説明

アンドロゲンおよびプロゲスタゲンの混合特性を有するステロイド

本発明は、アンドロゲンレベルを上昇させるための治療用、アンドロゲンの補充用、テストステロンの置換用、および良性前立腺肥大症(BPH)用の薬剤としての使用、ならびに男性の避妊法において、好ましくはプロゲスタゲン不妊薬効果およびアンドロゲン補充の両方を達成する唯一の手段としての使用のための、式(1)


[式中、Rは、O、(H、H)、(H、OH)、またはNOR(Rは、水素、(C1〜6)アルキルまたは(C1〜6)アシルである。)であり、Rは、水素、メチル、エチルまたはエテニルであり、Rは、水素、メチル、エチル、エテニル、フッ素または塩素であり、Rは、メチルまたはエチルであり、Rは、水素、メチルまたはエチルであり、Rは、水素、メチル、エチル、(C1〜3)アルケニルまたは(C1〜3)アルキニルであり、Rは、水素または(C1〜15)アシルであり、およびRまたはRの少なくとも1つは水素である。]を有する化合物またはこれらの薬学的に許容できる塩を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンドロゲン効果およびプロゲスタゲン効果の混合特性を有する化合物、これらの化合物を含む医薬組成物ならびに治療におけるこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
男性の避妊は、ゴナドトロピンである黄体形成ホルモン(LH)および濾胞刺激ホルモン(FSH)の抑制により、精子形成を抑制しようとする。これは、精巣内テストステロンの減少および精子形成の停止をもたらす。
【0003】
プロゲスタゲンの投与は、下垂体ゴナドトロピンの用量依存性抑制、および結果的に、テストステロンレベルにおける減少および精子形成の可逆的阻害をもたらす。外因性アンドロゲンは、テストステロンレベルの減少を相殺するために必要とされる。
【0004】
同じように、男性のホルモン補充療法(HRT)が達成でき、前立腺に関して外因性テストステロンより安全である外因性アンドロゲンによる、テストステロンの置き換えという結果になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
男性の避妊および男性のHRTの両方に関し、アンドロゲン活性およびプロゲスタゲン活性の混合特性を有する化合物、すなわち、両方の活性を本質的に1つの分子中に保有する化合物を使用することが、特に有用であろう。本目的は、最適な有効性、経口作用、および安全性を有する化合物を提供することである。安全性に関し、骨量の減少または肝臓毒性の危険性を最小限にすることが特に重要である。
【0006】
アンドロゲン特性およびプロゲスタゲン特性の両方を有する化合物は、当分野において公知である。たとえば7α,17α−ジメチルナンドロロン(Mibolerone)は、プロゲスタゲン活性をも有する、高活性のアンドロゲンである(例えば、L.Markiewicz et al., Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology (1997), 19(4),215−222を参照のこと)。該化合物は経口で有効であるが、深刻な肝臓毒性という難点により被害がある(例えば、J.Seaman,Toxicologic Pathology(1985),13(3),177−180を参照のこと)。
【0007】
別の例は、アンドロゲン活性を有すると報告されている(7α,17β)−17−ヒドロキシ−7,17−ジメチルエストラ−4,14−ジエン−3−オン(US3577410)である。しかし、該化合物は、深刻な肝臓毒性により被害がある。
【0008】
特定のD−ホモステロイドは、アンドロゲンおよびプロゲスタゲンの混合特性を有することも公知である。例えば、US3959322に記載されている(17aβ)−13−エチル−17a−ヒドロキシ−D−ホモゴン−4−エン−3−オンおよび(17aβ)−13−エチル−17a−ヒドロキシ−17a−メチル−D−ホモゴン−4−エン−3−オンは、アンドロゲン活性およびプロゲスタゲン活性の両方を有することが報告されている。しかし我々は、これらの化合物が経口で活性がないことを見出した。
【0009】
7α−メチル−19−ノル−D−ホモテストステロンは、WO85/05361において合成中間体として記載されている。我々は、該化合物が経口活性化合物でないことを見出した。
【0010】
同化活性を有することが示された17aα−メチル−19−ノル−D−ホモテストステロンは、S.N.Ananchenko et al.,によりTetrahedron(1962), 18,1355−67に記載されている。しかし我々は、該化合物が経口投与において低活性であることおよび骨梁の骨ミネラル濃度(BMD)の減少を防ぐことができないことの組み合わせの難点があることを見出した。
【0011】
Δ15−D−ホモステロイドは、WO2005/021573中で、アンドロゲン化合物の文脈において名が挙げられている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一連の19−ノル−D−ホモステロイドの中で、アンドロゲン/プロゲスタゲン混合効果が存在するステロイドは、従来技術の化合物と比較して経口活性または減少した肝臓毒性に関しても改善されていることが、現在思いがけなく見出されている。別の利点は、経皮投与に関する適合性が改善されていることに有り得る。したがって、本発明は、式1の化合物:
【0013】
【化2】

[式中、
は、O、(H、H)、(H、OH)、またはNOR(Rは、水素、(C1〜6)アルキルまたは(C1〜6)アシルである。)であり、
は、水素、メチル、エチルまたはエテニルであり、
は、水素、メチル、エチル、エテニル、フッ素または塩素であり、
は、メチルまたはエチルであり、
は、水素、メチルまたはエチルであり、
は、水素、メチル、エチル、(C2〜3)アルケニルまたは(C2〜3)アルキニルであり、
は、水素または(C1〜15)アシルであり、
およびRまたはRの少なくとも1つは、水素である。]
およびそれらの薬学的に許容できる塩を提供する。
【0014】
本発明の具体的実施形態は、RがOまたは(H、OH)であり、Rが水素、メチル、エチルであり、Rが水素、メチルであり、Rがメチルであり、Rが水素、メチルであり、Rが水素、メチル、エチルまたは(C2〜3)アルキルであり、およびRが水素または(C1〜15)アシルである化合物により提供される。
【0015】
本発明のもう1つのより具体的な実施形態は、RがOまたは(H、H)、Rが水素、メチルであり、Rが水素であり、Rがメチルであり、Rが水素であり、Rが水素、メチル、エチルまたはエチニルであり、およびRが水素または(C1〜15)アシルである化合物により提供される。
【0016】
本発明の他のより具体的な実施形態は、上記の定義に加え、RがOである実施形態に従った化合物により提供される。
【0017】
が(H、H)またはNOR(Rは、水素、(C1〜6)アルキルまたは(C1〜6)アシルである。)である化合物は、RがOである化合物のプロドラッグである。同様に、Rが(C1〜15)アシルである化合物は、Rが水素である、対応する化合物のプロドラッグである。前記プロドラッグは、インビボで本発明に従った他の化合物に転換される誘導体である。
【0018】
本発明のΔ14−D−ホモ誘導体は、8β、9α、10βおよび13βの天然配置を有する。C−7での配置は7αであり、C−17aでの配置はORに関し17aβである。
【0019】
(C1〜6)アルキルという用語は、1〜6個の炭素原子を有する分岐型または非分岐型のアルキル基を表す。(C1〜6)アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチルおよびターシャリ−ブチルを含む。
【0020】
(C2〜3)アルケニルという用語は、2〜3個の炭素原子を有する分岐状または非分岐状のアルケニル基を表す。(C2〜3)アルケニル基の例は、エテニル、1−プロペニルおよび2−プロペニルを含む。
【0021】
(C2〜3)アルキニルという用語は、2〜3個の炭素原子を有するアルキニル基を表す。(C2〜3)アルキニル基の例は、エチニルおよび1−プロピニルを含む。
【0022】
(C1〜6)アシルおよび(C1〜15)アシルという用語は、それぞれ1〜6および1〜15の炭素原子を有するカルボン酸から誘導されたアシル基を表す。アシル基は、分岐状、非分岐状、飽和のまたは不飽和の炭化水素を含むことができる。(C1〜6)アシル基の例は、ホルミル、アセチル、プロパノイル、プロペノイルおよびピバロイルを含み、ならびに(C1〜15)アシルの例はデカノイルおよびウンデカノイルを含む。また(C1〜6)アシルおよび(C1〜15)アシルの定義には、ヘミマロイル、ヘミサクシノイルおよびヘミグルタロイルのようなジカルボン酸から誘導されたアシル基が含まれる。
【0023】
(C1〜15)、(C2〜3)などの接頭辞は、示された基の意味を1〜15、2〜3などの炭素原子を有する基に限定する、通常の意味を有する。
【0024】
本発明の化合物が遊離のカルボン酸機能を含む場合、該化合物は遊離の酸として、またはナトリウム塩もしくはカリウム塩などの薬学的に許容できる塩として使用され得る。
【0025】
本発明に従った化合物の生物活性は、ラット血清におけるLH抑制試験およびラットにおける骨梁の骨ミネラル濃度の回復を測定する、抗骨粗しょう症試験においてインビボで観察され得る。同化作用は、肛門挙筋において観察され得る。サルにおける活性は、テストステロン抑制試験において観察され得る。インビボの肝臓安全性は、ウサギにおいて本発明に従った化合物の反復投与により評価され得る。
