説明

アルキレンオキサイド付加物の製造方法

【課題】低沸点の揮発成分を除去する後処理工程を必要とせず、かつ、数平均官能基数の低下を改善したアルキレンオキサイド付加物の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】下記工程(1)を含むアルキレンオキサイド付加物の製造方法。
工程(1):ルイス酸触媒(a)の存在下、活性水素含有化合物(c)にアルキレンオキサイド(d)を付加する反応における反応混合液(e)であり、液相からなる、又は液相及び気相からなる反応混合物(e)から、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(b)を分離する工程。
工程(1)を2つ以上含むことが好ましい。また、反応混合物(e)中の副生低沸点化合物(b)の含有量が、(e)の重量を基準として10重量%以下である請求項1又は2に記載の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキレンオキサイド付加物の製造方法及びこの製造方法により得られたアルキレンオキサイド付加物を用いたポリウレタン樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、アルキレンオキサイド付加物は、水酸化カリウム等のアルカリ金属や塩化アルミニウム及び三フッ化ホウ素等のルイス酸を触媒として用い、活性水素含有化合物に1,2−プロピレンオキサイドやエチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加重合させて得られる。
【0003】
中でもルイス酸触媒を用いて製造したポリオキシアルキレンアルコール中には、副生成低沸点物由来のアルコールが発生し、数平均官能基数が低下する。数平均官能基数が低下したアルキレンオキサイド付加物を用いて製造されたポリウレタン樹脂やポリウレタンフォームは、強度等の物性が低下するという問題がある。また、副生低沸点揮発成分が含まれたアルキレンオキサイド付加物を用いて製造されたポリウレタン樹脂やポリウレタンフォームは、不快な臭気を発生し、臭気を除去するためには後処理工程が必要となるという問題がある。特定のルイス酸触媒の使用により臭気の低減が可能であることが知られている(特許文献1参照)が、数平均官能基数が低下し、臭気低減の効果は不十分である。また、ルイス酸触媒の存在下、副生低沸点化合物(b)を連続的又は断続的に系外除去しながら、活性水素含有化合物にアルキレンオキサイドを付加重合させることにより、臭気の低減が可能であることが知られている(特許文献2参照)が、数平均官能基数が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−183383号公報
【特許文献2】特開2009−227978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、低沸点の揮発成分を除去する後処理工程を必要とせず、かつ、数平均官能基数の低下を改善したアルキレンオキサイド付加物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、以下(I)、(II)の点を要旨とする。
(I)本発明のアルキレンオキサイド付加物の製造方法は、下記工程(1)を含むことを要旨とする。
工程(1):ルイス酸触媒(a)の存在下、活性水素含有化合物(c)にアルキレンオキサイド(d)を付加する反応における反応混合液(e)であり、液相からなる、又は液相及び気相からなる反応混合物(e)から、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(b)を分離する工程。
(II)本発明の発泡又は非発泡ポリウレタン樹脂の製造方法は、ポリオール成分と有機ポリイソシアネート(C)とを反応させて、発泡又は非発泡ポリウレタン樹脂を製造する方法において、ポリオール成分の少なくとも一部として、上記(I)の製造方法で得られたアルキレンオキサイド付加物を用いることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のアルキレンオキサイド付加物の製造方法によれば、低沸点揮発成分を除去する後処理工程が不要となり、かつ、数平均官能基数の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施態様の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施態様の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の実施態様の一例を示す概略図である。
【図4】本発明の実施態様の一例を示す概略図である。
【図5】本発明の実施態様の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の製造方法においては、ルイス酸触媒(a)の存在下、活性水素含有化合物(c)にアルキレンオキサイド(d)を付加重合させる。
本発明において、アルキレンオキサイド(d)付加時に用いるルイス酸触媒(a)としては、環状エーテルを開環付加重合させる酸性触媒であれば特に限定はないが、ホウ素、アルミニウム、錫、アンチモン、鉄、燐、亜鉛、チタン、ジルコニウム及びベリリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素(a1)を含む酸性触媒が好ましい。
元素(a1)を含む酸性触媒としては、元素(a1)のハロゲン化物並びに元素(a1)のアルキル化及び/又はフェニル化物等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。具体的には下記のものが挙げられる。
(i)元素(a1)のハロゲン化物
三フッ化ホウ素及び三塩化ホウ素等のホウ素化合物;塩化アルミニウム及び臭化アルミニウム等のアルミニウム化合物;四フッ化錫及び四塩化錫等の錫化合物;フッ化アンチモン及び塩化アンチモン等のアンチモン化合物;塩化第二鉄等の鉄化合物;五フッ化燐等の燐化合物;塩化亜鉛等の亜鉛化合物;四塩化チタン等のチタン化合物;塩化ジルコニウム等のジルコニウム化合物;塩化ベリリウム等のベリリウム化合物;等
(ii)元素(a1)のアルキル化及び/又はフェニル化物
トリフェニルホウ素、トリ(t−ブチル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ビス(ペンタフルオロフェニル)−t−ブチルホウ素、ビス(ペンタフルオロフェニル)フッ化ホウ素、ジ(t−ブチル)フッ化ホウ素、(ペンタフルオロフェニル)2フッ化ホウ素等のホウ素化合物;トリエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、ジフェニル−t−ブチルアルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、ビス(ペンタフルオロフェニル)−t−ブチルアルミニウム、ビス(ペンタフルオロフェニル)フッ化アルミニウム、ジ(t−ブチル)フッ化アルミニウム、(ペンタフルオロフェニル)2フッ化アルミニウム、(t−ブチル)2フッ化アルミニウム等のアルミニウム化合物;ジエチル亜鉛等の亜鉛化合物;等
これら(i)及び(ii)の中で、付加重合時の反応性、製造したアルキレンオキサイド付加物の反応性及び副生する不飽和基含有物の低減の観点から、三フッ化ホウ素並びに元素(a1)のアルキル化及び/又はフェニル化物が好ましく、さらに好ましくは三フッ化ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン及びトリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、特に好ましくはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン及びトリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムである。
【0010】
上記の副生する不飽和基含有物としては、不飽和水酸基含有物が含まれ、原料のアルキレンオキサイドが転移反応して生成した不飽和基含有物及びこれにアルキレンオキサイドが付加した化合物が含まれる。例えば、アルキレンオキサイドが1,2−プロピレンオキサイドの場合の、副生するアリルアルコール、アリルアルコールのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0011】
本発明において、活性水素含有化合物(c)としては、水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、チオール基含有化合物及びリン酸化合物等が挙げられる。
水酸基含有化合物としては、アルコールやアルカノールアミン等が挙げられる。また、活性水素を有する化合物(アルコール、アミノ基含有化合物、カルボン酸、リン酸等)に後述のアルキレンオキサイド(d)が付加された構造の化合物(アルキレンオキサイド付加物)が挙げられる。これら2種以上を併用してもよい。なお、水酸基含有化合物として用いるアルキレンオキサイド付加物は、ルイス酸触媒(a)以外の触媒を用いて得られたものであってもよい。
【0012】
アルコールとしては、メタノール、エタノール、ブタノール及びオクタノール等の1価のアルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン及び2,2−ビス(4,4’−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等の2価アルコール;グリセリン及びトリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、ジグリセリン、α−メチルグルコシド、ソルビトール、キシリット、マンニット、ジペンタエリスリトール、グルコース、フルクトース及びショ糖等の4〜8価のアルコール;フェノール及びクレゾール等のフェノール;ピロガロール、カテコール及びヒドロキノン等の多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等のビスフェノール;ポリブタジエンアルコール;ひまし油系アルコール;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体及びポリビニルアルコール等の多官能(2〜100)アルコール等が挙げられ、炭素数(以下、Cと略記する)1〜20のものが好ましい。
なお、ポリブタジエンアルコールとしては、1,2−ビニル構造を有するもの、1,2−ビニル構造と1,4−トランス構造とを有するもの及び1,4−トランス構造を有するものが挙げられる。1,2−ビニル構造と1,4−トランス構造の割合は種々にかえることができ、例えばモル比で100:0〜0:100である。またポリブタジエンアルコールのうち、ポリブタジエングリコ―ルにはポリブタジエンホモポリマ―及びコポリマ―(スチレンブタジエンコポリマ―及びアクリロニトリルブタジエンコポリマ―等)並びにこれらの水素添加物(水素添加率:例えば20〜100%)が含まれる。
また、ひまし油系アルコールとしては、ひまし油及び変性ひまし油(トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトール等の多価アルコールで変性されたひまし油等)が挙げられる。
【0013】
アミノ基含有化合物としては、モノ又はポリアミン及びアミノアルコールが挙げられる。
