説明

アンテナ装置

【課題】複数のアンテナ素子及び移相器を収容する筒体の外径を大きくすることなく、移相器を制御するための制御装置を搭載可能なアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置1は、複数のアンテナ素子を有するアレイアンテナ11と、複数のアンテナ素子間の位相差を調節する移相器12と、移相器12の動作を制御する制御装置3と、アレイアンテナ11及び移相器12を収容し、水平方向に対して直交又は傾斜して固定される円筒状の筒体10とを備え、筒体10には、その側面に貫通孔10aが形成され、貫通孔10aを覆うように筒体10の外周面に固定され、鉛直方向下方に開口2aを有するカバー部材2をさらに備え、制御装置3は、カバー部材2に収容され、貫通孔10aを挿通する電線37を介して移相器12の動作を制御し、かつカバー部材2の開口2aを介してカバー部材2の内部から取り出し可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作により、複数のアンテナ素子の信号の位相差を調節することが可能なアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、第三世代の携帯電話の通信方式である3Gシステムの基地局用のアンテナ装置として、AISG(Antenna Interface Standards Group)の規格に対応したものが普及しつつある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
AISGは、基地局に設けられる複数のアンテナ装置の制御を標準化するための国際規格であり、複数のアンテナ装置の垂直面内のチルト角を、例えば通信のトラフィックに応じて通信エリアを変更すべく変更したり、アンテナ装置の動作状態をモニタしたりする際の通信仕様等が定められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−103612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
AISGの規格に対応したアンテナ装置では、上位コントローラからの制御信号を通信によって受信し、受信した制御信号の内容に基づいてアンテナ装置内の移相器を制御する必要がある。このため、AISGの規格に対応したアンテナ装置では、CPU(Central Processing Unit)等を備えた制御装置を新たに搭載する必要がある。
【0006】
ところで、AISGの規格に対応していない既存のアンテナ装置を同規格に対応したアンテナ装置に置き換える場合、両アンテナ装置の支柱への取り付け寸法等が共通であることが望ましい。より具体的には、既存のアンテナ装置が円筒状の筒体の内部に複数のアンテナ素子や移相器等を収容して構成されている場合、この筒体の外径を変更することなく、置き換えができることが求められる。
【0007】
つまり、AISGの規格に未対応のアンテナ装置では、基地局に設置された1台のチルト角制御装置から、複数のアンテナ装置に移相器を制御するためのアナログ信号が出力され、各アンテナ装置の移相器は、このアナログ信号に基づいて作動していたが、AISGの規格に対応したアンテナ装置では、筒体の外径や長さを変更することなく、新たに制御装置を搭載しなければならない。しかし、アンテナ装置の小型化は、携帯電話の普及当初からの普遍的な課題であり、アンテナ装置の内部には、新たに制御装置を収容可能な空間は確保されていないのが実情である。
【0008】
また、この種のアンテナ装置は、ビルや鉄塔の頂上付近のような高所に設けられるので、例えば落雷による雷サージによって故障する場合があり、故障発生時には迅速に交換を行わなければならない。また、降雨による浸水によって故障することは、可能な限り避けなければならない。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のアンテナ素子及び移相器を収容する筒体の外径を大きくすることなく、移相器を制御するための制御装置の搭載を可能とするアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、複数のアンテナ素子と、前記複数のアンテナ素子間の位相差を調節する移相器と、前記移相器の動作を制御する制御装置と、前記複数のアンテナ素子及び前記移相器を収容し、水平方向に対して直交又は傾斜して固定される円筒状の筒体とを備え、前記筒体には、その側面に貫通孔が形成され、前記貫通孔を覆うように前記筒体の外周面に固定され、鉛直方向下方に開口を有するカバー部材をさらに備え、前記制御装置は、前記カバー部材に収容され、前記貫通孔を挿通する電線を介して前記移相器の動作を制御し、かつ前記カバー部材の前記開口を介して前記カバー部材の内部から外部に取り出し可能であるアンテナ装置を提供する。
