説明

アログリプチンの調製プロセス

本発明は、ピリミジンジオン化合物、特にアログリプチンとその誘導体を製造するためのプロセスの発見に基づき、化学式(VIII)の尿素誘導体と、マロン酸またはその誘導体とを反応させ、化学式(VII)または(VII−A)の中間物質を形成することを含み、続いて脱離基Xの導入時に、式(II)の化合物に変換される。化合物(II)は、次に、アミンと反応して、化合物(I)を形成し、任意に、化学式(IV)のその塩に変換される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2型糖尿病の治療に有用である、アログリプチン及び、その類似化合物、ジペプチジルペプチダーゼ−4(DPP−4)の阻害剤に関する。
【背景技術】
【0002】
世界中に何百万人もの人々が糖尿病に冒されており、21世紀における人の健康への最も大きな脅威の一つであると考えられている。2006年、世界保健機関(WHO)は、世界中の1億8000万人以上の人が糖尿病を患っていると見積もっており、その数字は2030年までに倍増すると予測されている。経時的に、制御されない糖尿病は、心臓、血管、目、腎臓、神経を含む体のシステムを損傷することが有り得る。WHOによると、約110万人の人々が2005年に糖尿病で亡くなり、糖尿病が関連する死は、次の10年間では50%を超える程までに増加するであろうと見積もられている。世界的に、糖尿病の社会経済的な負担はかなりのものである。
【0003】
糖尿病の主要な型には、所定の1型及び2型の2種類有り、2型の糖尿病が世界で発生している全糖尿病の90%以上であると計算されている。1型糖尿病は、インスリンの欠乏によって特徴付けられ、主に膵島β細胞の自己免疫介在性破壊によって引き起こされ、また、2型糖尿病は、異常なインスリン分泌とそれに伴うインスリン抵抗性によって特徴付けられる。ケトアシドーシスの発症を予防するために、1型糖尿病に罹っている人々は生存のために外因性のインスリンを摂取する必要がある。2型糖尿病の人々は、1型糖尿病の被験者ほど外因性インスリンに依存していないが、外因性インスリンは血糖値を制御するために必要となる場合がある。
【0004】
糖尿病は、世界的な健康上の懸念事項となっているので、そのような状況下で研究への関心が急速に増加している。予防に関する研究に加えて、糖尿病の治療のための新しい介入治療を開発することを目的とした多くの研究、特に2型糖尿病に関する研究が、行われてきた。2型糖尿病の治療と管理のための現在利用可能な薬は、メトホルミン、スルホニル尿素、チアゾリジン誘導体とインスリンを含む。しかしながら、これらの治療は一般に、二次障害が関連しており、低血糖を引き起こす可能性がある。還元型β細胞の機能に起因するインスリン抵抗性と徐々に悪化する高血糖は、2型糖尿病の管理における主要な課題である。証拠は、彼らのβ細胞が十分なインスリンを産生することができなくなるまで、インスリン抵抗性の患者が高血糖を発症しないことを示唆している。持続的で、グルコース依存的に膵島β細胞からのインスリン分泌を高めることができる新しい薬剤は、したがって、2型糖尿病の治療にとって有望である。
【0005】
一つの有望な方法は、セリンプロテアーゼジペプチジルペプチダーゼ−ゼIV(DPP IV)の阻害に基づいており、タンパク質分解酵素のS9bペプチダーゼ科に属するポストプロリンジペプチジルアミノペプチダーゼである。DPP IVは、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)とグルコース依存性インスリン分泌ポリペプチド(GIP、また胃の阻害剤のポリペプチドとも呼ばれる)。のインクレチンの活性を制御することにより、グルコースの恒常性を維持する上で重要な役割を果たすことが知られている。DPP IVの阻害は、したがって、2型糖尿病の治療のための新しい治療方法として認識されている
【0006】
最近、一連のDPPIVの阻害剤が開発された。これらの非常に強力な化合物のうち、アログリプチン安息香酸(SYR−322)及びその類似化合物は、抗糖尿病効果の促進を示した(WO2008/067465、WO2007/035379、及び米国2004/097510、EP1586571(WO2005/095381)。アログリプチン安息香酸は、スキーム1に記載のプロセスに従ってEP1586571(WO2005/095381)に記載のように調製することができる。
【化1】

スキーム1
このプロセスに従って、DMF−DMSO混合液中でNaH及びLiBr存在下で6 クロロウラシル(1)を、2−(ブロモメチル)ベンゾニトリルでアルキル化し、54%の収率でN−ベンジルウラシル誘導体(2)を生成する。化合物(2)を、DMF/THF中でさらにヨードメタン及びNaHでアルキル化し、72%の収率で、1,3−二置換ウラシル(3)を得た。熱メタノール中のNaHCOまたはイソプロパノール溶液中のKCOの存在下でのそれ以降のクロロウラシル(IV)と3(R)−アミノピペリジン二塩酸塩との置換は、アログリプチン(4)を提供し、エタノール中で安息香酸で処理することにより、対応する安息香酸塩として単離される。この3段階のプロセス全体の収率は、20〜25%以下である。上述のプロセスの欠点の一つは、リサイクルのための高沸点の溶媒の混合物(例えば、DMF/DMSO)を分離精製する難しさである。もう1つの欠点は、そのような反応媒体として必要とする無水溶媒である、水酸化ナトリウムなどの有害物質の使用である。
【0007】
中間物質、2−((6−クロロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メチル)ベンゾニトリルは、代替的に、熱NMP内でジイソプロピルエチルアミンによる6−クロロ−3−メチルウラシルを2−(ブロモメチル)ベンゾニトリルとアルキル化することによって得ることができる。(WO2007/035629)。このプロセスは、前述のプロセス(EP1586571)よりも、より技術的であるが、全体の収率は依然として低い(50〜55%)。混合された溶媒の分離の問題(トルエン、NMP、ジイソプロピレンエチルアミン)は、同様にこのプロセスの継続している問題である。
【0008】
従って、アログリプチン及び関連物質の調製プロセスは、長年必要とされており、それは、当該技術分野での問題を克服するだけでなく、上述したように、安全で、費用対効果が良く、工業的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ピリミジンジオン化合物、特にアログリプチン及びその塩と誘導体を調製するためのプロセスの発見に基づき、これは、式(VII)または(VII−A)の中間体を形成するためのマロン酸またはその誘導体と式(VIII)の尿素誘導体の反応を含み、続いて脱離基Xの導入時に、式(II)の化合物に変換する。化合物(II)は、次に、化合物(I)を形成するためにアミンと反応させ、必要に応じて式(IV)の塩に変換する。このプロセス内の1つまたは複数のステップが中間体を単離または精製することなく、1つの段階で行うことができる。本発明のプロセスは、費用対効果が高く、安全であり、先行技術の手順の問題に直面することなく、工業的規模で実施することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、任意の実施形態において、本発明は、式(I)の構造で表されるピリミジンジオン誘導体の製造プロセスを提供する。
【化2】

