク像をワークマークとして使用して位置合せを行う。
【0021】
本発明においては、上記のようにして前記課題を解決するものであり、以下のようにワーク・アライメントマーク検出装置を構成する。
(1)ワーク上のパターンを照明する暗視野照明手段と、この暗視野照明手段をワーク表面に対して直交する方向に移動させる照明手段移動手段と、上記暗視野照明手段により照明したワーク上のパターンを撮像する撮像手段と、上記照明手段移動手段と撮像手段を制御して、ワーク上のアライメントマークを検出する制御部とを設け、上記制御部には、ワーク・アライメントマークとして検出すべきパターンを登録パターンとして記憶した記憶部と、アライメントマーク検出部とを設ける。
上記アライメントマーク検出部は、上記撮像手段により撮像したワーク上のパターンと、上記登録パターンとを比較して一致度を求め、一致度が予め設定された値以上のとき、上記ワーク上のパターンをアライメントマークとして検出し、求めた一致度が低い場合に、上記照明手段移動手段により上記暗視野照明手段を移動させ、上記撮像手段によりワーク上のパターンを再度撮像し、再度撮像されたワーク上のパターンと登録パターンとを比較して一致度を求め、求めた一致度が予め設定された値以上になったとき、ワーク上のパターンをアライメントマークとして検出する。
(2)上記(1)において、撮像手段を内蔵し上記暗視野照明手段により照明されたワーク上のパターンを受像するアライメント顕微鏡と、該アライメント顕微鏡をワーク表面に対して直交する方向に移動させるアライメント顕微鏡移動手段を設ける。
そして、上記照明手段移動手段を上記アライメント顕微鏡に取り付けて一体で移動するように構成し、上記照明手段移動手段により、上記暗視野照明手段を上記アライメント顕微鏡に対して相対的に移動させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明においては、以下の効果を得ることができる。
(1)暗視野照明手段を移動させる手段を設け、異なった高さから暗視野照明手段によりワークを照明してワーク上のパターンを撮像し、撮像したワーク上のパターンと登録パターンとを比較してワーク・アライメントマークを検出するようにしたので、ワーク・アライメントマークが、条件によって異なった見え方になるようなことがあっても、ワーク・アライメントマークを確実に検出することができる。
(2)照明手段移動手段を上記アライメント顕微鏡に取り付けて一体で移動するように構成し、上記照明手段移動手段により、上記暗視野照明手段を上記アライメント顕微鏡に対して相対的に移動させるように構成することで、ワークステージ上に異なった厚さのワークが載せられて、ピント合わせのためにアライメント顕微鏡を移動させたとき、アライメント顕微鏡の移動に合わせて、暗視野照明手段も移動させることができる。
このため、暗視野照明手段の高さがワーク面に対して適切な高さに設定されていれば、ワークの厚さが変わっても、ピント合わせのためにアライメント顕微鏡を移動させることで、暗視野照明手段の高さがワーク面に対して適切な高さに設定される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の適用対象の一つである投影露光装置の構成例を示す図である。
【図2】図1に示すリング照明手段(暗視野照明手段)の構成例を示す図である。
【図3】図1に示すアライメント顕微鏡と照明手段移動機構の取り付け構造を示す図である。
【図4】ワークに形成したワークマークを照明光の高さを変えて撮像した画像およびそのスコアを示す図である。
【図5】照明手段の高さを変えたときの状態と各状態における撮像画像の輝度分布を示す図である。
【図6】マスクマークとワークマークの登録を説明する図である。
【図7】ワークマークの検出とマスクとワークの位置合わせを説明する図である。
【図8】ワークマークの検出の一例を説明する図である。
【図9】ワークマークの見え方が異なる他の例を示す図である。
【図10】アライメント顕微鏡の概略構成を示す図である。
【図11】登録パターンと検出パターンの一例を示す図である。
【図12】モニタに表示される画像の一例を示す図である。
【図13】ワークマークの形状例を示す図である。
【図14】パターンサーチを説明する図である。
