説明

アラーム発生装置、超音波探知装置、アラーム発生方法、超音波探知方法、アラーム発生プログラム、超音波探知プログラム

【課題】ユーザの所望とする魚種が検出されたときにのみ、正確且つ適切に、ユーザへ通知を行う。
【解決手段】超音波パルス信号のエコー信号から探知データを生成する(S101)。探知データに基づいて魚群(単体魚)エコーの検出、深度、底質等の魚種によって特徴が異なる判定用情報を検出する(S102)。魚種に応じて予め設定された複数のアラーム発生条件毎に、判定用情報を検証する(S103)。複数のアラーム発生条件のうち一つでも判定用情報によって満たされていなければ、アラームは発生しない(S104:No)。一方、全てのアラーム発生条件が判定用情報によって満たされていれば(S104:Yes)、アラームを発生して放音する(S105)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚群探知機等の超音波探知装置に備えられ、探知結果に基づいて、ユーザが必要とするアラームを発する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、釣りを行うポイントの選択等に必要な情報をユーザが確実に得るために、アラーム機能を有する魚群探知機が考案されている。例えば、特許文献1、特許文献2の魚群探知機は、魚群探知部とブザー(アラーム)とを備える。この魚群探知機は、魚群探知部によって魚群を検出した時や底質の変化を検出した時に、ブザーからアラームを発している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−2764号公報
【特許文献2】特開平5−312945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、特許文献2の魚群探知機では、設定された一つの条件でも満たされるとアラームを発するため、複数の条件を設定していると、不必要にアラームが鳴り続けてしまう等の問題が生じることがある。
【0005】
このため、従来の魚群探知機のアラーム機能では、ユーザへ必要な時にのみ適切に通知を行っているとはいえず、ユーザにとって使い勝手が良いものとはいえない。さらには、アラーム音がうるさい等の理由から、アラーム機能を解除して利用しないユーザもおり、全く機能が活用されていない場合もある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、必要な時にのみ、ユーザへ適切に通知を行うことができる装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、探知信号のエコー信号から得られる探知データに基づいてアラームを発生するアラーム発生装置に関するものであって、該アラーム発生装置は、判定用情報検出部、およびアラーム制御部を備える。判定用情報検出部は、探知データから探知対象に関する複数の判定用情報を検出する。アラーム制御部は、判定用情報がアラーム発生条件を満たすとアラーム発生制御を行う。そして、アラーム制御部は、設定された全てのアラーム発生条件が判定用情報によって満たされるとアラーム発生制御を行う。
【0008】
この構成では、設定された全てのアラーム発生条件が判定用情報によって満たされない限り、アラームは発生しない。そして、設定された全てのアラーム発生条件が判定用情報によって満たされた場合にのみアラームが発生する。
【0009】
これにより、判定用情報で得られる探知対象の複数の状態がアラーム発生条件を満たした場合にのみアラームが発生し、不必要にアラームが発生することなく、ユーザが検出しようとしている探知対象を、より正確に検出することが可能になる。
【0010】
また、この発明は、超音波の探知信号を水中に送信し、エコー信号に基づいて探知を行う超音波探知装置に関するものであって、上述のアラーム発生装置を備える。さらに、超音波探知装置の判定用情報検出部は、判定用情報として、魚群または単体魚の検出情報と底質とを検出する。アラーム制御部は、魚群または単体魚の検出情報と底質とがともにそれぞれのアラーム発生条件を満たす場合にアラーム発生制御を行う。
【0011】
この構成では、魚種によって異なる魚群または単体魚のエコーの有無、および当該魚種によって異なる当該魚種の生息する底質が、アラーム発生条件を満たした場合に、アラームが発生する。したがって、超音波探知装置が装備された自船下の水中に、目的とする魚種が生息していることもしくは泳いでいることを、より確実にユーザへ通知することができる。
【0012】
