説明

アンテナユニット

【課題】 改善された分離度及びビーム幅を有するアンテナユニットを提供する。
【解決手段】 アンテナユニットであって、第1面及び第2面を含み、前記第1面は、前記第2面に対向する第1基板、前記第1面上に配置された第1導電層、前記第2面上に配置され、前記第1面と前記第2面に電気的接続する複数の第1導電ビアによって囲まれた主開孔は、その上に形成され、前記主開孔及び囲んでいるビアは、放射空洞を規定する第2導電層、前記放射空洞を囲み、前記第1基板に組み込まれる第1平面導電性リング、及び無線信号を前記アンテナユニットに伝送する給電導体を含むアンテナユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナユニットに関し、特に、改善された分離度及びビーム幅を有するアンテナユニットに関するものである。本発明のアンテナユニットは、フェーズドアレイアンテナに用いるのに適する。
【背景技術】
【0002】
図1は、アンテナ基板10、給電基板20、マイクロストリップパッチ30、グランドプレーン40、及びマイクロストリップ給電線50を含む従来のアンテナ1を表している。アンテナ基板10は、第1面11及び第2面12を含む。給電基板20は、第3面21及び第4面22を含む。マイクロストリップパッチ30は、第1面11上に配置される。グランドプレーン40は、第3面21上に配置される。第2面12は、グランドプレーン40に接続される。結合開口41は、グランドプレーン40上に形成される。マイクロストリップ給電線50は、第4面22上に配置される。マイクロストリップ給電線50は、結合開口41を介して無線信号をマイクロストリップパッチ30に伝送する。従来のアンテナは、一般的に小さい帯域幅、大量の背面放射、及び不要な表面波放射の問題を有する。また、従来のアンテナがアレイ状に配列された時、アンテナ間の分離性は、低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
改善された分離度及びビーム幅を有するアンテナユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
アンテナユニットが提供される。アンテナユニットは、第1基板、第1導電層、第2導電層、第1平面導電性リング(必要に応じて形成される)、及び給電導体を含む。第1基板は、第1面及び第2面を含み、第1面は、第2面に対向する。第1導電層は、第1面上に配置される。第2導電層は、第2面上に配置され、主開孔は、第1面と第2面とを電気的に接続するビアによって囲まれた第2導電層上に形成され、主開孔及び囲んでいるビアは、放射空洞を規定する。第1平面導電性リングは、放射空洞を囲む。給電導体は、無線信号をアンテナユニットに伝送する。第1平面導電性リング及び給電導体の両方は、第1基板に組み込まれる。
【0005】
本発明の実施形態のアンテナユニットは、改善された分離度及び安定したアクティブインピーダンスを提供し、広いスキャン角度を得る。また、1つの実施形態では、給電導体は、第1導電層と第2導電層の間に延伸し、無線信号をアンテナユニットに伝送する(より低い位置に位置する給電構造)。よって、第1実施形態の提案されている、より低い位置に位置する給電ユニットは、φ=0度とφ=90度の両方向で、改善された対称利得パターンを提供する。
【0006】
詳細な説明は、添付の図面と併せて以下の実施形態に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明は、添付の図面と併せて後に続く詳細な説明と実施例を解釈することによって、より完全に理解されることができる。
【図1】従来のアンテナを表している。
【図2】本発明の実施例1のアンテナユニットを表している。
【図3】本発明の実施例1のアンテナユニットのE及びHプレーンアンテナパターンを表している。
【図4】図2の方向IV-IVに沿った断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態のアンテナユニットを表している。
【図6】第2実施形態のもう1つの変化例のアンテナユニットを表している。
【図7】本発明の第3実施形態のアンテナユニットを表している。
【図8】図8(A)〜(F)は、本発明の変化例を表している。
【図9】本発明の第4実施形態のアンテナユニットを表している。
【図10A】アンテナユニットがパッケージ設計に組み込まれ、複数の第2導電ビア及び異なるパッケージ層間の垂直同軸ケーブルの直接信号を更に含む、本発明の2×2のアンテナアレイを表している。
