説明

アロエパウダーおよびアロエジュース並びにその製造方法

アロエベラジェルから作られたアロエパウダーを提供する。すなわち、それは、そのパウダーに含まれている多糖体の分子重量が、400,000ダルトン以下ではなく、そして、パウダーのアロイン含有量は50ppm以上ではないと特徴づけられたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はアロエベラのジェルのパウダーおよびジュースを、生材料におけるマンノースやグルコースといった高分子多糖体を高分子のままに、かつ多量の含有量では問題とされるアロインを除去した状態で提供する。医療業界、医薬品業界、食品業界、化粧品業界にクリーンな天然素材の高分子パウダーおよび高分子ジュースを提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術は、アロインを除去するための手法として以下の方法が代表的に採用されてきた。まずアロエベラのジェルを圧搾して破砕と攪拌を行いジュース状にする。次いでアロインが所在するセルロースを、セルラーセ等の酵素を用いて分解し、フィルタリングによってセルロースを除去する。次いで活性炭等を投入して上記セルロースの分解段階でジュース内に拡散したアロインを活性炭に吸着させ、再度フィルタリングを行い、アロインを吸着した活性炭を除去する。そしてSDやFDを用いて乾燥を行い粉砕してパウダーとするか、あるいはそのままジュースとするか、または濃縮した後にジュースとしていた。
【0003】
したがって、従来の技術では、上記のアロイン除去工程のために、生材料が本来含有する高分子の多糖体を含まない、低分子化した多糖体のみを含むパウダーやジュースのみが提供されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術において、セルラーセ等によるセルロースの酵素分解により、アロエベラのジェルが本来有する多糖体の高分子は低分子化されてしまう。また、酵素セルロースの酵素分解段階における攪拌が加温した状態で長時間にわたり行われること、またアロインの活性炭吸着の段階でもほぼ同様の手法がとられること、および複数回にわたるフィルタリングでジェルジュースに酸化が激しく起こる。
【0005】
これらのことでアロエベラのジェルが本来有する多糖体の高分子は、8万ダルトン以下に低分子化してしまっていた。したがって、従来の技術ではアロインを除去した状態でアロエベラのジェルが有する高分子多糖体を提供することは不可能であった。
【0006】
1960年ころまでの人類とアロエベラとの関わりは基本的にアロエベラジェルの生素材との関わりであり、2000年間以上にわたり民間薬としてアロエベラの人間に対する様々な効能は高く評価されてきた。すなわち、アロエベラが特異的に有する高分子多糖体がその効能の中心的理由であったであろうことは想像に難くない。
【0007】
しかるに現在に至るまで、アロインを除去した状態でのマンノースやグルコースといった高分子多糖体の提供は実現されていなかった。当該発明は、アロインを除去した状態で、アロエベラが本来有する高分子多糖体をパウダーあるいはジュースで提供するものであり、臨床医療等への材料供給を経て、糖尿病に対する効果や人間の細胞に対する効果を実証し、人類の健康に供しようとするものである。
【0008】
一方、従来の技術によるアロインの除去方法は複雑を極め、その精度からも工業的に優位にあるとは言い難かった。
また、当発明のアロイン除去方法で多糖体を高分子に維持したままアロインを除去した状態で水分率約99.5%のジェルを乾燥しようとした場合、フリーズドライやスプレードライでは、高分子多糖体における水分と多糖体の結合の強さのためであろうか、低水分率までの水分除去が困難であり、乾燥体の水分率を、成分破壊をほとんど起こさずに5%以下レベルまで低減せしめることはできなかった。
【0009】
したがって、従来方法でアロインを除去すれば高分子多糖体が損なわれて低分子化するために低水分率までの乾燥は可能ではあったが、基本的に当発明のように多糖体の高分子を維持したままでアロイン除去した場合は、5%以下の低水分率までの乾燥は不可能であった。したがって、保存性がよく、かつ粒度の低いパウダーを製造することは不可能であった。
【0010】
また、濃縮ジュースを製造する際には、濃縮工程の途中か終了後に加温して酵素の失活を行い、紫外線照射等の手段により殺菌をしていた。いずれもジェルにとっては苛酷な工程であり、ジェルに酸化が激しく発生していた。
【0011】
当該発明によるアロインの除去方法および乾燥方法が、従来犠牲にされてきた高分子多糖体の供給を、アロインを除去した状態で初めて可能とする。
【0012】
また近年、米国におけるよりも欧州においてアロインの規制が厳しくなってきている傾向にあるが、すなわちアロインの残留量を0.1ppm以下にするという規制であるが、請求項5、請求項6または請求項7のアロエパウダーの製造方法によれば、それにも十分対応していくことが可能となる。
【0013】
一方、アロエジュースについて、当該発明による確認ではすでにこの欧州の規制をクリヤーする数値が導き出されている。
かくして、アロエベラのジェルという、人細胞と非常に相性の良い成分を工業生産的にとらえ、その高分子多糖体の優れた物性を多くの消費者に供給することが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
アロエベラのジェルを水または濃度のごく低い水溶液に浸漬することで、複数種類の水溶性の液体を混合したときに起こる、濃度の均衡を行う液体の作用が起こる。なぜならば、アロエベラのジェルの水分率が99.5%程度と非常に高いために、異なった種類の液体同士が混合されるときに起こる濃度の均衡作用に近い現象を現出するからである。