モノ又はポリアミンとしては、具体的には、アンモニア、アルキルアミン(ブチルアミン等)及びアニリン等のモノアミン;エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン及びジエチレントリアミン等の脂肪族ポリアミン;ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン及びその他特公昭55−21044号公報記載の複素環式ポリアミン;ジシクロヘキシルメタンジアミン及びイソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン;フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジフェニルエ−テルジアミン及びポリフェニルメタンポリアミン等の芳香族ポリアミン;ポリアミドポリアミン[例えばジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン(上記アルキレンジアミン及びポリアルキレンポリアミン等)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン];ポリエーテルポリアミン[ポリエーテルアルコール(ポリアルキレングリコール等)のシアノエチル化物の水素化物];シアノエチル化ポリアミン[例えばアクリロニトリルとポリアミン(上記アルキレンジアミン及びポリアルキレンポリアミン等)との付加反応により得られるシアノエチル化ポリアミン。例えばビスシアノエチルジエチレントリアミン等];ヒドラジン類(ヒドラジン及びモノアルキルヒドラジン等)、ジヒドラジッド(コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジッド、イソフタル酸ジヒドラジッド及びテレフタル酸ジヒドラジッド等)、グアニジン類(ブチルグアニジン及び1−シアノグアニジン等);及びジシアンジアミド等;並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられ、C1〜20のものが好ましい。
アミノアルコールとしては、アルカノールアミン、例えばモノ−、ジ−及びトリ−アルカノールアミン(モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、モノブタノールアミン、トリエタノールアミン及びトリプロパノールアミン等);これらのアルキル(C1〜C4)置換体〔N,N−ジアルキルモノアルカノールアミン(N,N−ジメチルエタノールアミン及びN,N−ジエチルエタノールアミン等)及びN−アルキルジアルカノールアミン(N−メチルジエタノールアミン及びN−ブチルジエタノールアミン等)〕;及びこれらのジメチル硫酸又はベンジルクロリド等の4級化剤による窒素原子4級化物が挙げられ、C1〜20のものが好ましい。
【0014】
カルボキシル基含有化合物としては、C1〜20のカルボン酸が挙げられ、酢酸及びプロピオン酸等の脂肪族モノカルボン酸;安息香酸等の芳香族モノカルボン酸;コハク酸、アジピン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸及びトリメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸;アクリル酸の(共)重合物等のポリカルボン酸重合体(官能基数2〜100)等が挙げられる。
チオール基含有化合物のポリチオール化合物としては、2〜8価の多価チオールが挙げられる。具体的にはエチレンジチオール、プロピレンジチオール、1,3−ブチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1、6−ヘキサンジチオール及び3−メチルペンタンジチオール等が挙げられる。
リン酸化合物としては燐酸、亜燐酸、ホスホン酸等が挙げられる。
【0015】
これら活性水素含有化合物(c)のうち、水酸基含有化合物が好ましく、より好ましくは多価アルコール及び多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物である。
【0016】
活性水素含有化合物(c)に付加重合させるアルキレンオキサイド(d)としては、C2〜C10のものが好ましく、エチレンオキサイド(以下、EOと略記する)、1,2−プロピレンオキサイド(以下、POと略記する)、1,3−プロピレンオキサイド、1,2−、1,3−、1,4−及び2,3−ブチレンオキサイド並びにスチレンオキサイド等が挙げられる。これら2種を併用してもよい。これらのうち好ましいものは、PO及び/又はEOであり、さらに好ましくはPOである。
活性水素含有化合物(c)へのアルキレンオキサイド(d)の付加モル数は、副生低沸点化合物(b)の除去しやすさの観点から、活性水素1モルに対して、0.5〜300モルが好ましく、より好ましくは0.7〜150モル、特に好ましくは1〜50モルである。
(d)を付加する方法は、単独付加、二種以上の(d)を用いる場合のランダム付加及びブロック付加等が挙げられるが限定はない。
【0017】
アルキレンオキサイド(d)の付加重合の条件については、通常行われる方法でよく、付加重合の反応性の観点から、ルイス酸触媒(a)の使用量は、生成するアルキレンオキサイド付加物の重量を基準として、0.00001〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.0001〜1重量%であり、反応温度としては0〜250℃が好ましく、さらに好ましくは20〜180℃で反応させる。
【0018】
圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(b)の具体例としては、ホルムアルデヒド(沸点−19℃)、アセトアルデヒド(沸点20℃)、プロピオンアルデヒド(沸点48℃)及びアリルアルコールにアルキレンオキサイド(d)が0〜2モル付加した化合物等が挙げられる。これらは揮発成分であり臭気を持つ。これらの成分は、アルキレンオキサイド付加物(A)に対して、通常0.0001〜15重量%発生する。
上記及び以下において、圧力はとくに断りのない限り、絶対圧で記載する。
【0019】
本発明の製造方法は、下記工程(1)を含んでなる。
工程(1):ルイス酸触媒(a)の存在下、活性水素含有化合物(c)にアルキレンオキサイド(d)を付加する反応における反応混合液(e)であり、液相からなる、又は液相及び気相からなる反応混合物(e)から、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(b)を分離する工程。
【0020】
反応混合物(e)は、活性水素化合物(c)、アルキレンオキサイド(d)、ルイス酸触媒(a)、生成したアルキレンオキサイド付加物、副生低沸点化合物(b)等を含んでなる混合物である。反応混合物(e)が液相となる温度、圧力で(b)を除去する工程を実施する場合、反応混合物(e)は液相からなる混合物となり、反応混合物(e)の一部が気相となる温度、圧力で(b)を除去する工程を実施する場合、反応混合物(e)は液相及び気相からなる混合物となる。
【0021】
工程(1)は、活性水素化合物(c)にアルキレンオキサイド(d)を付加する工程と同時、すなわち(d)を付加させながら行ってもよいし、別の工程として行ってもよい。
【0022】
反応混合物(e)から(b)を分離する方法には、副生低沸点化合物(b)を蒸留により分離する方法及び(b)を吸着剤(f)に吸着させ分離する方法が挙げられる。これらは組み合わせて行ってもよい。
また、蒸留により分離しやすくする観点から、副生低沸点化合物(b)を固体触媒(g)に接触させ、副生低沸点化合物(b)を反応させてより高い沸点を有する化合物(h)としてから、分離してもよい。
【0023】
アルキレンオキサイド(d)を活性水素含有化合物(c)に付加させる際に用いる反応槽としては、アルキレンオキサイドの付加反応に用いることのできる容器であれば何でもよいが、1MPaの圧力に耐えられ、加熱及び冷却が可能で撹拌装置が備え付けられている物が望ましい。反応槽の材質としては、ガラス、鉄、ステンレス、アルミ、各種合金及びカーボン等が挙げられるが、耐腐食性を備えたステンレスが望ましい。
【0024】
反応槽とは別の装置で(b)を分離する場合、反応混合物(e)を別の装置に送る際の反応槽の温度は、アルキレンオキサイド(d)を付加重合させる温度でよく、0〜250℃が好ましく、さらに好ましくは20〜180℃である。
【0025】
反応槽とは別の装置で(b)を分離する場合、反応混合物(e)を別の装置に送る際の反応槽の圧力は、アルキレンオキサイド(d)を付加させる、付加重合の反応性及び気相除去のしやすさの観点から、1MPa以下が好ましく、より積極的に気相除去させるために、さらに好ましくは0.0001〜0.1MPa、次にさらに好ましくは0.001〜0.08MPaである。
【0026】
本発明において、副生低沸点化合物(b)を吸着剤(f)に吸着させ分離する場合、その際に用いる吸着塔は、その内部に吸着剤を充填でき、吸着塔に通気した際に吸着剤が容器外に拡散しない構造の容器であれば特に制限されないが、温度調整手段(加熱及び冷却)及び/又は圧力調整手段(加圧及び減圧)を備えた物が望ましく、その材質は耐腐食性を備えたステンレス等が望ましい。
【0027】
また、本発明において、副生低沸点化合物(b)を蒸留により分離する際に蒸留塔を用いることができ、その蒸留塔は、石油化学品の精製に用いられる通常の蒸留塔又は精留塔であれば特に制限はなく、その材質は耐腐食性を備えたステンレスやガラス等が望ましい。
【0028】
本発明の製造方法において、工程(1)を2つ以上含んでもよく、数平均官能基数の低下の改善という観点から、2〜15の工程(1)を含むことが好ましい。
【0029】
本発明の製造方法において、アルキレンオキサイドの数平均官能基数及び副生する不飽和基含有物の低減の観点から、反応混合物(e)中の副生低沸点化合物(b)の含有量は、(e)の重量を基準として、10重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは8重量%以下、次にさらに好ましくは6重量%以下である。
なお(b)の含有量は、ガスクロマトグラフィー等の通常の測定方法で測定できる。
【0030】
本発明の製造方法において、アルキレンオキサイドの数平均官能基数及び副生する不飽和基含有物の低減の観点から、反応混合物(e)中の副生低沸点化合物(b)の平均含有量は、(e)の重量を基準として、5重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは2重量%以下、次にさらに好ましくは1重量%以下である。
なお、上記及び以下において、副生低沸点化合物(b)の平均含有量はとくに断りのない限り、反応時間で均した含有量をしめす。
【0031】
図1に示した本発明の実施態様の一例を示す概略図に基づいて、本発明を説明する。
図1に示した実施態様では、反応槽(1)中の活性水素含有化合物(c)に原料供給ライン(4)を通じてアルキレンオキサイド(d)を投入し付加重合する工程中に、副生低沸点化合物(b)と未反応のアルキレンオキサイド(d1)を除去ライン(5)から、連続的又は断続的に除去する。
最初に、反応中に反応混合物(e)の一部又は全量を反応槽(1)から連続的又は断続的に、送りライン(6)を通じて脱揮装置(7)に送り、必要により加熱及び/又は減圧して、連続的又は断続的に副生低沸点化合物(b)と未反応のアルキレンオキサイド(d1)を揮発させ、除去ライン(5)を通じて反応系外に除去する。副生低沸点化合物(b)と未反応のアルキレンオキサイド(d1)を除去後、アルキレンオキサイド付加物を回収ライン(8)から抜き取る。回収ライン(8)から抜き取ったアルキレンオキサイド付加物を再び付加重合させてもよい。
【0032】
図1の実施態様において、反応混合物(e)を脱揮装置(7)に送る方法としては、送液ポンプを使用する、圧力差を利用する、高低差を利用する等の方法が考えられる。中でも送液ポンプの使用が好ましい。脱揮装置(7)としては、フラッシュ蒸留装置やフィルムエバポレーター等を用いるのが好ましい。