式中、
及びRは、それぞれ独立的にHまたは(C〜C10)アルキルであり、
は、CHArであり、さらに
及びRは、窒素と共に結合して、4、5、6または7員環を形成し、それは非置換基または置換基であり、
そのプロセスは、以下のステップを含む。
1) 化学式(VIII)の尿素誘導体を式(VII)の化合物または(VII−A)を形成するのに十分な条件下で、マロン酸または、化学式ROCCH(R)CORまたはROCCH(R)CNのその誘導体と反応させるステップ、
【化3】

【化4】

(式中、R、R、及びRは上記に画定した通りであり、RはH、(C〜C10)アルキル、フェニル、またはN−オキシスクシンイミジルであり、式中、各アルキル及びフェニルは、置換または非置換であってよい)
2) 化合物(VII)または(VII−A)を、式(II)の化合物を形成する十分な条件下で、X基を導入または形成する試薬と反応させるステップ、および
【化5】

(式中Xは、離脱基である。)
3) 化合物(II)を化学式(III)の試薬:HNRと、式(I)の化合物を形成するのに十分な条件下で反応させるステップ。
【化6】

任意の特別な実施形態において、ステップ(1)は、式(VII)の化合物を生成するために、尿素(VIII)及び、化学式ROCCH(R)CORのマロン酸エステル間の反応を含む。別の特別な実施形態において、ステップ(1)は、式の化合物(VII−A)を生成する、尿素(VIII)及び、化学式ROCCH(R)CNの誘導体間の反応を含む。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。
【0011】
任意に、プロセスはさらに、式(I)のピリミジンジオン生成物を式(IV)の塩へ変換するステップを含み、
【化7】

式中Yは、アセテート、トリフルオロ酢酸、クエン酸塩、塩酸塩、L−乳酸、コハク酸、安息香酸及びL−酒石酸塩からなる群から選択される対イオンである。この手順に従って、化合物(I)の対応する塩を生成する酸のHYと反応させる。現在好ましい塩は、安息香酸塩である。酸HYの例としては、これに限定されないが、酢酸(Y=アセテート)、トリフルオロ酢酸(Y=トリフルオロ酢酸)、クエン酸(Y=クエン酸)、塩酸(Y=Cl)、L−乳酸(Y=L−乳酸)、コハク酸(Y=コハク酸)、安息香酸(Y=安息香酸)、及びL−酒石酸(Y=L−酒石酸塩)がある。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。
【0012】
任意の実施例において、化合物(II)と化学式(III)のアミンを反応させて、酸のHYとの反応に続いて化合物(I)を生成するステップは、任意の中間体の分離または精製することなく、一段階で実施される。
【0013】
X基は任意の脱離基であり得るが、一般的には、ハロゲン(Hal=F、Cl、BrまたはI)、スルホン酸塩(例えば、トシル酸(OTs)、メシル酸(OMs)など)、硫化物(例えば、SMe,SPhなど)、イミダゾール(Im)、ベンゾトリアゾール(Bta)、NHなどから選択される。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。
【0014】
任意の現在好ましい実施形態において、XはHalであり、ステップ(2)は、式(VII)の化合物を、X基を導入するのに十分な条件の下で、試薬を含有するハロゲンと反応させることを含む。
【化8】

典型的なハロゲン含有試薬は、これらに限定されないが、オキシ塩化リン、五塩化リン、塩化チオニル、三臭化リン、及びN−ブロモスクシンイミド、だけでなく、当業者に知られている、他のハロゲン含有試薬を含む。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。
【0015】
マロン酸の式(VII)または(VII−A)の誘導体は、マロン酸であるか、例えばメチル、エチル、フェニルまたはN−オキシスクシンイミジルエステルのようなマロン酸エステル、または対応するニトリル誘導体であり得る。
【0016】
アミンHNRは、環状部分であり、式中R及びRは、窒素と共に結合して、4、5、6または7員環を形成し、置換されてもよい。任意の実施形態において、HNRは、化学式(V)HNR−NHRのジアミンであり、式中、R及びRは窒素とともに添付の、4、5、6または7員環を形成し、NHRは、そのような環で置換され、RはHまたは窒素保護基である。任意の現在好ましい実施形態において、HNRは、以下の構造で表され;
【化9】

式中、RはHまたは窒素保護基であり、nは0、1または2(従って、5、6または7員環を画定する)である。置換基NHRは、環上で任意の場所に配置できる。別の現在好ましい実施形態において、HNRは以下の構造で表され;
【化10】

それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。
【0017】
保護基Rは、当業者に公知である任意の窒素保護基とすることができる。そのような保護基は、酸に不安定な保護基、アルカリ性に不安定な保護基、または中性で取り外し可能な保護基を含む。任意の現在好ましい実施形態によれば、Rはtert−ブチルオキシカルボニル(Boc)のような酸に不安定な窒素保護基である。
【0018】
HNRが化学式(V)HNR−NHRのジアミンである実施形態に従って、本発明のプロセスのステップ(3)は、化学式(VI)の化合物を十分に形成する条件下において、化学式(II)の化合物を(V)のジアミンと反応させることを含む。
【化11】

式中、R、R、R、R、R及びRは上記で定義した通りである。
【0019】
任意の現在好ましい実施形態において、化学式(VI)の化合物は、化学式(VI−A)の構造によって表される。
【化12】

式中、R、R、R、及びRは上記で定義した通りである。
【0020】
別の現在好ましい実施形態において、化学式(VI)の化合物は、化学式(VI−B)の構造によって表される。
【化13】

式中、R、R、R、及びRは上記で定義した通りである。
【0021】
任意の実施形態において、化合物(II)を、酸HYとの反応に続いて化学式(V)のジアミンと反応させて、化合物(VI)を生成するステップは、分離せず、かつ、いかなる中間体も精製せずに、一段階で行われる。本実施形態によれば、本発明のプロセスは、(a)化学式(II)の化合物を、十分に化合物(VI)を生成する条件下で化学式(V)のジアミンと反応させるステップと、(b)化合物(VI)を酸HYと反応させて、化合物(VI)を分離及び精製することなく一段階の合成で塩を形成するステップと、(c)任意で、もし必要である場合、化学式(I)の化合物を形成するために保護基を除去するステップとを含む。Yは、酢酸塩、トリフルオロ酢酸、クエン酸塩、塩酸塩、L−乳酸、コハク酸、安息香酸及びL−酒石酸塩から成る群から選択される対イオンである。
【0022】
本発明の任意の現在好ましい実施形態において、Rは(C〜C10)アルキルであり、好ましくはメチルである。別の現在好ましい実施形態において、Rは−(CH)−(2−シアノフェニル)である。本発明の別の好ましい実施形態によると、RはHである。更に別の現在好ましい実施形態において、R及びRは窒素とともに結合して、以下の構造式で表される環を形成し:
【化14】