【図15】アライメント顕微鏡により基板に形成された孔を暗視野照明で撮像する様子を模式的に示した図である。
【図16】プリント基板にレーザやドリルで加工して形成した孔の形状例を示す図である。
【図17】登録されたワークマーク像とアライメント顕微鏡で撮像された画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の適用対象の一つである投影露光装置の構成例を示す図である。
同図において、MSはマスクステージである。マスクステージMSには、マスクマークMAMとマスクパターンMPが形成されたマスクMが置かれて保持される。
光照射装置1から露光光が出射する。出射した露光光は、マスクM、投影レンズ2を介して、ワークステージWS上に載置されたワークW上に照射され、マスクパターンMPがワークW上に投影され露光される。
投影レンズ2とワークWの間には、同図の矢印A方向(図面左右方向)に移動可能なアライメント顕微鏡10が4個所に設けられている。マスクパターンMPをワークW上に露光する前に、アライメント顕微鏡10を図示の位置に挿入し、マスクマークMAMとワークに形成されているワークマークWAMとを検出し、マスクMとワークWの位置合わせを行う。位置合せ後、アライメント顕微鏡10は、ワークW上から退避する。なお、図1においては、4個所設けられている内の一方のアライメント顕微鏡のみを示す。
【0025】
アライメント顕微鏡10は、前記したように、ハーフミラー10a、レンズL1、L2と撮像手段としてのCCDカメラ10bから構成されている。アライメント顕微鏡10には、前記図15に示した暗視野照明を行うため、基板に対して斜めから照明光を照射するための照明手段10cが設けられている。照明手段10cは、LEDのような照明光源を複数リング状に配置して構成されている。
図2に上記のように検査対象に対し全方向から斜めに照明光を照射(暗視野照明)するためのリング照明手段(暗視野照明手段)の構成例を示す。
リング照明手段は、図2(a)に示すように、薄い円筒ドーナツ状の本体容器21の中に多数のLED22を同心円上に配列したものである。各LED22は、同図(a)のイ矢視図である同図(b)、及びロ矢視図である同図(c)に示したように、円の中心O方向に角度を持って配置されており、検査を行なうワークに対し、斜めから照明光が照射できるように構成されている。
【0026】
また照明手段10cには、図1に示すように照明手段移動機構(照明手段移動手段)5が取り付けられている。照明手段移動機構5は、照明手段10cをワークWの表面に対して直交する方向(同図の矢印B方向:図面上下方向)に移動させる。即ち、照明手段移動機構5が動作することにより、ワークWと照明手段10cとの間隔が変化する。なお、アライメント顕微鏡10とワークWの間隔は変化しない。
図3にアライメント顕微鏡10と上記照明手段移動機構5の取り付け構造を示す。
同図に示すように、アライメント顕微鏡10は、アライメント顕微鏡移動機構(アライメント顕微鏡移動手段)6を介して支持部材6aに取り付けられ、支持部材6aは、ベース6bに取り付けられている。このため、アライメント顕微鏡移動機構6により、アライメント顕微鏡10は、ベース6bに対して上下方向に移動可能である。
また、照明手段10cは、照明手段移動機構5を介しては支持部材5aに取り付けられ、支持部材5aはアライメント顕微鏡10に取り付けられている。
【0027】
したがって、照明手段移動機構5は上記アライメント顕微鏡10と一体で移動し、また、上記照明手段移動機構5により、上記照明手段10cを上記アライメント顕微鏡10に対して相対的に移動させることができる。このため、ワークステージWS上に異なった厚さのワークが載せられピント合わせのためにアライメント顕微鏡10を上下方向に移動させたとき、アライメント顕微鏡の移動に合わせて、照明手段10cも上下方向に移動する。したがって、照明手段10cの高さをワーク面に対して適切な位置に設定しておけば、ワークの厚さが変わっても、照明手段10cとワーク面との距離は一定に保たれ、照明手段10cの高さを適切な高さに維持することができる。
【0028】
図1に戻り、アライメント顕微鏡10のCCDカメラ10bにより撮像したマスクマークMAM像やワークマークWAM像などは、制御部11に送られる。制御部11は上記CCDカメラ10bで撮像した画像を処理する画像処理部11aと、ワークマークやマスクマーク等の位置座標情報、各種パラメータ等を記憶する記憶部11bを備える。
