説明

アンテナエレメントおよびアンテナエレメントのアレイ

超広帯域無線ネットワークに用いるアンテナエレメントを提供し、このアンテナエレメントは、フィードポイントで受信したシグナルに応じて一定の範囲にわたる周波数のシグナルを放射する放射エレメント;およびその放射エレメントに対する広帯域化デバイス(broad‐banding device)として作用する、放射エレメントのフィードポイントの近傍に位置する周波数整形デバイスを含む。複数のアンテナエレメントがアンテナアレイを形成していてよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、アンテナエレメントに関し、詳細には、シグナル強度を最大化し、干渉を低減する超広帯域無線ネットワークに用いるためのアンテナエレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
超広帯域無線は、デジタルデータを、3.1から10.6GHzという非常に広い周波数範囲にわたって伝送する無線技術である。RFエネルギーを広い帯域幅にわたって広げることにより、伝送シグナルは、従来の周波数選択型のRF技術では事実上検出することができない。しかし、伝送電力が低いことにより、通信距離が通常10から15メートル未満に限られてしまう。
【0003】
UWBには、UWB特性を有するパルス波形からシグナルを構築するタイムドメイン方式(time‐domain approach)、および、従来のFFTに基づく直交周波数分割多重方式(OFDM)を複数の(周波数)帯域に用いてMB‐OFDMとする周波数ドメイン変調方式(frequency‐domain modulation approach)の2種類の方式がある。これらのUWB方式はいずれも、周波数スペクトル内の非常に広い帯域幅を有効範囲とするスペクトル成分を発生するもので、従って超広帯域無線という用語になるのだが、そこで、その帯域幅は、中心周波数の20パーセント超、通常は少なくとも500MHzを占める。
【0004】
このような超広帯域無線の特性は、非常に広い帯域幅と合わせて、UWBが、家庭または職場の環境における高速無線通信を提供するための理想的な技術であることを意味しており、その環境では、通信機器が互いに10から15mの範囲内にある。
【0005】
図1は、超広帯域無線通信用の多帯域直交周波数分割多重(MB‐OFDM)システムにおける周波数帯域の配列を示す。MB‐OFDMシステムは、各々528MHzである14個のサブ帯域を含み、アクセス方式として、サブ帯域間を312.5ns毎にホッピングする周波数を用いる。各サブ帯域内では、OFDM、およびQPSKまたはDCMコーディングを用いてデータが伝送される。およそ5GHz、現時点では5.1から5.8GHz、のサブ帯域が、例えば802.11aWLANシステム、警備機関の通信システム、または航空業界などの現存の狭帯域無線システムへの干渉を避けるために、未使用で残されていることには留意されたい。
【0006】
14個のサブ帯域は、5種類の帯域グループを構成しており、4種類が528MHzのサブ帯域を3個有し、1種類の帯域グループが528MHzのサブ帯域を2個有している。図1に示すように、第一の帯域グループは、サブ帯域1、サブ帯域2、およびサブ帯域3を含む。例としてのUWBシステムでは、帯域グループのサブ帯域間をホッピングする周波数を使用し、それによって、第一のデータシンボルは、帯域グループの第一の周波数サブ帯域内の第一の312.5nsの長さの時間間隔内で伝送され、第二のデータシンボルは、帯域グループの第二の周波数サブ帯域内の第二の312.5nsの長さの時間間隔内で伝送され、第三のデータシンボルは、帯域グループの第三の周波数サブ帯域内の第三の312.5nsの長さの時間間隔内で伝送される。従って、各時間間隔の間、データシンボルは、例えば、3960MHzを中心周波数とする528MHzのベース帯域シグナルを有するサブ帯域2など、528MHzの帯域幅を有する各々のサブ帯域内で伝送される。
【0007】
このような超広帯域無線の技術的特性は、これが、データ通信の分野でのアプリケーションに採用されつつあることを意味している。例えば、以下の環境において、ケーブル通信の代替とすることを目的とする広範囲にわたる種々のアプリケーションが存在し、
‐PCとその周辺機器、すなわち、ハードディスクドライブ、CDライター、プリンター、スキャナー、などの外付けデバイスとの間の通信、
‐テレビ、およびワイヤレス手段、ワイヤレススピーカーなどで接続されるデバイス、などのホームエンターテイメント、