【0033】
図1の実施態様において、断続的な揮発除去とは、アルキレンオキサイド(d)を2〜100回に分割して投入し反応槽(1)で反応させることと、反応混合物(e)の一部又は全量を送りライン(6)を通じて脱揮装置(7)に送り、必要により加熱及び/又は減圧して、副生低沸点化合物(b)と未反応のアルキレンオキサイド(d1)を揮発させ、気相除去ライン(5)を通じて反応系外に除去することを繰り返せばよい。断続的に揮発させる際の温度は、アルキレンオキサイドを付加させる、通常行われる温度でよい。例えば、好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜180℃である。断続的に揮発除去する際の減圧度は好ましくは0.001〜0.1MPa、さらに好ましくは0.001〜0.04MPaである。
連続的な揮発除去とは、アルキレンオキサイド(d)を反応槽(1)で反応させることと、反応混合物(e)の一部又は全量を送りライン(6)を通じて脱揮装置(7)に抜き取り、必要により加熱及び/又は減圧して、副生低沸点化合物(b)と未反応のアルキレンオキサイド(d1)を揮発させ、気相除去ライン(5)を通じて反応系外に除去することを同時に行うことを意味する。連続的に揮発させる際の温度は、アルキレンオキサイドを付加させる、通常行われる温度でよい。例えば、好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜180℃である。断続的に揮発除去する際の減圧度は好ましくは0.001〜0.1MPa、さらに好ましくは0.001〜0.04MPaである。
【0034】
図2に示した本発明の実施態様の一例を示す概略図に基づいて、本発明を説明する。
図2に示した実施態様では、反応槽(1)中の活性水素含有化合物(c)に原料供給ライン(4)を通じてアルキレンオキサイド(d)を投入し付加重合する工程中に、副生低沸点化合物(b)と未反応のアルキレンオキサイド(d1)を除去ライン(5)から、連続的又は断続的に除去する。
最初に、反応中に反応混合物(e)の一部又は全量を反応槽(1)から連続的又は断続的に、送りライン(6)を通じて脱揮装置(7)に抜き取り、必要により加熱及び/又は減圧して、連続的又は断続的に副生低沸点化合物(b)と未反応のアルキレンオキサイド(d1)を揮発させ、気相除去ライン(5)を通じて蒸留塔(3)に送る。蒸留塔(3)でアルキレンオキサイド(d)と副生低沸点化合物(b)とを分離し、アルキレンオキサイド(d)は、塔頂ライン(9)を通じて回収槽(10)に回収する。回収したアルキレンオキサイド(d)は回収液送液ライン(11)にて再び反応槽(1)へと戻してもよい。また、副生低沸点化合物(b)を副生低沸点化合物抜取りライン(12)を通じて廃棄する。副生低沸点化合物(b)と未反応のアルキレンオキサイド(d1)を反応混合物(e)から除去後、アルキレンオキサイド付加物を回収ライン(8)から抜き取る。回収ライン(8)から抜き取ったアルキレンオキサイド付加物を再び付加重合させてもよい。
【0035】
図2の実施態様において、反応混合物(e)を脱揮装置(7)に送る方法、及び、回収したアルキレンオキサイド(d)は再び反応槽(1)へと戻す方法としては、送液ポンプを使用する、圧力差を利用する、高低差を利用する等の方法が考えられる。中でも送液ポンプの使用が好ましい。脱揮装置(7)としては、フラッシュ蒸留装置やフィルムエバポレーター等を用いるのが好ましい。
蒸留塔(3)としては、通常使われる精留塔等を用いるのが好ましく、必要に応じて2基以上の精留塔を組み合わせてもよい。また、必要に応じて、抽出蒸留等を組み合わせてもよい。蒸留塔(3)は、化合物の精製に通常用いられているものでよく、具体的には棚段塔、充填塔などが挙げられる。
【0036】
図2の実施態様において、断続的な揮発除去とは、アルキレンオキサイド(d)を2〜100回に分割して投入し反応槽(1)で反応させることと、反応混合物(e)の一部又は全量を送りライン(6)を通じて脱揮装置(7)に抜き取り、必要により加熱及び/又は減圧して、副生低沸点化合物(b)と未反応のアルキレンオキサイド(d1)を揮発させることを意味する。断続的に揮発させる際の温度は、アルキレンオキサイドを付加させる、通常行われる温度でよい。例えば、好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜180℃である。断続的に揮発除去する際の減圧度は好ましくは0.001〜0.1MPa、さらに好ましくは0.001〜0.04MPaである。
連続的な揮発除去とは、アルキレンオキサイド(d)を連続的に投入し反応槽(1)で反応させることと、反応混合物(e)の一部又は全量を送りライン(6)を通じて脱揮装置(7)に抜き取り、必要により加熱及び/又は減圧して、副生低沸点化合物(b)と未反応のアルキレンオキサイド(d1)を揮発させ、気相除去ライン(5)を通じて蒸留塔(3)に送り、蒸留塔(3)でアルキレンオキサイド(d)と副生低沸点化合物(b)とを分離し、アルキレンオキサイド(d)は、塔頂ライン(9)を通じて回収槽(10)に回収する。回収したアルキレンオキサイド(d)は回収液送液ライン(11)にて再び反応槽(1)へと戻すことを同時に行ってもよいことを意味する。連続的に揮発させる際の温度は、アルキレンオキサイドを付加させる、通常行われる温度でよい。例えば、好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜180℃である。連続的に揮発除去する際の減圧度は好ましくは0.001〜0.1MPa、さらに好ましくは0.001〜0.04MPaである。
【0037】
図3に示した本発明の実施態様の一例を示す概略図に基づいて、本発明を説明する。
反応槽(1)中の活性水素含有化合物(c)に原料供給ライン(4)を通じてアルキレンオキサイド(d)を投入し付加重合する工程中に、副生低沸点化合物(b)と未反応のアルキレンオキサイド(d1)を除去ライン(5)から、連続的又は断続的に除去する。
最初に、反応中に反応混合物(e)の一部又は全量を反応槽(1)から連続的又は断続的に、送りライン(6)を通じて脱揮装置(7)に抜き取り、必要により加熱及び/又は減圧して、連続的又は断続的に副生低沸点化合物(b)と未反応のアルキレンオキサイド(d1)を揮発させ、除去ライン(5)を通じて吸着塔(2)に送る。吸着塔(2)でアルキレンオキサイド(d)と副生低沸点化合物(b)とを吸着塔(2)に充填された吸着剤(e)に吸着させ、吸着剤に吸着されなかったアルキレンオキサイド(d2)を循環ライン(13)を通じて連続的又は断続的に再び応槽(1)に戻す。反応中及び/又は反応終了後に、吸着塔(2)と脱揮装置(7)を気相除去ライン(5)及び循環ライン(13)に設けたバルブで遮断し、吸着塔(2)を加熱及び/又は減圧にすることで(b)と吸着剤(e)に吸着されたアルキレンオキサイド(d3)を吸着剤(e)から脱離する。吸着剤(e)から脱離した(b)と(d3)は、回収ライン2(82)を通じて蒸留塔(3)へ送り、アルキレンオキサイド(d)より高沸点の化合物を分離した後、塔頂ライン(9)を通じて回収槽(10)に回収する。回収したアルキレンオキサイド(d)は回収液送液ライン(11)にて再び反応槽(1)へと戻してもよい。また、副生低沸点化合物(b)を副生低沸点化合物抜取りライン(12)を通じて廃棄する。副生低沸点化合物(b)と未反応のアルキレンオキサイド(d1)を反応混合物(e)から除去後、アルキレンオキサイド付加物を回収ライン(8)から抜き取る。回収ライン(8)から抜き取ったアルキレンオキサイド付加物を再び付加重合させてもよい。
【0038】
図3の実施態様において、反応混合物(e)を脱揮装置(7)に送る方法、及び、回収したアルキレンオキサイド(d)は再び反応槽(1)へと戻す方法としては、送液ポンプを使用する、圧力差を利用する、高低差を利用する等の方法が考えられる。中でも送液ポンプの使用が好ましい。脱揮装置(7)としては、フラッシュ蒸留装置やフィルムエバポレーター等を用いるのが好ましい。
蒸留塔(3)としては、通常使われる精留塔等を用いるのが好ましく、必要に応じて2基以上の精留塔を組み合わせてもよい。また、必要に応じて、抽出蒸留等を組み合わせてもよい。蒸留塔(3)は、化合物の精製に通常用いられているものでよく、具体的には棚段塔、充填塔などが挙げられる。
【0039】
副生低沸点化合物(b)と未反応のアルキレンオキサイド(d1)を含んだ気相(i)を吸着塔(2)に送る方法、吸着されなかったアルキレンオキサイド(d2)を吸着塔(2)から反応槽(1)に戻す方法、吸着されたアルキレンオキサイド(d3)を蒸留塔(3)に送る方法としては圧力差を利用した方法が挙げられ、真空ポンプやブロアーを使用することができるが、その他の方法を用いてもよい。
【0040】
アルキレンオキサイド(d)を反応槽(1)へ投入する方法、回収したアルキレンオキサイド(d4)を回収槽(10)へ送る方法や、回収したアルキレンオキサイド(d4)を反応槽(1)へ送る方法としては、圧力差を利用した方法が挙げられ、通常用いられる液相ポンプを使用することができるが、その他の方法を用いてもよい。
【0041】
副生低沸点化合物(b)及び未反応のアルキレンオキサイド(d1)を吸着剤(e)に吸着させる際の温度は、活性水素含有化合物(c)に(d)を付加させる温度でよく、0〜250℃が好ましく、さらに好ましくは20〜180℃であり、必要に応じて吸着塔(2)を加熱してもよい。圧力は活性水素含有化合物(c)に(d)を付加させる圧力でよく、0.001〜0.5MPaが好ましい。吸着塔(2)は必要に応じて2基以上使用してもよく、それぞれを同時又は交互運転してもよい。また、吸着塔(2)は、その内部に吸着剤を充填でき、吸着塔に通気した際に吸着剤が容器外に拡散しない構造の容器であれば特に制限されないが、温度調整手段(加熱及び冷却)及び/又は圧力調整手段(加圧及び減圧)を備えた物が望ましく、その材質は耐腐食性を備えたステンレス等が望ましい。
【0042】
副生低沸点化合物(b)と吸着されたアルキレンオキサイド(d3)を吸着剤(e)から脱離させる際の温度は、吸着剤(e)を再活性化する条件でよく、0〜400℃が好ましく、さらに好ましくは5〜200℃、次にさらに好ましくは10〜150℃である。減圧度は、0.0001〜0.1MPaが好ましく、さらに好ましくは0.001〜0.08MPa、次にさらに好ましくは0.001〜0.05MPaである。
【0043】
吸着塔(2)に充填される吸着剤(f)は具体的にはシリカゲル、合成ゼオライト、活性白土、活性アルミナ及び活性炭からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である。これらの中では、吸着及び脱離の効率の観点から、合成ゼオライトであるモレキュラーシーブが好ましい。(f)の使用重量は、副生低沸点化合物(b)の発生重量に対して、好ましくは1〜3000倍、特に好ましくは10〜2000倍である。
【0044】
図3に示した本発明の実施態様において、断続的な揮発除去とは、アルキレンオキサイド(d)を2〜100回に分割して投入し反応槽(1)で反応させることと、反応混合物(e)の一部又は全量を送りライン(6)を通じて脱揮装置(7)に抜き取り、必要により加熱及び/又は減圧して、副生低沸点化合物(b)と未反応のアルキレンオキサイド(d1)を揮発させることを意味する。断続的に揮発させる際の温度は、アルキレンオキサイドを付加させる、通常行われる温度でよい。例えば、好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜180℃である。断続的に揮発除去する際の減圧度は好ましくは0.001〜0.1MPa、さらに好ましくは0.001〜0.04MPaである。
