説明

アルカリ金属の挿入化合物の調製方法、これを含む活物質およびこの活物質を含む素子

本発明は、以下の連続的な工程:a)酸化状態が2より大きい遷移金属または遷移金属混合物Mの有機錯体を、イオン形態のアルカリ金属Aおよび式H(XO)(式中、Xは、Si、S、Al、P、Ge、As、Moから選択され、bは0〜5に等しい)の種と、閉鎖チャンバ内にて液体媒質中で接触させ、該チャンバを、該液体媒質中での該有機錯体の分解を可能にする温度Tにする工程、該チャンバ内の温度および圧力を室温および大気圧にし、式AMXO(式中、Mは2より大きい酸化状態である)のアルカリ金属の挿入化合物を回収する工程を行なうことからなる、アルカリ金属挿入化合物の調製方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[説明]
本発明は、リチウムイオンなどのアルカリ金属イオンの挿入化合物の調製方法、最も詳細には、ポリアニオン構造を有するアルカリ金属イオンの挿入化合物の調製方法に関する。
【0002】
また、本発明は、それにより得られる挿入化合物、特に、リチウム挿入化合物に関する。
【0003】
さらにまた、本発明は、該挿入化合物を含有する活物質、例えば陽極活物質などに関する。
【0004】
最後に、本発明は、該化合物および/または活物質を含む素子、例えばエレクトロクロミック素子および電池などに関する。
【0005】
リチウム電池は、特に、コンピュータ、電話、携帯情報端末(personal assistant)、カムコーダーなどの携帯用装置における自律エネルギー源としての使用が増大しており、この用途で、これらは、徐々に、ニッケル−カドミウム(NiCd)電池およびニッケル−金属水素化物(NiMH)電池にとって代わる傾向にある。この発展は、エネルギー密度(Wh/kg、Wh/l)の点に関するリチウム電池の性能が、上記の2つのタイプのものよりもかなり優れているという事実に起因する。
【0006】
これらの電池に使用されている電極活性化合物は、主に、陽極としてはLiCoO、LiNiOおよびLiMnであり、陰極としてはグラファイトまたはコークスなどの炭素などである。これらの化合物の理論上および実用上の容量は、およそ4ボルトの金属リチウムに関する作動電圧で、LiCoOおよびLiNiOでは、それぞれ、275mAh/gおよび140mAh/gであり、LiMnでは148mAh/gおよび120mAh/gである。
【0007】
現在市販されている電池系のほとんどは、このように、LiCoO/Cのペアを使用しているが、コバルト元素に関連するコストおよび毒性の数多くの問題が生じており、また、使用される電解液に関連するLi1−xCOの不安定性および/または反応性に関する電池系の本質的な安全性の問題が生じている。
【0008】
同様に、酸化ニッケルは、これもまたその高い毒性により大きな問題を示す。
【0009】
酸化マンガンに関しては、特にスピネル型構造Li1+xMn2−x(0≦x≦0.33)を有するファミリーは、酸化コバルトおよび酸化ニッケルと同等の電気化学的性能を示すことができる。また、マンガンがコバルトおよびニッケルと比べて天然に豊富により多く存在し、その酸化物の毒性が低いことは、電池において広く使用されるのに重要な利点であることは明白である。
【0010】
それにもかかわらず、LiMnの特定の場合において、ヘキサフルオロリン酸リチウムを構成する金属リチウムに関して4ボルト付近での作動のために配合された電解液と組み合わせて使用すると、酸化マンガンが徐々に溶解し、その結果として電池の使用寿命が縮まることが確認されている。
【0011】
電気化学反応に使用される2つの族の化合物は、一方はカンラン石アイソタイプ族であり、他方はナシコン族である。ナシコンという名称は、ナトリウム(Na)超イオン導電体を意味すること、およびこの化合物は、式Na12に相当することに留意されたい。これらの2つの族は、等価な元素から構成され、ポリアニオン数/リチウム数の比および結晶構造においてのみ異なる。これは、カンラン石アイソタイプ族が斜方晶系の結晶単位格子を有し、式A12のナシコンアイソタイプ族が菱面体単位格子を有するためである。
【0012】
Li1−xFePO、例えばLiFePO(トリフィライト)などの斜方晶系の結晶単位格子を有するカンラン石と同形の構造を有する物質は、潜在的に安価であり、無毒性であるという利点を有する。LiFePOの場合、リチウムの挿入/抽出は、3.45V/Li/Liでの2相プロセス(これは、この化合物を、事実上すべての有機溶媒中で安定にする)に従って起こる。さらにまた、電解液の存在下の荷電状態(「FePO」)において、上記の酸化物よりもずっとより安定であり、電池において大きな作動安定性をもたらすことがわかっている。
【0013】
しかしながら、このファミリーの化合物に関する主な問題点は、周囲温度における低電子伝導性および低イオン伝導性である。したがって、これにより、ホスト構造内のリチウムの挿入/脱離の速度論が制限され、比較的低い充電/放電速度に対するこれらの化合物の使用が制限される。