‐携帯デバイスおよびPCの間の通信、例えば、携帯電話およびPDA、デジタルカメラおよびMP3プレイヤー、などが存在する。
【0008】
超広帯域無線システムに用いられるアンテナ配列は、通常、無指向性であり、これは、無線シグナルが1つのまたは複数の能動放射エレメントからすべての方向へ向かって送信されることを意味し、3.1から10.6GHzの全UWB帯域幅にわたる操作を支持する数多くの無指向性アンテナが考案されてきた。
【0009】
このことにより、特定の環境において(例えば家庭)、1つのデバイスからのデータ移送が別のデバイスからのデータ移送を干渉することが引き起こされ得る。従って、そのような高速通信ネットワークでは、指向性が求められる。
【0010】
非常に高いデータ速度のアプリケーションを対象とする将来のシステムでは、その各々が特定の角度領域(angular sector)を対象とする数多くの高ゲインエレメントを用いることに利点がある。超広帯域無線ネットワークに必要である広い帯域幅を提供する進行波エレメントを用いることができるが、このようなエレメントのアレイは比較的大型である。
【0011】
アンテナは、例えば地板(ground plane)に起因する、障害となる回折効果からアンテナの操作を切り離すように構成されたチョークエレメント(choke element)を含むこともできる。そのようなチョーク部材は、金属構造体に沿った電流の流れを抑えるように作用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、上記の従来の配列の持つ問題点を解決する、超広帯域無線システムに用いるためのアンテナエレメントおよびアンテナ配列を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の概要
発明者らは、放射エレメントに対して周波数整形デバイスを特定の方法で構成することにより、周波数整形デバイスが、シグナルをチョークするのではなく、放射エレメントによって放出されたシグナルに対する広帯域化効果に作用することができることを見出した。
【0014】
本発明の第一の局面によると、超広帯域無線ネットワークに用いるアンテナエレメントが提供され、このアンテナエレメントは、フィードポイントで受信したシグナルに応じて一定の範囲にわたる周波数のシグナルを放射する放射エレメント;および放射エレメントのフィードポイントの近傍に位置する周波数整形デバイスを含み、この周波数整形デバイスは、放射エレメントに対する広帯域化デバイス(broad‐banding device)として作用するプロファイルを有するように構成される。
【0015】
好ましくは、周波数整形デバイスは、フィードポイントの近傍に位置する複数の個別の周波数整形部分を含む。
【0016】
好ましくは、複数の個別の周波数整形部分は、同心円状に配列された表面を含む。
【0017】
好ましくは、複数の同心円状に配列された表面は、それぞれに高さを有し、同心円状に配列された表面の高さは、アンテナエレメントの基材に対して垂直である方向に測定される。
【0018】
好ましくは、複数の同心円状に配列された表面は、異なる高さを有する。
【0019】
好ましくは、放射エレメントは、無指向性モノポールを含む。
【0020】
好ましくは、アンテナエレメントは、放射エレメントによって放射されたRFシグナルが所定の方向へ反射されるように放射エレメントに対して配置される、反射体部材をさらに含む。
【0021】
好ましくは、反射体部材は、無給電エレメント(parasitic element)を含む。
【0022】
好ましくは、無給電エレメントは、モノポールの形態である。
【0023】
本発明の第二の局面によると、超広帯域無線ネットワークに用いるためのアンテナアレイが提供され、このアンテナアレイは、複数のアンテナエレメントを含み、各エレメントは上述の通りである。
【0024】
好ましくは、複数のアンテナエレメントは、各エレメントがそれぞれの角度領域に対応するように配列される。
【0025】
好ましくは、複数のアンテナエレメントは、環状に配列される。
【0026】
好ましくは、アンテナアレイは、入力部で受信されたシグナルを複数のアンテナエレメントのうちの選択された1もしくは2つ以上に供給するための、複数のアンテナエレメントの各々に接続されたスイッチをさらに含む。
【0027】
好ましくは、スイッチの操作は、スイッチへの制御入力部(control input)にて受信された制御シグナルによって制御される。
【0028】