【0026】
本発明に従った化合物の生物活性および安全性は、動物およびヒトの治療のために、すなわち、男性の避妊を達成するための治療計画においてのみならず、疾患状態の治療および/または予防のために活用され得る。本発明に従った化合物が使用され得る疾患は、外因性アンドロゲンのレベルが低すぎる(アンドロゲン不足である)疾患または治療によりアンドロゲンを増加させる必要のある疾患である。本発明に従った化合物はまた、さらにさまざまな組織におけるアンドロゲン受容体の量および/または位置に焦点を当てた診断法において使用され得る。外因性アンドロゲンの低レベルを改善する治療は、例えばアンドロゲンの補給、ならびにテストステロンの置換であり、しばしばホルモン補充療法(HRT)としても示される。このような治療は、部分的にアンドロゲンが欠乏(老化)した男性のために有用である。さらに、本発明の化合物は、良性前立腺肥大症(BPH)、骨粗しょう症、ならびに他の骨の疾患、骨の断片の修復、サルコペニア、脆弱性、皮膚の老化、女性の性機能障害、更年期症状、アテローム性動脈硬化、再生不良性貧血、筋萎縮症、リポジストロフィー、筋力および筋機能の減少、化学療法の副作用、慢性疲労症候群、悪液質、慢性異化状態または認識機能障害の治療のために使用され得る。診断目的に関し、本発明に従った化合物の標識物を作成することが好ましいことがある。アンドロゲン受容体関連治療はまた、女性のためのホルモン補充療法であり得る。本発明の文脈において、「アンドロゲン不足」という用語は、性腺機能の低下した男性または少年においてなど、テストステロンレベルが低すぎることに苦しむ男性または女性におけるすべての種類の疾患、障害および症状に関すると理解される。特に、本発明の化合物により治療されるアンドロゲン不足は、雄の個体が老化の結果として被るテストステロンレベルの減少であるか(したがって、本発明の化合物は、男性のホルモン補充療法に使用される)、または彼が男性避妊の対象である場合である。男性の避妊方法の文脈において、本発明の化合物は特別に、プロゲスタゲンまたはLHRH(黄体形成ホルモン放出ホルモン)などの不妊薬を定期的に、例えば毎日、投与するような男性ホルモン避妊の投与計画効果を中和するように機能するか、または唯一の男性避妊物質として使用される。
【0027】
プロゲスタゲンが避妊効果を達成するために作用し、およびアンドロゲンが、得られた低下したテストステロンレベルを補充するように作用するホルモン投与計画を含む男性避妊が頻繁に記載されている。本発明の化合物のアンドロゲン/プロゲスタゲンの性質の組み合わせは、プロゲスタゲン−アンドロゲン系を介した、1つの単独化合物に基づく男性避妊の達成を可能とする。
【0028】
本発明のアンドロゲン/プロスタゲン化合物を外因性テストステロンの(部分的)置換に使用する場合、プロゲスタゲン活性は、外因性テストステロンの製造が抑制されるという、本発明の化合物の利点をもたらす。アンドロゲン活性は、結果的なテストステロン欠乏を補うために作用する。このことは、天然のテストステロンより安全である外因性アンドロゲンにより、テストステロンを置換することを可能とする。天然テストテロンは、5α−還元酵素によってより強力な5α−ジヒドロテストステロンに転換され、前立腺の問題、にきびおよび毛髪の脱落などの周知の有害効果を起こす。従って、本発明のアンドロゲン/プロゲスタゲン化合物のおかげで、外因性テストステロンの固有の有害効果を有利に縮小できる。したがって、より具体的に、本発明の化合物は、良性前立腺肥大症(BPH)の治療のために使用され得る。
【0029】
場合により、本発明のアンドロゲン/プロスタゲン化合物は、MENTなどの、5α−が還元可能でない当分野で公知のアンドロゲン、またはWO99/67271、WO00/53619、WO00/59920もしくはWO01/05806に記載のアンドロゲン、あるいは当分野で公知のプロゲスタゲンと組み合わせることができる。
【0030】
上記で示された使用を考慮して、本発明はまた、アンドロゲン不足の治療用医薬またはテストステロン置換用医薬の製造のために、本発明に従った化合物を使用することに関する。当業者は、この使用が本発明に従った化合物およびアンドロゲンの併用投与、または代替的に、本発明に従った化合物およびプロゲスタゲンの併用を含み得ることを理解するであろう。したがって、本発明はまた、男性に前記の化合物を、適した医薬品剤形において投与することを含む、男性のホルモン補充療法の分野における治療方法を含む。本発明はまた、アンドロゲンの補充またはテストステロンの置換を必要とする男性に、本発明に従った化合物の治療有効量を、場合により、当分野で公知のアンドロゲンまたは当分野で公知のプロゲスタゲンと組み合わせて投与することを含む治療方法に関する。
【0031】
また、本発明は、避妊活性(当分野において「避妊薬」という用語はまた、使用されているため)を有する薬剤の製造のための、本発明に従った化合物の使用に関する。本発明は、繁殖力のある雄、特に人間に、前記化合物に関しそれ自体で避妊に有効であるために十分であり、ならびに本避妊方法を施される雄が十分なアンドロゲンレベルを維持するように、同時に作用する投与量および投薬計画において、本発明に従った化合物を投与することを含む、避妊方法に関する。代替として、本発明により提供される避妊方法は、繁殖力のある雄、特に人間に、プロゲスタゲンなどの不妊薬および本発明に従った化合物の、避妊に効果的な組み合わせを投与することを含む。第2の代替として、本避妊法は、本発明に従った化合物を(プロゲスタゲン)不妊薬として投与することに関与し、ここで、十分なアンドロゲンレベルの維持は、部分的に本発明の化合物のアンドロゲン活性により管理され、および追加のアンドロゲンにより補充される。
【0032】
本発明はまた、プロゲスタゲン投与のための方法およびアンドロゲン投与のための方法を含み、これらの方法のうちの1つが本発明に従った化合物を含む医薬組成物であることを特徴とする、男性用避妊キットに関する。
【0033】
本発明に従った化合物の投与は、医薬組成物の製造により非常に助けられる。本発明はしたがって、本発明に従った化合物を、Gennaro et al., Remmington:The Science and Practice of Pharmacy, 第20版,Lippincott,Williams and Wilkins,2000(特に第5部:薬物製造を参照されたし)に記載された賦形剤などの、薬学的に許容できる賦形剤と混合して含む医薬組成物にも関する。適した賦形剤は、例えばthe Handbook of Pharmaceutical Excipients、第2版、Editors A. Wade and P.J.Weller、American Pharmaceutical Association,Washington,The Pharmaceutical Press,London,1994を利用して製造できる。本発明に従った化合物および薬学的に許容できる賦形剤の混合物は、錠剤などの固体剤形に圧縮され得るかまたはカプセルもしくは坐薬に処理され得る。例えば錠剤などの単位剤形を製造するために、充填剤、顔料および高分子結合剤などの従来添加物の使用が、企図される。一般に、活性化合物の機能を妨げない、いずれかの薬学的に許容できる添加剤が、使用され得る。医薬組成物を調製でき、および投与できる、適した充填剤は、乳糖、デンプン、セルロースおよびこれらの誘導体、または適した量において使用されるこれらの混合物を含む。
【0034】
本発明に従った化合物を含む薬剤を投与する他の経路は、静脈内、皮下または筋肉内への注射であり得る。該化合物はまた、受容者の体内へ経皮的再吸収または経粘膜的再吸収を得るための補助により投与され得る。経粘膜的とは、例えば口、鼻または直腸組織を意味する。口腔内、肺、経鼻投与のための噴霧剤形は、薬剤製造の当業者に利用可能な方法により調製され得る。
【0035】
本発明の化合物は、一般に有機化学の分野、特にステロイド化学の分野で公知のさまざまな方法により製造され得る(例えば、Fried,J. et al., Organic Reactions in Steroid Chemistry、Volumes I and II、Van Nostrand Reinhold Company,New York,1972を参照)。
【0036】
式1の化合物を調製するために好都合な出発物質は、一般式2(式中、R、RおよびRはあらかじめ与えられた意味を有し(スキーム1)、その合成は公知であるかまたは標準的方法を使用して調製され得る。)の誘導体である、例えば3−メトキシゴナ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オンである。例えば、
=H、R=H、R=Me(登録番号17550−11−7):WO2002048169、
=Me、R=H、R=Me(登録番号35644−57−6):WO2002048169、
=Et、R=H、R=Me(登録番号319003−90−2):WO2001005806、
=エテニル、R=H、R=Me(登録番号293303−54−5):WO2001005806、
=Me、R=H、R=Et(登録番号343626−79−9):WO2001040255、
=Et、R=H、R=Et(登録番号319004−25−6):WO2001005806
=エテニル、R=H、R=Et(登録番号319004−43−8):WO2001005806、
を参照されたし。
本発明のこの説明において、ここおよび他のいずれにおいても、Meはメチル、およびEtはエチルを意味する。
【0037】