【0014】
さらにまた、ナシコン型構造を有する、すなわち式A(XO(式中、Aはアルカリ金属であり、Mは遷移金属であり、Xは、Si、P、S、 MoまたはGeを表す)の化合物はまた、特にそのリチウムイオンに関するイオン伝導性が高いことにより陽極活物質として好都合である。しかしながら、カンラン石構造を有する化合物と同様に、これらは不十分な電子伝導体であり、これにより、その使用が制限される。
【0015】
また、その不十分な電気化学的速度論により、LiFePOなどのカンラン石ファミリーの化合物は、エレクトロクロミック素子における活物質として使用することができない。
【0016】
従来、文献においては、例えば、A. Yamada他による文献「リチウム電池カソード用の最適化LiFeO(Optimized LiFePO4 for lithium battery cathodes)」、Journal of the Electrochemical Society, 148(3)A224-A229 (2001)およびS. Yang他による文献「リン酸鉄リチウムカソードの水熱合成(Hydrothermal synthesis of lithium iron phosphate cathodes)」、Electrochemistry Communications, 3 (2001), 505-508においては、一般的に式LiMXO(式中、Mは遷移金属または遷移金属の混合物を表し、Xは、P、Si、S、Al、GeまたはAsなどを表す)の化合物が得られることを可能にする合成方法は、固体状態である反応体のみを用い、かつ高温、すなわち一般的に600℃より高い温度を伴う方法である。
【0017】
これらの方法には、使用する反応体、これらが用いられる条件および得られる生成物に関して、同様に数多くの欠点がある。
【0018】
したがって、Li、(NH(XOおよび金属塩のM2+塩などの、これらの合成方法に使用される反応体は、いくつかの不都合点を有する。すなわち、これらの反応体は、熱分解の際にNOおよびNHなどの有害なガスが放出され、特にM=Feである場合、その酸化数(+II)を保持するために、不活性雰囲気、例えばアルゴンまたは窒素の使用を必要とし、これにより、取扱い時にかなりの制限が加わる。
【0019】
合成は、長時間かかり(その持続期間は24時間を超えることがあり得る)、特に、温度に関して厳しいといえる(極めて高温)条件下で行なわれる。また、毒性の副生成物が、合成中に形成され得る。
【0020】
最後に、「全固相合成法」と呼ばれるこれらの方法は、形状に関して、および大きさに関して確実に均一ではない形態構造を伴う微粒子の形態の最終生成物、例えばLiFePOをもたらし、これは、図1に示されている(LiFePO凝集物が明白に見られる)。
【0021】
生成物の形態構造におけるこの不均一性は、そのカソード物質としての性質が良好でないこと、およびその結果として、これらの化合物が用いられる電池の性能が満足のいくものではないことを意味する。
【0022】
さらにまた、従来技術の方法により合成された化合物は高純度ではなく、しばしば、使用前、例えば電池の陽極に組み込む前に、追加の精製工程を必要とする。
【0023】
特に、LiFePOの場合、 「全固相」合成経路により得られる化合物は、該物質の比容量に対して有害なFe3+高含量をもたらす。
【0024】
粒子の不均一性は、必ず、該粒子に応じた分散をもたらし、これは、電池の充電の状態を管理する際に問題となる。
【0025】
Fe2+のみが電気化学反応に関与するため、不純物Fe3+の存在は容量に有害である。
【0026】
したがって、無毒性の出発物質を使用し、かつ有害な可能性のある廃棄物を副生成物としてあまり多く生成しない、簡単、高速、安全で信頼性があり、「クリーン」で安価な、アルカリ金属の挿入化合物の調製方法が必要である。
【0027】
高純度で、完璧に制御された均一な形態構造を有する最終生成物(これは、優れた電気化学的速度論の性質ならびに高い電子伝導性およびイオン伝導性を示し、高い充電/放電速度で使用することができる)が得られる、アルカリ金属の挿入化合物の調製方法も必要である。
【0028】
換言すると、化学反応の点に関して優れた結果が得られ、その結果として、電池のカソード物質として優れた性質を有する、リチウムなどのアルカリ金属の挿入化合物が必要である。
【0029】
これらの性質は、低コスト、低毒性ならびに有機溶媒および電解液中での高安定性と調和し、電池およびエレクトロクロミック素子などの素子において、長期間にわたって高い信頼性でこれらの挿入化合物の使用を可能にするものでなければならない。
【0030】
本発明の目的は、上記の要件を満たす、リチウムなどのアルカリ金属の挿入化合物の調製方法を提供することである。
【0031】
本発明の目的はまた、従来技術の方法の不都合点、短所、制限および不便さを示さず、従来技術の方法の問題を解決する、リチウムなどのアルカリ金属の挿入化合物の調製方法を提供することである。