式中、RはHまたは窒素保護基(好ましくはBoc)であり、またnは0、1または2である。任意の実施形態において、R及びRは窒素とともに結合して以下の構造で表される環を形成し:
【化15】

別の実施形態において、R及びRは窒素とともに結合して以下の構造で表される環を形成し:
【化16】



別の実施形態において、R及びRは窒素とともに結合して以下の構造で表される環を形成する。
【化17】

それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。
【0023】
好ましくは、化学式(I)のピリミジンジオンは、2−[6−[3(R)−アミノピペリジン−1−イル]−3−メチル−2,4−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−1−イルメチル]ベンゾニトリル(アログリプチン)、またはその塩、特に安息香酸塩(安息香酸アログリプチン)である。
【0024】
本発明は更に、本明細書に記載されたプロセスで形成された特定の中間体に関する。そのような中間体は、新規であり、また、本発明の更なる態様を形成する。
【0025】
従って、任意の実施形態において、本発明は化学式(VII)の化合物に関し、この化合物は、次の構造で表され:
【化18】

式中、
はHまたは(C〜C10)アルキルであり、
はCHArであり、及び
はHである。
【0026】
現在好ましい実施形態において、化学式(VII)の化合物は、以下の構造で表される。
【化19】

【0027】
別の実施形態において、本発明は化学式(VII−A)の化合物に関し、この化合物は以下の構造で表され:
【化20】

式中、
はHまたは(C〜C10)アルキルであり、
はCHArであり、及び
はHである。
【0028】
現在好ましい実施形態において、構造式(VII−A)の化合物は以下の構造によって表される。
【化21】

【0029】
別の実施形態において、本発明は化学式(VIII)の化合物に関し、この化合物は以下の構造式で表される。
【化22】

【0030】
更に別の実施形態では、本発明は化学式(VI)の化合物に関し、この化合物は以下の構造式で表される。
【化23】

【0031】
別の実施形態において、本発明は化学式(I)の化合物または化学式(IV)の塩に関し、そのような化合物は、本明細書中に説明されているプロセスによって調製する。
【0032】
別の実施形態において、本発明は化学式(I)の化合物または化学式(IV)の塩に関し、そのような化合物は、本明細書中に説明されているプロセスによって調製し、糖尿病、特に2型糖尿病の治療に使用される。
【0033】
別の実施形態において、本発明は糖尿病、特に2型の糖尿病の治療方法に関し、それを必要とする被験者へ、化学式(I)の化合物または化学式(IV)の塩を投与するステップを含み、そのような化合物は本明細書中に説明されているプロセスによって調製する。
【0034】
別の実施形態において、本発明は化学式(I)または化学式(IV)の塩に関し、そのような化合物は、糖尿病、特に2型糖尿病の治療のための薬剤を調製するためのプロセスによって調製する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
出願人はここで、化学式(VIII)の化合物から工業的なスケールで化学式(IV)の化合物(例えば、安息香酸アログリプチンのようなアログリプチン塩)が調製され得るプロセス(スキーム2)を見出した。
【化24】