スキーム1 実験条件(述べられた試薬および溶媒は、例示のためのみである。):A:1)リチウムジイソプロピルアミド、2)クロロトリメチルシラン。B:ジヨードメタン、ジエチル亜鉛、C:塩化鉄(III)、D:トリエチルシラン、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体、E:ジョーンズ試薬。
【0038】
【化3】

【0039】
例えば、式2の化合物は、エノールトリメチルシリルエーテル3を介し、16,17−メチレン−17−[(トリメチルシリル)オキシ]ゴナ−1,3,5(10),14−テトラエン4に転換され得る(スキーム1)。例えば塩化鉄(III)との反応によりD−ホモゴナ−1,3,5(10),14,16−ペンタエン−17a−オン5を得る。後者の反応において、塩基により5(示さず)に転換され得る、いくつかの16−クロロ−D−ホモゴナ−1,3,5(10),14−テトラエン−17a−オンも、形成され得る[Johns,W.F. et al., J.Org.Chem.36,1952(1971); Ito,Y. et al., J.Org.Chem.41,2073(1976)]。ジエノン5は、ワンポット法においてアルコール6に還元され得る。後者は、単独の17aβ−OHジアステレオマーとして、または対応する17aα−OH異性体とともに形成され得る。17aβ−OHのジアステレオマーが必要な場合、これらをクロマトグラフィーまたは結晶化により分離しなければならない。17aβ−OH(または17aβ−OHおよび17aα−OH異性体の混合物)はまた、ケトン7に酸化され得る。
【0040】
ケトン7はまた、式2の化合物を17−カルボニトリル8に転換し、その後アミン化合物9へと還元し、亜硝酸ナトリウムと反応させることにより得ることができる(スキーム2)[例えば、Avery,M.A. et al., Steroids 55, 59 (1990)を参照]。
【0041】
スキーム2 実験条件(述べられた試薬および溶媒は例示のためのみである。):A:1)トリメチルシリルシアニド、ヨウ化亜鉛、B:水素化リチウムアルミニウム、C:亜硝酸ナトリウム。
【0042】
【化4】

【0043】
ジエノン5から、または場合によりケトン7(スキーム3)から還元を介して調製した、3−メトキシ−D−ホモゴナ−1,3,5(10),14−テトラエン−17a−オール6を、バーチ還元において反応させることができ、アルコール10を得る[Caine,D.in Org.Reactions 23,p.1,Wiley,New York,1976]。後者はまた、ジエノン5の還元、および得られたジエノール11のバーチ還元により得ることができる。そして、10の加水分解により、式1のΔ14−D−ホモ化合物(R=オキソ、R=H、R=H、R=H)が提供される。
【0044】
場合により、17a−エピマ−混合物が得られるならば、この段階で、分離も実行され得る。
【0045】
スキーム3 実験条件(述べられた試薬および溶媒は例示のためのみである。):A:トリエチルシラン、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体、B:水素化リチウムアルミニウム、C:リチウム/アンモニア、D:塩酸、アセトン。
【0046】
【化5】

【0047】
スキーム4 実験条件(述べられた試薬および溶媒は例示のためのみである。):A:リチウムヘキサメチルジシラジド、ヨウ化メチルまたはヨウ化エチル、B:水素化リチウムアルミニウム、C:1)リチウム/アンモニア、2)塩酸、アセトン。
【0048】
【化6】

【0049】
3−メトキシ−D−ホモゴナ−1,3,5(10),14−テトラエン−17a−オン7はまた、17位をアルキル化され得、17−メチル基または17−メチル基を導入され得る(スキーム4)[アルキル化反応に関し、例えば、Carey,F.A.,Sundberg,R.J.,“Advanced Organic Chemistry”,Part B: Reactions and Synthesis,Chapter 1 ,Plenum Press,NY,1990を参照]。アルキル化反応により、単独のジアステレオマー、または17α−および17β−異性体の混合物が製造され、この場合、これらをクロマトグラフィーまたは結晶化により分離しなければならない。場合により、C−17での立体化学は、脱プロトン化、ついで加水分解により転換され得る。得られた17−アルキル化3−メトキシ−D−ホモゴナ−1,3,5(10),14−テトラエン−17a−オン12は、アルコール13に還元され得る。13のバーチ還元および得られたΔ2,5(10),14トリエンの加水分解により、その後式1のΔ14−D−ホモ化合物(R=オキソ、R=H、R=H)が提供される。
【0050】
3−メトキシ−D−ホモゴナ−1,3,5(10),14−テトラエン−17a−オン7はまた、式RM(R=メチルまたはエチル、M=Li、MgCl,MgBrなど)の有機金属化合物により処理され得、追加生成物14を製造し得る(スキーム5、R=メチルまたはエチル)。後者は、単独のジアステレオマーとして、または対応する17aα−OH、17aβ−アルキル異性体と一緒になって形成され得、この場合これらを、クロマトグラフィーまたは結晶化により分離しなければならない。17aα−メチル化合物14(R=Me)はまた、7を、例えばヨウ化トリメチルスルホニウムおよび塩基と反応させることによって得ることができ、および17aエポキシド15を得、続いて還元剤との反応により開環させる。
【0051】
14をバーチ還元し、得られたΔ2,5(10),14トリエンを加水分解することにより、式1のΔ14−D−ホモ化合物(R=オキソ、R=H、R=MeまたはEt、R=H)が次に提供される。
【0052】
スキーム5 実験条件(述べられた試薬および溶媒は例示のためのみである。):Aアルキル臭化マグネシウム、B:1)リチウム/アンモニア、2)塩酸、アセトン、C:ヨウ化トリメチルスルホニウム、カリウムtert−ブトキシド、D:水素化リチウムアルミニウム。
【0053】
【化7】

【0054】
が(C2〜3)アルケニルまたは(C2〜3)アルキニルである本発明の化合物は、以下のように得られる。式1の誘導体(17aβ)−17a−ヒドロキシ−D−ホモエストラ−4,14−ジエン−3−オン(R=オキソ、R=H、R=H、R=H)を、ジケトン16に酸化する(スキーム6)。例えば環状3−(1,2−エタンジイルジチオアセタール)などの3−オキソ基を選択的に保護し、合成中間体17を得る。後者とRM[Rは、(C2〜3)アルケニルまたは(C2〜3)アルキニルであり、M=Li、Na、K、MgXなどである。]との反応により、単独のジアステレオマーとして、または対応する17aα−OH、17aβ−アルケニルまたはアルキニル異性体と一緒になって形成され得る、追加の生成物18を得るが、この場合これらをクロマトグラフィーまたは結晶化により分離しなければならない。化合物18の脱プロトン化により、式1のΔ14−D−ホモ化合物[R=オキソ、R=H、R=(C2〜3)アルケニルまたは(C2〜3)アルキニル、R=H]が提供される。本方法はまた、Rがメチルまたはエチルである化合物に関しても使用され得る。
【0055】
スキーム6 実験条件(述べられた試薬および溶媒は、例示のためのみである。):A:N−メチルモルホリンオキシド、テトラプロピルアンモニウムペルルテナート、アセトン、B:エタンジチオール、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体、C:例えば、アセチレン、カリウムtert−ブトキシド、D:過ヨウ素酸。
【0056】
【化8】

【0057】
が、(H、H)、(H、OH)、NOR(Rは、水素、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)アシルである。)である本発明の化合物は、当分野で公知の方法の使用により、Rがオキソである式1の化合物から得られる。
【0058】
が(C1〜15)アシルである本発明の化合物は、当分野で公知の方法の使用により、Rが水素である式1の化合物から得られる。
【0059】
本発明を、ここから先は以下の実施例を参照して、さらに説明する。
【0060】
(実施例)
【実施例1】
【0061】
(7α,17aβ)−17a−ヒドロキシ−7−メチル−D−ホモエストラ−4,14−ジエン−3−オン
i)(7α)−3−メトキシ−7−メチルエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オン[Segaloff,A. et al., Steroids 22,99(1973);10.46g]およびトリメチルシリルシアニド(14.1mL)の、乾燥ジクロロメタン(106ml)中の溶液を、乾燥ヨウ化亜鉛(0.035g)で処理した。1.5時間撹拌した後、反応混合液を炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液に注ぎ、生成物を酢酸エチルに抽出した。組み合わせた有機相を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下、濃縮し、(7αβ)−3−メトキシ−7−メチル−17−[(トリメチルシリル)オキシ]エストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−カルボニトリル(13.5g)を得た。該生成物を、更なる精製をせずに次の段階において使用した。
【0062】