【0032】
本発明によれば、この目的およびさらに他の目的は、以下の連続的な段階:
a)酸化状態が2より大きい遷移金属または遷移金属の混合物Mの有機錯体を、イオン形態のアルカリ金属Aおよび式H(XO)(式中、Xは、Si、S、Al、P、Ge、AsまたはMoから選択され、bは0〜5の値を有する)の種(entity)と、閉鎖チャンバ内にて液体媒質中で接触させ、該チャンバは、液体媒質中での有機錯体の分解を可能にする温度Tにする段階、および
b)チャンバ内の温度および圧力を周囲温度および大気圧に戻し、式AMXO(式中、Mは+2の酸化状態である)のアルカリ金属の挿入化合物を回収する段階、
を行なう、アルカリ金属の挿入化合物の調製方法により達成される。
【0033】
本発明の方法は、特定の順序の特定の段階を含む。
【0034】
本発明の方法は、段階の各々の性質およびその順序の両方に関して、根本的に、従来技術の方法と異なる。
【0035】
本発明の方法では、合成は、液体媒質中で行なうが、従来技術の方法では、合成は、固体反応体を互いに接触させることにより行なう。
【0036】
また、本発明の方法では、金属が、IIより大きい、例えば3(III)に等しい特定の酸化状態である有機錯体を使用する。
【0037】
本発明の方法では、合成に、市販品として容易に入手可能な安価な出発材料を使用する。
【0038】
これらの反応体は、毒性ではない。これらは、有害なガスを発生しないため、あらゆる制約を課す不活性なアルゴンまたは窒素の雰囲気を提供する必要がない。
【0039】
本発明に従って使用される特定の有機錯体では、金属Mがすでに好ましくはIIIに等しい酸化数であって、従来技術のように酸化数がIIでないという事実に本質的に関連するこの利点は、M=Feの場合に特に示される。
【0040】
本発明によれば、錯体の有機部分(Mの前駆物質(例えば、Feの前駆物質)とも呼ぶ)は、温度の影響下で分解し、最初に酸化状態がIIIより大きい、例えばIIIに等しいすべての金属Mを、IIに等しい酸化状態(この状態の金属は、次いで、チャンバ内に存在するイオン形態のアルカリ金属と反応して最終化合物AMXO、例えばLiMXOをもたらす)に定量的に変換する還元性の種を高度に放出する。
【0041】
本発明の方法は、高速である。一例として、本発明の方法は、一般的に2〜3時間しかかからないが、従来技術の固相経路による合成方法は、一般的に、24時間より長くかかる。
【0042】
本発明の方法は、無毒性の出発物質の使用に加え、毒性の副生成物を生成しない、クリーンな方法である。
【0043】
本発明の方法は、従来技術の生成物よりも純度が高い、高純度の最終生成物をもたらす。この理由のため、本発明の化合物は、使用前、例えば電池の陽極に組み込む前に、追加の生成段階を全く必要としない。
【0044】
得られる化合物は、その調製方法のおかげで、該化合物を構成する微粒子の大きさに関して、および形状に関して十分に制御された形態構造を示す。微粒子は、好ましくは、従来技術の方法、特に「全固相」合成により調製される微粒子(確実に均一でなく、「不均一」である)とは対照的に、形状および大きさが均一である。
【0045】
形態構造のこの制御、大きさおよび形状におけるこの均一性は、本発明の化合物が組み込まれた電池の電力、安定性および安全性に関して優れた性能をもたらす。
【0046】
本発明は、さらに、式AMXO(式中、Aはアルカリ金属から選択され、Xは、Si、S、Al、P、Ge、AsおよびMoから選択され、Mは+2の酸化状態である)のアルカリ金属の挿入化合物であって、2より大きい酸化状態の金属M、例えば金属M(III)の含量として5重量%未満、好ましくは1重量%未満を示すことを特徴とする、アルカリ金属の挿入化合物に関する。
【0047】
本発明はまた、本発明の、または本発明の方法により調製される物質を含有する電極活物質に関する。
【0048】
本発明はまた、該活物質を含有する陽極、該陽極を含む電池、および本発明の、または本発明の方法により調製される化合物を含むエレクトロクロミック素子に関する。
【0049】
例示の目的で示した制限されない、添付の図面を参照する以下の詳細な説明を読むと、本発明がより良く理解されよう。
【0050】
詳細には、本発明の方法は、本質的なa)段階において、酸化状態が2より大きい遷移金属または遷移金属の混合物Mの有機錯体を、イオン形態のアルカリ金属Aおよび種H(XO)(式中、Xは、Si、S、Al、Ge、AsおよびMoから選択され、bは0〜5の値を有する)と、閉鎖チャンバ内にて液体媒質中で接触させることを含む。
【0051】
アルカリ金属Aは、有利には、LiおよびNaから選択される。これは、好ましくは、式A(XO)(式中、aは1〜5、例えば2の値を有する)のアルカリ金属塩の形態に誘導される。好ましくは、XはPである。好ましいアルカリ金属塩A(XO)は、LiHPOである。
【0052】
金属Mの酸化状態は、有利には、3〜5である。
【0053】