【0036】
ステップ1
化合物(VII)は、化合物(VIII)をマロン酸または化学式ROCCH(R)COR のエステルと反応させることによって得られる。化合物(VII−A)は、化合物(VIII)を、化学式ROCCH(R)CNの対応するニトリル誘導体(例えばシアノ酢酸またはそのエステル)と反応させることによって得られる。これらの反応は、溶媒中で室温から還流までの温度範囲で行う。好ましくは、該プロセスは以下のステップを含む:
(1) 攪拌しながら約60〜120℃の温度で、反応容器内が触媒存在下または非存在下、溶媒中で、例えば約1.0〜1.3:1.0〜1.2のモル比で、マロン酸またはマロン酸エステルまたはニトリル誘導体(例えばシアノ酢酸またはそのエステル)を、置換尿素(VIII)と反応させ、そして冷却した後に5〜10時間の時間還流するステップ;と、
(2) 氷水を注ぎ、濾過し、水及びメチル−tert−ブチルエーテルのような有機溶媒で濾過した固体を洗い流し、再結晶化して化合物(VII)または(VII−A)を得るステップ。
【0037】
任意の実施例において、マロン酸塩誘導体は、マロン酸誘導体(すなわち、ROCCH(R)CORの式中RがH)である。別の実施形態において、マロン酸塩誘導体は、スクシンイミジル、ニトロフェニル、ペンタフルオロフェニル等のような活性エステルと同様に、メチル、エチル、フェニルエステルのようなマロン酸エステル(すなわち、ROCCH(R)COR)である。任意の特定の実施例において、マロン酸エステルは、マロン酸ジメチルである。別の特定の実施形態において、マロン酸エステルはマロン酸ジエチルである。別の実施形態において、マロン酸誘導体は、ニトリル誘導体(すなわち、ROCCH(R)CN)であり、式中Rは上述のように画定され、例えばシアノ酢酸またはそのエステルである。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。
【0038】
反応は、さらに任意に、この反応を促進させる金属アルコキシドまたは他の有機塩基のような触媒を用いることができる。触媒は、もし使用するならば、例えばカリウムtert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド及び/またはナトリウムn−ブトキシドとすることができる。触媒の量は変えることができるが、通常、マロン酸と尿素誘導体(VIII)の合計重量に基づいて25〜30%の量で使用する。
【0039】
溶媒の性質は限定されない。代表的な溶媒は、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル系溶媒;エタノールや2−メトキシエタノールなどのアルコール類;ジメチルホルムアミド(DMF)またはジメチルアセトアミド(DMA)などのアミド類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族の溶媒;および、DMSO、無水酢酸、酢酸、テトラメチル尿素などの極性溶媒を含むが、限定はされない。いくつかの実施形態では、溶媒は、酢酸と無水酢酸の混合物、低級脂肪族アルコール、または、低級脂肪族アルコールとベンゼン、トルエンまたはキシレンとの混合物である。低級脂肪族アルコールは、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及び/またはn−ブタノールである。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。
【0040】
さらに、マイクロ波条件は、反応時間を0.5〜1時間短縮することができ、従って、これらの条件は本発明のさらなる実施形態に従って使用されることがある。
【0041】
置換尿素(VIII)は、当業者にとって公知の化学合成の一般的な方法によって、例えば、Science of Synthesis,Vol.18;Knight,J.G.,Ed.;Thieme Verlag:Stuttgart,2005,665−758;J.Chem.ReV.1996,96,2035;In Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,5th ed.,Vol.A27;VCH:Weinheim,1996,355−365;In Houben−Weyl,4th ed.,Vol.E4;Hagemann,H.,Ed.;Thieme Verlag:Stuttgart,1983,334−367;Tetrahedron Letters,Vol.38,No.9,pp.1531−1532,1997;J.Org.Chem.2004,69,4741;SYNTHESIS,2007,No.22,pp3497−3506及びそれらの中で引用されている参考文献において記載されている方法に従って、調製することができる。これらそれぞれの参考文献の内容は、参照により完全に本明細書で記載されているように組み込まれる。
【0042】
アルキルマロン酸、フェニルマロン酸、及びマロン酸は、市販されている化合物であり、マロン酸の活性エステルは、化学合成の一般的な方法によって、例えば、よく知られているアミノ酸活性エステルの調製方法(参照:Tetrahedron 61(2005)10827−10852;Current Organic Chemistry,2001,5,45−87;参照:Peptide synthesis and applications/edited by John Howl.(Methods in molecular biology, V.298, 2005);参照:Houben−Weyl Volume E22a−d−Synthesis of Peptides and Peptidomimetics)に従って、調製することができる。これらの参考文献のそれぞれの内容は、参照により完全に本明細書で記載されているように組み込まれる。
【0043】
ステップ1の生成物、すなわち化合物(VII)または化合物(VII−A)は、化学式(VIII)の特定の化合物と同様に、新規であり、本発明の更なる態様を形成する。
【0044】
ステップ2
ステップ2において、X基を導入する試薬と化合物(VII)または(VII−A)と接触させることで、化合物(VII)または(VII−A)を化学式(II)の化合物に変換する。任意の実施形態において、Xはハロゲン(Hal)であり、好ましくは臭素原子または塩素原子であるが、さらにヨウ素やフッ素のような他のハロゲンであってもよい。この実施例によると、化合物(II)は、化合物(VII)または(VII−A)を五塩化リン、オキシ塩化リン、塩化チオニル、三臭化リン、N−ブロモスクシンイミド等のようなハロゲン化剤と反応させることによって調製できる。好ましくは、反応はトリフルオロメタンスルホン酸、酢酸、濃硫酸、N、N−ジメチルホルムアミド(DMF)、などのような溶媒中で行われるか、好ましくは室温から還流までの温度範囲で、オキシ塩化リン単独、または溶媒として水とそれの混合物のようなハロゲン化剤を使用することによって行われる。
【0045】
他の実施形態において、Xは、スルホン酸塩(例えば、OMs、OTsなど)、硫化物(例えば、SMe、SPh)、イミダゾール(Im)を、ベンゾトリアゾール(Bta)、などのような脱離基である。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。XがOMs、OTs、SMe、SPh、イミダゾール(Im)、またはベンゾトリアゾール(Bta)である化学式(II)の化合物は、Xがハロゲンである化学式(II)の化合物から調製でき、または当業者にとって公知の別の適切な方法によって調製することができる。
【0046】
任意の現在好ましい実施形態において、反応は、還流のために60℃で、溶媒としてオキシ塩化リン中で行われる。五塩化リンを、反応を加速するために追加することができる。この場合、反応は有機溶媒中、好ましくはアセトニトリル中で、任意で相間移動剤及び触媒の存在下で行うことができる。使用する場合、触媒は、好ましくは塩化物アニオン含有化合物、より好ましくは、相転移剤および触媒は、塩化ベンジルトリエチルアンモニウムなどの同一の化合物である。
【0047】
別の実施形態において、XはNHである。本実施形態によると、化合物(II)は、化合物(VIII)を、公知の手順(J.of Organic Chemistry(1951),39:1879−1890)と同様に、シアノ酢酸またはそのエステルと反応させることによって化合物(VIII)から調製することができ、その内容は、参照によって本明細書全体に組み込まれる。中間生成物(化合物VII−A)は、例えば水酸化物のような塩基と反応させることによって、化合物(II)へ変換できる。
【0048】
ステップ3
ステップ3において、化合物(II)を、アミンHNRと反応させて、X基をNR基と置換する。任意の実施形態において、化合物(I)は、化合物(II)(例えばX=Hal)を加熱しながら溶媒中で化合物(III)と反応させることによって得ることができる。溶媒として、含水または無水メタノール、エタノールのようなアルコール溶媒;1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)のようなエーテル溶媒;DMSO、DMF及びジメチルアセトアミド(DMA)のような極性溶媒;またはそれらと水などの混合物、が挙げられる。反応は、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ソーダ灰、炭酸カリウムのような無機塩基、または非環式アミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルフェニルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン)、環状アミン(例えば、N−メチルモルホリン)、および芳香族アミン(ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン、ピリジン)を含む第三級アミンのような有機塩基、などの塩基存在下で行われる。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。
【0049】
アミンHNRは、環状部分であり、式中、R及びRは共に窒素と結合して、置換されてもよい4、5、6または7員環を形成する。好ましい置換基は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、ニトロ、アミノ(NH)、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオ及びチオアルキルを含むが、これらに限定されない。
【0050】
任意の実施形態において、化合物(III)は化学式(V)NHRNHRのジアミンであり、式中RはHまたは本明細書に説明されているか、さもなければ当業者に公知である窒素保護基である。R及びRは共に窒素と結合して、4、5、6または7員環を形成し、NHRはそのような環の任意の場所の置換基であり、RはHまたは窒素保護基である。任意の現在好ましい実施形態において、HNRは以下の構造で表され、
【化25】