【図10B】アンテナユニットが給電導体の給電線の側に形成された複数の第3導電ビアを更に含む、もう1つの変化例を表している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明は、本発明を実施するベストモードが開示されている。この説明は、本発明の一般原理を例示する目的のためのもので本発明を限定するものではない。本発明の範囲は、添付の請求の範囲を参考にして決定される。
【0009】
図2は、本発明の第1実施形態のアンテナユニット100を表している。アンテナユニット100は、第1基板110、第2基板120、第1導電層130、第2導電層140、ゼロ以上の平面導電性リング(平面導電性リング151及び152)、給電導体160、パッチ170、及び複数の第1導電ビア181を含む。第1基板110は、第1面111及び第2面112を含み、第1面111は、第2面112に対向する。第2基板120は、第3面121及び第4面122を含み、第3面121は、第4面122に対向する。第1導電層130は、第1面111上に配置される。第2導電層140は、第2面112上に配置され、主開孔141は、第1導電層130と第2導電層140に電気的接続する第1導電ビア181によって囲まれた第2導電層上に形成され、主開孔141及び囲んでいる(surrounding)ビアは、放射空洞(radiation cavity)を規定する。第1平面導電性リング151は、第1導電層130と第2導電層140の間に位置される(第1基板110に組み込まれている)。第2平面導電性リング152は、第1平面導電性リング151上にあり、第2基板120に組み込まれている。なお、第2平面導電性リング152は、第1平面導電性リング151上にあり、第2基板に配置されても良い。第1平面導電性リング151及び第2平面導電性リング152は、放射空洞を囲む。第1導電ビア181は、第1導電層130、第2導電層140、第1平面導電性リング151、及び第2平面導電性リング152を接続する。放射空洞を囲んでいる第1導電ビア181は、第1の所定のルールを満たしている。この実施形態では、第1導電層130及び第2導電層140は、接地層であるため、囲んでいるビア181、第1平面導電性リング151、及び第2平面導電性リング152も接地される。給電導体160は、第1導電層130と第2導電層140の間で放射空洞に延伸され、無線信号をアンテナユニットに100に伝送(feed)する。パッチ170は、主開孔141の上方の第4面122上に配置され、給電導体160から分離される。
【0010】
第1実施形態では、主開孔141を有する第2導電層140、第1平面導電性リング151、第2平面導電性リング152、第1導電ビア181、及び第1導電層130は、空洞を形成する。第1基板110及び第2基板120の表面波電流は、平面形成の空洞によって妨げられる。よって、第1実施形態のアンテナユニット100は、改善された分離度及び安定したアクティブインピーダンスを提供し、広いスキャン角度を得る。また、給電導体160は、第1導電層130と第2導電層140の間に延伸し、無線信号をアンテナユニット100に伝送する(より低い位置に位置する給電構造)。よって、図3に示されるように、第1実施形態のアンテナユニット100は、φ=0度とφ=90度の両方向で、広く、且つ改善された対称利得パターン(symmetrical gain patterns)を提供する。なお、アンテナユニット100の利得パターン(指向性)は、図2に示すアンテナユニット100の形状(特に、主開孔141、第1平面導電性リング151、第2平面導電性リング152、給電導体160、第1導電ビア181およびパッチ170)等に基づくものであり、本実施形態はこれに限定されない。
【0011】
図4は、図2の方向IV-IVに沿った断面図である。ゼロ以上の第2平面導電性リング152は、第2基板120に組み込まれている。ゼロ以上の第2平面導電性リング152は、互いに分離されているが、それらは第1導電ビア181に接続されている。図4に示されるように、第1導電ビア181は、第1基板110及び第2基板120を通過して延伸する。第1平面導電性リング151は、給電導体160から分離される。第1平面導電性リング151は、給電導体160の上方または下方に位置するか、または給電導体160と同じ面に位置されてもよい。第1平面導電性リング151が給電導体160と同じ面に位置された時、第1平面導電性リング151は、給電導体160をそこに通過させるノッチ(notch)を含む。図4の実施形態では、第1導電層130と第2平面導電性リング152間の高さhは、約0.25λである。第1の所定ルールの実施形態では、各2つの隣接する導電ビア間の間隙gは、λ/8より小さくなるように設計され得る。高さh及び間隙gは、変更されることもできる。