また、この発明の超音波探知装置は、複数のアラーム発生条件を魚種に関連付けして設定する操作を受け付ける操作入力部と、魚種と該魚種に関連付けされた複数のアラーム発生条件とを記憶する記憶部と、を備える。アラーム制御部は、魚種に関連付けされた複数のアラーム発生条件を前記記憶部から読み出す。アラーム制御部は、魚種に関連付けされた複数のアラーム発生条件の全てが判定用情報によって満たされると、魚種に応じたアラーム発生制御を行う。
【0013】
この構成では、目的とする魚種に対するアラーム発生条件を、ユーザが予め設定しておけば、当該目的とする魚種が自船下の水中に生息していることもしくは泳いでいることを、確実にユーザへ通知することができる。
【0014】
また、この発明の超音波探知装置は、探知信号として周波数の異なる複数の周波数の探知信号を送信する送信部を備える。超音波探知装置の判定用情報検出部は、複数の周波数の探知信号によって得られる複数のエコー信号から判定用情報を検出する。
【0015】
この構成では、複数の周波数の探知信号によるエコー信号、すなわち魚種および底質によって異なる複数種類のエコー信号から判定用情報が検出される。したがって、魚種に応じた、より正確な判定用情報を得ることができる。これにより、目的とする魚種が自船下の水中に生息していることもしくは泳いでいることを、より確実にユーザへ通知することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、目的の探知対象が検出されたことを、ユーザへ適切に通知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る超音波探知装置10の構成を表すブロック図である。
【図2】探知データ表示器100の形状を説明するための正面図である。
【図3】探知情報処理部104の構成を表すブロック図である。
【図4】探知情報処理部104の記憶部143に記憶される情報を説明するための表である。
【図5】アラーム発生処理フローを示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る超音波探知装置10Aの構成を表すブロック図である。
【図7】探知情報処理部104Aの構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1の実施形態に係る超音波探知装置および超音波探知方法について、図を参照して説明する。なお、以下では、魚群探知装置を例に説明するが、探知信号を水中の探知領域の送信し、そのエコー信号から物標探知を行う装置(例えばスキャニングソナー等)に対しても、以下の構成及び処理方法を適用することができる。
【0019】
図1は本発明の第1の実施形態に係る超音波探知装置10の構成を表すブロック図である。超音波探知装置10は、探知データ表示器100、送受波器101、送信制御部102、受信信号処理部103を備える。
【0020】
送信制御部102は、所定周波数のキャリア信号をパルス状に成形した超音波パルス信号を生成し、送受波器101に出力する。この際、送信制御部102は、所定の送信周期で超音波パルス信号を生成して、送受波器101へ与える。また、送信制御部102は、一種類の周波数のキャリア信号で超音波パルス信号を生成してもよく、周波数の異なる二種類のキャリア信号毎に超音波パルス信号を生成してもよい。例えば、キャリア信号の周波数を、50kHzと200kHzに設定する。
【0021】
送受波器101は、送信制御部102からの超音波パルス信号で励振する振動子からなり、超音波パルス信号に準じた超音波を水中へ送波する。送受波器101は、送波された超音波が魚群、単体魚、および海底に反射して得られるエコー波を受波し、電気信号からなるエコー信号に変換して、受信信号処理部103へ出力する。この一回の超音波パルス信号の送信およびエコー信号の受信が、後述する探知データの1PINGに対応する。
【0022】
受信信号処理部103は、エコー信号を所定時間間隔でサンプリングして、AGC(Auto Gain Control)等の増幅処理を行うことで、探知データを生成する。受信信号処理部103は、探知データを、1PING単位で探知データ表示器100へ出力する。
【0023】
探知データ表示器100は、探知情報処理部104、表示部105、放音部106、および操作入力部107を備える。
【0024】
探知情報処理部104は、本発明の「アラーム発生装置」に相当する。探知情報処理部104の具体的な構成および処理は後述する。概略的には、探知情報処理部104は、探知データに基づいて各種の判定用情報を検出する。探知情報処理部104は、判定用情報がアラーム発生条件を満たしていれば、放音部106に対してアラーム放音制御を行う。この際、探知情報処理部104は、複数の判定用情報に対してアラーム発生条件を満たしているかどうかを判定し、設定した全てのアラーム発生条件を満たしている場合にのみ、アラーム放音制御を行う。また、探知情報処理部104は、探知データの強度(レベル)に準じた階調の表示画像データを生成し、表示部105へ出力する。