連続的な揮発除去とは、アルキレンオキサイド(d)を連続的に投入し反応槽(1)で反応させることと、反応混合物(e)の一部又は全量を送りライン(6)を通じて脱揮装置(7)に抜き取り、必要により加熱及び/又は減圧して、副生低沸点化合物(b)と未反応のアルキレンオキサイド(d1)を揮発させ、除去ライン(5)を通じて吸着塔(2)に送り、アルキレンオキサイド(d)と副生低沸点化合物(b)とを吸着塔(2)に充填された吸着剤(e)に吸着させ、吸着剤に吸着されなかったアルキレンオキサイド(d2)を循環ライン(13)を通じて連続的又は断続的に再び応槽(1)に戻す。反応中及び/又は反応終了後に、吸着塔(2)と脱揮装置(7)を除去ライン(5)、及び循環ライン(13)に設けたバルブで遮断し、吸着塔(2)を加熱及び/又は減圧にすることで(b)と吸着剤(e)に吸着されたアルキレンオキサイド(d3)を吸着剤(e)から脱離する。吸着剤(e)から脱離した(b)と(d3)は、回収ライン2(82)を通じて蒸留塔(3)へ送り、アルキレンオキサイド(d)より高沸点の化合物を分離した後、塔頂ライン(9)を通じて回収槽(10)に回収する。回収したアルキレンオキサイド(d)は回収液送液ライン(11)にて再び反応槽(1)へと戻すことを同時に行ってもよいことを意味する。連続的に揮発させる際の温度は、アルキレンオキサイドを付加させる、通常行われる温度でよい。例えば、好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜180℃である。連続的に揮発除去する際の減圧度は好ましくは0.001〜0.1MPa、さらに好ましくは0.001〜0.04MPaである。
【0045】
図4に示した本発明の実施態様の一例を示す概略図に基づいて、本発明を説明する。
反応槽(1)中の活性水素含有化合物(c)に原料供給ライン(4)を通じてアルキレンオキサイド(d)を投入し付加重合する工程中に、副生低沸点化合物(b)と未反応のアルキレンオキサイド(d1)を除去ライン(5)から、連続的又は断続的に除去する。
最初に、反応中に反応混合物(e)の一部又は全量を反応槽(1)から連続的又は断続的に、送りライン(6)を通じて脱揮装置(7)に抜き取り、必要により加熱及び/又は減圧して、連続的又は断続的に副生低沸点化合物(b)と未反応のアルキレンオキサイド(d1)を揮発させ、除去ライン(5)を通じて反応塔(14)に送る。反応塔(14)に充填された固体触媒(g)と副生低沸点化合物(b)とを接触させ、より高い沸点を有する化合物(h)に変化させる。(h)と未反応のアルキレンオキサイド(d1)とを含んだ気相を、回収ライン2(82)を通じて蒸留塔(3)へ送り、アルキレンオキサイド(d)より高沸点の化合物を分離した後、塔頂ライン(9)を通じて回収槽(10)に回収する。回収したアルキレンオキサイド(d)は回収液送液ライン(11)にて再び反応槽(1)へと戻してもよい。副生低沸点化合物(b)と未反応のアルキレンオキサイド(d1)を反応混合物(e)から除去後、アルキレンオキサイド付加物を回収ライン(8)から抜き取る。回収ライン(8)から抜き取ったアルキレンオキサイド付加物を再び付加重合させてもよい。
【0046】
図4の実施態様において、反応混合物(e)を脱揮装置(7)に送る方法としては、送液ポンプを使用する、圧力差を利用する、高低差を利用する等の方法が考えられる。中でも送液ポンプの使用が好ましい。脱揮装置(7)としては、フラッシュ蒸留装置やフィルムエバポレーター等を用いるのが好ましい。
蒸留塔(3)としては、通常使われる精留塔等を用いるのが好ましく、必要に応じて2基以上の精留塔を組み合わせてもよい。また、必要に応じて、抽出蒸留等を組み合わせてもよい。蒸留塔(3)は、化合物の精製に通常用いられているものでよく、具体的には棚段塔、充填塔などが挙げられる。
【0047】
図4の実施態様において、副生低沸点化合物(b)を固体触媒(g)に接触させる際に用いる反応塔(14)は、その内部に固体触媒(g)を充填でき、反応塔(14)に通気した際に固体触媒(g)が容器外に拡散しない構造の容器であれば特に制限されないが、加熱及び冷却、並びに/又は、加圧又は減圧が可能であるものが望ましく、その材質は耐腐食性を備えたステンレス等が望ましい。
【0048】
副生低沸点化合物(b)を反応させて得られるより高い沸点を有する化合物(h)には、2−メチル−2−ペンテナール(沸点137℃)、水(沸点100℃)やプロピレンアルコール、アリルアルコール、アリルアルデヒド、アクリル酸、アクリル酸エステル等が含まれる。
【0049】
副生低沸点化合物(b)と未反応のアルキレンオキサイド(d1)を含んだ気相を固体触媒(g)に接触させる際の固体触媒(g)には、ナトリウム、カリウム、リチウムの様なアルカリ金属や、カルシウム、マグネシウムの様なアルカリ土類金属、及び、これら金属の酸化物、炭酸化物、硫化物やその他金属塩が挙げられる。他にも複合酸化物や合金、ヘテロポリ酸等が挙げられるが、金属酸化物や金属炭酸化物を固体触媒(g)として用いることが好ましく、酸化マグネシウムを用いることが特に好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0050】
図4に示した本発明の実施態様において、断続的な揮発除去とは、アルキレンオキサイド(d)を2〜100回に分割して投入し反応槽(1)で反応させることと、反応混合物(e)の一部又は全量を送りライン(6)を通じて脱揮装置(7)に抜き取り、必要により加熱及び/又は減圧して、副生低沸点化合物(b)と未反応のアルキレンオキサイド(d1)を揮発させることを意味する。断続的に揮発させる際の温度は、アルキレンオキサイドを付加させる、通常行われる温度でよい。例えば、好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜180℃である。断続的に揮発除去する際の減圧度は好ましくは0.001〜0.1MPa、さらに好ましくは0.001〜0.04MPaである。
連続的な揮発除去とは、アルキレンオキサイド(d)を連続的に投入し反応槽(1)で反応させることと、反応混合物(e)の一部又は全量を送りライン(6)を通じて脱揮装置(7)に抜き取り、必要により加熱及び/又は減圧して、副生低沸点化合物(b)と未反応のアルキレンオキサイド(d1)を揮発させ、除去ライン(5)を通じて反応塔(14)に送り、アルキレンオキサイド(d)と副生低沸点化合物(b)とを反応塔(14)に充填された固体触媒(g)と副生低沸点化合物(b)とを接触させ、より高い沸点を有する化合物(h)に変化させる。(h)と未反応のアルキレンオキサイド(d1)とを含んだ気相(i)を、回収ライン2(82)を通じて蒸留塔(3)へ送り、アルキレンオキサイド(d)より高沸点の化合物を分離した後、塔頂ライン(9)を通じて回収槽(10)に回収する。回収したアルキレンオキサイド(d)は回収液送液ライン(11)にて再び反応槽(1)へと戻すことを同時に行ってもよいことを意味する。
連続的に揮発させる際の温度は、アルキレンオキサイドを付加させる、通常行われる温度でよい。例えば、好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜180℃である。連続的に揮発除去する際の減圧度は好ましくは0.001〜0.1MPa、さらに好ましくは0.001〜0.04MPaである。
【0051】
図5に示した本発明の実施態様の一例を示す概略図に基づいて説明する。
図5に示した本発明の実施態様においては、図4で示した本発明の実施態様に加えて、回収液送液ライン(11)と反応槽(1)との間に水分吸着塔(15)を設置する。
【0052】
水分吸着塔(15)に充填される吸着剤は吸着塔に使用される吸着剤(f)と同等のものを用いてよい。具体的にはシリカゲル、合成ゼオライト、活性白土、活性アルミナ及び活性炭からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である。これらの中では、吸着及び脱離の効率の観点から、合成ゼオライトであるモレキュラーシーブが好ましい。(f)の使用重量は、副生低沸点化合物(b)の発生重量に対して、好ましくは1〜3000倍、特に好ましくは10〜2000倍である。
【0053】
水分吸着塔(15)は必要に応じて2基以上使用してもよく、それぞれを同時又は交互運転してもよい。また、水分吸着塔(15)は、その内部に吸着剤を充填でき、吸着塔に通気した際に吸着剤が容器外に拡散しない構造の容器であれば特に制限されないが、温度調整手段(加熱及び冷却)及び/又は圧力調整手段(加圧及び減圧)を備えた物が望ましく、その材質は耐腐食性を備えたステンレス等が望ましい。
【0054】
ルイス酸触媒(a)は付加重合完了後、必要により中和、分解、除去等してもよい。
【0055】
分解方法としては、水及び/又はアルコール化合物、必要によりアルカリ化合物やアミン化合物等の塩基性物質を加える方法がある。アルコール化合物としては前述のアルコール及び/又はフェノールを用いることができる。アルカリ化合物としてはアルカリ金属水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化セシウム等)、アルカリ金属アルコラート(カリウムメチラート及びナトリウムメチラート等)及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。これらのうち分解効率の観点から、アルカリ金属水酸化物が好ましい。アミン化合物としては前述したアミノ基含有化合物から選ばれる1種以上を用いることができる。
【0056】
分解に際して、分解効率の観点から、温度は10℃〜180℃が好ましく、さらに好ましくは80〜150℃である。分解は密閉状態で行ってもよく、真空源に接続して排気しながら行ってもよく、又は水若しくはアルコール化合物を連続して添加しながら行ってもよい。添加する水又はアルコール化合物は、液体の状態で添加してもよく、蒸気あるいは固体状態で添加してもよい。水、アルコール化合物の使用量は、付加生成物に対して、0.1〜100重量%が好ましく、さらに好ましくは1〜20重量%である。苛性アルカリやアミン化合物の使用量は、付加生成物に対して、0.1〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.3〜2重量%である。
除去方法としては、通常知られているいずれの方法で実施してもよい。例えば、ハイドロタルサイト系吸着剤(キョーワード500、キョーワード1000及びキョーワード2000等(いずれも協和化学工業社製))や珪藻土等のろ過助剤(ラヂオライト600、ラヂオライト800及びラヂオライト900等(いずれも昭和化学工業社製))等を用いることができる。ろ過は、加圧ろ過及び減圧ろ過のどちらでもよいが、酸素の混入を防止しやすいので加圧ろ過が好ましい。フィルターの材質は特に限定されない。例えば、紙、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、アクリル及びメタアラミド等が挙げられ、紙が好ましい。また、フィルターの保留粒子径は0.1〜10μmのものが好ましく。さらに1〜5μmのものが好ましい。
【0057】
上記吸着剤は必要に応じ除去してもよい。除去方法は通常知られているいずれの方法で実施してもよく、上記の吸着剤や濾過助剤を使用したろ過等が挙げられる。
【0058】
水分の含有量が高い場合は、続いて、減圧下(0.01MPa以下)、90〜160℃で脱水してもよい。方法としてはバッチ式でもよいし、シャワーリング方式でもよい。
【0059】
いずれの工程においても、酸素不存在下で行うことが好ましく、酸素濃度は1000ppm以下が好ましく、さらに好ましくは500ppm以下である。1000ppm以下であるとアルキレンオキサイド付加物のエーテル結合が酸化されにくくその結果着色されにくい。酸素濃度の低減は、ろ過装置中に窒素ガス及びアルゴンガス等の不活性ガスを通入することで実施することができ、好ましい。