好ましくは、金属Mの酸化状態は、3(III)に等しい。
【0054】
金属Mは、有利には、Mn、Fe、Ni、Coなどの遷移金属およびそれらの混合物から選択される。
【0055】
用語「有機錯体」は、金属Mが、例えば共有結合、イオン結合または配位結合を介して少なくとも1個の有機配位子に結合している化合物を意味すると理解されたい。この有機錯体を、金属Mの前駆物質とも呼ぶ。
【0056】
有利には、本発明によれば、該配位子は、式:
【0057】
【化1】

【0058】
の有機化合物、すなわち、ニトリル官能基を含有する有機化合物から選択される。上記式中、R、RおよびRの少なくとも1つは、少なくとも1個の酸素原子を含有する。
【0059】
、RおよびRは、独立して、カルボキシ(1〜4C)アルキルラジカル、例えば、カルボキシメチル、カルボキシエチルなどから選択される。
【0060】
該配位子の好ましい一例は、式N(CHCOH)のニトリロ三酢酸またはエチレンジオキシエチレンジニトリロ四酢酸(EGTAとして知られる)である。
【0061】
該有機錯体は、好ましくは、a)段階の前の段階で、酸化状態が2より大きい金属Mの塩を、液体媒質中の有機化合物と接触させることにより調製する。
【0062】
上記有機化合物は、好ましくは、上記の式:
【0063】
【化2】

【0064】
と一致する。
【0065】
金属塩は、有利には、金属(III)の塩であり、該金属は、好ましくは鉄である。塩は、金属Mの硫酸塩、硝酸塩、塩化物、酢酸塩、クエン酸塩、カルボン酸塩などから選択され得る。金属塩は、有利には、硫酸鉄(III)であり得る。
【0066】
有機化合物および金属Mの塩を接触させる操作は、本発明の方法のa)段階の方法の後に、液体媒質中で行なわれる。この理由のため、本発明の方法が、有機錯体を調製する予備段階をさらに含む場合でも、全プロセスは液体媒質中で行なわれ、固相経路により行なわれるプロセスと比較したときの本合成方法による利点はすべて示される。
【0067】
有機錯体の合成のための液体媒質は、水、液体アルカン、例えばドデカンまたはリン酸トリブチル(TBP)などの有機溶媒、およびそれらの混合物から選択される。
【0068】
金属塩および有機化合物を接触させる操作は、一般的に、複合体の分解および還元性ラジカルの生成をもたらすのに十分な温度で行なわれる。
【0069】
例えば、金属塩、例えば、硫酸鉄(III)の水溶液を、ニトリル官能基を有し、かつ少なくとも1個の酸素原子を含有する有機系薬剤である化合物(ニトリロ三酢酸など)の存在下で、少なくとも1時間、還流する。
【0070】
反応の最後に、一般的には沈殿物の形態で得られる金属金属錯体、例えば金属(III)の有機錯体を回収し、一般的には洗浄し、乾燥させる。
【0071】
a)段階では、有機錯体を、上記の任意選択の予備段階において調製されたものであっても、そうでなくても、一般的に、リチウム塩Li(XO)、例えばLiHPOなどのアルカリ金属塩と接触させる。
【0072】
この接触操作は、液体媒質中で行なう。該液体媒質は、一般的に、有機錯体の合成の任意選択の予備段階で使用するものと同じである。
【0073】
この接触操作は、閉鎖チャンバ内、閉じた容器、例えば、密閉反応器またはオートクレーブ内で行なう。
【0074】
ソルボサーマル(solvothermal)条件(溶媒が水の場合は水熱条件)を、反応媒質に適用する、すなわち操作温度を溶媒の沸点よりも高くする。この温度は、液体媒質中の錯体の分解を可能にし、チャンバが閉鎖されている結果、圧力が制御されず、PV=nRTから推定される。媒質が水である場合、オートクレーブ内の圧力は、蒸気(水のP/T状態図)により設定され、設定温度が200℃のとき20バールに達する。
【0075】
接触操作は、一般的に、攪拌しながら行なう。
【0076】
加熱は、1〜10時間継続し、その間、上記の圧力および温度を維持する。この期間の最後に、攪拌および加熱を停止し、チャンバ内の温度および圧力(混合物の温度)を周囲温度および大気圧に戻す。
【0077】
有利には、本発明によれば、得られる最終物質の形態構造、すなわちその大きさおよび形状は、冷却条件によって調整され得ることに留意されたい。したがって、例えば、0.5〜2℃/分の冷却速度での低速冷却は、一般的に、20〜40μmの大きさの最終生成物の微粒子をもたらす。
【0078】
混合物(反応器)が周囲温度および大気圧に戻ったら、チャンバ(反応器)を開放し、最終生成物(これは、固体であり、一般的には、微粒子、例えば粉末の形態で存在し、一般的には反応器の底部に沈殿している)を回収する。
【0079】
回収は、例えば、ろ過または沈降分離により行なう。
【0080】
続いて、b)段階の最後に回収した生成物は、一般的には、例えば脱イオン水で洗浄し、次いで、任意選択で真空下にて、一般的には80〜150℃の温度で乾燥させる。
【0081】