【0015】
一方、アロインはジェルの表面や内部に存在するセルロース内に存在するのであるが、これも水溶性液体であり濃度の均衡作用から免れることはできない。むしろアロインは濃度が高いために均衡作用が最も激しく起こることになる。
【0016】
すなわち水は、アロインの存在するセルロース内部に侵入しアロインに時間経過とともに稀釈を加えることとなり、稀釈されたアロインは濃度均衡作用のために水槽の水側に移動を起こす。そしてこの作用は、稀釈され続けるアロインの濃度が槽内の水のイオン濃度に限りなく近似するまで展開される。すなわちジェル内部に存在したアロインのほとんどが除去される。
【0017】
一方、重要成分であるマンノースやグルコースといった高分子多糖体は、その分子量が非常に高く、その分子結合のために移動が起こりにくく水または濃度の低い水溶液側には流出しがたい。分析によれば、これらの高分子多糖体の分子量は1000万ダルトン以上であることが判明しており、分子量が非常に大きいために流出が起きにくいことが判明している。
【0018】
かくして、濃度の均衡を行う液体の作用からアロインはやがて稀釈されつつ水または濃度のごく低い水溶液側に流出していく。一方高分子多糖体はそのほとんどがジェル内部に残留する。
【0019】
濃度のごく低い水溶液を使用する際には、基本的にジェルをジュース状態にした状態よりも当該水溶液のイオン濃度を低く設定すれば基本的に水に浸漬した状態と近似の効果を期待することができる。
【0020】
かくして、アロインが除去され、かつマンノース等の高分子多糖体を十分に含有したアロエベラのジェルから、アロインをほとんど含まず、かつ生材料本来の高分子性能を有するパウダーやジュースが生産される。
【0021】
また、アロイン除去のためにジェルを浸漬する水として純水を使用したケースでは、ジェルに比較的多く含有される塩素をはじめ、ナトリウム、マグネシウムやカルシウム等の成分も低減できており、化粧品等への応用性が高いことも判明している。
【0022】
(1) 本発明で多糖体の分子量を40万ダルトン以上としたのは次の理由による。
分析によれば、本発明の製法による高分子多糖体の分子量は300万ダルトン以上ではあるものの、生のジェルとの比較では、やはり分子量が低下していると言わざるを得ない。人類のアロエベラの利用は2000年以上にも及ぶわけであるが、その歴史の長さを支えてきたのは、アロエベラ特有の高分子マンノースや高分子グルコース等の高分子多糖体に他ならない。なぜならば、科学技術によってパウダーやジュースが人類に提供され始めたのはわずか50年前にすぎず、それ以前には基本的に生が使用されていたからである。したがって、生のジェルが有する高分子多糖体と近似の高分子多糖体を提供する必要がある。
【0023】
分析によれば、本発明の製法による高分子多糖体の分子量は300万ダルトン以上と非常に高いものではあるが、生のジェルとの比較では、やはり分子量が低下していると言わざるを得ない。この低下の理由もやはりアロインの除去工程にあるが、従来の技術によるアロインの除去を行った場合には、分子量が8万ダルトン以下に低下してしまっているのが現状である。
【0024】
そこで、高分子という観念から、従来技術ではなし得ないと考えられる高分子多糖体の分子量は40万ダルトン以上であり、好ましくは100万ダルトン以上であって、より一層好ましくは300万ダルトン以上のパウダーやジュースを提供することが望ましい。
【0025】
(2)アロインの含有量はパウダーで50ppm以下、ジュースで10ppm以下であることとした理由は次の通りである。
米国でのアロインの規制値が50ppm以下であることを鑑み、パウダーで50ppm以下という設定をした。本発明の製法ではすでに10ppm以下を実現しているのであるが、これも50ppm以下ということで範囲に含まれる内容である。また50ppm以下の近傍値でパウダーを仕上げるのであれば、ジェルの水への浸漬時間を短縮でき量産性が向上する。
【0026】
一方、欧州ではすでに0ppmに近づけるという規制が始まる可能性が言われているが、本発明はこれに対応して、かつ高分子多糖体の提供も可能とするものである。
【0027】
ジュースの場合には、パウダーを稀釈するという考え方から積算すれば、パウダーが50ppm以下であるということは、生ではその200分の1である0.25ppmとなるのであるが、パウダーの場合と同じく、本発明ではジェルを水に浸漬してアロインを除去する場合、規制の範囲内のアロイン残存量であれば、浸漬時間を短縮することが可能となるため、ジュースの場合には10ppm以下とした。
【0028】
(3) アロエパウダーの平均粒度を100μm以下とした理由は次の通りである。
本発明によって製造されるパウダー、すなわち40万ダルトン以上の高分子多糖体を十分に含有するパウダーの場合の水への溶解性と分散性は、平均粒度100μm以下であれば良好であることを根拠にして数値を決定した。本発明によるアロエパウダーはかさ比重が小さいために微細粉砕がむずかしいのではあるが、当該申請による低水分率への乾燥によって、100μm以下のパウダーの製造が可能となる。現段階の最高レベルとしては、含水率を1%台にして平均粒度5μmのパウダーを製作することに成功している。
【0029】
(4)塩素含有率はパウダーで2.5%以下、ジュースで250ppm以下とすることの理由は次の通りである。
アロエから製造される化粧品の製造においては、塩素はできるだけ除外したい物質である。本発明ではアロインの除去方法において、ジェルを浸漬する水に純水を用いれば、パウダーですでに0.7%、したがって生のジュースで35ppmまでの含有率に低減することに成功しているが、これも水への浸漬時間による生産性の観点から、パウダーで2.5%以下、2倍の濃縮ジュースの値ではあるが、ジュースで250ppm以下としたものである