【0025】
表示部105は、例えば液晶ディスプレイ等からなり、探知情報処理部104から与えられた表示画像データを表示画面に表示する。
【0026】
放音部106は、例えばスピーカ等からなり、探知情報処理部104からアラームを放音する制御を受ければ放音する。
【0027】
操作入力部107は、所謂ユーザインターフェースであり、ユーザからの設定された内容を探知情報処理部104へ出力する。
【0028】
このような探知データ表示器100は、図2に示すような形状で実現される。図2は、探知データ表示器100の形状を説明するための正面図である。
【0029】
探知データ表示器100は、略直方体形状もしくは略立方形状の筐体190を備える。表示部105は、筐体190の正面壁に備え付けられている。表示部105には、探知データに基づく表示画像データからなる探知画像151が表示される。また、アラーム発生条件を設定する場合には、設定用ウィンドウ152が探知画像151に重なるように表示される。
【0030】
筐体190の正面壁における表示部105が設置された領域以外の壁面には、電源用スイッチ191、および各種の操作ボタン192が備え付けられている。これら電源用スイッチボタン191、複数の操作ボタン192は、筐体190内に備え付けられた操作入力部107に接続されている。
【0031】
放音部106を構成するスピーカは、図2に図示していないが、筐体190の正面壁や、他の側面壁、天面壁、底面壁、背面壁の少なくともいずれか一つに備え付けられている。
【0032】
探知情報処理部104は、筐体190内に組み込まれており、回路モジュールもしくはコンピュータによって実現される。
【0033】
次に、探知情報処理部104の、より具体的な構成および処理について説明する。図3は探知情報処理部104の構成を表すブロック図である。図4は探知情報処理部104の記憶部143に記憶される情報を説明するための表である。図4(A)は各判定用情報の項目と結果の関係を示している。図4(B)は魚種に応じて設定されるアラーム発生条件データの例を示している。
【0034】
探知情報処理部104は、判定用情報検出部141、アラーム制御部142、記憶部143、表示データ生成部144を備える。
【0035】
受信信号処理部103から出力された探知データは、判定用情報検出部141と表示データ生成部144へ入力される。表示データ生成部144は、探知データに基づいて輝度が階調化された表示画像データを生成し、表示部へ出力する。
【0036】
判定用情報検出部141は、探知データに基づいて複数種類の判定用情報を検出する。具体的には、例えば、判定用情報検出部141は、物体検出用閾値を予め記憶しており、探知データの各距離(深度)位置のデータレベル(反射強度に相当)が物標検出用閾値よりも高ければ、当該位置に物標(魚群や単体魚、海底)があると判断する。この際、例えば、判定用情報検出部141は、連続する複数PINGのデータレベルや、距離(深度)方向に並ぶデータレベルに基づいて海底を判別する。そして、判定用情報検出部141は、海底と判別した位置よりも、海面側で物標検出用閾値よりも高いデータレベルを検出すれば、当該位置に魚群や単体魚が存在するものと判断する。これにより、判定用情報検出部141は、魚群もしくは単体魚の有無に関する判別用情報を取得する。この魚群もしくは単体魚の有無に関する判別用情報は、「有」、「無」の二種類のうちいずれかが選択される。
【0037】
判定用情報検出部141は、魚群もしくは単体魚が「有」の判別用情報を検出すると、当該魚群もしくは単体魚の深度を算出し、深度の判別用情報を取得する。深度の判別用情報は、数値(例えば[m])で設定されている。
【0038】
判定用情報検出部141は、検出した海底位置を基準とした距離(深度)方向に並ぶ探知データのレベルから底質を判定する。これは、底質によって、海底位置を基準とした距離(深度)方向に並ぶ探知データのレベル遷移が異なることを利用している。判定用情報検出部141は、底質に関する判定用情報として、「岩」、「礫」、「砂」、「泥」のいずれかを検出する。
【0039】
なお、判定用情報は、これら三種に限られるものではなく、魚種に応じて探知データのレベル遷移が異なるような情報であれば、判定用情報検出部141での検出項目に含むことができる。
【0040】
アラーム制御部142は、記憶部143に記憶されたアラーム発生条件データDA1を読み出し、各判定用情報と比較する。例えば、図4(B)に示すように、アラーム発生条件データDA1にて、魚群もしくは単体魚の有無に関する判別用情報が「有」、深度の判別用情報が「10m〜40m」、底質に関する判定用情報が「岩」に設定されている場合、アラーム制御部142は、これらの条件を満たすかどうかを判定する。