【0011】
また、前記カバー部材に着脱可能に固定され、前記カバー部材の前記開口の少なくとも一部を塞ぐ蓋部材をさらに備え、前記制御装置は、前記蓋部材に連結され、前記蓋部材と共に前記カバー部材の内部から外部に取り出し可能であるとよい。
【0012】
また、前記制御装置は、前記蓋部材側が開口した筐体を有し、前記筐体と前記蓋部材とを連結する連結部材をさらに備え、前記連結部材には、前記制御装置に前記位相差の情報を含む制御信号を伝達する配線を中継するコネクタが設けられ、前記制御装置は、前記コネクタと前記筐体との間に間隔をあけて前記連結部材に支持されるとよい。
【0013】
また、前記筒体は、複数の固定部材によって支柱に固定され、前記貫通孔は、前記複数の固定部材のうち最も鉛直方向下側に配置される固定部材よりもさらに鉛直方向下側に形成されているとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数のアンテナ素子及び移相器を収容する筒体の外径を大きくすることなく、移相器を制御するための制御装置の搭載を可能とするアンテナ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】本実施の形態に係るアンテナ装置を示し、(a)はアンテナ装置が支柱に固定された状態の側面図、(b)はアンテナ装置を支柱側から見た状態を示す側面図である。
【図1B】アレイアンテナの構成の一例を示す斜視図である。
【図2】制御装置及びその周辺部を示す図1A(b)のA−A線断面図である。
【図3】連結部材、及び連結部材に固定されたコネクタを示し、(a)は底面図、(b)は正面図である。
【図4】蓋部材を示し、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【図5】(a)は、カバー部材の内部から制御装置を連結部材及び蓋部材と共に取り出した状態を示す図、(b)は制御装置アンテナ装置から取り外した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態に係るアンテナ装置を、図1A〜図5を参照して説明する。このアンテナ装置は、例えば携帯電話の基地局に用いられ、AISGの規格に対応している。
【0017】
図1Aは、本実施の形態に係るアンテナ装置を示し、(a)はアンテナ装置が支柱に固定された状態の側面図、(b)はアンテナ装置を支柱側から見た状態を示す側面図である。この図では、内部のアレイアンテナ素子、及び移相器を破線で示している。
【0018】
このアンテナ装置1は、筒体10と、筒体10の内部に収容された複数のアンテナ素子を有するアレイアンテナ11と、アレイアンテナ11の複数のアンテナ素子の位相差を調節する移相器12と、カバー部材2と、移相器12の動作を制御する制御装置3とを備えている。筒体10は、支柱9に支持されている。
【0019】
本実施の形態では、支柱9が鉛直方向に沿って設けられ、支柱9と平行に筒体10が固定されている。つまり、筒体10は、水平方向に対して直交して(鉛直方向に沿って)支柱9に固定されている。なお、筒体10を水平方向に対して傾斜して固定してもよい。
【0020】
筒体10の下側の面には、アレイアンテナ11の複数のアンテナ素子にそれぞれ接続される、送受信信号を伝送するための同軸ケーブルを中継する複数のコネクタ13が設けられている。
【0021】
筒体10の外周面には、第1及び第2の固定部材101,102が固定されている。第2の固定部材102は、第1の固定部材101よりも鉛直方向下側に配置されている。本実施の形態では、第1及び第2の固定部材101,102が複数のリベット103によって筒体10に固定されている。
【0022】