アルカリ金属の挿入化合物である最終生成物は、式AMXO(式中、A、MおよびXは、すでに先に規定した通りである)に相当するものである。式AMXOは、この合成が、アルカリ金属と遷移金属の混合ポリアニオン化合物の形成をもたらすという事実を単に反映する一般式である。ポリアニオン主鎖を有するこの化合物は、リン酸塩、ケイ酸塩、モリブデン酸塩、ゲルマニウム酸塩、硫酸塩またはそれらの混合物のファミリーに属する。
【0082】
発明のアルカリ金属の挿入化合物は、従来技術の方法により得られる同様の生成物とは対照的に、高純度の生成物である。この純度は、例えば、粉末X線回折図により示され、図には、どのような冷却方法を使用しても、副次(subsidiary)ピークが示されない。
【0083】
この純度はまた、酸化還元滴定および元素分析などの他の物理化学的分析によっても実証される。
【0084】
本発明の化合物は、不純物である酸化状態が2(II)より大きい金属Mの含量、例えば、Fe(III)などの金属M(III)の含量として、5重量%未満、好ましくは1%未満である。
【0085】
この高純度は、根本的には、本発明の方法の特定の特徴に関連する。
【0086】
本発明の生成物は、一般的に、微粒子(粒子と呼ぶ場合もある)の形態で存在し、該微粒子は、例えば、円柱、立方体または多面体の形状を有する。これらの微粒子または粒子の大きさは、そのジオメトリー(geometry)に従って、最も特徴的または最も代表的な寸法により規定される。したがって、円柱の形状の微粒子では、その大きさは、その直径および長さにより規定される。これらの集合した(combined)微粒子が、粉末を構成すると定義できる。
【0087】
本発明の化合物の微粒子は、すでにわかっているように、冷却速度および/または後者のプロフィールの調整によって、十分に制御された種々の大きさを有する。この大きさ、例えば、円柱状微粒子の場合の直径は、0.1〜50μmである。
【0088】
本発明の化合物の微粒子は、本方法の特徴の結果として、十分に制御された形態構造を有し、その形状および大きさの両方に関して均一である。
【0089】
これは、ある特定の量の微粒子について、SEMを用いた観察によると、平均の所望の形状からはずれる微粒子の割合が非常に低く、例えば20%未満、好ましくは10%未満であることを意味する。
【0090】
また、本発明の微粒子は、従来技術の方法により調製される微粒子(例えば、図1を参照)とは対照的に、凝集を示さないことが示され得る。
【0091】
該微粒子はまた、大きさに関して均一である。すなわち、所与の合成方法の最後に得られた粒子の大きさの分布を考察する場合、微粒子の大きさの平均値からの偏差は、一般的に20%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは1%未満である。
【0092】
また、本発明は、1種類以上の上記化合物を含有する電極活物質、特に陽極活物質に関する。
【0093】
かかる電極活物質、特に陽極活物質において、本発明の化合物は、従来の化合物、例えばLiCoO、LiNiO、酸化マンガン、特にスピネル型構造Li1+xMn2−x(0≦x≦0.33である)を有するもの、例えばLiMn、Li1−xFePO、例えばLiFePOなどのカンラン石アイソタイプ族の化合物、ナシコン型構造を有する化合物、文献US−A−6 085 015に開示されたオルトケイ酸型のリチウムの挿入物質、および文献EP−A2−1 195 825に開示された物質などの1種類以上の他の(すなわち、本発明の化合物以外の)活性化合物と、任意選択で組み合わせることができる。
【0094】
また、本発明は、上記活物質を含有する陽極に関する。
【0095】
適当な電極活物質に加え、本発明の陽極は、一般的に、好ましくは、任意の形態の炭素、例えばカーボンブラック、アセチレンブラック、グラファイトまたはコークスなどの電子伝導性物質を含む。
【0096】
陽極は、ポリマーバインダーをさらに含む。
【0097】
該ポリマーバインダーは、一般的に、フルオロポリマー、エラストマーおよびセルロース化合物から選択される。
【0098】
フルオロポリマーは、例えば、フッ化ビニリデンのポリマーおよびコポリマーならびにテトラフルオロエチレンのポリマーおよびコポリマーから選択され得る。
【0099】
陽極は、一般的に、75〜95重量%の活物質、2〜15重量%の導電物質および3〜10重量%のポリマーバインダーを含有する。
【0100】
陽極を調製するため、溶媒中に溶解した電極活物質、導電物質およびポリマーバインダーを混合する。混合物を、例えばコーティングにより、一般的にはシート状の導電物質で構成された基材、例えばアルミニウム製の基材上に塗布し、該混合物が塗布された基材を、任意選択で真空下にて、加熱により乾燥する。
【0101】
また、本発明は、該陽極を含む、リチウム電池などの電池に関する。
【0102】
かかる電池は、一般的に、該陽極に加えて、陰極、セパレータおよび電解液を含む。陰極は、金属リチウム、リチウム合金または炭素から一般的に選択される物質から構成され得る。好ましくは、陰極は、LiTi12を主成分とする。
【0103】