【0012】
図5は、第2平面導電性リング152が省略された本発明の第2実施形態のアンテナユニット102’を表している。従来技術に比べ、本発明の第2実施形態も改善された分離度を提供する。
【0013】
図6は、第2実施形態のもう1つの変化例のアンテナユニット102”を表している。図6に示されるように、第1平面導電性リング151は、更に省略されてもよい。より低い位置に位置する給電構造を有するアンテナユニット(第1導電層130と第2導電層140との間に延伸する給電導体160)は、φ=0度とφ=90度の両方向で、改善された対称利得パターンを提供する。
【0014】
図7は、本発明の第3実施形態のアンテナユニット103を表しており、給電導体160は、より高い、第2導電層140上に配置されている。アンテナユニット103の平面導電性リングによって、アンテナユニット103は、なお改善された分離度と安定したアクティブインピーダンスを提供し、広いスキャン角度を得ることができる。
【0015】
上述の実施形態では、第1及び第2平面導電性リングは、プリント(printing)によって形成された平面金属リングでもよい。第1及び第2基板は、複数の基板層からなることもできる。
【0016】
図8Aに示されるように、パッチは、省略されてもよい。図8B〜8Fは、本発明の変化例を表しており、パッチ170は、異なる方向で配置された、またはアレイに配置された、異なる形状を有することができる。
【0017】
図9は、本発明の第4実施形態のアンテナユニット104を表している。給電導体160’、 第1平面導電性リング151’、及び第2平面導電性リング152’は、円形である。第4実施形態に示されるように、給電導体及び平面導電性リングは、変化されてもよい。
【0018】
図10Aは、2×2のアンテナユニット100、102、102’、102”、103、または104を有する多層パッケージ基板に組み込まれるアンテナアレイからなる本発明の変化例を表しており、複数の第2導電ビア182及び中心導体161によって形成された垂直同軸ケーブルを更に含み、パッケージ基板の異なる層間の信号相互接続(signal interconnection)を提供する。第2導電ビア182は、第1導電層130と第2導電層140とを接続し、同軸ケーブルの中心導体161の少なくとも一部を囲む。アンテナアレイでは、給電導体160と同軸ケーブル間の接続は、短縮され、接地されたビアによって囲まれて、伝送線路の損失を最小化し、不要な結合をなくす。不要な結合は、隣接のアンテナ構成要素だけでなく、パッケージの電源面と他の相互接続線にも由来する。図10Bに示されるように、他の変化例では、複数の第3導電ビア183は、給電導体160の側に形成され得る。第2導電ビア182及び第3導電ビア183は、より低い給電線の損失を提供し、隣接のアンテナ構成要素の給電導体160、またはパッケージレイアウトの他の信号線に由来する不要な結合をなくすことができる。本発明の図10Aと10Bの実施形態の両方は、標準の低コストPCBまたはLTCCプロセスによって容易に大量生産され得る。
【0019】
明細書における「第1の」、「第2の」、「第3の」等の序数詞の使用は、それ自体が優先度、序列、又は順序を示唆するものではなく、むしろ、単に2つ以上の特徴、要素、項目等を区別するためのラベルとして使用している。クレーム要素を変えるための、請求項における「第1の」、「第2の」、「第3の」等の序数詞の使用は、それ自体が、1つのクレーム要素を他のクレーム要素と比較して優先度、序列、又は順序、もしくは方法を実施する行為の時間的順序を示唆するものではなく、むしろ、単にクレーム要素を区別するために、特定の名前を有する1つのクレーム要素を同じ名前を有する他の要素から区別するためのラベルとして(だが、序数詞を)使用している。
【0020】
この発明は、実施例の方法及び望ましい実施の形態によって記述されているが、本発明は、これらを限定するものではないことは理解される。逆に、種々の変更及び同様の配置をカバーするものである(当業者には明白なように)。よって、添付の請求の範囲は、最も広義な解釈が与えられ、全てのこのような変更及び同様の配置を含むべきである。
【符号の説明】
【0021】
1 従来のアンテナ
10 アンテナ基板
11 第1面
12 第2面
20 給電基板
21 第3面
22 第4面
30 マイクロストリップパッチ
40 グランドプレーン
41 結合開口
50 マイクロストリップ給電線
100 アンテナユニット
110 第1基板
111 第1面
112 第2面
120 第2基板
121 第3面
122 第4面
130 第1導電層
140 第2導電層
141 主開孔