ii)先の段階において得られた生成物(5.00g)の乾燥テトラヒドロフラン(28ml)中の溶液を、水素化リチウムアルミニウム(0.91g)のテトラヒドロフラン(56ml)中の懸濁液に滴下した。反応混合物を室温で27時間撹拌し、水素化リチウムアルミニウムの追加分量(0.85gおよび0.84g)をそれぞれ3時間後および23時間後に加えた。冷却後、硫酸ナトリウムの飽和水溶液を加えることにより反応混合物の反応を止めた。酢酸エチルを加え、混合物をデカライト(decalite)(珪藻土)でろ過した。減圧下、ろ液を濃縮し、(7α)−17−(アミノメチル)−3−メトキシ−7−メチル−17−[(トリメチルシリル)オキシ]エストラ−1,3,5(10),14−テトラエン(4.00g)を得た。該生成物を、更なる精製をせずに次の段階において使用した。
【0063】
iii)先の段階において得られた生成物(4.00g)の酢酸(91ml)中の溶液に水(15ml)を加えた。混合物を0℃に冷却し、亜硝酸ナトリウム(3.64g)の水(15ml)溶液で処理した。追加の酢酸(35ml)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を濃縮し、残留物を炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液に注いだ。生成物を酢酸エチルに抽出し、組み合わせた有機相を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル85:5)により、(7α)−3−メトキシ−7−メチル−D−ホモエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17a−オン(0.71g)を得た。
【0064】
iv)先の段階で得られた生成物(0.71g)の乾燥テトラヒドロフラン(6ml)中の溶液を、水素化リチウムアルミニウム(0.25g)のテトラヒドロフラン(3mL)中の氷冷懸濁液に滴下した。2時間撹拌後、硫酸ナトリウムの飽和水溶液を加えることにより、反応混合物の反応を止めた。酢酸エチルを加え、混合物をジカライト(dicalite)でろ過した。減圧下、ろ液を濃縮し、(7α,17aβ)−3−メトキシ−7−メチル−D−ホモエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17a−オール(0.74g)を製造した。該生成物を、更なる精製をせずに次の段階において使用した。
【0065】
v)先の段階において得られた生成物(0.74g)の乾燥テトラヒドロフラン(10ml)中の溶液を、リチウム(0.47g)の液体アンモニア(15ml)中の還流溶液に加えた。1時間撹拌後、tert−ブタノール(1.44ml)を加え、30分間撹拌を続けた。乾燥エタノールを加えて、アンモニアを蒸発させた。水を加え、生成物を酢酸エチルに抽出した。組み合わせた有機相を、塩化アンモニウムの飽和水溶液および食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下、濃縮し、(7α,17aβ)−3−メトキシ−7−メチル−D−ホモエストラ−2,5(10),14−トリエン−17a−オール(0.79g)を得た。該生成物を、更なる精製をせずに次の段階において使用した。
【0066】
vi)先の段階において得られた生成物(0.69g)のアセトン(9ml)中の溶液を塩酸(6M、0.71ml)で処理した。室温で2時間撹拌後、反応混合物を、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液で中和した。生成物を酢酸エチルに抽出し、組み合わせた有機相を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル8:2)および結晶化により、(7α,17aβ)−17a−ヒドロキシ−7−メチル−D−ホモエストラ−4,14−ジエン−3−オン(0.17g)、H−NMR(CDCl)δ5.85(m,1H)、5.26(m,1H)、3.51(m,1H)、2.47(m,2H)、1.72(m,2H)、1.09(s,3H)、0.81(d,3H,J=7.1Hz)を得た。
【実施例2】
【0067】
(7α,17aβ)−7−エチル−17a−ヒドロキシ−D−ホモエストラ−4,14−ジエン−3−オン
i)ジイソプロピルアミン(16.3mL)の乾燥テトラヒドロフラン(113mL)中の溶液を−30℃に冷却した。n−BuLi(1.6Mのヘキサン溶液、66.5mL)を滴下し(T<−10℃)、−30℃で10分間撹拌を続けた。反応混合物を−75℃に冷却し、(7α)−7−エチル−3−メトキシエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オン[WO2001005806;10.0g]の乾燥テトラヒドロフラン(153ml)中の溶液を滴下した。撹拌を1時間続けた。クロロトリメチルシラン(12.1ml)を加え、温度を20分で室温まで上昇させた。0℃まで冷却した後、塩化アンモニウムの飽和水溶液によって反応混合物の反応を止めた。生成物を酢酸エチルに抽出し、組み合わせた有機相を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下、濃縮し、(7α)−7−エチル−3−メトキシ−17−[(トリメチルシリル)オキシ]エストラ−1,3,5(10),14,16−ペンタエン(12.05g)を得た。該生成物を、更なる精製をせずに次の段階において使用した。
【0068】
ii)先の段階において得られた生成物(12.05g)およびジヨードメタン(10.2ml)の乾燥ジクロロメタン(188ml)中の溶液を0℃に冷却した。ジエチル亜鉛のヘキサン中の溶液(15重量%、114mL)を加え(T<5℃)、反応混合物を室温で1時間撹拌した。氷を加え、反応混合物を塩化アンモニウムの飽和水溶液に注いだ。生成物を酢酸エチルに抽出し、組み合わせた有機相を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下、濃縮し、(7α)−7−エチル−3−メトキシ−16,17−メチレン−17−[(トリメチルシリル)オキシ]エストラ−1,3,5(10),14−テトラエン(12.96g)を得た。該生成物を、更なる精製をせずに次の段階において使用した。
【0069】
iii)先の段階において得られた生成物(10.0g)の乾燥ジメチルホルムアミド(51mL)中の溶液を、塩化鉄(III)(12.3g)の同じ溶媒(51mL)中の溶液に加え、0℃に冷却した。反応混合物を室温で1.5時間撹拌し、その後冷却しながら塩酸水(2M)で反応をとめた。水を加え、生成物を酢酸エチルに抽出した。組み合わせた有機相を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル8:2)により、(7α)−7−エチル−3−メトキシ−D−ホモエストラ−1,3,5(10),14,16−ペンタエン−17a−オン(5.10g)を得た。
【0070】
iv)先の段階において得られた生成物(3.90g)の乾燥テトラヒドロフラン(21.5mL)中の溶液を、水素化リチウムアルミニウム(1.09g)のテトラヒドロフラン(21.5ml)中の氷冷懸濁液に滴下した(T<10℃)。混合物を0℃で2時間撹拌した後、硫酸ナトリウム飽和水溶液を加えることにより、反応を止めた。酢酸エチルを加え、混合物をジカライトでろ過した。減圧下、ろ液を濃縮した。カラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル95:5)により、(7α,17aβ)−7−エチル−3−メトキシ−D−ホモエストラ−1,3,5(10),14,16−ペンタエン−17a−オール(1.45g)を得た。
【0071】
v)先の段階で得られた生成物(1.45g)の乾燥テトラヒドロフラン(25ml)中の溶液を、リチウム(1.81g)の液体アンモニア(101ml)中の還流溶液に加えた。1時間撹拌した後、tert−ブタノール(2.3ml)を加え、30分間撹拌を続けた。乾燥エタノールを加えて、アンモニアを蒸発させた。水を加え、生成物を酢酸エチルに抽出した。組み合わせた有機相を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下、濃縮し、(7α,17aβ)−7−エチル−3−メトキシ−D−ホモエストラ−2,5(10),14−トリエン−17a−オール(1.33g)を得た。該生成物を、更なる精製をせずに次の段階において使用した。
【0072】
vi)先の段階において得られた生成物(1.61g)のアセトン(118ml)中の溶液を、塩酸(4M、6.1mL)で処理した。室温で1時間撹拌した後、反応混合物を炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液に注いだ。生成物を酢酸エチルに抽出し、組み合わせた有機相を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル8:2)により、(7α,17aβ)−7−エチル−17a−ヒドロキシ−D−ホモエストラ−4,14−ジエン−3−オン(0.68g)、H−NMR(CDCl)δ5.86(m,1H)、5.15(m,1H)、3.50(m,1H)、1.09(s,3H)、0.90(m,3H)を得た。
【実施例3】
【0073】
(7α,17α,17aβ)−17a−ヒドロキシ−7,17−ジメチル−D−ホモエストラ−4,14−ジエン−3−オン