式中、RはHまたは窒素保護基であり、nは0、1または2である。
【0051】
任意の実施形態において、HNRは、以下の構造で表される。
【化26】

【0052】
別の実施形態において、HNRは、以下の構造で表される。
【化27】

【0053】
更に別の実施形態において、R及びRは共に窒素と結合して、以下の構造で表される環を形成する。
【化28】

それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。
【0054】
別の実施形態において、化学式(III)または(V)の化合物は、環状ジアミンであり、酸に不安定な保護基により窒素保護されている。任意の実施形態において、化学式(III)または(V)の化合物は、(R)−ピペリジン−3−イル−カルバミン酸−ブチルエステルである。
【0055】
任意の実施形態において、化合物(I)は、化合物(II)(X=OH)と化合物(III)を、THFのような有機溶媒内で、室温から40〜50℃の温度範囲で5〜10時間攪拌しながら、ミツノブ式カップリング条件下(カップリング試薬及び活性化剤の存在下)で反応させることによって、得られる。
【0056】
別の実施形態において、化合物(I)は、化合物(II)(X=SMe)と化合物(III)を、トルエンのような有機溶媒中で80℃〜還流の温度範囲で、反応させることによって、得られる。
【0057】
更に別の実施形態において、化合物(I)は、化合物(II)(X=NH)と、遊離塩基または塩の形態で、無機または有機酸と共に、好ましくは塩酸塩の形態として化合物(III)を反応させることによって、得られる。
【0058】
ステップ4
任意のステップ4によって、化合物(IV)は化合物(I)と酸HYを室温または加熱条件下で溶媒中で反応させることによって調製され得る。
【0059】
任意に、ステップ3及びステップ4は、化合物(I)の分離と精製無しに単一ステップへと統合することができる。本実施形態によれば、化合物(II)を、いかなる中間体も単離することなく1つのステップで、アミン(II)と反応させ、続いて酸HYと反応させる。例えば、アミン(III)が化合物(V)の構造で表される実施形態について、化合物(II)を化合物(V)と反応させて、化合物(VI)を生成し、続いて酸HYと反応させるステップは、いかなる中間体も単離することなく1つのステップで行うことができる。この実施形態によると、本発明のプロセスは、(a)化学式(II)の化合物を、化学式(V)のジアミンと化学式(VI)の化合物を十分に形成する条件下で反応させるステップと、(b)化合物(VI)を酸HYと反応させ、化合物(VI)を分離及び精製することなく、1段階合成として塩を形成するステップ、及び(c)任意で、必要である場合、化学式(I)の化合物を形成するために、保護基を除去するステップとを含む。
【0060】
Yは、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、クエン酸塩、塩酸塩、L-乳酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩とL-酒石酸塩からなる群から選択される対イオンである。対応する酸のHYは、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、塩酸、L-乳酸、コハク酸、安息香酸またはL-酒石酸である。現在好ましい酸は安息香酸である。
【0061】
本発明に包含された化合物の製造方法のいくつかの例は、次のセクションで示されている。しかしながら、本発明の化合物の製造方法は、これらの例に限定されない。必要であれば、保護基を官能基に導入し後続のステップで脱保護する;官能基を前駆体として各ステップに与え、適切なステップでその基を所望の官能基に変換する;それぞれの製造方法およびステップの順序を交換する等の設計により、当業者には周知であるとして、修正または代替の実施形態が提供され得る。
【0062】
各ステップでのワークアップ治療は、典型的な方法により適用されることができ、単離および精製は必要に応じ、結晶化、再結晶、蒸留、パーティショニング、シリカゲルクロマトグラフィー、分取HPLCなどの従来の方法を、選択または組み合わせることにより、行われる。
【0063】
化学的な定義
本明細書で使用する「アルキル」基は、直鎖、分枝鎖及び環状アルキル基(シクロアルキル)を含む任意の飽和脂肪族炭化水素を指す。任意の実施形態において、アルキル基は、ここに示すC〜C10アルキルのように1〜10の炭素を有している。別の実施形態において、アルキル基はここに示すC〜Cアルキルのように1〜6の炭素を有している。別の実施形態において、アルキル基はここに示すC〜Cアルキルのように1〜4の炭素を有している。アルキル基は、非置換または、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、ニトロ、アミノ(NH)、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオ及びチオアルキルを含むがそれに限定されない、一つ以上の基によって置換されてもよい。
【0064】
「シクロアルキル」基は、非芳香族の単環または多環式環系を示す。任意の実施形態において、シクロアルキル基は、3〜10の炭素原子を有する。別の実施形態において、シクロアルキル基は、5〜10の炭素原子を有する。典型的な単環式シクロアルキル基は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどを含む。アルキルシクロアルキル(alkylcycloalkyl)は、本明細書において定義されるアルキル基であり、本明細書中で定義されるシクロアルキル基に結合する。シクロアルキル基は非置換または、上記でアルキルと定義された置換基のいずれか1つ以上と置換することができる。
【0065】
「Ar」基、すなわちアリール基は、6〜14員環を含む芳香族環系を示す。アリール環は、単環、二環、三環などとすることができる。アリール基の制限されない例は、フェニル、1−ナフチル及び2−ナフチルなどを含むナフチル等である。現在好ましいアリール基は、フェニルである。アルキルアリールは、アリール基で置換されたアルキレン基(例えば、CH)を示す。アリール基は、非置換またはアルキルとして本明細書の上記で定義された1以上の利用可能な炭素原子を通じて置換とすることができる。
【0066】
上記化合物のすべての立体異性体は、混合物、または純粋または実質的に純粋な形態のいずれかであると考えられる。本発明の化合物は、原子のいずれかに不斉中心を持つことができる。その結果、化合物はエナンチオマーまたはジアステレオマーの形態またはそれらの混合物で存在することがあり得る。本発明は、任意のラセミ体(すなわち、混合物は各エナンチオマーの等量ずつを含む)、鏡像異性的にリッチな混合物(すなわち、一方のエナンチオマー濃縮された混合物)、純粋なエナンチオマーまたはジアステレオマー、又はそれらの任意の混合物の使用を意図する。キラル中心はRまたはSまたはR、Sまたはd、D、l、Lまたはd、l、D、Lとして設計することができる。
【0067】
本明細書で使用しているように、特記の無い限り、「窒素保護基」という用語は、反応への関与から前記窒素原子を保護するために窒素原子に結合してもよく、反応後に容易に除去され得る基を示す。窒素保護基は、酸に不安定な保護基、塩基に不安定な保護基、または中性条件下で除去可能な保護基とすることができる。一般的なN−保護基は、アセチル、ベンゾイル、2−ブロモアセチル、4−ブロモベンゾイル、tert−ブチルアセチル、カルボキシアルデヒド、2−クロロアセチル、4−クロロベンゾイル、a−クロロブチリル、4−ニトロベンゾイル、o−ニトロフェノキシアセチル、フタリル、ピバロイル、プロピオニル、トリクロロアセチル、及びトリフルオロアセチルなどのアシル基;ベンゼンスルホニル、及びp -トルエンスルホニルのようなスルホニル基;式−C(O)O−Rで式中Rが例えば、メチル、エチル、t−ブチル、ベンジル、フェニルエチル、CH=CH−CHであり、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)、p−クロロベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルカルボニルなどのようなカルバメート基、を含む。現在好ましい窒素保護基は、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)である。他の適切な窒素保護基は、トリイソプロピルシロキシメチル、2−シアノエトキシメチル、2−キノリニルメチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、及び、2−[4−ニトロフェニル]エチルスルホン酸、同様に、全て容易に水素化によって切断される、ベンジル、p -メトキシベンジル、トリチル、cbz基のような、(Fmoc)、p−ニトロベンゼンスルホエトキシカルボニル、プロパルギルオキシカルボニル、ピコリニル、プレニル、o−ニトロベンジロキシメチル、4−メトキシフェノキシメチル(4-methyoxyphenoxymethyl)、グアヤコールメチル、シロキシメチルを含むが、それらに制限されない。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。
【0068】
窒素保護基の他の例は、C.B.Reese及びE.Haslam,“ProtectiVe Groups in Organic Chemistry,”J.G.W.McOmie,Ed.,Plenum Press,New York,NY,1973,第3章及び第4章にそれぞれ、ならびに、T.W.Greene及びP.G.M.Wuts,“ProtectiVe Groups in Organic Synthesis,”2nd ed.、John Wiley及びSons,New York,NY,1991,第2章及び3章によって記され、それぞれは参照によって本明細書に組み込まれる。
【0069】
実験の詳細な説明
本発明の代表的な特定の化合物は、以下の実施例と反応順序ごとに調製され、反応のシーケンスを描いた図表やプログラム例は、発明の理解を助けるために、例示のために提供され、かつ、後述の特許請求の範囲に記載される本発明に、いかなる意味においても、限定するものと解釈されるべきではない。インスタント化合物も本発明のさらなる化合物を生成するために、続く実施例の中間体として使用することができる。当業者は、反応時間、温度、溶媒及び/または試薬のルーチンの変動によって収量を変化させる方法を知っているであろう。
【0070】
特に断りのない限り、例に使用する材料は、容易に利用可能な商業的供給者から入手または化学合成の当業者に知られている標準的な方法により合成した。特に指示がないかぎり、実施例によって異なる置換基は、水素である。
【0071】
実施例1
6−クロロ−1−(2−イソシアノベンジル)−3−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン経由での(R)−2−((6−(3−アミノピペリジン−l−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メチル)ベンゾニトリル(アログリプチン)の調製(スキーム3):