【0041】
アラーム制御部142は、判定用情報検出部141から得られた各判定用情報が、これらの条件を満たすと判断すると、アラームを放音するように、放音部106を放音制御する。例えば、アラーム制御部142は、図4(B)に示すように、アラーム発生条件データDA1に関連付けられた魚種FishAの検出を示すアラームを、放音部106から放音させる。この際、アラーム制御部142は、魚種FishAを検出したことを示す通知画像を表示データ生成部144へ出力してもよい。
【0042】
一方、アラーム制御部142は、判定用情報検出部141から得られた各判定用情報のうちいずれか一つでもアラーム発生条件データDA1を見たさなれば、放音部106から放音させる制御を行わない。
【0043】
これにより、特定の魚種を検出するために必要な判定用情報が複数であっても、それぞれの判定用情報が条件を満たす毎にアラームが放音されることはなく、特定の魚種を検出するために必要な全ての条件を満たした時にのみアラームが放音される。例えば、特定の魚種FishAを中型の真鯛とした場合、単体魚エコーがあり、当該エコーの深度が50m〜150m(冬期)であり、生息域の海底の底質が岩であるという特徴を有するため、これらの条件の全てを満たす場合にのみ、特定の魚種FishAを検出したことを示すアラームが放音される。一方で、従来の魚群探知装置では、エコーある時点でアラームが放音され、深度が一致した時点で再度アラームが放音され、底質が岩であると判別した時点でまたアラームがなる。しかしながら、エコーのある魚は多種あり、深度が重なる魚も多種あり、底質が岩の海域に生息する魚も多種あるため、従来の方法では、特定の魚種FishAが検出されたことを、必要十分に通知することができない。
【0044】
このように、本実施形態の構成および処理を用いれば、ユーザが所望とする特定の魚種の検出を、より正確且つ適切に通知することができる。
【0045】
以上のような一連の構成から実現されるアラーム発生処理を、コンピュータに実行させる場合には、図5に示す処理フローをプログラム化して記憶しておき、コンピュータで実行すればよい。図5はアラーム発生処理フローを示すフローチャートである。
【0046】
まず、超音波パルス信号のエコー信号から探知データを生成する(S101)。次に、探知データに基づいて、上述のように、各種の判定用情報を検出する(S102)。
【0047】
次に、魚種に応じて予め設定された複数のアラーム発生条件毎に、判定用情報を検証する(S103)。そして、全てのアラーム発生条件が判定用情報によって満たされていれば(S104:Yes)、アラームを発生して放音する(S105)。複数のアラーム発生条件のうち一つでも判定用情報によって満たされていなければ、アラームは発生しない(S104:No)。
【0048】
なお、上述の説明では、超音波パルス信号の周波数が一周波数の場合を示したが、二種の異なる周波数からなる超音波パルス信号を用いる場合には、周波数毎に、魚群もしくは単体魚のエコーの有無を検出すればよい。これにより、より魚種の特徴に準じた魚群もしくは単体魚の有無に関する判別用情報を得ることができる。
【0049】
また、二種の異なる周波数からなる超音波パルス信号を用いる場合には、底質判定をより確実に行うことができる。これは、「岩」、「礫」、「砂」、「泥」からなる底質種類によって、二周波数のエコー信号(探知データ)のレベル遷移が異なるからである。これにより、底質をより正確に判断することもできる。
【0050】
したがって、二種の異なる周波数からなる超音波パルス信号を用い、周波数毎にアラーム発生条件を設定しておけば、特定の魚種を、より正確に検出して、適切にユーザへ通知することができる。
【0051】
また、上述の説明では、単に、魚群および単体魚のエコーの有無のみを条件としたが、エコー強度を、段階的に「高」、「中」、「低」、「無」等に区切り、アラーム発生条件に利用することもできる。また、魚群および単体魚のエコーの深度のみでなく、海底深度をアラーム発生条件に利用することもできる。このように、判定用の条件を細分化、複数種類化することで、目的の魚種の検出を、より正確に実現することできる。
【0052】
次に、第2の実施形態に係る超音波探知装置および超音波探知方法について、図を参照して説明する。図6は、本発明の第2の実施形態に係る超音波探知装置10Aの構成を表すブロック図である。図7は、探知情報処理部104Aの構成を表すブロック図である。
【0053】