i)リチウムヘキサメチルジシラジド(1.0Mのテトラヒドロフラン溶液、6.8mL)をテトラヒドロフラン(50mL)に溶解し、該溶液を−40℃に冷却した。(7α)−3−メトキシ−7−メチル−D−ホモエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17a−オン(実施例1、段階iii、2.1g)のテトラヒドロフラン(5ml)中の溶液を加え、混合物を−40/−30℃で1時間撹拌した。ヨウ化メチル(1.9g)を加え、−30/−20℃で1時間撹拌を続けた。塩化アンモニウムの飽和水溶液により、反応混合物の反応を止めた。生成物を酢酸エチルに抽出し、組み合わせた有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、トルエン/酢酸エチル9:1)および結晶化(ヘプタン)により、(7α,17α)−3−メトキシ−7,17−ジメチル−D−ホモエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17a−オン(0.9g)を得た。
【0074】
ii)先の段階において得られた生成物(0.9g)のテトラヒドロフラン(5ml)中の溶液を、水素化リチウムアルミニウム(0.21g)のテトラヒドロフラン(25ml)中の懸濁液に加え、0℃に冷却した。反応混合物を1時間撹拌し、硫酸ナトリウムの飽和水溶液により反応を止めた。混合物を1.5時間撹拌し、その後セライト(Celite)でろ過した。残留物を酢酸エチルで洗浄し、ろ液を濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン/酢酸エチル6:1)により、(7α,17α,17aβ)−3−メトキシ−7,17−ジメチル−D−ホモエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17a−オール(0.230g)を得た。
【0075】
iii)リチウム(0.140g、20mmol)を液体アンモニア(50ml)中に加え、30℃に冷却し、混合物を30分間撹拌した。先の段階において得られた生成物(0.230g)のテトラヒドロフラン(5ml)中の溶液を加えた。混合物を1時間撹拌し、tert−ブタノール(3mL)をゆっくりと加えた。混合物を30分間撹拌し、エタノール(10mL)をゆっくりと加えた。炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液を加え、水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。組み合わせた有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮し、(7α,17α,17aβ)−3−メトキシ−7,17−ジメチル−D−ホモエストラ−2,5(10),14−トリエン−17a−オールを製造した。該生成物を、更なる精製をせずに次の段階において使用した。
【0076】
iv)先の段階において得られた粗材料のアセトン(100ml)中の溶液を、塩酸水(4M、5ml)で処理した。混合物を1時間撹拌し、炭酸水素ナトリウムにより反応を止めた。アセトンを蒸発させて、水性層を酢酸エチルに抽出した。組み合わせた有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。結晶化(ヘプタン)により(7α,17α,17aβ)−17a−ヒドロキシ−7,17−ジメチル−D−ホモエストラ−4,14−ジエン−3−オン(0.090g)、H−NMR(CDCl)δ5.85(bs,1H)、5.21(m,1H)、3.10(d,1H,J=9.4Hz)、2.53−2.40(m),2.40−2.14(m)、2.13−1.95(m)、1.90−1.76(m)、1.63−1.10(m)、1.09(s,3H)、1.04(d,3H,J=6.0Hz)、0.82(d,3H,J=6.4Hz)を得た。
【実施例4】
【0077】
(7α,17aβ)−17a−ヒドロキシ−7,17a−ジメチル−D−ホモエストラ−4,14−ジエン−3−オン
i)ジイソプロピルアミン(233mL)の乾燥テトラヒドロフラン(650mL)中の溶液を−30℃に冷却した。n−BuLi(1.6Mのヘキサン溶液、508mL)を、温度を−10℃未満に保ちながら滴下した。−10℃から−20℃の間の温度で15分間撹拌を続けた。反応混合物を−78℃に冷却し、(7α)−3−メトキシ−7−メチルエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オン[Segaloff,A. et al., Steroids 22,99(1973);48.6g]の乾燥テトラヒドロフラン(650ml)中の溶液を、滴下した。1時間撹拌を続けた。冷却槽を水浴に取替え(T=20℃)、クロロトリメチルシラン(217ml)を滴下した。15分間撹拌を続けた。反応混合物を、0℃に冷却し、塩化アンモニウムの飽和水溶液により反応を止めた。生成物を酢酸エチルに抽出し、組み合わせた有機相を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下、濃縮し、(7α)−3−メトキシ−7−メチル−17−[(トリメチルシリル)オキシ]エストラ−1,3,5(10),14,16−ペンタエン(87.1g)を得た。該生成物を、更なる精製をせずに次の段階において使用した。
【0078】
ii)先の段階において得られた生成物(87.1g)およびジヨードメタン(50.3mL)の乾燥ジクロロメタン(900mL)中の溶液を、0℃に冷却した。ジエチル亜鉛のヘキサン中の溶液(15重量%、665ml)を加え、反応混合物を0℃で30分間、および室温で1.5時間撹拌した。塩化アンモニウムの飽和水溶液により、反応混合物の反応を止めた。相を分離した後、有機相を塩化アンモニウムの飽和水溶液、水および食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下、濃縮し、(7α)−3−メトキシ−7−メチル−16,17−メチレン−17−[(トリメチルシリル)オキシ]エストラ−1,3,5(10),14−テトラエン(93g)を得た。該生成物を、更なる精製をせずに次の段階において使用した。
【0079】
iii)塩化鉄(III)(53.5g)を乾燥ジメチルホルムアミド(260mL)に加え、0℃に冷却した。先の段階において得られた生成物(46g)の乾燥ジメチルホルムアミド(260ml)中の溶液を加え、反応混合物を0℃で15分間、その後室温で17時間撹拌した。反応混合物を塩酸水および氷の混合物に注ぎ、生成物を酢酸エチルに抽出した。組み合わせた有機相を水および食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル9:1)により、(7α)−3−メトキシ−7−メチル−D−ホモエストラ−1,3,5(10),14,16−ペンタエン−17a−オン(9.6g)を得た。
【0080】
iv)先の段階において得られた生成物(9.6g)およびトリエチルシラン(31.6ml)の乾燥ジクロロメタン(100ml)中の溶液を、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体(31.6ml)で処理した。反応混合物を室温で17時間撹拌し、その後炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液に注いだ。生成物を酢酸エチルに抽出し、組み合わせた有機相を水および食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル95:5)により、(7α)−3−メトキシ−7−メチル−D−ホモエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17a−オール(7.9g)を得た。
【0081】
v)先の段階において得られた生成物(7.9g)のアセトン(225ml)中の溶液を−5℃に冷却し、ジョーンズ試薬(15.9mL)を滴下して処理した。20分間撹拌した後、2−プロパノール(38ml)を加えることにより、反応混合物の反応を止めた。撹拌を30分間続け、その後、混合物をシリカ/ジカライトでろ過した。残留物を酢酸エチルで洗浄した。ろ液を硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル99:1)により、(7α)−3−メトキシ−7−メチル−D−ホモエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17a−オンを得た。
【0082】
vi)カリウムtert−ブトキシド(8.0g)を、ヨウ化トリメチルスルホキシド(11.0g)を含む、先の段階において得られた生成物(5.0g)の乾燥ジメチルスルホキシド(90mL)および乾燥テトラヒドロフラン(30mL)の混合物溶液に、分割して加えた。反応混合物を、室温で2時間撹拌し、その後塩化アンモニウム水溶液により反応を止めた。生成物を酢酸エチルに抽出し、組み合わせた有機相を塩化アンモニウム水溶液、水および食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下、濃縮し、(7α,17aβ)−3−メトキシ−7−メチルスピロ−D−ホモエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン[17a,2’]オキシラン(5.2g)を得た。該生成物を、更なる精製をせずに次の段階において使用した。
【0083】
vii)先の段階において得られた生成物(5.2g)の乾燥テトラヒドロフラン(150ml)中の溶液を、水素化リチウムアルミニウム(1.5g)のテトラヒドロフラン(200mL)中の氷冷懸濁液に滴下した。室温で1時間撹拌した後、硫酸ナトリウム飽和水溶液により反応混合物の反応を止めた。混合物をジカライトでろ過した。ろ液を硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル 9:1)により、(7α,17aβ)−3−メトキシ−7,17a−ジメチル−D−ホモエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17a−オール(2.4g)を得た。