【化29】

スキーム3
【0072】
1−(2−イソシアノベンジル)−3−メチル尿素の調製
2−シアノベンジルアミン塩酸塩(90g)とジクロロメタン(800ml)を丸底(RB)フラスコに入れる。イソシアン酸メチル(45.6g)を5℃で添加した。ジクロロメタン(300ml)中のトリエチルアミン(81g)を同じ温度で添加し、室温で16時間撹拌した。水(1L)を添加し、30分撹拌した。得られた固体を、濾過によって収集し、50℃のオーブンで12時間乾燥させた。収率85%で純度99.8%である。
【0073】
1−(2−イソシアノベンジル)−3−メチルピリミジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンの調製
a)80mLエタノール中の0.11モルのナトリウムエトキシドの攪拌溶液に、0.1モルの1−(2−イソシアノベンジル)−3−メチル尿素及び0.1モルのマロン酸ジエチルを添加した。混合物は、3〜5時間還流した。冷却残渣を0.1M塩酸(60mL)で酸性にした。分離した固体を濾別し、エタノールまたは任意の好適な溶媒から再結晶した。収率は78〜85%で、純度は>95%である。
【0074】
b)別の実施形態において、1−(2−イソシアノベンジル)−3−メチル尿素(30g)、酢酸(105mL)、及びマロン酸(18g)を混合させ、60℃まで過熱した。無水酢酸(60mL)を60℃で添加して、80℃で数時間過熱し続けた。反応混合物を、氷水(300mL)へ注ぎ、得られた固体をろ過し、水(1×500mL)及びメチル−tert−ブチルエステル(100mL)で洗浄した。収率は60%で純度は93.4%である。
【0075】
そのように調製した化合物は、精製無しに、または、結晶やカラムクロマトグラフィーにより精製して、次のステップに用いることができる。
【0076】
6−クロロ−1−(2−イソシアノベンジル)−3−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオンの調製
a)1−(2−イソシアノベンジル)−3−メチルピリミジン−2,4,6(1H、3H、5H)−トリオン(30g)を、オキシ塩化リン(300ml)と混合し、0℃まで冷却した。水(9ml)をゆっくりと添加し、10分間拡販し、110℃で5時間、還流まで過熱した。反応の進行は、TLC(酢酸エチル/ヘキサン50%)によりモニターした。反応の完了時に、オキシ塩化リンを留去した。粗化合物をジクロロメタンに溶解し(500mL)、少量ずつ氷水(500mL)に注いだ。層を分離し、水層をジクロロメタン(200ml)で抽出した。合わせた有機抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、水と食塩水で洗浄した。二つの異性体の混合物(4−クロロ、6−クロロ誘導体=1:1)を分離し、中性アルミナと溶離液(酢酸エチル及びヘキサン25−50%)を用いたカラムクロマトグラフィーによって分離した。オフホワイトの固体を得て、収率37%、純度99.8%であった。1H NMRは文献のデータに対応していた(J.Med.Chem.2007,50,2297−2300)。
【0077】
b)別の実施形態において、アセトニトリル(80mL)中の、1−(2−イソシアノベンジル)−3−メチルピリミジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(18mmol)、オキシ塩化リン(85mL)、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(16.5g、72mmol)及び五塩化リン(3.8g、18mol)を、攪拌させながら4〜5時間還流した。減圧下で蒸発させた後、得られた油状残渣を塩化メチレン(又はクロロホルム)と混合し、混合物を氷水(50mL)へ注いだ。相が分離し、水相をジクロロメタン(200mL)で抽出した。合わせた有機抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮、水と食塩水で洗浄した。粗生成物は、70.5%の収率で所望の化合物を与えるためにTHF−ヘキサンから結晶化した。
【0078】
c)別の実施形態において、POCl(30mL)中の1−(2−イソシアノベンジル)−3−メチルピリミジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン溶液を、1〜3時間還流した。溶媒は、濃縮し、CHCl(100ml)と水(100ml)で分配した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮して、6−クロロ化合物を固体として得た(収率〜95%)。化合物は、ヘキサンで濃縮された塩化メチレン溶液から沈殿させ、次のステップのための粗生成として使用し、イソプロパノール中で再スラリー化し、濾別し、イソプロパノールで洗浄し、真空下で55〜60℃で乾燥させる。
【0079】
(R)−tert−ブチル−1−(3−(2−イソシアノベンジル)−1−メチル−2,6−ジオキソ−1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバミン酸塩の調整
(a)6−クロロ−1−(2−イソシアノベンジル)−3−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(13g)、ジメチルホルムアミド(130mL)、炭酸カリウム(13g)、及びtert−ブチル(R)−ピペリジン−3−イルカルバミン酸エステル(10.4g)を7時間、80℃まで加熱した。混合物を次に室温まで下げて、氷水(500mL)へ注いだ。得られた個体を濾過し、冷たい水(500mL)で洗浄する。得られた個体を、10分間メチル−tert−ブチルエーテル(50mL)中で攪拌し、濾過し、ヘキサン(50mL)で洗浄し、〜75%の収率で、N−tert−ブチルオキシカルボニル保護された化合物を得た。
【0080】
(b)別の実施形態において、攪拌棒を具備したフラスコに、6−クロロ−1−(2−イソシアノベンジル)−3−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(4.10mmol)、(R)−3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノピペリジン(4.64mmol)、KCO(1.15g、8.32mmol)及び、DMF(12mL)を満たし、6時間75℃で攪拌した。次に、水を加え、混合物を塩化メチレンで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮して、93〜96%の収率で、N−tert−ブチルオキシカルボニル保護化合物を得た。
【0081】
(R)−2−((6−(3−アミノピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メチル)ベンゾニトリル塩の調製
【0082】
a)(R)−2−((6−(3−アミノピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メチル)ベンゾニトリル塩酸塩の調製
前の手順から得られた、粗生成(R)−tert−ブチル1−(3−(2−イソシアノベンジル)−1−メチル−2,6−ジオキソ−1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバミン酸塩を、THF中に溶解し、温度を15℃以下で維持しながら、6M塩酸で酸性化させた。得られたスラリーを0〜5℃に冷却し、この温度で3〜5時間攪拌し、その後濾過した。濾過ケーキをイソプロパノールで二回洗浄し、45〜50℃で真空乾燥して、白色結晶性固体として塩酸塩を得た。
【0083】
b)(R)−2−((6−(3−アミノピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メチル)ベンゾニトリルトリフルオロ酢酸塩の調製
TFA(1mL)を、上述の手順で得られた(R)−2−((6−(3−アミノピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メチル)ベンゾニトリル塩の塩化メチレン溶液へ添加した。溶液は室温で1時間攪拌し、次に、混合物を真空下で濃縮した。讒訴を少量のMeOhまたはイソプロパノールに溶かし、所望の塩を、ジイソプロピルエーテルの添加により沈殿させた。固体を濾別し、ジイソプロピルエーテルで洗浄し、45〜50度で真空乾燥し、オフホワイトの粉末としてトリフルオロ酢酸塩を得た。
【0084】
c)(R)−2−((6−(3−アミノピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メチル)ベンゾニトリル安息香酸塩(アログリプチン)の調製
粗生成(R)−2−((6−(3−アミノピペリジン−1−イル)−1−メチル−2,6−ジオキソ−1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−4−イル)ピペリジン−3−イルカルバミン酸塩をエタノールへ溶解する。エタノール中の安息香酸の溶液を添加し、混合物をゆっくりと65〜70℃まで過熱した。溶液をこの温度で1時間攪拌し、次に0〜5まで冷却し、12時間攪拌することによって結晶化させた。溶液を濾過し、アルコールで洗浄した。ウェットケーキを2時間窒素下で調整した。ケーキを40〜50℃で8時間乾燥させ、アログリプチンの安息香酸塩を白色の結晶固体として得た。
【0085】
実施例2
6−アミノ−1−(2−イソシアノベンジル)−3−メチルピペリジン−2,4(1H,3H)−ジオンを経由した、(R)−2−((6−(3−アミノピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メチル)ベンゾニトリル安息香酸塩(アログリプチン)の調製(スキーム4)