好ましくは、アンテナアレイは、複数のアンテナエレメントの各々を収容するように配置されたレーダードームをさらに含む。レーダードームは、安全性および/または美観上の理由で提供してよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明を、単なる一例として、以下の図面を参照して説明する。
【0030】
【図1】図1は、超広帯域無線通信のための、多帯域直交周波数分割多重(MB‐OFDM)システムにおける周波数帯域の配列を示す図である。
【図2】図2は、本発明による周波数整形デバイスを持つアンテナエレメントの断面図である。
【図3】図3は、本発明による別の選択肢としての周波数整形デバイスを示す図である。
【図4】図4は、本発明によるアンテナ配列のブロック図である。ならびに、
【図5】図5は、本発明の第一の実施形態によるアンテナ配列の斜視図である。
【図6】図6は、本発明のさらなる実施形態によるアンテナ配列の斜視図である。
【図7】図7は、本発明のさらなる実施形態によるアンテナ配列の斜視図である。および、
【図8】図8は、本発明のさらなる実施形態によるアンテナ配列の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明を、超広帯域無線ネットワークにおける使用に関連して本明細書にてさらに説明するが、本発明をその他の種類の無線通信ネットワークにおける使用に適合することができることは理解されるであろう。
【0032】
図2は、本発明によるアンテナエレメント2の断面図を示す。エレメント2は、無指向性モノポールの形態である放射エレメント4を含み、これは、実質的に基材6に対して垂直となるように配列される。
【0033】
アンテナエレメント2は、DC給電ライン(DC supply lines)からの放射エレメント4のフィードラインにて交流を「適合」させるように設計される周波数整形デバイス8も含む。周波数整形デバイス8は、広範囲の周波数にわたって放射エレメント4から放射された場に周波数整形デバイス8が影響を与えるように、所定のプロファイルによって形成される。その結果、周波数整形デバイス8は、広い帯域幅、特に超広帯域無線ネットワークに用いられる帯域幅にわたって良好な反射減衰特性(return loss characteristic)が得られる放射エレメント4に対する広帯域化デバイスとして作用する。
【0034】
好ましい実施形態では、周波数整形デバイス8は、複数の周波数整形部分、8a、8b、8c、8d、および8eを含み、周波数整形部分、8a、8b、8c、8d、および8eは、放射エレメント4のフィードポイントの周囲に配列される個別の表面を実質的に形成する。複数の周波数整形部分、8a、8b、8c、8d、および8eは、好ましくは、同心円状の表面を含み、基材6からの高さが異なっている。複数の周波数整形部分、8a、8b、8c、8d、および8eは、別々のセクションであってよく、または単体のデバイスであってもよい。例えば、単体のデバイスとして形成される場合、複数の周波数整形部分、8a、8b、8c、8d、および8eは、その部分が高さの異なる隣接する溝部を区切る、別々の同心円状溝部を用いて形成されていてよい。別の選択肢として、単体のセクションは、周波数整形デバイスの1つの部分から次の部分へ、高さが段階的に変化するように形成してもよい。
【0035】
周波数整形デバイスが、図2に示す例よりも少ないまたは多い数の部分を有していてよいことは理解されるであろう。さらに、周波数整形部分の2もしくは3つ以上は、高さが同一であってよいが、ただし、周波数整形部分の少なくとも2つは高さが異なる。
【0036】
複数の周波数整形部分、8a、8b、8c、8d、および8eの高さが異なることは、放射エレメント4によって放射されるシグナルの帯域幅特性を変化させるように作用する。複数の周波数整形部分、8a、8b、8c、8d、および8eは、従って、アンテナエレメント2の帯域幅を広げるように作用する。
【0037】
周波数整形デバイスは、放射エレメントの基部の近傍に位置することが好ましく、例えば、構造6上に搭載される。
【0038】
周波数整形デバイスは、その底部に平面基部を有し、高さの異なる周波数整形部がこの平面基部の上に延びるように示されるが、このデバイスの配向を変更して、この平面基部が周波数整形デバイスの最上部に備えられ、高さの異なる周波数整形部がこの平面最上部の下に延びるようにしてよいことには留意されたい。
【0039】