【0084】
viii)乾燥テトラヒドロフラン(40mL)中の先の段階において得られた生成物(2.4g)、およびtert−ブタノール(1.6mL)を、還流液体アンモニア(120mL)に加えた。リチウムの粒を、青色が少なくとも30分間維持されるまで、分割して溶液に加えた。その後エタノールにより反応混合物の反応を止め、アンモニアを蒸発させた。水を加え、生成物を酢酸エチルに抽出した。組み合わせた有機相を水および食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下、濃縮し、(7α,17aβ)−3−メトキシ−7,17a−ジメチル−D−ホモエストラ−2,5(10),14−トリエン−17a−オール(2.7g)を得た。該生成物を、更なる精製をせずに次の段階において使用した。
【0085】
ix)先の段階において得られた生成物(2.7g)のアセトン(54ml)中の溶液を、塩酸(2M、2.7mL)で処理した。室温で1時間撹拌した後、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液により反応混合物の反応を止めた。生成物を酢酸エチルに抽出し、組み合わせた有機相を、順番に、水、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液、水および食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル9:1)により、(7α,17aβ)−17a−ヒドロキシ−7,17a−ジメチル−D−ホモエストラ−4,14−ジエン−3−オン(1.22g)、m.p.166℃、旋光度(エタノール100%、c=1)−20.0°、H−NMR(CDCl)δ5.92(bs,1H)、5.32(bs,1H)、2.63−1.91(m)、1.82−1.11(m)、1.28(s,3H)、0.87(d,3H)を得た。
【実施例5】
【0086】
(3β,7α,17aβ)−7,17a−ジメチル−D−ホモエストラ−4,14−ジエン−3,17a−ジオール
i)(7α,17aβ)−17a−ヒドロキシ−7,17a−ジメチル−D−ホモエストラ−4,14−ジエン−3−オン(実施例4;0.628g)の乾燥テトラヒドロフラン中の(6ml)溶液を、水素化リチウムアルミニウム(0.152g)のテトラヒドロフラン(30ml)中の氷冷懸濁液に加えた。冷却槽を取り除き、反応混合物を1時間撹拌した。硫酸ナトリウムの飽和水溶液(1.8mL)により反応混合物の反応を止め、混合物を10分間撹拌した。ジエチルエーテル(80mL)および硫酸ナトリウム(18g)を加え、10分間撹拌を続けた。メタノール(4.8mL)を加え、さらに30分間撹拌を続けた。混合物をジカライトでろ過し、残留物をテトラヒドロフランで洗浄した。ろ液を濃縮した。残留物を、結晶化(エーテル)、カラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン/酢酸エチル 1/1)およびさらに結晶化(エーテル→ヘプタン)により精製し、(3β,7α,17aβ)−7,17a−ジメチル−D−ホモエストラ−4,14−ジエン−3,17a−ジオール(0.290g)、1H−NMR(CDCl3)δ5.38(bs,1H)、5.23(m,1H)、4.22(bs 1H)、2.32−2.02(m)、1.98−1.86(m)、1.76(m,1H)、1.62(m),1.19(s,3H)、1.48−1.06(m)、0.95(m)、0.78(d,3H,J=7.4Hz)を得た。
【実施例6】
【0087】
(7α,17aα)−17a−ヒドロキシ−7−メチル−D−ホモ−19−ノルプレグナ−4,14−ジエン−3−オン
i)(7α)−3−メトキシ−7−メチル−D−ホモエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17a−オン(実施例1、段階iii、1.5g、4.8mmol)のテトラヒドロフラン(50ml)中の溶液を−20℃に冷却した。エチルマグネシウムブロミド(3.0M溶液、16ml、48mmol)を、温度を−20℃未満に保ちながらゆっくりと加えた。混合物を0℃で1時間撹拌し、その後塩化アンモニウム飽和水溶液により反応を止めた。生成物を酢酸エチルに抽出した。組み合わせた有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。生成物をシリカ(ヘプタン/酢酸エチル 9:1)で精製し、(7α,17aα)−3−メトキシ−7−メチル−D−ホモ−19−ノルプレグナ−1,3,5(10),14−テトラエン−17a−オール(0.180g)を得た。
【0088】
ii)リチウム(0.111g、15.9mmol)を液体アンモニア(50mL)に加え、−30℃に冷却した。混合物を30分間撹拌し、先の段階において得られた生成物(0.180g、0.53mmol)のテトラヒドロフラン(5mL)中の溶液を加えた。混合物を1時間撹拌し、tert−ブタノール(3ml)をゆっくりと加えた。30分間撹拌を続け、エタノール(10ml)をゆっくりと加えた。炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液を加え、水を加え、混合物を酢酸エチルに抽出した。組み合わせた有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮し、(7α,17aα)−3−メトキシ−7−メチル−D−ホモ−19−ノルプレグナ−2,5(10),14−トリエン−17a−オールを製造した。該生成物を、更なる精製をせずに次の段階において使用した。
【0089】
iii)先の段階において得られた生成物のアセトン(100ml)中の溶液を、塩酸水(4M、5ml)で処理した。混合物を1時間撹拌し、炭酸水素ナトリウムにより反応を止めた。アセトンを蒸発させ、水性層を酢酸エチルに抽出した。組み合わせた有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。生成物をシリカ(ヘプタン/酢酸エチル 1:1)で精製し、(7α,17aα)−17a−ヒドロキシ−7−メチル−D−ホモ−19−ノルプレグナ−4,14−ジエン−3−オン(0.125mg)、H−NMR(CDCl)δ5.86(bs,1H)、5.29(bs,1H)、2.53−2.23(m)、2.14−1.94(m)、1.79(m,1H)、1.69−1.46(m)、1.36(m)、1.23(s,3H)、1.17(m)、0.97(t,3H,J=7.4Hz)、0.79(d,3H,J=6.6Hz)を得た。
【実施例7】
【0090】
(17aβ)−17a−ヒドロキシ−D−ホモエストラ−4,14−ジエン−3−オン
i)ジイソプロピルアミン(125mL)のテトラヒドロフラン(1.0L)中の溶液を−25℃に冷却した。n−ブチルリチウム(2.5Mのヘキサン溶液、320mL、0.8mol)を、温度が−20℃未満に維持されるような速度で加えた。混合物を−30℃で30分間撹拌し、その後−78℃に冷却した。3−メトキシエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オン[WO2002048169、68.6g、0.23mol]のテトラヒドロフラン(1.0L)中の溶液を、温度が−70℃未満に維持されるような速度で加え、得られた混合物を−70℃で1時間撹拌した。クロロトリメチルシラン(92ml)を滴下した。一晩、混合物を放置して室温に暖め、その後塩化アンモニウムの飽和水溶液に注いだ。混合物を酢酸エチルで抽出した。組み合わせた有機相を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮し、3−メトキシ−17−[(トリメチルシリル)オキシ]エストラ−1,3,5(10),14,16−ペンタエン(116.5g、純度、約40%)を得た。
【0091】
ii)ジヨードメタン(54mL)を、先の段階の生成物(58g)のジクロロメタン(1L)中の溶液に加え、混合物を10℃に冷却した。ジエチル亜鉛(15重量%のヘキサン溶液、600mL)を滴下し、混合物を室温で一晩撹拌した。塩化アンモニウムを滴下することにより反応混合物の反応を止めた。得られた混合物を塩化アンモニウム飽和水溶液に注ぎ、生成物を酢酸エチルに抽出した。組み合わせた有機相を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮し、3−メトキシ−16,17−メチレン−17−[(トリメチルシリル)オキシ]エストラ−1,3,5(10),14−テトラエン(65.9g)を得た。該生成物を、更なる精製をせずに次の段階において使用した。
【0092】
iii)塩化鉄(III)(150g)を、氷/塩冷却しながら(5から20℃)、ジメチルホルムアミド(600ml)に溶解した。先の段階で得られた生成物(127.7g)のジメチルホルムアミド(600mL)中の溶液を、温度が10℃未満に維持されるような速度で加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を塩酸水(2.5M、5L)に注ぎ、生成物を酢酸エチルに抽出した。組み合わせた有機相を水および食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン/酢酸エチル 9:1)により、3−メトキシ−D−ホモエストラ−1,3,5(10),14,16−ペンタエン−17a−オン(11.40g)を得た。