【化30】

スキーム4
【0086】
6−アミノ−1−(2−イソシアノベンジル)−3−メチルピペリジン−2,4(1H,3H)−ジオンの調製
a)1−(2−イソシアノベンジル)−3−メチル尿素(0.2mol)及びシアン酢酸(0.22mol)を、無水酢酸(400mL)中に溶解し、混合物を80℃で2時間過熱した。無水酢酸を減圧下留去し、水(200mL)を添加した。混合物を0〜5℃に冷却し、2N NaOH溶液(220mL)を添加し、2時間攪拌し続けた。得られた個体を濾別し、冷たいメタノールで洗浄し、真空下で乾燥させた。6−アミノ−1−(2−イソシアノベンジル)−3−メチルピペリジン−2,4(1H,3H)−ジオンの収率は、72%であった。
【0087】
b)窒素雰囲気下で、1−(2−イソシアノベンジル)−3−メチル尿素(98.4g)及びシアン酢酸(80.0g)を、N,N−ジメチルホルムアミド(836mL)へ添加した。混合物を室温で攪拌し、メタンスルホニルクロリド(72.8g)を室温で攪拌させながら滴下した。混合物を室温で4時間攪拌し、水で冷却し、水−イソプロパノール[2:1(容積比)、1670mL]を滴下した。混合物を水で冷却しながら1時間攪拌し、析出した結晶を濾取し、乾燥させて3−(2−シアノ−アセチル)−3−メチル−1−(2−イソシアノベンジル)−尿素を収率68%で得た。3−(2−シアノ−アセチル)−3−メチル−1−(2−イソシアノベンジル)−尿素へ、水(962mL)及び2N水酸化ナトリウム溶液(24.9mL)を添加し、混合物を80℃で1時間過熱しながら攪拌した。室温に冷却した後、結晶を濾取し、乾燥させて6−アミノ−1−(2−イソシアノベンジル)−3−メチルピペリジン−2,4(1H,3H)−ジオンを収率76%で得た。
【0088】
c)6−アミノ−1−(2−イソシアノベンジル)−3−メチルピペリジン−2,4(1H,3H)−ジオン(0.1mol)を、適切なアミン塩酸塩の(R)−ピペリジン−2−イルカルバミン酸tert−ブチルエステル塩酸塩(0.1mol)、及び(R)−ピペリジン−3−イル−カルバミン酸tert−ブチルエステル(0.1mol)と混合した。混合物を100℃で加熱し、通気を3時間継続した。水を冷却した混合物に添加し、混合物を塩化メチレンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮して、N−tert−ブチルオキシカルボニル保護化合物を収率93〜96%で得た。
【0089】
d)上記のようにアログリプチンの安息香酸塩を調製した。
【0090】
本発明の特定の実施形態を図示し、説明してきたが、本発明が本明細書に記載した実施形態に制限されないことは、明らかであろう。多くの修正、変更、変形、代替、及び同等物は、特許請求の範囲、で説明したように、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく当業者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式(I)の構造によって表される、ピリミジンジオン誘導体の製造プロセスであって、
【化1】

式中、
及びRは、それぞれ独立的にHまたは(C〜C10)アルキルであり、
はCHArであり、また
及びRは、窒素と共に結合して、4、5、6、または7員環を形成し、それは非置換でも置換でもよく、
前記プロセスは、
1)化学式(VIII)の尿素誘導体を
【化2】