セパレータは、一般的には、ポリプロピレンなどのマイクロポーラスポリマーから作製されたものである。
【0104】
最後に、電解液は、溶媒および導電性の塩を含有し、溶媒は、一般的に、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、エチレングリコールまたはポリエチレングリコール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコールもしくはテトラエチレングリコールのジ(C1〜4)アルキルエーテル、およびそれらの混合物から選択される。
【0105】
好ましい溶媒は、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの混合物である。
【0106】
導電性の塩は、一般的に、ヘキサフルオロリン酸リチウム、LiPF、LiAsF、LiBF、トリフルオロメタンスルホン酸塩、およびそれらの混合物から選択される。
【0107】
最後に、本発明は、本発明の化合物を含む、エレクトロクロミック素子に関する。
【0108】
かかるエレクトロクロミック素子において、本発明の化合物または本発明の化合物を含有する物質は、基材、例えばガラス上の堆積物の形態であることが多い。通電、すなわちリチウムの挿入/脱離により、物質の光学的性質、例えば物質の色が変わる。したがって、色が変化するウィンドウを得ることが可能である。その他の点では、操作は、電池の場合と同一である。
【0109】
次に、本発明を、以下の実施例(例示の目的で示し、制限されない)を参照しながら説明する。
【実施例】
【0110】
〔実施例1〕
この実施例では、本発明に従って、式LiFePOの化合物を調製する。
【0111】
最初に、ニトリロ三酢酸鉄(III)錯体(FeNTAで示される)を、17gの硫酸鉄(III)(Fe(SO)および8gのニトリロ三酢酸(N(CHCOH))を含有する水溶液を1時間還流することにより合成する。この鉄(III)塩は、最初は不溶性であるが、およそ60℃(P=1気圧)で完全に溶解する。還流時、明黄色の錯体が出現し始める。冷却すると、この錯体は、反応器の底部に沈殿する。冷水で洗浄すると、種々の反応副生成物がないものにすることができる。続いて、この粉末を30℃の炉内で一晩乾燥させる。
【0112】
続いて、先の鉄(III)錯体5gを、0.0256mol.1−1のリン酸水素リチウム(LiHPO)の溶液(800ml)の入ったParr(登録商標)4842オートクレーブ反応器内に導入する。
【0113】
続いて、反応器を密閉する。次いで、反応媒質を攪拌しながら200℃にする。オートクレーブ内の圧力は、蒸気(水のP/T状態図)により設定し、この設定温度では、20バールの値に達する。2時間加熱した後、攪拌を停止し、混合物を、反応器の慣性により(冷却時間:12時間)、または「段階的に」ゆっくりと冷却する。
【0114】
反応器が周囲温度および大気圧に戻ったら、反応器を開放することができ、粉末を回収する。続いて、粉末を脱イオン水で洗浄し、60℃の真空下で乾燥する。
【0115】
この合成で得られた粉末に関して行なったX線回折図は、どのような冷却方法を使用しても(慣性により直線的に、または段階的に)、副次ピークは存在しない。具体的には、すべての線は、斜方晶系のトリフィライトLiFePOを示し得る。
【0116】
合成された物質の物理化学的解析、すなわち酸化還元滴定および元素分析と、形態学的分析、すなわち走査型電子顕微鏡解析SEMおよび粒径分析とにより、物質が純粋なLiFePOであることが確認できる。
【0117】
これは、試料中に存在するすべての鉄に関して、認められる鉄(III)は1%未満だからである。
【0118】
反応器を220℃から周囲温度まで12時間にわたって慣性により冷却した場合、得られる生成物は、平均直径が20μmおよび平均長さが15μmの円柱の形態で存在する(図2を参照)。
【0119】
冷却を、30分ごとに温度を50℃下げることにより段階的に行なう場合、得られる生成物は、一辺の平均が15μmの立方体の形態で存在する(図3を参照)。
【0120】
比較として、従来の全「固相」経路、すなわち、固体前駆物質を溶媒の非存在下、400℃〜800℃で加熱する経路により調製したLiFePOは、5%より高いFe3+含量を有し、あまり均一でなく、かつ凝集した「不均一」粒子から構成されている(図1を参照)。
【0121】
〔実施例2〕
この実施例では、陽極が、実施例1で提供した本発明の化合物を含む電池を製造する。
【0122】
a)陽極の調製
実施例1で得た生成物を、80重量%で、N−メチルピロリドンに溶解したアセチレンブラック(Super P、MMM Carbon、ベルギー)(10%)およびポリ(フッ化ビニリデン)(Solef 6020、Solvay、ベルギー)(10%)と混合する。続いて、混合物を、アルミニウムのシート上にコートし、次いで真空下にて60℃で、その後100℃で乾燥させる。
【0123】
b)電池の製造