【0093】
iv)先の段階において得られた生成物(11.4g)のジクロロメタン(500mL)中の溶液を、トリエチルシラン(19.7mL)および三フッ化ホウ素−ジエチルエ−テル錯体(48%、20mL)で処理した。反応混合物を24時間撹拌した[変換なし(H−NMR)]。余分の量のトリエチルシラン(19.7ml)および三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体(48%、20ml)を加え、反応混合物をさらに70時間撹拌した[変換なし(H−NMR)]。反応混合物を炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液に注ぎ、酢酸エチルに抽出した。組み合わせた有機相を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮し、出発物質(11.5g)を得た。これをジクロロメタン(500mL)に溶解し、トリエチルシラン(19.7mL)および三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体(48%、20mL)を加え、反応混合物を48時間撹拌した[約50%変換(H−NMR)]。反応混合物を、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液に注ぎ、酢酸エチルに抽出した。組み合わせた有機相を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン/酢酸エチル4:1)により、(17aβ)−3−メトキシ−D−ホモエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17a−オール(2.9g)および出発物質および生成物の混合物(6.9g)を得た。混合物をもう1度還元することにより、第2バッチの生成物(2.1g)を得、これを第1バッチ(5.0g)と合わせた。
【0094】
v)先の段階において得られた生成物(4.0g)のテトラヒドロフラン(100ml)中の溶液を液体アンモニア(約125mL)に加え、−78℃に冷却した。リチウム(1.9g)を加え、溶液を−78℃で30分間撹拌した。テトラヒドロフラン(15mL)およびtert−ブタノール(15g)の混合物を15分以内に加え、混合物を−78℃で2時間撹拌した。固体塩化アンモニウム(15g)および酢酸エチル(100mL)を慎重に加えた。水(200mL)を加え、混合物を放置して室温に暖めた。生成物を酢酸エチルに抽出した。組み合わせた有機相を、水および食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮し、(17aβ)−3−メトキシ−D−ホモエストラ−2,5(10),14−トリエン−17a−オール(3.8g)を得た。該生成物を、更なる精製をせずに次の段階において使用した。
【0095】
vi)先の段階において得られた生成物(3.8g)のアセトン(150ml)中の溶液を、塩酸水(1M、40mL)で処理した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、続いて炭酸水素ナトリウムにより反応を止めた。アセトンを蒸発させ、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル3:1)により(17aβ)−17a−ヒドロキシ−D−ホモエストラ−4,14−ジエン−3−オン(1.3g)、H−NMR(CDCl)δ5.90(bs,1H)、5.35(bs,1H)、2.71−0.80(m)、1.22(s,3H)を得た。
【実施例8】
【0096】
(17aβ)−17a−ヒドロキシ−17a−メチル−D−ホモエストラ−4,14−ジエン−3−オン
i)(17aβ)−3−メトキシ−D−ホモエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17a−オール(実施例7、段階iv、5.0g)のアセトン(200mL)中の溶液を、N−メチルモルホリンオキシド(9.8g)およびテトラプロピルアンモニウムペルルテナート(0.25g)で処理した。混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を、セライトを通してろ過し、濃縮し、3−メトキシ−D−ホモエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17a−オン(4.7g)を得た。該生成物を、更なる精製をせずに次の段階に使用した。
【0097】
ii)先の段階において得られた生成物(4.7g)を、ジメチルスルホキシド(120mL)およびテトラヒドロフラン(50mL)の混合物に溶解した。ヨウ化トリメチルスルホニウム(9.24g)およびカリウムtert−ブトキシド(6.76g、60.2mmol)を加え、得られた暗褐色の溶液を70時間撹拌した。得られた混合物を塩化アンモニウム飽和水溶液で希釈し、酢酸エチルで抽出した。組み合わせた有機相を、水および食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮し、(17aβ)−3−メトキシスピロ−D−ホモエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン[17a,2’]オキシランおよび(17aα)−3−メトキシスピロ−D−ホモエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン[17a,2’]オキシラン(4.52g)の1:1混合物を得た。該生成物を、更なる精製をせずに次の段階において使用した。
【0098】
iii)先の段階において得られた生成物(4.52g)のテトラヒドロフラン(50mL)中の溶液を、水素化リチウムアルミニウム(2.12g)のテトラヒドロフラン(150mL)中の懸濁液に滴下し、0℃に冷却した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を、水(10mL)により慎重に反応を止め、一晩撹拌し、セライトを通しろ過した。ろ過残渣を、テトラヒドロフラン(250mL)に懸濁して煮沸し、ろ過し、ろ液を最初のろ液と合わせた。組み合わせたろ液を、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン/酢酸エチル 4:1)により、(17aβ)−3−メトキシ−17a−メチル−D−ホモエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17a−オール(1.8g)を得た。
【0099】
iv)先の段階において得られた生成物(1.6g)のテトラヒドロフラン(100ml)中の溶液を、液体アンモニア(100mL)に加え、−78℃に冷却した。リチウム粒(0.35g)を分割して加え、反応混合物を−78℃で1時間撹拌した。2−プロパノール(25mL)およびテトラヒドロフラン(25mL)の混合物を加えることにより反応を止め、一晩、反応混合物を放置して室温に温めた。水を加え、生成物を酢酸エチルに抽出した。組み合わせた有機相を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮し、(17aβ)−3−メトキシ−17a−メチル−D−ホモエストラ−2,5(10),14−トリエン−17a−オール(1.7g)を得た。該生成物を、更なる精製をせずに次の段階において使用した。
【0100】
v)先の段階において得られた生成物(1.7g)の、アセトン(50ml)および水(4ml)の混合物中の溶液を、塩酸水(30%、3mL)で処理し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液を使用して中和し、濃縮した。水を加え、生成物を酢酸エチルに抽出した。組み合わせた有機相を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。結晶化(ヘプタン/酢酸エチル4:1)により、(17aβ)−17a−ヒドロキシ−17a−メチル−D−ホモエストラ−4,14−ジエン−3−オン(0.800g)、H−NMR(CDCl)δ5.84(bs,1H)、5.32(bs,1H)、2.59−1.91(m)、1.79−1.31(m)、0.92(m,1H)、1.19(s,3H)、1.18(s,3H)を得た。
【実施例9】
【0101】
(17aα)−17a−ヒドロキシ−D−ホモ−19−ノルプレグナ−4,14−ジエン−20−−3−オン
i)N−メチルモルホリンオキシド(2.46g)を、(17aβ)−17a−ヒドロキシ−D−ホモエストラ−4,14−ジエン−3−オン(実施例7、2.0g)のアセトン(100mL)中の溶液に加え、混合物を15分間撹拌した。テトラプロピルアンモニウムペルルテナート(70mg、0.2mmol)を加え、反応混合物を3時間撹拌した。その後、これをセライトでろ過し、残留物を酢酸エチル/アセトンで洗浄し、ろ液を濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン/酢酸エチル 2:1)によりD−ホモエストラ−4,14−ジエン−3,17a−ジオン(0.400g)得た。
【0102】