化学式(VII)または(VII−A)を十分に形成する条件下で(式中、RはH、(C−C10)アルキル、フェニル、またはN−オキシスクシンイミジルエステルであり、式中各アルキルまたはフェニルは、非置換または置換であってもよい)、ROCCH(R)CORまたはROCCH(R)CNの構造体のマロン酸またはその誘導体と反応させるステップ、
【化3】

2)化合物(VII)または(VII−A)を、化学式(II)の化合物を十分に形成する条件下で(式中、Xは離脱基である)、X基を導入または形成する試薬と反応させるステップ、および
【化4】

(II)
3)化合物(II)を、化学式(I)の化合物を十分に形成する条件下で、化学式(III)HNRの試薬と反応させるステップと、
【化5】

(I)
を含む、プロセス。
【請求項2】
Xが、Hal(F、Cl、Br、I)、OTs、OMs、SMe、SPh、Im、Bta、及びNHから選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
化学式(I)のピリミジン生成物を、化学式(IV)の塩(式中、Yは酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、クエン酸塩、塩酸塩、L−乳酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩及びL−酒石酸塩からなる群から選択される対イオンである)へ変換するステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【化6】

【請求項4】
前記変換ステップが、化学式(I)の化合物と、酸HYとを反応させることを含む、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
化学式(III)のHNRは、化学式(V)HNR−NHRのジアミンであり、式中、R及びRは窒素と共に結合して、4、5、6または7員環を形成し、NHRは、そのような環の置換基であり、RはHまたは窒素保護基である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
HNR−NHRは、以下の構造で表され、
【化7】

式中、RはHまたは窒素保護基であり、nは0、1または2である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
HNR−NHRが、以下の構造で表される、請求項6に記載のプロセス。
【化8】

【請求項8】
は窒素保護基であり、好ましくは酸不安定性窒素保護基である、請求項5〜7のいずれかに記載のプロセス。
【請求項9】
がter−ブチルオキシカルボニル(Boc)である、請求項5〜8のいずれかに記載のプロセス。
【請求項10】
ステップ(3)が、化学式(VI)の化合物を十分に形成する条件下で(式中、R、R及びRは請求項1で確定され、R及びRは共に窒素と結合して、4、5、6、または7員環を形成し、NHRは置換基または非置換基であり、Rは窒素保護基である)、化学式(II)の化合物と化学式(V)HNR−NHRのジアミンと反応させることを含む、請求項1に記載のプロセス。
【化9】

【請求項11】
化学式(VI)の化合物が、化学式(VI−A)の構造によって表される、請求項10に記載のプロセス。
【化10】

【請求項12】
化学式(VI)の化合物が、化学式(VI−B)の構造によって表される、請求項10に記載のプロセス。
【化11】

【請求項13】
化学式(VI)の化合物と、酸HY(式中、Yは酢酸塩、トリフルオロ酢酸、クエン酸塩、塩酸塩、L−乳酸、コハク酸、安息香酸及びL−酒石酸塩からなる群から選択される)とを反応させるステップを更に含む、請求項10〜12のいずれかに記載のプロセス。
【請求項14】
(a)化学式(II)の化合物と、化学式(V)のジアミンとを、化合物(VI)が十分に形成される条件下で反応させるステップと、
(b)化合物(VI)を酸HYと反応させて、化合物(VI)の分離および精製なしに一段階合成で塩を形成するステップと、及び
(c)任意で、もし必要である場合、化学式(I)の化合物を形成するために保護基を取り除くステップと、
を含む、請求項10〜13のいずれかに記載のプロセス。
【請求項15】
前記保護基が、ステップ(b)において酸HYで処理する際に取り除かれ、かつステップ(c)が実施されない、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
が(C〜C10)アルキルである、請求項1〜15のいずれかに記載のプロセス。
【請求項17】
がメチルである、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
が−(CH)−(2−シアノフェニル)である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項19】
及びRが窒素とともに結合して、以下に示される構造の環を形成し、
【化12】

式中、RはHまたは窒素保護基であり、nは0、1または2である、請求項1〜19のいずれかに記載のプロセス。
【請求項20】
及びRが窒素とともに結合して、以下に示される構造の環を形成する、請求項19に記載のプロセス。
【化13】

【請求項21】
化学式(III)または(V)の化合物が、(R)−ピペリジン−3−イル−カルバミン酸tert−ブチルエステルである、請求項1〜20のいずれかに記載のプロセス。
【請求項22】
がHである、請求項1〜21のいずれかに記載のプロセス。
【請求項23】
前記化学式(I)の前記ピリミジンジオンが、2−[6−[3(R)−アミノピペリジン−1−イル]−3−メチル−2,4−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−1−イルメチル]ベンゾニトリル(アログリプチン)またはその塩である、請求項1〜22のいずれかに記載のプロセス。
【請求項24】
前記塩が、安息香酸塩(安息香酸アログリプチン)である、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
XがHalであり、ステップ(2)が化学式(VII)と、
【化14】

ハロゲン含有試薬とを、X基を十分に導入または形成させる条件下で、反応させるステップを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項26】
前記ハロゲン含有試薬が、オキシ塩化リン、五塩化リン、塩化チオニル、三臭化リン、及びN−ブロモスクシンイミドからなる群から選択される、請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
マロン酸誘導体が、マロン酸エステルである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項28】
前記エステルが、メチル、エチル、非置換または置換フェニル、またはN−オキシスクインイミジルエステルである、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
以下の構造で表され、
【化15】

式中、
はHまたは(C〜C10)アルキルであり、
はCHArであり、また
はHである、
化学式(VII)の化合物。
【請求項30】
以下の構造式で表される、請求項29に記載の化合物。
【化16】

【請求項31】
前記化合物が、以下の構造で表され、
【化17】

式中、
はHまたは(C〜C10)アルキルであり、
はCHArであり、また
はHである、
化学式(VII−A)の化合物。
【請求項32】
以下の構造で表される、請求項31に記載の化合物。
【化18】

【請求項33】
以下の構造で表される、化学式(VIII)の化合物。
【化19】

【請求項34】
以下の構造で表される、化学式(VI)の化合物。
【化20】

【請求項35】
請求項1に記載のプロセスに従って調製される、化学式(I)の化合物。
【請求項36】
請求項3に記載のプロセスに従って調製される、化学式(IV)の化合物。
【請求項37】
糖尿病、好ましくは2型糖尿病の治療に使用される、請求項35またh36に記載の化合物。
【請求項38】
請求項35または36に記載の化合物をそれを必要とする被験者に投与するステップを含む、糖尿病の、好ましくは2型糖尿病の治療方法。

【公表番号】特表2012−521411(P2012−521411A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501503(P2012−501503)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際出願番号】PCT/IL2010/000260
【国際公開番号】WO2010/109468
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(511224254)マピ ファーマ リミテッド (6)
【Fターム(参考)】