さらに、制御部11は、CCDカメラ10bで撮像し画像処理部11aで画像処理したワーク上のパターン像と、後述するように記憶部11bに登録されたワークマーク像(登録パターン)とを比較して一致度を示すスコアを計算し、このスコアに基づき、撮像したワーク上のパターンが、ワークマークとして検出するパターンであるかを判定するアライメントマーク検出部11cと、上記アライメントマークの検出に際して、上記照明手段10cを上下方向(B方向)に移動させるため、照明手段移動機構5の駆動を制御する照明手段移動機構制御部11dを備える。
また、制御部11は、ワークマークとして検出されたワーク上のパターンの位置座標が、記憶部11bに記憶したマスクマーク像の位置座標に一致するようにワークステージWSあるいはマスクステージMS(あるいはその両方)を移動させる位置合わせ制御部11eと、作業者の指示により上記ワークマーク像(登録パターン)を記憶部11bに登緑するための登緑部11fとを備える。
【0029】
ワークステージWSあるいはマスクステージMSは、上記位置合わせ制御部11eにより制御されるワークステージ駆動機構4、マスクステージ駆動機構3により駆動され、XY方向(X,Y:マスクステージMS、ワークステージWS面に平行で互いに直交するに方向)移動させるとともに、XY平面に垂直な軸を中心に回転する。
上記制御部11には、モニタ12が接続され、上記画像処理部11aで画像処理された画像はモニタ12の画面に表示される。
【0030】
図1の露光装置において、ワークマークの検出とマスクMとワークWの位置合わせは、次のように行なわれる。
光照射装置1もしくは図示しないアライメント光源から照明光をマスクMに照射して、マスクマークMAM像をアライメント顕微鏡10のCCDカメラ10bにより受像し、制御部11に送る。制御部11の画像処理部11aは上記マスクマークMAM像を位置座標に変換し記憶部11bに記憶する。
なお、マスクマークの検出方法は種々の方法が提案されており、必要なら例えば特許文献1等を参照されたい。
【0031】
次いで、ワークWにアライメント顕微鏡10の照明手段10cから照明光を照射し、ワークW上のパターンを撮像しパターンサーチを行う。すなわち、アライメントマーク検出部11cにおいて、撮像されたパターンと、記憶部11bに登録されたワークマーク像である登録パターンとを比較して、ワークW上のワークマークWAMを検出する。制御部11はその位置座標を求める。
制御部11の位置合わせ制御部11eは、記憶しているマスクマークMAMの位置座標と、検出したワークマークWAMの位置座標が所定の位置関係になるように、ワークステージWS(もしくはマスクステージMS、あるいはその両方)を移動し、マスクMとワークWの位置合わせを行う。
【0032】
以下、本発明の実施例であるワークマークの検出手順とマスクとの位置合わせ手順について、具体的に説明する。
(1)マスクマークMAMとワークマークWAMの登録
まず、マスクマークMAMとワークマークWAMの登録の手順について、図6により説明する。
まず、マスクマークMAMの位置を検出する。このため、図6(a)に示すようにアライメント顕微鏡10の視野内におけるマスクマークMAMの位置座標(xm1,ym1)を求める。
すなわち、アライメント顕微鏡10のCCDカメラ10bで撮像したマスクマークMAM画像を、制御部11の画像処理部11aで処理し、マスクマークMAMの位置座標(xm1,ym1)を求めて、記憶部11bに記憶する。
【0033】
次に、ワークマーク像を制御部11の記憶部11bに登録する。この登緑は、次のようにして、作業者が目視で行う。
実際のワークW1(例えば、露光処理を行う一連のワークの内の1枚目のワーク)をワークステージWS上に置き、照明手段10cから照明光をワークW1に照射する。アライメント顕微鏡10を使って、ワークW1の表面画像を受像し、画像処理部11aで処理して、モニタ12上にワークW1の表面を写し出す。
この時のアライメント顕微鏡10は、実際にワークマークWAMを検出する場合と同じアライメント顕微鏡10であり、アライメント顕微鏡10の倍率は、実際にワークマークWAMを検出する場合と同じ倍率(例えば3倍)である。また、アライメント顕微鏡10は、マスクマークを検出した時の位置と同じ位置に保たれており、アライメント顕微鏡10の視野も同じである。