【0060】
本発明の製造方法で得られたアルキレンオキサイド付加物(A)(特に2〜8価又はそれ以上のアルキレンオキサイド付加物)は、各種用途に用いることができるが、発泡又は非発泡ポリウレタン樹脂を製造するのに好適に用いられる。
すなわち、ポリオール成分と有機ポリイソシアネート(C)とを、必要により添加剤の存在下反応させて、発泡又は非発泡ポリウレタン樹脂を製造する際、ポリオール成分の少なくとも一部として、本発明の製造方法で得られたアルキレンオキサイド付加物(A)を使用することができる。本発明の製造方法で得られたアルキレンオキサイド付加物を使用することには、このアルキレンオキサイド付加物中でビニルモノマー(m)を重合させて得られる重合体アルコール(B)を使用することも含まれる。
【0061】
重合体アルコール(B)は、アルキレンオキサイド付加物(A)中でビニルモノマーを通常の方法で重合して製造することができる。例えば、(A)中で、ラジカル重合開始剤の存在下、ビニルモノマーが重合され、得られた重合体が安定分散されたものが挙げられる。重合方法の具体例としては、米国特許第3383351号明細書及び特公昭39−25737号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0062】
有機ポリイソシアネート(C)としては、従来からポリウレタン製造に使用されているものが使用できる。このようなイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらの変性物(例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシヌアレート基、又はオキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0063】
本発明のポリウレタンの製造方法において、必要により、発泡剤、整泡剤、ウレタン化触媒、着色剤(染料、顔料)、可塑剤、有機充填剤、難燃剤、老化防止剤、抗酸化剤等公知の添加剤の存在下で反応させることができる。
【0064】
本発明のポリウレタンの製造方法におけるイソシアネート指数(NCO INDEX)[(NCO基/活性水素原子含有基)の当量比×100]は、好ましくは80〜150、さらに好ましくは85〜135、とくに好ましくは90〜130である。
【0065】
また、ポリオール成分と有機ポリイソシアネート(C)を反応させる条件は、通常用いられる公知の条件でよい。
一例を示せば、まず、ポリオール成分及び必要により添加剤を所定量混合する。次いで、ポリウレタン低圧もしくは高圧注入発泡機又は撹拌機を使用して、この混合物とポリイソシアネートとを急速混合する。得られた混合液を密閉型もしくは開放型のモールド(金属製又は樹脂製)に注入し、ウレタン化反応を行わせ、所定時間硬化後、脱型してポリウレタン樹脂を得る。
【実施例】
【0066】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0067】
<実施例1>
図1に示した態様のように、攪拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(4)付きの反応槽(1)としてのステンレス製反応槽と、脱揮装置(7)としてフィルムエバポレーターを、反応槽(1)→送りライン(6)→脱揮装置(7)の順に接続した。除去ライン(5)にはダイアフラム型真空ポンプを設置した。送りライン(6)、回収ライン(8)には送液ポンプを設置した。
ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価230)295部を反応槽(1)に仕込み、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09部及びPO2160部を原料供給ライン(4)を通じて投入し、反応温度が75〜90℃を保つように制御しながら投入した。但し、POの投入は少量づつ数回に分けて720部を投入した後、ペンタエリスリトールPO付加物を送りライン(6)から脱揮装置(7)に送り、除去ライン(5)に設置したダイアフラム型真空ポンプにより減圧(0.01MPa)とし、揮発成分を留去し、PPG送りライン(8)から反応槽に送る工程とし、この工程を3回繰り返し実施した。POを液状のペンタエリスリトールPO付加物が2000部となるまで投入した後、脱揮装置(7)にて脱揮し、液状のペンタエリスリトールPO付加物(A−1)を得た。水酸基価は38、数平均官能基数は3.0、不飽基含有物の含有量は0.0重量%であった。反応混合物(e)中の副生低沸点化合物(b)の含有量は、付加反応の全工程を通じて、10重量%以下であり、10.0重量%となることがあった。また、付加反応の全工程を通じての平均含有量は4.5重量%であった。なお、原料として用いたペンタエリスリトールのPO付加物は、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒としてペンタエリスリトールにPOを所定量付加したものである。
【0068】
<実施例2>
図1に示した態様のように、撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(4)付きの反応槽(1)としてのステンレス製反応槽と、脱揮装置(7)としてフィルムエバポレーターを、反応槽(1)→送りライン(6)→脱揮装置(7)の順に接続した。除去ライン(5)にはダイアフラム型真空ポンプを設置した。送りライン(6)、回収ライン(8)には送液ポンプを設置した。
ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価230)295部を反応槽(1)に仕込み、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09部及びPO2100部を原料供給ライン(4)を通じて投入し、反応温度が75〜90℃を保つように制御しながら投入した。但し、POの投入は少量づつ数回に分けて190部を投入した後、ペンタエリスリトールPO付加物を送りライン(6)から脱揮装置(7)に送り、除去ライン(5)に設置したダイアフラム型真空ポンプにより減圧(0.01MPa)とし、揮発成分を留去し、PPG送りライン(8)から反応槽に送る工程とし、この工程を10回繰り返し実施した。POを液状のペンタエリスリトールPO付加物が2000部となるまで投入した後、脱揮装置(7)にて脱揮し、液状のペンタエリスリトールPO付加物(A−2)を得た。水酸基価は36、数平均官能基数は3.4、不飽基含有物の含有量は0.0重量%であった。反応混合物(e)中の副生低沸点化合物(b)の含有量は、付加反応の全工程を通じて、2.0重量%以下であり、2.0重量%となることがあった。また、付加反応の全工程を通じての平均含有量は1.5重量%であった。なお、原料として用いたペンタエリスリトールのPO付加物は、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒としてペンタエリスリトールにPOを所定量付加したものである。
【0069】
<実施例3>
図1に示した態様のように、撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(4)付きの反応槽(1)としてのステンレス製反応槽と、脱揮装置(7)としてフィルムエバポレーターを、反応槽(1)→送りライン(6)→脱揮装置(7)の順に接続した。除去ライン(5)にはダイアフラム型真空ポンプを設置した。送りライン(6)、回収ライン(8)には送液ポンプを設置した。
ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価230)295部を反応槽(1)に仕込み、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09部及びPO2100部を原料供給ライン(4)を通じて投入し、反応温度が75〜90℃を保つように制御しながら投入した。但し、POの投入は少量づつ数回に分けて190部を投入した後、ペンタエリスリトールPO付加物を送りライン(6)から脱揮装置(7)に送り、除去ライン(5)に設置したダイアフラム型真空ポンプにより減圧(0.01MPa)とし、揮発成分を留去し、PPG送りライン(8)から脱揮処理した生成物(ペンタエリスリトールのPO付加物)を別の反応槽に送り、反応槽(1)の反応物を全て脱揮処理した後、別の反応槽で受けた生成物を反応槽(1)に戻した。この工程を10回繰り返し実施した。POを液状のペンタエリスリトールPO付加物が2000部となるまで投入した後、脱揮装置(7)にて脱揮し、液状のペンタエリスリトールPO付加物(A−3)を得た。水酸基価は36、数平均官能基数は3.4、不飽基含有物の含有量は0.0重量%であった。反応混合物(e)中の副生低沸点化合物(b)の含有量は、付加反応の全工程を通じて、2.0重量%以下であり、2.0重量%となることがあった。また、付加反応の全工程を通じての平均含有量は1.0重量%であった。なお、原料として用いたペンタエリスリトールのPO付加物は、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒としてペンタエリスリトールにPOを所定量付加したものである。
【0070】
<実施例4>
図1に示した態様のように、撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(4)付きの反応槽(1)としてのステンレス製反応槽と、脱揮装置(7)としてフィルムエバポレーターを、反応槽(1)→送りライン(6)→脱揮装置(7)の順に接続した。除去ライン(5)にはダイアフラム型真空ポンプを設置した。送りライン(6)、回収ライン(8)には送液ポンプを設置した。
ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価230)295部を反応槽(1)に仕込み、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09部及びPO2100部を原料供給ライン(4)を通じて投入し、反応温度が75〜90℃を保つように制御しながら投入した。但し、POの投入は少量づつ数回に分けて65部を投入した後、ペンタエリスリトールPO付加物を送りライン(6)から脱揮装置(7)に送り、除去ライン(5)に設置したダイアフラム型真空ポンプにより減圧(0.01MPa)とし、揮発成分を留去し、PPG送りライン(8)から脱揮処理した生成物(ペンタエリスリトールのPO付加物)を別の反応槽に送る工程り、反応槽(1)の反応物を全て脱揮処理した後、別の反応槽で受けた生成物を反応槽(1)に戻した。この工程を32回繰り返し実施した。POを液状のペンタエリスリトールPO付加物が2000部となるまで投入した後、脱揮装置(7)にて脱揮し、液状のペンタエリスリトールPO付加物(A−4)を得た。水酸基価は34、数平均官能基数は3.7、不飽基含有物の含有量は0.0重量%であった。反応混合物(e)中の副生低沸点化合物(b)の含有量は、付加反応の全工程を通じて、1.0重量%以下であり、1.0重量%となることがあった。また、付加反応の全工程を通じての平均含有量は0.5重量%であった。なお、原料として用いたペンタエリスリトールのPO付加物は、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒としてペンタエリスリトールにPOを所定量付加したものである。
【0071】
<実施例5>
図1に示した態様のように、撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(4)付きの反応槽(1)としてのステンレス製反応槽と、脱揮装置(7)としてフィルムエバポレーターを、反応槽(1)→送りライン(6)→脱揮装置(7)の順に接続した。除去ライン(5)にはダイアフラム型真空ポンプを設置した。送りライン(6)、回収ライン(8)には送液ポンプを設置した。
ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価230)295部を反応槽(1)に仕込み、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09部及びPO2160部を原料供給ライン(4)を通じて投入し、反応温度が75〜90℃を保つように制御しながら投入した。但し、POの投入は少量づつ数回に分けて720部を投入した後、ペンタエリスリトールPO付加物を送りライン(6)から脱揮装置(7)に送り、除去ライン(5)に設置したダイアフラム型真空ポンプにより減圧(0.01MPa)とし、揮発成分を留去し、PPG送りライン(8)から脱揮処理した生成物(ペンタエリスリトールのPO付加物)を別の反応槽に送る工程り、反応槽(1)の反応物を全て脱揮処理した後、別の反応槽で受けた生成物を反応槽(1)に戻した。この工程を3回繰り返し実施した。POを液状のペンタエリスリトールPO付加物が2000部となるまで投入した後、脱揮装置(7)にて脱揮し、液状のペンタエリスリトールPO付加物(A−5)を得た。水酸基価は38、数平均官能基数は3.0、不飽基含有物の含有量は0.0重量%であった。反応混合物(e)中の副生低沸点化合物(b)の含有量は、付加反応の全工程を通じて、10重量%以下であり、10.0重量%となることがあった。また、付加反応の全工程を通じての平均含有量は4.5重量%であった。なお、原料として用いたペンタエリスリトールのPO付加物は、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒としてペンタエリスリトールにPOを所定量付加したものである。
【0072】
<実施例6>
図1に示した態様のように、撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(4)付きの反応槽(1)としてのステンレス製反応槽と、脱揮装置(7)としてフィルムエバポレーターを、反応槽(1)→送りライン(6)→脱揮装置(7)の順に接続した。除去ライン(5)にはダイアフラム型真空ポンプを設置した。送りライン(6)、回収ライン(8)には送液ポンプを設置した。
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)415部を反応槽(1)に仕込み、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09部及びPO1870部を原料供給ライン(4)を通じて投入し、反応温度が75〜90℃を保つように制御しながら投入した。但し、POの投入は少量づつ数回に分けて210部を投入した後、グリセリンのPO付加物を送りライン(6)から脱揮装置(7)に送り、除去ライン(5)に設置したダイアフラム型真空ポンプにより減圧(0.01MPa)とし、揮発成分を留去し、PPG送りライン(8)から脱揮処理した生成物(グリセリンのPO付加物)を別の反応槽に送る工程り、反応槽(1)の反応物を全て脱揮処理した後、別の反応槽で受けた生成物を反応槽(1)に戻した。この工程を9回繰り返し実施した。POを液状のグリセリンのPO付加物が2000部となるまで投入した後、脱揮装置(7)にて脱揮し、液状のグリセリンPO付加物(A−6)を得た。水酸基価は61、数平均官能基数は2.8、不飽基含有物の含有量は0.0重量%であった。反応混合物(e)中の副生低沸点化合物(b)の含有量は、付加反応の全工程を通じて、1.0重量%以下であり、1.0重量%となることがあった。また、付加反応の全工程を通じての平均含有量は0.7重量%であった。なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物は、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒としてグリセリンにPOを所定量付加したものである。
【0073】
<実施例7>
図1に示した態様のように、撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(4)付きの反応槽(1)としてのステンレス製反応槽と、脱揮装置(7)としてフィルムエバポレーターを、反応槽(1)→送りライン(6)→脱揮装置(7)の順に接続した。除去ライン(5)にはダイアフラム型真空ポンプを設置した。送りライン(6)、回収ライン(8)には送液ポンプを設置した。
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)410部を反応槽(1)に仕込み、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09部及びPO1900部を原料供給ライン(4)を通じて投入し、反応温度が75〜90℃を保つように制御しながら投入した。但し、POの投入は少量づつ数回に分けて635部を投入した後、グリセリンのPO付加物を送りライン(6)から脱揮装置(7)に送り、除去ライン(5)に設置したダイアフラム型真空ポンプにより減圧(0.01MPa)とし、揮発成分を留去し、PPG送りライン(8)から脱揮処理した生成物(グリセリンのPO付加物)を別の反応槽に送る工程り、反応槽(1)の反応物を全て脱揮処理した後、別の反応槽で受けた生成物を反応槽(1)に戻した。この工程を3回繰り返し実施した。POを液状のグリセリンのPO付加物が2000部となるまで投入した後、脱揮装置(7)にて脱揮し、液状のグリセリンPO付加物(A−7)を得た。水酸基価は63、数平均官能基数は2.7、不飽基含有物の含有量は0.0重量%であった。反応混合物(e)中の副生低沸点化合物(b)の含有量は、付加反応の全工程を通じて、3.0重量%以下であり、3.0重量%となることがあった。また、付加反応の全工程を通じての平均含有量は2.0重量%であった。なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物は、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒としてグリセリンにPOを所定量付加したものである。
【0074】
<実施例8>
図1に示した態様のように、撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(4)付きの反応槽(1)としてのステンレス製反応槽と、脱揮装置(7)としてフィルムエバポレーターを、反応槽(1)→送りライン(6)→脱揮装置(7)の順に接続した。除去ライン(5)にはダイアフラム型真空ポンプを設置した。送りライン(6)、回収ライン(8)には送液ポンプを設置した。
ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価230)500部を反応槽(1)に仕込み、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09部及びPO1770部を原料供給ライン(4)を通じて投入し、反応温度が75〜90℃を保つように制御しながら投入した。但し、POの投入は少量づつ数回に分けて220部を投入した後、ペンタエリスリトールPO付加物を送りライン(6)から脱揮装置(7)に送り、除去ライン(5)に設置したダイアフラム型真空ポンプにより減圧(0.01MPa)とし、揮発成分を留去し、PPG送りライン(8)から脱揮処理した生成物(ペンタエリスリトールのPO付加物)を別の反応槽に送る工程り、反応槽(1)の反応物を全て脱揮処理した後、別の反応槽で受けた生成物を反応槽(1)に戻した。この工程を8回繰り返し実施した。POを液状のペンタエリスリトールPO付加物が2000部となるまで投入した後、脱揮装置(7)にて脱揮し、液状のペンタエリスリトールPO付加物(A−8)を得た。水酸基価は56、数平均官能基数は3.7、不飽基含有物の含有量は0.0重量%であった。反応混合物(e)中の副生低沸点化合物(b)の含有量は、付加反応の全工程を通じて、1.5重量%以下であり、1.5重量%となることがあった。また、付加反応の全工程を通じての平均含有量は1.0重量%であった。なお、原料として用いたペンタエリスリトールのPO付加物は、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒としてペンタエリスリトールにPOを所定量付加したものである。
【0075】
<実施例9>
図1に示した態様のように、撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(4)付きの反応槽(1)としてのステンレス製反応槽と、脱揮装置(7)としてフィルムエバポレーターを、反応槽(1)→送りライン(6)→脱揮装置(7)の順に接続した。除去ライン(5)にはダイアフラム型真空ポンプを設置した。送りライン(6)、回収ライン(8)には送液ポンプを設置した。
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)240部を反応槽(1)に仕込み、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09部及びPO2150部を原料供給ライン(4)を通じて投入し、反応温度が75〜90℃を保つように制御しながら投入した。但し、POの投入は少量づつ数回に分けて135部を投入した後、ペンタエリスリトールPO付加物を送りライン(6)から脱揮装置(7)に送り、除去ライン(5)に設置したダイアフラム型真空ポンプにより減圧(0.01MPa)とし、揮発成分を留去し、PPG送りライン(8)から脱揮処理した生成物(グリセリンのPO付加物)を別の反応槽に送る工程り、反応槽(1)の反応物を全て脱揮処理した後、別の反応槽で受けた生成物を反応槽(1)に戻した。この工程を16回繰り返し実施した。POを液状のグリセリンPO付加物が2000部となるまで投入した後、脱揮装置(7)にて脱揮し、液状のグリセリンPO付加物(A−9)を得た。水酸基価は39、数平均官能基数は2.7、不飽基含有物の含有量は0.0重量%であった。反応混合物(e)中の副生低沸点化合物(b)の含有量は、付加反応の全工程を通じて、1.5重量%以下であり、1.5重量%となることがあった。また、付加反応の全工程を通じての平均含有量は1.0重量%であった。なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物は、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを触媒としてグリセリンにPOを所定量付加したものである。
【0076】
<比較例1>
図1に示した態様のように、攪拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(4)付きの反応槽(1)としてのステンレス製反応槽と、脱揮装置(7)としてフィルムエバポレーターを、反応槽(1)→送りライン(6)→脱揮装置(7)の順に接続した。除去ライン(5)にはダイアフラム型真空ポンプを設置した。送りライン(6)、回収ライン(8)には送液ポンプを設置した。
ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価35.6)1830部を反応槽(1)に仕込み、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09部及びPO200部を原料供給ライン(4)を通じて投入し、反応温度が75〜90℃を保つように制御しながらPOを反応槽内液量が2000部となるまで投入した。反応混合物を脱揮装置で脱揮して、液状のペンタエリスリトールPO付加物(N−1)を得た。水酸基価は38、数平均官能基数は2.8、不飽基含有物の含有量は2.9重量%であった。反応混合物(e)中の副生低沸点化合物(b)の含有量は、付加反応工程において2.0重量%以下であり、2.0重量%となることがあった。また、付加反応の全工程を通じての平均含有量は1.5重量%であった。なお、原料として用いたペンタエリスリトールのPO付加物は既知の方法で合成されたもの、つまり、水酸化カリウムを触媒としてペンタエリスリトールにPOを所定量付加した後、触媒除去のため、水と合成珪酸塩(協和化学社製 キョーワード600)を加えて加熱処理後、ろ過、減圧脱水したものである。