上述の第1の実施形態に係る超音波探知装置10では、送受波器101によって得られる水中からのエコー信号のみから判定用情報を検出する例を示したが、本実施形態の超音波探知装置10Aでは、更にセンサ108から計測データも用いて判定用情報を検出している。また、本実施形態の超音波探知装置10Aでは、魚種に対するアラーム発生条件群を複数種類記憶する場合を示している。
【0054】
センサ108は、例えば温度センサであり、水温の計測データを出力する。水温の計測データは、探知情報処理部104Aの判定用情報検出部141Aに入力される。
【0055】
判定用情報検出部141Aは、第1の実施形態に示したような、魚群もしくは単体魚の有無に関する判別用情報、深度の判別用情報、底質に関する判定用情報とともに、水温の判定用情報を取得する。水温の判定用情報は、数値(例えば[°])で設定されている。
【0056】
記憶部143には、魚種毎に設定された二種類のアラーム発生条件データDA2,DB2が記憶されている。アラーム発生条件データDA2,DB2には、必要に応じて水温に関するアラーム発生条件が含まれている。
【0057】
アラーム制御部142は、記憶部143に記憶されたアラーム発生条件データDA2,DB2を読み出す。アラーム制御部142は、アラーム発生条件データDA2,DB2毎に各判定用情報と比較する。すなわち、アラーム制御部142は、アラーム発生条件データDA1の各条件と各判定用情報とを比較し、アラーム発生条件データDB2の各条件と各判定用情報と比較する。
【0058】
アラーム制御部142は、アラーム発生条件データDA2の全ての条件が判定用情報によって満たされていれば、アラーム発生条件データDA2に関連する第1の魚種に応じたアラームを放音する。一方、アラーム制御部142は、アラーム発生条件データDA2の全ての条件のうち一つでも判定用情報によって満たされていなければ、アラーム発生条件データDA2に関連する第1の魚種に応じたアラームを放音しない。
【0059】
また、アラーム発生条件データDB2の全ての条件が判定用情報によって満たされていれば、アラーム発生条件データDB2に関連する第2の魚種に応じたアラームを放音する。一方、アラーム制御部142は、アラーム発生条件データDB2の全ての条件のうち一つでも判定用情報によって満たされていなければ、アラーム発生条件データDB2に関連する第2の魚種に応じたアラームを放音しない。
【0060】
この際、アラーム制御部142は、第1の魚種に対するアラームの音と、第2の魚種に対するアラームの音を異ならせておけば、ユーザは検出された魚種を音で判断することができる。これは、例えば、記憶部143に記憶されているアラーム発生条件と魚種との関連付け情報に対して、さらに放音音声の情報を関連付けして記憶しておき、アラーム制御部142がアラーム発生条件とともに読み出すことで、実現できる。
【0061】
これにより、複数の魚種の検出アラームを設定していても、魚種毎に、正確に検出アラームを放音することができる。
【0062】
なお、このように複数の魚種に対するアラーム発生条件群を記憶している場合、魚種毎のアラーム発生条件群を選択して利用することもできる。例えば、複数の魚種に関して、アラーム発生条件データが記憶されている場合、これらのうちいずれか一つ以上を選択して、アラーム制御の判断条件に利用してもよい。
【0063】
また、上述の処理では、魚種毎にアラーム発生条件を設定しているが、同じ魚種であっても、生息する海域が異なる場合に、それぞれを個別に設定して利用することもできる。
【0064】
このように、本実施形態の構成を用いれば、さらに判定用情報を増やすことができるため、ユーザが所望とする特定の魚種の検出を、より一層、正確且つ適切に通知することができる。
【0065】
なお、本実施形態では、水温センサを用いる例を示したが、魚種によって異なる他の特性を計測できるセンサを用いてもよい。
【0066】
また、上述の各実施形態の構成に追加して、魚体長検出機能を備えることで、さらに判定用情報を増やすこともできる。これにより、より正確に特定魚種の検出を判別することができる。例えば、上述の真鯛の場合、魚体長は30cm〜100cmであるので、このような条件を設定しておけばよい。
【0067】
また、魚体長に応じてアラームを変更することも可能である。所定の魚体長を超える魚が検出された場合だけ、特定のアラームを放音するようにすれば、捕獲が許される魚体長以上の魚を検出したことを正確に判別でき、水産資源の保護において有効である。また、魚体長は、魚種判別に有効であるので、所定の魚体長範囲の単体魚が検出された場合にのみ、特定のアラームを放音すれば、ユーザが目的とする魚種を検出したことを、より正確に判別できる。また、さらに、魚の生息、遊泳するタナは魚種毎に特徴があるので、単体魚の魚体長と当該単体魚の検出された深度とを組み合わせて、特定のアラームを放音制御を行えば、ユーザが目的とする魚種を検出したことを、さらに正確に判別できる。