【0034】
作業者は、写し出されたワークW1の画像を見て、ワークマークWAMを探す。ワークマークWAMが見つかれば、図6(b)に示すように、ワークマークWAM全体が入るように、モニタ12上でワークマーク登録用の仮想線によってワークマークWAMを囲み、例えば目視でその中心位置を特定し、+などのマークをつける。
その際、作業者は照明手段10cを上下方向に移動させ、ワークマークが最もクリアに見える照明位置で受像された画像を、ワークマークのパターンとする。
なお、上記ワークマークが最もクリアに見える照明手段10cの位置を記憶部11bに記憶しておけば、後述する、制御部11によりワークマークを自動的に検出する際の照明手段10cの初期位置とすることができる。
【0035】
そして、ワークマーク登録用の仮想線によって囲まれた領域をワークマークWAMのパターン像として、登録部11fに登緑指令を与えて記憶部11bに「登録パターン」として登録する。
また、目視でワークマーク像の中心位置を特定し、仮想線で形成される四角形の例えば左上角からワークマーク像の中心位置までの距離dx、dyをワークマーク像の位置座標として記憶手段11bに登緑する。
なお、ワークマーク像の中心位置を演算などにより自動的に求める手法は従来から種々知られており、ワークマーク像の中心位置の設定を目視ではなく、画像処理部11aで画像処理することにより自動的に求めるようにしてもよい。
【0036】
(2)ワークマークの検出手順とマスクとの位置合わせ
ワークマークの検出手順とマスクとの位置合わせについて、図7を使って説明する。
制御部11のアライメントマーク検出部11cは、登録したワークマーク像と、ワーク上のパターンとを比較して、ワークW上のワークマークを検出する。この時、照明手段10cのワークWに対する高さ(照明手段10cとワークWとの間隔)を変えてワーク上のパターンを撮像する。
すなわち、アライメントマーク検出部11cは、照明手段移動機構制御部11dにより、照明手段移動機構5を制御して、照明手段10cをまず第1の高さに設定し、登録パターン(登録したワークマーク像)と検索領域内のパターンとを比較して、一致度のスコアを求め、次いで、照明手段10cを第2の高さに設定し、登録パターン(登録したワークマーク像)と検索領域内のパターンとを比較して、一致度のスコアを求める。
以下同様に、照明手段10cの高さを変えながら、一致度のスコアを求め、このスコアが例えば一定値を越えている画像か、あるいは、最も高いスコアが得られた照明光の高さ画像を採用し、その検索領域内のパターンを、ワークW上のワークマークとして検出する。
ここで、上記第1の高さを、前記ワークマークのパターン像である「登録パターン」を撮像したときの照明光の高さとすれば、照明手段10cを第1の高さにした状態で、ワークマークを検出できる可能性を高くすることができる。
【0037】
例えば、登録パターンは黒丸状のものであり、第1の照明光の高さで撮像したワーク上のパターン(ワークマークWAM1)が、リング状に見えるものであり、第2の照明光の高さで撮像したワーク上のパターン(ワークマークWAM2)が黒丸状に見えるものであるとする。
登録パターンを使って、まず第1の照明光の高さで撮像したワークの検索領域をサーチし、ワークマークWAM1のスコアを得る。次に第2の照明光の高さで撮像したワークの検索領域をサーチし、ワークマークWAM2のスコアを得る。そして、予め設定された値以上のスコアが得られたワークマークを使って、あるいは、最も高いスコアが得られたワークマークを使って、位置合わせ制御部11eはマスクとワークの位置合せを行う。
上記例の場合、登録したワークマークWAMが黒丸状のものであれば、第2の照明光の高さで撮像したワークマークWAM2との一致度が高くスコアも高くなる。したがって、そのような場合であれば、第2の照明光の高さで撮像したワークマークWAM2を使ってマスクとワークの位置合せを行う。
【0038】
ワークマークのサーチは、例えば図7のように行なわれる。
例えば図7(a)に示す矩形領域Pが登録パターン(ワークマーク像)として記憶部11bに登録されているとする。