放射エレメント4は、支持構造16により、周波数整形デバイス8の周囲に位置するように保持される。一つの実施形態では、この支持構造16は、16a、16b、および16cのセクションを含む。セクション16a、16b、16cは、別々のセクションであってよく、または1つの単体構造であってもよい。別の選択肢としての実施形態では、この支持構造16は、セクション16aを例とするセクションを1つだけ含み、セクション16bおよび16cによって識別される領域には空気ギャップが提供される。他の実施形態は、セクション16a、16b、16cの異なる構成を含んでいてよい。
【0040】
支持構造16は、誘電体材料から形成してよい。一つの実施形態では、支持構造は、空気に近い誘電率を持つ誘電体材料を含む。しかし、誘電体材料の誘電率は、アンテナの所望される特性に従って選択することができることは理解されるであろう。
【0041】
図3は、本発明による別の選択肢としての周波数整形デバイス8を示す。この周波数整形デバイス8は、図2に示したものと類似しているが、本実施形態では、放射エレメント4の最も近傍にある単独の周波数整形部分8eが、隣接する周波数整形部分8dよりも大きい(高い)。
【0042】
上述のように、周波数整形デバイス8が厳密に5つの個別の周波数整形部分を含む必要はないこと、およびこれよりも多いまたは少ない個別の周波数整形部分を備えてもよいことは、当業者であれば理解されるであろう。周波数整形デバイスのプロファイル、すなわち、個別の周波数整形部分、8a、8b、8c等から形成されるプロファイルが、任意のアンテナ配列の特定の周波数特性に応じて異なっていてよいことも理解されるであろう。
【0043】
さらに、上述のように、周波数整形デバイス8が、単一の単体構造であってよく、または別々の個別の周波数整形デバイス構造から構成されていてもよいことは理解されるであろう。単一の単体構造の形態である周波数整形デバイス8は、ミリング(milling)または切削加工(machining)技術を用いて複数の周波数整形表面が備えられるように製造してよい。
【0044】
本発明のさらなる局面では、アンテナエレメント2は、基材6に取り付けられた反射体部材18を含む。反射体部材18は、放射エレメント4が作動してRFシグナルを放射する場合に、反射体部材18が入射RFシグナルを放射エレメント4へ向けて反射して戻すように、放射エレメント4に対して配置される。その結果、RFシグナルは、反射体部材18から離れて所望の領域上を進行する。
【0045】
好ましい実施形態では、反射体部材18は、モノポールの形態の無給電エレメントを含む。別の選択肢としての実施形態では、反射体部材18は、入射RFシグナルを所定の方向へ反射することができるいかなる構造を含んでもよい。さらに、反射体部材18の断面形状は、環状、四角形状、正方形状、三角形状、またはその他のいかなる形状であってもよい。反射体部材の断面形状は、反射されたシグナルの所望のビームパターンに応じて選択することができる。一つの実施形態では、反射体部材18は、その基部に支持構造19を有する。
【0046】
放射エレメント4および反射体部材18の相対高さは、図に示したものと異なっていてよいことには留意されたい。
【0047】
本発明のさらなる局面では、図4および5に示すように、複数の上述のアンテナエレメント2を含むアンテナアレイ20が提供される。アンテナエレメント2は、各エレメント2がそれぞれの角度領域に対応するように配列され、このことは、特定のエレメント2を作動させることにより、RFシグナルを所望の方向へ放射させることができることを意味する。好ましくは、エレメント2は環状に構成されるが、その他の構成も可能であることは理解されるであろう。
【0048】
好ましい実施形態では、図4で説明するように、入力部24で受信されたRFシグナルを、シグナルが伝送されるべき方向に応じて特定のアンテナエレメント2へ指向させるRFスイッチ22が提供される。スイッチ22の操作は、制御入力部26で受信された制御シグナルによって制御される。スイッチをどのように制御することができるかについては、当業者であれば明らかであり、この局面は、従って、本出願には含まれない。
【0049】
図4および5の配列は、最大360度の方位範囲(azimuthal coverage)を有するアンテナアレイ20を提供する。
【0050】
アンテナアレイ20は、さらに、アンテナエレメント2、特に、放射エレメント4および反射体部材18の保護のために、例えば図6、7、および8に示すように、レーダードーム28も備えていてよい。レーダードームは、家庭内環境のためにアンテナ配列の美的デザインを向上させる目的で、本質的に不透明であってよい。
【0051】