【0030】
一方、内容のパウダーおよびジュースの生産のためには、減圧下でマイクロ波加熱を使用するか、または減圧下でマイクロ波と遠赤外線の同時加熱を行う乾燥システムを採用している。この技術であればジェルに破壊をほとんど起こさずに、高分子を残したまま乾燥あるいは濃縮することができることが判明している。
【0031】
請求項8に関する乾燥の実験によれば、成分破壊をほとんど起こさない状態で水分率を2%に低減させることができ、この水分率により粒度5μm 以下のパウダーが完成しており、人体への吸収率を高効率化することに成功している。
【0032】
一方、濃縮の場合は、請求項15のごとくに濃縮工程内で、酸素の少ない環境でかつジェルの水分が少なくなった状況下で短時間の加熱を行うので、酸化が少なくかつ確実な酵素の失活と殺菌を実施することができる。
【0033】
当該濃縮工程で90℃を上限とした加熱を行った後には、減圧しながら加熱を継続して濃縮を継続するか、加熱を停止して減圧を行いジェルの温度を低下せしめてから濃縮を行うか等、様々な方法が考えられるので、当発明は高温加熱後の工程には拘束されない。
【0034】
また、当該発明全般にわたって、乾燥方法および濃縮方法は様々考えられるので、請求項8記載のアロエパウダーの製造方法における乾燥方法および請求項15記載のアロエジュースの製造方法における濃縮方法以外の事項については、当該発明は乾燥方法および濃縮方法には拘束されない。
【0035】
また、パウダー製造のための粉砕方法もジェットミル方式や凍結粉砕方式等様々考えられるので、当該発明は粉砕方法には拘束されない。
また、請求項4におけるアロエパウダーの製造方法では、アロインの含有率を10ppm程度まで低減することには成功しているが、近年欧州で採用されつつある規制、すなわちアロインの含有率を0.1ppm以下にするという規制に十分対応できているとは言えない。このために、請求項4において大半のアロインを除去した後に、さらにわずかに残留したアロインを除去するために請求項5、請求項6または請求項7の処理を実施する。
【0036】
請求項5は、セルロースをろ過して除去してから乾燥と粉砕を行う方法である。なぜならば、残留している微量のアロインはセルロース内壁に付着残留していると考えられるからである。
【0037】
また請求項6は、請求項5におけるよりも破砕と攪拌を十分に行い、残留している微量のアロインをジュース内に拡散させ、これを活性炭に吸着せしめて、このアロインを吸着した活性炭をろ過してから乾燥と粉砕を行う方法である。
さらに請求項7では、セルロースを除去した後に、さらに活性炭の処理をしてアロイン残留を限りなく0に近づける手法である。
【0038】
一方、ジュースに関しては、請求項13の方法ですでにアロインの残留濃度0.1ppm以下を達成している。
これらのパウダーの製造方法およびジュースの製造方法では、いずれもセルラーセ等の分解酵素を使用しないので、ジェルの本来有する多糖体の高分子は維持されている。
【0039】
アロイン除去のために使用される水または濃度のごく低い水溶液としては、イオン濃度の見地から純水が理想であるが、衛生性の確保された水道水を使用しても十分にアロインは除去されることが判明している。イオン濃度等によって様々な水が考えられるので、当該発明は水または濃度のごく低い水溶液のイオン濃度や種類には拘束されない。
【0040】
また、ジェルを浸漬する水または濃度のごく低い水溶液の状態に関して、温度設定や、流水とするか否か、攪拌を行うか否か、貯水を交換していく手段をとるか否か等様々に考えられるので、当該発明はこれらの事項にも拘束されない。
【0041】
また、濃度のごく低い水溶液の種類も、例えばリンゴ酸低濃度溶液やアミノ酸低濃度溶液等様々に考えられるので、当該発明は低濃度水溶液の種類にも拘束されない。
【0042】
また、ジュースを保存維持するために添加される保存料の種類も様々考えられるので、当発明はアロエジュースに添加される保存料の種類や添加量にも拘束されない。
【0043】
また、分析によれば、乾燥システムとして、減圧下でマイクロ波加熱を行うか、減圧下でマイクロ波と遠赤外線の同時加熱を行う方法を採用した場合、十数回にわたる実験分析のすべてにおいて、一般性菌数が0に近い300CFU/g以下であり、カビ・酵母は検出しないという結果を得ているので、当該システムには殺菌の効果も認められるのであるが、その他の殺菌方法がとられる場合でも、当発明は殺菌方法や殺菌工程には拘束されない。
【0044】
課題を解決するための手段の詳細は次のとおりである。
請求項1に係る発明は、アロエベラのジェルを原料とするパウダーであって、そのパウダーの含有する多糖体の分子量が40万ダルトン以上であり、かつそのパウダーの含有するアロイン含有率が50ppm以下であることを特徴とするアロエパウダーである。
【0045】
請求項2に係る発明においては、請求項1記載のアロエパウダーは、その平均粒度が100μm以下に形成されていることを特徴とする請求項1記載のアロエパウダーである。
【0046】
請求項3に係る発明においては、請求項1記載のアロエパウダーは、その含有する塩素含有率が2.5%以下に形成されていることを特徴とする請求項1記載のアロエパウダーである。
【0047】
請求項4に係る発明においては、アロエベラのジェルを、破砕と攪拌を行わないで外皮を除去しただけの形で、または破砕と攪拌を行わないで外皮を除去して所定の数に分割した形で、水または濃度のごく低い水溶液に所定時間浸漬して、浸漬前のジェルが含有していたアロインの大半を除去し、その後に乾燥と粉砕を行って得たパウダーの含有する多糖体の分子量が40万ダルトン以上であり、かつそのパウダーの含有するアロイン含有率が50ppm以下であることを特徴とするアロエパウダーの製造方法である。
【0048】