151 平面導電性リング
152 平面導電性リング
160 給電導体
170 パッチ
181 第1導電ビア
g 導電ビア間の間隙
h 高さ
102’ アンテナユニット
102” アンテナユニット
103 アンテナユニット
104 アンテナユニット
151’ 第1平面導電性リング
152’ 第2平面導電性リング
160’ 給電導体
161 中心導体
182 第2導電ビア
183 第3導電ビア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナユニットであって、
第1面及び第2面を含み、前記第1面は、前記第2面に対向する第1基板と、
前記第1面上に配置された第1導電層と、
前記第2面上に配置され、前記第1面と前記第2面とを電気的に接続する複数の第1導電ビアによって囲まれた主開孔と前記主開孔及び囲んでいるビアにより規定される放射空洞とを有する第2導電層と、
無線信号を前記アンテナユニットに伝送する給電導体とを含むアンテナユニット。
【請求項2】
前記供給導体は、前記第1導電層と前記第2導電層との間に位置される請求項1に記載のアンテナユニット。
【請求項3】
前記放射空洞を囲み、前記第1基板に組み込まれる第1平面導電性リングを更に含む請求項1または2に記載のアンテナユニット。
【請求項4】
1つ以上の前記第1平面導電性リングは、前記第1導電層と前記第2導電層との間に位置される請求項3に記載のアンテナユニット。
【請求項5】
前記第1平面導電性リングは、前記第1導電ビアに電気的に接続される請求項3または4に記載のアンテナユニット。
【請求項6】
第2基板及びパッチを更に含み、
前記第2基板は、第3面及び第4面を含み、
前記第3面は、前記第4面に対向し、
前記パッチは、前記主開孔の上方の前記第4面上に配置され、前記給電導体から分離され、
前記第3面は、前記第2導電層と接触する請求項1〜5の何れかに記載のアンテナユニット。
【請求項7】
前記放射空洞を囲む、1つ以上の第2平面導電性リングを更に含み、
前記第2平面導電性リングは、前記第2基板に組み込まれ又は配置され、且つ前記第1平面導電性リングの上方に位置される請求項6に記載のアンテナユニット。
【請求項8】
前記第2平面導電性リング及び前記第1平面導電性リングは、前記第1及び第2導電層に電気的に接続される請求項7に記載のアンテナユニット。
【請求項9】
前記給電導体は、前記第2導電層の上方の前記第2基板に組み込まれる請求項6〜8の何れかに記載のアンテナユニット。
【請求項10】
複数の第2導電ビア及び垂直同軸ケーブルで形成されたビアを更に含み、前記給電導体を不要な結合から分離し、信号をパッケージ設計の他の層に送信する請求項1〜9の何れかに記載のアンテナユニット。
【請求項11】
前記給電導体の給電線を囲んで形成された複数の第3導電ビアを更に含む請求項1〜10の何れかに記載のアンテナユニット。
【請求項12】
アンテナユニットであって、
第1面及び第2面を含み、前記第1面は、前記第2面に対向する第1基板と、
前記第1面上に配置された第1導電層と、
前記第2面上に配置され、前記第1面と前記第2面とを電気的に接続する複数の第1導電ビアによって囲まれた主開孔と前記主開孔及び囲んでいるビアにより規定される放射空洞とを有する第2導電層と、
第3面及び第4面を含み、前記第3面は、前記第4面に対向し、前記第3面は、前記第2導電層に接触する第2基板と、
前記第2基板に組み込まれ、前記放射空洞を囲む、ゼロ以上の平面導電性リングと、
無線信号を前記アンテナユニットに伝送する給電導体とを含むアンテナユニット。
【請求項13】
パッチをさらに有し、
前記パッチは、前記主開孔の上方の前記第4面上に配置され、前記給電導体から分離される請求項12に記載のアンテナユニット。
【請求項14】
各2つの隣接する前記第1導電ビア間の間隙は、λ/8より小さい請求項1〜13の何れかに記載のアンテナユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【公開番号】特開2012−134970(P2012−134970A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−276016(P2011−276016)
【出願日】平成23年12月16日(2011.12.16)
【出願人】(506423280)聯發科技股▲ふん▼有限公司 (68)
【氏名又は名称原語表記】MEDIATEK INC.
【住所又は居所原語表記】No.1,Dusing Rd.1st,Science−Based Industrial Park,Hsin−chu,Taiwan 300(CN).
【Fターム(参考)】