図6、7、および8は、本発明によるアンテナアレイ20の別の選択肢としての実現を示し、特に、アレイ20内のアンテナエレメント2を支持する別の選択肢としての方法を示す。
【0052】
図6の実施形態は、図5の実施形態と類似しているが、各周波数整形デバイス8は、周波数整形デバイス8の視認可能な表面が、図5に示すような一連の同心円ではなく、均一であるように簡略化されている。このことは、アンテナアレイの製造コストを下げるという利点を持つ。図6の周波数整形デバイス8は、支持構造16の下に1もしくは2つ以上の階段状表面(図示せず)を含み、それによって、図2の周波数整形部分8dおよび8eに類似の個別の周波数整形部分8d、8eが形成される。支持構造16の下にある周波数整形部分の数は、図2に示したものと異なっていてよいことは理解されるであろう。例えば、図6の実施形態の周波数整形デバイス8は、支持構造16の下にこれより多い数の個別の周波数整形デバイスを有していてよく、これによって、視認可能部分に周波数整形デバイスが1つしかないという事実を補う。さらに、図6の実施形態では、反射体部材18が図5に示すような支持構造19を含まないことにも留意されたい。
【0053】
図7は、別の選択肢としての実施形態を示し、ここでは、放射エレメント4に付随する周波数整形デバイスが、単体の周波数整形デバイス8として一体化されている。単体の周波数整形デバイス8は、1もしくは2つ以上の階段状表面(図示せず)を各支持構造16の下に含み、それによって、図2の周波数整形部分8dおよび8eに類似の個別の周波数整形部分8d、8eが形成される。上記のように、周波数整形部分の数は、図2に示したものと異なっていてよいことは理解されるであろう。図7の実施形態は、図2および5に示すような支持構造19を持つのではなく、周波数整形デバイス8から延びる突起部30によって支持される反射体部材18を示す。
【0054】
図8の実施形態は、図7と類似しているが、図5の支持構造19を持たず、基部20によって直接支持される反射体部材18を持つ。
【0055】
上述の実施形態間で、種々の特徴を入れ替えてよいことは理解されるであろう。例えば、図5の実施形態の支持構造19を除去して、反射体部材18が基部20上に直接搭載されるようにしてよく、逆も同様である。
【0056】
周波数整形デバイス8は、数多くの適切な材料から作製することができる。例えば、周波数整形デバイスは、アルミニウムを例とする金属もしくは合金から作製することができ、これを切削加工して所望のプロファイルを形成する。次に、周波数整形デバイス材料に、例えばニッケルフラッシュを用いてめっきを施してよい。周波数整形デバイスは、さらに銀めっきを施して、その電気的特性を向上させてもよい。その他の適切な材料を用いて周波数整形デバイスを形成することもでき、例えば、真鍮または金である。さらなる実施形態によると、周波数整形デバイスは、プラスチックを例とする非金属から切削加工し、次に金属コーティングを施してもよい、これは、製造コストを低下させるために、特定の状況では有利であり得る。
【0057】
従って、従来のアンテナ配列の持つ問題を解決する、超広帯域無線システムに用いるためのアンテナエレメントおよびアンテナアレイが提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超広帯域無線ネットワークに用いるためのアンテナエレメントであって、前記アンテナエレメントは:
フィードポイントで受信したシグナルに応じて一定の範囲にわたる周波数のシグナルを放射する放射エレメント;および、
前記放射エレメントのフィードポイントの近傍に位置する周波数整形デバイスであって、前記周波数整形デバイスは、前記放射エレメントに対する広帯域化デバイスとして作用するプロファイルを有するように構成される、周波数整形デバイス、
を含む、アンテナエレメント。
【請求項2】
前記周波数整形デバイスが、複数の個別の周波数整形部分を含む、請求項1に記載のアンテナエレメント。
【請求項3】
前記複数の個別の周波数整形部分が、同心円状の表面を含む、請求項2に記載のアンテナエレメント。
【請求項4】
前記複数の個別の周波数整形部分が、それぞれに高さを有し、個別の周波数整形部分の前記高さが、前記アンテナエレメントの基材に対して垂直である方向に測定される、請求項2または3に記載のアンテナエレメント。
【請求項5】
前記個別の周波数整形部分のうちの少なくとも2つが異なる高さを有する、請求項2から4のいずれか1項に記載のアンテナエレメント。
【請求項6】