請求項5に係る発明においては、請求項4におけるアロインを除去した後のジェルに、破砕と攪拌を行うか、または所定の濃縮を行った後に破砕と攪拌を行い、次いでセルロースをろ過により除去することでわずかに残留しているアロインを除去してから乾燥と粉砕を行って得たパウダーの含有する多糖体の分子量が40万ダルトン以上であり、かつそのパウダーの含有するアロイン含有率が50ppm以下であることを特徴とする請求項4記載のアロエパウダーの製造方法である。
【0049】
請求項6に係る発明においては、請求項4におけるアロインを除去した後のジェルに、破砕と攪拌を行うか、または所定の濃縮を行った後に破砕と攪拌を行い、次いで活性炭を混入して攪拌し当該活性炭にわずかに残留しているアロインを吸着せしめ、次いでアロインを吸着した活性炭をろ過により除去してから乾燥と粉砕を行って得たパウダーの含有する多糖体の分子量が40万ダルトン以上であり、かつそのパウダーの含有するアロイン含有率が50ppm以下であることを特徴とする請求項4記載のアロエパウダーの製造方法である。
【0050】
請求項7に係る発明においては、請求項4におけるアロインを除去した後のジェルに、破砕と攪拌を行うか、または所定の濃縮を行った後に破砕と攪拌を行い、次いでセルロースをろ過により除去し、次いでセルロースを除去したジェルに活性炭を混入して攪拌し、当該活性炭にわずかに残留しているアロインを吸着せしめ、アロインを吸着した活性炭をろ過により除去してから乾燥と粉砕を行って得たパウダーの含有する多糖体の分子量が40万ダルトン以上であり、かつそのパウダーの含有するアロイン含有率が50ppm以下であることを特徴とする請求項4記載のアロエパウダーの製造方法である。
【0051】
請求項8に係る発明においては、請求項4、請求項5、請求項6または請求項7におけるアロインを除去したジェルを減圧槽にセットし、減圧下でマイクロ波加熱を行うか、またはマイクロ波と遠赤外線の同時加熱を行い、かつマイクロ波の均一加熱による乾燥を行うことにより、従来は低水分率への乾燥は不可能であるとされてきたアロエベラのジェルに特異的に含まれる高分子マンノースや高分子グルコースといった高分子多糖体を含有するジェルを、水分率5%以下の低水分率に乾燥して、40万ダルトン以上の分子量を有する高分子多糖体を含有するアロエベラのジェルのパウダー化、またはそのパウダーの微細化を可能としたことを特徴とする請求項4、請求項5、請求項6または請求項7記載のアロエパウダーの製造方法である。
【0052】
請求項9に係る発明においては、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7または請求項8におけるアロインを除去した後のジェルの乾燥と粉砕を行って得たパウダーの平均粒度を100μm以下に形成して、人体への吸収効率を向上せしめたことを特徴とする請求項4、請求項5、請求項6、請求項7または請求項8記載のアロエパウダーの製造方法である。
【0053】
請求項10に係る発明においては、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8または請求項9におけるアロエパウダーを、そのままの状態か、水または所定の水溶液に溶解して使用することを特徴とする、医療材料、医薬品材料、飲食品材料または化粧品材料である。
【0054】
請求項11に係る発明においては、アロエベラのジェルを原料とするジュースであって、そのジュースの含有する多糖体の分子量が40万ダルトン以上であり、かつそのジュースの含有するアロインの含有率が10ppm以下であることを特徴とするアロエジュースである。
【0055】
請求項12に係る発明においては、請求項11記載のアロエジュースは、その有する塩素含有率が250ppm以下に形成されていることを特徴とする請求項11記載のアロエジュースである。
【0056】
請求項13に係る発明においては、 アロエベラのジェルを、破砕と攪拌を行わないで外皮を除去しただけの形で、または破砕と攪拌を行わないで外皮を除去して所定の数に分割した形で、水または濃度のごく低い水溶液に所定時間浸漬して、浸漬前のジェルが含有していたアロインの大半を除去し、その後に破砕と攪拌を行うか、または破砕と攪拌を行った後に濃縮するか、または濃縮した後に破砕と攪拌を行って得たジュースの含有する多糖体の分子量が40万ダルトン以上であり、かつそのジュースの含有するアロインの含有率が10ppm以下であることを特徴とするアロエジュースの製造方法である。
【0057】
請求項14に係る発明においては、請求項13におけるアロインを除去した状態のジェルを、破砕と攪拌を行った後か、または破砕と攪拌を行い次いで濃縮した後か、または濃縮を行い次いで破砕と攪拌を行った後に、セルロースをろ過により除去して得たジュースの含有する多糖体の分子量が40万ダルトン以上であり、かつそのジュースの含有するアロインの含有率が10ppm以下であることを特徴とする請求項13記載のアロエジュースの製造方法である。
【0058】
請求項15に係る発明においては、請求項13におけるアロインを除去した状態のジェルを減圧槽にセットし、減圧下において、マイクロ波加熱を行うか、マイクロ波と遠赤外線の同時加熱を行い、かつマイクロ波の均一加熱による乾燥を行うことにより、所定の水分が除去された濃縮段階で、マイクロ波加熱を継続しながら圧力レベルを高くすることでジェルに90℃を上限とした加熱を所定時間行い、濃縮工程内ですでにジェルの酵素失活と殺菌を実施して得たジュースの含有する多糖体の平均分子量が40万ダルトン以上であり、かつそのジュースの含有するアロインの含有率が10ppm以下であることを特徴とする請求項12、請求項13または請求項14記載のアロエジュースの製造方法である。
【0059】