また、支柱9には、第1の取付部材901及び第2の取付部材902が固定されている。第1の取付部材901には筒体10側の第1の固定部材101が、第2の取付部材902には筒体10側の第2の固定部材102がそれぞれ取り付けられ、これにより支柱9に筒対10が固定されている。
【0023】
筒体10には、第2の固定部材102よりも鉛直方向下側の側面に、貫通孔10aが形成されている。この貫通孔10aは、筒体10の内部と外部とを連通している。本実施の形態では、貫通孔10aが支柱9に対向する位置に形成されている。
【0024】
また、筒体10の外周面には、貫通孔10aを覆うように、カバー部材2が固定されている。カバー部材2は、貫通孔10aに対向する第1の側壁21と、第1の側壁21を挟んで筒体10の周方向に対向する第2の側壁22及び第3の側壁23と、第1〜第3の側壁21〜23及び筒体10によって囲まれる空間の鉛直方向上側を閉塞する上壁24とを一体に有している。
【0025】
第1〜第3の側壁21〜23には、ボルト25を挿通させる丸孔21a,22a,23aが形成されている。また、カバー部材2は、鉛直方向下方に開口2aを有している。この開口2aからは、後述するコネクタ43,44(後述)が突出している。
【0026】
カバー部材2は、筒体10の外周面に沿って第2及び第3の側壁に連続して形成された曲面状の張り出し部221,231を有している。張り出し部221,231は、複数(本実施の形態では6個)のリベット26によって筒体10に固定されている。
【0027】
図1Bは、アレイアンテナ11の構成の一例を示す斜視図である。このアレイアンテナ11は、複数のアンテナ素子111を鉛直方向に沿って配列して構成されている。アンテナ素子111は、偏波特性が互いに直交する垂直偏波アンテナ素子112及び水平偏波アンテナ素子113が十字形状に組み合わせている。垂直偏波アンテナ素子112は、垂直偏波を送信および受信し、水平偏波アンテナ素子113は、水平偏波を送信および受信する。垂直偏波アンテナ素子112及び水平偏波アンテナ素子113は、例えば誘電体基板にダイポール素子、給電線路導体、及び接地導体が形成された周知のプリントダイポールアンテナである。
【0028】
本実施の形態では、複数のアンテナ素子111が複列に配置されている。第1のアンテナ素子列11aは8つのアンテナ素子111からなり、第2のアンテナ素子列11bも第1のアンテナ素子列11aと同数のアンテナ素子111からなる。第1のアンテナ素子列11aと第2のアンテナ素子列11bとの間には、金属等の導電体からなる遮蔽板114、及び遮蔽板114を挟むセラミックス等の誘電材料からなる一対の誘電体115,116が介在している。
【0029】
アンテナ素子111(垂直偏波アンテナ素子112及び水平偏波アンテナ素子113)、遮蔽板114、及び誘電体115,116は、反射板110に対して直交するように固定されている。反射板110は、板形状を有し、電波を反射する金属材料等を用いて形成されている。
【0030】
複数のアンテナ素子111の送受信信号の位相は、制御装置3によって制御される移相器12によって調節される。アレイアンテナ11は、移相器12による位相の調節によって垂直面内の指向性が変化する。制御装置3は、カバー部材2の内部に収容されている。
【0031】
図2は、制御装置3及びその周辺部を示す図1A(b)のA−A線断面図である。
【0032】
制御装置3は、有底筒状の筐体30と、筐体30の内部に互いに平行に配置された2枚の基板31,32と、基板31,32の端部に設けられたコネクタ311,321とを有している。2枚の基板31,32は、筐体30にスペーサ34を介してボルト35によって固定されている。基板31,32には、図略のCPUやRAM,ROM等の記憶素子、及び通信用のIC等が実装されている。基板31と基板32とは、基板31側に設けられた複数のピン331と、複数のピン331が挿入される基板32のソケット332によって接続されている。
【0033】
筐体30は、コネクタ311,321が設けられた側の端部に開口30aを有している。コネクタ311,321には、開口30aを介して相手側のコネクタ432,433が嵌合される。
【0034】
図2に示すように、筐体30は、L字状の連結部材4と、カバー部材2の開口2aを塞ぐように配置される蓋部材5とを介してカバー部材2に固定されている。つまり、制御装置3は、筐体30が連結部材4によって蓋部材5に連結されている。筐体30の開口30aは、蓋部材5側に面している。