ワークマークをサーチするには、図7(b)に示すように、アライメント顕微鏡10の視野内で、例えば視野の左上端角から、上記図7(a)に示す登録パータンを含む縦Y、横Xの矩形領域Pを少しずつずらしながら重ねて行き、一致度の高い場所を探す。
そして、アライメント顕微鏡の視野内で一致度の高い領域が検索されると、そのときの、矩形領域Pの左上の角の座標(x1,y1)を求め、領域P内のパターンの中心位置を示す(dx,dy)と加算して、(x1+dx,y1+dy)を検出されたワークマークの位置座標(xw1,yw1)とする。
【0039】
以上のようにしてワークマークの位置座標が検出されると、位置合わせ制御部11eは図7(c)に示すように、検出されたワークマークWAMの位置座標(xw1,yw1)が、予め記憶されているマスクマークの位置座標(xm1,ym1)に一致するように、(もしくは予め設定された位置関係になるように)、ワークステージWSあるいはマスクステージMS(あるいはその両方)を移動させる。
【0040】
ワークマークの検出について、図8を用いて説明する。
ここでは、登録したワークマークのパターン(登録パターン)WAMは、図8(a)に示すように黒丸状のパターンとする。そして、照明光の高さを3段階に切り替えてワーク(ワークマーク)を照明する。
照明光が第1の高さである場合のワーク上のワークマークの見え方が図8(b)、第2の高さである場合のワークマークの見え方が図8(c)、第3の高さである場合のワークマークの見え方が図8(d)であるとする。
(1)サーチの開始。
まず、第1の照明光の高さでワーク上のパターンを照明して撮像し、登緑パターンで検索領域をサーチする。制御部11のアライメントマーク検出部11cで登録パターンWAMと図8(b)のパターンを比較してスコアを求める。
登緑マークが黒丸であるのに対して、見えているワークマークは図8(b)に示すリング状である。したがって両者の一致度は低く、スコアも低くなる(この場合のスコアを2000点とする)。この値を第1の照明光の高さの場合のスコアとして記憶部11bに記憶する。
【0041】
続いて、照明光の高さを変え、第2の照明光の高さでワーク上のパターンを照明して撮俵し、登録パターンWAMで検索領域をサーチする。アライメントマーク検出部11cで登録パターンWAMと図8(c)のパターンを比較してスコアを求める。
登録パターンWAMは、見えているワークマークの形状と良く似ているので一致度が高く、高いスコアが得られる(この場合のスコアを9000点とする)。この値を第2の照明光の高さの場合のスコアとして記憶部11bに記憶する。
さらに、照明光の高さを変え、第3の照明光の高さでワーク上のパターンを照明して撮像し、登緑マークで検索領域をサーチする。アライメントマーク検出部11cで登録パターンWAMと図8(d)のパターンを比較してスコアを求める。
登緑パターンWAMは、見えているワークマークの形状と似ていないで一致度が低く、低いスコアになる(この場合のスコアを1500点とする)。この値を第3の照明光の高さの場合のスコアとして記憶部11bに記憶する。
制御部11のアライメントマーク検出部11cは、第1の照明光の高さの場合のスコア2000点と、第2の照明光の高さの場合のスコア9000点と、第3の照明光の高さの場合のスコア1500点とを比較する。そして最も高いスコアが得られた、第2の照明光の高さの場合の図8(c)のパターンをワークマークとして採用する。
【0042】
なお、照明光の高さを変えて何度もワーク上のパターンを撮像しサーチを行うと、ワークマーク検出に時間がかかり、その結果露光処理の時間が全体として長くなる。
その問題の解決方法としては、例えば、ある照明光の高さであらかじめ設定した点数以上のスコアが得られたら、その段階で照明光の高さを変えての撮像を終了し、その照明光の高さで、次の手順(ワークマークの位置検出とマスクとワークの位置合せ)に進むよう設定することが考えられる。
上記図8の例で言えば、例えば8000以上のスコアが得られれば、ワークマークが検出できたとし、次の手順(マスクとワークの位置合せ)に進むように制御部11に設定しておく。そのようにしておけば、第3の照明光の高さでの撮像を行わないので、ワークマーク検出時間の短縮を図ることができる。
【0043】