請求項16に係る発明においては、請求項11、請求項12、請求項13、請求項14または請求項15におけるアロエベラジュースを、そのままの状態か濃度を変更して使用することを特徴とする、医療材料、医薬品材料、飲食品材料、および化粧品材料である。
【発明の効果】
【0060】
本発明はアロインを除去した状態で、アロエベラが本来有する高分子多糖体をパウダーあるいはジュースで提供することができる。
【0061】
臨床医療等への材料供給を経て、糖尿病に対する効果や人間の細胞に対する効果を実証し、人類の健康に供するものである。
【0062】
本発明によるアロインの除去方法および乾燥方法が、従来犠牲にされてきた高分子多糖体の供給を、アロインを除去した状態で初めて可能となった。
【0063】
本発明のように多糖体の高分子を維持したままでアロイン除去した場合、5%以下の低水分率までの乾燥が可能となる。したがって、保存性がよく、かつ粒度の低いパウダーを製造することが可能となる。
【0064】
また、従来、濃縮ジュースを製造する際には、濃縮工程の途中か終了後に加温して酵素の失活を行い、紫外線照射等の手段により殺菌をしていたので、ジェルにとっては苛酷な工程であり、ジェルに酸化が激しく発生していたが、本発明ではアロインの除去方法および乾燥方法が、従来犠牲にされてきた高分子多糖体の供給を、アロインを除去した状態で初めて可能となった。
【0065】
また近年、米国におけるよりも欧州においてアロインの規制が厳しくなってきている傾向にあるが、請求項5、請求項6または請求項7のアロエパウダーの製造方法によれば、それにも十分対応していくことが可能となる。
【0066】
一方、アロエジュースについて、本発明ではすでにこの欧州の規制をクリヤーする数値が導き出されている。
かくして、アロエベラのジェルという、人細胞と非常に相性の良い成分を工業生産的にとらえ、その高分子多糖体の優れた物性を多くの消費者に供給することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
実施例1
アロイン除去と高分子多糖体の残存性の分析実験を実施した。
アロエベラの表皮を除去した後にジェルをそのままの形で、飲用可能な水道水に浸漬した。水槽は攪拌およびオーバーフローができる形態とし、少量の水を連続補給しながら時間経過によって最長24時間までの浸漬とした。時間経過によって、ジェルを水槽より取り上げ、減圧下でマイクロ波と遠赤外線の同時加熱を行って水分率約2%までの乾燥を行い、次いで粉砕を行いパウダーとした。高速液体クロマトグラフィーを用いて、浸漬時間の各時間経過によるパウダーの残留アロインおよびマンノース、グルコースの分析を行った。下記の「0時間浸漬」とは、浸漬を行う前の状況であり、その欄にはコントロール値を表記した。

アロイン マンノース グルコース
0時間浸漬 760ppm 5.05% 2.45%
8時間浸漬 106ppm 5.00% 2.40%
16時間浸漬 25ppm 4.95% 2.36%
24時間浸漬 17ppm 4.85% 2.31%

以上、高分子多糖体の成分ロスが非常に低い状態で、アロインの除去が行われることを実証した。24時間浸漬した場合のパウダーのアロイン残留率の17ppmから考慮すれば、ジュースにおけるアロイン残留率は、パウダーにおける残留率に対して、2倍濃縮で約100倍、原材料で約200倍の稀釈がおこなわれるのと同等と考えられるので、2倍濃縮ですでに0.2ppm以下のレベル、また原材料で0.1ppm以下の数値を達成している。
また、同様の実験方法でごく微量のリンゴ酸を溶解した水溶液を用いてアロインの除去を実施したところ、アロインの除去率はほぼ同等であり、水道水で実施したよりもアロエベラの成分であるリンゴ酸の残留が多く認められた。水道水の場合で13.5g/100gの残留、リンゴ酸水溶液の場合で16.2g/100gの残留であった。
【0068】
実施例2
アロインと塩素除去のための実験分析を行った。
アロエベラの表皮を除去した後に、これを6分割して、純水に浸漬した。実施例1と同様に流水状態をつくり、少量の純水を連続補給して24時間の浸漬とした。24時間後にジェルを取り上げこれを減圧下でマイクロ波加熱を行って含水率約4%まで乾燥し粉砕して分析を行った。

アロイン 塩 素
0時間浸漬 560ppm 4.2g/100g
24時間浸漬 10ppm 0.9g/100g

以上のように、アロインの除去ばかりでなく、薬品や化粧品を製造する際に排除したい塩素も相当量除去されることを確認した。
【0069】
実施例3
アロエパウダーの分子量解析を実施した。
アロエベラのジェルの生では、ピークスタートポイントで約7400万ダルトンを記録し、ピークトップポイントでは1600万ダルトンを記録し、ピークエンドポイントでは26万ダルトンを記録した。 分子量は約1100万ダルトンであった。
一方、請求項8記載の方法で製造したパウダーを200倍に稀釈した溶液では、ピークスタートポイントで約7100万ダルトンを記録し、ピークトップポイントでは約78万ダルトンを記録し、ピークエンドポイントでは約2万ダルトンを記録した。
分子量は約300万ダルトンであった。
一方、市販の凍結乾燥によるパウダーを同様の手法で解析したところ、その分子量は約2万ダルトンにしかすぎなかった。以下に、上記の生および請求項8記載の方法で製造したパウダーの分子量分析を記載する。
なお、Powder of
Aloe Vera Gel processed by HYPER・DRY (ハイパードライ(乾燥機の商品名)を使用して乾燥したアロエべラジェルパウダー)と記載された試料が請求項8記載の方法で製造したパウダーである。
【0070】
ハイパードライ(乾燥機の商品名)は本国際出願の出願人/発明者が登録第4342207号で所有している日本の登録商標である。 ハイパードライはマイクロウェーブ、遠赤外線のエネルギー効果を採用し同時に圧力を削減することにより、いかなる類似の先の装置よりより良い特色の乾燥を実現した乾燥装置である。