【0035】
より具体的には、筐体30は、基板31に対向する側面に形成された複数のねじ孔30bにそれぞれ螺合する複数のボルト36によって連結部材4の第1の板部41に固定され、第1の板部41に直交するように形成された第2の板部42が、複数のボルト421によって蓋部材5に固定されている。蓋部材5は、丸孔21a,22a,23a(図1A参照)を挿通するボルト25によってカバー部材2に固定されている。
【0036】
連結部材4には、図略の上位コントローラと制御装置3とを接続するための配線が接続されるコネクタ43が固定されている。制御装置3は、コネクタ43と筐体30との間に間隔をあけて第1の板部41に固定されている。このコネクタ43は、制御装置3に、移相器12により設定すべき複数のアンテナ素子間の信号の位相差の情報を含む制御信号を伝達する配線を中継する多芯コネクタである。本実施の形態では、コネクタ43の複数の接続端子のうち、4つの接続端子が複数の信号線431によってコネクタ432に接続されている。
【0037】
第1の板部41は、筒体10の外周面に接触することなく、筒体10の外周面に対向している。すなわち、第1の板部41と筒体10との間には、隙間が形成されている。
【0038】
制御装置3は、筒体10の貫通孔10aを挿通する電線37を介して、筒体10に収容された移相器12の動作を制御する。移相器12は、例えばモータのトルクによって回転する可動導体と、この可動導体に電気的に結合する第1及び第2の固定導体とを備え、第1及び第2の固定導体の少なくとも一方の固定導体の端部にアンテナ素子111が接続された回転移相器であり、電線37を介して供給される電流によってモータが回転するように構成されている。
【0039】
電線37は、複数の芯線がシールド導体によって覆われた多芯シールドケーブルであり、電線37の複数の芯線は、制御装置3のコネクタ311に嵌合されるコネクタ432、及びコネクタ312に嵌合されるコネクタ433の接続端子に接続されている。
【0040】
図3は、連結部材4、及び連結部材4に固定されたコネクタ43,44を示し、(a)は底面図、(b)は正面図である。
【0041】
第1の板部41には、制御装置3の筐体30を固定する複数(本実施の形態では4本)のボルト35を挿通させる4つの挿通孔41aが形成されている。挿通孔41aは、アンテナ装置1に組み付けられた際に鉛直方向上側となる部分が丸孔として形成され、この丸孔の直径よりも狭い幅を有して鉛直方向下方に延びる長孔が、丸孔に連続して形成されている。これにより、ボルト36を緩めることによって第1の板部41から制御装置3を取り外すことが可能とされている。
【0042】
第2の板部42には、コネクタ43及びコネクタ44が複数のボルト45によって固定されている。また、第2の板部42には、水抜き用の孔42aが1箇所に形成されている。またさらに、第2の板部42には、蓋部材5との結合のための複数のねじ孔42bが形成されている。
【0043】
コネクタ43の接続端子には、前述の信号線431が接続される他、基地局に設けられた他のアンテナ装置に上位コントローラからの制御信号を伝達するための信号線434が接続されている。信号線434は、コネクタ44の接続端子に接続され、他のアンテナ装置に制御信号を伝達する。すなわち、基地局に設けられた複数のアンテナ装置は、デイジーチェーン接続されている。
【0044】
図4は、蓋部材5を示し、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【0045】
蓋部材5は、連結部材4の第2の板部42に対向する底壁50と、カバー部材2の第1の側壁21(図1A参照)に対向する第1の側壁51と、カバー部材2の第2の側壁22に対向する第2の側壁52と、カバー部材2の第3の側壁23に対向する第3の側壁53とを一体に有している。第1〜第3の側壁51〜53は、底壁50に直交して立設されている。
【0046】
底壁50には、連結部材4の第2の板部42に形成された水抜き用の孔42aに対応する位置に、水抜き用の孔50aが形成されている。また、底壁50には、コネクタ43,44を挿通させる角孔50b,50cが形成されている。第1の側壁51とは反対側の底壁50の端面50dは、筒体10の外周面の曲面に沿った円弧状に形成されている。
【0047】