【0068】
また、上述の判定用情報に、日時の情報を追加してもよい。これにより、回遊魚等の場合、季節、時刻等により生息位置が異なるが、季節及び時刻を加味して特定魚種の検出の判定を、正確に行うことができる。
【0069】
また、上述の説明では、深度および水温の値を判定用情報に利用する例を示したが、深度の変化や水温変化を判定用情報に利用することもできる。
【0070】
また、上述の説明では、アラーム発生条件を予め記憶する例を示しているが、ユーザが釣果に基づいて、アラーム発生条件を変更したり、新たなアラーム発生条件を登録することもできる。この場合、ユーザは、設定変更もしくは設定登録の操作処理を、操作ボタン192を操作することで、操作入力部107に対して行う。これにより、探知情報処理部104は、探知画像151上に設定用ウィンドウ152を表示させるように、表示データ生成部144に表示制御する。これにより、図2に示すように、設定用ウィンドウ152が表示される。
【0071】
ユーザは、設定用ウィンドウ152を見ながら、各アラーム発生条件や魚種名の変更または登録を行う。この際、判定用情報検出部141,141Aで検出された判定用情報を、設定用ウィンドウ152におけるアラーム発生条件の箇所に併記する等の表示を行っておけば、ユーザは簡単にアラーム発生条件の変更または新規登録手続きを行うことができる。
【0072】
また、上述の説明では、探知データ表示器100,100Aに表示部105、放音部106、操作入力部107を含む例を示したが、これらのうちいずれか一つ以上を別体で形成してもよい。また、送信制御部102、受信信号処理部103を、探知データ表示器100,100Aと一体形成してもよい。
【0073】
また、上述の説明では、アラームとして放音を行う場合を例に示したが、表示部に警告通知を表示するようにしてもよい。また、ユーザが持ち運び可能な振動発生体等を用意して、装置本体と無線通信可能な機能を持たせ、アラームとして振動を発生するようにしてもよい。もちろん、装置本体を振動させてもよい。
【符号の説明】
【0074】
10,10A:超音波探知装置、100,100A:探知データ表示器、101:送受波器、102:送信制御部、103:受信信号処理部、104,104A:探知情報処理部、105:表示部、106:放音部、107:操作入力部、108:センサ、
141,141A:判定用情報検出部、142:アラーム制御部、143:記憶部、144:表示データ生成部、
190:筐体、151:探知画像、152:設定用ウィンドウ、191:電源用スイッチ、操作ボタン192

【特許請求の範囲】
【請求項1】
探知信号のエコー信号から得られる探知データに基づいてアラームを発生するアラーム発生装置であって、
前記探知データから探知対象に関する複数の判定用情報を検出する判定用情報検出部と、
前記判定用情報がアラーム発生条件を満たすと、アラーム発生制御を行うアラーム制御部と、を備え、
前記アラーム制御部は、設定された全てのアラーム発生条件が前記判定用情報によって満たされると、前記アラーム発生制御を行う、アラーム発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアラーム発生装置を備え、超音波の前記探知信号を水中に送信し、前記エコー信号に基づいて探知を行う超音波探知装置であって、
前記判定用情報検出部は、前記判定用情報として、魚群または単体魚の検出情報と底質とを検出し、
前記アラーム制御部は、前記魚群または単体魚の検出情報と底質とがともにそれぞれのアラーム発生条件を満たす場合に、前記アラーム発生制御を行う、超音波探知装置。
【請求項3】
請求項2に記載の超音波探知装置であって、
複数のアラーム発生条件を魚種に関連付けして設定する操作を受け付ける操作入力部と、
魚種と該魚種に関連付けされた複数のアラーム発生条件とを記憶する記憶部と、を備え、
前記アラーム制御部は、
魚種に関連付けされた複数のアラーム発生条件を前記記憶部から読み出し、
前記魚種に関連付けされた複数のアラーム発生条件の全てが前記判定用情報によって満たされると、前記魚種に応じた前記アラーム発生制御を行う、超音波探知装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の超音波探知装置であって、
前記探知信号として、周波数の異なる複数の周波数の探知信号を送信する送信部を備え、
前記判定用情報検出部は、前記複数の周波数の探知信号によって得られる複数のエコー信号から前記判定用情報を検出する、超音波探知装置。
【請求項5】