アロエベラジェルとハイパードライにより処理されたアロエベラジェルパウダーのサンプルのMvの比較は図1、図2、図3に記載されている。
図1はTSKジェルGMPW(東ソー(株)の品名)による天然多糖体標準の較正曲線を示している。
図1: TSKジェルGMPWの天然多糖体標準の較正曲線。列: TSKジェルGMPW、 2つの連続した10μm、7.8mm×30cmの列。
試料: 天然多糖体標準(1660000、788000、380000、186000、100000、48000、12200、5800)の100μL。 溶離剤: 0.2M NaNO。 流速 1.0mL/分。
温度: 40℃。 検出: 屈折率検出器(RI)。
附属1
Mw=ΣnM/ΣM
Mは分子量、nはモル分率、Mwは重量平均分子量である。
図2はアロエベラジェルのサンプルのクロマトグラムを示す。
図2: アロエベラジェル試料のクロマトグラム。
列: TSKジェル GMPW、 2つの連続した10μm、7.8mm×30cmの列。 溶離剤: 0.2M NaNO。 流速: 1.0mL/分。 温度: 40℃。
検出:屈折率検出機(RI)。
試料処理:アロエベラジェルの試料1gを0.2モルのNaNO2mL中で、ホモジナイザーによって均質化した。 その後、2000×gで均質化の遠心分離に1分間かけた。 上部の溶液は、200μLアリコートとしてサイズ除去クロマトグラフィー(SEC)に取り込んだ。
図2はSECによるアロエベラジェル試料の溶出特性を示す。 ピークの開始点は9.85分で、その時の分子量は74,400,015である。ピークの頂点は11.14分で、そのときの分子量は16,598,502である。 ピークの終端点は14.69分で、そのときの分子量は261,312である。 Mwは11,480,389である。
図3はハイパードライにより処理したアロエベラジェル粉末試料のクロマトグラムを示す。
列: TSKジェル GMPW、2つの連続した10μm、7.8mm×30cmの列。 溶離剤: 0.2M NaNO。 流速: 1.0mL/分。 温度: 40℃。 検出:屈折率検出器(RI)。
試料処理:ハイパードライにより処理したアロエベラジェル粉末の試料1gを0.2モルのNaNOの200mL中に溶解した。 その後、2000×gで均質化の遠心分離に1分間かけた。 上部の溶液はSECに対し200μLアリコートとしてSECに取り込んだ。

図3はハイパードライにより処理されたアロエベラジェル粉末試料のSECによる溶出特性を示す。 ピークの開始点は9.86分で、そのときの分子量は71,421,303である。ピークの頂点は13.75分で、そのときの分子量は783.872である。 ピークの終端点は16.80分で、そのときの分子量は22,408である。 Mwは3,101,743である。 図2と図3は同様の条件で分析した。
【0071】
実施例4
平均粒度5μmのアロエパウダーの試作を実施した。
ジェルを純水に28時間浸漬してアロインを除去した後に、ジェルをそのままの形で、約20kg重量を減圧槽にセットした。減圧下でマイクロ波5kwと遠赤外線0.8kwの同時加熱を行い、含水率1.5%までの乾燥を行った。図1はその乾燥チャートである。乾燥終了後に約18000rpmのジェットミルを用いて粉砕し、平均粒度
5.09μmのパウダーを得た。
当該微細パウダーの物性を解析したところ以下の結果を得た。

残留アロイン:10ppm、 含有マンノース:4.92%、
含有グルコース:2.45%、含有リンゴ酸:15.0g/100g、
含有乳酸:0.0g/100g、一般生菌数:1.2×10/g
残留塩素:0.7g/100g、含水率:2.1%

なお、当該微細パウダー1gを純水200ccにて稀釈した溶液の粘度を観察したところ、十分な粘りを観察したので多糖体の高分子性状が十分維持されていることを確認した。
また80μm粒度のパウダーとの比較で、皮膚への浸透速度が当該5μmのパウダーの方が高いことも確認された。
【0072】
実施例5
請求項5の実施例として、さらなるアロインの低減化の確認実験を実施した。アロエベラの表皮を除去した後にこれを6分割して、流水状態にある純水槽に24時間浸漬した。次いでジェルの有する水分の50%を除去する濃縮を行い、これを破砕・攪拌した後にセルロースのろ過を実施した。次いでろ過されたジェルを減圧槽にセットし、減圧下でマイクロ波と遠赤外線の同時加熱を行って含水率3%まで乾燥して粉砕した。
分析の結果、アロインの残存率は、1.2ppmであることが確認された。
また、同様の方法で活性炭を用いた、請求項6におけるアロイン除去を行ったところ、アロインの残存率は、2.5ppmであった。
さらに、請求項7の実施例として、セルロースを除去した後に、さらに活性炭を用いてアロイン除去を行ったところ、アロインの残存率は0.5ppmであった。
これらより、アロインの残存率を0に近づけることが可能であることが判明した。
【0073】
実施例6
請求項8記載のパウダーの製造を実施した。
アロエベラの表皮を除去した後にこれを6分割して、純水に28時間浸漬した。
純水は純水槽の中で攪拌される流水状態とし、かつ少量ずつ補給され、槽から
オーバーフローされて、常時新鮮な状態を保つようにした。
浸漬が終了した段階でジェルを取り上げ、そのままの形状でトレーに搭載した。
1トレーあたり約3kgを搭載し、12トレーにて合計約36kgを減圧槽に搭載した。回転ジグを4段で構成し、1段あたり3トレーづつを搭載した。
当該実施例ではマイクロ波出力12kw、および遠赤外線ヒーターの出力1.6kwを採用している。
下記チャートのごとくの制御で乾燥を行った。
遠赤外線加熱はPID制御にて、ジェルの表面に出てきた水分の速やかな蒸気化のために用いられ、センサーにて表面に常時60℃が到達するように構成されており、工程中常時入電した。