前記周波数整形デバイスが、前記放射エレメントのフィードポイントの近傍に位置する、請求項1から5のいずれか1項に記載のアンテナエレメント。
【請求項7】
前記周波数整形デバイスが、前記放射エレメントを支持する基材上に搭載される、請求項6に記載のアンテナエレメント。
【請求項8】
前記放射エレメントを支持するための支持構造をさらに含む、請求項1から7のいずれか1項に記載のアンテナエレメント。
【請求項9】
前記支持構造が、前記複数の個別の周波数整形部分の1もしくは2つ以上の上に位置する、請求項8に記載のアンテナエレメント。
【請求項10】
前記支持構造が誘電体材料を含む、請求項8または9に記載のアンテナエレメント。
【請求項11】
前記誘電体材料が、空気に近い誘電率を有する、請求項10に記載のアンテナエレメント。
【請求項12】
前記放射エレメントが、無指向性モノポールを含む、請求項1から11のいずれか1項に記載のアンテナエレメント。
【請求項13】
前記放射エレメントによって放射されたRFシグナルが所定の方向へ反射されるように前記放射エレメントに対して配置される反射体部材:
をさらに含む、請求項1から12のいずれか1項に記載のアンテナエレメント。
【請求項14】
前記反射体部材が、無給電エレメントを含む、請求項13に記載のアンテナエレメント。
【請求項15】
前記無給電エレメントが、モノポールの形態である、請求項14に記載のアンテナエレメント。
【請求項16】
前記反射体部材を支持するための支持構造をさらに含む、請求項15に記載のアンテナエレメント。
【請求項17】
前記周波数整形デバイスが、金属または金属合金から形成される、請求項1から16のいずれか1項に記載のアンテナエレメント。
【請求項18】
前記周波数整形デバイスが、非金属から形成される、請求項1から13のいずれか1項に記載のアンテナエレメント。
【請求項19】
前記周波数整形デバイスが、金属または合金コーティングを施される、請求項14または15に記載のアンテナエレメント。
【請求項20】
前記周波数整形デバイスが、単体部材から形成される、請求項1から19のいずれか1項に記載のアンテナエレメント。
【請求項21】
超広帯域無線ネットワークに用いるためのアンテナアレイであって、前記アンテナアレイは:
各々のエレメントが請求項1から20のいずれか1項に記載されるエレメントである複数のアンテナエレメントを含む、
アンテナアレイ。
【請求項22】
前記複数のアンテナエレメントが、各々のエレメントがそれぞれの角度領域に対応するように配列される、請求項21に記載のアンテナアレイ。
【請求項23】
前記複数のアンテナエレメントが環状に配列される、請求項22に記載のアンテナアレイ。
【請求項24】
それぞれのアンテナエレメントの前記周波数整形デバイスが、単一の周波数整形デバイスを形成するように構成される、請求項21、22、または23に記載のアンテナアレイ。
【請求項25】
前記複数のアンテナエレメントの各々に接続され、入力部で受信されたシグナルを前記複数のアンテナエレメントのうちの選択された1もしくは2つ以上に提供するためのスイッチ:
をさらに含む、請求項21から24のいずれか1項に記載のアンテナアレイ。
【請求項26】
前記スイッチの操作が、前記スイッチへの制御入力部で受信された制御シグナルによって制御される、請求項25に記載のアンテナアレイ。
【請求項27】
前記複数のアンテナエレメントの各々を収容するように配置されたレーダードームをさらに含む、請求項21から26のいずれか1項に記載のアンテナアレイ。
【請求項28】
前記レーダードームが不透明である、請求項27に記載のアンテナアレイ。
【請求項29】
添付の図面の図2、3、4、5、6、7、および8を参照して、上文にて実質的に説明したアンテナエレメント。
【請求項30】
添付の図面の図3、4、5、6、7、および8を参照して、上文にて実質的に説明したアンテナアレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−501492(P2011−501492A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528483(P2010−528483)
【出願日】平成20年10月13日(2008.10.13)
【国際出願番号】PCT/GB2008/003474
【国際公開番号】WO2009/047545
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(507345538)アイティーアイ スコットランド リミテッド (34)
【Fターム(参考)】