【0077】
<比較例2>
図1に示した態様のように、攪拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(4)付きの反応槽(1)としてのステンレス製反応槽と、脱揮装置(7)としてフィルムエバポレーターを、反応槽(1)→送りライン(6)→脱揮装置(7)の順に接続した。除去ライン(5)にはダイアフラム型真空ポンプを設置した。送りライン(6)、回収ライン(8)には送液ポンプを設置した。
グリセリンのPO付加物(水酸基価66)1660部を反応槽(1)に仕込み、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09部及びPO415部を原料供給ライン(4)を通じて投入し、反応温度が75〜90℃を保つように制御しながらPOを反応槽内液量が2000部となるまで投入した。反応混合物を脱揮装置で脱揮して、液状のグリセリンPO付加物(N−2)を得た。水酸基価は61、数平均官能基数は2.5、不飽基含有物の含有量は2.4重量%であった。反応混合物(e)中の副生低沸点化合物(b)の含有量は、付加反応工程において2.0重量%下であり、2.0重量%となることがあった。また、付加反応の全工程を通じての平均含有量は1.5重量%であった。なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物は既知の方法で合成されたもの、つまり、水酸化カリウムを触媒としてグリセリンにPOを所定量付加した後、触媒除去のため、水と合成珪酸塩(協和化学社製 キョーワード600)を加えて加熱処理後、ろ過、減圧脱水したものである。
【0078】
<比較例3>
図1に示した態様のように、攪拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(4)付きの反応槽(1)としてのステンレス製反応槽と、脱揮装置(7)としてフィルムエバポレーターを、反応槽(1)→送りライン(6)→脱揮装置(7)の順に接続した。除去ライン(5)にはダイアフラム型真空ポンプを設置した。送りライン(6)、回収ライン(8)には送液ポンプを設置した。
ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価230)290部を反応槽(1)に仕込み、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09部及びPO2340部を原料供給ライン(4)を通じて投入し、反応温度が75〜90℃を保つように制御しながらPOを反応槽内液量が2000部となるまで投入した。反応混合物を脱揮装置で脱揮して、液状のペンタエリスリトールPO付加物(N−3)を得た。水酸基価は41、数平均官能基数は2.7、不飽基含有物の含有量は0.0重量%であった。反応混合物(e)中の副生低沸点化合物(b)の含有量は、付加反応工程において15.5重量%以下であり、15.5重量%となることがあった。また、付加反応の全工程を通じての平均含有量は10.5重量%であった。
【0079】
<比較例4>
図1に示した態様のように、攪拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(4)付きの反応槽(1)としてのステンレス製反応槽と、脱揮装置(7)としてフィルムエバポレーターを、反応槽(1)→送りライン(6)→脱揮装置(7)の順に接続した。除去ライン(5)にはダイアフラム型真空ポンプを設置した。送りライン(6)、回収ライン(8)には送液ポンプを設置した。
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)415部を反応槽(1)に仕込み、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09部及びPO1970部を原料供給ライン(4)を通じて投入し、反応温度が75〜90℃を保つように制御しながらPOを反応槽内液量が2000部となるまで投入した。反応混合物を脱揮装置で脱揮して、液状のグリセリンPO付加物(N−4)を得た。水酸基価は67、数平均官能基数は2.5、不飽基含有物の含有量は0.0重量%であった。反応混合物(e)中の副生低沸点化合物(b)の含有量は、付加反応工程において8.0重量%以下であり、8.0重量%となることがあった。また、付加反応の全工程を通じての平均含有量は5.5重量%であった。
【0080】
<比較例5>
図1に示した態様のように、攪拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(4)付きの反応槽(1)としてのステンレス製反応槽と、脱揮装置(7)としてフィルムエバポレーターを、反応槽(1)→送りライン(6)→脱揮装置(7)の順に接続した。除去ライン(5)にはダイアフラム型真空ポンプを設置した。送りライン(6)、回収ライン(8)には送液ポンプを設置した。
ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価230)520部を反応槽(1)に仕込み、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09部及びPO1830部を原料供給ライン(4)を通じて投入し、反応温度が75〜90℃を保つように制御しながらPOを反応槽内液量が2000部となるまで投入した。反応混合物を脱揮装置で脱揮して、液状のペンタエリスリトールPO付加物(N−5)を得た。水酸基価は58、数平均官能基数は3.2、不飽基含有物の含有量は0.0重量%であった。反応混合物(e)中の副生低沸点化合物(b)の含有量は、付加反応工程において7.5重量%以下であり、7.5重量%となることがあった。また、付加反応の全工程を通じての平均含有量は5.5重量%であった。
【0081】
<比較例6>
図1に示した態様のように、攪拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(4)付きの反応槽(1)としてのステンレス製反応槽と、脱揮装置(7)としてフィルムエバポレーターを、反応槽(1)→送りライン(6)→脱揮装置(7)の順に接続した。除去ライン(5)にはダイアフラム型真空ポンプを設置した。送りライン(6)、回収ライン(8)には送液ポンプを設置した。
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)250部を反応槽(1)に仕込み、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09部及びPO2360部を原料供給ライン(4)を通じて投入し、反応温度が75〜90℃を保つように制御しながらPOを反応槽内液量が2000部となるまで投入した。反応混合物を脱揮装置で脱揮して、液状のグリセリンPO付加物(N−6)を得た。水酸基価は55、数平均官能基数は2.3、不飽基含有物の含有量は0.0重量%であった。反応混合物(e)中の副生低沸点化合物(b)の含有量は、付加反応工程において15.0重量%以下であり、15.0重量%となることがあった。また、付加反応の全工程を通じての平均含有量は10.5重量%であった。
【0082】
本発明の実施例1〜5は、比較例1、3に比較して、水酸基価が同等であるが、数平均官能基数が高く優れている。生産効率は同等である。特に、実施例4において、数平均官能基数の点で極めて優れている。
実施例6、7は、比較例2、4に比較して、水酸基価が同等であるが、数平均官能基数が高く優れている。生産効率は同等である。特に、実施例6において、数平均官能基数の点で極めて優れている。
本発明の実施例8は、比較例5に比較して、水酸基価が同等であるが、数平均官能基数が高く優れている。生産効率は同等である。
本発明の実施例9は、比較例6に比較して、水酸基価が同等であるが、数平均官能基数が高く優れている。生産効率は同等である。
そして、本発明の実施例は、後処理工程が不要であるため、反応時間が短く、生産効率の点で極めて優れている。
すなわち、本発明の実施例は、比較例に対して、数平均官能基数が高く、生産効率の少なくともいずれか一方は同等以上であり、総合して優れた製造方法であることが分かる。
【0083】
表1に示した発泡処方に従って、下記の発泡方法例によりポリウレタンモールドフォームを発泡し、1昼夜放置後ポリウレタンモールドフォームの諸物性を測定した。物性の測定値も表1に記載した。なおコア密度はフォームの中心部から、100mm×100mm×50mmの大きさに切り出して測定した密度である。
【0084】
<発泡方法>
アルキレンオキサイド付加物(A)、発泡剤(D)、ウレタン化触媒触媒(E)及び整泡剤(F)、並びに必要により他の補助成分を所定量混合攪拌し、ポリオールプレミックスを得る。次いでポリウレタン発泡機又は攪拌機を使用して、このポリオールプレミックスと有機ポリイソシアネート(C)とを急速混合する。得られた混合液をモールド(例えば15〜70℃)に注入し、所定時間後脱型して軟質ポリウレタンモールドフォームを得る。
【0085】
実施例及び比較例におけるポリウレタンモールドフォームの原料は次の通りである。
1.アルキレンオキサイド付加物(A)
実施例3、4、5および比較例1、3にて製造したアルキレンオキサイド付加物
2.アルキレンオキサイド付加物(A)以外の活性水素化合物(c)
(1)活性水素化合物(c−1):グリセリンのPO・EOブロック付加物。水酸基価=28.0、EO単位の含有量=16.0%、1級水酸基化率=82%
(2)活性水素化合物(c−2):活性水素化合物中で、スチレンとアクリロニトリル(質量比:30/70)を共重合させた重合体ポリオール。(重合体含量30.0%、水酸基価=22.0重合体微粒子の体積平均粒子径=0.4μm)
体積平均粒子径は以下の方法にて測定を行った。50mlのガラス製ビーカーにメタノール30mlを入れ、重合体ポリオールを2mg投入し、長径2cm、短径0.5cmのスターラーピースを用いてマグネチックスターラーで400rpm×3分間攪拌、混合した。混合後、5分間以内に測定セルに投入し、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置[型番:LA−750、(株)堀場製作所製]を用いて体積基準による体積平均粒子径を測定した。
(3)活性水素化合物(c−3):グリセリンのPO・EOランダム付加物。水酸基価=24.0、EO単位の含有量=72.0%、1級水酸基化率=30%
(4)活性水素化合物(c−4):グリセリン。水酸基価=1830
(5)活性水素化合物(c−5):トリエタノールアミン。水酸基価=1130
3.ウレタン化触媒(E)
(1)ウレタン化触媒E−1:エアプロダクツジャパン(株)製「DABCO−33LV」(トリエチレンジアミンの33重量%ジプロピレングリコール溶液)
(2)ウレタン化触媒E−2:東ソー(株)製「TOYOCAT ET」{ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルの70重量%ジプロピレングリコール溶液}
4.整泡剤(F)
(1)整泡剤F−1:東レ・ダウコーニング(株)製「SZ−1346」
5.発泡剤(D)
(1)発泡剤(D):水
6.有機ポリイソシアネート成分(B)