マイクロ波の出力は、ジェルの水分の約90%を除去するまでは12KWとし、停止段階を経て6kwの出力に変更し、さらに停止段階を経て2kwの出力に変更できる構成とした。
真空ポンプは15kw出力として、マイクロ波12kw出力時で約4kPaの圧力で推移できる構成とした。マイクロ波12kw出力時での、ジェルにかけられる温度は、蒸気化による気化熱のためにジェル自らに常時クーリング作用が起こるために、4kPaにおける水の蒸気圧温度とほぼ同等の、29℃前後がかけられているにすぎない。また酸素の極めて希少な環境での乾燥であるためにジェルの酸化はほとんど発生せず、大変良質なジェルの乾燥体を得ることができる。
以下に、当該実施例の乾燥工程の推移を図4に記載する。
結果、変色の全く無い、含水率3%のジェルの乾燥体を得た。分子量分析の結果、実施例3のごとくに分子量は300万ダルトンを上回っていた。
また、残留アロインは8ppmであった。ジェットミルで粉砕を行ったところ、その平均粒度は、約40μmであった。
一方、同様のアロインの除去処理を施したジェルをフリーズドライで乾燥したところ、含水率14%までの乾燥が限界であったため、パウダー化は困難であった。
【0074】
実施例7
請求項15記載の濃縮ジュースの製造例を実施した。
アロエベラの表皮を除去した後にこれを3分割して、実施例6と同様の方法を用い純水槽に24時間浸漬した。ついでアロインを除去したジェル12kgを、1トレーあたり1kgを搭載し、回転ジグ4段に3トレーずつを搭載した。減圧槽にセットし、マイクロ波加熱を用いて濃縮工程を開始した。マイクロ波出力は8kwを採用した。当該乾燥方法では1kw・1分あたりの水分除去量が約22.5gと計算できるので、計算値によって濃縮前にジェルの有していた水分の約50%を除去する40分経過段階で、マイクロ波加熱を継続したまま、真空弁を閉じ、復圧弁を開放して槽内圧力を75kPaに維持して加熱を行った。 ファイバー温度計による測定でジェルの温度は85℃から90℃の温度帯に2分間留めた。この場合圧力管理を実施しているので、水の蒸気圧による気化熱の発生によってジェルへのクーリングが発生し、ジェルの内外部全体が85℃から90℃の温度に維持されることになり、加熱精度は極めて高い。次いでマイクロ波加熱を停止して、復圧弁を閉じ、真空弁を開放して減圧を行った。減圧を5分間継続して、ジェルの低温化を行ったところ槽内圧力は1.6kPaに到達した。次いで復圧を行って濃縮を完了した。減圧槽から取り出した際のジェルの温度は、15℃であった。また除去した水分量は初期水分量の53%であった。
結果分析による一般生菌数は、1×10/gであった。
また、加熱を行わないで処理した濃縮ジュースとの比較を、5℃の冷蔵庫保存によって、香りの官能テスト、菌の増殖分析および高分子多糖体による粘りの残存性の項目で実施した。
加熱を実施しない濃縮ジュースでは、保存8日目に異臭が感じられたが、当該実験のジュースでは保存20日目でも異臭は感じられなかった。また、加熱を実施しないジュースでは、保存7日で3×10の菌が検出され、高分子多糖体による粘度は半減していたが、当該実験のジュースでは、保存18日目に、2×10の菌が検出されたにすぎず、粘りもほとんど変化がみられなかった。
本実施例の濃縮過程の推移を図5に示す。
これらの結果より、請求項15記載の濃縮ジュースの製造方法によれば、濃縮工程内ですでに酵素の失活と殺菌が行われているために、保存性において非常に優れた結果を導くことがわかる。また、減圧下の同一工程内で酵素の失活と殺菌が完了されるために、ジェルの酸化等による劣化も非常に少なく、品質の高いアロエジュースを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】TSKジェル GMPW(東ソー(株)の品名)による天然多糖質標準の較正曲線を示す。
【図2】アロエベラジェル試料のクロマトグラムを示す。
【図3】ハイパードライ(乾燥機の商品名)により処理されたアロエベラジェルパウダー試料のクロマトグラムを示す。
【図4】クレーム8記載の乾燥工程チャート例を示す。
【図5】クレーム15記載の濃縮工程チャート例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アロエベラのジェルを原料とするパウダーであって、そのパウダーの含有する多糖体の分子量が40万ダルトン以上であり、かつそのパウダーの含有するアロイン含有率が50ppm以下であることを特徴とするアロエパウダー。
【請求項2】
請求項1記載のアロエパウダーは、その平均粒度が100μm以下に形成されていることを特徴とする請求項1記載のアロエパウダー。
【請求項3】
請求項1記載のアロエパウダーは、その含有する塩素含有率が2.5%以下に形成されていることを特徴とする請求項1記載のアロエパウダー。
【請求項4】
アロエベラのジェルを、破砕と攪拌を行わないで外皮を除去しただけの形で、または破砕と攪拌を行わないで外皮を除去して所定の数に分割した形で、水または濃度のごく低い水溶液に所定時間浸漬して、浸漬前のジェルが含有していたアロインの大半を除去し、その後に乾燥と粉砕を行って得たパウダーの含有する多糖体の分子量が40万ダルトン以上であり、かつそのパウダーの含有するアロイン含有率が50ppm以下であることを特徴とするアロエパウダーの製造方法。
【請求項5】
請求項4におけるアロインを除去した後のジェルに、破砕と攪拌を行うか、または所定の濃縮を行った後に破砕と攪拌を行い、次いでセルロースをろ過により除去することでわずかに残留しているアロインを除去してから乾燥と粉砕を行って得たパウダーの含有する多糖体の分子量が40万ダルトン以上であり、かつそのパウダーの含有するアロイン含有率が50ppm以下であることを特徴とする請求項4記載のアロエパウダーの製造方法。