このようにして作製した陽極を、2032ボタン型電池形式のセル内に導入する。陰極を、活物質をLiTi12とする以外は、同様にして調製する。セパレータは、マイクロポーラスポリプロピレン(Celgard(登録商標)3200、Aventis)のフィルムから構成されたものである。使用する電解液は、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートおよびヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)から構成されるもの(Electrolyte Selectipur LP30、Merck、ドイツ)である。
【0124】
c)電池の試験
このようにして形成した電池を、25℃で、3V〜1.0Vで作動させると、C/2の速度でおよそ100mAh/gの陽極活性化合物に相当するリチウムの可逆的抽出/挿入(2時間での充電または放電)を可能にする。換言すると、C/2におけるその比容量は、100mAh/gである。比較として、陽極が「全固相」合成経路により調製したLiFePOを含有する同じ電池は、C/2で100mAh/gの比容量を示す。
【0125】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】高温(600℃)で従来技術の「全固相」合成法により調製したLiFePO粒子の、走査型電子顕微鏡を用いて得た顕微鏡写真である。
【図2】本発明の方法(実施例1)により、反応器の慣性により反応混合物を直線的に冷却して調製したLiFePO粒子の、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて得た顕微鏡写真である。線は、20μmを示す。
【図3】本発明の方法(実施例1)により、反応混合物を段階的に冷却して調製したLiFePO粒子の、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて得た顕微鏡写真である。線は、20μmを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の連続的な段階:
a)酸化状態が2より大きい遷移金属または遷移金属混合物Mの有機錯体を、イオン形態のアルカリ金属Aおよび式H(XO)(式中、Xは、Si、S、Al、P、Ge、AsまたはMoから選択され、bは0〜5の値を有する)の種と、閉鎖チャンバ内にて液体媒質中で接触させ、該チャンバは、該液体媒質中での該有機錯体の分解を可能にする温度Tにする段階、
b)前記チャンバ内の温度および圧力を周囲温度および大気圧に戻し、式AMXO(式中、Mは+2の酸化状態である)のアルカリ金属の挿入化合物を回収する段階
を行なう、アルカリ金属の挿入化合物の調製方法。
【請求項2】
前記金属Mが、3〜5の酸化状態、好ましくは3に等しい酸化状態である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記Mが、Mn、Fe、Ni、Coなどの遷移金属およびそれらの混合物から選択される請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記アルカリ金属Aが、LiおよびNaから選択される請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記イオン形態のアルカリ金属Aが、アルカリ金属塩A(XO)(式中、aは1〜5の値を有する)の形態である請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記XがPである請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記アルカリ金属塩がLiHPOである請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記有機錯体が、式:
【化1】

(式中、R、RおよびRの少なくとも1つは、少なくとも1個の酸素原子を含有する)の化合物から選択される有機配位子に結合している金属Mを含有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記有機配位子において、R、RおよびRは、独立して、カルボキシメチルおよびカルボキシエチルなどのカルボキシ(1〜4C)アルキルラジカルから選択される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記有機配位子が、ニトリロ三酢酸N(CHCOH)またはエチレンジオキシエチレンジニトリロ四酢酸(EGTA)である、請求項9に記載のアルカリ金属の挿入化合物の調製方法。
【請求項11】