第1〜第3の側壁51〜53には、カバー部材2の第1〜第3の側壁21〜23に形成された丸孔21a,22a,23aに対応する位置に、それぞれねじ孔51a,52a,53aが形成されている。ねじ孔51a,52a,53aには、丸孔21a,22a,23aを挿通したボルト25がねじ留めされ、これにより蓋部材5がカバー部材2に取り付けられる。また、ボルト25を外すことにより、蓋部材5をカバー部材2から取り外すことが可能である。すなわち、蓋部材5は、カバー部材2に着脱可能である。
【0048】
蓋部材5がカバー部材2に取り付けられた状態では、水抜き用の孔50aの部分を除き、蓋部材5がカバー部材2の開口2aを塞ぐ。なお、底壁50に水抜き用の孔50aを形成せず、蓋部材5がカバー部材2の開口2aの全体を塞ぐようにしてもよい。
【0049】
(制御装置3の交換手順)
次に、例えば制御装置3が故障した場合の、制御装置3の交換手順について説明する。制御装置3の交換は、以下の手順により行うことができる。
【0050】
まず、蓋部材5をカバー部材2に固定している3つのボルト25を取り外す。この作業は、制御装置3等の自重による落下を防ぐため、蓋部材5を支持した状態で行う。
【0051】
次に、カバー部材2内に収容されている制御装置3、連結部材4、及び蓋部材5を開口2aから下方に取り出す。この際、制御装置3は、連結部材4によって蓋部材5に連結されているので、制御装置3、連結部材4、及び蓋部材5が一体となってカバー部材2から取り出される。
【0052】
図5(a)は、カバー部材2の内部から制御装置3を連結部材4及び蓋部材5と共に取り出した状態を示す図である。この図に示すように、制御装置3に接続された電線37は、コネクタ432,433が接続された側の一端が、制御装置3と共にカバー部材2の外部に引き出される。
【0053】
次に、制御装置3の筐体30を連結部材4の第1の板部41に固定しているボルト36を取り外し、さらに制御装置3のコネクタ311,321からコネクタ432,433を取り外す。これにより、制御装置3がアンテナ装置1から取り外される。この状態を図5(b)に示す。
【0054】
また、交換後の制御装置3をアンテナ装置1に取り付ける際は、上記と逆の手順によって、制御装置3のコネクタ311,321に電線37側のコネクタ432,433を嵌合し、制御装置3を連結部材4に取り付け、制御装置3を連結部材4及び蓋部材5と共にカバー部材2の内部に挿入し、蓋部材5をカバー部材2に固定する。これにより制御装置3の交換作業が完了する。
【0055】
(実施の形態の効果)
以上説明した実施の形態によれば、以下のような効果が得られる。
【0056】
(1)制御装置3は、筒体10の内部ではなく、筒体の外部に固定されるので、制御装置3を収容するために筒体10の外径を拡大する必要がない。従って、制御装置3を有していない既存のアンテナ装置と筒体10の外径を共通化することができ、アンテナ装置1への置き換えが容易となる。
【0057】
(2)制御装置3は、カバー部材2の開口2aを介して、カバー部材2の内部から外部に取り出される。これにより、カバー部材2を筒体10から取り外すことなく、制御装置3の交換が可能であり、制御装置3の交換作業を容易に行うことが可能となる。
【0058】
(3)制御装置3は、蓋部材5に連結されており、蓋部材5と共にカバー部材2の内部から取り出される。蓋部材5は、カバー部材2の開口2aを塞ぐように固定されているので、蓋部材5を支持しながらボルト25を取り外し、制御装置3を落下させることなく取り出すことが可能である。よって作業の安全性が保たれる。
【0059】
(4)連結部材4は、コネクタ43との間に鉛直方向の間隔をあけて制御装置3を支持し、かつ制御装置3の筐体30は蓋部材5側に開口しているので、制御装置3とコネクタ43との間に配置される複数の信号線431によってコネクタ43と制御装置3のコネクタ311,321とを短い距離で接続可能である。また、筐体30は鉛直方向下方に開口30aを有しているので、開口30aから筐体30の内部に雨水等が侵入することを抑制できる。
【0060】