探知信号のエコー信号から得られる探知データに基づいてアラームを発生するアラーム発生方法であって、
前記探知データから探知対象に関する複数の判定用情報を検出する判定用情報検出工程と、
前記判定用情報がアラーム発生条件を満たすと、アラーム発生制御を行うアラーム制御工程と、を有し、
前記アラーム制御工程では、設定された全てのアラーム発生条件が前記判定用情報によって満たされると、前記アラーム発生制御を行う、アラーム発生方法。
【請求項6】
請求項5に記載のアラーム発生方法を含み、超音波の前記探知信号を水中に送信し、前記エコー信号に基づいて探知を行う超音波探知方法であって、
前記判定用情報検出工程では、前記判定用情報として、魚群または単体魚の検出情報と底質とを検出し、
前記アラーム制御工程では、前記魚群または単体魚の検出情報と底質とがともにそれぞれのアラーム発生条件を満たす場合に、前記アラーム発生制御を行う、超音波探知方法。
【請求項7】
請求項6に記載の超音波探知方法であって、
複数のアラーム発生条件を魚種に関連付けして設定する操作を受け付ける操作入力工程と、
魚種と該魚種に関連付けされた複数のアラーム発生条件とを記憶する記憶工程と、を有し、
前記アラーム制御工程では、
記憶されている魚種に関連付けされた複数のアラーム発生条件を読み出し、
前記魚種に関連付けされた複数のアラーム発生条件の全てが前記判定用情報によって満たされると、前記魚種に応じた前記アラーム発生制御を行う、超音波探知方法。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の超音波探知方法であって、
前記探知信号として、周波数の異なる複数の周波数の探知信号を送信する送信工程を有し、
前記判定用情報検出工程では、前記複数の周波数の探知信号によって得られる複数のエコー信号から前記判定用情報を検出する、超音波探知方法。
【請求項9】
探知信号のエコー信号から得られる探知データに基づいてアラームを発生するアラーム発生機能をコンピュータに実行させるためのアラーム発生プログラムであって、
前記コンピュータは、
前記探知データから探知対象に関する複数の判定用情報を検出する判定用情報検出処理と、
前記判定用情報がアラーム発生条件を満たすと、アラーム発生制御を行うアラーム制御処理と、を実行し、
前記アラーム制御処理では、設定された全てのアラーム発生条件が前記判定用情報によって満たされると前記アラーム発生制御を行う、アラーム発生プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のアラーム発生プログラムの各処理を含み、超音波の前記探知信号を水中に送信し、前記エコー信号に基づいて探知を行う超音波探知機能を前記コンピュータに実行させるための超音波探知プログラムであって、
前記コンピュータは、
前記判定用情報検出処理では、前記判定用情報として、魚群または単体魚の検出情報と底質とを検出し、
前記アラーム制御処理では、前記魚群または単体魚の検出情報と底質とがともにそれぞれのアラーム発生条件を満たす場合に前記アラーム発生制御を行う、超音波探知プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の超音波探知プログラムであって、
前記コンピュータは、
複数のアラーム発生条件を魚種に関連付けして設定する操作を受け付ける操作入力処理と、
魚種と該魚種に関連付けされた複数のアラーム発生条件とを記憶部へ記憶する記憶処理と、を実行し、
前記アラーム制御工程では、
魚種に関連付けされた複数のアラーム発生条件を前記記憶部から読み出し、
前記魚種に関連付けされた複数のアラーム発生条件の全てが前記判定用情報によって満たされると、前記魚種に応じた前記アラーム発生制御を行う、超音波探知プログラム。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載の超音波探知プログラムであって、
前記コンピュータは、
前記探知信号として、周波数の異なる複数の周波数の探知信号を送信する送信制御処理を実行し、
前記判定用情報検出工程では、前記複数の周波数の探知信号によって得られる複数のエコー信号から前記判定用情報を検出する、超音波探知プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−57609(P2013−57609A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196648(P2011−196648)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000166247)古野電気株式会社 (441)
【Fターム(参考)】