前記a)段階における前記液体媒質が、水、液体アルカン、例えばドデカンまたはリン酸トリブチル(TBP)などの有機溶媒、およびそれらの混合物から選択される請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記b)段階の最後に、前記化合物を洗浄し、次いで、乾燥させる(任意選択で真空下にて)請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記有機錯体を、前記a)段階の前の段階で、酸化状態が2より大きい金属Mの塩を、液体媒質中の有機化合物と接触させることにより調製する請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記有機化合物が、式:
【化2】

(式中、R、RおよびRの少なくとも1つは、少なくとも1個の酸素原子を含有する)の化合物から選択される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記有機化合物において、R、RおよびRは、独立して、カルボキシメチルおよびカルボキシエチルなどのカルボキシ(1〜4C)アルキルラジカルから選択される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記有機化合物が、ニトリロ三酢酸N(CHCOH)またはエチレンジオキシエチレンジニトリロ四酢酸である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記金属Mの塩が、該金属Mの硝酸塩、硫酸塩、塩化物、酢酸塩、クエン酸塩またはカルボン酸塩から選択される請求項13〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記液体媒質が、水、液体アルカン、例えばドデカンまたはリン酸トリブチル(TBP)などの有機溶媒、およびそれらの混合物から選択される請求項13〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
式AM(XO)(式中、Aはアルカリ金属から選択され、Xは、Si、S、Al、P、Ge、AsおよびMoから選択され、Mは+2の酸化状態である)のアルカリ金属の挿入化合物であって、2より大きい酸化状態の金属M、例えば金属M(III)の含量として5重量%未満、好ましくは1重量%未満を示すことを特徴とするアルカリ金属の挿入化合物。
【請求項20】
微粒子または粒子の形態で存在する請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
前記微粒子が、円柱、立方体または多面体の形状を有する請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
前記微粒子が、十分に制御された均一な形態構造を示す請求項20または21に記載の化合物。
【請求項23】
前記微粒子の大きさの平均値からの偏差が、20%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは1%未満である請求項20〜22のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
請求項19〜23のいずれか一項に記載の化合物または請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法により調製される化合物の1種類以上と、任意選択で、LiCoO、LiNiO、酸化マンガン、特にスピネル型構造Li1+xMn2−x(0≦x≦0.33である)を有するもの、例えばLiMn、Li1−xFePO、例えばLiFePOなどのカンラン石アイソタイプ族の化合物、ナシコン型構造を有する化合物、およびオルトケイ酸型のリチウムの挿入物質などの1種類以上の他の活性化合物との組合せで含む電極活物質。
【請求項25】
請求項24に記載の活物質を含有する陽極。
【請求項26】
請求項25に記載の電極を含む電池。
【請求項27】
LiTi12を主成分とする陰極を含む請求項26に記載の電池。
【請求項28】
請求項19〜23のいずれか一項に記載の化合物または請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法により調製される化合物を含むエレクトロクロミックデバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2006−511421(P2006−511421A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−561577(P2004−561577)
【出願日】平成15年12月15日(2003.12.15)
【国際出願番号】PCT/FR2003/050172
【国際公開番号】WO2004/056702
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(500348697)コミッサリア ア レネルジー アトミーク (21)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L´ENERGIE ATOMIQUE
【Fターム(参考)】