【請求項6】
請求項4におけるアロインを除去した後のジェルに、破砕と攪拌を行うか、または所定の濃縮を行った後に破砕と攪拌を行い、次いで活性炭を混入して攪拌し当該活性炭にわずかに残留しているアロインを吸着せしめ、次いでアロインを吸着した活性炭をろ過により除去してから乾燥と粉砕を行って得たパウダーの含有する多糖体の分子量が40万ダルトン以上であり、かつそのパウダーの含有するアロイン含有率が50ppm以下であることを特徴とする請求項4記載のアロエパウダーの製造方法。
【請求項7】
請求項4におけるアロインを除去した後のジェルに、破砕と攪拌を行うか、または所定の濃縮を行った後に破砕と攪拌を行い、次いでセルロースをろ過により除去し、次いでセルロースを除去したジェルに活性炭を混入して攪拌し、当該活性炭にわずかに残留しているアロインを吸着せしめ、アロインを吸着した活性炭をろ過により除去してから乾燥と粉砕を行って得たパウダーの含有する多糖体の分子量が40万ダルトン以上であり、かつそのパウダーの含有するアロイン含有率が50ppm以下であることを特徴とする請求項4記載のアロエパウダーの製造方法。
【請求項8】
請求項4、請求項5、請求項6または請求項7におけるアロインを除去したジェルを減圧槽にセットし、減圧下でマイクロ波加熱を行うか、またはマイクロ波と遠赤外線の同時加熱を行い、かつマイクロ波の均一加熱による乾燥を行うことにより、従来は低水分率への乾燥は不可能であるとされてきたアロエベラのジェルに特異的に含まれる高分子マンノースや高分子グルコースといった高分子多糖体を含有するジェルを、水分率5%以下の低水分率に乾燥して、40万ダルトン以上の分子量を有する高分子多糖体を含有するアロエベラのジェルのパウダー化、またはそのパウダーの微細化を可能としたことを特徴とする請求項4、請求項5、請求項6または請求項7記載のアロエパウダーの製造方法。
【請求項9】
請求項4、請求項5、請求項6、請求項7または請求項8におけるアロインを除去した後のジェルの乾燥と粉砕を行って得たパウダーの平均粒度を100μm以下に形成して、人体への吸収効率を向上せしめたことを特徴とする請求項4、請求項5、請求項6、請求項7または請求項8記載のアロエパウダーの製造方法。
【請求項10】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8または請求項9におけるアロエパウダーを、そのままの状態か、水または所定の水溶液に溶解して使用することを特徴とする、医療材料、医薬品材料、飲食品材料または化粧品材料。
【請求項11】
アロエベラのジェルを原料とするジュースであって、そのジュースの含有する多糖体の分子量が40万ダルトン以上であり、かつそのジュースの含有するアロインの含有率が10ppm以下であることを特徴とするアロエジュース。
【請求項12】
請求項11記載のアロエジュースは、その含有する塩素含有率が250ppm以下に形成されていることを特徴とする請求項11記載のアロエジュース。
【請求項13】
アロエベラのジェルを、破砕と攪拌を行わないで外皮を除去しただけの形で、または破砕と攪拌を行わないで外皮を除去して所定の数に分割した形で、水または濃度のごく低い水溶液に所定時間浸漬して、浸漬前のジェルが含有していたアロインの大半を除去し、その後に破砕と攪拌を行うか、または破砕と攪拌を行った後に濃縮するか、または濃縮した後に破砕と攪拌を行って得たジュースの含有する多糖体の分子量が40万ダルトン以上であり、かつそのジュースの含有するアロインの含有率が10ppm以下であることを特徴とするアロエジュースの製造方法。
【請求項14】
請求項13におけるアロインを除去した状態のジェルを、破砕と攪拌を行った後か、または破砕と攪拌を行い次いで濃縮した後か、または濃縮を行い次いで破砕と攪拌を行った後に、セルロースをろ過により除去して得たジュースの含有する多糖体の分子量が40万ダルトン以上であり、かつそのジュースの含有するアロインの含有率が10ppm以下であることを特徴とする請求項13記載のアロエジュースの製造方法。
【請求項15】
請求項13におけるアロインを除去した状態のジェルを減圧槽にセットし、減圧下において、マイクロ波加熱を行うか、マイクロ波と遠赤外線の同時加熱を行い、かつマイクロ波の均一加熱による乾燥を行うことにより、所定の水分が除去された濃縮段階で、マイクロ波加熱を継続しながら圧力レベルを高くすることでジェルに90℃を上限とした加熱を所定時間行い、濃縮工程内ですでにジェルの酵素失活と殺菌を実施して得たジュースの含有する多糖体の平均分子量が40万ダルトン以上であり、かつそのジュースの含有するアロインの含有率が10ppm以下であることを特徴とする請求項12、請求項13または請求項14記載のアロエジュースの製造方法。
【請求項16】
請求項11、請求項12、請求項13、請求項14または請求項15におけるアロエベラジュースを、そのままの状態か濃度を変更して使用することを特徴とする、医療材料、医薬品材料、飲食品材料、および化粧品材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−500023(P2008−500023A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545825(P2006−545825)
【出願日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【国際出願番号】PCT/JP2004/007329
【国際公開番号】WO2005/112962
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(593131585)
【Fターム(参考)】