なお、本発明においては、基板に形成した底つきの孔(凹部、へこみ)をワーク・アライメントマーク(ワークマーク)として使用する場合、その孔にめっきやレジストフィルムの貼り付けにより、アライメント顕微鏡によって検出されるワークマークの見え方(形状や明暗や色調)が異なることを例に説明した。
しかし、孔の場合に限らず、図9(a)に示すように基板100に形成した突起107(凸部、ふくらみ)をワーク・アライメントマークとして使用する場合であっても、ワークマークの見え方が変化するので、本発明を適用することができる。
また、例えば、図9(b)に示すような、銅105等のめっきの有無により表面の反射率が変化して見え方が変化する場合もある。
さらに、図9(c)に示すように突起に対してレジストフィルム106を貼り付けると、突起の側面に沿って貼り付けることはできず、突起の側面に空間ができる。そのため、照明光の反射率や光の反射する方向が変化し、レジストフィルムが貼られていない場合と貼られている場合とでは撮像手段(CCD)での見え方が異なる。
さらに、レジストフィルムの貼り付け具合によっては、フィルムのたるみ具合も変わるので、見え方が変化するが、これらの場合にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 光照射装置
2 投影レンズ
3 マスクステージ駆動機構
4 ワークステージ駆動機構
5 照明手段移動機構
5a 支持部材
6 アライメント顕微鏡移動機構
6a 支持部材
6b ベース
10 アライメント顕微鏡
10a ハーフミラー
10b 撮像手段(CCDカメラ)
10c 照明手段(暗視野照明手段)
21 本体容器
22 LED
11 制御部
11a 画像処理部
11b 記憶部
11c アライメントマーク検出部
11d 照明手段移動機構制御部
11e 位置合わせ制御部と、
11f 登緑部
12 モニタ
MS マスクステージ
MAM マスク・アライメントマーク(マスクマーク)
MP マスクパターン
M マスク
WS ワークステージ
W ワーク
WAM ワーク・アライメントマーク(ワークマーク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
突起またはへこみとしてワーク上に形成されたワーク・アライメントマークの検出装置であって、
ワーク上のパターンを照明する暗視野照明手段と、
上記暗視野照明手段をワーク表面に対して直交する方向に移動させる照明手段移動手段と、
上記暗視野照明手段により照明したワーク上のパターンを撮像する撮像手段と、
上記照明手段移動手段と撮像手段を制御して、ワーク上のアライメントマークを検出する制御部とを備え、
上記制御部は、
ワーク・アライメントマークとして検出すべきパターンを登録パターンとして記憶した記憶部と、アライメントマーク検出部とを有し、
上記アライメントマーク検出部は、上記撮像手段により撮像したワーク上のパターンと、上記登録パターンとを比較して一致度を求め、一致度が予め設定された値以上のとき、上記ワーク上のパターンをアライメントマークとして検出し、
求めた一致度が低い場合に、上記照明手段移動手段により上記暗視野照明手段を移動させ、上記撮像手段によりワーク上のパターンを再度撮像し、再度撮像されたワーク上のパターンと登録パターンとを比較して一致度を求め、求めた一致度が予め設定された値以上になったとき、ワーク上のパターンをアライメントマークとして検出する
ことを特徴とするワーク・アライメントマークの検出装置。
【請求項2】
上記撮像手段を内蔵し上記暗視野照明手段により照明されたワーク上のパターンを受像するアライメント顕微鏡と、該アライメント顕微鏡をワーク表面に対して直交する方向に移動させるアライメント顕微鏡移動手段を備え、
上記照明手段移動手段は上記アライメント顕微鏡と一体で移動し、上記暗視野照明手段を、上記アライメント顕微鏡に対して相対的に移動させる
ことを特徴とする請求項1に記載のワーク・アライメントマークの検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−21164(P2013−21164A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153841(P2011−153841)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】