ii)エタンジチオール(0.087g)を、先の段階において得られた生成物(0.4g、1.4mmol)のメタノール(25mL)中の溶液に加え、混合物を0℃に冷却した。三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体(99mg、0.7mmol)を加え、反応混合物を一晩撹拌した。混合物を濃縮し、該固体をカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン/酢酸エチル9:1)により精製し、D−ホモエストラ−4,14−ジエン−3,17a−ジオン環状3−(1,2−エタンジイルジチオアセタール)(0.3g)を製造した。
【0103】
iii)カリウムtert−ブトキシド(0.19g)のテトラヒドロフラン(50ml)中の溶液を、10℃に冷却した。アセチレンを10分間通気した。混合物を0℃に冷却し、先の段階において得られた生成物(0.3g)のテトラヒドロフラン(10mL)中の溶液を、0℃でアセチレンを通気させたまま加えた。アセチレンの添加をさらに15分間続け、その後反応物を、室温でさらに1時間撹拌した。炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液により混合物の反応を止め、生成物を酢酸エチルに抽出した。組み合わせた有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン/酢酸エチル 9:1)により、(17aα)−D−ホモ−19−ノルプレグナ−4,14−ジエン−20−イン−3−オン環状(1,2−エタンジイルジチオアセタール)および(17aβ)−D−ホモ−19−ノルプレグナ−4,14−ジエン−20−イン−3−オン環状(1,2−エタンジイルジチオアセタール)の混合物(0.2g)を得た。
【0104】
iv)先の段階で得られた生成物(0.085g)のメタノール(10ml)中の溶液を、0℃に冷却した。過ヨウ素酸(0.027g)の水(0.5ml)溶液をゆっくりと加えた。混合物を1時間撹拌し、硫酸ナトリウムの飽和水溶液で反応を止めた。生成物を酢酸エチルに抽出し、組み合わせた有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。分取HPLC(ヘプタン/2−プロパノール)により、(17aα)−17a−ヒドロキシ−D−ホモ−19−ノルプレグナ−4,14−ジエン−20−イン−3−オン(0.030g)、H−NMR(CDCl)δ5.84(m,1H)、5.30(m,1H)、2.59−1.16(m)、2.48(s,1H)、1.23(S,3H)、1.08−0.85(m)を得た。
【実施例10】
【0105】
本発明の化合物のアンドロゲンアゴニスト活性およびプロゲスタゲンアゴニスト活性
本発明に従った化合物を、アンドロゲン活性およびプロゲスタゲン活性に関し試験した。
【0106】
本発明の化合物のトランス活性化アンドロゲンアゴニスト活性を、マウス乳がんウィルス(MMTV)およびルシフェラーゼ受容体遺伝子と組み合わせて、ヒトアンドロゲン受容体(hAR)で形質移入されたチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)(培養時間16時間、温度37℃)において測定し、5α−ジヒドロテストステロン[Schoonen、W.G.E.J. et al., Analyt.Biochem.261,222−224(1998)により記載された手法に従った]の活性と比較した。
【0107】
本発明の化合物のトランス活性化プロゲスタゲンアゴニスト活性を、マウス乳がんウィルス(MMTV)およびルシフェラーゼ受容体遺伝子と組み合わせて、ヒトプロゲステロン受容体B(hPRB)で形質移入されたチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)において測定し(培養時間16時間、温度37℃)、(16α)−16−エチル−21−ヒドロキシ−19−ノルプレグン−4−エン−3,20−ジオン[Schoonen, W.G.E.J.ら、Analyt.Biochem.261.,222−224(1998)によって記載された手法に従った]の活性と比較した。結果を表1に集計する。
【0108】
【表1】

【実施例11】
【0109】
肝臓の安全性の決定:BPS停滞試験
この試験の第一の目的は、去勢された雄のウサギを本発明の化合物により7日間(1日1回)経口処理した後に、静脈注射により単回投与されたブロモスルフホフタレイン(BSP)の浄化を測定することによって、肝機能を評価することであった。
【0110】
簡潔に言うと、この試験は、成熟した雄の去勢ニュージーランドホワイトウサギにおいて実施される。去勢の少なくとも2週間後、動物を、錠剤または5%(v/v)エタノールを含む落花生油により7日間(1日1回)処理し、試験化合物の10mg/kg/日投薬ということになる。最終投与から24時間後、筋肉内に0.15mlのヒプノルム(Hypnorm)を投与してウサギに軽く鎮静をかけ、BSP(15mg/kg、静脈内、5%(w/v)マンニトール/HOに溶解)を注入した。5、10、15および20分で血液を採取し、血漿中のBSP含有量を分光光度計で決定する。血液から排出されるBSPのt1/2を、得られたデータから計算する。
【0111】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1:
【化1】

[式中、
は、O、(H、H)、(H、OH)、またはNOR(Rは、水素、(C1〜6)アルキルまたは(C1〜6)アシルである。)であり、
は、水素、メチル、エチルまたはエテニルであり、
は、水素、メチル、エチル、エテニル、フッ素または塩素であり、
は、メチルまたはエチルであり、
は、水素、メチルまたはエチルであり、
は、水素、メチル、エチル、(C2〜3)アルケニルまたは(C2〜3)アルキニルであり、
は、水素または(C1〜15)アシルであり、
およびRまたはRの少なくとも1つは、水素である。]
を有する化合物またはそれらの薬学的に許容できる塩。
【請求項2】
が、Oまたは(H、OH)であり、
が、水素、メチル、エチルであり、
が、水素、メチルであり、
が、メチルであり、
が、水素、メチルであり、
が、水素、メチル、エチルまたは(C2〜3)アルキニルであり、
が、水素または(C1〜15)アシルであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、水素、メチルであり、
が、水素であり、
が、水素であり、
が、水素、メチル、エチルまたはエチニルであることを特徴とする、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が、Oであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
(7α、17aβ)−17a−ヒドロキシ−7−メチル−D−ホモエストラ−4,14−ジエン−3−オンであることを特徴とする、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
(7α、17aβ)−17a−ヒドロキシ−7,17a−ジメチル−D−ホモエストラ−4,14−ジエン−3−オンであることを特徴とする、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
(17aβ)−17a−ヒドロキシ−17a−メチル−D−ホモエストラ−4,14−ジエン−3−オンであることを特徴とする、請求項4に記載の化合物。
【請求項8】
治療のための、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項10】
アンドロゲンレベルを上昇させるための治療用薬剤の製造のための、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項11】
アンドロゲン補充用、テストステロン置換用または良性前立腺肥大症(BPH)用の薬剤の製造のための、請求項10に記載の化合物の使用。
【請求項12】
請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物の治療有効量の投与を含む、患者においてアンドロゲン活性を上昇させるための治療方法。
【請求項13】
請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物の治療有効量の投与を含む、患者においてテストステロンを置換またはアンドロゲンを補充するための治療方法。
【請求項14】
請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物の治療有効量の投与を含む、患者における良性前立腺肥大症(BPH)の治療方法。
【請求項15】
請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物の有効量の投与を含む、男性の避妊方法。
【請求項16】
請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物が、プロゲスタゲン不妊薬効果およびアンドロゲン補充の両方を達成するための唯一の手段として投与される、請求項15に記載の男性の避妊方法。

【公表番号】特表2008−546669(P2008−546669A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516335(P2008−516335)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【国際出願番号】PCT/EP2006/063282
【国際公開番号】WO2006/134167
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(398057282)ナームローゼ・フエンノートチヤツプ・オルガノン (93)
【Fターム(参考)】