(5)筒体10の貫通孔10aは、複数の固定部材(第1及び第2の固定部材101,102)のうち、最も鉛直方向下方に配置される第2の固定部材102よりもさらに鉛直方向下方に形成されているので、開口10aが筒体10の取り付け強度に影響を与えることがない。仮に第1の固定部材101と第2の固定部材102との間の位置に貫通孔10aを形成した場合には、既存のアンテナ装置からの置き換えによって筒体の強度が低下するおそれがあるが、本実施の形態では、筒体10の取り付け強度に影響しない部位に貫通孔10aが形成されているので、このようなおそれがない。
【0061】
(6)連結部材4の第1の板部41と筒体10の外周面との間には隙間が形成されているので、カバー部材2の第1〜第3の側壁21〜23と筒体10との間の隙間からカバー部材2の内部に雨水等が浸入したとしても、その雨水等は筒体10の外周面に沿って流れ、第1の板部41を介して筐体30の内部に浸入することがない。
【0062】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0063】
1…アンテナ装置、2…カバー部材、2a…開口、3…制御装置、4…連結部材、5…蓋部材、9…支柱、10…筒体、10a…貫通孔、11…アレイアンテナ、11a…第1のアンテナ素子列、11b…第2のアンテナ素子列、12…移相器、13…中継コネクタ、21〜23…第1〜第3の側壁、21a,22a,23a…丸孔、24…上壁、25…ボルト、26…リベット、30…筐体、30a…開口、30b…ねじ孔、31,32…基板、331…ピン、332…ソケット、34…スペーサ、35,36…ボルト、37…電線、41…第1の板部、41a…ねじ孔、42…第2の板部、42a…水抜き用の孔、42b…ねじ孔、43,44…コネクタ、45…ボルト、50…底壁、50a…水抜き用の孔、50b,50c…角孔、50d…端面、51〜53…第1〜第3の側壁、51a,52a,53a…ねじ孔、101,102…固定部材、103…リベット、110…反射板、111…アンテナ素子、112…垂直偏波アンテナ素子、113…水平偏波アンテナ素子、114…遮蔽板、115,116…誘電体、221,231…張り出し部、311,321…コネクタ、421…ボルト、431…信号線、432,433…コネクタ、434…信号線、901,902…取付部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナ素子と、
前記複数のアンテナ素子間の位相差を調節する移相器と、
前記移相器の動作を制御する制御装置と、
前記複数のアンテナ素子及び前記移相器を収容し、水平方向に対して直交又は傾斜して固定される円筒状の筒体とを備え、
前記筒体には、その側面に貫通孔が形成され、
前記貫通孔を覆うように前記筒体の外周面に固定され、鉛直方向下方に開口を有するカバー部材をさらに備え、
前記制御装置は、前記カバー部材に収容され、前記貫通孔を挿通する電線を介して前記移相器の動作を制御し、かつ前記カバー部材の前記開口を介して前記カバー部材の内部から外部に取り出し可能である
アンテナ装置。
【請求項2】
前記カバー部材に着脱可能に固定され、前記カバー部材の前記開口の少なくとも一部を塞ぐ蓋部材をさらに備え、
前記制御装置は、前記蓋部材に連結され、前記蓋部材と共に前記カバー部材の内部から外部に取り出し可能である、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記蓋部材側が開口した筐体を有し、
前記筐体と前記蓋部材とを連結する連結部材をさらに備え、
前記連結部材には、前記制御装置に前記位相差の情報を含む制御信号を伝達する配線を中継するコネクタが設けられ、
前記制御装置は、前記コネクタと前記筐体との間に間隔をあけて前記連結部材に支持される、
請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記筒体は、複数の固定部材によって支柱に固定され、
前記貫通孔は、前記複数の固定部材のうち最も鉛直方向下側に配置される固定部材よりもさらに鉛直方向下側に形成されている、
請求項1乃至3の何れか1項に記載のアンテナ装置。



【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−55526(P2013−55526A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192648(P2011−192648)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】