(1)有機ポリイソシアネートB−1:三井化学(株)製「コスモネート TM−20」(TDI−80(2,4−及び2,6−TDI、2,4−体の比率が80重量%)/粗製MDI(平均官能基数:2.9)=80/20(重量比)(NCO%:44.6%))
【0086】
実施例における測定、評価方法は次のとおりである。
<物性試験>
<1>:全密度(kg/m3
<2>:コア密度(kg/m3
<3>:フォーム硬さ(kgf/314cm2
<4>:反発弾性率(%)
<5>:伸び率(%)
<6>:圧縮残留歪み率(%)
<1>〜<6>はJIS K 6400(2004年版)に準拠した。
<7>:湿熱圧縮残留歪み率(%)
<7>の試験において、温度50℃、湿度95%とした。
<8>:キュア性
フォーム脱型直後に、端部を指で10秒間はさみ、
指跡の残らないもの;○
指跡の残るもの ;×
として評価した。
【0087】
【表1】

【0088】
以上の結果から、本発明の製造方法により得られた実施例10〜12のフォームは、比較例7、8のフォームよりも低いコア密度において同等かそれより優れたフォーム硬さ、反発弾性率、圧縮残留歪み率、湿熱圧縮残留歪み率を得られる。
【0089】
表2に示した発泡処方に従って、下記の発泡条件によりポリウレタンスラブフォームを発泡し、1昼夜放置後ポリウレタンスラブフォームの諸物性を測定した。物性の測定値も表2に記載した。
【0090】
<発泡条件>
BOX SIZE:30cm×30cm×30cm天空き箱
材質:木材
ミキシング方法:ハンドミキシング
【0091】
実施例及び比較例におけるポリウレタンモールドフォームの原料は次の通りである。
1.アルキレンオキサイド付加物(A)
実施例6、7および比較例2、4にて製造したアルキレンオキサイド付加物
2.ウレタン化触媒(E)
(1)ウレタン化触媒E−2:東ソー(株)製「TOYOCAT ET」{ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルの70重量%ジプロピレングリコール溶液}
(2)ウレタン化触媒E−3:日東化成(株)社製「ネオスタン U−28」(スタナスオクトエート)
3.整泡剤(F)
(1)整泡剤F−2:東レ・ダウコーニング(株)社製「L−540」
4.発泡剤(D)
(1)発泡剤(D):水
5.有機ポリイソシアネート成分(B)
(1)有機ポリイソシアネートB−2:日本ポリウレタン工業(株)社製「コロネート T−80」(TDI−80(2,4−及び2,6−TDI、2,4−体)
【0092】
実施例における測定、評価方法は次のとおりである。
<物性試験>
<1>:コア密度(kg/m3
<2>:フォーム硬さ(kgf/314cm2
<3>:反発弾性率(%)
<4>:伸び率(%)
<5>:圧縮残留歪み率(%)
<1>〜<5>はJIS K 6400(2004年版)に準拠した。
<6>:湿熱圧縮残留歪み率(%)
<6>の試験において、温度50℃、湿度95%とした。
<7>:通気性(cc/cm/sec)
<7>はJIS L1004に準拠
【0093】
【表2】

【0094】
表2の結果から、本発明の製造方法により得られた実施例13、14のフォームは、比較例9、10のフォームよりも同等以上のフォーム硬さ、反発弾性率、伸び率、圧縮残留歪み率、湿熱圧縮残留歪み率を得られる。
【0095】
<実施例15>
2500mlの攪拌装置、温度制御装置付きの4つ口フラスコに、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート(商品名:ミリオネートMT、日本ポリウレタン工業(株)製)103g、実施例3で得られたアルキレンオキサイド付加物(A−3)410g、エチレングリコール26g、ジメチルホルムアミド1390gを仕込み、70℃でイソシアネートの反応率(消費率)が100%となるまで反応させた。得られたポリウレタン樹脂溶液をガラス板上に伸ばした後、−0.1MPa(ゲージ圧)、60℃で6hr加熱することでポリウレタン樹脂を得た。
【0096】
<実施例16>
2500mlの攪拌装置、温度制御装置付きの4つ口フラスコに、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート(商品名:ミリオネートMT、日本ポリウレタン工業(株)製)103g、実施例3で得られたアルキレンオキサイド付加物(A−4)410g、エチレングリコール26g、ジメチルホルムアミド1390gを仕込み、70℃でイソシアネートの反応率(消費率)が100%となるまで反応させた。得られたポリウレタン樹脂溶液をガラス板上に伸ばした後、−0.1MPa(ゲージ圧)、60℃で6hr加熱することでポリウレタン樹脂を得た。
【0097】
<実施例17>
2500mlの攪拌装置、温度制御装置付きの4つ口フラスコに、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート(商品名:ミリオネートMT、日本ポリウレタン工業(株)製)160g、実施例3で得られたアルキレンオキサイド付加物(A−7)410g、エチレングリコール26g、ジメチルホルムアミド1390gを仕込み、70℃でイソシアネートの反応率(消費率)が100%となるまで反応させた。得られたポリウレタン樹脂溶液をガラス板上に伸ばした後、−0.1MPa(ゲージ圧)、60℃で6hr加熱することでポリウレタン樹脂を得た。
【0098】
<実施例18>
2500mlの攪拌装置、温度制御装置付きの4つ口フラスコに、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート(商品名:ミリオネートMT、日本ポリウレタン工業(株)製)160g、実施例3で得られたアルキレンオキサイド付加物(A−8)410g、エチレングリコール26g、ジメチルホルムアミド1390gを仕込み、70℃でイソシアネートの反応率(消費率)が100%となるまで反応させた。得られたポリウレタン樹脂溶液をガラス板上に伸ばした後、−0.1MPa(ゲージ圧)、60℃で6hr加熱することでポリウレタン樹脂を得た。
【0099】
<比較例11>
2500mlの攪拌装置、温度制御装置付きの4つ口フラスコに、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート(商品名:ミリオネートMT、日本ポリウレタン工業(株)製)103g、実施例3で得られたアルキレンオキサイド付加物(N−1)410g、エチレングリコール26g、ジメチルホルムアミド1390gを仕込み、70℃でイソシアネートの反応率(消費率)が100%となるまで反応させた。得られたポリウレタン樹脂溶液をガラス板上に伸ばした後、−0.1MPa(ゲージ圧)、60℃で6hr加熱することでポリウレタン樹脂を得た。
【0100】
<比較例12>
2500mlの攪拌装置、温度制御装置付きの4つ口フラスコに、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート(商品名:ミリオネートMT、日本ポリウレタン工業(株)製)160g、実施例3で得られたアルキレンオキサイド付加物(N−2)410g、エチレングリコール26g、ジメチルホルムアミド1390gを仕込み、70℃でイソシアネートの反応率(消費率)が100%となるまで反応させた。得られたポリウレタン樹脂溶液をガラス板上に伸ばした後、−0.1MPa(ゲージ圧)、60℃で6hr加熱することでポリウレタン樹脂を得た。
【0101】
<比較例13>
2500mlの攪拌装置、温度制御装置付きの4つ口フラスコに、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート(商品名:ミリオネートMT、日本ポリウレタン工業(株)製)103g、実施例3で得られたアルキレンオキサイド付加物(N−3)410g、エチレングリコール26g、ジメチルホルムアミド1390gを仕込み、70℃でイソシアネートの反応率(消費率)が100%となるまで反応させた。得られたポリウレタン樹脂溶液をガラス板上に伸ばした後、−0.1MPa(ゲージ圧)、60℃で6hr加熱することでポリウレタン樹脂を得た。
【0102】
<比較例14>
2500mlの攪拌装置、温度制御装置付きの4つ口フラスコに、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート(商品名:ミリオネートMT、日本ポリウレタン工業(株)製)160g、実施例3で得られたアルキレンオキサイド付加物(N−4)410g、エチレングリコール26g、ジメチルホルムアミド1390gを仕込み、70℃でイソシアネートの反応率(消費率)が100%となるまで反応させた。得られたポリウレタン樹脂溶液をガラス板上に伸ばした後、−0.1MPa(ゲージ圧)、60℃で6hr加熱することでポリウレタン樹脂を得た。
【0103】
実施例15〜18、比較例11〜14で得られたポリウレタンエラストマーの物性表を表3に示す。
【0104】
【表3】

【0105】
表3の結果から、実施例15、16のエラストマーは比較例11、13のエラストマーよりも機械強度(特に引張破断強度、破断伸度)が向上することがわかる。同様に実施例17、18のエラストマーも比較例12、14のエラストマーよりも機械強度(特に引張破断強度、破断伸度)が向上することがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明のアルキレンオキサイド付加物の製造方法により、低沸点揮発成分を除去する後処理工程が不要となり生産効率が向上し、アルキレンオキサイド付加物の数平均官能基数が改善される。得られたアルキレンオキサイド付加物は、ポリイソシアネートと反応させて得られるポリウレタン樹脂(ポリウレタンフォームを含む)の原料として、特に有用である。
【符号の説明】
【0107】
1 反応槽
2 吸着塔
3 蒸留塔
4 原料供給ライン
5 除去ライン
6 送りライン
7 脱揮装置
8 回収ライン
82 回収ライン2
9 塔頂ライン
10 回収槽
11 回収液送液ライン
12 副生低沸点化合物抜取りライン
13 循環ライン
14 反応塔
15 水分吸着塔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程(1)を含むアルキレンオキサイド付加物の製造方法。
工程(1):ルイス酸触媒(a)の存在下、活性水素含有化合物(c)にアルキレンオキサイド(d)を付加する反応における反応混合液(e)であり、液相からなる、又は液相及び気相からなる反応混合物(e)から、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(b)を分離する工程。
【請求項2】
工程(1)を2つ以上含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
反応混合物(e)中の副生低沸点化合物(b)の含有量が、(e)の重量を基準として10重量%以下である請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
ポリオール成分と有機ポリイソシアネート(C)とを反応させて、発泡又は非発泡ポリウレタン樹脂を製造する方法において、ポリオール成分の少なくとも一部として、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法で得られたアルキレンオキサイド付加物を用いる発泡又は非発泡ポリウレタン樹脂の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−195836(P2011−195836A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42710(P2011−42710)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】